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皮下膿瘍、切開排膿に抗菌薬併用が有効/NEJM

 5cm以下の単純性皮下膿瘍について、切開排膿単独と比較し、切開排膿にクリンダマイシンまたはトリメトプリム・スルファメトキサゾール(TMP-SMX)を併用することで、短期アウトカムは改善することが示された。米国・シカゴ大学病院のRobert S. Daum氏らが、成人および小児外来患者を対象とした、多施設共同二重盲検プラセボ対照比較試験の結果を報告した。ただし著者は、「この治療のベネフィットとこれら抗菌薬の既知の副作用プロファイルを、比較検討する必要がある」とまとめている。合併症のない皮下膿瘍はよくみられるが、市中感染型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の時代における適切な治療は明らかになっていない。NEJM誌2017年6月29日号掲載の報告。クリンダマイシン vs. TMP-SMX vs.プラセボ、10日間投与の治癒率を評価 研究グループは2009年5月~2015年1月に、6施設にて直径5cm以下の単一の皮下膿瘍を有する成人および小児患者(ただし、6~11ヵ月児は3cm以下、1~8歳児は4cm以下)を登録した。外科的に排膿可能な膿瘍の存在、膿瘍の大きさ、皮膚感染部位の数、非化膿性蜂窩織炎の有無で患者を層別化し、膿瘍の切開排膿後に、ブロックランダム化法によりクリンダマイシン群、TMP-SMX群およびプラセボ群に1対1対1の割合で割り付け、試験薬を10日間投与した。 主要評価項目は、治療終了後7~10日時点での臨床的治癒とした。 登録された患者は計786例で、うち成人505例(64.2%)、小児281例(35.8%)であった。また、男性は448例(57.0%)であった。黄色ブドウ球菌(S. aureus)は527例(67.0%)から、MRSAは388例(49.4%)から分離された。治癒率は、プラセボ69%に対し、抗菌薬で82~83%に改善 治療後10日時点のintention-to-treat集団における治癒率は、クリンダマイシン群83.1%(221/266例)、TMP-SMX群81.7%(215/263例)で、実薬群は類似しており(p=0.73)、いずれもプラセボ群の68.9%(177/257例)より高率であった(両群ともp<0.001)。評価可能集団(試験薬を10日間服用し、治療終了後7~10日時点の評価を完遂した患者)における結果も同様であった。なお、この有益な効果は、黄色ブドウ球菌感染者に限定された。 治癒例における追跡1ヵ月後の新規感染率は、クリンダマイシン群(6.8%:15/221例)が、TMP-SMX群(13.5%:29/215例、p=0.03)またはプラセボ群(12.4%:22/177例、p=0.06)より低かった。 有害事象の発現率は、クリンダマイシン群(21.9%:58/265例)が、TMP-SMX群(11.1%:29/261例)およびプラセボ群(12.5%:32/255例)より高かった。主な有害事象は下痢と悪心で、クロストリジウム・ディフィシル関連下痢症は確認されなかった。重篤な有害事象を8例、過敏反応(発熱、発疹、血小板減少症、肝炎)をTMP-SMX群の1例で認めたが、すべての有害事象は後遺症なく消失した。

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前治療歴のあるC型慢性肝炎に対するsofosbuvir、velpatasvir、およびvoxilaprevir療法の検討(解説:中村 郁夫 氏)-697

 本論文は、direct-acting antiviral agents(DAA)を含む治療を受けたことのあるC型慢性肝炎の患者を対象として行った2種類の第III相試験(POLARIS-1、POLARIS-4)の結果の報告である。POLARIS-4では、NS5A阻害薬を含まない治療を受けたことのある、遺伝子型1型、2型、3型のHCV患者を対象とし、sofosbuvir(核酸型ポリメラーゼ阻害薬)・velpatasvir(NS5A阻害薬)・voxilaprevir(プロテアーゼ阻害薬)の3剤併用群とsofosbuvir・velpatasvirの2剤併用群に、無作為に1:1に割り付けたうえで、遺伝子型4型の19例を3剤併用群に加えた。その結果、sustained virologic response(SVR)を達成した率は3剤併用群では98%、2剤併用群では90%であった。 日本においても、前治療無効例に対するDAA併用療法の効果が、薬剤耐性変異との関連性を含めて検討されている。また、本論文で用いられた3剤のうちのsofosbuvir、velpatasvirの2剤にribavirinを加えた併用療法の治験が現在進められている。日本では、有害事象の観点からDAAの2剤併用が主流であったが、現在では、3剤併用療法も用いられ始めている。また、従来のDAA併用療法は、1種類の遺伝子型のHCVに対するものであったが、今後は、本研究でのsofosbuvir・velpatasvir・voxilaprevirの3剤併用療法のように、いわゆる「pangenomic」:複数のHCV遺伝子型に効果のある治療法が日本においても登場する予定であり、その候補のひとつとして、pibrentasvirとglecaprevirの併用療法がある。この観点からも、本研究は興味深いものであると考える。

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笑えるシリアスゲーム【Dr. 中島の 新・徒然草】(177)

