サイト内検索|page:140

検索結果 合計:2830件 表示位置:2781 - 2800

2781.

福島の病院が、初めての研修医を迎えて

南相馬市立総合病院・神経内科小鷹 昌明2012年8月8日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。福島県南相馬市の病院が、はじめて研修医を受け入れたのは、震災後500日が経過しようとする頃だった。当院の研修シラバスには、次のような文言が謳われている(これは、昨年より亀田総合病院から出向してきた“原澤慶太郎・在宅診療科医師”の掲げた目的である)。まずは一読してもらいたい。~なぜ、今、南相馬なのか。研修医諸君に改めて問いたい。これから医師として羽ばたいてゆく君たちにとって、はたして南相馬は対岸の火事と言えるだろうか。少なくとも私たちは、そうは思っていません。むしろ若い医師たちに、この現場を伝えていく責務を感じています。原発事故に伴う被曝の問題に、私たちがどのようにして課題を乗り越えていくのか、世界が注視しています。有史以来、未曾有の超高齢化社会、いわゆる2025年問題が叫ばれて久しいですが、世界もまたglobal agingへと突き進んでいます。そうした時代を医師として生きる君たちにとって、“高齢者医療”は避けては通れない問題です。眼前に突きつけられた現実から目を背けてはいけません。南相馬に広がっているのは、20年後の日本の紛れもない姿です。地域医療の抱えるさまざまな社会的問題に対して、solutionを模索する姿は、これからのひとつの医師像ではないでしょうか。Scientistとしての視点を保持しながら、さまざまなスタッフとの恊働から生まれる集合知で問題解決を図って行く。その過程を是非とも共に体験してもらいたいのです。~私は、「そうか、そういうことだったのか」と思った。これまで散々、ここへ来た自分自身の目的や意味を考えてきた。本メディアにおいても、想いと葛藤とを綴ってきた。それが、このような形で簡単に明文化されていた。常勤医17人の、この私たちの被災地病院が、復興のために次の手を打った。それは臨床研修指定を取得することであった。亀田総合病院(神戸大学医学部出身)にて初期研修中の2年次医師が、「希望で当院にも研修に来る」と知らされたのが5月だった。私たちはその日のために、付け焼き刃かもしれないが、場当たり的かもしれないが、準備を行った。大急ぎで研修プログラムを作成したり、各部署にお伺いを立てて周知させたり、日程表を作って吟味したりした。それは突貫工事に近いものであった。私も、「神経内科科長(ひとりだが)」として、元、大学病院准教授として、そのプログラム作りに参画した。ハッタリに近いかもしれないし、大風呂敷を広げ過ぎた感はあるが、手作り的なシラバスが一通り完成した。その矢先の7月に、彼はやってきた。循環器志望の、この若者は、被災地診療を体験したくて訪れた。私たちが、研修医に伝えられることは何であろうか。有意義な研修システムというのは、果たしてどういうものであろうか。原発事故が暗い影を落としているこの地で、私たちは、日々目の前の患者の診療に追われている。20キロメートルの警戒線が解除された今でも、答えの見出せない問題を抱えたまま、この市には4万5千人が暮らしている。そうした患者の悩みや不安に応えている。食料品目や産地に気を配ることで、低線量被曝は増加しないことが示されたにも関わらず、子供たちの帰還率は4割にも満たない。若い世帯が県外に避難したことから家族は離散し、作付けや漁を禁じられた住民は、生きがいを失い、目標を絶っている。多くの高齢者世帯が取り残され、仮設や借上住宅に住む人々の間には、疎外感によるひきこもりや、孤独死の問題が徐々に色濃くなっている。メディアでは到底伝えきれない根深く、執拗な問題が、この地を覆っている。きちんとした研修を受けられる病院は、指導医の教育に対するスキルが高く、症例が豊富で、検査や治療のためのツールが揃っていることである。多様な人材と潤沢な資金とで、研修医を一手に引き受けている大学病院や基幹病院は、全国にたくさんある。そういう病院におけるカリキュラムやマニュアルは、きっと明確なものであろう。「当院では、一定期間にこういうことが学べます」とか、「優秀なスタッフが、それを支援いたします」とか、いうものではないか。正直、そのようなものは、この病院にはない。私たちが与えられる研修システムは、他とは少し違うかもしれない。なぜなら、この病院で感じる何かを学びに変える手立てに、マニュアルなど作成しようがないからである。私たちの現場では、「この地で寝たきりになったら、分かりますよね・・・」、「脳梗塞や心筋梗塞の危険性を減らすのではなく、なってはダメなのです」、「最後まで介護する人にしか、病状の説明はできません」、「福祉や介護の充実のためには、生きるのも仕事です」、「障害は何ともできないけど、生涯なら何とかできるかもしれない」というようなことを言っていかなければならないのである。この地でひとりの患者を自律させるには、さまざまな職種や人種を巻き込まなければ成り立たない。NPOやボランティア団体、事業所や協会、行政やメディアなどとタッグを組む必要がある。充分であろうはずはないが、それでもあらゆるリソースを動員して、支援体制を布く必要がある。私たちの医療には解答がない。だから、正解を学ぶことはできないし、規範を教える術もない。ここで学ぶことは、もちろん、医療技術を向上させるとか、医学的知識を増幅させるとか、そういうことを目指すことに異論はないが、それよりも“自分は何ができないか”を理解し、自分にできないことは、誰にどのように支援されればそれが達成できるのか。「そういう人に支持されなければ、有効に自分の学びが活かされることはない」ということを体感することなのである。一手先、二手先を見据えて「自分にできないこと」と、「自分にできること」とを、きちんとリンケージすることなのである。日本の医療は世界最高レベルなのに、「満足度は最低ランクである」と揶揄される。やるせない思いがする。日本の医療は、なぜそうなってしまったのだろうか。それは、「医療費の公的支出が他国と比べて少なく、診療報酬が全体的に低く抑えられている。医師が、数多くの業務をこなして長時間働くという現状があり、現在の医療レベルは、医師の滅私奉公によって支えられているからだ」という、もっともらしい解答が用意されている。「ベルトコンベア式診療」、「クレーム患者の存在」、「患者たらい回し」、「医師不足」、「効率化医療」、「コンビニ受診」など原因はさまざまであろうが、身も蓋もない結論を言うならば、「医療者が医療に不快感を示している」からである。だから、この病院での研修では、せめてその一点だけでも払拭させたいと願う。ここでの研修というのは、症例を経験することだけではなく、どういう患者を、どういう上級医と、どういうふうに考えるかで、限られた情報と資源との中で、いかに愉快に、かつ有意義に過ごすかを追求することなのである。そういうことを探り当てるのも、重要な知的技術だし、意欲的思考だと思う。及川先生(当院脳外科医・副院長)が臨終を告げる現場に遭遇した。「今から、じいちゃんにしてあげられる最後のことをすっから。いいかい、じいちゃんの胸と口に手を当てて、よーく耳と掌で感じるんだよ。がんばってきたけんど、心臓と呼吸が止まってしまったんだよ」「自分以外の人間に最後にしてあげられること」、言葉にすれば単純なことかもしれないが、それは死の確認作業だった。当たり前のことかもしれないし、私が言うのもおこがましいが、先生は、かつて私が所属していた大学病院医師が束になっても教えられなかった看取りを、一瞬で示してくれていた。私は、「医療はこうあるべきだ」というようなことをずっと考えてきた。大学病院なのだから、最後の砦なのだから、という気持ちで使命を果たそうとした時期もあった。そして、それが叶わなければ、勝手に憤り、利己的にやる気をなくしていた。今になって思えば、そういう態度だった理由は、「資源を度外視する大学診療が正論だ」と考えていたからである。ここでの医療の正論は、患者の中にあった。持てる能力を駆使して、医療という現場を生き抜いてこられたことに大きな自信と誇りとを持っている。しかし、厳しさの中での経験が、自信過剰で鼻持ちならない傲慢な医師、あるいは逆に虚無的で無機質な医師を生む可能性があることも、同時に自覚している。20代の私は、自己欺瞞と傲岸不遜とで自分が何者かも分からず、ましてや他人も、そして世の中も分からなかった。他人を振り回し、他人に振り回されていた。30代になっても落ち着くことはなく、精神はますます偏狭に、態度はますます狷介となった。思慮が足りず、早合点しがちで、行動がときに上滑りし、ちょっとしたことで自己嫌悪し、短気で気難しく、過信と煩慮とで迷走していた。英国に留学し、苦労したことで、35歳を過ぎた頃から少しずつ世間を知り、40歳を超えたあたりで、ようやく深遠でも高慢でもなく、ごく日常的な次元で物事を客観的に捉えられるようになってきた。個別的、具体的なことよりも、普遍的、抽象的なことに関心が向くようになった。移り変わる物事を追いかけるよりも、変わらない事柄を考えている時間の方が長くなり、自分が何者で、何ができ、何ができないかが、ようやく理解できるようになった。そして私は、この地で、再び翻弄されている。被災地での取り組みに刺激され、触発され、身もだえしている。ここには、キャリアを積んだ医師たちが迷っている現実があり、いい大人たちが逡巡している現場がある。そういう私たちの“ためらいの行動”というものに、どうか共鳴してもらいたい。研修医にとって、ここはある意味、異質な空間かもしれない。「あるようでいて、それすらもないもの」、「ないようでいて、実は見えていないだけ」というものがたくさんある。医療者として患者の治療はもちろんだが、住民の生活にも入り込んでもらいたい。そして、たとえば、仮設住宅に住む人々の健康管理の一端を担ってもらい、彼らの身体情報を次の研修医へと伝え、バトンを渡すように申し送り、受け継いでいってもらいたい。実際、亀田総合病院からやって来た研修医の彼は、仮設を1区画ごとに回り、“熱中症予防”に関する講話を展開している。高齢者からも、「孫が来たようだ」と大変評判が良いようだ。当院の研修カリキュラムは、(少なくとも私にとっては)研修医のためのものではなかった。恥ずかしいことだが、私自身の目標を改めて自覚させるものであった。卒後研修医たちは、明確化されたシラバスを吟味して、研修病院を探すことであろう。医師が、医療以外のさまざまな行事やボランティアに参画していることから、ここには、シラバスに乗せられない何かがある。研修カリキュラムは予め存在するものではなく、これからの研修医たちと創っていくものであった。私は、人と付き合うことが愉しくなり、人に任せることが頼もしくなった。そして、少しずつだが、自分のやりたいことが分かってきた。

