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1.

慢性片頭痛、最も有望な治療薬はCGRP標的治療薬か

 慢性片頭痛は治療が難しいことがあるが、慢性片頭痛の成人患者を対象としたランダム化比較試験(RCT)を解析した大規模レビューで、CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)またはその受容体を標的とする新しいクラスの治療薬が、最も有効である可能性が示された。CGRP標的治療薬には、eptinezumab(商品名Vyepti)やアトゲパント(商品名Qulipta、アクイプタ)などが含まれる。マクマスター大学(カナダ)Michael G. DeGroote Institute for Pain Research and CareのMalahat Khalili氏らによるこの研究結果は、「Annals of Internal Medicine」に5月5日掲載された。 CGRPは脳や神経系に存在するポリペプチドで、血管拡張作用を持ち、片頭痛時に増加して痛みや炎症に関与すると考えられている。CGRP標的治療薬は、CGRPまたはその受容体を標的とすることで、片頭痛発作を抑制するよう設計されている。 今回の研究でKhalili氏らは、慢性片頭痛の成人患者を対象とした43件のRCT(対象者の総計1万4,725人)のデータを解析して、慢性片頭痛に対する予防薬の効果と忍容性を比較検討した。 その結果、高~中等度の確実性を有するエビデンスにより、eptinezumabは月間片頭痛日数を2.34日、エレヌマブは2.08日、フレマネズマブは1.77日、ガルカネズマブは2.00日、アトゲパントは2.10日、それぞれプラセボと比べて減少させることが示された。これらの薬剤はいずれもCGRP標的治療薬で、注射剤、点滴静注剤、経口薬として使用されており、従来薬と比べて忍容性も良好だった。一方、ボツリヌストキシン(商品名ボトックス)は、月間片頭痛日数をわずかに(1.34日)減少させる可能性があるものの、エビデンスの確実性は低く、有害事象による治療中止リスクの上昇が示された。さらに、リメゲパントは有効ではない可能性が示唆されたほか、トピラマート、バルプロ酸(バルプロ酸ナトリウム)、プロプラノロールなどの従来薬については、研究数が少なくバイアスリスクも高かった。 研究グループは、CGRP標的治療薬に関する独立した研究を実施して、特に長期的な安全性や治療継続性について検討する必要があるとの見方を示している。また、新しい治療法が最も有望であるように見える一方で、適切な治療は、患者個々のニーズや希望、費用などによって異なると指摘し、最適な治療法を見つけるには医療従事者と相談することを推奨している。

2.

軽度認知障害患者は1年でどの程度認知機能が低下するのか?

 中国・黒龍江中医薬大学のMingyang Liu氏らは、軽度認知障害(MCI)患者における認知機能低下の軌跡を調査し、関連するリスク因子を特定するため、レトロスペクティブコホート研究を実施した。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2026年4月13日号の報告。 対象は、2021~24年にMCIと診断された高齢患者500例。MCIから認知症への進行に関連するリスク因子を特定するため、多変量Cox比例ハザード回帰モデルを用いた。認知機能低下の年間進行率は、最終スコアとベースラインスコアの差をフォローアップ期間で割って算出し、関連因子の特定には多変量線形回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中央値36ヵ月(四分位範囲:24~48ヵ月)の間に、78例(15.6%)で認知症への進行を認めた。・SLUMSスコアの年間平均低下率は0.8ポイント/年(95%信頼区間[CI]:0.6~1.0、p<0.001)、MoCAスコアの年間平均低下率は0.7ポイント/年(95%CI:0.5~0.9、p<0.001)であった。・特定の認知領域については、RAVLTスコアの年間平均低下率は1.2ポイント/年(95%CI:0.9~1.5、p<0.001)、CDTスコアの年間平均低下率は0.3ポイント/年(95%CI:0.2~0.4、p=0.002)であった。 著者らは「本研究により、高齢、男性、低学歴、高血圧、ベースライン時のSLUMSスコアの低さが、高齢MCI患者における認知機能低下の加速と関連していることが示唆された。早期のリスク層別化は介入戦略に役立つ可能性があるが、因果関係の推論には限界があるため、今後のプロスペクティブ研究が必要とされる」としている。

4.

