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汎HER阻害薬poziotinib、EGFRおよびHER2 exon20変異NSCLCに有望な評価/ESMO-TAT2021

 2021年3月1〜2日に開催されたESMO Targeted Anticancer Therapies(TAT)Virtual Congress 2021の発表によると、EGFR exon20変異を有する転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、汎HER阻害薬poziotinibは臨床的利益と許容できる安全性を示した。さらにこの研究では、EGFRまたはHER2のexon20変異を有する患者において、poziotinibの1日2回の投与が1回投与に比べ安全性プロファイルが改善される可能性があることを示した。このpoziotinibの研究はマルチコホート第II相ZENITH20試験である。・対象:[コホート3]転移のある未治療のEGFR exon20変異NSCLC患者79例[コホート5」EGFRまたはHER2 exoin20変異NSCLC患者40例・介入:[コホート3]poziotinib16 mg/日[コホート5」poziotinib1日1回(10、12、16mg/回)と1日2回(6mg、8mg/回)に無作為に割り付け。・評価項目:客観的奏効率(ORR)奏効期間、無増悪生存期間(PFS)および安全性 主な結果は以下のとおり。[コホート3]・追跡期間中央値9.2ヵ月時点で、79例中12例が治療を継続していた。 ・ORRは27.8%、疾患制御率は86.1%であった。・DoR中央値は6.5ヵ月であった。・ITT解析患者の91%が腫瘍縮小を示した。 ・PFS中央値は7.2ヵ月であった。・有害事象(AE)プロファイルは、第2世代EGFR-TKIと同様であった。Gade3以上のAEは皮疹が33%、下痢が23%で発現した。[コホート5]・AE発現率は16mg1日1回の31%に対し、8mg1日2回では21%、12mg1日1回の27%に対し、6mg1日2回では16%と、1日2回投与群で低かった。 これらのデータは、poziotinibの16mg/日投与が転移のある未治療のEGFR exoin20変異NSCLC患者において臨床的に意味のある活性を有することを示し、さらに、1日2回投与とすることで、忍容性と安全性が改善されたことを示唆したと、著者らは述べている。

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飲酒と乳がんリスク~日本人16万人の解析

 欧米の研究から、飲酒が乳がんリスクを上昇させることが報告されている。しかし、日本人女性は欧米人女性より飲酒習慣が少なく、またアセトアルデヒドの代謝酵素の働きが弱い人が多いなど、飲酒関連の背景が欧米とは異なる。これまで日本人を対象とした大規模な研究は実施されていなかったが、今回、愛知県がんセンターや国立がん研究センターなどが共同で日本の8つの大規模コホート研究から約16 万人以上を統合したプール解析を行い、乳がんリスクと飲酒との関連を検討した。その結果、閉経前女性では飲酒により乳がん罹患リスクが上昇したことを愛知県がんセンターの岩瀬 まどか氏らが報告した。International Journal of Cancer誌オンライン版2021年1月26日号に掲載。 本研究には、国内の大規模コホート研究である多目的コホート研究(JPHC-I, JPHC-II)、JACC研究、大崎国保コホート研究、宮城県コホート研究、三府県宮城コホート研究、三府県愛知コホート研究、放影研寿命研究の8コホート研究が参加。それぞれのコホート研究で使用している飲酒習慣のアンケート調査結果から、飲酒習慣を頻度と量に分けて検討し、頻度は「現在非飲酒」「機会飲酒(週1日以下)」「ときどき(週1日以上4日以下)」「ほとんど毎日(週5日以上)」の4つ、量は1日飲酒量で「0g」「0~11.5g」「11.5~23g」「23g以上」の 4つのカテゴリーに分類した。年齢、地域、閉経状況、喫煙、BMI、初経年齢、出産数、女性ホルモン薬の使用、余暇の運動を調整後、非飲酒に対するその他の飲酒カテゴリーの乳がん罹患リスクを算出し、プール解析を行った。また乳がんの罹患は、閉経状態に基づき閉経前乳がんと閉経後乳がんに分け、それぞれに対する飲酒の影響を検討した。  主な結果は以下のとおり。・計15万8,164人の女性を平均14年追跡し、2,208例が新規に乳がんと診断された。・調査時の閉経状態に基づく閉経前乳がんにおいて、飲酒頻度別では非飲酒者に対する最も頻度の高い飲酒者のハザード比(HR)は1.37(1.04~1.81)、飲酒量別では1日0gの群に対する23g以上の群のHRは1.74(1.25~2.43)であった。・診断時の閉経状態に基づく閉経前乳がんにおいて、飲酒量別で1日0gの群に対する23g以上の群のHRは1.89(1.04~3.43)であった。・一方、調査時もしくは診断時での閉経状態に基づく閉経後乳がんでは、飲酒頻度、飲酒量ともに乳がんリスクとの有意な関連は認められなかった。 これらの結果から、日本人においても欧米での報告と同様に、閉経前乳がんでは飲酒が乳がんの罹患リスクを上昇させることが明らかとなった。一方、閉経後乳がんでは日本人では有意な関連が認められず、海外の結果と異なり閉経状態によって乖離がみられた。

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イベルメクチン、軽症COVID-19の改善効果見られず/JAMA

 軽症COVID-19成人患者において、経口駆虫薬イベルメクチンの投与(5日間コース)はプラセボと比較し、症状改善までの期間を有意に改善しないことが示された。コロンビア・Centro de Estudios en Infectologia PediatricaのEduardo Lopez-Medina氏らが、約400例を対象に行った試験で明らかにした。イベルメクチンは、その臨床的有益性が不確実にもかかわらず、COVID-19の潜在的な治療薬として広く処方されている。著者は、「今回の試験では、軽症COVID-19へのイベルメクチンの使用を支持する所見は認められなかった。さらなる大規模な試験を行い、イベルメクチンの他の臨床関連アウトカムの効果を明らかにする必要があるだろう」と述べている。JAMA誌オンライン版2021年3月4日号掲載の報告。軽症で発症後7日以内の成人を対象に試験 イベルメクチンが軽症COVID-19の有効な治療法であるかを確認するため、コロンビア・カリの1医療機関で二重盲検プラセボ対照無作為化試験を行った。簡易ランダムサンプリング法を用いて、試験期間中に検査で確認された症候性COVID-19患者を州の保健部門の電子データベースから特定し被験者とした。2020年7月15日~11月30日にかけて、計476例の在宅療養または入院中の軽症かつ発症後7日以内の成人を登録し、2020年12月21日まで追跡した。 被験者は2群に分けられ、一方にはイベルメクチン(300μg/kg/日)が、もう一方にはプラセボが、それぞれ5日間投与された。 主要アウトカムは、21日以内で症状が軽快するまでの期間とした。非自発的な有害事象および重篤有害事象も収集した。症状消失までの期間中央値、イベルメクチン群10日、プラセボ群12日で有意差なし 無作為化を受けて主要解析に包含された被験者は400例だった(年齢中央値37[IQR:29~48]歳、女性58%)。そのうち試験を完了した398例(99.5%)について分析を行った。 症状消失までの日数中央値は、イベルメクチン群10日(IQR:9~13)、プラセボ群12日(9~13)で有意差はなかった(ハザード比:1.07、95%信頼区間[CI]:0.87~1.32、log-rank検定のp=0.53)。21日目までに症状が消失した被験者の割合も、それぞれ82%、79%で同等だった。 最も多くみられた非自発的な有害事象は頭痛で、報告例はイベルメクチン群104例(52%)、プラセボ群111例(56%)だった。重篤有害事象で最も多かったのは多臓器不全で、合計4例(各群それぞれ2例)で発生した。 研究グループは、本試験ではイベルメクチンの効果は支持されなかったものの、より大規模な試験を行うことで、イベルメクチンの他の臨床アウトカムについてその効果が判定できるのではないか、とした。

