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空腹時血糖異常なしでも脂肪肝指数で糖尿病発症を予測

 わが国の一般集団において、性別および空腹時血糖異常(impaired fasting glucose:IFG)の有無にかかわらず、脂肪肝指数(fatty liver index:FLI)が糖尿病発症と関連することを、慶應義塾大学の平田 あや氏らが報告した。IFGのない人でもFLIが糖尿病発症リスクの予測因子として有用であることが示唆された。Hepatology research誌オンライン版2018年1月17日号に掲載。 本研究では、特定健診に参加した男性1,498人および女性2,941人について、すべての参加者を性別ごとに、FLIの三分位(低、中、高)およびIFGの有無で6群に分類した。潜在的な交絡因子を調整し、Cox比例ハザードモデルを使用して各群の糖尿病発症のハザード比(HR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・平均追跡期間3.0年の間に、男性176人、女性320人が糖尿病と同定された。・IFGのない低FLI群と比べ、IFGのない高FLI群では、男性(HR:1.90、95%CI:1.08~3.36)および女性(HR:1.72、95%CI:1.18~2.51)とも糖尿病発症と有意に関連していた。・IFGありのすべての群において、FLIレベルにかかわらず糖尿病発症と有意に関連していた。

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卵巣がんアジュバント、腹腔内温熱化療で生存延長/NEJM

 StageIII上皮性卵巣がんの患者において、術前補助化学療法後の中間期腫瘍減量手術に、シスプラチンによる腹腔内温熱化学療法(HIPEC)を追加することで、無再発生存期間、全生存期間ともに延長することが示された。副作用の発現率も有意に高率とはならなかった。オランダ・Netherlands Cancer InstituteのWillemien J.van Driel氏らが、245例を対象に行った第III相多施設共同非盲検無作為化試験の結果で、NEJM誌2018年1月18日号で発表した。新規診断の進行卵巣がんでは、通常、腫瘍減量手術と全身化学療法が行われる。中間期腫瘍減量手術+シスプラチンによるHIPEC 研究グループは、2007年4月~2016年4月に、オランダとベルギーの8施設で、StageIII上皮性卵巣がんで術前補助化学療法としてカルボプラチン(曲線下面積5~6mg/mL/分)とパクリタキセル(175mg/m2)の投与を3サイクル実施後、病勢が安定以上だった245例を登録して試験を行った。 被験者を無作為に2群に分け、中間期腫瘍減量手術に追加して、一方にはシスプラチン(100mg/m2)によるHIPECを行い、もう一方には行わなかった。 無作為化は、手術で肉眼的病変が消失すると判断された症例(完全腫瘍減量手術)や、術後に径10mm以下の腫瘍が1つ以上残存すると判断された症例(最善の腫瘍減量手術)を対象に、手術が実施可能とみなされた時点で行った。術後に、カルボプラチンとパクリタキセルの投与をさらに3サイクル行った。 主要評価項目は無再発生存期間。キー副次評価項目として、全生存期間と副作用プロファイルを評価した。再発・死亡リスクはHIPEC追加群で約0.66倍に intention-to-treat解析の結果、再発または死亡の発生は、非HIPEC(手術単独)群89%(123例中110例)に対し、HIPEC(手術+HIPEC)群は81%(122例中99例)だった(ハザード比[HR]:0.66、95%信頼区間[CI]:0.50~0.87、p=0.003)。 無再発生存期間の中央値は、手術単独群10.7ヵ月、手術+HIPEC群は14.2ヵ月だった。 中央値4.7年の追跡期間中、死亡の発生は手術単独群76例(62%)、手術+HIPEC群は61例(50%)だった(HR:0.67、95%CI:0.48~0.94、p=0.02)。全生存期間中央値は、手術単独群33.9ヵ月、手術+HIPEC群は45.7ヵ月だった。 なお、Grade3または4の有害事象の発現頻度は、手術単独群25%、手術+HIPEC群27%で同程度だった(p=0.76)。

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成人不眠症に対する音楽療法に関するメタ解析

 原発性不眠症は、成人における最も一般的な問題の1つである。しかし、不眠症に対する非薬理学的介入として、音楽療法を用いるべきか、またどのような治療を優先すべきか、についてはよくわかっていない。中国・The 302nd Hospital of Chinese PLAのFan Feng氏らは、原発性不眠症患者を対象に、音楽療法群(介入群)と非音楽療法群(対照群)との比較を実施するため、検討を行った。International journal of nursing studies誌2018年1月号の報告。 関連する臨床試験からエビデンスを特定するため、ネットワークメタ解析を行った。2017年5月までに発表された原発性不眠症患者に対する音楽療法に関する試験を、PubMed、Embase、Cochrane Library、China National Knowledge Infrastructure Libraryより検索した。事前に指定した主要アウトカムは、睡眠の質とし、副次的アウトカムは、入眠潜時と睡眠効率とした。ランダム効果モデルを用いてペアワイズメタ解析を行い、その後、ランダム効果ネットワークメタ解析を完遂した。 主な結果は以下のとおり。・適格な試験として20件が抽出された(1,339例、12介入群)。・PSQI(ピッツバーグ睡眠質問票)スコアでは、すべての介入群が対照群よりも統計学的に有意であり、音楽を聴いていた患者において、最良の介入手段とみなされた(SMD:-0.61、95%CrI:-1.01~-0.20)。・全体的な睡眠の質に関しては、音楽に関連したリラクゼーションのみが、対照群よりも統計学的に効果的であった(SMD:-0.28、95%CrI:-0.48~-0.08)。・入眠潜時に関しては、音楽に関連したリラクゼーション(SMD:-0.26、95%CrI:-0.64~-0.09)および音楽を聴くこと(SMD:-0.28、95%CrI:-0.53~-0.02)が有意な利点であった。・睡眠効率に関しては、音楽を聴くことおよび運動を伴う音楽介入において、改善傾向が認められた。 著者らは「音楽療法は成人原発性不眠症患者に明確な利点をもたらし、音楽を聴くことや音楽に関連したリラクゼーションは、音楽療法の利用において考慮すべき最良の選択肢であると考えられる」としている。■関連記事音楽療法が不眠症に有用不眠症の人おすすめのリラクゼーション法とは音楽療法にうつ症状改善は期待できるか

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ウイルス抑制HIVの維持療法、ドルテグラビル+リルピビリンが有望/Lancet