無意識に使う「意識◯◯」【脳がととのう 神経内科学講座】第1回

<今回のモヤっとPoint>「意識障害」と「意識消失」の違いは?「意識」と「覚醒」と「反応性」の違いは?はじめに意識という用語は臨床で日常的に使われますが、その守備範囲は広く、実は正確に扱おうとすると意外に難しいものです。たとえば、「意識消失」と「意識障害」は微妙にニュアンスが違いますし、「失神」はさらに意味が異なりますが、これらの正しい使い分けはできているでしょうか? もし間違って使っていると、専門医へのコンサルテーションの際に文脈が間違って伝わってしまい、コミュニケーションエラーの一端となってしまうこともあるでしょう。そこで今回は『意識』に関連した用語を整理していきたいと思います。意味の取り違え注意!―意識消失・意識障害・失神臨床でよく用いられる関連用語として、意識消失、意識障害、失神があります。いずれも「意識が悪い」という状態に関係する用語です。ですが、実際に表現している症候や病態は少しずつ異なります。とくに、文脈を意識して使い分ける必要があります。ここを整理しておくと、病歴聴取やコンサルテーションの精度が高まりますのでぜひ押さえておいてください。まずはそれぞれの違いを整えていきましょう。1)意識消失(loss of consciousness)ここでいう意識消失は、主に「一過性意識消失」、すなわち一時的に意識が失われ、その後回復した病歴上のイベントを指します。つまり、診察上の所見名というよりは、「そのとき何が起きたか」を記述する病歴的な用語といえます。たとえば、失神や一部のてんかん発作などで発生したイベントに対して用いられ、「急に倒れて反応がなくなった」「しばらく意識を失っていた」といった経過を含めて表現するときに適した用語になります。<脳がととのう具体例>「会話中に突然、意識消失して後方に倒れ込み、そのまま痙攣発作を呈しました」「重症の頭部外傷で現在入院3日目ですが、鎮静薬を中止しても意識消失が持続しています」上記のように、意識が悪い状態が遷延している状況については「意識障害が遷延しています」のほうが自然です。2)意識障害(disturbance of consciousness)意識障害は、診察時点で認められる覚醒や認識の障害を含む広い概念です。そのため、これは病歴上の出来事というより、現在の神経学的状態を表す所見名として使うのが自然です。つまり「現在、意識が悪い」という状態をさす時に用いると良いでしょう。もちろん意識障害には、軽い意識混濁から昏睡まで幅があるため、「意識障害」という表現だけでは解像度の低い情報になりがちです。だからこそ、Japan Coma Scale(JCS)や Glasgow Coma Scale(GCS)などの評価尺度を併記すると、具体性が増します。なお、後述しますが、意識障害の評価は行動反応の観察に依存するため、所見を記載する際には反応を妨げうる要因の有無も意識しておく必要があります。<脳がととのう具体例>「路上で倒れているところを発見され搬送された方で、救急隊到着時から現在もJCS 100の意識障害が遷延しています」意識障害には時間軸の情報がないので、このように文脈全体で意識障害がどこから持続しているのか、変化しているのかどうかを加えるとわかりやすいでしょう。3)失神失神は、一過性全脳低灌流によって生じる一過性の意識消失です。具体的には、急速に発症し、持続は短く、自然に、かつ完全に回復するイベントが失神の特徴です。したがって、失神は「意識が悪くなった状態」一般を指す言葉ではなく、推定される原因機序まで含んだ用語となります。つまり、一過性の『全脳低灌流』を前提としているので、まずは循環器疾患や反射性失神などが想起されます。そのため、「失神の精査として、一過性脳虚血発作(TIA)を疑います」という表現にはモヤモヤを感じてください。失神と表現している以上、「急速に発症し、持続は短く、自然にかつ完全に回復するような典型的な病歴」を想定しているはずなので、このような病歴では、TIAやてんかん発作だけを念頭に置くのではなく、まず失神として、起立性低血圧、反射性失神、不整脈などを含めた評価を行う必要があります。典型的には「排尿後に立ち上がった直後に倒れ、短時間で自然に回復した」という経過が、失神を想定するような病歴であり、「失神の精査が必要」と表現してよいでしょう。<脳がととのう具体例>「“意識障害”として紹介されましたが、話を聞くと、排泄後に立ち上がった直後に気分不快を自覚し、そのまま倒れたとのことでした。意識消失は短時間ですぐに覚醒し会話も可能だったようなので、まずは失神として精査したいと思います」「失神の精査として、一過性脳虚血発作(TIA)を疑います」なお、典型的な失神の病歴であれば、ルーチンとして脳画像検査や頸動脈評価を実施する意義は必ずしも高くありません。ただし、頭部外傷の有無に加え、局在神経徴候、複視、構音障害、嚥下障害、失調など、脳幹・小脳病変を示唆する所見がないかは確認しておきましょう。誤用しやすい、意識に関わる用語ところで、『意識』とは単一の機能ではなく、「覚醒していること」「自己や外界を認識していること」、あるいは「疎通が取れること」など複数の側面があります。それこそ臨床では、「呼びかけに反応しない」「会話が成り立たない」「見当識が保たれていない」などのシチュエーションで、しばしば、『意識が悪い』と表現されることがあります。もちろん、そこにはかなりの幅がありますし、反応が乏しいことと意識そのものが障害されていることは必ずしも同義ではありません。仮に、意識が保たれていても、重度の失語症や難聴、あるいは運動出力の障害があれば、十分な疎通は取れないでしょう。また、見かけ上は昏睡のようにみえても、心因性(機能性あるいは解離性の無反応状態など)の病態は、器質的な真の意識障害とはもちろん根本的に異なります。そのため、臨床で『意識が悪い』と表現するときは、どの視点からの意識を捉えているのかに留意する必要があります。そこで、『意識が悪い』という状況をどの視点で捉えるか医学的な表現を次に整えていきましょう。1)意識(consciousness)意識とは、覚醒しており、かつ自己や外界を認識できている状態をさします。すなわち、単に目が開いていることだけで規定されるものではなく、覚醒と認識の両方がある程度保たれていることを含む概念です。臨床的には、刺激に対する反応、注意の向け方、周囲の状況の理解、目的のある行動がみられるかどうかを総合して評価します。2)覚醒(arousal / wakefulness)覚醒とは、意識のうち「起きている」側面をさします。たとえば、自然に開眼しているか、呼びかけや刺激で開眼するか、刺激がなくても覚醒を保てるか、といった点が評価の中心になりますのでJCSで評価しやすいです。昏睡では覚醒そのものが失われており、この点で、“開眼はしているが認識が障害されている状態”とは区別されます。3)反応性(responsiveness)反応性とは、呼びかけや痛み刺激などに対して、行動や生理学的な変化を示す性質をさします。反応性の低下は覚醒や認識の状態を推定する重要な手がかりになりますが、『反応性』と『意識』は同義ではありません。なぜなら、失語や難聴、視覚障害、運動出力障害、鎮静薬の影響などによっても、見かけ上は反応性が低下してみえることがあるからです。そのため、意識障害の判定では、この反応性を妨げる要因がないかを除外する必要があります。4)認識(awareness)認識とは、自己や環境を理解している側面を指します。したがって、目が開いていても、周囲の状況を理解できない、あるいは目的のある反応に乏しい場合には、awareness の障害を考えます。ただし、awarenessは行動所見だけから完全に評価できるとは限りません。臨床では反応の有無や内容から推定せざるを得ないため、失語、運動出力障害、重度の全身状態、機能性の無反応状態などとの鑑別が必要です。すなわち、「反応が乏しい」ことはawareness障害を示唆する所見ではありますが、それ自体で直ちに同義とはいえません。いかがでしたでしょうか?脳神経領域のモヤモヤ、少しは“ととのう”ことができたのであれば嬉しいです。次回は何気なく使う「ピクつき」について解説しますので、少しずつ脳内をスッキリさせていきましょう。1)Laureys S, et al. Lancet Neurology. 2004;3:537-5462)Giacino JT, et al. Neurology. 2018;91:450-460.

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認知症スクリーニングは家族の心理的負担を増やさない

 認知症のスクリーニングを受けることは、高齢者本人や家族が将来の疾患の進行に備えて計画や準備をするための「事前の警告」となり得る。一方で、陽性と判定された場合、家族が介護者としての役割に不安を抱いたり、高齢者本人が自立を失うことを心配したりするなど、ストレスとなる可能性もある。 しかし、こうしたストレスを理由に認知症のスクリーニングを先延ばしにする必要はないようだ。大規模臨床試験において、かかりつけ医の診察時に実施されたアルツハイマー病および関連認知症(ADRD)のスクリーニングの結果は、高齢者の家族に心理的苦痛を引き起こさないことが示された。米インディアナ大学医学部のNicole Fowler氏らによるこの研究結果は、「JAMA Internal Medicine」に4月20日掲載された。 論文の筆頭著者であるFowler氏はニュースリリースで、「この研究は、ADRDのスクリーニングが家族の生活の質(QOL)や抑うつ、不安を2年間にわたって悪化させなかったことを示す安心材料となる」と述べている。 この研究では、2018年10月から2023年9月の間に米インディアナ州の29のプライマリケアクリニックを受診した65歳以上の患者とその家族1,808組(患者の平均年齢73.7歳、女性53%)を対象に、ADRDのスクリーニング実施が家族にもたらすベネフィットとリスクが評価された。患者の家族の半数以上(64.8%)は配偶者であり、平均年齢は64.2歳で女性が67.7%を占めていた。対象ペアは、ADRDのスクリーニングのみを受ける群(601組)、スクリーニング+追加検査への紹介を受ける群(603組)、およびスクリーニングを受けない対照群(604組)にランダムに割り付けられた。 主要評価項目は、24カ月時点における家族の健康関連QOLであり、SF-36(Short Form Health Survey)の身体的健康スコアと精神的健康スコアのサマリースコアを用いて評価された。また、副次評価項目として、家族の抑うつ・不安の症状、介護準備度および介護者の自己効力感に加え、患者本人のQOLや精神状態も評価された。 全体で61人(5.1%)の患者がスクリーニングで陽性の判定を受けた。陽性者のうち、スクリーニング+追加検査紹介群では、35.7%(28人中10人)が診断のための追加検査を受けなかった。解析の結果、スクリーニング実施群(スクリーニング群とスクリーニング+追加検査紹介群)と対照群との間で、SF-36による身体的および精神的健康のサマリースコアに有意な差は認められなかった。さらに、24カ月時点における患者のQOLや精神状態についても、両群間で有意な差は認められなかった。 Fowler氏は、「本研究結果は、ADRDのスクリーニングを実施することと、早期診断を行い患者や家族を適切なケアにつなげることは別であるという重要な点を示している。早期診断は、診断評価や治療、継続的支援に結び付いて初めて、家族や介護者にとって有益となる可能性がある」と指摘している。 そのうえでFowler氏は、「これらの結果は、ADRDのスクリーニングを実施する際には、患者が適切な診断やケアを受けられるような体制整備が必要であることを示している」と述べている。例えば、アルツハイマー病の早期診断に役立つ新しい血液検査法が開発されつつあり、これにより有望な新規治療や臨床試験へ患者をつなぐことができるという。 Fowler氏は、「ADRDの診断の遅れは、介護者のストレスや負担、孤立感の増大と関連している。一方、早期発見は、教育や早期介入、支援を通じて家族を助ける可能性がある。また、プライマリケアと連携する協働型の認知症ケアプログラムは、患者と介護者双方の転帰を改善することが知られている。さらに、近年の疾患修飾薬は、アルツハイマー病の早期段階でのみ、使用が承認されている」と述べている。

6.

