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境界性パーソナリティ障害の特性と自殺リスクに対する睡眠の役割

 境界性パーソナリティ障害(BPD)は、自殺リスクや睡眠に関する問題(不眠症や悪夢を含む)と高率に関連している。米国・ミシシッピ州立大学のHilary L. DeShong氏らは、不眠症および/または悪夢を介する自殺リスクに対するBPDの特性の潜在的な間接的影響を評価するため、検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2018年10月9日号の報告。 Amazon's Mechanical Turkより参加者を募集し、オンラインで281例の研究を完了した。参加者より、BPD特性、BPD症状、自殺リスク(自殺念慮歴、自殺企図歴)、不眠症、悪夢に関連する苦痛や障害を測定した。 主な結果は以下のとおり。・BPD特性および症状は、自殺リスク、不眠症、悪夢と中等度から高度に関連していた。・parallel mediationモデルでは、不眠症状においては、BPD特性と自殺リスクに間接的影響があると認められたが、悪夢においては認められなかった。 著者らは、本研究の限界として、対象が臨床サンプルでなく一般集団であった点、自己報告尺度のみに依存している点を挙げ、今後の研究においては、観察者報告(observer report)や面接調査法を用いて、臨床サンプルにおけるこれらの関連性を調査することが求められると述べている。また、「BPD特性は、睡眠に関する問題(とくに不眠症)を介して、自殺リスク増加に影響していると考えられる。そのため、BPD患者の睡眠障害を評価し、治療することは、自殺リスク低下に寄与する可能性がある」とまとめている。■関連記事境界性パーソナリティ障害の自殺リスク、ポイントは睡眠の改善か境界性パーソナリティ障害治療の現状境界性パーソナリティ障害治療におけるω3脂肪酸とバルプロ酸併用

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ACE阻害薬と肺がんリスクの関連/BMJ

 ACE阻害薬の使用により、肺がんのリスクが増大し、とくに使用期間が5年を超えるとリスクが高まることが、カナダ・Jewish General HospitalのBlanaid M. Hicks氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2018年10月24日号に掲載された。ACE阻害薬により、ブラジキニンおよびサブスタンスPが肺に蓄積し、肺がんリスクが高まることを示唆するエビデンスがある。この関連を検討した観察研究は限られており、結果は一致していないという。肺がんとの関連をARBと比較するコホート研究 研究グループは、ACE阻害薬の使用が肺がんリスクを高めるかを、ARBと比較する地域住民ベースのコホート研究を行った(Canadian Institutes of Health Researchの助成による)。 United Kingdom Clinical Practice Research Datalinkから、1995年1月1日~2015年12月31日の期間に、新規に降圧薬治療を受けた患者99万2,061例のコホートを同定し、2016年12月31日まで追跡した。 ACE阻害薬の累積使用期間および治療開始からの期間別の肺がんの発生率を、ARBと比較した。Cox比例ハザードモデルを用いて、補正ハザード比(HR)を推算し、95%信頼区間(CI)を算出した。肺がんリスクが14%増加、5年以上の使用で関連が明確に 降圧薬別の患者の割合は、ACE阻害薬使用例が21.0%、ARB使用例が1.6%、その他が77.4%であった。全体の平均年齢は55.6(SD 16.6)歳、男性が46.3%であった。最も多く使用されていたACE阻害薬はramipril(26%)で、次いでリシノプリル(12%)、ペリンドプリル(7%)の順だった。 平均フォローアップ期間は6.4(SD 4.7)年で、この間に7,952例が新たに肺がんと診断された(粗発生率:1.3[95%CI:1.2~1.3]件/1,000人年)。 全体として、ACE阻害薬の使用により、ARBと比較して肺がんリスクが有意に増加した(発生率:1.6件 vs.1.2件/1,000人年、HR:1.14、95%CI:1.01~1.29)。 使用期間が長くなるに従ってHRは徐々に上昇し、5年以降は明確な関連が認められ(HR:1.22、95%CI:1.06~1.40)、10年後にピークに達した(1.31、1.08~1.59)(傾向検定:p<0.001)。 治療開始からの期間についても同様の関連が認められ、期間が長くなるに従ってHRが上昇した(5.1~10年:1.14、95%CI:0.99~1.30、>10年:1.29、1.10~1.51)(傾向検定:p<0.001)。 著者は、「今回、観察された影響はさほど強くないが、小さな作用が結果として多くの患者を生み出す可能性があるため、これらの知見を他の疾患でも確認すべきだろう」と指摘し、「ACE阻害薬が肺がんの発生率に及ぼす影響を、より正確に評価するために、さらに長期のフォローアップを行う必要がある」としている。

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日本人高齢者のうつ病に対する身体活動の影響

 座位行動(sedentary behaviour:SB)を減らし、身体活動(physical activity:PA)を増やすことは、うつ病の減少との関連が示されている。しかし、SBがPAに置き換えられた際の高齢者におけるうつ病の潜在的なベネフィットに関する研究は、あまり行われていなかった。文化学園大学の安永 明智氏らは、日本人高齢者におけるうつ病と、客観的に評価されたSB、軽度PA(LPA)および中等度~高度PA(MVPA)との関連性を評価し、SBをPAに置き換える影響について検討を行った。BMJ Open誌2018年9月25日号の報告。 日本の一般集団より65~85歳の高齢者276例を対象とし、横断的分析を行った。SB(≦1.5 METs)、LPA(>1.5~<3.0METs)、MVPA(≧3.0METs)の1日当たりの平均時間を算出した。老年期うつ病評価尺度15項目日本版(GDS-15)を用いてうつ病の評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・単一活性モデルにおいて、SBの少なさ(β:0.129、95%CI:0.015~0.243)やLPAの多さ(β:-0.138、95%CI:-0.265~-0.011)は、GDS-15スコアと有意かつ負の相関を示した。・isotemporal substitutionモデルでは、1日30分だけSBからLPAに置き換えることにより、GDS-15スコアの有意かつ負の相関が認められた(β:-0.131、95%CI:-0.260~-0.002)。 著者らは「SBを少しでもLPAに置き換えることは、高齢者のうつ病改善に影響を及ぼすことが示唆された。1日当たり30分間のSBからLPAへの置き換えで、潜在的な好影響が観察される」としている。■関連記事少し歩くだけでもうつ病は予防できる高齢者うつ病患者への運動療法は有効うつ病や身体活動と精液の質との関連

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免疫チェックポイント阻害薬の再投与は有効か?【忙しい医師のための肺がんササッと解説】第1回

