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HIF-PH阻害薬適正使用に関するrecommendation公開/日本腎臓学会

 日本腎臓学会は透析患者・保存期腎不全患者用の経口腎性貧血治療薬について「HIF-PH阻害薬適正使用に関するrecommendation」を9月29日に学会ホームページ上に公開した。 HIF-PH阻害薬適正使用に関するrecommendationは3つに章立てられており、1.総論、2.推奨(どのような患者に使用することが望ましいか、鉄補充をどうすることが望ましいか)、3.注意点(悪性腫瘍、糖尿病網膜症・加齢黄斑変性症、肝機能異常、高血圧、高カリウム血症、血栓塞栓症、血管石灰化、肺高血圧症/心不全、嚢胞の増大、脂質代謝への影響)が記載されている。HIF-PH阻害薬の適応患者と注意点 2019年、世界に先駆け日本で発売されたHIF-PH(低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素)阻害薬は、既存の注射薬のエリスロポエチン製剤(ESA: erythropoiesis stimulating agents)とは異なる作用機序を有し、経口薬で全身性の作用を伴う可能性のある腎性貧血治療薬である。保存期患者では注射からの切り替えにより身体への負担が軽減されること、 ESA効果不十分例では切り替えによる効果が期待されている。 一方で、がんや網膜疾患など血管新生が疾患の増悪に働くような病態では、HIFによる防御機構の発動に起因する副作用の可能性も懸念されている。そのような併存疾患を有する患者には、HIF-PH阻害薬投与前の精査、HIF-PH阻害薬投与中の体調変化に十分留意する必要があることから、腎臓内科医のみならず多くの臨床医にこのHIF-PH阻害薬適正使用に関するrecommendationを一読いただきたい。 なお、HIF-PH阻害薬は2019年から現在までにロキサデュスタット(商品名:エベレンゾ、アステラス製薬)、バダデュスタット(同:バフセオ、田辺三菱製薬)、ダプロデュスタット(同:ダーブロック、グラクソ・スミスクライン)の3剤が発売され、今後更に2剤が上市される予定である。

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外来は患者1人につき30分以上でも大忙し!その訳は…【臨床留学通信 from NY】第12回

第12回:外来は患者1人につき30分以上でも大忙し!その訳は…2018年7月からの1年間、私は米国研修医としてフレッシュマンの一員となり、内科レジデントだったものの、特別にインターンと呼ばれ、2年目ないし3年目の下に配属されました。これが日本語だったら問題ないのですが、英語なのでひと際苦労しました。薬1つとってみても、名前が違う上に量も異なります。保険や医療の仕組みも日本と大きく異なるので、当初はかなり苦労しました。勤務シフトは、主に2週間ごとのローテーションで、52週のうち2週×2回のまとまったバケーションをもらえるのは米国の働き方の良い点です。 慣れるまでが一苦労!米国特有の勤務ローテーションとカルテ書き病棟はチーム制で、1人のアテンディング(指導医)、レジデント(2~3年目、1人)、インターン(2~3人)で構成されます。1日の流れは、朝6時ごろに病院に出勤し、5~10人程度を診察。7時ごろにレジデントが出勤してきた段階で異常があれば、それをディスカッションします。そして、8時半ごろアテンディングがやって来て、計20人弱の患者の状態をディスカッションし(そのためにプレゼン準備が必要)、時にはベッドサイドに赴き皆で診察します(昨今のCOVIDの影響で、ベッドサイドはかなり減りました)。内科的疾患の中でコンサルタントが必要であれば、その必要性についても検討し、感染症内科、腎臓内科、循環器内科、消化器内科、神経内科や外科系の科にコンサルトします(日本と違いホスピタリストと呼ばれる総合内科医がPrimaryで患者の診療を行い、必要に応じて専門医にコンサルタントする仕組みです)。例えば、循環器内科医はCCUの患者以外は主だって診ることがなく、総合内科医側で診療、判断ができる心不全、NSTEMIなどは、コンサルトなく治療し、退院させます。米国において大変なのが、カルテの作成です。診療費用は、カルテを基に算出されるためしっかり書かなければならず、米国のレジデントは、PCに向かう時間が長いことが問題視されています。しかも、ここニューヨークは患者層も多種多様な人種のるつぼです。とくにダウンタウンは、ヒスパニック系や中国系の患者さんが多く、通訳を介して診療することもあります。また、病棟とは別にICUローテーションもあるのですが、朝5時ごろに病院に行き、複雑な背景を持つ患者についてプレゼンするための準備が必要であり、かなり大変でした。ただ、それが週7日間ではなく、レジデントの場合は週80時間の上限が設けられており、トータルでは日本の研修医より労働時間が少ないと思います。私が勤務するMount Sinai Beth Israelは、経営を合理化するためのダウンサイジングを進めており、腫瘍疾患を診る診療科などがありません。そのため、私は同じマンハッタンにあってMount Sinai系列の大学病院であるMount Sinai Hospitalで血液腫瘍系のローテーションも経験しました。また、選択ローテーションの際に、臨床研究のため同院に出入りすることもできます。関連病院は経営母体も同じであり、レジデントが柔軟に行き来できるのも、米国の特長のひとつかもしれません。外来ローテーションは、病棟やICUとは異って、いわゆる「9時5時勤務」であり、インターンにとっては体力回復できるありがたい期間です。アテンディングの指導の下ですが、プライマリケア外来で主体的に患者を診る仕組みで、そこは日本と異なる点かと思います。外来も患者1人につき30~40分の枠が取られていますが、その中で複雑な背景について問診で聴き、カルテ記入、さまざまなドキュメントの作成業務があり、実際それくらい、もしくはそれ以上かかってしまうので、そこは米国の医療現場の問題点かもしれません。もっとも大変なローテーションはNight Floatです。夜8時から朝8時まで週6日間働くという鬼のようなシフトで、昼夜逆転といっても、実際昼間はあまりよく眠れない上、夜もなかなか集中しづらい状況です。ただし、ほぼ1人のレジデントが24時間働かなくて済むよう調整・管理は厳格に行われており、36時間労働が多い日本とはかなり違うと言えるでしょう。こうした米国での働き方は、膨大な医者の数かつ高い医療費によって支えられているのだと日々実感しています。ColumnCOVID-19の影響は、当然ながら循環器領域だけに限りません。COVID−19における研究を多岐にわたり推し進めていますが、オリジナルデータによるコホート研究と論文化されたデータをまとめるSystematic review and/or meta-analysisを主にやっています。特にSystematic review and/or meta-analysisの手法は渡米してから学んだもので (といっても、日本の静岡医療センターにおられる高木 寿人先生にご指導いただいています1))、その手法を循環器領域だけでなく、他科領域でも活用し、COVID-19の全体像を世の中に提示できるよう日々勉強中です2-4)。1)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/?term=hisato+takagi+kuno+toshiki&sort=date&size=1002)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/?term=toshiki+kuno+covid&sort=date3)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32725955/4)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32797198/

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第20回 高齢者の肥満、食事・運動療法の方法と薬剤選択は?【高齢者糖尿病診療のコツ】

