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1.

再発・難治性の濾胞性リンパ腫治療薬タファシタマブを発売/インサイト・ジャパン

 インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパンは、「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」の適応で、タファシタマブ(遺伝子組換え)(商品名:ミンジュビ)を2026年3月18日に発売したことを発表した。タファシタマブとリツキシマブおよびレナリドミドの併用療法は、再発・難治性のFLに対する日本初のCD19およびCD20の両方を標的とした免疫療法となる。 濾胞性リンパ腫(FL)はわが国で2番目に多いB細胞性非ホジキンリンパ腫の緩徐進行型であるが、根治が困難で初回治療後も再発を繰り返すことが多く、再発のたびに予後が不良となり、約20%が治療開始後2年以内に病勢進行もしくは再発する。タファシタマブは、CD19を標的としたフラグメント結晶化可能領域(Fc)改変ヒト化モノクローナル抗体で、B細胞性腫瘍の細胞膜上に発現するCD19に結合し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)および抗体依存性細胞貪食(ADCP)活性およびアポトーシスを誘導することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。<製品概要>・販売名:ミンジュビ点滴静注用200mg・一般名:タファシタマブ(遺伝子組換え)・効能又は効果:再発又は難治性の濾胞性リンパ腫・用法及び用量:リツキシマブ(遺伝子組換え)及びレナリドミドとの併用において、通常、成人にはタファシタマブ(遺伝子組換え)として12mg/kg(体重)を1日1回点滴静注する。28日間を1サイクルとして、最初の3サイクルは1週間間隔で4回(1、8、15及び22日目)、4サイクル以降は2週間間隔で2回(1及び15日目)投与する。最大12サイクルまで投与を継続する。・薬価:200mg1瓶125,201円・製造販売承認日:2025年12月22日・薬価基準収載日:2026年3月18日・発売日:2026年3月18日・製造販売元:インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン合同会社

2.

再発・難治性の多発性骨髄腫治療薬ベランタマブ マホドチンを発売/GSK

 グラクソ・スミスクラインは、「再発又は難治性の多発性骨髄腫」の適応で、抗BCMA(B細胞成熟抗原)抗体薬物複合体(ADC)であるベランタマブ マホドチン(遺伝子組換え)(商品名:ブーレンレップ)を2026年3月18日に発売したことを発表した。 本剤は骨髄腫細胞の表面にあるBCMAを標的とする日本初のADCで、BCMAに特異的に結合する低フコース化したヒト化IgG1抗体にペイロードとして微小管阻害薬であるモノメチルアウリスタチンFを、プロテアーゼ耐性マレイミドカプロイルリンカーで結合している。わが国では2024年8月に厚生労働省により希少疾病用医薬品に指定され、2025年5月に「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を適応として承認された。点滴静注用70mgも2026年2月25日に承認を取得し、発売準備中である。<製品概要>・販売名:ブーレンレップ点滴静注用100mg・一般名:ベランタマブ マホドチン(遺伝子組換え)・効能又は効果:再発又は難治性の多発性骨髄腫・用法及び用量:ボルテゾミブ及びデキサメタゾン併用投与: 通常、成人にはベランタマブ マホドチン(遺伝子組換え)として、2.5mg/kgを30分以上かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。ポマリドミド及びデキサメタゾン併用投与: 通常、成人にはベランタマブ マホドチン(遺伝子組換え)として、初回は2.5mg/kg、2回目は1.9mg/kgを30分以上かけて4週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。・薬価:100mg1瓶1,284,052円・製造販売承認日:2025年5月19日・薬価基準収載日:2026年3月18日・発売日:2026年3月18日・製造販売元:グラクソ・スミスクライン株式会社

3.

