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曝露前の発症抑制の適応を取得したコロナ抗体薬「エバシェルド筋注セット」【下平博士のDIノート】第106回

曝露前の発症抑制の適応を取得したコロナ抗体薬「エバシェルド筋注セット」今回は、抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体「チキサゲビマブ(遺伝子組換え)/シルガビマブ(遺伝子組換え)(商品名:エバシェルド筋注セット、製造販売元:アストラゼネカ)」を紹介します。本剤は、SARS-CoV-2による感染症の治療に加え、曝露前の発症抑制にも使用することができる世界初の薬剤です。<効能・効果>本剤は、SARS-CoV-2による感染症およびその発症抑制の適応で、2022年8月30日に特例承認されました。<用法・用量>SARS-CoV-2による感染症通常、成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、チキサゲビマブ(遺伝子組換え)/シルガビマブ(遺伝子組換え)としてそれぞれ300mgを併用により筋肉内注射します。SARS-CoV-2による感染症の発症抑制通常、成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、チキサゲビマブ(遺伝子組換え)/シルガビマブ(遺伝子組換え)としてそれぞれ150mgを併用により筋肉内注射します。SARS-CoV2変異株の流行状況などに応じて、チキサゲビマブ(遺伝子組換え)/シルガビマブ(遺伝子組換え)としてそれぞれ300mgを併用により筋肉内注射することもできます。なお、2剤は混和せずにそれぞれ筋肉内注射を行い、投与部位は左右の臀部とします。<安全性>主な副作用として、注射部位反応(発現頻度 1%以上)、発疹・蕁麻疹や注射に伴う反応(発現頻度 1%未満)が報告されています。なお、重大な副作用として、アナフィラキシーを含む重篤な過敏症(頻度不明)が現れることがあります。<患者さんへの指導例>1.本剤は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療または発症抑制に用いられる薬です。2種類の中和抗体を投与することで、新型コロナウイルスに対する中和作用を示します。2.過去に薬剤などで重篤なアレルギー症状を起こしたことのある方は必ず事前に申し出てください。3.投与中または投与後に、発熱、悪寒、吐き気、不整脈、胸痛、脱力感、頭痛のほか、過敏症やアレルギーのような症状が現れた場合は、すぐに医療者または医療機関に連絡してください。<Shimo's eyes>エバシェルド筋注セットは、新型コロナウイルス感染症の「治療」と「発症抑制」の適応を取得した抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体です。ワクチンを除き、新型コロナウイルス曝露前の発症抑制に用いることのできる初めての医薬品です。既承認薬のカシリビマブ/イムデビマブ(商品名:ロナプリーブ)も発症抑制の適応を有していますが、カシリビマブ/イムデビマブの対象患者は濃厚接触者であり、本剤の対象は濃厚接触者ではない曝露前の人という違いがあります。治療目的での投与対象は、軽症~中等症I相当で、重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者です。しかし、供給量が限られていることや治療を目的とした薬は他にもあることから、当面の間は発症抑制を目的とした投与に限って薬剤が供給されます。発症抑制目的での投与対象は、新型コロナウイルスに対するワクチン接種が推奨されない人や、免疫機能低下などによりワクチン接種で十分な免疫応答が得られない可能性がある人です。事務連絡では、日本感染症学会の「COVID-19に対する薬物治療の考え方 第14版」(2022年8月30日)を踏まえて以下のようになっています。抗体産生不全あるいは複合免疫不全を呈する原発性免疫不全症の患者B細胞枯渇療法(リツキシマブなど)を受けてから1年以内の患者ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬を投与されている患者キメラ抗原受容体T細胞レシピエント慢性移植片対宿主病を患っている、または別の適応症のために免疫抑制薬を服用している造血細胞移植後のレシピエント積極的な治療を受けている血液悪性腫瘍の患者肺移植レシピエント固形臓器移植(肺移植以外)を受けてから1年以内の患者T細胞又はB細胞枯渇剤による急性拒絶反応で最近治療を受けた固形臓器移植レシピエントCD4Tリンパ球細胞数が50cells/μL未満の未治療のHIV患者発症抑制の効果については、海外第III相試験(PROVENT 試験)において、プラセボ群と比較して、RT-PCR検査で陽性が確認された患者の症状のリスク減少率は76.7%であり、統計学的に有意な差が認められました。また、1回投与後、少なくとも6ヵ月間は感染抑制効果が持続することが示されています。新型コロナウイルス感染症の予防の基本はワクチン接種ですが、ワクチンを接種することができない人や効果が不十分と考えられる人に対するワクチン以外の予防の選択肢として期待されます。また、筋注ということから、訪問診療において曝露前の患者への投与が簡便であることも利点の1つと考えられます。<流通・費用>本剤は一般流通を行わず、厚生労働省が所有した上で、流通委託先を通じて対象医療機関に配分・無償譲渡されます。発症抑制目的での投与に限って配分されるため、計画的な投与が可能であることから在庫配置は認められていません。患者負担については、本来は薬剤費を含めて全額自己負担となるところですが、本剤を必要とする対象者にとって過度な負担とならないように、投与時の自己負担分の徴収金額は3,100円以下となる方針です。

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オミクロン流行も学術集会の現地参加は問題ない?

 国内の学術集会が軒並みオンライン中心で実施されるなか、海外ではマスクなしで大勢の参加者が現地に赴いているというが、大丈夫なのだろうか。米国・Surgical Outcomes and Quality Improvement CenterのCasey M Silver氏らが、新型コロナウイルスのオミクロン株が急増中に開催された大規模な学会において、現地出席者とオンライン出席者の新型コロナウイルス感染症の陽性率を比較した。それによると、ほとんどの登録者は会議に直接出席するも、陽性率は低く、現地出席者とオンライン出席者の間で陽性率が同等であったことが示唆された。JAMA Network Open 2022年9月1日号掲載の報告。 本横断的調査研究には、米国最大の外科学会の1つであるAcademic Surgical Congress (ASC) の参加者が含まれた。ASCは2022年2月1~3日にフロリダ州オーランドで開催(現地またはオンライン参加)。その際の新型コロナ感染予防対策として、自己検査の奨励、ワクチン接種とマスク着用の義務化、屋外での飲食物の提供などが行われた。学会後7日間の新型コロナ検査と症状を評価する調査のために登録者を募集した。また、現地出席者とオンライン出席者の陽性率の違いはχ2検定を使用して評価された。 主な結果は以下のとおり。・1,617人の学会参加者のうち、681人(42.1%)が調査に回答した。内訳は187人が学生(27.4%)、234人が研修医(34.3%)、226人が医師(33.2%)だった。・回答者のうち、135人(19.8%) がオンライン、546人(80.2%) が現地参加だった。会議前の検査で陽性だった6人(4.4%)はオンライン参加となった。・すべての現地参加者はワクチン完全接種を受けており、500人(91.6%)がブースター接種も済ませていた。・会議から7日以内に10人の現地参加者(1.8%)と 2人のオンライン参加者(1.5%) から陽性と報告を受けたが、陽性率の差は統計学的に有意ではなかった(p=0.83)。・彼らに共通した検査理由は、「新型コロナに感染していないことを確認したかった」(86人[69.3%])だった。4人が症状について報告したが検査は行われなかった。・陽性者全員がブースター接種を済ませており、10人中7人は欠勤(平均日数±SD:4.8±2.7日)するも、入院した者はいなかった。 研究者らは「対面を再開している学術集会もあるが、新たな亜種が出現するたびに、コロナ曝露のリスクを評価し続けることが重要。ASCは、オミクロン株の急増がピークに達した直後に開催したが会議の主催者がリスクを考慮して安全対策を迅速に適応させた。本結果は、職業上、曝露リスクが高くワクチン接種率も高い医師に対し、コロナ対策が効果的だった」とするも、「新型コロナ陽性の出席者は旅行中にウイルス感染した可能性があるが、感染は依然として現地出席に関連していたことに注意することが重要」と記している。 なお、日本人医師が希望する学術集会の開催形式の在り方について、今年2月にケアネット会員医師(n=1,031)へ行ったアンケート調査によると、現地・オンラインのハイブリッド希望者は60%、オンラインは27%、現地は13%だった。

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第126回 これは屁理屈なんじゃ…国産コロナ薬への補足説明を見てビックリ!