第1回 免疫チェックポイント阻害薬の再投与は有効か?免疫チェックポイント阻害剤(ICI)が標準治療の一部となり、今後プラチナ併用療法との3~4剤併用がPD-L1発現レベルにかかわらず検討されるようになる。一方で、根治に導かれる対象はまだまだ少なく、増悪後の治療戦略は今後の検討課題である。前治療で有効性の高い薬剤の再投与はre-challengeと称され、小細胞肺がんにおけるプラチナ併用療法のre-challenge(Inoue A, Lung Cancer 2015)や遺伝子変異陽性例に対するチロシンキナーゼ阻害剤の再投与(Asahina H, Oncology 2010)が第II相試験レベルで行われてきた。ICIについて、先行する悪性黒色腫では単群第II相試験が複数報告され、初回治療と遜色のない効果のみならず安全性も忍容可能であることが報告されているものの、肺がんを含んだ報告はこれまでcase report(Hakozaki T, BMC Cancer 2018)が散見される程度であった。しかしながら2018年に入って徐々に新規の報告が増えてきており、今回その中から2報を取り上げる。1)Fujita K, et al. Retreatment with pembrolizumab in advanced non-small cell lung cancer patients previously treated with nivolumab: emerging reports of 12 cases.Cancer Chemotherapy and Pharmacology.2018;81:1105-1109.2)Bernard-Tessier A, et al. Outcomes of long-term responders to anti-programmed death 1 and anti-programmed death ligand 1 when being rechallenged with the same anti-programmed death 1 and anti-programmed death ligand 1 at progression.Eur J Cancer.2018;101:160-1641)について本邦から、12例の後方視的ケースシリーズニボルマブ(Nivo)既治療例に対するペムブロリズマブ(Pembro)の効果:ORR 8.3%と、やや期待外れではあるものの、約4割で病勢制御が得られている。2例が12ヵ月以上の長期奏効を呈しており、1例は前治療NivoでもPRが得られている一方、2例目は前治療Nivoの最良効果はPDであった。2)についてフランスから、ICI(PD-1/L1阻害剤)の第I相試験に参加した13例に同じICIを再投与したもの(プロトコール規定による前向き研究)。ORRは25%、PFS中央値は12ヵ月。1)、2)いずれも少数例の研究であり、これらをすぐさま実臨床に援用はできない。悪性黒色腫の報告も含めて、現時点では「再投与の安全性は問題なさそう」というのが最も明らかなことと思われる。今後、標準的な細胞障害性化学療法との比較試験が必要になってくると思われるが、下記のようないくつかの議論が必要である。どのような対象で再投与が有効なのか。有効例を対象にした2)の方が再投与の有効性は高いようにもみえるが、1)では初回不応例に再投与が有効性を示している。同じICIがよいのか、もしくはPD-1→PD-L1阻害剤のように変更したほうがよいのか。免疫関連有害事象(以下、irAE)を生じていても再投与は可能なのか。この点については、1)、2)とも詳細が不明である。ICIの再投与については国内外で臨床試験が進行中である(たとえばWJOG9616L:試験事務局 寺岡 俊輔@和歌山県立医科大学)。今後の情報集積が期待される。

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心房細動発症後のがん発症率高い、肺がんは8倍にも

 デンマークの約5万5千人のコホート研究で、心房細動(AF)発症がその後の高いがん発症率に関連し、とくにAF診断後90日以内のがん発症率が高かったことを、デンマーク・Silkeborg Regional HospitalのNicklas Vinter氏らが報告した。Journal of the American Heart Association誌2018年9月4日号に掲載。 本研究は、Danish Diet, Cancer and Health studyにおいてベースライン時にAFおよびがんに罹患していなかった、男性2万6,222人および女性2万8,879人における集団ベースのコホート研究。参加者のAFの発症(Danish National Patient Registry)およびその後のがんの発症(Danish Cancer Registry)を2013年まで追跡した。新規発症したAFを時間依存性曝露としてCox比例ハザードモデルを使用した。 主な結果は以下のとおり。・男性(年齢中央値:56歳)と女性(同:56歳)の追跡期間中央値は、それぞれ16.7年、19.6年であった。・AFはがん全体の高いリスクと関連していた(男性のハザード比[HR]:1.41、95%信頼区間[CI]:1.26~1.58、女性のHR:1.15、95%CI:1.02~1.32)。また男性において、肺がん(HR:1.66、95%CI:1.19~2.30)、大腸がん(HR:1.37、95%CI:1.02~1.85)の高いリスクと関連していた。・AF診断後90日以内のがんリスクはより高かった。HR(95%CI)は以下のとおり。がん全体 男性:2.89(2.10~3.98)  女性:3.72(2.49~5.56)肺がん  男性:7.70(4.34~13.68) 女性:7.98(3.96~16.09)大腸がん 男性:3.35(1.03~10.90) 女性:5.91(2.44~14.29)

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重症外傷性脳損傷への早期の低体温療法、有益性なし/JAMA

 重症外傷性脳損傷(traumatic brain injury:TBI)患者において、早期の予防的低体温療法は正常体温管理と比較し、6ヵ月時の神経学的予後を改善しなかった。オーストラリア・モナシュ大学のD. James Cooper氏らによる多施設共同無作為化試験「The Prophylactic Hypothermia Trial to Lessen Traumatic Brain Injury-Randomized Clinical Trial:POLAR-RCT」の結果で、著者は、「重度のTBI患者に対する早期の予防的低体温療法は支持されない」とまとめている。これまで、重度TBI後の低体温療法導入は、脳神経を保護し、長期的な神経学的転帰を改善することが示唆されていたが、唯一の大規模無作為化試験では導入の遅れや低体温療法期間の制限など方法論的な限界があり、有益性は確認されていなかった。JAMA誌オンライン版2018年10月24日号掲載の報告。低体温療法vs.正常体温管理、6ヵ月後の神経学的予後を評価 研究グループは、2010年12月5日~2017年11月10日の期間で、6ヵ国にて院外および救急診療部の重症TBI患者計511例を登録し、低体温療法群(266例)および正常体温群(245例)に無作為に割り付けた(追跡期間最終日2018年5月15日)。 低体温療法群では、頭蓋内圧が上昇する場合、早期に低体温(33~35℃)を導入し少なくとも72時間、最大で7日間維持し、その後徐々に復温した。正常体温群では、必要時にラップ法による水冷式体表冷却を使用し37℃を目標とした。体温管理は両群ともに7日間実施され、他のすべての治療は担当医師の自由裁量とした。 主要評価項目は、評価者盲検による外傷後6ヵ月時の良好な神経学的予後または生活自立(拡張グラスゴー転帰尺度[GOS-Eスコア、範囲1~8点]で5~8点)とした。低体温療法で6ヵ月後の神経学的予後良好の患者は増加せず 511例中500例(平均[±SD]年齢34.5±13.4歳、男性402例[80.2%])で同意が得られ、466例が主要評価項目の評価を完遂した。 低体温療法は外傷後すぐに導入され(中央値1.8時間、IQR:1.0~2.7)、復温は徐々に実施された(中央値22.5時間、IQR:16~27)。6ヵ月時の神経学的予後良好であった患者は、低体温療法群117例(48.8%)、正常体温群111例(49.1%)で確認された(リスク差:0.4%[95%信頼区間[CI]:-9.4~8.7]、相対リスク:0.99[95%CI:0.82~1.19]、p=0.94)。 有害事象の発現率は、低体温療法群と正常体温群でそれぞれ、肺炎55.0% vs.51.3%、頭蓋内出血の新規発症または増加18.1% vs.15.4%であった。 著者は、研究の限界として、低体温療法群の患者の相当数が目標とした33℃に達しなかったこと、医師および患者の家族は盲検化されていなかったことなどを挙げている。

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ニボルマブ・イピリムマブ併用、MSI-H/dMMR大腸がん1LでORR60%(CheckMate-142)/ESMO2018

