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変形性膝関節症の痛み、薬物療法の長期効果は/JAMA

 変形性膝関節症患者における薬物療法による長期的な疼痛緩和効果には、プラセボと比較して考慮すべき不確実性が存在することが、イタリア・パドバ大学のDario Gregori氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌2018年12月25日号に掲載された。変形性関節症は、慢性で進行性の疾患だが、薬物療法は主に短期の検討が行われており、そのため長期の疾患管理における推奨治療が不明確になっているという。追跡期間1年以上の試験のネットワークメタ解析 研究グループは、変形性膝関節症患者を12ヵ月以上追跡した薬物療法の無作為化臨床試験を系統的にレビューし、ネットワークメタ解析を行った(パドバ大学などの助成による)。 医学関連データベースを用いて、治療を受け、1年以上の追跡が行われた変形性膝関節症患者の無作為化臨床試験を検索した。選出された試験につき、ベイズ法の変量効果を用いてネットワークメタ解析を行った。 主要評価項目は、膝疼痛のベースラインからの変化とした。副次評価項目は、身体機能および関節構造であった。関節構造については、X線画像で評価した関節裂隙狭小化とした。標準化平均差(SMD)および95%信用区間(CrI)を算出した。7クラス、33種の薬剤、有効性は少数のみ 日本の1試験を含む47件の無作為化臨床試験(2万2,037例、ほとんどが55~70歳、約70%が女性)が解析に含まれた。これらの試験では、以下の7つの薬剤クラスの33種の薬剤による介入の検討が行われた。 鎮痛薬(アセトアミノフェン)、抗酸化薬(ビタミンE)、骨活性薬(ビスホスホネート、ラネル酸ストロンチウムなど)、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、関節内注射薬(ヒアルロン酸、コルチコステロイドなど)、変形性関節症治療用遅効性薬(SYSADOA)(グルコサミン硫酸、コンドロイチン硫酸など)、推定疾患修飾薬(cindunistat、spriferminなど)。 疼痛は31件、身体機能は13件、関節構造は16件の介入で評価が行われていた。試験期間には1~4年の幅があった。 疼痛の抑制に関しては、NSAIDのセレコキシブ(SMD:-0.18、95%CrI:-0.35~-0.01)およびSYSADOAのグルコサミン硫酸(-0.29、-0.49~-0.09)で有意な効果がみられたものの、プラセボとの比較ではすべての薬剤で多大な不確実性が認められた。 疼痛の有意な改善効果は、標準化された0~100の尺度の平均差を用いた場合、およびバイアスのリスクが高い試験を除外した場合には、セレコキシブでは消失し、グルコサミン硫酸のみで保持されていた。 副次アウトカムについても、プラセボと比較した長期的な治療効果に関し、考慮すべき不確実性が認められた。身体機能の有意な改善効果を認めたのはグルコサミン硫酸(SMD:-0.32、95%CrI:-0.52~-0.12)のみであった。 関節裂隙狭小化の有意な改善効果は、グルコサミン硫酸(SMD:-0.42、95%CrI:-0.65~-0.19)、コンドロイチン硫酸(-0.20、-0.31~-0.07)、ラネル酸ストロンチウム(-0.20、-0.36~-0.05)で得られた。 著者は、「薬物療法の長期的な効果の不確実性を解決するには、より大規模な臨床試験を行う必要がある」としている。

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顕微鏡的多発血管炎〔MPA:microscopic polyangiitis〕

