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アミロイドが見えるとどうなる?(解説:岡村毅氏)-1024

 かつてはアルツハイマー型認知症は死後にしか正確に診断できないとされてきた。しかしアミロイドペットの臨床応用とともに、変わりつつあるようだ。本研究は巨大で、1万6,008名の患者さん、全米595施設から946名の専門医師が参加したものであり、人々(患者さんや医師)の動きを鳥の目で見ることができる点で興味深い。 少し詳しく説明しよう。脳はバイオプシー(生検;生体から組織切片などをとって行う検査)ができないので、脳内にアミロイドがたまる病気であるアルツハイマー型認知症は、基本的には外から患者さんをみることでしか検査ができなかった(脳血流検査や血液・髄液検査の話は簡略のために今回は触れません)。ただ1回の神経心理テストや精神神経症状や脳画像検査から診断することは難しい。しかし現病歴(これまでの経緯)や、初診の後にどのように変遷するかをみることで、診断の確証度は上がっていく。 実は、多くのケースでは診断は難しくない。徐々に発症し、昔のことは覚えているが最近のことを忘れ、視覚構成に難があり、特段の神経症状がなく、社会性は保たれ、つまり診察室では穏やかでにこにこしているが家に帰ると私の財布を取っただろうと言ったりすることもあり…というような典型的なケースであればアルツハイマー型認知症(あるいはそれの手前の軽度認知障害)と診断ができる。そして亡くなった後に何かの経緯で病理学的検査が行われれば、確かにアミロイドが蓄積しており診断は正確であったとわかる。 しばしば難しいケースがある。非典型的な症状があるケースだ。精神症状(妄想など)が重篤なケースや、若年性認知症が疑われる場合などである。このような場合、アルツハイマー型認知症であるかどうかは未来の予測につながり患者さんを守るので、意思決定のために重要な情報である。 アミロイドペットは脳内のアミロイドを可視化する(およそ90%程度の正確性)が、きわめて高価な検査である。前者(難しくないケース)では、あまり意味はないだろう。本人家族に「アルツハイマー型認知症と診断していました、そしてより詳しい検査の結果、診断は正しかったのです!」と伝えたところで何になるというのか。 後者(難しいケース)では、有意義なことも多いだろう。たとえば会社で何をやってもうまくいかなくなって来院した中年の人が、実はアルツハイマー型認知症(の初期)とわかり、本人には何ら落ち度はないのだと皆が知り、苦しみが理解され、社会の支援が始まったというようなケースである。 あまり語られないのは、認知症を過度に恐れる人々の存在である。このような人は、自費で〇十万も払って、自分の脳内にアミロイドがたまっていないかを確認したりするかもしれない。医療保険の領域にこのような人が迷い込まないようにすることが重要だ。関心のある方は「アミロイドPETイメージング剤の適正使用ガイドライン」を参照いただきたい。 さて本論文では、米国の適正使用基準に従って、つまり認知機能低下の原因が不明であり、アルツハイマー型認知症が疑われ、検査によって利益が大きいと判断された人のみが参加したとされている。そしてアミロイドペットによって約60%の患者さんで治療上の変化(薬剤の変化など)が生じており、通常想定される30%を超えているので、有意義であると結論されている。予想の範囲内の展開であるが、もう少し深く見てみよう。 治療の変化をみると、アミロイドペット陽性(つまりアミロイドがたまっている)とわかると、アルツハイマー型認知症の薬剤使用が開始される(MCIで40%から82%へ、認知症で63%から91%)。一方で興味深いことに、アミロイドペット陰性でも、すでに開始されているアルツハイマー型認知症の薬剤は中止されることは少なく、微減にとどまる。また、アミロイドペットを受けた患者さんは、その後に受ける心理検査や髄液検査(どちらも本人にとってはきつい経験だ)が減るので、患者さんは楽にはなる。 診断の変化をみると、アミロイドペット陽性であった方では、アルツハイマー型認知症の診断は80%から96%へと増えた。一方で陰性であった方では72%から10%へと減少した。なお、医師はアミロイドペットの結果、診断により確証をもてる(不確実と考える割合が72%から16%へと激減)が、これは患者さんにも益が大きいだろう。 やはりアルツハイマー型認知症かどうかはっきりとわからない場合には、アミロイドペットによって診断が助けられ、治療に参考になり、患者さんは延々とあれこれ細かい検査を受けずに済むというメリットはあるようだ。とはいえ、アミロイドがたまっているからといって、アルツハイマー型認知症であるわけではないことを忘れてはならない(逆は言える。つまりアルツハイマー型認知症ならアミロイドはたまっているはずだ)。認知症ではない人が研究目的以外にこの検査を受けることには意味はない。

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第20回 医薬分業は必要か? 薬機法改正【患者コミュニケーション塾】

