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統合失調症とドパミン過感受性精神病に対する抗精神病薬補助療法~ROADS研究

 ドパミン過感受性精神病(DSP)は、抗精神病薬治療抵抗性統合失調症の発症に影響を及ぼす重要な因子である。千葉大学の新津 富央氏らは、統合失調症とDSPに対するブロナンセリン(BNS)とオランザピン(OLZ)による抗精神病薬補助療法の有効性および安全性について検討を行った。Asian Journal of Psychiatry誌オンライン版2020年8月31日号の報告。 本研究(ROADS研究)は、24週間の多施設ランダム化評価者盲検試験として実施した。統合失調症およびDSP患者を対象に、抗精神病薬治療の補助療法としてBNSとOLZを併用した際の有効性および安全性を検討した。主要アウトカムは、ベースラインから24週目までの陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)合計スコアの変化量とした。副次アウトカムは、PANSSサブスケールスコア、臨床全般印象度(CGI)、錐体外路症状評価尺度(ESRS)の変化量および抗精神病薬の用量の変化とした。対象患者61例は、BNS群(26例)とOLZ群(29例)に割り付けられた。 主な結果は以下のとおり。・PANSS合計スコアは、両群ともに減少し(BNS群:-14.8±24.0、p=0.0042、OLZ群:-10.5±12.9、p=0.0003)、両群間で有意な差は認められなかった(-4.3、95%CI:15.1~6.4、p=0.42)。・BNS群は4週目から有意な減少が認められ、OLZ群は8週目から有意な減少が認められた。・ESRSスコアはBNS群で減少し、他のスコアは両群ともに減少が認められた。・エンドポイント時における抗精神病薬単剤療法の割合は、BNS群で26.3%(6例)、OLZ群で23.8%(5例)であった。・併用した抗精神病薬の用量は両群ともに減少し、忍容性は良好であった。 著者らは「DSP患者に対する抗精神病薬補助療法として、BNSとOLZによる増強療法は選択肢となりうる。とくに、BNSは比較的早く治療反応が得られており、DSP治療に有用である可能性が示唆された」としている。

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五十肩の手術治療、理学療法に対する優越性示せず/Lancet

 凍結肩(frozen shoulder[五十肩]=adhesive capsulitis[癒着性関節包炎])の治療において、麻酔下肩関節授動術(manipulation under anaesthesia:MUA)、鏡視下関節包切離術(arthroscopic capsular release:ACR)および早期構造化理学療法(early structured physiotherapy:ESP)はいずれも、1年後の患者報告による肩の痛みや機能を大きく改善するが、これら3つの治療法に、臨床的に明確な優越性を示す差はないことが、英国・ヨーク大学のAmar Rangan氏らが実施した「UK FROST試験」で明らかとなった。研究の詳細は、Lancet誌2020年10月3日号に掲載された。MUAおよびACRによる外科的介入は、高価で侵襲的な治療であるが、その実臨床における効果は明確でないという。また、ESPは、英国のガイドラインの推奨や肩専門理学療法士によるエビデンスに基づいて、本研究のために開発された関節内ステロイド注射を含む非外科的介入で、外科的介入よりも迅速に施行可能であることからこの名で呼ばれる。3群を比較する実践的無作為化試験 研究グループは、英国のセカンダリケアでの原発性凍結肩の治療において、2つの外科的介入と、非外科的介入としてのステロイド注射を含むESPの有効性を比較する目的で、実践的な無作為化優越性試験を行った(英国国立健康研究所医療技術評価計画の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、患側の肩の他動的外旋が健側肩の50%未満に制限されることで特徴付けられる片側性凍結肩の臨床診断を受けた患者であった。被験者は、MUA、ACR、ESPのいずれかを受ける群に、2対2対1の割合で無作為に割り付けられた。 MUAでは、全身麻酔下に外科医が拘縮した関節包を伸張・切離し、術中に関節内ステロイド注射が行われた。ACRでは、全身麻酔下に外科医が腱板疎部(rotator interval)で、拘縮した前方関節包を分離したのち、麻酔下にマニピュレーションを行って最適な関節包切離を実施し、外科医の裁量で随意的にステロイド注射が施行された。これら2つの外科的介入後には、術後理学療法が行われた。また、ESPでは、理学療法開始前の最も早い時期に、参加施設の通常治療に基づき関節内ステロイド注射(画像ガイドの有無は問わない)が行われ、疼痛管理法、モビライゼーション手技、段階的な自宅での運動プログラムが実施された。ESPの理学療法と術後理学療法は、最長12週間で12回行われた。 主要アウトカムは、割り付けから12ヵ月後のオックスフォード肩スコア(OSS、12項目の患者報告アウトカム、0~48点、点数が高いほど肩の疼痛と機能が良好)とした。2つの外科的治療とESPでOSSの5点の差(臨床的に意義のある最小差)、または2つの外科的治療間の4点の差を目標に検討を行った。有意差はあるが、臨床的に意義のある最小差は達成できず 2015年4月~2017年12月の期間に、英国の35病院で参加者の募集が行われ、503例が登録された。MUA群に201例(年齢中央値54歳[IQR:54~60]、女性64%)、ACR群に203例(54歳[54~59]、62%)、ESP群には99例(53歳[53~60]、65%)が割り付けられた。 12ヵ月の時点で、多くの患者でほぼ完全に肩の機能が改善し、全体のOSS中央値はベースラインの20点から43点に上昇した。 12ヵ月の時点で、OSSのデータはMUA群が189例(94%)、ACR群が191例(94%)、ESP群は93例(94%)で得られた。平均OSS推定値は、MUA群が38.3点(95%信頼区間[CI]:36.9~39.7)、ACR群が40.3点(38.9~41.7)、ESP群は37.2点(35.3~39.2)であった。 ACR群は、MUA群(平均群間差:2.01点、95%CI:0.10~3.91、p=0.039)およびESP群(3.06点、0.71~5.41、p=0.011)と比較して、OSSが有意に高かった。また、MUA群はESP群よりもOSSが高かった(1.05点、-1.28~3.39、p=0.38)。臨床的に意義のある最小差(4~5点)は達成されなかった。 一方、3ヵ月の時点での平均OSS値は、ACR群がMUA群(26.9点vs.30.2点、平均群間差:-3.36点、95%CI:-5.27~-1.45、p=0.0006)およびESP群(26.9点vs.31.6点、-4.72点、-7.06~-2.39、p<0.0001)よりも不良であった。同様のパターンが、上肢障害評価票(Quick DASH)や疼痛評価尺度(Numeric Rating Scale)でも認められ、ACR群は3ヵ月の時点ではMUA群やESP群よりも劣っていたが、12ヵ月後には有意に良好であった。 重篤な有害事象が9例で10件(2%、ACR群8件、MUA群2件)、重篤でない有害事象は31例で33件(ACR群13件、MUA群15件、ESP群5件)報告された。また、1質調整生存年(QALY)当たりの支払い意思額(willingness-to-pay)の閾値を2万ポンドとした場合に、費用対効果が最も優れる確率はMUA群が0.8632と、ESP群の0.1366およびACR群の0.0002に比べて高かった。 著者は、「これらの知見は、臨床医にとって、共同意思決定(shared decision making)において患者と治療選択肢について話し合う際に有用と考えられる。また、外科医には、より安価で侵襲性の低い介入が失敗した場合に、関節包切離術を行うことが推奨される」としている。