高リスクくすぶり型多発性骨髄腫への治療がもたらすベネフィット/J&J

 抗CD38抗体ダラツムマブ(商品名:ダラキューロ)において、2025年11月に高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫(SMM)における進行遅延の適応が追加され、多発性骨髄腫の診断指標であるCRAB症状(高カルシウム血症、腎機能障害、貧血、骨病変)が確認される前に治療を開始することが可能となった。これを受け、2026年2月25日に開催されたJohnson & Johnson(ヤンセンファーマ)の記者説明会において、福岡大学の高松 泰氏がSMMの治療開始基準とその課題を、日本赤十字社医療センターの鈴木 憲史氏がSMM治療の意義とAQUILA試験の結果を解説した。SMMの診断基準と治療開始時期 多発性骨髄腫は、形質細胞への初期遺伝子異常によって前がん状態であるMGUS(意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症)になり、2次的な遺伝子異常によりSMMへ、さらに遺伝子異常が重なることで多発性骨髄腫に進展すると考えられている。 かつてMP療法で治療していた時代の試験において、CRAB症状の出現前に治療しても生存期間を延長しなかったことから、CRAB症状の有無でSMMと多発性骨髄腫に分けられ、CRAB症状の出現後(多発性骨髄腫に進行後)に治療開始することが標準治療になった。その後、2014年にIMWG(International Myeloma Working Group)の診断基準が改訂され、CRAB症状がなくとも、進行リスクがきわめて高いバイオマーカー(SLiM:骨髄形質細胞割合≧60%、血清遊離軽鎖[FLC]比≧100、MRIで局所性骨病変2ヵ所以上のいずれか)を満たす患者は、2年以内に80%以上が多発性骨髄腫に進行する可能性が高いため、多発性骨髄腫として治療を開始することになった。 高松氏は、「SMMと診断された場合、その後つらい症状が出現することがわかっているなら、症状出現前に治療を開始して出現しないようにしてほしいと思うのではないか」と述べ、早期の治療開始の意義を強調した。高リスクSMMの適切な抽出のためのリスク層別化の課題 早期の治療介入が適切なSMM患者を選ぶためには、急速に進行する患者を精度高く抽出することが重要になる。これまでMayo Clinic基準(M蛋白量、FLC比、骨髄形質細胞割合の3因子)やPETHEMA基準(骨髄中の異常形質細胞の割合、M蛋白以外のγグロブリン値の2因子)などが提唱されてきたが、両基準でリスク評価が一致する割合は28.6%に留まり、Mayo Clinic基準で低リスクと診断された患者が、PETHEMA基準で高リスクに分類されてしまう例もあったという。 また、次世代シーケンサーによるゲノム解析(MAPK経路、DNA修復経路、MYC変異)によるリスク層別化も可能となっているが、高松氏は、リスク因子として抽出されているゲノム変異の種類が異なる点や実臨床では高額過ぎることを課題として指摘した。現在、世界で主流の分類は、2020年にIMWGで提唱された「血清M蛋白量」「血清FLC比」「骨髄形質細胞割合」「細胞遺伝学的異常」の4因子を用いたリスク分類である。 高松氏は、「CRAB症状出現前に治療を開始したほうが副作用を軽減でき、より安全に治療できる可能性が高くなると考えられるため、早期の進行が予測される患者には、早期に治療介入することは妥当な方法ではないか。ただし、高リスク患者を精度高く抽出する方法を見つけることが今後の課題」とまとめて、講演を終えた。SMM治療におけるShared Decision Makingの重要性 鈴木氏は、症状がないときに治療を開始することについて、副作用と効果、通院回数を考慮し、開始を待つ患者もいるが、IMWG 2020モデルの高リスク患者の多発性骨髄腫への2年進展率が72.5%であると伝えると治療を希望する患者が多いと述べ、治療に際しては、治療選択肢とエビデンス、メリットとデメリットについて患者・家族と共通の理解を持ち、十分に話し合って決めていく「Shared Decision Making(SDM)」が重要であることを強調した。ダラツムマブによる進展抑制効果~第III相AQUILA試験 鈴木氏は、SMM治療におけるダラツムマブの承認の根拠となった国際共同第III相AQUILA試験の結果を紹介した。同試験は高リスクSMM 390例を対象に、ダラツムマブ単独投与(皮下投与、サイクル1~2:週1回、サイクル3~6:2週に1回、サイクル7~:4週に1回)群と経過観察群を比較したものである。高リスクの基準は(1)血清M蛋白30g/L以上、(2)IgA型、(3)IgA、IgM、IgGのうち2種類のuninvolved Ig減少を伴う免疫不全、(4)involved/uninvolved血清遊離軽鎖比が8以上100未満、(5)クローナルな骨髄形質細胞が50%超かつ60%未満で測定可能病変を有する、のうち1つ以上満たす場合としている。この条件について、鈴木氏は「免疫不全の有無をみているのが注目すべき点」と指摘した。 主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)において、ダラツムマブ群は有意な延長を示した(ハザード比[HR]:0.49、95%信頼区間[CI]:0.36~0.67、p<0.0001)。また、CRAB症状出現を疾患進行(PD)イベントとしたときのPFSも明らかに差が認められた(HR:0.29、95%CI:0.16~0.52)。有害事象は、ダラツムマブ群で肺炎(3.6%)、COVID-19(1.6%)など、経過観察群で敗血症や発熱などが認められた。 日本人集団の5年PFS解析では、ダラツムマブ群が63.1%、経過観察群で40.8%であった(HR:0.25、95%CI:0.10~0.65)。全体集団より日本人集団のほうでHRが小さいことについて、鈴木氏は「体重の違いや患者の治療に対する真面目さもあるのだろう」と考察している。 最後に鈴木氏は、「多発性骨髄腫に対する新薬が次々と開発され、初発例に使用可能になり、MRD陰性も達成し治癒も期待されるようになってきた。さらに機能的治癒だけではなく、発症を遅らせ、場合によっては予防も期待されるようになるまで進んできた」と治療の進歩を振り返り、「If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together.」(早く行きたければひとりで行け、遠くへ行きたければみんなで行け)という、協力とチームワークの重要性を説くアフリカのことわざを紹介し、「医師、患者、製薬業界の連携によりここまで来れた」と結んだ。

4.

若年成人のがん、唯一死亡率が増えているのは?

 若年成人におけるがん罹患率の増加を報告する研究は多数存在するが、検出バイアスの影響を受けにくい死亡率ではどうか。50歳未満の人々における主要5大がんの死亡率の変化を検証した研究結果が、JAMA誌2026年2月17日号「Research Letter」に掲載された。 米国がん協会(アトランタ)のRebecca L. Siegel氏らは、米国健康統計センター(NCHS)の死亡証明データから、1990〜2023年に50歳未満でがん死に至った約約127万例を解析した。主要5大がん(大腸がん、肺がん、乳がん、白血病、脳腫瘍)を中心に、年間死亡数および10万人当たりの年齢調整死亡率の推移を評価した。 主な結果は以下のとおり。・1990~2023年に、米国における50歳未満のがん死亡数は計126万7,520例(女性53%)で、年齢調整死亡率は10万人当たり25.5から14.2へと、44%減少した。・2014~23年の年間平均死亡率増減の平均は、脳腫瘍-0.3%(95%信頼区間[CI]:-0.6%~0.0%)、乳がん-1.4%(-1.7%~-1.1%)、白血病-2.3%(-2.3%~-2.2%)、肺がん-5.7%(-7.2%~-4.2%)であった。・大腸がん死亡率のみが2005年以降、年率1.1%(95%CI:0.9%~1.3%)増加しており、1990~94年のがん死因の5位から、2023年には1位となった。・一方、肺がんは1位から4位、白血病は3位から5位に順位を下げた。乳がんは全体では2位、女性では1位のままであった。子宮頸がんは研究期間を通じて減少を続けたものの、1990年と2023年ともに女性のがん死因の3位であった。・男性の順位は全体の傾向を反映していたが、乳がんに代わって1990年には非ホジキンリンパ腫(4位)、2023年には膵臓がん(5位)が入った。 研究者らは、「米国における50歳未満の人々のがん関連死因の上位では、大腸がんを除くすべてのがんで死亡率が低下した。乳がんと白血病は罹患率が増加しているにもかかわらず、死亡率は減少した。大腸がんのみ死亡率が増加している原因はさらなる研究が必要だが、過去の大腸がん検診の推奨開始年齢が50歳だったため、若年者の受診率が低いことは問題だ。若年発症大腸がんは約4分の3が進行期で診断されており、早期発見の重要性が一段と高まっている。現在、検診の推奨開始年齢は45歳に引き下げられたが、遺伝などのリスク要因がある場合や、血便や腹痛などの自覚症状がある場合は、さらに若い年齢からの受診を考慮すべきだ」としている。

5.