 MSI-H/dMMの転移を有する大腸がん(mCRC)患者の1次治療として、抗PD-1抗体ニボルマブと抗CTLA-4抗体イピリムマブの併用療法が持続的な治療効果を示したことが明らかになった。ドイツ・ミュンヘンで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)で、米国・USC Norris Comprehensive Cancer CenterのHeinz-Josef Lenz氏により第II相CheckMate-142試験の新たな解析結果が発表された。 なお、米国では同試験別コホートからのデータに基づき、化学療法歴のある上記患者対象にニボルマブ単剤療法が2017年8月、ニボルマブとイピリムマブの併用療法が2018年7月に、米国食品医薬品局(FDA)からそれぞれ承認されている。 今回結果が発表されたコホートでは、治療歴のないMSI-H/dMMのmCRC患者において、病勢進行、死亡、または忍容できない毒性が認められるまで、ニボルマブ(3mg/kgを2週間間隔)とイピリムマブ(1mg/kgを6週間間隔)が投与された。主要評価項目は治験担当医評価による奏効率(ORR)で、副次評価項目は盲検独立中央委員会(BICR)評価によるORR、病勢コントロール率(DCR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性などであった。 主な結果は以下のとおり。・45例の患者が組み入れられ、51%が男性、年齢中央値は66歳であった。ECOG PSは0(56%)/1(44%)、診断時の臨床病期はI~III期(62%)/IV期(38%)、リンチ症候群の患者が18%含まれ、PD-L1発現率は≧1%(27%)/<1%(58%)/不明(16%)。変異の有無についてはBRAF/KRAS野生型が29%、BRAF変異型が38%、KRAS変異型が22%、その他は不明であった。・追跡期間中央値13.8ヵ月(9~19ヵ月)で、治験担当医評価によるORRは60%、DCRは84%であり、3例(7%)で完全奏功(CR)、24例(53%)で部分奏功(PR)が確認された。PD-L1発現状態やBRAF/KRAS変異、リンチ症候群の有無によらず、奏功が得られていた。・データカットオフ時点で、DOR中央値は未達であった。奏効が得られた患者の82%で効果が持続中であり、74%で6ヵ月以上奏功が持続していた。 ・PFS中央値、OS中央値はともに未達であり、12ヵ月PFS率は77%(95%信頼区間[CI]: 62.0~87.2)、12ヵ月OS率は83%(95%CI:67.6~91.7)であった。・全Gradeの治療関連有害事象(TRAE)は78%の患者で発現し、多くみられた項目は、そう痒症(24%)、甲状腺機能低下症(18%)、無力症(16%)、関節痛(13%)であった。Grade3/4のTRAEは16%の患者で発現したが、治療中止に至ったのは7%と低く、忍容可能と考えられた。■参考CheckMate142試験(Clinical Trials.gov)■関連記事ニボルマブ・イピリムマブ併用、MSI-H/dMMR大腸がんに迅速承認/BMSニボルマブ・イピリムマブ併用、MSI-H大腸がんで有効性/ASCO-GI2018ニボルマブ、MSI-H転移性大腸がんに承認/FDA※医師限定肺がん最新情報ピックアップDoctors’Picksはこちら

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初期および慢性期の統合失調症を識別するマーカー

 初期および慢性期の統合失調症を識別する精神病理、認知機能、機能面、身体的健康、炎症マーカーを特定するため、スペイン・オビエド大学のL. Garcia-Alvarez氏らが検討を行った。The World Journal of Biological Psychiatry誌オンライン版2018年10月8日号の報告。 本研究は、統合失調症患者104例を対象とした横断的・自然主義的研究。対象患者は、罹病期間7年以下の初期統合失調症(ESSCH)群35例と罹病期間が10年超の慢性期統合失調症(LSSCH)群69例に分けられた。統計分析では、年齢、性別、BMI、1日当たりの喫煙本数でコントロールし、カイ二乗検定、スチューデントのt検定、ANCOVAまたはクェード検定を行った。最後に、二項ロジスティック回帰を実施した。 主な結果は以下のとおり。・ESSCH群は、より重症な陰性症状(t=2.465、p=0.015)、低IκBαレベル(F=7.644、p=0.007)が認められ、LSSCH群と比較し、正常体重の割合が高かった(40% vs.18.8%、p=0.032)。・二項ロジスティック回帰では、両群間の年齢(B=0.127、p=0.001)、IκBα(B=0.025、p=0.002)において差が認められ、分散の38.9%を占めていた(model df:7、カイ二乗:41.841、p<0.0001)。 著者らは「年齢およびIκBαは、ESSCHとLSSCHを識別する特異なマーカーである。これらの結果は、エピソードの有害性の仮説を支持しており、新規エピソード予防の重要性を強調するものだ」としている。■関連記事統合失調症患者の性格で予後を予測統合失調症の発症は予測できるか、ポイントは下垂体:富山大学統合失調症の新たなバイオマーカー:順天堂大学

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非心臓手術後の心房細動患者の血栓塞栓症リスクは?【Dr.河田pick up】

 循環器内科医は非心臓手術後に生じた心房細動に関するコンサルトを受けることが多い。心房細動は術後のストレスで生じただけなのか、また、術後ということもあり、抗凝固薬を継続すべきなのかの判断が難しいことが多い。今回は、非心臓手術後に発症した心房細動患者における血栓塞栓症リスクについてデンマークのグループが評価した論文を紹介したい。 非心臓手術後に発症した心房細動に対する長期の血栓塞栓症リスクはよくわかっておらず、脳梗塞の予防に関しての十分なデータがない。コペンハーゲン大学病院のJawad H. Butt氏らは、非心臓手術後に新たに発症・診断された心房細動患者における血栓塞栓症リスクを、非外科手術、非弁膜性心房細動患者と比較した。Journal of American College of Cardiology誌オンライン版2018年10月23日号に掲載の報告。 著者らはデンマークのナショナルレジストリを用いて、1996~2015年の間に非心臓手術後に心房細動を発症したすべての患者を同定した。これらの患者を、年齢、性別、心不全/高血圧/糖尿病/血栓塞栓症、虚血性心疾患の既往、診断年をマッチさせた、外科手術と関連しない非弁膜症性心房細動患者と1対4の割合で比較した。長期の血栓塞栓症リスクについては、多変量Cox回帰モデルを用いて解析された。 非心臓手術を受けた患者のうち、6,048例(0.4%)が術後の入院中に心房細動を発症した。頻度が多かったのは胸部・肺、血管、腹部手術であった。合計3,830例の術後心房細動患者を15,320例の非弁膜症性心房細動患者とマッチさせた。経口抗凝固薬は、退院後30日の時点で24.3%と41.3%の患者でそれぞれ投与されていた(p<0.001)。血栓塞栓症の長期リスクは両群で同様であった(千人年当たり、31.7イベントと29.9イベント、ハザード比[HR]:0.95、95%信頼区間[CI]:0.85~1.07)。フォローアップ期間中の抗凝固療法は、術後心房細動群(HR:0.52、95%CI:0.40~0.67)と非弁膜症性心房細動群(HR:0.56、95%CI:0.51~0.62)のいずれにおいても血栓塞栓症イベントリスクを同様に低下させていた。 著者らは非心臓手術後新規に診断された心房細動は、非弁膜症性心房細動と同様に血栓塞栓症の長期リスクがあると結論づけている。 術後の心房細動は一過性であり、予後は良いと考えられがちだが、今回の結果から、術後の心房細動に対しても非弁膜症性心房細動と同じようにリスクに応じた抗凝固療法を行う必要があると考えられる。術後のストレスに伴う心房細動か一過性か、そうでないのかを判断するのは非常に難しい問題だといえる。(Oregon Heart and Vascular Institute 河田 宏)関連コンテンツ循環器内科 米国臨床留学記

