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こころとからだの質問票(PHQ-9)によるうつ病評価の信頼度

 うつ症状のアンケートは、診断を分類するためのものではない。しかし、うつ病の有病率を推定するために、こころとからだの質問票(PHQ-9)のスコア10以上の患者をうつ病患者と定義することがある。カナダ・マギル大学のBrooke Levis氏らは、PHQ-9スコア10以上と構造化面接(Structured Clinical Interview for DSM:SCID)によるうつ病の有病率を比較し、PHQ-9のカットオフ値が有病率を正確に推定できるかについて評価を行った。Journal of Clinical Epidemiology誌オンライン版2020年2月24日号の報告。PHQ-9スコア10以上によるうつ病有病率は過大評価している可能性 PHQ-9スコアとSCIDのうつ状態を比較するためのデータセットを用いて、メタ解析を実施した。 PHQ-9のカットオフ値が有病率を正確に推定できるかについて評価した主な結果は以下のとおり。・主要な44研究より、9,242例(SCIDうつ病症例:1,389例)が抽出された。・プールされた有病率は以下のとおりであった。 ●PHQ-9スコア10以上:24.6%(95%CI:20.8~28.9) ●SCIDうつ病:12.1%(95%CI:9.6~15.2)・有病率の差は、11.9%(95%CI:9.3~14.6)であった。・研究レベルのPHQ-9スコア10以上の平均有病率は、SCID基準の2.5倍であった。・SCIDうつ病有病率と最も近い有病率が示されたのは、PHQ-9スコア14以上およびPHQ-9診断アルゴリズムであったが、研究レベルでの有病率は、SCID基準の有病率とは異なっており、それぞれの平均絶対差は以下のとおりであった。 ●PHQ-9スコア14以上:4.8%(95%CI:-13.6~14.5) ●PHQ-9診断アルゴリズム:5.6%(95%CI:-16.4~15.0) 著者らは「個々の研究において、統計的に修正する不均一性が多過ぎる」としながらも「PHQ-9スコア10以上によるうつ病有病率は、過大評価している可能性がある」としている。

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「遺伝性乳がん卵巣がん症候群の保険診療に関する手引き」公開/日本乳学会

 4月から遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の既発症者に対する、リスク低減乳房切除術(RRM)、乳房再建術ならびにリスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)が保険収載となった。これを受けて日本乳学会では、4月1日にホームページ上で「遺伝性乳がん卵巣がん症候群の保険診療に関する手引き」を公開している。なお、手引きの冒頭では、本手引きがガイドラインあるいはガイダンスではなく、エビデンスが蓄積していない内容も含まれると説明。そのため、HBOC診療に当たっては施設内で医療者のコンセンサスと患者・家族への十分な説明を求めるとともに、手引きについては今後もバージョンアップを図っていくと記されている。予防的切除が推奨される患者と年齢 日本人女性の乳がん罹患者数は10万人超と推計されるが、その5~10%がHBOCであり、全乳がんの4%がBRCA1/2遺伝子変異に起因する乳がんである。HBOCは稀な疾患ではなく、日本国内でも年間数千人の女性が乳がんあるいは卵巣がんの治療をされていると推測される。また、その近親者も2分の1の確率で遺伝子変異を受け継いでいる可能性がある。 乳がん既発症者にBRCA1/2遺伝子変異が判明すれば、リスク低減手術などにより、健側の乳がんの発症と、卵巣がんの発症のリスクを下げることが可能となる。乳がんは30歳頃から、卵巣がんは40歳頃から発症率が上昇するので、RRMは40歳まで、RRSOは50 歳までに実施することが勧められる。BRCA遺伝学的検査、保険適応の対象となるのは BRCA遺伝学的検査が保険適応となるのは、乳がん既発症例の中では、以下のいずれかの項目に当てはまる場合に対象となる:・45歳以下の発症 ・60歳以下のトリプルネガティブ乳がん ・2個以上の原発乳がん発症 ・第3度近親者内に乳がんまたは卵巣がん発症者がいる ・男性乳がん  また、卵巣がん、卵管がんおよび腹膜がん既発症例と、従来からのPARP阻害薬に対するコンパニオン診断の適格基準を満たす場合に保険適用となる。  本手引きではそのほか、BRCA遺伝学的検査およびRRM、RRSOの施設要件や、HBOC 診療のフローチャートなども提示されており、下記の全14項目で構成されている。1)これまでのHBOC診療2)HBOC診療の保険収載の意義3)BRCA遺伝学的検査の施設要件4)RRM、RRSOの施設要件5)乳がんまたは卵巣がん患者の遺伝カウンセリング6)RRMと乳房再建術7)健側乳房の病理学的検査8)RRSO9)BRCA遺伝子変異患者の近親者への遺伝カウンセリング10)BRCA遺伝子変異患者と近親者におけるサーベイランス検査11)BRCA遺伝学的検査の保険診療と自費診療の区分12)NCD乳登録13)HBOC診療のフローチャート14)HBOCを学ぶためのツール集