持効性注射剤ART、HIV患者の服薬アドヒアランス向上に寄与/NEJM

 服薬アドヒアランスに課題のあるHIV感染者において、持効性注射剤カボテグラビル・リルピビリンの月1回投与は、標準的な経口抗レトロウイルス療法(ART)よりもレジメン失敗リスクの低減に関して優れることが、米国・アラバマ大学バーミングハム校のAadia I. Rana氏らACTG A5359 LATITUDE Trial Teamによる非盲検無作為化試験の結果で示された。経口薬の服薬アドヒアランスに課題のあるHIV感染者における、持効性注射剤ARTの無作為化試験は不足していた。NEJM誌2026年2月26日号掲載の報告。ARTへの順守が不十分なHIV感染者を対象に、持効性注射剤ARTと経口ARTを比較 本試験の対象は、ARTへの順守が不十分(HIV-1 RNA値が持続的に200コピー/mL超または追跡不能)なHIV感染者であった。 被験者は、最長24週間のアドヒアランスサポート、条件付き経済的インセンティブ、および経口ARTによる標準治療を受けた(step1)。step1で、HIV-1 RNA値が200コピー/mL以下であった被験者は、経口導入療法の有無にかかわらず、標準治療を継続する群(標準治療群)または持効性注射剤カボテグラビル・リルピビリンの月1回投与に切り替える群(持効性注射剤ART群)に1対1の割合で無作為に割り付けられた(step2)。 主要アウトカムはレジメン失敗で、ウイルス学的失敗(HIV-1 RNA測定値が2回連続して200コピー/mL超)またはstep2の期間中における治療中止と定義した。48週までの累積レジメン失敗率、22.8%vs.41.2%で有意な差 2019年3月28日~2024年2月12日に、米国内33施設で適格患者453例がstep1に登録された。年齢中央値は40歳、29%が出生時女性で、63%が黒人だった。14%が注射剤を現在または過去に使用していたことを報告した。 step2にはstep1を完遂した306例が登録され、152例が持効性注射剤ART群に、154例が標準治療群に無作為化された。 追跡期間中央値48週後の事前規定の解析が行われた時点での副次アウトカムにおいて、持効性注射剤ART群の標準治療群に対する優越性が示されたため、step2の無作為化は早期に中止された。 48週までの累積レジメン失敗率は、持効性注射剤ART群22.8%、標準治療群41.2%であった(群間差:-18.4%ポイント、98.4%信頼区間[CI]:-32.4~-4.3、p=0.002)。 有害事象の累積発現率は、持効性注射剤ART群43.5%、標準治療群42.4%であった(群間差:1.1%ポイント、95%CI:-12.7~15.0)。耐性関連変異の発現は、ウイルス学的失敗が確認された各群2例で報告された。

6.

濾胞性リンパ腫、R-CHOP療法の15年PFS(SWOG S0016)/JAMA Oncol

 濾胞性リンパ腫(FL)に対する、CHOP(シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン/ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン/プレドニゾロン)ベースの化学免疫療法後の長期寛解および治癒の可能性を評価したSWOG S0016試験の15年間の追跡データを、米国・Fred Hutch Cancer CenterのMazyar Shadman氏らが報告した。この2次解析の結果、進行期FL患者の一部がリツキシマブ+CHOP(R-CHOP)により治癒を達成可能であり、再発率が時間経過とともに低下することが示唆された。JAMA Oncology誌オンライン版2026年2月26日号に掲載。 本試験は、全米の大学病院および地域医療機関で実施された多施設共同試験で、未治療の進行期FL患者が登録された。治癒モデリング(治癒した患者の割合を推定するモデル化)は、S0016試験期間中のFL治癒率を推定するため背景死亡率を組み込んで実施した。患者登録は2001年5月~2008年10月、追跡期間中央値は15.5年(四分位範囲:13.6~16.9)、2025年6月に解析した。患者をリツキシマブ+CHOP(R-CHOP)群またはCHOP後に放射免疫療法(RIT)を追加するCHOP-RIT群に無作為に割り付けた。主要評価項目は15年無増悪生存率(PFS)および全生存率(OS)、副次評価項目は治癒モデリングなど。 主な結果は以下のとおり。・最終解析には適格患者531例(女性46%、年齢中央値53歳)が組み入れられ、R-CHOP群267例、CHOP-RIT群264例であった。・15年OSは70%で両群間に有意差はなく、15年PFSは40%(95%信頼区間:36.0~44.7)であった。・15年PFSはCHOP-RIT群が47%でR-CHOP群の34%と比較して優越性を示した(p=0.004)。・治癒モデルでは全体治癒率が42%と推定され、FL国際予後指標スコアが低く、β2ミクログロブリン値が正常な症例で最も高い治癒率が観察された。・再発率は、最初の5年間では6.8%、15~20年では0.6%と、時間経過とともに大幅に減少した。 著者らは、「この知見はFLの理解と治療アプローチにおけるパラダイムシフトを表し、患者との初回相談や将来の研究戦略に影響を与えるもの」としている。

7.