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経口DPP-1阻害薬による気管支拡張症の増悪抑制について(解説:小林英夫氏)-1298

 本論文は気管支拡張症への経口DPP-1(dipeptidyl peptidase 1)阻害薬であるbrensocatib投与により、喀痰中好中球エラスターゼ活性のベースライン低下や臨床アウトカム(増悪)改善が得られたとする第II相試験結果である。DPP-4阻害薬なら糖尿病治療薬として市販されており耳なじみもあろうが、DPP-1阻害薬となると情報が少ないのではないだろうか。詳細説明は割愛するが、好中球エラスターゼなどの好中球セリンプロテアーゼ活性に関与する酵素(DPP-1)を阻害することで、喀痰中の酵素量や活性を低下させえるとのことである。いずれにしろ今後の第III相試験結果を待ちたい。 さて、なぜに昔の疾患と思われている気管支拡張症の検討なのであろうか。まず、気管支拡張症とは疾患名としてよりも、気管支が拡張しているという形態診断名であり、1980年代まではいまや消滅した気管支造影検査によって診断されていた。現在は高分解能CTによって気管支径が併走する肺動脈径の100%以上に拡大しているときに診断される。原因としては、先天性、肺疾患罹患後、免疫不全、アレルギー性疾患などと多岐にわたるが、原因不明(特発性)が最多とされる。気管支拡張症が一時期忘れられていた理由の一部として、筆者はびまん性汎細気管支炎(DPB)へのマクロライド療法の関与を想定する。DPBでは中葉・舌区を中心に気管支拡張合併が通常であり、さらに1980年代にはびまん性気管支拡張の大半はDPB由来ではないかとの本邦論文も発表されている。そのDPBは日本発のマクロライド療法により著減し、最近では希少疾患になろうとしていることから、気管支拡張症も追随して減少したのではと思っていた。 ところが近年、軽症例を含めると、想像以上に多数の潜在症例が埋もれているのではないかと欧米から報告され、気管支拡張症の国際的ガイドラインが刊行されている(Polverino E, et al. Eur Respir J. 2007;50:1700629.)。加えてmicrobiome(体内常在細菌叢とその遺伝情報)が多彩な慢性炎症性疾患の成立に関与しているのではないかという世界的関心の中、気管支拡張症も気道に存在するmicrobiomeが要因の1つではないかと推定されている。健康人の気道からは細菌は検出されないと教えられた世代にとって驚きの知見である。加えて、急増する非結核性抗酸菌症や、関節リウマチなどの免疫性炎症性疾患による気管支拡張症も呼吸器領域では注目の病態である。日本での罹患頻度の統計はないが、関節リウマチを母集団とすると30%もの合併があるという報告も見られ、新たな方法論の発展により気管支拡張症が見直されつつある。

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N95マスク内の温度と湿度【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第173回

N95マスク内の温度と湿度pixabayより使用COVID-19の最前線に立っている医療従事者の多くは、N95マスクを装着していると思います。N95マスクの欠点は、とくにアヒル型のマスクの場合、化粧が取れてしまうことです。女性にとっても結構厄介なマスクなのです。外した時にファンデーションがたくさん付いていても、男性は指摘したらダメですよ!そういうのもセクハラになりますからね。そんなN95マスクを、サージカルマスクと比較した珍しい論文があります。Li Y, et al.Effects of wearing N95 and surgical facemasks on heart rate, thermal stress and subjective sensationsInt Arch Occup Environ Health . 2005 Jul;78(6):501-9.この研究は、5人の健康な男性と5人の健康な女性の参加者が、気温25度、相対湿度70%に制御された空調室でマスクを着けてトレッドミルを行うという実験です。マスクは、サージカルマスクとN95マスクの両方を試しました。さぁ、結果はどうだったでしょうか。ええ、予想通りの結果です。N95マスクは通気性が悪く、呼吸抵抗も強いため、サージカルマスクに比べて、心拍数が10%ほど上昇し、マスク内の温度は平均で1℃高く、マスク内湿度も平均10%ほど上昇することがわかりました。とても快適とは言えないマスクですね。街中でサージカルマスクを着けて歩いている人が多いと思いますが、まれに気温40℃の灼熱地獄の中、N95マスクをガチで装着している人がいて、あれはさすがに熱中症リスクが高いんじゃないかと不安になります。厚労省もすでに外で安易にマスクを装着しないよう推奨を出していますが、密でないところでは、マスクが気軽に外せる時代が来てほしいものです。

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初発統合失調症患者における自殺関連問題

 初回エピソード統合失調症(FES)患者における自殺念慮や自殺企図が神経認知機能と関連しているかについて、中国・Peking University HuiLongGuan Clinical Medical SchoolのYi Yin氏らが、検討を行った。Suicide & Life-Threatening Behavior誌オンライン版2020年9月19日号の報告。 本研究は、最低限の治療を行った中国人FES入院患者159例(年齢:27.1歳、女性の割合:52.2%)を対象とした横断研究である。対象患者の自殺歴は、問診とカルテより収集した。神経認知機能、精神病理学的症状、抑うつ症状の評価には、それぞれMATRICS認知機能評価バッテリー、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、カルガリー統合失調症用うつ病尺度を用いた。 主な結果は以下のとおり。・FES入院患者において、自殺企図の発生は約10%、自殺念慮の生涯発生は25%以上で認められた。・自殺企図または自殺念慮を有する患者は、過去に自殺関連問題のない入院患者と比較し、7つの神経認知領域全体でスコアが有意に悪かった。・線形回帰分析では、教育レベルで調整後、自殺企図は、主に作業記憶と処理速度のスコア低下と関連していることが示唆された。・精神病理学的症状および抑うつ症状でさらに制御した場合でも、関連性は強いままであった。 著者らは「自殺企図を有するFES患者では、特定の神経認知領域におけるより深刻な障害が認められた。自殺リスク評価後には、基本的な神経認知機能を評価、検出、治療する必要がある」としている。

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アバター活用など、がんチーム医療教育に新たな取り組み/J-TOP

 一般社団法人オンコロジー教育推進プロジェクトによるジャパンチームオンコロジープログラム(J-TOP) は、The 4th Team Science Oncology Workshopとして、従来3日間で行ってきたオンサイト・ワークショップを、オンラインに変更し、Part 1からPart 3までの3つの期間に分けて実施する。 がん医療で、専門分野に加え必要なスキル、リーダーとして求められる資質、患者満足度の高い医療を提供するためのチームの有機的な動きなどを学ぶ。日時および内容・Part 1:2020年11月21日(土)、22日(日)(AM 8:00〜)4時間程度ICE breaking skill、MBTI、コアバリューなどチーム医療において必要なスキルセットの知識習得。 加えて、項目ごとの小グループワーク。・Part 2:2021年1月23日(土)(AM 8:00〜)4時間程度チームが出来上がる過程、どの段階で何をしなければならないのかを”Tuckman model” の理論に基づいて学習。・Part 3:2021年3月27日(土)(東京にて開催)Avatarを使用したオンライン・オンサイト融合ワークショップAvatarin社の協力で同社が開発した「avatar MICE」を活用し、オンラインとオンサイトの融合したハイブリットなワークショップ。