1 疾患概要■ 概念・定義顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis:MPA)は、抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)が陽性となる中小型血管炎である。欧米と比べ、わが国ではプロテイナーゼ3(proteinase3:PR3)ANCA陽性患者が少なく、ミエロペルオキシダーゼ(myeloperoxidase:MPO)陽性患者が多く、欧米よりも高齢患者が多いのが特徴である1,2)。多発血管炎性肉芽腫症(granulomatosis with polyangiitis:GPA、旧ウェゲナー肉芽腫症)、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA、旧チャーグ・ストラウス症候群)とともに、ANCA関連血管炎(ANCA associated vasculitis:AAV)に分類される。■ 疫学平成28年度の指定難病受給者は9,610人であった。Fujimotoらは、AAV発症の地理的な相違を明らかにするために、日本と英国でのAAV罹患率の比較を行った。AAVとしては、100万人当たりの年間罹患率は、日本22.6、英国21.8で同等であったが、日本ではAAVの約80%をMPAが占める一方で、英国では6.5%のみであり、GPAが最も多く約65%であった3)。男女比は1:1~1:1.2とされている。■ 病因1)遺伝的背景日本人のMPAでは、HLA-DRB1*09:01陽性例が50%にみられ、健康対照群に比べて有意に多いことが報告されている1,4)。このHLA-DRB1*09:01は日本人の29%に認められるなどアジア系集団で高頻度に認められるが、欧州系集団やアフリカ系集団にはほとんど存在しない1,4,5)。このことが、日本でMPAやMPO-ANCA陽性例が多い遺伝的背景の1つと考えられる。さらにその後、DRB1*09:01とDQB1*03:03の間に強い連鎖不平衡が認められ、この両者がMPAと関連すること、逆に、DRB1*13:02はMPAとMPO-ANCA陽性血管炎の発症に対し抵抗性に関与している(MPO-ANCA陽性血管炎群に有意に減少している)ことが明らかとなった5,6)。2)血管炎発症のメカニズムBrinkmannらは、phorbol myristate acetate(PMA)で刺激された好中球が細胞死に至る際に、DNAを網状の構造にし、MPOやPR3などの抗菌タンパクやヒストンとともに放出する現象を見出し、その構造物を好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular traps:NETs)と呼んだ7,8)。NETsは細菌などを殺し、自然免疫に関与しているが、その後ANCA関連血管炎患者の糸球体の半月体の部分に存在することが確認された8,9)。Nakazawaらは、プロピルチオウラシル(抗甲状腺剤)添加により生成されたNETsが、NETsの分解酵素であるDNase Iで分解されにくいこと、さらにこれを投与したラットがMPO-ANCA陽性の細胞増殖性糸球体腎炎を発症することを報告した8,10)。さらに、MPO-ANCAを有するMPA患者のIgGは、全身性エリテマトーデス患者や健常者よりも強くNETsを誘導すること、NETs誘導の強さは疾患活動性やMPO-ANCAのMPOへの結合性と相関していること、MPA患者血清のDNase I活性が低下していることが報告された8,11)。これらをまとめ、岩崎らは、MPA患者はDNase I活性低下などNETsを分解しにくい素因があり、感染や薬剤(プロピルチオウラシル、ミノサイクリン、ヒドラジンなど)1)が加わり、NETsの分解障害が起こり、NETsの構成成分であるMPOに対する抗体(MPO-ANCA)が産生されること、さらにANCAがサイトカインや補体第2経路によりプライミングされた好中球表面のMPOに強固に結合し、Fcγ受容体を介してさらに好中球を活性化させてNETsを放出し、血管壁を壊死させるメカニズムを提唱している8)。■ 分類腎型、肺腎型、全身型に分類されるが、わが国では、肺病変のみの症例も多数認められる。■ 症状発熱、食思不振などの全身症状、紫斑などの皮膚症状、関節痛、間質性肺炎、急速進行性糸球体腎炎などを来す。わが国では、欧米に比べ間質性肺炎の合併頻度が高い12)。EGPAほど頻度は高くないが、神経障害も認められる。■ 予後初回治療時の寛解率は90%以上で、24ヵ月時点での生存率も80%以上である。わが国では高齢患者が多いため、感染症死が多く、治療では免疫抑制をどこまで強くかけるかというのが常に問題になる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)検査所見としては、炎症所見、血尿、蛋白尿、円柱尿、血清クレアチニン上昇、MPO-ANCA陽性などを認める。診断には、厚生労働省の診断基準(1998年)が使用される(表)。表 MPAの診断基準〈診断基準〉確実、疑い例を対象とする【主要項目】1) 主要症候(1)急速進行性糸球体腎炎(2)肺出血、もしくは間質性肺炎(3)腎・肺以外の臓器症状:紫斑、皮下出血、消化管出血、多発性単神経炎など2) 主要組織所見細動脈・毛細血管・後毛細血管細静脈の壊死、血管周囲の炎症性細胞浸潤3) 主要検査所見(1)MPO-ANCA陽性(2)CRP陽性(3)蛋白尿・血尿、BUN、血清クレアチニン値の上昇(4)胸部X線所見:浸潤陰影(肺胞出血)、間質性肺炎4) 判定(1)確実(definite)(a)主要症候の2項目以上を満たし、組織所見が陽性の例(b)主要症候の(1)および(2)を含め2 項目以上を満たし、MPO-ANCAが陽性の例(2)疑い(probable)(a)主要症候の3項目以上を満たす例(b)主要症候の1項目とMPO-ANCA陽性の例5) 鑑別診断(1)結節性多発動脈炎(2)多発血管炎性肉芽腫症(旧称:ウェゲナー肉芽腫症)(3)好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(旧称:アレルギー性肉芽腫性血管炎/チャーグ・ストラウス症候群)(4)川崎動脈炎(5)膠原病(SLE、RAなど)(6)IgA血管炎(旧称:紫斑病血管炎)【参考事項】1)主要症候の出現する1~2週間前に先行感染(多くは上気道感染)を認める例が多い。2)主要症候(1)、(2)は約半数例で同時に、その他の例ではいずれか一方が先行する。3)多くの例でMPO-ANCAの力価は疾患活動性と平行して変動する。4)治療を早期に中止すると、再発する例がある。5)除外項目の諸疾患は壊死性血管炎を呈するが、特徴的な症候と検査所見から鑑別できる。(吉田雅治ほか. 中・小型血管炎の臨床に関する小委員会報告.厚生省特定疾患免疫疾患調査研究班難治性血管炎分科会.平成10年度研究報告書.1999:239-246.)3 治療 (治験中・研究中のものも含む)わが国では厚生労働省の血管炎に関わる3研究班合同のAAV診療ガイドラインと13,14)、腎障害を伴うAAVについての厚生労働省難治性腎疾患研究班によるエビデンスに基づく急速進行性腎炎症候群(RPGN)診療ガイドがあり15)、欧米では、英国リウマチ学会(BSR)によるAAV診療ガイドラインがある16,17)。その後、3研究班合同のAAV診療ガイドライン18)が改訂された。■ 寛解導入療法厚生労働省3班のAAV診療ガイドラインでのMPAの治療アルゴリズムを図に示す。基本的には、ステロイド(GC)とシクロホスファミド(CY、[商品名:エンドキサン])の併用療法であるが、経口CYよりも静注CY(IVCY)が推奨されている。CYは年齢、腎機能などで減量を考慮する。欧米では、リツキシマブ(RTX、[同:リツキサン])がIVCYと同じポジションであるが、わが国では高齢患者が多いためにIVCYが推奨された。また、患者の状態によりメトトレキサート(MTX、[同:リウマトレックス])、ミコフェノール酸モフェチル(MMF、[同:セルセプト])、血漿交換なども推奨されている。GCの減量速度はAAVの再発に大きく関わっており、あまりに急速な減量は避けるべきである19)。図 MPA治療アルゴリズム(厚生労働省3班AAV診療ガイドライン)画像を拡大する*1GC+IVCYがGC+POCYよりも優先される。*2ANCA関連血管炎の治療に対して十分な知識・経験をもつ医師のもとで、RTXの使用が適切と判断される症例においては、GC+CYの代替として、GC+RTXを用いてもよい。*3GC+IVCY/POCYがGC+RTXよりも優先される。*4POCYではなくIVCYが用いられる場合がある。*5AZA以外の薬剤として、RTX、MTX*、MMF*が選択肢となりうる。*保険適用外■ 寛解維持療法厚生労働省3班のAAV診療ガイドラインでは、GC+アザチオプリン(AZA、[同:イムラン、アザニン])を推奨しており、そのほかの免疫抑制薬としてRTX、MTX、MMFが推奨されている。一方、難治性腎疾患研究班のRPGNガイドラインではRTXのかわりにミゾリビン(MZR、[同:ブレディニン])が推奨されている。やはりわが国のAAVは高齢者が多いこと、腎機能が低下するとMZRの血中濃度が上昇し、よい効果が得られることなどがその理由として考えられる。4 今後の展望2023年5月に改訂されたAAV診療ガイドラインによる治療の変化(とくにアバコパンについて)補体活性化の最終段階で産生される C5aRを選択的に阻害する経口薬アバコパン(商品名:タブネオス)は、ADVOCATE試験20)によりAAVに対する有効性および安全性を確認し、「顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症」を適応症として2022年6月に発売された。その後、2023年5月に改訂されたAAV診療ガイドラインにおいて、MPA/GPAの寛解導入治療でCYまたはRTXを用いる場合、高用量GCよりもアバコパンの併用を提案することが明記された。その他の薬剤ではMPA/GPAの寛解導入治療として、GC単独よりもGC+IVCYまたは経口CYを、GC+経口CYよりもGC+IVCYを、GC+CYと同列にGC+RTXを、GC+CYまたはRTXを用いる場合はGCの通常レジメンよりも減量レジメンを提案することが明記された18)。なお、アバコパンの添付文書には重大な副作用として肝機能障害が記載されている。その多くは投与開始から3ヵ月以内の発現であるが、それ以降に発現しているケースも報告されていることから、定期的なモニタリングが必要である。5 主たる診療科膠原病内科、リウマチ科、腎臓内科、呼吸器内科、皮膚科、神経内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 顕微鏡的多発血管炎(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)日本循環器学会. 血管炎症候群の診療ガイドライン(2017年改訂版). 2018;54-60.2)佐田憲映.ANCA関連血管炎 顕微鏡的多発血管炎.日本リウマチ財団 教育研修委員会編. リウマチ病学テキスト 改訂第2版. 診断と治療社;2016.p.265-267.3)Fujimoto S, et al. Rheumatology. 2011;50:1916-1920.4)Tsuchiya N, et al. J Rheumatol. 2003;30:1534-1540.5)川崎 綾.顕微鏡的多発血管炎(1)疫学・遺伝疫学.有村義宏 監. 日本臨牀 増刊号 血管炎(第2版)―基礎と臨床のクロストーク―. 日本臨牀社;2018.p.215-219.6)Kawasaki A, et al. PLoS ONE. 2016;11:e0154393.7)Brinkmann V, et al. Science. 2004;303:1532-1535.8)岩崎沙理ほか.小型血管炎(2)顕微鏡的多発血管炎の病理・病態.有村義宏 監. 日本臨牀 増刊号 血管炎(第2版)―基礎と臨床のクロストーク―. 日本臨牀社;2018.p.220-225.9)Kessenbrock k, et al. Nat Med. 2009;15:623-625.10)Nakazawa D, et al. Arthritis Rheum. 2012;64:3779-3787.11)Nakazawa D, et al. J Am Soc Nephrol. 2014;25:990-997.12)Sada KE, et al. Arthritis Res Ther. 2014;16:R101.13)有村義宏ほか 編. ANCA関連血管炎診療ガイドライン2017. 診断と治療社;2017.14)Nagasaka K, et al. Mod Rheumatol. 2018 Sep 25.[Epub ahead of print]15)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業 難治性腎疾患に関する調査研究班 編. エビデンスに基づく急速進行性腎炎症候群(RPGN)診療ガイドライン2017. 東京医学社;2017.16)Ntatsaki E, et al. Rheumatology. 2014;53:2306-2309.17)駒形嘉紀.顕微鏡的多発血管炎(4)治療.有村義宏 監. 日本臨牀 増刊号 血管炎(第2版)―基礎と臨床のクロストーク―.日本臨牀社;2018.p.232-237.18)針谷正祥、ほか. ANCA関連血管炎診療ガイドライン2023.診断と治療社:2023.19)Hara A, et al. J Rheumatol. 2018;45:521-528.20)Jayne DRW, et al. N Eng J Med. 2021;384:599-609.公開履歴初回2018年12月25日更新2024年7月11日