CAR-T liso-cel、再発・難治性辺縁帯リンパ腫に有効/Lancet

 再発または難治性の辺縁帯リンパ腫(MZL)患者において、CD19を標的とするCAR-T細胞療法リソカブタゲン マラルユーセル(liso-cel、商品名:ブレヤンジ)は持続的な高い奏効率を示し、安全性プロファイルは管理可能であり、新たな安全性シグナルは認められなかった。米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのM. Lia Palomba氏らが、米国、カナダ、欧州、日本の30施設で実施した国際共同第II相試験「TRANSCEND FL試験」におけるMZLコホートの主要解析結果を報告した。再発または難治性のMZLに対する持続的で深い奏効を示す有効な治療法は、いまだ確立されていない。著者は、「今回の結果は、再発または難治性MZLに対する新たな治療選択肢としてリソカブタゲン マラルユーセルを支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2026年2月12日号掲載の報告。2レジメン以上の治療歴がある再発・難治性MZL患者が対象 研究グループは、少なくとも1レジメンの抗CD20抗体とアルキル化剤による併用療法を含む2レジメン以上の全身療法を受けた再発または難治性のMZL(スクリーニング前6ヵ月以内に組織学的に確認)成人患者に、リソカブタゲン マラルユーセル(CAR発現生T細胞100×106個)を投与した。 リソカブタゲン マラルユーセルの製造中は、必要に応じて病勢コントロールのためのブリッジング療法は可とした。ブリッジング療法を実施した場合は、リンパ球除去化学療法開始前にCTによる測定可能病変の再評価を必須とした。 主要エンドポイントは、Lugano分類(2014)に基づきCTにより独立評価委員会が判定した奏効率(ORR)で、帰無仮説は≦50%とした。ORRは95%、24ヵ月奏効持続割合は89% 2020年11月11日~2023年8月24日に77例が登録され、白血球アフェレーシスが実施された。このうち67例にリソカブタゲン マラルユーセルが投与され、ブリッジング療法後のCTによる再評価がなかった1例を除く66例が有効性解析対象集団となった。 67例の患者背景は、年齢中央値が62歳(四分位範囲[IQR]:57~71)で、MZLのサブタイプは節性MZLが32例(48%)、脾MZLが18例(27%)、節外性-粘膜関連リンパ組織MZLが17例(25%)であり、前治療レジメン数中央値は3(IQR:2~4)であった。 追跡期間中央値24.1ヵ月において、ORRは95%(63例)(95%信頼区間[CI]:87.3~99.1)であり、主要エンドポイントは達成された(片側p<0.0001)。 副次エンドポイントである奏効期間は、中央値に未到達で、24ヵ月奏効持続割合は89%(95%CI:72.4~95.6)であった。 治療中に発現した有害事象は、67例全例に認められた。Grade3のサイトカイン放出症候群ならびに神経学的イベントはそれぞれ3例(4%)に発現が認められた(両群ともGrade4~5の事象はなし)。Grade3以上の感染症は11例(16%)にみられ、6例(9%)は投与終了後90日以内の発症で、7例(10%)は同90日後以降の発症であった。

8.

がん研究、約10%が不正な「ペーパーミル製論文」か/BMJ

 ペーパーミル(論文工場)は、がん研究論文において深刻かつ拡大する問題であり、低インパクトファクターの雑誌に限った問題ではないことが、フランス・L'Institut AgroのBaptiste Scancar氏らが行った機械学習モデルの構築・検証およびスクリーニングの結果で示された。著者は、「ペーパーミルの問題に対処するためには、関係者全体でこの課題を共有し行動を起こすことが不可欠である」とまとめている。BMJ誌2026年1月29日号掲載の報告。ペーパーミル製論文2,202報を用いて機械学習モデルを開発 研究グループは、撤回論文のデータベースであるRetraction Watchにおいて「ペーパーミル」と分類された撤回済み論文2,202報を用い、論文タイトルと抄録を入力したBERT(bidirectional encoder representations from transformers)ベースのテキスト分類モデルを学習させた。内部検証の後、画像整合性に関する専門家が収集した独立データによる外部検証を実施し、PubMedに収載された1999~2024年のがん研究原著論文264万7,471報を対象にスクリーニングを行った。 主要アウトカムはモデルの分類精度で、撤回されたペーパーミル出版物と類似すると判定された論文(フラグ付き論文)の割合とその95%信頼区間(CI)を評価した。また、時系列・国別・出版社別・がん種別・研究領域別の分布、ならびに高インパクトファクターの雑誌(上位10%)における割合も調べた。1999~2024年のがん研究原著論文の約10%がペーパーミル、最も多いのは中国 モデルの精度は内部検証で0.91、外部検証で0.93、感度はいずれも0.87、特異度はそれぞれ0.96、0.99を達成した。 がん研究原著論文に適用したところ、264万7,471報中26万1,245報がフラグ付けされ、この数は全がん研究原著論文の9.87%(95%CI:9.83~9.90)に相当した。 フラグ付き論文数は、1999~2024年に全体およびインパクトファクター上位10%の雑誌の両方で著明かつ急速に増加し、年間フラグ付き論文数は1999~2022年に指数関数的増加傾向を示した。フラグ付き論文の割合は2000年代初頭には約1%で推移したが、2020年代初頭までに年間がん研究論文総数の15%超(2万6,457/17万1,656報)まで増加した。 国別の解析では、フラグ付き論文の割合が最も高かったのは中国で、同国のがん研究論文全体の36%を占めた(17万7,907/49万7,672報)。 出版社別の解析では、フラグ付き論文の割合が最も高かったのは、Verduci Editore発行のEuropean Review for Medical and Pharmacological Sciences誌で約67%(2,834/4,199報)に上った。大手出版社(Springer Nature、Elsevier、John Wiley and Sonsなど)はフラグ付き論文の割合は比較的低い(約10%)ものの、絶対数は多かった。 がん種別・研究領域別では、フラグ付き論文の割合は胃がんが最も多く(22%)、骨がん(21%)、肝がん(20%)の順で続き、研究領域としてはがん生物学・基礎研究分野が13%超と最も高く、治療開発・評価ならびに診断・予後領域で10%を超えていた。

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リツキサン、自己免疫性溶血性貧血の適応追加/全薬工業・中外