第20回 高齢者の肥満、食事・運動療法の方法と薬剤選択は?Q1 肥満症を合併した高齢者糖尿病ではどのような食事・運動療法を行うべきですか?食事・運動療法を行うにはまず、膝関節疾患や心血管疾患の有無をチェックし、認知機能、身体機能(ADL、サルコペニア、フレイル・転倒)、心理状態、栄養、薬剤、社会・経済状況、骨密度などを総合的に評価します。80歳以上の肥満症では治療によって血管障害や死亡のリスクを減らせるというエビデンスに乏しくなります。しかしながら、減量によって疼痛が軽減され、QOLが改善されるということも報告されていますので、膝関節痛などがある場合は減量を勧めてもいいと思います。肥満症を合併した糖尿病患者ではレジスタンス運動を含めた運動療法と食事療法を併用することが大切です。肥満症の高齢者に食事療法と運動療法の両者を併用し、減量を行うと、食事療法単独または運動療法単独と比べて、身体機能とQOLが改善します。有酸素運動とレジスタンス運動の両者を併用した方がそれぞれ単独の運動よりも歩行速度などの身体能力の改善効果が認められます。レジスタンス運動は肥満症の人は一人で行うことが困難な場合が多いので、介護保険のデイケア、市町村の運動教室などを利用し、監視下で運動することがいいと思います。また、体重による負荷を軽減する運動としてはプール歩行やエアロバイクなどを勧める場合もあります。また、高齢者の肥満では運動療法を行わず、食事療法のみで減量すると骨格筋量や骨密度が減少するリスクがあります。一方、適切なエネルギー量を設定し、運動療法を併用することにより筋肉量、身体機能、および骨密度を低下させることなく減量が可能であるとされています。Look AHEAD研究では高齢糖尿病患者を対象に運動を中心とした生活習慣改善と体重減少を行った介入群では、対照群と比べて、歩行速度が速く、SPPBスコアで評価した身体能力が有意に高いという結果が得られています。介入群は歩行速度低下のリスクが16%減少しました1)。とくに、65歳以上の高齢糖尿病患者でSPPBスコアの改善効果がみられました。食事のエネルギー摂取量に関しては、肥満があるとエネルギー制限を行うことになりますが、過度の制限によるサルコペニア・フレイル・低栄養の悪化に注意する必要があります。肥満高齢者にレジスタンス運動にエネルギー制限を併用した群では運動のみの群に比し体重減少とともに除脂肪量の減少がみられたが、歩行能力や要介護状態は改善し、筋肉内脂肪の減少を認めたという報告があります2)。この結果は減量によって筋肉内の脂肪をとることが筋肉の質を改善することにつながることを示唆しています。「糖尿病診療ガイドライン2019」においては、高齢者では[身長(m)]2×22~25で得られた目標体重に身体活動の係数をかけて総エネルギー量を計算します。J-EDIT研究では目標体重当りのエネルギー量が約25kcal/kg体重以下と35kcal/kg体重以上の群で死亡リスクの上昇がみられ、過度のエネルギー摂取もよくないことが示唆されています3)。高齢者でも肥満があり、減量が必要な場合には目標体重は[身長(m)]2に低めの係数(22~23)をかけて目標体重を求め、目標体重当たり25~30 kcalの範囲でエネルギー量を設定することが望ましいと考えています。一般のサルコペニア・フレイルに対してはタンパク質の十分な摂取(1.0~1.5㎏/㎏体重)が推奨されています。肥満やサルコペニア肥満がある場合のタンパク質摂取に関しては、まだ十分なエビデンスがありませんが、タンパク質は十分に摂取した方がいいという報告があります。膝OAがある高齢糖尿病女性の縦断研究でも、タンパク質の摂取が1.0g/㎏体重以上を摂取した群の方が膝進展力低下や身体機能低下が少ないという結果が得られました(図1)4)。サルコペニア肥満がある高齢女性を低カロリーかつ正常タンパク質(0.8g/㎏体重)摂取群と低カロリーかつ高タンパク質(1.2g/㎏体重)摂取群に割り付けて3ヵ月間治療した結果、骨格筋量の指標は正常タンパク質群では減少したのに対し、高タンパク質摂取群では有意に増加していました5)。したがって、肥満症のある高齢糖尿病患者では、少なくとも1.0g/㎏のタンパク質をとることが望ましいと思われます。画像を拡大するQ2 肥満症を合併した高齢糖尿病、薬物療法は何に注意が必要ですか?個々の病態に合わせて薬物選択を行いますが、肥満があるので、インスリン抵抗性を改善する薬剤を主体に治療します。体重減少を目的にする場合にはメトホルミン(高用量)、SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬が使用されます。メトホルミンはeGFR 30ml/min/1.73m2以上を確認して使用し、eGFR 60ml/min/1.73m2以上を確認できれば少なくとも1,500㎎/日以上の高用量で使用します。SGLT2阻害薬は、心血管疾患合併例で、血糖コントロール目標設定のためのカテゴリーI(認知機能正常でADL自立)で積極的に使用し、カテゴリーIIでは運動や飲水ができる場合に使用するのがいいと考えています。GLP-1受容体作動薬は消化器症状に注意して使用します。いずれの薬剤を使用する場合もレジスタンス運動を含む運動を併用し、サルコペニア肥満やフレイルを予防することが大切です。1)Houston DK, et al . J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2018;73:1552-1559.2)Nicklas BJ, et al. Am J Clin Nutr. 2015;101:991-999.3)Omura T, et al. Geriatr Gerontol Int. 2020;20:59-65.4)Rahi B, et al. Eur J Nutr. 2016; 55:1729-1739. 5)Muscariello E, et al. Clin Interv Aging. 2016;11:133-140.

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第19回 高齢者の肥満、特有の問題と予後への影響は【高齢者糖尿病診療のコツ】

第19回 高齢者の肥満、特有の問題と予後への影響はQ1 高齢者の肥満、若年者とはちがう特徴とは?最近、高齢糖尿病患者でも肥満症が増えています。我が国の65歳以上の高齢糖尿病患者でBMI 25㎏/m2以上の頻度は2000年から2012年で28.4%から33.0%に増加したという報告もあります1)。こうした高齢者の肥満症の増加は1)加齢に伴う身体活動量の低下2)基礎代謝量の低下3)高齢者の食習慣の欧米化などが関係しているのでないかと思われます。高齢者の肥満症にはいくつかの特徴があります。加齢とともに内臓脂肪は増加し、除脂肪量(骨格筋量)が低下するという体組成の変化が起こり、BMI高値を伴わない腹部肥満、いわゆる隠れ肥満やメタボリックシンドロームが増加します。また、高齢者のBMIは体脂肪量を正確に反映しないことがあります。身長が低下することで、BMIは見かけ上増加することもあります。したがって、高齢者の肥満症の評価にはBMIだけでなく、ウエスト周囲長も測ることが大切です。ウエスト周囲長やウエスト・ヒップ比の高値の方がBMIよりも死亡のリスクの指標となることも知られています。また、高齢期の肥満症では死亡や心血管疾患のリスクが逆に減少するというobesity paradoxがみられる場合があります。これは、BMI低値の方が悪性疾患、サルコペニア、慢性感染症などの併存疾患によるリスクが増加することで、BMI高値におけるリスクが相対的に小さくなることが原因として考えられます。加齢とともに、肥満とサルコペニアが合併したサルコペニア肥満が増えます2)。サルコペニア肥満は糖尿病やメタボリックシンドロームの発症リスクも高いので、高齢者糖尿病でも注意すべきです。サルコペニア肥満では筋肉内の脂肪蓄積によるインスリン抵抗性、炎症、ビタミンD低下などが骨格筋量や筋力の減少をもたらし、身体機能低下をきたすと考えられ考えられています。サルコペニア肥満は、単なる肥満症と比べ、フレイル、ADL低下、転倒、骨粗鬆症、認知機能低下、および死亡をきたしやすいことが特徴です3)。サルコペニア肥満の定義は定まっていませんが、肥満の方は体脂肪%、ウエスト周囲長などで定義しています。われわれの調査では高齢糖尿病患者におけるDXA法による四肢骨格筋量と体脂肪量で定義したサルコペニア肥満の頻度は16.7%という結果でした2)。Q2 高齢者の肥満は身体機能や認知機能、死亡にどのような影響を及ぼしますか?高齢者のBMI 30kg/m2以上の肥満や腹部肥満は、ADL低下、歩行困難、フレイル、易転倒性などの身体機能低下と関連しています。Study of Osteoporosis Fracturesにおける高齢糖尿病患者でも家事や2~3ブロックの歩行が約2~2.5倍障害されると報告されています4)。また、高齢糖尿病患者がフレイルをきたしやすいことも腹部肥満によって一部説明できると報告されています5)。BMI 25kg/m2以上の肥満がある糖尿病患者では複数回の転倒を約3.5倍起こしやすくなります6)。とくにインスリン治療と過体重が重なると、何度も転倒しやすいとされています。中年期の肥満は認知症発症リスクになりますが、高齢期の肥満は認知症発症リスクに抑制的に働くことが知られています。しかしながら、高齢者の肥満患者の体重変化と認知症発症とはJカーブの関連が見られ、体重減少と体重増加の両者がリスクとなっています(図1)。画像を拡大する高齢糖尿病患者でも、BMI低値、体重減少(10%以上)と体重増加(10%以上)が認知症発症の危険因子であると報告されています7)。高齢糖尿病患者ではそれ自体が認知症発症のリスクですが、認知症発症のリスクとなる4つの肥満の中で、体重減少を伴った高齢者の肥満、メタボリックシンドローム(腹部肥満)、サルコペニア肥満に注意する必要があります(図2)。画像を拡大する一方、12の論文のメタ解析により、生活習慣の改善による意図的な体重減少は記憶力と注意力・遂行機能を改善することが明らかになっています8)。 Look Ahead研究では高齢者を含む2型糖尿病患者でもエネルギー制限と運動療法による介入によって、過体重の患者で認知機能の改善が見られています9)。糖尿病初期の肥満症患者を対象にリラグルチド1.8㎎/日を4ヵ月間投与した介入群と対照群で認知機能の変化を検討したRCTでは、両群とも7%の体重減少が得られたが、リラグルチド投与群では短期記憶と記憶複合スコアの有意な増加を認めたと報告されています10)。減量自体の効果よりも、GLP-1の脳のブドウ糖代謝の改善、可溶性AβによるIRS-1のセリンのリン酸化阻害によるインスリン情報伝達障害の改善などによる認知機能の改善効果の可能性もあります。いずれにせよ、高齢者の肥満症の患者では体重減少が意図的か否かに注意する必要があります。高齢糖尿病患者における肥満症と心血管疾患の発症や死亡に関しては、一致した結果が得られていません。肥満症合併の高齢糖尿病患者を対象に生活習慣改善と体重減少の介入を行ったLook AHAED研究では心血管疾患発症の減少は見られなかったと報告されています11)。我が国のJDCS研究とJ-EDIT研究の糖尿病患者のプール解析では、BMI 18.5未満の群で死亡リスクが上昇し、BMI 25㎏/m2以上の群では死亡リスクは増加していませんでした12)。とくに75歳以上ではBMI18.5未満の群の死亡リスクが8.1倍と75歳未満と比べてさらに高くなり、最も死亡リスクが低いBMIは25前後となりました。すなわち、低栄養による死亡リスクの方が増加し、肥満による死亡リスクが相対的に低下したと考えられます。1)Miyazawa I, et al. Endocr J. 2018;65:527-536.2)荒木 厚、周赫英、森聖二郎:日本老年医学会雑誌.2012;49:210-213.3)Batsis JA, et al. J Am Geriatr Soc. 2013;61:974-980.4)Gregg EW, et al. Diabetes Care. 2002; 25: 61-67.5)Volpato S, et al. J Gerontol A BiolSci Med Sci.2005; 60: 1539-1545.6)García-Esquinas E, et al. J Am Med Dir Assoc. 2015;16:748-754.7)Nam GE, et al. Diabetes Care. 2019;42:1217-1224.8)Siervo M, et al. Obes Rev. 2011;12:968-983.9)Espeland MA, et al. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2014;69:1101-1108.10)Vadini F, et al. Int J Obes (Lond). 2020 Jun;44:1254-1263.11)Wing RR, et al. N Engl J Med. 2013;369:145-154.12)Tanaka S, et al. J Clin Endocrinol Metab. 99: E2692-2696, 2014.