ヨーグルトや低脂肪チーズ、高齢期のうつ病や認知症予防に有効?

 ヨーグルトやチーズなどの発酵乳製品には、非乳製品とは異なる生理活性成分が含まれているが、高齢期のうつ病や認知症リスクとの関連性については依然として不明であった。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のMuniratul Idrus氏らは、発酵乳製品摂取と高齢期のうつ病および認知症リスクとの関連を調査した。Nutrients誌2026年3月24日号の報告。 年齢70~90歳で地域在住の高齢者を対象としたコホート研究であるSydney Memory and Ageing Studyのデータを用いて、乳製品摂取と抑うつ症状(15項目の老年期うつ病評価尺度:GDS15)、心理的苦痛(Kessler-10[K10尺度])、うつ病(医師による診断または抗うつ薬の使用)と認知症(DSM-IV基準)との関連性を検討した。ヨーグルト、チーズ、非発酵乳製品の摂取量は、ベースライン時に検証済みの食物摂取頻度調査票を用いて評価した。縦断的関連性は、死亡を考慮したFine-Gray競合リスクモデルを用いて検討した。また、横断的関連性も評価した。 主な結果は以下のとおり。・参加者966例(平均年齢:78.3歳、女性の割合:55.5%)において、ヨーグルトの摂取量が多い群(標準1食分)では、非摂取群と比較し、抑うつ症状スコアが有意に低かった(調整β:第3~4四分位群で-0.37および-0.39、平均:88.5~164g/日)。低脂肪チーズの摂取量が多い群でも同様の結果が得られた(調整β:-0.35、平均:13.2g/日)。・平均3.3年のフォローアップ期間中に、うつ病の新規発症が120例、死亡が68例に発生した。・ヨーグルトの摂取量が多い群と低脂肪チーズの摂取量が多い群では、非摂取群と比較し、うつ病リスクが低かった(各々、調整サブ分布ハザード比:0.41[95%信頼区間[CI]:0.19~0.88]および0.40[95%CI:0.21~0.78])。・心理的苦痛、認知機能、認知症発症(平均フォローアップ期間:5.2年、発症100例、死亡153例)については、有意な関連は認められなかった。・また、チーズや牛乳の定期的な摂取についても関連は認められなかった。 著者らは「発酵乳製品、とくにヨーグルトと低脂肪チーズの摂取は、非発酵乳製品とは異なり、高齢期のメンタルヘルスに潜在的な役割を果たす可能性が示唆された」としている。

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外傷性脳損傷に伴う慢性期の運動麻痺への細胞治療薬「アクーゴ脳内移植用注」発売/サンバイオ

 サンバイオは2026年5月21日に、外傷性脳損傷に伴う慢性期の運動麻痺の改善を効能、効果又は性能とした細胞治療薬「アクーゴ脳内移植用注」(一般名:パンデフィテムセル、以下「アクーゴ」)の販売を開始したことを発表した。 アクーゴは、健康なドナーの骨髄液から採取した間葉系幹細胞を培養した後、神経再生能力を高めるためのヒトNotch-1細胞内ドメイン遺伝子を導入して作られる、ヒト(他家)骨髄由来加工間葉系幹細胞である。脳内の損傷した神経組織に移植することで、タンパク質の一種であるFGF-2などが放出され、損傷した神経細胞が本来持つ再生能力を促し、神経細胞の増殖・分化を促進する作用が示唆されている。 国内においては、厚生労働省より再生医療等製品として「先駆け審査指定制度」の対象品目として指定され、2024年7月31日に条件及び期限付き製造販売承認を取得していた。また海外においては、米国食品医薬品局(FDA)よりRMAT(Regenerative Medicine Advanced Therapy)指定を、欧州では欧州医薬品庁(EMA)より先端医療医薬品(ATMP)の指定を受けている。 外傷性脳損傷は、交通事故や転倒などで頭部に外部から強い力が加わることで脳機能に障害をもたらす疾患であり、長期にわたり身体機能や認知機能、社会生活に影響を及ぼす慢性的な機能障害を伴うことから、大きなアンメットメディカル・ニーズが存在している。 アクーゴの有効性評価について、国際共同第II相臨床試験(TBI-01試験)の多施設共同偽手術対照無作為化二重盲検比較試験が米国、日本、ウクライナで実施された。主要評価項目である「24週目におけるFugl-Meyer Motor Scale(FMMS)のベースラインからの変化量」において、各用量群を併合したSB623群(46例)では8.3±10.6、偽手術群(15例)では2.3±4.7となり、有意な改善効果が認められた(p=0.0401)1)。【製品概要】販売名:アクーゴ脳内移植用注一般名:バンデフィテムセル効能、効果又は性能:外傷性脳損傷に伴う慢性期の運動麻痺の改善薬価:72,716,528円用法及び用量又は使用方法:通常、成人にはヒト(同種)骨髄由来間葉系幹細胞として、生細胞5×106個(300μL)の細胞調製液を、専用投与機器セットを用いた定位脳手術により、損傷した組織の周辺部に移植する。頭蓋骨の小孔1箇所を通り損傷周辺部に至る3つの移植経路から、1移植経路あたり細胞懸濁液100μLを最深部から5~6mm間隔で5箇所に、1箇所あたり20μL移植する。注入速度は約10μL/minとする。移植に際しては、以下を行うこと。1.手術開始前に脳神経外科用侵襲式頭部固定具に専用投与機器セットのガイド&ストップ、スタイレットを備えたインサーターを取り付ける。2.脳内移植用細胞剤を融解し、専用調製液を用いて洗浄した後、移植濃度1.67×106個/100μLになるように専用調製液で調製し、細胞懸濁液とする。専用投与機器セットの投与カニューラを固定したマイクロシリンジを専用調製液により清浄化した後、細胞懸濁液を充填する。製造販売承認取得日:2024年7月31日発売日:2026年5月21日製造販売元:サンバイオ株式会社

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MCIからアルツハイマー病への進行率は? スクリーニングツールの精度は?

 軽度認知障害(MCI)は、正常な脳老化と病的な脳老化の中間段階であり、30~50%が3~5年以内に認知症へと進行するといわれている。進行リスクの高い患者を早期に特定することは、公衆衛生戦略においてきわめて重要である。イタリア・Italian National Institute of HealthのFlavia L. Lombardo氏らは、MCIからアルツハイマー病への進行リスクを評価した。Alzheimer's & Dementia誌2026年4月号の報告。 MCI患者398例を対象に、INTERCEPTORプロジェクトを実施した。社会人口統計学的、臨床的、神経心理学的、遺伝学的(アポリポタンパク質E)、脳脊髄液(アミロイドβ、タウ)、脳波(脳接続性)、MRI(海馬体積測定)、FDG-PETについて、統一された手順を用いて、ベースライン評価を行った。MCI患者351例を対象に、ベースライン調査とフォローアップ調査を実施し、3年間、6ヵ月ごとに神経心理学的検査を行った。 主な結果は以下のとおり。・認知症を発症した患者は104例(29.6%)。そのうち85例(22.4%)はアルツハイマー型認知症の可能性が高い、または可能性のある中核的な臨床基準を満たしていた。・臨床データと社会人口統計学的データを組み合わせたCox比例ハザードモデルでは、一致指数は72%であった。・さらに、神経心理学的検査とバイオマーカーを追加すると、一致指数は82%に上昇した。 著者らは「INTERCEPTORノモグラムは、認知症進行リスクを予測するためのツールであり、リスク評価のためのスクリーニングや革新的な治療法におけるリスク/ベネフィット比の評価など、公衆衛生戦略を支援するものである」としている。

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過剰な塩分摂取は男性の記憶力を低下させる?

