内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:212

エバシェルドの追加など、コロナ薬物治療の考え方14版/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏)は、8月30日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬について指針として「COVID-19に対する薬物治療の考え方第14版」をまとめ、同会のホームページで公開した。  今回の改訂では、チキサゲビマブ/シルガビマブ(商品名:エバシェルド)の追加のほか、治療薬の削除など整理も行われたほか、最新の知見への内容更新が行われた。

HEPAフィルター空気清浄機により新型コロナウイルス除去に成功/東大

 東京大学医科学研究所と国立国際医療研究センターは、8月23日付のプレスリリースで、河岡 義裕氏らの研究により、HEPAフィルターを搭載した空気清浄機を用いることで、エアロゾル中に存在する感染性の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を経時的に除去できることが実証されたことを発表した。なお本結果は、mSphere誌オンライン版8月10日号に掲載された。  本研究は、東京大学と進和テックの共同で行われた。本研究に用いられたHEPA(high-efficiency particulate air)フィルターは、米国環境科学技術研究所の規格(IEST-RP-CC001)で、0.3μmの試験粒子を99.97%以上捕集可能なフィルターとして定義されている。HEPAフィルターのろ過効果を検証するため、コンプレッサーネブライザーでSARS-CoV-2エアロゾルを試験チャンバー内に噴霧して満たした後、HEPAフィルター搭載の空気清浄機を毎時12回換気の風量で5分間、10分間、35.5分間稼働させた。所定の稼働時間後、チャンバー内のSARS-CoV-2エアロゾルをエアサンプラーで採取し、プラークアッセイを用いて、サンプル中の感染性ウイルス力価を測定した。さらに、1価の銅化合物を主成分とし、活性酸素を発生させてフィルター面に付着したウイルスを不活性化することができる抗ウイルス剤のCufitec(R)を塗布したHEPAフィルターを用いた場合でも、同様の条件で感染性ウイルス力価を測定した。

人工関節置換術後のVTE予防、アスピリンvs.エノキサパリン/JAMA

 股関節または膝関節の変形性関節症で人工関節置換術を受けた患者における静脈血栓塞栓症(VTE)の予防では、アスピリンはエノキサパリンと比較して、90日以内の症候性VTEの発現率が統計学的に有意に高く、死亡や大出血、再入院、再手術の頻度には差がないことが、オーストラリア・インガム応用医学研究所のVerinder S. Sidhu氏らが実施した「CRISTAL試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2022年8月23日号に掲載された。  CRISTAL試験は、人工股関節置換術(THA)および人工膝関節置換術(TKA)に伴うVTEの予防における、アスピリンのエノキサパリン(低分子量ヘパリン)に対する非劣性の検証を目的とするレジストリ内クラスター無作為化クロスオーバー試験であり、2019年4月~2020年12月の期間に、オーストラリアの31の病院で参加者の登録が行われた(オーストラリア連邦政府の助成を受けた)。

インフルエンザと新型コロナ:動脈血栓の視点ではどっちが怖い?(解説:後藤信哉氏)

新型コロナウイルス感染症の特徴として、深部静脈血栓症・肺塞栓症などの静脈血栓症リスクの増加が注目された。静脈血栓症リスクは、新型コロナウイルス以外の感染症でもICU入院例では高かった。インフルエンザなど他のウイルス感染と比較して、新型コロナウイルスにはACE-2受容体を介して血管内皮細胞に感染するとの特徴があった。血管内皮細胞は血管内の血栓予防にて死活的に重要な役割を演じている。新型コロナウイルス感染により血管内皮細胞の機能が障害されれば、微小循環の過程にて血小板、白血球が活性化し全身循環する血液の血栓性は亢進する。静脈血栓症以外に、心筋梗塞・脳梗塞などの動脈血栓リスクも新型コロナウイルス感染後に増加すると想定された。また、新型コロナウイルス感染症例の心筋梗塞、脳梗塞リスクの増加を示唆する論文も多数出版されている。