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下肢非大手術後のVTE予防、リバーロキサバンが有効/NEJM

 下肢の整形外科非大手術を受けた患者では、固定期間中の静脈血栓塞栓症イベントの予防において、リバーロキサバンはエノキサパリンに比べ有効性が優れることが、フランス・パリ大学コシャン病院のC. Marc Samama氏らの検討「PRONOMOS試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2020年3月29日号に掲載された。下肢の整形外科非大手術後は、一過性に移動能力が低下するため、患者には静脈血栓塞栓症のリスクが生じる。直接作用型第Xa因子阻害薬リバーロキサバンは、エノキサパリンと比較して、選択的人工膝関節全置換術または人工股関節全置換術後の症候性静脈血栓塞栓症と全死因死亡の複合のリスクが低いと報告されている。10ヵ国200施設が参加した無作為化非劣性試験 本研究は、欧州9ヵ国とチュニジアの200施設が参加した二重盲検無作為化非劣性試験であり、2015年12月~2018年4月の期間に患者登録が行われた(フランスCentre Hospitalier Universitaire de Saint-EtienneとBayerの助成による)。 対象は、下肢の整形外科非大手術を受け、担当医により静脈血栓塞栓症のリスクがあると判定され、2週間以上の血栓予防治療が可能な成人患者であった。非大手術には、アキレス腱修復、膝の手術、脛骨プラトーや大腿骨の手術、脛骨骨切り術、脛骨粗面転位術などが含まれた。 被験者は、リバーロキサバン(10mgを経口投与)+プラセボ(皮下投与)を受ける群、またはエノキサパリン(40mgを皮下投与)+プラセボ(錠剤を経口投与)を受ける群に無作為に割り付けられた。 有効性の主要アウトカムは、治療期間中の症候性の遠位型/近位型深部静脈血栓症、肺塞栓症、静脈血栓塞栓症関連死と、治療終了時の無症候性近位型深部静脈血栓症の複合とした。リバーロキサバンの非劣性が確定された場合は、優越性の評価が計画された。安全性アウトカムには、大出血(致死的、危機的、臨床的顕性出血、手術部位の介入を要する出血)および臨床的に重要な非大出血が含まれた。 非劣性マージンは、リスク比(RR)の95%信頼区間(CI)上限値1.30に設定した。主要アウトカム:0.2% vs.1.1%、リスクを75%低減 3,604例が登録され、リバーロキサバン群に1,809例(年齢中央値41歳[IQR:29~54]、男性66.0%)、エノキサパリン群には1,795例(41歳[IQR:29~54]、男性64.0%)が割り付けられた。 主要複合アウトカムの発生率は、リバーロキサバン群が0.2%(4/1,661例)、エノキサパリン群は1.1%(18/1,640例)であり、リバーロキサバン群の非劣性とともに優越性が示された(データ補完済みのRR:0.25、95%CI:0.09~0.75、非劣性のp<0.001、優越性のp=0.01)。 主要複合アウトカムの構成要素のうち、リバーロキサバン群では症候性深部静脈血栓症(0.2% vs.0.6%、RR:0.28、95%CI:0.08~1.00)のリスクが低かった。 出血の発生には、両群間に統計学的に有意な差は認められなかった(大出血/臨床的に重要な非大出血:リバーロキサバン群1.1% vs.エノキサパリン群1.0%、大出血:0.6% vs.0.7%、臨床的に重要な非大出血:0.5% vs.0.3%)。 著者は、「リバーロキサバンの優越性は、主に症候性深部静脈血栓症の発生率が低いことによってもたらされた。これは、本試験には、以前の研究に比べリスクが高い患者が含まれることを反映している可能性がある」と指摘している。

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進行性腎障害伴う安定冠動脈疾患に侵襲的戦略は有効か/NEJM