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HFrEFへのエンパグリフロジン、心血管・腎への効果は/NEJM

 2型糖尿病の有無を問わず慢性心不全の推奨治療を受けている患者において、エンパグリフロジンの投与はプラセボと比較して、心血管死または心不全増悪による入院のリスクを低下することが、米国・ベイラー大学医療センターのMilton Packer氏らによる3,730例を対象とした二重盲検無作為化試験の結果、示された。SGLT2阻害薬は、2型糖尿病の有無を問わず、心不全患者の入院リスクを抑制することが示されている。同薬について、駆出率が著しく低下した例を含む幅広い心不全患者への効果に関するエビデンスが希求されていたことから、本検討が行われた。NEJM誌オンライン版2020年8月29日号掲載の報告。左室駆出率が40%以下に低下した3,730例を対象にプラセボ対照無作為化試験 試験は、慢性心不全(NYHA機能分類II、III、IV)で左室駆出率が40%以下に低下した18歳以上の成人患者3,730例を対象に行われた。 被験者を無作為に2群に割り付け、推奨治療に加えてエンパグリフロジン(10mg 1日1回、1,863例)またはプラセボ(1,867例)を投与し追跡した。 主要アウトカムは、心血管死・心不全増悪による入院の複合であった。DM有無を問わず、心血管死・心不全増悪による入院のリスクを有意に低下 中央値16ヵ月の追跡期間中に、主要アウトカムのイベントは、エンパグリフロジン群では361/1,863例(19.4%)に、プラセボ群では462/1,867例(24.7%)に発生した(心血管死・心不全増悪による入院のハザード比[HR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.65~0.86、p<0.001)。主要アウトカムへのエンパグリフロジンの効果は、2型糖尿病の有無を問わず認められた。 また、階層的検定手順で規定した副次アウトカムである、心不全による入院の総発生件数について、プラセボ群と比べてエンパグリフロジン群で有意に低下したことが(HR:0.70、95%CI:0.58~0.85、p<0.001)、同様に推定糸球体濾過率(eGFR)の年率低下についても有意に遅延させたことが(-0.55 vs.-2.28mL/分/体表面積1.73m2/年、p<0.001)示された。 そのほか、事前に規定されていた解析において、エンパグリフロジン治療を受けた患者は、重篤な腎アウトカムのリスクが低いことも示された(HR:0.50、95%CI:0.32~0.77)。なお、合併症のない性器感染症発生の報告頻度が、エンパグリフロジン群で高かった。

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「ピートル」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第17回

第17回 「ピートル」の名称の由来は?販売名ピートル®チュアブル錠250mgピートル®チュアブル錠500mgピートル®顆粒分包250mgピートル®顆粒分包500mg一般名(和名[命名法])スクロオキシ水酸化鉄効能又は効果透析中の慢性腎臓病患者における高リン血症の改善用法及び用量通常、成人には、鉄として1回250mgを開始用量とし、1日3回食直前に経口投与する。以後、症状、血清リン濃度の程度により適宜増減するが、最高用量は1日3000mgとする。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)【禁忌 (次の患者には投与しないこと)】本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者※本内容は2020年9月16日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2018年11月改訂(改訂第5版)医薬品インタビューフォーム「ピートル®チュアブル錠250mg/ 500mg、ピートル®顆粒分包250mg / 500mg」2)キッセイ薬品:ピートル®.jp

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COVID-19重症化への分かれ道、カギを握るのは「血管」

