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ペムブロリズマブ単剤のNSCLC1次治療、日本の実臨床での成績/ESMO2019

 ペムブロリズマブと化学療法の併用は、PD-L1陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の初回治療において、化学療法に比べ著明な生存ベネフィット効果を示す。しかし、その毒性はペムブロリズマブ単剤に比べ高い。そのため、実臨床において、PD-L1 50%以上のNSCLC患者にペムブロリズマブ単剤を用いるか、化学療法との併用を用いるか、その判断は難しい。加えて、それらの試験対象は良好な状態の患者であり、その結果は実臨床の状況を完全に反映しているとは限らない。 そのため、実臨床においてペムブロリズマブ単剤が適合する患者を特定するとともに、多様な患者におけるペムブロリズマブ単剤の効果と安全性を評価することを目的に、Hanshin Oncology critical Problem Evaluate group(HOPE)の11施設で、多施設後ろ向きコホート研究を実施している。その第2回解析の結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)において、大阪国際医療センターの田宮 基裕氏が発表した。 主な結果は以下のとおり。・2017年2月1日~2018年4月30日に213例の患者が登録された。年齢中央値は71歳、男性が176例(82.6%)、ECOG PS0~1が172例(80.8%)であった。・PD-L1はTPS50~74%が97例(45.5%)、75~89%が55例(22.1%)、90~100%が69例(32.4%)であった。・Grade3以上の有害事象(AE)は39例(18.3%)に発現した。頻度の高い重篤なAEは肺炎(10例、4.7%)であったが、死亡患者はいなかった。・全奏効率は51.2%、病勢コントロール率は73.2%であった。・無増悪生存期間(PFS)中央値は8.3ヵ月(95%信頼区間[CI]:6.0~10.7)、全生存期間(OS)中央値は17.8ヵ月(95%CI:17.8~NA)であった。・単変量解析では、ECOG PS(0~1対2以上のハザード比[HR]:2.11、p=0.00061)、炎症CRP/ALB(0.3未満対0.3以上のHR:1.88、p=0.00148)、およびステロイド使用(使用なし対使用のHR:3.17、p=0.00034)が、ペムブロリズマブのPFSと有意な相関を示した。・多変量解析では、ECOG PS(0~1対2以上のHR:1.69、p=0.03138)、CRP/ALB(0.3未満対0.3以上のHR:1.92、p = 0.00153)、ステロイド使用(使用なし対使用のHR:2.94、p=0.00267)、PD-L1(50~89%対90~100%のHR:0.65、p=0.04984)が、ペムブロリズマブのPFSと有意な相関を示した。 この研究では、患者背景はさまざまであったが、結果は以前の主要な臨床試験の有効性と安全性と一致していた。また、PS不良、高炎症状態(CRP/ALB≥0.3)、およびペムブロリズマブ治療開始時のステロイド使用は、より短いPFSと独立して相関していた。 発表者の田宮 基裕氏との一問一答はこちら。この試験を実施した理由はどのようなものですか。 KEYNOTE-024、042など、ペムブロリズマブ単剤の1次治療のデータは治験のデータが多く、リアルワールドのデータはあまりありません。さまざまな患者が含まれるリアルワールドデータをいち早く出したいと考え、関西を中心に、肺がん診療を行うアクティブな先生方を集め、この試験を計画・実施しました。この試験でのサバイバルの結果をどう思われますか。 今後、長くみていくと、もう少し落ちてくるとは思いますが1年のOSが7~8割ですし、PFSも40%でテールを引いているので、全体的に良好だと思います。PD-L1のカットオフを90%にしていますが。 Annals of Oncologyなど海外ジャーナルでも、PD-L1 90%以上でデータが報告されています。自分たちも実際にやってみると、差が出たのは90%でした。本研究のPD-L1超高発現の研究は、現在、大阪大学に勤務されている枝廣先生が、さらに詳しくPLOS ONEにて報告しております。1次治療でもステロイドが入っている患者さんがいらっしゃいますね。 初回治療なのであまり入っていないと思っていたのですが、少しおられますね。喘息など自己免疫疾患の患者さんにはペムブロリズマブが使われないことが多いので、食欲不振、PS不良、疼痛、脳転移などで使われていることが多いと思います。試験で苦労したことはどのようなことですか。 まずはデータを集めることです。アクティブな先生方に集まっていただいたとはいえ、リアルワールドではさまざまなデータが入ってきます。早くデータを出すために、結果として何を出すのか、事前にかなり検討しました。また、データの収集・解析には非常に労力がかかります。協力施設の先生方には、日常業務の中、そういう厳しい仕事をしていただきました。苦労した先生方にも恩恵が出るようにしようと考え、共同演者としてお名前を出さしていただいております。また、今後も、協力施設の先生方からも本研究のデータを用いた論文が出る事を期待しています。この研究は今後も継続されるのでしょうか 今回は第2回のデータ解析ですが、今後第3回の解析を行い、さまざまな角度から発表していきたいと思います。 なお、この研究結果は、Investigatoinal New Drugs誌8月7日号オンライン版に発表されている。

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新規ADC薬・sacituzumab-govitecan、尿路上皮がんに有望(TROPHY-U-01)/ESMO2019

 転移を有する尿路上皮がん(mUC)に対する、抗体薬物複合体(ADC)である新規薬剤sacituzumab-govitecan(SG)の試験結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・Weill Cornell MedicineのScott T. Tagawa氏より発表された。 本試験(TROPHY-U-01)は、オープンラベル・シングルアームの国際共同第II相試験である。本試験薬(SG)は、尿路上皮がんやトリプルネガティブ乳がんなどの腫瘍細胞表面に高発現しているTrop-2タンパクを標的としたヒト化抗体(hRS7)に、トポイソメラーゼ阻害薬であるSN-38を分子レベルで結合させた新規のADCである。 対象はプラチナ系薬剤と免疫チェックポイント阻害薬(CPI)の前治療歴のあるmUC患者(コホート1)100例、およびプラチナ系薬剤不適応でCPI治療後の病勢進行患者40例(コホート2)。試験群にはSG10mg/kgをday1、8に投与3週間ごと。主要評価項目は奏効率(ORR)、副次評価項目は安全性、奏効期間、無増悪生存期間、全生存期間であった。今回は、コホート1の35例による中間解析結果の報告である。 主な結果は以下のとおり。・前治療のライン数の中央値は3(2~6)で、63%の症例に内臓転移があった(肺転移40%、肝転移23%、その他11%)。・追跡期間中央値4.1ヵ月時点での全体のORRは29%(CR:6%、PR:23%)で、前治療が2ラインのサブグループでは18%。3ライン以上のサブグループでは33%であった。・内臓転移を有する症例群でも23%のORRが得られ、全症例の74%で何らかの腫瘍縮小効果が得られた。・安全性は、Grade3/4の好中球減少が55%、白血球減少が29%、発熱性好中球減少が12%、尿路感染が11%、下痢が9%、全身倦怠感6%などであり、3例が治療関連有害事象により投薬中止となっている。また、間質性肺炎や治療関連死はなかった。

