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1日6杯以上のコーヒーと認知症リスクが関連

 コーヒーは、中枢神経を刺激するカフェインを含有する世界で人気の飲料である。南オーストラリア大学のKitty Pham氏らは、習慣的なコーヒーの摂取が脳容積の違いや認知症および脳卒中の発症に関連しているかについて検討を行った。Nutritional Neuroscience誌オンライン版2021年6月24日号の報告。 UK Biobankに参加した39万8,646人(37~73歳)を対象に、習慣的なコーヒーの消費量をプロスペクティブに分析した。MRIの情報は、対象者のうち1万7,702人より得られた。脳容積との関連は、共変量調整線形回帰を用い、認知症(4,333例)および脳卒中(6,181例)のオッズ比(OR)との関連は、ロジスティック回帰を用いて分析した。 主な結果は以下のとおり。・習慣的なコーヒーの消費量と以下の脳容積との間に逆線形の関連が認められた。 ●全脳(1杯当たりの完全調整β:-1.42、95%CI:-1.89~-0.94) ●灰白質(β:-0.91、95%CI:-1.20~-0.62) ●白質(β:-0.51、95%CI:-0.83~-0.19) ●海馬容積(β:-0.01、95%CI:-0.02~-0.003)・習慣的なコーヒーの消費量と白質高信号域(WMH)容積との関連は認められなかった(β:-0.01、95%CI:-0.07~0.05)。・コーヒーの消費量と認知症との関連は、非線形であった(Pnon-linearity=0.0001)。少量のコーヒーを摂取する人と比較し、コーヒーを摂取しない人、カフェインレスコーヒーを摂取する人、1日6杯以上コーヒーを摂取する人において、オッズ比が高かった。・共変量で完全に調整した後、1日6杯以上のコーヒー摂取は、1日1~2杯の摂取と比較し、認知症ORが53%(完全調整OR:1.53、95%CI:1.28~1.83)高かったが、脳卒中との関連は弱かった(OR:1.17、95%CI:1.00~1.37、p=0.055)。 著者らは「コーヒーの消費量が多いと、脳容積の低下が認められ、また認知症リスクが高まることが示唆された」としている。

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認知症による幻覚妄想に何を処方するべきか(解説:岡村毅氏)

 認知症がある方のサイコーシス(幻覚・妄想)は、本人や介護者にとっては過酷な状況である。 本研究は、海外ではパーキンソン病認知症によるサイコーシスに使われているpimavanserinを、アルツハイマー型、前頭側頭型、血管性の認知症によるサイコーシスにも広げる試みだ。この第III相試験で良好な結果が得られたので、将来われわれが手にする可能性も高いと思われる。 認知症がある方のサイコーシスに対する医学的な対応はここ数十年で大きく変貌した。かつては抗精神病薬が安易に処方されることが多かった。これらは、強弱はあるがドパミン遮断薬でもあるのだから、パーキンソン症状のリスクが大きく、誤嚥や転倒につながる。さらにレビー小体病やパーキンソン病認知症といった新たなカテゴリーが出現し、このカテゴリーでは当然ながらドパミン遮断薬は禁忌である。 現在では、抗精神病薬はなるべく使わずに、環境調整(たとえば日中は明るい所で活動してもらう)、非薬物療法(介護スタッフへのケア方法の提案)、心理社会的な解釈の可能性の探求(その幻覚妄想には意味があるのではないか、こうすればよいのではないか)などをまずは行う。それでも改善しない場合は漢方薬を使い(ただし粉の形状が嫌われる場合もある)、最後の手段でリスクベネフィットを熟慮したうえで関係者の総意で少量の抗精神病薬を開始する、効果が得られたらすぐに撤退する、というのが一般的であろう。 とはいえ、処方者はなかなか厳しい立場にいることも自覚せねばならない。進歩的な人々からは「高齢者に抗精神病薬を使うなんて非人道的だ」と言われる。一方で、家族介護者や施設介護者からは、「私たちの生活は破綻しています」という悲鳴と共に使用の希望を頂くことが多い。「すぐに使ってくれ、でなければ入院させてくれ」と言われることもあるし、期待に沿えないとおそらく他の医療機関で処方してくれるところを探し続けるということもあろう。また減薬を提案すると反発されることが多い。臨床とはそういうものだが、柔軟さと大局観が必要だ。 このpimavanserinの強みは、パーキンソン症状がほぼないことであろう。本研究では誤嚥や転倒はみられておらず、これまでの困難を大きく解消するだろう。 以上はあくまで臨床家の経験に基づく語りである。そして以下はそれを受けた研究者としての考察である。 もちろん処方データベース等を用いた疫学研究も重要であるが(私も疫学研究者の端くれである)、現実世界の変化はとても大きく複雑なので、臨床家の生の声が意外に本質に迫っていることもある。 臨床現場は、患者の急激な高齢化(いまや100歳も普通)、一人暮らしの人の急増、地域包括支援センターの支援技術の向上(出来上がったころに比べると雲泥の差だ、そもそも昔は認知症の人は病院だといって拒否していたところもあった)、介護スタッフの技術の向上(たとえば好き嫌いはあるだろうがユマニチュードのおかげで支配的なスタッフはだいぶ減った印象だ)、家族の意識の変化(かつては親の死や弱さを受け入れない人も多かったが、いまでは自然なこととわかってくださる人が増えた)など変わり続ける。おそらく未知の変数もあるだろう。そして正解もまた変わり続ける。かつて私は、ガイドラインや疫学研究が臨床を導く光だと思っていた。いまでもそうした気持ちはあるが、おそらくガイドラインや疫学研究は、現実には臨床を追いかけているに過ぎないのだろうと思っている。 最後におとなしくまとめると、両方大事であって、どちらかだけでは視野狭窄だということだ。

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片頭痛の予防治療に関するレビュー

 米国・ハーバード大学医学大学院のRebecca Burch氏は、片頭痛の予防的治療の開始時期と選択方法、薬理学的オプション(従来からある経口剤治療およびカルシトニン遺伝子関連ペプチド[CGRP]またはその受容体に対する新規モノクローナル抗体)、神経調節などの非薬理学的治療、難治性片頭痛の予防的治療などの片頭痛に対する介入について、レビューを行った。Continuum誌2021年6月1日号の報告。 主なレビューは以下のとおり。・片頭痛の予防的治療は、CGRPまたはその受容体を標的としたモノクローナル抗体が開発されたことにより変化した。・これらの治療法は、毎月または四半期ごとに皮下または静脈内投与することにより、高い有効性と良好な忍容性が臨床試験で確認された。・リアルワールドでの研究において、有害事象は、臨床試験よりも高率で認められた。・従来からある2つの予防的治療で効果不十分な場合、CGRPまたはその受容体を標的としたモノクローナル抗体の使用が推奨されている。・一般的に引用される米国頭痛学会、米国神経学会の頭痛予防ガイドライン2012が発表されて以来、リシノプリル、カンデサルタン、メマンチンの予防的使用を支持する臨床試験が報告されている。・外部三叉神経刺激法および単発経頭蓋磁気刺激法を含む神経調節デバイスによる予防的使用を支持するいくつかのエビデンスが報告されている。・片頭痛の予防的治療に関する米国頭痛学会、米国神経学会の頭痛予防ガイドラインは、現在アップデートされている。・新クラスの経口CGRP受容体アンタゴニスト(gepant)が、片頭痛の予防的治療に対し試験されている。 著者らは「片頭痛の予防的治療の成功は、疾患負荷の軽減やQOLの向上が期待できる。片頭痛の予防には、CGRPを標的とした新規治療法や、十分なエビデンスを有する従来治療など、多くの薬理学的および非薬理学的治療オプションが選択可能である。個々の患者に最適な治療法を見つけるためには、複数の臨床試験が必要になると考えられる」としている。

