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チャーグ・ストラウス症候群〔CSS : Churg-Strauss syndrome〕(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)

1 疾患概要■ 概念・定義チャーグ・ストラウス症候群(以下CSS)は、1951年にJacob ChurgとLotte Straussの2人の病理学者が提唱した疾患概念で、(1)気管支喘息、(2)発熱、(3)好酸球増加、および(4)特徴的な血管病理所見の4つを基本とした疾患である。特徴的な血管病理所見とは、結節性多発動脈炎(polyarteritis nodosa: PAN)にみられるフィブリノイド壊死と、血管壁および血管外結合組織における血管周囲の好酸球浸潤および類上皮細胞と巨細胞からなる血管外肉芽腫の2つである。とくに好酸球浸潤と肉芽腫の存在により、PANとは独立した疾患とされた。その後、Chapel Hill Consensus Conferenceで、(1)気道における好酸球を多数認める肉芽腫性炎症所見、(2)小・中型血管の壊死性血管炎、(3)喘息と好酸球増多症の3項目がCSSの定義として記載された。すなわちCSSの疾患概念は、1)気管支喘息2)好酸球増加3)病理所見(血管壁への好酸球浸潤と血管外肉芽腫)の3つを有する疾患といえる。2012年に血管炎の分類が見直され、CSSはeosinophilic granulomatosis with polyangiits(EGPA)とされ、和訳では「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症」とよばれることに決まった。なお、日本ではアレルギー性肉芽腫性血管炎(allergic granulomatous angiitis)という名称も使用されてきたが、今後はEGPAに統一されていくと思われる。■ 疫学英国での疫学調査で、100万人あたり1~2人程度といわれてきた。わが国では2008年に実施された全国調査でその実態が明らかとなり、年間新規患者数は約100例、受療患者数は約1,900例と推定されている。男女比は1:1.7程度で女性にやや多く、発症年齢は30~60歳に好発し、平均55歳であった。■ 病因家族内発症はほとんどないことから、遺伝的要因はほとんどないと考えられる。環境要因として、気管支喘息患者でロイコトリエン拮抗薬(leukotriene antagonist:LTA)の服用者に多いことが指摘され、LTAそのものに対するアレルギー、LTA併用によるステロイドの減量の影響、などが発症要因としていわれてきた。しかし、わが国で2008年に実施された全国調査では、LTAの服用率は約35%に過ぎず、因果関係は不明である。抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)が約40~50%の症例に検出されることから、この抗体が本症の病態に関与していると考えられる。しかし、ANCAの有無からCSSの臨床的特徴を検討した研究によると、ANCA陽性例では腎病変と末梢神経病変および組織学的に血管炎が証明された率が高く、陰性例では心病変が多かった。したがって、臓器への“好酸球浸潤”による病変と、“血管炎”による病変の2種類の病態があり、ANCA陽性群は“血管炎”が優勢、ANCA陰性例は“好酸球浸潤”が主な病態であると推察される。ただし、後者は特発性好酸球増多症候群(hypereosinophilic syndrome:HES)症例と鑑別が必要である。■ 症状臨床症状では、気管支喘息と多発性単神経炎が90%以上の症例でみられ圧倒的に高頻度である。そのほか、発熱、体重減少、筋痛、関節痛、紫斑が30%以上の症例にみられた。頻度は低いが腹痛・消化管出血(胃・腸の潰瘍)・消化管穿孔などの消化器病変、脳出血・脳硬塞、心筋梗塞・心外膜炎などの病変もみられる。検査所見では好酸球増加、白血球増加、IgE高値が90%以上にみられ、MPO-ANCAは約半数で陽性である。■ 分類CSSの中で、とくに病型の分類などはない。■ 予後約80%の症例は、適切な治療によって寛解ないし治癒するが、約20%の症例では、脳出血・脳硬塞や心筋梗塞・心外膜炎、腸穿孔、視力障害、腎不全を生じることがある。生命予後は一般に良好であるが、末梢神経障害が長年後遺症として残ることがある。また、一度寛解・治癒しても、再燃・再発を来すことがあるが、その頻度は少ない(10%以下と推定される)。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)CSSは、他の血管炎、とくに顕微鏡的多発血管炎と多発血管炎性肉芽腫症(旧 ウェゲナー肉芽腫症)との鑑別が重要であり、わが国では1998年の厚生労働省の分類基準(表1)によって診断されている。しかし、国際的にはLanhamらの分類基準(表2)と米国リウマチ学会(ACR)の分類基準(表3)が使われている。最近、Wattsらによる全身性血管炎の分類アルゴリズムが提唱され、CSSはLanhamまたはACRの分類基準のいずれかを満たすものとされている。画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)一般的にはステロイドで、初期治療ではプレドニゾロン(商品名:プレドニンほか)30~60 mg/日(大半が40mg/日以上)が使用され、その後症状に合わせて漸減される。脳・心臓・腸に病変を有する場合は、免疫抑制薬であるシクロホスファミド(同:エンドキサン)(内服:50~100mg/日、点滴静注:500~1,000mg/月)などを併用する。後遺症として末梢神経障害が高頻度にみられるが、これに対して高用量ガンマグロブリン療法が保険適用で使用される。2018年5月にIL-5抗体メポリズマブ(同:ヌーカラ)が承認され、上記の既存薬で効果不十分なEGPAに適用となった。4 今後の展望治療としてはステロイド療法が依然主体であるが、ステロイドの副作用を回避するため、抗IL-5抗体(メポリズマブなど)に加えて、将来は、IL-5受容体抗体(ベンラリズマブ)や抗IgE抗体(オマリズマブ)、抗CD20抗体(リツキシマブ)などの分子標的療法も試みられている。今後、原因究明のための基礎研究や疫学的研究、後遺症として残存する末梢神経障害に対する治療なども検討課題である。5 主たる診療科膠原病内科、アレルギー科、呼吸器内科、神経内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)難病情報センター 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)公開履歴初回2013年03月21日更新2019年08月27日

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関節リウマチに対する3剤目の経口JAK阻害薬「スマイラフ錠50mg/100mg」【下平博士のDIノート】第30回

関節リウマチに対する3剤目の経口JAK阻害薬「スマイラフ錠50mg/100mg」今回は、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬「ペフィシチニブ臭化水素酸塩(商品名:スマイラフ錠50mg/100mg)」を紹介します。本剤は、1日1回の服用でJAKファミリーの各酵素(JAK1/2/3、チロシンキナーゼ2[TYK2])を阻害し、関節リウマチによる関節の炎症や破壊を抑制します。<効能・効果>本剤は、既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)の適応で、2019年3月26日に承認され、2019年7月10日より発売されています。なお、過去の治療において、メトトレキサート(MTX)をはじめとする少なくとも1剤の抗リウマチ薬などによる適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな症状が残る場合に投与します。<用法・用量>通常、成人はペフィシチニブとして150mg(状態に応じて100mg)を1日1回食後に投与します。なお、中等度の肝機能障害がある場合は、50mg/日を投与します。<副作用>後期第II相試験、第III相臨床試験2件および継続投与試験の4試験における安全性併合解析において、本剤が投与された患者1,052例中810例(77.0%)に副作用が認められました。主な副作用は、上咽頭炎296例(28.1%)、帯状疱疹136例(12.9%)、血中CK増加98例(9.3%)などでした(承認時)。なお、重大な副作用として、帯状疱疹(12.9%)、肺炎(ニューモシスチス肺炎などを含む)(4.7%)、敗血症(0.2%)などの重篤な感染症、好中球減少症(0.5%)、リンパ球減少症(5.9%)、ヘモグロビン減少(2.7%)、消化管穿孔(0.3%)、AST(0.6%)・ALT(0.8%)の上昇などを伴う肝機能障害、黄疸(5.0%)、間質性肺炎(0.3%)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、ヤヌスキナーゼという酵素を阻害することにより、関節の炎症や腫れ、痛みなどの関節リウマチによる症状を軽減します。2.持続する発熱やのどの痛み、息切れ、咳、倦怠感などの症状が現れた場合はすぐにご連絡ください。3.痛みを伴う発疹や皮膚の違和感、局所の激しい痛み、神経痛などが現れた場合は速やかに受診してください。4.この薬を服用している間は、生ワクチン(麻疹、風疹、おたふく風邪、水痘・帯状疱疹、BCGなど)の接種ができません。接種の必要がある場合には主治医に相談してください。5.(妊娠可能年齢の女性の場合)この薬を服用中および服用終了後少なくとも1月経周期は、適切な避妊を行ってください。6.本剤を服用中の授乳は避けてください。<Shimo's eyes>関節リウマチの薬物療法は近年大きく進展しています。関節破壊の進行抑制を含めた病態コントロールのため、発症初期にはMTXをはじめとする従来型疾患修飾性抗リウマチ薬(cDMARDs)が使用されます。MTXなどを十分量で用いても効果不十分な場合には、生物学的製剤であるTNF阻害薬(インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブなど)やIL-6阻害薬(トシリズマブなど)、T細胞活性抑制薬(アバタセプト)、もしくは低分子標的薬であるJAK阻害薬(トファシチニブ、バリシチニブ)が使用されます。本剤は、関節リウマチに用いる3剤目のJAK阻害薬で、JAK1、JAK2、JAK3およびTYK2を阻害し、関節の炎症や破壊を抑制します。生物学的製剤は点滴または皮下注射での投与となりますが、しばしば発疹などの投与時反応や注射部位疼痛が問題となることがあります。JAK阻害薬は経口投与のため、非侵襲性の治療を望む患者さんや自己注射が困難な患者さんであっても、好みや生活環境に合わせた治療を選択することができると期待されています。また、本剤は相互作用も少なく、1日1回投与であるため、高齢者でも使用しやすいと考えられます。留意点としては、中等度の肝機能障害を有する患者については投与量の制限があることが挙げられます。また、本剤は免疫反応に関与するJAK経路の阻害により、結核、肺炎、敗血症などの感染症リスクが増大する懸念があることから、既存のJAK阻害薬2剤と同様に、生物学的製剤や他のJAK阻害薬などの免疫を抑制する薬剤との併用はできません。承認時の臨床試験では、副作用として12.9%で帯状疱疹が報告されているので、とくに高齢の患者さんでは、使用前に帯状疱疹ワクチン接種の有無などについて確認し、服用後に帯状疱疹が現れる可能性について注意喚起をしておく必要があるでしょう。