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急性期抗うつ薬治療中に悪化しやすい患者像

 適切な抗うつ薬治療を行っているにもかかわらず、症状が悪化するうつ病患者の割合を調査した研究は、これまでほとんどなかった。名古屋市立大学の明智 龍男氏らは、うつ病患者を含む多施設無作為化比較試験での抗うつ薬治療中における、うつ病悪化の割合とその予測因子について検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2019年9月9日号の報告。 うつ病悪化の定義には、抗うつ薬治療中の急性期うつ病患者を評価するために用いた0~9週目までの総PHQ-9スコアを使用した。うつ病の悪化に対する潜在的な予測因子として、ベースライン時の人口統計学的および臨床的データ、0~3週目までのPHQ-9スコアの変化、3週時点での副作用を評価した。 主な結果は以下のとおり。・1,647例中99例(6.0%)で、うつ病の悪化が認められた。信頼性の高い変化指標基準を適用した場合、この割合は小さくなった。・ロジスティック回帰分析により、以下の因子がうつ病の悪化と有意に関連していることが明らかとなった。 ●初回うつ病エピソードの発症年齢が若い ●現在、高齢である ●0~3週目までのPHQ-9スコアの大幅な増加・本研究の限界として、プライマリエンドポイントまでの期間が十分に長くなかった点、プラセボ群が含まれておらず、潜在的に関連する予測因子を包括的に調査できていない可能性がある点などが挙げられる。 著者らは「少数の患者で、急性期の抗うつ薬治療中に、うつ症状を悪化させることがある。初回エピソードの発症年齢、現在の年齢、抗うつ薬治療での早期ネガティブレスポンスは、その後の症状悪化の有用な予測因子である可能性が示唆された」としている。

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niraparibで化療に奏効した新規進行卵巣がんのPFS改善/NEJM

 プラチナ製剤ベースの化学療法が奏効した新規診断進行卵巣がん患者では、PARP阻害薬niraparibはプラセボと比較して、相同組み換え欠損(homologous-recombination deficiency:HRD)の有無にかかわらず、無増悪生存(PFS)期間を有意に延長させることが、スペイン・Clinica Universidad de NavarraのAntonio Gonzalez-Martin氏らが行ったPRIMA/ENGOT-OV26/GOG-3012試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年9月28日号に掲載された。niraparibは、BRCA遺伝子変異の有無にかかわらず、プラチナ製剤ベースの化学療法施行後の再発卵巣がん患者のPFS期間を延長すると報告されている。一方、プラチナ製剤ベースの化学療法が奏効した新規診断進行卵巣がん患者におけるniraparibの有効性は知られていない。また、BRCA遺伝子変異は、腫瘍が何らかのHRDを有することを示しているが、BRCA遺伝子変異が陰性の場合は腫瘍のゲノム不安定性のパターンが、そのような表現型を付与する可能性があるという。niraparibの有効性を階層的検定法を用いて評価 本研究は、20ヵ国181施設が参加した第III相の二重盲検プラセボ対照無作為化試験であり、2016年7月~2018年6月の期間に患者登録が行われた(GlaxoSmithKlineの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、新規に診断され組織学的に確定された卵巣、腹膜、卵管の進行がんとし、国際産婦人科連合(FIGO)の基準でStageIII/IVの漿液性または類内膜腫瘍の患者であった。 被験者は、プラチナ製剤ベースの化学療法の最終投与から12週以内に、niraparibまたはプラセボを1日1回経口投与する群に、2対1の割合で無作為に割り付けられた。治療は、28日を1サイクルとして36ヵ月または病勢が進行するまで行われた。 主要エンドポイントはPFSとし、階層的検定法(hierarchical-testing method)を用いて、HRD腫瘍を有する患者の評価を行った後に、全患者の検討が行われた。また、PFSの解析時に、事前に規定された全生存(OS)の中間解析が実施された。niraparib群はBRCA遺伝子変異の有無にかかわらず、HRD腫瘍と全患者でPFSが良好 733例が登録され、niraparib群に487例(年齢中央値62歳[範囲:32~85])、プラセボ群には246例(62歳[33~88])が割り付けられた。373例(50.9%)がHRD腫瘍(niraparib群247例、プラセボ群126例)を有していた。 HRD腫瘍を有する患者のPFS期間中央値は、niraparib群が21.9ヵ月と、プラセボ群の10.4ヵ月に比べ、有意に長かった(ハザード比[HR]:0.43、95%信頼区間[CI]:0.31~0.59、p<0.001)。また、全患者のPFS期間中央値は、niraparib群が13.8ヵ月であり、プラセボ群の8.2ヵ月に比し、有意に延長した(0.62、0.50~0.76、p<0.001)。 OSの中間解析では、全患者の24ヵ月OS率はniraparib群が84%、プラセボ群は77%であった(HR:0.70、95%CI:0.44~1.11)。また、HRD腫瘍患者の24ヵ月OS率はniraparib群が91%、プラセボ群は85%であった(0.61、0.27~1.39)。 BRCA遺伝子変異陽性例では、HRD腫瘍患者のPFS期間中央値はniraparib群が22.1ヵ月、プラセボ群は10.9ヵ月であった(HR:0.40、95%CI:0.27~0.62)。また、また、BRCA遺伝子変異陰性のHRD腫瘍患者のPFS期間中央値は、niraparib群が19.6ヵ月、プラセボ群は8.2ヵ月であった(0.50、0.31~0.83)。 niraparib群で最も頻度の高いGrade3以上の有害事象は、貧血(31.0%)、血小板減少(28.7%)、好中球減少(12.8%)であった。niraparib群で、有害事象による減量が70.9%に、治療中止は12.0%に認められた。治療関連死はみられなかった。 著者は「歴史的に、PARP阻害薬の臨床効果はBRCA遺伝子変異と関連するとされてきたが、niraparibはBRCA遺伝子変異の有無にかかわらず、プラセボと比較してHRD腫瘍患者および全患者の双方においてPFS期間の延長をもたらすことが確かめられた」としている。

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BRAF V600E遺伝子変異大腸がん、MAPK経路標的の3剤併用は?/NEJM