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認知症関連精神症状、pimavanserinで再発リスク低下/NEJM

 治療中止試験において、経口5-HT2A受容体逆作動薬/拮抗薬pimavanserinへの効果が認められた認知症に関連する精神症状を呈する患者について、治療中止群と比べて継続群の再発リスクが低下したことが示された。米国・アリゾナ大学のPierre N. Tariot氏らによる「HARMONY試験」の結果で、著者は「認知症関連精神症状におけるpimavanserinの有効性を確認するため、長期・大規模の試験を行うことが必要である」とまとめている。神経変性疾患に起因する認知症患者は、認知症関連精神症状を有する可能性がある。認知症のさまざまな要因に関連する精神症状への、pimavanserinの有効性は明らかになっていなかった。NEJM誌2021年7月22日号掲載の報告。治療中止試験でpimavanserinの効果を検討 研究グループは、アルツハイマー病、パーキンソン病認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、血管性認知症に関連した精神症状を有する患者を対象に、第III相二重盲検無作為化プラセボ対照治療中止試験を行った。 全患者に非盲検でpimavanserinを12週間投与し、8週および12週時点で、Scale for the Assessment of Positive Symptoms-Hallucinations and Delusions(SAPS-H+D)スコア(高スコアほど精神症状が重症であることを示す)がベースラインから30%以上低下し、臨床全般印象改善度評価尺度(CGI-I)スコアが1(著明改善)または2(中等度改善)の患者を、pimavanserin継続群またはプラセボ群に無作為に1対1の割合で割り付け、26週まで投与した。 主要エンドポイントは、time-to-event解析で評価した精神症状の再発で、SAPS-H+Dスコアが30%以上上昇しCGI-Iスコアが6(中等度悪化)または7(著明悪化)、認知症関連精神症状による入院、有効性の欠如によりレジメン中止または試験中断、あるいは認知症関連精神症状に対する抗精神病薬使用で定義した。継続投与群で再発リスク65%低下 非盲検期に392例が登録され、うち41例が管理上の理由(有効性について試験を中止)で治療を中断、残る351例のうち217例(61.8%)が持続的効果を有し、105例をpimavanserin継続群に、112例をプラセボ群に割り付けた。 再発例は、pimavanserin継続群12/95例(13%)、プラセボ群28/99例(28%)であった(ハザード比:0.35、95%信頼区間[CI]:0.17~0.73、p=0.005)。 二重盲検期間中の有害事象発生は、pimavanserin継続群43/105例(41.0%)、プラセボ群41/112例(36.6%)であった。pimavanserin継続群では、頭痛、便秘、尿路感染症、無症候性QT延長が認められた。

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認知症やMCIに対する運動介入の有効性比較~メタ解析

 運動は、認知機能低下に対し有用な非薬理学的介入の1つであるが、どのような運動が最も効果的であるかはよくわかっていない。中国・北京大学のXiuxiu Huang氏らは、認知症または軽度認知障害(MCI)の患者における認知機能に対するさまざまな運動介入の有効性を比較し、認知機能低下に関連する症状に対する運動の影響を調査した。Journal of Sport and Health Science誌オンライン版2021年5月16日号の報告。 2019年9月までに公表された認知症またはMCIの患者を対象に運動介入の有効性を調査したランダム化比較試験をPubMed、Web of Science、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、SPORTDiscus、PsycInfoより検索した。主要アウトカムは、全般的な認知機能、実行機能、記憶とした。副次的アウトカムは、ADL、神経精神症状、QOLとした。変量効果モデルを用いてペアワイズ解析とネットワークメタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・71試験からなる73文献(5,606例)が抽出された。・さまざまな運動介入は、全般的な認知機能を改善、維持するうえで効果的であった。・レジスタンス運動は、認知機能低下を有する患者に対する最も効果的な運動介入である可能性が示唆された。 ●全般的な認知機能:標準平均差(SMD)=1.05、95%信頼区間(CI):0.56~1.54 ●実行機能:SMD=0.85、95%CI:0.21~1.49 ●記憶:SMD=0.32、95%CI:0.01~0.63・MCIの患者におけるサブグループ解析では、マルチコンポーネント運動(レジスタンス運動、バランス運動、ウォーキングなどの2種類以上の組み合わせ)は、全般的な認知機能および実行機能の低下を予防するうえで、最適な運動介入である可能性が示唆された。 ●全般的な認知機能:SMD=0.99、95%CI:0.44~1.54 ●実行機能:SMD=0.72、95%CI:0.06~1.38・しかし、MCIの患者の記憶に有意な影響を及ぼした運動介入は、レジスタンス運動のみであった(SMD=0.35、95%CI:0.01~0.69)。・副次的アウトカムに対し、運動介入によるさまざまな影響が示唆された。 著者らは「レジスタンス運動は、認知機能低下を有する患者、とくに認知症患者の認知機能低下の進行抑制に最適な運動介入である可能性が高かった。マルチコンポーネント運動は、MCIの患者の全般的な認知機能および実行機能を維持するうえで、最も効果的である傾向が認められた」としている。

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片頭痛へのフレマネズマブ、日本人対象の試験結果からみえる特徴は

 「片頭痛発作の発症抑制」を適応として、抗CGRPモノクローナル抗体薬フレマネズマブ(商品名:アジョビ)が6月23日に製造販売承認を取得した。7月12日にオンラインメディアセミナーが開催され(主催:大塚製薬)、寺山 靖夫氏(湘南慶育病院副院長・脳神経センター長)、坂井 文彦氏(埼玉精神神経センター・埼玉国際頭痛センター長)が登壇。同薬の片頭痛治療における位置づけと臨床試験結果について講演した。片頭痛患者さんの治療ニーズは、痛みを取り除くことだけではない? 日本における片頭痛の推計患者数は約840万人、女性は男性の3.6倍多く、20~40代の働き盛りの世代で多い疾患となっている。予兆・前兆に続くズキンズキンとした拍動性頭痛が1ヵ月に1~2回、多い人だと1週間に1回、4~72時間持続するとされ、この間の生産性は著しく低下してしまう。さらにこれらの頭痛が治まった後も、繰り返すことへの不安や焦燥感を感じる患者さんも多く、QOL低下への影響は大きい。 寺山氏は、「いま真っ盛りの頭痛の痛みに耐え、過ぎればしばらくは来ないと考えながらも、次にくる頭痛発作におびえ、頭痛によくないことを控えながら毎月毎月慎重に生きることを考える」というある片頭痛患者さんの言葉を紹介。治療に求められているのは痛みを取り除くことに加えて、QOLの改善、生活意欲の改善、そして創造性や生産性の向上ではないかと指摘した。CGRP製剤は、臨床試験結果から一度注射をすることで、3ヵ月~約1年にわたって痛みから解放される症例がみられている。同氏は「急性期治療に使えるトリプタンだけでなく、CGRP製剤を活用していくことで、片頭痛患者さんのQOLの改善につなげていけるのではないか」と期待感を示した。フレマネズマブの日本人を含む日韓国際共同臨床試験結果 続いて登壇した坂井氏は、フレマネズマブについての臨床試験として、反復性片頭痛患者を対象としたプラセボ対照二重盲検試験(日韓国際共同第IIb/III相試験)の概要と結果について解説した。<試験概要>・対象:日本人および韓国人の反復性片頭痛患者 357例・試験群: フレマネズマブ1回/12週投与群(119例):初回675mg、以降2回はプラセボ投与 フレマネズマブ1回/4週投与群(121例):225mg×3回投与 プラセボ群(117例)・主要評価項目:初回投与後12週間での1ヵ月(28日)当たりの片頭痛日数のベースラインからの平均変化量・副次評価項目:初回投与後12週間での1ヵ月当たりの片頭痛日数が50%以上減少した患者(50%レスポンダー)割合、初回投与後12週間での1ヵ月当たりの急性期頭痛治療薬の使用日数のベースラインからの平均変化量など<主な結果>・主要評価項目である1ヵ月当たりの片頭痛日数は、フレマネズマブ1回/12週投与群で-4.02日、1回/4週投与群で-4.00日であった(ともにプラセボ群と比較してp<0.0001)。・副次的評価項目である50%レスポンダー割合は、観察期間全体で1回/12週投与群で45.3%、1回/4週投与群で41.3%であった(ともにプラセボ群と比較してp<0.0001)。・1ヵ月当たりの急性期頭痛治療薬の使用日数のベースラインからの平均変化量(各群ベースラインでは約8日の使用を報告)は、1回/12週投与群で-3.29日、1回/4週投与群で-3.30日であった(ともにプラセボ群と比較してp<0.0001)。・安全性については、投与群とプラセボ群の間で有害事象の発生率に差はみられず、投与法による違いもみられなかった。重篤な有害事象についても差はみられなかった。 坂井氏は、上記結果に加え、投与開始1週間後というかなり早い段階から効果がみられたことを説明。また、効果の持続をみたHALO長期試験(国際共同第III相試験)の結果も紹介した。反復性片頭痛患者で、片頭痛日数の低下は投与後1ヵ月から12ヵ月にわたって持続していた。慢性片頭痛患者においても同様の傾向がみられている。 同氏はこれらの結果から、フレマネズマブは投与1週目からの早い効果発現と持続した有効性を示し、安全性も高く、発作頻度や重症度の低減による患者さんの支障度の低減に寄与する片頭痛発作の発症抑制薬であるとまとめている。