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皮膚筋炎、抗核抗体陰性は悪性腫瘍のリスク大

 成人の皮膚筋炎(DM)患者における抗核抗体(ANA)の臨床的な意義は、まだ詳細に定義されていない。米国・メイヨー・クリニックのPaul M. Hoesly氏らは、成人発症DM患者において、ANA陰性が診断後3年以内の悪性腫瘍の発症に関連することを明らかにした。著者は、「ANA陰性DM患者では、とくに綿密な観察と頻繁な悪性腫瘍のスクリーニングが必要と考えられる」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年11月17日号掲載の報告。 研究グループは、成人発症DM患者でのANA陽性および陰性を、無筋炎型(amyopathic DM)の発症率、悪性腫瘍のリスクおよび臨床所見について比較した。そして、ELISA法でANA陽性または陰性が検出された成人発症DM患者を後ろ向きに解析した。ただし、この研究の遡及的な性質には限界があった。 主な結果は以下のとおり。・解析した213例中、ANA陽性は140例(61%)、陰性は91例(39%)であった。・ANA陽性患者は陰性患者と比較し、嚥下障害(15% vs.26%、p=0.033)およびヘリオトロープ疹(38% vs.53%、p=0.026)の頻度が低かった。・213例のうち54例(23%)は、DMの診断から3年以内に悪性腫瘍を発症した。・悪性腫瘍の発症率は、ANA陽性患者で11%、陰性患者で43%であった(p<0.001)。・多変量解析の結果、ANA陽性と悪性腫瘍発症リスクの低さとの間に強い関連を認めた(オッズ比[OR]:0.16、p<0.001)。一方で、ANA陽性とamyopathic DMとの関連はなかった(OR:0.94、p=0.87)。

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新たな抗体医薬、遺伝性血管性浮腫の予防に効果/JAMA

 遺伝性血管性浮腫I/II型の患者において、26週間のlanadelumab皮下注はプラセボと比較して、発作の発生率を有意に減少したことが、米国・マサチューセッツ総合病院のAleena Banerji氏らによる第III相の無作為化二重盲検並行群プラセボ対照試験の結果、示された。遺伝性血管性浮腫の現行治療には、長期予防に関して限界がある(相当な有害事象や、頻回投与を要するなど)。lanadelumabは開発中の完全ヒトモノクローナル抗体で、血漿中カリクレインの活性を選択的に阻害する。第1b相試験において、忍容性が高く発作を減少することが示されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「示された結果は、遺伝性血管性浮腫の予防治療としてlanadelumabの使用を支持するものであった。さらなる研究を行い、長期的な安全性と有効性を確認する必要がある」とまとめている。JAMA誌2018年11月27日号掲載の報告。プラセボ対照で、lanadelumabの遺伝性血管性浮腫発作の予防効果を評価 研究グループは、lanadelumabの遺伝性血管性浮腫発作の予防効果を評価するため、カナダ、欧州、ヨルダン、米国の41施設で試験を行った。被験者は、12歳以上のI型またはII型の遺伝性血管性浮腫で、4週間のrun-in期間を受けた患者、およびrun-in期間に遺伝性血管性浮腫の発作を1回以上認めた患者を適格とし、lanadelumab群またはプラセボ群に2対1の割合で無作為に割り付けた。さらにlanadelumab群の割り付け患者は3つの用量レジメン群(4週ごとに150mg、4週ごとに300mg、2週ごとに300mg)に1対1対1の割合で割り付けた。 無作為化は2016年3月3日~9月9日に行われ、最終フォローアップ日は2017年4月13日であった。患者は全員(4週ごと群は治療期間中プラセボ投与を含めて)2週ごとに皮下注を受けた。 主要有効性評価項目は、治療期間中の研究者が確認した遺伝性血管性浮腫発作回数であった。治療期間中、3用量群ともにプラセボ群よりも有意に発作回数が減少 125例(平均年齢40.7歳[SD 14.7]、女性88例[70.4%]、白人113例[90.4%])が無作為化を受け、113例(90.4%)が試験を完遂した。 run-in期間中の遺伝性血管性浮腫の平均発作回数は、プラセボ群で4.0回/月、lanadelumabを4週ごと150mg群は3.2回/月、同4週ごと300mg群は3.7回/月、同2週ごと300mg群は3.5回であった。 治療期間中の遺伝性血管性浮腫の平均発作回数は、それぞれ1.97回/月、0.48回/月、0.53回/月、0.26回/月であり、プラセボと比較したlanadelumab群の月当たり発作率の平均差は、4週ごと150mg群が-1.49(95%信頼区間[CI]:-1.90~-1.08、p<0.001)、同4週ごと300mg群-1.44(95%CI:-1.84~-1.04、p<0.001)、同2週ごと300mg群-1.71(95%CI:-2.09~-1.33、p<0.001)で、いずれも有意な減少が認められた。 最も頻度が高くlanadelumab群でより多く認められた有害事象は、注射部位反応(プラセボ群34.1% vs.lanadelumab群52.4%)、めまい(プラセボ群0% vs.lanadelumab群6.0%)であった。

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選択的JAK1阻害薬、乾癬性関節炎に有効/Lancet

 活動性の乾癬性関節炎の治療に、選択的JAK1阻害薬filgotinibは有効であることが、米国・ワシントン大学のPhilip Mease氏らによる第II相の無作為化プラセボ対照試験「EQUATOR試験」の結果、示された。16週時のACR20達成患者は80%に認められ、新たな安全性シグナルは認められなかった。JAK1経路は、乾癬性関節炎の病因への関わりが示唆されている。研究グループは、JAK1を選択的に阻害するfilgotinibの有効性と安全性を調べた。Lancet誌オンライン版2018年10月22日号掲載の報告。活動性の中等症~重症乾癬性関節炎患者が対象、16週時点のACR20達成を評価 EQUATOR試験は、7ヵ国(ベルギー、ブルガリア、チェコ、エストニア、ポーランド、スペイン、ウクライナ)25施設において成人(18歳以上)の患者を登録して行われた。試験適格は、活動性の中等症~重症乾癬性関節炎(関節の腫脹5つ以上および圧痛関節5つ以上がある場合と定義)で乾癬性関節炎の層別化基準「CASPAR」を満たしており、活動性の慢性尋常性乾癬もしくはその既往の記録があり、1種以上の従来型抗リウマチ薬(csDMARD)による効果が不十分あるいは不耐容の患者とした。対象患者のうち、少なくともスクリーニング前12週間にcsDMARDの投与が1回あり、少なくともベースライン前4週間に安定投与が1回あった場合は、試験期間中も引き続きcsDMARDが投与された。 研究グループは双方向ウェブベースシステムを用いて、対象患者を1対1の割合で、filgotinib 200mgまたはプラセボを1日1回16週間経口投与するよう無作為に割り付けた。csDMARDの現在の投与および抗TNFの既投与による層別化も行った。なお、患者、試験チーム、スポンサーは治療割り付けをマスキングされた。 主要評価項目は、完全解析集団(試験薬を1回以上投与した全患者を包含)における16週時点のACR20達成患者の割合で、Cochran-Mantel-Haenszel検定およびNRI(non-responder imputation)法を用いて両群を比較した。filgotinib群80%、プラセボ群33% 2017年3月9日~9月27日に191例がスクリーニングを受け、131例が無作為化され(filgotinib群65例、プラセボ群66例)、それぞれ60例(92%)、64例(97%)が試験を完了した。filgotinib群では5例(8%)、プラセボ群では2例(3%)が試験治療中断となった。 16週時点のACR20達成率は、filgotinib群80%(52/65例)、プラセボ群33%(22/66例)であった(群間差:47%、95%信頼区間[CI]:30.2~59.6、p<0.0001)。 少なくとも1件以上の治療関連有害事象が認められたのは、filgotinib群37例(57%)、プラセボ群39例(59%)であった。被験者6例でGrade3以上のイベントが認められた。最も頻度が高かったイベントは、鼻咽頭炎と頭痛で、発現頻度は各群で同程度であった。重篤な治療関連有害事象は、各群で1例ずつ認められた(肺炎および転倒後の大腿骨頸部骨折)。肺炎はfilgotinib群で認められ致死的であった。

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悪性関節リウマチ〔MRA:malignant rheumatoid arthritis〕