先日の本連載(第125回)で取り上げた日本感染症学会と日本化学療法学会による新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の治療薬候補エンシトレルビル(商品名:ゾコーバ)の緊急承認を求めた合同提言。SNS上などでは非難囂々だったが、これに対し学会側が9月8日、補足説明なる文書を改めて発表した。この文書を読んでみたが、正直な感想を言えば「は?これが補足説明?」と思ってしまった。今回はこの内容について私見ながら批判的吟味を加えてみたい。補足説明は6項目に分かれている。1.本提言の公表までのプロセス2.この時期に提言を出した理由について3.抗ウイルス薬が十分に使われていない現状に関して4.ウイルス量を早期に減らすことの意義に関して5.今回ゾコーバに関して緊急承認の適応を求めたことに関して6.今回の提言と4学会声明の違いについてこの中で個人的に気になったのは、1、2、4、5番目の内容である。まず1番目。これによると、提言のきっかけは、2022年7月20日に行われた薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会・薬事分科会の合同審議の後に「“多くの患者さんが連日亡くなられており医療逼迫・医療崩壊が起こっている状況にもかかわらず、審議会ではその状況を踏まえた検討がなされていないのではないか。また、当日の議論が抗ウイルス薬としての評価ではなく、ほかの内容がほとんどを占めているのは問題ではないのか”とのご意見が寄せられ、“感染症学会・化学療法学会として提言を出すべきではないか”とのご意見がありました」という状況を踏まえてのことだったという。この“意見”なるものの認識がずれているように思う。そもそも今回のエンシトレルビルに関しては、合同審議に先立って開催された薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会単独の審議で、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査結果の説明とそれを基にした議論で抗ウイルス効果については検討済みである。しかも、そのうえで緊急承認制度が必須とする薬事分科会も含めた合同会議で再度検討が行われており、抗ウイルス効果について科学的議論がおろそかにされた形跡はない。補足説明ではこの“意見”を基に「日本感染症学会・日本化学療法学会で今後の方向性について話し合って頂く方を両学会から選出した後、ウェブ会議を8月中に2回行うとともにメールでの意見交換を行いました。意見をふまえて作成した提言案を、さらに両学会の役員(理事・監事)全員にお示ししてご意見を伺いました。頂いたご意見はさまざまでしたが、提言を出すことに対して反対意見はありませんでした。役員の先生方のご指摘をなるべく反映させる形で修正を行い、8月下旬に最終案をまとめました」とある。審議経過に不審な点はないと強調したいのだろう。だが、気になるのは「今後の方向性について話し合って頂く方を両学会から選出」と言う点である。この際の選出基準はどのようなものであったのか、また、中核になって議論したメンバーが誰かも不明である。たとえば、日本感染症学会では過去にもさまざまな提言を発表しているが、その際は検討した委員会名や委員名、その利益相反が開示されていることが多い。少なくとも過去と比べ、今回の提言はこの点で透明性が確保されているとは言いがたい。次に2番目。要約すると、すでにオーストラリアや東アジアでインフルエンザが流行しており、それを踏まえると、今秋以降に日本で同様のことが起こりえること、そこに新型コロナの流行も重なれば、医療逼迫が深刻化する恐れについて言及している。これを踏まえて▽新型コロナウイルス感染症の早期診断、早期治療の必要性▽ニルマトレルビル/リトナビルやモルヌピラビルの高齢者や基礎疾患保有者への投与▽後遺症で苦しむ可能性がある重症化リスクのない患者へのエンシトレルビルの投与を可能にする、ことで医療逼迫を回避すべきと指摘している。ここで突如、エンシトレルビルの話が出てくる。重症化しにくい若年者でも新型コロナの後遺症リスクがあるのは確かだが、ここで後遺症いわゆるLong COVIDに言及したことで、私は7月20日の審議のある光景が浮かんでしまう。それはまさにこの審議に参考人として出席した日本感染症学会理事長の四柳 宏氏が、あるデータを基に意見陳述した光景である。あるデータとは塩野義製薬がエンシトレルビルについて行った第II/III相試験の第IIb相パートのサブ解析結果の1つで、合同審議の際に追加的に提出されたもの。それによると、エンシトレルビルあるいはプラセボ投与開始から3週間後の新型コロナ関連12症状の有無では、プラセボ群に比べ、エンシトレルビル群では有症状者の割合が有意に低率だったというものだ。確かにデータ上はその通りだ。しかし、そもそもエンシトレルビルの緊急承認が保留になった最大の要因は、過去の本連載(第118回)でも触れたようにエンシトレルビル群ではプラセボ群に比べ、ウイルス力価とウイルスRNA量の低下が有意に認められながら、新型コロナ関連12症状の改善では有意差がなかったことに起因している。そして塩野義製薬や参考人だった感染症専門医は、この12症状のうちオミクロン株感染時に特徴的な呼吸器症状などの4症状では改善効果があったとし、オミクロン株感染者の薬効評価では12症状改善を指標にすることの妥当性にもやんわり疑問を呈している。にもかかわらず、Long COVIDになると、エンシトレルビル群で12症状改善の面で有意差を認めた、と言われても「都合の良いサブ解析結果を総動員させているだけでは?」と疑われて仕方がないのではないだろうか。補足説明の4番目では、まず「抗ウイルス薬に期待する薬効は臨床症状の改善であり」とある。これはその通りで、エンシトレルビルではまさにこの点に?が付いたのである。しかし、その後段では「エンシトレルビルの治験では、ウイルス株の変異に伴い、ラゲブリオやパキロビッドの治験のような入院や死亡率の減少を証明できなかったものの、ウイルス量の減少が有意差をもって確認されています。また発熱や呼吸器症状の改善を認めました。こうした結果より、エンシトレルビル投与によるウイルス量の早期の減少は、臨床症状の改善につながると考えられ、その結果は今後の臨床試験で明らかにされることが期待されます」と最初の提言と変わらぬ主張を繰り返している。この点に関して私が言いたいことは、ほぼ前回と変わらない。サブ解析結果はあくまで参考値に過ぎない。そもそも企業治験では、新薬候補の効果が最大限発揮できるように主要評価項目や試験デザインを設定する。もし、サブ解析で新たな知見が示されたならば、あくまでその結果を正しく証明できる試験デザインで再度検証することが求められる。前回も記述したように、サブ解析結果で示されたことが再度の臨床試験で否定されることは決して珍しくない現象だからだ。この現実を日本感染症学会と日本化学療法学会の理事の皆さんは軽視するつもりなのだろうか?かなり酷なことを言うかもしれないが、このエンシトレルビルの結果の速報値が発表されたのは2月である。もし塩野義製薬が科学的な知見を重視して、なお緊急承認を求めるならば、同社が主張するオミクロン株に特徴的な4症状の改善を主要評価項目に設定した小規模のパイロット的な試験などを実施すべきである(治験実施が容易ではないのは百も承知だが、小規模のパイロット試験なら不可能とは言えない)。もっと言えば、今回の緊急承認制度は「探索的な臨床試験(後期第II相試験)で有効性が認められれば承認可能」としているが、少なくともこの文言は探索的な臨床試験の主要評価項目は達成されたうえでと解釈するのが自然である。それができずに製薬企業や学会がゴリ押しするのは、せっかく新設された緊急承認制度に対する冒とくとさえ個人的には思える。そして5番目を読むと、ため息が出てしまう…。そこには以下のような記述がある。「現時点で60歳以下のリスクのない方に対する抗ウイルス薬はありませんから、この群に対する効果が期待され、その結果感染・健康被害の拡大が防止できる薬であれば緊急承認の適応ということになります。今回2学会が提言を出したのは“60歳以下のリスクのない方”に対する効果が期待され、その結果“感染・健康被害の拡大が防止できる薬であるかどうか”の確認が充分行われたように思えなかったことがきっかけです」要は前述の7月20日の審議の際に一部の委員から同一作用機序のニルマトレルビル/リトナビルがあるなかで、エンシトレルビルの承認に緊急性があるとは必ずしも思えないと言われたことへの反論らしい。しかし、あくまで私見に過ぎないかもしれないが、ここまでくると「屁理屈」とさえ映ってしまう。そして7月20日の審議では60歳以下のリスクのない人での投与に関して、薬事分科会の委員で日本医師会常任理事の神村 裕子氏が発言したことを日本感染症学会と日本化学療法学会の役員の皆さまはお忘れなのだろうか? 念のために再掲したい。「私は女性の医師ですので、女性の患者さんがたくさんいます。この中でたとえば妊娠の可能性のある患者さんに禁忌という場合、妊娠しているかどうかわからないとなると、とても怖くて使えない。また、錠剤が大きくて飲み難いことはありますが、すでに同じような作用機序のニルマトレルビル/リトナビルがあるなかで、なぜそちらではダメなのかと考えている。当然ながら私が臨床の外来で、この程度の呼吸器症状の有効性の差が出たと言われても、『とても使いたくはないな』と、申し訳ないですけれども率直にそう感じました」塩野義製薬や参考人が主張するオミクロン株特有の有効性を踏まえたうえでも、その差は小さく、なおかつエンシトレルビルが持つ催奇形性のリスクを考慮すれば臨床では有益性があるとは思われないという発言である。正直、補足説明が出たというので、もう少しマシな主張をするのではないかと期待したが「我田引水、ここに極まれり」と言わざるを得ない。

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5~11歳への3回目接種を追加、新型コロナ予防接種の手引き9版/厚労省

 厚生労働省は、9月6日に全国の市町村に「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(9版)」を発出するとともに、同省のホームページでも公開した。本手引きは2020年12月17日の初版以来、十数回の更新を行い、その時どきの臨床知見、行政施策を反映した内容に改訂されている。今回の主な改訂点【第4章 3(13)(接種を受ける努力義務等の取扱い)】 接種を受ける努力義務などの取扱いについて更新(本文抜粋) 新型コロナウイルス感染症に係る予防接種については、予防接種法附則第7条第2項の規定により同法第6条第1項の臨時接種とみなして実施するものであり、市町村長は対象者に対して接種勧奨をすることとされていること。 また、対象者については原則として接種を受ける努力義務の規定が適用されるが、第2期追加接種(4回目接種)に関しては60歳未満の者について、努力義務の規定の適用が除外されていること。【第5章 1(3)対象者、(4)、接種間隔、(5)ワクチンの種類】5歳以上11歳以下の者への3回目接種について追記(本文抜粋)(3)対象者ア 第1期追加接種(3回目接種) 第1期追加接種(3回目接種)については、初回接種(1、2回目接種)の完了から一定期間経過した者を対象に、1回行うこととする。現時点で3回目接種において使用するワクチンとしているものは、ファイザー社ワクチン(5~11歳用のものを含む)、モデルナ社ワクチンおよび武田社ワクチン(商品名:ノババックス)であり、各ワクチンの対象年齢は、5~11歳用ファイザー社ワクチンについては5~11歳、12歳以上用ファイザー社ワクチンについては12歳以上、モデルナ社ワクチンおよび武田社ワクチン(ノババックス)については18歳以上となっていることに留意すること。(4)接種間隔 3回目接種は、1、2回目接種の完了から、ファイザー社ワクチン(5~11歳用のものを含む)またはモデルナ社ワクチンについては5ヵ月以上、武田社ワクチン(ノババックス)については6ヵ月以上の接種間隔をおいて行うこと。 また、4回目接種は、3回目接種の完了から5ヵ月以上の接種間隔をおいて行うこと。(5)ワクチンの種類 3回目接種に用いる新型コロナワクチンは、1、2回目接種で使用したワクチンの種類にかかわらず、現時点ではファイザー社、モデルナ社および武田社(ノババックス)のものである。なお、5~11歳用ファイザー社ワクチンについては5~11歳、12歳以上用ファイザー社ワクチンについては12歳以上、モデルナ社ワクチンおよび武田社ワクチン(ノババックス)については18歳以上の者に対する3回目接種に使用することに留意すること。【第5章 3(4)イ(ウ)(接種券の発行申請の方法)】 接種券発行申請書(4回目接種用)の様式(図参照)について更新【第7章 2(2)(5歳以上11歳以下の者への接種)】 5~11歳用ファイザー社ワクチンの3回目接種について追記(本文抜粋)ア 5~11歳用ファイザー社コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)(ア)対象者 市町村長は、5~11歳用ファイザー社コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)を用いて、接種を受ける日に当該市町村に居住する5歳以上11歳以下の者に対して新型コロナウイルス感染症にかかわる第1期追加接種(3回目接種)を実施する。 なお、戸籍および住民票に記載のない5歳以上11歳以下の者のうち、当該市町村に居住していることが明らかなものおよびこれに準ずるものについても対象者に含まれる。(イ)接種方法 1.3ミリリットルの生理食塩液で希釈した5~11歳用ファイザー社コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)を1回筋肉内に注射するものとし、接種量は、0.2ミリリットルとすること。(ウ)接種間隔 初回接種の完了から5ヵ月以上の接種間隔をおいて行うこと。 前後に他の予防接種(インフルエンザの予防接種を除く)を行う場合においては、原則として13日以上の間隔をおくこととし、他の予防接種(インフルエンザの予防接種を除く)を同時に同一の接種対象者に対して行わないこと。(エ)その他 対象者、接種方法および接種間隔以外の事項については、1(1)ア(イ)[予防接種要注意者]および(キ)[接種後の経過観察]ならびに1(2)ア(エ)[接種の用法]~(カ)[配送資材]の記載事項に従うこと。

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20歳未満のコロナ死亡例、基礎疾患やワクチン接種状況は?/国立感染症研究所

 国立感染症研究所は9月14日、新型コロナウイルス感染後の20歳未満の死亡例に関する積極的疫学調査(第一報)の結果を発表した。オミクロン株の感染拡大に伴い、小児の感染者数が増加し、重症例や死亡例発生も報告されている。厚生労働省および同研究所は、日本小児科学会、日本集中治療医学会、日本救急医学会とともに、急性期以降の死亡例も含めて、積極的疫学調査を実施した。その結果、基礎疾患の有無がほぼ同数であり、ワクチン接種対象年齢でも87%が未接種で、発症から死亡まで1週間未満が73%(中央値4日)を占めていることなどが明らかになった。 本結果は、2022年1月1日~8月31日に報告された小児等の死亡例に関する暫定的な報告となる。調査対象となったのは、急性期の死亡例、加えて、死因を新型コロナとは別原因とした症例で、発症からの日数は問わないとする急性期以降に死亡した症例の計41例。そのうち32例について8月31日までに実地調査を行うことができ、明らかな内因性死亡と考えられたのは29例であった。調査項目は、年齢、性別、基礎疾患、新型コロナワクチン接種歴、発症日、死亡日、症状/所見、死亡に至る経緯等となっている。小児の死亡例は、2022年1月から継続的に発生し、疫学週28週目(7月11~17日)から増加していた。 実地調査で内因性死亡と考えられた29例の主な調査結果は以下のとおり。・年齢・年代の内訳は、0歳8例(28%)、1~4歳6例(21%)、5~11歳12例(41%)、12~19歳3例(10%)であった。・性別は、男性16例(55%)、女性13例(45%)であった。・基礎疾患は、あり14例(48%)、なし15例(52%)であった。基礎疾患の内訳は、中枢神経疾患7例(50%)、先天性心疾患2例(14%)、染色体異常2例(14%)などであった(重複あり)。・新型コロナワクチンは、29例のうち接種対象外年齢の者が14例(48%)、接種対象年齢の者が15例(52%)であった。接種対象年齢となる5歳以上の15例では、未接種が13例(87%)、2回接種が2例(13%)であった。接種を受けた2例はともに12歳以上であり、発症日は、最終接種日から最低3ヵ月を経過していた。・医療機関到着時の症状/所見は、発熱23例(79%)、悪心嘔吐15例(52%)、意識障害13例(45%)、咳嗽9例(31%)、経口摂取不良9例(31%)、痙攣8例(28%)、呼吸困難7例(24%)の順に多かった。・死亡に至る主な経緯は、循環器系の異常7例(24%:心筋炎、不整脈等)、中枢神経系の異常7例(24%:急性脳症等)、呼吸器系の異常3例(10%:肺炎、細菌性肺炎等)、その他6例(21%:多臓器不全等)、原因不明6例(21%)であった。・発症日は26例について得られ、発症から死亡までの日数が、中央値4日(範囲:0~74日)、内訳は0~2日が8例(31%)、3~6日が11例(42%)、7日以上が7例(27%)であった。・上記のほか、基礎疾患の有無別に詳細が報告されている。 著者は本結果について、小児の死亡例のうち基礎疾患の有無がほぼ同数であったことから、基礎疾患のない者においても症状の経過を注意深く観察することが必要であるとしている。発症から死亡まで1週間未満が73%を占めており、とくに発症後1週間の症状の経過観察が重要だとし、小児の場合、呼吸器症状以外では、痙攣、意識障害などの神経症状や、嘔吐、経口摂取不良等の呼吸器症状以外の全身症状の出現にも注意を払う必要があると指摘している。本調査は今後も継続される予定。