薬機法の改正に向けた10回の議論医薬品や医療機器にまつわる問題については、厚生労働省の医薬・生活衛生局が所管しています。そして、それらにまつわる問題についてさまざまな検討会が開催されますが、大きな問題はその親会である厚生科学審議会(医薬品医療機器制度部会)で議論することになっていて、私も委員の1人として参加しています。2018年4月から12月にかけては、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)の見直しに向けて、医薬品・医療機器などを取り巻く現状や課題について10回にわたって議論を行いました。これは、薬事法が2013年11月に改正されて薬機法となった際、安全対策の強化や医薬品販売規制について施行後5年をめどに見直しをするという規定に基づくものです。ただ、この10回の部会の中で多くの時間を割いたのは、薬機法の改正に関わる項目よりも、薬剤師・薬局のあり方、医薬分業のあり方についてで、常に議論が紛糾しました。最終的にその議論は結論を得ることなく、今後も検討を続ける必要があるとして、「薬剤師が本来の役割を果たし地域の患者を支援するための医薬分業の今後のあり方について」というとりまとめを別途行うに至ったのです。患者は医薬分業の意義を見いだせていないこの制度部会は医薬品業界の中で非常に注目され、毎回多くの医薬品関連のメディアや関係者が傍聴に訪れていました。初回から医師側の委員が、「医薬分業自体見直して、院内処方への回帰を考える必要がある」という「医薬分業廃止論」にもつながりうる主張をされたこともあり、議論の行方について関心が高まっていました。私も、一般的には医薬分業率がこの約30年で1割から7割に高まったとはいえ、そのメリットを多くの国民は享受しているとは言えない状況にあることを危惧していました。電話相談やミニセミナー患者塾などを通して一般の方々の本音をお聞きしていると、「院内処方のときよりも院外処方のほうが、経済的負担が重くなった」「病院で待たされて、また薬局でも待たされる。時間がかかるばかりだ」「なぜ薬局に行ってまで病気のことをこまごま尋ねられるのか」という不満ばかりが出てきます。これらの不満の多くは、薬局薬剤師の役割や意義について理解されていないためだと常々思ってきました。薬剤師が「薬のプロ」であることは知っていても、どのような役割を果たしているかを多くの人が理解できていないために、薬剤師に期待が向けられていない、という状態が問題だと思っていたのです。私自身、一般の方を対象に講演をするときには、患者が知っておいたほうがいい知識として、かかりつけ薬局を持つ必要性と、薬剤師の基本的な役割を必ず紹介しています。薬剤師の基本的な役割とは、(1)薬剤情報提供、(2)薬剤服用歴管理、(3)疑義照会、(4)残薬整理です。とくに(1)の薬剤情報提供については、2014年に薬剤師法が改正された際、「薬学的知見に基づく指導」をすることが義務付けられました。つまり、これまで以上に患者に踏み込んだ情報提供をしなければならなくなったのです。それなのに、法改正の後も薬局薬剤師が手にしているのは、病名も病状もわからない処方箋と、患者から得る情報のみです。もっと医療機関から確かな患者情報が得られなければ、薬学的知見に基づく指導なんてできないのではないかと思ってきました。そのため、医療機関と薬局とが連携して情報のやりとりをする、医療機関と薬局の薬剤師の“薬薬連携”こそが重要だと主張してきました。外来での治療が増える中で、求められる変化ところが、このような薬局薬剤師の役割について、多くの患者は理解できていません。それは薬局薬剤師の“役割の見える化”ができていないことに問題があります。そしてそれは、薬局薬剤師自身が、患者にその役割の説明をしていないためだと言い続けてきました。もちろん、すべての薬局・薬剤師に当てはまるわけではありませんが、このような状況を生んでしまっている要素として、調剤業務だけで経営が成り立っていること、薬局薬剤師が地域や多職種と連携できていない内向き傾向にあること、必要な情報を享受するための積極的姿勢に乏しく“待ちの姿勢”に甘んじていること、臨機応変なコミュニケーション能力が発揮できていないこと、などを問題視してきました。この制度部会でも、それらの考えに基づいてかなり積極的に発言を繰り返してきました。ところがその発言は、人の目を引く一部だけが切り取られ、さまざまな医薬品関連のwebニュースで取り上げられました。それによって、制度部会が回数を重ねるに従って、講演先で「どれだけ怖い人かと思って身構えていた」「攻撃だけをする人かと思っていたけれど、今日、話を聴いて薬剤師を応援してくれているのだと誤解が解けた」などと言われることが増えたのです。ときには報道をうのみにして厳しい言葉で非難・抗議するメールが届くことも珍しくなくなってきました。一度誤解されると、どれだけ丁寧に説明しても理解してもらえることは難しいだけに、何ともむなしい気分に陥ることもあるのは事実です。しかし、薬局は今、かなりの瀬戸際に立たされていて、薬剤師が薬局にこもって仕事をしていたのでは淘汰されてしまう。「ウチは一生懸命やっている」と自負していても、患者にその役割と存在意義が認められないと、共倒れになってしまうという危機感を私は肌で感じています。多くの疾患の治療が入院から外来にシフトする中で、患者の薬物療法の安全性を守り、きちんと情報提供してくれる薬剤師の役割は大きいと感じているだけに、一部の情報で批判されようとも、気持ちをなえさせずに主張を繰り返してきました。とりまとめられた内容とは12月に行われた制度部会のとりまとめでは、来年度の国会に提出する法案の骨子として、次のような内容がまとめられました。薬剤師は調剤して終わりではなく、患者が薬を服用している期間を通じてフォローアップする。薬剤師が上記のような役割を十分発揮できるように環境を整備し、そのような対人業務を充実させるために、対物業務の効率化を図る。在宅医療やがんの薬物療法など、専門性の高い薬学的管理が継続的に必要になるため、患者が自分に適した機能を持つ薬局を選択できるように環境を整える。そして、本来薬機法の対象とはならないにもかかわらず、多くの時間を割いた薬局・薬剤師のあり方や医薬分業についてのとりまとめでは、厳しい議論の内容が赤裸々に記されました。たとえば「現在の医薬分業は、政策誘導をした結果の形式的な分業であって多くの薬剤師・薬局において本来の機能を果たせておらず、医薬分業のメリットを患者も他の職種も実感できていない」「単純に薬剤の調製などの対物中心の業務を行うだけで業が成り立っており、多くの薬剤師・薬局が患者や他の職種から意義を理解されていないという危機感がない」「院内処方へ一定の回帰を考えるべきであるという指摘があった」という批判的な意見がそのままにつづられました。薬剤師が調剤時のみならず、服用期間中のフォローアップをすることを薬機法に盛り込むに当たっては賛否両論ありました。私は、本来当たり前に果たす必要のあるその役割について、多くの薬局において実施しているのであれば、わざわざ法律に書き込む必要はないと思います。しかし、これまで自浄作用を待っていたけれど、いつまで経っても自発的に実施する薬局が増えないのであれば、法律で義務化するしかないと主張しました。 反対される委員からは「法律に書き込めば、それは調剤報酬となってお土産を与えるだけだ」という反論がありました。しかし、法律に盛り込まれるということは、「やって当たり前の役割」と公になることです。それを新たな報酬として設けること自体おかしいとさらに反論しました。その結果、とりまとめでは「今回の制度部会での議論も十分踏まえ、患者のための薬局ビジョンに掲げた医薬分業のあるべき姿に向けて、診療報酬・調剤報酬において医療機関の薬剤師や薬局薬剤師を適切に評価することが期待される」と書き込まれました。これは、病院薬剤師の働きを報酬上もっと評価し、法制化したからといって薬局薬剤師の役割のさらなる報酬化につながってはいけないという意味が込められたと私は議論に参加した1人として解釈しています。この問題にご関心をお持ちくださった会員の皆さま、一委員からの報告という一部の切り取りではなく、議論の結果である20ページにわたるとりまとめ全文をどうぞ読んでみてください。そのうえで、ご意見・ご感想をお届けいただければ幸いです。参考「薬機法等制度改正に関するとりまとめ」、「薬剤師が本来の役割を果たし地域の患者を支援するための医薬分業の今後のあり方について」

