神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:12

アルツハイマー病最新治療薬の認知機能改善に対する有効性比較

 近年、新たなアルツハイマー病治療薬が登場し、臨床試験において認知機能および臨床症状に対する有望な結果が得られている。しかし、多くの薬剤の中から最も効果的な治療オプションを選択することについては、依然として議論が続いている。中国・西安交通大学のWeili Cao氏らは、新規アルツハイマー病治療薬の有効性を比較し、それらの薬剤をランク付けするために、ネットワークメタ解析を実施した。Neuroscience誌2025年1月号の報告。

ATTR型心アミロイドーシスにおいてブトリシランは全死亡を低下させQOLを維持する(解説:原田和昌氏)

ATTRアミロイドーシスは、単量体がミスフォールドされたトランスサイレチン(TTR)がアミロイド線維として心臓、神経、消化管、筋骨格組織に沈着することで引き起こされる疾患で、心臓への沈着により心筋症が進行する。ATTR型心アミロイドーシスの治療薬としては、TTR安定化薬のタファミジスが承認されている(ATTR-ACT試験)。また、トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)の適応を取得しているsiRNA静脈注射剤のパチシラン(3週に1回投与)により、ATTR型心アミロイドーシス患者の12ヵ月時の機能的能力が維持されることが報告された(APOLLO-B試験)。さらに、高親和性TTR安定化薬であるacoramidisのATTR型心アミロイドーシスに対する有効性が報告されている(ATTRibute-CM試験)。

Long COVIDの神経症状は高齢者よりも若・中年層に現れやすい

 新たな研究によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状(long COVID)のうち、重篤な神経症状は、高齢者よりも若年層や中年層の人に現れやすいことが明らかになった。米ノースウェスタン・メディスン総合COVID-19センターの共同所長を務めるIgor Koralnik氏らによるこの研究結果は、「Annals of Neurology」に11月22日掲載された。  Long COVIDの神経症状は、頭痛、しびれやうずき、嗅覚障害や味覚障害、目のかすみ、抑うつ、不安、不眠、倦怠感、認知機能の低下などである。論文の上席著者であるKoralnik氏は、「COVID-19による死亡者数は減少し続けているが、人々は依然としてウイルスに繰り返し感染し、その過程でlong COVIDを発症する可能性がある」と指摘する。同氏は、「long COVIDは、患者の生活の質(QOL)に変化を引き起こしている。ワクチン接種や追加接種を受けている人でも、COVID-19患者の約30%にlong COVIDの何らかの症状が現れる」と話す。

アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションに対するブレクスピプラゾール長期延長試験

 アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションに対するブレクスピプラゾールの有用性が、12週間のランダム化比較試験において実証された。しかし、長期的な有用性については、これまで十分に検証されていなかった。米国・大塚製薬のSaloni Behl氏らは、ブレクスピプラゾールの長期的な安全性および忍容性を評価するため、長期延長試験の結果を報告した。Journal of Alzheimer's Disease誌2024年11月号の報告。

片頭痛治療をためらう理由とは〜OVERCOME研究

 片頭痛の治療法は、さまざまであるにもかかわらず、片頭痛患者の多くは、医療に消極的であり、診断および効果的な治療機会を逃し、疾病負担を軽減する機会を喪失している可能性がある。患者が片頭痛治療を躊躇する理由を明らかにすることは、医療専門家や支援者の障壁に対処し、アウトカム改善につながると考えられる。米国・バーモント大学のRobert E. Shapiro氏らは、片頭痛治療を躊躇することと関連する因子を特定するため、米国大規模サンプルを対象に、調査を行った。Neurology and Therapy誌オンライン版2024年11月2日号の報告。