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非小細胞肺がん、デュルバルマブ術前補助療法の成績/ESMO2020

 早期非小細胞肺がん(NSCLC)における免疫チェックポイント阻害薬の術前補助療法は、すでに幾つかの試験で検討され、有望な結果が得られている。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、デュルバルマブの術前補助療法を評価する第II相多施設共同試験(IFCT-1601 IONESCO)の中間解析の結果を、フランス・Cochin病院のMarie Wislez氏が発表した。・対象:Stage1B(4cm以上)、2、3A(N2除く)の切除可能NSCLC・介入:デュルバルマブ750mg 2週ごと3サイクル投与後2〜14日目に手術・評価項目:[主要評価項目]完全(R0)切除の割合[副次評価項目]術後90日死亡率、安全性、全生存期間(OS)、無病生存期間(DFS)、奏効率、MPR(Major Pathologic Response、生存腫瘍細胞10%以下)、初回投与から手術までの期間 主な結果は以下のとおり。・2017年4月〜2019年8月に50例が登録され、46例がデュルバルマブ投与対象となった。・患者の年齢中央値61.0歳、 男性70%、喫煙者は94%であった。・R0切除割合は89.1%(46例中41例)と、仮説割合の85%を超え、主要評価項目を達成した。・46例中4例はPR、36例がSD、6例がPDで、MPRは43例中8例の18.6%であった。・術後90日の死亡率は9%(4例)。そのため、登録は中止となった。死亡した4例中3例は、心血管系などの併存疾患を有しており、デュルバルマブとの直接の関連はみられなかった。・全Gradeの有害事象(AE)は33.3%、すべてGrade2以下であった。 ・追跡期間23ヵ月におけるOSとDFSの中央値は未達、 1年OS率は89.7%、12ヵ月DFS率は78.2.%であった。

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ロピナビル・リトナビルはCOVID-19死亡リスクを下げない/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院した患者において、ロピナビル・リトナビルによる治療は28日死亡率、在院日数、侵襲的人工呼吸器または死亡のリスクを低下しないことが、無作為化非盲検プラットフォーム試験「RECOVERY試験」の結果、明らかとなった。英国・オックスフォード大学のPeter W. Horby氏ら「RECOVERY試験」共同研究グループが報告した。ロピナビル・リトナビルは、in vitro活性、前臨床試験および観察研究に基づいてCOVID-19の治療として確立されていたが、今回の結果を受けて著者は、「COVID-19入院患者の治療として、ロピナビル・リトナビルの使用は支持されない」とまとめている。Lancet誌オンライン版2020年10月5日号掲載の報告。通常治療単独群とロピナビル・リトナビル併用群で28日死亡率などを比較 RECOVERY試験は、COVID-19入院患者を対象にさまざまな治療と通常治療を比較する試験で、英国の176施設にて進行中である。同意が得られた適格患者を、通常の標準治療群、通常治療+ロピナビル(400mg)・リトナビル(100mg)または他の治療(ヒドロキシクロロキン、デキサメタゾンまたはアジスロマイシン)群のいずれかに、ウェブシステムを用いて無作為に割り付け(非層別)、10日間または退院まで経口投与した。割り付けは、通常治療群対実薬群を2対1(実薬群が2群の場合は、2対1対1)の割合とした。 主要評価項目は28日全死亡率で、無作為に割り付けられた全患者を対象とするintention-to-treat解析を実施した。両群で28日死亡率、生存退院までの期間、28日以内の生存退院率に有意差なし 2020年3月19日~6月29日の期間で、ロピナビル・リトナビル群に1,616例、通常治療群に3,424例が割り付けられた。 28日以内にロピナビル・リトナビル群で374例(23%)、通常治療群で767例(22%)が死亡した(率比:1.03、95%信頼区間[CI]:0.91~1.17、p=0.60)。事前に規定されたサブグループ解析でも、すべてのグループで同様の結果であった。 生存退院までの期間(両群とも中央値は11日間、四分位範囲:5~>28)、および28日以内の生存退院率(率比:0.98、95%CI:0.91~1.05、p=0.53)も、両群で有意差はなかった。入院時に侵襲的人工呼吸器を使用していない患者における、侵襲的人工呼吸器装着または死亡した患者の割合も、両群間に有意差は認められなかった(リスク比:1.09、95%CI:0.99~1.02、p=0.092)。 なお、著者は、非重篤の有害事象や治療中止の理由に関する詳細な情報は収集されていないこと、経口投与が困難な挿管患者がわずかながら登録されていたことなどを研究の限界として挙げている。

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限局性前立腺がん、積極的初回治療がQOL低下の引き金に/BMJ

 限局性前立腺がんに対して、積極的な初回治療を受けた患者は前立腺がんの診断を受けていない男性に比べ、概して自己申告QOLが長期にわたり低下しており、根治的前立腺摘出術を受けた男性はとくに性機能のアウトカムが不良であった。オーストラリア・Cancer Council New South WalesのCarolyn G. Mazariego氏らが、同国で最も人口の多いニューサウスウェールズ州で実施された大規模前向きコホート研究「New South Wales Prostate Cancer Care and Outcomes Study:PCOS」の解析結果を報告した。限局性前立腺がんは、過去20年にわたって診断後の生存率が増加してきているが、治療に関連した長期的なQOLアウトカムに関する研究はほとんどなかった。著者は、「医師および患者は、治療法を決定する際にこれら長期的なQOLのアウトカムを考慮する必要がある」とまとめている。BMJ誌2020年10月7日号掲載の報告。大規模ケースコントロール研究で限局性前立腺がん患者の長期QOLを評価 PCOSは、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州のがん登録に登録された70歳未満の限局性前立腺がん患者(ケース)と、同州の選挙人名簿から無作為に抽出された、年齢や居住地区がケースと一致する対照集団を追跡調査した研究である。研究グループは、PCOSに登録された患者群1,642例および対照群786例について、前立腺がんの診断後15年間の治療に関連したQOLの変化について解析した。 主要評価項目は、全体的な健康および疾患特異的なQOLである。SF-12、前立腺がん疾患特異的QOL(UCLA-PCI)、および限局性前立腺がん患者の特異的QOL尺度であるEPIC-26を用い、15年間で7回(ベースライン、診断後1、2、3、5、10、15年時)の調査を行った。各QOLスコアの対照群に対する患者群の補正後平均差を算出。同差の臨床的意義は、ベースラインのスコアから標準偏差(SD)で3分の1を最小重要差と定義して評価した。治療法によって長期的な機能障害(失禁、腸機能、性機能)に差がある 診断後15年時点で、すべての治療において、対照群と比較し患者群で勃起障害を報告した患者の割合が高かった。対照群42.7%(44/103例)に対して、PSA監視療法62.3%(33/53例)、神経温存前立腺全摘除術(NSRP)75.0%(144/192例)、非NSRP 83.0%(117/141例)、外部照射/高線量率小線源療法(EBRT/HDR)79.1%(34/43例)、アンドロゲン遮断療法(ADT)75.6%(34/45例)、低線量率小線源療法(LDR)72.0%(18/25例)であった。 1次治療でEBRT/HDRまたはADTを受けた患者は、腸機能の低下がみられた。尿失禁は手術を受けた患者でとくに多く継続していた。排尿障害は、ADT群で10年後(補正後平均差:-5.3、95%信頼区間[CI]:-10.8~0.2)から15年後(-15.9、-25.1~-6.7)にかけて増大していた。