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第17回 心電図界のギョーカイ用語、知りたくない?~QRS波の命名法~(前編)【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第17回:心電図界のギョーカイ用語、知りたくない?~QRS波の命名法~(前編)心室の収縮を表す「QRS波」。単一の波のように思えて、実は、いくつかの波が合わさっているんです。個々人で微妙に波形が異なったり、心臓病になって心臓に“キズ”がつくと、かなり複雑になったり…。そんなQRS波に焦点をあて、その命名法をDr.ヒロが2回シリーズでお届けします。前編の今回は、各波形の基本的な命名法を扱いましょう。【問題】次の(1)~(6)のQRS波は、どう呼んだらいいか? 波形に注目して「~型」と答えよ。(図1)さまざまなQRS波画像を拡大する解答はこちら(1)rS型、(2)qR型、(3)qRs型、(4)qRS型、(5)QR型、(6)QS型解説はこちら(1)と(2)は、基本中のキホンです。極論すれば、正常なQRS波形は、この2ついずれかのパターンしかありません。ここで、QRS波形の命名法として、以下2つの基本的ルールについて学びましょう。上向き波と下向き波をどう呼ぶか?アルファベット表記の大文字・小文字をどう使い分けるか?“暗号化されたQRS波”たとえば、皆さんが講義やカンファレンスで、『V1誘導のQRS波形は、「rSr'型」の不完全右脚ブロックパターンを示しています』と聞いて、どんな波形のことか、すぐに思い浮かべることはできますか? 心電図の世界では、QRS波形(configuration)の表現法に一定のルールがあります。まぁ、“業界用語”みたいなものかな。冒頭にも取り上げたように、ボクたちが通常「QRS波」と呼んでいるスパイク状の波は、単一ではなく、いくつかの上向き(陽性)波と下向き(陰性)波が合わさってできています。より正確な表現は「QRS群」(QRS complex)。つまり、“複合”ってコト。このQRS波の命名法について、詳しく説明している本は少ないですが、今回、具体例を用いて解説します。これを理解すると、波形に親しみが持てるようになるでしょう。“基本的な波形要素の名称と大きさ”まず、上向き(陽性)波から。これは「R波」の“一択”でOK。シンプルでしょ? QRS波の命名のスタートは、必ずこの「R波」を認識することから始まると考えて下さい。一方の下向き(陰性)波は、「Q波」と「S波」の2通りがあります。「最初のR波よりも手前に陰性波があったらQ波」のように述べている教科書もありますが、やや回りくどく感じますね(“最初”という表現は後編で扱いますが複数ある場合も踏まえます)。要はQRS波の最初の波が下向きで始まっていたら、それが「Q波」というワケ。それ以外の下向き波は、すべて「S波」と呼んじゃってOKです。そして、もう一つ。一般的な名称は「Q波」、「R波」、「S波」でいいんですが、振幅が小さな場合は、アルファベットの小文字で「q波」、「r波」、「s波」と表記するんです。Dr.ヒロ流の目安は3mm。これに満たない波は“小さい”と判断します。もちろん、これはローカル・ルールで絶対的なものではないので、大体でいいんです(ボクは3mmギリギリでも小文字で書いています)。さて、基本を知ったらすぐ適用。これがDr.ヒロ流心電図学習の極意の一つ。以上のことを踏まえて、問題の波形を1つずつ丁寧に確認してみましょう。(1)は、はじめに小さなR波、つまり「r波」があって、次に大きな「S波」ですね。あとは、時間の流れに沿って左から呼ぶだけですから、「rS型」です。これはV1~V3などの右前胸部誘導(または前壁誘導)で主に見られる波形で、「右室パターン」というニックネームもあります。QRS電気軸のところで、“下向き優勢”といった波形の代表です(第8回)。(2)はどうでしょう? 立派にツンッと立った「R波」が出現する前に小さな「q波」があります。下向き波から始まっているので、「s波」ではありません。よって、「qR型」となりますね。こちらは、V5、V6などの左側胸部誘導(または側壁誘導)で主に見られ、「左室パターン」と呼ばれます。こちらは“上向き優勢”のQRS波です。(3)は、(2)とほとんど一緒ですが、最後に小さな下向き波(s波)が出現しているので、「qRs型」が正解です。これも広義の「左室パターン」と呼べる類縁波形です。その調子でいってみましょう。(4)は「R波」を中心に、前後に下向き波。前は小さいので「q波」、後は大きさが十分ですから「S波」でいいでしょう。つまり「qRS型」が正解です。(5)は「R波」の手前に大きい「Q波」が存在するので、「QR型」が正しい呼び方です。どうです? わかってくるとポンポン名前が出てくるでしょう? 単純だけれど、こんな小さな“喜び”が勉強を続ける力になります。“右室パターンと左室パターンとは何ぞ”さて、(1)~(3)で突如として登場した「右室/左室パターン」という表現。これは、次の図を見ると理解が深まります(図2)。(図2)胸部誘導電極と両心室の位置関係画像を拡大するこの図は、心臓レベルの胸部CT画像(水平断)に、胸部誘導の電極位置を示したものです(“宇宙人”が心臓を眺めていますね)。QRS波は、両心室の興奮を示しますが、通常は心筋ボリュームの多い左室成分が主に反映されていると考えて下さい。医学生や研修医にレクチャーする際、ボクは「心室内の電気の流れは、心臓の中心から左室の“先っぽ”(心尖部)に向かう方向だよ」と説明しています。すると、左室をド真ん前に見据えるゴロク(V5、V6)誘導は、この“電流”をそのまま受け入れる場所ですから、(2)や(3)のように立派なR波がそびえる波形となります。これが「左室パターン」というのも納得ですよね?一方の右室に近いV1やV2誘導側はどうでしょうか? 起こっている電気現象は1つなので、心室中隔をはさんで、V5・V6と正反対に位置するV1やV2にとって、心室内の“電流”は自分たちからどんどん離れていくように感じられるでしょう。その結果、基本の左室パターン(2)を上下反転させた(1)のようなカタチがV1やV2誘導の基本波形となります。「右室パターン」というのは、右室収縮を主に表すという意味“ではなく”、“右室側から”左室収縮を見た様子と理解しておきましょう。“「Q波」は心筋梗塞の爪痕!?”ところで、(2)~(5)のいずれにも「Q波」がありますが、(5)の「Q波」だけ真の「Q波」で、ほかは「q波」なのがわかりますか? 大きさだけではなく、(5)の「Q波」は“幅”も広いですよね?これは、「陳旧性心筋梗塞」、つまり過去の心筋梗塞の“爪痕”として見られる「異常Q波」です。梗塞巣を反映しているとされます。おおむね、幅の広さで本物の“爪痕”かどうかを決めてOKですが、実は、小さな「q波」でも「異常Q波」と考えるべき状況もあるため(とくにV1~V3誘導)、いずれ詳しく扱いたいと思います。あえてここで「心筋梗塞」の話をしたのは、最後の(6)の波形にも関係するからです。どうです、この波形? 最初に上向きの「R波」を探そうとしても…ないんです。このような“下向き波だけ”という特殊な状況では、「R波」がない以上、「Q波」とも「S波」とも決めかねてしまいますね。では、どう呼ぶのが正解か…これは、なんと「QS型」です! 人によっては「QSパターン」とも呼称されます。ただ、QRS波の最初が下向き波から始まっているという観点では「Q波」ですし、しかもこれだけ幅広となると…そう、これも「異常Q波」の1つと考えていいんです。問題のV3誘導は、V1~V3(V4)の前壁誘導で「陳旧性心筋梗塞」の“証拠”として出てくる典型的な波形になります。「QS型(パターン)」を認識・命名し、心筋梗塞と関連付けて捉えることが大事ですね。さて、今回はQRS波形の命名法の基本を扱いました。最後はボクお得意の“脱線”で「Q波」と心筋梗塞の関係にも言及しました。心電図の“業界用語”に、少しは慣れましたか?『ザギンのかわいいチャンネーいる店バミっといたんで、テッペンあたりにシータクでおねがいしやーす!』おっと、これは本当の“ギョーカイ用語”(笑)。世代がバレてお恥ずかしいですが、中学・高校生の頃、勉強に疲れた時、ボクの秘かな楽しみはTVのバラエティ番組を見ることでした。うすピンク色のカーディガンを肩にかけ、怪しいサングラスのプロデューサーが放つ台詞を芸能人がイジる…。ウーン、なんか「昭和」。もう時代は「平成」から「令和」に変わろうとしているのに。まだまだ“オッサン”ではなく“若手”と呼ばれたいDr.ヒロなのでした(笑)。「後編」では、病気になった心臓でみられる、ギザギザ度の増した複雑な波形の命名法について扱います。乞うご期待!Take-home MessageQRS波形の命名では、上向きのR波を基盤に、下向き波(Q波、S波)をどう呼ぶか考える一部の「Q波」や「QS型」は心筋梗塞に関連する重要波形正常な心電図波形は、すべて「右室パターン」「左室パターン」のいずれか、またはその亜型である*杉山 裕章. 心電図のみかた、考え方[基礎編].中外医学社;2013.p.68-74.*杉山 裕章. 心電図のはじめかた.中外医学社;2017.p.71-91.【古都のこと~岡崎別院~】岡崎別院(左京区)は、梅の季節にお薦めしたい“隠れスポット”の一つです。浄土真宗の開祖、親鸞聖人が居したと言われ、岡崎神社に隣接しています。曇天の早朝、周りを見渡すと自分一人。親鸞聖人が後鳥羽上皇による承元の法難で越後国に流される間際、御姿を映して名残を惜しんだとされる「鏡池」をそっと眺めました。何とも言われぬ気分になり、横を向くと「八房の梅」が咲いていました。一つの花に八つの実をつけ、初代の木は聖人お手植えだそう。ここにまつわる時代背景を学ぶと、“人”にまつわるさまざまなことを考えさせられます。

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第34回 20年間在宅訪問に尽力する薬剤師のサプライズ告白【週刊・川添ラヂオ】