百七十七の段 笑えるシリアスゲームゲームで遊んでいるうちに夢中になって時間を忘れる、というのは誰でも経験したことがあることと思います。でも、ついついやり過ぎてしまうと、後で「貴重な時間を無駄に使ってしまった」という自己嫌悪に襲われる、というのもこれまたよくあることではないでしょうか。もし、時間を忘れて遊んでしまったが、その分、勉強になった、健康になった、というゲームがあればどうでしょうか? 楽しくてタメになる一石二鳥のゲームがあれば素晴らしいことですね。そんなムシのいいことを実現しようというのがシリアスゲームです。ある論文(Game-based training improves the surgeon's situational awareness in the operation room: a randomized controlled trial)で、外科レジデントにシリアスゲームをさせたら実際の腹腔鏡手術でのパフォーマンスがあがった、と述べられていたので、早速、そのゲームをやってみました。この "Dr. Game Surgeon Trouble" というオランダ製のアプリは簡単にスマホにインストールすることができます。ゲーム画面は3段になっており、上から下に向かって、外科の指導医、患者のバイタルサイン、そしてミニゲームという構成になっています。プレイヤーは腹腔鏡のモニターにみたてた三目並べみたいなミニゲームを開始します。ところが途中で画面が曇ってくるのです。そうすると「これは腹腔鏡のレンズが曇ったに違いない」ということで "lens" を選んで "clean" というスイッチを押さなくてはなりません。そうするとまた綺麗な画面に戻ります。しばらくすると画面の色がおかしくなってくるので、今度は "white balance" を選んで "reset" を押します。すると色が回復します。このようにして、色々な機器トラブルを乗り越えながらミニゲームをやり続けるのです。うまくいかないと顔を真っ赤にした指導医に罵られますが、うまくいくと「お前はチャンピオンだ!」と上機嫌。怒鳴るか誉めるか2つしかない、というところが外科医らしくて笑えます。このゲームは専門家の助言を得ながら実際に腹腔鏡手術中に起こりがちな機器トラブルを再現したそうです。ライティングが19、ガスが5、電気メスが2、生理モニター関連が2と数多くのトラブルを網羅しています。このゲームをやった後のレジデントは、実際にブタを使った手術で素早く機器トラブルに対応できたということでした。私もゲームをやってみたところ、腹腔鏡手術の機器トラブルについては、ちょっとばかり対応できるような気がしてきました。是非、腹部外科の先生方には、本当に役立ちそうか否かを体験していただきたく思います。医療の世界にも楽しくて役に立つゲームがどんどん普及してほしいところですね。最後に1句ゲームして トラブル学び さあ本番

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統合失調症患者の雇用獲得に必要なこと

 一般と比較すると、統合失調症患者の失業率は、全年齢層において高くなっている。これまでの研究では、統合失調症患者の失業や作業不良に対し、神経認知機能に焦点が当てられてきた。しかし、最近のいくつかの研究では、雇用困難を理解するうえで、認知機能障害と同等以上に臨床症状が重要であることが示唆されている。米国・David Geffen School of MedicineのKatiah Llerena氏らは、統合失調症患者の就職や仕事の成果を妨げる陰性症状への理解を深めることは、雇用を向上させる治療法の開発に不可欠であるとし、検討を行った。Schizophrenia research誌オンライン版2017年6月7日号の報告。 対象は、雇用支援サービスを受けている統合失調症または統合失調感情障害患者112例。就労の有無に基づき、経験的および表現的な陰性症状が異なるかを判断した。さらに、労働者のサブセットにおいて、経験的「動機づけ」の陰性症状と労働成果との関連を調査した。神経認知機能は、MATRICS コンセンサス認知機能評価バッテリーを用いて評価し、臨床症状は、陰性症状評価尺度およびBPRSを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・表現的でない、経験的な陰性症状は、就職、就業時間、賃金と関連していた。・これらの結果は、年齢で調整した後に減弱し、有意な差は認められなかった。 著者らは「これらの結果は、雇用支援サービスを受けている統合失調症患者の雇用結果をより理解するうえで、経験的な陰性症状が重要であることを示唆している。他者との関わり、環境的、プログラム的要因との重要性を解くためには、さらなる研究が必要である」としている。■関連記事統合失調症へのメマンチン追加療法のメタ解析:藤田保健衛生大精神科再入院を減少させるには、雇用獲得がポイント抗精神病薬の副作用、医師にどれだけ伝えられているか:藤田保健衛生大

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子癇前症ハイリスク妊婦への低用量アスピリンは?/NEJM

 早期子癇前症リスクの高い妊婦に対し、妊娠11~14週から36週にかけて低用量アスピリンを投与することで、妊娠37週以前の子癇前症リスクはおよそ6割減少することが示された。英国・キングス・カレッジ病院のDaniel L. Rolnik氏らが、1,776例を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果で、NEJM誌オンライン版2017年6月28日号で発表した。早期子癇前症は、母体および周産期の死亡や合併症の重大要因である。低用量アスピリン服用で、そのリスクが低下可能か、これまで確認されていなかった。アスピリン150mg/日を投与しアウトカムを比較 研究グループは、早期子癇前症リスクの高い単胎妊娠の妊婦1,776例を無作為に2群に分け、一方にはアスピリン(150mg/日)を、もう一方にはプラセボを、それぞれ妊娠11~14週から36週まで投与した。 主要評価項目は、妊娠37週前の子癇前症を伴う出産で、intention-to-treat(ITT)解析にて評価した。子癇前症発症率、アスピリン群1.6%に対しプラセボ群4.3% 被験者のうち、152例が試験開始後に離脱し、また4例が追跡できなかった。そのため、分析対象はアスピリン群798例、プラセボ群822例だった。 妊娠37週前に子癇前症を発症したのは、プラセボ群の35例(4.3%)に対し、アスピリン群は13例(1.6%)と、有意に減少した(オッズ比:0.38、95%信頼区間:0.20~0.74、p=0.004)。 試験開始後に離脱した152例と、追跡できなかった4例を含む感度分析を行ったが、結果は実質的に同様だった。 服用順守率も高く、被験者の79.9%で、服用すべき錠剤数の85%以上を服用していた。なお、新生児有害アウトカムやその他の有害イベント発生率については、両群で有意差はなかった。

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進行ALK遺伝子陽性肺がんの治療について(解説:小林 英夫 氏)-693

