産婦人科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

日本人の妊娠関連VTEの臨床的特徴と転帰が明らかに

 妊娠中の女性は静脈血栓塞栓症(VTE)リスクが高く、これは妊産婦死亡の重要な原因の 1 つである。妊婦ではVTEの発症リスク因子として有名なVirchowの3徴(血流うっ滞、血管内皮障害、血液凝固能の亢進)を来たしやすく、妊婦でのVTE発生率は同年齢の非妊娠女性の6〜7倍に相当するとも報告されている。そこで今回、京都大学の馬場 大輔氏らが日本人の妊婦のVTEの実態を調査し、妊娠関連VTEの重要な臨床的特徴と結果を明らかにした。  馬場氏らは、メディカル・データ・ビジョンのデータベースを用いて、2008年4月~2023年9月までにVTEで入院した可能性のある妊婦1万5,470例を特定。さらに、抗凝固療法が実施されていない患者や画像診断検査が施行されていない患者などを除外し、最終的に妊婦でVTEと確定診断され抗凝固療法を含めた介入が行われた410例の臨床転帰(6ヵ月時のVTE再発、6ヵ月時の出血イベント、院内全死因死亡)などを評価した。

尿路感染症への抗菌薬、フロモキセフvs.セフメタゾール/徳島大ほか

 薬剤耐性菌による尿路感染症は世界的に増加しており、とくに基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌は多くの抗菌薬に耐性を示す。ESBL産生菌による感染症には、カルバペネム系抗菌薬が推奨されるが、耐性菌の増加などの懸念から、カルバペネム系抗菌薬以外の治療選択肢が求められている。フロモキセフとセフメタゾールは、ESBL産生菌への有効性が期待される抗菌薬であるが、両剤の比較データは乏しい。そこで、新村 貴博氏(徳島大学大学院医歯薬学研究部)らの研究グループは、厚生労働省院内感染対策サーベイランス(JANIS)のデータと日本全国の診療データベースを用いて、両剤の比較を行った。その結果、フロモキセフはセフメタゾールと同等の有効性を示し、入院期間の短縮や一部の有害事象のリスク低下をもたらす可能性が示された。本研究結果は、BMC Medicine誌2025年7月1日号に掲載された。

骨盤臓器脱へのペッサリー、膣エストロゲンクリームで継続率に差は?/BMJ

 症候性骨盤臓器脱患者において、リングペッサリーのエストロゲンクリーム使用は満足度の高いペッサリー使用継続を改善しなかったが、一般的な有害事象のリスク低下と関連している可能性があることが示された。中国・Chinese Academy of Medical Sciences & Peking Union Medical CollegeのYing Zhou氏らが、同国5地域8省の12施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験の結果を報告した。骨盤臓器脱は閉経後女性によく見られ、生活の質に影響を与える。ペッサリーの使用は、症候性骨盤臓器脱に対する第1選択であるが、使用に伴う不満や合併症により、多くの女性が使用を中止している。膣エストロゲンがペッサリーの使用に及ぼす影響を調査した研究は限られており、症例数が少なく方法論的な問題があるため、エビデンスの質は低かった。結果を踏まえて著者は、「膣エストロゲンの使用に関する臨床的判断は、その有益性とリスク、そして患者の個人的な希望を考慮する必要がある」とまとめている。BMJ誌2025年6月27日号掲載の報告。

HPVの自己採取検査の郵送は検診受診率を高める

 女性にヒトパピローマウイルス(HPV)感染の有無を調べるために、検体を自分で採取する自宅用検査を郵送で提供したところ、電話のみで検診を促す場合と比べて、子宮頸がん検診の受診率が2倍以上に増加したことが新たな研究で示された。論文の筆頭著者である米テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのJane Montealegre氏は、「本研究結果は、自宅用検査が子宮頸がん検診へのアクセスを向上させ、ひいては米国における子宮頸がんの負担を軽減する解決策となる可能性を示している」と述べている。この研究の詳細は、「JAMA Internal Medicine」に6月6日掲載された。