動画解説今回のゲストは山形県新庄市の有限会社メディカほし薬局の星利佳先生。「私のライフワークは在宅だけ」と言い切る星先生も、1998年の開業当時は在宅訪問で薬剤師は何ができるのか思い悩んでいたそうです。そんな時に突破口を開いてくれたある薬剤師とは?川添先生驚きの生告白!?病院、薬局、ドラッグストア、開業などさまざまな経験をされてきた星先生からのメッセージをお聞きください。

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がん患者の深部静脈血栓症、再発率は2倍以上/日本循環器学会

 がんは深部静脈血栓症(VTE)の強力なリスク因子である。がん患者のVTE発症頻度は非がん患者に比べ高く、その発症率は近年増加している。しかし、がん関連VTEに関する研究は十分ではなく、適切な管理については明らかになっていない。天理よろづ相談所病院 循環器内科 坂本二郎氏らは、がん関連VTEの臨床的な特徴、管理、臨床的転帰をリアルワールドで評価する多施設後ろ向きコホート研究COMMAND-VTEレジストリを行い、その結果を第83回日本循環器学会学術集会で発表した。 COMMAND-VTEレジストリは、2010年1月~2014年8月、わが国の29施設において行われた。VTE疑い患者1万9,634例のうち、分析対象となった急性症候性VTE患者は3,027例であった。 全コホートをActive cancer群(がん治療中患者、手術施行予定患者、転移患者、終末期患者)695例、がん既往歴あり群243例、がん既往歴なし群2,089例の3つに分けて比較した。 主な結果は以下のとおり。・Active cancer群は他の2群に比べ、年齢が低く66.5歳であった。また重篤な出血(10%)、貧血の既往(76%)が他の2群に比べ高かった。・抗凝固薬累積中止率(1年間)はActive cancer群で最も高く44%、がん既往歴あり群、がん既往歴なし群はともに27.0%であった。・症候性VTE累積再発率(1年間)はActive cancer群で最も高く12%。がん既往歴あり群/なし群ではそれぞれ5%/3%であった。・重篤な出血累積発生率(1年間)はActive cancer群で最も高く15%。がん既往歴あり群/なし群ではそれぞれ6%/5%であった。・ワルファリンのコントロール指標である至適範囲内時間(TTR)はActive cancer群で最も低く61%。がん既往歴あり群/なし群ではそれぞれ67%/76%であった。・総死亡はActive cancer群で最も高く50%。がん既往歴あり群/なし群ではそれぞれ12%/6%であった。 Active cancer(がん治療中患者、手術施行予定患者、転移患者、終末期患者)はVTEの再発、重篤な出血、総死亡に関する予後不良因子であった。また、Active cancer群では抗凝固薬の投与中止が頻繁で、ワルファリンのコントロールも不良であった。

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認知症患者へのアミロイドPETが患者管理に影響/JAMA

 病因が不確定な軽度認知障害(MCI)および認知症の患者に対し、アミロイドPETを行ったところ、約6割の患者で施行前とは異なる患者管理に変更されたとの研究結果が、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のGil D. Rabinovici氏らが実施したIDEAS試験で示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年4月2日号に掲載された。アミロイドPETは、アルツハイマー病の主要な神経病理学的特徴である脳アミロイド斑を検出する。アミロイドPETを臨床評価に追加すると、診断精度が向上するとされるが、アミロイドβの蓄積は他の神経変性疾患や認知機能が正常な高齢者にもみられるという。施行前後の患者管理の変更を評価する単群縦断研究 本研究は、MCIおよび認知症患者におけるアミロイドPET導入と、その後の臨床的管理の変更との関連を評価する単群縦断研究(米国Alzheimer's Associationなどの助成による)。 対象は、65歳以上のメディケア受給者で、過去24ヵ月以内にMCIまたは認知症の診断を受けた患者であった。また、次の3つのアミロイドPETの適正使用基準を満たすことが求められた。(1)専門医による包括的評価で認知機能障害の病因が不明、(2)アルツハイマー病の診断が考慮される、(3)アミロイドPETの導入で診断および患者管理の変更が予測される。 2016年2月~2017年9月に、米国の595施設の認知症専門医946人により1万6,008例が登録され、2018年1月までフォローアップが行われた。認知症専門医は、PET施行前と施行後90±30日時に、診断名と管理計画を記載した症例報告を作成した。 主要エンドポイントは、PET施行前後での患者管理の変更とし、アルツハイマー病の薬物療法、その他の薬物療法、安全性と将来の管理計画に関するカウンセリングを含む複合アウトカムで評価した。変更された患者の割合が30%の閾値を超えた場合に、臨床的に意味があると判定された。副次エンドポイントには、PET施行前後での診断名の変更(アルツハイマー病から非アルツハイマー病へ、またはその逆)の割合が含まれた。患者管理の変更の割合:MCI 60.2%、認知症63.5% 1万1,409例(71.3%、年齢中央値75歳[IQR:71~80]、女性50.9%)が試験を完遂し、最終解析の対象となった。このうち、MCIは6,905例(60.5%、75歳、49.6%)、認知症は4,504例(39.5%、77歳、52.8%)であった。また、アミロイドPET陽性は、MCIが3,817例(55.3%)、認知症は3,154例(70.1%)であった。9例のスキャンが評価不能だった。 PET施行による複合アウトカムの変更は、MCIでは6,905例中4,159例(60.2%、95%信頼区間[CI]:59.1~61.4)、認知症では4,504例中2,859例(63.5%、62.1~64.9)で行われており、いずれも30%の閾値を有意に上回っていた(p<0.001、片側検定)。 事後解析では、PET施行後のアルツハイマー病治療薬への変更は、MCIが43.6%、認知症は44.9%で、非アルツハイマー病治療薬(認知機能、気分、行動への作用薬、他の神経学的病態の治療薬、認知症のリスク因子の治療薬)への変更は、それぞれ22.9%、25.4%で行われ、カウンセリングが24.3%、20.7%で実施されていた。 また、病因診断がアルツハイマー病から非アルツハイマー病へ変更された患者は、1万1,409例中2,860例(25.1%、95%CI:24.3~25.9)で、非アルツハイマー病からアルツハイマー病への変更は、同1,201例(10.5%、10.0~11.1)で行われた。 著者は、「アミロイドPETが臨床アウトカムの改善に寄与するかを明らかにするには、さらなる検討を要する」としている。

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症候性AFへのアブレーションの効果、CABANA試験で明らかに/JAMA