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JAK阻害薬とSteroid併用の重要性(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)

 今回取り上げた論文は、英国のRECOVERY試験の一環としてJanus kinase(JAK)阻害薬であるバリシチニブ(商品名:オルミエント)のコロナ感染症における死亡を中心とした重症化阻止効果を検証した多施設ランダム化非盲検対照試験(Multicenter, randomized, controlled, open-label, platform trial)の結果を報告している。本論評では、非盲検化試験(Open label)の利点・欠点を考慮しながら、重症コロナ感染症治療におけるJAK阻害薬とSteroid併用の意義について考察する。非盲検化試験の意義―利点と欠点 ランダム化非盲検対照試験では、試験の標的薬物の内容を被験者ならびに検者(医療側)が認知している状態でランダム化される。従来の臨床治験では非盲検法はバイアスの原因となり質的に問題があるものとして高い評価を受けてこなかった。しかしながら、コロナ感染症が発生したこの数年間では、その時点で効果を見込める基礎治療を標準治療として導入しながら標的の薬物/治療を加えた群(治験群)と加えなかった群(対照群)にランダムに振り分け、標的薬物/治療の有効性を判定する非盲検化試験が施行されるようになった。 非盲検化試験では:(1)基礎的標準治療を導入しながら経過を観察するため安全な形で治験遂行が可能、(2)二重盲検化試験に比べ最終結果が出るまでの時間が短縮、(3)同一症例を別の薬物/治療に関する治験に簡単に組み入れ可能であり複数個の臨床治験をほぼ同時並行的に施行可能、(4)症例の選択が比較的容易で各臨床試験にエントリーされる人数が多くなるという利点を有する。しかしながら、非盲検化試験では:(1)被験者側、医療側の両者に発生するバイアスを完全には取り除けない、(2)標準治療に治験標的の薬物/治療と相互作用を有するものが含まれる可能性があり、標的の薬物/治療の純粋な効果を把握できない場合があることを念頭に置く必要がある。 RECOVERY試験では非盲検化試験の利点を生かし、現在までに10個の治験結果が報告されている。それらの中には、低用量Steroid(デキサメタゾン)、IL-6受容体拮抗薬、回復期血漿、本論評で取り上げたJAK阻害薬などに関する報告が含まれ、コロナ感染症に対する多角的治療法について重要な知見を提供してきた。しかしながら、これらの報告では非盲検化試験に必須の欠点を有することを念頭に置きながら結果を解釈する必要がある。RECOVRY試験の結果からみたJAK阻害薬の効果 JAK阻害薬に関する臨床治験にあってRECOVRY試験は過去最大規模のものであり(8,156例)、入院治療が必要であった中等症以上のコロナ感染症患者におけるJAK阻害薬(バリシチニブ、4mg/日、10日間経口投与)の効果を、28日以内の死亡率をPrimary outcomeとして検証したものである。 本治験にあって注意すべき点は:(1)治験はオミクロン株感染者を対象としたものではない(2021年2月2日~12月29日に施行)、(2)標準治療としてSteroidがJAK群の96%、対照群の95%に、IL-6受容体拮抗薬が両群で31%、抗ウイルス薬レムデシビルがJAK群の21%、対照群の20%に投与されていた事実である。Steroidがほぼ全例に投与されているので、本治験の結果は厳密には、Steroid同時投与下でのJAK阻害薬の効果を検証したものと考えなければならない。全症例解析では、28日間の死亡率がJAK群で13%低下、非機械呼吸管理症例の機械呼吸管理への移行率も11%低下した。しかしながら、少数例の解析ではあるが、Steroid非投与者(約400例)のみの解析ではJAK群と対照群で死亡率に有意差を認めなかった。レムデシビル、IL-6受容体拮抗薬の同時投与の死亡率への影響は解析されていない。Steroidが89%の対象に同時投与された状況下で他のJAK阻害薬であるトファシチニブの効果を観察したSTOP-COVID Trialでも同様の結果が報告されている(Guimaraes PO, et al. N Engl J Med. 2021;385:406-415.)。 一方、Steroidの同時投与を禁止しレムデシビル投与下でJAK阻害薬の効果を検証したACTT-2試験では、対照群に比べレムデシビルとJAK阻害薬の同時投与群で回復までの時間が有意に短縮されたものの死亡率には有意差を認めなかった(Kalil AC, et al. N Engl J Med. 2021;384:795-807.)。レムデシビル投与下でデキサメタゾンとJAK阻害薬の効果を比較したACTT-4試験では機械呼吸管理なしの生存率に両薬物群間で有意差を認めなかった(Wolfe CR, et al. Lancet Respir Med. 2022;10:888-899.)。 以上より、JAK阻害薬の死亡を含む重症化阻止効果はSteroidの同時投与下で発現するものと考えなければならない。米国、本邦におけるJAK阻害薬の使用はACTT-2試験の結果を基に回復までの時間を短縮するレムデシビルの同時投与下において承認されている。この投与指針はコロナ感染後の回復までの時間を短縮するという観点からは正しい。しかしながら、重症化したコロナ感染者の死亡を抑制するという、さらに重要な観点からは問題がある。現在までの治験結果を総括すると、JAK阻害薬に関してはレムデシビル(抗ウイルス薬)との併用以上にデキサメタゾン(免疫抑制薬)との併用がコロナ重症例に対する治療法としてより重要な位置を占めるものと考えるべきであろう。JAK阻害薬に対するSteroid併用の分子生物学的意義 ウイルス感染をトリガーとするCytokine storm(過剰免疫反応)の発生は肺を中心とする全身臓器/組織の過剰炎症を惹起し、コロナ感染患者の生命予後を悪化させる。多様な炎症性Cytokine産生の分子生物学的機序は複雑であるが、最も重要な機序は免疫細胞、非免疫細胞における炎症性転写因子NF-κBとSTAT3(Signal transducers and activators of transcription)の持続的活性化である。JAK阻害薬は4つのtransmembrane protein kinase(JAK1、JAK2、JAK3、TYK2)の抑制を介して転写因子STAT3を抑制する。その結果として、数多くのCytokine産生が抑制される。同時に、STAT3の抑制はそれと相互作用(Cross talk)を有するNF-κBの活性を抑制し、Cytokineの産生はさらに抑制される。その意味で、NF-κBに対する抑制能力が高いSteroidの同時投与はJAK阻害薬のCytokine産生抑制効果をさらに増強することになる。 JAK阻害薬と同様に、Steroid併用の重要性が議論された免疫抑制薬にIL-6受容体拮抗薬(トシリズマブ、商品名:アクテムラ)がある。IL-6受容体拮抗薬はJAK阻害薬と異なる作用点を介してSTAT3、NF-κB経路を抑制する(山口. CLEAR!ジャーナル四天王-1383)。すなわち、JAK阻害薬、IL-6受容体拮抗薬は作用点が異なるものの本質的機序は同じで最終的にSTAT3とNF-κB経路の抑制を介して抗炎症作用を発現する。それにもかかわらず、現時点の投与基準では、IL-6受容体拮抗薬がSteroidの同時投与下で承認されているのに対し、JAK阻害薬はレムデシビルとの同時投与下で承認されておりSteroid併用の重要性が強調されていない。両薬物の治験結果が出そろいつつある現在、JAK阻害薬の投与基準もSteroidの併用を強調したものに変更していくべきではないだろうか?

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今年が最後のチャンス? インバウンドが戻る前に日本を楽しもう!【医師のためのお金の話】第60回

2020年に始まったコロナ禍前まで、日本はインバウンド景気で、国内は海外からの旅行者で溢れかえっていました。各地の観光地は活況を呈していたものの、どこに行っても外国人旅行者だらけの状況に少し不便さも感じたものです。しかし、コロナ禍によって、外国人の方を見掛けることは激減しました。日本人だけの静かな環境です。感染症対策で生活に制限はあるものの、インバウンドブーム前の「われらが」日本の復活です。そして、コロナ禍3年目の私たちは、ワクチンや治療薬といった武器を手に入れました。そろそろウイルスと共生できる状況になりつつあります。こうなると気になるのが、インバウンドの復活でしょう。円安も相まって、私たち日本人の購買力は劇的に低下しています。日本にやってくる外国人の多くは、国籍に関係なく、私たちよりもお金持ちである可能性が高いでしょう。彼らが戻ってくると、観光業界などが潤う一方で、一般人としては暮らしにくくなる面が出てくるのも避けられないでしょう。今するべきことを考えてみましょう。コロナ禍は終息直前2020年には手探りの状況だった新型コロナウイルス感染症ですが、ずいぶん特性がわかってきました。ワクチンや治療薬も十分。そしてウイルス自体も急激に変異して、感覚的にはインフルエンザに近づきつつあります。確かに新規感染者数は多いものの、高齢者などの一部を除くと社会全体の脅威とまではいえない状況になってきました。欧米を中心に、新型コロナウイルス感染症をインフルエンザ並みの扱いにする国も増加中です。「コロナがいつ終息するのか」は、多分に政治的決断にかかっている状況です。政府から公式にコロナ禍の終息宣言が出れば、観光業界や外食産業は息を吹き返すはずです。そして、その先にはインバウンド復活が控えています。年明けには中国人が動き出す?インバウンドの主役である中国人は、コロナ禍とは少し違う理由で出遅れています。その理由は、この秋に開催予定の中国共産党第20回党大会です。異例の3期目を狙う習近平国家主席は、ゼロコロナ政策で中国人の生活を封殺しています。すべては習氏の3期目当選を確実にするための施策ですが、党大会以後はこの抑圧から解放されることになります。そうなると、いやが応にも盛り上がるのは旅行でしょう。中国人のリベンジ消費が復活することは想像に難くありません。コロナ前から、訪日する中国人の数は半端ではありませんでした。それが復活し、お金持ちの彼らが国内になだれ込んでくると、相対的に貧しくなった私たち日本人はゆっくり旅行や外食を楽しむことが難しくなるでしょう。「鬼の居ぬ間」に古き良き日本を楽しもうコロナ禍の終息宣言と中国の党大会終了という2つのイベント到来時期が刻一刻と近づいてきます。少なくとも来年の春にはインバウンドが戻っている可能性が高そうです。ゆっくり国内を楽しめる時間は、どんどん少なくなっているのです。それでは、いつごろまでインバウンドの影響を受けずに国内旅行や外食ができるチャンスが続くのでしょうか。あくまでも私見ですが、今年の年末年始ぐらいまでは何とか持ちこたえるのではないかと考えています。1つ目の理由は、冬が到来する時期には、コロナ禍の終息宣言を出しにくいことです。2つ目の理由は、中国の党大会が11月ごろに開催されるのであれば、年末年始には間に合わない可能性が高いからです。私の予想が正しければ、ニセコなどでゆっくり楽しめるのは今年の年末年始が最後かもしれません。来年1月後半の春節には、大変な状況になっている可能性が高いでしょう。「鬼の居ぬ間に…」ではありませんが、今年の冬は少し奮発してゆっくり国内を旅するのがよいかもしれません。

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第11回 陽性者の療養期間が短縮、病院職員の出勤は?