 ウイルスが抑制されているHIV-1感染患者の維持療法において、ドルテグラビル+リルピビリン療法は、現在の抗レトロウイルス療法(ART)レジメン(current ART regimen:CAR)に対し非劣性であることが、スペイン・Germans Trias大学病院のJosep M. Llibre氏らが行ったSWORD-1とSWORD-2試験のプール解析で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年1月5日号に掲載された。HIV-1感染の1次および2次治療では、3剤によるARTが標準とされるが、投与は生涯にわたることから、累積的な薬剤の曝露や毒性を最小化するために、2剤併用レジメンへの関心が高まっている。ドルテグラビル(インテグラーゼ鎖転移阻害薬)とリルピビリン(非核酸系逆転写酵素阻害薬)の安全性、忍容性、有効性は、この2剤に併用レジメンとしての適合性があり、実質的に有効である可能性を示唆していた。12ヵ国、1,000例以上で、2剤レジメンの非劣性を検討 SWORD-1とSWORD-2は、ドルテグラビル(50mg)+リルピビリン(25mg)の1日1回投与とCAR継続投与の有効性および安全性の評価を目的に、12ヵ国の参加の下、同じ試験デザイン(多施設共同、非盲検、無作為化、並行群間比較、非劣性)で行われた第III相試験である(ViiV HealthcareとJanssen Pharmaceutica NVの助成による)。 対象は、年齢18歳以上で、スクリーニング時に3剤を用いた1次または2次ARTにより、血漿HIV-1 RNA量が6ヵ月以上安定(ウイルス量<50コピー/mL)している患者であった。 主要エンドポイントは、試験薬の投与を1回以上受けた患者における、48週時のウイルス量<50コピー/mLの患者の割合であった。非劣性マージンは-8%とした。 患者のスクリーニングは、SWORD-1試験が2015年4月14日~10月15日に、SWORD-2試験が2015年4月21日~9月25日にそれぞれ行われた。ドルテグラビル+リルピビリン群に516例、CAR継続群に512例が割り付けられた。主要エンドポイントは両群とも95% ベースラインの全体の年齢中央値は43歳(範囲:21~79)で、約7割が50歳未満であり、女性は22%、白人が80%であった。最も多く使用されていたARTは、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(ドルテグラビル+リルピビリン群:73%、CAR継続群:70%)およびエムトリシタビン(69%、67%)であった。 48週時のintention-to-treat集団のプール解析では、ウイルス量<50コピー/mLの患者の割合は、両群とも95%(ドルテグラビル+リルピビリン群:486/513例、CAR継続群:485/511例)であった。補正後の治療群間の差は-0.2%(95%信頼区間[CI]:-3.0~2.5)であり、ドルテグラビル+リルピビリン群のCAR継続群に対する非劣性が確認された。 有害事象は、ドルテグラビル+リルピビリン群で77%(395/513例)、CAR継続群で71%(364/511例)発現した。最も頻度の高い有害事象は、鼻咽頭炎(ドルテグラビル+リルピビリン群:10%[49例]vs.CAR継続群:10%[50例])および頭痛(8%[41例]vs.5%[23例])であった。治療中止の原因となった有害事象の割合は、ドルテグラビル+リルピビリン群のほうが高かった(3%[17例]vs.<1%[3例])。 著者は、「これらの結果は、ウイルスが抑制されたHIV患者の維持療法において、この2剤併用レジメンの使用を支持するもの」としている。

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自撮り写真でのにきびの遠隔診断、対面診断とほぼ一致

 テレダーマトロジー(遠隔皮膚診断)は過去20年で急激に成長し、特定の皮膚科アプリケーションについて多くの技術革新が、必ずしも検証研究を受けることなく利用できるようになっている。米国・コロンビア大学のHannah M. Singer氏らは、予備的な臨床試験を行い、Network Oriented Research Assistant(NORA)による自己撮影写真を用いたざ瘡(にきび)の評価と、対面診断の結果が一致することを明らかにした。著者は、「NORAは信頼性が高い遠隔診療技術であり、皮膚科学研究のための遠隔皮膚診断プラットフォームとして使用することができ、皮膚科診療へのアクセスを増やすことができるものである」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2017年12月20日号掲載の報告。 研究グループは、NORAを使用し患者自身が撮影したざ瘡の写真を使った医師による総合的な重症度評価(Investigator's Global Assessment:IGA)所見が、対面診断した所見と一致するかどうかを検討する目的で、予備的な信頼性試験を行った。 2016年1月1日~3月31日に、カリフォルニア州ロサンゼルス市の皮膚科診療所1施設において、iPhone 6でNORAを使用することが可能なざ瘡患者を連続して登録した。すべての参加者は、iPhone 6でNORAを使用して自分の顔の写真を撮る方法について訓練を受けた。同じ皮膚科医が、写真のデジタル評価とざ瘡の対面診断を、1週間以上の間隔を空けて行った。 評価項目は、ざ瘡の病変数(合計、炎症性病変、非炎症性病変および嚢胞性病変数)とざ瘡重症度に関するIGAで、NORAによるざ瘡評価のための自己撮影写真の信頼性を、対面診断所見と比較した。 主な結果は以下のとおり。・計69例(男性37例[54%]、女性32例[46%]、平均年齢[±SD]22.7±7.7歳)が登録された。・ざ瘡の対面診断と写真のデジタル評価の級内相関係数は、強い一致性を示した。・級内相関係数は、合計病変数(0.81)、IGA(0.75)、炎症性病変数(0.72)、非炎症性病変数(0.72)、嚢胞性病変数(0.82)であった。

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米国成人におけるウイルスとうつ病との関連

 うつ病などの気分障害は、一般的な精神疾患である。うつ病に関連する因子には、C型肝炎、インフルエンザ、水痘帯状疱疹、ヘルペスなどのウイルスを含む感染症への曝露がある。米国・ブリガムヤング大学のShawn D. Gale氏らは、ウイルス曝露とうつ病とのさらなる関連を評価するため検討を行った。Psychiatry research誌オンライン版2017年12月20日号の報告。 米国疾病管理予防センターと米国国民健康栄養調査より、うつ状態や抗うつ薬の使用、A型肝炎、B型肝炎、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、ヒト免疫不全ウイルス、サイトメガロウイルスへの曝露、および社会人口統計学的変数に関するデータを収集し、調整された多変量モデルにおけるうつ病とウイルス曝露との関連性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・単純ヘルペスウイルス2型は、うつ病のリスク上昇と関連が認められたが、A型肝炎、B型肝炎、単純ヘルペスウイルス1型では認められなかった。・サイトメガロウイルスの血清反応陽性の患者において、より高いサイトメガロウイルス抗体レベルは、うつ病との関連が認められた。 著者らは「米国成人においては、単純ヘルペスウイルス2型への曝露および、おそらくはサイトメガロウイルスへの曝露が、うつ病と関連している」としている。■関連記事うつ病既往で感染症リスク増加うつ病と性行為感染症リスク、その関連を検証うつ病になりやすい性格