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GLP-1受容体作動薬のNew Normalな選択【令和時代の糖尿病診療】第1回

第1回 GLP-1受容体作動薬のNew Normalな選択GLP-1受容体作動薬(以下、GLP-1 RA)、その登場は10年前にさかのぼる。ちなみに、今年はインスリン発見から100年という、糖尿病分野において記念すべき歴史的な年である(にもかかわらず、コロナの影響で大々的なイベントは開催できていない)。それに比べ、たかだか生誕10年ではあるものの、これまでに数多くのGLP-1 RA製剤が登場し、エビデンスもそろってきており、大きな注目を集めている。ここで知識の整理として、GLP-1の生理作用を見てみよう。図1:GLP-1の多彩な生理作用(間接的作用を含む)画像を拡大する非常に多彩ではあるが、GLP-1 RAは、主に膵臓において血糖依存的にインスリン分泌を促進・グルカゴン分泌を抑制、肝臓においてグルコース産生を抑制、胃においては胃内容物排出の遅延により、血糖コントロールを行うという作用機序である。次に、分類を見てみよう。図2:GLP-1受容体作動薬の分類分類としては、まずヒトGLP-1由来かExendin-4由来かに大別され、各々1日1~2回もしくは週1回の投与方法があり、それに対応する製剤が存在する。さらに、今まではGLP-1 RAといえば注射薬という位置付けだったが、2021年に経口薬も加わったのである。これには大きな衝撃を受けた。重要な3つのポイント:適応患者の選択、合併症の管理、体重減少効果GLP-1 RAを使用するに当たって、重要なポイントが3つあるので、順に説明する。(1)作用機序から考えた適応患者の選択と早期導入この薬剤の作用機序は、「インスリン分泌促進系」の中でも「血糖依存性」に分類1)されるため、膵機能が保たれているインスリン非依存状態であることが必須である。すなわち、この薬剤の醍醐味を感じていただけるのは、罹病歴が比較的短く、内因性インスリン分泌能が保たれている、SU薬を多量に服用していない患者ということになる。一方、血糖依存性といえども万能ではなく、高血糖毒性を伴いインスリンの絶対的適応となるようなケースには不向きであることをご理解いただきたい。こういった場合は、糖毒性解除後に使用するとうまくいくことが多い。ひとつ症例で考えてみよう。63歳男性。脳梗塞で脳神経内科入院となり、救急外来時の随時血糖値283mg/dL、HbA1c 10.6%とコントロール不良の糖尿病を認め、血糖コントロール依頼で当科受診となった。未治療の患者で、体重85.0kg、BMI 31.2で、2度肥満を認めた。入院後に強化インスリン療法を開始、その後リハビリ目的にて転院となっている。リハビリ病院では混合型インスリン2回打ちに変更になり、3ヵ月後、当科に今後の治療につき相談があった。この時は随時血糖値141mg/dL、HbA1c 6.9%まで改善しており、体重79.0kg、BMI 29.0の1度肥満まで改善していた。総インスリン量は、22単位から12単位まで減量となっており、軽度の右不全マヒがあるものの、インスリン自己注射は問題なくできた。そこで主治医は、患者への負担を少しでも軽くしようと考え、インスリン分泌能も保たれていたため、週1回のGLP-1 RAへの切り替えを選択した。その後、3ヵ月間単剤での管理で3.1kgの減量に成功し、HbA1cも5.9%まで改善、患者さんも減量の成功を大変喜び、継続を希望したとのことである。この例は、GLP-1 RAの早期導入が功を奏したと考えられる。実際のところ、JDDM(糖尿病データマネジメント研究会)のデータを見ると、GLP-1 RAの処方は年々増加しているものの、HbA1cの目標到達率はインスリンと大きく変わらず、あまりよくない(私も言える立場ではないが反省の意味も込めて)。もしかしたら導入が遅いため、十分な効力が発揮できていないのかもしれない。(2)合併症抑制を考慮した治療選択治療選択の際、合併症(大血管症、細小血管症)を考慮できているだろうか? 2008年から米国FDA(食品医薬品庁)で、新規の血糖降下薬は心血管合併症を増やさないことの証明が必須になっているが、最近はむしろ血糖コントロール改善とは異なる機序で、糖尿病合併症を抑制する薬剤が注目を集めてきている。実際、GLP-1 RAは2021年ADAのStandards of Medical Care in Diabetes2)にも記載されているように、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)やCKDの合併、または高リスクがある場合は、メトホルミン使用とは無関係に優先的に使用すべき薬剤の1つになっている。わが国において薬剤の使用優先順位までは決められていないが、エビデンスのある薬剤の1つとして位置付けられているため、より処方するベネフィットが大きいと考えられる。図3:2型糖尿病における血糖降下薬:総括的アプローチ(ADA2021)画像を拡大する(3)体重減少、食欲抑制に対する効果GLP-1 RAの生理作用は、糖代謝改善作用以外に、胃内容物排出の遅延作用と中枢における食欲抑制作用があり、それには消化管で産生されたGLP-1が主に迷走神経を介して中枢へ作用する系、および中枢で産生されたGLP-1が作用する系の2つが関与するといわれている3)。いずれにせよ体重減少効果は大きく、米国では抗肥満薬としても上市されている(糖尿病薬の用量とは異なる)。セマグルチドの最近のエビデンスとして、太り過ぎまたは肥満成人に対する集中的行動療法の補助として有意な体重減少をもたらし4)、また従来の薬剤の約2倍の減量効果があり5)、肥満外科手術に匹敵するといわれるほどである。近年、高齢化が進むにつれ高齢者糖尿病患者も増加し、サルコペニアの問題も大きく取り沙汰されている。体重減少効果が筋肉量の減少を誘発していないかの問題も言われる中、経口セマグルチドにおける2型糖尿病患者のエネルギー摂取量、食事の嗜好、食欲、体重の効果についての論文が発表されている6)。表1:Changes from baseline in body weight and body composition as measured by Bodpod※ and waist circumference at week 12(day 3)※Bodpod:体脂肪測定装置(イタリア・COSMED SRL社製)表によると、12週で体重2.7kg、ウエスト2.4cmが減少しており、脂肪量は-2.6kg、除脂肪量-0.1kgと、減量のほとんどを脂肪量の減少が占めた。さらに、摂取エネルギーが減少するのはもちろんのこと、高脂肪食や甘味が有意に減少していたという嗜好の変化が非常にユニークな結果であった。また、GLP-1 RAの効果について、さらに細かい話にはなるが、ショートアクティングとロングアクティングでは、作用時間だけでなく血糖降下作用も異なるといわれている。まずロングアクティングは、主にインスリン分泌促進およびグルカゴン分泌抑制を介して血糖改善効果を発揮し、ショートアクティングに比べて空腹時血糖値やHbA1cの改善効果が大きいとされる。一方、ショートアクティングは主に胃内容物排出遅延作用やグルカゴン分泌抑制を介して血糖改善効果を発揮するとされる。実際、ロングアクティングの血糖改善効果は残存膵β細胞機能に依存するのに対し、ショートアクティングでは血糖改善効果と残存β細胞機能に明確な関連性を認めない。New Normal Selection GLP-1 RAさて、今回のタイトル「GLP-1受容体作動薬のNew Normalな選択」に対して、「何だろう?」と思って読んでくれた方の疑問にお答えしよう。コロナで流行ワードとなった「New Normal」、すなわち新しい生活様式のように、あらゆる行動を時勢に合わせてアップデートして動く中で、薬物治療の新たな選択肢としてGLP-1 RAの登場、そしてこの治療の幅が非常に広がったことで、新しい糖尿病診療が始まったことを意味する。たとえば、今までWeeklyのGLP-1 RA製剤は用量調節ができなかったが、セマグルチドではDaily製剤のように用量調節ができるようになった。実際は初期投与量・維持量・コントロール困難例と分けられているものの、消化器系症状が出やすい人や体重をあまり落としたくない高齢者など、人によっては初期投与量が維持量になるなど、使用範囲が広がる。また、過体重でとにかく減量させたい人やインスリンを減量したい人に高用量を使用するといった方法もあるかと思う。さらには、注射製剤をかたくなに拒否する患者さんには経口薬を選ぶこともでき、こちらも同様に3つの規格が使用できる。注射指導にハードルを感じる非専門医にとっても、経口薬なら処方しやすいのではないかと考えられる。いずれにせよ、まさにNew Normalな世界が広がる。ぜひ、ワクワクしながらこの薬剤を使用してみてはいかがだろうか?1)日本糖尿病学会編著. 糖尿病治療ガイド2020-2021. 文光堂;2020.2)American Diabetes Association. Diabetes Care. 2021;44(Suppl 1):S111-S124.3)上野 浩晶ほか. 日本糖尿病学会誌. 2017;60:570-572.4)Wadden TA, et al. JAMA. 2021;325:1403-1413.5)Wilding JPH, et al. N Engl J Med. 2021;384:989.6)Gibbons C, et al. Diabetes Obs Metab. 2021;23:581-588.

