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入院中の成人アトピー性皮膚炎患者、全身性感染症リスク増大

 成人アトピー性皮膚炎(AD)と全身性感染症との関連について、デンマーク・コペンハーゲン大学のCatherine Droitcourt氏らが全国規模のコホート研究を行った結果、入院治療中のAD患者において全身性感染症のリスクが増大していることが明らかになった。ADと全身性感染症との関連は指摘されていたが、これまでに行われた大規模研究はわずかで、関連性は明確にはなっていなかった。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2020年8月1日号掲載の報告。 研究グループは成人AD患者について、入院治療と関連した全身性感染症リスクの上昇が認められるかどうかを調べるため、全国レジストリベースのコホート研究を行った。 被験者は1995~2017年にレジストリに登録されたデンマーク成人。Coxモデルを用いて、ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出し、評価した。 主な結果は以下のとおり。・成人AD患者1万602例(年齢中央値29.8歳、IQR:22.6~44.8)と、参照対照群10万6,020例を対象に評価を行った。・全身性感染症の全罹患率は、1万人年当たり、成人AD群180.6(95%CI:172.6~189.0)、参照対照群120.4(118.3~122.5)であった。・ADと全身性感染症の関連は、筋骨格系(補正後HR:1.81、95%CI:1.42~2.31)、心臓(1.75、1.21~2.53)、上気道感染症(1.42、1.15~1.73)および下気道感染症(1.21、1.10~1.33)で観察された。・敗血症(補正後HR:1.19、95%CI:1.01~1.44)、皮膚感染症(2.30、2.01~2.62)のリスク上昇も認められた。 なお著者は、「本所見は、病院外で認められる成人の軽症AD患者に一般化することはできない限定的なものである」としている。

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治療抵抗性統合失調症の認知プロファイルと自閉スペクトラム症の特徴

 治療抵抗性統合失調症(TRS)の複雑な病態生理には、重度の陽性症状だけでなく、ほかの症状領域も含まれている。また、統合失調症と自閉スペクトラム症(ASD)の重複する心理学的プロファイルは、明らかになっていない。千葉大学の仲田 祐介氏らは、統合失調症とASD患者における神経発達および認知機能に焦点を当て、比較検討を行った。Schizophrenia Research. Cognition誌2020年7月27日号の報告。 対象は、TRS患者30例、寛解期統合失調症(RemSZ)患者28例、ASD患者28例。一般的な神経認知機能はMATRICSコンセンサス認知機能評価バッテリーを用いて評価し、社会的な認知機能は心の理論(theory of mind)と感情表出(emotional expression)で評価した。自閉症の特徴は、自閉症スペクトラム指数(AQ)、自閉症スクリーニング尺度(ASQ)、広汎性発達障害評価尺度(PDDRS)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・TRS患者では、一般的な神経認知機能および社会的な認知機能が最も悪かった。・RemSZ患者は、3群間で最も良好であった。・自閉症の特徴は、すべての尺度において、以下のとおりであった。 ●ASD患者は、自閉症の特徴のスコアが最も高い。 ●TRS患者は、ASD患者よりもスコアが低かった。 ●全体的な傾向として、TRS患者のスコアは、ASD患者とRemSZ患者の間であった。 著者らは「TRS患者とRemSZ患者では、異なる特徴的な神経発達および認知プロファイルを有している可能性が認められた。さらに、TRS患者の社会的な認知機能障害と自閉症の特徴の程度はASD患者と似ており、TRSとASDの類似性が示唆された」としている。

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腎性貧血に新しく2剤の経口治療薬が登場/GSK、田辺三菱製薬

 8月26日、腎性貧血に対して、経口の低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬であるダプロデュスタット(商品名:ダーブロック、グラクソ・スミスクライン)とバダデュスタット(同:バフセオ、田辺三菱製薬)が発売された。HIF-PH阻害薬としては、2019年11月にロキサデュスタット(同:エベレンゾ、アステラス製薬)が発売されているが、現在の適応は透析施行中の腎性貧血のみである。一方、今回発売されたダプロデュスタットとバダデュスタットは、透析施行中だけでなく保存期の腎性貧血患者にも使用可能な治療薬で1日1回経口投与である。腎性貧血の治療薬に経口剤のHIF-PH阻害薬 高齢化や生活習慣病の進展に伴い、腎障害をもつ患者が増加しており、わが国には慢性腎臓病(CKD)のステージ3~5の患者は1,090万人と予想されている。腎臓は、エリスロポエチンなどのホルモンを産生することで赤血球の産生を促進するが、腎障害を有する患者では腎臓が十分な量のエリスロポエチンを産生することができなくなることから、腎性貧血がよく起こる。また、腎機能が低下することで腎性貧血の有病率も高くなり、CKD患者の3割に腎性貧血があるという報告もある。 腎性貧血になると、動悸や息切れ、めまいや立ちくらみ、全身倦怠感などの症状が現れるが、貧血は徐々に進行するため症状に気が付ないこともあり、定期的な検査やその後の適切な治療が必要となる。 従来、腎性貧血の治療薬は、注射剤はあったものの、患者のQOLやアドヒアランスなどは決して良好とは言い難かった。 そこで新たに開発された治療薬が経口剤のHIF-PH阻害薬で、低酸素(酸素欠乏)で生じる生理学的作用と同様の作用機序で、骨髄での赤血球産生を促し、腎性貧血を改善する。HIF-PH阻害薬は、昨年発売されたロキサデュスタット、今回発売されたダプロデュスタットとバダデュスタットのほか、enarodustat(日本たばこ産業)も近く承認される見通しである。ダプロデュスタットの製品概要製品名:ダーブロック錠1mg/2mg/4mg/6mg一般名:ダプロデュスタット製造販売承認取得日:2020年6月29日発売日:2020年8月26日薬価:ダーブロック錠1mg 105.40円/2mg 185.80円/4mg 327.40円/6mg 456.10円効能・効果:腎性貧血用法・用量:(1)保存期慢性腎臓病患者・赤血球造血刺激因子製剤で未治療の場合通常、成人にはダプロデュスタットとして1回2mgまたは4mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1日1回24mgまでとする。・血球造血刺激因子製剤から切り替える場合通常、成人にはダプロデュスタットとして1回4mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1日1回24mgまでとする。(2)透析患者通常、成人にはダプロデュスタットとして1回4mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1日1回24mgまでとする。製造販売元:グラクソ・スミスクライン販売元:協和キリンバダデュスタットの製品概要製品名:バフセオ錠150mg/300mg一般名:バダデュスタット製造販売承認取得日:2020年6月29日発売日:2020年8月26日薬価:バフセオ錠150mg 213.50円/300mg 376.20円効能・効果:腎性貧血用法・用量:成人にはバダデュスタットとして、1回300mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1日1回600mgまでとする。製造販売元:田辺三菱製薬