 症候性心房細動(AF)患者では、カテーテルアブレーションは薬物療法と比較して、1年後のQOLに関し臨床的に意義のある改善をもたらすことが、米国・デューク大学のDaniel B. Mark氏らが行った「CABANA試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌2019年4月2日号に掲載された。カテーテルアブレーションは、AF患者の洞調律復帰において、薬物療法よりも有効性が高いとされるが、長期的なQOLの増分がどの程度かは、これまで不明であった。10ヵ国126施設が参加した非盲検無作為化試験 CABANA試験は、AFにおける2つの治療法のQOL改善効果を比較する非盲検無作為化試験であり、2009年11月~2016年4月に10ヵ国126施設で患者登録が行われた(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]などの助成による)。 対象は、脳卒中のリスク因子を1つ以上有する新規発症または治療中の症候性AF患者2,204例(年齢中央値68歳、男性63%、発作性AF 43%、持続性AF 57%)であった。 被験者は、カテーテルアブレーション(1,108例)または薬物療法(1,096例)を受ける群に無作為に割り付けられた。カテーテルアブレーション群では、肺静脈隔離術とともに担当医の裁量で付加的なアブレーションが行われた。薬物療法群では、担当医の裁量で洞調律維持または心拍数調節(あるいはこれら双方)を目的とした薬物治療が行われた。 事前に規定された12ヵ月時のQOLの主要エンドポイントは3つで、AFのQOLに対する影響(AFEQT)の要約スコア(0[完全なAF関連障害]~100[AF関連障害がない]点、患者レベルの臨床的に意義のある変化量は≧5点)と、Mayo AF-Specific Symptom Inventory(MAFSI)の症状の頻度スコア(0[症状なし]~40[最も重度な症状]点、患者レベルの臨床的に意義のある変化量は≦−1.6点)および同重症度スコア(0[症状なし]~30[最も重度な症状]点、患者レベルの臨床的に意義のある変化量は≦-1.3点)であった。フォローアップ期間全体でも、AFEQTとMAFSIの双方が良好 フォローアップ期間中央値は48.5ヵ月であり、1,968例(89%)が試験を完遂した。 AFEQT要約スコアの平均値は、ベースラインでは、カテーテルアブレーション群が62.9点、薬物療法群は63.1点であった(補正後平均差:-0.2、95%信頼区間[CI]:-1.9~1.5)。治療後12ヵ月時では、カテーテルアブレーション群が薬物療法群に比べ有意に良好であった(86.4 vs.80.9点、補正後平均差:5.3点、95%CI:3.7~6.9、p<0.001)。 また、フォローアップ期間全体のAFEQT要約スコアの平均値(84.8 vs.80.9点、補正後平均差:3.4点、95%CI:2.1~4.8、p<0.001)も、カテーテルアブレーション群が有意に良好であった。 一方、MAFSI症状頻度スコアの平均値は、ベースラインでは、カテーテルアブレーション群が11.8点、薬物療法群は11.9点(補正後平均差:-0.2、95%CI:-0.7~0.4)であり、同重症度スコアの平均値は、それぞれ9.3点、9.3点(-0.1、-0.5~0.4)だった。治療後12ヵ月時では、MAFSI症状頻度スコアの平均値(6.4 vs.8.1点、-1.7点、-2.3~-1.2、p<0.001)、同重症度スコアの平均値(5.0 vs.6.5点、−1.5点、−2.0~−1.1、p<0.001)ともに、カテーテルアブレーション群が薬物療法群よりも有意に良好であった。 また、フォローアップ期間全体のMAFSI症状頻度スコアの平均値(6.5 vs.8.0点、補正後平均差:-1.4、95%CI:-1.9~-0.9、p<0.001)、同重症度スコアの平均値(5.1 vs.6.3点、-1.1点、-1.5~-0.8、p<0.001)は、いずれもカテーテルアブレーション群が有意に良好であった。 著者は、「これらの知見は、心房細動管理の決定を行う際に役立つ可能性がある」としている。

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高校進学時のうつ病に対する予防プログラム

 中学校から高校へ進学する青少年におけるうつ病および不安症状に対する学校ベースの適応予防プログラムの効果について、米国・ワシントン大学のHeather Makover氏らが、検討を行った。Prevention Science誌オンライン版2019年3月9日号の報告。 高校進学プログラム(The High School Transition Program:HSTP)は、青少年にとってとくに脆弱な時期における社会的および学術的な問題解決のスキルとエンゲージメントを構築するために設計されたプログラムである。太平洋沿岸北西部の6校の中学校の生徒2,664人を対象に、8年生の後半に普遍的な感情健康診断を実施し、うつ病スコアが高く、行動障害問題スコアの低かった生徒に対し研究参加を依頼した。対象生徒497人は、HSTP群(241例)または対照群(256例)にランダム化した。うつ病および不安症状は、自己報告法を用いて18ヵ月間にわたり5回の測定を行った。予防効果およびベースライン時の症状、人種、性別などの調整因子を評価するため、階層的線形モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・HSTP群は、対照群と比較し、経時的に抑うつ症状の減少率が上昇することが示唆された(d=0.23)。・HSTP群は、不安スコアの変化率が有意に速まった(d=0.25)。・ベースライン時の不安の重症度、人種、性別は、症状アウトカムの推移に影響を及ぼさなかった。 著者らは「ストレスの多い青少年の進学において、予防プログラムの意義を検討すべきである」としている。■関連記事青年期うつ病を予測する小児期の特徴思春期の少年少女における自殺念慮の予測日本人学生のスマートフォン使用とうつ病リスク

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がん患者の食欲不振にnabiloneが有効?

 カンナビノイドに由来する薬剤(nabiloneなど)は近年、食欲不振の改善効果があることが認められたが、がん患者の食欲不振の改善にも有効なのか。メキシコ・国立がん研究所のJenny G. Turcott氏らは、肺がん患者を対象にnabiloneの有効性を検討する、無作為化二重盲検プラセボ対照第II相臨床試験を行い、「nabiloneは食欲不振のがん患者に対する支持療法の選択肢となりうる」ことを示した。「肺がん患者における有効性を結論付けるために、さらなる大規模臨床試験を行う必要がある」とまとめている。進行肺がん患者では、半数以上が食欲不振を経験する。その高い発生率に加えて、がん誘発性食欲不振は臨床転帰不良と関連する食欲不振-悪液質症候群の発症を助長することが問題視されている。Supportive Care in Cancer誌2018年9月号掲載の報告。 研究グループは、メキシコの国立がん研究所において、進行非小細胞肺がんの外来患者を対象に、食欲、栄養状態およびQOLに対するnabiloneの有効性を検証する無作為化二重盲検プラセボ対照比較臨床試験を行った。 65例について適格性を評価し、47例がnabilone群またはプラセボ群に無作為に割り付けられた。最初の2週間は0.5mg/日、その後は1mg/日に増量して6週間投与した。 主な結果は以下のとおり。・8週後、nabilone群はプラセボ群と比較してカロリー摂取量が増加し(342kcal)、炭水化物摂取量が有意に高かった(64g、p=0.040)。・QOLについては、nabilone群では有意に改善したが(役割機能p=0.030、感情機能p=0.018、社会的機能p=0.036、疼痛p=0.06、不眠p=0.020)、プラセボ群では有意な変化は観察されなかった。

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プレゼン下手の医師なんてもう卒業!【Dr.倉原の“俺の本棚”】第16回

【第16回】プレゼン下手の医師なんてもう卒業!ベテラン中堅医になっても、カンファレンスでプレゼンがヘタクソな人っているんですよ。提示されるのがいつも結核の症例ばかりだから、患者背景をすっ飛ばして、結核菌の感受性からプレゼンし始めて、「あれ、この人どこの国の人?」と聞かれて「あ、フィリピン人です」と答える14年目くらいの医師。……って、オレじゃねぇか!!というわけで、私もイチからプレゼンについて勉強し直すつもりで正座して読みました。結論から書くと、研修医は全員買うべし。カンファレンスやコンサルトの症例プレゼンから学会発表まで、うまくまとめられた本です。とにかく、完成度が高いのです。『あの研修医はすごい!と思わせる 症例プレゼン-ニーズに合わせた「伝わる」プレゼンテーション』松尾 貴公・水野 篤/著. 羊土社. 2019私が感銘を受けたのは、話す速度についてです。「1秒間に5文字」というNHKルールが紹介されていましたが、いやぁ、思ったよりゆっくりなんですね。私は研修医時代、1秒間に20文字くらい話す指導医たち(頭の回転が速すぎる神々)に囲まれていたので、いつの間にか症例プレゼンのスピードが速くなってしまったように思います。アメリカのITベンチャー企業の社長みたいに、ステージで身ぶり手ぶりして歩きながらプレゼンできるようになる必要はありませんが、少なくとも聴衆が退屈にならないようなプレゼンの仕方は本書でマスターできるはずです。この本の面白いところは、ナースや薬剤師などのコメディカルスタッフに対するプレゼンにまで触れている点です。普段から実際にプレゼン相手を意識しておられる方なのだとすぐにわかります。研修医だけでなく、何となくプレゼンを学ばずに成長してきた中堅以上のドクターに読んでもらいたい一冊です。今年、2019年の日本循環器学会では、ツイッターで学会情報を流すという日本初の試みがありましたが、その中心にいらしたのが、本書の著者の1人でいらっしゃる水野先生です。動画を拝見しましたが、話し方も堂々としておられ、ああなりたいなぁとうらやましい限りです。帰宅してから、「僕の話し方ってどこかヘン?」と妻に聞いたところ、「えーっとね、そもそも声がこもってて聞きにくいし、いつも語尾が消える。耳に残らない。あと目を合わせないよね」と1ラウンド開始数秒でノックアウトされました。カンカンカンカン!『あの研修医はすごい!と思わせる 症例プレゼン-ニーズに合わせた「伝わる」プレゼンテーション』松尾 貴公・水野 篤/著出版社名羊土社定価本体3,200円+税サイズA5判刊行年2019年■関連記事JCS2019で日循公式ツイッターが全力発信 #19JCSでタグ付けを■関連動画水野 篤氏のJCS2019告知動画(ツイッター)