心肺フィットネスの向上は認知症リスクの軽減につながる

 認知症リスクが高い遺伝子を持つ人は、定期的な運動により心肺フィットネス(cardiorespiratory fitness;CRF、心肺持久力とも呼ばれる)を向上させることで、認知症リスクを軽減できる可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。カロリンスカ研究所(スウェーデン)老化研究センターのWeili Xu氏らによるこの研究の詳細は、「British Journal of Sports Medicine」に11月19日掲載された。  CRFとは、運動中の筋肉に酸素を供給する体の循環器系と呼吸器系の能力のことを指す。この能力は、20代から筋肉量の減少に伴い低下し始め、その後、加速度的に低下する。70代になると、CRFは10年当たり20%以上低下する。低CRFは、あらゆる原因による死亡や、脳卒中や心筋梗塞などの心臓関連イベントの強力な予測因子である。

アルツハイマー病に伴うアジテーションが医療負担に及ぼす影響

 アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションは、一般的な症状であるが、これに伴う医療負担はよくわかっていない。米国・Inovalon InsightsのChristie Teigland氏らは、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションを有する患者とアジテーションのない患者におけるベースライン特性、医療資源の利用、コストの評価を行った。Journal of Health Economics and Outcomes Research誌2024年10月29日号の報告。  対象は、2009〜16年のメディケア有料請求データベースよりアルツハイマー病および認知症で30日以上の間隔で2件以上の請求があり、診断6ヵ月前および12ヵ月後に医療/薬局保険に継続加入していたメディケア受給者。重度の精神疾患患者は除外した。アジテーションの有無により2つの患者コホートを定義し、記述的探索分析により患者の特徴、医療資源の利用、コストの比較を行った。

水分摂取を増やすと肥満や腎結石以外にも有効な可能性

 1日の水分摂取量に関しては、公的な推奨がいくつかされているもののそれを裏付けるエビデンスは明確ではなく、水分摂取量を変更することによる利点は十分に確立されていない。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のNizar Hakam氏らが実施したシステマティックレビューの結果、エビデンスの質と量は限定的であるものの、少数の研究で1日の水分摂取量の増加が体重減少や腎結石予防に有益であることが示され、また、単一の研究では片頭痛予防、尿路感染症、糖尿病管理、低血圧に対する有益性が示唆された。JAMA Network Open誌2024年11月25日号掲載の報告。

便失禁を起こしやすい患者とは?便失禁診療ガイドライン改訂

 日本大腸肛門病学会が編集を手掛けた『便失禁診療ガイドライン2024年版改訂第2版』が2024年10月31日に発刊された。2017年に発刊された初版から7年ぶりの改訂となる。今回、便失禁の定義や病態、診断・評価法、初期治療から専門的治療に至るまでの基本的知識がアップデートされ、新たに失禁関連皮膚炎や出産後患者に関する記載が拡充された。また、治療法選択や専門施設との連携のタイミングなど、判断に迷うテーマについてはClinical Question(CQ)で推奨を示し、すべての医療職にとっての指針となるように作成されている。

飽和脂肪酸摂取量がアルツハイマー病リスクと関連

 食事中の脂肪摂取とアルツハイマー病との関連は、観察研究において議論の余地のある関係が示されており、その因果関係も不明である。中国・北京大学のYunqing Zhu氏らは、総脂肪、飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸の摂取がアルツハイマー病リスクに及ぼす影響を評価し、その因果関係を調査した。The British Journal of Psychiatry誌オンライン版2024年10月11日号の報告。  UKバイオバンクとFinnGenコンソーシアムから得られたゲノムワイド関連研究(GWAS)の要約統計を用いて、2サンプルメンデルランダム化分析を実施した。UKバイオバンクの各種脂肪摂取の研究には、5万1,413例が含まれた。FinnGenコンソーシアムの遅発性アルツハイマー病(4,282例、対照群:30万7,112例)、すべてのアルツハイマー病(6,281例、対照群:30万9,154例)のデータを分析に含めた。さらに、炭水化物とタンパク質の摂取量とは無関係の影響を推定するため、多変量メンデルランダム化(MVMR)分析を行った。