 BRAF V600E遺伝子変異陽性の転移を有する既治療大腸がん患者の治療では、エンコラフェニブ(BRAF阻害薬)+セツキシマブ(抗EGFRモノクローナル抗体)+ビニメチニブ(MEK阻害薬)併用療法およびエンコラフェニブ+セツキシマブ併用療法は標準治療と比較して、いずれも全生存(OS)期間を有意に延長し、奏効率も有意に高いことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのScott Kopetz氏らが行ったBEACON CRC試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年9月30日号に掲載された。BRAF V600E遺伝子変異陽性の転移を有する大腸がんの予後は不良であり、初回治療不成功後のOS期間中央値は4~6ヵ月とされる。また、BRAFだけを阻害しても、上皮成長因子受容体(EGFR)シグナル伝達を介して伝達路が再活性化されるため、腫瘍縮小効果は限定的だという。この3剤併用レジメンは、MAPKシグナル伝達経路を最も効果的に阻害する併用療法としてデザインされた。BRAF V600E遺伝子変異陽性の転移を有する既治療大腸がん患者を3群で比較 研究グループ(日本を含む)は、BRAF V600E遺伝子変異陽性の転移を有する既治療大腸がん患者において、エンコラフェニブ+セツキシマブ±ビニメチニブの効果を標準治療と比較する目的で、非盲検無作為化第III相試験を実施した(Array BioPharmaなどの助成による)。 対象は、組織学的および細胞学的に確定されたBRAF V600E遺伝子変異陽性の転移を有する大腸がんで、1または2レジメンの治療を受けた後に病勢が進行した患者であった。 被験者は、3剤併用群、2剤併用群、対照群(標準治療)に1対1対1の割合で無作為に割り付けられた。3剤併用群にはエンコラフェニブ(300mg/日)+セツキシマブ(初回400mg/m2、以降は250mg/m2/週)+ビニメチニブ(45mg、1日2回)が、2剤併用群にはエンコラフェニブ(300mg/日)+セツキシマブ(初回400mg/m2、以降は250mg/m2/週)が投与され、対照群では、治験責任医師の裁量でセツキシマブ+イリノテカンまたはセツキシマブ+FOLFIRI(フォリン酸、フルオロウラシル、イリノテカン)のいずれかが選択された。 主要エンドポイントは、3剤併用群の対照群と比較したOS期間および客観的奏効率とした。副次エンドポイントは、2剤併用群の対照群と比較したOS期間であった。今回は、事前に規定された中間解析の結果が報告された。 2017年5月~2019年1月の期間にBRAF V600E遺伝子変異陽性の転移を有する既治療大腸がん患者665例が登録され、3剤併用群に224例(年齢中央値62歳[範囲:26~85]、女性53%)、2剤併用群に220例(61歳[30~91]、48%)、対照群には221例(60歳[27~91]、57%)が割り付けられた。客観的奏効率の評価は331例(3剤併用群111例、2剤併用群113例、対照群107例)で行われた。フォローアップ期間中央値は7.8ヵ月だった。OSは標準治療よりも3剤が48%、2剤は40%改善 対象となったBRAF V600E遺伝子変異陽性の転移を有する既治療大腸がん患者のOS期間中央値は、3剤併用群が9.0ヵ月と、対照群の5.4ヵ月に比べ48%有意に延長した(ハザード比[HR]:0.52、95%信頼区間[CI]:0.39~0.70、p<0.001)。また、2剤併用群のOS期間中央値は8.4ヵ月であり、対照群の5.4ヵ月に比し40%有意に長かった(0.60、0.45~0.79、p<0.001)。 客観的奏効率は、3剤併用群が26%(完全奏効4%、部分奏効23%)と、対照群の2%(部分奏効2%)に比べ有意に高かった(p<0.001)。また、2剤併用群の客観的奏効率は20%(完全奏効5%、部分奏効15%)であり、対照群の2%よりも有意に高率であった(p<0.001)。 無増悪生存(PFS)期間中央値は、3剤併用群が4.3ヵ月、2剤併用群が4.2ヵ月、対照群は1.5ヵ月であった。対照群と比較した3剤併用群のHRは0.38(95%CI:0.29~0.49、p<0.001)、2剤併用群のHRは0.40(0.31~0.52、p<0.001)であり、いずれも有意な差が認められた。 3剤併用群のBRAF V600E遺伝子変異陽性の転移を有する既治療大腸がん患者で頻度の高い有害事象は、消化器関連イベント(下痢62%、悪心45%、嘔吐38%)および皮膚関連イベント(ざ瘡様皮膚炎49%)であった。Grade3以上の有害事象は、3剤併用群が58%、2剤併用群が50%、対照群は61%で認められた。有害事象による治療中止はそれぞれ7%、8%、11%で、致死的有害事象は4%、3%、4%でみられ、治療関連死は3例が報告された(3剤併用群:結腸穿孔、対照群:アナフィラキシー、呼吸器不全)。 著者は、「対照群の結果は、最近の前向き研究のデータに基づき予測されたとおりであった。この試験は3剤と2剤を比較する検出力はなく、中間解析の性質上の限界もあるが、OSは3剤のほうが良好な傾向がみられた(HR:0.79、95%CI:0.59~1.06)。2つのレジメンの相対的な利益を明らかにするには、さらなるフォローアップが必要である」としている。

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小細胞肺がんに対するデュルバルマブ+化学療法の成績(CASPIAN)/ESMO2019

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)においてデュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)と化学療法の併用を評価する第III相CASPIAN試験の結果が、世界肺がん学会(WCLC2019)で発表され、化学療法へのデュルバルマブの追加により、全生存期間(OS)の有意な改善が示された。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)では、最新の解析結果が、スペイン・Hospital Universitario 12 de OctubreのLuis Paz-Ares氏により報告された。・対象:未治療のES-SCLC患者(WHO PS 0/1)・試験群: デュルバルマブ+エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(D+EP群) デュルバルマブ+tremelimumab+エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(D+T+EP群)・対照群:  エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(EP群)・評価項目: [主要評価項目]OS [副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、全奏効率(ORR)、安全性、忍容性 ESMO2019での発表は、D+EP群とEP群における、臨床関連分析(Clinically relevant analysis)の結果である。 主な結果は以下のとおり。・2019年3月11日の時点で、D+EP群265例とEP群266例が各治療を受けた。・OS中央値はD+EP群13.0ヵ月、EP群10.3ヵ月で、D+EP群が有意に良好であった(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.591~0.090、p=0.0047)・PFS中央値はD+EP群5.1ヵ月、EP群5.4ヵ月であった(HR:0.78、95%CI:0.645~0.936)・PD-L1評価可能な症例277例(D+EP群151例、EP群126例)のうちPD-L1発現が1%未満の症例は、TCで94.9%、ICで77.6%と、PD-L1発現症例は少なかった。・PD-L1発現とOSの関係は示されなかった(TCのp=0.54、ICのp=0.23)。・患者報告アウトカム(PRO)による症状悪化までの期間(TTD)は、すべての項目においてD + EP群が長かった。 ES-SCLCの1次治療におけるデュルバルマブのエトポシド+シスプラチン/カルボプラチンへの追加は、有意にOSを改善する一方、QOLを維持し、症状悪化までの時間を延長した。

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「病院のお金」を学ぶ本【Dr.倉原の“俺の本棚”】第23回

【第23回】「病院のお金」を学ぶ本皆さん、考えてみたことはありませんか? なぜガッポリ儲かっている病院と、赤字で経営破綻する病院があるのか?私は、この本のタイトルにあるように、まぎれもなく“中堅どころ”の医師なのですが、この質問に答えられる自信がありません。病院経営について詳しくないからです。毎日の外来・入院業務に追われ、病床稼働率がどーのこーのなんて、ぶっちゃけ馬耳東風。しかし、将来みなさんが経営に携わる立場になるかどうかはともかく、中堅医師にとって避けて通れないのが、病院のお金の流れを勉強すること。筆者らは、総合病院における医療経営の入門本がないことを懸念して、この本を出版しました。実際、ちまたにあふれる病院経営本なんて、「開業医のための節税うんたら」みたいな本が多いです。ほとんど詐欺みたいな本もあります。おっと、口が滑った。『“中堅どころ”が知っておきたい 医療現場のお金の話』中西 康裕、今村 知明/著. メディカ出版. 2019さて、みなさんは「在院日数を短縮してください!」と言われたことはないですか? 中堅どころの勤務医ならば、看護師長に何度もこの話をされてきたのではないでしょうか。しかし、なぜ在院日数を短縮すれば経営に有利になるのか、わかっている人は多くないはずです。在院日数を短縮させることによって、病床回転率が上がります。入院初期の診療報酬が高い時点で、たくさん治療を適用して、ある程度落ち着けばすぐに退院させるという戦略です。これを繰り返せば、1ベッドあたりの診療報酬が高い状態が維持できるので、病院の経営が良くなるというロジックです。しかしこの本によれば、その考え方は半分誤りとのこと。診療報酬で得られる収益だけでなく、支出(材料費)も入院初期がもっとも高くなり、収益からコストを差し引いた利益額がさほど変わらないためです。国が推進する在院日数短縮を信じてきたがゆえに、赤字に転落している病院も多くあります。退院を促進し過ぎて、本末転倒なことに空床が出てしまっているからです(病床利用率の低下)。このほか、診療報酬、急性期一般入院料の話や、消費増税によって被る病院の打撃など、お金に関するテーマがたくさんあります。消費増税って、患者さんが支払う額が増えるんでしょ? と誤解している人も多いですが、消費増税でダメージをくらうのは、実は病院です。しかも、手術件数が多い大病院ほど増税による影響が大きいとのこと。なぜそういう仕組みになってるのか、図入りで詳しく解説されていますので、確認してみてください。この本の良いところは、図表がめちゃくちゃ見やすく、お金や経営の初心者でもわかりやすく読めるようになっていることです。上述したように、開業医の経営本とはまったく違って、あくまで総合病院の経営の舵取りがどのように行われてるかを、病院職員として知ってもらいたいという筆者の意図が、よく伝わります。ただただ、良本。『“中堅どころ”が知っておきたい 医療現場のお金の話』中西 康裕、今村 知明/著出版社名メディカ出版定価本体2,800円+税サイズB5判刊行年2019年