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日本初「患者提案型医師主導治験」開始!舞台裏のストーリー【肺がんインタビュー】 第52回

第52回 日本初「患者提案型医師主導治験」開始!舞台裏のストーリー出演近畿大学医学部内科学 腫瘍内科部門 中川 和彦氏NPO法人 肺がん患者の会ワンステップ 長谷川 一男氏西日本がん研究機構(WJOG)と肺がん患者の会ワンステップが実現した日本初の患者提案型医師主導治験「KISEKI trial」。この試験の開始まであった幾多の難関。その難関を乗り越える力はどこから来ていたのか。試験実現を進めたWJOGの中川和彦氏と肺がん患者の会ワンステップの長谷川一男氏に聞いた。参考A Phase II Study to Assess the Efficacy of Osimertinib in Patients With EGFR Mutation-positive NSCLC Who Developed Isolated CNS Progression (T790M-negative or Unknown) During First- or Second-generation EGFR-TKI or Systemic Disease Progression (T790M-negative) After Treatment With First- or Second-generation EGFR-TKI and Platinum-based Chemotherapy (WJOG12819L)Masayuki Takeda M,et al. Clin Lung Cancer.2021 Jan 25[Epub ahead of print]

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レビー小体型認知症とアルツハイマー病を鑑別する新たな方法

 レビー小体型認知症(DLB)とアルツハイマー型認知症(AD)を鑑別するうえで、SPECTによる局所脳血流(rCBF)の評価が有用であり、指標としてCingulate Island Signスコア(CIScore)が用いられる。しかし、いくつかの症例ではADの偽陽性が報告されている。この問題を解決するため、福岡大学の本田 学氏らは、後頭葉と海馬傍回のrCBFを組み込んだ新たな鑑別診断法の開発を試みた。Japanese Journal of Radiology誌オンライン版2020年9月16日号の報告。 DLB患者27例とAD患者31例を対象に、Tc-99 m-ECD SPECTを実施した。両側上後頭回、中後頭回、下後頭回、楔部、扁桃体、海馬、海馬傍回の平均Zスコアを評価した。DLBの基準は次の(1)~(4)とし、それぞれの診断能力を比較した。(1)CIScoreが0.27未満、(2)平均Zスコア1超の後頭回が3つ以上、(3)平均Zスコア1超の海馬領域が1つ以下、(4)は(2)と(3)両方の組み合わせ。 それぞれの診断精度は、以下のとおりであった。・CIScore:69%・後頭回:84%・海馬領域:76%・後頭回と海馬領域の組み合わせ:93% 著者らは「後頭回と海馬領域のrCBF分析を組み合わせた新たな診断方法は、DLBとADを鑑別するうえで、最大の診断能力を示した」としている。

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胃、食道胃接合部、食道腺がん1次治療におけるニボルマブ+化学療法の成績(CheckMate-649試験)/ESMO2020

 ドイツ・Johannes-Gutenberg大学のMarkus Moehler氏は、HER2陰性の未治療の転移を有する胃、食道胃接合部、食道腺がん患者を対象としたニボルマブ・化学療法併用(NIVO+Chemo群)、ニボルマブ+イピリムマブ併用(NIVO+IPI群)と、化学療法(Chemo群)を比較した無作為化非盲検第III相CheckMate-649試験での、ニボルマブ併用群と化学療法群との比較結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress2020)で発表。Combined positive score(CPS)5以上のPD-L1陽性患者では、ニボルマブと化学療法併用が化学療法単独と比較して、無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)の統計学的に有意な延長を認めたと報告した。CheckMate-649試験でニボルマブと化学療法の併用療法が優越性を示す・対象:未治療のHER2陰性の進行あるいは転移を有する胃、食道胃接合部、食道腺がん患者(PS 0~1)・試験薬群:ニボルマブ+化学療法(XELOX 3週ごとまたはFOLFOX 2週ごと)(NIVO+Chemo群、789例)・対照群:上記の化学療法のいずれか(Chemo群、792例)・評価項目:[主要評価項目]CPS≧5患者のPFS、OS[副次評価項目]CPS≧1、CPS≧10、全患者のOS、PFS、全奏効率(ORR) CheckMate-649試験の主な結果は以下のとおり。・CheckMate-649試験の主要評価項目であるCPS≧5のOS中央値は、NIVO+Chemo群14.4ヵ月、Chemo群が11.1ヵ月で、NIVO+Chemo群で有意な延長を認めた(HR:0.71、98.4%CI:0.59~0.86、p<0.0001)。・CPS≧1以上のOS中央値は、NIVO+Chemo群が14.0ヵ月、Chemo群が11.3ヵ月で、NIVO+Chemo群で有意な延長を認めた(HR:0.77、99.3%CI:0.64~0.92、p=0.0001)。・全患者のOS中央値は、NIVO+Chemo群が13.8ヵ月、Chemo群が11.6ヵ月で、NIVO+Chemo群で有意な延長を認めた(HR:0.80、99.3%CI:0.68~0.94、p=0.0002)。・CPS≧5のPFS中央値は、NIVO+Chemo群が7.7ヵ月、Chemo群が6.0ヵ月で、NIVO+Chemo群で有意な延長を認めた(HR:0.68、98%CI:0.56~0.81、p<0.0001)。・CPS≧1のPFS中央値は、NIVO+Chemo群が7.5ヵ月、Chemo群が6.9ヵ月であった(HR:0.74、95%CI:0.65~0.85)。・全患者のPFS中央値は、NIVO+Chemo群が7.7ヵ月、Chemo群が6.9ヵ月であった(HR:0.77、95%CI:0.68~0.87)。・CPS≧5以上のORRはNIVO+Chemo群が60%、Chemo群が45%であった(p

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EGFR変異NSCLC1次治療におけるapatinib+ゲフィチニブ第III相試験(ACTIVE)/ESMO2020