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米国コロナ治療の今:重症コロナ患者へ実施する緩和医療とは【臨床留学通信 from NY】第18回

第18回:米国コロナ治療の今:重症コロナ患者へ実施する緩和医療とはコロナの最大の関心事は、いまワクチンにあると思います。日本でも医療従事者への接種が始まりましたが、こちらアメリカでは2月25日現時点で6,500万人ほどが1回目の接種をしているようです。しかしながら、米国の総患者数はおよそ人口の10%に相当する2,800万人。そして、ついに50万人の死亡が確認されています。ニューヨーク州は、2,000万人ほどの人口で一時期は1日の新規患者数が2万人にのぼる日もありましたが、現在は1万人以下に減っています。しかし、わたしが所属するMount Sinai Beth Israelでは、残念ながらまだコロナの患者さんの数が減っている気配を感じません。マンハッタン郊外にあたるクイーンズ地区やブルックリン地区にはMount Sinaiの関連病院があり、そこで収容できなかった患者さんがひっきりなしに転院搬送されてきます。日本では、大学病院と大学関連病院といっても経営母体が一緒であることはあまりないと思いますが、Mount Sinai Health SystemにはMount Sinai Hospitalという大学病院を中心に6つほどの病院を有しており、グループ間の転院搬送も専用の救急車でスムーズに行われます。病院としても利益をある程度求めなければならず、グループ間での転院搬送であれば問題はないという考えだと思います。電子カルテも統一されているため、受け入れる側も先方のカルテが閲覧できるため、二重の検査は不要で合理的です。そのようなシステムのため、レジデントがグループ内の病院で、2週間単位で研修を受けるということも可能です。さて、このところコロナ治療の最前線にいることが多かったのですが、緩和医療という日本ではあまり馴染みのない科のローテートをすることになりました。緩和というと、日本では主にがん患者さんに対する医療という意味が強いと思いますが、米国ではそれに限らず、集中治療をいくら施しても回復が難しい場合に、患者さんのcomfortを中心に行うことがあります。実は、そのようなケースが、コロナ患者さんで非常にたくさんおり、患者家族とのやりとりを経て、場合によってはpalliative extubationといって、人工呼吸器がないと生きていけない患者さんの気管内チューブを抜くことがあります。そのような、尊厳死と捉えられてもおかしくないような医療行為には賛否両論があると思いますが、国が違えば考えも違う、法律も違う(米国内でも、州ごとに仕組みが異なります)ということなんだと思います。Column3月21日(日)20時~(日本時間)zoomでウェブセミナーを行います。テーマは「米国循環器グループで行う戦略的メタアナリシス」です。ウェブセミナー「米国循環器グループで行う戦略的メタアナリシス」もしよければ覗いてみてください。

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第49回 新型コロナと東日本大震災(後編) あの時の医療支援は、被災地の医療をどう変えたか?

東北沿岸部の医療を進化させた在宅医療の支援こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。3月11日を境に、東日本大震災の関連報道も一気に下火となりました。NHKは、先々週はドラマが主軸でしたが、11日を迎えた先週はドキュメンタリー中心で、考えさせられる番組も多かった印象です。中でも、3月11日の夜に放送された「定点映像 10年の記録〜100か所のカメラが映した“復興”〜」は、被災3県100カ所で定期的に撮影してきた映像を基につくられたドキュメンタリーで、被災地によって復興の歩みに大きな違いがあり、そこに住む人々の思いや生活も多様であることを、改めて我々に気づかせてくれる内容でした。番組の最後で被災地を取材してきたNHKの記者が、「被災地では一般の方々は復興という言葉をほぼ使わない。使っているのは行政であり、政治家であり、われわれマスコミ」と語り、「行政の復興は、基本は住まい。被災された方は住まいも大事だが、そこがゴールとは思っていない。復興という言葉をめぐる行政と一般の方々のズレが広がっている」と指摘していたのが印象的でした。さて、今回も引き続き、東日本大震災が医療に及ぼした影響について考えてみたいと思います。東日本大震災では、前回(第48回 新型コロナと東日本大震災(前編) あの時の経験は今、医療現場でどう役に立っているか?)書いたDMAT以外にも、さまざまな医療支援チームが被災地に入りました。日本医師会のJMAT、日本プライマリ・ケア連合学会のPCATなどは、急性期医療だけではなく、亜急性期や慢性期の患者にも臨機応変に対応しました。そんな中、被災地のそれまでの医療提供体制を一気に進化させた支援もありました。それは、東北沿岸部のいくつかの町で展開された「在宅医療」です。日本の10年後だった東北沿岸部東日本大震災は、高齢化が進んだ東北沿岸部を襲ったことにより、病院や介護施設など入院・入所“施設”主体であった日本の医療提供体制の問題点を浮き彫りにしました。今から10年前の2011年、日本人口はちょうど減少傾向に入ったばかりでした(日本の人口のピークは2008年の1億2,800万人)。当時、日本全体の高齢化率は23%(現在は約29%)。それに対し、東北沿岸部の市町村の多くは30%前後に達していました。つまり、震災当時の東北沿岸部は日本の10年後の姿だった、とも言えるわけです。震災直後は津波で道路が寸断され、自動車も流されて、病院に通えない患者が続出しました。また、停電が続いたことで電動ベッドが動かず、自宅や施設で褥瘡が悪化する患者が続出しました。その時、自宅や施設において渇望されたのは、病院での医療でなく、在宅医療でした。しかし、当時、東北沿岸部の多くの市町村において、在宅医療はまだ十分に普及・定着していませんでした。医療支援チームと一体になって在宅専門部隊を組織一例として、宮城県の沿岸部最北に位置する気仙沼市では、震災前までは基幹病院である気仙沼市立病院が市民の医療の最後の砦として、急性期から慢性期まで対応しており、同病院で死を迎える人も多かったと言われています。震災前から同病院でも急性期医療への特化が模索されてはいましたが、地域で在宅医療が定着しておらず、回復期の機能を持った病床も未整備で、急性期後の患者の退院先探しには難渋していました。そんな状況の中、東日本大震災が起こり、在宅医療のニーズが急速に高まったわけです。その危機をどう乗り越えたのか……。気仙沼では全国から集った医療支援チームと地元の開業医、市立病院の医師らが一体となって、急遽、「気仙沼巡回療養支援隊」が組織され、突発的な在宅医療のニーズに対応したのです。同支援隊の活動は約6ヵ月続き、地元の開業医に在宅患者を引き継ぐ形で終了しましたが、在宅医療や口腔ケア・摂食嚥下のサポートは着実に普及・定着していきました。10年経った今、気仙沼周辺は、在宅医療だけではなく、多職種連携でも先進地域となっています。それは、大震災で気仙沼巡回療養支援隊の活動をベースに、地元の医療機関や介護事業所のスタッフたちが、研修や交流などを継続し、連携を深めてきた結果だと言えます。2017年に新築移転した気仙沼市立病院も、病床を震災時の451床から340床(一般336床〈うち回復期リハビリ病床48床〉、感染症4床)まで一気にスリム化し、地域の医療機関との連携にも力を入れはじめている、とのことです。なお、気仙沼のように、地元のリソースで在宅医療を定着させた地域がある一方で、宮城県の石巻市や登米市などでは関東を本拠とする医療法人が在宅専門診療所を開設し、やはり在宅医療や医療連携の定着・普及に寄与しています。在宅医療のニーズ拡大はコロナ禍と似ている震災によって“弱者”である高齢者が自宅に留まらざるを得なくなって、在宅医療・介護のニーズが拡大した状況は、現在のコロナ禍と似ています。今、感染防止の観点から医療機関の受診を控える高齢者が増えています。また、がん手術後の患者や末期患者なども、病院ではなく自宅療養を選択する人が増加しています。コロナ患者についても、重症病床から回復期病床、在宅への流れがきちんと定まっていなかったことが、病床逼迫の一因であったことは確かです。今後の第4波の襲来に備え、通常診療の在宅医療での対応拡大や、コロナ回復患者の在宅医療での対応なども考えておく必要があるでしょう。そうした仕組みづくりには、ひょっとすると、気仙沼巡回療養支援隊をはじめとした被災地での在宅医療の展開事例が参考になるかもしれません。