 元来、anaplastic lymphomaや炎症性筋線維芽細胞性腫瘍で報告されていた受容体チロシンキナーゼであるALKは、肺がんの数%程度で遺伝子変異が認められ、とりわけ腺がんで検出されやすい。そして、ALK阻害薬は従来の化学療法に比べ、ALK遺伝子を有する肺がんに大きな治療効果をもたらしている。初めて上梓されたクリゾチニブ(ザーコリ)はマルチキナーゼ阻害薬でALK阻害活性も有する薬剤だが、一方、アレクチニブ(アレセンサ)はALKを標的として創薬された二番目のALK阻害薬である。日本肺癌学会編 肺癌診療ガイドライン2016では、ALK遺伝子転座陽性でPS(performance status)2までのIV期非小細胞肺がんに対する一次治療は、アレクチニブ(グレードA)またはクリゾチニブ(グレードB)が推奨されている。 本論文(ALEX試験)はNEJMに発表されたもので、切除不能ALK陽性肺がんに対して両薬剤のいずれが有効性、認容性、中枢神経病変制御に優れるかを比較した国際共同無作為化非盲検第III相試験の途中報告である。全生存期間の解析が終了していないため、あくまで中間報告的論文であることを意識しておきたい。また、分子標的治療薬のなかでもEGFR(epidermal growth factor receptor、上皮成長因子受容体)阻害薬の効果には人種差があるが、ALK阻害薬に明確な人種差はないようで欧米からの報告を本邦でも取り入れることが可能と思われる。 結果はある程度予想されたように、PFS(無増悪生存期間)中央値はアレクチニブ群未到達、クリゾチニブ群11.1ヵ月であり、アレクチニブ群でPFSの有意な延長が認められた。また、中枢神経病変の進行は、アレクチニブ群18例(12%)、クリゾチニブ群68例(45%)で確認され、アレクチニブ群で有意に低かった。さらに薬剤関連有害事象もアレクチニブ群で少なかった。加えて、日本でも同様の比較試験(J-ALEX試験)が実施されており、その中間報告が2017年5月10日にLancetにEpub掲載された。やはりアレクチニブ投与群で明確なPFS延長が示されたため、中間解析において早期有効中止に至っている。なお、J-ALEXのアレクチニブ投与はALEXの半量である。 現時点で、進行したALK遺伝子陽性肺がん治療のファーストラインがアレクチニブであることはほぼ確実と思われる。ただし、本論文も肺癌診療ガイドラインもALK阻害薬投与対象はPS 2までであり、PS不良例については確認できていない。また、本邦で三番目のALK阻害薬セリチニブ(ジカディア)はクリゾチニブ既投与症例でも効果が期待できることが特性とされ、今後、アレクチニブとの有効性比較が待たれるところである。

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ニボルマブ、転移・再発NSCLCの1次治療で予後改善せず/NEJM

 未治療のStage IVおよび再発の非小細胞肺がん(NSCLC)の治療において、抗PD-1抗体製剤ニボルマブは標準的な化学療法と比較して予後を改善しないことが、米国・オハイオ州立大学総合がんセンターのDavid P. Carbone氏らが行ったCheckMate 026試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2017年6月22日号に掲載された。ニボルマブは、既治療の転移のあるNSCLCの2つの第III相試験でドセタキセルよりも全生存(OS)期間が優れ、未治療のNSCLCの第I相試験では持続的奏効や良好な安全性プロファイルが報告されている。一方、PD-L1を超えるバイオマーカーの探索が進んでおり、腫瘍の遺伝子変異負荷(tumor-mutation burden:TMB)が高度な患者は、免疫療法からベネフィットを得る可能性が高いことが示唆されている。541例で有用性を直接比較する無作為化試験 本研究は、Stage IV・再発NSCLCの1次治療におけるニボルマブの安全性と有効性を評価する国際的な非盲検無作為化第III相試験である(Bristol-Myers Squibb社などの助成による)。 対象は、組織学的に扁平上皮がんまたは非扁平上皮がんが確認されたStage IV・再発NSCLCで、全身状態(ECOG PS)が0/1、登録前6ヵ月以内の生検で採取された検体のPD-L1発現が、中央判定で1%以上の患者であった。 被験者は、ニボルマブ3mg/kgを2週ごとに静脈内投与する群または担当医が選択したプラチナ製剤ベースの2剤併用化学療法を3週ごとに4~6サイクル施行する群に、1対1の割合でランダムに割り付けられた。化学療法群の患者は、病勢進行後、ニボルマブへのクロスオーバーが可能とされた。 主要評価項目はPD-L1の発現が≧5%の患者における無増悪生存(PFS)とし、評価は独立審査委員会によって盲検下の中央判定で行われた。また、探索的検討として、TMB別の有効性の解析も行った(全エクソームシーケンスで検出された腫瘍の体細胞ミスセンス変異数が0~99個の場合を低TMB、100~242個を中TMB、243個以上を高TMBと定義)。 2014年3月~2015年4月に1,325例が登録され、541例(41%)がランダム化の対象となった。ニボルマブ群に271例が、化学療法群には270例が割り付けられた。実際に治療を受けたのは530例(98%)だった。ベースラインの全体の年齢中央値は64歳(範囲:29~89歳)、女性が39%であった。Stage IVが92%、再発は8%だった。PFS期間中央値、ニボルマブ群4.2ヵ月、化学療法群5.9ヵ月  PD-L1≧5%の423例(ニボルマブ群:211例、化学療法群:212例)の解析では、PFS期間中央値はニボルマブ群が4.2ヵ月と、化学療法群の5.9ヵ月に比べむしろ短かった(ハザード比[HR]:1.15、95%信頼区間[CI]:0.91~1.45、p=0.25)。1年PFS率は、それぞれ24%、23%であった。 PD-L1≧5%の患者のOS期間中央値にも、有意な差は認めなかった(14.4 vs. 13.2ヵ月、HR:1.02、95%CI:0.80~1.30)。1年OS率は、それぞれ56%、54%だった。なお、化学療法群212例のうち128例(60%)が、後治療としてニボルマブの投与を受けていた。 PD-L1≧5%の患者の最良総合効果は、ニボルマブ群が26%(完全奏効[CR]:4例、部分奏効[PR]:51例)、化学療法群は33%(1例、70例)であった。奏効までの期間中央値は両群でほぼ同様であった(2.8 vs. 2.6ヵ月)のに対し、奏効期間中央値はニボルマブ群が2倍以上長かった(12.1 vs. 5.7ヵ月)。 TMB別の探索的解析では、高TMB例においてニボルマブ群が化学療法群に比べ奏効率(47 vs. 28%)、PFS期間中央値(9.7 vs. 5.8ヵ月)が良好であった。しかし、OS期間に差は認めなかった。 治療関連有害事象は、ニボルマブ群が71%、化学療法群は92%に発現した。このうちGrade 3/4は、それぞれ18%、51%であった。ニボルマブ群で最も頻度の高い有害事象は疲労(21%)であり、次いで下痢(14%)、食欲減退(12%)、悪心(12%)、皮疹(10%)の順であり、皮疹は免疫学的原因による可能性が示唆された。 著者は、「化学療法群は、患者の多くがニボルマブによる後治療を受け、ベースラインの背景因子のうちいくつかが良好な予後と関連した可能性が高い(わずかだが肝転移例が少なく、標的病変径和が小さく、女性が多い)が、ニボルマブ群は、ニボルマブ治療で予後が良好となる可能性が高い因子(PD-L1≧50%、高TMB)を持つ患者が少なかったことが、これらの結果に影響を及ぼした可能性がある」と考察している。