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S-1+ドセタキセルが、胃がんアジュバントのスタンダードに(JACCRO GC-07)/JCO

 Stage II/IIIの治癒切除胃がんに対する標準治療として、本邦ではS-1による術後補助化学療法が用いられる。一方、ドセタキセルは標準化学療法との併用で、進行期および周術期における生存ベネフィットが証明されている。Stage III胃がん患者に対するS-1+ドセタキセル併用療法とS-1単独療法を比較した無作為化第III相比較試験JACCRO GC-07(START-2)の中間解析の結果がJournal of Clinical Oncology誌2019年3月29日号で発表された。GC-07試験は1,100例の登録が計画されていたが、第2回中間解析において、効果安全性評価委員会より有効中止が勧告されていた。 対象は20~80歳の治癒切除(R0)を施行したStageIII胃がん患者。S-1+ドセタキセル併用群は、サイクル1(3週間):S-1(1.25m2未満 80mg、1.25以上1.5m2未満 100mg、1.5m2以上 120mg)1日2回day1~14日投与7日間休薬、サイクル2~7(3週間ごと):ドセタキセル(40mg/m2)day1、S-1 day1~14日投与7日間休薬、サイクル8以降(6週間ごと):S-1 day1~28投与14日間休薬。S-1単独群は、S-1 day1~28日投与14日間休薬を手術1年後まで継続した。主要評価項目は3年無再発生存率(RFS)。 主な結果は以下のとおり。・454例がS-1+ドセタキセル併用群に、459例がS-1群に無作為に割り付けられた。・追跡期間中央値は12.5ヵ月であった。・3年RFSはS-1+ドセタキセル併用群66%、S-1群50%と、S-1+ドセタキセル併用群で有意に延長した(HR:0.632、99.99%CI:0.400~0.998、p<0.001)。 ・RFS中央値はS-1+ドセタキセル併用群は未到達、S-1群は34.5ヵ月であった。・Grade3以上の有害事象は、S-1+ドセタキセル併用群では58%にS-1群では42%に発現した。とくに好中球減少、白血球減少がS-1+ドセタキセル併用群で多かった。 GC-07試験の結果を受けて、S-1・ドセタキセル併用療法がStageIII胃がんの標準的な術後補助療法の1つとなった。

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第13回Transcatheter Imaging Forum(TCIF2019)開催のご案内

 NPO法人日本血管映像化研究機構は、2019年4月26日(金)・27日(土)に第13回Transcatheter Imaging Forum (TCIF2019)を開催する。本会は当初より、種々の画像診断技術を用いて、動脈硬化性疾患の評価をライブ中継画像を交えながら真摯に議論する集まりとして開催されてきた。近年は、改良された血流維持型血管内視鏡によって観察される大動脈内腔、自然破綻を繰り返す動脈硬化性粥腫(プラーク)に注目し、その診断、病態、治療に関する種々の検討を積み重ねている。 今回は、大阪暁明館病院心臓血管センターから、血流維持型血管内視鏡を用い、上行大動脈から末梢動脈までを観察する症例をライブ中継し、大動脈内腔で起きている病的現象を観察し、共に考え、検討することが企画されている。ことに大動脈内面の微細病変、動脈硬化性粥腫と繰り返し起こっている粥腫(プラーク)破綻、さらに破綻部から放出される多彩な物質が末梢臓器に与える影響を中心に議論を交わしたいと考えている。大動脈内で大量に浮遊し、末梢へと飛散する物質(Debris)が長い時間を経て、老化と密接に関連するであろうとの仮説の下に、本年のテーマは「血管内視鏡がひも解く老化のメカニズム~人は大動脈と共に老いる~」とされている。すべての診療科を超えて老化のメカニズムに迫れるものと考えている。【日程】 2019年4月26日(金)・27日(土)【会場】 大阪国際会議場 グランキューブ大阪12階 特別会議場 大阪市北区中之島5丁目3-51【中継施設】 大阪暁明館病院【テーマ】 血管内視鏡がひも解く老化のメカニズム~人は大動脈と共に老いる~【参加費】 日本血管映像化研究機構の個人正会員:無料(年会費1万円) 非会員:15,000円【主催】 NPO法人日本血管映像化研究機構 〒550-0005 大阪市西区西本町1丁目8番2号 三晃ビル5階 TEL:06-4391-0111 http://npo-jviro.com「第13回Transcatheter Imaging Forum(TCIF2019)」の詳細はこちら。

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コーヒーは5杯未満が有益?日本人の死亡率への影響

 これまでのコホート研究で、コ―ヒー摂取によるがん、心疾患、呼吸器疾患などへの良い影響が示唆されている。今回、国立がん研究センターによる「科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」で、コーヒー摂取による日本人の全死因および死因別死亡リスクへの影響について、日本の8つのコホート研究(Japan cohort consortium)のプール解析を行った。その結果、コーヒー1日5杯未満の摂取で全死因死亡や主な死因による死亡リスクが低下する可能性が示唆された。Preventive Medicine誌オンライン版2019年4月2日号に掲載。 本解析には、日本の8つのコホート研究(JPHC-IとJPHC-IIの多目的コホート研究、JACC研究、宮城県コホート研究、大崎国保コホート研究、三府県宮城コホート研究、三府県愛知コホート研究、三府県大阪コホート研究)における男性14万4,750人、女性16万8,631人のデータを用いた。17年間の平均追跡期間中に5万2,943人が死亡し、うち、がん1万9,495人、心疾患7,321人、脳血管疾患6,387人、呼吸器疾患3,490人、傷害・事故3,382人であった。ランダム効果モデルを用いて、統合ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・男女共に、コーヒー5杯/日未満の摂取が全死因死亡に予防的であり、コーヒー摂取量が最も高いカテゴリー(5杯/日以上)で関連が減弱した。・男性では、がん以外の主な死因による死亡で同様の負の関連が観察された。・女性では、1~2杯/日のカテゴリーでは、コーヒー摂取により心臓病による死亡リスクが減少したが、5杯/日以上のカテゴリーではリスクが増加した。・男女共に、がんはコーヒー摂取とは関連がみられなかった。・男性の現在喫煙者と女性の未喫煙者で結果が類似していた。