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経口脱毛治療薬は安全か

 脱毛治療に用いる低用量経口ミノキシジル(LDOM)の安全性について、多施設共同大規模コホートにおける研究結果が報告された。スペイン・Ramon y Cajal University HospitalのS. Vano-Galvan氏らが1,404例を対象とした検討の結果、全身性の有害事象はまれであり、有害事象のため治療を中止した患者は1.7%だった。結果を踏まえて著者は、「LDOMの安全性プロファイルは良好である」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2021年2月24日号掲載の報告。 研究グループは、LDOMに関する主要な懸念は全身性の副作用であったことから、大規模患者コホートにおける安全性について検討した。脱毛症のタイプを問わず、治療としてLDOMを3ヵ月以上受けていた患者を対象に、レトロスペクティブな多施設共同研究を行った。 主な結果は以下のとおり。・検討には、平均年齢43(範囲:8~86)歳の計1,404例の患者(女性943例・67.2%、男性461例・32.8%)が含まれた。・LDOMは1,065例の患者に滴定投与され、分析可能なさまざまな症例2,469件が得られた。・最も頻度の高い有害事象は多毛症(15.1%)であった。そのうち治療中止に至った患者は14例(0.5%)であった。・全身性の有害事象は、立ちくらみ(1.7%)、体液貯留(1.3%)、頻脈(0.9%)、頭痛(0.4%)、眼窩周囲浮腫(0.3%)、不眠症(0.2%)などであった。これらのうち投薬の中止に至った患者は29例(1.2%)であった。・生命に関わる悪影響は観察されなかった。

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非情動性精神疾患に対する持続性注射剤抗精神病薬~ネットワークメタ解析

 非情動性精神疾患の成人患者に対する長時間持続性注射剤(LAI)抗精神病薬による維持療法の再発予防および受容性について、イタリア・ベローナ大学のGiovanni Ostuzzi氏らは、検討を行った。The American Journal of Psychiatry誌オンライン版2021年2月18日号の報告。 MEDLINE、Embase、PsycINFO、CINAHL、CENTRALなどより、2020年6月までに公表されたランダム化比較試験を検索した。相対リスクと標準化平均差は、ランダム効果ペアワイズおよびネットワークメタ解析を用いてプールした。主要アウトカムは、再発率およびすべての原因による中止(受容性)とした。研究の質はCochrane Risk of Bias toolを、プールされた推定値の確実性はGRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development, and Evaluation)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・選択基準を満たした研究86件のうち、78件(1万1,505例)をメタ解析に含めた。・再発予防に関しては、12種類のLAIのほとんどにおいて、プラセボを上回っていた。・プラセボと比較したLAIの最大推定値および最高ランキングであった薬剤は、パリペリドン(3ヵ月製剤)とアリピプラゾールであった。・リスペリドン、pipothiazine、オランザピン、パリペリドン(1ヵ月製剤)についても、プラセボと比較し、順に優れた再発予防を有していた(GRADEの確実性:中~高程度)。・LAI同士の直接比較では、ハロペリドールのみが、アリピプラゾール、フルフェナジン、パリペリドンよりも劣っていた。・受容性に関しては、ほとんどのLAIがプラセボを上回っており、zuclopenthixol、アリピプラゾール、パリペリドン(3ヵ月製剤)、オランザピン、flupenthixol、フルフェナジン、パリペリドン(1ヵ月製剤)は、順に優れた受容性を有していた(GRADEの確実性:中~高程度)。・LAI同士の直接比較では、アリピプラゾールのみが、他のLAI(ブロムペリドール、フルフェナジン、パリペリドン[1ヵ月製剤]、pipothiazine、リスペリドン)よりも優れた受容性を示した。 著者らは「パリペリドン(3ヵ月製剤)、アリピプラゾール、オランザピン、パリペリドン(1ヵ月製剤)のLAI抗精神病薬は、再発予防と受容性において、最高のエフェクトサイズとエビデンスの確実性を有していた。このネットワークメタ解析の結果は、最前線で治療にあたっている臨床医やガイドラインの作成に役立つであろう」としている。

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高リスク初回再発B-ALL小児の地固め療法、ブリナツモマブが有望/JAMA

 高リスクの初回再発B細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)の小児の治療において、同種造血幹細胞移植前のブリナツモマブの1サイクル投与は、標準的な多剤併用強化化学療法による地固め療法と比較して、無イベント生存割合が有意に優れ、安全性も良好であることが、イタリア・ローマ・ラ・サピエンツァ大学のFranco Locatelli氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2021年3月2日号に掲載された。ブリナツモマブは、CD3/CD19を標的とする二重特異性T細胞誘導(BiTE)分子であり、T細胞を動員してCD19発現B細胞を溶解する。再発・難治性B-ALLの小児を対象とする第I/II相試験で、ブリナツモマブは抗白血病活性が示され、分子レベルでの抵抗性を有するB-ALLの成人および小児において、微小残存病変の高い完全寛解率を誘導したと報告されている。13ヵ国47施設の非盲検無作為化第III相試験 本研究は、高リスクの初回再発B-ALL小児の治療において、同種造血幹細胞移植前に残存白血病負担を軽減することで、移植後の転帰の改善を目指すアプローチにおけるブリナツモマブの有効性の評価を目的とする非盲検無作為化第III相試験であり、13ヵ国47施設が参加し、2015年11月~2019年7月の期間に患者登録が行われた(Amgenの助成による)。 対象は、生後28日~18歳未満の小児で、フィラデルフィア染色体陰性の高リスク初回再発B-ALLであり、M1 marrow(骨髄の芽球が<5%)またはM2 marrow(骨髄の芽球が≧5~<25%)の患者であった。 被験者は、3回目の地固め療法として、ブリナツモマブ(15μg/m2/日、4週間、持続静注)を1サイクル投与する群または化学療法を施行する群に無作為に割り付けられた。ブリナツモマブ群では、第1日のブリナツモマブ投与前にデキサメタゾン(5mg/m2)が投与された。 主要エンドポイントは無イベント生存割合とした。イベントは、再発、死亡、2次性悪性腫瘍、完全寛解導入の失敗と定義された。重要な副次エンドポイントは全生存(OS)割合であり、他の副次エンドポイントには微小残存病変の寛解(芽球<10-4)や有害事象が含まれた。死亡・再発のリスクが低く、微小残存病変の寛解割合が高い 108例(年齢中央値5.0歳[IQR:4.0~10.5]、女子51.9%、M1 marrow 97.2%)が無作為化の対象となり、ブリナツモマブ群に54例、化学療法群に54例が割り付けられた。事前に規定された中止規則に従い、ブリナツモマブの有益性により患者登録は早期中止となった。 フォローアップ期間中央値22.4ヵ月(IQR:8.1~34.2)の時点で、主要エンドポイントのイベントはブリナツモマブ群が31%(17/54例)、化学療法群は57%(31/54例)で発生し、無イベント生存割合はそれぞれ69%(37/54例)および43%(23/54例)であり、有意な差が認められた(ハザード比[HR]:0.33、95%信頼区間[CI]:0.18~0.61、log-rank検定のp<0.001)。すべてのサブグループで、HRはブリナツモマブ群が良好であった。 死亡は、ブリナツモマブ群で8例(14.8%)、化学療法群で16例(29.6%)発生した。OS割合のHRは0.43(95%CI:0.18~1.01)であった。また、再発は、ブリナツモマブ群が24.1%(13/54例)、化学療法群は53.7%(29/54例)で認められた。再発の累積発生の層別HRは0.24(0.13~0.46)だった。 第2完全寛解期の同種造血幹細胞移植は、ブリナツモマブ群で48例(88.9%)、化学療法群で38例(70.4%)に施行された。移植関連死は、それぞれ4例(8%)および4例(11%)で発生し、再発/病勢進行による死亡は3例(6%)および8例(21%)でみられた。 微小残存病変の寛解割合は、ブリナツモマブ群が90%(44/49例)と、化学療法群の54%(26/48例)に比べて高かった(群間差:35.6%、95%CI:15.6~52.5)。 致死的有害事象の報告はなかった。重篤な有害事象の発生は、ブリナツモマブ群が24.1%、化学療法群は43.1%、Grade3以上の有害事象の発生は、それぞれ57.4%および82.4%で認められた。ブリナツモマブ群で頻度の高いGrade3以上の有害事象は、血小板減少(18.5%)、口内炎(18.5%)、好中球減少(16.7%)、貧血(14.8%)であった。投与中止の原因となった有害事象は、ブリナツモマブ群で2例報告された。 著者は、「この患者集団において、移植前のブリナツモマブ投与は従来の化学療法よりも有効性が高く、有益な地固め療法となる可能性がある」としている。