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経済的インセンティブで、医療の質は改善しない/BMJ

 OECD加盟国では医療の質改善に経済的インセンティブを用いており、低・中所得国でその傾向が増大している。ただ、先頭を走っているのは米国と英国であり、他国は両国の施策をモニタリングし導入を決定している状況にある。米国ではここ10年で、病院医療の質改善にインセンティブを与えることは一般的になっているが、先行研究で「P4P(Pay for Performance)プログラムは、臨床的プロセスへの影響は限定的で、患者アウトカム改善や医療費削減に影響を及ぼさない」ことが示されている。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のIgna Bonfrer氏らは、これまで行われていなかった、米国における時期の異なる2つのプログラム(HQID[2003~09年]、HVBP[2011年~])参加病院の、インセンティブの影響について比較する検討を行った。その結果、HQIDから参加し10年以上インセンティブを受けている病院が、HVBPからの参加病院と比べて、医療の質が優れているというエビデンスは認められなかったという。BMJ誌2018年1月3日号掲載の報告。P4P初期採択病院と後期採択病院の臨床的プロセススコアと30日死亡率を比較  HQID(Premier Hospital Quality Incentive Demonstration)は、2003~09年にメディケア・メディケイドサービスセンターによって実行された任意参加のプログラムで、それをモデルに開発され、Affordable Care Act(ACA、通称オバマケア)でナショナルプログラムとして採択されたのがHVBP(Hospital Value- Based Purchasing)である。 研究グループは、HQIDに任意参加した病院(初期採択病院)と、HVBPの施策導入によってインセンティブを受けるようになった病院(後期採択病院、規模・地域などで適合)について、臨床的プロセススコアと30日死亡率を比較する観察研究を行った。30日死亡率については、3つの疾患(急性心筋梗塞・うっ血性心不全・肺炎:標的疾患)とそれ以外の疾患(非標的疾患)について評価した。 対象は、1,189病院(初期採択病院214、適合後期採択病院975)で、2003~13年のHospital Compare(米国政府下で消費者のために開設されている病院比較サイト)のデータを用いた。解析に含まれた患者は65歳以上の137万1,364例。全例がメディケア被保険者であった。インセンティブがあってもなくても10年経ったら同レベルに ベースライン(2004年)時の臨床的プロセススコア(平均値)は、初期採択病院91.5点、後期採択病院89.9点で、初期採択病院のほうがわずかだが高かった(スコア差:-1.59、95%信頼区間[CI]:-1.98~-1.20)。しかし、初期採択病院のHQID期間中の改善は小さく(年間変化:2.44点 vs.2.65点、スコア差:-0.21、95%信頼区間[CI]:-0.31~-0.11)、それでもHVBP導入前は後期採択病院よりもわずかだが高いスコアを維持していたが(スコア差:-0.55、95%CI:-1.01~-0.10)、ベースラインから10年後(2014年)のHVBP導入後では、両群とも同レベルの上限値(98.5点 vs.98.2点)に達しており、差は認められなくなっていた。 30日死亡率についても、ベースライン時の標的疾患の同値は12.2% vs.12.5%で、HQID期間中は両群ともに同様に低下し、HVBP期間中の同値は9.4% vs.9.7%で差はみられなかった(HVBP導入前 vs.導入後の傾向の%差:0.05%、95%CI:-0.03~0.13、p=0.25)。非標的疾患の30日死亡率についても同様に差は認められなかった(同%差:-0.02%、95%CI:-0.07~0.03)、p=0.48)。 結果を踏まえて著者は、「P4Pプログラムと、米国の不明瞭な医療政策アジェンダに世界中の関心が高まっている中で、政策立案者は意味のある効果を得ようと時間を費やすのならば、プログラムはインセンティブを増大するが、医業を変える手段としては不十分なこと、患者にとって最も重要な測定値(死亡率、患者の経験、機能状態)を絞り込むことを、考えるべきである」と提言している。

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脳梗塞急性期患者に抗血小板薬の3剤併用療法は、有効性と安全性の両面から推奨できない(解説:内山真一郎氏)-803

 TARDIS試験は、発症後48時間以内の脳梗塞または一過性脳虚血発作(TIA)において、アスピリン、クロピドグレル、ジピリダモールの3剤併用療法の有効性と安全性を、英国のガイドラインに基づくクロピドグレル単独療法かアスピリンとジピリダモールの2剤併用療法と比較する、国際共同研究による非盲検の無作為化比較試験であった。結果として、3剤併用療法は脳卒中やTIAの頻度や重症度を減少させず、重大な出血を増加させてしまった。 発症後24時間以内のTIAと軽症脳梗塞を対象にしたCHANCE試験では、アスピリンとクロピドグレルの併用療法はアスピリン単独療法に比べて、出血を増加させることなく脳卒中の再発を抑制した。TARDISでは中等症や重症の脳梗塞患者も含まれており、このような患者に対して3剤併用療法は出血を助長して危険なのかもしれない。また、TARDISでは24~48時間後の患者も含まれたため、血栓溶解療法施行患者が多く含まれた。CHANCEやSOCRATES試験では、血栓溶解療法施行例は除外された。実際、TARDISでは、血栓溶解療法が終了してから24時間以後に抗血小板療法が開始されたにもかかわらず、血栓溶解療法との相互作用は存在した。 今回用いられた3剤のうち、日本ではジピリダモールではなくシロスタゾールが用いられているが、発症後48時間以内のすべての脳梗塞・TIA患者に対する3剤併用療法は、有効性と安全性の両面から推奨できないという結論になる。脳梗塞の重症度、発症からの時間、血栓溶解療法施行例以外に脳梗塞の病型も重要であり、急性期の強力な抗血小板療法はラクナ梗塞には危険であり、アテローム血栓性脳梗塞に限定すべきかもしれない。

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血漿中脂質過酸化反応に対する抗精神病薬の影響

 ポーランド・ウッチ医科大学のAnna Dietrich-Muszalska氏らは、ユニークな作用機序を有する新規抗精神病薬であるアリピプラゾールに関して、酸化ストレスのマーカーであるTBARS(チオバルビツール酸反応性物質)レベルで測定したヒト血漿中脂質過酸化に及ぼす影響について、クエチアピン、オランザピン、クロザピン、リスペリドン、ziprasidoneなどの他の抗精神病薬と比較し、評価を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2017年12月27日号の報告。 各抗精神病薬の比較に際しては、急性期統合失調症治療に用いられる臨床有効用量に対する最終濃度において評価を行った。TBARSレベルは、分光光度法により測定した。 主な結果は以下のとおり。・急性期統合失調症治療に推奨される用量の抗精神病薬は、血漿中の脂質過酸化生成物(TBARS)レベルの明らかな変化を誘発する可能性があることが示唆された。・アリピプラゾールは、血漿中の脂質過酸化マーカーのレベルに影響を及ぼさなかったが、より低用量で使用された場合、クロザピン同様にわずかな酸化促進特性を示した。・クエチアピンは、リスペリドン、ziprasidone、ハロペリドール、クロザピンの低用量での酸化促進作用とは対照的に、最も強い抗酸化特性を示した。・オランザピンは、低用量でのみTBARSレベルを低下させた。 著者らは「急性期統合失調症治療に推奨される用量の抗精神病薬は、血漿脂質過酸化の明らかな変化を誘発する。アリピプラゾールは、血漿脂質過酸化の有意な変化を誘発しなかった。統合失調症患者の臨床症状および抗精神病薬の使用に伴う酸化ストレスの役割を考慮するため、さらなる研究が必要である」としている。■関連記事アリピプラゾール vs.その他の非定型抗精神病薬:システマティックレビュー非定型抗精神病薬による体重増加・脂質異常のメカニズム解明かカルボニルストレス、統合失調症との関連を解析:都医学研