 中国・中山大学のLi Zhan氏は進行EGFR変異陽性NSCLCにの1次治療におけるVEGFR2-TKIのapatinibとEGFR-TKIゲフィチニブの併用を評価する無作為化二重盲検第III相試験ACTIVEの結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で発表。apatinib併用群の有意な無増悪生存期間(PFS)を報告した。・対象:未治療のEGFR変異陽性局所進行または転移のあるNSCLC患者313例・試験群:apatinib500mg/日+ゲフィチニブ250mg/日(apatinib併用群、157例)・対照群:プラセボ+ゲフィチニブ(ゲフィチニブ群、156例)・評価項目:[主要評価項目]独立放射線画像評価委員会によるPFS[副次評価項目]研究者評価によるPFS、全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、病勢制御率(DCR)、QOL、安全性 主な結果は以下のとおり。・独立放射線画像評価委員会によるPFS中央値は、apatinib併用群が13.7ヵ月、ゲフィチニブ群が10.2ヵ月で、apatinib併用群で有意な延長が認められた(HR:0.71、95%CI:0.54~0.95、p=0.0189)。・研究者評価によるPFS中央値は、apatinib併用群が13.8ヵ月、ゲフィチニブ群が12.0ヵ月で、apatinib併用群で有意な延長が認められた(HR:0.71、95%CI:0.53~0.95、p=0.0186)。・ORRはapatinib併用群が77.1%、ゲフィチニブ群が73.7%、DCRはApatinib併用群が84.7%、ゲフィチニブ群が87.8%で、いずれも両群間に有意差はなかった。・DoR中央値は、apatinib併用群が12.9ヵ月、ゲフィチニブ群が9.3ヵ月で、apatinib併用群で有意な延長が認められた(HR:0.64、95%CI:0.47~0.88、p=0.005)。・Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)発現率はapatinib併用群が84.1%、ゲフィチニブ群が37.7%、apatinib併用群の主なTRAEは、下痢、高血圧、AST上昇であった。・EGFR変異種別のPFSのHRでは、exon19del(HR 0.67)、L858R(HR 0.72)でもITT集団と同様のベネフィットが認められた。・TP53 exon8変異の患者では、apatinib併用群で有意にPFSが改善していた(HR:0.24、95%CI:0.06~0.91)。 これらの結果から、Zhan氏は「apatinibとゲフィチニブ併用はEGFR変異陽性NSCLCの新たな1次治療の選択肢として期待できる」との見解を示した。

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PARP阻害薬オラパリブは去勢抵抗性前立腺がん患者においてOSを延長(解説:宮嶋哲氏)-1296

 オラパリブはDNA修復に関与するポリADPリボースポリメラーゼを阻害するPARP阻害薬である。がん抑制遺伝子であるBRCA1やBRCA2に変異を有する悪性腫瘍は本剤に感受性が高く、わが国において2018年に「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法」を効能・効果として承認され、さらに同年「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」についても適応が承認された。 本研究は前治療として新規ホルモン薬による治療(エンザルタミド、アビラテロン)を行い、病勢進行を認めたmCRPC患者を対象とした、オラパリブの安全性と有効性を検討するPROfound trialの第III相ランダム化試験であり、今回の報告は副次評価項目であるOSに注目している。 コホートAはBRCA1、BRCA2、ATMの少なくとも1つの変異を持つmCRPC患者245人で、コホートBは事前に決めた12関連遺伝子変異のうち少なくとも1つを持つCRPC患者142人である。2つのコホートに対して、ランダム化してオラパリブ群とコントロール群(エンザルタミドまたはアビラテロン)に2対1でランダム化して割り付けられている。 コホートAにおけるOS中央値は、コントロール群14.7ヵ月に対してオラパリブ群の19.1ヵ月であった(HR:0.69、p=0.02)。コホートBにおけるOS中央値は、コントロール群11.5ヵ月に対してオラパリブ群の14.7ヵ月であった(HR:0.96)。コントロール群からオラパリブ投与にクロスオーバーした症例の検討では有意な効果を認めなかったことから、オラパリブの早期導入にメリットがあるものと考えられた。貧血、嘔気、疲労感といったオラパリブによる副作用も半数以上の患者に認められた。 わが国においては、いまだオラパリブはmCRPC患者に対する適応は承認されていない。mCRPCの12%にBRCA遺伝子変異があると報告されていることから、その適応承認が期待されている。ただし、BRCA遺伝子変異検出に向けて遺伝子診断の普及が必須と思われる。

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進行がん患者のせん妄に対する抗精神病薬の安全性と有効性

 千里中央病院の前田 一石氏らは、緩和ケアを受けている進行がん患者のせん妄に対する抗精神病薬の安全性および有効性を明らかにするため、検討を行った。General Hospital Psychiatry誌オンライン版2020年9月14日号の報告。 本研究は、緩和ケアまたはサイコオンコロジーの入院患者で、抗精神病薬を投与されているせん妄を有する進行がん患者を、連続して登録したプロスペクティブ観察研究である。せん妄評価尺度98(DRS、範囲:0~39)の調整済み平均スコアを、一般化推定方程式を用いて、ベースライン時と3日目に収集した。また、7日間にわたる有害事象を評価した。 主な結果は以下のとおり。・756例(平均年齢72±11歳、男性:62%、寝たきり:48%)の患者データを分析した。・調整された平均DRSスコアは、抗精神病薬投与後に有意な減少が認められた(投与前:21.5[95%CI:19.5~23.4]、投与後:20.8[95%CI:18.9~22.8]、p=0.03、エフェクトサイズ[ES]=0.02)。・抗精神病薬投与によるせん妄の有意な改善が認められた因子は、以下のとおりであった。 ●75歳以上(ES=0.07) ●PS(健康状態)良好(ES=0.32) ●推定余命の長さ(ES=0.25) ●サイコオンコロジーのコンサルテーションあり(ES=0.20) ●過活動型せん妄(ES=0.14) ●混合型せん妄(ES=0.24)●クエチアピン投与(ES=0.19)・余命が数日の患者では、抗精神病薬投与によりせん妄の有意な悪化が認められた(ES=0.18)。・最も一般的な有害事象は、錐体外路症状(9.8%)、傾眠(8.5%)であった。 著者らは「包括的なせん妄のマネジメントの一部として、抗精神病薬の使用は安全であり、末期の患者やせん妄の患者にベネフィットをもたらすと考えられる。せん妄に対する非薬理学的介入に加え、適切な抗精神病薬の使用は推奨される」としている。

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ミズイボへの新規外用剤、有効性・安全性を確認

 子供に多いことで知られるウイルス性皮膚感染症、いわゆるミズイボへの新規外用剤VP-102の、第III相臨床試験の結果が報告された。VP-102は、1回使い切りタイプの独自の薬剤送達デバイスで、カンタリジン0.7%(w/v)を含有する局所フィルム形成溶液を病変部に塗布するというもの。病変塗布部が区別しやすいよう外科用染料ゲンチアナバイオレットが使われ、また苦味を加味して潜在的な経口摂取の防止が図られているという。今回、カリフォルニア大学サンディエゴ校のLawrence F. Eichenfield氏らが、2歳以上の伝染性軟属腫(MC)患者への有効性と安全性を検討した2件の第III相臨床試験の結果を報告した。いずれの試験でもVP-102はビヒクル(プラセボ)と比較して、試験終了時のMCの完全消失率が有意に優れており、有害事象は概して軽度~中等度で塗布部に限定されたものであることが明らかにされた。結果を踏まえて著者は、「VP-102は、米国食品医薬品局(FDA)による承認治療薬がない一般的な皮膚症状であるMCについて、潜在的に有効で安全な治療薬であることが示された」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2020年9月23日号掲載の報告。 2件の第III相臨床試験は、同一試験デザインの無作為化二重盲検ビヒクル対照にて、米国の31医療施設で行われた(Cantharidin Application in Molluscum Patients[CAMP-1とCAMP-2])。 2歳以上のMC患者計528例が参加。CAMP-1は2018年3月21日~11月26日に、CAMP-2は2018年2月14日~9月26日に実施された。 被験者は無作為に3対2の割合で、VP-102を局所塗布する群(VP-102治療群)またはビヒクルを局所塗布する群(ビヒクル群)に割り付けられた。病変の完全消失または最大4回塗布まで、21日ごとの受診時にすべての治療病変に塗布が行われた。 主要有効性アウトカムは、すべてのMC病変が完全消失したVP-102治療群の患者割合で、84日の時点での最終受診時にビヒクル群と比較評価した。有効性はintent-to-treat集団にて解析した。 副次有効性アウトカムは、21日、42日、63日の各時点でのMC完全消失率などであった。安全性アウトカムは、予測された局所の皮膚反応を含めた有害事象の評価が含まれた。 主な結果は以下のとおり。・528例の登録患者のうち、527例が治療を受けた(CAMP-1:265例、CAMP-2:262例)。267/527例(50.7%)が男児で、VP-102治療群の平均年齢(SD)はCAMP-1が7.5(5.3)歳、CAMP-2が7.4(8.0)歳、ビヒクル群はそれぞれ6.3(4.7)歳、7.3(6.7)歳であった。・VP-102治療群は、ビヒクル群に対して、最終受診時のMC病変完全消失達成患者の割合でみた有効性が優れていることが示された(CAMP-1[VP-102群46.3% vs.ビヒクル群17.9%、p<0.001]、CAMP-2[54.0% vs.13.4%、p<0.001])。・有害事象は、VP-102群では99%(CAMP-1)および95%(CAMP-2)、ビヒクル群は73%(CAMP-1)および66%(CAMP-2)で観察された。・最も頻度の高い有害事象は、塗布部の小胞、疼痛、かゆみ、紅斑、痂皮であり、ほとんどの有害事象の重症度は軽度~中等度であった。