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がん終末期は減薬を/Cancer

 がん終末期における予防薬の投与はいつまで行われているのか。スウェーデン・カロリンスカ研究所のLucas Morin氏らは、高齢の進行がん患者における降圧薬、抗血小板薬、抗凝固薬、スタチン、経口糖尿病薬などの予防薬の継続について調査を行い、これらは死亡前1年間においても処方され、しばしば最後の数週間まで続けられていたことを明らかにした。著者は、「終末期の患者において、予防薬が臨床的有用性を達成する可能性は低い。死期が近づいたころの臨床的有用性が限られた薬剤の負担を減らすため、適切な減薬(deprescribing)戦略が必要である」と述べている。Cancer誌オンライン版2019年3月25日号掲載の報告。 研究グループは、スウェーデンのデータベースを用い、2007~13年に死亡した65歳以上の高齢固形がん患者について、患者が死亡する前1年間における予防薬の毎月の使用と費用を解析した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は15万1,201例(平均年齢81.3歳)で、死亡前1年間において、平均投与薬剤数は6.9剤から10.1剤に増加していた。・降圧薬、抗血小板薬、抗凝固薬、スタチン、経口糖尿病薬などの予防薬は、しばしば死亡月まで継続されていた。・1人当たりの薬剤費(中央値)は、1,482ドル(四分位範囲[IQR]:700~2,896ドル)に達し、そのうち213ドル(IQR:77~490ドル)が予防薬であった。・予防薬の費用は、肺がんで死亡した高齢患者(1人当たりの薬剤費[中央値]:205ドル、IQR:61~523ドル)と比較して、膵がん患者(補正後群間差:13ドル、95%CI:5~22ドル)、婦人科系がん患者(補正後群間差:27ドル、95%CI:18~36ドル)で高かった。・死亡前1年間を通して、予防薬の費用に関して減少は認められなかった。

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セファゾリンナトリウム注射用の代替薬

 2019年3月29日、厚生労働省は、事務連絡として「セファゾリンナトリウム注射用「日医工」が安定供給されるまでの対応について」を全国の関係機関に発出し、各医学会でも周知が開始された。 セファゾリンナトリウムは、日医工株式会社が製造・供給に大きなシェアをもつ抗菌薬だが、本年2月に製品供給に支障をきたす可能性がある旨の周知があり、現在も供給再開の目途が立っていない。そして、同製品の代替品と考えられる製品の一時的な供給不足も危惧されることから、安定供給が再開されるまでの間の対応として周知された。 利用にあたっては、「抗菌薬の処方に関する最終的な決定は、治療にあたる医師が行う」「一覧の病態・術式に対し本来の推奨薬とは限らない薬剤も含まれるので、個別の患者マネジメントにおいては病態や術式を十分に検討して決定すること」などの諸注意を踏まえ、院内などで情報共有をしつつ、活用してほしいとしている。周術期予防抗菌薬(カッコ内はターゲットとする細菌)・脳神経外科(黄色ブドウ球菌/レンサ球菌) 代替薬例:セフォチアム、セフォタキシムなど・耳鼻咽喉科(黄色ブドウ球菌/口腔内嫌気性菌/レンサ球菌) 代替薬例:アンピシリン・スルバクタム、セフォチアムなど・心臓血管外科(黄色ブドウ球菌/レンサ球菌) 代替薬例:セフォチアム、セフォタキシムなど・胸部外科(口腔内嫌気性菌/レンサ球菌) 代替薬例:アンピシリン・スルバクタム、セフォチアムなど・乳腺外科(黄色ブドウ球菌/レンサ球菌) 代替薬例:セフォチアム、クリンダマイシン・上部消化管外科(大腸菌/肺炎桿菌) 代替薬例:アンピシリン・スルバクタム、セフォチアム・消化器外科(腸内細菌科細菌) 代替薬例:アンピシリン・スルバクタム、セフォチアムなど・婦人科(腸内細菌科細菌、Bacteroides fragilisグループ) 代替薬例:アンピシリン・スルバクタム、セフォチアムなど・泌尿器科(腸内細菌科細菌) 代替薬例:アンピシリン・スルバクタム、セフォチアムなど・整形外科(黄色ブドウ球菌/レンサ球菌) 代替薬例:セフォチアム、セフメタゾールなど治療用抗菌薬(カッコ内はターゲットとする細菌)・黄色ブドウ球菌菌血症(黄色ブドウ球菌) 代替薬例:アンピシリン・スルバクタム、セフォタキシム、セフトリアキソンなど・軟部組織感染症[蜂窩織炎、丹毒など](黄色ブドウ球菌/レンサ球菌) 代替薬例:アンピシリン・スルバクタム、セフォタキシム、セフトリアキソンなど・急性骨髄炎、化膿性関節炎(黄色ブドウ球菌) 代替薬例:セフォタキシム、セフトリアキソン、クリンダマイシンなど・尿路感染症[急性腎盂腎炎](大腸菌) 代替薬例:セフォチアム、セフメタゾール、フロモキセフなど なお上記リストは、同製品の供給不足に伴う影響を最小限にし、かつ抗菌薬適正使用の観点から、既存の診療ガイドラインなどを踏まえ、国立研究開発法人国立国際医療研究センターAMR臨床リファレンスセンターの協力のもと作成された。■参考厚生労働省「セファゾリンナトリウム注射用「日医工」が安定供給されるまでの対応について」

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脳卒中リスクを有するAF患者へのアブレーションの有用性/JAMA

 心房細動(AF)患者におけるカテーテルアブレーション戦略は、薬物療法と比較して主要評価項目(死亡・後遺症を伴う脳卒中・大出血・心停止の複合エンドポイント)に有意差は認められなかった。米国・メイヨー・クリニックのDouglas L. Packer氏らが、10ヵ国126施設で実施した医師主導型の多施設共同非盲検無作為化試験「The Catheter Ablation vs Antiarrhythmic Drug Therapy for Atrial Fibrillation trial:CABANA試験」の結果を報告した。ただし結果について著者は、「予想よりイベント発生率が低く治療のクロスオーバーが行われていることが、カテーテルアブレーションの治療効果に影響を与えている可能性があり、本試験結果の解釈には注意を要する」としている。カテーテルアブレーションは、AFを洞調律に戻すのに有効であるが、死亡や脳卒中のリスクに対する長期的な影響はわかっていなかった。JAMA誌2019年4月2日号掲載の報告。AF患者約2,000例で死亡・後遺症を伴う脳卒中・大出血・心停止等の予後を比較 研究グループは、2009年11月~2016年4月の期間に、65歳以上、または脳卒中の危険因子(高血圧、心不全、脳卒中の既往、糖尿病、他の心疾患)を1つ以上有する65歳未満のAF患者2,204例を登録し、カテーテルアブレーション群または薬物療法群に1対1の割合で無作為に割り付け、2017年12月31日まで追跡した。 カテーテルアブレーション群では、肺静脈隔離術を実施するとともに、医師の裁量で補助的なアブレーションが追加された。薬物療法群では、ガイドラインに従い標準的なリズム/レートコントロール薬が投与された。 主要評価項目は、死亡・後遺症を伴う脳卒中・大出血・心停止の複合エンドポイント(intention-to-treat解析)。副次評価項目は13項目あるが、今回は3項目(全死亡、全死亡または心血管入院、AF再発)について報告された。主要評価項目に有意差なし、AF再発はカテーテルアブレーション群で有意に抑制 2,204例の患者背景は、年齢中央値68歳、女性37.2%、発作性AF 42.9%、持続性AF 57.1%で、89.3%が試験を完遂した。カテーテルアブレーション群では90.8%(1,006/1,108例)が施術を受け、薬物療法群では27.5%(301/1,096例)がカテーテルアブレーションも受けた。 追跡期間中央値48.5ヵ月において、主要評価項目の複合エンドポイントの発生率は、アブレーション群8.0%(89例)、薬物療法群9.2%(101例)で、有意差は認められなかった(ハザード比[HR]:0.86、95%信頼区間[CI]:0.65~1.15、p=0.30)。 副次評価項目については、アブレーション群vs.薬物療法群でそれぞれ、全死亡が5.2% vs.6.1%(HR:0.85、95%CI:0.60~1.21、p=0.38)、全死亡または心血管入院が51.7% vs.58.1%(HR:0.83、95%CI:0.74~0.93、p=0.001)、AF再発が49.9% vs.69.5%(HR:0.52、95%CI:0.45~0.60、p<0.001)であった。