2782.

大学病院勤務医に聞く!「時間治療」(クロノテラピー)、取り入れてますか?

臓器や組織の時刻依存的な機能性に着目し、治療効果を高め副作用を小さく留めるように一日の中の"時刻"を意識して行なう治療法が、「時間治療」(クロノテラピー)として注目されています。今回は大学病院勤務の先生方に対し、がん治療のほか糖尿病・高血圧など生活習慣病においても効果・活用方法が研究されつつあるこの考え方について、認知度や活用実態を尋ねてみました。結果概要はこちらコメントはこちら設問詳細「時間治療」(クロノテラピー)についてお尋ねします。あらゆる臓器や組織の機能性が、「サーカディアンリズム」と呼ばれる周期で時刻依存的に毎日の調節を受けているとされ、こうしたメカニズムから「どの時間帯にどのような疾患リスクが高まるか」といったことが徐々にわかってきています。こうした考えから、病気の治療に"時間のものさし"の視点を導入し、「治療効果を高め、副作用を小さく留めるように一日の中の"時刻"を意識して行なう治療法」が、「時間治療」(クロノテラピー)として注目されています。副作用の起きない範囲で大量に抗がん剤を投与するのが基本とされるがん治療に加え、腎臓疾患、その他糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病においても、時間治療の効果および活用方法が研究されています。そこで先生にお尋ねします。Q1. 「時間治療」(クロノテラピー)をご存知でしたか?知っている知らなかったQ2. (「知っている」とお答えになった先生のみ)「時間治療」(クロノテラピー)の考え方を治療に取り入れていますか。取り入れている今後取り入れたいと考えている取り入れていない自分の専門分野では対象外だと思うその他(       )Q3. コメントをお願いします(どのように取り入れているか、今後知りたいこと、患者からの要望などどういったことでも結構です)アンケート結果Q1. 「時間治療」(クロノテラピー)をご存知でしたか?Q2. (「知っている」とお答えになった先生のみ)「時間治療」(クロノテラピー)の考え方を治療に取り入れていますか。2012年7月20日(金)~26日(木)実施有効回答数:674件調査対象:CareNet.com医師会員のうち大学病院および関連施設の勤務医結果概要大学病院勤務医の3人に1人が"時間治療"を知っている全体の34.0%が時間治療(クロノテラピー)について「知っている」と回答。「知らなかった」と回答した医師からも、「エビデンスや具体例などを詳しく知りたい」といった声が多数寄せられた。20人に1人が「既に取り入れている」、10人に1人が「今後取り入れたい」と回答知っている医師のうち、時間治療の考え方を治療に取り入れているとした回答者は16.6%(全体の5.6%)。抗がん剤治療のほか、降圧剤の服用時間を夜間にするといったコメントが寄せられた。取り入れていない医師からも「今後の研究結果次第では積極的に取り入れたい」とした声が多く見られた。「自分の専門分野では対象外だと思う」と回答した医師は9.6%。また「抗がん剤使用は夜間の方が有効だが、点滴の煩雑さから夜勤看護師の協力は得難いと思われる」といった、実施する上での環境面の制約を挙げた声も見られた。CareNet.comの会員医師に尋ねてみたいテーマを募集中です。採用させて頂いた方へは300ポイント進呈!応募はこちらコメント抜粋 (一部割愛、簡略化しておりますことをご了承下さい)「抗癌剤治療のときに取り入れています。」(40代,内科)「プラセボ効果が大きいと思う。 」(50代,眼科)「どの時間帯に薬を投与した方が良いという考え方は新しいと思う」(30代,外科)「うつに対する光療法として取り入れている」(30代,精神・神経科)「ABPMや家庭血圧による血圧日内変動の評価を行った上で適応のある患者には降圧薬の一部の就眠前投与を行っている.」(40代,内科)「全く初めて聞きました。ベーシックなことから教えていただきたいです。」(50代,血液内科)「コンプライアンスの高い患者なら、時間治療の考え方は効果があるかも知れませんね。 ちなみに、ショートパルスみたいな使い方でステロイドを使うことが多いのですが、夜に飲むと不眠などの症状が問題になりやすいので、朝に飲んでもらっています。これ、時間治療ですね。」(40代,耳鼻咽喉科)「抗ガン剤治療などに取り入れてみたい」(60代,泌尿器科)「時間治療の効果が発揮できるように降圧剤を就寝前に投与する」(50代,循環器科)「発熱の副作用の多いサイトカイン療法は夜間に行う。」(40代,泌尿器科)「夜間の抗がん剤投与は病棟スタッフのサポート体制を考えると現実的ではない。従来通りの昼間の抗がん剤投与を行っている。」(30代,血液内科)「もっと一般的になれば実施したい。」(40代,小児科)「抗がん剤治療で有効性を高めるのと副作用を抑える効果が期待できる。具体例を教えてほしい」(40代,外科)「概日リズムも大切だが、それ以上に臨床上重要な部分が他にあると思う。」(40代,循環器科)「ACE阻害薬による乾咳を防ぐために、ACE阻害薬を夕方に投与している。」(60代,循環器科)「現時点で使わなくても良い状況にある。 対象となる患者の選択方法などがあると良い。」(50代,精神・神経科)「脳出血の発症がどうしても朝方に多いことと、降圧薬の内服が朝だとたとえ持続性であるとはいえ効果が切れてくるのが朝方になるのが重なってしまうため、持続型の降圧薬を基本的に夜に内服するように処方している。」(30代,脳神経外科)「医者のように不規則な生活リズムで生活していたら恩恵に預かれないのでしょうか」(30代,外科)「精神科では、よく話をきく。」(30代,アレルギー科)「現在の所は未解明な部分が多いが、解明が進むにつれて少しずつ取り入れたい。 ただ、時間治療について知るにつれ、自分の不摂生を大きく恥じるかもしれないのが辛い。」(20代,総合診療科)「降圧薬、スタチン、甲状腺ホルモン剤等の夕食後投与。ステロイド薬の午前中投与などで取り入れている。」(50代,代謝・内分泌科)「内分泌疾患では関連あると思っていましたが、がん治療で関係があるとは思いませんでした。」(40代,小児科)「興味はあり、今後の研究結果次第では積極的に活用してゆきたいと考えている。」(30代,小児科)「 高血圧などでは時間帯による変動の激しい人がいるので勉強したい。 」(50代,血液内科)「そもそも糖尿病や高血圧などの昔からの処方タイミング自体が時間治療にあたると思う」(30代,代謝・内分泌科)「サーカディアンリズムはともかく、これが治療に応用できるということは全く知らなかった」(40代,救急医療科)「もっと直感的に分かる名称がいいと思います。」(40代,脳神経外科)「心筋梗塞や脳梗塞の発症は、朝方に多いので、モーニングサージや朝方の交感神経の高まりを抑制するように、夕方に処方を変更したりなど行っています。」(40代,循環器科)「抗がん剤使用では夜間の方が有効だが、点滴の煩雑さから、夜勤の看護師の協力は得難いと思いわれる。」(40代,呼吸器科)「がん治療に実際どのように取り入れられているか知りたい」(30代,外科)「サーカディアンリズムに個人差がないのか、それによる治療効果の差がないのかが気になる」(30代,内科)「ある程度考慮しています。ただしケースバイケースです。」(40代,膠原病科)「クロノテラピーについて、根拠のある否定的な意見と肯定的・推進的意見を両方とも知りたい。」(30代,神経内科)「クリニカルパスと連動してできたら良いと思う。」(30代,血液内科)「現時点では効果は部分的なものだと思う.マスコミなどで画期的な方法のように取り上げられているのは違和感を感じる.」(50代,膠原病科)「時間により治療を行う方針は間違ってないと思うが、現在のようなエビデンスベースの医療ではそのエビデンスを示すことは難しいと考えます。」(40代,リウマチ科)「夜間に抗癌剤投与を行うほうがいいとする意見があったが、夜間投与中に副反応などが生じた時のリスク対処を考えるとベネフィットは少ないと思う」(30代,呼吸器科)「夕方・夜間の抗がん剤投与は、マンパワー不足で、現実的に無理」(30代,血液内科)「生体における個体差をどのように克服できるのかが不安でもあります。」(50代,外科)「もっと学術的な後押し、証明がなされたら取り入れる。テレビの影響で患者からの要望は多いが、より科学的なデータを望む。」(30代,消化器科)「患者からの要望はあるが、今後も取り入れる予定はない。」(40代,泌尿器科)「時間栄養学が提唱されており、夜間に食事をすると肥満しやすいことの理論的根拠が確立されてきた。 時計遺伝子が食事をはじめ体のリズムを調整している。スタチン製剤を夕方に処方するのも脂肪合成の日内リズムに基づいている」(60代,代謝・内分泌科)「サーカディアンリズムに従えば,有り得る治療と思う.」(40代,皮膚科)「睡眠覚醒リズムの補正が感情・情緒の改善に不可欠であると教育している。」(40代,精神・神経科)「H2 blockerは1回のときは夜に使用している。」(40代,外科)「神経疾患にも取り入れられているのか知りたい。特にステロイド大量療法(パルス療法)でも導入されているのか?」(40代,神経内科)「人間の体は不思議なもので、いつの間にか勝手に治るというのが、これで実証されていくのかと勝手に想像します。すべて知りたいです。」(30代,循環器科)

