境界性パーソナリティ障害の特性と自殺リスクに対する睡眠の役割

境界性パーソナリティ障害(BPD)は、自殺リスクや睡眠に関する問題(不眠症や悪夢を含む)と高率に関連している。米国・ミシシッピ州立大学のHilary L. DeShong氏らは、不眠症および/または悪夢を介する自殺リスクに対するBPDの特性の潜在的な間接的影響を評価するため、検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2018年10月9日号の報告。
Amazon's Mechanical Turkより参加者を募集し、オンラインで281例の研究を完了した。参加者より、BPD特性、BPD症状、自殺リスク(自殺念慮歴、自殺企図歴)、不眠症、悪夢に関連する苦痛や障害を測定した。
主な結果は以下のとおり。
・BPD特性および症状は、自殺リスク、不眠症、悪夢と中等度から高度に関連していた。
・parallel mediationモデルでは、不眠症状においては、BPD特性と自殺リスクに間接的影響があると認められたが、悪夢においては認められなかった。
著者らは、本研究の限界として、対象が臨床サンプルでなく一般集団であった点、自己報告尺度のみに依存している点を挙げ、今後の研究においては、観察者報告(observer report)や面接調査法を用いて、臨床サンプルにおけるこれらの関連性を調査することが求められると述べている。また、「BPD特性は、睡眠に関する問題(とくに不眠症)を介して、自殺リスク増加に影響していると考えられる。そのため、BPD患者の睡眠障害を評価し、治療することは、自殺リスク低下に寄与する可能性がある」とまとめている。
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