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第23回 免許証サイズ、5ドル15分のCOVID-19検査を米国が許可して早速大量購入~入館許可証の役割を担う?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査の進歩は目覚ましく、免許証ほどの大きさで他に装置不要の持ち運び自由なカード型抗原検査BinaxNOW COVID-19 Ag Card(以下BinaxNOW COVID-19)を米国FDAが先週水曜日26日に認可しました1)。メーカーのAbbott(アボット)社は、15分足らずで結果が判明して費用わずか1コイン(5ドル)程の同検査を9月には数千万個、10月からは毎月5,000万個を出荷する予定です。安かろう悪かろうというわけではなく、COVID-19が疑われる症状が生じてから7日以内の患者を医療従事者がBinaxNOW COVID-19で検査した試験での検出感度は97.1%、特異度は98.5%でした。鼻ぬぐい液のウイルス抗原を検出するBinaxNOW COVID-19は医師や看護師をはじめとして保健室の先生・薬剤師・企業の医療担当の専門家などの医療の心得のある人が必要に応じてそれぞれの持ち場で使うことができます。それら医療従事者による検査を受けた人はAbbott社が提供するNAVICAというアプリを使ってその結果をスマートフォン等のiPhone/Android携帯機器にQRコードと共に以下の写真のように表示し、検査結果の提示を求める施設へ入る時に非感染証明証として提示することができます。感染を示す陽性結果の場合には隔離して受診することを求めるメッセージが表示されます。検査証明は一定期間が過ぎると失効します。米国政府もぞっこん?米国政府はBinaxNOW COVID-19を相当有望視して高く買っているらしく、FDA認可の翌日27日に1億5,000回分を7億6,000万ドルで買う契約をAbbott社と交わしました。調達分は学校に配備したり必要に応じて供給される予定です2)。検査結果を入室許可証とする取り組みを大学が開始NAVICAが表示するような陰性検査結果を入館許可証として使って感染者との接触を未然に防いで流行を食い止めつつ日常を取り戻そうとする取り組みは米国ですでに実行に移されています。6万人が通う米国・イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校では、今学期週に2回の頻度で生徒や職員全員がCOVID-19の唾液検査を受け、構内の建物に入ることができるのは感染していないことを示す陰性結果を提示した人のみとしています3-5)。数時間以内に判明する検査結果は携帯電話にすぐに通知され、感染を示す陽性であれば10日間の隔離が必要となります。感染者と密に接した人の追跡もなされます。陽性の人は無料の食事や十分な支援と手当てを得て隔離期間を罪悪感なく安心して過ごすことができるようになっています。毎日2万人を検査するために同大学は獣医科施設を専用に模様替えしました。検査体制準備の予算は600万ドル、1回10ドルの検査の今学期の総費用は最大で1,000万ドルになる見込みです5)。今のところ検査は非常によく受け入れられていると同大学の化学者Martin Burke氏は科学ニュースThe Scientistに話しています5)。Burke氏は同校で使われている唾液検査の開発に携わりました。検査は果たして有効なのか?イリノイ大学のようにとにかくくまなく検査して感染者を早期発見して感染者にはしばらく待機してもらう取り組みが流行阻止の一翼を担いうることを裏付ける結果が米国メイン州でのキャンプ場で得られています。徹底的な検査に加えて感染食い止め対策も怠らなかった甲斐あり、そのキャンプ場が6月中旬から8月中旬の4回で迎えた宿泊小児やスタッフ合わせて1,022人の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染者数はわずか3人のみでした6-8)。キャンプする小児と世話係は全員が到着前に検査を受け、陽性だった4人は自宅隔離10日間の後にキャンプに参加しました。キャンプ場へ到着してからすぐに検査は再度実施され、参加者は5~44人のグループに分かれて44~62日間のキャンプ生活を送りました。グループは家族のようなもので、別のグループの人と接する場合にはマスクを着用し、距離を保つことが求められました7)。キャンプ場へ到着後の再検査で世話係2人と小児1人の合計3人が陽性となり、陰性となるまで隔離されました。3人の所属グループの30人はしばらく隔離状態でキャンプ活動を続け、隔離中の検査で陽性は1人もおらず、陽性となった3人から他の参加者への感染は結局生じませんでした。参考1)Abbott's Fast, $5, 15-Minute, Easy-to-Use COVID-19 Antigen Test Receives FDA Emergency Use Authorization; Mobile App Displays Test Results to Help Our Return to Daily Life; Ramping Production to 50 Million Tests a Month 2)Trump Administration Will Deploy 150 Million Rapid Tests in 20203)Media advisory: On-campus COVID-19 testing available for faculty members, staff, students.4)COVID-19 briefing: Homegrown models inform university's safety measuresAUG5)U of Illinois Returns to School with 20,000 Saliva Tests Per Day/TheScientist6)Preventing and Mitigating SARS-CoV-2 Transmission - Four Overnight Camps, Maine, June-August 2020. MMWR. August 26, 20207)How four summer camps in Maine prevented COVID-19 outbreaks8)COVID-19 testing helps sleep-away summer camps to avoid outbreaks/Nature

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双極性障害とうつ病患者における不安症の有病率とその関連因子

 気分障害の患者では、不安症が併発すると、うつ症状の持続、QOL低下、自殺リスク上昇、抗うつ薬治療による気分の不安定化などの悪影響が認められる。しかし多くの場合、このことは臨床診断で認識されていない。東京医科大学の井上 猛氏らは、以前報告したJET-LMBP研究のデータを用いて、日本人気分障害患者における不安症の有病率とその関連因子を調査し、不安症の併発を確認するのに役立つ方法を検討した。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2020年7月12日号の報告。 双極性障害患者114例、うつ病患者334例を分析した。不安症の併発は、精神疾患簡易構造化面接法(MINI)を用いて確認した。人口統計学的および臨床的特徴は、日本語版自己記入式簡易抑うつ尺度日本語版(QIDS-SR-J)、SF-36、Child Abuse and Trauma Scale(CATS)を用いて評価した。不安症の併発に関連する因子は、年齢、性別、抑うつ症状の重症度で調整した多変量ロジスティック回帰分析を用いて特定した(事後分析)。 主な結果は以下のとおり。・不安症の有病率は、うつ病患者(37.2%)よりも双極性障害患者(53.2%)のほうが有意に高かった。・双極性障害患者の不安症併発に関連する因子は、以下のとおりであった。 ●配偶者の不在 ●対人関係の拒絶感受性 ●CATSの性的虐待スコアの高さ ●SF-36の精神的サマリースコアの低さ・うつ病患者の不安症併発に関連する因子は、以下のとおりであった。 ●過眠症 ●病的な罪悪感 ●CATSのネグレクトスコアの高さ ●SF-36の身体的サマリースコアの低さ 著者らは「日本人の気分障害患者では、不安症の併発頻度が高かった。双極性障害患者やうつ病患者の不安症の併発は、小児期の虐待、非定型うつ病の症状、QOLの低下などと関連しており、これらの因子は、不安症の併発を確認するうえで役立つであろう」としている。

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不安障害に対するヨガvs.認知行動療法vs.ストレス教育の有効性