 COVID-19を巡っては、さまざまなエビデンスが日々蓄積されつつある。国内外における論文発表も膨大な数に上るが、時の検証を待つ猶予はなく、「現段階では」と前置きしつつ、その時点における最善策をトライアンドエラーで推し進めていくしかない。日本高血圧学会が8月29日に開催したwebシンポジウム「高血圧×COVID-19白熱みらい討論」では、高血圧治療に取り組むパネリストらが最新知見を踏まえた“new normal”の治療の在り方について活発な議論を交わした。高血圧はCOVID-19重症化リスク因子か パネリストの田中 正巳氏(慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科)は、高血圧とCOVID-19 重篤化の関係について、米・中・伊から報告された計9本の研究論文のレビュー結果を紹介した。論文は、いずれも同国におけるCOVID-19患者と年齢を一致させた一般人口の高血圧有病率を比較したもの。それによると、重症例においては軽症例と比べて高血圧の有病率が高く、死亡例でも生存例と比べて有病率が高いとの報告が多かったという。ただし、検討した論文9本(すべて観察研究)のうち7本は単変量解析の結果であり、交絡因子で調整した多変量解析でもリスクと示されたのは2本に留まり、ほか2本では高血圧による重症化リスクは多変量解析で否定されている。田中氏は、「今回のレビューについて見るかぎりでは、高血圧がCOVID-19患者の重症化リスクであることを示す明確な疫学的エビデンスはないと結論される」と述べた。 一方で、米国疾病予防管理センター(CDC)が6月25日、COVID-19感染時の重症化リスクに関するガイドラインを更新し、高血圧が重症化リスクの一因であることが明示された。これについて、パネリストの浅山 敬氏(帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座)は、「ガイドラインを詳細に見ると、“mixed evidence(異なる結論を示す論文が混在)”とある。つまり、改訂の根拠となった文献は、いずれも高血圧の有病率を算出したり、その粗結果を統合(メタアナリシス)したりしているが、多変量解析で明らかに有意との報告はない」と説明。その上で、「現時点では高血圧そのものが重症化リスクを高めるというエビデンスは乏しい。ただし、高血圧患者には高齢者が多く、明らかなリスク因子を有する者も多い。そうした点で、高血圧患者には十分な注意が必要」と述べた。降圧薬は感染リスクを高めるのか 高血圧治療を行う上で、降圧薬(ACE阻害薬、ARB)の使用とCOVID-19との関係が注目されている。山本 浩一氏(大阪大学医学部老年・腎臓内科学)によれば、SARS-CoV-2は気道や腸管等のACE2発現細胞を介して生体内に侵入することが明らかになっている。山本氏は、「これまでの研究では、COVID-19の病態モデルにおいてACE2活性が低下し、RA系阻害薬がそれを回復させることが報告されている。ACE2の多面的作用に注目すべき」と述べた。これに関連し、パネリストの岸 拓弥氏(国際医療福祉大学大学院医学研究科)が国外の研究結果を紹介。それによると、イタリアの臨床研究1)ではRA系阻害薬を含むその他の降圧薬(Ca拮抗薬、β遮断薬、利尿薬全般)について、性別や年齢で調整しても大きな影響は見られないという。一方、ニューヨークからの報告2)でも同様に感染・重症化リスクを増悪させていない。岸氏は、「これらのエビデンスを踏まえると、現状の後ろ向き研究ではあるが、RA系阻害薬や降圧薬の使用は問題ない」との認識を示した。COVID-19重症化の陰に「血栓」の存在 パネリストの茂木 正樹氏(愛媛大学大学院医学系研究科薬理学)は、COVID-19が心血管系に及ぼす影響について解説した。COVID-19の主な合併症として挙げられるのは、静脈血栓症、急性虚血性障害、脳梗塞、心筋障害、川崎病様症候群、サイトカイン放出症候群などである。SARS-CoV-2はサイトカインストームにより炎症細胞の過活性化を起こし、正常な細胞への攻撃、さらには間接的に血管内皮を傷害する。ウイルスが直接内皮細胞に侵入し、内皮の炎症(線溶系低下、トロンビン産生増加)、アポトーシスにより血栓が誘導されると考えられる。また、SARS-CoV-2は血小板活性を増強することも報告されている。こうした要因が重ることで血栓が誘導され、虚血性臓器障害を起こすと考えられる。 さらに、SARS-CoV-2は直接心筋へ感染し、心筋炎を誘導する可能性や、免疫反応のひとつで、初期感染の封じ込めに役立つ血栓形成(immnothoronbosis)の制御不全による血管閉塞を生じさせる可能性があるという。とくに高血圧患者においては、血管内細胞のウイルスによる障害のほかに、ベースとして内皮細胞の障害がある場合があり、さらに血栓が誘導されやすいと考えられるという。茂木氏は、「もともと高血圧があり、血管年齢が高い場合には、ただでさえ血栓が起こりやすい。そこにウイルス感染があればリスクは高まる。もちろん、高血圧だけでなく動脈硬化がどれだけ進行しているかを調べることが肝要」と述べた。 パネリストの星出 聡氏(自治医科大学循環器内科)は、COVID-19によって引き起こされる心血管疾患の間接的要因に言及。自粛による活動度の低下、受診率の低下、治療の延期などにより、持病の悪化、院外死の増加、治療の遅れにつながっていると指摘。とくに高齢者が多い地域では、感染防止に対する意識が強く、自主的に外出を控えるようになっていた。その結果、血圧のコントロールが悪くなり、LVEFの保たれた心不全(HFpEF、LVEF 50%以上と定義)が増えたほか、血圧の薬を1日でも長く延ばそうと服用頻度を1日おきに減らしたことで血圧が上がり、脳卒中になったケースも少なくなかったという。星出氏は、「今後の心血管疾患治療を考えるうえで、日本においてはCOVID-19がもたらす間接的要因にどう対処するかが非常に大きな問題」と指摘した。

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ビスホスホネート製剤による大腿骨近位部骨折予防効果は副作用としての非定型大腿骨骨折のリスクを上回る。(解説:細井孝之氏)-1283

 骨吸収抑制剤であるビスホスホネート製剤(以下BP製剤)は1990年代に登場した骨粗鬆症治療薬であり、確実な骨密度上昇効果と骨折予防効果によって主要な治療薬の地位を得た。一方、15年ほど前から、ある程度長く本剤を服用している者の中に大腿骨の骨幹部の非外傷性骨折がみられることが注目されてきた。このために、欧米においては本剤の使用を控える傾向がみられ、それまで減少傾向にあった大腿骨近位部骨折頻度が減り止まるという現象すらみられた。骨粗鬆症による代表的な骨折である大腿骨の骨折は大腿骨頸部や大腿骨転子部などの大腿骨近位部に発症する(hip fracture、以下HF)。これに対してBP製剤との関連で注目される大腿骨骨折は転子下、とくに骨幹部に発症するため、非定型大腿骨骨折(atypical femur fracture、以下AFF)と呼ばれている。 さて、本論文は、BP製剤とAFFとの関連を米国のKaiser Permanente Southern California health care systemに登録された大規模データをもとに詳細に検討したものである。本論文ではBP製剤の中でも最も汎用されるアレンドロン酸の効果をみているが、本剤によって予防されるHFの数と副作用によって生ずると思われるAFFの数とを比べている。その結果、白人とアジア人の両方で前者が後者を上回り、AFFという副作用を考慮してもアレンドロン酸による治療が有用であることが確認された。ただし骨粗鬆症によるHF発症頻度はアジア人よりも白人のほうが多いことが知られているが、AFFはその逆で白人よりもアジア人に多いため、アレンドロン酸の実質的な効果は白人よりもアジア人において小さいことも示されている。なお、黒人においてはAFFの発生数がきわめて少ないため、人種間の比較対象にはなっていない。骨粗鬆症による骨折、とくにHFの予防は高齢者人口が全世界的に増え続けている今日、より重要性が増しているものの、発生率や治療薬の効果には人種差も考慮する必要があること示す重要な論文である。

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腎性貧血に新しく2剤の経口治療薬が登場/GSK、田辺三菱製薬

 8月26日、腎性貧血に対して、経口の低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬であるダプロデュスタット(商品名:ダーブロック、グラクソ・スミスクライン)とバダデュスタット(同:バフセオ、田辺三菱製薬)が発売された。HIF-PH阻害薬としては、2019年11月にロキサデュスタット(同:エベレンゾ、アステラス製薬)が発売されているが、現在の適応は透析施行中の腎性貧血のみである。一方、今回発売されたダプロデュスタットとバダデュスタットは、透析施行中だけでなく保存期の腎性貧血患者にも使用可能な治療薬で1日1回経口投与である。腎性貧血の治療薬に経口剤のHIF-PH阻害薬 高齢化や生活習慣病の進展に伴い、腎障害をもつ患者が増加しており、わが国には慢性腎臓病(CKD)のステージ3~5の患者は1,090万人と予想されている。腎臓は、エリスロポエチンなどのホルモンを産生することで赤血球の産生を促進するが、腎障害を有する患者では腎臓が十分な量のエリスロポエチンを産生することができなくなることから、腎性貧血がよく起こる。また、腎機能が低下することで腎性貧血の有病率も高くなり、CKD患者の3割に腎性貧血があるという報告もある。 腎性貧血になると、動悸や息切れ、めまいや立ちくらみ、全身倦怠感などの症状が現れるが、貧血は徐々に進行するため症状に気が付ないこともあり、定期的な検査やその後の適切な治療が必要となる。 従来、腎性貧血の治療薬は、注射剤はあったものの、患者のQOLやアドヒアランスなどは決して良好とは言い難かった。 そこで新たに開発された治療薬が経口剤のHIF-PH阻害薬で、低酸素(酸素欠乏)で生じる生理学的作用と同様の作用機序で、骨髄での赤血球産生を促し、腎性貧血を改善する。HIF-PH阻害薬は、昨年発売されたロキサデュスタット、今回発売されたダプロデュスタットとバダデュスタットのほか、enarodustat(日本たばこ産業)も近く承認される見通しである。ダプロデュスタットの製品概要製品名:ダーブロック錠1mg/2mg/4mg/6mg一般名:ダプロデュスタット製造販売承認取得日:2020年6月29日発売日:2020年8月26日薬価:ダーブロック錠1mg 105.40円/2mg 185.80円/4mg 327.40円/6mg 456.10円効能・効果:腎性貧血用法・用量:(1)保存期慢性腎臓病患者・赤血球造血刺激因子製剤で未治療の場合通常、成人にはダプロデュスタットとして1回2mgまたは4mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1日1回24mgまでとする。・血球造血刺激因子製剤から切り替える場合通常、成人にはダプロデュスタットとして1回4mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1日1回24mgまでとする。(2)透析患者通常、成人にはダプロデュスタットとして1回4mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1日1回24mgまでとする。製造販売元:グラクソ・スミスクライン販売元:協和キリンバダデュスタットの製品概要製品名:バフセオ錠150mg/300mg一般名:バダデュスタット製造販売承認取得日:2020年6月29日発売日:2020年8月26日薬価:バフセオ錠150mg 213.50円/300mg 376.20円効能・効果:腎性貧血用法・用量:成人にはバダデュスタットとして、1回300mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1日1回600mgまでとする。製造販売元:田辺三菱製薬

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ビスホスホネートの非定形大腿骨骨折リスク、服用中止後速やかに低下/NEJM

