産婦人科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

子宮頸がんワクチンの接種率は近隣の社会経済状況や地理に関連か

 子宮頸がんはほとんどの場合ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染により発症する。HPVにはワクチンが存在していることから、子宮頸がんは「予防できるがん」とも呼ばれる。この度、HPVワクチンの接種率が近隣地域の社会経済状況、医療機関へのアクセスに関連するという研究結果が報告された。近隣地域の社会経済状況が高く、医療機関へのアクセスが容易なほどHPVワクチンの接種率が高かったという。大阪医科薬科大学総合医学研究センター医療統計室の岡愛実子氏(大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学教室)、同室室長の伊藤ゆり氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に3月13日掲載された。

妊娠合併症は将来の心臓の健康に悪影響を及ぼす

 妊娠中に妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群といった合併症を発症した女性は、後年の心臓の健康リスクが高いことを示す研究結果が報告された。米ノースウェスタン大学のJaclyn Borrowman氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American College of Cardiology(JACC)」に4月22日掲載された。  著者らによると、妊娠合併症と健康リスクとの関連は、妊娠前に過体重や肥満であった女性に、特に強く当てはまるという。そして、「女性にとって妊娠中に合併症を発症するか否かは、将来の健康状態や慢性疾患のリスクを予測するという点で、あたかも“ストレス負荷テスト”のようなものだ」と解説。またBorrowman氏は、「われわれの研究結果は、妊娠を考えている女性が体重管理を優先することが、妊娠中および将来の心臓血管の健康につながり得ることを示唆している」と話している。

中等度早産児へのカフェイン投与継続、入院期間を短縮するか/JAMA

 中等度早産児(在胎期間29週0日~33週6日で出生)に対するカフェイン投与の継続は、プラセボ投与と比較して入院期間の短縮には至らなかったことが、米国・アラバマ大学バーミングハム校のWaldemar A. Carlo氏らEunice Kennedy Shriver National Institute of Child Health and Human Development Neonatal Research Networkによる無作為化試験「MoCHA試験」の結果で示された。中等度早産児に最も多くみられる疾患の1つに未熟児無呼吸発作がある。カフェインなどのメチルキサンチン製剤が非常に有効だが副作用が生じる可能性があり、必要以上に投与を継続すべきではないとされる。2024年に発表されたメタ解析では、早産児へのカフェイン中止戦略の有益性と有害性に関するデータは限定的であることが示され、カフェイン投与の短期的および長期的な影響のさらなる評価が求められていた。JAMA誌オンライン版2025年4月28日号掲載の報告。

単純性淋菌感染症、新規抗菌薬gepotidacinが有効/Lancet

 gepotidacinは、細菌のDNA複製を阻害するファーストインクラスの殺菌作用を持つトリアザアセナフチレン系抗菌薬。英国・Birmingham University Hospitals NHS Foundation TrustのJonathan D. C. Ross氏らは「EAGLE-1試験」において、泌尿生殖器の単純性淋菌(Neisseria gonorrhoeae)感染症の治療では、細菌学的治療成功に関して本薬はセフトリアキソン+アジスロマイシン併用療法に対し非劣性で、新たな安全性の懸念は認めないことを示した。研究の成果は、Lancet誌2025年5月3日号で報告された。

がん診療に携わるすべての人のレベルアップ目指しセミナー開催/TCOG

 東京がん化学療法研究会(TCOG)は、第25回臨床腫瘍夏期セミナーをオンラインで開催する。  同セミナーは、がん診療に携わる医師、薬剤師、看護師、臨床研究関係者、製薬会社、CROなどを対象に、治療の最新情報、臨床研究論文を理解するための医学統計などさまざまな悪性腫瘍の基礎知識から最新情報まで幅広く習得できるよう企画している。 ・日時:2025年7月18日(金)~19日(土) ・開催形式:オンライン(ライブ配信、後日オンデマンド配信を予定) ・定員:500人 ・参加費:15,000円(2日間) ・主催・企画:特定非営利活動法人 東京がん化学療法研究会 ・後援:日本医師会、東京都医師会、東京都病院薬剤師会、日本薬剤師研修センター、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会、日本産科婦人科学会、日本医療薬学会、日本がん看護学会、西日本がん研究機構、North East Japan Study Group ・交付単位(予定):日本薬剤師研修センターによる単位(1日受講:3単位、2日受講:6単位)、日本医療薬学会 認定がん専門薬剤師・がん指導薬剤師認定単位(7/18受講:2単位、7/19受講:2単位)、日本看護協会 認定看護師・専門看護師:「研修プログラムへの参加」(参加証発行)、日本臨床腫瘍薬学会 外来がん治療認定薬剤師講習(研修)認定単位(1日受講:3単位、2日受講:6単位)