1 疾患概要■ 概念・定義本疾患は、「既存の関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)に、血管炎をはじめとする関節外症状を認め、難治性もしくは重篤な臨床病態を伴う場合」と定義される。本疾患は、わが国独自の概念で、欧米では血管炎を伴ったRAは「リウマチ様血管炎(rheumatoid vasculitis)」として二次性血管炎の1つとして分類されている。悪性関節リウマチ(malignant RA:MRA)は中・小血管炎だけでなく、肺線維症、胸膜炎などの関節外症状を伴った場合など、難治性もしくは重症の臨床病態を認める場合も含んでいる。■ 疫学MRAはRA患者の0.6〜1.0%にみられる。診断時の年齢のピークは60歳代で、男女比は1:2と女性に多い。MRAは厚生労働省特定医療費(指定難病)の対象疾患となっており、平成28年度末の受給者証所持者数は6,067名である。■ 病因現在も病因は不明である。発症に免疫学的機序の関与が推測されている。MRAは、さまざまな関節外症状を呈する疾患であるため、発症因子には、関節リウマチの発症因子、血管炎の発症因子、間質性肺炎の発症因子、その他の関節外症状の発症因子などが混在していると思われる。血管炎を呈したMRAでは、血清のリウマトイド因子高値、低補体血症、血清中免疫複合体高値を認め、免疫複合体の関与する血管炎が生じていると推測される。■ 症状表1に「厚生労働省難治性血管炎に関する調査研究班」によるMRAの診断基準を示す。関節リウマチによる多関節の腫脹・疼痛に加え、中・小型血管炎に基づく諸症状(多発性神経炎、皮膚潰瘍、指趾壊疽、上強膜炎、虹彩炎、心筋炎、腸管・肺などの梗塞など)、間質性肺炎、胸膜炎などが主症状である。一般にMRAを呈するのは、長期罹患のRAで疾患活動性の高い症例である。同様に重症度分類を表2に示す。表1 悪性関節リウマチの診断基準(厚生労働省難治性血管炎に関する調査研究班作成)<診断基準>1.臨床症状(1)多発性神経炎:知覚障害、運動障害いずれを伴ってもよい。(2)皮膚潰瘍または梗塞または指趾壊疽:感染や外傷によるものは含まない。(3)皮下結節:骨突起部、伸側表面または関節近傍にみられる皮下結節。(4)上強膜炎または虹彩炎:眼科的に確認され、他の原因によるものは含まない。(5)滲出性胸膜炎または心嚢炎:感染症など、他の原因によるものは含まない。癒着のみの所見は陽性にとらない。(6)心筋炎:臨床所見、炎症反応、筋原性酵素、心電図、心エコーなどにより診断されたものを陽性とする。(7)間質性肺炎または肺線維症:理学的所見、胸部X線、肺機能検査により確認されたものとし、病変の広がりは問わない。(8)臓器梗塞:血管炎による虚血、壊死に起因した腸管、心筋、肺などの臓器梗塞。(9)リウマトイド因子高値:2回以上の検査で、RAHAないしRAPAテスト2,560倍以上(RF960IU/mL以上)の高値を示すこと。(10)血清低補体価または血中免疫複合体陽性:2回以上の検査で、C3、C4などの血清補体成分の低下もしくはCH50による補体活性化の低下をみること、または2回以上の検査で血中免疫複合体陽性(C1q結合能を基準とする)をみること。2.組織所見皮膚、筋、神経、その他の臓器の生検により小ないし中動脈壊死性血管炎、肉芽腫性血管炎ないしは閉塞性内膜炎を認めること。3.診断のカテゴリー皮膚、筋、神経、その他の臓器の生検により小ないし中動脈壊死性血管炎、肉芽腫性血管炎ないしは閉塞性内膜炎を認めること。ACR/EULARによる関節リウマチの分類基準 2010年(表1)を満たし、上記に掲げる項目の中で、(1)1.臨床症状(1)~(10)のうち3項目以上満たすもの、または(2)1.臨床症状(1)~(10)の項目の1項目以上と2.組織所見の項目があるもの、を悪性関節リウマチ(MRA)と診断する。4.鑑別診断鑑別すべき疾患、病態として、感染症、続発性アミロイドーシス、治療薬剤(薬剤誘発性間質性肺炎、薬剤誘発性血管炎など)の副作用があげられる。アミロイドーシスでは、胃、直腸、皮膚、腎、肝などの生検によりアミロイドの沈着をみる。関節リウマチ(RA)以外の膠原病(全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎など)との重複症候群にも留意する。シェーグレン症候群は、関節リウマチに最も合併しやすく、悪性関節リウマチにおいても約10%の合併をみる。フェルティー症候群も鑑別すべき疾患であるが、この場合、白血球数減少、脾腫、易感染性をみる。画像を拡大する■ 分類定まった分類はないが、血管炎型と間質性肺炎型など血管炎以外の症候を呈する型の2型に大別できる。血管炎型は、さらに全身性動脈炎型(多臓器性)と末梢動脈炎型(四肢末梢および皮膚の血管内膜の線維性増殖を呈する)の2つの型に分けられる。■ 予後血管炎型の中で全身性動脈炎型は、多臓器を侵し、生命予後は不良である。末梢動脈炎型は、生命予後は良好である。血管炎以外の予後不良を来す臓器症状としては、間質性肺炎がある。皮膚潰瘍が難治の場合もある。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)長期罹患の関節破壊が進行したRAに、血管炎症状または肺症状(間質性肺炎、胸膜炎)や皮下結節を認めた場合に疑う。診断基準は、表1に示したように臨床症状のみ、または臨床症状と組織所見を組み合わせて診断する。鑑別診断として、RAに合併した感染症、続発性アミロイドーシスおよび治療薬剤による多臓器障害。RAと全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強皮症、抗好中球細胞質抗体関連血管炎など他の膠原病との重複(オーバーラップ)例などが挙げられる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)関節リウマチに対する治療と関節外症状に対する治療を行う。抗リウマチ薬を含む免疫抑制療法が基本である。皮膚病変や胸膜炎に対しては、主に中等量の副腎皮質ステロイド薬の経口投与(PSL換算0.5mg/kg/日)で治療を開始。全身性血管炎症候に対しては、副腎皮質ステロイド(メチルプレドニゾロン500~1,000mg大量点滴静注療法、3日間連続)、シクロホスファミド点滴静注療法(500~750mg/m2/月)または経口シクロホスファミド(1~2mg/kg/日)治療を行う。4 今後の展望生物学的製剤など関節リウマチに対する治療の進歩により、血管炎を呈したMRAの頻度は減少し、臨床像も変化していると思われる。MRAに関する全国的な調査により、臨床病型や予後を検討する必要があると思われる。5 主たる診療科リウマチ科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報厚生労働省難治性血管炎に関する調査研究班 悪性関節リウマチ/リウマチ性血管炎(医療従事者向けのまとまった情報)難病情報センター:悪性関節リウマチ(リウマトイド血管炎)(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)松岡康夫. 難治性血管炎の診療マニュアル(難治性血管炎に関する調査研究班 班長 橋本博史)2002;35-40.公開履歴初回2018年10月9日

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日本人の抗-enolase AIR、臨床像が明らかに

 北海道大学大学院医学研究院眼科学教室の安藤 亮氏らは、日本人の抗α-enolase抗体陽性自己免疫性網膜症(抗-enolase AIR)に関する多施設共同後ろ向き症例集積研究を行い、抗-enolase AIRは、これまで文献においてほとんど記述のないドルーゼンのサブタイプで特徴付けられることを明らかにした。著者は、「機能的な重症度が異なることに伴う眼底検査所見の違いは、網膜色素上皮(RPE)ならびに視細胞の抗体を介在した障害の結果と考えられる」とまとめている。American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2018年9月6日号掲載の報告。 研究グループは、日本人の抗-enolase AIR患者25例(女性16例、男性9例、初診時平均年齢60.8歳)の49眼を対象に、眼底の特徴、視野検査、スペクトラルドメイン光干渉断層撮影(SD-OCT)、網膜電図(ERG)による検査、最高矯正視力(BCVA)および全身における腫瘍の複合について評価した。また、1例の患者の摘出眼において、免疫組織化学染色を用いてα-enolase蛋白の局在を調べた。 主な結果は以下のとおり。・25例の患者は、ドルーゼン多発(48%)、網膜変性(36%)、眼底正常(16%)の3群に分類された。・ドルーゼンは、小さな沈着から卵黄様病変まで、さまざまな大きさが認められた。・SD-OCT所見は、ドルーゼンに対応してRPEがドーム状に隆起し内部反射を伴っていた。・視野検査では、輪状暗点の頻度が最も高かった(39%)。・ERGでは、桿体反応または錐体反応の低下が81%の眼で認められた。・桿体と錐体の混合反応については、ドルーゼン多発群より網膜変性群においてa波の振幅が有意に小さかった(p=0.005)。・BCVAは、追跡調査中に80%の眼で改善または維持された。・患者の30%で悪性または良性腫瘍が発見された。・免疫染色の結果、RPEおよび視細胞層はα-enolase陽性であった。