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難治性RA、filgotinibで短期アウトカムが改善/JAMA

 1種類以上の生物学的製剤の疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARD)による治療が効果不十分または忍容性がない、中等度~重度の活動期関節リウマチ(RA)患者において、filgotinib(100mg/日または200mg/日)がプラセボとの比較において、12週時の臨床的アウトカムを有意に改善したことが示された。米国・スタンフォード大学のMark C. Genovese氏らによる、約450例を対象に行った第III相のプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果で、JAMA誌2019年7月23日号で発表した。結果を踏まえて著者は、「さらなる研究を行い、長期の有効性・安全性を評価する必要がある」と述べている。filgotinibは、経口JAK1選択的阻害薬で、第II相治験で中等度~重度の活動期RAに対して、単独およびメトトレキサートとの併用の両療法において臨床的有効性が確認されていた。100mg/日または200mg/日、プラセボを投与しACR20達成率を比較 研究グループは2016年7月~2018年6月にかけて、世界114ヵ所の医療機関を通じて、1種類以上のbDMARDに効果不十分/忍容性のない中等度~重度の活動期RA患者449例を対象に試験を行った。 被験者を無作為に3群に分け、filgotinibを200mg(148例)、filgotinibを100mg(153例)、プラセボ(148例)を、それぞれ1日1回、24週間投与した。被験者は、これまで服用していた従来の合成DMARD(csDMARD)も継続して服用した。 主要エンドポイントは、12週時の米国リウマチ学会基準で20%の改善(ACR20)の達成率だった。副次評価アウトカムは、12週時の低疾患活動性(疾患活動性スコア[DAS28-CRP]が3.2以下)、健康評価質問票による機能障害指数(HAQ-DI)、身体的側面のSF-36、Functional Assessment of Chronic Illness Therapy-Fatigue(FACIT-Fatigue)スコアの変化、および24週時の寛解(DAS28-CRPが2.6未満で定義)達成患者割合、有害事象などだった。ACR20達成率、200mg群66%、100mg群58% 被験者のうち448例が実際に試験薬の投与を受けた。平均年齢56歳(SD 12)、女性が360例(80.4%)、平均DAS28-CRPスコアは5.9(SD 0.96)、3種類以上のbDMARDs服用歴がある被験者は105例(23.4%)だった。試験は381例(85%)が完了した。 12週時のACR20達成率は、プラセボ群31.1%に対し、filgotinib 200mg群が66.0%、100mg群が57.5%と、両filgotinib群が有意に高率だった(対プラセボ群の群間差は200mg群:34.9%[95%信頼区間[CI]:23.5~46.3]、100mg群:26.4%[15.0~37.9]、いずれもp<0.001)。 3種類以上のbDMARDs服用歴がある被験者についても、ACR20達成率はプラセボ群が17.6%に対し、filgotinib 200mg群が70.3%、100mg群が58.8%と有意に高率だった(対プラセボ群の群間差は200mg群:52.6%[95%CI:30.3~75.0]、100mg群:41.2%[17.3~65.0]、いずれもp<0.001)。 最も発生頻度が高かった有害事象は、filgotinib 200mg群が鼻咽頭炎(10.2%)、filgotinib100mg群が頭痛、鼻咽頭炎、上気道感染症(それぞれ5.9%)、プラセボ群がRA(6.1%)だった。日和見感染症、活動性結核、悪性腫瘍、胃腸穿孔、死亡の報告例はなかった。

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JAK1阻害薬の単剤療法、MTX不応RAのアウトカム改善/Lancet

 メトトレキサート(MTX)の効果が不十分な関節リウマチ(RA)患者の治療において、選択的ヤヌスキナーゼ(JAK)1阻害薬upadacitinibの単剤療法はMTXの継続投与に比べ、臨床的および機能的アウトカムを改善することが、オーストリア・ウィーン医科大学のJosef S. Smolen氏らが行ったSELECT-MONOTHERAPY試験で示された。研究の成果はLancet誌オンライン版2019年5月23日号に掲載された。upadacitinibは、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)への反応が不十分なRA患者の治療において、従来型合成DMARD(csDMARD)との併用による有効性が報告されている。2つの用量とMTX継続を比較する無作為化試験 本研究は、日本を含む24ヵ国138施設で実施された二重盲検ダブルダミープラセボ対照無作為化第III相試験であり、2016年2月~2017年5月に患者登録が行われた(AbbVieの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、米国リウマチ学会(ACR)/欧州リウマチ学会(EULAR)のRAの分類基準(2010年版)を満たし、MTXによる治療を行っても活動性RAが認められる患者であった。被験者は、MTXからJAK1阻害薬upadacitinib 15mgまたは30mg(1日1回)に切り替える群、あるいは試験開始前と同一用量のMTXを継続投与する群に無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、14週時のACR基準で20%の改善(ACR20)および低疾患活動性(DAS28[CRP]≦3.2)の達成割合とした。JAK1阻害薬の単剤療法は疾患コントロールを可能にする治療選択肢となりうる 648例が登録され、JAK1阻害薬upadacitinib 15mg群に217例、同30mg群に215例、MTX継続群には216例が割り付けられた。598例(92%)が試験を完遂した。 患者の約8割が女性で、平均年齢は54.3(SD 12.1)歳、RA診断からの期間は平均6.6(7.6)年であり、79%がリウマトイド因子(RF)または抗シトルリン化ペプチド(CCP)抗体が陽性であった。患者は、平均3年以上のMTX療法にもかかわらず高い疾患活動性を示し、ベースラインのMTXの平均用量は16.7(4.4)mg/週だった。 14週時のACR20達成率は、15mg群が68%(147/217例)、30mg群は71%(153/215例)であり、MTX継続群の41%(89/216例)に比べ有意に良好であった(2つの用量群とMTX継続群の比較:p<0.0001)。 DAS28(CRP)≦3.2の達成率は、15mg群が45%(97/217例)、30mg群は53%(114/215例)と、MTX継続群の19%(42/216例)よりも有意に優れた(2つの用量群とMTX継続群の比較:p<0.0001)。 14週時のDAS28(CRP)≦2.6、CDAI≦10(低疾患活動性)、CDAI≦2.8(寛解)、SDAI≦11(低疾患活動性)、SDAI≦3.3(寛解)のいずれの達成率も、upadacitinibの2つの用量群のほうが優れた。また、健康評価質問票による機能評価(HAQ-DI)もupadacitinib群で良好だった。 有害事象の報告は、15mg群が47%(103例)、30mg群が49%(105例)、MTX継続群は47%(102例)であった。帯状疱疹が、それぞれ3例、6例、1例に認められた。 また、悪性腫瘍が3例(15mg群2例[非ホジキンリンパ腫、乳がん]、MTX継続群1例[基底細胞がん])、主要有害心血管イベント(MACE)が3例(15mg群1例[動脈瘤破裂による出血性脳卒中で死亡]、30mg群2例[心筋梗塞、脳卒中]、いずれも試験薬との関連はないと判定)、肺塞栓症が1例(15mg群、試験薬との関連はないと判定)、死亡が1例(15mg群、動脈瘤破裂による出血性脳卒中)であった。 著者は、「MTXの効果が不十分だが、さまざまな理由で併用治療が困難な患者において、JAK1阻害薬の単剤療法は、疾患コントロールを可能にする治療選択肢となりうる」としている。