陽性者の療養期間が短縮9月7日に、陽性者の療養期間が短縮されました1)。有症状陽性者については、入院患者さんの場合はこれまでと同じく10日間かつ症状軽快後72時間という基準ですが、入院以外の軽症者については7日間かつ症状軽快後24時間という基準となりました(図)。図. 有症状陽性者の療養期間(筆者作成)病院職員はどうする?全国の病院で議論になったのが「陽性になった病院職員の療養期間解除を通知どおり短縮してもよいのかどうか?」という点でした。10日間休むのと、7日間休むのでは、当然後者のほうがマンパワーに対する負担が軽くなります。第7波において、ただでさえ忙しい病棟が人手不足に陥っている光景は、たくさんの病院で目にしました。しかし、問題になるのは感染性がどのくらい残っているかです。国立感染症研究所のデータによると、オミクロン株の感染者のうち、短縮解除となる8日目の時点で全体の16%が感染性を有しているとされており2)、病院職員の解除を7日間とするには、なかなか勇気が要ります。もちろん、これを従来通り10日間としても、一定数の割合で感染性を持つ陽性者がいますので、ゼロリスクにすることはできません。短縮の通知には但し書きがあって、「10日間が経過するまでは、感染リスクが残存することから、検温など自身による健康状態の確認や、高齢者等ハイリスク者との接触、ハイリスク施設への不要不急の訪問、感染リスクの高い場所の利用や会食等を避けること、マスクを着用すること等、自主的な感染予防行動の徹底をお願いする」とあります。このうち、病院職員においては「高齢者等ハイリスク者との接触」というのがネックになりました。これについて当院でも話し合いが行われ、結局「職員の有症状陽性例については、これまで通り10日間かつ症状軽快後72時間」となりました。皆さんの病院ではいかがでしょうか。短縮された病院、従来の基準のままとした病院に二分されている印象ですが、とくに波のさなかの医療逼迫時においては、どちらを選んだとしても正解はないのだろうと思います。参考文献・参考サイト1)厚生労働省 新型コロナウイルス感染症の患者に対する療養期間等の見直しについて2)第98回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年9月7日)資料3-2-(2) 鈴木先生提出資料

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BA.2.75「ケンタウロス」に対するコロナ治療薬の効果を比較/NEJM

 2022年6月よりインドを中心に感染拡大したオミクロン株BA.2.75(別名:ケンタウロス)は、日本を含め、米国、シンガポール、カナダ、英国、オーストラリアなど、少なくとも25ヵ国で確認されている。河岡 義裕氏、高下 恵美氏らによる東京大学、国立感染症研究所、国立国際医療研究センターが共同で行った研究において、BA.2.75に対し、4種類の抗体薬と3種類の抗ウイルス薬についてin vitroでの有効性を検証したところ、一部の抗体薬とすべての抗ウイルス薬が有効性を維持していることが示された。本結果は、NEJM誌オンライン版2022年9月7日号のCORRESPONDENCEに掲載された。 研究対象となったのはFDA(米国食品医薬品局)で承認済み、および国内で一部承認済みの薬剤で、抗体薬は、カシリビマブ・イムデビマブ併用(商品名:ロナプリーブ、中外製薬)、チキサゲビマブ・シルガビマブ併用(商品名:エバシェルド、アストラゼネカ)、ソトロビマブ(商品名:ゼビュディ、GSK)、bebtelovimab(Lilly)、抗ウイルス薬は、レムデシビル(商品名:ベクルリー、ギリアド・サイエンシズ)、モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ、MSD)、ニルマトレルビル(商品名:パキロビッドパック[リトナビルと併用]、ファイザー)となっている。 今回の試験では、対象の各抗体薬の単剤および併用について、新型コロナウイルスの従来株(中国武漢由来の株)と、オミクロン株BA.2、BA.5、BA.2.75それぞれの培養細胞における感染を阻害(中和活性)するかどうかを、FRNT50(ライブウイルス焦点減少中和アッセイで50%のウイルスを中和する血清希釈)を用いて評価した。また、各抗ウイルス薬について、ウイルスの増殖を阻害するかどうかを、IC50(50%阻害濃度)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。【抗体薬】・カシリビマブ・イムデビマブ併用では、BA.2.75に対するFRNT50の値は1,811.78ng/mLで、従来株に対してよりも812.5倍高く、中和活性が著しく低下していた。・チキサゲビマブ・シルガビマブ併用では、BA.2.75に対するFRNT50の値は34.19ng/mLで、従来株に対してよりも5.3倍高かったものの、高い中和活性を維持していた。・ソトロビマブの前駆体では、BA.2.75に対するFRNT50の値は2万8,536.48ng/mLで、従来株に対してよりも870.0倍高く、中和活性が著しく低下していた。・bebtelovimabでは、BA.2.75に対するFRNT50の値は6.21ng/mLで、従来株に対してよりも4.4倍高かったものの、高い中和活性を維持しており、モノクローナル抗体の中で最も有効であった。【抗ウイルス薬】・レムデシビルでは、BA.2.75に対するIC50の値は1.52μmで、従来株に対してよりも1.6倍高かったものの、高い有効性を維持していた。・モルヌピラビルでは、BA.2.75に対するIC50の値は0.90μmで、従来株に対してよりも1.5倍高かったものの、高い有効性を維持していた。・ニルマトレルビルでは、BA.2.75に対するIC50の値は1.78μmで、従来株に対してと同等に、高い有効性を維持していた。 本研究により、新たな変異型であるBA.2.75に対して、抗ウイルス薬はいずれも有効であり、抗体薬は8月末に国内で承認されたチキサゲビマブ・シルガビマブ併用、および国内では未承認のbebtelovimabが有効であったが、そのほかの抗体薬は有効性が低いことが示唆された。著者は、BA.2.75がBA.5の次の支配的な変異型になるかを見極めるには尚早だが、BA.2.75がより重篤な症状を引き起こす可能性や、免疫回避に関するデータとともに、治療薬の有効性に関する臨床データが必要だとしている。また、患者への治療を検討する際には、各抗体薬の有効性に差が生じる可能性があることを念頭に入れておくべきだと述べている。

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第126回 アマゾン処方薬ネット販売と零売薬局、デジタルとアナログ、その落差と共通点(前編)