2784.

難治性うつ病に対するアプローチ「SSRI+非定型抗精神病薬」

 うつ病患者のうち、抗うつ薬が奏効するのはわずか2/3程度であり、治療に難渋することも少なくない。近年、抗うつ薬に非定型抗精神病薬を併用するうつ病の薬物治療は、効果的かつ高い忍容性が認められるといわれている。産業医科大学 吉村氏らは難治性うつ病患者におけるSSRIとアリピプラゾールとの併用による有効性を検討した。Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry誌オンライン版2012年7月17日号の報告。 対象は、少なくとも2種類以上の抗うつ薬による治療が奏功しなかった大うつ病患者24例(DSM-Ⅳ基準を満たす、男:女=9:13、年齢28~66歳[平均±SD=39±12])。対象患者に対しパロキセチン(11例)またはセルトラリン(13例)を4週間投与し、その後HAMD17スコア減少率が50%以下であった患者に対し、アリピプラゾール併用を4週間行った。主な結果は以下のとおり。・SSRI単独療法と比較し、アリピプラゾール併用療法はHAMD17スコアを低下させた。・パロキセチン+アリピプラゾール群とセルトラリン+アリピプラゾール群におけるHAMD17スコアの変化量には、有意な差は認められなかった。・難治性うつ病に対する薬物治療として、パロキセチンまたはセルトラリンにアリピプラゾールを併用することは効果的かつ良好な忍容性が認められる。 なお、国内におけるアリピプラゾールの効能・効果は「統合失調症」「双極性障害における躁症状の改善」である(2012年7月末現在)。関連医療ニュース ・うつ病治療“次の一手”は?SSRI増量 or SNRI切替 ・うつ病治療におけるNaSSA+SNRIの薬理学的メリット ・PETでみるアリピプラゾール「なぜ、EPSが少ないのか」

2785.

持効性注射剤のメリットは?アドヒアランスだけではなかった

 画像研究や死後脳研究などから, 統合失調症患者では前頭葉皮質内のミエリン形成の異常が多く認められる。ミエリンは、軸索伸長の阻害や神経可塑性に関わることで適切な神経ネットワークの構築に関与すると考えられている。 これまでのMRI研究では、統合失調症に対する抗精神病薬による治療において、初期段階で前頭皮質内のミエリンが増加し、その後、慢性期になるとすぐに減少することが示唆されている。慢性期統合失調症患者のミエリン減少は服薬アドヒアランス低下や薬物動態が関与しており、持効性注射製剤により改善する可能性もある。Bartzokis氏らは持効性注射製剤のミエリン形成に及ぼす影響を検討した。Schizophr Res誌オンライン版2012年7月16日号の報告。 初発統合失調症患者をリスペリドン持効性注射剤投与群(RLAI群)9名、リスペリドン経口剤投与群(RisO群)13名に無作為に割り付け、6ヵ月後の健常者(12名)との比較にて評価を行った。主要評価項目は、前頭葉皮質内のミエリンの変化量とした。ミエリン量はMRI画像による回転回復法(IR)、プロトン密度(PD)で評価した。また、服薬アドヒアランスを追跡調査した。主な結果は以下のとおり。・健常者と比較し、RLAI群ではミエリン量は有意に増加したが(p=0.005)、RisO群では有意な変化は認められなかった(p=0.39)。・両群における治療効果の差は、有意傾向であった(p=0.093)。・RLAI群は服薬アドヒアランスが良好であり、より多いミエリン量の増加が認められた(カイ二乗検定:p

2787.