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バイオシミラーはインフリキシマブと同等の効果を有するのか?(解説:上村直実氏)-1042

 クローン病(CD)は原因不明で根治的治療が確立していない炎症性腸疾患であり、わが国の患者数は現在約4万人で、医療費補助の対象である特定疾患に指定されている。CDに対する薬物療法は、症状や炎症の程度によって、寛解導入と寛解維持を目的として5-ASA製剤、ステロイド、代謝拮抗薬と段階的にステップアップする薬物療法および栄養療法が行われていたが、治療抵抗性を示すケースが多かった。近年開発された抗TNF-α抗体をはじめとする生物学的製剤の登場は、治療の選択肢を大幅に広げ、CD治療の目的である活動性のコントロールとQOL向上に大きな有用性を発揮している。 一方、近年、医療費の大幅な高騰がわが国の大きな課題となっており、世界中に類をみない国民皆保険制度の存続も危惧される事態となりつつある。このような状況で、医療費の抑制に関して通常医薬品については、安価なジェネリック医薬品の使用が盛んに推奨されて一定の成果を上げている。他方、臨床現場での有用性は高いものの、非常に高価な生物学的製剤の後発品はバイオシミラーと呼ばれ、一般薬のジェネリックとは一線を画している。すなわち、分子量が大きく構造の同一性を示すことが難しい生物学的製剤の後発品であるバイオシミラーの承認条件には、通常のジェネリックには課せられていない有用性と安全性を検証するための臨床試験が義務付けられている。日本は韓国や欧米と比較して、バイオシミラーの開発分野における後進国である。臨床試験に膨大な費用が必要なのか、国民皆保険制度における通常医療が充実しているためなのか、その原因は不明であるが、今後、国を挙げての対策が必要と思われる。 今回、活動性クローン病に対する有用性と安全性の検証を目的とした国際共同RCTにおいて、インフリキシマブのバイオシミラーであるCT-P13がインフリキシマブに対して非劣性であることがLancetで報告された。抗TNF-α抗体はCDのみでなく慢性関節リウマチや強直性脊椎炎など非常に多く使用される高価な薬剤である点を考えると、信頼できるバイオシミラーの登場は、課題である高額な医療費の抑制に貢献することが期待される。

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バイオシミラーCT-P13は活動期クローン病に有効か/Lancet

 活動期クローン病患者に対し、インフリキシマブのバイオシミラーCT-P13投与はインフリキシマブ投与に対し、非劣性であることが示された。韓国・蔚山大学校のByong Duk Ye氏らが220例を対象に行った、第III相多施設共同無作為化二重盲検試験の結果で、著者は「バイオシミラーCT-P13は、活動期クローン病の新たな治療選択肢になりうるだろう」とまとめている。インフリキシマブ・バイオシミラーCT-P13は、強直性脊椎炎と関節リウマチにおいてインフリキシマブとの臨床比較が行われた後に、クローン病での使用が承認された。しかし、そのような形での承認に対して懸念があり、直接比較するため本試験が行われた。Lancet誌2019年3月28日号掲載の報告。バイオシミラーCT-P13とインフリキシマブ投与6週後のクローン病活動指数を比較 試験は2014年8月20日~2017年2月15日に、非生物学的治療が非奏効または忍容性がない活動期クローン病患者を対象に行われた。 被験者を無作為に1対1対1対1に割り付け、30週時点までバイオシミラーCT-P13またはインフリキシマブを投与し、(1)その後もCT-P13を継続(CT-P13継続群)、(2)その後はインフリキシマブに切り替え(CT-P13-インフリキシマブ群)、(3)その後もインフリキシマブを継続(インフリキシマブ継続群)、(4)その後はCT-P13に切り替え(インフリキシマブ-CT-P13群)の4群とした。投与のタイミングは、初回投与後2週、6週後と、その後は8週ごとに54週まで行った。 主要エンドポイントは、クローン病活動指数(CDAI)がベースラインから6週時までに70ポイント以上低下(CDAI-70)を達成した患者の割合だった。 インフリキシマブに対するバイオシミラーCT-P13の非劣性マージンは、両治療群間差の95%信頼区間(CI)両側下限値が、-20%より大きいことと規定した。バイオシミラーCT-P13群のCDAI-70達成率は69%、インフリキシマブ群74% 308例がスクリーニングを受け、適格被験者220例が試験に登録された。そのうち111例が初回投与CT-P13群に(うちCT-P13継続群56例、CT-P13-インフリキシマブ群55例)、109例が初回投与インフリキシマブ群に(うちインフリキシマブ継続群54例、インフリキシマブ-CT-P13群55例)、それぞれ割り付けられた。 6週後のCDAI-70達成例は、初回投与CT-P13群は77/111例(69.4%、95%CI:59.9~77.8)、初回投与インフリキシマブ群は81/109例(74.3%、同:65.1~82.2)だった。群間差は-4.9%(95%CI:-16.9~7.3)で、事前に規定した非劣性マージンに基づきバイオシミラーCT-P13のインフリキシマブに対する非劣性が示された。 なお、試験期間中に1つ以上の治療関連有害事象発生が報告されたのは、全体では147例(67%)で、CT-P13継続群は36例(64%)、CT-P13-インフリキシマブ群は34例(62%)、インフリキシマブ継続群が37例(69%)、インフリキシマブ-CT-P13群が40例(73%)だった。

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赤沈が死亡率に影響か

 炎症マーカーの1つである赤血球沈降速度(ESR)が死亡率に影響しているかもしれない-。非常に高いESRは根底にある病状の指標として役に立つ。加えて、ESRの中等度亢進は生物学的老化に起因しうる。しかし、ESRが年齢に関係なく、死亡の予側因子となるかどうかはほとんど研究されていない。オランダ・エラスムス大学医療センターのJ.Fest氏らは、Rotterdam StudyにおけるESRの亢進と全死因死亡リスクの関連について分析。ESRの亢進が死亡における独立した予側因子であることを明らかにした。著者らは「ESRは年齢とともに増加するという事実にもかかわらず、全死因死亡リスクの増加との関連を残しており、詳細な追跡調査が必要」と述べている。Journal of Internal Medicine誌2019年3月号掲載の報告。 研究者らは、一般集団の前向きコホートであるRotterdam Study(1990~2014年)のデータを解析。ベースライン時点で測定されたESRについて、個人が死亡または研究終了時点まで追跡した。ESRの中等度亢進(20〜50mm/h)、著しく亢進(>50mm/h)と全死因死亡との関連については、Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象者は5,226人、平均年齢は70.3歳だった。・フォローアップ期間中央値14.9年の間に3,749人(71.7%)が死亡した。・調整後、ESR中等度亢進、著しく亢進の両者ともに、全死因死亡リスクの増加に有意に関連していた(ハザード比[HR]:1.23、95%信頼区間[CI]:1.12~1.35、HR:1.89、95%CI:1.38~2.60)。・ESRは加齢とともに高くなり、合併症を伴わない75歳以上のグループでは、ESR>20mm/hで全死因死亡リスクの増加に有意に関連した(HR:1.29、95%CI:1.01~1.64)。

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子のアトピー性皮膚炎、母親の自己免疫疾患と関連

 アトピー性皮膚炎(AD)の発症機序に迫る興味深い論文が発表された。ADは、アトピー状態やフィラグリン遺伝子変異を含む多くの因子に影響を受け、遺伝子転座など遺伝子の一部が重複するような自己免疫疾患と関連していることが知られている。デンマーク・コペンハーゲン大学のC.R. Hamann氏らは症例対照研究を行い、母親の皮膚および消化器の自己免疫疾患が子のAD発症と密接に関連していることを明らかにした。これまで、親のADは子のADにおける重要なリスクになるものの、親の自己免疫疾患と子のAD発症との関連性はほとんどわかっていなかった。Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology誌オンライン版2019年2月18日号掲載の報告。 研究グループは、1996~2011年に出生した小児のうち、5歳未満でADと診断された小児と、一般集団の小児を1対10の割合でマッチさせた。登録データベースを用いて両親の自己免疫疾患について評価、親の自己免疫疾患と子のADとの関係性について条件付きロジスティック回帰分析を用いて解析した。 主な結果は以下のとおり。・AD小児群8,589例、ならびに対照群8万5,890例が解析に組み込まれた。・親が1つ以上の自己免疫疾患を有する割合は、AD小児の母親5.89%(506例)、父親3.67%(315例)であり、対照群はそれぞれ4.85%(4,163例)、3.28%(2,816例)だった。・母親の自己免疫疾患は子のADと関連したが(オッズ比[OR]:1.20、95%信頼区間[CI]:1.20~1.32)、父親はしなかった(OR:1.08、95%CI:0.96~1.22)。・母親の自己免疫疾患が2つ以上(OR:1.96、95%CI:1.36~2.84)、皮膚の自己免疫疾患(OR:1.60、95%CI:1.24~2.07)、および消化器の自己免疫疾患(OR:1.24、95%CI:1.06~1.45)すべての項目で、子のAD発症と関連していた。