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進行乳がんへのパルボシクリブ+フルベストラント、OSの結果/NEJM

 ホルモン受容体陽性、HER2陰性の進行乳がんで、内分泌療法に感受性の認められた患者に対し、CDK4/6阻害薬パルボシクリブ+フルベストラント投与は、フルベストラント投与のみに比べ、全生存期間(OS)を延長することが示された。ただし、群間の有意差は示されなかった。英国・Institute of Cancer ResearchのNicholas C. Turner氏らが、521例を対象に行った第III相無作為化比較試験の結果で、NEJM誌オンライン版2018年10月20日号で発表された。今回の報告は、同試験の事前規定の副次評価項目OSについての解析結果で、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)は延長したことがすでに報告されている(palbociclib、内分泌療法後に進行した乳がんのPFS延長/NEJM)。内分泌療法への感受性や閉経前・後などの層別因子によるパルボシクリブの効果を検証 試験は、ホルモン受容体陽性、HER2陰性の進行乳がん患者で、既治療の内分泌療法中に再発または進行が認められた患者521例を対象に行われた。 被験者を無作為に2対1の2群に分け、一方にはパルボシクリブ+フルベストラントを、もう一方にはプラセボ+フルベストラントをそれぞれ投与した。 OSについて解析し、事前に規定した層別因子である内分泌療法への感受性の有無、転移を有する内臓疾患の有無、閉経前・後に対するパルボシクリブの有効性、進行後の後続治療の有効性、および安全性について検証した。パルボシクリブ群の内分泌療法に感受性ある患者のOS中央値は39.7ヵ月 OS中央値は、パルボシクリブ群34.9ヵ月(95%信頼区間[CI]:28.8~40.0)、プラセボ群28.0ヵ月(同:23.6~34.6)だった(ハザード比[HR]:0.81、95%CI:0.64~1.03、p=0.09、絶対差:6.9ヵ月)。 試験レジメン終了後のCDK4/6阻害薬治療は、プラセボ群の患者16%に対して行われた。 既治療の内分泌療法に感受性の認められた410例において、OS中央値はパルボシクリブ群39.7ヵ月(95%CI:34.8~45.7)、プラセボ群29.7ヵ月(同:23.8~37.9)だった(HR:0.72、95%CI:0.55~0.94、絶対差:10.0ヵ月)。 後続治療の期間中央値は、両群で同等だった。化学療法を受けるまでの期間中央値は、パルボシクリブ群17.6ヵ月、プラセボ群8.8ヵ月だった(HR:0.58、同:0.47~0.73、p<0.001)。 パルボシクリブの新たな安全性に関する兆候は、追跡期間44.8ヵ月において観察されなかった。

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ICU患者のせん妄に、抗精神病薬は効果なし/NEJM

 急性呼吸不全またはショックでICUに入室する、低活動型あるいは過活動型せん妄が認められる患者に対し、ハロペリドールまたはziprasidoneを投与しても、せん妄の発症期間を短縮する効果はないことが示された。米国・ピッツバーグ大学のTimothy D. Girard氏らが、約570例を対象に行った、無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果で、これまで、せん妄が認められるICU入室患者に対する抗精神病薬の効果について、一貫したデータは存在していなかった。NEJM誌オンライン版2018年10月22日号掲載の報告。ハロペリドールvs.ziprasidone vs.プラセボ、投与量は12時間ごとに調整 研究グループは、急性呼吸不全またはショックでICUに入室した1,183例のうち、低活動型あるいは過活動型せん妄が認められた患者566例を対象に試験を行った。 患者を無作為に3群に分け、ハロペリドール(192例、最大投与量:20mg/日)、ziprasidone(190例、同:40mg/日)またはプラセボ(184例)を、それぞれ急速静脈内投与した。試験薬とプラセボの投与量については、ICUにおけるせん妄評価法(CAM-ICU)によるせん妄の程度や、投与による副作用を基に、12時間ごとに半減、または倍量に調整した。 主要評価項目は、14日間の介入期間中のせん妄または昏睡のない生存日数だった。副次評価項目は、30日および90日生存率、人工呼吸器離脱までの期間、ICU退室までの期間、病院退院までの期間などだった。介入期間中のせん妄・昏睡のない生存日数は3群で同等 被験者566例のうち、低活動型せん妄は89%、過活動型せん妄は11%だった。試験薬・プラセボの投与日数中央値は4日(四分位範囲:3~7)だった。 14日間の介入期間中のせん妄または昏睡のない生存日数は、ハロペリドール群7.9日(95%信頼区間[CI]:4.4~9.6)、ziprasidone群8.7日(同:5.9~10.0)で、プラセボ群8.5日(同:5.6~9.9)と、3群間で有意差はなかった(試験群間全体の効果に関するp=0.26)。 ハロペリドールまたはziprasidoneとプラセボを比較した場合も、主要評価項目の発生について有意差はなかった。それぞれのオッズ比は0.88(95%CI:0.64~1.21)、1.04(同:0.73~1.48)だった。 副次評価項目および錐体外路症状の発現頻度についても、群間で有意差は認められなかった。

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第12回 内科からのホスホマイシンの処方【適正使用に貢献したい  抗菌薬の処方解析】