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新薬aducanumabについてわかっていること【コロナ時代の認知症診療】第5回

疾患修飾薬aducanumabはこれまでと何が違うのか6月、米国の FDA によってaducanumabの承認が決定した直後から、エーザイの株価は数日ストップ高を続けた。筆者のクリニックでは幾つかの新規抗アルツハイマー病薬の治験をしているが、患者・家族の治験への姿勢も大きく変化した。つまり「治験に参加してあげてもいい」から「参加させていただけるのですか?」というトーンへと豹変したのである。これまでに5つのアルツハイマー病治療薬が承認されている。けれどもこの中の最後の薬剤は1993年に創薬された。したがってこの28年間アルツハイマー病に対する新しい治療薬開発は成功しなかった。しかも、従来の薬がsymptomatic drugs(対症療法薬)と言われるのに対して、この薬はdisease modifying drug(疾患修飾薬)と言われる。もっとわかりやすいように、世上、疾患修飾薬ではなく根本治療薬とよく言われる。それはともかく対症療法薬と疾患修飾薬の違いを図で説明してみよう。対症療法薬は、服用すればその間効果がある。けれどもある期間が過ぎて効果が切れ始めたとする。そこで薬をやめれば、急速に症状が悪化して、これまで薬を飲まなかった人と同じ状態にまで落ちていく。これに対して疾患修飾薬は、ある時点で薬を止めても、中止の時点までに得られた改善幅をその後も維持できる。画像を拡大するaducanumabにより神経細胞が100%元に戻ることはもちろんない疾患修飾薬とされるには、アルツハイマー病の病理のメカニズムの本筋に沿った薬効をもつ必要がある。本筋とは、原因物質あるいは主たる責任物質とされてきたアミロイドとタウである。アルツハイマー病と確定診断されるためにはこの両者が脳の中に確認されなくてはならない。大切なのは、アルツハイマー病がスタートするには、アミロイドが必要なことである。さてaducanumabは患者の脳の中からアミロイドβ、あるいはその集合体であるプラークなどを取り除く薬剤である。もっともこうした脳の沈着物自体が認知症の発症原因ではないことに留意が必要である。アミロイドは、単体から段階的にオリゴマー、そしてポリマーと大きくなる過程において神経毒性を発揮する。その結果、脳神経細胞が傷害されてしまうことが認知症発症の根幹となる。出刃包丁やピストルが人を殺めるように、このアミロイドあるいはタウも神経細胞を殺傷する道具だという点で共通としている。だから、aducanumabの効果は、いわばアミロイドという出刃包丁を駆逐することで神経細胞は守られることが示されたことになる。けれども本剤によって神経細胞が100%元に戻ることはもちろんない。理論的には、今残っているものがこれ以上傷害されないことで現状維持が可能だということになる。誰もが気になる効果のほどと、看過はできない副作用誰しも気になるのは効果のほどである。筆者のクリニックでは、日本における本剤の治験に関わり10名の参加者に参加していただいた。そして昨年の10月からは、第IV相試験に7名の患者さんに参加してもらっている。一方、治験とは関係なく、初診の後は、原則として半年ごとに、日本語版ADAS‐cog(Alzheimer Dementia Assessment Scale)などのテストを受験してもらっている。実は、アルツハイマー病治療薬の効果判定の世界的スタンダードはこのADAS‐cogやCDR(Clinical Dementia Rating)による点数の変化である。ところがこのテスト結果で、たとえばコントロール群よりも3点優っていたので有効と言われても普通にはピンとこない。あくまでaducanumabへの総合的な印象と当院でのテスト成績の推移から、「確かに落ちが目立たない人が多い」という私的な思いがある。雑駁な表現だが、これまでの薬が「天井から目薬」なら今度のものは「50cm上から目薬」という感じだ。なお副作用に関して、ARIA(Amyloid related Imaging abnormalities)という血管浮腫と微小出血の問題1)は看過できない。治験において、多くは無症候ながら高用量症例の41%でARIAがみられたとされる。大半が数ヵ月で改善するものの大きな障害につながりかねない怖さがある。話題沸騰の新薬であるだけに、その他の感想や質問も多い。まず年間610万円と値段が高いこと、さらに日本で承認されたら保険が適用になるのか? という質問は多い。前者には、今後第2、第3の薬剤が出てくれば下がるだろうと思っている。実際、後続の薬剤、たとえばEli Lilly社のdonanemabはFDAのBreakthrough Therapy designation(画期的治療薬指定)を6月25日に受けたとされ、審査が始まりつつあるようだ。またこの薬をいつまで続けるのかという問題がある。これは従来の対症療法薬でも言われてきたことである。理論的には従来同様、「ずっと」が答えになるのだろう。しかし現実には、ある程度以上の人数の患者さんが使ってみて、そこで観察された効果から答えが出てくるのではなかろうか。参考文献・参考情報1)How Aducanumab will impact neurology and neuroradiology practice/Quantib