 全薬工業および中外製薬は、共同販売を行っている抗CD20モノクローナル抗体のリツキサン点滴静注100mg/同500mg(一般名:リツキシマブ(遺伝子組換え))について、2026年2月19日、「自己免疫性溶血性貧血」の適応追加の承認を取得したことを発表した。 自己免疫性溶血性貧血(AIHA)に対する適応追加は、日本血液学会および日本小児血液・がん学会より開発要望が提出され、2025年7月4日の医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議の評価を経て、同年7月31日の薬事審議会医薬品第一部会で公知申請を行って差し支えないと正式に決定された。これを受け、全薬工業が同年8月29日に公知申請を行い、今回の承認取得に至った。なお、第一部会で決定された7月31日付けで薬事承認を待たずに保険適用となっている。 AIHAは、自己抗体が体温(37℃)近くで反応する温式AIHAと、体温以下の低温条件で反応する冷式AIHA(寒冷凝集素症および発作性寒冷ヘモグロビン尿症)に大別される。温式AIHAでは約80%で副腎皮質ステロイド薬で改善がみられるが、再発が多く、長期投与が必要であり、再発・難治例では脾臓摘出術が行われている。また、寒冷凝集素症では保温が最も基本的な治療法だが、貧血症状、輸血依存、末梢循環障害などの重篤な症状を伴う場合もある。これらの患者に対する治療選択肢の1つとして、国内外の診療ガイドラインではリツキシマブによる治療が推奨されている。 リツキシマブは、造血幹細胞や形質細胞以外のB細胞上に発現するCD20抗原に特異的に結合する抗CD20モノクローナル抗体で、標的となるB細胞を免疫系を用いて攻撃し細胞を傷害する。AIHAでの自己反応性B細胞の活性化や自己抗体の出現に至る病因は十分に解明されていないが、温式AIHAおよび冷式AIHAのいずれも自己抗体の出現が共通して認められることから、リツキシマブによるB細胞除去を介した治療効果が期待されるという。

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論文投稿から採択まで 英文校正・カバーレター・査読対応のAI活用術(前編)【誰でも使えるChatGPT】第7回

はじめに皆さん、こんにちは。近畿大学皮膚科の大塚です。さて、今回は第5回(論文・ケースレポート作成)の発展編として、論文投稿から採択までのプロセスでChatGPTを活用する方法をご紹介します。論文を書き上げても、そこからが本当の勝負です。英文校正、カバーレターの作成、そして査読者への回答――これらの作業は、論文執筆と同じくらい、あるいはそれ以上に時間と労力がかかるものです。「カバーレターって何を書けばいいの?」「査読者からの厳しいコメントにどう返せば...」――こうした悩みを抱えている先生方は多いのではないでしょうか。今回は、これらのプロセスでChatGPTを「投稿支援アシスタント」として活用する実践的な方法をお伝えします。論文投稿プロセスの全体像まず、論文完成から採択までの流れを整理しておきましょう。論文完成↓【STEP 1】英文校正・推敲↓【STEP 2】カバーレター作成↓【STEP 3】投稿↓【STEP 4】査読結果への対応(Revision)↓【STEP 5】採択・校正(Proof)このうち、ChatGPTがとくに力を発揮するのはSTEP 1、2、4です。順番に見ていきましょう。STEP 1:英文校正・推敲なぜChatGPTが有用か英文校正サービスは1単語当たり数円〜十数円かかり、論文1本で数万円になることも珍しくありません。ChatGPTを活用すれば、このコストを大幅に削減しながら、十分な品質の英文を作成できます。私自身、現在は英文校正サービスを使わず、ChatGPTのみで英文校正を行っています。ただし、重要なのは校正後の確認方法です。後述しますが、ChatGPTで校正した英文をDeepLで日本語に戻し、意図した内容になっているかを確認するという二段階チェックを行っています。段落単位の英文校正あなたは医学論文の英文校正専門家です。以下の英文を、学術論文として適切な表現に修正してください。【修正してほしい英文】The patient was 67 years old female who had chronic kidney disease.She was started allopurinol for hyperuricemia.After 2 weeks from starting the medication, she developed skin rash which was diagnosed as Stevens-Johnson syndrome.【指示】1.文法的な誤りを修正2.より自然な学術英語に改善3.時制の一貫性を確認4.修正箇所と理由を日本語で説明【出力形式】-修正後の英文-修正箇所の解説(日本語)ChatGPTからの回答例 【修正後の英文】A 67-year-old woman with chronic kidney disease was initiated on allopurinol for hyperuricemia.Two weeks after starting the medication, she developed a skin rash that was subsequently diagnosed as Stevens-Johnson syndrome.【修正箇所の解説】1."The patient was 67 years old female"→ "A 67-year-old woman"理由:年齢は複合形容詞としてハイフンでつなぎ、冠詞"A"で始めるのが標準的。"female"より"woman"が自然。2."who had chronic kidney disease"→ "with chronic kidney disease"理由:関係代名詞を使わず、前置詞"with"で簡潔に。3."She was started allopurinol"→ "was initiated on allopurinol"理由:受動態での薬剤開始は"be initiated on"が一般的。4."After 2 weeks from starting"→ "Two weeks after starting"理由:数字は文頭ではスペルアウト。"from"は不要。5."skin rash which was diagnosed" → "a skin rash that was subsequently diagnosed" 理由:制限用法では"that"が好まれる。"subsequently"で時系列を明確に。表現の統一チェックあなたは医学論文の校正者です。以下の論文の一部について、用語・表現の一貫性をチェックしてください。【チェック項目】1.同じ概念に対する用語の統一(例:patient/case/subject)2.数値の表記(例:2 weeks/two weeks/2-week)3.略語の使用(初出でフルスペル+略語、以降は略語のみ)4.時制の一貫性(症例報告は過去形が基本)【対象テキスト】(ここに論文の一部を貼り付け)英文校正の最終確認:DeepLで日本語に戻すChatGPTによる英文校正には限界があります。医学用語の微妙なニュアンス、雑誌特有のスタイル、文脈に依存する表現の適切性などは、AIが見落とすこともあります。そこで私が実践しているのが、ChatGPTで校正した英文をDeepLで日本語に戻し、内容を確認するという方法です。【確認の手順】1.ChatGPTで英文校正を行う2.校正後の英文をDeepLに貼り付けて日本語に翻訳3.日本語訳を読んで、自分が意図した内容になっているか確認4.ニュアンスがずれている箇所があれば、英文を修正して再度確認この方法のメリットは、英語力に自信がなくても、日本語で内容確認ができる点です。とくに、複雑な文章や専門的な表現が正しく伝わっているかを確認するのに有効です。逆翻訳で意図と異なる日本語が出てきた場合は、英文の表現に問題がある可能性が高いです。その箇所をChatGPTに「この部分をより明確に」と指示して修正させるか、自分で書き直します。STEP 2以降の解説は次回に行います。