 ソルトシェーカー(塩入れ)に手を伸ばすことは、記憶力や脳の健康に長期的な影響を与えるかもしれない。新たな研究で、ナトリウムの摂取量が多いことは、過去の個人的な経験や特定の出来事についての記憶である「エピソード記憶」に悪影響を及ぼす可能性があることが明らかになった。こうした影響を受けやすいのは主に男性であり、女性では同様の関連は認められなかったという。エディス・コーワン大学(オーストラリア)のSamantha Gardener氏らによるこの研究の詳細は、「Neurobiology of Aging」6月号に掲載された。 Gardener氏は、「男性の研究参加者は、血圧も高めだった。血圧はナトリウム摂取の影響を受ける。アルツハイマー病の発症を遅らせる上で、男女別のアプローチや修正可能な生活習慣要因としてのナトリウム摂取の位置付けに関しては、今後さらなる研究が必要だ」とニュースリリースで述べている。 Gardener氏らはこの研究で、認知機能が正常な1,208人(平均年齢70.87歳、男性41%)を対象に、自己報告による試験開始時のナトリウム摂取量と72カ月間での認知機能低下との関連を検討した。認知機能は、エピソード記憶、再認、実行機能、言語、注意力、前臨床アルツハイマー病認知複合(PACC)の6領域を評価するバッテリーを用いて、研究開始時および18カ月間隔で行われた計4回の追跡調査時に評価された。 その結果、ナトリウム摂取量が多いほどエピソード記憶の低下が速いという関連が認められ、この関連は統計学的に有意であった。一方、女性では、ナトリウム摂取と認知機能低下の関連は確認されなかった。さらに、対象者をアルツハイマー病リスクに関わるApoE遺伝子保有の有無で分けて解析しても、この関連に明確な差は認められなかった。 ただし、この研究はこうした関連を説明する要因の解明を目的としたものではなく、ナトリウム摂取と記憶力の間に直接的な因果関係があることを示すものではないとGardener氏らは指摘している。 Gardener氏は、「この研究結果から、ナトリウム摂取量の多さと認知機能との関連を示す初期的なエビデンスが得られた。ただし、このような関連が成り立つ機序や要因について完全に解明するには、さらなる研究が必要だ。これまでの研究でも、ナトリウム摂取量が多いことが認知機能低下に関連する脳内のプロセスに関与している可能性が示唆されていた。しかし、その基盤となるメカニズムを解明し、将来的に認知症リスクの低減を目指した食事の指針に反映させるには、より詳しく調べることが不可欠だ」と付け加えている。 なお、米国では1日当たりのナトリウム摂取量を、食品に含まれる分と添加する食塩に含まれる分を合わせて2,300mg未満に抑えることが推奨されている。Gardener氏らによると、ナトリウム約2,000mgは、食塩小さじ1杯、ピザ3~4切れ、ハンバーガー2個、または加工肉食品5~6オンス(約140~170g)などでこの量に達する可能性があるという。

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ガバペンチノイドと併用薬で薬物中毒リスクが上昇か

 ガバペンチノイド系鎮痛薬(以下、ガバペンチノイド)を他の薬剤と併用すると、薬物中毒のリスクが上昇する可能性が、新たな研究で示された。ガバペンチノイドとオピオイド系鎮痛薬(以下、オピオイド)やベンゾジアゼピン系薬剤(以下、ベンゾジアゼピン)の併用はこのリスクを高め、特に治療初期には顕著なリスク上昇が認められたという。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の薬剤疫学者であるKenneth Man氏らによるこの研究は、「PLOS Medicine」に4月16日掲載された。 Man氏らは、「今回の結果は、ガバペンチノイドが安全ではない、あるいは処方すべきではないことを示すものではない。ただ、特に他の薬剤を使用中の患者に処方する際には注意が必要であり、臨床医は患者を慎重にモニタリングする必要がある」とニュースリリースで述べている。 ガバペンチノイドは、主にガバペンチンやプレガバリン、ミロガバリンを含む薬剤群の総称であり、てんかん、神経痛、不安などの治療に広く用いられている。近年、ガバペンチノイドは、オピオイドの代替として鎮痛目的での使用が増加しており、現在では米国では7番目に多く処方される薬となっている。世界的に見ても、その使用量は2008年から2018年の間に4倍以上に増加している。 今回の研究では、2010年1月1日から2020年12月31日の間にガバペンチノイドを処方され、薬物中毒で入院した経験がある英国の18歳以上の患者1万6,827人(女性53.5%)を対象に、ガバペンチノイドによる治療と薬物中毒との関連が検討された。解析は自己対照ケースシリーズ(SCCS)デザインを用い、同一患者内で治療開始の90日前、治療開始後0~28日、29~56日、57~84日、およびそれ以降の治療期間に分けて、期間ごとの薬物中毒リスクを比較した。薬物中毒の症状は、意識消失、呼吸困難、けいれんなどである。観察期間中のいずれかの時点で、対象者の約9割がガバペンチノイドとオピオイドを、半数以上がベンゾジアゼピンを併用していた。 その結果、薬物中毒のリスクは、ガバペンチノイド非使用期間(対照期間)と比較して、治療開始の90日前にすでに約2倍に上昇していることが示された(調整発生率比2.09、P<0.001)。治療開始後0~28日間でもリスクは約1.8倍(同1.81、P<0.001)と高く、その後は徐々に低下したものの、それ以降の治療期間でも軽度の上昇が持続した(同1.11、P<0.001)。このことは、薬物中毒のリスクを軽減するためにガバペンチノイドを使用しても、その効果は限定的である可能性を示唆している。さらに、オピオイドやベンゾジアゼピンの併用によりリスクはさらに上昇し、治療開始後0~28日間では、オピオイド併用で約2倍、ベンゾジアゼピン併用で約4倍に達した。 薬物中毒リスクが最も高かったのがガバペンチノイドによる治療開始前90日間であったことは、オピオイドやベンゾジアゼピンなどの使用に対する懸念を背景に、医師がガバペンチノイドを処方した可能性を示唆している。論文の筆頭著者であるUCLのAndrew Yuen氏は、「臨床医がガバペンチノイドを処方する判断は、オピオイドなど他の薬剤に関連した薬物中毒リスクを減らす試みである場合がある」と述べている。同氏はまた、「ガバペンチノイドによる治療開始後に薬物中毒リスクはやや低下したものの、それでもなおリスクは高い状態が続いていた。この結果は、臨床医が治療期間を通じて継続的に薬物中毒リスクへ注意を払う必要があることを示唆している」と指摘している。 なお、ガバペンチノイドが直接的に薬物中毒を引き起こすかどうかは依然として不明である。ただし、これらの薬剤がオピオイドやベンゾジアゼピンなど他の薬の鎮静作用を増強する可能性があることを示すエビデンスは存在しているという。

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ライフスタイル関連の認知症危険因子――Lancetの14の危険因子を読み解く(その4)【外来で役立つ!認知症Topics】第41回