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DPP-4阻害薬は新たな免疫抑制薬となり得るか?(解説:住谷哲氏)-1362

 筆者は内分泌代謝疾患を専門としているので、骨髄破壊的同種骨髄幹細胞移植(allo-HSCT)に伴う急性移植片体宿主病(GVHD)に関する知識は少ない。したがって本論文の結果の重要性を評価するのは適任ではないが、36例を対象とした第II相非ランダム化試験でNEJMに掲載されたことから、その結果が臨床的に大きなインパクトを有することは理解できる。 シタグリプチンをはじめとしたDPP-4阻害薬の適応は全世界的に2型糖尿病のみである。したがって本試験はdrug repositioning(drug repurposingとも呼ばれる)の1つと考えられる。ペプチド分解酵素であるDPP-4はT細胞表面に発現するCD26と同一分子であり、インクレチンであるGLP-1は生体内に多数存在するDPP-4の基質の1つに過ぎない。CD26はT細胞活性化における共刺激分子costimulatory moleculeである。動物実験でCD26の発現低下によりGVHDの抑制が可能であることが知られており、それに基づいて著者らは今回の試験を計画した。免疫抑制薬であるタクロリムスとシロリムスの併用に加えて、移植前日から移植後14日にわたってシタグリプチン1,200mg/日を投与した。その結果は、主要評価項目である移植後100日までのGrade II~IVのGVHDの発生率は5%であり、これまで報告されている発生率26~47%と比較して大きく低下していた。しかし本試験はいわばproof of conceptの段階であり、その有効性は今後実施される第III相ランダム化比較試験の結果を待つ必要がある。 血糖降下薬の観点から、本試験の結果をどう考えればよいだろうか? 1つは1,200mg(血糖降下薬としての最大投与量の12倍)2週間投与しても低血糖の発症はなかったと記載があることから、シタグリプチン(おそらく他のDPP-4阻害薬も)が単剤で低血糖を発症するリスクはほとんどないこと再確認されたことだろう。しかし筆者が重要と考えるのは、投与量の問題もあるが、DPP-4阻害薬に免疫抑制作用のあることが示された点である。DPP-4阻害薬の投与が水疱性類天疱瘡の発症と関連することが報告されているが、RS3PE、関節リウマチ、SLEなどの自己免疫疾患が増加するかについては種々の報告があり一定しない。一方で、台湾のナショナルデータベースを用いた研究ではDPP-4阻害薬の投与により自己免疫疾患の発症頻度がむしろ低下することが報告されている1)。2型糖尿病の病態、さらに合併症とされる動脈硬化性心血管病、がん、認知症、心不全の発症にも慢性炎症が関与していることが次第に明らかになりつつある。遠くない将来に、糖尿病治療における免疫抑制薬としてDPP-4阻害薬が注目される日が来るかもしれない。

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王者であると言うこと【空手家心臓外科医、ドイツ武者修行の旅】第29回

延期された東京オリンピック、本当にどうなるかわからなくなってきましたね…。モチベーションを維持しながら調整を続けているアスリートの皆さんは本当に大変だろうな、と思います。私が空手の代表選手をやっていたのは、もう20年近く前になります。この20年の間に、空手は“KARATE”となり、競技としての様相はかなり変わりました。一般の方がみても楽しめるように、派手な技には高いポイントが設定され、どんどん技を出さなければ審判より注意や警告がなされるルールになりました。その結果、選手は休むことなく大技を繰り出し続けることになり、空手は非常にエキサイティングな競技へと変貌を遂げました。2017年にバルセロナで行われた林派糸東流世界大会での、日本チームのアップ風景です。非常に軽やかなステップであることがみて取れます。参考までに、この大会では日本チームが優勝しました。ただ、本来の空手は武道でもあるワケでして。一見、動きがなくても、そこには無数の駆け引きがあったりするのですが…海外の人には、あまり理解してもらえないようです(ちなみにドイツの空手愛好者達は、この「武道の機微」を理解している人が多く、空手のスポーツ化に多少なりとも疑問を持っているようです)。試合でくじけない選手を思い出し人生にいかす空手のスポーツ化の是非は別として、現在のトッププレーヤー達は全身のバネを利用して、コートを所狭しと飛び回っています。このダイナミックさに憧れて、次世代の空手キッズ達が練習に励むんだろうなぁと思います。しかし、20年前、私が憧れた選手は今のトッププレーヤー達とはだいぶ違っていました。その選手は、当時、大学選手権(インカレ)男子個人組手の部で史上2人目となる3連覇を果たした選手でした。大学選手権は無差別級の大会なのですが、その選手は決して大柄ではありませんでした。多分身長は170cm前半だったと思います。では、超人的なスピードで相手を攪乱していたのか? というと、それも違っていました。試合中はステップを踏まず、ベタ足。脚を前後に大きくスライドさせ腰を落とし、腕は力を抜いて腰の高さに。ほぼノーガードの状態で構えていました。ジリジリと摺り足で相手を追い詰めていき、相手が攻撃に入った瞬間に懐に飛び込み、一撃の中段突きで切って落とす、まるで居合抜きのような空手でした。そんなハイリスク・ハイリターンなスタイルであるが故に、逆に強烈な一撃をもらい、前のめりに倒れてしまうシーンを何度もみました。格闘技経験のある方なら分かると思いますが、殴り倒された後に平常心を保つことは並大抵のことではありません。しかし、その選手は倒されてもビビる事も、キレる事もなく・・・いや、ちょくちょくキレてはいましたが・・・試合が再開されると、本当に何もなかったようにもう1度相手の懐に飛び込んで中段突きをブチ込んでいました。決してスマートな空手ではなく、何度も倒されながら、3度王者に輝いた姿は今でも脳裏に残っています。人生でうまくいかないことがあったときは、いつも何となくその選手の姿を思い出します。倒されても怯まない、そんな熱い選手が空手界にはたくさんいます。読者の皆さまも機会があれば、ぜひ空手にも注目してみてください。

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第51回 経口アンドロゲン受容体抑制薬がCOVID-19万能薬に?/陰茎の世界標準