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多発性骨髄腫患者の感染リスクを予測する免疫バイオマーカー/Blood

 多発性骨髄腫患者において感染予防は最重要課題である。今回、スペイン・Cancer Center Clinica Universidad de NavarraのAintzane Zabaleta氏らによる多発性骨髄腫患者の大規模免疫プロファイリングの結果、骨髄中のCD27陽性B細胞、CD27陰性NK細胞、CD27陰性/CD27陽性T細胞比が、感染の独立したリスク因子であることが示唆された。Blood誌オンライン版2026年1月29日号に掲載。 著者らは感染リスクの高い免疫バイオマーカーを特定するため、さまざまな疾患Stageおよび治療シナリオにある1,786例の多発性骨髄腫患者から骨髄および末梢血検体を採取し、次世代フローサイトメトリーを用いた免疫プロファイリングを実施した。 主な結果は以下のとおり。・感染症を発症した患者では、骨髄中のCD27陽性B細胞およびCD27陰性NK細胞の割合が有意に低く、CD27陰性/CD27陽性T細胞比が高かった。・リスク因子が1個以下と2個以上に層別化する免疫スコアを開発したところ、感染症発症率はそれぞれ35%と60%であった(p<0.001)。・免疫スコア(オッズ比:2.31、p<0.001)、疾患Stage、CD38、BCMA、GPRC5D標的療法が、感染症発症率と独立して関連していた。 本研究の結果、骨髄および末梢血で検出可能なすべての細胞タイプは有意に相関しており、感染リスクの高い免疫バイオマーカーは、日常的な検査で利用可能な低侵襲的な方法でモニタリングが可能であることが示唆された。

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青年期の進行古典的ホジキンリンパ腫、ニボルマブ+AVDの3年PFS(S1826サブ解析)/JCO

 進行古典的ホジキンリンパ腫に対する1次治療としてニボルマブ(N)+AVD(ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン)とブレンツキシマブ ベドチン(BV)+AVDを比較した第III相S1826試験における青年コホートを対象としたサブグループ解析で、N+AVDが放射線療法を最小限に抑えつつ、高い3年無増悪生存(PFS)率を達成したことを、米国・エモリー大学のSharon M. Castellino氏らが報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2026年1月9日号に掲載。 S1826試験は、StageIII~IVの古典的ホジキンリンパ腫と新たに診断された患者を対象に、N+AVD 6サイクルもしくはBV+AVD 6サイクルに無作為に割り付け、主要評価項目としてPFS、副次評価項目として全生存期間、無イベント生存期間、安全性を比較した試験である。 今回のサブグループ解析の結果は以下のとおり。・登録された994例のうち、24%(240例)が12~17歳であった。・3年PFS率は、N+AVD群が93%(95%信頼区間[CI]:87~96)でBV+AVD群の82%(同:73~88)より有意に高かった(ハザード比:0.37、95%CI:0.17~0.80)。・プロトコルで規定された残存部位放射線治療を受けたのは、N+AVD群1例、BV+AVD群2例であった。・両群とも発熱性好中球減少症および敗血症の発現率は低かった。・重篤な免疫関連有害事象はまれであったが、N+AVD群では甲状腺機能障害が7%に認められた。・感覚神経障害(Grade2以上)はBV+AVD群で多かった(14%vs.7%)。・治療中止はN+AVD群12例、BV+AVD群4例で報告されたが、N+AVD群ではPFSイベントは認められなかった。・患者報告アウトカムではN+AVD群の毒性が低かった。

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LDHでHFrEFの予後予測?

 乳酸脱水素酵素(LDH)は、肝臓をはじめ、心臓、肺などほぼ全身の組織に細胞質酵素として存在する。これまで循環器領域では心筋梗塞の指標として用いられているが、このほど、LDHの上昇が心不全(HF)の予後予測に重要であることが明らかになった。英国・心臓財団グラスゴー心血管研究センターの小野 亮平氏らがGALACTIC-HF試験対象者を解析した結果、LDHの上昇が左室駆出率の低下した心不全 (HFrEF)の臨床アウトカムの上昇と独立して関連性を示したという。 JACC:Heart Failure誌オンライン版 2026年1月15 日号掲載の報告。 研究者らは、細胞障害の非特異的な指標であるLDH とHFrEFの臨床的特徴などを評価するため、GALACTIC-HF試験*データを用い、LDHと臨床アウトカムの関係を解析した。主要評価項目は初回心不全イベントの発生または心血管死。予後予測モデルPREDICT-HFにLDHを追加した場合のリスクモデル精度は、C統計量、統合判別改善度(IDI)、純再分類改善度(NRI)を用いて算出した。また、LDH高値は250U/L超と定義した。*HFrEF患者における選択的心筋ミオシン活性化薬omecamtiv mecarbiの有効性・安全性を評価する国際第III相二重盲検ランダム化プラセボ対照多施設共同試験 主な結果は以下のとおり。・GALACTIC-HF試験の8,179例(外来患者6,138例を含む)のベースラインのLDHデータを用いた。・対象者の主な組み入れ基準は、(1)左室駆出率35%以下、(2)NYHA心機能分類II~IV、(3)利尿ペプチド(NT-proBNPなど)のレベル上昇、(4)1年以内の入院または緊急受診を伴うHFを経験した入院患者/外来患者であった。・本対象者のLDH高値例は、女性が多く、重症HFであった。また、血清クレアチニン、肝酵素、クレアチンキナーゼ、NT-proBNP、高感度トロポニンIの上昇も認められた。・対象者を四分位群に分類したところ、血清LDHの中央値は第1四分位群(Q1)155U/L、第2四分位群(Q2)183U/L、第3四分位群(Q3)207U/L、第4四分位群(Q4)253U/Lであった。・主要評価項目のハザード比(HR)について、LDHが最も低いQ1と比較すると、Q2はHR1.15(95%信頼区間[CI]:1.02~1.31)、Q3はHR1.39(95%CI:1.23~1.58)、Q4はHR1.84(95%CI:1.62~2.08)であった。・ほかの予後変数などの調整後もLDHの上昇は臨床アウトカムの悪化と独立して関連していた。・ベースラインのLDHをPREDICT-HFモデルに追加すると、3つの指標(C統計量、IDI、およびNRI)全体における主要評価項目の予測精度が改善された。