アマゾン・ドット・コム、日本で処方薬のネット販売へこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。今年の夏は天候もぱっとせず、大した山に行っていないなあ、と思っていたところ、知人から「富士山に連れて行ってくれないか」との依頼がありました。ということで、9月10日土曜の夏山閉山日(17時登山道閉鎖)に最短ルートである富士宮口五合目から頂上をピストンして来ました。前日金曜に三島に入って夜に鰻を食べ、翌日に日帰り弾丸登山、帰京というスケジュールです。富士山は、今年最後の夏山登山可能日ということで、初心者からベテラン風な人まで、結構な人出でした。天気はそこそこでしたが、標高2,400メートルの登山口から、一気に1,400メートル近く登る行程はそれなりにハードです。3,500メートル近辺からは高山病症状からか座り込む人が続出。我々の下山時には朝のバスで一緒だったパーティが8合目辺りをまだ登っていたりして、今日中に下山できるのだろうか(7合目より上の小屋はすでに休業中)と心配になってしまいました。今夏も、富士山では遭難者が相次いだそうです。身動きが取れなくなった初心者が救助を呼ぶケースも多かったとか。皆さんも夏の富士山に登るときは、高山病と寒さ(頂上は外界より20℃近く低いです)に気をつけてください。さて、今回は日本経済新聞が9月6日付朝刊1面でスクープした、米アマゾン・ドット・コム(以下、アマゾン)が日本で処方薬のネット販売に乗り出すことになった、というニュースについて書いてみたいと思います。その1週間ほど前、事情があって最近都内で増えてきた零売(れいばい)薬局(医療用医薬品を処方箋なしで購入できる薬局)で、湿布薬など何種類かの薬を購入しました。DXの最先端アマゾンとアナログの極みとも言える零売薬局……。そこには大きな違いがありますが、日本の薬局が抱える“欠点”に対するアンチテーゼ、という意味では共通点もあると感じました。中小薬局と組み服薬指導の新たなプラットフォームを9月6日付の日本経済新聞は、アマゾンが日本で処方薬のネット販売への参入を検討していることが複数の関係者への取材からわかった、と報じました。なお、アマゾンジャパンは日本経済新聞の取材に対し「コメントは差し控える」と回答したとのことです。報道によれば、アマゾンは中小薬局と組んで、患者がオンラインで服薬指導を受ける新たなプラットフォームをつくるのだそうです。サービスの開始時期は日本で「電子処方箋」システムの運用が始まる2023年を予定。当面はアマゾン自体が薬局を運営して直接販売する形ではなく、薬剤の在庫は持たないとのことです。アマゾンは今後、国内の中小の薬局を中心に参画を呼びかけ、システムの構築を目指すそうです。電子処方箋の控えとマイナ保険証を使い患者が薬局を選んで処方薬を申し込みアマゾンは、「患者が医療機関を受診後、薬局に立ち寄らずに薬の受け取りまでネットで完結するシステムをつくる」とのことですが、その具体的な流れについて日経新聞は以下のように解説しています。「患者はオンライン診療や医療機関での対面診療を受けた後、電子処方箋を発行してもらい、アマゾンのサイト上で薬局に申し込む。薬局は電子処方箋をもとに薬を調剤し、オンラインで服薬指導する。その後、アマゾンの配送網を使って薬局から薬を集荷し、患者宅や宅配ロッカーに届ける仕組みを検討している」。「電子処方箋を発行してもらい、アマゾンのサイト上で薬局に申し込む」という点が少々わかりづらいです。電子処方箋そのものはネット上にあるためです。運用開始が来年の2023年1月とされている電子処方箋ですが、モデル事業は今年10月末からやっと始まる状況で、その詳細はまだ確定していません。記事内容からアマゾンの仕組みを想像するに、患者には電子処方箋発行と同時に「引き換え番号」が印刷された「処方内容(控え)」が手渡される予定なので、患者や家族はそこに印刷されたQRコードなどの情報とマイナ保険証を用いてアマゾンの専用サイト上から利用する提携薬局を選び、調剤と服薬指導を申し込む、という流れではないかと考えられます。背景にはオンライン診療、オンライン服薬指導の普及・定着と電子処方箋の運用開始オンライン診療、オンライン服薬指導は、新型コロナウイルス禍の特例措置で初診や初回指導でも利用可能となり、今年4月からは特例ではなく恒久化されました。オンライン診療については、初診対面の原則が大幅に緩和され、新患を含む初診からのオンライン診療が可能となっています。オンライン診療、オンライン服薬指導の普及・定着により、処方薬の受け取り方も多様化しています。これまで、薬局で受け取ることが前提とされていましたが、配送により家で受け取ることができるようになったり、コンビニでの受け取りが可能になったりと利便性が向上しています。たとえば、イオンは同社の食品などの宅配網を使い、処方薬を注文当日に自宅に届ける即日配送を千葉市内の店舗で始めています。 2022年中に東京や大阪などの店舗でも始め、2024年度には31都府県の約270店に対象を広げる予定とのことです。こうした動きの背景には、オンライン診療、オンライン服薬指導の普及・定着に加え、電子処方箋の運用開始決定があります。電子処方箋が運用されれば、処方箋のやりとりだけでなく、処方薬の流通にも効率化が求められるようになるに違いないからです。オンライン診療を受診したことのある知人は、「オンライン診療自体は手軽で簡単だけど、現物の紙の処方箋がすぐに届かず、薬がすぐに入手できないのが不便だった」と話していました(「第101回 私が見聞きした“アカン”医療機関 オンライン診療、新しいタイプの“粗診粗療”が増える予感」参照)。電子処方箋が運用されれば、そうした点は多少は解消されることになります。しかし、薬を渡す時の「服薬指導」をどうするかがもう一つの問題点として浮上します。「服薬指導なんて、現状薬剤情報提供書を渡すだけで実質何もしていないのだから、本当に必要な時以外は“なし”にしてもいいのに」と至極真っ当な意見を述べる人もいます。しかし、そこをクリアしておかないと“次”に進めません。アマゾンが当面は薬剤の在庫は持たず、提携薬局の服薬指導に注力するのは、その後の処方薬の流通革命を見据え、地域の薬局をネットワーク化しておきたいためだと考えられます。米国ではオンライン薬局「Amazon Pharmacy」を立ち上げ、処方薬の販売に本格参入日本経済新聞の記事でも、「国内の大手薬局は独自アプリなどでオンライン服薬指導に取り組んでいる。オンラインで診療や服薬指導できるシステムをメドレーなどが開発し、医療機関や薬局への導入実績がある。アマゾンと同様のサービスは日本企業も提供可能だが、多くの利用者を抱えるアマゾンとの競争を迫られる」と、オンライン服薬指導に焦点を当てた形となっていますが、アマゾンの狙いは将来的な調剤と配送の集中化にあるのは確かでしょう。日本経済新聞は9月7日にも「『アマゾン薬局』成否は配送」と続報を掲載しています。その記事では、「ヘルスケア分野でアマゾンの存在感が高まっている」として、米国の状況について「2018年にオンライン薬局大手の米ピルパックを7億5,300万ドルで買収。20年11月にはこの事業をもとに、オンライン薬局『Amazon Pharmacy』を立ち上げて処方薬の販売に本格参入した。ウェブサイトやアプリで処方薬を購入でき、有料のプライム会員は注文から2~3日程度で配達を受けられる」と書いています。報道では、「当面はアマゾン自体が薬局を運営して直接販売する形ではなく、薬剤の在庫は持たないと」とのことですが、近い将来、アマゾンが運営する薬局において集中調剤、集中配送が行われるようになる可能性は否定できません。アマゾンの真の狙いは集中調剤、集中配送かそれを予感させる動きもあります。7月11日に厚生労働省が公表した「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」の「とりまとめ〜薬剤師が地域で活躍するためのアクションプラン〜」には、調剤業務の外部委託の方向性が書かれています1)。「とりまとめ」では、外部委託に関してまずは一包化業務に限定し、他法人の薬局(当面の間は同一の三次医療圏内)にも認める方針が示されました。現在、外部委託は法律で認められていないため薬剤師法の改正が行われることになります。その後、安全性、地域医療への影響、外部委託の提供体制や提供実績、地域の薬局の意見等の確認を行い、その結果を踏まえ、必要に応じて遵守事項や委託元と委託先の距離について見直しが行われる予定です。「薬局薬剤師の対人業務の推進のために、対物業務の効率化を図る」ことを目的に議論を重ねてきた同ワーキンググループが、当面は「一包化」だけとは言え、調剤業務の外部委託を認める方向性を出した意味は大きいと言えます。そこから見えてくるのは、アマゾンが各都道府県につくった「アマゾン薬局」において処方薬が集中的に調剤され、当日中もしくは翌日までに配送も完了する、というとても“便利な”未来です。書店に行かなくても翌日に読みたい本が届くのと同じことが、処方薬でも起きるかもしれないのです。9月7日付の日本経済新聞は「プライム会員には配達料を無料にするなどユーザーにメリットを提供できれば、消費者を囲い込める可能性がある」と書いています。アマゾンに対抗、「かかりつけ薬剤師機能を高めていく」と日本保険薬局協会会長この報道に、関係団体も少なからぬ衝撃を受けたようです。ミクスOnlineなどの報道によれば、日本保険薬局協会の首藤 正一会長(アインホールディングス 代表取締役専務)は9月8日の記者会見で、「アマゾンがやろうとしていることに関して、我々にできないことは基本的にはないと思っている」と語るとともに、「我々がどれだけリアル店舗を患者にとってなくてはならないものだという認識を与えるようなものに仕上げていくか。かかりつけ薬剤師機能を含めて、機能をどれだけ高めていけるかにかかっている」とコメントしたそうです。このコメントを読んで、首をかしげてしまいました。世の中で「かかりつけ薬剤師」は「かかりつけ医師」よりさらに曖昧で遠い存在と言えるでしょう。私自身、これまでにリアルな調剤薬局のありがたみを感じたことはほとんどありませんし、「かかりつけ薬剤師」を持ったこともありません。「かかりつけ薬剤師がいる」という知人も周囲にいません。そんな曖昧なものに力を入れることで、果たして巨大アマゾンに対抗できるのでしょうか。そんなことを考えていたら、1週間ほど前に利用した都内の零売薬局のことを思い出しました。私がこれまで利用してきた調剤薬局(門前が多い)より、そこの零売薬局の薬剤師の方がよほど「かかりつけ」らしかったからです。(この項続く)参考1)「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」の「とりまとめ」/厚生労働省

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BA.1/2既感染者はBA.5の防御効果が高い?/NEJM

 国内の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第7波の主流となったオミクロン株BA.5については、従来株の感染既往があっても免疫逃避して再感染しやすいと認識されていた。しかし、早期にBA.5が優勢になった国の1つであるポルトガルにおいて、従来株の感染既往がある人におけるBA.5感染リスクを調査したところ、BA.1/BA.2の感染既往がある人は、武漢株やほかの変異株の感染既往よりも、BA.5に対する高い防御効果を有しているということが判明した。本結果は、ポルトガル・Instituto de Medicina Molecular Joao Lobo AntunesのJoao Malato氏らが、NEJM誌2022年9月8日号のCORRESPONDENCEで報告した。 本研究では、1,034万4,802人が登録されている全国コロナウイルスレジストリSINAVEのデータが用いられ、2022年7月4日時点の12歳以上の930万7,996人が対象となっている。このレジストリには、臨床症状を問わず、ポルトガル国内で報告されたすべての症例が記録されている。遺伝子検査により各変異株が90%以上を占める期間を特定し、優勢期として設定した。BA.1とBA.2は流行の移行が緩やかだったため優勢期が統合された。各優勢期に初めて新型コロナに感染した人を特定し、各変異株の感染既往群および未感染群のBA.5に対する感染リスクを算出した。ポルトガルでは2022年6月1日よりBA.5の優勢期となっている。なお、2022年以前に被験者の98%以上が新型コロナワクチンの初回シリーズを接種完了しているため、感染者はブレークスルー感染と見なされる。 武漢株もしくは各変異株の感染既往者におけるBA.5の防御効果は次のとおり。・武漢株:51.6%(95%信頼区間[CI]:50.6~52.6)・アルファ株:54.8%(95%CI:51.1~58.2)・デルタ株:61.3%(95%CI:60.3~62.2)・オミクロン株BA.1/BA.2:75.3%(95%CI:75.0~75.6) 本研究により、BA.1/BA.2感染既往者は、オミクロン株以前の変異株の感染既往者よりもBA.5に対して高い防御効果があることが示された。この結果に対して著者は、BA.1/BA.2感染既往者のBA.5感染が多いことから、BA.1/BA.2感染既往によるBA.5の防御効果は非常に低いと認識されていたが、そのような認識は、BA.1/BA.2感染既往者がほかの変異株の感染者よりも多いことによるもので、研究結果に裏付けられた認識ではないと述べている。高度にワクチン接種された集団では、従来株に未感染の人と比べて、感染既往、とくにBA.1/BA.2の感染既往がある人でBA.5に感染する人は少なかったことが明らかになった。

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小児のコロナ後遺症は成人と異なる特徴~約66万人の解析

 小児における新型コロナウイルス感染症の罹患後症状には、成人とは異なる特徴があることを、米国・コロラド大学医学部/コロラド小児病院のSuchitra Rao氏らが明らかにした。同氏らは、新型コロナウイルスの感染から1~6ヵ月時点の症状・全身病態・投与された薬剤を調べ、罹患後症状の発生率を明らかにするとともに、リスク因子の特定を目的に、抗原検査またはPCR検査を受けた約66万人の小児を抽出して後ろ向きコホート研究を行った。これまでに成人における罹患後症状のデータは蓄積されつつあるが、小児では多系統炎症性症候群(MIS-C)を除くとデータは限られていた。JAMA pediatrics誌オンライン版2022年8月22日号掲載の報告。 解析対象となったのは、米国の小児病院9施設の電子カルテに登録があり、2020年3月1日~2021年10月31日の間に新型コロナウイルスの抗原検査またはPCR検査を受けた21歳未満の小児で、かつ過去3年間に1回以上受診(電話、遠隔診療を含む)したことのある65万9,286例。男性が52.8%で、平均年齢は8.1歳(±5.7歳)であった。 初回の抗原検査またはPCR検査の日から28~179日時点の、罹患後症状に関連する121項目の症状や全身病態、30項目の投与薬の計151項目を調べた。症状には発熱、咳、疲労、息切れ、胸痛、動悸、胸の圧迫感、頭痛、味覚・嗅覚の変化などが含まれており、全身病態には多系統炎症性症候群、心筋炎、糖尿病、その他の自己免疫疾患などが含まれていた。施設、年齢、性別、検査場所、人種・民族、調査への参加時期を調整したCox比例ハザードモデルを用いて、検査陰性群に対する陽性群の調整ハザード比(aHR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・新型コロナウイルスの陽性者は5万9,893例(9.1%)で、陰性者は59万9,393例(90.9%)であった。 ・1つ以上の症状や全身病態、投薬があったのは、陽性群で41.9%(95%信頼区間[CI]:41.4~42.4)、陰性群で38.2%(95%CI:38.1~38.4)で、差は3.7%(3.2~4.2)、調整後の標準化罹患率比は1.15(1.14~1.17)であった。・陰性群と比べて陽性群で多かった症状は、味覚・嗅覚の変化(aHR:1.96、95%CI:1.16~3.32)、味覚消失(1.85、1.20~2.86)、脱毛(1.58、1.24~2.01)、胸痛 (1.52、1.38~1.68)、肝酵素値異常(1.50、1.27~1.77)、発疹(1.29、1.17~1.43)、疲労・倦怠感(1.24、1.13~1.35)、発熱・悪寒(1.22、1.16~1.28)、心肺疾患の徴候・症状(1.20、1.15~1.26)、下痢(1.18、1.09~1.29)、筋炎(2.59、1.37~4.89)であった。・全身の病態は、心筋炎(aHR:3.10、95%CI:1.94~4.96)、急性呼吸促迫症候群(2.96、1.54~5.67)、歯・歯肉障害(1.48、1.36~1.60)、原因不明の心臓病(1.47、1.17~1.84)、電解質異常(1.45、1.32~1.58)であった。精神的な関連としては、精神疾患の治療(aHR:1.62、aHR:1.46~1.80) 、不安症状(1.29、1.08~1.55)があった。・多く用いられていた治療薬は、鎮咳薬・感冒薬のほか、全身投与の鼻粘膜充血除去薬、ステロイドと消毒薬の併用、オピオイド、充血除去薬であった。・多系統炎症性症候群以外で罹患後症状と強く関連していたのは、5歳未満、急性期のICU利用、複数または進行性の慢性疾患の罹患であった。 著者らは、「小児の新型コロナウイルス感染症の罹患後症状の発症率は少なかったが、急性期の重症、低年齢、慢性疾患の合併は罹患後症状リスクを高める」とともに「小児の罹患後症状では、成人でよく報告されている味覚・嗅覚の変化、胸痛、疲労・倦怠感、心肺の徴候や症状、発熱・悪寒など以外にも、肝酵素値異常、脱毛、発疹、下痢などが多いことに注意が必要である。とくに心筋炎は新型コロナウイルス感染症と最も強く関連する症状であり、小児では重要な合併症である」とまとめている。