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強直性脊椎炎に新たな治療薬

 2019年1月30日、ノバルティスファーマ株式会社は、同社が製造販売(共同販売:マルホ株式会社)するセクキヌマブ(商品名:コセンティクス)が、昨年12月21日に指定難病である強直性脊椎炎への効能効果の追加承認を取得したことから都内でメディアセミナーを開催した。 セミナーでは、強直性脊椎炎の概要のほか、患者を交えてパネルディスカッションが行われ、医療者、患者双方から診療の課題などが語られた。強直性脊椎炎の付着部炎症への治療に注目 はじめに「強直性脊椎炎(AS)の病態と新たな治療選択肢~IL-17阻害薬~」をテーマに亀田 秀人氏(東邦大学医学部 内科学講座 膠原病学分野 教授)を講師に迎え、ASの診療概要とセクキヌマブの効果について解説が行われた。 ASは、脊椎関節炎の中でも体軸関節の炎症が主体となる代表疾患であり、リウマチなどと比較しても、若年での発症が多いとされている。また、「本症はHLA-B24の白血球の型が関係していると推定され、この陽性者はわが国で3万人程度と推計されているが、本症の指定難病受給者証所持者は3千人程度にとどまっている。陽性者イコール発症するわけではないが、見過ごされている患者もいる」と亀田氏は指摘する。 診断では、1984年の改訂ニューヨーク基準が使用され、3つの臨床基準とX線検査基準とでASを確定診断する1)。日常診療では、炎症性背部痛とくに腰痛の兆候が重要所見であり、画像診断ではX線とMRIで行うが、MRIの方が仙腸骨の描出が優れていると診断でのポイントを語った。また、ASでは腱や靭帯の付着部の炎症が起こるとされ、痛みを伴い、患者のQOLを著しく低下させ、こうした痛みの管理も必要とされる。 ASの治療目標としては、根治療法が現在ない以上、疾患との共生にむけ、「病状のコントロール、構造破壊の予防、身体機能の正常化を通じて、健康に関連したQOLと社会参加を最大にする」ことが挙げられる。 治療では、薬物療法と運動・理学療法が主体となり、痛みにはNSAIDsが、体軸の炎症には生物学的製剤であるTNF阻害薬などが使用される。また、患者には、疾患への教育と運動の励行、そして、禁煙なども指導される。 とくに薬物療法では、付着部炎症への治療が注目され、IL-17Aが炎症反応に関与する免疫応答に関わることから抗IL-17A抗体製剤の開発が行われてきた。開発されたセクキヌマブは、当初、乾癬の適応から始まり、海外と国内で2つの第III相二重盲検比較試験(MEASURE1およびMEASURE2)が行われ、今回適応に強直性脊椎炎が追加された。 MEASURE1は、活動性AS患者を対象に有効性と安全性を評価する2年間の多施設共同、ランダム化、プラセボ対照、第III相臨床試験。主要評価項目は、ASAS20反応基準で20%以上の改善を達成した患者の割合を指標とし、16週時点のプラセボに対するセクキヌマブの優越性を評価(プラセボ群に割付けられた患者は、16週時点のASAS20反応率に基づき、非反応例は16週、反応例は24週目にセクキヌマブ75mgまたは150mg投与に再割付)。 その結果、16週の時点での ASAS20達成率は,セクキヌマブ皮下投与 150mg群、75mg群、プラセボ群でそれぞれ 61%、60%、29%であった(P<0.001)ほか、患者の約80%で、208週間の治療を通して投与開始時と比較し、脊椎にX線像上の骨所見の進行を示されないことが示唆された(modified Stoke Ankylosing Spondylitis Spinal Score[mSASSS]X線評価尺度を指標)。安全性は良好で、重篤な有害事象では心筋梗塞、胆石症、腹部リンパ節膨脹などが報告されたが、薬剤と関連する死亡例は報告されなかった。また、MEASURE2もASAS20反応基準で20%以上の改善率、安全性ともにほぼ同様の結果が得られ、薬剤に起因する死亡例はなかった。 以上から、亀田氏は「ASは早期診断が難しい脊椎関節炎であり、画像検査の適切な活用が重要となる」と語るとともに、ASの病態では付着部炎が中心的な役割を果たしていることを指摘し、「付着部炎を誘導するIL-17Aを阻害するセクキヌマブのような新しい生物学的製剤は治療への有用性が高い」と述べ、講演を終えた。強直性脊椎炎への関心が高まることを期待 続いて町 亞聖氏をファシリテーターに、強直性脊椎炎患者の銭谷 有基氏、多田 久里守氏(順天堂大学 膠原病・リウマチ内科学 准教授)の3人が登壇し、同社が2018年9月に行ったアンケート調査結果などを基にパネルディスカッションが行われた。 はじめにアンケート調査結果が多田氏から報告され、7割以上の患者が確定診断まで2ヵ所以上の複数医療機関を受診していること、誤診として「ヘルニア」「腰痛症」などが多いこと、半数以上の患者が医師に症状を伝えるうえで(症状が一定化しないため)言葉にするのが難しいと感じていること、また半数の患者がASと診断されてほっとしていることなどが報告された(回答者はASと診断された男女103例/インターネット調査)。 この内容を受けて多田氏は「X線に変化が出づらく診断がつかないのが問題で、腰の痛みが指標となる。特徴的な腰痛と眼病変、皮膚の痛みから本症を疑うことができるかがカギとなる。患者は、痛みの量化、場所、表現の難しさから発信が難しいと思われるので『痛み日記』などをつけることで医療者に身体の状態を理解してもらう工夫ができる」と診療でのポイントを述べた。 また、強直性脊椎炎患者である銭谷氏からは、患者の思いとして周囲の友人や関係者へ自分の痛みを理解してもらうのが難しかったことで、精神的につらい思いをしたこと、患者・患者家族がよく病気を理解することが大切であることなどが語られた。 最後に多田氏からは「ASの診断ができるように医療者への啓発が大事。セクキヌマブの登場で本症への関心が高くなればと思う。誤診や過重診断がないように、迷ったら専門医へ紹介していただきたい」とコメントし、銭谷氏は「痛みと付き合っていき、同じ患者のために何かできればと思う」と抱負を述べ、パネルディスカッションを終えた。■参考文献1)van der Linden S, et al. Arthritis Rheum .1984;27:361-368.

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第5回 全身痛と関連痛【エキスパートが教える痛み診療のコツ】