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JAK阻害薬が関節リウマチの新治療戦略へ

 2018年8月28日、ファイザー株式会社は、関節リウマチ(RA)プレスカンファレンスを都内で開催した。本セミナーでは、トファシチニブ(商品名:ゼルヤンツ)の発売開始から5年を期し、「日本人3,929例の全例市販後調査 中間解析に基づく安全性評価」をテーマに講演が行われた。関節リウマチの治療推奨は欧州と同等 田中 良哉氏(産業医科大学医学部 第1内科学講座 教授)は、RAの新治療戦略について「リウマチ患者の関節は(炎症を起こしているから)腫れていて触ると熱い。一度変形した関節は二度と元に戻らない。また、患者の半分近くがドライアイ・ドライマウスを抱えており、肺病変も起こりうる。関節だけでなく、全身症状を伴うからこそ、適切な治療が必要だ」と強調した。 わが国におけるRAの治療指針は、欧州リウマチ学会によるレコメンデーション(EULAR 2016 update)1)にほぼ準拠している。RAの診断後、PhaseIではDMARDsであるメトトレキサート(以下MTX、MTX禁忌の場合はレフルノミド、スルファサラジンを単剤/併用)と短期間のステロイド剤併用を開始し、3ヵ月以内の改善および6ヵ月以内の治療目標達成(寛解または低疾患活動性)の場合は治療継続、効果不十分・副作用などで達成できなかった場合は、PhaseIIへと進む。 PhaseIIでは、別のDMARDsへの変更・追加とステロイドの併用療法を行うが、予後不良因子(自己抗体高値、高疾患活動性、早期の骨びらん・関節破壊出現など)がある場合、またはDMARDsの併用に不応の場合は、生物学的製剤とJAK阻害薬のいずれかを使用する。それでも治療目標を達成できない場合には、PhaseIIIへ移行し、生物学的製剤の変更、JAK阻害薬への切り替え、2剤目のTNF阻害薬の追加などが検討される。JAK阻害薬は治療抵抗例に有効な可能性 田中氏の医局の成績では、生物学的製剤の導入により、治療開始1年後には約3分の2の患者が低疾患活動性に到達できるという。しかし、残った中疾患活動性以上の患者では、関節破壊が進行してしまう。JAK阻害薬であるトファシチニブは、生物学的製剤による治療で効果不十分だった患者にとって、新たな選択肢となりうる。 2013年に行われたインターネットのアンケート調査2)によると、RA患者の32.6%(n=914)が発症後に仕事を辞めたもしくは変えたことがあると回答している。また、生物学的製剤の治療を受けている患者の37%(n=55)は、無効などを理由に治療に落胆を感じたという。「生物学的製剤ですべての患者が救われるわけではない」と同氏は語った。 経口服用できるトファシチニブは、単独でもMTXとの併用でも使用可能で、生物学的製剤と同等の効果があるとされ、期待が持たれている。RAに対するトファシチニブ休薬の多施設試験3)では、継続例では再燃がほとんど起こらなかったのに加え、寛解後の休薬例でも54人中20人が1年以上低疾患活動性を維持できたと紹介された。JAK阻害薬は安易に使っていい薬剤ではない 一方、田中氏はJAK阻害薬の有用性だけでなく、適正使用に関しても強く訴えた。「内服薬だからといって、安易に使っていい薬剤ではない。治療前のスクリーニングと治療中のモニタリングを適切に行い、全身管理が可能な医師に使ってほしい」と述べた。引き続き、安全性への注意が重要である。 同氏は、関節リウマチの治療戦略として「関節破壊ゼロを目指す」と掲げ、関節破壊が生じる前の治療、早期寛解導入を目指し、その後維持をすることで「普通の生活を送る」ことに重点を置いた。現在は、RA患者の生活スタイルや嗜好に合わせて治療選択をすることが可能であり、専門医らによる適切な治療の推進が望まれる。トファシチニブによる副作用報告 渥美 達也氏(北海道大学大学院医学研究院 免疫・代謝内科学教室 教授)は、「ゼルヤンツの特定使用成績調査に基づく安全性評価」について、RAに対する特定使用成績調査(日本人3,929例)における中間報告を紹介した。調査の対象患者は、MTX 8mg/週を越える用量を3ヵ月以上継続して使用してもコントロール不良のRA患者にトファシチニブが投与された例であり、全観察期間は3年間。投与中止症例についても、悪性腫瘍発言に関しては追跡調査を実施した。 6ヵ月観察における副作用発現割合では、感染症が最も多く11.22%を占め、突出して多かったのは帯状疱疹(3.59%)であり、上咽頭炎(1.47%)、肺炎(1.19%)が続いた。65歳以上で感染症の可能性が高くなるという結果もある。 懸念されていた悪性腫瘍については、3,929例中61例が報告されており、そのうち女性が68.9%、男性が31.1%を占めた。対象患者の割合は女性が80.5%であったため、悪性腫瘍の頻度は男性のほうが高くなる可能性がある。今後もエビデンスを構築と適切な評価のために、トファシチニブの全例調査は引き続き実施されるという。

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セクキヌマブは乾癬性関節炎の痛みも改善?

 セクキヌマブは乾癬性関節炎患者の痛みを2年にわたって改善させ、さらにその痛みはTNF阻害薬を使用しているかにかかわらず改善させる可能性があることが英国・グラスゴー大学のIain B. McInnes氏らの研究によって明らかになった。Arthritis Research & Therapy誌2018年6月号に掲載。 乾癬性関節炎の痛みは、患者の健康関連QOLに最も強く影響する要素の1つである。乾癬性関節炎患者に対して、セクキヌマブは健康関連QOLを含め、徴候や症状を迅速かつ持続的に改善させることが示されている。本研究では、乾癬性関節炎患者の痛みに与えるセクキヌマブの効果を評価するために、セクキヌマブの投与開始から104週目の間における患者の痛みのスコアを解析した。 著者らは治療開始から104週までの間にかけて、以下の3つの尺度で痛みを臨床的に測定した。・痛みのビジュアルアナログスケール(VAS)とSF-36の体の痛みのスコアのベースラインからの変化・上記2項目について臨床における最小重要差以上の改善が認められた患者の割合・EQ-5D-3 Lの「痛み/不快感」の項目におけるno、moderate、extremeに該当する患者の割合 痛みの測定の相関はピアソンの相関係数により解析された。TNFナイーブ患者と、TNF阻害薬の不十分な応答や安全性/忍容性により投与を中止した(TNF-IR)患者に対する項目の設定を事前に行った解析は、観測データを用いて行われた。 主な結果は以下のとおり。・投与開始3週目におけるベースラインから改善した痛みのVASスコアの平均値はプラセボ群と比較してより大きく改善し、セクキヌマブ300mg投与群では-16.9(p<0.0001)、セクキヌマブ150mg投与群では-12.6(p<0.05)で、スコアの改善は104週まで続いた。・投与開始4週目におけるSF-36の体の痛みのスコアはプラセボ群と比較して有意に改善し、セクキヌマブ300mg投与群では16.2(p<0.0001)、セクキヌマブ150mg投与群では16.3(p<0.0001)で、スコアの改善は104週まで続いた。・プラセボと比較してセクキヌマブ300mg投与群と150mg投与群では、3週目と4週目における痛みのVASスコアとSF-36の体の痛みのスコアについて、臨床における最小重要差以上の改善が有意に大きかった。・投与開始4週目時点でのEQ-5D-3 Lの「痛み/不快感」の項目において、セクキヌマブ300mg投与群の15%、150mg投与群の9%、プラセボ群の5%がno pain/discomfortに分類され、さらにセクキヌマブ投与群ではこの割合が104週まで上昇した。・TNFナイーブあるいはTNF-IR患者においても、痛みのスコアがセクキヌマブ投与により有意に改善した。

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全身性エリテマトーデスに新たな経口薬登場か/Lancet