前回は、病理の進行を直接抑える「表街道」と、脳の予備能を高める「援護射撃」という視点で各因子を紐解いてきた。「Lancetの14の危険因子を読み解く」シリーズの完結編となる今回は、日常の選択が脳の未来を左右する6つの因子を整理する。脳の「炎症」を助長する因子今回取り上げる6つの因子のうち、肥満、喫煙、過度な飲酒、そして大気汚染の4つは、主に神経炎症や酸化ストレスを介して認知症の悪化を加速させる危険因子である。肥満:伝統的な食事で予防中年期の肥満は、認知症のリスクを最大3倍も増加させる。肥満の原因は、高カロリーやジャンクフードといった不適切な食生活、運動不足、睡眠不足、慢性ストレスなどである。脳への悪影響のメカニズムとして、運動不足やストレスに加え、睡眠時無呼吸症候群に伴う低酸素刺激、さらにはミクログリア炎症などの脳内炎症との関連も注目されている。計画的な体重減少は認知機能を改善させる。減量には食事や運動が基本だが、最近ではセマグルチドなど、いわゆる「痩せ薬」の有用性も注目されている。ただし、筋肉喪失と骨の脆弱化を防ぐために、年間3~4kg程度の緩やかな体重減少に留めるのが望ましい。ここで興味深いデータがある。先進諸国の肥満率を比較すると、アメリカが42.9%と最高であるのに対し、日本は最低の4.9%というものである1)。その背景には、伝統的な食生活と活動的なライフスタイルが指摘されている。前者は、日本食が地中海食と同様に生活習慣病予防食である事と関連するだろう。後者については勤勉を尊ぶ日本人の伝統的な価値観が関わっているのかもしれない。喫煙:禁煙5年でリスクをリセット今現在の喫煙者は非喫煙者に比べて、認知症リスクが30~50%高い。やはり喫煙は「やめるしかない」のである。以前からCOPD予防の文脈で、禁煙すれば呼吸器系がクリーニングされると知られていた。認知症に関しても、禁煙の効果を示す報告がある。印象的なのは、禁煙の5~7年以内に、吸わない者と同程度まで認知症のリスクが低下するという報告だ2)。なお禁煙による体重の増加には留意したい。禁煙しても体重が増加すればリスク低減効果は相殺されてしまう。治療では、薬理学的治療と行動療法が組み合わされる。最近では電子タバコが良いとも言われるが、実は酸化ストレスと脳の慢性炎症をもたらす点では、従来のタバコとあまり変わらない。過度な飲酒:不定期の大量飲酒に注意飲酒については適切な基準の把握が欠かせない。純アルコール10g (ビールで200mL 日本酒で0.5合、焼酎で40mL)を1単位とした場合、1週間に14単位を超える飲酒は認知症リスクを大幅に増加させる。飲酒の安全基準には男女差があり、男性は1日2単位、女性では1日1単位である。過度の飲酒は、記憶関連の大脳領域を萎縮させ、脳内のメッセージ伝達能力を障害する。さらに高血圧や心臓病、脳卒中のリスクを増加させる。注意すべきは、定期的な飲酒以上に、不定期に大量飲酒するほうが脳への悪影響が大きいことである。飲酒の認知機能への影響について、興味深い大規模なコホート研究がある3)。軽度~中等度の継続的な飲酒者は、ずっと非飲酒者より認知症のリスクが低減する。さらに、飲酒量を多量から中等量へと節酒することで、ずっと飲まない者に比べて認知症のリスクがさらに低下するという。もっとも、認知症予防のために、わざわざ飲酒を開始すべきではないことは言うまでもない。大気汚染:PM2.5とレビー小体型認知症大気汚染、とくにPM2.5は、認知症の危険因子だと認識される。それが脳に到達するのに3つの経路が考えられる。まず肺から血液吸収され脳に至るもの、次に鼻から直接脳に到達するもの、そして血流を通して脳に至って血液脳関門(BBB)を破壊するものである。PM2.5は高齢者にとってとくに危険だが、この濃度は交通量の多い道路周辺で最高である。しかし主要道路から100メートル離れるごとに曝露量は10~15%軽減し、300メートルで30~40%低減する。大通りを避けて住宅街の裏道の利用が望ましい。また室内で空気清浄機を活用すると、PM2.5を半分以下にできる。ところでPM2.5について斬新な最近の報告がある5)。PM2.5がレビー小体型認知症(DLB)の病理学的特徴であるαシヌクレインの異常な折り畳みを引き起こし、PM2.5の曝露量が多いとDLBやパーキンソン病発症リスクが高まるという。脳への「インプット」を阻害する因子残る2つの孤独と視力障害は、脳へのインプットを阻害する因子であり、これらへの対策は認知予備能を高める側面が強い。孤独:脳の萎縮を防ぐ「社会との接点」孤独とは主観的な感覚であり、社会的孤立は交流のない状態だが、いずれも認知機能低下と強く関連する。孤独感は全認知症リスクを31%増加させる。アルツハイマー病で14%、血管性認知症で17%、軽度認知障害で12%の増加をもたらす。また社会的孤立は孤独とは独立に26~50%の増加をもたらす。孤独感が単なる「気持ちの持ちよう」というレベルではないことを示す脳画像研究がある4)。前頭前野背外側部などの大脳部位は、共感や思いやりとの関連が知られているが、これらの脳部位の萎縮と、孤独が相関するという。つまり、共感・思いやりと孤独は表裏一体をなす脳活動なのだろう。対策としては、共通の関心事に基づくグループ参加が最も効果的だとされる。筆者が経験的に良いと思うのは、ペット(ペットロボットも含む)、趣味(読書、ガーデニング、手作業)のグループを探すこと。あるいは図書館や学校(登校・放課後の見守り)などのボランティア、地域で日常的に行われているラジオ体操などもいいだろう。視力低下:認知負荷を強いる「見えにくさ」の罠視力障害のある高齢者は正常視力の人と比べ、認知症発症リスクが1.5~2.3倍高い。想定されるメカニズムとして、視覚障害により脳への感覚入力が減少し、視覚処理領域の神経萎縮が起こり、脳刺激の減少、神経細胞の消失と連鎖していくことが考えられる。また視力障害と認知低下は、基礎的なプロセスに共通性があるかもしれない。たとえば脳血管障害、アミロイドβ蓄積、慢性炎症や神経変性である。さらに、視力低下により他の認知的リソースを使って情報を得なければならないため、本来の認知能力がその分減るとする「認知負荷仮説」も考えられる。目というと視力と考えがちだが、最近では「コントラスト感度」、つまり明暗を判別する能力が重要だとされる6)。たとえば夜間の活動には、高いコントラスト感度が必要だ。また照度が低い状態や、霧、眩しさのある状況ではその感度が鈍り、転倒・転落や交通事故のリスクが高まる。視力障害への対応は、白内障手術や眼鏡処方、低視力リハビリテーションが代表的である。これらにより、臨床リスクを30%低減できる可能性がある。今回をもって「Lancetの14の危険因子を読み解く」シリーズは終了となる。繰り返しになるが、この危険因子とはアルツハイマー病のみならず、すべての認知症に対するものである。また危険因子は、古典的なアミロイド仮説に関連するもののみならず、認知予備能仮説のように最大限に脳を守る・活用していくという方向に大別される。 1) WorldAtlas. The Most Obese Countries In The World In 2024. 2) Chen H, et al. Smoking Cessation, Weight Change, and Risk of Dementia: A Prospective Cohort Study. medRxiv. 2025 Nov 6. [preprint] 3) Jeon KH, et al. Changes in Alcohol Consumption and Risk of Dementia in a Nationwide Cohort in South Korea. JAMA Netw Open. 2023;6:e2254771. 4) Lam JA, et al. Neurobiology of loneliness: a systematic review. Neuropsychopharmacology. 2021;46:1873-1887. 5) Zhang X, et al. Lewy body dementia promotion by air pollutants. Science. 2025;389:eadu4132. 6) Risacher SL, et al. Visual contrast sensitivity in Alzheimer's disease, mild cognitive impairment, and older adults with cognitive complaints. Neurobiol Aging. 2013;34:1133-1144.