Q1 予想される原因菌は?Salmonella enterica(サルモネラ)・・・10名Campylobacter(カンピロバクター)・・・9名Escherichia coli(大腸菌)・・・8名ノロウイルス、サポウイルス、ロタウイルスなどのウイルス・・・4名大腸菌へのホスホマイシン投与 奥村雪男さん(薬局)ひどい下痢・腹痛、食事内容から、細菌性腸炎の可能性があります。起因菌は疫学的にはカンピロバクター、サルモネラ、下痢原性大腸菌の場合が多いですが、ユッケは通常生の牛肉を使用していること、ホスホマイシンが選択されていることから、大腸菌が最も疑われている、もしくは警戒しているかも知れません。「JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015─腸管感染症─」では、成人の細菌性腸炎のエンピリックセラピーとして、第一選択にはレボフロキサシン、シプロフロキサシンといったキノロン系抗菌薬、アレルギーがある場合の第二選択としてアジスロマイシンやセフトリアキソンが挙げられています。O157 などの腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic Escherichia coli ; EHEC)の場合、溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome ;HUS)※発症が問題となりますが、「発症から2日以内のホスホマイシンの使用はHUSの発症リスク低下と関連していた(補正後オッズ比0.15, 95%CI 0.03~0.78)」という報告1)があり、処方の際、それを意識されたのかも知れません。※ベロ(志賀)毒素を産生するO157などのEHEC感染をきっかけに、下痢症状を伴った溶血性貧血、血小板減少、急性腎不全を主な症状とする可能性は低いがノロウイルスかも JITHURYOUさん(病院)O111、O157などのEHEC、カンピロバクター、サルモネラ、貝類等を食している可能性を否定できないので、可能性は低いですがノロウイルス、ロタウイルスも考えられます。大腸菌がもっとも疑わしい 荒川隆之さん(病院)生肉による食中毒と思われるので、大腸菌やカンピロバクター、サルモネラなどが原因菌として考えられます。ただ、サルモネラの場合はニューキノロン系抗菌薬、カンピロバクターの場合はマクロライド系抗菌薬が第一選択となります。今回の症例はホスホマイシンを使用していることから、大腸菌が最も疑わしいかと思います。Q2 患者さんに確認することは?副作用歴、併用薬、採便をしたか 中堅薬剤師さん(薬局)抗菌薬関連の副作用歴、併用薬と、採便をしたかどうかを確認します。基礎疾患の有無 奥村雪男さん(薬局)薬(特にキノロン系抗菌薬)のアレルギーがあるか確認します。重症化のリスク因子となる免疫不全などの基礎疾患の有無も確認します。経過をもう一度確認 キャンプ人さん(病院)単なる胃腸炎の可能性もあるかもしれないので症状発現までの時間を確認します。便の培養結果はどうだったか。ノロウイルスの迅速結果はどうだったか(自費なので行わない施設もあるかもしれません)。便の色 柏木紀久さん(薬局)併用薬、便の色や状態(血が混じっているかどうか)、尿は出ているか、また尿の色などの状態はどうか、嘔吐や発熱はあるか、水分は摂取できているか。食事は摂れるか 中西剛明さん(薬局)食事の摂取が可能かどうか聞きます。用法に関連するからです。家族の情報も聞き出す わらび餅さん(病院)妻と子供の症状を尋ねます。患者と同じか、いつからか、血便や腹痛の場所、発熱の有無など患者や家族の症状詳細を聞き、家族としての原因菌や重症度の評価をします。また、妻や子供は現在、何の点滴をしているか、家族に処方箋は出たのかも確認したいです。脱水状態 JITHURYOUさん(病院)利尿薬やSGLT2阻害薬の併用確認をすることは重要だと思います。感染性胃腸炎では脱水により急性腎障害リスクが高くなり、これらの薬剤はもともとの薬理作用からそのリスクを助長する可能性があります。もしこれらの薬剤を使用していたら、一時休薬する必要性があると思います。他にも休薬すべき糖尿病治療薬はありますが、とりわけ脱水という視点で言うとこれらの薬剤になります。本症例では、現在意識清明で、脱水としても重症感はないのですが、ツルゴール反応※や尿量など確認したいと思います。※ ツルゴールとは皮膚の緊張のことで、前腕あるいは胸骨上の皮膚をつまみ上げて放し、2秒以内に皮膚が元の状態に戻れば正常と判断し、2秒以上かかるようであれば脱水症の可能性がある。Q3 疑義照会する?する・・・6人ホスホマイシンの使用量 荒川隆之さん(病院)ホスホマイシンの使用量が少ないので疑義照会します。ただEHECの場合、抗菌薬使用により菌の毒素放出が亢進されHUS発症の危険性が増すとの報告もあるので、使用量を加減しているのかもしれません。海外においては、EHECの場合に抗菌薬の使用を推奨しないことが多いのですが、国内ではホスホマイシンが有効であったとの報告1)もあり、議論の残るところです。腎障害を考慮しての減量の場合もあるかもしれませんが、もともと経口では血中濃度が上がりにくい抗菌薬ですので、ある程度ならば通常用量でよいと考えています。医師の処方意図、真意を探ることも意識して疑義照会を行います。用法の提案も 中西剛明さん(薬局)抗菌薬が必要か確認します。うっかり投与すると菌の破壊で毒素放出量が増加し、HUSを発症するかもしれないからです。個人的には、ホスホマイシンは使用しない方が安心できます。ホスホマイシンを投与するなら、食事を取れない可能性を考慮して、用法は食後ではなく、8時間ごとを提案します。抗菌薬は必要? JITHURYOUさんホスホマイシン投与量1.5g/日と投与期間について疑義照会します。仮にEHECとしても、抗菌薬治療に対しては要・不要双方の見解があります。本症例は、救急外来で点滴後に朝一番の来局ということもあり、重症感があまり感じられないこと、ホスホマイシン投与量が絶対的に少ないことなどを勘案すると、抗菌薬自体不要ではないのでしょうか。仮に必要だとして、このままホスホマイシンを続けるのか、JAID/JSC 感染症治療ガイドライン2015では1日2gとなっていること、第一選択薬であるニューキノロン系抗菌薬にしないのかを確認したいです。抗菌作用以外の効果(HUS予防や炎症性サイトカイン抑制)を狙っているのかも併せて確認したいです。しない・・・4人EHECの可能性の場合もあるので現状で様子見 清水直明さん(病院)疑義照会はしません。入院はしていないようなので、症状は軽症~中等症だと想定すると、カンピロバクター属菌、サルモネラ属菌やノロウイルス・サポウイルスなどのウイルス性の場合、抗菌薬投与は不要であると思います。しかしながら、万が一、O157を代表とするEHECの可能性がある場合には、HUSや脳炎などを併発して重篤化することが多いので、ホスホマイシンの投与で様子を見てもいいと思います。ただし、EHECに対する抗菌薬投与の是非については、専門家の間でも意見が分かれているようです。投与量はやや少なめですが、腸管内での作用を期待しており、ホスホマイシンのバイオアベイラビリティは比較的低く(吸収率は12%)、腸管内に高濃度でとどまるのでそのままとします。用量で迷うが・・・ ふな3さん(薬局)ホスホマイシンの量が少ない(2~3g/日が適当)と思います。微妙な量なので、疑義照会をするか非常に悩ましいところです。ホスホマイシンの有効性については議論があるところなので、疑義照会はしないと思います。Q4 抗菌薬について、患者さんに説明することは?抗菌薬の服用タイミング、抗菌薬を飲みきる 中堅薬剤師さん(薬局)抗菌薬は食後である必要はなく、食事できない場合でも、普段の食事の時間に合わせて服用してよいことを伝えます。採便をしたことが分かれば、ホスホマイシンはつなぎの治療であることを説明します。もし採便しておらず、再受診指示もないのであれば、自ら再受診した方がよいと助言します。再受診の目安 柏木紀久さん(薬局)注意してもらうのは脱水と二次感染、EHECだった場合はHUSへの移行が心配です。また、「血尿、浮腫、貧血、痙攣などが出たら再度受診してください」とも伝えます。下痢止めは使用しないこと 清水直明さん(病院)「指示された通りに正しく最後まで服用してください。ただし、服用の途中であっても、便に血が混じってきたり、意識障害など普段と違った様子が見られた場合は、すぐに救急外来を受診してください。市販の下痢止めは症状を悪化させることがあるので、使用しないでください。」水分補給と二次感染予防 ふな3さん(薬局)「食欲がなく食事が取れなくても、1日3回5日分、しっかり飲みきってください。下痢によって脱水症状が心配されますので、経口補水液などで、しっかり水分補給をしてください。(外出先での排便により感染を広げる可能性があるので)下痢が治まるまでは、自宅で過ごすようにしてください。自宅に他の同居家族がいる場合には、ドアノブ・便器の消毒やタオルの共用を避けるなど注意してください。」Q5 その他、気付いたことは?検査結果までのつなぎ 中堅薬剤師さん(薬局)経験上ですが、開業医は便検査結果が出るまでの「つなぎ」として、ホスホマイシンを数日分処方することがあります。本症例でも、夜間救急で対応した医師も専門ではなく、便検査もできないため、同じような意図で対応したのではないか、と推測します。重篤化のリスクと再受診について 荒川隆之さん(病院)小児ではないので可能性は低いと思うのですが、EHECでは、5~10%の患者さんでHUSを起こし重篤化することが知られているため、元気がない、尿量が少ない、浮腫、出血斑、頭痛、傾眠傾向などの症状が見られた場合にはすぐに受診するように伝えます。時間経過の重要性 キャンプ人さん(病院)菌やウイルスにより潜伏期間が異なるため、丁寧に時間経過を聞くことが大切だと思います。原因菌や経過は分からないことが多い わらび餅さん(病院)実際、このような腸管感染の原因菌は培養提出しないとはっきりせず、ほとんどの場合分からないままです。すぐに元気になってほしいと願うばかりで、正しい選択だったのか経過の確認も難しいです。とりあえず抗菌薬? JITHURYOUさん(病院)本症例は軽症である可能性があり、前述したように抗菌薬投与が必須ではないと考えることもできます。水分を取っても吐くような状況であれば、点滴が必要となります。対症的に五苓散(柴苓湯)などの併用の提案も考慮したいです。ひどい下痢ということから、整腸剤も最大投与量を提案したいです。また考えたくないのですが、夜間診療ということで「とりあえず抗菌薬を処方しておけばなんとかなる」という考えもあったかもしれません。後日談(担当した薬剤師から)用量について疑義照会をしましたが、処方医が外部の非常勤の医師で、既に当直を終えて帰宅しており、回答が得られませんでした。本来は、疑義が解決していないのでこのまま調剤してはいけないのですが、カルテを確認してもらい、特に不自然な点もないことから、急性疾患の患者を待たせることはできないという状況もあり、やむなくそのまま調剤しました。1回きりの来局で、その後の経過は不明です。1)Clin Nephrol 1999; 52(6): 357-362. PMID:10604643