経口のアンドロゲン受容体抑制薬が外来と入院を問わず新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)に有効なことがブラジルでの試験で裏付けられ、次は集中治療室(ICU)のCOVID-19患者にどうかが検討されます。また、男性諸君のおそらく多くの気をもましている陰茎の大きさの世界標準に関する報告を簡単に紹介します。経口アンドロゲン受容体抑制薬がCOVID-19患者に外来と入院を問わず有効今年1月に発表された試験で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の入院を完全またはほぼ完全に防いだ経口薬proxalutamide(プロキサルタミド)が今度はCOVID-19入院患者の死亡のほとんどを防ぎました。中国の江蘇省の蘇州を拠点とするKintor Pharmaceutical社が開発している同薬はSARS-CoV-2スパイクタンパク質の細胞表面受容体ACE2結合前の下処理に駆り出される酵素TMPRSS2の発現亢進に携わりうるアンドロゲン受容体(AR)を抑制します1)。また、ACE2の阻害と発現抑制の二手からその活性を抑制する作用もあり、AR抑制とACE2抑制のどちらもがSARS-CoV-2肺細胞侵入阻止に貢献するとの期待を背景にしてまずはCOVID-19入院抑制効果を調べる試験が去年4月にブラジルで始まりました2)。試験はCOVID-19患者の男性を募り、COVID-19による入院率の比較によって軽症患者の重症化予防効果を示すことを目指しました3)。1月10日に発表された最終解析でのproxalutamide投与群134人の入院率は0%、つまり1人も入院せずに済みました。一方、プラセボ群128人では4人に1人以上の35人(27%)が病状悪化により入院を要し、proxalutamideの重症化予防効果が裏付けられました。安全性も申し分なく、同薬15日間使用に伴う有害事象は認められませんでした。外来の女性COVID-19患者を対象にした試験の途中結果も同日1月10日に発表され、男性での試験と同様の効果が認められています。proxalutamide治療群の女性60人の入院率は男性での試験と同様に低くてわずか1.7%であり、入院したのは1人のみでした4)。プラセボ群35人では6人(17%)が入院を要しました。1月10日の発表によると患者組み入れは2月まで続き、データは今月中に揃います。今回3月11日に新たに発表された死亡抑制効果はCOVID-19流行がとくに深刻だったブラジル北部(アマゾナス州)での第III相試験に参加したCOVID-19入院男女294人の結果に基づきます。ブラジル北部でのCOVID-19入院患者の死亡率は高く、Lancet Respiratory Medicine誌に最近発表された25万例超の解析によるとブラジル北部では半数(50%;ブラジル全体では38%)が入院中に死亡しました5)。proxalutamideの試験でもプラセボ群296人の死亡率は同様に高く、およそ2人に1人、141人(48%)が14日間に死亡しました。一方、proxalutamide群294人で死亡したのはわずか11人(4%)のみであり、同薬はCOVID-19入院患者の死亡リスクを92%減らしました6)。Kintor社は今月中か来月4月初めに最終結果を手にし、同薬の取り急ぎの認可をブラジルに申請する予定です7)。また、より重症の集中治療室(ICU)患者を対象にしたブラジルでの非盲検試験も予定されています。ブラジル以外の国での取り組みも進んでいます。Kintor社は外来の男性COVID-19患者を対象にした第III相試験の米国FDA許可を今月初めに得ており8)、最初の患者が来月4月には組み入れられます7)。Kintor社はCOVID-19治療低分子薬の第III相試験FDA許可を得た最初の中国製薬会社となりました8)。また、2009年発足の同社が初めてFDA許可を得た第III相試験でもあります。陰茎の世界標準17の報告で調べられた世界の男性しめて1万5,521人の記録に基づくこれまでで恐らく最も正確なまとめ9-11)によるとペニス(陰茎)の平均的な長さは普段の緩んだ状態では9.16 cm、勃起時は13.12cmです。平均的なペニス回り(circumference)は緩んだ状態では9.31 cm、勃起時は11.66 cmでした。参考1)Anti-Androgen Treatment for COVID-19(Clinical Trial.gov)2)First Patient Enrolment for the COVID-19 Clinical Trial of Proxalutamide Completed / Kintor Pharmaceutical3)Kintor Pharmaceutical Releases the Final Data of Proxalutamide in the Treatment of Male Subjects Infected with COVID-19 / Kintor Pharmaceutical 4)Kintor's Proxalutamide (GT0918) COVID-19 Clinical Trial Shows Positive Preliminary Results in Treatment of Female Patients / PRNewswire5)Ranzani OT,et al. Lancet Respir Med. 2021 Jan 15. [Epub ahead of print]6)Kintor Pharmaceutical Announces Results from Investigator-Initiated Brazil Trial Demonstrating 92% Reduction in Mortality in Hospitalized COVID-19 Patients / PRNewswire7)Kintor’s proxalutamide reduces COVID-19 mortality risk by 92%; trial in ICU patients next / BioWorld8)Proxalutamide Phase III Clinical Trial for the Treatment of COVID-19 Patients Approved by FDA / PRNewswire9)Veale D,et al. BJU Int. 2015 Jun;115:978-86. 10)Am I Normal? British Urology Journal Measures 15,000 Penises to Find the Average / Newswise11)How big is the average penis? / Science

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新たな認知症評価尺度ABC認知症スケールの妥当性

 認知症を評価するための新しいツールとしてABC認知症スケール(ABC-DS)が、日本において開発された。ABC-DSは、日常生活動作(ADL)に関するドメインA、認知症の周辺症状(BPSD)に関するドメインB、認知機能に関するドメインCについて同時に評価できる包括的なツールであり、簡便かつ迅速に実施することが可能であり、認知症の重症度および経時的変化を測定することができる。これまで、ABC認知症スケールは、アルツハイマー型認知症(AD)の評価に有用であることが報告されているが、その他の認知症での研究はまだ行われていなかった。長崎大学の下田 航氏らは、さまざまな認知症のサブタイプや重症度に対するABC認知症スケールの妥当性について再評価を行った。Dementia and Geriatric Cognitive Disorders誌オンライン版2021年2月12日号の報告。ABC認知症スケールは血管性認知症患者でも使用可能 対象は、長崎県の病院1施設における外来患者および施設を利用している患者。ドメインAは認知症機能障害尺度(DAD)、ドメインBはNeuropsychiatric Inventory(NPI)、ドメインCはミニメンタルステート検査(MMSE)、ABC-DS合計スコアは臨床的認知症尺度(CDR)を用いた評価との相関を調査した。 ABC認知症スケールの妥当性について再評価を行った主な結果は以下のとおり。・対象患者は、男性38例、女性64例の合計102例であった(平均年齢:80.7±8.6歳)。・認知症のサブタイプの内訳は、AD 38例、血管性認知症(VaD)23例、混合型認知症23例、レビー小体型認知症6例、嗜銀顆粒性認知症9例、軽度認知障害3例であった。・ABC認知症スケールのドメインスコアと各ドメインと相関する標準的な尺度による評価スコアとの間に強い相関が認められた。・この関連は、認知症のサブタイプや重症度に依存しており、中等度~高度のADおよびVaD患者において、中~高程度の相関が認められた。 著者らは「本調査では、AD患者を対象としているABC-DSは、VaD患者でも使用可能であることが示唆された。その他の認知症サブタイプでは、ABC-DSが標準的な尺度との間に十分な相関が認められない場合がある。これまでの報告と同様に、ABC-DSは、中等度~高度の認知症に対してより有用であると考えられる。中等度~高度の認知症は、すべての患者の半数以上を占めるため、日本での臨床診療において非常に有用であろう」としている。