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健康的な食事の順守、肥満遺伝リスクの高い人ほど有効/BMJ

 健康的な食事パターンの順守は、体重増加との遺伝的関連性を弱める可能性が示された。米国・テュレーン大学のTiange Wang氏らによる、遺伝的素因と食事の相互作用解析の結果で、その有益な影響は、とくに肥満の遺伝的リスクの高い人々で明確にみられたことも示された。多くの先行試験で、健康的な食事パターンの順守が体重減と関連することは明らかになっていたが、そうした食事の質のスコアと肥満の遺伝的素因(BMIや体重の長期的な変化に関連するもの)との関連性については、これまで検討されていなかったという。BMJ誌2018年1月10日号掲載の報告。米国NHSとHPFS参加者のデータを解析 研究グループは、米国で行われた2つの前向きコホート研究である「看護師健康調査」(Nurses' Health Study:NHS)と「医療従事者追跡調査」(Health Professionals Follow-up Study:HPFS)のデータを用いて、健康的な食事パターンの順守と遺伝的リスク、および長期体重増加との関連性について解析した。 NHS参加者8,828例、HPFS参加者5,218例について、BMIと関連した77個の変異遺伝子に基づき遺伝的素因スコアを算出。また、代替健康食指数2010(Alternate Healthy Eating Index:AHEI 2010)、高血圧予防食(Dietary Approach to Stop Hypertension:DASH)、代替地中海食(Alternate Mediterranean Diet:AMED)のスコアで食事パターンを評価した。 主要評価項目は、追跡期間中(1986~2006年)の4年ごとに5回にわたって行った、BMIと体重の変化とした。健康的な食事パターンの順守と遺伝的リスク、BMI・体重との関連が明らかに 20年間の追跡期間中、BMIの変化と関連する遺伝的素因は、AHEI 2010の順守率が高いほど、有意な減弱が認められた(NHS群の相互作用のp=0.001、HPFS群の同p=0.005)。 両コホートの統合解析の結果、4年単位のBMI値の変化(10リスク対立遺伝子増分につき)は、AHEI 2010スコア低下群では0.07(SE 0.02)に対し、同スコア上昇群では-0.01(0.02)であった。体重変化はそれぞれ0.16(0.05)kgに対し、-0.02(0.05)kgであった(相互作用のp<0.001)。 見方を変えると、BMI値の変化は、AHEI 2010スコアの1SD増加につき、遺伝的リスクが低い群では-0.12(0.01)、中等度群は-0.14(0.01)、高い群は-0.18(0.01)であることが示された。体重変化はそれぞれ、-0.35(0.03)kg、-0.36(0.04)kg、-0.50(0.04)kgであった。 同様の相互作用は、DASHスコアに関してもみられたが、AMEDスコアについてはみられなかった。

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ORBITA試験:冷静な判断を求む(解説:野間重孝氏、下地顕一郎氏)-800

 COURAGE試験において安定狭心症に対するPCIは、薬物療法に比してMIや死亡を減らすことができないことが示され、現在では症状の改善を主目的として施行されている。そこで狭心症状という主観的なアウトカムが、PCIのプラセボ効果による修飾を受けているのではないかとの設問を立て、PCIのプラセボ手術(sham operationといった方が一般的か)を用いてこれを検証したところ、PCIは症状の改善すら薬物療法に対しての優位性を示せなかったというのが本論文の結論であった。倫理的な問題は後述するとして、手法としては完全であった点では評価されなければならないと思われる。 しかし、一方で懸念されるのは、この結果が拡大解釈されることである。Lancet同号のeditorialでは「安定狭心症に対するPCIの息の根をとめるか?」という激しいタイトルで、「薬物療法に対して不応な症例ですらPCIは無益」で「すべてのguidelineでPCIを格下げすべきである」と感情的とさえいえる論評が加えられているが、本試験の筆頭著者であるAl-Lameeさえもこれには異論を唱えている。注意しなければならないのは以下の2点であると考える。 まず挙げられなければならない点は、RCTの常としてリアルワールドを反映していないということである。本論文ではmedical therapyとして週1~3の電話相談、しかも家庭血圧と家庭心拍を密にモニターしているが、実臨床では実現不可能であろう。この点は筆者も十分理解しており、「労作性狭心症に対するPCIを絶対にするなという意味ではない。すべての患者が何剤もの抗狭心症薬を永遠に内服することをよしとするわけではない」、「リスクの低いPCI手技をして薬剤を減らすことを望む」患者にはPCIが治療選択となることを述べている点は看過されてはならないと思う。 もう1点は、重症虚血の症例にまでこの結果を適用してはならないということである。COURAGE試験のサブ解析でも、SPECT上のischemic burdenを5%以上減じればMIや死亡を減らすことができることと、PCI群でischemic burdenの有意な減少が得られたことを報告している。先行研究において、血行再建によってもたらされる利益が薬物療法を上回る閾値は10%以上の重症虚血であったこと、さらにLMT含む重症虚血が除外されているCOURAGE試験での治療前値が8%台であったことを考慮すると、COURAGE試験の結果を重症虚血に安易に拡大解釈することは危険なのは明らかであろう。同様に重症虚血を除外している本試験の結果は、もちろん重症虚血例に対して拡大解釈することはできない。現に本試験では、約1/3の症例でFFR/iFRで虚血が証明されていない。ちなみに本試験でも、FFR/iFRやドブタミン負荷心エコーではPCI群で虚血の改善をみている。すなわち現時点で“軽症の虚血においては”、血行再建は生命予後にも症状の緩和にも明らかな優位性を見いだせないということ以上の解釈はできず、すべての安定狭心症に対して血行再建を行うことが無益だという解釈は誤りである。 さらに、論文評として議論しておかなければならないのが、プラセボ手術の問題であろう。このような研究法(観血的な偽治療)が初めて試されたのは、腎動脈焼灼術による血圧変化を検討したrandomized studyにおいてだった。この時は、シースは挿入するがそれ以降の積極的な操作は何も行わないというものだったのだが、賛否両論が沸き起こったのを記憶している。今回はpressure wireを挿入するなど本格的手技に準ずる手技が行われており、しかも4例で合併症が、3例で大出血がみられたのである。安全性に問題のあるプラセボ治療は、プラセボ治療とはいえない。関係者の再考を促したいとともに、このような対照の取り方が、どのような目的であれ、無制限に拡大していくことを憂慮するものである。 ただし、本試験から虚心に学ぶべきことも多い。当然だが術前の虚血評価と薬物の最適化は重要であること、ましてangiographicにも中等度狭窄に対してのPCIは厳に非難されるべきものであること(実際、業績が欲しくて不必要なPCIが行われているケースが多々みられることは、残念ながら事実)、PCIのリスクがあまりに高い軽症の虚血の患者には厳重な薬物療法の選択肢も十分ありうることなどである。一方で、重症虚血の患者に対してひとたびPCIによる血行再建の選択をした際には、虚血を残すことなく解除することが絶対の前提であることは確認しておきたい。そのためにはCTOを含めた複雑病変に対する治療技術、angioguideのみでは見落としがちな病変をimaging device、FFR/iFRを駆使して完全血行再建を行うstrategyの構築が重要で、これが不可能なのであればCABGを選択して完全血行再建を目指すべきである。