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自然呼吸で吸入可能な1回完結型インフル治療薬「イナビル吸入懸濁用160mgセット」【下平博士のDIノート】第35回

自然呼吸で吸入可能な1回完結型インフル治療薬「イナビル吸入懸濁用160mgセット」今回は、長時間作用型ノイラミニダーゼ阻害薬「ラニナミビル(商品名:イナビル吸入懸濁用160mgセット)」を紹介します。本剤は、吸入力が弱く、既存の吸入粉末薬の使用が困難だった小児や高齢者などにも使える1回完結型のインフルエンザ治療薬として期待されています。<効能・効果>本剤は、A型またはB型インフルエンザウイルス感染症の適応で、2019年6月18日に承認され、2019年10月25日より発売される予定です。なお、既存の吸入粉末薬とは異なり、予防投与としては使用できません。<用法・用量>成人および小児には、ラニナミビルオクタン酸エステルとして160mgを日本薬局方生理食塩液2mLで懸濁し、ネブライザを用いて単回吸入投与します。<副作用>国内で実施された第III相試験において、安全性評価対象症例441例中9例(2.0%)に副作用が認められました。主な副作用は、下痢・嘔吐が各2例(0.5%)、便秘・悪心・虚血性大腸炎が各1例(0.2%)でした。インフルエンザ異常行動・言動に該当する有害事象は1例(気分変化)に認められましたが、本剤との因果関係は「関連なし」と判定されています。なお、重大な副作用として、ショック、アナフィラキシー、気管支攣縮、呼吸困難、異常行動、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死融解症(TEN)、多形紅斑(いずれも頻度不明)が吸入粉末薬で認められている重大な副作用として注意喚起されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、インフルエンザウイルスの増殖を抑えることで、インフルエンザの症状を緩和します。2.吸入時は、吸入マスクを口元にあててリラックスしながら、深く口で呼吸してください。3.小児が泣いたり暴れたりして吸入の継続が困難になった場合、いったん機械を止めて、落ち着いてから吸入を再開してください。霧が出なくなったら終了です。4.インフルエンザにかかった時は、薬の有無や種類を問わず飛び降りなどの異常行動を起こす恐れがあります。発熱から少なくとも2日間は、窓の鍵を確実にかけるなど、転落などの事故に対する防止対策を徹底してください。<Shimo's eyes>同成分の既存の剤形として吸入粉末薬がありますが、今回ネブライザで吸入するタイプの製剤が発売されます。本剤は、吸入力が弱い小児や高齢者でも十分量の吸入が期待できます。ジェット式ネブライザを使用して吸入するため、通常は吸入用機器(コンプレッサー)を設置している病院で使用されることが想定されます。凍結乾燥製剤の溶解に用いる生理食塩水、シリンジ、注射針などは、医療施設で用意する必要があります。吸入粉末薬と異なる点として、添加剤に乳糖が含まれないので、乳糖不耐症や乳製品アレルギーなどの患者に対しても使用できます。また、年齢に応じた用量の設定はありません。本剤は、従来の吸入容器による吸入手技を必要としないため、医療機関の感染予防対策にも有効と考えられます。

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アパルタミド、転移のない去勢抵抗性前立腺がんのOSを改善(SPARTAN試験)/ESMO2019

 遠隔転移のない去勢抵抗性前立腺がん(nmCRPC)に対する、アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬であるアパルタミドの試験結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・Massachusetts General Hospital Cancer Center and Harvard Medical SchoolのMatthew R. Smith氏より発表された。 本試験(SPARTAN試験)は、日本も参加した国際共同のプラセボコントロールの第III相試験である。過去に、1回目の中間解析が実施され、アパルタミドが有意に無転移生存期間を延長したことが報告されている。今回の報告は2回目の中間解析結果であり、全生存期間(OS)、化学療法施行までの期間(TTC)、安全性についての発表。・対象:PSA倍加時間が10ヵ月以下のnmCRPC患者1,207例(2cm未満の骨盤内リンパ節への転移は許容)・試験群:アンドロゲン除去療法(ADT)+アパルタミド240mg/日(APA群)・対照群:ADT+プラセボ(ADT群)・評価項目 [主要評価項目]無転移生存期間 [副次評価項目]OS、TTC、無増悪生存期間(PFS)、転移発現までの期間、症状発現までの期間 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中央値41ヵ月であった。・今回の解析では、OS中央値はAPA群ADT群ともに未到達。ハザード比(HR)は0.75(95%信頼区間[CI]:0.59~0.96)、p=0.0197であった。今回のOSの解析は、最終的なOS解析に必要な427イベントのうち285イベント(67%)の発生時点でのものであり、有意性のp値は0.0121と事前設定されていたため、統計学的な有意差が示せなかった。・4年OS率はAPA群72.1%、ADT群64.7%であった。・ADT群の19%(76例)は、アパルタミドのクロスオーバー投与を受けていた。・TTC中央値は、APA群ADT群ともに未到達であった。そのHRは0.60(95%CI:0.45~0.80)であった。化学療法剤の投与を受けた患者は、APA群で14%、ADT群で20%であった。・探索的解析のPFS2(割り付けから2次治療までで病勢進行もしくは死亡するまでの期間)中央値はAPA群55.6ヵ月、ADT群43.8ヵ月、HR0.55(95%CI:0.45~0.68)、p<0.0001であった。・2次治療を受けた患者はAPA群で40%、ADT群で69%、主な2次治療薬はアビラテロンであった。・Grade3/4の有害事象はAPA群で53.1%、ADT群で36.7%、重篤な有害事象は33.5%と24.9%であり、既報と同様であった。

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日本における認知症の重症度と社会的介護コスト

 アルツハイマー病患者への直接的な社会的支援のコストは高まっており、高齢化に伴い、今後さらに増加し続けると予想される。藤田医科大学の武地 一氏らは、日本における長期介護保険でのアルツハイマー病に対する直接的な社会的支援のコストを推定するため、検討を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2019年9月2日号の報告。 本研究は、メモリークリニックを受診したアルツハイマー病患者または軽度認知障害患者169例に対し、長期にわたるフォローアップを行った横断的研究である。認知症の重症度、介護サービスの利用、コストについて分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・軽度、中等度、重度の認知症患者の間で、直接的な社会的支援の利用およびコストの有意な増加が認められた(p<0.001)。・とくに、デイサービスとショートステイサービスの利用は、認知症の重症度とともに増加が認められた(p<0.001)。・対象患者を長期介護保険の介護レベルで層別化した場合でも、同様の結果であった。・169例中49例は長期介護保険の申請をしていなかったが、要支援1と要介護1では、認知症の重症度に違いは認められなかった。・申請しなかった群と申請および認定された群におけるロジスティック回帰分析では、認知症の重症度だけではなく、年齢(OR:1.112、95%CI:1.037~1.193、p=0.003)、居住形態(OR:0.257、95%CI:0.076~0.862、p=0.028)でも有意な差が認められた。 著者らは「アルツハイマー病の患者数が増加するにしたがって、直接的な社会的コストも増加する。本研究は、アルツハイマー病の診断後に提供される直接的な社会的支援のタイプを標準化することや、費用対効果の高い介護の開発に役立つであろう」としている。

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21遺伝子再発スコアが高いHR+早期乳がんでの術後化学療法の併用効果(TAILORx 2次解析)/ESMO2019