 非定型大腿骨骨折リスクは、ビスホスホネートの使用期間とともに上昇するが、使用中止後は速やかに減少することが、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のDennis M. Black氏らによる検討の結果、示された。また、リスクはアジア人のほうが白人よりも高いことや、非定型大腿骨骨折の絶対リスクは、ビスホスホネート使用に伴う大腿骨近位部骨折およびその他の骨折リスクの減少と比べると、非常に低いままであることも明らかにされた。ビスホスホネートは、大腿骨近位部および骨粗鬆症骨折を抑制する効果がある。しかし、非定型大腿骨骨折への懸念からビスホスホネートの使用が大幅に減少しており、大腿骨近位部骨折が増加している可能性が示唆されていた。NEJM誌2020年8月20日号掲載の報告。非定型大腿骨骨折と、ビスホスホネートおよびその他リスク因子の関連を評価 研究グループは、不確実性が残っている非定型大腿骨骨折とビスホスホネートおよびその他リスク因子との関連を明らかにする検討を行った。 2007年1月1日~2017年11月30日に、カイザーパーマネンテ南カリフォルニア医療システムの会員で、ビスホスホネートを処方された50歳以上の女性を追跡評価した。 主要アウトカムは非定型大腿骨骨折で、ビスホスホネートの使用を含むリスク因子データは電子健康記録から入手。骨折についてはX線画像で判定し、多変量Coxモデルを用いて解析を行った。 ビスホスホネートのリスク-ベネフィットのプロファイルを、使用期間1~10年でモデル化し、使用に関連する非定型骨折と、使用により予防したその他の骨折を比較した。ビスホスホネートの非定型骨折リスク、アジア人は白人の4.84倍 ビスホスホネートを処方された被験者女性は総数19万6,129人で、追跡期間中に発生した非定型大腿骨骨折は277件だった。多変量補正後の非定型骨折リスクは、ビスホスホネートの使用期間が長期になるほど上昇し、3ヵ月未満と比較したハザード比(HR)は、3~5年未満の使用では8.86(95%信頼区間[CI]:2.79~28.20)、8年以上では43.51(13.70~138.15)だった。 その他のリスク因子としては、アジア人種(対白人種HR:4.84、95%CI:3.57~6.56)、身長、体重(いずれも高い・重いほど上昇)、グルココルチコイドの使用などだった。 一方で、ビスホスホネートの使用中止により、非定型骨折リスクは急速に低下することが示された。 リスク-ベネフィットについては、ビスホスホネートを1~10年使用中の骨粗鬆症骨折・大腿骨近位部骨折リスクの低下は、白人については非定型骨折リスクの上昇を大幅に上回っていた。アジア人についても、大腿骨近位部骨折などビスホスホネートの予防効果は非定型骨折リスク増加を上回っていたが、白人ほど顕著ではなかった。具体的には、ビスホスホネート使用3年後の時点で、白人では大腿骨近位部骨折が149件予防され、ビスホスホネート関連の非定型骨折の発生は2件だった。これに対してアジア人ではそれぞれ、91件と8件だった。

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「ブレディニン」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第13回

第13回 「ブレディニン」の名称の由来は?販売名ブレディニン®錠25・50ブレディニン®OD錠25・50一般名(和名[命名法])ミゾリビン(JAN)効能又は効果(1)腎移植における拒否反応の抑制(2)原発性糸球体疾患を原因とするネフローゼ症候群(副腎皮質ホルモン剤のみでは治療 困難な場合に限る。また、頻回再発型のネフローゼ症候群を除く。)(3)ループス腎炎(持続性蛋白尿、ネフローゼ症候群または腎機能低下が認められ、副腎 皮質ホルモン剤のみでは治療困難な場合に限る。)(4)関節リウマチ(過去の治療において、非ステロイド性抗炎症剤さらに他の抗リウマチ薬の少なくとも1剤により十分な効果の得られない場合に限る。)用法及び用量(1)腎移植における拒否反応の抑制通常、体重1kg当り下記量1日量として、1日1~3回に分けて経口投与する。初期量としてミゾリビン2~3mg 相当量維持量としてミゾリビン1~3mg相当量しかし、本剤の耐薬量および有効量は患者によって異なるので、最適の治療効果を得るために用量の注意深い増減が必要である。(2)原発性糸球体疾患を原因とするネフローゼ症候群(副腎皮質ホルモン剤のみでは治療困難な場合に限る。)およびループス腎炎(持続性蛋白尿、ネフローゼ症候群または腎機能低下が認められ、副腎皮質ホルモン剤のみでは治療困難な場合に限る。)通常、成人1回ミゾリビンとして50mgを1日3回経口投与する。ただし、腎機能の程度により減量等を考慮すること。なお、本剤の使用以前に副腎皮質ホルモン剤が維持投与されている場合には、その維持用量に本剤を上乗せして用いる。症状により副腎皮質ホルモン剤の用量は適宜減量する。(3)関節リウマチ通常、成人1回ミゾリビンとして50mgを1日3回経口投与する。なお、症状により適宜増減する。ただし、腎機能の程度により減量等を考慮すること。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)禁忌(次の患者には投与しないこと)1.本剤に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者2.白血球数3,000/mm3以下の患者[骨髄機能抑制を増悪させ、重篤な感染症、出血傾向等が発現するおそれがある。]3.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人※本内容は2020年8月19日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2018年8月改訂(改訂第10版)医薬品インタビューフォーム「ブレディニン®錠25・50/OD錠25・50」2)旭化成ファーマ:医療関係者向け情報

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抗糸球体基底膜抗体病〔anti-glomerular basement membrane(GBM) disease〕