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ファイザーとモデルナのBA.1対応追加接種用2価ワクチンを承認/厚生労働省

 厚生労働省は9月12日、ファイザーおよびモデルナのオミクロン株BA.1に対応した新型コロナウイルス2価ワクチンを承認(特例承認医薬品における効能・効果、用法・用量の一部変更承認)したことを発表した。2価ワクチンの販売名は、ファイザーが「コミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)」、モデルナが「スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)」となる。両ワクチンともに追加接種用で、ファイザー製は12歳以上、モデルナ製は18歳以上が対象となる。 両2価ワクチンの用法・用量は、ファイザー製は「追加免疫として、1回0.3mLを筋肉内に接種する」とし、モデルナ製は「追加免疫として、1回0.5mLを筋肉内に接種する」としている。現時点では、両剤ともに前回の接種から少なくとも5ヵ月経過した後に接種することができるとされているが、同日に開かれた薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会において、接種間隔を短縮すべきとの指摘があったため、今後、海外の動向、有効性、安全性等の情報を踏まえ、短縮する方向で検討し、10月下旬までに結論を得ることとされた。 両2価ワクチンの有効性と安全性については以下のとおり。ファイザー製「コミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)」・海外第III相試験によると、追加接種後1ヵ月時点でのオミクロン株BA.1に対する血清中和抗体価について、幾何平均抗体価(GMT)は、本剤接種群(178例)では711.0(両側95%信頼区間[CI]:588.3~859.2)、従来の1価ワクチン接種群(163例)では455.8(両側95%CI:365.9~567.6)となり、幾何平均比(GMR)は1.56(両側95%CI:1.17~2.08)であった。・接種後7日間に報告された主な副反応として、注射部位疼痛、疲労、頭痛、筋肉痛、悪寒、関節痛、発熱があった。モデルナ製「スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)」・海外第II/III相試験によると、追加接種後28日時点でのオミクロン株に対する血清中和抗体価について、幾何最小二乗平均(GLSM)は、本剤接種群(334例)では2,479.890(両側95%CI:2,264.472~2,715.801)、従来の1価ワクチン接種群(260例)では1,421.243(両側95%CI:1,282.975~1,574.412)となり、幾何平均比(GMR)は1.745(両側97.5%CI:1.493~2.040)であった。・接種後7日間に報告された主な副反応として、注射部位疼痛、疲労、頭痛、筋肉痛、関節痛、悪寒があった。 両ワクチンともに忍容性はおおむね良好で、反応原性および安全性プロファイルは従来の1価ワクチンの追加接種と一致していたという。 なお、現在米国で緊急使用許可されている両社のBA.4/BA.5対応2価ワクチンについて、ファイザーは9月13日付のプレスリリースにて、厚生労働省に承認事項一部変更申請を行ったことを発表した。また、モデルナも準備が整い次第申請を行う予定だとしている。※記事の一部を修正いたしました。(9月20日) 

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コロナ抗原検査キットがOTC化、ネット通販も可能に【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第96回

新型コロナウイルスの抗原検査キットの取り扱いについては、薬局はいろいろと振り回されましたね。研究用・医療用の抗原検査キットの混乱や不足の一方、行政や薬局による無料配布などもあり、問い合わせは多かったのではないでしょうか。今回、その抗原検査キットはOTC化が承認され、すでに発売が開始されました。スイス製薬大手ロシュ傘下で検査薬事業を手がけるロシュ・ダイアグノスティックス(東京・港)は24日、新型コロナウイルスの感染を検査する抗原検査キットについて一般用医薬品(OTC)としての承認を得たと発表した。国内でOTCとして承認されたコロナ検査キットは初めて。これまで薬局や医療機関でしか扱えなかったキットをドラッグストアやネットで販売できるようになる。(2022年8月24日付 日本経済新聞)今回、OTCとして抗原検査キットが初めて承認を得ました。現時点で4製品が承認され、すでに発売されている製品もあります。と言っても、まったく新しい製品が発売されるわけではなく、これまで「医療用」として承認されていた抗原検査キットが「一般用」の抗原検査キットとして再承認され、第1類医薬品として販売されることになります。従来の薬局での対面販売に加え、ドラッグストアやインターネットでの販売が可能になるため、患者さんにとっては手に取りやすくなるでしょう。皆さんご存じのとおり、検査キットの中には「研究用」と称し、一般の方にはむしろきちんとしているように見えて、実は承認を得ていない製品が巷にあふれていることが問題になっています。昨年から何度も事務連絡が出され、「研究用とされている検査キットは未承認であり、その質が保証されていないので販売しないこと」「研究用検査キットと医療用検査キットの違いや購入希望者は薬剤師に相談すること」などの注意喚起がなされてきました。しかし、検査キットが不足して多くの人が検査できないという混乱の中で、やむなく販売した薬局もあったのではないでしょうか。一方、抗原検査キットが実は不足していないのか、薬局で無料配布を行っている地域もあります。都道府県から配給される際に「配布するだけでよい」と言われているそうですが、だったら薬局じゃなくても駅とか空港とか、はたまたティッシュを配るように街中で配布してもよかったのでは…なんて思ってしまいます。これに対しても、問い合わせやクレームなどで手を焼いた薬局は多かったのではないでしょうか。8月末に開催された内閣府の規制改革推進会議医療・介護・感染症対策ワーキング・グループ(WG)では、依然として研究用が流通していて、薬剤師による説明を受ける手間を煩わしく思ってあえて研究用を購入する人がいる可能性があることなどから、第2類医薬品としてはどうか、などの議論が交わされました。実際、厚生労働省が2022年6月に行った調査では、医療用と研究用の2種類があることを知らない人が60%いたという調査報告もあり、課題が大きいこともわかります。え?また変わる可能性があるの?というイヤな予感がしますね。承認前にこの問題を解決してほしかったのですが、残念ながら抗原検査キットを巡る混乱はまだ続きそうです。

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第129回 ワクチン接種でlong COVID 4大症状が大幅減少/ long COVIDの国際的な取り組みが発足

英国での試験と同様に、イスラエルの試験でもワクチン接種が新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)罹患後症状(long COVID)をどうやら防ぐことが示されました。昨年9月にLancet Infectious Diseases誌に掲載された英国での試験ではワクチン2回接種済みだとSARS-CoV-2感染後28日過ぎの症状全般が生じ難いという結果が得られています1)。SARS-CoV-2感染成人およそ千人(951人)の経過を調べた今回のイスラエルでの試験ではlong COVIDの10の主症状それぞれの生じやすさとワクチン接種の関連が調べられました。951人のうち340人(36%)はPfizer/BioNTechのワクチンBNT162b2を1回接種済み、294人(31%)は少なくとも2回接種済みでした。SARS-CoV-2感染後に特に多かった症状は疲労、頭痛、四肢の虚弱、筋痛の持続で、それぞれ22%、20%、13%、10%に認められました。それら4大症状の他に6つの症状―集中力欠如、脱毛、睡眠障害、めまい、咳、息切れも多く認められました。年齢やもとの症状などを考慮した解析の結果、ワクチン2回接種済みの人の4大症状―疲労、頭痛、四肢の虚弱、筋痛の持続の割合は非接種の人よりそれぞれ62%、50%、62%、66%低いことが示されました2,3)。2回のBNT162b2接種は脱毛、めまい、呼吸困難が生じ難くなることとも関連し、long COVIDを防ぐ効果があるようだと著者は結論しています。COVID-19後遺症を調べて治療候補の臨床試験を仕切る国際的な取り組みが発足すでに1億5,000万人を数え、増え続けているlong COVIDを調べて候補の治療の臨床試験を仕切る国際的な取り組みLong Covid Research Initiative(LCRI)が発足しました4)。科学投資事業BalviがLCRIに1,500万ドルを寄付しています。また、抗癌剤アブラキサンの発明者として知られるPatrick Soon-Shiong氏が率いる基金もLCRIを支援します。LCRIがまず目指すのはLong COVID患者にSARS-CoV-2が存続しているかどうかや、もしそうなら居座るSARS-CoV-2が症状の要因かどうかを明らかにすることです5)。SARS-CoV-2が体内を巡り続けているなら抗ウイルス薬で症状を減らせそうであり、LCRIを主導する非営利事業PolyBio首脳陣の1人Amy Proal氏はそういう治療の臨床試験が早く始まることを望んでいます。上述のSoon-Shiong 氏やProal氏を含む20人を超える屈指の研究者がLCRIの取り組みを担います。エール大学の岩崎明子(Akiko Iwasaki)氏も名を連ねます。LCRIは1億ドルを集めることを目指しており、その半分は臨床試験に使われます。参考1)Antonelli M,et al. Lancet Infect Dis. 2022 Jan;22:43-55.2)Kuodi P, et al. NPJ Vaccines. 2022 Aug 26;7:101.3)Vaccines dramatically reduce the risk of long-term effects of COVID-19 / Eurekalert4)Introducing a Global Initiative to Address Long Covid / Long Covid Research Initiative5)New private venture tackles the riddle of Long Covid―and aims to test treatments quickly /Science

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第116回 他院の受診歴や診療内容がマイナポータルで閲覧可能に/厚労省