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FDA、変異転移性乳がんにオラパリブ承認

 米国食品医薬品局(FDA)は2018年1月12日、過去に術後補助療法あるいは転移がんへの治療として化学療法を受けた病的変異または病的変異が疑われる生殖細胞系列BRCA(gBRCA)遺伝子変異陽性/HER2陰性(HER2-)の転移を有する乳がん治療に対するPARP阻害薬オラパリブを本承認した。 今回の承認は、オープンラベル多施設試験OlympiADの結果に基づくもの。この試験では、上記患者302例をオラパリブ群と医師選択の化学療法(カペシタビン、ビノレルビンまたはエリブリン)群に2対1で無作為割り付けし、比較した。主要有効性評価項目は、盲検独立中央評価(BICR)評価による無増悪生存(PFS)。結果、推定PFS中央値はオラパリブ群7.0ヵ月、化学療法群4.2ヵ月と、有意にオラパリブ群で延長した(HR:0.58、95%CI:0.43~0.80、p=0.0009)。オラパリブ群でよくみられた(20%以上)有害事象は、貧血、悪心、疲労(無力症含む)、嘔吐、好中球減少症、白血球減少症、気道感染、下痢、敗血症、関節痛/筋肉痛、頭痛などであった。 FDAはまた、オラパリブの適応となgBRCA変異乳がん患者を特定するため、BRACAnalysis CDx検査(Myriad Genetic Laboratories、Inc.)に販売許可を付与した。■参考FDAアナウンスメントOlympiAD試験(Cinical Trials.gov)Robson M, et al. N Engl J Med. 2017. June 4. [Epub ahead of print]■関連記事PARP阻害薬olaparib、BRCA変異乳がんの生存を42%改善/ASCO2017OlympiAD試験(解説:矢形 寛氏)

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ニボルマブ・イピリムマブ併用、腎細胞がんに国内申請

 小野薬品工業株式会社とブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社は2018年1月15日、抗PD-1抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ)および抗CTLA-4抗体イピリムマブ(商品名:ヤーボイ)について、根治切除不能又は転移性の腎細胞がんに対する両剤の併用療法に係る国内製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったと発表。 今回の申請は、未治療の進行性又は転移性の腎細胞がん患者を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用療法の国際(日本を含む)共同試験(ONO-4538-16/CA209214/CheckMate-214試験)の結果に基づいている。 CheckMate-214試験は、未治療の進行または転移性腎細胞がん患者を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用群をスニチニブ単独群と比較評価した第Ⅲ相無作為化オープンラベル試験。本試験において、併用療法群はスニチニブ単独群と比較して、Co-Primary Endpointである中~高リスク患者における全生存期間および奏効率の改善を達成した。同じくCo-Primary Endpointである無増悪生存期間については、併用療法群で改善を示したものの、統計学的な有意差は認められなかった。 投与中止につながる副作用は、併用療法群(547例)の22%、スニチニブ単独群(535例)の12%で報告された。併用療法群で多く報告されたGrade3/4の副作用は、疲労(4%)、下痢(4%)、発疹(2%)、悪心(2%)であり、1%未満ではそう痒症、甲状腺機能低下症、嘔吐および高血圧が発現した。スニチニブ単独群で多く報告されたGrade3/4の副作用は、高血圧(16%)、疲労(9%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群(9%)、口内炎(3%)、粘膜炎(3%)、嘔吐(2%)、悪心(1%)、食欲減退(1%)、甲状腺機能低下症(1%未満)および味覚異常(1%未満)であった。治療関連死は、併用療法群で7例、スニチニブ単独群で4例報告された。■参考CheckMate-214試験(Clinical Trials.gov)

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性行為中に死亡するリスクとは?【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第107回

性行為中に死亡するリスクとは? いらすとやより使用 さて今回は、ちょっぴりオトナな感じの“おどろき”論文を紹介しましょう。 Lange L, et al.Love Death-A Retrospective and Prospective Follow-Up Mortality Study Over 45 Years.J Sex Med. 2017;14:1226-1231.腹上死は男性の憧れ、なんて人もいるかもしれませんが、女性と愛し合っている最中に死ぬなんて残された人間からしてみれば、たまったもんじゃありません。この論文は、膨大な剖検例のうち、性行為中に死亡した症例を抽出して解析した珍しい研究です。――― 一体ベッドの上で何が起こったのか。これはドイツのヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ大学の法医学教室で行われた研究です。1972年からの45年間におよそ3万8,000例の剖検が行われました。さて、そのうち性行為中に亡くなった人数はどのくらいだと思いますか?答えは、99人(0.26%)です。ちなみに、この中には自慰(マスターベーション)中に死亡した30人も含まれていますのでご注意を。自慰を性行為と表記していいのか迷うところですが…。まぁ、それでも残りの人は間違いなく性行為によって死亡しているので、参考にはできそうですね。同時期に発表された別の研究1)では、心停止4,557人中34人という報告があります。これだと、頻度は0.75%ということになりますね。全体の1%はいないけれど、思ったよりも結構いるもんだなというのが正直な感想です。さて、上記99人のうち、8人が女性で91人が男性でした。ほぼほぼ男性に起こる現象と考えてよさそうですね。女性の平均年齢は45歳で、男性の平均年齢は57.2歳でした。死因は、28人が冠動脈疾患、21人が心筋梗塞、17人が再梗塞、12人が脳出血、8人が動脈瘤破裂、8人が心筋症、2人が急性心不全、1人が突然死(原因不明)、1人が心筋炎、1人が心筋梗塞+コカイン中毒でした。ほとんどの剖検例では、心重量が増加しており、BMIも標準より高かったそうです。つまり、メタボリックシンドロームを背景にした心臓血管系による死亡が多い、ということです。性行為中の死亡が多かったのは、主に春夏の暖かい季節で、場所は故人の家であることが多かったそうです。 性行為のパートナーが同定できたケースを見てみると、34人の男性が売春婦との性行為により死亡しており、9人が妻、7人が愛人、4人がライフパートナーという結果でした。自慰例も含めたデータではありますが、性行為による死亡は、基礎疾患として心血管系に問題がある男性に多いと著者は結論づけています。それがリスク因子なのかどうかは別の解析をしないと何とも言えないのですが、おそらくリスク因子になるのだろうと私は考えます。先ほど紹介した同時期の別の研究1)では、性行為関連心停止は、心室細動や心室頻拍が有意に多くみられ、これが死につながった可能性があると考えられています。1)Aro AL, et al. J Am Coll Cardiol. 2017 Oct 30. [Epub ahead of print]