第5回 全身痛と関連痛痛みは病気の兆候として最も多く、誰もが苦しむ原因となっています。そのために、患者さんは病院や診療所などを受診されます。血圧、脈拍、呼吸数、体温と共に、痛みは「第5のバイタルサイン」とも呼ばれております。近年、全身に痛みを訴えられる患者さんが増えておられます。全身痛と呼んでおりますが比較的若い患者さんが多くなってきたように感じられます。今回は、この全身痛を取り上げ、付随して関連痛を説明したいと思います。全身痛とは全身的に痛みを訴えられる患者さんの痛みを「全身痛」と呼んでいます。いろいろな部位に痛みを訴えられる患者さんや、全身にわたって痛みを訴えられる患者さんなど、その形態はさまざまです。また、重篤な身体疾患を持っていることもあるので注意が必要です。その中で全身痛から発見される疾患としては、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、皮膚筋炎・多発性筋炎、全身性強皮症、リウマチ性多発筋痛症などの膠原病があります。甲状腺機能低下症や有痛性糖尿病性ニューロパチーなどの内分泌疾患もあります。そのほか、ポストポリオ症候群や横紋筋融解症などの神経筋疾患も認められます。横紋筋融解症は、脂質異常症治療薬や抗神経病薬などによる薬剤性疾患によっても生じます。そして、悪性腫瘍では多発性骨髄腫、多発性転移、何より増して全身の骨関節痛、腰背部痛などが生じます。インフルエンザ、ウイルス性肝炎では全身の関節痛や筋肉痛、神経痛がみられます。うつ病、身体表現性疼痛(疼痛性障害、身体化障害など)、自律神経失調症などの精神・神経疾患でも全身痛を訴えます。とくにうつ病では、痛みの部位が変動するのが特徴です。その他、難治性疼痛疾患としての線維筋痛症(FM)(図1)や慢性疲労症候群(CFS)も現在、話題になっています。FMの診断では、(1)広範囲(右半身/左半身、上半身/下半身、体軸という身体の真ん中)の痛みが3ヵ月以上続いていること、(2)図1に示した18ヵ所(圧痛点といいます)を指で押して、11ヵ所以上で痛むことが条件となります。図1 FMの診断における18ヵ所の圧痛点画像を拡大する関連痛とは表層筋膜、アキレス腱、前脛骨筋腱、表在関節、靭帯、脛骨のような表在性の骨などの痛みは、局在性の痛みとして感じます。これに対してより深い部位にある腱、関節、骨などや筋肉内にあるような組織からの痛みは、遠く隔たった皮膚に投射されます。たとえば、上部胸椎の骨膜に刺激を受けた場合には、肩の上部にびまん性の痛みを感じます。また、内臓痛には関連痛が伴います。内臓痛そのものの局在性は不明確ですが、「関連痛」といって、同じ脊髄節支配の皮膚に投射されて痛む部位が明確に示されます。そして、この皮膚におきましては、疼痛過敏や異常知覚を伴ったり、筋肉の緊張、自律神経の異常興奮がみられることもあります(図2)。図2 内臓痛に伴い現れる関連痛の部位画像を拡大するいずれも痛みの部位と性質、随伴症状や検査所見などによって鑑別診断します。そして原疾患が疑われるようであれば、その治療を最重要として、それぞれの専門医に紹介します。原疾患が治癒しても痛みが持続する場合やとくに原疾患がない場合には、痛み治療が必要となります。次回は頭・頸部痛を取り上げます。1)花岡一雄ほか監修.日本医師会雑誌. 2014;143:120-121.2)山村秀夫ほか編. 痛みを診断する.有斐閣;1984.p.20-38.

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関節リウマチ、3つのnon-TNF型生物学的製剤を比較/BMJ

 関節リウマチの成人患者の日常診療では、リツキシマブ(Bリンパ球枯渇薬)およびトシリズマブ(IL-6受容体阻害薬)が、アバタセプト(T細胞共刺激標的薬)に比べ2年アウトカムが良好であることが、フランス・ストラスブール大学病院のJacques-Eric Gottenberg氏らが実施した前向きコホート研究で示された。これら3つの非腫瘍壊死因子(non-TNF)型生物学的製剤はいずれも関節リウマチに、プラセボに比べ優れた効能を有すると報告されているが、これらを比較した無作為化対照比較試験はなく、今後も直接比較試験が行われる可能性はほとんどないという。BMJ誌2019年1月24日号掲載の報告。3つのレジストリの関節リウマチ患者データを前向きに解析 本研究は、関節リウマチの治療における3つのnon-TNF型生物学的製剤の効果と安全性を比較する目的で、フランス・リウマチ学会と3つのレジストリに参加した研究者の協働で行われた(Bristol-Myers Squibb、Roche、Chugaiの助成による)。 解析には、2005年9月~2013年8月の期間に、フランスの53の大学および54の大学以外の臨床センターが参加するフランス・リウマチ学会の3つの患者レジストリ(AIR、ORA、REGATE)の1つに登録された関節リウマチ患者のデータを用いた。 対象は、年齢>18歳、米国リウマチ学会の診断基準(1987年版)を満たし、重度の心血管疾患や活動性/重度の感染症、重度の免疫不全がなく、24ヵ月以上のフォローアップが行われた患者であった。 主要アウトカムは、治療成功を維持した24ヵ月時の薬剤治療継続とした。治療不成功の定義は、(1)全死因死亡、(2)試験薬の投与中止、(3)新たな生物学的製剤または従来の疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)の併用治療の開始、(4)コルチコステロイドの用量が、ベースラインと比較して、連続する2回の受診時に>10mg/日の増量となった場合であった。 治療効果の群間差を定量化するために、治療成功維持生存期間差(life expectancy difference without failure:LEDwf、制限付き平均生存時間[restricted mean survival time:RMST])の差)および治療成功維持生存期間比(life expectancy ratio without failure:LERwf、RMSTの比)を算出した。3つの生物学的製剤の安全性プロファイルには差がない ベースラインの3つの生物学的製剤群の背景因子は、非重み付けコホート(3,162例)では罹患期間、がんの病歴、リウマチ因子陽性、疾患活動性、従来型DMARD併用、コルチコステロイド投与に差がみられたが、重み付けコホート(3,132例)ではバランスがとれていた。 重み付けコホートでは、24ヵ月時の治療成功維持生存率は、リツキシマブ群が68.6%、アバタセプト群が39.3%、トシリズマブ群は63.4%であった。また、治療成功維持生存期間は、それぞれ19.8、15.6、19.1ヵ月だった。 LEDwfは、リツキシマブ群がアバタセプト群に比べ4.1ヵ月(95%信頼区間[CI]:3.1~5.2)長く、トシリズマブ群はアバタセプト群よりも3.5ヵ月(2.1~5.0)長かった。また、LERwfはそれぞれ1.26(1.18~1.35)および1.22(1.12~1.33)であった。 リツキシマブ群とトシリズマブ群の比較に関する不確かさ(uncertainty)は実質的なものであった(LEDwf:-0.7、95%CI:-1.9~0.5、LERwf:0.97、0.91~1.03)。 重み付けコホートでは、24ヵ月時の1つ以上の重篤な有害事象(感染症、主要有害心血管イベント[MACE]、がん、死亡)の発現率は、リツキシマブ群が14.5%、アバタセプト群が16.2%、トシリズマブ群は11.6%であった。また、重篤な有害事象を伴わない生存率は、それぞれ85.0%、83.4%、86.7%で、重篤な有害事象なしの平均生存期間は22.1、21.8、22.3ヵ月であり、3組の2群間の比較ではいずれも有意な差を認めなかった。 著者は、「リツキシマブおよびトシリズマブの高い薬剤治療継続率は、良好な安全性プロファイルよりも、むしろ高い有効性に関連すると考えられる」とし、「これらの結果は、罹患期間が長く1剤以上の生物学的製剤の投与を受けている難治性の患者に適応され、生物学的製剤未投与で罹患期間が短い患者には適応されない」と指摘している。〔2月13日 記事の一部を修正いたしました〕

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ヘモクロマトーシスの遺伝子変異、一般的な疾患とも関連/BMJ

 HFE遺伝子p.C282Y変異のホモ接合体は、性別を問わず、臨床的に診断された一般的な疾患(肝疾患、糖尿病、関節リウマチ、変形性関節症など)の有病率や発生率と関連があり、鉄過剰に関連するp.C282Y変異は、早期に介入を開始すれば予防および治療の可能性があることが、英国・エクセター大学のLuke C. Pilling氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2019年1月16日号に掲載された。欧州人家系では、HFE遺伝子p.C282Y変異ホモ接合体は、鉄過剰症である遺伝性ヘモクロマトーシス(1型)の主因とされる。鉄過剰症は瀉血療法により予防可能であり、治療が可能な場合もあるが、見逃しや診断の遅延が多いという。約45万人で変異の有無別の罹患状況を検討 研究グループは、英国の欧州人家系の地域住民サンプルにおいて、HFE遺伝子p.C282Yの遺伝的バリアントを有する集団(ほとんどが遺伝性ヘモクロマトーシス1型)と、p.C282Y変異のない集団で、罹患および死亡の状況を比較するコホート研究を行った(英国医学研究協議会[MRC]の助成による)。 解析には、UK Biobankに登録されたイングランド、ウェールズ、スコットランドの22施設の2006~10年のデータを用いた。外来診断および死亡証明に基づき、40~70歳の欧州人家系の45万1,243例(平均追跡期間7年、最長9.4年)が抽出された。 ヘモクロマトーシス変異の有無別に有病率のオッズ比(OR)およびハザード比(HR)を算出した(年齢、遺伝子配列型、遺伝的主成分で補正)。女性は鉄過剰に起因する罹患が遅れるため、男女別に解析を行った。男性の5例に1例、女性の10例に1例以上が罹患 p.C282Y変異ホモ接合体を有する2,890例(0.6%、156例に1例の割合)のうち、追跡終了までに男性の21.7%(95%信頼区間[CI]:19.5~24.1、281/1,294例)、女性の9.8%(8.4~11.2、156/1,596例)がヘモクロマトーシスと診断された。 40~70歳のp.C282Y変異ホモ接合体の男性(1,294例)はp.C282Y変異のない男性(17万5,539例)に比べ、ヘモクロマトーシス(OR:411.1、95%CI:299.0~565.3、p<0.001)、肝疾患(4.30、2.97~6.18、p<0.001)、骨粗鬆症(2.30、1.49~3.57、p<0.001)、関節リウマチ(2.23、1.51~3.31、p<0.001)、変形性関節症(2.01、1.71~2.36、p<0.001)、肺炎(1.62、1.20~2.19、p=0.002)、糖尿病(1.53、1.16~1.98、p=0.002)の有病率が有意に高かった。 40~70歳のp.C282Y変異ホモ接合体女性(1,596例)で有意に有病率が高い疾患は、ヘモクロマトーシス(OR:438.0、95%CI:247.9~773.9、p<0.001)のほかは、変形性関節症(1.33、1.15~1.53、p<0.001)のみであった。 7年の追跡期間中に、ホモ接合体の男性の15.7%が、1つ以上の関連疾患を発症したのに対し、p.C282Y変異なしの男性は5.0%であり、有意な差が認められた(p<0.001)。同様に、女性でもそれぞれ10.1%、3.4%と、有意差がみられた(p<0.001)。 ヘモクロマトーシスの頻度は、p.C282Y/p.H63Dヘテロ接合体の参加者のほうが高かったが、この集団では関連疾患の罹患は多くなかった。 著者は、「p.H63Dを考慮しなければ、ベースラインとその後の診断を合わせ、p.C282Y変異ホモ接合体を有する男性の5例に1例以上、女性の10例に1例以上が、ヘモクロマトーシス、肝疾患、糖尿病、関節リウマチ、変形性関節症のうち1つ以上の診断を受けることになる」とまとめ、「これらの知見は、早期の診断確定やスクリーニングの拡大の推奨に関わる多くの問題の見直しを正当化する」としている。