 標準治療ではコントロール不十分な全身性エリテマトーデス(SLE)の患者において、経口選択的JAK1/JAK2阻害薬であるバリシチニブ4mg投与は、徴候や症状を有意に改善したことが示された。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のDaniel J. Wallace氏らによる第II相プラセボ対照二重盲検無作為化試験の結果で、Lancet誌2018年7月21日号で報告している。安全性は、従来のバリシチニブ試験でみられたものと一致していた。現状ではSLE患者の医療的ニーズを十分に満たす治療法はない。著者は、「今回の結果は、SLEの経口治療薬として、JAK1/JAK2阻害薬バリシチニブの可能性について第III相試験の実施を支持するものであった」とまとめている。24週間の第II相プラセボ対照二重盲検無作為化試験でバリシチニブの効果を検討 第II相試験は、11ヵ国78医療施設で患者を募り、24週間にわたって行われた。適格患者は、SLEと診断され、皮膚または関節に疾患活動性の炎症が認められる18歳以上の患者であった。 被験者を無作為に1対1対1の割合で3群に割り付け、それぞれバリシチニブ4mg、同2mg、プラセボを24週間投与した。 主要エンドポイントは、24週時点の関節炎または皮疹の消失(Systemic Lupus Erythematosus Disease Activity Index-2000:SLEDAI-2Kで定義)を達成した患者の割合。有効性と安全性の解析は、試験薬を1回以上服薬した全患者を包含して行った。バリシチニブ4mg群で有意な改善を確認 2016年3月24日~2017年4月27日の間に、314例が無作為化を受けた(バリシチニブ4mg群104例、同2mg群105例、プラセボ群105例)。 24週時点で、SLEDAI-2Kで関節炎または皮疹消失を達成したのは、バリシチニブ4mg群70/104例(67%)(対プラセボオッズ比[OR]:1.8、95%信頼区間[CI]:1.0~3.3、p=0.0414)、バリシチニブ2mg群61/105例(58%)(同OR:1.3、95%CI:0.7~2.3、p=0.39)。 有害事象の報告は、プラセボ群68例(65%)、バリシチニブ2mg群75例(71%)、バリシチニブ4mg群76例(73%)であった。重篤有害事象の報告は、バリシチニブ4mg群10例(10%)、バリシチニブ2mg群11例(10%)、プラセボ群5例(5%)であった。死亡例の報告はなかった。なお重篤な感染症の報告は、バリシチニブ4mg群6例(6%)、バリシチニブ2mg群2例(2%)、プラセボ群1例(1%)であった。

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希少疾病の海外情報紹介サイト開設

 神戸医療産業都市推進機構 医療イノベーション推進センター(センター長:福島雅典氏、以下「TRI」と略す)は、希少・難治性疾患の海外情報を国内へ届けるウェブサイト“Orphanet Japan Website”を開設した。 TRIは日本医療研究開発機構(AMED)からの推薦を受け、2017年10月、希少疾患情報を収集・管理している国際的な機関であるOrphanet*(本部:フランス)にアジアで初めて加盟。その目的は、国内における難病情報の充実と、海外への情報共有からもたらされる難治性疾患の克服と説明する。そして、この加盟を受けて、今回同サイトの開設に至ったものである。 具体的なサイトメニューとしては、ニュース、国際ニュース、イベント、一般情報、ドキュメントなどの項目に分かれていて、さまざまなコンテンツが順次公開されていく。*Orphanetとは1997年、フランス国立保健医学研究所(Inserm)によって設立され、世界のあらゆる人々へ高品質な難病情報を提供し、診断・治療の向上を目指している。現在、ヨーロッパを中心に、約40ヵ国が参加。6,000を超える難病情報を保有。 今後、TRIではOrphanet加盟国として、次の活動を予定している。1)Orphanetが保有する難病情報などを日本語に翻訳し、同サイトより発信2)日本国内の難病領域に関する医療・検査施設などの情報をOrphanetデータベースに登録(Orphanet International Websiteから閲覧可能) なお、これらの活動は、Orphanet加盟各国で同じように実施されており、Orphanet Japan Websiteは日本での発信ツールとして位置付けられている。■参考オーファネットジャパン■関連記事希少疾病ライブラリ

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生物学的製剤の早期導入で寛解を目指す

 冒頭では、イミュノロジー グローバルマーケティング&コマーシャルオペレーションズ ヴァイス・プレジデントのティアゴ・ロドリゲス氏が、「アッヴィの免疫領域におけるこれまでの貢献、これからの取り組み」について語り、ヒュミラ(一般名:アダリムマブ)発売10周年を記念し、自己注射時の負担軽減を目的に開発された、新しいペン型デバイスを、世界で初めて日本で導入したことを発表した。現在も、安全性を確保したうえで効果を高めることができないかと考え、多くの国・適応を対象に生物学的製剤の臨床試験を続けているという。 講演では、「各疾患領域における生物学的製剤の役割と今後の展望」について、領域別(関節リウマチ・消化器・皮膚)で3人の演者がレクチャーを行った。共通していた内容は、この10年で難治性疾患の治療が劇的に変わったということ、そして、生物学的製剤は早期に導入されるほど、寛解率が上がるということであった。安全性などへの懸念により、早期導入が進まない現状 初めに、竹内 勤氏(慶應義塾大学 医学部 リウマチ・膠原病内科 教授)が、関節リウマチ領域について説明した。生物学的製剤による治療は、関節破壊の進行抑制、労働生産性の改善などといった効果を発揮する。しかし、すでに破壊された関節は元に戻らないため、発症後どの段階で生物学的製剤を導入するかが重要であり、2~3年以内の導入が望ましいという。同氏は、「早期導入が進まない原因として、医師が安全性を憂慮し過ぎていることが考えられる。データはたくさんあるので、医師は有効性・安全性などについて積極的に正しい知識を習得し、必要な患者さんには生物学的製剤を導入してほしい」と語った。 続いて、日比 紀文氏(北里大学北里研究所病院 炎症性腸疾患先進治療センター センター長)が、消化器領域について講演を行った。同氏は、「生物学的製剤は、難治性の炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)にパラダイムシフトを起こした」とその衝撃を表現した。かつては、薬物治療が無効な場合、大腸全摘の選択肢しか残されていなかった。しかし、生物学的製剤の登場で、難治性の炎症性腸疾患は激減し、寛解導入・寛解維持は容易になったという。同氏は、「今後、患者は多くの選択肢から適切な治療を選ぶことができ、体調の悪化による活動制限から解放され、通常の日常生活を送ることが可能になるだろう」と展望を述べた。発症後、時間が経つほど苦痛は蓄積する 最後に、小林 里実氏(社会福祉法人聖母会 聖母病院皮膚科 部長)が、乾癬を中心に、皮膚科領域への期待を語った。乾癬は、重症化すると関節破壊を起こすことがあり、QOLの低下はがんにも匹敵する1)という。乾癬治療は、2010年に抗TNF製剤が登場して以降、劇的に変化し、生物学的製剤による治療で、PASIスコア(乾癬の面積と重症度の指標)が90%以上改善する例も見られるようになった。しかし、小林氏は、PASIスコアが0になったからといって、生活の質が完全に回復するわけではないことを指摘した。同氏は、「乾癬は、発症後の身体的・精神的な苦痛が大きく、それらは蓄積され、経験として残る。早期の適切な治療がもっとも重要だ」と強調した。 講演の後には、生物学的製剤によって疾患の苦しみから解放された患者や患者の家族らがパネルディスカッションを行った。「これからの10年は、難治性疾患の苦しみで社会に出られなかった患者たちが、生物学的製剤の力を借りて社会に戻っていける時代だ」と締めくくった。

