トマトは、血液脳関門を通過して抗酸化作用と抗炎症作用を発揮するカロテノイドであるリコピンの主要な供給源である。しかし、健康成人におけるトマト摂取が認知機能に及ぼす影響は、依然として不明であった。スペイン・バルセロナ大学のRicardo Lopez-Solis氏らは、濃縮トマトペーストが認知機能に及ぼす影響を評価し、脳由来神経栄養因子(BDNF)や脳機能結合などの潜在的なメカニズムを検討した。Antioxidants誌2026年5月19日号の報告。
40~55歳の健康成人47人を対象に、ランダム化2期クロスオーバー試験を実施した。対象者は、3ヵ月間の濃縮トマトペースト(体重1kg当たり0.5g/日)摂取と3ヵ月間のリコピン制限食摂取を、1ヵ月間のウォッシュアウト期間を挟んでランダムな順序で実施するよう割り付けられた。認知機能は、検証済みの神経心理学的検査(d2-R、顔・名前連想記憶検査、修正ウィスコンシンカード分類テスト)用いて評価した。加えて、血漿リコピンおよびBDNF濃度、安静時機能的磁気共鳴画像法(fMRI)による評価も行われた。
主な結果は以下のとおり。
・42人が研究を完了した。
・トマト摂取は、選択的注意(集中力:+7.2ポイント、処理速度:+8.3ポイント)および連想記憶(顔・名前照合:+0.8ポイント)を改善した。
・血漿BDNF濃度は、トマト摂取によりボーダーラインの増加を示した(平均差:15.2ng/mL)。
・安静時fMRIでは、脳ネットワークの変化(前頭頭頂ネットワークおよび聴覚ネットワークの接続性の低下)が認められた。これは、対照期間における背側注意ネットワークの接続性の低下とは対照的であった。
著者らは「これらの結果は、トマト摂取が健康な中年成人の認知機能をサポートし、脳の接続性を調節する可能性を示唆するものである」としている。
(鷹野 敦夫)