「炭水化物」中心の食生活は認知症リスクを高める可能性あり

 食生活は生活習慣病の発症に関与するだけでなく、認知症の発症にも影響を及ぼすといわれている。では、どのような食生活が認知症リスクを高めるのか。Roberts氏らはカロリー摂取と認知症との関係を検討した。J Alzheimers Dis誌オンライン版2012年7月17日号の報告。 高齢者(年齢中央値:79.5歳)を対象とした集団ベースの前向きコホート研究により、毎日の総カロリーにおける主要な栄養素の割合と軽度認知障害(MCI)または認知症の発症との関係を調査した。追跡期間の中央値は3.7年(四分位数間範囲:2.5-3.9)。認知機能はベースラインおよび15ヵ月ごとの臨床認知機能評価法(CDR)スケール、神経学的評価、神経心理学テストにより評価した。カロリー摂取については、試験開始前に128項目に及ぶ食物に関するアンケートを実施し、1日の総カロリーや主栄養素摂取量を既成のデータベースを用い算出した。主栄養素摂取量は1日総カロリー当たりのタンパク質、炭水化物、総脂質の割合として計算された。主な結果は以下のとおり。・試験開始前に認知機能が正常であった937名のうち、200名はMCIまたは認知症であると診断された。・MCIまたは認知症のリスクは、炭水化物の摂取割合が高い方で上昇し(上位四分位ハザード比:1.89、95%信頼区間:[1.17~3.06]、p=0.004)、脂質の摂取割合が高い方(0.56 [0.34~0.91]、p=0.03)やタンパク質の摂取割合が高い方(0.79 [0.52~1.20]、p=0.03)では減少した。・炭水化物からのカロリー摂取率が高く、脂質およびタンパク質からの摂取率が低い高齢者では、MCIまたは認知症の発症リスクが増加する可能性が示唆された。関連医療ニュース ・認知症を予防するには「体を動かすべき」 ・なぜ、うつ病患者はアルツハイマー病リスクが高いのか? ・うつ病予防に「脂肪酸」摂取が有効?

2789.

認知症を予防するには「体を動かすべき」

 超高齢社会に突入したわが国において、認知症の予防は重要な課題である。認知症予防に有効だと考えられている1つの方法に「運動」がある。Bowen氏は運動を行うことで認知症リスクに影響を与えるか否かを検証し、Am J Health Promot誌2012年7月号で報告した。 本研究は、HRSの身体活動に関するデータとADAMSの認知アウトカムデータを使用したプロスペクティブ研究(HRS:Health and Retirement Study、ADAMS:Aging, Demographics, and Memory Study)。対象は、3~7年間の身体活動に関する情報を有する認知症を発症していない71歳以上の高齢者808名である。身体活動はエアロビクス、スポーツ、サイクリング、重労働の家事などの活発な身体活動を週3回以上実施しているかどうかで評価した。認知症の診断は、専門医(神経心理学者、神経科医、老年科医、老年精神医学科医など)による神経心理学的テストにより評価した。分析には、人口統計学的特性などの因子を調整するためロジスティック回帰分析モデルを用いた。主な結果は以下のとおり。・認知症リスクと活発な身体活動には顕著な関係が認められた。・最終的には、活発な身体活動を行っていた高齢者では認知症と診断されるリスクが21%低くなると考えられる(p≦0.05)。・活発な身体活動は、認知症リスク低下の独立した危険因子の可能性がある。関連医療ニュース ・認知症予防のポイント!MCIへのアプローチ ・アルツハイマーの予防にスタチン!? ・なぜ、うつ病患者はアルツハイマー病リスクが高いのか?

2790.

新型インフルエンザワクチン接種によるギラン・バレー症候群発症リスクは?

新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン接種によるギラン・バレー症候群発症リスクは、小さいながら有意にあることが報告された。カナダ・Laval大学のPhilippe De Wals氏らが、ケベック州で地域住民対象のコホート試験を行い明らかにしたもので、JAMA誌2012年7月11日号で発表した。ケベック州では2009年秋に新型インフルエンザのパンデミックを受けてワクチン接種キャンペーンを展開した。その際多くの人がAS03アジュバントワクチン(Arepanrix)の接種を受け、年度末までに住民780万人のうち57%が同ワクチン接種を受けたという。ギラン・バレー症候群71人中、8週間以内のワクチン接種は25人研究グループは、2009年10月~10年3月の6ヵ月間、カナダのケベック州で住民ベースのコホート試験を行った。試験期間中にギラン・バレー症候群が疑われた、または診断された患者について、地域の医師からの報告と病院の退院報告書で確認した。インフルエンザワクチン接種については、地域の予防接種登録名簿などで確認し、ギラン・バレー症候群発症との関連を、ポアソンモデルと自己対照ケースシリーズ法で分析した。その結果、6ヵ月の試験期間中、ギラン・バレー症候群が83人に認められ、そのうち71人はブライトン分類評価で1~3であった。そのうち、発症前8週間以内に新型インフルエンザワクチンの接種を受けていたのは25人、そのうち19人が同4週間以内に接種を受けていた。発症リスク、ワクチン接種後8週間は1.8倍、4週間は2.75倍ポアソンモデル解析の結果、接種群のギラン・バレー症候群の確定診断に関する非接種群に対する年齢・性別補正後相対リスクは、接種後8週間は1.80(95%信頼区間:1.12~2.87)、同4週間は2.75(同:1.63~4.62)だった。自己対照ケースシリーズ法では、接種群のギラン・バレー症候群の確定診断(42人)に関する非接種群に対する年齢・性別補正後相対リスクは、接種後4週間は3.02(同:1.64~5.56)だった。ブライトン分類評価1~3(36人)についてみた場合のリスクは2.33(同:1.19~4.57)だった。ワクチン接種のギラン・バレー症候群発症への寄与リスクは、100万人当たり2人だった。Wals氏は、「ワクチン接種によるベネフィットは、リスクを上回るようだ」と結論している。

2791.

なぜ、うつ病患者はアルツハイマー病リスクが高いのか?

アルツハイマー病(AD)にはアミロイドβ(Aβ)に対する自己抗体レベルの減少が関与していると考えられている。また、生涯にわたるうつ病の罹患はADリスクを2倍に上昇させるともいわれていることから、うつ病患者においてAβに対する自己抗体の減少がみられている可能性がある。Maetzler W氏らはうつ病患者におけるADリスクと自己抗体の関係についての検証を試みた。J Alzheimers Dis誌オンライン版2012年7月5日の報告。うつ病患者214名を対象に、Aβ1-42、S100b(AD病態を増悪させるアストロサイト特異的蛋白)、αシヌクレイン(パーキンソン病やレビー小体型認知症などの神経変異疾患の原因物質)に対する血清IgG自己抗体の測定値について、対照群214名と比較検討を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・Aβ1-42に対する測定値は、生涯うつ病患者で対照群と比較し低かった(5544.6±389.3 :7208.7±482.4、p=0.048)。・S100b、αシヌクレインに対する測定値は、コホート間で同等であった。・本研究より、うつ病患者における体液性免疫応答によるAD様の機能障害が示唆された。 (ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース ・うつ病治療“次の一手”は?SSRI増量 or SNRI切替 ・うつ病を合併した糖尿病患者では認知症のリスク上昇 ・アルツハイマーの予防にスタチン!?

2792.