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加熱式タバコも頻回な頭痛に関連/JASTIS研究

 加熱式タバコは、従来の紙巻タバコより「有害物質が少ない」と一般的に認識されているが、頭痛との関連についてはエビデンスが限られていた。長岡技術科学大学の勝木 将人氏らの研究グループは、日本の大規模インターネット調査のデータを解析した結果、紙巻タバコだけでなく加熱式タバコの使用も、頻回な頭痛の有病率上昇と独立して関連していることを明らかにした。Headache誌オンライン版2026年3月2日号に掲載。 本研究では、2025年2月〜3月に実施された「日本における社会と新型タバコに関するインターネット調査研究プロジェクト」(JASTIS研究)の回答者のうち2万3,228例(年齢中央値49歳、女性49.3%)を対象とした。過去1年間に「時々」または「頻繁に」頭痛を経験した人を「自覚的な頻回な頭痛」と定義した。タバコの使用状況(現在使用、過去使用、非使用)ごとに、年齢、性別、BMI、既往歴(うつ病、睡眠障害、脂質異常症など)、ライフスタイル(コーヒー、アルコール摂取)などを調整した多変量ロジスティック回帰分析を行い、頭痛の有病率との関連を検討した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象者の25.5%(5,923例)が頻回な頭痛を報告した。・多変量解析の結果、タバコ非使用者と比較した「頻回な頭痛」の調整オッズ比(aOR)は以下のとおりであった。 - 現在の紙巻タバコ使用者:1.71(95%信頼区間[CI]:1.44~2.03、p<0.001) - 過去の紙巻タバコ使用者:1.54(95%CI:1.37~1.73、p<0.001)  - 現在の加熱式タバコ使用者:1.15(95%CI:1.01~1.32、p=0.038) - 過去の加熱式タバコ使用者については、有意な関連は認められなかった(1.09、95%CI:0.96~1.24、p=0.203)・事後比較により、加熱式タバコよりも紙巻タバコのほうが、頭痛との関連が有意に強いことが示された(aORの比:1.48、95%CI:1.19~1.84)。・女性(aOR:2.30)、睡眠障害(2.78)、うつ病(1.92)、カフェイン飲料の摂取(1.07)なども頭痛と有意に関連していた。一方、週2回以上の飲酒は負の関連を示した(0.76)。 著者らは、加熱式タバコは紙巻タバコに比べて有害な揮発性化合物の排出は少ないものの、同程度のニコチンを含有していることが頭痛に寄与している可能性を指摘している。頭痛患者の生活指導において、加熱式タバコへの切り替えだけでは不十分であり、禁煙を促す重要性が示唆された。公衆衛生政策においても、タバコによる害の軽減(ハームリダクション)戦略に頭痛を考慮する必要性を強調している。

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アルツハイマー病に伴うアジテーションに対するブレクスピプラゾールの安全性解析

 アルツハイマー病では、アジテーションが頻繁にみられる。これは、患者にとって大きな負担となっている。従来、アルツハイマー病に伴うアジテーションのマネジメントには、非定型抗精神病薬などが適応外で使用されてきたが、高齢で脆弱な患者において、安全性が懸念されていた。ブレクスピプラゾールは、アルツハイマー病に伴うアジテーションの治療薬として、近年複数の国で承認された非定型抗精神病薬である。これまでの解析では、ブレクスピプラゾールは、最長24週間まで有効性が報告されており、忍容性もおおむね良好であることが示されていた。米国・University of RochesterのAnton P. Porsteinsson氏らは、これまでの研究に基づく事後解析を実施し、ブレクスピプラゾールの試験治療下における有害事象(TEAE)の発現時期と持続期間を評価した。Drug Safety誌オンライン版2026年4月10日号の報告。 12週間の解析では、アルツハイマー病に伴うアジテーションを有する患者を対象とした、ブレクスピプラゾールの第III相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験3件のデータを統合した。また、24週間の解析では、ブレクスピプラゾールの12週間のランダム化試験および12週間の実薬投与延長試験のデータを統合した。治療開始から最初のTEAE発現までの期間およびすべてのTEAEの持続期間の中央値を算出した。 主な結果は以下のとおり。・ブレクスピプラゾールが投与された患者は1,043例。・12週間の試験において、ブレクスピプラゾール群(366例、米国で承認されている治療用量2mg/日または3mg/日)は、プラセボ群(388例)と比較し、最初のTEAE発現までの期間(32日vs.28日)、すべてのTEAEの持続期間(6日vs.4日)は同程度であった。一方、有害事象による投与中止までの期間は、ブレクスピプラゾール群のほうが長かった(47日vs.30日)。・24週間の試験では、ブレクスピプラゾール群(163例)における最初のTEAE発現までの期間は52日、すべてのTEAEの持続期間は3日であった。・12週間の試験でTEAEを報告しなかった患者では、12週間の延長試験においてもTEAEはまれであった。 著者らは「これらの探索的解析により、ブレクスピプラゾールは12週間を通しておおむね忍容性が高く、最初の12週間の治療を耐えた患者では、24週間を通して忍容性が良好であることが確認された。これらの結果は、アルツハイマー病に伴うアジテーションを有する患者におけるブレクスピプラゾールの長期的な安全性を示している」としている。

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大気汚染は片頭痛発作の引き金となるのか

 片頭痛に悩む人は、睡眠・ストレス・食事などを記録していることが多いが、新たな研究によれば、大気汚染の状況にも注意を払う必要があるようだ。自動車の排気ガスや工場の煙などによる大気汚染は、特に特定の気象条件と組み合わさると、片頭痛発作の重要な誘因となる可能性が示された。ネゲヴ・ベン=グリオン大学(イスラエル)のIdo Peles氏らによるこの研究は、「Neurology」に4月15日掲載された。 本研究では、イスラエル南部の片頭痛患者7,032人(平均年齢46.9歳、女性77.4%)を平均10.23年間追跡し、環境曝露と急性片頭痛発作との関連を検討した。環境曝露として、二酸化窒素(NO2)やPM2.5などの大気汚染物質の濃度と、気温、湿度、日射量などの気象条件を日単位で評価し、これらのデータと片頭痛による病院・診療所の受診記録を照合した。加えて、受診前7日間の環境曝露や、四半期(3カ月間)単位での片頭痛薬(トリプタン系薬剤)の使用頻度についても分析した。 データセット内で片頭痛関連救急受診が最も多かった日は、研究期間全体の平均と比較して大気汚染物質濃度が高値であった。一方、受診数が最も少なかった日には、これらの濃度は低値であった。解析では、発作当日の環境曝露と片頭痛関連救急受診の間に有意な関連が認められなかったため、発作前1週間の曝露(lag 1~7)が検討された。 その結果、発作1日前(lag 1)のNO2と太陽放射への曝露は片頭痛関連救急受診と有意に関連し、オッズ比はそれぞれ1.41(95%信頼区間1.13~1.77)と1.23(同1.07~1.42)だった。PM2.5曝露と片頭痛関連救急受診の間には、いずれのlagにおいても有意な関連は認められなかった。さらに、週単位の気象条件はこれらの短期曝露の影響を修飾しており、夏季の高温・低湿条件ではNO2の影響が強まる一方、冬季の低温・高湿条件では、NO2の影響は弱まりPM2.5の影響が強まることが示された。 さらに、大気汚染物質への累積曝露量と片頭痛薬の使用頻度の関連を検討したところ、NO2については直前四半期の曝露で使用頻度の10%増加(発生率比1.10、95%信頼区間1.00~1.21)、PM2.5については、直前四半期の曝露で使用頻度の9%増加(同1.09、1.00~1.19)と関連していた。 論文の筆頭著者であるPeles氏は、本結果は片頭痛発作の発生メカニズムおよびタイミングの理解に寄与するとし、「これらの結果は、片頭痛が起こりやすい人では、環境要因が二つの役割を果たしている可能性を示唆している。中期的要因としては、熱や湿度が発作リスクに影響を及ぼし、短期的要因としては、大気汚染の急激な上昇が片頭痛発作の直接的な引き金となる可能性がある」と述べている。 また本研究では、気象条件と大気汚染の間にも相互作用が認められた。この結果は、気候変動により熱波や砂嵐の頻度が増加することで、大気汚染が生じている地域では片頭痛の増加が起こり得ることを示唆している。Peles氏は、「気候変動により熱波・砂嵐・大気汚染イベントの発生頻度が増していることから、これらの環境リスクを片頭痛患者への指導に組み込む必要がある」と述べている。 ただし研究グループは、本研究は、大気汚染が片頭痛発作を直接引き起こすことを証明するものではなく、あくまで一貫した関連性を示したに過ぎないとし、「今後は大気汚染曝露後の片頭痛の活動性をより正確に評価する追加研究が必要だ」と述べている。