<先週の動き>1.他院の受診歴や診療内容がマイナポータルで閲覧可能に/厚労省2.インフルエンザ予防接種、コロナワクチンと同時接種容認へ/厚労省3.女性差別の医学部不正入試の東京医科大に1,800万円賠償判決/東京地裁4.特定健診、医療費抑制効果なし/京都大学5.高齢者のオーラルフレイル(口腔機能低下)で死亡リスクが2倍以上に/東京都健康長寿医療センター6.刑務所の受刑者のワクチン接種に遅れ、コロナウイルス感染者が急増1.他院の受診歴や診療内容がマイナポータルで閲覧可能に/厚労省厚労省は9月5日マイナンバーカード取得者向けサイト「マイナポータル」で閲覧できる情報の拡充を発表した。これまでは、特定健診等情報・薬剤情報だけだったものが、9月11日からは過去3年分の「診療情報」を閲覧できるようになり、医療機関名、受診歴、診療行為内容などの閲覧が可能となる。ただし、診療レセプトベースのため、画像診断や病理診断などの結果の閲覧はできない。この他、医療機関同士で情報共有も可能になるが、まだ対応している医療機関が少ないため、医療機関間での対応が課題となっている。(参考)「全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大」の運用開始について(厚労省)マイナポータルで診療情報閲覧 11日から(産経新聞)医療機関で受診歴を共有可に マイナポータルで閲覧も 11日から(朝日新聞)診療情報の閲覧11月から可能に、画像診断など 過去3年分のデータを共有(CB news)2.インフルエンザ予防接種、コロナワクチンと同時接種容認へ/厚労省松野博一官房長官は9月9日の記者会見において、今年の冬には新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が懸念されるため、ワクチンの同時接種が可能になったことを踏まえ、感染防止目的で接種を推進することを明らかにした。厚生労働省はこれに先立ち、9月5日に開催された厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会で、10月から65歳以上のインフルワクチン定期接種が始まることを積極的に呼びかけることを決定した。今冬のインフルエンザワクチンは、平成27年以降で最大の供給量となる約3,521万本(成人量では7,042万回分に相当)を確保できる見込み。(参考)今シーズン(2022/23)のインフルエンザワクチンについて(厚労省)インフルワクチン、高齢者らへ開始時期など周知 コロナ同時流行懸念(朝日新聞)コロナ・インフルのワクチン同時接種容認 厚労省、安全性問題なし(産経新聞)3.女性差別の医学部不正入試の東京医科大に1,800万円賠償判決/東京地裁東京医科大学が、医学部入試において、女性や浪人生が不利になるように得点を調整していた問題で、同大に受験して不合格となった女性28人が慰謝料を含め、合計1億5,000万円余りの損害賠償を求めた裁判で、東京地裁は9月9日に同大に対して、合計1,800万円を賠償するよう命じる判決を下した。平城恭子裁判長は「性別という自らの努力や意思で変えることのできない属性を理由に女性を一律に不利益に扱った」と批判した。同大は「判決内容を精査して、対応を検討する」とコメントした。(参考)女性差別の不正入試 東京医科大に賠償命じる判決 東京地裁(朝日新聞)医学部不正入試 東京医科大に1,800万円賠償命令 東京地裁(毎日新聞)4.特定健診、医療費抑制効果なし/京都大学京都大学の人間健康科学科准教授の福間 真悟氏らは、2014年1~12月に特定健診を受けた11万3,302例を対象に特定保健指導の介入3年後の効果を調べた。その結果、特定保健指導は、外来患者の訪問日数の減少(1.3日減少)と関連していたが、医療費、投薬回数、入院回数とは関連していなかったことが明らかとなった。政府や厚生労働省は、これまで糖尿病などの生活習慣病の発症や重症化を予防する目的で特定健康診査の特定保健指導を推奨していたが、2020年には心血管リスク低減効果が認められなかったことも明らかになっていた。厚生労働省の「特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会」でも、アウトカム評価を入れるなど2024年度からはじまる第4期に向け、特定健診・特定保健指導について議論が先月まとめており、今後さらに見直しを迫られると考えられている。(参考)メタボ健診に医療費抑制効果なし(時事通信 2022/9/5)特定健診(メタボ健診)における特定保健指導に医療費抑制効果なし(京都大学)特定健診・特定保健指導の効率的・効果的な実施方法等について(議論のまとめ)(厚生労働省)Impact of the national health guidance intervention for obesity and cardiovascular risks on healthcare utilisation and healthcare spending in working-age Japanese cohort: regression discontinuity design(BMJ Open)5.高齢者のオーラルフレイル(口腔機能低下)で死亡リスクが2倍以上/東京都健康長寿医療センター高齢者の2割は口腔状態に問題があり、問題がない高齢者に比べて要介護リスクや死亡リスクが2倍超となることが、東京都健康長寿医療センター研究所の研究で明らかとなった。報告によれば、歯の数、咀嚼や嚥下の困難感、舌の力、舌口唇運動機能、咀嚼力の6項目で評価し、3項目以上該当した場合はオーラルフレイルと定義したところ、高齢者のうち19.3~20.4%がオーラルフレイルであり、そうでない人と比べて低栄養状態である割合が2.17倍高く、4年間の追跡調査により、オーラルフレイルの人は、死亡リスクが2.1倍、要介護認定が2.4倍になることが明らかとなった。以前から、口腔機能低下が、全身状態や生活にも大きく影響を与えることがわかっており、歯科医師が入院患者の口腔の管理を行うことによって、在院日数が削減できたり、肺炎発症を抑制することが判明しており、今後、医科歯科連携の強化が求められる。(参考)高齢期における口腔機能の重要性-オーラフレイルの観点から-(健康長寿医療センター)口腔状態に問題ある高齢者は要介護や死亡リスクが2倍超、地域で「オーラルフレイル改善」の取り組み強化を-都健康長寿医療センター(GemMed)医師以外の医療従事者の確保について(厚労省)6.刑務所の受刑者のワクチン接種に遅れ、コロナウイルス感染者が急増新型コロナウイルスワクチンの受刑者への接種が遅れていることが読売新聞などの報道で明らかになった。接種には住所のある自治体の発行した接種券が必要だが、受刑者の多くは服役先に住民票がないため、新型コロナウイルスのワクチン接種に遅れが発生した。このため、刑務所内で受刑者の感染者は急増しており、実際に熊本刑務所では、全収容者の約半数の159人が感染したことが判明しており、自治体側が接種券の二重発行を懸念したため、受刑者は後回しになってしまったために生じている。今後、自治体による柔軟な対応が求められる。(参考)服役先に住民票なし・家族が接種券送ってくれない…感染者急増の受刑者、接種に遅れ(読売新聞)刑務所で受刑者159人感染、全収容者の約半数「ずっと部屋の中にいる…防ぐのは難しい」(読売新聞)

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コロナ潜伏期間は変異株ごとに短縮、年齢による違いも~メタ解析

 新型コロナウイルスの変異株の進化に伴い、アルファ株からオミクロン株へ、その潜伏期間が徐々に短縮していることが示唆された。また、小児および高齢患者で潜伏期間が長い傾向がみられている。中国・北京大学のYu Wu氏らは、それぞれの変異株によって引き起こされる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の潜伏期間を体系的に評価することを目的にシステマティックレビューとメタ解析を実施。JAMA Network Open誌オンライン版2022年8月22日号に報告した。 2019年12月1日~2022年2月10日に、PubMed、EMBASE、ScienceDirectが検索され、PRISMAガイドラインに基づきレビュー担当者が適格な研究からデータを個別に抽出した。パラメータ等は、変量効果モデルによるメタ解析から明らかにされた。潜伏期間は感染から徴候や症状の発症までの時間と定義され、主要評価項目はSARS-CoV-2株ごとの潜伏期間の平均推定値とされた。 主な結果は以下のとおり。・8,112例を対象とした合計142件の研究が含まれた。・潜伏期間について、プールされた平均推定値は6.57日(95%信頼区間[CI]:6.26~6.88、範囲:1.80~18.87日)だった。・アルファ、ベータ、デルタ、およびオミクロン株の潜伏期間について、それぞれ1研究(6,374例)、1研究(10例)、6研究(2,368例)、および 5研究(829 例)のデータが収集された。・変異株ごとにみた平均潜伏期間は、アルファ株で5.00日(95%CI:4.94~5.06日)、ベータ株で4.50日(95%CI:1.83~7.17 日)、デルタ株は4.41日(95%CI:3.76~5.05日)、およびオミクロン株で3.42日(95%CI:2.88~3.96日)だった。・年齢および重症度ごとにみた平均潜伏期間は、高齢患者(60歳以上)で7.43日(95%CI:5.75~9.11日)、小児患者(18 歳以下)で8.82日(95%CI:8.19~9.45 日)だった。また、重症でない患者では 6.99 日(95%CI:6.07~7.92日)、重症の患者では6.69日(95%CI:4.53~8.85日)だった。  著者らは、本結果は新型コロナウイルスがCOVID-19パンデミックを通して継続的に進化および変異し、さまざまな形の感染性および病原性を持つ変異株を生成したことを示唆しているとし、変異株の潜伏期間を特定することは、隔離期間を決定するうえで重要な要素だとしている。

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日本人高齢者における片頭痛有病率~糸魚川翡翠研究

 新潟・糸魚川総合病院の勝木 将人氏らは、日本人高齢者の頭痛、片頭痛、慢性連日性頭痛、痛み止めの使い過ぎによる頭痛(薬剤の使用過多による頭痛、薬物乱用頭痛)の有病率を調査するためアンケート調査を実施し、3ヵ月間の頭痛の有病率とその特徴を明らかにしようと試みた。結果を踏まえ著者らは、日本人高齢者の頭痛有病率は諸外国と比較し、決して高いものではないが、片頭痛による社会経済的損失は重大であり、疾患の理解、適切な治療や予防などが重要であると報告している。また、高齢者は、さまざまな併存疾患に関連する重度な頭痛といった特徴を持つ可能性が示唆された。Journal of Clinical Medicine誌2022年8月11日号掲載の報告。 2019年、3回目の新型コロナウイルスワクチン接種後の待機時間を利用し、新潟県・糸魚川市の糸魚川総合病院と能生国民健康保険診療所で、65歳以上の高齢者を対象にアンケート調査を実施した。片頭痛および薬物乱用頭痛の定義には、国際頭痛分類第3版を用いた。慢性連日性頭痛は、1ヵ月に15日以上の頭痛発生と定義した。K-means++法を用いて、クラスタリングを行った。 主な結果は以下のとおり。・有効回答者2,858例における有病率は、頭痛11.97%、片頭痛0.91%、慢性連日性頭痛1.57%、薬物乱用頭痛0.70%であった。・鎮痛薬の併用や非オピオイド鎮痛薬の使用頻度が高かった。・予防薬を使用していた片頭痛患者は1例のみであった。・K-means++法を用いて薬物乱用頭痛患者332例を4つのクラスターに分類したところ、各クラスターの頭痛に下記の特徴が認められた。 ●クラスター1:緊張型頭痛様 ●クラスター2:薬物乱用頭痛様 ●クラスター3:脳卒中・脂質異常症・うつ病などを既往に持つ重症な頭痛 ●クラスター4:光恐怖症や音恐怖症を持つ片頭痛様

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第125回 学会提言がTwitterで大炎上、医療崩壊にすり替えた国産コロナ薬への便宜では?