硫酸マグネシウム、動脈瘤性クモ膜下出血の予後を改善せず:MASH-2試験

 動脈瘤性クモ膜下出血に対する硫酸マグネシウムの静脈内投与は臨床予後を改善しないことが、オランダ・ユトレヒト大学医療センターのSanne M Dorhout Mees氏らが実施したMASH-2試験で示された。動脈瘤性クモ膜下出血は予後不良であり、1ヵ月後の死亡率は27~44%、過去10年で死亡率は低下傾向にあるものの生存者の20%は介助なしでは生活ができない。動脈瘤性クモ膜下出血では、発症後4~10日にみられる遅発性脳虚血が不良な予後の重要な原因であり、神経保護薬である硫酸マグネシウムは遅発性脳虚血を抑制したり、その予後を改善することで、クモ膜下出血そのものの予後を改善する可能性があるという。Lancet誌2012年7月7日号(オンライン版2012年5月25日号)掲載の報告。硫酸マグネシウムの効果を無作為化プラセボ対照第III相試験で評価 MASH-2試験は、硫酸マグネシウムによる動脈瘤性クモ膜下出血の予後改善効果を検証する無作為化プラセボ対照第III相試験。 脳のCT画像で動脈瘤性クモ膜下出血が確認され、出血から4日以内に参加施設に入院した18歳以上の患者を対象とした。これらの患者が、硫酸マグネシウム(64mmoL/日、20日間)を静脈内投与する群あるいはプラセボ群に無作為化に割り付けられた。腎不全や体重が50kg未満の患者は除外された。 患者、担当医、予後の評価やデータ解析を行う研究者には治療割り付け情報がマスクされた。主要評価項目は、発症から3ヵ月後の不良な予後(修正Rankinスケール[mRS]でスコア4~5と定義)および死亡とした。以前に行われたメタ解析に本試験のデータを加えて再解析を行った。硫酸マグネシウムは改善効果がないためルーチン投与は推奨されない 2004年4月~2011年9月までに、3ヵ国(オランダ、スコットランド、チリ)の8施設から1,204例が登録され、1,200例(マグネシウム群:604例、プラセボ群:596例)が解析の対象となった。 不良な予後の割合は、マグネシウム群が26.2%(158/604例)、プラセボ群は25.3%(151/596例)であり、両群間に有意な差はなかった(リスク比[RR]:1.03、95%信頼区間[CI]:0.85~1.25)。 無症状の患者の割合(7.6% vs 7.7%、RR:0.99、95%CI:0.67~1.46)、mRSのスコア(0:46例 vs 46例、1:222例 vs 210例、2:124例 vs 142例、3:54例 vs 47例、4:42例 vs 44例、5:25例 vs 22例、死亡:91例 vs 85例)も、両群間で有意差は認めなかった(p=0.95)。 不良な予後に関するサブ解析(性別、年齢[55歳以下 vs 55歳以上]、入院時の病態[WFNS基準:Grade <4 vs Grade 4/5]、治療法[コイル塞栓術 vs クリッピング術]、低マグネシウム血症に対するマグネシウム投与の有無)でも、有意な差はみられなかった。 これらのデータを含む7試験2,047例のメタ解析では、動脈瘤性クモ膜下出血発症後の不良な予後の抑制効果はマグネシウム群とプラセボ群で同等であった(RR:0.96、95%CI:0.84~1.10)。 著者は、「硫酸マグネシウムの静脈内投与は動脈瘤性クモ膜下出血の臨床予後の改善効果がないため、ルーチンの投与は推奨されない」と結論づけている。

2793.

認知症予防のポイント!MCIへのアプローチ

認知症は軽度認知障害(MCI)から始まり、徐々に認知機能が低下していくため、認知症を予防するためのひとつの方法として、MCIの段階でいかに対処していくかが重要であると考えられる。Summers氏らはMCI症例に対する神経心理学的アプローチに関する検討を行った。Neuropsychology誌2012年7月号(オンライン版2012年5月21日号)の報告。MCIの各サブタイプに分類される高齢者81名と健常者25名の計106名を対象に、視覚機能、言語記憶、注意処理機能、遂行機能、ワーキングメモリー、意味記憶の個々の結果をもとに、20ヵ月の縦断的な神経心理学的評価を行った。主な結果は以下のとおり。 ・20ヵ月後、MCI群の12.3%が認知症へ進行、62.9%がMCIの状態を維持、24.7%がMCIから健常レベルに戻った。・判別関数を用いた分析では、試験開始前の神経心理学的テストの成績から86.3%の精度で20ヵ月後の結果を予測することができた。・視覚および言語のエピソード記憶、短期記憶、ワーキングメモリー、注意処理機能の障害パターンによりMCI症例の予後を予測可能であることが示された。(ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース ・アルツハイマーの予防にスタチン!? ・データバンクでアルツハイマー病の治療実態が明らかに―仏BNA調査― ・MCIの診断・治療に有効な評価尺度として期待「CDR-SB」

2795.

ワルファリン服用の急性虚血性脳卒中へのt-PA、症候性頭蓋内出血リスク増大みられず

組織型プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)静注療法を行った急性虚血性脳卒中患者の症候性頭蓋内出血リスクについて、ワルファリン服用中の患者のリスクは非服用患者と比べて増大しないことが示された。その他のt-PA合併症や院内死亡率についても、ワルファリン服用による増加は認められなかった。米国・デューク臨床研究所のYing Xian氏らが、約2万4,000人の急性虚血性脳卒中患者について行った観察試験の結果で、JAMA誌2012年6月27日号で発表した。t-PA静注療法患者について、ワルファリン服用有無で出血リスク増大との関連を分析最近のガイドラインでは、ワルファリン治療中の患者へのt-PA静注は、国際標準比(INR)1.7以下の患者への投与が推奨されているが、ワルファリン服用中の患者に関するt-PA静注療法の安全性に関するデータはほとんどない。そこで研究グループは、ワルファリン服用中患者と非服用患者とを比較する目的で、2009年4月~2011年6月の間に1,203病院で登録されたAHA Get With The Guidelines–Stroke(GWTG-Stroke)レジストリの患者データから、急性虚血性脳卒中を発症した国際標準比(INR)が1.7以下の人で、組織型プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)を静注した2万3,437人について観察試験を行った。被験者のワルファリンの服用歴の有無と、症候性頭蓋内出血の発症リスクとの関連を分析した。被験者のうちワルファリン服用中だったのは1,802人(7.7%)で、INR中央値は1.20(四分位範囲:1.07~1.40)だった。ワルファリンを服用していた人は、そうでない人に比べ、高齢で、共存症が多く、脳卒中の程度も重度だった。症候性頭蓋内出血、重度全身性出血、t-PA合併症などいずれも発症率は同等症候性頭蓋内出血の補正前発症率は、ワルファリン服用群が5.7%と、ワルファリン非服用群の4.6%に比べ有意に高率だった(p<0.001)。しかし、試験開始時点における臨床的因子で補正後は、両群の同発症率に有意差は認められなかった(補正後オッズ比:1.01、95%信頼区間:0.82~1.25)。 ワルファリン服用群と非服用群では、重度全身性出血率(補正後オッズ比:0.78、同:0.49~1.24)、t-PA合併症率(同:1.09、同:0.93~1.29)、院内死亡率(同:0.94、同:0.79~1.13)のいずれも有意な差は認められなかった。INR 1.7以下のワルファリン服用患者への血栓溶解療法は、症候性頭蓋内出血リスクと統計的に有意な関連は認められなかった(補正後オッズ比:INR 0.1増大につき1.10、95%信頼区間:1.00~1.20、P=0.06)。 (當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

2796.

アルツハイマーの予防にスタチン!?

これまで、スタチンがアルツハイマー病(AD)を予防できる可能性があるとの研究結果が報告されているが、そのメカニズムは明らかになっていない。岡山大学 倉田氏らはアトルバスタチンとピタバスタチンの多面的な抗炎症作用と長期的な影響を比較検討した。Neurol Res 誌オンライン版2012年6月22日付にて報告した。老人斑(SP)のサイズ、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の脳内炎症反応に対するアトルバスタチンとピタバスタチンの作用について、APPトランスジェニックマウスを用い検証した。生後5~20ヵ月のトランスジェニックマウスにアトルバスタチンまたはピタバスタチンを投与し、5ヵ月ごとにSP、MCP-1陽性ニューロン、Iba-1陽性ミクログリア、TNF-α陽性ニューロンについて免疫組織学的分析を行った。主な結果は以下のとおり。 ・両スタチンを投与されたAPPトランスジェニックマウスはコントロールマウスと比較して、MCP-1陽性ニューロンは10ヵ月、Iba-1陽性ミクログリアは15ヵ月、TNF-α陽性ニューロンとSPは15~20ヵ月で減少した。・マウスにおける、これらスタチンの保護作用は有意な差を示すまでに5ヵ月を要した。また、スタチンに対する感受性はMCP-1>Iba-1陽性>TNF-α>SPの順であった。・MCP-1陽性およびIba-1、TNF-αの炎症性反応がSP形成に影響を与えたと考えられる。・両スタチンともにAD予防に有用なアプローチとなりうる可能性が示唆された。(ケアネット 鷹野 敦夫) 関連医療ニュース ・アルツハイマー病の治療実態調査―仏データバンク― ・軽度認知障害の診断・治療に有効な評価尺度 ・“日本老年精神医学会”震災後の新たな地域連携

2797.