1 疾患概要■ 定義抗糸球体基底膜抗体病(anti-glomerular basement membrane disease:抗GBM病)とは、抗GBM抗体によって引き起こされる予後不良の腎・肺病変を指す。このうち腎病変を「抗GBM抗体型(糸球体)腎炎」または「抗糸球体基底膜腎症」と呼ぶ。本疾患の最初の記載は古く1919年Goodpastureによるが、のちに肺と腎に病変を生ずる症候群として後に「Goodpasture症候群」と呼ばれるようになった1,2)。■ 疫学頻度は比較的まれであり、発症率は人口100万人当り0.5~1.0人/年とされる。厚生労働省の調査によると、平成18年度までに集積された1,772例の急速進行性糸球体腎炎(RPGN)症例のうち抗GBM抗体型腎炎は81例(4.6%)、肺出血を伴うGoodpasture症候群は27例(1.5%)、抗GBM病は合計6.1%であった。抗GBM抗体型腎炎の平均年齢は61.59歳(11~77歳)、Goodpasture症候群の平均年齢は70.88歳(57~93歳)と高齢化が進んでいる3)。■ 病因自己抗体である抗GBM抗体が原因と考えられており、腎糸球体と肺胞の基底膜に結合し、基底膜を破綻させて発症する。抗GBM抗体の対応抗原は、糸球体基底膜や肺毛細血管基底膜に分布するIV型コラーゲンα3鎖のC末端noncollagenous domain1(NC1ドメイン)の、N末端側17-31位のアミノ酸残基(エピトープA:EA)ないしC末端側127-141位のアミノ酸残基(エピトープB:EB)である4,5)。このうち、EBエピトープを認識する抗体が腎障害の重症化とより関連すると推定されている。IgGサブクラスでは、IgG1とIgG3が重症例に多いとの報告もある。α5鎖のNC1ドメインEA領域も抗原となりうる。通常の状態においては、これらの抗原エピトープはIV型コラーゲンα345鎖で構成された6量体中に存在し、基底膜内に埋没している(hidden antigen)。抗GBM抗体型腎炎では、感染症(インフルエンザなど)、吸入毒性物質(有機溶媒、四塩化炭素など)、喫煙などにより肺・腎の基底膜の障害が生じ、α345鎖の6量体が解離することで、α3鎖、α5鎖の抗原エピトープが露出し、これに反応する抗GBM抗体が産生される。この抗GBM抗体の基底膜への結合を足掛かりに、好中球、リンパ球、単球・マクロファージなどの炎症細胞が組織局所に浸潤し、さらにそれらが産生するサイトカイン、活性酸素、蛋白融解酵素、補体、凝固系などが活性化され、基底膜の断裂が起こる。腎糸球体においては、断裂した毛細管係蹄壁から毛細血管内に存在するフィブリンや炎症性細胞などがボウマン囊腔へ漏出するとともに、炎症細胞から放出されるサイトカインなどのメディエーターによってボウマン囊上皮細胞の増殖、すなわち細胞性半月体形成が起こる。後述のように、以前より抗GBM抗体と抗好中球細胞質抗体(ANCA)の両者陽性の症例の存在が知られており、抗GBM抗体型腎炎症例の多くで、発症の1年以上前から低レベルのANCAが陽性となっているとの報告がある。ANCAによりGBM障害が生じ、抗原エピトープが露出する可能性が推測されている。最近、MPOと類似構造をもつperoxidasinに対する抗体が抗GBM病の患者から発見されたと報告され、病態における意義が注目される6)。また、以前より感染が契機になることが推測されているが、最近、Actinomycesに存在するα3鎖エピトープと類似のペプチド断片がB細胞、T細胞に認識され抗GBM病の発症に関与することを示唆する報告がなされている7)。■ 症状・所見症状は、肺出血による症状のほか、倦怠感や発熱、体重減少、関節痛などの全身症状が高頻度で見られる8)。初発の症状としては、全身倦怠感、発熱などの非特異的症状が最も多い。肉眼的血尿も比較的高頻度で見られる。タバコの喫煙歴、直近の感染の罹患歴を調べることも重要である。■ 分類2012年改訂Chapel Hill Consensus Conference(CHCC)分類では、抗GBM病は、基底膜局所でin situ免疫複合体が形成されて生ずる病変であるため、免疫複合体型小型血管炎に分類されている9)。抗GBM病は、(1)腎限局型の抗GBM抗体型腎炎、(2)肺限局型抗GBM抗体型肺胞出血、(3)腎と肺の双方を障害する病型(Goodpasture症候群)の3つに分けられる。肺胞出血を伴う場合と伴わない場合があり、遅れて肺出血が見られることもある。2012年に改訂されたChapel Hill Consensus Conference(CHCC)分類では、抗GBM抗体陽性の血管炎を抗GBM病(anti-GBM disease)とし、肺と腎のどちらかあるいは両者が見られる病態を含むとしている。腎と肺の双方を障害する病型はGoodpasture症候群と呼ばれる。■ 予後予後規定因子としては、治療開始時の腎機能、糸球体の半月体形成率が挙げられる。Levyらは85例の抗GBM抗体型腎炎患者の腎予後を後ろ向きに検討し、治療開始の時点で、血清Cr値が5.7mg/dL以上または透析導入となった重症例、半月体が全糸球体に及ぶ場合は腎予後不良としている10)。抗GBM抗体価と腎予後・生命予後については、一般に、高力価の抗GBM抗体陽性所見は予後不良因子と考えられている。Herodyらは、診断時の腎機能、無尿、腎生検所見とともに抗GBM抗体価が有意な腎予後不良因子であったと報告している11)。2001年のCuiらの報告でも、抗GBM抗体価が患者死亡の独立した予知因子であることが示されている12)。抗GBM抗体が陰性となり、臨床的に寛解に至ればその後の再燃はまれである。ただし、初発時より長年経過して再発した例も報告されているため、経過観察は必要である。ANCA同時陽性例では抗GBM抗体単独陽性例よりも再燃が多い傾向にある。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 検査所見全例で、血尿と腎炎性尿所見、血清クレアチニン値の急上昇、強い炎症所見(CRP値高値)を認める。肉眼的血尿のこともある。尿蛋白もさまざまな程度で見られ、時にネフローゼレベルに達することもある。貧血も高度のことが多い。抗GBM抗体が陽性となり、確定診断に必須である。抗GBM抗体値は病勢とほぼ一致し、治療とともに陰性化することが多い。抗GBM抗体とANCA(とくにMPO-ANCA)の両者が陽性になる症例が存在し、抗GBM抗体型腎炎のANCA陽性率は約30%、逆に、ANCA陽性患者の約5%で抗GBM抗体が陽性と報告されている13)。腎生検、高度の半月体形成性壊死性糸球体腎炎の病理所見が見られる。蛍光抗体法では、係蹄壁に沿ったIgGの線状沈着を示す。■ 診断と鑑別診断診断基準は以下の通りである。1)血尿(多くは顕微鏡的血尿、まれに肉眼的血尿)、蛋白尿、円柱尿などの腎炎性尿所見を認める。2)血清抗糸球体基底膜抗体が陽性である。3)腎生検で糸球体係蹄壁に沿った線状の免疫グロブリンの沈着と壊死性半月体形成性糸球体腎炎を認める。上記の1)および2)または1)および3)を認める場合に「抗糸球体基底膜腎炎」と確定診断する。鑑別としては、臨床的に急速進行性糸球体腎炎を示す各疾患(ANCA関連腎炎、ループス腎炎など)や急性糸球体腎炎を示す疾患が挙げられるが、検出される抗体により鑑別は通常容易である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)治療の目標は、可及的速やかに腎・肺病変を改善すると同時に、病因である抗GBM抗体を取り除くことである。腎予後が期待できず、肺出血が見られない場合を除き、ステロイドパルス療法を含む高用量の副腎皮質ステロイドと血漿交換療法による治療を早急に開始する12,14)。シクロホスファミドの併用が推奨されている。血漿交換は、血中から抗GBM抗体が検出されなくなるまで頻回に行う。重要なのは、治療が遅れると腎予後は著しく不良となる、腎機能低下が軽度の初期の段階で、全身症状・炎症所見・腎炎性尿所見などから本疾患を疑うことである。初期治療時は通常6~12ヵ月間免疫抑制療法を継続する。通常、抗GBM抗体が陰性であればそれ以上の長期維持治療は必要ない。末期腎不全患者に対する腎移植は、抗GBM抗体が陰性化してから6ヵ月後以降に行う15)。4 今後の展望B細胞をターゲットとした抗CD20抗体(リツキシマブ)が有効であったとの症例報告があるが、有用性は不明である。黄色ブドウ球菌由来のIgG分解活性を持つエンドペプチダーゼ(imlifidase:IdeS)の臨床試験が現在進行中である(NCT03157037)。5 主たる診療科腎臓内科、呼吸器内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 抗糸球体基底膜腎炎(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Goodpasture EW. Am J Med Sci. 1919;158:863-870.2)Benoit, LFL,et al. Am J Med. 1964;37:424-444.3)Koyama A, et al. Clin Exp Nephrol. 2009;13:633-650.4)Pedchenko V, et al. N Engl J Med. 2010;363:343-354.5)Chen JL, et al. Clin J Am Soc Nephrol. 2013;8:51-58.6)McCall AS, et al. J Am Soc Nephrol. 2018;29:2619-2627)Gu Q, et al. J Am Soc Nephrol. 2020;31:1282-1295. 8)Levy JB, et al. Kidney Int. 2004;66:1535-1540.9)Jennette J, et al. Arthritis Rheum. 2012;65:1-11.10)Levy JB, et al. Ann Intern Med. 2001;134:1033-1042.11)Herody M, et al. Clin Nephrol. 1993;40:249-255.12)Cui Z, et al. Medicine(Baltimore). 2011;90:303-311.13)Levy JB, et al. Kidney Int. 2004;66:1535-1540.14)KIDIGO Clinical Practice Guideline. Anti-glomerular basement membrane antibody glomerulonephritis. Kidney Int. 2012(Suppl2):233-242.15)Choy BY, et al. Am J Transplant. 2006;6:2535-2542.公開履歴初回2020年08月18日

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「COVID-19×高血圧」を徹底討論!日本高血圧学会がwebシンポ開催