 メンタルヘルスの改善に効果があるとされることの多いヨガだが、医学療法と比較した場合の効果はどうなのか。ヨガ、認知行動療法(CBT)と従来の治療法であるストレス教育の効果を比較した、米国・ニューヨーク大学のNaomi M. Simon氏らによる研究がJAMA Psychiatry誌オンライン版2020年8月12日号に掲載されている。 著者らは、2013年12月1日から2つの専門学術機関で参加者を募集、全般性不安障害(GAD)と診断された成人226例を対象とした。評価は2019年10月25日まで、分析は 2020年2月12日までに完了した。ヨガ(クンダリーニヨガ)とCBTそれぞれのストレス教育に対する優越性、およびヨガのCBTに対する非劣性を検証した。 参加者は、ヨガ(n=93)、CBT(n=90)、ストレス教育(n=43)に無作為に割り付けられ、4~6人のグループに分けられたうえで、2人のインストラクターによる20分間/日のホームワークを伴う120分のプログラムを受けた。主要評価項目はITT解析による12週間後のGAD反応率(臨床全般印象-改善度スコアが「よく改善」もしくは「非常によく改善」の割合)だった。 主な結果は以下のとおり。・226例の平均(SD)年齢は33.4(13.5)歳、女性が158例(69.9%)で、そのうち155例(68.6%)が評価を完了した。・完了者の内訳はヨガ60例(64.5%)、CBT67例(74.4%)、ストレス教育28例(65.1%)で、完了率に差はなかった(χ2=2.39、df=2、p=0.30)。・GAD反応率は、ヨガ群(54.2%)がストレス教育群(33.%)よりも高く(オッズ比[OR]:2.46、95%CI:1.12~5.42、p=0.03、要治療者数ではOR:4.59、95%CI:2.52~46.19)、CBT群(70.8%)がストレス教育群(33.0%)よりも高かった(OR:5.00、95%CI:2.12~11.82、p<0.001、要治療者数ではOR:2.62、95%CI:1.91~5.68)。・非劣性検証では、ヨガがCBTの効果と同等ということを示さなかった(差:16.6%、非劣性のp=0 .42)。 著者らは、 ヨガはGADに効果があるとしつつも、CBTが第1選択であることは変わらないとしている。

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METエクソン14スキッピング肺がん治療薬カプマチニブ発売/ノバルティス

 ノバルティス ファーマ、2020年8月26日、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)治療薬として、カプマチニブ (商品名:タブレクタ)を発売した。 カプマチニブはMETに対する選択的な経口阻害薬で、NSCLCにおける発がんドライバー因子であるMETex14変異に対しても阻害活性を有する。 METex14変異陽性のNSCLCは、肺がんの中でも予後不良な集団で治療選択肢が限られており、METex14を標的とする治療法の開発が望まれていた。METex14変異はNSCLC患者の約3~4%に報告されており、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者数は日本国内では約3,000名程度と推定される。 カプマチニブのの適応判定は、2020年6月25日に厚生労働省より承認を取得しているFoundationOne CDx がんゲノムプロファイルによって行う。 カプマチニブは、米国では2019年9月に画期的治療薬指定、本年2月に優先審査品目指定、5月に承認を取得している。本邦においては2019年5月に「MET遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌」を予定される効能・効果として希少疾病用医薬品指定を受け、 2020年6月29日に製造販売が承認されている。

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第21回 大統領選のダシにされたCOVID-19血漿療法、日本でも似たようなことが!?

まだ、治療薬もワクチンも決定打がない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。そんな最中、米国食品医薬品局(FDA)は8月23日、COVID-19から回復した患者の新型コロナウイルスの中和抗体を含む血漿を用いた回復期血漿療法に対し、緊急使用許可を発行した。FDAによる緊急使用許可は抗ウイルス薬レムデシビルに次いで2例目だ。この緊急時使用許可の直後の会見でドナルド・トランプ米大統領は「信じられないほどの成功率」「死亡率を35%低下させることが証明されている」「この恐ろしい病気と戦う非常に効果的な方法であるとわかった」などと絶賛。同席したFDAのステファン・ハーン長官もこの死亡率35%低下を強調。しかし、この死亡率低下の根拠データが不明確との批判を受け、ハーン長官自身が謝罪に追い込まれる事態となった。さてこの1件、そもそも発端となっているのはメイヨークリニック、ミシガン州立大学、ワシントン大学セントルイス医学大学院が主導する「National COVID-19 Convalescent Plasma Expanded Access Program」により行われた臨床研究である。この結果は今のところプレプリントで入手可能である。そもそもこの試験は単群のオープンラベルという設定である。ここで明らかになっている主な結果を箇条書きすると以下のようになる。診断7日後の死亡率は、診断3日以内の治療開始群で8.7%、診断4日目以降の治療開始群で11.9% (p<0.001)。診断30日後の死亡率は、診断3日以内の治療開始群で21.6%、診断4日目以降の治療開始群で26.7% (p<0.0001)。診断7日後の死亡率は、IgG高力価 (>18.45 S/Co)血漿投与群で8.9%、IgG中力価(4.62~18.45 S/Co)血漿投与群で11.6%、IgG低力価 (<4.62 S/Co) 血漿投与群で13.7%と、高力価投与群と低力価投与群で有意差を認めた(p=0.048)。低力価血漿投与群に対する高力価血漿投与群の相対リスク比は診断7日後の死亡率で0.65 、診断30日後の死亡率で0.77 だった。これらを総合すると、トランプ大統領が言うところの死亡率35%低下は、最後の診断7日後の高力価血漿投与群での相対リスク比を指していると思われる。もっとも最初に触れたようにこの臨床研究は単群のオープンラベルであって、対照群すらない中では確たることは言えない。その点ではトランプ大統領もハーン長官も明らかなミスリードをしている。そして各社の報道では、11月に予定されている米大統領選での再選を意識しているトランプ大統領による実績稼ぎの勇み足発言との観測が少なくない。とはいえ、COVID-19により全世界的に社会活動が停滞している現在、治療薬・ワクチンの登場に対する期待は高まる中で、今回の一件は軽率の一言で片づけて良いレベルとは言えないだろう。そして少なくともトランプ大統領周辺では大統領への適切なブレーキ機能が存在していないことを意味している。大統領選のダシにされた血漿療法、日本は他人ごと?もっとも日本国内もこの件を対岸の酔っぱらいの躓きとして指をさして笑えるほどの状況にはない。5月には安倍 晋三首相自身が、COVID-19に対する臨床研究が進行中だった新型インフルエンザ治療薬ファビピラビル(商品名:アビガン)について、その結果も明らかになっていない段階で、「既に3,000例近い投与が行われ、臨床試験が着実に進んでいます。こうしたデータも踏まえながら、有効性が確認されれば、医師の処方の下、使えるよう薬事承認をしていきたい。今月(5月)中の承認を目指したいと考えています」と前のめりな発言をし、後のこの試験でアビガンの有効性を示せない結果になったことは記憶に新しい。もっと最近の事例で言えば、大阪府の吉村 洋文知事が8月4日、新型コロナウイルス陽性の軽症患者41例に対し、ポビドンヨードを含むうがい薬で1日4回のうがいを実施したところ、唾液中のウイルスの陽性頻度が低下したとする大阪府立病院機構・大阪はびきの医療センターによる研究結果を発表。これがきっかけで各地のドラッグストアの店頭からポビドンヨードを含むうがい薬が一斉に底をついた。これについては過去にこの結果とは相反する臨床研究などがあったことに加え、医療現場にも混乱が及んだことから批判が殺到。吉村知事自身が「予防効果があるということは一切ないし、そういうことも言ってない」と釈明するに至っている。もっとも吉村知事はその後も「感染拡大の一つの武器になる、という強い思いを持っています」とやや負け惜しみ的な発言を続けている。ちなみに今年2月から始動し、7月3日付で廃止された政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の関係者は以前、私にこんなことを言っていたことがある。「吉村大阪府知事や鈴木北海道知事など新型コロナ対策で目立っている若手地方首長に対する総理の嫉妬は相当なもの。会議内で少しでもこうした地方首長を評価するかのような発言が出ると、途端に機嫌が悪くなる」今回の血漿療法やこれまでの経緯を鑑みると、新型コロナウイルス対策をめぐる政治家の「リーダーシップ」もどきの行動とは、所詮は自己顕示欲の一端、いわゆるスタンドプレーに過ぎないのかと改めて落胆する。新型コロナウイルス対策でがっかりな対応を見せた政治家は日米以外にもいる。もはや新型コロナウイルスが炙り出した「世界びっくり人間コンテスト」と割り切ってこの状況を楽しむ以外方法はないのかもしれない。