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妊婦へのリチウム使用、幼児への影響は

 妊娠初期のリチウム曝露は、幼児のEbstein奇形や全体的な先天性心疾患のリスク増加と関連している可能性があるが、そのデータは相反し、限定的である。米国・ハーバード大学医学大学院のElisabetta Patorno氏らは、メディケイドのデータより、2000~10年に出産した女性における132万5,563件の妊娠に関するコホート研究を行った。NEJM誌2017年6月8日号の報告。 妊娠第1三半期においてリチウムに曝露された幼児の心臓奇形リスクを、曝露されていない幼児と比較した。2次分析では、他の一般的に使用される気分安定薬であるラモトリギン曝露との比較を行った。リスク比(RR)および95%信頼区間(CI)は、精神医学的状態、薬物療法、他の潜在的な交絡因子に関してコントロールし、推定した。 主な結果は以下のとおり。・心臓奇形が認められた幼児は、リチウムに曝露された663例中16例(2.41%)、曝露されていない132万2,955例中1万5,251例(1.15%)、ラモトリギンに曝露された1,945例中27例(1.39%)であった。・リチウムに曝露された幼児における曝露されていない幼児と比較した心臓奇形に関する調整RRは、1.65(95%CI:1.02~2.68)であった。・リチウムの用量別にみると、600mg/日以下のRRは1.11(95%CI:0.46~2.64)、601~900mg/日のRRは1.60(95%CI:0.67~3.80)、900mg/日超のRRは3.22(95%CI:1.47~7.02)であった。・右室流出路障害の有病率は、リチウムに曝露された幼児では0.60%であったのに対し、曝露されていない幼児では0.18%であった(調整RR:2.66、95%CI:1.00~7.06)。・ラモトリギンに曝露された幼児を対照として用いた場合、その結果は類似していた。 著者らは「妊娠初期における母親のリチウム使用は、幼児のEbstein奇形を含む心臓奇形リスクの増加と関連していた。この効果値は、以前に考えられていたよりも小さかった」としている。■関連記事妊娠中の抗うつ薬使用、自閉スペクトラム症への影響は妊娠中のSSRI使用、妊婦や胎児への影響は双極性障害、リチウムは最良の選択か

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双極性障害患者の自殺、治療パターンを分析

 カナダ・Sunnybrook Health Sciences CentreのAyal Schaffer氏らは、双極性障害(BD)患者の服薬自殺の特性を他の自殺者と比較し、評価を行った。International journal of bipolar disorders誌2017年12月号の報告。 1998~2012年までのカナダ・トロントにおける、全自殺死亡者3,319例から検死データを抽出した。人口統計、既往歴、直近のストレス要因、自殺の詳細部分について、5つのサブグループで分析した。自殺のサブグループは、BDの服薬自殺、BDの他の方法による自殺、非BDの服薬自殺、非BDの他の方法による自殺、単極性うつ病の服薬自殺とした。BDと非BDの服薬自殺の間ならびにBDと単極性うつ病の服薬自殺の間において、致死的および当時の物質使用に対する毒物学的結果を比較した。 主な結果は以下のとおり。・BD自殺死亡者における服薬自殺は、性別(女性)、過去の自殺企図、薬物乱用の併存と、有意に関連していた。・BDおよび非BDの服薬自殺両群において、オピオイドが最も共通した致死的薬物であった。・BDおよび非BDの服薬自殺両群において、ベンゾジアゼピンおよび抗うつ薬が死亡時に最も共通していた薬剤であり、BD群の23%では、気分安定薬または抗精神病薬なしで抗うつ薬が用いられていた。・BD群において、気分安定薬を用いていた患者は31%のみであり、カルバマゼピンが最も用いられていた。・抗うつ薬、気分安定薬、抗精神病薬を用いていなかった患者は、BD群の15.5%であった。・BDの服薬自殺群は、単極性うつ病の服薬自殺群と比較し、前の週に精神科またはERを受診していた割合が高かった。■関連記事双極性障害の診断遅延は避けられないのか双極性障害、リチウムは最良の選択か双極性障害に対する抗けいれん薬の使用は、自殺リスク要因か

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アトピー性皮膚炎、重症度に応じ眼合併症リスク増

 アトピー性皮膚炎において、疾患そのものに伴って、または薬物療法の結果として眼疾患がみられることが知られている。これまで成人アトピー性皮膚炎における眼合併症の有病率に関する大規模な疫学データはなかったが、デンマーク・国立アレルギー研究センターのJacob P. Thyssen氏らは、国内の登録データを用いて調査を行い、成人アトピー性皮膚炎は有意に、かつ重症度に依存して、結膜炎、角膜炎および円錐角膜の発症リスク増加と関連していることを明らかにした。なお、著者は「観察研究であり、因果関係を明らかにすることはできない」と研究の限界を述べている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2017年6月7日号掲載の報告。 研究グループは、成人アトピー性皮膚炎患者における眼合併症の有病率とリスクを調査する目的で、18歳以上すべてのデンマーク人が登録する全国データを用いて解析し、Cox回帰により補正ハザード比(HR)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象となったアトピー性皮膚炎患者は、軽度(5,766例)あるいは重度(4,272例)に分類された。・眼科用抗炎症薬を1回以上処方されていた割合は、軽度患者で12.0%、重度患者で18.9%であった。・結膜炎のHRは、軽度患者で1.48(95%信頼区間[CI]:1.15~1.90)、重度患者で1.95(95%CI:1.51~2.51)であった。・角膜炎のHRは、軽度患者1.66(95%CI:1.15~2.40)、重度患者3.17(95%CI:2.31~4.35)であった。・重度患者では、円錐角膜のHRが10.01(95%CI:5.02~19.96)であった。・50歳未満の患者において、アトピー性皮膚炎と“白内障のみ”との関連が認められた。

