アルツハイマーの予防にスタチン!?

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2012/07/06

 



これまで、スタチンがアルツハイマー病(AD)を予防できる可能性があるとの研究結果が報告されているが、そのメカニズムは明らかになっていない。岡山大学 倉田氏らはアトルバスタチンとピタバスタチンの多面的な抗炎症作用と長期的な影響を比較検討した。Neurol Res 誌オンライン版2012年6月22日付にて報告した。

老人斑(SP)のサイズ、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の脳内炎症反応に対するアトルバスタチンとピタバスタチンの作用について、APPトランスジェニックマウスを用い検証した。生後5~20ヵ月のトランスジェニックマウスにアトルバスタチンまたはピタバスタチンを投与し、5ヵ月ごとにSP、MCP-1陽性ニューロン、Iba-1陽性ミクログリア、TNF-α陽性ニューロンについて免疫組織学的分析を行った。

主な結果は以下のとおり。

・両スタチンを投与されたAPPトランスジェニックマウスはコントロールマウスと比較して、MCP-1陽性ニューロンは10ヵ月、Iba-1陽性ミクログリアは15ヵ月、TNF-α陽性ニューロンとSPは15~20ヵ月で減少した。
・マウスにおける、これらスタチンの保護作用は有意な差を示すまでに5ヵ月を要した。また、スタチンに対する感受性はMCP-1>Iba-1陽性>TNF-α>SPの順であった。
・MCP-1陽性およびIba-1、TNF-αの炎症性反応がSP形成に影響を与えたと考えられる。
・両スタチンともにAD予防に有用なアプローチとなりうる可能性が示唆された。

(ケアネット 鷹野 敦夫)

関連医療ニュース
 ・アルツハイマー病の治療実態調査―仏データバンク―
 ・軽度認知障害の診断・治療に有効な評価尺度
 ・“日本老年精神医学会”震災後の新たな地域連携