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留学はトラブルとハプニングの連続!? リアルな年収と暮らしについて【臨床留学通信 from NY】第11回

第11回:留学はトラブルとハプニングの連続!? リアルな年収と暮らしについて2018年6月21日、私は家族共々、念願のニューヨークに乗り込んだわけですが、何事もうまくいかないのが留学というものです。到着3~4日で早くもオリエンが始まり、7月1日 (日曜日でした)が仕事始めだったのですが、契約するアパートには7月5日まで入ることができず、やむなく病院まで地下鉄で1時間余り離れたFlushing (全米オープンテニスの会場、Flushing Meadowの近く)のホテルに2週間ほど滞在しなければなりませんでした。マンハッタンのホテルは料金が高く、2週間も滞在するのは無理なので遠いところに借りたわけですが、そのため当初は朝4時20分に起床、30分後には電車に乗り、6時前に病院に着くなり患者さんの診察を開始するという、かなりハード勤務状況でした。しかも、最初の1週間は英語のシャワーで頭はパンク寸前。それでも毎日18時、日によっては21時まで勤務が続き、ヘトヘトになったのは今でも忘れられません。そんな私の当初の給料は、年俸6万3,000ドルでした。「研修医でその額は悪くないのでは?」と思われるかもしれませんが、何せここはニューヨークです。病院が借り上げたふるーいアパート(1LDK相当)ですら、家賃が月1,900ドル程度かかります。そんな物件ですら、普通に借りれば月3,000ドル近くにもなります。私の場合、最初の半年は月2,200ドルだったのが、幸か不幸か、ボロすぎるという理由で値下げとなりました。それでも、税金や家賃が給料から天引きされると、実質的な手取りは月1,500ドル程度にしかならず、家族4人で生活するのがやっとです。Trader Joe's という大手チェーンのスーパーがあり、そこならば比較的良心的な価格で食材が揃いますが、それ以外は日系スーパー含め、日本の物価の倍近くになることも多いです。私が取得したJ-1ビザのメリットの1つに最初2年間のTax returnがあり、それがいくらかの足しにはなりましたが、それもなくなってしまった現状は、渡米直後の暮らしぶりとほとんど変わりません。もちろん、悪いことばかりでもありません。ニューヨーク市に住んでる以上、日々の生活に車は不要で、日本の幼稚園に相当するPre-K、Kindergartenは、パブリックであればタダなのが救いです。またMDとしての勤務のため、自身の病院関連であれば、家族含めて保険料や医療費が掛からないのも助かります。ただし、歯科についてはあまり保険でカバーされず苦労することが多いので、留学前に日本で歯の検診を済ませておくことをお勧めします。研究留学でも、グラントなどとの兼ね合もありますが、おおむね似たような暮らしかと思います。ただ、保険などで苦労している人が多いようです。留学当初、最も苦労したのはSocial Security Number(日本でいうマイナンバーのようなもの)です。これがないと給料の振込み、保険の設定ができません。私の場合、ホテル暮らしの後に入居予定だったアパートを宛先にしたところ、いっこうに届きませんでした。恐らく、いったん入居前に届けられたものの、誰も住んでいないとみなされてそのまま持ち帰りになってしまったのだと思います。しかも、役所に問い合わせてもなかなか担当まで行き着かないのが、ここアメリカです。結局、再発行に2週間以上掛かり、最終的に手元に届くまで生きた心地がしなかったです。万が一、その期間に病気になっても無保険だったかもしれず、今思えばゾッとします。仕事が英語やシステムに対して不慣れなだけでなく、家族共々安全に過ごすために不可欠なセットアップ、いざ生活が始まってみて1,500ドルで実際どれくらいの生活ができるのか見通しが立つまで心労が絶えなかったのも、今でもよく覚えています。留学にはこうした思わぬブラックホールがつきものですが、それを差し引いても留学によって国内では得難い経験が積めるのもまた事実です。異国に住む不便さを身をもって知ることも、そのひとつでしょう。留学を考え始めた当初の私は、渡米そのものをゴールにしていましたが、そうではなくそこからが新たなスタートだ、という意識に切り替えた上で留学したため、渡米直後の苦しい日々を何とか乗り切れたのではないかと思います。ColumnCOVID-19の影響で、現状、USMLE Step2 CSが開催されなくなっており、OETという英語のテストを受ける必要があるようです1)。実際、どの程度のレベルの英語力が求められるかは不明ですが、USMLEを考えていらっしゃる方は、遅かれ早かれこのテストを受けてみる必要があると思います。なお私の渡米前のTOEFL スコアは92点で、2年経過しても英語で苦労しており、どこかのタイミングで集中的に英語の勉強はやはり必要ですね。1)https://www.ecfmg.org/certification-requirements-2021-match/oet.html?fbclid=IwAR2yYyABh5iw4l7kQ0GHOr_0Ag5g_ahJMQmv9F7HtZGKv7KjWxdqtcGH_pU

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がん治療で心疾患リスクを伴う患者の実態と対策法/日本循環器学会