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今だから聞きたいバイオシミラーの基礎

 2018年6月20日、ファイザー株式会社は、「バイオ医薬品・バイオシミラーの基礎と医療制度を取り巻く環境について」をテーマに、第1回バイオシミラー勉強会を都内で開催した。 バイオ医薬品は、遺伝子組み換え技術や細胞培養技術を用いて製造される医薬品であり、「生物学的製剤」とも呼ばれる。2000年頃から医薬品市場に登場して以来、関節リウマチの寛解率やがん患者の生存率を改善するなど、医療の質を大きく向上させた。近年、売上高は右肩上がりで大幅に推移しており、今後も重要な治療選択肢となりうる。バイオシミラーはバイオ医薬品と同等の品質管理体制 バイオ医薬品の特性の1つとして、不均一性がある。微生物や細胞を用いて製造するため、製品に含まれる薬効成分は、わずかに構造がばらついた分子の混合物と考えられている。しかし、この不均一性に対しては、あらかじめ許容域が定められており、各種の試験結果が許容範囲内に収まる製品のみが市場に出ている。 バイオシミラーとは、国内ですでに承認されたバイオ医薬品(先行品)の後続品である。バイオシミラーの開発ガイドラインは、バイオ医薬品の製造工程変更に関する国際的なガイドライン(ICH Q5E)に基づいて策定されており、先行品と「同等/同質」の品質、安全性、有効性を有する医薬品として、バイオシミラーが開発・承認される。同等/同質とは、まったく同一ということではなく、品質特性において類似性が高く、安全性・有効性に有害な影響を及ぼさないことを示している。 つまり、バイオシミラーの開発では、臨床的に同等/同質であることを検証する必要があり、品質特性解析に重点が置かれ、非臨床試験、臨床薬理試験、臨床試験と段階的に試験が行われる。また、承認・販売後は、免疫原性の問題などに留意し、製造販売後調査の実施も求められる。バイオシミラー市場の拡大で、医療費の負担軽減へ 本セミナーでは、益山 光一氏(東京薬科大学 薬学部 薬事関係法規研究室 教授)が、講演を行った。同氏は、バイオ医薬品について「生命を脅かす重篤な疾患や慢性疾患の治療薬として、多大な恩恵をもたらした」とたたえたが、同時に、2017年における世界の医薬品売り上げで、トップ3をバイオ医薬品が占めることなど、医療費にかかる負担を指摘した。わが国の国民医療費は、2013年以降40兆円を超えているが、バイオ医薬品の市場が今後も拡大していくことを考えると、医療費が下がるとは考えにくい。そこで、平等な医療制度を継続していくためにも、バイオシミラーの存在が重要になるという。 売り上げ上位のバイオ医薬品における特許期間は、2020年までに続々と終了していく見込みであり、国の支援方針としては、「経済財政運営と改革の基本方針2017」(骨太方針)に、「2020年度末までに、バイオシミラーの品目数倍増(成分数ベース)を目指す」と明記されている。しかし、安かろう悪かろうと思われてしまうとバイオシミラー使用率の向上は難しいため、国民への認知推進とともに、医療者が、有効性だけでなく、免疫原性など安全性についての情報も、収集・提供していくことが重要である。 益山氏は、厚生労働省で勤務していた頃を振り返り、「ジェネリック医薬品の使用推進には20年かかった。バイオシミラーではもう少し早く達成できるように発信していきたい。バイオシミラーについて、まず医療に携わる者が正しい知識を身に付け、新規バイオ医薬品とバイオシミラーを適切に選択し、バイオ医療の発展による治療アウトカムのいっそうの向上を期待する」と、講演を締めくくった。 同社によるバイオシミラー勉強会は、8月に第2回、9月に第3回が開催予定(全3回)。■参考ファイザー株式会社 医薬開発部門の取り組み

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自己免疫疾患とストレス:過剰ストレスは百害あって一利なし(解説:岡村毅氏)-881

 スウェーデンの大規模コホート研究で、ストレスに関連した精神疾患(PTSDなど)と診断された人は、後に自己免疫疾患と診断されるリスクが高いことが報告されている。貴重な報告である。 体の病気とストレスは関係していそうである。病院で患者さん方の話を聞いていると、あるいは街でおしゃべりをしていると、「Aさんは〇〇と診断されたが、思い返してみると、しばらくストレスの多い生活をしていたらしい。やはりストレスはよくないね」というプロットは定番である。しかし冷静に考えてみれば、ストレスがなければ発症しなかったのか、ということについてはわからないのだ。そうなると、本研究のような大規模な疫学研究の出番である。 以下は精神科医の雑談として読んでいただきたい。 ところで、なぜ自己免疫疾患なのだろうか。受け止めきれないくらいの大きなストレスにさらされたとき、自己と他者の境界は揺らぐが、精神医学的には解離性障害(その記憶をなくす、現実感を失う、などの防衛機制)が生じると考えたくなる。しかし、東大免疫学教室元教授の故多田富雄が『免疫の意味論』(青土社. 1993)の中で、身体的に「自己」を規定しているのは免疫系であって脳ではないと述べたように、自己と他者の境界が揺らぐことで自己免疫疾患が生じることもあるかもしれない(なお本論文にはそういうことは一切書いてなく、普通に視床下部-下垂体-副腎系(HPA系)のことが書いてあるので、あくまで筆者の妄想ですが)。 また本論文の意義を広い視野で考えると、身体科と精神科のいっそうの協働必要性であろう。あくまで個人的経験だし、「ごーまん」と思われたら謝るしかないが、総合病院においては各診療科の精神医学的センスの格差が大きいことに驚く。どういうことかというと、本当に要注意のケースを的確に精神科受診させる科もあれば、ずれた依頼が多い科、あるいはほとんど依頼してこない科もある。その昔は、患者さんや家族とトラブルがあると「変な人の対応をしてよ」と依頼してくるようなケースもあった(いうまでもなく人間関係のこじれはお断りです)。このセンスの差を決めるのは何であろうか? 個人の力量? 診療科固有の思考形式? 単に、その病院のその診療科の人間関係や雰囲気? 興味は尽きない。 いずれにしても、過度のストレスにいいことは何もない。筋トレだって週に2回くらいが筋肥大にはちょうどいい。医療現場は究極の感情労働であるが、過度のストレスで致命的な転帰に向かうくらいなら、静かに逃げ出して再起を図ってほしい。

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ストレス関連障害は、自己免疫疾患のリスク/JAMA

 ストレス関連の障害は、自己免疫疾患発症リスクを有意に増大することが、アイスランド大学のHuan Song氏らによる、スウェーデンの集団・兄弟姉妹適合コホートを対象とした後ろ向き研究の結果、明らかにされた。生活をするうえでのストレッサーに対する精神医学的な影響は誰にでもみられる。その影響が免疫機能不全をもたらす可能性が示唆されているが、自己免疫疾患のリスクに関与しているかは不明であった。今回の結果を受けて著者は、「さらなる研究を行い、根源的メカニズムを解明することが必要だ」とまとめている。JAMA誌2018年6月19日号掲載の報告。ストレス関連障害曝露群を、適合非曝露群および兄弟姉妹群と比較 研究グループは、1981年1月1日~2013年12月31日に、スウェーデン生まれの住民を対象とした集団および兄弟姉妹適合後ろ向きコホート研究を行い、ストレス関連の障害が自己免疫疾患発症と関連しているかを調べた。コホートには、ストレス関連障害(外傷後ストレス障害[PTSD]、急性ストレス反応、適応障害、およびその他のストレス障害)と診断された10万6,464例(曝露群)と、それら診断歴のない適合集団106万4,640例(非曝露群)および曝露群の兄弟姉妹12万6,652例が含まれた。 ストレス関連障害と自己免疫疾患は、全国患者登録で特定した。また、Coxモデルを用いて、ストレス関連障害の診断後1年超で発症が認められた41の自己免疫疾患に関するハザード比(HR)を、多数のリスク因子で調整して、95%信頼区間(CI)とともに算出した。非曝露群と比較した曝露群の自己免疫疾患リスクのハザード比は1.36 ストレス関連障害と診断された年齢中央値は41歳(四分位範囲:33~50)、曝露群の男性の比率は40%であった。 平均追跡期間10年間の自己免疫疾患罹患率は、1,000人年当たり、曝露群9.1、非曝露群6.0、兄弟姉妹群6.5であった。曝露群の、非曝露群に対する絶対率差は3.12(95%CI:2.99~3.25)、兄弟姉妹群に対する同差は2.49(95%CI:2.23~2.76)であった。 非曝露群と比較して、ストレス関連障害患者では、自己免疫疾患のリスクが高かった(HR:1.36、95%CI:1.33~1.40)。また、PTSD患者のHRは、あらゆる自己免疫疾患の発症リスクが1.46(95%CI:1.32~1.61)であり、複数(≧3)の自己免疫疾患のリスクは2.29(95%CI:1.72~3.04)であった。 これらの関連性は、兄弟姉妹ベースの比較においても認められた。 相対リスクの上昇は、若年患者群においてみられることが確認された。HR(95%CI)は、≦33歳群で1.48(1.42~1.55)、34~41歳群1.41(1.33~1.48)、42~50歳群1.31(1.24~1.37)、≧51歳群1.23(1.17~1.30)であった(相互作用のp<0.001)。 なお、PTSD診断後1年間にSSRI薬を服用していた場合、服用継続期間が長いほど自己免疫疾患発症リスクの有意な低下が認められた。HR(95%CI)は、≦179日では3.64(2.00~6.62)、180~319日では2.65(1.57~4.45)、≧320日では1.82(1.09~3.02)であった(傾向のp=0.03)。