 COVID-19は依然、収束の兆しが見えず、第2波、第3波を迎え撃つ備えが求められている。日本高血圧学会は8月29日、「高血圧×COVID-19白熱みらい討論」と題し、ライブ配信でシンポジウムを開催する。COVID-19を念頭に置いた新たな高血圧診療のあり方を巡り、各領域のスペシャリストたちが、文字通り白熱した議論を交わす。今回は同学会の学術総会として初の試みとなるウェブ開催であり、参加視聴者とパネリストの垣根を超えたインタラクティブなやり取りも期待できる。参加には事前の予約申し込みが必要で、ウェブの専用ページで8月20日まで受け付けている。【開催概要】 ライブ配信特別企画「高血圧×COVID-19白熱みらい討論」 開催日時:2020年8月29日(土) 18:30~20:30 開催方法:Zoomウェビナーを使用した生配信(視聴参加は事前登録制) 参加(視聴)対象:会員(正会員、準会員)、非会員(医療従事者) ※参加した高血圧専門医には更新単位2単位(前半、後半各1単位)を付与 参加(視聴)料:無料 申し込み方法:予約専用URL(Googleフォーム)より事前登録<第1部> COVID-19と高血圧診療Hot topicsを掘り下げる!(18:30~19:30) 司会: 甲斐 久史氏(久留米大学医療センター循環器内科) 柴田 茂氏(帝京大学医学部内科学講座腎臓内科) パネリスト・演者: 「高血圧患者とCOVID-19 重篤化の関係(疫学)」 浅山 敬氏(帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座) 田中 正巳氏(慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科) 「SARS-CoV-2と心血管系(ACE2、内皮障害と血栓形成、脳血管障害)」 山本 浩一氏(大阪大学医学部老年・腎臓内科学) 茂木 正樹氏(愛媛大学大学院医学系研究科薬理学) 「COVID-19に伴う心血管障害・腎障害」 星出 聡氏(自治医科大学循環器内科) 柴田 茂氏(帝京大学医学部内科学講座腎臓内科) 「降圧治療薬とCOVID-19(臨床)」 岸 拓弥氏(国際医療福祉大学大学院医学研究科) 山本 英一郎氏(熊本大学医学部附属病院循環器内科)<第2部> これからの高血圧をどうするか? ~ひとこと物申しバトル~ (19:30~20:30) 座長: 野出 孝一氏(佐賀大学医学部循環器内科) 岸 拓弥氏(国際医療福祉大学大学院医学研究科) パネリスト: 伊藤 裕氏(慶應義塾大学医学部内科学腎臓内分泌代謝内科、日本高血圧学会理事長):全体 赤澤 宏氏(東京大学大学院医学系研究科循環器内科学):Digital Hypertension 三浦 克之氏(滋賀医科大学社会医学講座公衆衛生学部門):疫学研究 西山 成氏(香川大学医学部薬理学講座):基礎研究 宮川 政昭氏(宮川内科小児科医院、日本医師会常任理事):実地医療  林 香氏(慶應義塾大学医学部内科・腎臓内分泌代謝内科):若手・女性代表

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ダパグリフロジン、2型DM合併問わずCKD患者に有益/AstraZeneca

 AstraZeneca(本社:英国ケンブリッジ)は、同社が行ったダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)の第III相DAPA-CKD試験の結果を発表した。プラセボと比較し主要評価項目で腎保護を達成 慢性腎臓病(CKD)は、腎機能が低下することにより起こる重篤な進行性の疾患。最も一般的な原因疾患は、糖尿病、高血圧、糸球体腎炎で、重篤な状態になると腎障害および腎機能低下が進行し、血液透析や腎移植を必要とする末期腎不全(ESKD)となる。全世界で約7億人の患者が推定されている。 今回結果が報告されたDAPA-CKD試験は、2型糖尿病合併の有無を問わず、CKDのステージ2~4、かつ、アルブミン尿の増加が確認された4,304例のCKD患者を対象に、ダパグリフロジン10mg投与による効果と安全性をプラセボと比較検討した国際多施設共同無作為化二重盲検比較試験。 発表によるとダパグリフロジンは、成人CKD患者における、腎機能の悪化または死亡に関する主要複合評価項目(推定糸球体ろ過量[eGFR]の50%以上の持続的低下、末期腎不全への進行、心血管死、腎不全による死亡のいずれかの発生と定義)において、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある効果を示し、2型糖尿病合併の有無にかかわらずCKD患者において、すべての副次的評価項目も達成した。 なお、安全性および忍容性プロファイルは、本剤の確立された安全性プロファイルと一貫。ダパグリフロジンの概要 ダパグリフロジンは、経口1日1回投与で単剤療法および併用療法の一環として使われる、ファーストインクラスの選択的SGLT2阻害剤。成人2型糖尿病患者の食事、運動療法の補助療法としての血糖コントロールの改善を適応とし、体重減少と血圧低下の副次的作用を有している。2型糖尿病患者を対象とする“DECARE-TIMI58心血管アウトカム試験”では、標準治療への追加療法で、プラセボと比較し、心不全による入院または心血管死の複合評価項目におけるリスクを低下した。 さらに、2020年5月、ダパグロフロジンは、米国において2型糖尿病合併の有無に関わらず左室駆出率が低下した(HFrEF)、成人心不全患者(NYHA心機能分類:IIからIV)の心血管死および心不全による入院のリスク低下に対する承認を取得した。 なお、わが国で承認されているダパグロフロジンの適応症は「2型糖尿病」および「1型糖尿病」。2020年8月現在で慢性腎臓病の適応を取得している国および地域はない。 現在、心不全患者を対象とした“DELIVER試験(左室駆出率が保持された心不全:HFpEF)”および“DETERMINE試験(HFrEFおよびHFpEF)”も進行中であり、同社では、「本試験は2型糖尿病合併の有無にかかわらず、慢性腎臓病患者において生存期間の改善を含む試験開始当初の想定をはるかに上回る有効性を示した最初の試験。この結果を今後、世界の科学コミュニティや保健当局と共有してきたい」と期待を寄せている。

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ISCHEMIA-CKD試験における血行再建術の有用性検討について(解説:上田恭敬氏)-1259

 中等度から高度の心筋虚血所見を認める重症CKD合併安定狭心症患者に対して、薬物療法に加えて血行再建術(PCIまたはCABG)を施行する(invasive strategy)か否か(conservative strategy)で2群に無作為に割り付けたRCTであるISCHEMIA-CKD試験からの報告で、invasive strategyの症状軽減効果について解析した結果である。 3ヵ月の時点ではinvasive strategyで症状軽減効果が示されたが、3年後にはその差は消失した。また、試験登録時の症状出現頻度が低いほど、その有効性は小さかった。著者らはconservative strategyに比してinvasive strategyに有用性はないと結論している。 本当に意味のない試験あるいは解析と言ったら言い過ぎだろうか。まず、試験登録時点で症状を認めない患者が約半数含まれており、これらの対象患者への症状軽減効果を検討すること自体無意味であろう。また、invasive strategy群に割り付けられた患者が実際に血行再建術を受けた割合が約50%というのもお粗末な結果である。血行再建術を行わなかった「common」な理由として狭窄病変がなかったことと記載されていることや、そもそも虚血評価をコアラボで行っていないことから考えると、適切な対象患者が選択されたのか疑問である。さらに、conservative strategy群でも約20%の患者で血行再建術が施行されていることも、invasive strategyの効果を正しく検証することを妨げる要因となっているだろう。 明らかに労作性狭心症の原因となる狭窄病変があり、血行再建術が成功すれば、症状は消失あるいは軽減するはずである。その有効性が失われるとすれば、血行再建術の不成功、再狭窄や新規病変の出現が原因となることが想定されるが、この影響がCKDを合併している患者群においては大きいかもしれず、血行再建術の効果が十分発揮されないかもしれないという考えが、本試験を企画するモチベーションとなっていたのだろう。しかし、その点を検証するには、あまりにも不適切な試験デザインとなってしまったのではないだろうか。「CKD合併狭心症患者では、症状改善効果も期待できないため、PCIをしても意味がない」といった間違ったメッセージだけがエビデンスと称して独り歩きしないか心配である。

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高尿酸血症はCKDの発症や進行の危険因子ではあっても主たる原因とはならないか(解説:浦信行氏)-1256

 従来、高尿酸血症はCKD発症や進行の有意な危険因子であり、血圧や肥満度などの各種関連因子を調整しても依然として有意な危険因子であるとする報告は数多く見られる。このような研究報告はわが国でも多数見られ、代表的なものにIseki K.らの沖縄での研究、久山町研究、聖路加病院における研究などがあり、いずれも大規模な前向き研究である。また、腎組織との関連についてもKohagura K.らは167例の腎生検組織の血管病変の程度と血清尿酸値が有意に関連すると報告している。血清尿酸値の低下がCKDの臨床像を改善するか否かは、今まで大規模な研究がほとんどない。アロプリノールの効果を評価したRCTはいずれも小規模でSiu YP.らは54例、Goicoechea M.らは113例であり、いずれもCKDの進行抑制を報告している。Kanji T.らは19のRCTの992例のメタ解析の結果を報告しているが、研究期間が最長6ヵ月といずれも短期間であり、蛋白尿の低減効果を報告するにとどまっている。 このたび、NEJMからアロプリノールのCKD進行抑制効果に関する成績が報告された。その結果は、CKD進行抑制効果は認めなかったと報告された。高尿酸血症はCKD発症や進行の危険因子ではあっても主たる原因ではないのか。しかし、この研究には複数の限界がある。(1)目標症例は620例であったが登録の遅れで369例にとどまった。しかも治療中断例がアロプリノール群で54例、対照群で45例であり、大幅な統計学的パワーの喪失は無視できないと考える。(2)ベースラインの平均eGFRが31.7mL/min/1.73m2と、CKD 4程度のすでにかなり進行した例である。おそらく組織的にも糸球体血管病変が高度であると推測され、従来報告されている軽症~中等症例は別に検討する必要がある。(3)アロプリノールは100~300mg投与であるが投与のタイミングの記載がない。アロプリノールやその活性代謝産物は必ずしも半減期は長くない。血清尿酸値は生成酵素のXORが夜間に活性が高くなることから夜間から早朝にかけて上昇する。24時間にわたりXORを抑制する状況であったらどうであったか、など。これらをクリアーしたより統計学的なパワーの大きな研究が待たれる。