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ボリコナゾールによる副作用(視覚・神経学的副作用)【1分間で学べる感染症】第38回

画像を拡大するTake home messageボリコナゾールは、視覚・中枢神経系に特徴的な副作用を生じることがあり、治療前に患者へ十分な説明を行うことが重要。ボリコナゾールは、侵襲性アスペルギルス症などに対する第1選択薬として使用され、アゾール系抗真菌薬の中でもとくに重要な薬剤です。一方で、ほかの抗真菌薬と比較して中枢神経系および視覚に関連した副作用の頻度が高く、患者のQOLや服薬継続に影響を及ぼす可能性があります。ボリコナゾールによる代表的な4つの神経・眼科的副作用について、機序、発症時期、予後・回復の観点から整理します。1.視覚障害(Visual disturbance)霧視、視神経炎、色覚異常、結膜炎、強膜炎など、さまざまな視覚異常が報告されています。これは網膜の桿体・錐体系への作用が関与しているとされており、静注投与時に多くみられるとされています。通常は投与開始から数日以内に急速に出現し、中止後24時間~2週間以内に自然軽快することが多いため、多くは可逆的とされています。2.視覚的幻覚(Visual hallucination)とくに静注投与時に多くみられ、高い中枢神経系濃度が原因とされています。発症は非常に急速で、投与開始後24時間以内に出現することがあり、幻視の内容はさまざまですが、強い不安を伴うことも多いため開始前には十分な説明が必要です。多くは5日以内に自然軽快し、中止によって可逆的とされています。3.末梢神経障害(Peripheral neuropathy)ボリコナゾールによる遅発性の感覚優位の軸索性神経障害が知られており、1ヵ月以上の慢性投与後に発症することがあります。症状は四肢のしびれが主ですが、進行性で不可逆的なこともありうるため、定期的な神経学的モニタリングが求められます。重篤な機能障害を残す可能性があるため、早期発見・中止が重要です。4.脳症(Encephalopathy)幻覚や錯乱、意識変容、せん妄などを伴う中枢神経系毒性の1つです。これも中枢神経への高濃度移行が関与しているとされており、投与開始から約1週間(中央値9日)で発症すると報告されています。ただし、中止後2~5日で改善する例が多く、予後は良好です。ボリコナゾールは、非常に有用な抗真菌薬である一方で、視覚・神経系への副作用が比較的高い頻度で発現します。患者に不安を与えることが多いため、これらの副作用について事前に説明し、神経学的評価や視覚症状の定期的なチェックを行うことが重要です。1)Baxter CG, et al. J Antimicrob Chemother. 2011;66:2136-2139.2)Zonios DI, et al. Clin Infect Dis. 2008;47:e7-e10.3)Pascual A, et al. Clin Infect Dis. 2008;46:201-211.

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自己免疫性溶血性貧血、抗CD19 CAR-T細胞療法が有用/NEJM

 難治性自己免疫性溶血性貧血(AIHA)患者において、CD19を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法(抗CD19 CAR-T細胞療法)は予想された毒性を示し、持続的な寛解をもたらしたことを、中国・Institute of Hematology and Blood Diseases HospitalのRuonan Li氏らが報告した。AIHA患者は持続的な自己反応性B細胞活性により、再発のリスクが高い。難治性AIHAは3ライン以上の治療に対して寛解が得られない、より進行した病態であるが、抗CD19 CAR-T細胞療法はB細胞を著しく減少させて難治性AIHAに対するドラッグフリー寛解を達成する、有用な治療法となる可能性が示唆されていた。NEJM誌2026年1月15日号掲載報告。適応外使用/第I相の試験参加者のうち、適格患者に抗CD19 CAR-T細胞を投与 研究グループは、適応外使用プログラムまたは第I相試験に参加していた原発性の難治性AIHA患者をスクリーニングし、本検討に登録した。適格基準は、温式、冷式または混合AIHA、もしくはエバンス症候群を含む原発性AIHAと診断され3ライン以上の治療を受けたが長期的な疾患コントロールが得られず、スクリーニングでヘモグロビン値が10g/dL未満、ECOG PSが2以下、肝臓や肺など臓器機能が十分あることであった。 自己の抗CD19 CAR-T細胞を、適応外使用プログラムの患者には1.0×106/kg、第I相試験の患者には0.5×106/kgまたは1.0×106/kgを単回投与した。 検討では、安全性(サイトカイン放出症候群および免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群を含む有害事象の発現、特徴、重症度)の評価を第一とし、次いで有効性(完全奏効は、症状消失、ヘモグロビン値の上昇、溶血マーカーの正常化)および薬物動態を評価した。B細胞の再構築および再発の原因は、フローサイトメトリー、シングルセルRNAシーケンシング、およびシングルセルB細胞受容体シーケンシングによって解析された。安全性プロファイルは予想どおり、長期寛解を含む迅速な寛解を達成 2023年9月~2024年10月に、11例が登録され(適応外使用5例、第I相試験6例)、抗CD19 CAR-T細胞が投与された。 追跡期間中央値12.2ヵ月(範囲:7.3~21.9)において、11例全例が完全奏効を示し、完全奏効までの期間中央値は45日(範囲:21~153)、ドラッグフリー寛解期間の中央値は11.5ヵ月(範囲:6.8~21.0)であった。 Grade1または2のサイトカイン放出症候群が9例、Grade1の免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群が1例、Grade3の免疫エフェクター細胞関連血液毒性が1例に認められた。7例に計15件の感染症が発生したが、Grade4以上の感染症は認められなかった。 連続検体のマルチオミクス評価では、ドラッグフリー寛解が得られた患者における再構成B細胞集団はナイーブB細胞が優勢で、HLA-DRB5+B細胞、CD4+T細胞、およびB細胞成熟抗原を発現する長寿命形質細胞間のクロストークが、再発特異的B細胞ニッチの形成に寄与していた。