 リンパ節転移のないホルモン感受性(HR)陽性HER2陰性の早期乳がん患者で、21遺伝子アッセイによる再発スコアが高い(26〜100)場合、術後にタキサンとアントラサイクリン両方もしくはどちらかを含む化学療法と内分泌療法を併用したほうが、内分泌療法単独よりもアウトカムが良好であることが、TAILORx試験の2次解析で示唆された。スペインで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・Albert Einstein College of MedicineのJoseph A. Sparano氏が発表した。この結果はJAMA Oncology誌オンライン版2019年9月30日号に同時掲載された。 乳がん組織の21遺伝子アッセイによる再発スコアが高い場合、化学療法によるベネフィットが得られることが予測され、低い場合は内分泌療法のみでも再発リスクが低いことが予測されている。しかし、再発スコアの高い患者にタキサンやアントラサイクリンを含むレジメンで治療した場合のアウトカムについて、前向き試験でのデータはほとんどない。今回、多施設無作為化試験であるTAILORx試験より、腋窩リンパ節転移のないHR陽性HER2陰性の早期乳がんのうち、再発スコアが26~100の患者を対象に、術後補助療法として内分泌療法と化学療法(レジメンは主治医選択)を実施した患者の無遠隔再発生存率(DRFI)と無浸潤疾患生存率(IDFS)が検討された。 主な結果は以下のとおり。・適格患者9,719例のうち再発スコア26~100の患者は1,389例(14%)で、年齢中央値は56歳(範囲:23~74歳)であった。・主な化学療法レジメンは、ドセタキセル+シクロホスファミド(TC)42%、アントラサイクリンのみ(A without T)24%、アントラサイクリン+タキサン(A and T)18%、シクロホスファミド/メトトレキサート/5-FU(CMF)4%で、その他 6%、化学療法なし 6%であった。・化学療法と内分泌療法で治療された患者のDRFIは、5年で93.0%(標準誤差[SE]:0.8%)、9年で86.8%(SE:1.7%)であったのに対し、内分泌療法単独では、B20試験における化学療法の治療効果に基づいて予測されたDRFIは5年で78.8%(SE:14.0%)、9年で65.4%(SE:10.4%)であった。・同様に、化学療法と内分泌療法で治療された患者のIDFSは、5年で88.1%(SE:0.8%)、9年76.28%(SE:1.7%)で、内分泌療法単独では、予測されたIDFSは5年で74.7%(SE:14.6%)、9年で55.3%(SE:8.9%)であった。・レジメン別にみると、5年DRFIは、TC 92.7%、A without T 92.3%、A and T 95.1%、CMF 88.5%、その他 95.5%、また、5年IDFSは、TC 88.1%、A without T 87.4%、A and T 88.6%、CMF 84.0%、その他 91.3%であった。 これらの結果から、Sparano氏は「術後化学療法の投与指針として21遺伝子アッセイの使用を支持するエビデンスが追加された」と述べた。

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東京2020で発生しうる患者とその対応策/日本救急医学会

 東京2020オリンピック・パラリンピックの開催まで300日を切った。この開催を迎える上で医学的に重要なのは、熱中症やインバウンド感染症、そしてテロへの対策ではないだろうか。そこで、医学系学会のうち25団体(2019年10月現在)が“2020年東京オリンピック・パラリンピックに係る救急・災害医療体制を検討する学術連合体(コンソーシアム)”を結成。リスクを想定し、対策に取り組んでいる。 この構成団体の中のうち、日本救急医学会ほか5学会(日本臨床救急医学会、日本感染症学会、日本外傷学会、日本災害医学会、日本集中治療医学会)と東京都医師会の担当委員が、2019年10月2~4日に開催された第47回日本救急医学会総会・学術集会のパネルディスカッション8「2020年東京オリンピック・パラリンピックに関わる救急・災害医療体制を検討する学術連合体の活動現状と今後の展開について」にて、各学会の委員会活動の進捗を報告した。オリンピックは特別な状況 日本臨床救急医学会の溝端 康光氏(大阪市立大学大学院医学研究科 救急医学)は、日本臨床救急医学会が昨年12月に『熱中症』ガイドラインと『訪日外国人医療』ガイドラインを発刊したことを報告。現在、熱中症に関する診療には日本救急医学会が作成した『熱中症診療ガイドライン2015』の利用が推奨されているが、新たに発刊された両ガイドラインは初期対応や救急外来受診時間の傾向、外国人対応医療機関の検索、医療通訳、宗教背景、帰国時手続きなど、オリンピックが終了した後でも問題になりうる内容も踏まえ、経験豊富な学会員によって執筆されたという。 日本感染症学会の佐々木 淳一氏(慶應義塾大学医学部 救急医学)は、過去の夏季オリンピックから実際の患者数を疾患別に分析し、「胃腸炎患者が最も多かった」と報告。感染症対策として、“救急外来部門における感染対策チェックリスト”やインバウンド感染症対応のための“感染症クイック・リファレンス”作成について説明した。銃創・爆傷患者が運ばれてきたら… オリンピックではテロの危険性も高まる。テロによる銃創や爆傷は1分1秒を争う状況を要するため初動がとくに重要である。日本外傷学会/日本災害医学会代表の大友 康裕氏(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 救急災害医学)は、「地震などを想定して策定したBCP(事業継続計画)では不十分」とし、銃創におけるレントゲン活用の有用性、爆傷で生じる爆傷肺や眼の損傷への対処法を解説。国際的に使用されているタニケットによる止血法については、「病院での受入体制が遅れている」と危機感をあらわにした。また、災害やテロ被害時には「“重傷者が軽症者の後に運ばれてくる”ことを念頭に置くことが多くの救命につながる」ともコメントした。 そのほか、日本集中治療学会、日本麻酔学会や東京都医師会担当者からは、院内ICUを救急ICUと統合する拡張運用など、患者数増加を見込んだ措置を検討しているとの報告が挙がった。 なお、本コンソーシアムでは2016年の開設以降、現在35のマニュアルやガイドライン、提言などをホームページで発信し、各関連学会が作成したe-learningでの個人学習も推奨している。このサイトから関連学会のみならず官公庁にもアクセス可能なので、とっさの時の情報収集に有用かもしれない。

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胃がん周術期SOX、術後XELOXに対する優越性示す(RESOLVE)/ESMO2019

 局所進行胃がんに対する周術期(術前および術後)のオキサリプラチンとS-1の併用療法の有効性を検討した試験(RESOLVE試験)の結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で発表された。中国・北京大学のJiafu Ji氏による発表。 RESOLVE試験は、術前および術後化学療法としてのSOX(S-1+オキサリプラチン)の有効性ならびに安全性を術後SOXおよび術後XELOX(カペシタビン+オキサリプラチン)と比較した第III相試験である。対象者は胃切除リンパ節郭清(D2)を受けたcT4a/N+M0またはcT4bNxM0の胃がん患者1,094例で、以下の3群に割り付けられた。・試験群:Arm A:D2郭清術後XELOX治療群(345例)Arm B:D2郭清術後SOX治療群(340例)Arm C:D2郭清術前・術後SOX治療群(337例)・評価項目:[主要評価項目]3年無病生存率(DFS)[副次評価項目]5年生存率(OS)、安全性 本試験ではArm CのArm Aに対する優越性、ならびにArm BのArm Aに対する非劣性が検証された。 主な結果は以下のとおり。・<Arm A vs. Arm C> 周術期SOX群(Arm C)は、術後XELOX群(Arm A)に比較して有意に3年DFSを延長した(Arm C:62.0%、Arm A:54.8%、ハザード比[HR]:0.79、95%信頼区間[CI]:0.62~0.99、p=0.045)。・<Arm A vs. Arm B> 術後SOX群(Arm B)の術後XELOX群(Arm A)に対する3年DFSの非劣性が証明された(Arm B:60.3%、Arm A:54.8%、ハザード比[HR]:0.85、95%信頼区間[CI]:0.67~1.07、p=0.162)。・周術期、術後SOX群のどちらにおいても、術後XELOXと比較して治療関連有害事象の増加は見られなかった。