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雑誌編集者や臨床研究者はCONSORT声明を熟読しておこう(解説:折笠 秀樹 氏)-692

 2万920件のRCT(ランダム化比較試験)論文について、バイアスリスク(結論を歪める危険性)を調査した報告である。2011年3月~2014年9月の間に出版された論文に限定した。バイアスリスクは、コクラングループが提案している評価ツールRoBを用いた(現在ではその改訂版であるRoB 2.0 Toolが出ている)。それは、[1]割付順の作成法(Sequence generation)、[2]割付の隠蔵(Allocation concealment)、[3]二重盲検(Blinding of participants and personnel)、[4]アウトカム判定の盲検化(Blinding of outcome assessors)、[5]アウトカムデータの欠測値(Incomplete outcome data)、以上5つのチェック項目から成る。各バイアス項目は、3段階(高High・不明確Unclear・低Low)のリスクで評価される。 全体で見ると、[3][4][5]の項目で高リスク割合が相対的に大きかった。RCTが掲載された雑誌のインパクトファクター別に見ると、それが低いほど高リスクの割合は高かった。[1][2]の項目については時代とともにバイアスリスクは低減していく傾向が見られたが、[3][4][5]の項目については時代とともに不変であった。[1][2]は全体として改善傾向にはあったが、それはインパクトファクターの付いた雑誌のみ当てはまっており、それが付いていない雑誌では[1][2]についても改善傾向は見られなかった。 CONSORT 2010声明の導入に伴いバイアスリスクは低減しているわけだが、まだそれを採用していない雑誌も多い。とくに、インパクトファクターが低い雑誌ではその傾向が強いように思われる。雑誌編集者におかれては、まだ取り入れていなければ早速、CONSORT 2010声明に準拠すると投稿規定に明記していただきたい。そうすればインパクトファクターが上がるかどうかは分からないが、論文の質が上がることは間違いない。最後に、これから臨床試験(とくに、RCT)を行おうと思っている研究者は、もし知らなければ、CONSORT 2010声明(津谷喜一郎ほか訳. 薬理と治療. 2010;38:939-947.[ネットからPDFを無料入手])をぜひ熟読していただきたい。

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循環器内科 米国臨床留学記 第22回

第22回 借金まみれのフェローたち米国における6月は卒業のシーズンであり、われわれのフェローシッププログラムからもフェローが卒業していきます。この夏から一般循環器内科医として働き始める友人は、悩んだ末に、少し郊外の給料が高い病院を選びました。35万ドル(3,800万円)と高額な給料をもらえるようですが、借金の額が多過ぎて喜んではいられないと言っています。どういうことかというと、彼には現在、借金が30万ドル(3,300万円)以上あり、これから約10年間、借金を減らすために、月に4,000ドル(44万円)ずつ返していかなければいけないとのことでした。決して、彼が特段高い借金を抱えているわけではありません。 Medscapeの報告によると、40%以上の研修医が20万ドル(2,200万円)の借金を抱えています。一般的に親が学費を払う日本と違い、多くの医学生はローンを組んで、自分で学費を払っています。ですから、卒業時にはUndergraduate(医学部の前の一般大学)とMedical school(医学部)の学費や、その間の生活費を借金として抱えることになります。Association of American Medical Collegesのデータによると、平均的な4年間の医学部のコストは、公立で23万2,838ドル(2,500万円)、私立で30万6,171ドル(3,400万円)と計算されています。研修医やフェローの間は給料が5~7万ドルと安いため、独身であれば辛うじて利子だけ返すことも可能ですが、家族がいると、その期間も借金が増えていきます。仮に、循環器内科医になろうとすると、高校卒業後、大学4年間、医学部4年間、内科のレジデント3年間に循環器の3年間が加わり、合計14年間はかかることになります。この間、ずっと借金が増えるわけです。飛び級などを除けば、最も早くて32歳です。また、循環器などの競争が激しい科では、1~2年余計に費やすこともありますから、フェローを修了時に34~35歳ということもよくあり、配偶者や子供などがいることが多いです。35歳で家族はいるが、家もなく、借金が2,000~3,000万円近くあるというのが、平均的なフェローの状態なのです。この長いトレーニング期間と借金は問題と考えられています。せめて医学部が4年から3年に短縮できれば、それに伴うトレーニング期間、借金ともに減るはずです。実際、それが可能かを検証すべく、実験的に3年制の医学部を試行している大学があります。しかし、問題もいくつかあるようです。3年生の初めにはどの科を目指すかを決めなければなりませんので、座学だけを修了した段階で、専門の科を決めることになります。日本は研修医の間に決めれば良いわけですから、医学部6年間の後、研修医2年目、つまり医学部入学後8年目でも間に合います。また、専門とする科の変更は日本では容易ですが、アメリカでは科を変わるということはマッチングからやり直しですから容易ではありません。まだ、結論は出ていませんが、3年制の大学が主流となる日も近いかもしれません。

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インスリン デグルデク vs.グラルギン、心血管転帰は?/NEJM