「一般名処方加算」新設、その後の実施率は

今回の「医師1,000人に聞きました」、テーマは “一般名処方”。2012年4月より、2012年4月の診療報酬改定における後発医薬品使用促進策の一つとして「一般名処方加算」が新設されたことは先生方ご存知の通りです。この改定を受けて先生方の意識はどう変化したのか?「4月以降実施するようになった」医師は全体でどれくらい?病院と診療所、実施率はどう違う?CareNet.comで2011年12月に実施した一般名処方の実施率調査も比較しながらご覧ください。結果概要はこちらコメントはこちら設問詳細「一般名処方」についてお尋ねします。4月6日付の『日刊薬業』によると、『4月の診療報酬改定で加算点数が新設されたことをきっかけに、全国各地で一般名処方を含む処方箋が増加している。当初は加算新設の効果に懐疑的な見方もあったが、改定施行直後からクリニックを中心に一般名処方が広がっているもようだ。この急増ぶりに東京都薬剤師会は3日付で、処方医や薬局薬剤師が一般名処方に不慣れな中では調剤過誤につながる恐れもあることから、傘下薬局に注意喚起の事務連絡を出した。4月の診療報酬改定では後発医薬品使用促進策の一つとして「一般名処方加算」が新設。医師が一般名処方を含む処方箋を発行した場合、交付1回当たり2点を保険請求できるようになった。一般名処方を含む処方箋について全国の調剤薬局からは、「前年に比べ2割ほど増加した」(札幌市の調剤薬局)、「すごく多い。混乱している」(広島県の調剤薬局チェーン)との声が出ている。大阪府薬剤師会の乾英夫副会長は「府内でも増えている。混乱しているのは確か」と話す。東京都薬は「一般名記載の処方薬を含む処方箋がかなり多い。ここまで来るとは思っていなかった」(事務局)と、予想以上の急増を指摘している。台東区の薬局の薬剤師は「一般名処方の処方箋は全体の25~30%。処方箋発行元医療機関の約9割が一般名処方を出している」と説明する。(略)』とのこと。そこで先生にお尋ねします。Q1. 先生の勤務施設では、一般名処方を行なっていますか?1.行なっている2.一部行なっている3.行なっていないQ2. Q1で「行なっている」「一部行なっている」と回答した先生にお尋ねします。一般名処方に関して、以下当てはまるものを全てお答え下さい。これまで行なっていなかったが、4月以降行なうようになった以前から行なっていたが、4月以降増えたレセコンの設定で自動的に一般名処方となる後発薬のある薬剤はほぼ全てを一般名処方としている処方薬のうち少なくとも1種類は一般名処方としている処方箋の書き方に難しさを感じるどの後発薬を調剤するかは調剤薬局に任せる調剤薬局からの問合せが増えた当てはまるものはないQ3. Q1で「行なっていない」と回答した先生にお尋ねします。今後一般名処方を行なう予定はありますか?1.行いたい2.薬剤によっては一般名処方でも良い3.行いたくないQ4.コメントをお願いします。今回の診療報酬改定、ご勤務施設の方針、処方箋を書く際やレセコンについて感じること、一般名処方の浸透に対してのお考えなど、一般名処方に関することでしたらどういったことでも結構です。アンケート結果Q1. 先生の勤務施設では、一般名処方を行なっていますか?Q1で「行なっている」「一部行なっている」と回答した先生にお尋ねします。一般名処方に関して、以下当てはまるものを全てお答え下さい。Q3. Q1で「行なっていない」と回答した先生にお尋ねします。今後一般名処方を行なう予定はありますか?2012年6月15日(金)~20日(水)実施有効回答数:1,000件調査対象:CareNet.com医師会員結果概要一般名処方を行なっている医師は3割超、前回調査時より倍増 診療所医師では半数を超える勤務施設での現在の実施状況では、「行なっている」との回答が15.1%(昨年5.7%)、「一部行なっている」が19.3%(同11.5%)。何らかの形で実施している医師は17.2%から34.4%と、昨年12月の調査時と比較すると倍増した結果になった。また、そうした医師に状況を尋ね「これまで行なっていなかったが、4月以降行なうようになった」との回答が60.8%。「以前から行なっていたが4月以降増えた」が14.8%であった。また施設規模別で見ると、病院医師で合計30.1%、診療所医師で56.0%の実施率となった。今後について、現在行なっていない医師の6割が「行いたい」「薬剤によっては」と回答一方、現在「行なっていない」と回答した医師に今後の意向を尋ねたところ、「薬剤によっては一般名処方でも良い」51.4%、「行いたくない」40.5%、「行いたい」8.1%という結果となった。『後発薬の信頼性に問題がある』『商品名で覚えていたものを新たに覚えなおすのは難しい』といった回答が多く見られた。「行いたい」とした中では、『自動変換してくれるなら』『面倒なので』など、レセコンに関するコメントを寄せた医師が多かった。「後発薬のある薬剤はほぼ全て一般名処方」としている医師は11.6%その他、現在行なっている医師の状況として「レセコンの設定で自動的に一般名処方となる」との回答が16.3%いる一方で、「処方箋の書き方に難しさを感じる」との回答が16.0%とほぼ同程度となった。「処方箋のうち少なくとも1種類は一般名処方としている」は15.7%、「後発薬のある薬剤はほぼ全てを一般名処方としている」との回答が11.6%。CareNet.comの会員医師に尋ねてみたいテーマを募集中です。採用させて頂いた方へは300ポイント進呈!応募はこちらコメント抜粋 (一部割愛、簡略化しておりますことをご了承下さい)「成分・効能が同じでも患者さんの方からすれば違ったものと捉えることが多いようです。医療費高騰の観点からのみでジェネリックにするのは考え物です。」(60代,病院勤務,リハビリテーション科)「後発品と先発品で適応疾患が異なるのが問題。当院では一般名では印字できないのですべて手書きになります。一般名処方は現状では普及しないと思います。」(50代,病院勤務,精神・神経科)「後発品の数が多すぎて、後発品の商品名で処方しても薬局によっておいているものが違い、その度変更可かどうかと問い合わせがくる。それも面倒なのだが、一般名はなじみがなく処方する際に手間がかかる。先発品の名称で処方しても、「変更可」とチェックを入れれば一般名処方と意味は同じになると思うので、かならずしも一般名でなくていいと思う。もう少し現場のことを考えてほしい。」(30代,病院勤務,外科)「仕事が煩雑になり大変迷惑。」(40代,病院勤務,精神・神経科)「処方された薬剤名を電子カルテに残したほうが良いと思うので手間が増えている。」(50代,その他,内科)「処方箋が長くなるので、印刷されているとはいえ、見づらい。コンピューター入力できない項目(例えば、不均等な服用、汎用しない頓服項目)など、つい書き加えるのを忘れる。医療機関はたいへんな思いをして2点しか加算されない。薬局ばかりが得をしていると感じている。」(40代,診療所勤務,精神・神経科)「移行期は作業が増えるが、将来的には効率的かと思う。」(30代,病院勤務,精神・神経科)「病院全体の問題なので当科の一存では決められない。やるならやるでいいし、やらなくても良い。」(50代,病院勤務,泌尿器科)「一般名処方をしてでも2点を稼がなければいけない保険制度に問題あり。一般名処方が一般化すればやがては2点加算も無くなり、逆に商品名処方だと減点される方向に動くだろう。