 第84回日本循環器学会学術集会(2020年7月27日~8月2日)で佐瀬 一洋氏(順天堂大学大学院臨床薬理学 教授/早稲田大学医療レギュラトリーサイエンス研究所)が「腫瘍循環器診療の拡がりとCardio-Oncology Rehabilitation(CORE)」について発表。がんを克服した患者の心血管疾患発症リスクやその予防策について講演した。循環器医がおさえておくべき、がん治療の新たなる概念-サバイバーシップ がん医療の進歩により、がんは不治の病ではなくなりつつある。言い換えるとがん治療の進歩により生命予後が伸びる患者、がんサバイバーが増えているのである。とくに米国ではがんサバイバーの急激な増加が大きな社会問題となっており、2015年時点で1,500万人だった患者は、今後10年でさらに1,000万人の増加が見込まれる。 たとえば小児がんサバイバーの長期予後調査1)では、がん化学療法により悪性リンパ腫を克服したものの、その副作用が原因とされる虚血性心疾患(CAD)や慢性心不全(CHF)を発症して死亡に繋がるなどの心血管疾患が問題として浮き彫りとなった。成人がんサバイバーでも同様の件が問題視されており、長期予後と循環器疾患に関する論文2)によると、乳がん患者の長期予後は大幅に改善したものの「心血管疾患による死亡はその他リスク因子の2倍以上である。乳がん診断時の年齢が66歳未満では乳がんによる累計死亡割合が高かった一方で、66歳以上では心血管疾患(CVD)による死亡割合が増加3)し、循環器疾患の既往があると累計死亡割合はがんとCVDが逆転した」と佐瀬氏はコメントした。心疾患に影響するがん治療を理解する この逆転現象はがん治療関連心血管疾患(CTRCD:Cancer Therapeutics-Related Cardiac Dysfunction)が原因とされ、このような患者は治療薬などが原因で心血管疾患リスクが高くなるため、がんサバイバーのなかでも発症予防のリハビリなどを必要とする。同氏は「がん治療により生命予後が良くなるだけではなく、その後のサバイバーシップに対する循環器ケアの重要性が明らかになってきた」と話し、がんサバイバーに影響を及ぼす心毒性を有する薬を以下のように挙げた。●アントラサイクリン系:蓄積毒性があるため、生涯投与量が体表面積あたり400mg/m2を超えるあたりから指数関数的にCHFリスクが上昇する●分子標的薬:HER2阻害薬はアントラサイクリン系と同時投与することで相乗的に心機能へ影響するため、逐次投与が必要。チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)は世代が新しくなるにつれ血栓症リスクが問題となる●免疫チェックポイント阻害薬:PD-1阻害薬とCTLA-4阻害薬併用による劇症心筋炎の死亡報告4)が報告されている これまでのガイドラインでは、薬剤の影響について各診療科での統一感のなさが問題だったが、2017年のASCOで発表された論文5)を機に変革を迎えつつある。心不全の場合、日本循環器学会が発刊する『腫瘍循環器系の指針および診療ガイドライン』において、がん治療の開始前に危険因子(Stage A)を同定する、ハイリスク患者とハイリスク治療ではバイオマーカーや画像診断で無症候性心機能障害(Stage B)を早期発見・治療する、症候性心不全(Stage C/D)はGLに従って対応するなど整備がされつつある。しかしながら、プロテアソーム阻害薬や免疫チェックポイント阻害薬のような新規薬剤は未対応であり、今後の課題として残されている。循環器医からがんサバイバーへのアプローチが鍵 がん治療が心機能へ影響する限り、これからの循環器医は従来型の虚血性心疾患と並行して新しい危険因子CTRCDを確認するため「がん治療の既往について問診しなければならない」とし、「患者に何かが起こってから対処するのではなく腫瘍科医と連携する体制が必要。そこでCardio-Oncologyが重要性を増している」と述べた。 最後に、Cardio-Oncologyを発展させていくため「病院内でのチームとしてなのか、腫瘍-循環器外来としてなのか、資源が足りない地域では医療連携として行っていくのか、状況に応じた連携の進め方が重要。循環器疾患がボトルネックとなり、がん治療を経た患者については、腫瘍科医からプライマリケア医への引き継ぎ、もしくは心血管疾患リスクが高まると予想される症例は循環器医が引き継いでケアを行っていくことが求められる。これからの循環器医にはがんサバイバーやCTRCDに対するCORE6)を含めた対応が期待されている」と締めくくった。■参考1)Armstrong G, et al. N Engl J Med. 2016;374:833-842.2)Ptnaik JL, et al. Breast Cancer Res. 2011 Jun 20;13:R64.3)Abdel-Qadir H, et al. JAMA Cardiol. 2017;2:88-93.4)Johnson DB, et al. N Engl J Med. 2016;375:1749-1755.5)Almenian SH, et al. J Clin Oncol. 2017;35:893-911.6)Sase K, et al. J Cardiol.2020 Jul 28;S0914-5087(20)30255-0.日本循環器学会:心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2012年改訂版)

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体重減少伴う発症初期の糖尿病で膵がんリスク増/JAMA Oncol

 糖尿病と膵臓がんの関連は知られているが、体重減少を伴う発症して間もない糖尿病では、膵臓がんのリスクが大幅に高いことが明らかにされた。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のChen Yuan氏らによるコホート研究の結果で、「高齢」「以前は健康体重」「意図的な減量ではない」場合は、さらに膵臓がんの発症リスクが高まることも示された。米国において膵臓がんは、がん死要因で3番目に多いという。しかしこれまで、膵臓がんの早期診断戦略を促進する高リスク群は、ほとんど特定されていなかった。JAMA Oncology誌オンライン版2020年8月13日号掲載の報告。 研究グループは、30年以上にわたり繰り返し評価が行われてきた米国の2つのコホート研究(Nurses’ Health StudyおよびHealth Professionals Follow-Up Study)のデータを用いて、糖尿病罹病期間および最近の体重変化とその後の膵臓がんリスクとの関連を解析した。 膵臓がんの発症は、自己報告または参加者の死亡の追跡調査により特定し、死亡は近親者からの報告、米国郵便公社または国民死亡記録(National Death Index)で確認された。 主要評価項目は、膵臓がん発症のハザード比(HR)。2018年10月1日~12月31日にデータを収集し、2019年1月1日~6月30日に解析が行われた。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は、女性11万2,818例(平均年齢59.4[SD 11.7]歳)、男性4万6,207例(64.7[10.8]歳)で、このうち膵臓がん発症は1,116件確認された。・非糖尿病者と比較した膵臓がんの年齢補正後HRは、糖尿病を発症して間もない(短期罹病)被験者で2.97(95%信頼区間[CI]:2.31~3.82)、長期罹病者で2.16(95%CI:1.78~2.60)であった。・非体重減少者と比較した膵臓がんの年齢補正後HRは、1~4ポンドの体重減少者は1.25(95%CI:1.03~1.52)、5~8ポンドの体重減少者は1.33(95%CI:1.06~1.66)、8ポンドを超える体重減少者は1.92(95%CI:1.58~2.32)であった。・1~8ポンドの体重減少を伴う糖尿病短期罹病者(91/10万人年[95%CI:55~151]、HR:3.61[95%CI:2.14~6.10])、または8ポンドを超える体重減少を伴う糖尿病短期罹病者(164/10万人年[95%CI:114~238]、HR:6.75[95%CI:4.55~10.00 ])は、いずれも非該当の被験者(16/10万人年[95%CI:14~17)と比較して、膵臓がんのリスクは大幅に高かった。・膵臓がんの罹患率は、糖尿病短期罹病者で、かつ体重減少前のBMIは25未満でありそこからさらに体重が減少した者(罹患率400/10万人年)、または身体活動の増加や健康的な食事の選択が認められ体重減少が意図的ではなかったと判断される被験者(334/10万人年)では、さらに高かった。

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うつ病を伴う糖尿病患者、医療従事者のケアで代謝指標が改善/JAMA

 うつ病を合併した糖尿病患者に対する共同ケア(collaborative care)は、通常ケアと比較して24ヵ月時点のうつ症状および循環代謝指標の複合評価を、統計学的に有意に改善することが認められた。米国・エモリー大学のMohammed K. Ali氏らが、インドにおけるうつ病を合併した糖尿病患者を対象とする実用的な無作為化非盲検臨床試験「INDEPENDENT試験」の結果を報告した。メンタルヘルス疾患を合併している患者は増加しており、糖尿病ではとくにケアが断片化しているとアウトカムが悪化する。低中所得国では、財政や医療従事者の不足などが障壁となって効果的なケアが阻まれ、ますます複数の慢性疾患を有する患者が増加し、回避可能にもかかわらず不良なアウトカムにつながっている。そのため、メンタルヘルスケアの導入を増加させアウトカムを改善するために有効で実現可能な統合ケアが求められていた。JAMA誌2020年8月18日号掲載の報告。うつ病を伴う2型糖尿病患者約400例で、共同ケアと通常ケアを比較 研究グループは、インドの社会経済的に多様な病院4施設において、2型糖尿病患者(患者健康質問票のうつ病評価尺度[PHQ-9]スコア10点以上、HbA1c 8%以上、収縮期血圧[SBP]140mmHg以上、LDLコレステロール130mg/dL以上)を登録し、介入群と対照群に無作為に割り付けた。登録期間は2015年3月9日~2016年5月31日。最終追跡調査日は2018年7月14日であった。 介入群(196例)では、医師ではないケアコーディネーター(栄養士、ソーシャルワーカーなど)による12ヵ月間のセルフマネジメントサポート、医師の診療を調整する意思決定支援電子健康記録の利用、および専門家による症例検討を受け、その後介入なしで12ヵ月間追跡を受けた。対照群(208例)は通常ケアを24ヵ月間受けた。 主要評価項目は、24ヵ月時点においてSymptom Checklist Depression Scale(SCL-20)スコアが50%以上低下、HbA1cが0.5%以上低下、SBPが5mmHg以上低下およびLDLコレステロール値が10mg/dL以上低下の複合エンドポイントを達成した患者の割合の群間差とした。介入群でうつ症状と循環代謝指標が改善 無作為化された404例(平均[±SD]年齢53±8.6歳、男性165例[40.8%])のうち、378例(93.5%)が試験を完遂した。 主要評価項目を達成した患者の割合は、介入群が71.6%、対照群が57.4%であり、対照群と比較して介入群で有意に増加した(リスク群間差:16.9%、95%CI:8.5~25.2、p<0.001)。事前に定義した16の副次評価項目のうち、12ヵ月時点で10項目、24ヵ月時点で13項目は、両群間で有意差は確認されなかった。 介入群と対照群における重篤な有害事象は、心血管イベントまたは入院(4例[2.0%]vs.7例[3.4%])、脳卒中(0例vs.3例[1.4%])、死亡(2例[1.0%]vs.7例[3.4%])、重篤な低血糖(8例[4.1%]vs.0例)であった。