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認知症の人の葛藤に学ぶ

認知症を解決すべき問題としてではなく、「生きる営み」としてとらえ直す(「はじめに」より)長年、認知症の研究に従事してきた著者が、難しいといわれる「認知症の精神療法」について、その意義、留意点、実践方法を語る。精神療法を用いた、著者と認知症の人・家族の対話は22例を収載。それぞれの認知症の人・家族が抱く想い・葛藤と、その人たちを支え、本人らしくあってほしいと願う著者の想いが満ちており、心を揺さぶられる。認知症の人にかかわる全ての人にお勧めの1冊。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する認知症の人の葛藤に学ぶ定価3,520円(税込)判型四六判(上製)頁数304頁発行2026年4月著繁田 雅弘ご購入はこちらご購入はこちら

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全身型重症筋無力症、siRNA薬cemdisiranが有効/Lancet

 重症筋無力症(MG)の治療において、補体第5成分(C5)を標的とする低分子干渉RNA(siRNA)薬cemdisiranの、単独療法(12週ごと皮下投与)および抗C5抗体pozelimab(4週ごと投与)との併用療法は、いずれも有効であり概して忍容性は良好であることが、米国・サウスフロリダ大学のTuan Vu氏らNIMBLE Trial Investigatorsが行った第III相二重盲検無作為化プラセボ対照試験「NIMBLE試験」の結果で示された。自己免疫疾患であるMGは、抗体を介した補体活性化により病態形成が促進されることから、抗体の抑制もしくは補体活性を阻害する標的療法の開発が進んでいる。NIMBLE試験では、MGで多くみられるアセチルコリン受容体(AChR)抗体陽性の全身型MG患者を対象に、cemdisiranの単独療法およびpozelimabとの併用療法の有効性、安全性を評価した。結果を踏まえて著者は、「12週ごと皮下投与のcemdisiranは、全身型MG治療における新たな選択肢となる可能性がある」と述べている。Lancet誌2026年5月2日号掲載の報告。日本を含む13ヵ国86施設で第III相試験、単独および抗C5抗体との併用を評価 NIMBLE試験は、日本を含む13ヵ国86施設で行われた。18歳以上で全身型MGと診断された、抗AChR抗体または抗LRP4抗体が陽性で、重症筋無力症日常生活動作(MG-ADL)スコアが6以上の患者を登録した。 研究グループは被験者を、cemdisiran単独療法群(12週ごと600mg投与)、pozelimab単独療法群(4週ごと200mg投与)、cemdisiran(4週ごと200mg投与)+pozelimab(4週ごと200mg投与)併用療法群、またはプラセボ群に無作為に割り付けた。全例で24週の二重盲検試験期間中、皮下投与にて治療が行われた。 主要エンドポイントは、ベースラインから24週時点までのMG-ADLスコアの変化量で、主要解析は修正ITT集団(いずれかの投与を受け、少なくとも1回ベースライン後評価を受けた245例)を対象とした。評価には、事前に規定された階層的統計検定戦略が用いられ、cemdisiran単独群vs.プラセボ群、併用群vs.プラセボ群の比較について多重性が調整された(pozelimab単独群は、プラセボ群と比較した統計的検定は行われず、併用群における寄与の評価のみに用いられた)。24週時点のMG-ADL総スコア、cemdisiran単独群のほうが変化が大きい 2022年1月20日~2025年7月18日に、390例がスクリーニングされ、本報告のデータカットオフ時点(2025年7月8日)で、284例が無作為化された(cemdisiran単独群79例[28%]、pozelimab単独群50例[18%]、併用群80例[28%]、プラセボ群75例[26%])。277例がいずれかの試験薬の投与を受け、263例(95%)が二重盲検試験期間を完了した。 修正ITT集団において、24週時点で、MG-ADL総スコアの最小二乗平均変化量は、cemdisiran単独群(64例)が-4.5(SE 0.4)、併用群(67例)が-4.0(SE 0.4)、プラセボ群(59例)は-2.2(SE 0.5)であった。24週時点のMG-ADL総スコアのプラセボとの補正後最小二乗平均群間差は、cemdisiran単独群が-2.3(SE 0.7、95%信頼区間[CI]:-3.6~-1.0、p=0.0005)、併用群が-1.7(SE 0.7、95%CI:-3.0~-0.4、p=0.0086)であった。 二重盲検試験期間中に少なくとも1件の有害事象を報告した被験者の割合は、cemdisiran単独群54/78例(69%)、併用群65/80例(81%)、pozelimab単独群40/49例(82%)、プラセボ群54/70例(77%)であった。 cemdisiran単独群で最も多くみられた有害事象は、上気道感染症(9/78例[12%])で、プラセボ群と同程度であった(8/70例[11%])。cemdisiran単独群では、重篤な感染症または髄膜炎菌感染症の発現は報告されなかった。治療中止に至った有害事象は、プラセボ群で2例(3%)、pozelimab単独群で1例(2%)が報告された。 二重盲検試験期間中に死亡は報告されなかったが、二重盲検試験期間終了後に2例の死亡が報告された。そのうち1例について、治験責任医師は治療に関連したものと評価したが、治験依頼者は治療に関連したものではないと評価している。

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若年性認知症、そのリスク因子は?