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ASCO多発性骨髄腫ガイドライン改訂、移植適応初回治療に4剤併用を推奨など/JCO

 米国臨床腫瘍学会(ASCO)・Ontario Health(Cancer Care Ontario)による多発性骨髄腫治療に関するガイドラインの改訂版が、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2026年1月6日号に公表された。ASCOおよびOntario Health(Cancer Care Ontario)の合同の専門家パネルが論文の系統的レビューを実施し、同定された161の無作為化試験における217論文を基に治療推奨が作成された。 改訂された主な推奨箇所は以下のとおり。・高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫には、積極的モニタリングのほかダラツムマブ(最長36ヵ月)が推奨される場合がある。・移植適応患者の初回治療には、ダラツムマブもしくはイサツキシマブ+ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾンの4剤併用療法(D-VRd/Isa-VRd)を実施すべきである。維持療法には、ダラツムマブ、カルフィルゾミブ、デキサメタゾンの併用の有無にかかわらず、少なくともレナリドミドによる維持療法を実施すべきである。・移植不適応患者には、D-VRd/Isa-VRdの4剤併用療法を実施すべきである。・再発・難治性多発性骨髄腫には、推奨される原則に基づいて3剤併用療法もしくはT細胞リダイレクト療法(CAR-T細胞療法、二重特異性抗体)を実施すべきである。

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造血器腫瘍の感染症~新薬の登場で加わる新知見~【Oncologyインタビュー】第55回

出演国立がん研究センター東病院 感染症科 冲中 敬二氏造血器腫瘍の治療に感染症対策は欠かせない。新規薬剤が登場する中、感染症の発生機序や対策も変わってきている。国立がん研究センター東病院の冲中 敬ニ氏に、造血器腫瘍における最新の感染症対策について解説いただいた。

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高齢がん患者、補助的医療従事者の介入で急性期医療利用が減少/JAMA

 レイヘルスワーカー(補助的医療従事者)主導による症状評価の介入は、急性期医療の利用を減少させるために広く実現可能なアプローチとなりうることが、米国・スタンフォード大学のManali I. Patel氏らがカリフォルニア州とアリゾナ州の地域がん外来クリニック43施設で実施した無作為化臨床試験の結果で示された。高齢者において、がん症状に対する治療は十分にされていないことが多い。一方で、効果的な早期発見および介入も限定的なままであった。JAMA誌オンライン版2025年12月30日号掲載の報告。75歳以上のがん患者、レイヘルスワーカー介入vs.通常ケアで急性期医療の利用を比較 本検討は、固形がんまたは血液がんの新規診断または画像検査や生検により確認された新規再発・進行がんを有する75歳以上のメディケアアドバンテージ受給者を対象に行われた。 保険請求データを用い、参加施設において2週間以内にがん治療を受ける予定の患者を特定して、電子カルテで適格性をスクリーニングし電話で同意を得た後、症状評価+通常ケア群(症状評価群)と通常ケア群(対照群)に1対1の割合で無作為に割り付け、12ヵ月間追跡調査を行った。研究者、臨床医、統計解析担当者は割り付けに関して盲検化された。 症状評価群では、通常ケアに加えて、レイヘルスワーカーがエドモントン症状評価システムを用いて電話による症状評価を、転移のあるがん・化学療法中・症状スコアが4以上の患者については週1回、それ以外は月1回行い、症状評価で症状スコアが4以上または2点以上悪化した場合は、同日中にadvanced practice practitioner(APP、registered nurse practitioner[登録ナースプラクティショナー:NP]またはフィジシャンアシスタント:PAのいずれか)に照会し、必要な介入が行われた。 主要アウトカムは、試験登録後12ヵ月以内の救急外来受診および入院とした。副次アウトカムは、総医療費、ホスピスの利用、12ヵ月以内に死亡した患者における死亡前30日間の救急外来受診および入院、ホスピスの利用、急性期病院での死亡とした。介入により、救急外来受診、入院、総医療費が減少 2020年11月~2023年10月に416例が登録された(データ解析は2024年12月12日~2025年2月15日)。年齢中央値は82歳(範囲:75~99)、男性219例(52.6%)、Stage4が171例(41.1%)、再発が27例(6.4%)であった。リスク調整因子の平均スコアは2.70(SD 1.77)であった。 症状評価群は対照群と比較し、救急外来受診のオッズが53%低く(救急外来受診回数1回以上:61例[30.5%]vs.103例[47.7%]、補正後オッズ比[OR]:0.47、95%信頼区間[CI]:0.32~0.71)、入院のオッズは68%低く(入院回数1回以上:37例[18.5%]vs.86例[39.8%]、OR:0.32、95%CI:0.20~0.51)、患者1人当たりの平均総医療費が1万2,000ドル低かった(p=0.01)。 12ヵ月の追跡期間中に142例(各群71例)が死亡した。症状評価群では、死亡前30日以内の救急外来受診のオッズが68%低く(OR:0.32、95%CI:0.12~0.88)、急性期病院での死亡オッズは75%低下した(OR:0.25、95%CI:0.08~0.77)。

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