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軽~中等度アルツハイマー病に新薬idalopirdineは有効か/JAMA

 選択的セロトニン5-HT6受容体拮抗薬idalopirdineは、軽度~中等度アルツハイマー病(AD)患者の認知機能を改善しないことが、米国・California Pacific Medical CenterのAlireza Atri氏らが、idalopirdineの24週間投与の有効性を検証した3件の第III相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験(STARSHINE、STARBEAM、STARBRIGHT)の結果を報告した。アルツハイマー病は、高齢者での有病率が上昇し、治療費も増加していることから、新たな治療法が必要とされているが、今回の結果を受けて著者は、「アルツハイマー病の治療にidalopirdineを用いることは支持されない」とまとめている。JAMA誌2018年1月9日号掲載の報告。軽度~中等度アルツハイマー病患者2,525例でidalopirdine併用の有効性を評価 研究グループは2013年10月~2017年1月に、STARSHINE試験、STARBEAM試験およびSTARBRIGHT試験を行った。対象は、50歳以上の軽度~中等度アルツハイマー病患者2,525例(各試験参加者は933例[119施設]、858例[158施設]、734例[126施設])であった。 STARSHINE試験およびSTARBEAM試験ではドネペジル(商品名:アリセプトほか)、STARBRIGHT試験ではドネペジル、リバスチグミン(同イクセロン、リバスタッチ)またはガランタミン(同レミニール)に、idalopirdine(10mg、30mg、60mg)またはプラセボを24週間併用投与した(最終追跡調査は2017年1月12日)。 主要エンドポイントは、11項目の認知機能評価スコア(Alzheimer's Disease Assessment Scale cognitive subscale[ADAS-cog]:0~70点の範囲で得点が低いほど障害は少ないことを示す)。キー副次エンドポイントは、全般的臨床症状評価(AD Cooperative Study-Clinical Global Impression of Change[ADCS-CGIC])の変化尺度と23項目評価の日常生活動作(ADCS-ADL:ADCS-Activities of Daily Living scale)のスコアであった。主要エンドポイントおよび1つ以上のキー副次エンドポイントについて、プラセボに対し有意差が認められた場合に、その投与群は有効であるとした。認知機能評価スコアの変化、idalopirdineとプラセボで有意差なし 2,525例(平均年齢74歳、ベースラインのADAS-Cogスコア平均26点、女性が62~65%)のうち、2,254例(89%)が試験を完遂した。 ADAS-Cogスコアの24週時におけるベースラインからの変化量は、STARSHINE試験でidalopirdine 60mg群0.37、同30mg群0.61に対し、プラセボ群0.41であった(プラセボ群との補正後平均差:60mg群0.05[95%信頼区間[CI]:-0.88~0.98]、30mg群0.33[95%CI:-0.59~1.26])。STARBEAM試験では、idalopirdine 30mg群1.01、同10mg群0.53に対し、プラセボ群0.56であった(対プラセボの補正後平均差:30mg群0.63[95%CI:-0.38~1.65])。STARBRIGHT試験では、idalopirdine 60mg群0.38に対し、プラセボ群0.82であった(補正後平均差:-0.55[95%CI:-1.45~0.36])。 治療下に発現した有害事象(TEAE)の発現率は、idalopirdine群で55.4%~69.7%、プラセボ群で56.7%~61.4%であった。

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抗PD-L1抗体アテゾリズマブ、肺がんに国内承認

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長 CEO:永山 治)は、抗PD-L1モノクローナル抗体アテゾリズマブ(商品名:テセントリク点滴静注1200mg)に関し2018年1月19日、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能・効果として厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表。 アテゾリズマブは米国を含む50ヵ国以上で、化学療法治療歴がある転移性非小細胞肺がん(NSCLC)ならびに白金製剤ベースの化学療法の治療歴のある、もしくはcisplatinベースの化学療法が不適格な局所進行または転移性尿路上皮がんに対する承認を取得している。国内では、NSCLCを対象とした7つの臨床試験を実施し、テセントリク単剤または他の薬剤との併用による評価を行っている。また、非小細胞肺がんに加え、小細胞肺がん、尿路上皮がん、乳がん、腎細胞がん、卵巣がん、前立腺がんを対象とした第III相臨床試験を実施している。■「アテゾリズマブ」関連記事アテゾリズマブ、小細胞肺がんのOS、PFS改善(IMpower133)/NEJM

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リアルワールドデータにおける治療抵抗性うつ病

 抗うつ薬に反応しないうつ病を、治療抵抗性うつ病(TRD:treatment-resistant depression)という。TRDの定義には、治療反応、治療用量、治療期間の評価が含まれるが、これらの定義を医療保険データベースで実施することは困難である。米国・ヤンセン・リサーチ&ディベロップメントのM. Soledad Cepeda氏らは、データ駆動型TRD定義を構築し、その性能を評価した。Depression and anxiety誌オンライン版2017年12月15日号の報告。 対象は、1剤以上の抗うつ薬を使用し、躁病および認知症または精神病の診断がない成人のうつ病患者で、TRDのプロキシ(電気けいれん療法、深部脳刺激療法、迷走神経刺激療法)の有無にかかわらず層別化した。ランダムに選択された来院日のデータがない対象者がいるため、TRDのプロキシを有する対象者のインデックス日は施術日とした。使用したデータベースは3つであった。決定木(decision tree)による予測モデルに合致させた。インデックス日より3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月前の、適切な治療用量および治療期間にかかわらない抗うつ薬の数、抗精神病薬および心理療法の数、専門家ベースの定義が含まれた。性能を評価するため、曲線下面積(AUC)および輸送性(transportability)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・TRDのプロキシがない3万3,336例と、TRDのプロキシがある3,566例を分析した。・抗うつ薬および抗精神病薬の数は、すべての期間において選択された。・最も優れたモデルは12ヵ月時点で、AUC=0.81であった。・このルールを適用すると、前の年に抗精神病薬1剤以上または抗うつ薬3剤以上を使用の成人うつ病患者がTRDであり、治療対象者の15.8%がTRDであった。 著者らは「TRDかどうかの最も良い区分の定義は、前の年での異なる抗うつ薬3剤以上または抗精神病薬1剤以上の使用とみなされる」としている。■関連記事SSRI治療抵抗性うつ病、治療前に識別可能か:大分大治療抵抗性うつ病、抗うつ薬併用 vs. 抗精神病薬増強治療抵抗性うつ病に対する非定型抗精神病薬の比較治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかを検証