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ニンテダニブ、進行性線維化を伴う間質性肺疾患に有効/NEJM

 進行性線維化を伴う間質性肺疾患の治療において、ニンテダニブはプラセボと比較して、努力性肺活量(FVC)の年間低下率が小さく、この効果は高分解能CT画像上の線維化のパターンとは独立に認められることが、米国・ミシガン大学のKevin R. Flaherty氏らが行ったINBUILD試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年9月29日号に掲載された。ニンテダニブは、細胞内チロシンキナーゼ阻害薬であり、前臨床データでは肺線維症の進行に関与するプロセスを阻害することが示唆されている。特発性肺線維症(IPF)および全身性強皮症を伴う間質性肺疾患患者では、ニンテダニブ150mgの1日2回投与により、FVCの低下が抑制されたと報告されている。年間FVC低下率を評価するプラセボ対照無作為化試験 本研究は、日本を含む15ヵ国153施設が参加した二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験であり、2017年2月~2018年4月の期間に患者登録が行われた(Boehringer Ingelheimの助成による)。 対象は、年齢18歳以上の線維化を伴う間質性肺疾患の患者であった。IPFはすでに検討が行われているため、IPF以外の進行性線維化の表現型を登録することとし、高分解能CT画像上で、線維化肺疾患が肺容量の10%超に及ぶと中央判定で確定された患者を登録した。また、患者は、治療にもかかわらず過去24ヵ月間、間質性肺疾患の進行の基準を満たし、FVCが予測値の45%以上、一酸化炭素肺拡散能(ヘモグロビン量で補正)が予測値の30~<80%であることとした。 被験者は、ニンテダニブ(150mg、1日2回)またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは、52週の期間における年間FVC低下率とし、全体および通常型間質性肺炎(usual interstitial pneumonia:UIP)様の線維化パターンの集団で解析を行った。平均年間FVC低下率を107.0mL抑制 663例が1回以上の薬剤の投与を受けた。ニンテダニブ群が332例、プラセボ群は331例であった。412例(62.1%、両群206例ずつ)がUIP様線維化パターンだった。 全体の平均年齢は65.8±9.8歳、予測FVC値は69.0±15.6%、予測肺拡散能は46.1±13.6%であった。間質性肺疾患の最も多い診断名は、慢性過敏性肺炎(26.1%)と自己免疫性間質性肺疾患(25.6%)だった。ニンテダニブ群は252例(75.9%)、プラセボ群は282例(85.2%)が52週の治療を完了した。 52週時の補正平均年間FVC低下率は、ニンテダニブ群が-80.8±15.1mL/年、プラセボ群は-187.8±14.8mL/年であり、両群間の差は107.0mL/年(95%信頼区間[CI]:65.4~148.5)と、低下の程度がニンテダニブ群で有意に抑制されていた(p<0.001)。 また、UIP様線維化パターンの集団における補正平均年間FVC低下率は、ニンテダニブ群が-82.9±20.8mL/年と、プラセボ群の-211.1±20.5mL/年に比べ128.2mL/年(95%CI:70.8~185.6)低く、有意差が認められた(p<0.001)。 52週時のKing’s Brief Interstitial Lung Disease(K-BILD)質問票(3つのドメイン[息切れと活動性、心理学的因子、胸部症状]に関する15の質問項目から成る。0~100点、点数が高いほど健康状態が良好)の総スコアのベースラインからの平均変化は、全体ではニンテダニブ群が0.55±0.60点、プラセボ群は-0.79±0.59点(群間差:1.34、95%CI:-0.31~2.98)であり、UIP様線維化パターンの患者ではそれぞれ0.75±0.80点、-0.78±0.79点(1.53、-0.68~3.74)であった。 52週時の間質性肺疾患の増悪または死亡は、全体ではニンテダニブ群が7.8%、プラセボ群は9.7%(群間差:0.80、95%CI:0.48~1.34)、UIP様線維化パターンの患者ではそれぞれ8.3%および12.1%(0.67、0.36~1.24)であった。また、52週時の死亡は、全体ではそれぞれ4.8%および5.1%(0.94、0.47~1.86)、UIP様線維化パターンの患者では5.3%および7.8%(0.68、0.32~1.47)だった。 最も頻度の高い有害事象は両群とも下痢であり、ニンテダニブ群が66.9%、プラセボ群は23.9%で発現した。また、ニンテダニブ群で多い有害事象として、悪心(28.9% vs.9.4%)、嘔吐(18.4% vs.5.1%)、食欲減退(14.5% vs.5.1%)、肝機能異常(ALT上昇:13.0% vs.3.6%、AST上昇:11.4% vs.3.6%)が認められた。重篤な有害事象はそれぞれ32.2%、33.2%にみられた。 著者は「これらのニンテダニブの治療効果は、IPF患者を対象としたINPULSIS 1とINPULSIS 2試験の統合データで観察されたもの(平均年間FVC低下率の差 109.9mL/年)と類似していた」としている。

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高リスク大動脈弁狭窄症、自己拡張型TAVR vs.バルーン拡張型/Lancet

 高齢の症候性重症大動脈弁狭窄症患者への経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)では、早期の安全性および有効性に関して、自己拡張型TAVR(ACURATE neo)はバルーン拡張型TAVR(SAPIEN 3)に対する非劣性基準を満たさないことが、スイス・ベルン大学病院のJonas Lanz氏らが行ったSCOPE I試験で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2019年9月27日号に掲載された。症候性重症大動脈弁狭窄症の高齢患者にはTAVRが推奨されており、TAVRの特性の違いは臨床転帰に影響を及ぼすが、自己拡張型とバルーン拡張型のTAVRの比較はこれまで行われていなかったという。高齢患者で早期の複合エンドポイントを比較する非劣性試験 本研究は、ドイツ、オランダ、スイス、英国の20の心臓弁3次医療センターが参加した無作為化非劣性試験であり、2017年2月~2019年2月の期間に患者登録が行われた(Boston Scientific[米国]の助成による)。 対象は、年齢75歳以上の症候性重症大動脈弁狭窄症で、手術リスクが高いと考えられ、経大腿動脈TAVRの適応とされた患者であった。被験者は、自己拡張型TAVR(ACURATE neo)またはバルーン拡張型TAVR(SAPIEN 3)による治療を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 安全性と有効性の複合主要エンドポイントは、施術後30日以内の全死因死亡、脳卒中、出血(life-threatening/disabling)、主要血管合併症、介入を要する冠動脈閉塞、急性腎障害(ステージ2/3)、弁関連症状またはうっ血性心不全による再入院、再施術を要する弁関連機能障害、中等度~重度の人工弁逆流、人工弁狭窄とした。 エンドポイントの評価者には治療割り付け情報がマスクされた。有意水準5%の片側検定で、主要複合エンドポイントのリスク差のマージンを7.7%とし、intention-to-treat集団におけるACURATE neoのSAPIEN 3に対する非劣性の評価が行われた。早期複合エンドポイントはTAVRの評価に有用となる可能性 739例(平均年齢82.8[SD 4.1]歳、女性420例[57%]、STS-PROMスコア中央値3.5%[IQR:2.6~5.0])が登録され、ACURATE neo群に372例、SAPIEN 3群には367例が割り付けられた。30日間のフォローアップは、ACURATE neo群が367例(99%)、SAPIEN 3群は364例(99%)で可能であった。 30日以内の主要エンドポイントの発生は、ACURATE neo群が87例(24%)、SAPIEN 3群は60例(16%)であり、ACURATE neo群の非劣性基準は満たされなかった(絶対リスク差:7.1%、片側95%信頼区間[CI]上限値:12.0%、p=0.42)。 一方、主要エンドポイントの2次解析(優越性解析)では、ACURATE neo群に対するSAPIEN 3群の優越性が示された(リスク差の95%CI:-1.3~-12.9、p=0.0156)。 主要エンドポイントの構成要素のうち、全死因死亡(9例[2%]vs.3例[1%])および脳卒中(7例[2%]vs.11例[3%])は両群間に差がなかったのに対し、ステージ2/3の急性腎障害(11例[3%]vs.3例[1%]、p=0.0340)および中等度~重度の人工弁逆流(34例[9%]vs.10例[3%]、p<0.0001)はACURATE neo群で頻度が高かった。 著者は、「安全性と有効性に関する早期の複合エンドポイントは、個々のTAVRシステムの能力の識別に有用となる可能性がある」としている。