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治療抵抗性うつ病を予測する臨床的因子~欧州多施設共同研究

 欧州リサーチコンソーシアムの治療抵抗性うつ病研究グループ(GSRD)による治療抵抗性うつ病(TRD)の早期発見と、TRDにおける治療アウトカムのクロスサンプルを予測するため、欧州各地より募集されたTRD-IIIサンプルにおける臨床的変数を、オーストリア・ウィーン医科大学のA. Kautzky氏らが調査した。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2018年10月5日号の報告。 TRDの定義は、2つ以上の抗うつ薬試験後にMontgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)スコアが22点以上とした。治療反応の定義は、MADRSスコア50%以上の低下および閾値が22点未満とした。TRDの予測因子は、916例の患者を対象に、16の臨床的変数について、ロジスティック回帰を用いて分析を行った。治療アウトカムの予測は、Elastic net回帰分析を用いて分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・TRDリスク増加の予測因子は、以下のとおりであった。 ●症状重症度(OR:3.31) ●精神症状(OR:2.52) ●自殺リスク(OR:1.74) ●全般性不安障害(OR:1.68) ●入院患者の状況(OR:1.65) ●過去に投与された抗うつ薬数の多さ(OR:1.23) ●生涯うつ病エピソード(OR:1.15) ●現在のエピソード期間の長さ(OR:1.022)・TRDの予測精度は、独立した検証セットであるTRD-Iにおいて、0.86であった。 著者らは「TRDの最も顕著なリスク因子は、症状重症度、自殺リスク、生涯うつ病エピソード数の多さ、不安障害の併発であった。TRD-IIIにおける有意な予測因子は、以前の研究であるTRD-Iにおける治療アウトカムの予測を許容していた」としている。■関連記事治療抵抗性うつ病の予測因子に関するコホート研究治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかSSRI治療抵抗性うつ病、治療前に識別可能か:大分大

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重症アトピー性皮膚炎、全身療法で有効な薬剤は?

 全身療法は、局所療法では手に負えないほどの重症アトピー性皮膚炎(AD)に対してたびたび行われる。近年、この領域では生物学的製剤の進歩に伴い、従来の全身療法と比較しても有益とされる。この治療に関し、デュピルマブおよびシクロスポリンによる重症度改善において最も強力なエビデンスの存在が、米国・Wake Forest School of MedicineのEdward W. Seger氏らによって報告された。ただし、十分に比較された研究が不足し、治療間の直接比較が難しいため、著者は「生物学的製剤の長期安全性および有効性に関するさらなる研究が必要である」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年10月5日号掲載の報告。 研究グループは、ADに対する全身療法の有効性を比較する目的で、Medline、OvidおよびEmbaseを用い、成人および小児のAD患者を対象とした無作為化比較試験についてシステマティックレビューを行った。 主な結果は以下のとおり。・合計41件の研究が基準を満たし、解析に組み込まれた。・湿疹面積・重症度指数(EASI)およびScoring Atopic Dermatitis(SCORAD)におけるスコアの一貫した改善が、デュピルマブおよびシクロスポリンで報告された。・lebrikizumabおよびtralokinumabは、第II相臨床試験で有効性が示されており、第III相臨床試験の成績が期待される。・小児患者における生物学的製剤の有効性は報告されていないが、シクロスポリンは最大用量で重症度を改善した。

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SSRIナイーブのうつ病患者に対するセルトラリンの有効性に関するランダム化比較試験

 キューバ・Centro Nacional Coordinador de Ensayos ClinicosのRoselin Valle-Cabrera氏らは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)ナイーブの大うつ病患者を対象に、セルトラリンとプラセボの有効性および安全性を評価する臨床試験を実施した。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2018年10月号の報告。 10週間のランダム化多施設プラセボ対照二重盲検比較優越性試験を実施した。対象は、ハミルトンうつ病評価尺度17項目(HAMD-17)の合計スコア19~36点の成人うつ病患者。対象患者は、セルトラリン群39例またはプラセボ群38例にランダムに割り付けられた。各患者には、セルトラリン50mg/日またはプラセボを固定用量で4週間投与した。その後、必要に応じて、最大200mg/日まで用量調節を行った。主要有効性エンドポイントは、ベースライン時と比較した10週間後のHAMD-17スコア50%以上低下と定義した臨床反応とした。ベースラインからのHAMD-17スコア変化を、補助的分析として実施した。 主な結果は以下のとおり。・臨床反応は、セルトラリン群において良好であった(72% vs.32%、相対リスク:2.27、95%CI:1.37~3.78、p=0.0006)。・線形混合モデルでは、arm × time相互作用が有意であることが示唆された(尤度比カイ2乗統計量:7、自由度:48.42、p<0.0001)。・HAMD-17変化スコアは、8週目以降のセルトラリン群において良好であった。・セルトラリン群の主な有害事象は、頭痛、下痢、体重減少であった。 著者らは「本試験では、プラセボと比較したセルトラリンの効果発現は、通常よりも遅かった。この効果発現の遅れは、臨床試験中の医師と患者の密接な治療プロセスおよび新規治療による効果への期待によるものであると考えられる」としている。■関連記事たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能うつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤はSSRI治療抵抗性うつ病、治療前に識別可能か:大分大