世界初の高血圧治療補助アプリが保険適用/CureApp

 CureAppの開発した治療アプリ「CureApp HT 高血圧治療補助アプリ」が2022年9月1日に保険適用された。高血圧領域での治療アプリの保険適用は世界初。保険診療において、治療アプリ・血圧測定・医師の指導による「三位一体の6ヵ月指導プログラム」の処方・提供が可能となり、患者ごとに行動変容を促して生活習慣を修正することが期待されている。  本アプリを用いた治療の流れは、まず医師が診察においてアプリ利用の合意を得て処方コードを発行し、患者がアプリをインストール・セットアップすることから始まる。通院と通院の間は行動目標の実践や家庭血圧などの記録をアプリがサポートし、医師はその記録情報をもとに治療の継続や見直しを行う。アプリと血圧計はBluetooth接続され、情報が医師と共有される。  患者の自己負担額は、3割負担の場合で月々2,490円(初回のみ2,910円)で、初診・再診料などの他の診察費用は別途必要となる。

サル痘患者に遭遇する前に…押さえておきたい鑑別方法とワクチン接種の注意点

 国内でも症例がじわじわと増えているサル痘。皮膚病変だけではなく、扁桃炎や口腔病変が報告され、ペットからの感染リスクも出てきているというから、医療者はいつ自分が感染者対応に追われるかわからない。そんな時のためにもサル痘やそのワクチンの知識を蓄えておく必要がありそうだ。8月2日にはKMバイオロジク社の天然痘(痘そう)ワクチンLC16「KMB」にサル痘の効能追加が承認され、順次、感染リスクの高い医療者への接種が見込まれる。しかしこのワクチン、添付文書の用法・用量を見てみると“二叉針を用いた多刺法により皮膚に接種”となかなか特徴的である。

米国成人の脂質値は改善傾向だがアジア人は変化なし/JAMA

 米国成人において、2007~08年から2017~18年の10年間で脂質値は改善しており、この傾向は非ヒスパニック系アジア人を除くすべての人種・民族のサブグループで一貫していたことが、米国・ハーバード大学医学大学院のRahul Aggarwal氏らの解析で明らかとなった。脂質高値は、心血管疾患の修正可能なリスク因子であるが、米国成人における過去10年の脂質値および脂質コントロールの傾向や、性別や人種・民族別の差異はほとんど知られていなかった。JAMA誌2022年8月23・30日号掲載の報告。  研究グループは、米国の国民健康栄養調査(NHANES)の2007~08年から2017~18年のデータを用い、米国成人を代表するよう重み付けされた20歳以上の米国成人3万3,040例を対象に、連続横断分析を行った。

がん負担の世界最大のリスク因子は喫煙/Lancet

 2019年の世界におけるがん負担に寄与した最大のリスク因子は喫煙であり、また、2010年から2019年にかけて最も増大したのは代謝関連のリスク因子(高BMI、空腹時高血糖)であることが、米国・ワシントン大学のChristopher J. L. Murray氏ら世界疾病負荷研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study:GBD)2019 Cancer Risk Factors Collaboratorsの解析で明らかとなった。Lancet誌2022年8月20日号掲載の報告。  研究グループは、GBD 2019の比較リスク評価フレームワークを用い、行動、環境・職業および代謝に関連したリスク因子に起因するがん負担について、2019年のがん死亡および障害調整生存年(DALY)を推定するとともに、これらの2010年から2019年までの変化を検討した。

モデルナとファイザーのBA.4/5対応追加接種用2価ワクチンを承認/FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は8月31日付のプレスリリースで、モデルナとファイザーの新型コロナワクチンの緊急使用許可(EUA)を改訂し、野生株とオミクロン株BA.4/BA.5に対応した2価ワクチンで、既存の1価ワクチンの初回シリーズまたは追加接種から少なくとも2ヵ月後に、追加接種としての使用を承認したことを発表した。このたび緊急使用許可された2価ワクチンは「アップデートブースター(updated boosters)」とも呼ばれる。

サル痘+コロナ+HIVのトリプル感染が初報告、臨床経過は?

 サル痘、COVID-19、HIV感染症に同時に感染した症例がイタリアで報告された。患者の男性は、発熱や咽頭痛などが生じてSARS-CoV-2陽性の診断を受け、皮膚病変が発現・悪化したため入院し、サル痘ウイルスとHIVの陽性が判明した。イタリア・カターニア大学のSanti Nolasco氏らによる、The Journal of infection誌オンライン版2022年8月19日号掲載の報告。  本患者は、イタリア人の男性(35歳)で、スペインに2022年6月16日~20日の5日間滞在していた。その間、避妊具なしで男性と性交渉を行ったという。主な臨床経過は以下のとおり。