オキシトシン受容体拮抗薬atosibanは48時間以内の分娩を予防するが、新生児転帰を改善せず(解説:前田裕斗氏)

切迫早産に対する子宮収縮抑制薬の分娩延長効果、新生児転帰の改善効果をプラセボと比較したランダム化比較試験である。子宮収縮抑制薬にはβ刺激薬やCa拮抗薬など、すでに点滴製剤がさまざまにある中で、今回新たにオキシトシン受容体拮抗薬についての研究が出された背景には、 (1)オキシトシン受容体拮抗薬は副作用が他薬と比べて起こりにくいこと (2)オキシトシン受容体拮抗薬の大規模な研究、とくにRCTが存在しなかったこと の2点がある。

ロボットの遠隔操作による顕微授精で初の赤ちゃんが誕生

 世界で初めてロボットの遠隔操作による顕微授精(ICSI)で赤ちゃんが誕生したことを、グアダラハラ大学(メキシコ)のGerardo Mendizabal-Ruiz氏らが報告した。ICSIは体外受精(IVF)の一種であり、卵子の細胞内に1匹の精子を直接注入して受精させる。この研究の詳細は、「Reproductive Biomedicine Online」に4月9日掲載された。  研究グループによると、この赤ちゃんは男の子で、メキシコのグアダラハラ在住の40歳の女性から生まれた。この女性は、以前IVFを試みたが得られた成熟卵は一つだけであり、胚の形成には至らなかった。その後、完全に自動化されたデジタル制御バージョンのICSIにより妊娠し、出産した。この自動化システムが、精子を選択して注入の準備を行い、卵子に注入するまでのプロセスは、グアダラハラから2,300マイル(約3,700km)離れたニューヨークにいる遠隔オペレーターが監視したという。

AYA世代がん治療後の妊孕性予測モデル構築に向け、クラウドファンディング実施/大阪急性期・総合医療センター

 「小児・AYA世代がん患者等の妊孕性温存に関する診療ガイドライン 2024年12月改訂 第2版」の外部評価委員を務めた森重 健一郎氏(大阪府立病院機構 大阪急性期・総合医療センター生殖医療センター長)が、AYA世代の妊孕性予測ツールを開発する目的でクラウドファンディングを開始しており、5月16日まで寄付を募集している。  現在、国が進める「第4期がん対策推進基本計画」では目標3本柱として、1)がん予防、2)がん医療、3)がんとの共生を掲げており、2)がん医療のがん医療提供体制において妊孕性温存療法の対策の推進が触れられている。

「急性腹症診療ガイドライン2025」、ポイント学習動画など新たな試みも

 2025年3月「急性腹症診療ガイドライン2025 第2版」が刊行された。2015年の初版から10年ぶりの改訂となる。Minds作成マニュアル(以下、マニュアル)に則って作成され、初版の全CQに対して再度のシステマティックレビューを行い、BQ81個、FRQ6個、CQ14個の構成となっている。8学会の合同制作で広範な疾患、検査を網羅する。診療のポイントをシナリオで確認できる動画を作成、システマティックレビューの検索式や結果をWeb上で公開するなど、新たな試みも行われた。改訂出版委員会の主要委員である札幌医科大学・三原 弘氏に、改訂版のポイントや特徴を聞いた。  ガイドライン自体の評価はMindsなどが行っているが、私たちはさらにマニュアルに従ってガイドラインが実臨床や社会に与えた影響を評価しようと考えた。具体的には、初版刊行の前後、2014年と2022年に日本腹部救急医学会と日本プライマリ・ケア連合学会の会員を対象にアンケート調査を行った。ガイドラインの認知度と実臨床の変化を調べ、改訂につなげることが目的だ。

米国出生率、中絶禁止導入州で上昇/JAMA

 米国において中絶禁止法を導入した州の出生率は、導入しなかった場合に予想される出生率より高く、とくに人種的マイノリティ、低学歴(大学卒業ではない)、低所得、未婚、若年、南部の州においてその差が大きかった。同国・ジョンズ・ホプキンズ・ブルームバーグ公衆衛生大学院のSuzanne O. Bell氏らが、出生証明書と国勢調査データを解析し報告した。このような超過出生は、社会サービスが最も脆弱で、母子の健康と福祉に関するアウトカムが最も不良な州で認められ、著者は、「既存の格差がさらに深刻化し、すでに逼迫している資源にさらなる負担をかける可能性がある」と指摘している。JAMA誌2025年4月15日号掲載の報告。