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変形性膝関節症の痛み、薬物療法の長期効果は/JAMA

 変形性膝関節症患者における薬物療法による長期的な疼痛緩和効果には、プラセボと比較して考慮すべき不確実性が存在することが、イタリア・パドバ大学のDario Gregori氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌2018年12月25日号に掲載された。変形性関節症は、慢性で進行性の疾患だが、薬物療法は主に短期の検討が行われており、そのため長期の疾患管理における推奨治療が不明確になっているという。追跡期間1年以上の試験のネットワークメタ解析 研究グループは、変形性膝関節症患者を12ヵ月以上追跡した薬物療法の無作為化臨床試験を系統的にレビューし、ネットワークメタ解析を行った(パドバ大学などの助成による)。 医学関連データベースを用いて、治療を受け、1年以上の追跡が行われた変形性膝関節症患者の無作為化臨床試験を検索した。選出された試験につき、ベイズ法の変量効果を用いてネットワークメタ解析を行った。 主要評価項目は、膝疼痛のベースラインからの変化とした。副次評価項目は、身体機能および関節構造であった。関節構造については、X線画像で評価した関節裂隙狭小化とした。標準化平均差(SMD)および95%信用区間(CrI)を算出した。7クラス、33種の薬剤、有効性は少数のみ 日本の1試験を含む47件の無作為化臨床試験(2万2,037例、ほとんどが55~70歳、約70%が女性)が解析に含まれた。これらの試験では、以下の7つの薬剤クラスの33種の薬剤による介入の検討が行われた。 鎮痛薬(アセトアミノフェン)、抗酸化薬(ビタミンE)、骨活性薬(ビスホスホネート、ラネル酸ストロンチウムなど)、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、関節内注射薬(ヒアルロン酸、コルチコステロイドなど)、変形性関節症治療用遅効性薬(SYSADOA)(グルコサミン硫酸、コンドロイチン硫酸など)、推定疾患修飾薬(cindunistat、spriferminなど)。 疼痛は31件、身体機能は13件、関節構造は16件の介入で評価が行われていた。試験期間には1~4年の幅があった。 疼痛の抑制に関しては、NSAIDのセレコキシブ(SMD:-0.18、95%CrI:-0.35~-0.01)およびSYSADOAのグルコサミン硫酸(-0.29、-0.49~-0.09)で有意な効果がみられたものの、プラセボとの比較ではすべての薬剤で多大な不確実性が認められた。 疼痛の有意な改善効果は、標準化された0~100の尺度の平均差を用いた場合、およびバイアスのリスクが高い試験を除外した場合には、セレコキシブでは消失し、グルコサミン硫酸のみで保持されていた。 副次アウトカムについても、プラセボと比較した長期的な治療効果に関し、考慮すべき不確実性が認められた。身体機能の有意な改善効果を認めたのはグルコサミン硫酸(SMD:-0.32、95%CrI:-0.52~-0.12)のみであった。 関節裂隙狭小化の有意な改善効果は、グルコサミン硫酸(SMD:-0.42、95%CrI:-0.65~-0.19)、コンドロイチン硫酸(-0.20、-0.31~-0.07)、ラネル酸ストロンチウム(-0.20、-0.36~-0.05)で得られた。 著者は、「薬物療法の長期的な効果の不確実性を解決するには、より大規模な臨床試験を行う必要がある」としている。

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顕微鏡的多発血管炎〔MPA:microscopic polyangiitis〕