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ビタミンBと認知症リスクに関する性差~日本のメモリークリニック外来患者での調査

 認知症や認知機能障害は、重大な社会的および医学的な問題の1つである。ビタミンBと認知機能低下には明確な関係が認められるが、男女間の差に関しては、十分な評価が行われていない。昭和大学の三木 綾子氏らは、性別によるビタミンB1またはB12と認知症との関連を調査した。Frontiers in Aging Neuroscience誌2021年4月9日号の報告。 2016年3月~2019年3月に昭和大学病院のメモリークリニック外来を受診した188例を対象に、性別によるビタミンB1またはB12と認知症との関連を調査した。認知機能の評価には、ミニメンタルステート検査(MMSE)日本語版、改訂長谷川式認知症スケール(HDS-R)を用いた。ビタミンレベルを測定するため、血液検査を実施した。ロジスティック回帰分析を用いて、認知症のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出した。ビタミンレベルに応じて3つに分類した。 主な結果は以下のとおり。・ビタミンレベルが高い女性と比較し、ビタミンレベルが低い女性では、認知症(MMSEスコア23以下)のORの有意な増加が確認された。 【ビタミンB1】OR:3.73、95%CI:1.52~9.16 【ビタミンB12】OR:2.97、95%CI:1.22~7.28・対照的に、男性ではビタミンレベルと認知症との有意な関連は認められなかった。・認知症の定義に、HDS-R(スコア20以下)を用いた場合でも、同様であった。 著者らは「認知症発症を予防するうえで、女性ではビタミンB1摂取が有効である可能性が示唆された。ビタミンレベルの低下が認知障害の前後いずれで起こるのか、高ビタミンレベルを維持すれば認知機能の悪化や認知症発症を予防できるかを明らかにするためには、今後の縦断的研究が必要とされる」としている。

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治療抵抗性片頭痛に対するフレマネズマブの有効性

 既存の片頭痛予防の2~4つのクラスを用いた治療に奏効しなかった慢性片頭痛または反復性片頭痛患者に対するフレマネズマブの月1回または四半期ごと投与の有効性を評価するため、チェコ・Vestra ClinicsのLadislav Pazdera氏らは、検討を行った。Cephalalgia誌オンライン版2021年5月14日号の報告。 既存の片頭痛予防の2~4つのクラスを用いた治療に奏効しなかった慢性片頭痛または反復性片頭痛患者をフレマネズマブ四半期ごと投与群、フレマネズマブ月1回投与群、プラセボ群にランダムに割り付けられ、12週間の二重盲検治療を実施したランダム化二重盲検プラセボ対照第IIIb相臨床試験であるFOCUS試験のデータを分析した。既存の片頭痛予防薬による治療に奏効しなかったクラス数により事前に定義したサブグループについて、12週間の二重盲検期間中における1ヵ月当たりの片頭痛日数のベースラインからの変化および有害事象を評価した。 主な結果は以下のとおり。・奏効しなかったクラス数ごとの患者数の内訳は、2クラス414例、3クラス265例、4クラス153例であった。・いずれのサブグループにおいても、12週間における1ヵ月当たりの片頭痛日数のベースラインからの変化は、プラセボ群と比較し、有意な改善が認められた。それぞれの、対プラセボ最小二乗平均差および95%信頼区間(CI)は以下のとおりであった。 【2クラス】 ●フレマネズマブ四半期ごと投与:-2.9(95%CI:-3.83~-1.98)、p<0.001 ●フレマネズマブ月1回投与:-3.7(95%CI:-4.63~-2.75)、p<0.001 【3クラス】 ●フレマネズマブ四半期ごと投与:-3.3(95%CI:-4.65~-1.95)、p<0.001 ●フレマネズマブ月1回投与:-3.0(95%CI:-4.25~-1.66)、p<0.001 【4クラス】 ●フレマネズマブ四半期ごと投与:-5.3(95%CI:-7.38~-3.22)、p<0.001 ●フレマネズマブ月1回投与:-5.4(95%CI:-7.35~-3.48)、p<0.001・いずれのアウトカムにおいても、サブグループと治療の交互作用(treatment-by-subgroup interaction)は観察されなかった(各々:p interaction>0.20)。・有害事象は、プラセボ群と同等であった。 著者らは「4つのクラスの既存の片頭痛予防薬を用いた治療に奏効しなかった片頭痛患者の場合でも、フレマネズマブは、プラセボと比較し、統計学的に有意な効果が認められた」としている。

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日本人高齢者の認知症発症とソーシャルサポートとの関連

 認知症患者数は、増加を続けており、日本においても2025年には700万人に達するといわれている。認知症の発症予防やマネジメントにおいて、個人レベルの支援に加え、コミュニティレベルのソーシャルサポートが注目されている。日本福祉大学の宮國 康弘氏らは、マルチレベルの生存分析を用いて、コミュニティレベルのソーシャルサポートと認知症発症との関連を調査した。BMJ Open誌2021年6月3日号の報告。 2003年に設立された日本老年学的評価研究のプロスペクティブコホート研究を用いて、コミュニティレベルのソーシャルサポートと認知症発症との関連を調査した。対象は、公的介護保険の給付を受けていない愛知県(7市町村)在住の65歳以上の高齢者1万5,313人(男性:7,381人、女性:7,932人)。認知症発症は、ベースラインから3,436日間にわたる公的介護保険データを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・10年間のフォローアップ期間中に、認知症を発症した高齢者は1,776人であった。・高齢者に対するコミュニティレベルのソーシャルサポート(エモーショナルなサポート)が1%増加すると、社会人口統計変数や健康状態にかかわらず、認知症発症リスクが約4%減少した(HR:0.96、95%CI:0.94~0.99)。 著者らは「日本人高齢者にとって、コミュニティレベルのエモーショナルなソーシャルサポートは、認知症発症リスクを低下させる可能性が示唆された」としている。

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脳卒中を発症する人としない人、過去10年間の軌跡

 脳卒中の兆候は10年前から表れているかもしれない。オランダ・Erasmus MC University Medical CenterのAlis Heshmatollah氏らが、脳卒中を起こした患者における発症前10年間の認知機能と日常生活動作(ADL)の軌跡、および脳卒中のない人の対応する軌跡を調査した。その結果、脳卒中を起こした患者は、そうでない人と比較して、過去10年間で認知機能とADLの急激な低下が見られた。Journal of neurology, neurosurgery, and psychiatry誌2021年7月6日号に掲載。 研究者らは、1990~2016年の間、オランダの人口ベースのコホート「ロッテルダム研究」から、45歳以上の参加者1万4,712人を対象に、認知機能(MMSE、15-Words Learning、Letter-Digit Substitution、Stroop、Verbal Fluency、Purdue Pegboard)および基本的ADL・手段的ADL(BADL・IADL)を、4年おきに評価した。脳卒中の発症は、2018年までの医療記録を継続的に監視することで評価され、脳卒中のある者とない者を、性別および出生年に基づいて(1:3)でマッチングした。それぞれに対応する軌跡は、調整された線形混合効果モデルを使用して構築された。 主な結果は以下のとおり。・12.5±6.8年の平均追跡期間中に、計1,662例の参加者が、初めての脳卒中を経験した。・脳卒中を発症した患者は、脳卒中のない対照群よりもすべての認知機能テストで悪いスコアを示した。認知機能およびBADLは脳卒中が診断される8年前に、IADLは7年前に、脳卒中のない対照群の軌跡から逸脱し始めた。・各スコアで見られた有意な逸脱は、MMSEで脳卒中発症の6.4年前、Stroopは5.7年前、Purdue Pegboardは3.8年前、IADLは3年前、BADLは2.2年前だった。 研究者らは、「われわれの発見は、脳内病変の蓄積が脳卒中の発症前に、すでに臨床的影響を及ぼしている可能性を示唆している」と結論している。