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179)患者さんが陥りやすい健康バラエティ番組の落とし穴【糖尿病患者指導画集】

患者さん用:患者さんが陥りやすい健康バラエティ番組の落とし穴説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者先生、この前テレビで、「○○は健康にいい」って言ってたんですが。医師ほお。どんな効果があるって言ってましたか?患者△△って番組で、〇〇はダイエットにもいいし、血管も若返るって・・・。医師なるほど。その番組は「健康番組」じゃなくて、「健康バラエティ番組」なので、内容には注意が必要みたいですよ。患者えっ、違いがあるんですか?(驚いた顔)医師健康番組の目的は正しい情報の提供ですが、健康バラエティ番組の目的は視聴率を上げることですからね。患者あ~…、だから、演出が大げさなんですね。医師そうなんです。本当に効果があるものなら、毎週、同じ食品を紹介しているはずですし、司会者やレギュラーは全員、スリムで健康なはずですよね。患者たしかに、よく考えればそうですね。●ポイント健康番組と健康バラエティ番組の違いを、番組の目的を例にして説明します。

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「薬剤師以外の者」への研修とはどんな内容?【赤羽根弁護士の「薬剤師的に気になった法律問題」】第15回

厚生労働省から「調剤業務のあり方について」(薬生総発0402第1号 平成31年4月2日 厚生労働省医薬・生活衛生局総務課長)が示されてから約6ヵ月が経過しました。この通知を前提にした運用の実施または検討をしている薬局も増えてきたのではないでしょうか。法的な観点から実施が求められる研修この通知に基づく運用についてはさまざまな議論があり、各薬局で検討を要する部分も多いかと思います。その中でも、以下の部分はよく議論になります。5 薬局開設者は、薬局において、上記の考え方を踏まえ薬剤師以外の者に業務を実施させる場合にあっては、保健衛生上支障を生ずるおそれのないよう、組織内統制を確保し法令遵守体制を整備する観点から、当該業務の実施に係る手順書の整備、当該業務を実施する薬剤師以外の者に対する薬事衛生上必要な研修の実施その他の必要な措置を講じること。このうち「法令遵守体制の整備」、「手順書の整備」が重要なのは言うまでもありませんが、「薬剤師以外の者に対する薬事衛生上必要な研修の実施」をどうするのかという議論も多いようです。調剤に関わる業務を行う以上、医療安全に関する研修等は必須でしょうし、そのほかにも検討を要するでしょう。法的な観点から見ても、薬剤師以外の者の医薬品、調剤に関わる法令への理解、薬局や薬剤師の責任、個人情報の取り扱い等に関する知識は法令遵守のために必要と考えます。「薬剤師以外の者」より先に、薬剤師自身の理解が必要「薬剤師以外の者に対する研修」については、この通知に明記されているものの、薬剤師が調剤に最終的な責任を有することを前提として、薬剤師の指示に基づき行うことと示されています。つまり、大前提として、調剤の責任を負い指示を行う薬剤師が、通知に従った運用の注意点についての理解をしておく必要があるでしょう。この通知には、薬剤師への研修の内容についての言及はありませんが、「薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令」には、「調剤の業務に係る医療の安全を確保するため、指針の策定、従事者に対する研修の実施その他必要な措置が講じられていること」(同省令第1条第1項第15号)が体制の基準として定められています。仮にこの通知に従って、薬剤師以外の者を業務において活用するのであれば、薬剤師に対しても運用に関する研修等の措置を行い、理解をしてもらう必要があると考えられます。薬局での新たな取り組みとして、薬剤師以外の者への研修が注目されていますが、医療安全の観点からは、薬剤師がこの通知に従いどのように運用していくのかをまず理解しておかなければなりません。参考資料1)厚生労働省 調剤業務のあり方について(薬生総発0402第1号 平成31年4月2日 厚生労働省医薬・生活衛生局総務課長)2)薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令