 2つの基礎インスリン製剤デグルデク(商品名:トレシーバ)とグラルギン(同:ランタスほか)について、心血管イベントリスクが高い2型糖尿病患者を対象に有効性および安全性を比較検討した結果、デグルデクはグラルギンに対して、主要な心血管イベントの発生に関して非劣性であることが示された。米国・リサーチメディカルセンターのSteven P. Marso氏らが行った「DEVOTE」試験の結果で、NEJM誌オンライン版2017年6月12日号で発表された。デグルデクは1日1回投与の持効型インスリンで、小児~成人への使用が承認されている。先行研究では非盲検試験において、デグルデクはグラルギンよりも血糖降下の日内・日差変動が小さく低血糖の発生頻度も低いことが示されていたが、心血管安全性についてはデータが示されていなかった。20ヵ国438施設で7,637例について二重盲検無作為化試験 DEVOTE試験は20ヵ国438施設で、二重盲検無作為化、treat-to-target、心血管アウトカムevent-driven法にて行われた。対象は、心血管リスクが高い2型糖尿病の成人患者で、1日1回夕食~就寝の間に、インスリン デグルデクまたはインスリン グラルギン U100を投与する群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、主要な心血管イベント(心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)の初発の複合で、評価はtime-to-event解析にて行われた。事前に規定された非劣性マージンは1.3であった。また、副次評価項目として重大な低血糖(米国糖尿病学会の定義で判定)、その夜間発生の頻度、イベント発現頻度などについて評価した。 2013年11月~2014年11月の間に、7,637例の患者が無作為化を受けた(デグルデク群3,818例、グラルギン群3,819例)。このうち6,509例(85.2%)が、心血管疾患または慢性腎臓病(CKD)と診断されていた。被験者のベースライン時の平均年齢は65.0歳、糖尿病の平均罹病期間は16.4年、平均糖化ヘモグロビン値は8.4±SD 1.7%。また、83.9%(6,409例)がベースラインでインスリン投与を受けていた。主要心血管イベントの発生、デグルデクはグラルギンに対し非劣性 主要アウトカムの発生は、デグルデク群325例(8.5%)、グラルギン群356例(9.3%)であった(ハザード比:0.91、95%信頼区間[CI]:0.78~1.06、非劣性のp<0.001)。 24ヵ月時点で、平均糖化ヘモグロビン値は、各群で7.5±1.2%で有意差はなかった(事後解析において推定治療差0.01%、95%CI:-0.05~0.07、p=0.78)。一方で、平均空腹時血糖値は、デグルデク群がグラルギン群よりも有意に低下した(128±56 vs. 136±57mg/dL、p<0.001)。 事前規定の重症低血糖の発生頻度は、デグルデク群187例(4.9%)、グラルギン群252例(6.6%)、絶対差は1.7%であった(率比:0.60、優越性のp<0.001、オッズ比:0.73、優越性のp<0.001)。 有害事象の発生について、両群で差はなかった。

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進行期大腸がん、1次治療での最適な分子標的薬とは/JAMA

 未治療の進行期または転移のある大腸がんでKRAS野生型遺伝子を有する患者において、化学療法と組み合わせる分子標的治療として、セツキシマブ(商品名:アービタックス)とベバシズマブ(同:アバスチン)を比較検討する無作為化試験が、米国・カリフォルニア大学のAlan P. Venook氏らにより行われた。結果、全生存期間(OS)について有意な差は認められなかった。分子標的治療の上乗せは、進行期または転移のある大腸がんの患者に臨床的有益性をもたらすが、いずれの分子標的薬が未治療患者への至適な選択であるかは不明であった。JAMA誌2017年6月20日号掲載の報告。セツキシマブ上乗せ vs.ベバシズマブ上乗せの無作為化試験 研究グループは、KRAS野生型遺伝子を有する進行期または転移性大腸がんの初回治療として、mFOLFOX6レジメン(ロイコボリン+フルオロウラシル+オキサリプラチン)またはFOLFIRIレジメン(ロイコボリン+フルオロウラシル+イリノテカン)に、セツキシマブとベバシズマブのどちらを上乗せすることが優れるかを検討した。 2005年11月~2012年3月に、米国およびカナダのNational Clinical Trials Networkを通じて、地域および大学のセンターで18歳以上の患者1,137例を登録し、無作為にセツキシマブ上乗せ群(578例)またはベバシズマブ上乗せ群(559例)に割り付けた。担当医と患者の選択によるmFOLFOX6レジメンまたはFOLFIRIレジメンに、それぞれの試験薬を併用して投与し追跡した。 主要評価項目はOSであった。また、副次評価項目は、無増悪生存(PFS)、全奏効率、各部位の完全もしくは不完全奏効または部分奏効などであった。OSはセツキシマブ群30.0ヵ月、ベバシズマブ群29.0ヵ月で有意差なし 被験者1,137例は、年齢中央値59歳、女性が440例(39%)。このうち1,074例(94%)が適格基準を満たした。 最終追跡日の2015年12月15日時点で、生存患者(263例)の追跡期間中央値は47.4ヵ月(範囲:0~110.7ヵ月)であった。また、82%(938/1,137例)の患者で疾患進行が認められた。 OS中央値は、セツキシマブ群30.0ヵ月、ベバシズマブ群29.0ヵ月で、層別化ハザード比(HR)は0.88(95%信頼区間[CI]:0.77~1.01、p=0.08)であった。 PFS中央値はセツキシマブ群10.5ヵ月、ベバシズマブ群10.6ヵ月で、層別化HRは0.95(95%CI:0.84~1.08、p=0.45)であった。奏効率も有意差はみられず、セツキシマブ群59.6%、ベバシズマブ群55.2%であった(差:4.4%、95%CI:1.0~9.0、p=0.13)。

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ネガティブスタディだが効果予測指標はPD-L1ではない!?(解説:倉原 優 氏)-696