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JAK1阻害薬upadacitinibが関節リウマチ再発例の症状改善/Lancet

 疾患活動性が中等度~重度の関節リウマチ再発例の治療において、選択的JAK1阻害薬upadacitinibの12週、1日1回経口投与により、症状が著明に改善することが、米国・スタンフォード大学のMark C. Genovese氏らが行った「SELECT-BEYOND試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年6月13日号に掲載された。upadacitinibは、他のJAKファミリーのメンバーに比べJAK1に高い選択性を持つように遺伝子改変されたJAK阻害薬であり、第II相試験でメトトレキサートやTNF阻害薬の効果が不十分な患者の関節リウマチ徴候や症状を改善することが報告されている。26ヵ国153施設に499例を登録 SELECT-BEYONDは、26ヵ国153施設が参加した国際的な二重盲検無作為化対照比較試験である(AbbVieの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、活動性の関節リウマチを発症し、生物学的製剤(bDMARD)の効果が不十分または不耐となり、同時に従来型抗リウマチ薬(csDMARD)の投与も受けている患者であった。 被験者は、upadacitinib徐放薬15mgまたは30mgまたはそれぞれのプラセボを12週間、1日1回経口投与した後、同薬15mgまたは30mgをさらに12週間投与する群に2対2対1対1の割合でランダムに割り付けられた。 主要エンドポイントは、以下の2つとした。1)12週時に、米国リウマチ学会(ACR)基準で20%の改善を達成した患者の割合(ACR20)、2)12週時に、C反応性蛋白(CRP)で評価した28関節の疾患活動性スコア(DAS28[CRP])≦3.2点を達成した患者の割合。有効性と安全性の解析は、修正intention-to-treat集団(試験薬の投与を1回以上受けた患者)で行った。 2016年3月15日~2017年1月10日の期間に、499例(upadacitinib 15mg群:165例、同30mg群:165例、プラセボ→同15mg群:85例、プラセボ→同30mg群:84例)が登録され、15mg群の1例が治療開始前に脱落した。12週時ACR20達成率は約2倍、DAS28(CRP)≦3.2点達成率は約3倍に 全体の平均罹患期間は13.2(SD 9.5)年で、bDMARDの投与歴は1剤が47%(235/498例)、2剤が28%(137例)、3剤以上が25%(125例)であり、12週の治療を完遂したのが91%(451例)、24週の治療の完遂例は84%(419例)であった。平均年齢はupadacitinib 15mg群(164例)が56.3(SD 11.3)歳、同30mg群(165例)が57.3(SD 11.6)歳、プラセボ群(169例)は57.6(SD 11.4)歳であり、女性がそれぞれ84%、84%、85%だった。 12週時のACR20達成率は、15mg群が65%(106/164例)、30mg群は56%(93/165例)であり、プラセボ群の28%(48/169例)に比し、いずれの用量群も有意に高かった(いずれもp<0.0001)。DAS28(CRP)≦3.2点の達成率は、15mg群が43%(71/164例)、30mg群は42%(70/165例)と、プラセボ群の14%(24/169例)に比べ、いずれの用量群も有意に優れた(いずれもp<0.0001)。 12週時の有害事象の発生率は、15mg群が55%(91/164例)、プラセボ群は56%(95/169例)と類似したが、これに比べ30mg群は67%(111/165例)と頻度が高かった。最も高頻度の有害事象は、上気道感染症(15mg群:8%[13例]、30mg群:6%[10例]、プラセボ群:8%[13例])、鼻咽頭炎(4%[7例]、5%[9例]、7%[11例])、尿路感染症(9%[15例]、5%[9例]、6%[10例])、関節リウマチの増悪(2%[4例]、4%[6例]、6%[10例])であった。 重篤な有害事象は、15mg群の5%(8例)に比べ30mgは7%(12例)と、多い傾向がみられ、プラセボ群では発現を認めなかった。重篤な感染症、帯状疱疹、治療中止の原因となった有害事象も、15mg群やプラセボ群よりも30mg群で多かった。プラセボ対照期間中に、upadacitinib投与例で肺塞栓症が1例、悪性腫瘍が3例、主要有害心血管イベントが1例、死亡が1例にみられた。 著者は、「これらのデータは、再発例におけるJAK阻害薬治療のエビデンスを拡張し、upadacitinibによる治療は臨床的、機能的なアウトカムや患者報告アウトカムを大幅に、かつ迅速に改善する可能性を示すもの」としている。

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JAK1阻害薬upadacitinibが難治性リウマチに有効/Lancet

 従来型合成疾患修飾性抗リウマチ薬(csDMARD)で効果不十分の中等度~重度活動性関節リウマチ患者において、JAK1阻害薬upadacitinibの15mgまたは30mgの併用投与により、12週時の臨床的改善が認められた。ドイツ・ベルリン大学附属シャリテ病院のGerd R. Burmester氏らが、35ヵ国150施設で実施された無作為化二重盲検第III相臨床試験「SELECT-NEXT試験」の結果を報告した。upadacitinibは、中等度~重度関節リウマチ患者を対象とした第II相臨床試験において、即放性製剤1日2回投与の有効性が確認され、第III相試験のために1日1回投与の徐放性製剤が開発された。Lancet誌オンライン版2018年6月13日号掲載の報告。upadacitinib 15mgおよび30mgの有効性および安全性をプラセボと比較 SELECT-NEXT試験の対象は、csDMARDを3ヵ月以上投与され(試験登録前4週間以上は継続投与)、1種類以上のcsDMARD(メトトレキサート、スルファサラジン、レフルノミド)で十分な効果が得られなかった18歳以上の活動性関節リウマチ患者。双方向自動応答技術(interactive response technology:IRT)を用い、upadacitinib 15mg群、30mg群または各プラセボ群に2対2対1対1の割合で無作為に割り付けし、csDMARDと併用して1日1回12週間投与した。患者、研究者、資金提供者は割り付けに関して盲検化された。プラセボ群には、12週以降は事前に定義された割り付けに従いupadacitinib 15mgまたは30mgを投与した。 主要評価項目は、12週時における米国リウマチ学会基準の20%改善(ACR20)を達成した患者の割合、ならびに、C反応性蛋白値に基づく28関節疾患活動性スコア(DAS28-CRP)が3.2以下の患者の割合である。有効性解析対象は、無作為化され少なくとも1回以上治験薬の投与を受けた全患者(full analysis set)とし、主要評価項目についてはnon-responder imputation法(評価が得られなかった症例はノンレスポンダーとして補完)を用いた。upadacitinibは両用量群で主要評価項目を達成 2015年12月17日~2016年12月22日に、1,083例が適格性を評価され、そのうち661例が、upadacitinib 15mg群(221例)、upadacitinib 30mg群(219例)、プラセボ群(221例)に無作為に割り付けられた。全例が1回以上治験薬の投与を受け、618例(93%)が12週間の治療を完遂した。 12週時にACR20を達成した患者は、upadacitinib 15mg群(141例、64%、95%信頼区間[CI]:58~70%)および30mg群(145例、66%、95%CI:60~73%)が、プラセボ群(79例、36%、95%CI:29~42%)より有意に多かった(各用量群とプラセボ群との比較、p<0.0001)。DAS28-CRP 3.2以下の患者も同様に、upadacitinib 15mg群(107例、48%、95%CI:42~55%)および30mg群(105例、48%、95%CI:41~55%)が、プラセボ群(38例、17%、95%CI:12~22%)より有意に多かった(各用量群とプラセボ群との比較、p<0.0001)。 有害事象の発現率は、15mg群57%、30mg群54%、プラセボ群49%で、主な有害事象(いずれかの群で発現率5%以上)は、悪心(15mg群7%、30mg群1%、プラセボ群3%)、鼻咽頭炎(それぞれ5%、6%、4%)、上気道感染(5%、5%、4%)、頭痛(4%、3%、5%)であった。 感染症の発現率は、upadacitinib群がプラセボ群より高かった(15mg群29%、30mg群32%、プラセボ群21%)。帯状疱疹が3例(各群1例)、水痘帯状疱疹ウイルス初感染による肺炎1例(30mg群)、悪性腫瘍2例(ともに30mg群)、主要心血管イベント1例(30mg群)、重症感染症5例(15mg群1例、30mg群3例、プラセボ群1例)が報告された。試験期間中に死亡例の報告はなかった。

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