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肝内胆管癌診療ガイドライン2021年版発刊

 日本肝癌研究会が肝内胆管癌診療ガイドライン2021年版を2020年12月に発刊した。これまで胆道癌診療ガイドラインが発刊されてきたが、肝外胆管癌、胆嚢癌、十二指腸乳頭部癌が対象とされ、肝内胆管癌に対するガイドラインは存在していなかった。肝内胆管癌診療ガイドラインは腫瘤形成型およびその優越型を対象として作成 今回初版となる肝内胆管癌診療ガイドラインは、肝内胆管癌の分類、患者数や治療法などを踏まえ肝内胆管癌のうち腫瘤形成型およびその優越型を対象として作成されている。構成は総論・各論からはじまり、アルゴリズム、Background Statements/Clinical Topics、Clinical Questionsの枠組みで記載されている。 肝内胆管癌診療ガイドラインの主な内容は以下のとおり。<Background Statements/Clinical Topics> BS1:全世界における肝内胆管癌の罹患率の変動と地域特性 BS2:肝内胆管癌発生の危険因子 BS3:本邦と欧州における肝内胆管癌の進行度(Stage)分類の相違点 BS4:肝内胆管における前癌・早期癌病変 BS5:肝内胆管における腫瘍類似病変 CT1:肝門部胆管癌と肝内胆管癌の肝門部浸潤の区別は可能か?<Clinical Questions> CQ1:有効なスクリーニング法はあるか? CQ2:診断に有用な臨床検査は何か? CQ3:診断に有用な画像検査は何か? CQ4:腫瘍の進展範囲(T因子)の診断に有用な検査は何か? CQ5:リンパ節転移の診断に有用な画像検査は何か? CQ6:遠隔転移の診断に有用な画像検査は何か? CQ7:腫瘍生検はどのような症例に行われるべきか? CQ8:腫瘍条件からみた外科治療の適応は? CQ9:安全で合理的な手術術式は? CQ10:リンパ節郭清に意義はあるのか? CQ11:穿刺局所療法の適応となる症例は? CQ12:切除不能肝内胆管癌に推奨される薬物療法は何か? CQ13:術前化学療法は推奨されるか? CQ14:術後補助化学療法は推奨されるか? CQ15:切除不能肝内胆管癌に定位放射線治療は推奨されるか? CQ16:切除不能肝内胆管癌に粒子線治療は推奨されるか?

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進行腎がん1次治療、ニボルマブ+カボザンチニブで高い有効性(CheckMate-9ER)/NEJM

 未治療の進行腎細胞がん患者の治療において、ニボルマブとカボザンチニブの併用はスニチニブと比較して、無増悪生存(PFS)期間、全生存(OS)期間、客観的奏効率がいずれも有意に優れ、健康関連QOLも良好であることが、米国・ハーバード大学医学大学院のToni K. Choueiri氏らが実施した「CheckMate 9ER試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2021年3月4日号で報告された。腎細胞がんはVHL遺伝子の欠損を特徴とする腫瘍で、免疫療法薬や血管新生阻害薬、シグナル伝達遮断薬を組み合わせたレジメンの臨床的有益性が確認されており、個々の構成要素を洗練することで、さらに転帰が改善する可能性があると考えられている。カボザンチニブ(低分子チロシンキナーゼ阻害薬)とニボルマブ(プログラム細胞死1[PD-1]の免疫チェックポイント阻害薬)は、いずれも第III相試験において単剤で腎細胞がんのOS期間を改善したと報告されており、カボザンチニブは免疫チェックポイント阻害薬の免疫応答を増強する可能性が示唆されている。18ヵ国125施設の非盲検無作為化第III相試験 本研究は、日本を含む18ヵ国125施設が参加した非盲検無作為化第III相試験であり、2017年9月~2019年5月の期間に患者登録が行われた(Bristol Myers Squibbなどの助成による)。 対象は、未治療の淡明細胞型進行腎細胞がんを有する成人で、Karnofskyの全身状態スコア(0~100点、点数が低いほど機能障害が大きい)が70点以上の患者であった。 被験者は、ニボルマブ(240mg、2週ごと、静脈内投与)とカボザンチニブ(40mg、1日1回、経口投与)を併用投与する群、またはスニチニブ(50mg、1日1回、経口投与)を、6週を1サイクルとして4週投与後2週休薬する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。投与は、病勢進行または許容できない毒性が発現するまで継続された。 主要エンドポイントはPFS期間とした。副次エンドポイントは、OS期間、客観的奏効、安全性であった。PFS期間と客観的奏効は、盲検下に独立中央判定委員会が評価した。探索的エンドポイントとして、健康関連QOLの評価も行った。病勢進行/死亡リスクがほぼ半減、死亡リスク40%低下、PFS期間と奏効率は約2倍に 651例が無作為化の対象となり、ニボルマブ+カボザンチニブ群に323例(年齢中央値62歳[範囲:29~90]、男性77.1%)、スニチニブ群には328例(61歳[28~86]、70.7%)が割り付けられた。腫瘍のPD-L1発現は、1%以上が25.5%、1%未満は74.5%であった。 OS期間のフォローアップ期間中央値18.1ヵ月(範囲:10.6~30.6)の時点で、PFS期間中央値はニボルマブ+カボザンチニブ群が16.6ヵ月(95%信頼区間[CI]:12.5~24.9)と、スニチニブ群の8.3ヵ月(7.0~9.7)に比べ有意に延長した(病勢進行または死亡のハザード比[HR]:0.51、0.41~0.64、p<0.001)。また、1年PFS率は、ニボルマブ+カボザンチニブ群が57.6%(95%CI:51.7~63.1)、スニチニブ群は36.9%(31.1~42.8)であった。 1年OS率は、ニボルマブ+カボザンチニブ群が85.7%(95%CI:81.3~89.1)、スニチニブ群は75.6%(70.5~80.0)であり、併用群で有意に低下した(死亡のHR:0.60、98.89%CI:0.40~0.89、p=0.001)。両群ともOS期間中央値には未到達であった。 客観的奏効率は、ニボルマブ+カボザンチニブ群が55.7%、スニチニブ群は27.1%と有意差が認められ(p<0.001)、このうち完全奏効(CR)はそれぞれ8.0%および4.6%で達成された。また、奏効までの期間中央値は、それぞれ2.8ヵ月および4.2ヵ月、奏効期間中央値は20.2ヵ月および11.5ヵ月だった。 ニボルマブ+カボザンチニブのPFSおよびOSの利益は、サブグループ全体で一貫してみられた。 原因を問わない有害事象は、ニボルマブ+カボザンチニブ群が99.7%、スニチニブ群は99.1%で発現し、Grade3以上の有害事象はそれぞれ75.3%および70.6%に認められた。有害事象により、ニボルマブ+カボザンチニブ群の19.7%が少なくとも1剤を中止し(ニボルマブのみ中止:6.6%、カボザンチニブのみ中止:7.5%)、両薬剤を中止したのは5.6%であった。スニチニブ群では16.9%が投与を中止した。 健康関連QOLは、ニボルマブ+カボザンチニブ群が経時的に維持されていたのに対し、スニチニブ群はベースラインから一貫して悪化していた。 著者は、「ニボルマブ+カボザンチニブでは、病勢進行または死亡のリスクが49%低減し、PFS期間中央値が2倍に延長し、死亡のリスクが40%低下し、客観的奏効率は2倍に増加した」とまとめ、「これらの結果は、カボザンチニブが免疫チェックポイント阻害薬の効果を増強する可能性を示唆した以前のデータと一致する」としている。

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ブリナツモマブは、1~30歳の初回再発B-ALLの無病生存を改善するか/JAMA