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第69回 COVID-19ワクチンの確かな情報源は医療従事者/神経精神症状を呈するCOVID-19入院小児

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを接種するかどうかを決めるのに最も頼れる情報源は医療従事者であることが世界12ヵ国の4万人超の試験で示されました。また、英国からの報告によると神経精神症状を呈するCOVID-19入院小児の割合は大人に比べて高いようです。COVID-19ワクチン接種の意思決定の柱は医療従事者アジア、アフリカ、南アメリカの低~中所得10ヵ国(LMIC)、中所得国の中で上位のロシア、高所得国の米国の4万人超を調べたところ、LMICの人の8割(80.3%)は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを希望しており、ロシアや米国をだいぶ上回りました1-3)。ロシアでのCOVID-19ワクチン接種希望者はとくに低く僅か約30%、米国は約65%でした。自分の身を守ることがCOVID-19ワクチン接種を望む第一の理由となっており、接種を求めるLMICの人の91%の接種志望動機となっていました。一方、副作用の心配がCOVID-19ワクチンを望まない主な理由であり、接種を希望しないLMICの人の41%の非希望理由となっていました。COVID-19ワクチンを接種するかどうかの判断で最も頼りにされていたのは医療従事者からの情報であり、ワクチン忌避が解消するように社会や行動を変える取り組みに各地の医療従事者が携わることはとくに有効なようです。医療従事者に寄せられる信頼はCOVID-19やCOVID-19ワクチンに関する誤情報の排除にも役立つに違いありません。米国はCOVID-19に関する誤情報の増加を警戒しており、フェイスブック(Facebook)のようなソーシャルメディアがCOVID-19ワクチンの誤った情報の掲載を許していることは米国のバイデン大統領に言わせれば殺戮行為です。ワクチンの間違った情報とFacebookなどのソーシャルメディアに対する見解を記者が先週金曜日に官邸(ホワイトハウス)で尋ねたところ「いまや感染流行はワクチン非接種の人に限られ、ソーシャルメディアは人殺し(killing people)をしている」と大統領は答えました4)。ワクチン接種判断で最も信頼されている医師からの説明はワクチンの誤情報を誤情報と知ってもらうことにも大いに貢献するでしょう。神経精神症状を呈するCOVID-19入院小児の割合は成人に比べて高いらしい神経や精神の症状を呈するCOVID-19入院小児の割合は成人に比べてどうやら高いようです。COVID-19で入院した英国イングランドの小児1,334人の3.8%(51人)が神経や精神の症状を呈して入院しており、成人のCOVID-19入院患者のその割合0.9%を4倍ほど上回りました5)。神経精神症状を呈して入院した英国のCOVID-19小児のうち入院時に呼吸器症状を呈していたのは52人中僅か12人(23%)のみであり、初期症状は多くの場合解消していました。52人のうち8人(15%)はそもそもCOVID-19感染症状がなく、PCR検査して初めて新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染が発覚しました。この結果によると急な神経性症状を呈した小児はみなSARS-CoV-2検査をする必要があるようです。神経精神症状を呈して入院したCOVID-19小児のおよそ3人に2人(65%)は無事回復しましたが、3人に1人(33%)は退院時に体の不自由さを呈していました。死亡したのは1人(2%)のみでした。多くは込み入った治療を受けており、しばしば免疫系の制御を目当てとしたそれらの治療の長期経過への影響を今後の試験で調べる必要があります6)。神経症状はCOVID-19入院後の合併症として生じることも知られており、19歳以上のCOVID-19入院成人7万人超を調べた試験ではおよそ20人に1人(4.3%)が神経合併症(髄膜炎、脳炎、てんかん、脳卒中)を入院中に発現しています7)。参考1)Study finds vaccine hesitancy lower in poorer countries / Eurekalert2)Understanding COVID-19 vaccine hesitancy / Nature Medicine3)Solis Arce JS,et al.. Nat Med. 2021 Jul 16. [Epub ahead of print] 4)Biden says Facebook, others 'killing people' by carrying COVID misinformation / Reuters5)Ray STJ, et al. Lancet Child Adolesc Health. 2021 Jul 14:S2352-4642,00193-0.6)New UK study reveals extent of brain complications in children hospitalized with COVID-19 / Eurekalert7)Drake TM, et al.Lancet. 2021 Jul 17. [Epub ahead of print]

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「リクシアナ」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第60回

第60回 「リクシアナ」の名称の由来は?販売名リクシアナ®錠15mgリクシアナ®錠30mgリクシアナ®錠60mgリクシアナ®OD錠15mgリクシアナ®OD錠30mgリクシアナ®OD錠60mg一般名(和名[命名法])エドキサバントシル酸塩水和物(JAN)効能又は効果○非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制 ○静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制 ○下記の下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制膝関節全置換術、股関節全置換術、股関節骨折手術用法及び用量画像を拡大する警告内容とその理由1.本剤の投与により出血が発現し、重篤な出血の場合には、死亡に至るおそれがある。本剤の使用にあたっては、出血の危険性を考慮し、本剤投与の適否を慎重に判断すること。本剤による出血リスクを正確に評価できる指標は確立されておらず、本剤の抗凝固作用を中和する薬剤はないため、本剤投与中は、 血液凝固に関する検査値のみならず、出血や貧血等の徴候を十分に観察すること。これらの徴候が認められた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。2.脊椎・硬膜外麻酔あるいは腰椎穿刺等との併用により、穿刺部位に血腫が生じ、神経の圧迫による麻痺があらわれるおそれがある。併用する場合には神経障害の徴候及び症状について十分注意し、異常が認められた場合には直ちに適切な処置を行うこと。禁忌内容とその理由禁忌(次の患者には投与しないこと)〈効能共通〉1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者2.出血している患者(頭蓋内出血、後腹膜出血又は他の重要器官における出血等)[出血を助長するおそれがある。]3.急性細菌性心内膜炎の患者[血栓剥離に伴う血栓塞栓様症状を呈するおそれがある。] 〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、静脈血栓塞栓症(深部静脈 血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制〉4.腎不全(クレアチニンクリアランス15mL/min未満)のある患者5.凝血異常を伴う肝疾患の患者〈下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制〉6.高度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者※本内容は2021年7月14日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2020年3月改訂(第12版)医薬品インタビューフォーム「リクシアナ®錠15mg/錠30mg/錠60mg、リクシアナ®OD錠15mg/OD錠30mg/OD錠60mg」2)第一三共MedicaL Library:製品一覧

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慢性片頭痛および併存するうつ病に対するフレマネズマブの効果