1 疾患概要■ 概念・定義顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis:MPA)は、抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)が陽性となる中小型血管炎である。欧米と比べ、わが国ではプロテイナーゼ3(proteinase3:PR3)ANCA陽性患者が少なく、ミエロペルオキシダーゼ(myeloperoxidase:MPO)陽性患者が多く、欧米よりも高齢患者が多いのが特徴である1,2)。多発血管炎性肉芽腫症(granulomatosis with polyangiitis:GPA、旧ウェゲナー肉芽腫症)、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA、旧チャーグ・ストラウス症候群)とともに、ANCA関連血管炎(ANCA associated vasculitis:AAV)に分類される。■ 疫学平成28年度の指定難病受給者は9,610人であった。Fujimotoらは、AAV発症の地理的な相違を明らかにするために、日本と英国でのAAV罹患率の比較を行った。AAVとしては、100万人当たりの年間罹患率は、日本22.6、英国21.8で同等であったが、日本ではAAVの約80%をMPAが占める一方で、英国では6.5%のみであり、GPAが最も多く約65%であった3)。男女比は1:1~1:1.2とされている。■ 病因1)遺伝的背景日本人のMPAでは、HLA-DRB1*09:01陽性例が50%にみられ、健康対照群に比べて有意に多いことが報告されている1,4)。このHLA-DRB1*09:01は日本人の29%に認められるなどアジア系集団で高頻度に認められるが、欧州系集団やアフリカ系集団にはほとんど存在しない1,4,5)。このことが、日本でMPAやMPO-ANCA陽性例が多い遺伝的背景の1つと考えられる。さらにその後、DRB1*09:01とDQB1*03:03の間に強い連鎖不平衡が認められ、この両者がMPAと関連すること、逆に、DRB1*13:02はMPAとMPO-ANCA陽性血管炎の発症に対し抵抗性に関与している(MPO-ANCA陽性血管炎群に有意に減少している)ことが明らかとなった5,6)。2)血管炎発症のメカニズムBrinkmannらは、phorbol myristate acetate(PMA)で刺激された好中球が細胞死に至る際に、DNAを網状の構造にし、MPOやPR3などの抗菌タンパクやヒストンとともに放出する現象を見出し、その構造物を好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular traps:NETs)と呼んだ7,8)。NETsは細菌などを殺し、自然免疫に関与しているが、その後ANCA関連血管炎患者の糸球体の半月体の部分に存在することが確認された8,9)。Nakazawaらは、プロピルチオウラシル(抗甲状腺剤)添加により生成されたNETsが、NETsの分解酵素であるDNase Iで分解されにくいこと、さらにこれを投与したラットがMPO-ANCA陽性の細胞増殖性糸球体腎炎を発症することを報告した8,10)。さらに、MPO-ANCAを有するMPA患者のIgGは、全身性エリテマトーデス患者や健常者よりも強くNETsを誘導すること、NETs誘導の強さは疾患活動性やMPO-ANCAのMPOへの結合性と相関していること、MPA患者血清のDNase I活性が低下していることが報告された8,11)。これらをまとめ、岩崎らは、MPA患者はDNase I活性低下などNETsを分解しにくい素因があり、感染や薬剤(プロピルチオウラシル、ミノサイクリン、ヒドラジンなど)1)が加わり、NETsの分解障害が起こり、NETsの構成成分であるMPOに対する抗体(MPO-ANCA)が産生されること、さらにANCAがサイトカインや補体第2経路によりプライミングされた好中球表面のMPOに強固に結合し、Fcγ受容体を介してさらに好中球を活性化させてNETsを放出し、血管壁を壊死させるメカニズムを提唱している8)。■ 分類腎型、肺腎型、全身型に分類されるが、わが国では、肺病変のみの症例も多数認められる。■ 症状発熱、食思不振などの全身症状、紫斑などの皮膚症状、関節痛、間質性肺炎、急速進行性糸球体腎炎などを来す。わが国では、欧米に比べ間質性肺炎の合併頻度が高い12)。EGPAほど頻度は高くないが、神経障害も認められる。■ 予後初回治療時の寛解率は90%以上で、24ヵ月時点での生存率も80%以上である。わが国では高齢患者が多いため、感染症死が多く、治療では免疫抑制をどこまで強くかけるかというのが常に問題になる。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)検査所見としては、炎症所見、血尿、蛋白尿、円柱尿、血清クレアチニン上昇、MPO-ANCA陽性などを認める。診断には、厚生労働省の診断基準(1998年)が使用される(表)。表 MPAの診断基準〈診断基準〉確実、疑い例を対象とする【主要項目】1) 主要症候(1)急速進行性糸球体腎炎(2)肺出血、もしくは間質性肺炎(3)腎・肺以外の臓器症状:紫斑、皮下出血、消化管出血、多発性単神経炎など2) 主要組織所見細動脈・毛細血管・後毛細血管細静脈の壊死、血管周囲の炎症性細胞浸潤3) 主要検査所見(1)MPO-ANCA陽性(2)CRP陽性(3)蛋白尿・血尿、BUN、血清クレアチニン値の上昇(4)胸部X線所見:浸潤陰影(肺胞出血)、間質性肺炎4) 判定(1)確実(definite)(a)主要症候の2項目以上を満たし、組織所見が陽性の例(b)主要症候の(1)および(2)を含め2 項目以上を満たし、MPO-ANCAが陽性の例(2)疑い(probable)(a)主要症候の3項目以上を満たす例(b)主要症候の1項目とMPO-ANCA陽性の例5) 鑑別診断(1)結節性多発動脈炎(2)多発血管炎性肉芽腫症(旧称:ウェゲナー肉芽腫症)(3)好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(旧称:アレルギー性肉芽腫性血管炎/チャーグ・ストラウス症候群)(4)川崎動脈炎(5)膠原病(SLE、RAなど)(6)IgA血管炎(旧称:紫斑病血管炎)【参考事項】1)主要症候の出現する1~2週間前に先行感染(多くは上気道感染)を認める例が多い。2)主要症候(1)、(2)は約半数例で同時に、その他の例ではいずれか一方が先行する。3)多くの例でMPO-ANCAの力価は疾患活動性と平行して変動する。4)治療を早期に中止すると、再発する例がある。5)除外項目の諸疾患は壊死性血管炎を呈するが、特徴的な症候と検査所見から鑑別できる。(吉田雅治ほか. 中・小型血管炎の臨床に関する小委員会報告.厚生省特定疾患免疫疾患調査研究班難治性血管炎分科会.平成10年度研究報告書.1999:239-246.)3 治療 (治験中・研究中のものも含む)わが国では厚生労働省の血管炎に関わる3研究班合同のAAV診療ガイドラインと13,14)、腎障害を伴うAAVについての厚生労働省難治性腎疾患研究班によるエビデンスに基づく急速進行性腎炎症候群(RPGN)診療ガイドがあり15)、欧米では、英国リウマチ学会(BSR)によるAAV診療ガイドラインがある16,17)。その後、3研究班合同のAAV診療ガイドライン18)が改訂された。■ 寛解導入療法厚生労働省3班のAAV診療ガイドラインでのMPAの治療アルゴリズムを図に示す。基本的には、ステロイド(GC)とシクロホスファミド(CY、[商品名:エンドキサン])の併用療法であるが、経口CYよりも静注CY(IVCY)が推奨されている。CYは年齢、腎機能などで減量を考慮する。欧米では、リツキシマブ(RTX、[同:リツキサン])がIVCYと同じポジションであるが、わが国では高齢患者が多いためにIVCYが推奨された。また、患者の状態によりメトトレキサート(MTX、[同:リウマトレックス])、ミコフェノール酸モフェチル(MMF、[同:セルセプト])、血漿交換なども推奨されている。GCの減量速度はAAVの再発に大きく関わっており、あまりに急速な減量は避けるべきである19)。図 MPA治療アルゴリズム(厚生労働省3班AAV診療ガイドライン)画像を拡大する*1GC+IVCYがGC+POCYよりも優先される。*2ANCA関連血管炎の治療に対して十分な知識・経験をもつ医師のもとで、RTXの使用が適切と判断される症例においては、GC+CYの代替として、GC+RTXを用いてもよい。*3GC+IVCY/POCYがGC+RTXよりも優先される。*4POCYではなくIVCYが用いられる場合がある。*5AZA以外の薬剤として、RTX、MTX*、MMF*が選択肢となりうる。*保険適用外■ 寛解維持療法厚生労働省3班のAAV診療ガイドラインでは、GC+アザチオプリン(AZA、[同:イムラン、アザニン])を推奨しており、そのほかの免疫抑制薬としてRTX、MTX、MMFが推奨されている。一方、難治性腎疾患研究班のRPGNガイドラインではRTXのかわりにミゾリビン(MZR、[同:ブレディニン])が推奨されている。やはりわが国のAAVは高齢者が多いこと、腎機能が低下するとMZRの血中濃度が上昇し、よい効果が得られることなどがその理由として考えられる。4 今後の展望2023年5月に改訂されたAAV診療ガイドラインによる治療の変化(とくにアバコパンについて)補体活性化の最終段階で産生される C5aRを選択的に阻害する経口薬アバコパン(商品名:タブネオス)は、ADVOCATE試験20)によりAAVに対する有効性および安全性を確認し、「顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症」を適応症として2022年6月に発売された。その後、2023年5月に改訂されたAAV診療ガイドラインにおいて、MPA/GPAの寛解導入治療でCYまたはRTXを用いる場合、高用量GCよりもアバコパンの併用を提案することが明記された。その他の薬剤ではMPA/GPAの寛解導入治療として、GC単独よりもGC+IVCYまたは経口CYを、GC+経口CYよりもGC+IVCYを、GC+CYと同列にGC+RTXを、GC+CYまたはRTXを用いる場合はGCの通常レジメンよりも減量レジメンを提案することが明記された18)。なお、アバコパンの添付文書には重大な副作用として肝機能障害が記載されている。その多くは投与開始から3ヵ月以内の発現であるが、それ以降に発現しているケースも報告されていることから、定期的なモニタリングが必要である。5 主たる診療科膠原病内科、リウマチ科、腎臓内科、呼吸器内科、皮膚科、神経内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 顕微鏡的多発血管炎(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)日本循環器学会. 血管炎症候群の診療ガイドライン(2017年改訂版). 2018;54-60.2)佐田憲映.ANCA関連血管炎 顕微鏡的多発血管炎.日本リウマチ財団 教育研修委員会編. リウマチ病学テキスト 改訂第2版. 診断と治療社;2016.p.265-267.3)Fujimoto S, et al. Rheumatology. 2011;50:1916-1920.4)Tsuchiya N, et al. J Rheumatol. 2003;30:1534-1540.5)川崎 綾.顕微鏡的多発血管炎(1)疫学・遺伝疫学.有村義宏 監. 日本臨牀 増刊号 血管炎(第2版)―基礎と臨床のクロストーク―. 日本臨牀社;2018.p.215-219.6)Kawasaki A, et al. PLoS ONE. 2016;11:e0154393.7)Brinkmann V, et al. Science. 2004;303:1532-1535.8)岩崎沙理ほか.小型血管炎(2)顕微鏡的多発血管炎の病理・病態.有村義宏 監. 日本臨牀 増刊号 血管炎(第2版)―基礎と臨床のクロストーク―. 日本臨牀社;2018.p.220-225.9)Kessenbrock k, et al. Nat Med. 2009;15:623-625.10)Nakazawa D, et al. Arthritis Rheum. 2012;64:3779-3787.11)Nakazawa D, et al. J Am Soc Nephrol. 2014;25:990-997.12)Sada KE, et al. Arthritis Res Ther. 2014;16:R101.13)有村義宏ほか 編. ANCA関連血管炎診療ガイドライン2017. 診断と治療社;2017.14)Nagasaka K, et al. Mod Rheumatol. 2018 Sep 25.[Epub ahead of print]15)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業 難治性腎疾患に関する調査研究班 編. エビデンスに基づく急速進行性腎炎症候群(RPGN)診療ガイドライン2017. 東京医学社;2017.16)Ntatsaki E, et al. Rheumatology. 2014;53:2306-2309.17)駒形嘉紀.顕微鏡的多発血管炎(4)治療.有村義宏 監. 日本臨牀 増刊号 血管炎(第2版)―基礎と臨床のクロストーク―.日本臨牀社;2018.p.232-237.18)針谷正祥、ほか. ANCA関連血管炎診療ガイドライン2023.診断と治療社:2023.19)Hara A, et al. J Rheumatol. 2018;45:521-528.20)Jayne DRW, et al. N Eng J Med. 2021;384:599-609.公開履歴初回2018年12月25日更新2024年7月11日