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予期せぬ体重減少、がん精査をすべき?/BMJ

 プライマリケアで予期せぬ体重減少を呈した成人のがんリスクは2%以下で、英国の現行ガイドラインに基づく検査対象とはならないことが明らかにされた。英国・オックスフォード大学のBrian D. Nicholson氏らによる、予期せぬ体重減少のがん予測を定量化することを目的とした診断精度研究の結果で、著者は、「しかしながら、50歳以上の男性喫煙者および臨床所見を有する患者では、がんリスクを考慮すると、侵襲的な検査受診を紹介する必要がある」と述べている。報告では、特定のがん部位と関連する典型的な臨床所見は、予期せぬ体重減少が生じた際は複数のがん種のマーカーとなることも明らかにされた。BMJ誌2020年8月13日号掲載の報告。予期せぬ体重減少を呈した患者6万3,973例で、がんの診断精度を検証 研究グループは、英国のプライマリケアにおけるNational Cancer Registration and Analysis Service(NCRAS)およびClinical Practice Research Datalink(CPRD)電子健康記録を用いて、2000年1月1日~2012年12月31日に予期せぬ体重減少が記録された成人(18歳以上)6万3,973例を特定し解析した。 主要評価項目は、最初に体重減少が記録された日(インデックス日)から6ヵ月以内のがんの診断である。インデックス日の3ヵ月前から1ヵ月後までの期間の、付加的な臨床所見についても特定された。診断精度は、陽性および陰性の尤度比、陽性予測値、診断のオッズ比(OR)で評価した。 予期せぬ体重減少を認めた成人6万3,973例のうち、3万7,215例(58.2%)が女性、3万3,167例(51.8%)が60歳以上、1万6,793例(26.3%)が喫煙者であった。予期せぬ体重減少のみでプライマリケアを受診した成人患者のがんリスクは2%以下 インデックス日から6ヵ月以内にがんと診断された人は908例(1.4%)で、このうち882例(97.1%)が50歳以上であった。がんの陽性予測値は、50歳以上の男性喫煙者では英国国立医療技術評価機構による緊急検査の推奨閾値である3%を超えていたが、女性ではどの年齢でも確認されなかった。 予期せぬ体重減少を伴う男性では10項目の臨床所見が、女性では11項目が、がんと関連していた。陽性尤度比は、男性で非心臓性胸痛の1.86(95%信頼区間[CI]:1.32~2.62)から腹部腫瘤の6.10(3.44~10.79)までの範囲、女性では背部痛の1.62(1.15~2.29)から黄疸の20.9(10.7~40.9)までの範囲であった。 がんと関連があった血液検査異常値は、アルブミン低値(4.67、95%CI:4.14~5.27)、血小板数増加(4.57、3.88~5.38)、カルシウム高値(4.28、3.05~6.02)、白血球数増加(3.76、3.30~4.28)、C反応性蛋白高値(3.59、3.31~3.89)などであった。一方で、単独でがんの否定につながる血液検査正常値はなかった。また、予期せぬ体重減少を伴う臨床所見は、複数のがん部位と関連していた。

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YouTube を使った英語リスニング練習法【Dr. 中島の 新・徒然草】(338)

三百三十八の段 YouTube を使った英語リスニング練習法しばらく灼熱地獄でしたが、8月22日(土)の夜にはついに秋の虫が鳴き始めました。「ツィッ、ツイッ、ツィッ、ツイッ、ツイッ」という声が部屋の中から聞こえてきますがなかなか見つけられません。YouTube の動画で調べると、どうやらカネタタキという虫のようでした。さて、最近は YouTube を使った英語リスニング練習にはまっています。そもそも英語には「読む、書く、聴く、話す」という4技能があるわけですが、なぜリスニングなのか? それは、相手の言うことさえ理解できれば、相づちは "Yes" "No" "Thank you" くらいで済むからです。自分の言いたいことを英語で表現できるのは、もう1つ上の段階になります。なので、私はとくにリスニングに取り組んできました。リスニング練習に適した動画とは?まずは長さ。5分程度がベストですが、長くても15分まで。それ以上長いと続きません。次に読みやすい字幕。多くの YouTube 動画で英語の字幕が出せるようになりましたがその質はピンキリで、音声から遅れて出てくるものとか、白背景に白字で読めないものとか、そういうのは練習に使えません。そして英語のレベル。あまりにも難解で1場面に知らない単語が複数、というのでは到底ついて行けません。5~10分の動画で分からない単語が10~20程度がせいぜいかと思います。後は興味ある分野。以前にも述べたように(「続・中田の英語」)、ティーンエイジャーのたわごとみたいな動画が私には面白いのですが、そのほかにも近隣諸国のニュースとか天気予報なども視聴しています。具体的なリスニング練習法は?パソコン画面に YouTube を出し、最初から英語字幕を出した上で動画を視聴する。知らない単語や確信の持てない単語に出くわしたら一旦停止し、その単語をメモする。その時に文脈や場面から日本語を推測できるなら、それも書いておく。このような単語が5つほど溜まるたびにオンライン辞書で意味を調べ、メモに書き加える。発音の難しいものは耳に聞こえたとおりのカタカナを書く。LとR、SとTHの違いは、カタカナだけでなくひらがなも駆使して区別する。アクセントのある音節は ' ' でくくる。たとえば Nakajima なら「ナカ'ジー'マ」と表記する。動画の全編に渡ってこの作業を終えたら、字幕なしで見直して自らの進歩を確認する。最後にこのメモをスマホでも見れるようにしておき、電車待ちの時間などに眺めては記憶を新たにする。実際、英語の構文自体は単純なものばかりなので、単語さえわかれば、意味をとるのは容易です。私が知らなかったり確信を持てなかったりした単語をここに並べてみると、artillery, indigenously, midget, inventory, subsidiary, parity, infantry, auxiliary, archipelago など。アジア諸国の軍事的緊張に関するニュースだったので、その系統の単語ばかりになりました。また、単語自体は簡単なものでも、発音にクセがあって聴き取れないものもありました。たとえばニーチャー(nature)、コンデミー(condemn me)、シャー(sure)、ニーミック(anemic)、クートゥーヤ(criteria)、インディエン(in the end)などです。邪道ですが「インディエンと聞こえたらそれは in the end だ」と私は覚えています。だいたい5分の動画だと全体の作業時間が15分くらいなので、さほど苦になりません。そればかりか、1つの動画の英語を理解できるようになると、関連するほかの動画も理解しやすくなるので、どんどん勉強が進み、あっという間に1時間経っています。あと、やっていて気付いたのですが、英語リスニング練習には適度な目標設定が必要な気がします。つまり「英語のニュースを聴いて理解する」とか「アメリカ映画を字幕なしで理解する」とかという目標は、遠大すぎて容易には達成できません。1時間程度の勉強であれば「ハリケーン〇〇の被害についてのニュースを理解する」とか「映画〇〇の冒頭10分間の会話を理解する」という程度が正しい目標設定だと思います。これを適正目標と呼びましょう。この適正目標を達成するために大切なのが、ボキャブラリーです。われわれが大学受験のときに否応なく記憶させられた6,000語の単語をコアとして、あと20~30語ほど記憶したらこの適正目標は達成できるはず。で、もう少し目標の範囲を広げて「国際政治についての英語ニュースを理解する」とか「映画〇〇の冒頭から最後までの英語を理解する」となると、20~30語では済まず、200語ほどの記憶が必要になるものと思います。つまり6,000語+分野ごとに200語ですね。なので、「国際政治の英語ニュース」と「映画〇〇全体」の両方となるとコアの6,000語に加えて400語を覚えなくてはなりません。400語というと大変そうに感じますが、20~30語を積み重ねていっていつの間にか400語になっていた、くらいの気持ちでやれば、決してできなくはないものと思います。このリスニング練習法を始めてからまだ1ヵ月ほどですが、気のせいか以前に比べて格段に英語を聴きとりやすくなりました。もう少し続けてみたいと思います。最後に1句 YouTube 英語がわかり ヤル気出る