 カルシトニン遺伝子関連ペプチドを標的とした完全ヒトモノクローナル抗体であるフレマネズマブは、成人の片頭痛に対する予防薬として承認されている。慢性片頭痛患者は、うつ病の合併率が高いといわれている。米国・アルバート・アインシュタイン医科大学のRichard B. Lipton氏らは、中等度~重度のうつ病を伴う慢性片頭痛患者に対するフレマネズマブの有効性および安全性を評価した。Headache誌2021年4月号の報告。 12週間の第III相HALO試験を実施した。慢性片頭痛患者をフレマネズマブ四半期ごと投与群(675mg/プラセボ/プラセボ)、フレマネズマブ月1回投与群(675mg/225mg/225mg)、プラセボ群にランダムに割り付けた。事後分析では、中等度~重度のうつ病(ベースライン時のPHQ-9合計スコア10以上)を伴う片頭痛患者に対するフレマネズマブ投与による効果を評価した。評価項目は、1ヵ月当たりの中等度~重度の頭痛日数、1ヵ月当たりの片頭痛日数、Patient Global Impression of Change(PGIC)スコア、6-item Headache Impact Test(HIT-6)スコア、抑うつ症状とした。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時に中等度~重度のうつ病を伴う片頭痛患者は、19.5%(1,121例中219例)であった。・フレマネズマブ投与は、プラセボと比較し、1ヵ月当たりの中等度~重度の頭痛日数の有意な減少との関連が認められた(各々、p<0.001)。 ●フレマネズマブ四半期ごと投与の最小二乗平均変化:-5.3±0.77 ●フレマネズマブ月1回投与の最小二乗平均変化:-5.5±0.72 ●プラセボの最小二乗平均変化:-2.2±0.81・フレマネズマブ投与は、プラセボと比較し、中等度~重度の頭痛日数が50%以上減少した患者の割合が高かった(各々、p<0.001)。 ●フレマネズマブ四半期ごと投与:39.7%(78例中31例) ●フレマネズマブ月1回投与:40.6%(96例中39例) ●プラセボ:13.4%(67例中9例)・フレマネズマブ投与は、プラセボと比較し、PGICおよびHIT-6スコアの改善が認められた。 著者らは「フレマネズマブは、慢性片頭痛の予防治療において有効性が示され、併発するうつ病の影響を軽減させることが示唆された」としている。

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高n-3系+低n-6系脂肪酸食、片頭痛の頻度と痛みを軽減/BMJ

 片頭痛の成人患者の食事療法において、高n-3系脂肪酸食と高n-3系+低n-6系脂肪酸食は、これらの脂肪酸が米国の平均量の食事と比較して、頭痛の病因に関与する生理活性メディエータに変化をもたらし、頭痛の頻度と重症度を軽減するが、QOLには影響を及ぼさないことが、米国・国立老化研究所(NIA)のChristopher E. Ramsden氏らの調査で示された。研究の詳細は、BMJ誌2021年7月1日号で報告された。3群で17-HDHAとHIT-6を評価する無作為化対照比較試験 研究グループは、片頭痛の成人患者において、高n-3系脂肪酸±低n-6系脂肪酸食による食事介入は、頭痛の病因に関与する循環血中の脂質メディエータを変化させ、痛みを軽減するかを検証する目的で、修正二重盲検無作為化対照比較試験を実施した(米国国立補完統合衛生センター[NCCIH]などの助成による)。本試験は、2014年7月~2018年5月の期間に、米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校で行われた。 対象は、毎月5~20日間、片頭痛が発現し、前兆の有無を問わず国際頭痛分類(2004年版)の片頭痛の基準を満たす成人患者であった。 被験者は、n-3系脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(EPA)+ドコサヘキサエン酸(DHA)と、n-6系脂肪酸であるリノール酸の含有量に基づく2種の食事介入群、および対照群の3群に無作為に割り付けられた。無作為化の際に、栄養士は割り付けられた食事について参加者に説明する必要があるため、割り付け情報をマスクされなかった。 介入群の1つは、EPA+DHAの量を1.5g/日に増量し、リノール酸をエネルギーの7.2%(米国の平均的な量)に保持した食事(H3食)で、もう1つは、EPA+DHAの量を1.5g/日に増量し、リノール酸をエネルギーの1.8%以下に減量した食事(H3-L6食)であった。対照食は、EPA+DHAの量を150mg/日未満(米国の平均的な量)、リノール酸をエネルギーの7.2%に保持した食事とした。すべての参加者は、1日の食事エネルギーの3分の2に相当する食事を摂取し、通常治療を継続した。 主要エンドポイントは、16週の時点における血中の抗侵害受容性メディエータである17-ヒドロキシドコサヘキサエン酸(17-HDHA)および頭痛インパクトテスト(HIT-6、頭痛がQOLに及ぼす影響を評価する6項目の質問票)とされた。頭痛の頻度は電子日誌で毎日評価した。頭痛発現日数は、H3-L6食群でより少ない 182例(intention-to-treat集団、平均年齢38歳、女性88%)が登録され、このうち67%が慢性片頭痛の基準を満たした。H3食群に61例、H3-L6食群に61例、対照食群に60例が割り付けられた。 循環血中の17-HDHA値(log ng/mL)は、対照食群に比べH3食群およびH3-L6食群で上昇した(ベースラインで補正した対照食群との平均差[95%信頼区間[CI]]:H3食群0.7[0.4~1.1、p<0.001]、H3-L6食群0.6[0.2~0.9、p=0.001])。また、HIT-6スコアには、対照食群と比較してH3食群およびH3-L6食群で統計学的に有意な差は認められなかった(-1.5[-4.2~1.2、p=0.27]、-1.6[-4.2~1.0、p=0.23])。 対照食群と比較した1日の総頭痛発現時間(ベースラインで補正した対照食群との平均差[95%CI]:H3食群-1.3[-2.1~-0.5、p=0.001]、H3-L6食群-1.7[-2.5~-0.9、p<0.001])、1日の中等度~重度の頭痛発現時間(-0.7[-1.1~-0.3、p<0.001]、-0.8[-1.2~-0.4、p<0.001])、1ヵ月の頭痛発現日数(-2.0[-3.3~-0.7、p=0.003]、-4.0[-5.2~-2.7、p<0.001])はいずれも、H3食群およびH3-L6食群で短縮した。 1ヵ月の頭痛発現日数は、H3食群よりもH3-L6食群で2日減少しており(ベースラインで補正した平均差[95%CI]:-2.0[-3.2~-0.8、p=0.001])、食事中のリノール酸の量を少なくすれば、頭痛に関してさらなる利益が得られることが示唆された。 一方、H3食群とH3-L6食群では、血漿、血清、赤血球、免疫細胞中のn-3系脂肪酸とn-6系脂肪酸、および侵害受容性オキシリピン誘導体のいくつかが変化したが、古典的な頭痛メディエータであるカルシトニン遺伝子関連ペプチドやプロスタグランジンE2には影響がなかった。 著者は、「本研究は、ヒトでは食事を変えることで痛みの治療が可能との生物学的に妥当な証拠をもたらした。これらの知見は、n-3系およびn-6系脂肪酸と、侵害受容に関連する因果メカニズムの存在を示唆し、ヒトの慢性疼痛の管理における新たなアプローチへの道を開くものである」と指摘している。

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認知症またはMCIの高齢者に対するVR介入~メタ解析

 バーチャルリアリティ(VR)介入は、脳卒中やパーキンソン病などの神経疾患の患者にとって、革新的かつ効果的なリハビリテーションツールとして期待されている。中国・南京医科大学のShizhe Zhu氏らは、軽度認知障害(MCI)または認知症の高齢者における認知機能や運動機能に対するVR介入の有効性を評価するため、メタ解析を実施した。Frontiers in Aging Neuroscience誌2021年5月5日号の報告。 2020年4月までに公表された関連文献を、7つのデータベースよりシステマティックに検索した。60歳以上のMCIまたは認知症の患者を対象としてVR介入の検討を行ったランダム化比較試験を含めた。主要アウトカムは、全体的な認知機能、包括的な認知機能、注意、実行機能、記憶、視空間認知能力を含む認知機能とした。副次的アウトカムは、全体的な運動機能、バランス、歩行を含む運動能力とした。不均一性の潜在的な因子を特定するため、研究の特徴に基づいてサブグループ解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・分析には、11研究、359例が含まれた。・主要アウトカムの解析では、以下の認知機能に対するVR介入の有意な効果が認められた(エフェクトサイズ:中)。 ●全体的な認知機能:g=0.45、95%信頼区間(CI):0.31~0.59、p<0.001 ●注意/実行機能:g=0.49、95%CI:0.26~0.72、p<0.001 ●記憶:g=0.57、95%CI:0.29~0.85、p<0.001 ●包括的な認知機能:g=0.32、95%CI:0.06~0.58、p=0.02・副次的アウトカムの解析では、全体的な運動機能に対する有意な効果が認められた(エフェクトサイズ:小)。 ●全体的な運動機能:g=0.28、95%CI:0.05~0.51、p=0.018・バランスのエフェクトサイズに対する有意な効果が認められた(エフェクトサイズ:中)。 ●バランス:g=0.43、95%CI:0.06~0.80、p=0.02・視空間認知能力と歩行のエフェクトサイズには、統計学的に有意な影響は認められなかった。・サブグループ解析では、VRのイマージョンタイプと診断名において不均一性が検出された。 著者らは「VR介入は、MCIまたは認知症高齢者の認知機能および運動機能を改善するために有用な非薬理学的アプローチであることが示唆された。とくに、注意/実行機能、記憶、全体的な認知機能、バランスに対する有意な効果が認められた。一方、視空間認知能力や歩行パフォーマンスに対する効果は認められなかった」としている。