 進行性腎障害を伴う安定冠動脈疾患で、中等度~重度の虚血を呈する患者の治療において、侵襲的戦略は保存的戦略に比べ、死亡および非致死的心筋梗塞のリスクを低減しないことが、米国・ニューヨーク大学のSripal Bangalore氏らの検討(ISCHEMIA-CKD試験)で示された。研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2020年3月30日号に掲載された。安定冠動脈疾患患者における血行再建術の効果を評価する臨床試験では、通常、進行性の慢性腎臓病患者は除外される。また、1992年の腎移植候補の患者26例の無作為化試験では、血行再建術は薬物療法に比べ心血管死および心筋梗塞のリスクが低いと報告されているが、この30年間で、これらの治療法は劇的に進歩しており、あらためて侵襲的戦略の有益性の検証が求められている。30ヵ国118施設が参加した医師主導無作為化試験 本研究は、30ヵ国118施設が参加した国際的な医師主導の無作為化試験であり、2014年4月~2018年1月の期間に患者登録が行われた(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]などの助成による)。 対象は、進行性腎障害および中等度~重度の心筋虚血を呈する患者であった。被験者は、薬物療法に加え、冠動脈造影と、実行可能な場合は血行再建術(経皮的冠動脈インターベンション[PCI]または冠動脈バイパス手術[CABG])を受ける群(侵襲的戦略群)、または薬物療法のみを受ける群(保存的戦略群)に無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、死亡と非致死的心筋梗塞の複合とした。主な副次アウトカムは、死亡、非致死的心筋梗塞、不安定狭心症または心不全による入院、心停止からの蘇生の複合であった。推定3年イベント発生率:36.4% vs.36.7% 777例が登録され、侵襲的戦略群に388例、保存的戦略群には389例が割り付けられた。全体の年齢中央値は63歳(IQR:55~70)、男性が68.9%を占めた。 ベースライン時に、57.1%が糖尿病で、53.4%が透析を受けていた。透析患者を除く推定糸球体濾過量(eGFR)中央値は23mL/分/1.73m2であった。37.8%が重度の虚血だった。 追跡期間中央値2.2年(IQR:1.6~3.0)の時点で、主要アウトカムのイベントは、侵襲的戦略群123例、保存的戦略群129例で発生し、推定3年イベント発生率はそれぞれ36.4%および36.7%であり、両群間に有意な差は認められなかった(補正後ハザード比[HR]:1.01、95%信頼区間[CI]:0.79~1.29、p=0.95)。 主な副次アウトカムの結果も、主要アウトカムとほぼ同様であった(侵襲的戦略群38.5% vs.保存的戦略群39.7%、補正後HR:1.01、95%CI:0.79~1.29)。 ベイズ解析では、侵襲的戦略群で主要アウトカムのHRが10%以上低下(補正後HR<0.90)する確率は19%で、10%以上増加(補正後HR>1.10)する確率は24%だった。 また、侵襲的戦略群は保存的戦略群に比べ、脳卒中(補正後HR:3.76、95%CI:1.52~9.32、p=0.004)および死亡/透析開始(1.48、1.04~2.11、p=0.03)の発生率が高かった。 著者は、「イベント発生率は予測よりも低く、また侵襲的戦略群における血行再建術の施行率は50.2%、保存的戦略群におけるイベントの確認以外の理由による血行再建術の施行率は11.0%と低かったことから、侵襲的戦略の有益性を示すには、この試験の検出力は十分ではなかった」としている。

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COVID-19の臨時診療報酬は、外来300点/入院1,200点