 高または中リスクの初回再発B細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)の小児・青年・若年成人の再寛解導入療法後の治療において、ブリナツモマブ投与後の造血幹細胞移植(HSCT)と、化学療法施行後のHSCTでは、無病生存割合に関して統計学的に有意な差はないことが、米国・ジョンズ・ホプキンズ大学のPatrick A. Brown氏らChildren's Oncology Group(COG)が行った「AALL1331試験」で示された。試験の早期中止による検出力不足の可能性があるため、結果の解釈には限界があるという。研究の詳細は、JAMA誌2021年3月2日号で報告された。小児・青年・若年成人B-ALLの初回再発に対する標準的な化学療法は、とくに早期再発(高リスク)または再導入化学療法後の残存病変の晩期再発(中リスク)の患者において、重度の毒性、その後の再発、および死亡の発生率が高いとされる。ブリナツモマブは、CD3/CD19を標的とする二重特異性T細胞誘導(BiTE)抗体で、再発・難治性B-ALLに有効であり、良好な毒性プロファイルを有すると報告されている。4ヵ国155施設の無作為化第III相試験 研究グループは、高/中リスクの初回再発B-ALLの小児・青年・若年成人の地固め療法において、強化化学療法をブリナツモマブで代替することで生存率が改善するかの検証を目的に、無作為化第III相試験を実施した(米国国立衛生研究所[NIH]/国立がん研究所[NCI]などの助成を受けた)。 2014年12月~2019年9月の期間に、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの155施設で患者登録が行われ、フォローアップは2020年9月30日まで実施された。 対象は、年齢1~30歳の初回再発B-ALL患者であり、ダウン症候群、フィラデルフィア染色体陽性ALL、HSCTやブリナツモマブ治療の施行歴のある患者は除外された。 全例が、4週間の再導入化学療法を受けた後、ブリナツモマブ(15μg/m2/日、28日)を1週の休薬期間を置いて2サイクル投与する群または多剤併用化学療法を2サイクル(1サイクルは4週)施行する群に無作為に割り付けられた。引き続き、HSCTが施行された。 主要エンドポイントは無病生存割合、副次エンドポイントは全生存割合とした。統計学的有意差の閾値は、片側検定のp値が<0.025と設定された。2年全生存やMRD陰性化、HSCT施行の割合は良好 最終解析には208例(年齢中央値9歳、女性97例[47%])が含まれ、このうち105例がブリナツモマブ群、103例は化学療法群であった。118例(57%)が試験薬の投与を完遂した。中間解析時に、予測されていた131件のイベントのうち実際に発生したのは80件(61%)で、有効性または無益性の中止規則を満たさなかったが、安全性・データ監視委員会の勧告により無作為化が中止された。 フォローアップ期間中央値2.9年の時点で、2年無病生存割合はブリナツモマブ群が54.4%、化学療法群は39.0%と、両群間に有意な差は認められなかった(病勢進行または死亡のハザード比[HR]:0.70、95%信頼区間[CI]:0.47~1.03、片側検定のp=0.03)。 2年全生存割合は、ブリナツモマブ群が71.3%と、化学療法群の58.4%に比べ有意に良好であった(死亡のHR:0.62、95%CI:0.39~0.98、片側検定のp=0.02)。 探索的エンドポイントである微小残存病変(MRD)の陰性例の割合は、無作為化の時点で両群間に差はなかった(ブリナツモマブ群26例[25%]vs.化学療法群31例[30%]、群間差:-5%、95%CI:-17~7、p=0.39)。これに対し、1サイクル施行後(79例[75%]vs.33例[32%]、43%、31~55、p<0.001)および2サイクル施行後(69例[66%]vs.33例[32%]、34%、21~46、p<0.001)のMRD陰性例の割合はいずれも、ブリナツモマブ群で有意に良好であった。 HSCTは、ブリナツモマブ群は74例(70%)で実施され、化学療法群の44例(43%)に比し施行割合が高かった(群間差:27%、95%CI:15~41、p<0.001)。 とくに注目すべき重篤な有害事象として、ブリナツモマブ群では感染症が15%、発熱性好中球減少が5%、敗血症が2%に、化学療法群では感染症が65%、発熱性好中球減少が58%、敗血症が27%、口腔粘膜炎が28%にみられた。 著者は、「この試験の解釈については、早期中止による主要エンドポイントの検出力不足の可能性があるため限界がある」とまとめ、「安全性・データ監視委員会の中止勧告の理由は、『両群間の臨床的均衡(clinical equipoise)の喪失』であった」としている。

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非代償性肝硬変へのアルブミン、予後を改善せず/NEJM

 非代償性肝硬変の入院患者の治療において、目標血清アルブミン値を30g/L以上に設定したアルブミン投与は、英国の現在の標準治療と比較して感染症や腎機能障害、死亡の発生を改善せず、重症度の高い有害事象や生命を脅かす重篤な有害事象の頻度が高いことが、同国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのLouise China氏らが実施した「ATTIRE試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌2021年3月4日号に掲載された。非代償性肝硬変患者では、感染症や全身性炎症の亢進が臓器障害や死亡の原因となる。前臨床試験ではアルブミンの抗炎症作用が示されているが、検証のための大規模臨床試験は行われていなかった。英国35病院の非盲検無作為化試験 本研究は、非代償性肝硬変の入院患者において、目標血清アルブミン値を30g/L以上とし、20%ヒトアルブミン溶液を連日静注することで、標準治療に比べ感染症や腎機能障害、死亡の発生率が低下するかを検証する非盲検無作為化試験であり、2016年1月~2019年6月の期間にイングランド、スコットランド、ウェールズの35の病院で患者登録が行われた(英国Health Innovation Challenge Fund[HICF]の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、非代償性肝硬変による急性合併症の診断で入院し、入院後72時間以内(早期の投与は後期の投与よりも有効である可能性が高いため)の血清アルブミン値が30g/L未満で、無作為化の時点で入院期間が5日以上と予測される患者であった。 被験者は、アルブミン値35g/L以上での維持を目標に20%ヒトアルブミン溶液の投与(100mL/時)を最長で14日間、あるいは退院のいずれか早い時点まで受ける群、または標準治療を受ける群に無作為に割り付けられた。治療は入院後3日以内に開始された。 主要エンドポイントは、入院後3~15日または退院日(15日より前の場合)に発生した新規の感染症(原因は問わない)、腎機能障害、死亡の複合であった。複合主要エンドポイント:29.7% vs.30.2%、個々の要素にも差はない 777例が無作為化の対象となり、アルブミン群に380例(平均年齢[±SD]53.8±10.6歳、女性123例[32.4%])、標準治療群には397例(53.8±10.7歳、104例[26.2%])が割り付けられた。 肝硬変の原因は、アルコールがアルブミン群91.3%、標準治療群88.2%で、C型肝炎がそれぞれ6.3%および8.8%、非アルコール性脂肪性肝疾患が6.8%および7.3%であった。全体では、26.4%がアルコール離脱の治療を受けており、24.9%がアルコール性肝炎で、平均アルブミン値は23.2±3.7g/Lであった。試験期間中の平均入院日数は、アルブミン群が8日(IQR:6~15)、標準治療群は9日(6~15)だった。 標準治療群の49.4%がアルブミンの投与を受けず、試験期間中の患者1例当たりのアルブミン総投与量中央値は、アルブミン群が200g(IQR:140~280)であったのに対し、標準治療群は20g(0~120)であった(補正後平均群間差:143g、95%信頼区間[CI]:127~158.2)。アルブミン群は、3~15日目の期間の平均アルブミン値が30g/Lを超えたが、標準治療群が30g/Lを超えた日はなかった。 intention-to-treat解析では、主要エンドポイントのイベントが発生した患者の割合はアルブミン群が29.7%(113/380例)、標準治療群は30.2%(120/397例)であり、両群間に有意な差は認められなかった(補正後オッズ比[OR]:0.98、95%CI:0.71~1.33、p=0.87)。また、退院時または15日目でデータを打ち切りとする生存時間解析を行ったところ、同様に、両群間に有意な差はみられなかった(ハザード比[HR]:1.04、95%CI:0.81~1.35)。 主要エンドポイントの個々の構成要素は、いずれも両群間に有意な差はなかった(新規感染症:アルブミン群20.8% vs.標準治療群17.9%、補正後OR:1.22[95%CI:0.85~1.75]、腎機能障害:10.5% vs.14.4%、0.68[0.44~1.11]、死亡:7.9% vs.8.3%、0.95[0.56~1.59])。 重症度の高い有害事象(Grade3:アルブミン群28例、標準治療群11例)および生命を脅かす重篤な有害事象(Grade4:17例、13例)の頻度は、アルブミン群が標準治療群よりも高かった。とくに、アルブミン群では重篤な肺水腫/体液過剰(アルブミン群23例、標準治療群8例)が高頻度に認められた。 著者は、「これらのデータは、肝硬変患者におけるアルブミン投与の再評価の必要性を支持する」としている。