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皮膚筋炎、抗核抗体陰性は悪性腫瘍のリスク大

 成人の皮膚筋炎(DM)患者における抗核抗体(ANA)の臨床的な意義は、まだ詳細に定義されていない。米国・メイヨー・クリニックのPaul M. Hoesly氏らは、成人発症DM患者において、ANA陰性が診断後3年以内の悪性腫瘍の発症に関連することを明らかにした。著者は、「ANA陰性DM患者では、とくに綿密な観察と頻繁な悪性腫瘍のスクリーニングが必要と考えられる」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年11月17日号掲載の報告。 研究グループは、成人発症DM患者でのANA陽性および陰性を、無筋炎型(amyopathic DM)の発症率、悪性腫瘍のリスクおよび臨床所見について比較した。そして、ELISA法でANA陽性または陰性が検出された成人発症DM患者を後ろ向きに解析した。ただし、この研究の遡及的な性質には限界があった。 主な結果は以下のとおり。・解析した213例中、ANA陽性は140例(61%)、陰性は91例(39%)であった。・ANA陽性患者は陰性患者と比較し、嚥下障害(15% vs.26%、p=0.033)およびヘリオトロープ疹(38% vs.53%、p=0.026)の頻度が低かった。・213例のうち54例(23%)は、DMの診断から3年以内に悪性腫瘍を発症した。・悪性腫瘍の発症率は、ANA陽性患者で11%、陰性患者で43%であった(p<0.001)。・多変量解析の結果、ANA陽性と悪性腫瘍発症リスクの低さとの間に強い関連を認めた(オッズ比[OR]:0.16、p<0.001)。一方で、ANA陽性とamyopathic DMとの関連はなかった(OR:0.94、p=0.87)。

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新たな抗体医薬、遺伝性血管性浮腫の予防に効果/JAMA

 遺伝性血管性浮腫I/II型の患者において、26週間のlanadelumab皮下注はプラセボと比較して、発作の発生率を有意に減少したことが、米国・マサチューセッツ総合病院のAleena Banerji氏らによる第III相の無作為化二重盲検並行群プラセボ対照試験の結果、示された。遺伝性血管性浮腫の現行治療には、長期予防に関して限界がある(相当な有害事象や、頻回投与を要するなど)。lanadelumabは開発中の完全ヒトモノクローナル抗体で、血漿中カリクレインの活性を選択的に阻害する。第1b相試験において、忍容性が高く発作を減少することが示されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「示された結果は、遺伝性血管性浮腫の予防治療としてlanadelumabの使用を支持するものであった。さらなる研究を行い、長期的な安全性と有効性を確認する必要がある」とまとめている。JAMA誌2018年11月27日号掲載の報告。プラセボ対照で、lanadelumabの遺伝性血管性浮腫発作の予防効果を評価 研究グループは、lanadelumabの遺伝性血管性浮腫発作の予防効果を評価するため、カナダ、欧州、ヨルダン、米国の41施設で試験を行った。被験者は、12歳以上のI型またはII型の遺伝性血管性浮腫で、4週間のrun-in期間を受けた患者、およびrun-in期間に遺伝性血管性浮腫の発作を1回以上認めた患者を適格とし、lanadelumab群またはプラセボ群に2対1の割合で無作為に割り付けた。さらにlanadelumab群の割り付け患者は3つの用量レジメン群(4週ごとに150mg、4週ごとに300mg、2週ごとに300mg)に1対1対1の割合で割り付けた。 無作為化は2016年3月3日~9月9日に行われ、最終フォローアップ日は2017年4月13日であった。患者は全員(4週ごと群は治療期間中プラセボ投与を含めて)2週ごとに皮下注を受けた。 主要有効性評価項目は、治療期間中の研究者が確認した遺伝性血管性浮腫発作回数であった。治療期間中、3用量群ともにプラセボ群よりも有意に発作回数が減少 125例(平均年齢40.7歳[SD 14.7]、女性88例[70.4%]、白人113例[90.4%])が無作為化を受け、113例(90.4%)が試験を完遂した。 run-in期間中の遺伝性血管性浮腫の平均発作回数は、プラセボ群で4.0回/月、lanadelumabを4週ごと150mg群は3.2回/月、同4週ごと300mg群は3.7回/月、同2週ごと300mg群は3.5回であった。 治療期間中の遺伝性血管性浮腫の平均発作回数は、それぞれ1.97回/月、0.48回/月、0.53回/月、0.26回/月であり、プラセボと比較したlanadelumab群の月当たり発作率の平均差は、4週ごと150mg群が-1.49(95%信頼区間[CI]:-1.90~-1.08、p<0.001)、同4週ごと300mg群-1.44(95%CI:-1.84~-1.04、p<0.001)、同2週ごと300mg群-1.71(95%CI:-2.09~-1.33、p<0.001)で、いずれも有意な減少が認められた。 最も頻度が高くlanadelumab群でより多く認められた有害事象は、注射部位反応(プラセボ群34.1% vs.lanadelumab群52.4%)、めまい(プラセボ群0% vs.lanadelumab群6.0%)であった。

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選択的JAK1阻害薬、乾癬性関節炎に有効/Lancet

 活動性の乾癬性関節炎の治療に、選択的JAK1阻害薬filgotinibは有効であることが、米国・ワシントン大学のPhilip Mease氏らによる第II相の無作為化プラセボ対照試験「EQUATOR試験」の結果、示された。16週時のACR20達成患者は80%に認められ、新たな安全性シグナルは認められなかった。JAK1経路は、乾癬性関節炎の病因への関わりが示唆されている。研究グループは、JAK1を選択的に阻害するfilgotinibの有効性と安全性を調べた。Lancet誌オンライン版2018年10月22日号掲載の報告。活動性の中等症~重症乾癬性関節炎患者が対象、16週時点のACR20達成を評価 EQUATOR試験は、7ヵ国(ベルギー、ブルガリア、チェコ、エストニア、ポーランド、スペイン、ウクライナ)25施設において成人(18歳以上)の患者を登録して行われた。試験適格は、活動性の中等症~重症乾癬性関節炎(関節の腫脹5つ以上および圧痛関節5つ以上がある場合と定義)で乾癬性関節炎の層別化基準「CASPAR」を満たしており、活動性の慢性尋常性乾癬もしくはその既往の記録があり、1種以上の従来型抗リウマチ薬(csDMARD)による効果が不十分あるいは不耐容の患者とした。対象患者のうち、少なくともスクリーニング前12週間にcsDMARDの投与が1回あり、少なくともベースライン前4週間に安定投与が1回あった場合は、試験期間中も引き続きcsDMARDが投与された。 研究グループは双方向ウェブベースシステムを用いて、対象患者を1対1の割合で、filgotinib 200mgまたはプラセボを1日1回16週間経口投与するよう無作為に割り付けた。csDMARDの現在の投与および抗TNFの既投与による層別化も行った。なお、患者、試験チーム、スポンサーは治療割り付けをマスキングされた。 主要評価項目は、完全解析集団(試験薬を1回以上投与した全患者を包含)における16週時点のACR20達成患者の割合で、Cochran-Mantel-Haenszel検定およびNRI(non-responder imputation)法を用いて両群を比較した。filgotinib群80%、プラセボ群33% 2017年3月9日~9月27日に191例がスクリーニングを受け、131例が無作為化され(filgotinib群65例、プラセボ群66例)、それぞれ60例(92%)、64例(97%)が試験を完了した。filgotinib群では5例(8%)、プラセボ群では2例(3%)が試験治療中断となった。 16週時点のACR20達成率は、filgotinib群80%(52/65例)、プラセボ群33%(22/66例)であった(群間差:47%、95%信頼区間[CI]:30.2~59.6、p<0.0001)。 少なくとも1件以上の治療関連有害事象が認められたのは、filgotinib群37例(57%)、プラセボ群39例(59%)であった。被験者6例でGrade3以上のイベントが認められた。最も頻度が高かったイベントは、鼻咽頭炎と頭痛で、発現頻度は各群で同程度であった。重篤な治療関連有害事象は、各群で1例ずつ認められた(肺炎および転倒後の大腿骨頸部骨折)。肺炎はfilgotinib群で認められ致死的であった。

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