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医療者が壊れる前のファーストエイド

 医療事故に直面し傷ついた患者・遺族と医療者双方をケアし、支援していくシステムの普及を目指し設立された一般社団法人Heals(Healthcare Empowerment and Liaison Support)の設立シンポジウムが、2017年12月23日に都内において開催された。シンポジウムでは、医師、看護師をはじめとする医療従事者、弁護士など法曹関係者、患者団体など約170名が参加し、現状の問題点や今後の展望についてディスカッションが行われた。医療事故で傷ついた人々の橋渡しに はじめに同団体の代表理事の永尾 るみ子氏が、「Healsの理念」について講演を行った。講演では、乳幼児突然死症候群(SIDS)により自身が愛児を失い医療不信になったこと、その後看護師として医療の世界に身を置き感じた医療システムなどの不安定さについて語った。これらを踏まえ、医療事故後の患者と医療者の関係性について、傷を負った双方が心の問題を抱え込まず、ケアをすることができないかとHealsを考え、団体設立となったと説明した。 とくに医療事故の後、医療者の多くは自責の念や事故への対応や裁判への不安など非常に不安定な心理状態におかれているにも関わらず、周囲に相談できず、負の感情を抱えたまま職場を去ったり、心のバランスを崩したりする人がいると問題を浮き彫りにする。医療事故後には、「遺族、医療者の双方がケアされる環境づくりが大事だ」と同氏は指摘し、そのためには、「Healsを通じて患者・遺族への相談、医療者へのピアサポーター養成、遺族と医療者の対話のあり方について学ぶテキスト、さまざまな研修プログラムの開発などを行っていきたい」と展望を語った。事故医療者へ必要なファーストエイド 次に曽根 美穂氏(青山心理発達相談室・臨床心理士)が、「傷ついた医療者の心理とケア」をテーマに説明を行った。 医療事故は突然起こるものであり、事故が起きると患者・遺族も医療者も強いストレスを受け、心的外傷(トラウマ)を負う。そして、負ったトラウマは、心理面(自責の念、後悔の念など)、身体面(不眠、動悸など)、社会生活面(孤立化、過敏反応など)で影響を及ぼし、ケアされないと心的外傷後ストレス障害(Post Traumatic Stress Disorder:PTSD)を発症する。 PTSDを発症すると再体験(フラッシュバックやパニック状態)、回避・まひ(事故の現場へ行けない、周囲との付き合いを避けるなど)、過覚醒(常時緊張や不眠・悪夢)を起こし、社会生活が困難となるばかりか、専門的な治療が必要になる。そのため、トラウマの段階でのケアが重要であり、治療では秘密が守れる場所で、事故者本人が信頼できる人が、本人を孤立させず、気持ちに寄り添い、話を聞きその内容を言語化する必要がある。「トラウマの解消には言語化が必要であり、言語化されることで気持ちが整理され、本人にとって受け入れられる出来事になる」と同氏は説明し、「医療事故が起きた場合、医療機関は、傷ついた医療者のファーストエイドに、医療メディエーターを活用して欲しい」と説明を終えた。ファーストエイドを担うピアサポーターの役割 次に井上 真智子氏(浜松医科大学地域家庭医療学講座 特任教授)が「ピアサポートのしくみと過程」をテーマに、アメリカのピアサポートを例に解説した。 ピアサポートとは、心理的ファーストエイドとして同じ立場の人間が支援をし合う仕組みであり、アメリカでは、医療者をシステムエラーの第2の被害者として捉え、ピアサポートが医療者のバーンアウトを防ぐとされ、10数年前から行われている。 アメリカでは、2002年に医療事故の患者と医療者の交流・赦しを目的にNPO法人MITSS(Medically Induced Trauma Support Services )が設立され、サポートが開始された。 ピアサポートは、グループセッションと個人セッションの2形態があり、事故の発生後に最大48時間以内にサポートを実施するフローになっている。ピアサポーターの役割として、「本人の感情の正当化」「能力・適正に自信を持たせる」「専門的ケアの必要性の評価」などが挙げられ、その一方で「事故の原因究明」「患者への説明・謝罪の助言」「職務能力の評価」などは行わないとされている。また、サポーターは研修への参加、メールでの報告(内容は実施件数と状況のみ)、サポーターミーティングへの参加が求められている。これらはボランティアの形で行われ、ピアサポートの医療者のミスを責めない姿勢は、医療者を疲弊させない文化で院内を変えていくと説明されている。 医療者の心が傷ついたとき、回復には6段階プロセスがあるという。すなわち(1)混乱と反応→(2)侵入思考・振り返り→(3)自己一貫性の修復→(4)調査への対応→(5)感情への対応 →(6)切り替え・前進の順で本人は回復していき、(6)の「切り替え・前進」では、「職場の移動・退職」「事態をやり過ごして生き残り」「成長・洞察」の3パターンがある。早い段階からサポートすることで、その後のキャリアへの影響を防ぐことが大切という。 最後に井上氏は「医療の現場では、個人を責めない『公正な文化』に基づく、職場内での支援が必要」と語り、レクチャーを終えた。電話相談から始まるピアサポート 次に和田 仁孝氏(早稲田大学大学院法務研究科 教授)が、「Healsの果たすべき役割」について説明を行った。 医療事故で傷ついた当事者である患者・遺族と医療者に対して、電話相談か面接によるケアサポートを実施する。その導入として、現況のアセスメント、施設適合的なシステムの提案、関連部署管理者へのレクチャー、サポートシステム管理者の研修が行われる予定である。早い時期での実施を計画しているが、ボランティアベースによるものなので、開催は月1回からのペースになるという。 参考までにアメリカでは、医療事故以外の事由のサポートも行われ、個々の医療機関独自のやり方でよいとしている。ピアサポーターの75%が医師で、看護師も多く、宗教者もいる。 今後の展望としては、「医療機関だけでなく学会での普及も視野に入れるとともに、私見ながら『患者・医療者の対話カフェ』の実現やピアサポート導入パッケージの推進、サポーター養成の研修事業などを行っていきたい」と将来の発展を語った。患者・患者遺族、医療者の視点で医療事故後の対応を考える 後半のシンポジウムでは大磯 義一郎氏(浜松医科大学医療法学 教授)を司会に迎え、先ほどの講演者と会場とで活発な意見交換が行われた。 シンポジウムでは、患者視点として肉親を医療事故で失くし、自身も医療事故の被害者となった女性が事故後の対応の問題(一例として医療者からの情報不足など)を語った。これに対し近年では、医療者が患者に共感をもって接し、医療情報の提供、謝罪を行うように変化している現状が報告され、こうした案件に対してHealsには、両者が対立軸にならないように、患者・遺族、医療者の重大な心理的負担を受け止める役割が期待されると今後の働きを示した。 また、医療者の視点からは薬剤誤投与での患者死亡のケースが報告され、当時のサポートの状況と反省点などが語られた。事故には医師を含む複数の医療者が関係し、事故後に医療者には病院が主体となって弁護士相談やメンタルサポート、就業支援が行われた一方で、遺族との交渉状況は何ら医療当事者には知らされなかったという。また、医師の精神面でのフォローがなかったことから、精神状態が不安定な状況におかれた点は反省すべきであったと説明された。経過として、その後遺族側から医師と面談したいとの提案により面談が実現し、医師が謝罪し、遺族も医師に同情を示し、精神的な安定へとつながった。このケースを踏まえて「医療者が一番癒されるのは、患者や遺族からの『赦し』を受け取ることであり、そのためには双方が落ち着いて話せる安全なコミュニケーションの場が大切ではないかと考える。事故後、早い段階で医師に声をかけ、想いを語る機会をもつ必要があったと思う。情報を遮断して守るのではなく、医師のトラウマケアを意識した守り方が必要だったと考える」と提言を述べた。 同団体では、今後もホームページなどで情報発信を行っていくので、参照していただきたい。■参考一般社団法人Heals ホームぺージ