 65歳未満で発症する若年性認知症は、重要な健康上の問題である。しかし、認知症のリスク因子に関する知見の多くは、65歳以降で発症した晩年期認知症の研究から推測されたものである。米国・ミネソタ大学のKatherine Giorgio氏らは、若年性認知症とさまざまな人口統計学的因子、臨床的因子および生活習慣因子との関連性を調査し、それらの推定値を晩年期認知症の場合と比較した。The Lancet Healthy Longevity誌2026年3月号の報告。 英国および米国における5つの地域ベースの縦断的コホート研究(UKバイオバンク、ARIC[Atherosclerosis Risk in Communities Study]研究、フラミンガム心臓研究、多民族アテローム性動脈硬化症研究[Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis]、ホワイトホールII研究)のデータを統合し、標準化した。認知症は、各コホートのプロトコールに従い、入院記録および死亡記録に基づき、臨床評価の有無にかかわらず確認した。リスク因子には、性別、自己申告による人種または民族(ヒスパニック、白人、黒人、アジア人、その他)、学歴、高血圧、糖尿病、肥満、高コレステロール血症、うつ病、過度の飲酒、喫煙、運動不足を含めた。年齢を時間軸とし、時間変動係数を用いたCox回帰モデルを用いて、若年性認知症と晩年期認知症のハザード比(HR)を推定し、発症年齢によってHRが異なるかを検証した。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中(中央値13.7年[四分位範囲:12.9~14.4])に、参加者54万4,442例において、若年性認知症を発症したのは807例、晩年期認知症は1万4,253例の発症が確認された。・女性は、男性と比較し、若年性認知症リスクが低かった(HR:0.70、95%信頼区間[CI]:0.61~0.80)。・若年性認知症リスクの上昇と独立して関連していた因子は、黒人と白人の人種(HR:1.61、95%CI:1.23~2.11)、小学校卒業以下の学歴(HR:1.99、95%CI:1.67~2.38)、糖尿病(HR:2.45、95%CI:1.99~3.03)、うつ病(HR:2.73、95%CI:2.34~3.20)、喫煙(HR:1.86、95%CI:1.56~2.22)、肥満(HR:1.24、95%CI:1.04~1.48)、運動不足(HR:1.33、95%CI:1.11~1.59)、過度の飲酒(HR:1.22、95%CI:1.01~1.47)であった。・高血圧ステージ1(HR:1.19、95%CI:0.97~1.47)、高血圧ステージ2(HR:1.16、95%CI:0.94~1.43)、高コレステロール血症(HR:1.11、95%CI:0.92~1.34)は、正の効果推定値を示したが、統計的に有意ではなかった。・人種、運動不足、過度の飲酒を除くすべてのリスク因子は、晩年期認知症よりも若年性認知症との関連性が強かった。 著者らは「若年性認知症の発症における修正可能なリスク因子の重要性が示された。若年性認知症の1次予防における優先度の高いターゲットを特定するためにも、本結果は今後の研究の指針となりうる」としている。

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脳と体を動かす新習慣!長寿研式 やさしいパズル&かんたんコグニサイズ

脳と体の協働を高める、高齢者向け認知機能トレーニング!認知機能を幅広く刺激する19種類・難易度3段階の「パズル」を収録、解答日・正解数・時間を記録でき、継続意欲を後押し。さらに、国立長寿医療研究センター開発の認知症予防プログラム「コグニサイズ」を豊富なイラストでわかりやすく紹介。実際の動きを動画で確認できる二次元コード付き。脳を動かす“頭”と“体”の体操で、楽しみながら認知機能を維持・向上できる!自分に合ったペースで無理なく1人で、デイサービスなどで楽しく間違えながら複数人でなど、様々な活用が可能。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する脳と体を動かす新習慣!長寿研式 やさしいパズル&かんたんコグニサイズ定価1,320円(税込)判型B5判(並製)頁数144頁発行2026年4月監修島田 裕之(国立長寿医療研究センター研究所 老年学・社会科学研究センター長)ご購入はこちらご購入はこちら

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PTSDと片頭痛との関連性は?

 片頭痛は、QOL低下および精神疾患の併発リスクの増加と関連している。そして近年のエビデンスでは、片頭痛と心的外傷後ストレス障害(PTSD)との関連についての関心が高まっている。ドイツ・Carl von Ossietzky Universitat OldenburgのLucie Nitsche氏らは、PTSDと片頭痛との関連性の程度を評価するため、関連する研究から得られた有病率および発生率データを統合し、システマティックレビューを実施した。Headache誌2026年4月号の報告。 MEDLINE(PubMed経由)、EMBASE(Elsevier経由)、PsycInfo(EBSCOhost経由)において、2024年11月22日までに報告された研究を包括的に検索した。対象研究は、成人集団を対象にPTSD群と非PTSD群における片頭痛の有病率または発生率を報告しているものとした。研究の実施場所、言語、出版時期に関する制限は設けなかった。2人の独立したレビューアーにより、研究の選択とデータ抽出を行った。結果は、記述的に統合した。研究の質は、ジョアンナ・ブリッグス研究所のチェックリストを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・1万2,801件の研究のうち、11件(5ヵ国)の研究を対象に含めた。・研究対象集団には、軍人、一般住民、看護師、妊婦、学生が含まれた。・PTSD患者における片頭痛の有病率は、非PTSD患者と比較して高く(9研究、6.5~46.5%vs.1.4~25.8%)、発生率推定値(1研究、48.5%vs.39.5%)および発生率(1研究、5.74%vs.1.22%)も同様であった。・すべての研究において、PTSDと片頭痛の間に正の関連が報告されており、その比率は1.2~4.7の範囲であった。 著者らは「本システマティックレビューにおいて、素因のある集団に限らず、PTSDと片頭痛の間に強い関連性があることが示された。これらの知見は、慢性頭痛患者におけるシステマティックなトラウマ評価の必要性を強調するものである。今後の研究において、一般集団を対象としたサンプルを用いて、この双方向的な相互の関係をさらに検討する必要がある」と結論付けている。

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パーキンソン病患者は腎機能低下リスクが約1.9倍/慶應義塾大

 わが国の全国規模の医療保険請求データと健康診断データを用いた疫学コホート研究の結果、パーキンソン病はその後の腎機能低下リスク上昇と関連していることが、慶應義塾大学の満野 竜ノ介氏らによって示された。Nephrology Dialysis Transplantation誌オンライン版2026年4月15日号掲載の報告。 近年、慢性腎臓病(CKD)や末期腎不全(ESKD)などの腎機能低下がパーキンソン病の発症リスク上昇と独立して関連していることが示されているが、パーキンソン病発症後の腎転帰については十分に検討されていない。そこで研究グループは、大規模集団ベースコホートを用いて、パーキンソン病患者とパーキンソン病のない成人の間で腎機能低下のリスクを比較した。 研究ではDeSCデータベースを用いて、2014年4月~2024年8月に少なくとも1回の健康診断を受けた18歳以上の成人200万793人を特定した。すでにESKD既往歴または腎代替療法導入歴のある患者などを除外した165万9,421人(年齢中央値68歳、男性41.9%)を解析対象とした。 主要評価項目は、ESKDへの進行(追跡時のeGFRが15mL/分/1.73m2未満)、腎代替療法の開始、ベースラインからのeGFRの30%以上低下を含む複合腎アウトカムとした。初回健康診断から複合腎アウトカムの発生、保険制度からの脱退(死亡を含む)、2024年8月のいずれか早い時点まで追跡した。 主な結果は以下のとおり。・コホート全体で1万1,497例(0.7%)がベースライン時点でパーキンソン病を有していた。・中央値1,092日(四分位範囲:631~1,520)の追跡期間中、複合腎アウトカムが発生したのは、パーキンソン病群361例、非パーキンソン病群3万2,974例であった。・Kaplan-Meier解析では、パーキンソン病群は非パーキンソン病群に比べて複合腎アウトカムのリスクが有意に高かった(log-rank検定のp<0.001)。・年齢、性別、高血圧、糖尿病、ベースラインのeGFRなどを調整した多変量Cox比例ハザードモデルでは、パーキンソン病は複合腎アウトカムと独立して関連していた(ハザード比:1.91[95%信頼区間:1.72~2.12])。・女性およびパーキンソン病治療薬投与群では、腎機能低下との関連がより顕著であった。・この関連性は、認知症や起立性低血圧、排尿障害などを除外した複数の感度分析でも一貫していた。 研究グループは、「今回の研究結果は、パーキンソン病が腎機能低下の臨床的に重要なリスク因子である可能性を示唆している。パーキンソン病の長期的な管理の一環として腎機能をモニタリングすることは、リスクの高い患者の特定に役立つ可能性がある」とまとめた。

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