新たな抗体医薬、遺伝性血管性浮腫の予防に効果/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2018/12/10

 

 遺伝性血管性浮腫I/II型の患者において、26週間のlanadelumab皮下注はプラセボと比較して、発作の発生率を有意に減少したことが、米国・マサチューセッツ総合病院のAleena Banerji氏らによる第III相の無作為化二重盲検並行群プラセボ対照試験の結果、示された。遺伝性血管性浮腫の現行治療には、長期予防に関して限界がある(相当な有害事象や、頻回投与を要するなど)。lanadelumabは開発中の完全ヒトモノクローナル抗体で、血漿中カリクレインの活性を選択的に阻害する。第1b相試験において、忍容性が高く発作を減少することが示されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「示された結果は、遺伝性血管性浮腫の予防治療としてlanadelumabの使用を支持するものであった。さらなる研究を行い、長期的な安全性と有効性を確認する必要がある」とまとめている。JAMA誌2018年11月27日号掲載の報告。

プラセボ対照で、lanadelumabの遺伝性血管性浮腫発作の予防効果を評価

 研究グループは、lanadelumabの遺伝性血管性浮腫発作の予防効果を評価するため、カナダ、欧州、ヨルダン、米国の41施設で試験を行った。被験者は、12歳以上のI型またはII型の遺伝性血管性浮腫で、4週間のrun-in期間を受けた患者、およびrun-in期間に遺伝性血管性浮腫の発作を1回以上認めた患者を適格とし、lanadelumab群またはプラセボ群に2対1の割合で無作為に割り付けた。さらにlanadelumab群の割り付け患者は3つの用量レジメン群(4週ごとに150mg、4週ごとに300mg、2週ごとに300mg)に1対1対1の割合で割り付けた。

 無作為化は2016年3月3日~9月9日に行われ、最終フォローアップ日は2017年4月13日であった。患者は全員(4週ごと群は治療期間中プラセボ投与を含めて)2週ごとに皮下注を受けた。

 主要有効性評価項目は、治療期間中の研究者が確認した遺伝性血管性浮腫発作回数であった。

治療期間中、3用量群ともにプラセボ群よりも有意に発作回数が減少

 125例(平均年齢40.7歳[SD 14.7]、女性88例[70.4%]、白人113例[90.4%])が無作為化を受け、113例(90.4%)が試験を完遂した。

 run-in期間中の遺伝性血管性浮腫の平均発作回数は、プラセボ群で4.0回/月、lanadelumabを4週ごと150mg群は3.2回/月、同4週ごと300mg群は3.7回/月、同2週ごと300mg群は3.5回であった。

 治療期間中の遺伝性血管性浮腫の平均発作回数は、それぞれ1.97回/月、0.48回/月、0.53回/月、0.26回/月であり、プラセボと比較したlanadelumab群の月当たり発作率の平均差は、4週ごと150mg群が-1.49(95%信頼区間[CI]:-1.90~-1.08、p<0.001)、同4週ごと300mg群-1.44(95%CI:-1.84~-1.04、p<0.001)、同2週ごと300mg群-1.71(95%CI:-2.09~-1.33、p<0.001)で、いずれも有意な減少が認められた。

 最も頻度が高くlanadelumab群でより多く認められた有害事象は、注射部位反応(プラセボ群34.1% vs.lanadelumab群52.4%)、めまい(プラセボ群0% vs.lanadelumab群6.0%)であった。