オピオイド使用がん患者へのナルデメジン、便秘予防にも有用~日本のRCTで評価/JCO

 オピオイドは、がん患者の疼痛管理に重要な役割を果たしているが、オピオイド誘発性便秘症を引き起こすことが多い。オピオイド誘発性便秘症に対し、ナルデメジンが有効であることが示されているが、オピオイド誘発性便秘症の予防方法は確立されていない。そこで、濵野 淳氏(筑波大学医学医療系 緩和医療学・総合診療医学 講師)らの研究グループは、ナルデメジンのオピオイド誘発性便秘症の予防効果を検討した。その結果、ナルデメジンはオピオイド誘発性便秘症に対する予防効果を示し、QOLの向上や悪心・嘔吐の予防効果もみられた。本研究結果は、Journal of Clinical Oncology誌2024年12月号に掲載された。

妊娠中のカルシウム摂取量が子供のうつ症状に関連か

 栄養バランスの偏りや特定の栄養素の不足は、うつ症状の発症リスクを高める可能性があるとされている。今回、妊娠中の母親のカルシウム摂取量が、子供のうつ症状の発症リスクと関連しているとする研究結果が報告された。妊娠中の母親のカルシウム摂取量が多いほど、生まれた子の13歳時うつ症状に予防的であることを示したという。愛媛大学大学院医学系研究科疫学・公衆衛生学講座の三宅吉博氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Psychiatric Research」に5月6日掲載された。

がん診断後の運動習慣が生存率と関連

 がんと診断された後の運動習慣が、生存率と関連しているとする研究結果が報告された。年齢やがんのステージなどの影響を考慮しても、運動量が多いほど生存率が高いという。米国がん協会(ACS)のErika Rees-Punia氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the National Cancer Institute」に5月21日掲載された。  運動が健康に良いことは古くから知られている。しかしがん診断後には、がん自体や治療の影響で体力が低下しやすく、運動が困難になることも少なくない。たとえそうであっても習慣的な運動が予後にとって重要なようだ。Rees-Punia氏は、「われわれの研究結果は、がん診断後に活動的に過ごすことが生存の確率を有意に高める可能性を示唆する、重要なエビデンスだ」と述べている。

女性の低体重/低栄養症候群(FUS)は社会で治療する疾患/肥満学会

 日本肥満学会は、日本内分泌学会との合同特別企画として、6月6日(金)に「女性の低体重/低栄養症候群(Female Underweight/Undernutrition Syndrome:FUS)-背景、現況、その対応-」のシンポジウムを開催した。シンポジウムでは、なぜ肥満学会が「女性の痩せ」にフォーカスするのか、その背景やFUSの概念、対応などが講演された。  「なぜ、肥満学会が『痩せ』を問題とするのか」をテーマに同学会理事長の横手 幸太郎氏(千葉大学 学長)が講演を行った。

両側卵管卵巣摘出術で遺伝性乳がん患者の死亡とがんリスクが低下

 BRCA1遺伝子かBRCA2遺伝子のいずれかまたはその両方に病的バリアントを有する乳がんサバイバーでは、卵巣と卵管を摘出することで死亡リスクが劇的に低下する可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。この研究では、両側卵管卵巣摘出術(BSO)を受けた乳がんサバイバーで、死亡リスクが48%低かったことが示されたという。英ケンブリッジ大学がん遺伝疫学センターのHend Hassan氏らによるこの研究結果は、「The Lancet Oncology」に5月7日掲載された。

子宮頸がん治療の新たな選択肢:チソツマブ ベドチンの臨床的意義/ジェンマブ

 進行・再発子宮頸がん2次治療の新たな選択肢として、ファースト・イン・クラスの抗体薬物複合体(ADC)チソツマブ ベドチン(商品名:テブダック)が注目される。  2025年6月、ジェンマブのプレスセミナーにて、国立がん研究センター中央病院 腫瘍内科の米盛 勧氏が進行・再発子宮頸がんのアンメットニーズと治療戦略について講演した。  日本において新規に診断される子宮頸がん患者は年間約1万例、近年でも罹患数は微増している。子宮頸がんは早期では比較的予後良好である。5年生存率はI期で9割超、II期でも7割を超える。その一方、進行期では予後不良でStageIIIの5年生存率は5割強、遠隔転移のあるStgeIVBでは3割を切る。