産婦人科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

日本女性、出産意欲の向上に関連する要素は?/神奈川県立保健福祉大学

 少子化が進む日本では、合計特殊出生率が2024年に1.15と過去最低を記録し、社会保障制度や労働力維持への影響が深刻化している。女性の就労率は上昇しているものの、長時間労働や不十分な育児支援のため、キャリアと出産・育児の両立は依然として課題である。こうした中、東京・丸の内エリアの企業に勤務する女性を対象に、キャリア志向と妊娠意欲の関連を明らかにする大規模調査が行われ、その結果がBMC Women’s Health誌2025年9月2日号に掲載された。

日本の乳がんサバイバーにおける子宮体がんリスク

 日本の乳がんサバイバーの子宮体がんリスクは、乳がんではない女性と比べて7.71倍高いことが、筑波大学の河村 千登星氏らによるマッチドコホート研究で示された。また内分泌療法別にみると、タモキシフェン投与患者では5.67倍、内分泌療法なしの患者で3.56倍リスクが高かった。Breast Cancer誌オンライン版2025年8月27日号に掲載。  本研究は、複数の健康保険組合のレセプトおよび健診データによるJMDC Claims Databaseを用いたマッチドコホート研究である。2005年1月~2019年12月に登録された乳がんサバイバー2万3,729人と、年齢とデータベース登録時期で1:4でマッチさせた乳がんではない女性9万5,659人における子宮体がんリスクを、層別化Cox回帰分析を用いて比較した。さらに、マッチングから1年後に追跡を開始し、非層別化Cox回帰分析を用いて内分泌療法(タモキシフェン、アロマターゼ阻害薬、内分泌療法なし)別のリスクを評価した。

最低賃金上昇へは診療報酬の期中改定対応を要望/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、8月20日に定例記者会見を開催した。会見では、「最低賃金の上昇を受けた期中改定の必要性」と、10月に開催される「女性のがん」に関するシンポジウムの概要が説明された。  はじめに会長の松本氏が「賃上げに関する指標が軒並み高水準で上がってきている中で、人員配置の制約もあり、医療職1人当たりの労働生産性を上げて、全体の員数を減らすといったような対応は難しく、人員を確保し続ける必要がある。また、診療報酬は固定価格であり、医療機関は賃上げにはとても対応できるような経営状況にはない。

男性部下の育休に対する上司の怒り、背景に職場の不公平感とストレス

 男性が育児休業(育休)を取りにくい職場の空気はどこから生まれるのか。今回、男性の育休に対する上司の怒りは、業務負担や部下に対する責任感といった職場ストレスが原因となり、不公平感を介して生じている可能性があるとする研究結果が報告された。研究は筑波大学人間系の尾野裕美氏によるもので、詳細は「BMC Psychology」に7月1日掲載された。  日本では男性の育児休業制度は国際的にみても手厚く整備されており、法的には長期間の取得が可能で、一定の所得補償も用意されている。しかし現実には、男性の育休取得率やその取得期間は依然として低く、制度が十分に活用されているとは言いがたい。従来の研究では、育休取得によるワークライフバランスの向上や仕事満足度の向上といった肯定的側面に主に焦点が当てられてきた。一方で、制度活用が職場内で生じさせる不公平感や、上司が感じる感情的な負担といった側面には、これまで十分な検討がなされてこなかった。そこで本研究では、男性部下の長期育休取得に対する上司の否定的感情が、職場におけるストレッサー(不明確な役割や能力を超えた業務など)を通じてどのように形成されるのかを明らかにすることを目的とした。不公平感が怒りの媒介要因となるという仮説モデルに基づき、その相互関係を検証するためのオンライン調査を実施した。

胎児超音波検査での医療者の言葉が親子関係に影響か

 もうすぐ親になるという人たちにとって、初めてわが子の姿を目にする機会は超音波検査であることが多い。こうした超音波検査で病院のスタッフがお腹の中の子どもについて発した言葉が、その後の育児に良い影響を与えたり、逆に悪い影響を与えたりする可能性のあることが、新たな研究で示唆された。米ノートルダム大学心理学分野のKaylin Hill氏らによるこの研究の詳細は、「Communications Psychology」に5月5日掲載された。  Hill氏らはまず、妊娠11~38週の妊婦320人を対象に聞き取り調査を実施し、その時点でお腹の赤ちゃんがどんな子であると感じているかを尋ねた。その後、生後18カ月の時点で、子どもの行動面や情緒面の問題について評価してもらった。173人が生後18カ月の追跡調査を完了した。