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ESMO2020レポート 肝胆膵腫瘍

レポーター紹介はじめにESMO VIRTUAL CONGRESS 2020はASCO 2020 Virtualに引き続き、オンラインでの開催となった。開催会場を模したトップページ上から各会場へとアクセスでき、これまでの開催のように人々が集う様子には新型コロナウイルス感染症の収束への願いが現れていた。本稿では肝胆膵領域からいくつかの演題を紹介したい。巨大肝細胞がんに対するFOLFOXを用いたHAICの有効性が示されるHepatic arterial infusion chemotherapy (HAIC) with oxaliplatin, fluorouracil, and leucovorin (FOLFOX) versus transarterial chemoembolization (TACE) for unresectable hepatocellular carcinoma (HCC): A randomised phase III trial 【Presentation ID:981O】Intermediate stageの手術不能でかつ穿刺局所療法の対象とならない多血性肝細胞がんに対して行われるTACEの有効性は、巨大な肝細胞がんに対しては病勢制御割合は50%未満、全生存期間は9~13ヵ月といまだ十分とは言えない。FOLFOXを用いたHAICの第II相試験での良好な抗腫瘍効果を受けて、巨大な切除不能肝細胞がん患者におけるFOLFOXを用いたHAICおよびTACEを比較する無作為化第III相試験の結果が報告された。最大径7cm以上で大血管への浸潤もしくは肝外転移のない切除不能肝細胞がんを有する、Child-Pugh分類A、ECOG PS0または1の患者が適格とされた。登録された患者はHAIC(オキサリプラチン130mg/m2、ロイコボリン400mg/m2、1日目にフルオロウラシルボーラス400mg/m2、およびフルオロウラシル注入2,400mg/m2を24時間、3週間ごとに繰り返し6サイクルまで投与)またはTACE(エピルビシン50mg、ロバプラチン50mg、リピオドールおよびポリビニルアルコール粒子)に1対1で割り付けられた。主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効割合(ORR)および安全性が評価された。データカットオフは2020年4月でフォローアップは継続されている。HAIC群に159例、TACE群に156例が登録された。患者背景に大きな差はなく、HAIC群/TACE群のHBV陽性例が88.1/90.4%、AFP 400ng/mL以上は52.2/48.1%であった。最大腫瘍径の中央値はHAIC群9.9cm(範囲:7~21.3)、TACE群9.7cm(7~19.8)であり、腫瘍数が3個以下であった症例はHAIC群51.6%、TACE群47.7%であった。治療回数の中央値はHAIC群で4回(2~5)、TACE群で2回(1~3)であった。治療のクロスオーバーはTACE群で多く、HAIC群では後治療として切除が行われた症例が多かった(p=0.004)。RECIST ver.1.1によるHAIC群のORRは45.9%とTACE群の17.9%に比べ有意に高かった(p< 0.001)。Modified RECISTによる評価でも同様にHAIC群が有意に高い結果であった(48.4% vs.32.7%、p=0.004)。主要評価項目であるOS中央値はHAIC群23.1ヵ月(95%信頼区間:18.23~27.97)、TACE群16.07ヵ月(95%信頼区間:14.26~17.88)であり、HAIC群で有意な延長を認めた(HR=0.58、95%信頼区間:18.23~27.97、p<0.001)。PFS中央値は、HAIC群9.63ヵ月(95%信頼区間:7.4~11.86)、TACE群5.4ヵ月(95%信頼区間:3.82~6.98)であり、HAIC群で有意に延長した(HR=0.55、95%信頼区間:0.43~0.71、p<0.001)。Grade3以上の治療関連有害事象はHAIC群で19%、TACE群で30%とHAIC群で少なかった(p=0.03)。巨大な切除不能肝細胞がんを有する患者に対するFOLFOXを用いたHAICはTACEに比べて有効性および安全性ともに良好であった。これまで本邦では5-FUおよびシスプラチンを併用したHAICは外科的切除およびその他の局所治療の適応とならない肝細胞がんを対象としてソラフェニブへの上乗せ効果を第III相試験で示すことができなかったことなどを含めて、標準治療とされてこなかった。しかし、今回のような巨大肝細胞がんに対するHAICの有効性の報告、および門脈腫瘍栓を有する肝細胞がんに対するHAICの有効性の報告などが続いており、今後の開発に注目していきたい。転移を有する膵管腺がんおよび神経内分泌腫瘍(NEN)に対する免疫チェックポイント阻害薬の併用療法が検討されるThe Canadian Cancer Trials Group PA.7 trial: Results of a randomized phase II study of gemcitabine (GEM) and nab-paclitaxel (Nab-P) vs. GEM, Nab-P, durvalumab (D) and tremelimumab (T) as first line therapy in metastatic pancreatic ductal adenocarcinoma (mPDAC)【Presentation ID:LBA65】ゲムシタビンおよびnab-パクリタキセル併用療法(GnP)は転移を有する膵がんに対する標準的な1次治療として確立されている。一方で、DNAミスマッチ修復機構の欠損(mismatch repair deficient:dMMR)を呈する場合を除き膵がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の有効性は限られたものとされるが、線維芽細胞を含めた腫瘍環境因子による免疫チェックポイント阻害薬の耐性はゲムシタビンおよびnab-パクリタキセル併用により克服されるとの報告がある。これらを受け、抗PD-L1抗体であるデュルバルマブ(D)および抗CTLA-4抗体であるtremelimumab(T)をGnP療法に上乗せする4剤併用療法は、11例のsafety run-inコホートでの安全性が確認されたうえで、その有効性がランダム化第II相試験で検討された。試験はカナダ全域より28施設が参加し行われた。全身状態の保たれた未治療の転移のある膵管腺がんを有する患者が適格とされ、GnP群(ゲムシタビン、nab-パクリタキセルそれぞれ1,000mg/m2、125mg/m2を1日目、8日目、15日目に投与、28日を1サイクル)または4剤併用群(GnP療法に加えてD 1,500mgおよびT 75mgを1日目に投与)の2群に2対1の割合でランダム割り付けされた。ECOG PS、術後補助化学療法歴の有無により層別化が行われた。主要評価項目はOS、副次評価項目はPFS、安全性、ORRが設定された。OSの中央値をGnP群8.5ヵ月に対して4剤併用群13.1ヵ月(HR=0.65)、両側αエラー0.1、統計学的検出力0.8として150イベントが必要であると算出された。データカットオフは2020年3月15日とされた。4剤併用群に119例、GnP群に61例が割り付けられ、患者背景は両群に差はなかった。ECOG PS0/1は4剤併用群で22.7/77.3%、GnP群で23/77%、術後補助化学療法歴は4剤併用群で10.1%、GnP群で11.5%が有しており、アジア人が4剤併用群に8.4%、GnP群に9.8%含まれる集団であった。主要評価項目であるOSの中央値は4剤併用群9.8ヵ月(90%信頼区間:7.2~11.2)、GnP群8.8ヵ月(90%信頼区間:8.3~12.2)であり4剤併用群の優越性は示されなかった(層別HR=0.94、90%信頼区間:0.71~1.25、p=0.72)。PFSの中央値は4剤併用群5.5ヵ月(90%信頼区間:3.8~5.7)、GnP群5.4ヵ月(90%信頼区間:3.6~6.6)であった(層別HR=0.98、90%信頼区間:0.75~1.29、p=0.91)。ORRは4剤併用群30.3%、GnP群23.0%(オッズ比1.49、90%信頼区間:0.81~2.72、p=0.28)であり、PFS、ORRいずれも両群に有意な差はなかった。治療期間中のGrade3以上の有害事象は両群に差はなく4剤併用群で84%、GnP群で76%に認められ、倦怠感、血栓塞栓イベント、敗血症などが多かった。治療期間中のGrade3以上の検査値異常はおおむね同等であったが、リンパ球減少が4剤併用群で38%、GnP群で20%と4剤併用群で有意に高かった(p=0.02)。