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日本人のビタミンD摂取量と脳卒中死亡が逆相関

 ビタミンDの心血管の健康に及ぼす重要性に関する報告が増えている。今回、JACC研究(The Japan Collaborative Cohort Study)で日本人集団における食事でのビタミンD摂取量と脳卒中・冠動脈疾患死亡リスクの関連を調べたところ、ビタミンD摂取量が脳卒中死亡と逆相関することが示唆された。Stroke誌オンライン版2018年1月8日号に掲載。 本研究は、40~79歳の健康成人5万8,646人(男性2万3,099人、女性3万5,547人)を対象とした前向き研究で、追跡期間中央値は19.3年(1989~2009年)。食事によるビタミンD摂取量を自記式食物摂取頻度調査で評価した。ビタミンD摂取量で分類し、死亡のハザード比および95%信頼区間を計算した。 主な結果は以下のとおり。・96万5,970人年の追跡期間中、脳卒中による死亡は1,514例、冠動脈疾患による死亡は702例報告された。・ビタミンD摂取量は、脳卒中全体、とくに脳実質内出血による死亡リスクとの間に逆相関が示されたが、冠動脈疾患による死亡リスクとは示されなかった。・ビタミンD摂取量が最低のカテゴリー(110IU/日未満)に対する、最高のカテゴリー(440IU/日以上)の多変量ハザード比(95%信頼区間)は、脳卒中全体で0.70(0.54~0.91、傾向のp=0.04)、脳実質内出血では0.66(0.46~0.96、傾向のp=0.04)であった。

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高リスク重度ASへのTAVR、MEV vs.SEV/JAMA

 症候性の重度大動脈弁狭窄症の高リスク患者への経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)において、機械的拡張型カテーテル心臓弁(MEV)は自己拡張型経カテーテル心臓弁(SEV)に対し、安全性や有効性について非劣性であることが示された。有効性や中等度以上の弁周囲漏出率については、MEVのSEVに対する優越性も示された。米国・エバンストン病院(ノースショア大学ヘルスケアシステム)のTed E.Feldman氏らが、北米や欧州など55ヵ所の医療機関と共同で行った無作為化比較試験「REPRISEIII」で明らかにしたもので、JAMA誌2018年1月2日号で発表した。超高リスク・高リスク患者912例を対象に試験 「REPRISEIII」試験では、2014年9月22日~2015年12月24日にかけて、北米、欧州、オーストラリアの55ヵ所の医療機関を通じて、症候性の重度大動脈弁狭窄症の超高リスク・高リスク患者912例を対象に試験を開始し、2017年3月8日まで追跡した。 同試験では、被験者を無作為に2群(2対1)に分け、一方にはMEVを(607例)、もう一方にはSEVを(305例)それぞれ使用してTAVRを行い、MEVのSEVに対する非劣性を検証した。 安全性に関する主要評価項目は、術後30日の全死因死亡、脳卒中、致死的出血または大出血、ステージ2または3の急性腎障害、主要血管合併症の複合アウトカムの発生で、非劣性マージンは10.5%とした。 有効性に関する主要評価項目は、術後1年の全死因死亡、機能障害を伴う脳卒中、中等度以上の弁周囲漏出の複合アウトカムの発生で、非劣性マージンは9.5%とした。術後1年中等度以上の弁周囲漏出率、SEV群6.8%に対しMEV群0.9% 被験者の平均年齢は82.8歳(SD 7.3)で、女性が51%を占め、1年時点の評価が可能だったのは874例(96%)だった。 安全性に関する術後30日複合アウトカムの発生率は、MEV群20.3%、SEV群17.2%で、MEVのSEVに対する非劣性が示された(群間差:3.1%、Farrington-Manning非劣性検定による97.5%信頼区間[CI]:-∞~8.3、非劣性p=0.003)。 有効性に関する術後1年複合アウトカムの発生率についても、MEV群15.4%、SEV群25.5%と、MEVのSEVに対する非劣性が示された(群間差:-10.1%、同97.5%CI:−∞~4.4、非劣性p<0.001)。 副次評価項目の術後1年の中等度以上の弁周囲漏出率については、MEV群0.9%に対しSEV群6.8%で、MEV群のSEV群に対する優越性が示された(群間差:-6.1%、95%CI:-9.6~-2.6、優越性p<0.001)。優越性分析では主要有効性に関しても、MEV群のSEV群に対する統計的有意差が示された(群間差:-10.2%、同:-16.3~-4.0、優越性p<0.001)。 なお、MEV群は新規のペースメーカー植え込み(permanent pacemaker implantation)率が高く(35.5% vs.19.6%、p<0.001)、弁血栓症の割合は高かったが(1.5% vs.0%)、再手術率は低かった(0.2% vs.2.0%)。また、TAV-in-TAV処置率(0% vs.3.7%)、弁位置異常率(0% vs.2.7%)も低率だった。

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