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AI利用で早期緑内障の診断精度が向上

 東京大学医学部眼科学教室特任講師の朝岡 亮氏らは、複数の黄斑部OCT画像のディープラーニング(DL)モデルを利用することで、緑内障の早期診断精度が実質的に向上する可能性があることを明らかにした。American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2018年10月11日号掲載の報告。 研究グループは、スペクトラルドメインOCT(SD-OCT)画像から早期緑内障を診断するためのDLモデルの開発および評価、検討を目的とした、多施設共同研究を行った。 複数医療機関の協力を得て、プレトレーニングデータ、トレーニングデータ、検証データを用意。プレトレーニングデータは、病期ステージを問わずに集めた開放角緑内障(OAG)の1,565眼と健康な193眼による4,316枚のOCT画像で構成されていた。また、トレーニングデータには、早期OAG(平均偏差[MD]:>-5.0dB)患者94眼(94画像)と健康な被験者84眼(84画像)を含み、検証データには、早期OAG(MD:>-5.0dB)患者114眼(114画像)と健康な被験者82眼(82画像)が含まれていた。プレトレーニングデータの画像撮影にはRS-3000(Nidek)、トレーニングデータおよび検証データにはOCT-1000/2000(Topcon)を用いた。 DL(畳み込みニューラルネットワーク)分類器の学習は、プレトレーニングデータセットを使い、2回目の学習に独立したトレーニングデータセットを使用した。SD-OCT画像から8×8グリッドの黄斑部網膜神経線維層厚と網膜神経節細胞層複合体厚を抽出し、特徴(feature)として用いた。検証データセットを用いて診断精度を調査し、ランダムフォレスト(Random Forests:RF)およびサポートベクターマシーン(SVM)を用いて比較評価を行った。 主要評価項目は、ROC曲線下面積(AROC)であった。 主な結果は以下のとおり。・DLモデルによるAROCは、93.7%であった。・プレトレーニングデータによる学習を行わなかった場合、AROCは76.6~78.8%と有意に低下した。・RFによるAROCは82.0%、SVMによるAROCは67.4%と、いずれも有意に小さかった。

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高齢NSCLCに、有効かつFNのない化学療法を 第20回【肺がんインタビュー】

第20回 高齢NSCLCに、有効かつFNのない化学療法を高齢者の非小細胞肺がん(NSCLC)では、化学療法による発熱性好中球減少症(FN)が大きな問題となる。そのような中、高齢者肺がん患者を対象にドセタキセル・ラムシルマブ併用レジメン(以下、ドセタキセル・ラムシルマブ)にPEG-G-CSFを併用した、西日本がん研究機構(WJOG)による第II相試験DRAGON study(WJOG9416L)1)が実施される。同試験の研究事務局である神戸低侵襲がん医療センターの秦 明登氏に、同研究の狙いを聞いた。試験を行った背景はどのようなものですか。わが国では、ドライバー遺伝子変異のない高齢者肺がんに対する1次治療のスタンダードは、ドセタキセル単剤です。このドセタキセル単独に対し、ドセタキセル・ラムシルマブは、2次治療以降で、奏効率、無増悪生存期間、そして全生存期間を有意に延ばしています2)。この試験は年齢を問わず行われましたが、高齢者においても有力な治療選択肢となる可能性があります。しかし、このレジメンの課題はFNの頻度が高いことで、日本人の第II相試験では、34%、つまりおよそ3例に1例がFNを発症するという報告があります3)。一方、わが国の後ろ向きの報告では、ドセタキセル・ラムシルマブにPEG-G-CSF製剤であるペグフィルグラスチムを併用することで、FN発症をゼロに抑えたという報告があります4)。そのほかにも、ペグフィルグラスチムの化学療法との併用によるFN発症抑制については、しっかりしたエビデンスが示されています。このようなことから、ドセタキセル・ラムシルマブにペグフィルグラスチムの1次予防を併用することで、FNを防ぎつつ、有効性を確保した治療を高齢NSCLC患者に提供できるのではないかという仮説を立て、この試験を実施しています。プライマリ・エンドポイントは全奏効率(ORR)ですが、FN発症抑制についても評価されるのですか。有効性を評価するために第II相試験の一般的な評価項目として、ORRをプライマリ・エンドポイントに設定しています。FNの発症率についても、副次評価項目の安全性で評価する予定です。FNの1次予防としてG-CSFを用いることについては?改訂されたG-CSF使用に関するASCOのガイドラインでは、FN発症リスク20%以上の患者ではG-CSFの1次予防が推奨されています5)。ドセタキセル・ラムシルマブのFN発症率はおよそ3分の1ですので、十分その対象となります。さらに、PEG製剤を用いることによる、実臨床でのメリットもあります。現在の化学療法はほとんど外来で実施します。従来のG-CSFは連日投与が必要ですが、PEG-G-CSFは半減期が長く、3週に1回の投与で効果を発揮し、また化学療法の翌日から予防的に投与できます。実際の治療として、3週間サイクルの1日目にドセタキセル・ラムシルマブを、翌日にペグフィルグラスチムを投与するだけで済みますので、患者さんの受診負担も減らすことが可能になるのです。今後の研究の方向性はどのようなものですか。高齢者NSCLCの化学療法の効果は十分とはいえませんし、進化もプラトーに達しているといえます。しかし、分子標的薬は高齢者にも有効性が期待できます。その中の1つが、ベバシズマブやラムシルマブなどのVEGF阻害薬です。ただ、わが国の高齢者肺がんにおけるラムシルマブの使用については十分なデータがあるとはいえません。その意味でも、前向きに65例を検証する、この試験は意義があると思います。この第II相試験で、FNの発症抑制など安全性を確保しつつ、有効性を示すことができたら、次は、ドセタキセル・ラムシルマブ+ペグフィルグラスチムと現在の標準治療ドセタキセル単剤とを比較する第III相試験に進む計画です。DRAGON(WJOG9416L)studyデザイン多施設前向きシングルアーム第II相試験対象:75歳以上のNSCLC患者(化学療法未治療、ドライバー遺伝子変異陽性例はTKI治療で進行した患者)介入:ドセタキセル60mg/m2、ラムシルマブ10mg/kg day1、ペグフィルグラスチム3.6mg day2、3週ごと主要評価項目:全奏効率(ORR)副次評価項目:無増悪生存期間、全生存期間、奏効期間、安全性ORR:閾値20%、期待値35%サンプルサイズ:65例※DRAGON Study:Docetaxel plus Ramucirumab with primary prophylactic pegylated granulocyte-colony stimulating factor support for elderly patients with advanced non-small-cell lung cancer: A multicenter prospective single arm phase II trial1)Hata A, et al. Clin Lung Cancer. 2018 Aug 7.[Epub ahead of print]2)Garon EB, et al. Lancet. 2014;384:665-673.3)Yoh K, et al. Lung Cancer. 2016;99:186-193.4)Hata A, et al. Oncotarget. 2018;12:27789-27796.5)Smith TJ, et al. J Clin Oncol. 2006;24:3187-3205.