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第21回 COVID-19の知見惜しみなくシェア・拡散、医学論文も“新たな様式”へ

公益財団法人ときわ会常盤病院乳腺外科医の尾崎 章彦氏らがCOVID-19に関する学術論文をリスト化し、NPO法人医療ガバナンス研究所のホームページで公表している1)。公開されている18本の学術論文(2020年8月26日現在)は、尾崎氏をはじめとする同研究所に関わる医療者および研究者らによる執筆だ。同氏はこの取り組みの意義について、「データがオープンにシェアされれば、大学や研究機関に所属しない在野の医療者でもCOVID-19についての研究ができる。この流れは、医療以外の社会の流れと相まって、ますます大きな潮流になっていくのでは」と話す。彼らの活動の最大の特徴は、海外の医師・研究者との共同研究が多くあることだ。実際、掲載論文の多くがネパールの医師・研究者との共同研究により執筆されている。例えば、COVID-19の流行がネパールの観光業に与えた影響についての論説論文は、Journal of Travel Medicineという渡航医学の専門雑誌に掲載された2)。驚くべきことに、論文作成の過程におけるコミュニケーションは、もっぱらSNSやメールだという。海外の医師・研究者と知り合うきっかけは、知人の紹介や論文を読んでコンタクトを取ったこと、また科学者・研究者向けのSNS「ResearchGate」などで、実際に臨床で一緒に仕事をしたり、会ったりしたことがないメンバーがほとんどだという。日本の場合、研究はアカデミアで行うものというイメージが強い。実際、大規模調査などは大学や公的な研究機関だからこそできるものもある。一方で、ネットワークや公開データを用いれば、小規模でもコツコツと調査を実施したり論文を書いたりすることはできる。尾崎氏は福島県内の一般病院の常勤医として、それを実践した。「さまざまなテクノロジーを使えば、あらゆる課題についてフットワーク軽く海外の人とも協同して仕事ができることが改めてわかった」。彼らの取り組みに関してもう一つの特徴を挙げるとすれば、2011年の東日本大震災の被災地の状況に研究の着想を得ていることだ。尾崎氏は「放射能災害とCOVID-19は、原因となる物質が目に見えず、目に見えないことが恐怖をもたらすという点で共通点がある」と述べる。同氏らは震災後、被害地の乳がん患者を診療・調査を行った結果、症状自覚後に受診が長期的に遅れるような未診断乳がん患者が震災後に増加したことを明らかにした3)。さらに、増加傾向は震災から5年が経過した時点まで続いていたこともわかった。この研究により、医療機関の受診を躊躇するような行動様式の変化が、患者自身に生じたことが浮き彫りになった。尾崎氏らは、医療体制が復旧した後もなお、がんを自覚しながら患者が受診をためらったように、COVID-19に関しても同様の現象が増える可能性を考え、論文にまとめた。その内容は、Journal of Global Healthという国際保健の専門雑誌に掲載されている4)。COVID-19に関する論文バブル、世界の一流医学専門誌での論文取り下げが相次ぐ中、尾崎氏は「フットワーク軽く調査に取り組みつつも、データの正確さや倫理面は当然担保しながら進めていくことが極めて重要だ」と語る。大学や研究所、一般病院といった所属や立場に縛られず、それぞれのフィールドで柔軟に調査・研究を行うことの重要性を改めて感じる。今や世界共通課題であるCOVID-19に関してはなおさらで、日本発の研究のアウトプットを増やしていくのは国際社会に対する責務でもある。参考1)https://www.megri.or.jp/covid-19論文2)https://academic.oup.com/jtm/advance-article/doi/10.1093/jtm/taaa105/58683043)https://bmccancer.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12885-017-3412-44)http://www.jogh.org/documents/issue202002/jogh-10-020343_AU.pdf

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治療抵抗性精神疾患治療のための3次医療サービスの有効性

 治療抵抗性統合失調症は、2次医療機関における疾患マネジメントが困難な場合が多い疾患の1つである。再入院や長期介護費用などのリスクを軽減するため、複雑な治療抵抗性精神疾患に対しエビデンスに基づき個別で、集学的な医療を提供する専門の3次医療機関として英国精神疾患ユニット(National Psychosis Unit:NPU)がある。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのCecilia Casetta氏らは、NPUでの治療の長期的な有効性を自然主義的なアウトカムを検討することにより評価した。BJPsych Open誌2020年8月3日号の報告。 精神科病床と一般病床の入院回数、入院日数、緊急度、NPU入院前後に処方された向精神薬の数と抗精神病薬の用量について、ミラーイメージデザインを用いて比較した。CRISシステム、South London and Maudsley NHS Trustデータベース、HESシステムを用いてデータを収集した。 主な結果は以下のとおり。・NPU入院2年前と比較し、入院後には以下の改善が認められた。 ●精神疾患に伴う入院の減少(1.65±1.44 vs. 0.87±0.99、z=5.594、p<0.0001) ●精神科病床使用の減少(335.31±272.67 vs. 199.42±261.96、z=5.195、p<0.0001) ●一般病床の総入院日数の減少(16.51±85.77 vs. 2.83±17.38、z=2.046、p=0.0408) ●総入院日数の減少(351.82±269.09 vs. 202.25±261.05、z=5.621、p<0.0001)・NPUでの治療後に、必要とされるサポートレベルは低下した(z=-8.099、p<0.0001)。 著者らは「治療抵抗性精神疾患に特化した3次医療サービスの長期的な有効性が示唆された」としている。

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コクラン共同計画のロゴマークからメタ解析を学ぶ【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第27回