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リナグリプチンの心血管・腎の安全性/日本ベーリンガーインゲルハイム

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は、心血管疾患の既往もしくは心血管イベントリスクのある、アジアの早期成人2型糖尿病患者を対象としたCAROLINA試験のサブグループ解析の結果を発表した。 発表によれば、本解析においてグリメピリドと比較し、リナグリプチン(商品名:トラゼンタ)は心血管疾患の既往もしくは心血管イベントリスクのあるアジアの早期成人2型糖尿病患者において心血管リスクを増加させないことが明らかになった1)。 また、心血管や腎イベント、またはその両方のリスクが高い成人2型糖尿病患者を対象としたCARMELINA試験とともに、アジアの幅広い2型糖尿病患者におけるリナグリプチンの心血管および腎の安全性のプロファイルが示された2)。CAROLINA試験でリナグリプチンの安全性を評価 世界に糖尿病患者は約4億6,300万人おり、うち半数以上の2億5,100万人が東南アジアと西太平洋地域の患者と推定されている。糖尿病治療の目標は、合併症を予防し、健康人と変わらないQOLの維持、寿命の維持とされている中で合併症の進展防止は大きな課題となっている。 今回発表されたCAROLINA試験は、成人2型糖尿病患者において、リナグリプチンとグリメピリドを比較する心血管アウトカム試験で、43ヵ国600以上の施設から6,033人が参加し、中央値6年以上にわたり観察を行う多施設共同無作為化二重盲検実薬対照試験。心血管疾患の既往もしくは心血管イベントリスクのある、成人2型糖尿病患者に対するリナグリプチン(5mgの1日1回投与)の心血管安全性への影響について、SU薬のグリメピリドを対照として評価することを目的として計画されている。 この試験のサブグループ解析では、全参加者の15.5%にあたるアジアの成人2型糖尿病患者933人が解析対象とされた。その結果、リナグリプチン投与群では、グリメピリド投与群と比較して、低血糖の発現率が低値だった。すべての重症度分類の低血糖の発現率は、グリメピリド投与群の42.1%に対し、リナグリプチン投与群では13.1%。リナグリプチン投与群では、グリメピリド投与群と比較して、体重の増加は認められず、グリメピリド投与群との体重差の平均値は-1.82kgだった。 また、リナグリプチンは長期安全性に関する包括的な臨床データとして、本試験とCARMELINA試験の2つの心血管アウトカム試験のエビデンスを有している。 CARMELINA試験は、心血管イベントあるいは腎イベント、またはその両方のリスクが高い成人2型糖尿病患者において、リナグリプチンの心血管および腎アウトカムへの影響を評価する試験で、27ヵ国600以上の施設から成人2型糖尿病患者6,979人が参加し、中央値2.2年にわたり観察を行う多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験。この試験でも心血管イベントあるいは腎イベント、またはその両方のリスクが高いアジアの成人2型糖尿病患者において、リナグリプチンがプラセボに対して心血管および腎イベントのリスクを増加させないことが示された。そして、これらの結果は、CARMELINA試験の全体集団の結果と一貫していた。リナグリプチンの特徴 成人2型糖尿病患者での血糖降下作用をもつ、1日1回投与のDPP-4阻害薬。年齢、罹病期間、人種、BMI、肝機能および腎機能に関係なく、同一用量で成人2型糖尿病患者に処方ができる。本剤は、すべてのDPP-4阻害薬の中で最も低い腎排泄率を示している。なお、本剤は、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーのアライアンスによって開発・販売されている。

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カリウムイオンを補足する非ポリマー型高K血症治療薬「ロケルマ懸濁用散分包5g/10g」【下平博士のDIノート】第53回

カリウムを便中に出す非ポリマーの高カリウム血症治療薬「ロケルマ懸濁用散分包5g/10g」今回は、高カリウム血症改善薬「ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム水和物(商品名:ロケルマ懸濁用散分包5g/10g、製造販売元:アストラゼネカ)」を紹介します。本剤は、体内に吸収されない非ポリマーの無機陽イオン交換化合物で、消化管内のカリウムイオンを選択的に捕捉して便中に排泄させることにより、血清カリウム値を低下させます。<効能・効果>本剤は高カリウム血症の適応で、2020年3月25日に承認され、2020年5月20日より発売されています。なお、本剤は効果発現が緩徐であるため、緊急の治療を要する高カリウム血症には使用できません。<用法・用量>通常、成人には開始用量として1回10gを水で懸濁して1日3回、2日間(血清カリウム値や患者の状態に応じて最長3日間まで)経口投与します。以後の維持量は1日1回5gですが、血清カリウム値や患者の状態に応じて1日1回15gを超えない範囲で適宜増減できます。なお、増量を行う場合は5gずつとし、1週間以上の間隔を空けます。血液透析施行中の場合は、初回から1回5gを水で懸濁して、非透析日に1日1回経口投与します。なお、最大透析間隔後の透析前の血清カリウム値や患者の状態に応じて、1日1回15gを超えない範囲で適宜増減します。<安全性>本剤承認の根拠となった主要な第III相試験(非透析患者を対象としたHARMONIZE Global試験、J-LTS試験および慢性血液透析患者を対象としたDIALIZE試験)において確認された主な副作用は、浮腫、体液貯留、全身性浮腫、末梢性浮腫、末梢腫脹、便秘(いずれも10%未満)などでした(承認時)。なお、重大な副作用として、低カリウム血症(11.5%)、うっ血性心不全(0.5%)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.このお薬は、消化管内で吸収される前のカリウムを吸着し、便とともに排泄することで、血液中のカリウム値を低下させます。2.分包された薬剤を容器にすべて出してから、約45mL(大さじ3杯)の水と合わせて服用します。この薬は水に溶けないため、よくかき混ぜて、沈殿する前に飲んでください。飲んだ後に容器に薬が残っていたら、水を追加して再度かき混ぜてすべて服用してください。3.飲み忘れた場合は、1回飛ばして、次に飲む時間に1回分を飲んでください。絶対に2回分を一度に飲まないでください。4.いつもと違う手足のだるさ、力が抜ける感じ、筋肉のこわばり、呼吸のしにくさ、めまい、動悸などがある場合は、薬が効き過ぎている可能性があるため、すぐにご連絡ください。<Shimo's eyes>通常、カリウムは腎臓から排泄されて血中のカリウム値は一定の範囲に保たれますが、慢性腎臓病患者や透析患者では、腎機能の低下によりカリウム排泄が低下するため、高カリウム血症を発症しやすくなります。高カリウム血症に用いる既存のカリウム吸着薬としては、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム製剤(商品名:ケイキサレート)およびポリスチレンスルホン酸カルシウム製剤(同:カリメート、アーガメイトゼリーなど)があり、いずれもポリマーで構成された陽イオン交換樹脂製剤です。既存薬には独特の味と舌触りがあり、投与量が多いことも相まって、患者さんが継続服用するのが困難な場合があります。飲みにくさを改善するために、ゼリー製剤やフレーバーが開発されているだけでなく、複数の医療機関から飲みやすさの工夫に関する研究結果も報告されています。また、ポリマー性吸着薬は水分によって膨張するため、便秘や腹痛、腹部膨満感などの懸念があります。本剤は国内初となる非ポリマー無機陽イオン交換化合物で、消化管内のカリウムイオンを選択的に捕捉して便中に排泄させます。無味無臭の白色粉末で、開始時は10gを1日3回経口投与であるものの、3日目からは通常5gを1日1回となり、服用量・回数共に比較的少ないため、アドヒアランスの向上が期待できます。本剤の相互作用については、胃内pHの上昇によって、アゾール系抗真菌薬、チロシンキナーゼ阻害薬などの溶解性低下が起きることがあるので、注意が必要です。生活指導としては、腎臓への負担を少しでも減らすために、カリウムを多く含む食品の過剰摂取に注意することや、茹でたり水にさらしたりするなどの調理方法の工夫を伝えましょう。参考1)PMDA 添付文書 ロケルマ懸濁用散分包5g/ロケルマ懸濁用散分包10g

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