 CheckMate026試験は、腫瘍細胞の1%以上がPD-L1を発現している、未治療のIV期非小細胞肺がん患者に対して、初回治療としてのニボルマブ(商品名:オプジーボ)単剤治療とプラチナ併用療法を比較するランダム化比較試験である。ニボルマブは現時点では2次治療で一定の地位を確立している。それにしても、CheckMateと名の付く臨床試験が多いため、一臨床医にはなかなか覚えにくい。 CheckMate026試験では、無増悪生存期間および全生存期間のいずれにおいても、両群に有意差は観察されなかった。いわゆる、ネガティブスタディだった。なんだニボルマブは初回治療には使えないのか、という声が出てきそうだが、実はそう簡単な帰結にはならないと考えている。この論文の最後には、探索的研究の興味深い結果がコメントされている。 多くの医師はご存じかもしれないが、PD-L1ではなくTumor Mutation Burden(TMB)※1が効果を推定する規定因子として注目を集めている1)。事実、このCheckMate026試験の後解析2)が米国がん研究会議(AACR 2017)で発表されており、TMBが高い場合※2、ニボルマブ群で無増悪生存期間が延長し(ハザード比:0.62、95%信頼区間:0.38~1.00)、奏効率も良好だった(ニボルマブ群46.8% vs.プラチナ併用療法群28.3%)と報告されている。全生存期間は後治療のクロスオーバーの影響もあって、有意差はついていない。※1 腫瘍組織中の遺伝子変異量を示す指標のこと。※2 TMBレベルを低TMB(0~99)、中TMB(100~242)、高TMB(243以上)に分けて解析。 当然ながら、副作用が患者に与える影響は免疫チェックポイント阻害薬のほうが軽度である(注意しなければならない副作用は特殊なものが多いが)。たとえ後解析でTMB高低によって差があったとしても、腫瘍細胞にPD-L1の発現が多ければ、今後はプラチナ併用療法を優先的に使う機会は少なくなるのではないだろうか。■参考1)Rizvi NA, et al. Science. 2015;348:124-128.2)AACR 2017 abstract

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ノバルティス、乳がんケアでIBMワトソン・ヘルスと協力

 スイス ノバルティスは2017年6月5日、がん治療を最適化し、患者のアウトカムの改善を目指す構想において、IBMワトソン・ヘルス(IBM Watson Health)と、この分野で初となる協力を発表した。乳がん治療の各選択肢について予測される結果の洞察を深めるため、2社が協力して開発を推進していく。 ノバルティスが持つ乳がんの専門知識と、IBMワトソン・ヘルスのデータ解析・機械学習技術を結びつけることで、患者に最善のアウトカムをもたらすと予測される組み合わせと順番を決定していく。ここでは、おもに患者のリアルワールドデータを利用する予定。 「ワトソン」は、新たなコンピューティングの時代を象徴するコグニティブ・コンピューティングを初めて商用化したもの。クラウドを基盤に提供されるこのシステムは、大規模なデータを分析し、自然言語で投げかけられた複雑な質問を解釈し、エビデンスに基づいた回答を提案する。「ワトソン」は過去のやり取りから継続的に学習し、時間とともに価値と知識を獲得していく。■参考ノバルティス株式会社のプレスリリース

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双極性障害の入院、5~7月はとくに注意

 イタリア・トリノ大学のAndrea Aguglia氏らは、双極性障害患者における光周期の影響について検討を行った。Revista brasileira de psiquiatria誌オンライン版2017年6月12日号の報告。 イタリアの入院患者に焦点を当て、双極性障害患者を24ヵ月間にわたり追跡調査した。2013年9月~2015年8月までにイタリア・トリノ(オルバッサーノ)のSan Luigi Gonzaga Hospitalの精神科に入院したすべての患者より抽出した。患者背景および臨床データを収集した。 主な結果は以下のとおり。・対象患者は730例であった。・双極性障害患者の入院率に季節的なパターンは認められなかったが、最大日光曝露であった5、6、7月は有意に高かった。・躁病エピソードを有する患者は、うつ病エピソードを有する患者と比較し、春および光周期(の昼の長さ)が長い時に入院が多かった。 著者らは「光周期は、双極性障害の重要な要素であり、環境因子としてだけでなく治療中に考慮すべき臨床パラメータである」としている。■関連記事双極性障害、再入院リスクの低い治療はどれか双極性障害の診断遅延は避けられないのか出生地が双極性障害発症時期に影響

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ADTにアビラテロンの併用で、ホルモン療法未治療の前立腺がんの生存延長/NEJM

 新たに診断されたホルモン療法未治療の転移のある前立腺がん患者において、アンドロゲン除去療法(androgen-deprivation therapy:ADT)に、アンドロゲン合成酵素(CYP17)の選択的阻害薬であるアビラテロン酢酸エステル(アビラテロン[商品名:ザイティガ])とprednisoneを併用することにより、全生存期間(OS)と画像評価による無増悪生存期間(rPFS)が有意に延長することが示された。フランス・パリ第11大学のKarim Fizazi氏らが、34ヵ国235施設で実施された第III相国際共同無作為化二重盲検比較試験「LATITUDE」の結果を報告した。NEJM誌オンライン版2017年6月4日号掲載の報告。前立腺がん患者をADT+アビラテロン+prednisone群とADT+プラセボ群に割り付け LATITUDE試験の対象は、無作為化前の3ヵ月以内に新たに診断された転移のある前立腺がん患者で、18歳以上、EOCG PS 0~2、ハイリスク(Gleasonスコア8以上、骨病変3つ以上、測定可能な内臓転移のこれら3つのリスク因子のうち2つ以上を有する)の患者1,199例。被験者は、アンドロゲン除去療法+アビラテロン(1,000mg/日[250mg×4錠]、1日1回)+prednisone(5mg/日、1日1回)投与群(アビラテロン群)と、アンドロゲン除去療法+プラセボ投与群(プラセボ群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目はOSおよびrPFSの2つで、Cox比例ハザードモデルを用いて解析された。ADT+アビラテロン+prednisone群で前立腺がん患者の死亡リスク38%低下 予定された1回目の中間解析(406例が死亡した後)は、追跡期間中央値30.4ヵ月で行われた。 OS中央値はADT+アビラテロン+prednisone群未達、ADT+プラセボ群34.7ヵ月で、ADT+アビラテロン+prednisone群において有意な延長を認めた(死亡のハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.51~0.76、p<0.001)。rPFS中央値も、ADT+アビラテロン+prednisone群33.0ヵ月、ADT+プラセボ群14.8ヵ月で、ADT+アビラテロン+prednisone群で有意に延長した(病勢進行または死亡のHR:0.47、95%CI:0.39~0.55、p<0.001)。また、疼痛増悪までの期間、次治療開始までの期間、化学療法開始までの期間、前立腺特異抗原(PSA)増悪までの期間(いずれもp<0.001)、症候性骨関連事象までの期間(p=0.009)のすべての副次評価項目についても、ADT+アビラテロン+prednisone群の結果が有意に良好であった。これらの結果から、独立データおよび安全性モニタリング委員会は、試験を非盲検化し、プラセボ群の患者にアビラテロンをクロスオーバー投与することを全会一致で推奨した。 安全性については、Grade 3の高血圧および低カリウム血症の有害事象の発現が、ADT+アビラテロン+prednisone群で多かった。 今回のアンドロゲン除去療法へのアビラテロン併用結果について著者は、「ホルモン療法未治療の転移のある前立腺がんに対する初回全身療法において、アンドロゲン受容体シグナル伝達のより効果的な阻害が、予後の改善につながるという仮説を支持するものであった」と述べている。