妊娠中のST合剤予防投与、出生アウトカムを改善せず/NEJM

 ジンバブエ・Zvitambo Institute for Maternal and Child Health ResearchのBernard Chasekwa氏らが、同国で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照試験「Cotrimoxazole for Mothers to Improve Birthweight in Infants(COMBI)試験」において、妊娠中のトリメトプリム・スルファメトキサゾール(ST合剤)の予防投与は、児の出生時体重を有意に増加させなかったことを報告した。有害な出生アウトカムの根底には、母体感染がある。妊娠中の抗菌薬投与は出生アウトカムを改善する可能性があるが、エビデンスにはばらつきがあり、また、試験の多くは高所得国で行われ、投与は特定の妊娠期間の短期間に限定され、検討されている薬剤も限られている。ST合剤は、サハラ以南のアフリカ諸国、とくにHIV感染者に使用され、薬剤耐性が広がっているものの有効性を維持している。しかし、妊娠中の予防投与が出生アウトカムを改善するかどうかは不明であったことから、研究グループは本検討を行った。NEJM誌2025年6月5日号掲載の報告。

母親の産前、産後うつ病と子供の自閉スペクトラム症との関係〜メタ解析

 母親の産前、産後うつ病や周産期うつ病と子供の自閉スペクトラム症(ASD)との関係については、相反する結果が報告されている。オーストラリア・カーティン大学のBiruk Shalmeno Tusa氏らは、母親の産前、産後うつ病や周産期うつ病と小児および青年期におけるASDリスクとの関連についての既存のエビデンスを検証し、統合するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。BJPsych Open誌2025年6月4日号の報告。  2024年2月21日までに公表された研究を、PubMed、Medline、EMBASE、Scopus、CINAHL、PsycINFOよりシステマティックに検索した。ランダム効果モデルを用いてメタ解析を実施し、サマリー効果推定値はオッズ比(OR)、95%信頼区間(CI)として算出した。異質性の評価には、Cochranの Q検定およびI2検定を用いた。対象研究における潜在的な異質性の要因を特定するため、サブグループ解析を行った。出版バイアスの評価には、ファンネルプロットとEggerの回帰検定を用いた。

糖尿病女性の診察では毎回、妊娠希望の意思確認を

 糖尿病既往のある女性の妊娠に関する、米国内分泌学会と欧州内分泌学会の共同ガイドラインが、「The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」に7月13日掲載された。糖尿病女性患者には、診察の都度、子どもをもうけたいかどうかを尋ねるべきだとしているほか、妊娠前のGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)の使用中止などを推奨している。  ガイドラインの筆頭著者である米ミシガン大学アナーバー校のJennifer Wyckoff氏はガイドライン策定の目的を、「生殖年齢の女性の糖尿病有病率が上昇している一方で、適切な妊娠前ケアを受けている糖尿病女性はごくわずかであるため」とした上で、「本ガイドラインは、計画的な妊娠の方法に加え、糖尿病治療テクノロジーの進歩、出産の時期、治療薬、食事・栄養についても言及したものだ」と特色を強調している。

処方箋避妊法の無料化で、LARCが著増/BMJ

 処方箋に基づく避妊法は、多くの国でその費用がアクセスの障壁となっており、とくに最も効果的な避妊法とされる子宮内避妊器具や皮下避妊インプラントなどの長期作用型可逆的避妊法(long-acting reversible contraception:LARC)は、初期費用が高額なため利用度が顕著に低いとされる。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のLaura Schummers氏らは、同国ブリティッシュコロンビア(BC)州では無料で処方箋避妊法へのアクセスが可能となる公的保健医療サービスの導入により、使用者が好みの方法を選択できるようになったことでLARCの使用が著しく増え、ひいては処方箋避妊法全体の増加につながったと報告した。研究の成果は、BMJ誌2025年7月28日号に掲載された。

米国で肥満関連がんによる死亡が20年で3倍以上に

 米国では過去20年間で、肥満に関連するがんによる死亡が3倍以上に増加したとする研究結果が、米国内分泌学会(ENDO2025、7月12~15日、サンフランシスコ)で発表された。米ハッケンサック・メリディアン・ジャージーショア大学医療センターのFaizan Ahmed氏らが報告した。  Ahmed氏らの研究によって、肥満関連の13種類のがんによる米国での死亡率が、1999年から2020年の間に、100万人当り3.7人から13.5人に増加したことが明らかにされた。主任研究者である同氏は、「肥満は多くのがんの重大な危険因子であり、死亡率の上昇に寄与している」と解説。また、「われわれの研究から、特に農村部や医療サービスが行き届いていない地域で、肥満に関連するがんによる死亡のリスクが高いことも示された」としている。