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日本人反復性片頭痛患者に対するガルカネズマブの治療満足度~第II相試験

 京都・立岡神経内科の立岡 良久氏らは、反復性片頭痛の予防に対しガルカネズマブ(GMB)を投与された日本人患者の治療満足度(4~14ヵ月間の1ヵ月当たりの片頭痛日数)について、評価を行った。Neurology and Therapy誌2021年6月号の報告。 この第II相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験では、日本の医療機関40施設において、18~65歳の片頭痛患者が登録された。対象患者は、プラセボ群230例、GMB皮下注120mg(GMB120群)115例、GMB皮下注240mg(GMB240群)114例にランダムに割り付けられ、6ヵ月間の投与を行った。治療に対する印象は、患者による重症度の改善度(PGI-S)、患者による全般印象度の改善度(PGI-I)、薬剤に対する患者の満足度質問票(PSMQ-M)を用いて評価した。PGI-Sはベースライン時および1~6ヵ月、PGI-Iは1~6ヵ月、PSMQ-Mは1および6ヵ月目に評価を行った。GMB群とプラセボ群におけるPGI-Iスコアの違い、PGI-Sスコアのベースラインからの変化、PGI-IとPSMQ-Mのポジティブな反応を評価するため、分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインから1~6ヵ月間のPGI-Sスコア平均変化は、以下のとおりであった。 ●プラセボ群:-0.09±0.05 ●GMB120群:-0.17±0.07(p=0.33) ●GMB240群:-0.30±0.07(p=0.013)・1~6ヵ月の平均PGI-Iスコアは、以下のとおりであった。 ●プラセボ群:3.39±0.05 ●GMB120群:2.55±0.07(p<0.05) ●GMB240群:2.71±0.07(p<0.05)・1ヵ月当たりの片頭痛日数2.8~3.0日の減少は、プラセボ群と比較し、GMB群におけるPGI-Iの高いポジティブ反応率(25~31%)と相関が認められた。・満足度と好みに対するPSMQ-Mのポジティブ反応率は、プラセボ群と比較し、GMB群で有意に高かった。【満足度のオッズ比】 ●GMB120群:3.142(95%信頼区間[CI]:1.936~5.098)、p<0.05 ●GMB240群:3.924(95%CI:2.417~6.369)、p<0.05【好みのオッズ比】 ●GMB120群:3.691(95%CI:2.265~6.017)、p<0.05 ●GMB240群:3.510(95%CI:2.180~5.652)、p<0.05 著者らは「GMBによる予防治療を受けている日本人反復性片頭痛患者は、プラセボと比較し、満足度が有意に高かった」としている。

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日本における婚姻状況と認知機能との関連~富山県認知症高齢者実態調査

 敦賀市立看護大学の中堀 伸枝氏らは、日本における婚姻状況と認知症との関連について検討を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2021年5月25日号の報告。 分析には、富山県認知症高齢者実態調査のデータを用いた。富山県在住の65歳以上の高齢者より1,171人(サンプリング率:0.5%)をランダムに選択し、分析を行った。対象者の婚姻状況、社会経済的状況、ライフスタイル要因、生活習慣病について評価を行った。各ライフスタイル要因と病歴に対する婚姻状況のオッズ比(OR)は、ロジスティック回帰分析を用いて算出した。認知症に対する婚姻状況のORも、ロジスティック回帰分析を用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・認知症の有病率は、既婚者で7.4%、未婚者で20.6%であった。・未婚者は、既婚者よりも、脳卒中歴が有意に高かった。・年齢、性別で調整した認知症に対する婚姻状況のORは、既婚者と比較し、未婚者で1.99(95%信頼区間[CI]:1.24~3.18)であった。・変量で調整した後、認知症のORは、未婚者のほうが高かった(調整OR:1.71、95%CI:1.03~2.85)。 著者らは「日本人高齢者において未婚状態は、社会経済的、ライフスタイル、生活習慣病関連要因で調整した後でも、認知症の独立したリスク因子であった。未婚高齢者は、脳卒中歴を有している割合が高く、認知症リスクの上昇が認められた」としている。

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ATG7変異によるオートファジー障害が神経発達障害の原因?/NEJM

 オートファジー(自食作用)は哺乳類細胞における主要な細胞内分解経路であり、その異常は神経変性からがんまで、複雑なヒトの疾患と広く関連しているが、先天性のオートファジー障害はまれだという。英国・ニューカッスル大学のJack J. Collier氏らは、オートファジーに必須のエフェクター酵素で、既知の機能を持つパラログのないオートファジー関連(ATG7)遺伝子が、著しく減少あるいは完全に欠損した状態で生存している神経発達障害の患者を特定した。NEJM誌2021年6月24日号掲載の報告。血縁関係のない5家族の12例で、治療に結び付く知見 研究グループは、血縁関係のない5つの家族の、運動失調と発育遅延がみられる12例を対象に、遺伝学的解析、臨床的解析および神経画像解析を行い、患者由来の線維芽細胞と骨格筋生検標本、マウス胚性線維芽細胞、酵母を用いて病態の発生機序を検討した(英国・ウェルカム・トラスト・ミトコンドリア研究センターなどの助成による)。 ヒトATG7は、古典的な分解型オートファジーに不可欠の蛋白をコードする中心的なオートファジー関連遺伝子であるが、エクソームシークエンス解析により、この遺伝子に有害な劣性変異が見つかった。 5家族の12例は、それぞれ異なるATG7変異を持っており、脳や筋肉、内分泌の複雑な神経発達障害がみられた。また、小脳および脳梁の異常や、さまざまな程度の顔面異形症が認められた。これらの患者は、ATG7蛋白の減少または欠損によって、オートファジーフラックス(autophagic flux)が障害された状態で生存していた。 一方、オートファジーによる異物の隔離は著しく減少していたが、基底レベルのオートファジーが機能している証拠は、ATG7を欠損した線維芽細胞や骨格筋で容易に特定された。また、さまざまなモデル系において、有害なATG7変異で相補すると、野生型ATG7の再導入に比べて、オートファジー機能は低下または欠損した。 著者は、「これらのデータは、ATG7の有害な二対立遺伝子変異によるオートファジーの障害が、神経系、筋肉系、内分泌系の機能低下を伴う神経発達障害の原因であることを示唆する。マウスでは、神経系のオートファジーを選択的に回復させることで、周産期致死が回避可能との報告があり、これを考慮すると、オートファジー障害に起因する疾患を持つ患者においても、同様の神経系オートファジーの回復が、重要な治療戦略となる可能性がある」としている。

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