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EGFR変異肺がん2次治療、オシメルチニブ+ベバシズマブの評価は?【肺がんインタビュー】 第60回

第60回 EGFR変異肺がん2次治療、オシメルチニブ+ベバシズマブの評価は?出演:和歌山県立医科大学 内科学第3講座 赤松 弘朗氏EGFR変異非小細胞肺がんにおけるEGFR-TKIとVEGF阻害薬の併用による有効性の向上が報告されている。そこで2次治療のT790 M変異陽性例に対するオシメルチニブ+ベバシズマブを評価するWJOG8715L試験が行われ、その結果がJAMA Oncology誌で発表された。筆頭著者である和歌山県立医科大学の赤松 弘朗氏に同研究の内容と結果について聞いた。参考Akamatsu H, et al. Efficacy of Osimertinib Plus Bevacizumab vs Osimertinib in Patients With EGFR T790M-Mutated Non-Small Cell Lung Cancer Previously Treated With Epidermal Growth Factor Receptor-Tyrosine Kinase Inhibitor: West Japan Oncology Group 8715L Phase 2 Randomized Clinical Trial.JAMA Oncol. 2021 Jan.[Epub ahead of print]

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高齢者肺炎寿司本【Dr.倉原の“俺の本棚”】第40回

【第40回】高齢者肺炎寿司本おいしそうな寿司が表紙になっているこの本を電車で読んでいて、誰が医学書だと思うでしょうか。よいですね、この装丁。編者のブログ(「南砺の病院家庭医が勉強記録を始めました」)にも書かれていましたが、雑誌『dancyu(ダンチュウ)』みたいです。『終末期の肺炎』大浦 誠/編. 南山堂. 2020年私が医師になった頃は、終末期の肺炎が起こっても、言語聴覚士、栄養士、MSWなどがどんどん現場に入ってくることはなくて、とにかく絶飲食にして抗菌薬を投与するというのが当たり前でした。そもそも口から食べられないのだから、仕方がないと思い込んでいた節もあります。治してもまた肺炎を繰り返す。現場の徒労感。それゆえ、高齢者の肺炎はどうしても医師が主導権を握りがちで、看護師と言語聴覚士が指示を受けてケアしていることが多いです。理想はpatient-orientedな輪っかができることですが、そうなっていないシーンはいまだによく見ます。2017年に成人市中肺炎ガイドラインが刊行され、ようやく終末期の肺炎について記述されました。近年、アドバンスケアプランニング(ACP)が叫ばれるようになり、終末期の肺炎について議論されることが増えてきました。高齢者の肺炎マネジメントの変革期を代表するような本で、個人的には医師以外の職種にも読んでほしいと思っています。編者は決して終末期の肺炎に特化したものではない、あくまで病院で遭遇する肺炎について書いたものだとおっしゃっていますが、誤嚥を繰り返す高齢者に対して打つ手がないと思っている医療従事者は騙されたと思って読んでみてください。この本は、成年後見人が医療行為への同意権がないというところから、じゃあ意思決定はどうすればよいのかというデリケートなところまで踏み込んで書かれています。BATNAやZOPAなど、医学書には出てこないような交渉術の用語も登場してきて、あざます、勉強になります!『終末期の肺炎』大浦 誠 /編出版社名南山堂定価本体3,600円+税サイズB5判刊行年2020年

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双極性障害のうつ病エピソード再発に対する光曝露の影響

 光線療法は、双極性うつ病に対する効果が示唆されている治療方法であるが、うつ病エピソードに対する予防効果が認められるかは、よくわかっていない。桶狭間病院の江崎 悠一氏らは、実生活環境における光曝露が、双極性障害患者のうつ病エピソードの再発に対する予防効果と関連しているかについて、評価を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2021年2月15日号の報告。 本研究は、2017年8月~2020年6月に日本で行われたプロスペクティブ自然主義的観察研究である。双極性障害外来患者202例を対象に、ベースラインから7日間連続して日中の光曝露を客観的に評価し、その後の気分エピソードの再発について、12ヵ月間フォローアップを行った。光曝露の測定には、周囲の光を測定できるアクチグラフを用いた。 主な結果は以下のとおり。・202例中198例(98%)が12ヵ月間のフォローアップを完了した。・フォローアップ期間中に、うつ病エピソードの再発が認められた患者は、78例(38%)であった。・潜在的な交絡因子で調整したCox比例ハザードモデルでは、日中の光曝露が1,000luxを超える時間の増加と、うつ病エピソードの再発の減少との間に有意な関連が認められた([log min]ハザード比:0.66、95%CI:0.50~0.91)。・朝の平均照度が高く([log lux]ハザード比:0.65、95%CI:0.49~0.86)、1,000luxを超える時間が増加すると([log min]ハザード比:0.61、95%CI:0.47~0.78)、うつ病エピソードの再発に有意な減少が認められた。・日中の光曝露と躁、軽躁、混合エピソードの再発との間に有意な関連は認められなかった。 著者らは「日中の光曝露の増加とうつ病エピソードの再発の減少との間に有意な関連が認められた。これは、主に朝の光曝露と関連していることが示唆された」としている。

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トシリズマブとサリルマブ、重症COVID-19患者に有効/NEJM

 集中治療室(ICU)で臓器補助(organ support)を受けた重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者において、インターロイキン6(IL-6)受容体拮抗薬のトシリズマブとサリルマブによる治療は、生存を含むアウトカムを改善することが認められた。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのAnthony C. Gordon氏らが、現在進行中の国際共同アダプティブプラットフォーム試験である「Randomized, Embedded, Multifactorial Adaptive Platform Trial for Community-Acquired Pneumonia:REMAP-CAP試験」の結果を報告した。重症COVID-19に対するIL-6受容体拮抗薬の有効性は、これまで不明であった。NEJM誌オンライン版2021年2月25日号掲載の報告。アダプティブプラットフォーム臨床試験でトシリズマブとサリルマブの有効性を評価 研究グループは、ICUで臓器補助開始後24時間以内のCOVID-19成人患者を、トシリズマブ(8mg/kg体重)群、サリルマブ(400mg)群、または標準治療(対照群)のいずれかに無作為に割り付けた。 主要評価項目は、21日以内の非臓器補助日数(患者が生存し、ICUで呼吸器系または循環器系の臓器補助を要しない日数)で、患者が死亡した場合は-1日とした。 統計にはベイズ統計モデルを用い、優越性、有効性、同等性または無益性の事前基準を設定。オッズ比>1は、生存期間の改善、非臓器補助期間の延長、あるいはその両方を示すものとした。標準治療と比較しトシリズマブ、サリルマブで非補助日数が増加、90日生存も改善 トシリズマブ群およびサリルマブ群のいずれも、事前に定義された有効性の基準を満たした。 解析対象は、トシリズマブ群353例、サリルマブ群48例、対照群402例であった。非臓器補助期間の中央値は、トシリズマブ群10日(四分位範囲:-1~16)、サリルマブ群11日(0~16)、対照群0日(-1~15)であった。対照群に対する補正後累積オッズ比中央値は、トシリズマブ群1.64(95%信頼区間[CI]:1.25~2.14)、サリルマブ群1.76(1.17~2.91)で、対照群に対する優越性の事後確率はそれぞれ99.9%、99.5%であった。 90日生存についても、トシリズマブ群とサリルマブ群のプール解析群で改善が認められ、対照群に対するハザード比は1.61(95%CI:1.25~2.08)、優越性の事後確率は99.9%超であった。 その他のすべての副次評価項目についても、これらIL-6受容体拮抗薬の有効性が支持された。

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