製薬メーカーのMR活動は消滅。対薬局MS活動が中心になるだろう。医薬品の精度、安全性はどのように担保し、薬害時の補償はどうするのだろうか。」(50代,病院勤務,泌尿器科)「一般名を調べるのに時間をとられて、業務に支障あり。 」(50代,病院勤務,整形外科)「血圧関係では、慣れたARBを使用したいので一般名処方はしたくない。」(60代,その他,産婦人科)「一般名で構わないと思うが、この無理やりなやり方には反発を感じる」(40代,診療所勤務,精神・神経科)「点眼ビンの使いやすさや点眼時の刺激などが各薬剤にて全く異なるので、眼科的にはなじまない」(40代,診療所勤務,眼科)「調剤薬局からの問い合わせが多く、非常に手間を感じている」(30代,診療所勤務,腎臓内科)「一般名処方出来る薬と出来ない薬があるので、混乱している。4月に入って直ぐに後発薬のあるものすべてを一般名処方に変えたが月の半ばでレセコン会社から半分以上出来無いとの連絡があり戻して混乱した。その根拠が分からない。」(50代,その他,眼科)「加算につながることなので、経営上やらざるを得ないが、露骨なジェネリックへの誘導措置であり、気分はあまりよくない。」(40代,診療所勤務,内科)「電子カルテが、製品名を入力しても一般名が選べるとか、サポート機能が充実すれば一般名処方はやぶさかではない」(50代,病院勤務,外科)「自分がわざと安いジェネリック薬を選んで処方しても,薬局で高いジェネリックに変更されている.これまでと逆のことがおこっている.」(30代,病院勤務,神経内科)「いままでよりわかりやすくていいです。ただ、患者さんに商品名を伝えるべきなのか、一般名にするのかは、どちらにしても名前が変わってくることが多いため、患者がどう感じているか心配ではある。」(30代,診療所勤務,膠原病科)「商品名に慣れ親しんだ患者さんやベテラン医師に受け入れられるまで時間はかかると思うが、一般名処方をすると、先発品と後発品を同じ名前で処方できる、一般名で学んだ薬学の知識を新人医師がそのまま使えるというメリットがある。いずれ世間は一般名処方に移行していくと思う。」(30代,病院勤務,呼吸器科)「他の医療機関から来た患者の処方を見るときは、一般名処方の方が、聞いたこともないジェネリック薬品の製品名よりはるかに良いと思います。」(50代,診療所勤務,代謝・内分泌科)「電子カルテの動きが遅くなるため実施していない。」(40代,診療所勤務,耳鼻咽喉科)「いちいち薬局からこの薬にしましたと連絡を受けるのは面倒」(60代,その他,泌尿器科)「後発品の普及をさせたい意図はわかるが 現場の状況を厚生省はよく検討して欲しい」(30代,病院勤務,麻酔科)「いろいろな医療機関で様々な薬を処方されていてその患者が入院した場合何の薬を処方されていたのか調べるのが大変な労力がいる。またすべて同じ効果があるのか疑問。」(60代,病院勤務,外科)「レセコンでは一般名→商品名、商品名→一般名いずれも変換できますので、特に困ることはないのですが、保険点数2点ですからねえ、労力の割には報われないような気がします。」(50代,病院勤務,外科)「一般名が複雑な名称の場合があり(例えばxxxxリン酸塩、など)、また馴染みの少ない名称の場合も少なくなく、処方ミスに繋がる可能性がある。」(50代,病院勤務,代謝・内分泌科)「アップデートの必要がある情報が山のように有るので、覚えないですむ情報に時間を費やすのはさけたい」(40代,病院勤務,外科)「他施設から紹介されてくるケースで、後発品の処方がなされているケースだと何が投与されているのか一々調べなければならない。それなら一般名処方のほうがましに感じる。 」(40代,病院勤務,整形外科)「電子カルテのソフトで対応していかないと,何の薬が出ているのかわからないので,医療事故の原因になるはず…」(50代,病院勤務,呼吸器科)「薬剤師、医師とも不慣れな一般名より、商品名での処方が良いと考えている。現状の「どちらでも良い」という中途半端な状態がもっとも危険。」(50代,その他,外科)「当院の処方は全て自動的に(変更不可)になっている」(50代,診療所勤務,整形外科)「いまだ過渡期になるのでしょうか?かなり前から議論されていますが、いまだに統一した見解、取り決めがなされていないのは疑問に思います」(40代,病院勤務,麻酔科)「これだけ医療ミスが問題とされているのに、 わざわざ一般名にしてミスをするリスクをあげる必要性があるのだろうか?」(40代,病院勤務,膠原病科)「医師になったばかりの頃は、一般名の処方の方が判りやすかったが、段々、経験を積むにつれて、メーカーごとに違う薬剤名の方に慣れ親しんで行った。だから、これから医師になる人々にとっては一般名処方は良い傾向だと思う。」(50代,病院勤務,産婦人科)「一般名のほうがよいが、コメディカル(看護師など)の方々にも浸透するにはまだまだ時間が掛かると思う」(30代,病院勤務,その他)「コンピュータで一般名が選択できるので処方は簡単。」(30代,診療所勤務,産婦人科)「院内処方なので、一般名にするメリットは感じない。制度でそうするというのなら従うが、慣れるまではしんどいな。」(40代,病院勤務,精神・神経科)「処方された薬剤に関する責任の所在を明確にしてほしい」(40代,病院勤務,精神・神経科)「長い目で見れば、製品名と一般名の2種類を記憶する必要がなくなるので、一般名処方は推進されるべきと思います。 」(30代,病院勤務,腎臓内科)「今から、以前覚えた商品名に対する一般名を覚える余力がない。」(40代,病院勤務,血液内科)「後発薬の場合、実際に効果が違うように思うものがあるのも確かであり、指定が必要なものもあるかと思います。 また、患者さん側も薬の名前が違うことに不安を感じるのでは。 混乱を招かないためにも後発薬は一般名そのものや一般名をもじったものにして欲しいものです。」(30代,病院勤務,整形外科)「現場が混乱し、インシデントの原因となるので、一般名処方が必要だとか一般名が定着しているものに限って行なうべきと思います。」(30代,病院勤務,整形外科)「この制度はおかしい。「後発品への変更可」から、「後発品への変更不可」に変化し、ここで一般名にしたところで、現場が混乱するだけ。後発品変更不可としない処方箋に2点つくようにしさえすればよかったのに」(40代,病院勤務,内科)「先発薬にこだわりたい。」(40代,病院勤務,内科)「たった2点のためやるかと思うと、情けないです。」(40代,診療所勤務,産婦人科)「昔ながらによく使用している薬剤を、一般名でいまさら覚えるのがおっくうです。」(40代,病院勤務,呼吸器科)「電子カルテのオプション整備費としてかなりの金額が必要ですので、考慮中です。」(60代,病院勤務,消化器科)「一般名をすぐに連想させるような商品名であると覚えやすいため使用してもよいと考える」(20代,病院勤務,産婦人科)「以前は紛らわしい名前の薬の書き間違いによる医療事故が取りざたされていましたが、ジェネリックや一般名処方ではますます間違いが増えることが明らかです。(処方している医師仲間が言っているので間違いないです。)今は患者の命よりも医療費の抑制が優先される時代なんだと理解しています。」(50代,病院勤務,呼吸器科)「とくに勤務施設からの指示はありませんが、ジェネリック医薬品の採用品がころころ変わるこの頃、一般名での処方のほうが便利かもしれない」(40代,病院勤務,内科)