GnP療法へのデュルバルマブおよびtremelimumabの上乗せはOS、PFS、ORRいずれにおいても有意に改善することができなかった。現在cfDNAの網羅的遺伝子解析を用いて免疫学的観点からの有効性の探索が行われている。A multi-cohort phase II study of durvalumab plus tremelimumab for the treatment of patients (pts) with advanced neuroendocrine neoplasms (NENs) of gastroenteropancreatic or lung origin: The DUNE trial (GETNE 1601)【Presentation ID:1157O】TMB(tumor mutational burden)、PD-L1蛋白発現、およびリンパ球浸潤がいずれも低い、いわゆる「cold」な腫瘍である神経内分泌腫瘍(NEN)に対する免疫チェックポイント阻害の意義は限られたものである。しかしながら昨今、免疫チェックポイント阻害薬の併用がNENに対して良好な抗腫瘍効果を報告しており、今回抗PD-L1抗体であるデュルバルマブと抗CTLA-4抗体であるtremelimumabの併用療法がマルチコホート第II相試験で検討された。標準治療後に増悪した消化管、膵または肺を原発とする進行NENを有する患者が適格とされ、C1:ソマトスタチンアナログ(SSA)および分子標的薬または化学療法の治療歴を有する定型/非定型肺カルチノイド、C2:SSAおよび分子標的薬もしくは放射性核種療法の治療歴を有するGrade1/2消化管NEN、C3:化学療法、SSA、分子標的薬のうち2~4の治療歴を有するGrade1/2膵NENおよびC4:白金製剤を含む化学療法の治療歴を有するGrade3消化管および膵NENの4つのコホートに登録された。登録された患者はデュルバルマブ1,500mgおよびtremelimumab 75mgを4週ごとに4サイクルまで投与を受けた後、デュルバルマブ単剤療法を9サイクルまで継続して投与された。主要評価項目はC1からC3ではRECIST ver.1.1による9ヵ月時点の臨床的有効割合とされ、C4では9ヵ月時点の生存割合とされた。副次評価項目として安全性、PFS、OS、ORRおよび奏効期間(duration of response:DOR)が評価された。C1からC3では臨床的有効割合の閾値を30%、期待値を50%、C4では生存割合の閾値を13%、期待値を23%とし、片側αエラーを0.05、統計学的検出力を0.8として仮説検定に必要な症例数をそれぞれ28例および30例に設定された。C1/C2/C3/C4にそれぞれ27/31/32/33例が登録され、患者背景は以下のようであった。画像を拡大するC1からC3では主要評価項目である9ヵ月時点の臨床的有効割合はC1/C2/C3で7.4/32.3/25%であった。ORRはC1/C2/C3で0/0/6.9%(RECIST ver.1.1)および7.4/0/6.3%(irRECIST)であった。PFSはC1/C2/C3で5.3ヵ月(95%信頼区間:4.52~6.06)/8.0ヵ月(95%信頼区間:4.92~11.15)/8.1ヵ月(95%信頼区間:3.80~12.46)であった。C4では主要評価項目である9ヵ月時点の生存割合は36.1%(95%信頼区間:22.9~57)であった。ORRは7.2%(RECIST ver.1.1)および9.1%(irRECIST)であった。PFSは2.5ヵ月(95%信頼区間:21.5~2.75)であった。すべてのコホートにおける有害事象は倦怠感(43.1%)、下痢(31.7%)、掻痒(23.6%)などであった。進行消化管、膵および肺原発NETに対するデュルバルマブおよびtremelimumabの併用療法の抗腫瘍効果は十分なものではなかった。WHO grade3のNENに対する併用療法は事前に設定した統計学的設定を満たす結果であり、さらなる検討に資するものであった。これまで膵管腺がんおよび神経内分泌腫瘍はいずれもcold tumorとされ、免疫チェックポイント阻害薬の有効性は十分に示されていない。耐性克服のひとつの方向性として併用療法に大きな期待が寄せられていたが、今回の結果もまた厳しいものであった。免疫チェックポイント阻害薬の進行中のバイオマーカーの検討の結果が待たれるとともに、その他の薬剤との併用療法の開発などにも期待し、この領域における免疫療法の開発が継続していくことに期待したい。1次治療中にも転移を有する膵がん患者のQOLは損なわれているThe QOLIXANE trial - Real life QoL and efficacy data in 1st line pancreatic cancer from the prospective platform for outcome, quality of life, and translational research on pancreatic cancer (PARAGON) registry【Presentation ID:1525O】転移を有する膵がんは病勢が早く予後は不良である。GnP療法(ゲムシタビン+nab-パクリタキセル)はMPACT試験などの結果により転移を有する膵がんに対する1次治療として確立されているが、これを受ける患者のQOLに関する報告はいまだなかった。本研究は独95施設が参加する多施設共同前向き観察研究として行われ、GnP療法を受ける転移を有する膵がんが対象とされた。主要評価項目はITT集団における3ヵ月時点でのEORTC QLQ-C30のQoL/Global Health Status(GHS、全般的健康)が維持された患者の割合とされた。ベースラインと比較してスコアの変化が10ポイント未満であった場合に「QoL/GHS Scoreは維持された」と定義された。600人が登録され、患者背景は年齢の平均は68.7歳、男性/女性が58.2/41.8%、ECOG PS 0/1/2/3が32.0/48.7/12.3/1.5%、進行/再発は85.1/13.7%、膵頭部/体部/尾部は48.7/18.2/19.2%であった。GnP療法の投与サイクル数中央値(範囲)は4.0サイクル(0~12)で、45.7%で用量調整が行われており、後治療移行割合は48.5%であった。無増悪生存期間中央値は5.85ヵ月(95%信頼区間:5.23~6.25ヵ月)、全生存期間中央値は8.91ヵ月(95%信頼区間:7.89~10.19ヵ月)であった。Grade3以上の治療関連有害事象は貧血3.9%、好中球減少症5.1%、白血球減少4.3%などで、22例(3.8%)の治療関連死亡が報告された。EORTC QLQ-C30はベースラインでは588例(98%)、3ヵ月時点、293例(48.8%)で評価が可能であった。主要評価項目である3ヵ月時点でQoL/GHS Scoreが維持された患者の割合は61%であった。QoL/GHS Scoreが維持された期間の中央値は4.68ヵ月(95%信頼区間:4.04~5.59ヵ月)であった。単変量解析ではその他のサブスケールと同様にベースラインのQoL/GHS Scoreは生存に有意に寄与した(HR=0.86、p<0.0001)。多変量解析ではEORTC QLQ-C30の各サブスケールのうち、機能スケールでは身体機能(HR=0.86、0.82~0.96、p=0.004)、症状スケールでは悪心・嘔吐(HR=1.06、1.01~1.13、p=0.33)がそれぞれ生存に有意に寄与するものであった。これまでゲムシタビン単剤療法、mFOLFIRINOX療法およびオラパリブなどの第III相試験におけるQOLに関する報告はされていたものの、GnP療法を受ける転移を有する膵がん患者のQOLの情報は不足していた。今回はリアルワールドデータとしてGnP療法を受ける患者のQOLに関する検討が報告された。実臨床でも実感することであるかもしれないが、GnP療法を継続できている患者においても病勢増悪より先にQOLが低下している。転移を有する膵がんに対して、本邦でも今年ナノリポソーム型イリノテカンが承認されるなど治療の選択肢は着実に広がっている。治療をつなぐためにも、このような検討がさらに進んでいくことに期待したい。おわりに今回紹介しきれなかったが、胆道がんにおけるmFOLFIRINOX療法の有効性の報告や、欧州らしく免疫チェックポイント阻害薬以外にも多くの神経内分泌腫瘍に関する演題が多く報告されていた。ASCOに引き続くオンライン開催であったが、世界の最新のエビデンスに日本にいながらにして触れることができるなどオンラインだからこそのメリットもある。新型コロナウイルス感染症の早い収束を願うとともに、がん克服に向けた努力がさらに加速することに期待したい。