 4月8日、厚生労働省からの事務連絡「PDFリンク新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その9)」により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者(疑い例を含む)の外来診療および入院管理について、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」を踏まえた診療報酬上の特例的な対応が示された。外来では「院内トリアージ実施料」として300点を算定可 COVID-19患者の外来診療を行う保険医療機関において、「B001-2-5 院内トリアージ実施料(300点/回)」が算定できる。算定に当たっては、受診の時間帯によらず、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第1版」に従い、院内感染防止等に留意した対応を行った場合に算定可。 なお、COVID-19患者に対してのみ院内トリアージ実施料を算定する保険医療機関については、特掲診療料における施設基準等第三の四の四を満たしているものとして、届出の必要はない。入院例では「救急医療管理加算」と「二類感染症患者入院診療加算」を算定 (1)COVID-19患者の入院診療に当たっては、救急医療管理加算を算定できる患者に限り、「緊急に入院を必要とする重症患者として入院した患者」とみなされ、「A205の1 救急医療管理加算1(950点/日)」を算定できる。救急医療管理加算1は通常7日間が限度とされているが、特例として最長14日間まで算定可能。 また、COVID-19患者に対してのみ救急医療管理加算1を算定する医療機関は、基本診療料における施設基準等第八の六の二を満たしているものとして、届出の必要はない。 (2)COVID-19患者の入院診療に当たっては、第二種感染症指定医療機関の指定の有無に関わらず、「A210の2 二種感染症患者入院診療加算(250点/日)」を算定できる。なお、「A300 救命救急入院料」、「A301 特定集中治療室管理料」「A301-2 ハイケアユニット入院医療管理料」、「A301-3 脳卒中ケアユニット入院医療管理料」、「A301-4 小児特定集中治療室管理料」、「A302 新生児特定集中治療室管理料」、「A303 総合周産期特定集中治療室管理料」、「A303-2 新生児治療回復室入院医療管理料」、「A305 一類感染症患者入院医療管理料」を算定する病棟・病室については、当該加算を含むものとして、別に算定することはできない。感染症病棟・一般病棟以外での受け入れや、個室・陰圧室に関しても明記 COVID-19患者で、一般病棟入院基本料を算定している病棟に入院している者に対して、個室または陰圧室において受け入れた場合については、二類感染症患者相当の取扱いとされることから、要件を満たせば「A220-2 二類感染症患者療養環境特別加算(200~500点/日)」を算定できる。 また、感染症病棟および一般病棟のみでCOVID-19患者を受け入れることが困難で、地域包括ケア病棟入院料を算定する病棟もしくは療養病棟入院基本料を算定する病棟で受け入れた場合についても、それぞれ、「在宅患者支援病床初期加算(300点/日)」または「在宅患者支援療養病床初期加算(350点/日)」を算定できる。  なお、COVID-19患者が療養病棟入院基本料を算定する病棟に入院した場合、基本診療料の施設基準等別表第五の二に規定する「感染症の治療の必要性から隔離室での管理を実施している状態」とみなしてよい。 日本医師会は、保険医療機関に向けて、本通知の周知徹底を呼び掛けている。

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急性期脳梗塞に対する神経保護薬nerinetideの有効性と安全性/Lancet(解説:中川原譲二氏)-1212

 nerinetideは、シナプス後肥厚部タンパク質95(PSD-95)を阻害するエイコサペプチドで、虚血再灌流の前臨床脳梗塞モデルで有効性が確認されている神経保護薬である。この試験では、急性期脳梗塞患者での迅速血管内血栓回収療法(EVT)に随伴する虚血再灌流におけるnerinetideの有効性と安全性を評価する目的で、多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験(ESCAPE-NA1)が行われた。 対象は、年齢18歳以上、脳主幹動脈閉塞後12時間以内の急性期脳梗塞で、無作為割り付け時に機能障害を伴う脳梗塞がみられ、発症前は地域で自立して活動しており、脳卒中早期CTスコア(ASPECTS)が>4点、多相CT血管造影で中等度~良好な側副路充満が示されている患者であった。被験者はすべてEVTを施行され、適応がある場合は通常治療としてアルテプラーゼの静脈内投与よる血栓溶解療法が行われた。次いで、nerinetide 2.6mg/kg(最大270mg)を静脈内に単回投与する群、またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、90日時の良好な機能的アウトカム(mRSスコア:0~2点)とした。副次評価項目は、神経学的障害(NIHSS:0~2点)、日常生活動作の機能的自立(mBI:95~100点)、きわめて良好な機能的アウトカム(mRSスコア:0~1点)、死亡などであった。nerinetideは、急性期脳梗塞のEVT後の転帰を改善せず 2017年3月~2019年8月の期間に、8ヵ国の48の急性期治療病院で1,105例が登録され、nerinetide群に549例(年齢中央値71.5歳、女性48.8%)、プラセボ群には556例(70.3歳、50.5%)が割り付けられた。アルテプラーゼは、nerinetide群が549例中330例(60.1%)、プラセボ群は556例中329例(59.2%)に投与された。 90日時のmRSスコア0~2点は、nerinetide群が549例中337例(61.4%)で、プラセボ群は556例中329例(59.2%)で達成され、両群間に有意な差は認められなかった(補正後RR:1.04、95%CI:0.96~1.14、p=0.350)。NIHSS 0~2点の達成(nerinetide群58.3% vs.プラセボ群57.6%、補正後RR:1.01、95%CI:0.92~1.11)、mBI 95~100点の達成(62.1% vs.60.3%、1.03、0.94~1.12)、mRSスコア0~1点の達成(40.4% vs.40.6%、0.98、0.85~1.12)および死亡(12.2% vs.14.4%、0.84、0.63~1.13)にも、有意な差はなかった。nerinetideは、アルテプラーゼ非投与のEVT施行例で転帰を改善 アルテプラーゼ非投与例での90日mRSスコア0~2点の達成は、nerinetide群が219例中130例(59.3%)と、プラセボ群の227例中113例(49.8%)に比べ有意に良好であった(補正後RR:1.18、95%CI:1.01~1.38)。また、死亡もnerinetide群で有意に少なかった(0.66、0.44~0.99)。一方、アルテプラーゼ投与例では、このような差はみられなかった(90日mRSスコア0~2点達成の補正後RR:0.97[95%CI:0.87~1.08]、死亡の補正後RR:1.08[0.70~1.66])。 重篤な有害事象の発生は両群でほぼ同等であった(nerinetide群33.1% vs.プラセボ群35.7%、RR:0.92、95%CI:0.79~1.09)。また、進行性脳梗塞(stroke-in-evolution)、新規または再発脳梗塞、症候性頭蓋内出血、肺炎、うっ血性心不全、低血圧、尿路感染症、深部静脈血栓症/肺塞栓症、血管性浮腫の発生にも差はなかった。 以上より、nerinetideは、プラセボ群と比較して、急性期脳梗塞患者でのEVT施行後の良好な機能的転帰の達成割合を改善しなかったが、アルテプラーゼによる血栓溶解療法を併用しなかった集団では、これを改善するとともに、死亡を抑制する可能性があることが示された。EVTでは、アルテプラーゼ併用の有無で、nerinetide導入を選別すべきか? 一般に、急性期脳梗塞に対する早期の血流再開と神経保護の併用療法には、相加的・相乗的効果が期待される。しかし、今回のESCAPE-NA1試験では、アルテプラーゼ非併用群においてのみ、この効果が確認されたとされている。EVTでのアルテプラーゼ併用には、機械的な血栓回収時に末梢に飛散する血栓の溶解などにより、組織灌流を改善させる効果が期待されるが、その神経毒性が、nerinetideの神経保護効果を相殺する可能性も考えられる。今後、EVTが選択されたがアルテプラーゼは併用しない脳梗塞患者の治療へのnerinetide導入に関するさらなる知見が待たれる。