第27回 コクラン共同計画のロゴマークからメタ解析を学ぶこの原稿を執筆している2020年7月末には、新型コロナウイルスへの感染者数が再び増加しています。パンデミック収束の気配はありません。数多くの、抗ウイルス薬やワクチンの開発の報道はありますが、決定的な方策はない状況です。どの薬剤にも、有効という臨床試験の結果もあれば、無効という結果もあるからです。同じ臨床上の課題について、それぞれの試験によって結果が異なることは、医学の世界では珍しいことではありません。このような場合に有効な方法がメタ解析です。メタ解析は、複数のランダム化比較試験の結果を統合し分析することです。メタ解析の「メタ」を辞書的にいえば、他の語の上に付いて「超」・「高次」の意味を表す接頭語で、『より高いレベルの~』という意味を示すそうです。メタ解析の結果は、EBMにおいて最も質の高い根拠とされます。ランダム化比較試験を中心として、臨床試験をくまなく収集・評価し、メタ解析を用いて分析することを、システマティック・レビューといいます。このシステマティック・レビューを組織的に遂行し、データを提供してくれるのが、コクラン共同計画です。英語のまま「コクラン・コラボレーション」(Cochrane Collaboration)と呼ばれることも多いです。本部は、英国のオックスフォード大学にあり、日本を含む世界中100ヵ国以上にコクランセンターが設立されています。システマティック・レビューを行い、その結果を、医療関係者や医療政策決定者、さらには消費者である患者に届け、合理的な意思決定に役立てることを目的としている組織です。フォレスト・プロット図をデザイン化した、コクラン共同計画のロゴマークをご存じでしょうか。早産になりそうな妊婦にステロイド薬を投与することによって、新生児の呼吸不全死亡への予防効果を検討した、メタ解析の結果が示されています。数千人の未熟児の救命につながったと推定される、システマティック・レビューの成功例なのです。この図を、Cochrane Collaborationの2つの「C」で囲んだデザインが、コクラン共同計画のロゴです。フォレスト・プロットの図から、メタ解析の結果を視覚的に理解することができます。横線がいくつか並んでいますが、これは、過去の複数のランダム化比較試験の結果を上から順に記載したものです。1本の縦線で左右に区切られており、この線の左側は介入群が優れていることを意味します。すべての研究を統合した結果が一番下の「ひし形」に示されます。ロゴの図をみると、7つの臨床研究の結果を統合し、ひし形が縦線の左にあることから、ステロイド薬使用という介入が有効であるという結果が読み取れます。縦線が樹木の幹で、各々の研究をプロットした横線が枝葉で、全体として1本の樹木のようにみえることからフォレスト・プロットと呼ばれるのです。個々の試験では、サンプルサイズが小さく結論付けられない場合に、複数の試験の結果を統合することにより、検出力を高めエビデンスとしての信頼度を高めるのがメタ解析です。症例数が多いほど、結論に説得力があるのです。数は力なのです。多ければ良いというものではない場合もあります。それは、猫の数です。面倒みることができないほど多くの猫の数になる、いわゆる多頭飼育崩壊です。メタ解析ではなく、「メチャ飼い過ぎ」でしょうか、苦しいダジャレです。仲良く猫たちが、じゃれ合う姿は可愛らしいものですが、何事にも程合いがあります。小生は、ただ1匹の猫さまに愛情を集中しています。ここでわが家の愛猫が、原稿を執筆しているパソコンのキーボードの上に横たわりました。自分が猫のことを考えているのが伝わったのか、邪魔をしようという魂胆のようです。ウーン可愛い過ぎる! 原稿執筆終了です。

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レビー小体型認知症が疑われる患者の初期症状と診断時の特徴

 レビー小体型認知症(DLB)は、さまざまな初期症状がみられるが、多くのDLBの症例に焦点を当てた報告は、これまでほとんどなかった。北海道・砂川市立病院の内海 久美子氏らは、診断時にDLBおよびDLB関連症状が認められた患者234例を対象に、初期症状をレトロスペクティブに評価し、症状プロファイルの性差について検討を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2020年8月2日号の報告。 対象は、2017年に改訂されたDLBの臨床診断に関するコンセンサス基準を満たした、DLBの可能性の高い患者234例。DLBは、ドパミントランスポーターシンチグラフィと123 I-MIBG心筋シンチグラフィで確認した。脳灌流は、SPECTを用いて測定した。これらに加えて、中心および補助的な臨床的特徴を考慮した。 主な結果は以下のとおり。・初期症状には、認知機能障害(41.9%)、幻視、幻聴、妄想、うつ症状などの精神症状(42.3%)が認められた。・女性では、ほぼ半数で最初に精神症状が認められ、男性よりも幻聴の頻度が高かった。・男性では、女性よりもREM睡眠行動障害の発生率が有意に高かった。・診断時のDLB関連症状は男女間で異なっており、男性では、女性よりもREM睡眠行動障害、パーキンソニズム、嗅覚低下、失神が有意に多く認められた。女性では、男性よりも幻聴が有意に多く認められた。 著者らは「DLBの症状は、初期症状だけでなく診断時に観察されるその後の症状においても、性差があることが示唆された。男性ではREM睡眠行動障害、女性では精神症状の発生率が高かった」としている。

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T-DM1、HER2陽性早期乳がんの術後薬物療法に適応追加/中外製薬

 中外製薬は、抗HER2抗体チューブリン重合阻害剤複合体トラスツズマブ エムタンシン(商品名:カドサイラ、以下T-DM1)について、「HER2陽性の乳癌における術後薬物療法」に対する適応追加の承認を8月21日に取得したことを発表した。手術前の薬物療法で病理学的完全奏効(pCR)が得られなかったHER2陽性早期乳がんに対して、術後薬物療法の新たな選択肢となる。T-DM1の優越性が術前療法でpCRが得られなかったHER2陽性早期乳がんの術後薬物療法で認められた 今回のT-DM1の承認は、海外で実施された非盲検ランダム化第III相国際共同臨床試験(KATHERINE試験)の成績に基づく。本試験では、トラスツズマブを含む術前薬物療法でpCRが得られなかったHER2陽性早期乳がん1,486例を対象に、術後薬物療法としてのT-DM1の有効性と安全性をトラスツズマブと比較した。その結果、主要評価項目である浸潤性疾患のない生存期間(IDFS)について、トラスツズマブに対するT-DM1の優越性が認められた(非層別ハザード比:0.50、95%信頼区間:0.39~0.64、p<0.0001)。また、本試験におけるT-DM1の安全性は、転移を有するHER2陽性乳がんにおける治療で認められている安全性プロファイルと同様であり、忍容性が認められた。【添付文書情報】(下線部分が追加)■効能・効果・HER2陽性の手術不能又は再発乳癌・HER2陽性の乳癌における術後薬物療法■効能・効果に関連する注意〈効能共通〉1. HER2陽性の検査は、十分な経験を有する病理医又は検査施設において実施すること。2. 本剤は、トラスツズマブ(遺伝子組換え)及びタキサン系抗悪性腫瘍剤による化学療法の治療歴のある患者に投与すること。3. 本剤の術前薬物療法における有効性及び安全性は確立していない。〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉4. 術前薬物療法により病理学的完全奏効(pCR)が認められなかった患者に投与すること。5. 臨床試験に組み入れられた患者のpCRの定義等について、「17. 臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。■用法・用量通常、成人にはトラスツズマブ エムタンシン(遺伝子組換え)として1回3.6 mg/kg(体重)を3週間間隔で点滴静注する。ただし、術後薬物療法の場合には、投与回数は14回までとする。

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