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第29回 新型コロナウイルスはタンパク質生成3工程をどれも妨げてインターフェロンを抑え込む

ヒト細胞がウイルスの侵入を察知するとタンパク質生成の3工程―切り貼り(スプライシング)で成熟したmRNAの核外移行、リボソームでの成熟mRNA翻訳によるタンパク質製造、シグナル認識粒子(SRP)の働きによる細胞膜へのタンパク質誘導が稼働し、感染抑制と加勢要請の伝令役を担うタンパク質・インターフェロンが細胞外へと放たれます1)。とにかくインターフェロンが嫌いらしい新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はそれら3工程のどれも妨害する手立てを備えていることが先週8日にCell誌に掲載されたカリフォルニア工科大学(Caltech)Mitchell Guttman教授率いるチームの研究で明らかになりました1,2)。SARS-CoV-2が作るタンパク質はおよそ30種あり、Guttman教授のチームはそれらとヒト培養細胞の分子との相互作用を調べました。その結果、ウイルスタンパク質NSP16は3工程の最初の段階・mRNAスプライシングを妨害し、別のウイルスタンパク質NSP1はリボソームを目詰まりさせて第2工程のmRNA翻訳を妨害すると分かりました。それらの妨害をかいくぐってヒトタンパク質が作られたとしてもさらに2つのウイルスタンパク質NSP8とNSP9が行く手を阻みます。NSP8とNSP9はSRPの一部・7SL RNAに結合して細胞膜へのヒトタンパク質輸送を妨げます。そして、それら3工程の妨害はどれもウイルス感染へのインターフェロン反応を抑制すると分かりました。重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者のインターフェロン応答は鈍いことが知られています1)。それに、1型インターフェロン伝達の不具合はCOVID-19の重症化に寄与するらしく、その感染予防にわれわれの体はどうやら他のウイルス感染予防に比べて1型インターフェロンをより頼りとしているようです3)。今回の研究でインターフェロン妨害の担い手が判明したことを受け、インターフェロン反応を底上げする治療薬が開発できそうです。たとえばリボソームRNAを標的とする低分子薬は多く存在し、ウイルスタンパク質NSP1とリボソームの18S rRNAの相互作用を阻害してCOVID-19防御を手助けする薬の開発が期待できます。また、SARS-CoV-2はなんと小賢しいことにNSP1による翻訳阻害がヒトmRNAにだけ及んで自前のウイルスmRNAには及ばないようにする通行手形のような仕組みを備えることも今回の研究で判明していますが、その仕組みを担うウイルスmRNA領域・SL1に結合してウイルスタンパク質生成を遮断する低分子薬の開発も可能でしょう。参考1)How SARS-CoV-2 Disables the Human Cellular Alarm System / Caltech (California Institute of Technology) 2)Abhik K, et al. Cell. 2020 October 08. [Epub ahead of print] 3)Hidden immune weakness found in 14% of gravely ill COVID-19 patients / Science

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FDA、悪性胸膜中皮腫に対するニボルマブ/イピリムマブの1次治療を承認

 米国食品医薬品局(FDA)は、2020年10月3日、切除不能な悪性胸膜中皮腫(MPM)の成人患者の1次治療に、ニボルマブとイピリムマブの併用を承認した。適応症はニボルマブ360mg 3週間ごとイピリムマブ1mg/kg 6週間ごと投与。 今回の承認は、切除不能MPM患者を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用と、シスプラチンまたはカルボプラチンとペメトレキセドの標準併用化学療法を評価した無作為化非盲検試験第III相CheckMate743試験の中間解析の結果に基づくもの。 世界肺癌学会(WCLC2020)で発表された結果によると、ニボルマブ・イピリムマブの全生存期間(OS)の中央値18.1ヵ月に対し、化学療法は14.1ヵ月であった(HR:0.74、96.6%CI:0.60~0.91、p=0.002)。 盲検化独立中央評価委員会(BICR)によるPFS中央値は、ニボルマブ・イピリムマブ6.8ヵ月に対し、化学療法で7.2ヵ月であった(HR、1.00; 95%CI、0.82-1.21)。2年PFSは、ニボルマブ・イピリムマブ16%に対し、化学療法7%であった。

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