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【荻野☓池野対談】第2回 米国にあって日本にないもの

日本の医学部を卒業した医師であり今は米国を拠点に活躍する、ハーバード大学の医学大学院および公衆衛生学大学院教授の荻野 周史氏とスタンフォード大学主任研究員の池野 文昭氏。ともに日米の大学・起業現場を熟知する教育者・研究者である2人の対談。第2回は、2人が留学時代と米国での仕事探しの苦労から考えた、今の日本と日本人に必要なマインドについて語ります。第1回はこちら早くからの「ゼロイチ経験」を荻野私のラボでは、10年以上、日本人のポスドクを受け入れています。例外はいるものの、彼らは総じて優秀で、指示したことはしっかりやってくれますが、創意工夫や新たなアイデアを生み出すことに弱い傾向があります。でも、それは仕方ないことですよね。小学校から10年以上、「指示されたことをやれ。みんなと同じでいろ」という教育を受けてきたのですから…。池野私も学生時代に悔しい思いをしました。研修先のワシントン大学で1ヵ月ほど教授のかばん持ちをしていたのですが、ある時、教授に呼び出されたのです。「君は何をしに米国に来たんだ? 僻地医療に問題意識があるなら、自分でリーダーシップをとって日米の家庭医学についてディスカッションでもすればいい。何をしにわざわざ来たんだか、さっぱりわからない!」。当時の私は「試験の成績がよければ問題なし」と考える甘ちゃん学生でしたので、それを聞いてびっくりしました。「そうか、学生でもそこまでやらないといけないんだ」と思ったものの、当時の私の語学力と人脈では行動に移せるはずもなく、むなしい気持ちのまま帰国しました。この時の悔しさは、今でもよく覚えています。荻野ゼロから1を生み出すことは、いきなりはできませんからね。先日、池野先生がいらっしゃるスタンフォード大学の学生グループから依頼され、講演をする機会がありました。各地から教授を招いて定期的に勉強会を開催しているのです。といっても手弁当の小規模な会ではなく、大学が後援する公式の講演会です。さすがトップ大学、学生の経験に対してしっかり投資をしているな、と感じました。小さなことからトライして、失敗しながら学んでいくプロセスを学生生活の中に組み入れる必要がありますね。池野日本企業と接していると変化も感じます。彼らは、従来の価値観のままでは優秀な人を採用できず、世界で戦えないことを体感していますから。採用基準を変えたり、若手をリーダーに据えたり、企業内ベンチャーをつくったり、いろいろな挑戦をしています。ビジネスは「負けたら退場」というシンプルな世界ですが、アカデミズムの世界は長く日本国内で完結していたため、研究成果や自大学の世界ランキングよりも、いかに上手な「作文」を書いて文部科学省から予算をもらうか、という点を重視してきた感が否めません。自分の「ユニークネス」を磨け荻野ここ数年、米国ではアカデミアのポジションを巡る競争が苛烈さを増しています。1つのポジションに数百の応募が来ることも当たり前。日本人は概して優秀ですが、語学力とコミュニケーション力の不足、そして何より「その人が持つオリジナリティ」の部分が足りず選考に残れないことが多い。「教授に言われたことをそのままやった」研究では、オリジナリティの出しようがないですよね。米国でも大半の人が平凡なのは同じですが、一握りの目をむくほどユニークな人がきちんと登用され、新たな価値を生み出してリーダーになるために、組織の活力が保たれています。研究者としての才能がいまひとつでもチームマネジメント力が突出していたり、政治力が抜群で外部から予算を取ってきたりなど、トップになる人には何らかの突出した能力があります。池野自分の「ユニークネス」を磨くには、「やりたいこと」よりも「今いる場所と周囲のニーズ」を起点に考えるとよいと思います。私の場合、「いる場所」は世界で最も優秀な人が集まるスタンフォードです。語学にハンディのある私がまともに戦っても勝ち目はない。ここで自分の居場所をつくるには「日本人」という彼らにない点を活かすしかない、と考えました。だから、日本に進出する米国ベンチャーの支援をしたり、米国の起業家育成プログラムを日本に持ち込んだりなど、両国をつなぐ役割を果たしてきたのです。私のキャリア選択には「日本をよくしたい」という思いとともに、「自分が米国で生き残るため」という側面も多分にありました。以前、ベンチャー支援の専門知識を蓄えるため、米国の大学院に通って監督省庁に当たるFDA(米国食品医薬品局)について学ぼうと考えました。その時、同僚から言われたのです。「お前よりもFDAに詳しいやつは、スタンフォードだけで100人はいるぞ。ここでのお前のユニークネスは『日本人』だろう? それならば、FDAよりもPMDA(医薬品医療機器総合機構)に詳しくなれ」と。確かにそのとおりだと納得し、方針を転換して毎週末、飛行機に乗って日本の社会人大学院に通い、医療行政を学びました。「今いる場所で役立つ、自分だけの付加価値は何か」、それを徹底的に考え抜いてきたのです。女性と若者への「フェアネス」荻野日本の停滞の要因には、「女性がフェアに扱われていない」ことも大きく影響していると思います。日本では人材プールが半分になっているわけです。米国に男女格差がない、とは言いませんが、それを是正するためのさまざまなアクションがあります。研究の世界でも、育児中の研究者のキャリアを職場がサポートする仕組みがあり、女性研究者を対象とした学会賞や補助金があり、組織のトップに女性が積極的に登用されています。一方、日本の学会に出向くと中心メンバーや重要な講演の発表者は年長の男性ばかり。女性や若手がなかなか増えていないのが気になります。池野米国では、そもそも採用時に年齢・性別を聞くことは法律で禁止されていますからね。もちろん写真や名前で判別はつくのですが、それでも「聞いたらアウト。そこで選別したら訴えられる」と強く意識します。ただ、日本でも女性の要職を増やそうという機運はあって、社外取締役に女性を登用する企業が急速に増えています。ある女性の友人は、「定年後に社外取締役を何社も掛け持ちして、以前よりも給与が増えた」と言っていました。荻野それはいい傾向ですね。でも、そこに至るまでの女性が少ないことの裏返しでもありますね。女性差別は少子化問題とも深く結び付いているでしょう。育児をしている人には重要なポジションを与えない、面白いプロジェクトに入れないというのでは、優秀な人は結婚しない、結婚しても子供を生まない、という選択をする。子供を持つ・持たないは個人の選択ですが、少子化が問題だというならば、子供を持つ人が被る不利益をわかりやすい形でなくさなければならないと思います。(第3回に続く)

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血糖降下薬ピオグリタゾンの肺がん予防効果?

 経口血糖降下薬にがん予防効果があるのか。米国・ロッキーマウンテン地方退役軍人医療センターのRobert L. Keith氏らは、肺がんの発症リスクが高い現喫煙者や元喫煙者において、経口血糖降下薬ピオグリタゾンに肺がんの発症予防効果があるかを検討する第II相無作為化試験を行った。その結果、有意ではないがわずかに効果が期待できる所見や、特異的病変で組織学的改善が認められたという。著者は「さらなる試験を行い、反応性異形成の特徴を明らかにする必要がある」と述べている。これまでに、前臨床試験でチアゾリジン系薬が肺がんを予防することが、また同薬を服用する糖尿病患者で肺がんの割合が低いことが示唆されていた。Cancer Prevention Research誌2019年10月号掲載の報告。 研究グループは、喀痰細胞診で異型性または気管支鏡検査で異形成が認められた、肺がんの発症リスクが高い現喫煙者または元喫煙者において、経口ピオグリタゾンの肺がん発症予防効果を検討する、二重盲検無作為化プラセボ対照試験を行った。 被験者は、試験登録時および6ヵ月の治療完遂後に気管支鏡検査を受け、生検組織スコアが記録された。 主要評価項目は、両群間の最も不良な生検スコア(Max)。副次評価項目は、異形成指標(DI)、平均スコア(Avg)の変化であった。また、炎症スコアも評価した。 主な結果は以下のとおり。・試験には92例(ピオグリタゾン群47例、対照群45例)が参加し、76例が2回の気管支鏡検査を完了した(ピオグリタゾン群39例、対照群37例)。・ベースラインで異形成が認められたのは現喫煙者で有意に多く、同被験者の64%が試験登録時に軽度以上の異形成を有していた。・ピオグリタゾン治療を受けた元喫煙者は、わずかだがMax値の改善が認められた。一方、現喫煙者は、わずかだが増悪が認められた。・Avg値とDI値については、治療群で統計的に有意な変化は認められなかったが、元喫煙者では、両値ともにわずかな低下が観察された。また、現喫煙者では両値についてごくわずかな変化が認められた。・細胞増殖マーカーのKi-67値は、ベースラインで異形成が認められピオグリタゾン治療を受けた元喫煙者で、減少の傾向がみられた。

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小細胞肺がんに対するアテゾリズマブ+化学療法の成績(IMpower133)/ESMO2019

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)に対する、カルボプラチン・エトポシドへのアテゾリズマブ(商品名:テセントリク)の追加効果を評価する第III相試験IMpower133では、アテゾリズマブの追加による生存改善が、世界肺がん学会(WCLC2019)で示された。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)では、同試験の全生存期間(OS)、奏効期間(DOR)、奏効率(ORR)、安全性について最新のデータが発表され、ドイツ・Lung Clinic GrosshansdorのMartin Rech氏が報告した。 IMpower133は、未治療のES-SCLC患者403例を対象とした無作為化プラセボ対照二重盲検第I/III相試験。・対象:全身治療未実施のES-SCLC患者(症状がない既治療のCNS病変を有する患者を含む、PS 0~1)・試験薬:アテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド、21日ごと4サイクル(アテゾリズマブ群)・対照薬:プラセボ+カルボプラチン+エトポシド、21日ごと4サイクル(プラセボ群)・評価項目: [主要評価項目]OS、治験医師評価による無増悪生存期間(PFS) [副次評価項目]ORR、DOR、安全性 主な結果は以下のとおり。・今回の追跡期間中央値は22.9ヵ月であった。・OS中央値はアテゾリズマブ群12.3ヵ月、プラセボ群10.3ヵ月と有意にアテゾリズマブ群で良好であった(HR:0.76、95%CI:0.60~0.95、p=0.0154)。・ORRはアテゾリズマブ群60.2%、プラセボ64.4%であった。・DORはアテゾリズマブ群4.2ヵ月、プラセボ3.9ヵ月であった。・PD-L1 1%以上(TC or IC)のOSはアテゾリズマブ群9.7ヵ月、プラセボ群10.6ヵ月(HR:0.87)、PD-L1 1%未満(TC or IC)OSはアテゾリズマブ群10.2ヵ月、プラセボ群8.3ヵ月(HR:0.51)であった。・Grade3/4の有害事象はアテゾリズマブ群67.7%、プラセボ群63.3%、Grade5は共に1.5%の発現率であった。

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