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リスペリドンと低力価抗精神病薬の併用、相互作用を検証

 ドイツ・アーヘン工科大学のMichael Paulzen氏らは、リスペリドン(RIS)の代謝に対する低力価抗精神病薬の影響をin vivoで調査した。Progress in neuro-psychopharmacology & biological psychiatry誌2017年6月2日号の報告。 1,584例を対象に、RISおよび代謝産物9-OH-RISの血中濃度を含む、治療薬モニタリングデータベースを分析した。RIS群(842例)およびchlorprothixene併用群(67例)、レボメプロマジン併用群(32例)、melperone併用群(46例)、ピパンペロン併用群(63例)、prothipendyl併用群(24例)を比較した。RIS、9-OH-RIS、活性物(RIS+9-OH-RIS:AM)の血中濃度、用量調節血中濃度(C/D)ならびに代謝比(9-OH-RIS/RIS:MR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・AMとRISにおいて、血中濃度の差異が認められた。・ペアワイズ比較では、RISの血中濃度は単独療法群よりも併用療法群で有意に高かった。・chlorprothixene併用群およびprothipendyl併用群では、ほかと差がないことが確認された。・レボメプロマジン併用群およびmelperone併用群では、AMとRISの血中濃度およびC/Dは高かったが、MRは低かった。・ピパンペロン併用群では、RISのC/D値が高く、MRが低かった。 著者らは「RISの代謝変化は、レボメプロマジンおよびmelperoneの薬物相互作用を示唆している。ピパンペロン併用群では、MRが低く、RISの血中濃度およびC/Dレベルが高いほど潜在的な相互作用が示唆される」としている。■関連記事抗精神病薬の併用療法、有害事象を解析抗精神病薬の副作用、医師にどれだけ伝えられているか:藤田保健衛生大抗精神病薬多剤併用大量療法と関連するペントシジン:順天堂大

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アミロイドβ蛋白が高いと認知機能低下リスクが高い/JAMA

 認知機能が正常でも、アミロイドβ蛋白値が高い人は正常値の人に比べ、認知機能低下リスクが高いことが示された。中央値3.1年の追跡調査の結果、アミロイドβ蛋白値が高い群で、ミニメンタルステート検査(MMSE)など3つの認知機能のスコアについて有意な低下が認められたという。米国・南カリフォルニア大学のMichael C. Donohue氏らが、認知機能の正常な445例を対象に、探索的データ解析を行い明らかにしたもので、JAMA誌2017年6月13日号で発表した。アミロイドβ蛋白値に応じて正常群とアミロイド上昇群に分けて分析 研究グループは2005年8月23日~2016年6月7日にかけて、国際プロジェクト「アルツハイマー病神経画像戦略(Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative:ADNI)」に参加する米国およびカナダの83施設で、認知機能が正常な445例についてアミロイドPET検査またはヒト脳脊髄液分析でアミロイドβ蛋白値を測定し、追跡調査を行った。 被験者をベースラインのアミロイドβ蛋白値に応じて、正常群(243例)とアミロイド上昇群(202例)に分け、認知機能低下リスクとの関連を分析した。 主要評価項目は、複合的な認知機能尺度のPreclinical Alzheimer Cognitive Composite(PACC:ベースライン時標準化zスコア計は4、認知機能低下とともにスコアも低下)、ミニメンタルステート検査(MMSE:最低点0~最高点30)、臨床的認知症重症度判定尺度(Clinical Dementia Rating Sum of Boxes[CDR-SB]:最高0点~最低18点)、ロジカルメモリの遅延再生検査(Logical Memory Delayed Recall[LMDR]:story unit数が最低0~最高25)のスコアだった。 被験者の平均年齢は74.0歳、平均教育年数は16.4年、女性は52%だった。アミロイドβ蛋白値の上昇群でいずれの認知機能スコアも有意に悪化 追跡期間中央値は3.1年(四分位範囲:2.0~4.2年、最長10.3年)。ベースラインの平均PACCスコアは0.00、平均MMSEスコアは29.0、CDR-SBは0.04、LMDRは13.1だった。 アミロイド上昇群は正常群に比べ、4年後の認知能力スコアは低かった。具体的に、アミロイド上昇群と正常群の平均スコア差は、PACCが1.51点(95%信頼区間[CI]:0.94~2.10、p<0.001)、MMSEが0.56点(95%CI:0.32~0.80、p<0.001)、CDR-SBが0.23点(95%CI:0.08~0.38、p=0.002)だった。LMDRスコアについては、両群で有意差はなく、平均スコア差は0.73(95%CI:-0.02~1.48、p=0.056)だった。 結果について著者は、「所見の臨床的重要性が不明である」として、各評価尺度で示された差の臨床的重要性に関する評価と、より長期にわたる関連性を調べる必要があるとまとめている。

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