2798.

脳卒中のrt-PA血栓溶解療法、発症後6時間でも身体機能を改善: IST-3試験

脳卒中患者に対する遺伝子組み換え組織プラスミノーゲンアクチベータ(rt-PA)による静脈内血栓溶解療法は、発症から6時間まで適応を拡大しても、6ヵ月後の身体機能アウトカムを改善することが、英国オックスフォード大学のColin Baigent氏らIST-3 collaborative groupが進めるIST-3試験(http://www.dcn.ed.ac.uk/ist3/)で示された。rt-PAによる血栓溶解療法は、欧州では発症後3時間以内、80歳未満の急性虚血性脳卒中患者に対し承認されている。一方、11試験(3,977例)に関するコクランレビューでは、rt-PAは早期の致死的脳出血を3%増加させるものの身体機能障害のない生存を有意に改善することが示され、発症後6時間まで有効な可能性が示唆されている。Lancet誌2012年6月23日号(オンライン版2012年5月23日号)掲載の報告。rt-PA 6時間以内投与の有用性を無作為化試験で評価IST-3(Third International Stroke Trial)試験は、より広範な脳卒中患者(発症後6時間まで、80歳以上)に対するrt-PAによる静脈内血栓溶解療法の有用性を評価する国際的な多施設共同非盲検無作為化試験。患者は、rt-PA 0.9mg/kgを静脈内投与する群または対照群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、6ヵ月後の自立した生存例の割合とした。自立はOxford Handicap Score(OHS)で評価し、OHS 0~2点を自立と定義した(0:身体機能の障害がなく、日常生活に変化なし、1:軽度の症状があるが、日常生活に支障なし、2:軽度の身体機能障害があり、日常生活にもある程度制限があるが、自立している)。早期の死亡率や脳出血の頻度は高いが、6ヵ月後のOHSが改善2000年5月~2011年7月までに、12ヵ国156施設から3,035例が登録され、このうち1,617例(53%)が80歳以上だった。rt-PA群に1,515例が、対照群には1,520例が割り付けられた。6ヵ月の時点における自立した生存率はrt-PA群が37%(554/1,515例)、対照群は35%(534/1,520例)で、両群間に有意な差はなかった[調整オッズ比(OR):1.13、95%信頼区間(CI):0.95~1.35、p=0.181]。OHSの改善率はrt-PA群で有意に高かった(OR:1.27、95%CI:1.10~1.47、p=0.001)。7日以内に発現した致死的/非致死的な症候性脳出血はrt-PA群が7%(104/1,515例)と、対照群の1%(16/1,520例)に比べ有意に高頻度であった(調整OR:6.94、95%CI:4.07~11.8、p<0.0001)。7日以内の死亡率はrt-PA群が11%(163/1,515例)と、対照群の7%(107/1,520例)に比べ有意に高かった(調整OR:1.60、95%CI:1.22~2.08、p=0.001)が、7日~6ヵ月の死亡率はrt-PA群で有意に低く[rt-PA群16%(245/1,515例) vs 対照群20%(300/1,520例)、調整OR:0.73、95%CI:0.59~0.89、p=0.002]、6ヵ月までの全体の死亡率は両群で同等だった[rt-PA群27%(408/1,515例) vs 対照群27%(407/1,520例)、調整OR:0.96、95%CI:0.80~1.15、p=0.672]。著者は、「約4分の3の患者が発症から3時間以降に無作為割り付けされ、半数以上が80歳を超える集団において、rt-PAは6ヵ月後の身体機能アウトカムを改善することを示すエビデンスが得られた」と結論し、「これらの知見は、rt-PAの80歳以上の患者に対する適応拡大を正当化し、脳卒中の重症度やベースラインの画像診断における早期の虚血性変化にかかわらず有用なことを示す。今後は、発症後4.5時間以降の患者を対象とした無作為化試験を行う必要がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

2799.

脳卒中のrt-PA血栓溶解療法、早期開始で予後が改善:IST-3試験を含むメタ解析

脳卒中の治療では、早期の遺伝子組み換え組織プラスミノーゲンアクチベータ(rt-PA)による静脈内血栓溶解療法が、良好なアウトカムの達成率および自立した生存率の改善をもたらすことが、英国エジンバラ大学のJoanna M Wardlaw氏らの検討で示された。rt-PAは、急性虚血性脳卒中患者の身体機能アウトカムを改善することが欧米の無作為化試験で示されているが、適応は発症後3時間以内に限定され、欧州では80歳以上は適応外とされる。2000年に開始されたIST-3試験(http://www.dcn.ed.ac.uk/ist3/)は、80歳以上の患者が半数以上を占め、発症後6時間まで適応を拡大して実施された。Lancet誌2012年6月23日号(オンライン版2012年5月23日号)掲載の報告。IST-3試験の最新データを加えたメタ解析研究グループは、急性虚血性脳卒中に対するrt-PAの無作為化試験のエビデンスを検証するために、最新の大規模臨床試験であるIST-3(Third International Stroke Trial)試験のデータを含めた系統的なレビューを行い、メタ解析を実施した。2012年3月30日までに発表された論文について解析した。対象は発症後6時間以内の脳卒中患者で、事前に規定されたアウトカム(7日以内、最終フォローアップ時)についてオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出した。自立した生存率が発症後6時間以内の治療で17%、3時間以内で53%改善解析の対象となった12試験の合計7,012例のうち3,035例がIST-3試験の参加者だった。最終フォローアップは、2試験が1ヵ月後、IST-3試験が6ヵ月後で、残りの試験は3ヵ月後だった。脳卒中発症後6時間以内のrt-PA投与により、最終フォローアップ時の自立(修正Rankinスケール[mRS]:0~2)した生存率はrt-PA群が46.3%(1,611/3,483例)と、対照群の42.1%(1,434/3,404例)に比べ有意に優れた(OR:1.17、95%CI:1.06~1.29、p=0.001)。自立した生存例は、rt-PAの投与を受けた1,000例当たり42例(95%CI:19~66例)増加し、良好なアウトカム(mRS:0~1)は1,000例当たり55例(95%CI:33~77例)増加した。発症後3時間以内にrt-PAの投与が行われた6試験における自立した生存の達成率は、rt-PA群が40.7%(365/896例)と、対照群の31.7%(280/883例)に比べ有意に優れた(OR:1.53、95%CI:1.26~1.86、p<0.0001)。自立した生存例は、rt-PAの投与を受けた1,000例当たり90例(95%CI:46~135)増加した。良好なアウトカム(mRS:0~1)の達成率はrt-PA群が31.6%(283/896例)と、対照群の22.9%(202/883例)に比し有意に優れ(OR:1.61、95%CI:1.30~1.90、p<0.0001)、1,000例当たり87例(95%CI:46~128例)増加した。発症後7日以内の死亡率は、rt-PA群が8.9%(250/2,807例)と、対照群の6.4%に比し有意に高かった(OR:1.44、95%CI:1.18~1.76、p=0.0003)が、最終フォローアップ時にはこの有意差は消失した[rt-PA群19.1%(679/3,548例) vs 対照群18.5%(640/3,464例)、OR:1.06、95%CI:0.94~1.20、p=0.33]。症候性の脳出血はrt-PA群が7.7%(272/3,548例)と、対照群の1.8%(63/3,463例)に比べ有意に高頻度であり(OR:3.72、95%CI:2.98~4.64、p<0.0001)、これはrt-PA群における早期死亡率の高さと関連していた。80歳以上の患者のアウトカムは80歳未満の患者とほぼ同等で、特にrt-PA治療が早期に開始された場合(発症後3時間以内)にはほとんど差がなかった。著者は、「rt-PAによる静脈内血栓溶解療法は、最終フォローアップ時の良好なアウトカムおよび自立した生存率の改善をもたらすことを示すエビデンスが得られた」と結論し、「これらのデータは、急性虚血性脳卒中の発症後は可能な限り早期に治療を開始すべきとする以前のエビデンスを補強するものだが、発症後6時間でもrt-PAのベネフィットが得られる患者の存在が示唆される」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

2800.

データバンクでアルツハイマー病の治療実態が明らかに―仏BNA調査―

急速に超高齢社会に突入したわが国において、認知症診療のスキルは専門医だけでなく、かかりつけ医にも求められるようになってきた。2011年に新規抗認知症薬が次々と承認され、今後の薬物療法に関して議論が行われている。Tifratene氏らはデータバンクを活用し、フランス国内のアルツハイマー病(AD)の薬物療法の現状とその治療がフランスのADガイドラインに準じているかを検討した。その結果、ADのデータバンクがADの診療や関連疾患診療に有益な情報をもたらすことを、Pharmacoepidemiol Drug Saf誌オンライン版2012年6月20日付にて報告した。2010年にフランスのアルツハイマーデータバンク(BNA)に登録された191,919例を横断的に分析し、ADと診断された患者(29.9%)と対象期間で少なくとも1つ以上の認知機能検査(MMSE)スコアを示した患者26,809例を検討した。主な結果は以下のとおり。 ・76.9%の症例において、抗AD治療薬が投与されていた。・アセチルコリンエステラーゼ阻害剤単独投与が48.3%、メマンチン単独投与が14.2%、併用投与が14.4%であった。・20.7%の症例はガイドラインに準じた治療が行われておらず、低いMMSE平均スコア(13.6 vs 18.0、p

検索結果 合計:2830件 表示位置:2781 - 2800