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小児の潰瘍性大腸炎、ステロイドフリー寛解予測因子とは/Lancet

 新たに潰瘍性大腸炎(UC)と診断された小児患者において、52週時のステロイドフリー(メサラジン単独療法)寛解の予測に、初期の臨床的活動性および4週までの治療反応が有用であることが、米国・コネチカット小児医療センターのJeffrey S. Hyams氏らによる検討の結果、明らかにされた。新たに診断された小児UCについては、エビデンスベースのアウトカムデータの不足が、作成された治療計画に不確実性をもたらしている、として問題視されていた。著者は、「個別的な臨床的/生物学的特性を明らかにすることで、確固たるUC治療方針の提示につながることが示された」と述べている。Lancet誌オンライン版2019年3月29日号掲載の報告。4~17歳の新規UC患者で52週時のステロイドフリー寛解を評価 研究グループは、UC小児患者を対象に、治療前の臨床的因子やトランスクリプトームおよび微生物因子により、疾患経過を予測できるかを検証するため、多施設共同発端コホート研究「The predicting response to standardized pediatric colitis therapy study:PROTECT研究」を行った。 アメリカとカナダの29施設で、新たにUCと診断された4~17歳の小児患者(小児用活動性指標のPUCAIスコア≧10)を登録し、免疫調整薬(チオプリン)/抗TNFα療法へ段階的に切り替えるための事前に決められた基準に従い、メサラジンまたはステロイドを投与する標準治療を行った。また、治療前にRNAシーケンシングにより直腸の遺伝子発現を、16Sシーケンシングを用いて直腸および糞便の微生物叢を調べた。 主要評価項目は、52週時でのステロイドフリー寛解(メサラジン以外の治療なし)とし、ロジスティック回帰モデルを用いて要因と主要アウトカムとの関連性を評価した(per-protocol解析)。4週までの臨床的寛解がステロイドフリー寛解の予測に重要 2012年7月10日~2015年4月21日に467例が登録され、428例が薬物療法を開始した。このうち52週時に評価が可能だったのは400例(93%)で、386例(90%)が試験を完遂した。 52週時のステロイドフリー寛解率は38%(150/400例)で、うち147例(98%)がメサラジンを内服しており、3例(2%)は何も内服していなかった。400例中74例(19%)が免疫調整薬単独投与、123例(31%)が抗TNFα療法、25例(6%)が結腸切除へ治療を変更していた。 ベースラインの臨床的重症度が低く、ヘモグロビン高値、4週時の臨床的寛解が、52週時でのステロイドフリー寛解達成と関連していた(386例、ロジスティックモデルのROC曲線下面積[AUC]:0.70、95%信頼区間[CI]:0.65~0.75、特異度77%[95%CI:71~82])。 274例の独立コホートでベースライン重症度と4週時の寛解について検証した結果、臨床的な予測因子を調整後、抗菌ペプチド遺伝子シグネチャー(オッズ比[OR]:0.57、95%CI:0.39~0.81、p=0.002)、ルミノコッカス属の存在度(OR:1.43、95%CI:1.02~2.00、p=0.04)、Sutterella(OR:0.81、95%CI:0.65~1.00、p=0.05)が52週時のステロイドフリー寛解と関連することが確認された。

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統合失調症の陰性症状に対する運動療法の効果~メタ解析

 統合失調症患者の陰性症状に対するさまざまな運動療法(PE)の効果を評価するため、オランダ・フローニンゲン大学のJelle Sjoerd Vogel氏らは、メタ解析を実施した。Psychiatry Research誌オンライン版2019年3月14日号の報告。 本研究では、心身運動(mind-body exercise:MBE)、有酸素運動(aerobic exercise:AE)、レジスタンストレーニング(resistance training:RT)について検討を行った。2018年4月26日までの研究をCochrane Library、Medline、Embase、PsycINFOより検索を行った。陰性症状の評価のため、統合失調症患者におけるPE群と任意の対照群を比較したランダム化比較試験を含めた。本メタ解析は、PRISMAガイドラインに従って実施した。研究の方法論的な質の評価には、Cochrane Risk of Bias assessment toolを用いた。モデレーター分析、感度分析、メタ回帰分析を用いて、異質性の分析および研究の質への影響を調査した。 主な結果は以下のとおり。・抽出された研究は、22件(1,249例)であった。・全体的な方法論的な質は低かった。・メタ解析(変量効果モデル)では、任意のPEは、任意の対照条件と比較し、中程度の有意な効果が認められた(Hedges’g:0.434、95%CI:0.196~0.671)。・任意の対照群と比較し、MBEでは中程度の有意な効果(Hedges’g:0.461)、AEではわずかに有意な効果(Hedges’g:0.341)が認められた。・RTの効果は、調査できなかった。・全体的に不均一性が高く(I2:76%)、モデレーター分析または感度分析では低減できなかった。 著者らは「PEは、統合失調症患者の陰性症状治療において有望な介入となりうることが示唆された。しかし、抽出された研究の質は低く、異質性が高かったため、明確に推奨することは困難であり、慎重な解釈が求められる」としている。

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いつ降参するべきか?【Dr. 中島の 新・徒然草】(267)

ニ百六十七の段 いつ降参するべきか?ある日の脳外科外来。患者さんは70歳代の男性。中島「再診予約ですが、3月26日の火曜日はどうですか?」患者「うーん」スマホのカレンダーアプリを見ながら患者さんが返事をします。中島「では、4月9日の火曜日はどうでしょう」患者「ちょっと待ってえな」せかしているつもりは、まったくないのですけど。中島「じゃあ、4月26日の金曜日はどうですか」患者「そうしておいてもらおうかな」中島「MRIを撮影したら、その後、すぐ外来に来てくださいね」患者「うーん」中島「はい、お大事に」患者「4月の…26…」目の前におられる患者さんはスマホ相手に格闘中です。ご自分のスケジュールを見ているのですが、確認も入力も追いつきません。ついつい、こちらも横から患者さんの画面をのぞき込んでしまいました。中島「大変そうですね」患者「そうなんよ、会議やらいろいろあって」「操作が大変そう」という意味で言ったのですけど。患者「毎週火曜日は会社の会議があってな」中島「えっ?」患者「忙しいんや」中島「そう言ってもらったら最初から火曜日以外で探していたのに!」患者「うーん。それもそうやな」スマホは便利だけど、高齢者はサクサクいかないようです。患者「でも、4月9日やったかな。そっちでもエエけどな」中島「さっき4月26日に決めたところじゃないですか!」患者「ほな、やめとくわ」中島「こちらが聞いた時に答えてくださいよ(泣)」外来では「いつまで待たせるんだ」と、よくお叱りを受けます。でも、診察室ではこういう苦労もあるのです。中島「もうね、手帳のほうが速いんじゃないですか」患者「そんなん言わんといてえな」若い人はサッとスマホを出して、すぐにその場で入力します。でも、高齢者はそうはいきません。紙にメモしておいて、診察室を出てからゆっくりスマホに入力していただければいいのですけど。私も年をとって、徐々に新しいデバイスについていけなくなってきました。VPシャントの圧調整なんか、よく分からなくて途方に暮れてしまいます。でも、身分相応、年相応というのは忘れないよう心掛けます。文明の利器が使えなくなったら、潔く降参いたしましょう。最後に1句便利でも 使えないなら 諦めよう

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