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治療抵抗性統合失調症に対する電気けいれん療法とクロザピンとの併用

 韓国・Dongguk University International HospitalのJung Hyun Kim氏らは、統合失調症患者に対するクロザピンと電気けいれん療法(ECT)との併用療法の有効性および忍容性について調査を行った。Psychiatry Investigation誌2018年8月号の報告。 電子カルテ(Electronic Medical Record)より、5年間のクロザピン治療を行った統合失調症患者を抽出した。精神症状に対する急性期ECTの臨床効果を調査した。また、ECTの維持療法を必要とする予測変数の同定も試みた。 主な結果は以下のとおり。・抽出された統合失調症患者の内訳は、クロザピンとECTの併用療法群14例、クロザピン単独療法群16例であった。・クロザピン治療抵抗性統合失調症患者に対するECT併用療法は、PANSS総スコアを19.0±9.9点減少させた。減少率は、18.5±8.3%であった。・PANSSスコア20%減少として定義された臨床的寛解は、42.9%で認められた。・サブスケール因子は有意な減少が認められ、なかでも陰性症状が最も減少していた。・維持ECTの有無について、患者間の人口統計的および臨床的情報に差異はなく、クロザピンを継続する場合には、すべての患者が維持 ECTを必要とすることはなかった。 著者らは「クロザピン治療抵抗性統合失調症患者に対するECT併用療法は、精神症状の迅速かつ十分な減少をもたらした。ECTの有効性および忍容性を改善するためには、さらなる研究が必要とされる」としている。■関連記事日本におけるクロザピン使用の安全性分析治療抵抗性統合失調症、ECT併用は有益か治療抵抗性統合失調症は、クロザピンに期待するしかないのか

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高齢者の健康長寿には魚が有益/BMJ

 高齢者における血中濃度の連続測定で、魚由来のオメガ3系多価不飽和脂肪酸(n3-PUFA:エイコサペンタエン酸[EPA]、ドコサペンタエン酸[DPA]、ドコサヘキサエン酸[DHA])、EPA、およびDPA(魚由来のDHAや植物由来のα-リノレン酸ではない)の上積みが認められると、健康長寿(healthy ageing)でいられる可能性が高いことが明らかにされた。米国・タフツ大学のHeidi TM Lai氏らによる前向き長期コホート研究(Cardiovascular Health Study)の結果で、BMJ誌2018年10月17日号で発表された。健康長寿は、慢性疾患、認知・身体機能障害がない生存として定義される。魚および植物由来のn3-PUFAは、生理機能に良好な影響を及ぼし、健康長寿に有益である可能性が示唆されていた。また、自己申告に基づく食事性のn3-PUFA高値とベースラインバイオマーカーとしてのn3-PUFA高値は、心血管疾患のリスクと逆相関することが示されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「高齢者は、さらなるn3-PUFAを含む食事(魚)の摂取を、というガイドラインを支持する結果であった」とまとめている。平均74.4歳の健康長寿高齢者のn3-PUFA値を1992~2015年追跡測定 検討は米国内4地域で1992~2015年の間に行われ、n3-PUFAの連続測定値と健康長寿の関連が調べられた。参加者は、1992~93年のベースライン時に健康長寿が認められた2,622例で、平均年齢は74.4歳(SD 4.8)、女性63.4%であった。 被験者の血漿リン脂質n3-PUFA値をガスクロマトグラフィで、1992~93年、1998~99年、2005~06年に測定し、植物由来のα-リノレン酸、魚由来のEPA、DPA、DHAなど全脂肪酸を%算出した。 主要評価項目は健康長寿で、慢性疾患(心血管疾患、がん、肺疾患、重度CKDなど)や認知・身体障害のない生存、またはその他の要因(65歳以降の健康長寿アウトカムの一部ではない)による死亡と定義した。イベントについては、医療記録や診断検査に基づき中央で判定または確定した。n3-PUFAの高値群の非健康長寿リスクは18%低下 線形モデルを用いた評価において、長鎖n3-PUFAの高値群ほど非健康長寿リスクは低い傾向がみられ、時間変化曝露および共変量で多変量調整後の五分位範囲で18%(95%信頼区間[CI]:7~28%)の低下が認められた。 個別にみると、DHAでは関連がみられなかったが、EPAおよびDPAではリスク低下との関連が認められた(それぞれ15%[6~23]、16%[6~25])。植物由来のα-リノレン酸は非健康長寿と関連していなかった(ハザード比:0.92、95%CI:0.83~1.02)。

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PI3K阻害薬alpelisib、HR+/HER2-進行乳がんでPFS約2倍(SOLAR-1)/ESMO2018

 ホルモン受容体陽性/HER2陰性(HR+/HER2-)進行乳がんにおいて、α特異的PI3K阻害薬alpelisibとフルベストラントの併用療法が、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善した。HR+/HER2-乳がん患者の約40%がPIK3CA遺伝子変異を有する。日本も参加している第III相SOLAR-1試験の結果に基づき、フランス・パリ第11大学のFabrice André氏がドイツ・ミュンヘンにおける欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)で報告した。 SOLAR-1試験では、閉経後女性および男性の、HR+/HER2-進行乳がん患者(ECOG PS≦1、1ライン以上のホルモン療法歴あり、進行後の化学療法歴はなし)を対象に、PIK3CA遺伝子変異陽性もしくは陰性コホートでそれぞれ、alpelisib併用群(alpelisib 300mg/日+28日を1サイクルとして、フルベストラント500mgを1サイクル目の1日目と15日目、以降1日目に投与)とプラセボ群(プラセボ+28日を1サイクルとして、フルベストラント500mgを1サイクル目の1日目と15日目、以降1日目に投与)に1:1の割合で無作為に割り付けた。層別化因子は、肝/肺転移の有無およびCDK4/6阻害薬による治療の有無。主要評価項目は、PIK3CA陽性コホートにおける無増悪生存期間(PFS)。副次評価項目は、PIK3CA陰性コホートのPFS、両コホートの全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)、安全性などである。 主な結果は以下のとおり。・全体で572例が組み入れられ、うち341例がPIK3CA陽性(併用群:169例、プラセボ群:172例)、231例が陰性(併用群:115例、プラセボ群:116例)であった。・PIK3CA陽性コホートにおけるPFS中央値は、alpelisib併用群11.0ヵ月に対しプラセボ群5.7ヵ月と併用群で有意に改善した(ハザード比[HR]:0.65、95%信頼区間[CI]:0.50~0.85; p=0.00065、追跡期間中央値:20.0ヵ月)。・PIK3CA陰性コホートにおけるPFS中央値は、alpelisib併用群7.4ヵ月に対しプラセボ群5.6ヵ月で、あらかじめ定められたPoC(Proof of Concept)基準を満たさなかった(HR:0.85、95%CI:0.58~1.25)。・測定可能なPIK3CA遺伝子変異陽性患者(262例)におけるORRは、併用群36% vs.プラセボ群16%であった(p=0.0002)。・全患者の安全性プロファイルについて、Grade 3 以上の有害事象で多くみられたのは、高血糖(併用群37% vs.プラセボ群<1%)、皮疹(10% vs.<1%)であった。 André氏は、「現段階でのフォローアップ期間は短く、長期的な生存利益があるかどうか確定的なことは言えない。しかし、PFSをプラセボ群と比較して約2倍に延長しており、新たな治療選択肢としての可能性があると言えるだろう。また、これまでのPI3K阻害薬がPI3K の4つのアイソフォーム全て(α、β、γ、δ)を標的としていたために毒性が高かったことと比較して、alpelisibはα特異的であることが特徴。本結果から、alpelisib併用群での有害事象の多くはGrade 1/2であり、Grade 3 以上がみられた高血糖と皮疹については、研究プロトコルに示された容量変更ならびにそれに伴う医学的介入によって管理された」と話している。■参考ESMO2018プレスリリースSOLAR-1試験(Clinical Trials.gov)■関連記事NovartisのPI3K阻害剤、PIK3CA変異乳がんの主要評価項目を達成(SOLAR-1)

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