土曜日の朝、何気なくTwitterを開いたらトレンドキーワードに「感染症学会」の文字。何かと思って検索して元情報を辿ったところ、行き着いたのが日本感染症学会と日本化学療法学会が合同で加藤 勝信厚生労働大臣に提出した「新型コロナウイルス感染症における喫緊の課題と解決策に関する提言」だった。提言は4つだが、そのすべてをひっくるめてざっくりまとめると、「現在の第7波に対応するには早期診断・早期治療体制の確立がカギを握る。そのためには重症化リスクの有無に関係なく使える抗ウイルス薬が必要であり、その可能性がある国産抗ウイルス薬の一刻も早い承認あるいは既存の抗ウイルス薬の適応拡大が必要」というものだ。どうやら発表された9月2日に厚生労働省内にある記者クラブで記者会見をしたらしいが、フリーランスの私は当然それを知る由もない。この点がフリーランスのディスアドバンテージである。国産抗ウイルス薬とは、塩野義製薬が緊急承認制度を使って申請した3CLプロテアーゼ阻害薬のエンシトレルビル(商品名:ゾコーバ)のことだ。同薬の緊急承認審議の中身についてはすでに本連載で触れた通り。連載では文字数の関係上、ある程度議論をリードした発言を抜粋はしているが、本格議論の前に医薬品医療機器総合機構(PMDA)側から緊急承認に否定的な審査報告書の内容が説明されている。その意味で、連載に取り上げた議論内容は少なくとも感情論ではなく科学的検討を受けてのもので、結果として継続審議となった。両学会の提言はそうした科学的議論を棚上げしろと言っているに等しい。もっとも両学会の提言は一定のロジックは付けている。それについて私なりの見方を今回は記しておきたいと思う。まず、4つの提言のうち1番目を要約すると「入院患者の減少や重症化の予防につながる早期診断・早期治療の体制確立を」ということだが、これについてはまったく異論はない。提言の2番目(新規抗ウイルス薬の必要性)は一見すると確かにその通りとも言える。念のため全文を引用したい。「現在使用可能な内服薬は適応に制限があり、60歳未満の方のほとんどは診断されても解熱薬などの対症療法薬の処方しか受けられません。辛い症状、後遺症に苦しんでいる方が多くいらっしゃいます。また、自宅療養中に同居家族に高率に感染が広がることが医療逼迫の大きな原因になっています。こうした状況を打開するためにも、ハイリスク患者以外の軽症者にも投与できる抗ウイルス薬の臨床現場への導入が必要です」私はこの段階でやや引っかかってしまう。確かに現時点で高齢者や明らかな重症化リスクのある人以外は解熱鎮痛薬を軸とする対症療法しか手段がない。しかも、現在の新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の重症度判定は、酸素飽和度の数値で決められているため、この数字が異常値でない限りは40℃近い発熱で患者がのたうち回っていても重症度上は軽症となり、解熱鎮痛薬処方で自然軽快まで持ちこたえるしかない。それを見つめる医療従事者は隔靴掻痒の感はあり、何とかしてあげたいという思いに駆られるだろう。それそのものは理解できる。しかし、私たちはこの「思い」が裏目に出たケースを経験している。いわゆる風邪に対する抗菌薬乱用による耐性菌の増加、眠れないと訴える高齢者へのペンゾジアゼピン系抗不安薬の乱用による依存症。いずれも根本は医療従事者の“患者の苦痛を何とかしたい”という「思い」(あるいは「善意」)がもたらした負の遺産である。結果として、提言の2番目は言外に「何ともできないのは辛いから、まずは効果はほどほどでも何とかできるようにさせてくれ」と主張しているように私は思えてしまう。ちなみに各提言では、「説明と要望」と称してより詳細な主張が付記されているが、2番目の提言で該当部分を読むと、その主張は科学的にはやや怪しくなる。該当部分を抜粋する。「感染者に対する早い段階での抗ウイルス薬の投与は、重症化を未然に防ぎ、感染者の速やかな回復を助けるだけではなく、二次感染を減らす意味でも大切です」これは一般の人が読めば、「そうそう。そうだよね」となるかもしれない。しかし、私が科学的に怪しいと指摘したのは太字にした部分である。その理由は2つある。第1の理由は、まず今回の新型コロナは感染者の発症直前から二次感染を引き起こす。発症者が抗ウイルス薬を服用しても二次感染防止は原理的に不可能と言わざるを得ない。服用薬に一定の抗ウイルス効果が認められるならば、感染者・発症者が排出するウイルス量は減ると考えられるので、理論上は二次感染を減らせるかもしれないが、それが服用薬の持つリスクとそのもののコストに見合った減少効果となるかは、はなはだ疑問である。第2の理由は、提言が緊急承認を求めているエンシトレルビルの作用機序に帰する。エンシトレルビルは新型コロナウイルスの3CLプロテアーゼを阻害し、すでに細胞に侵入したウイルスの増殖を抑制することを意図した薬剤である。ヒトの体内に侵入したウイルスが細胞に入り込む、すなわち感染・発症成立を阻止するものではない。たとえばオミクロン株ではほぼ無効として、現在はほぼ使用されなくなった通称・抗体カクテル療法のカシリビマブ/イムデビマブ(商品名:ロナプリーブ)は、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質と結合し、細胞そのものへの侵入を阻止する。もちろんこれとて完全な感染予防効果ではなく、厳密に言えば発症予防効果ではあるが、原理的には3CLプロテアーゼ阻害薬よりは二次感染発生の減少に資すると言える。現にオミクロン株登場前とはいえ、カシリビマブ/イムデビマブは、臨床試験で家庭内・同居者内での発症予防効果が認められ、適応も拡大されている。これに対してエンシトレルビルと同じ3CLプロテアーゼ阻害薬で、国内でも承認されているニルマトレルビル/リトナビル(商品名:パキロビッドパック)では、家庭内感染リスク低下を評価するべく行った第II/III相試験「EPIC-PEP」でプラセボ群と比較して有意差は認められていない。これらから「二次感染を減らす意味でも大切です」という提言内容には大いに疑問である。そして提言の3番目(抗ウイルス効果の意義)では次のように記述している。「新しい抗ウイルス薬の臨床試験において、抗ウイルス効果は主要評価項目の一つです。新型コロナウイルスの変異株の出現に伴い、臨床所見が大きく変化している今、抗ウイルス効果を重視する必要があります」今回の話題の焦点でもあるエンシトレルビルの緊急承認審議に提出された同薬の第II/III相試験の軽症/中等症患者を対象とした第IIb相パートの結果では、主要評価項目の鼻咽頭ぬぐい検体を用いて採取したウイルス力価のベースラインからの変化量と12症状合計スコア(治験薬投与開始から120時間までの単位時間当たり)の変化量は、前者で有意差が認められたものの、後者では有意差が認められなかった。この結果が緊急承認の保留(継続審議)に繋がっている。提言の言いたいことは、ウイルス力価の減少、つまり抗ウイルス効果が認められたと考えられるのだから、むしろそれを重視すべきではないかということなのだろう。実際、3番目の提言の説明と要望の項目では、デルタ株が主流だった第5波の際の感染者の重症化(人工呼吸器管理を必要とする人)率が0.5%超だったのに対し、オミクロン株が主流の第6波以後では0.1%未満であるため、重症化阻止効果を臨床試験で示すことは容易ではないと指摘している。それは指摘の通りだが、エンシトレルビルの第IIb相パートはそもそも重症化予防効果を検討したものではない。あくまで臨床症状改善状況を検討したものである。しかも、この説明と要望の部分では「ウイルス量が早く減少することは、臨床症状の改善を早めます」とまるで自家撞着とも言える記述がある。ところがそのウイルス量の減少が臨床症状の改善を早めるという結果が出なかったのがエンシトレルビルの第IIb相パートの結果である。両学会は何を主張したいのだろう。一方で今回のエンシトレルビルの件では、時に「抗ウイルス薬に抗炎症効果(臨床症状改善)まで求めるのは酷ではないか」との指摘がある。しかし、ウイルス感染症では、感染の結果として炎症反応が起こるのは自明のこと。ウイルスの増殖が抑制できるならば、当然炎症反応にはブレーキがかからねばならない。それを臨床試験結果として示せない薬を服用することは誰の得なのだろうか?前述のように作用機序からも二次感染リスクの減少効果が心もとない以上、この薬を臨床現場に投入する意味は、極端な話、それを販売する製薬企業の売上高増加と解熱鎮痛薬よりは根本治療に近い薬を処方することで医師の心理的負荷が軽減されることだけではないか、と言うのは言い過ぎだろうか?さらにそもそも論を言ってしまえば、現在エンシトレルビルで示されている抗ウイルス効果も現時点では「可能性がある」レベルに留まっている。というのも前述の第IIb相パートは検査陽性で発症が確認されてから5日以内にエンシトレルビルの投与を開始している。この投与基準そのものは妥当である。そのうえで、対プラセボでウイルス力価とRNA量の減少がともに有意差が認められたのは投与開始4日目、つまり発症から最大で9日目のもの。そもそも新型コロナでは自然経過でも体内のウイルス量は発症から5日程度でピークを迎え、その時点を境に減少するのが一般的である。この点を考慮すると、第IIb相パートの試験で示された抗ウイルス効果に関する有意差が本当にエンシトレルビルの効果のみで説明できるかは精査の余地を残している。ちなみに緊急承認に関する公開審議では委員の1人から、この点を念頭にエンシトレルビル投与を受けた被験者の投与開始時点別の結果などが分かるかどうかの指摘があったが、事務局サイドは不明だと回答している。さらに指摘するならば同試験は低用量群と高用量群の2つの群が設定されているが、試験結果を見る限りでは高用量群での抗ウイルス効果が低用量群を明らかに上回っているとは言い切れず、用量依存的効果も微妙なところである。総合すれば、エンシトレルビルの抗ウイルス効果と言われるものも、現時点では暫定的なものと言わざるを得ないのだ。また、3番目の提言の説明と要望の項目では「オミクロン株に感染した際の症状としては呼吸器症状(鼻閉・咽頭痛・咳)、発熱、全身倦怠感が主体でこれ以外の症状は少なくなっています」とさらりと触れている。これは主要評価項目の12症状合計スコアで有意差が認められなかった点について、塩野義製薬がサブ解析でこうした呼吸器症状のみに限定した場合にプラセボに対してエンシトレルビルでは有意差が認められたと主張したことを、やんわりアシストしているように受け取れる。これとて緊急承認の際の公開審議に参加した委員の1人である島田 眞路氏(山梨大学学長)から「呼吸器症状だけ後からピックアップして有意差が少しあったという。要するにエンドポイントを後からいじるのはご法度ですよ。はっきり言って」とかなり厳しく指摘された点である。そしてこうしたサブ解析で有意差が出た項目を主要評価項目にして臨床研究を行った結果、最終的に有意差は認められなかったケースは実際にあることだ。いずれにせよ私個人の意見に過ぎないが、今回の提言は科学的に見てかなり破綻していると言わざるを得ない。そしてなにより今回の提言の当事者である日本感染症学会理事長の四柳 宏氏(東京大学医科学研究所附属病院長・先端医療研究センター感染症分野教授)は、エンシトレルビルの治験調整医師であり、明確に塩野義製薬と利益相反がある。記者会見ではこの点について四柳氏自身が「あくまでも学会の立場で提言をまとめた」と発言したと伝わっているが、世間はそう単純には受け止めないものだ。それでも提言のロジックが堅牢ならばまだしも、それには程遠い。まあ、そんなこんなで土曜日は何度かこの件についてTwitterで放言したが、それを見た知人からわざわざ電話で「あの感染症学会の喧々諤々、分かりやすく説明してくれ」と電話がかかってきた。「時間かかるから夜にでも」と話したら、これから町内会の清掃があって、その後深夜まで出かけるとのこと。私はとっさに次のように答えておいた。「あれは例えて言うと…町内会員らで清掃中の道路に町内会長が○○○したようなもの」これを聞いた知人は「うーん、分かるような、分からないような。また電話するわ」と言って会話は終了した。その後、彼からは再度問い合わせはない。ちなみに○○○は品がないので敢えて伏字にさせてもらっている。ご興味がある方はTwitterで検索して見てください。お勧めはしません(笑)。

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鼻腔拭い液のコロナ検査、自己採取と医療者で結果は異なるか/JAMA

 4~14歳の小児が簡単な説明資材を視聴した後に自己採取した鼻腔拭い液からの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検出率は、医療従事者が採取した鼻腔拭い液での検出率とほぼ一致したことが、米国・エモリー大学のJesse J. Waggoner氏らが実施した横断研究の結果、示された。SARS-CoV-2の検査が拡大しているが、小児の自己採取が検査の精度に及ぼす影響が不明であるため、14歳未満の自己採取による鼻腔拭い液を用いた検査は緊急使用許可(EUA)が得られていなかった。JAMA誌オンライン版2022年8月26日号掲載の報告。小児に自己採取についてビデオと印刷物で説明 研究グループは、2021年7月~8月の期間に、Children’s Healthcare of Atlantaの各施設において過去24時間以内に鼻咽頭スワブ検査でSARS-CoV-2陽性または陰性が記録された小児を募集し、参加の同意が得られた症状を有する4~14歳の197例を登録した(130例は救急外来で登録され、67例は電話連絡により検査会場に戻るよう依頼)。 鼻腔拭い液の自己採取についての短い説明ビデオをタブレットまたはスマートフォンで見てもらうとともに、文章と画像で示した説明資料(印刷物)を配布した。 その後、まず参加者に被験者は鼻腔拭い液を自己採取してもらい、次に医療従事者(小児科の看護師)が2回目の検体を採取した。 主要評価項目は、EUAを取得しているリアルタイムRT-PCR検査によるSARS-CoV-2検出と、サイクル閾値(Ct値)による相対定量の、自己採取と医療従事者採取の比較とした。自己採取と看護師採取での一致率は、SARS-CoV-2陽性も陰性も約98% 197例中1例は、医療従事者が採取した検体が無効であったため解析から除外された。196例のうち108例(55.1%)が男性で、年齢中央値は9歳(四分位範囲[IQR]:6~11)であった。 自己採取および医療従事者採取の両方でSARS-CoV-2陽性は44.4%(87/196例)、陰性は53.6%(105/196例)で、いずれか片方のみが陽性はそれぞれ2例であった。 自己採取と医療従事者採取の陽性一致率は97.8%(95%信頼区間[CI]:94.7~100.0)、陰性一致率は98.1%(95.6~100.0)であり、SARS-CoV-2のCt値に両群間で有意差は確認されなかった(Ct値の平均値±SD:自己採取26.7±5.4 vs.医療従事者採取26.3±6.0、p=0.65)。 なお、著者は、参加者が有症者に限定されていたこと、デルタ株の流行期であったこと、参加は自主的であり選択バイアスにつながる可能性があること、などを研究の限界として挙げている。

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