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医師向けの投資マンガ【Dr.倉原の“俺の本棚”】第29回

【第29回】医師向けの投資マンガ新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、世界のマーケットがぶっ壊れてしまいました。そのため、リーマンショック以降の株価がほとんど吹っ飛んでしまった企業もあります。赤字ではなく黒字を続けて、地道に内部留保をため込んできた企業もある中で、これはいくらなんでもやりすぎです。内部留保しすぎな日本もどうかと思いますが、今回はその財務体質の良さがCOVID-19による景気後退に耐えうる“盾”になったわけです。COVID-19の動向が今後どうなっていくかはわかりません。自然に収束していくのか、あるいは収束せずに共生の道をたどるのか。いずれにしても、人間が経済活動をしないという選択肢はないので、どこかでこの不景気を株価指数に織り込んでいくのだろうと思っています。今回の騒動により、景気後退は避けられないと思いますが、大手金融機関が信用リスクから破綻するという事態はなさそうですし、国をあげて金融緩和と財政出動を進めていることから、いずれ景気も戻ってくると私は信じています。楽天証券では、2月の証券口座開設数が初めて10万を超え、3月は2月比で3割程度増えるようです。今がチャンスとばかりに、多くの株式投資初心者が参入し始めたことを意味しています。私も、興味がある医師は今、株式投資を始めるべきだと思っています。逆に今始めないでいつ始めるんだ、と!『マンガでわかる Dr.Kの株式投資戦術―忙しい医師でもできるエビデンスに基づく投資―』Dr.K/著. 中外医学社. 2020年今日紹介するのは、医師向けの株式投資のマンガです。Dr.Kの新作になりますが、もともとある『株式投資戦術』という本をわかりやすくマンガ化したものです。初心者向きとはいえ、割安株にどう投資するかというところに踏み込んでいるため、レベルは中級者と言っても過言ではないかもしれません。とはいえ、どこぞの経済学の教科書みたいに、ワケワカメな内容が書いてあるわけではないので、株式投資を始めたい人にとってはベストブックと言えるでしょう。マンガと本文が4:6くらいの割合で、ちょうどよい感じです。主人公は大学病院の小児科医(なぜ小児科医なのかは不明)。さて、株式投資を勉強して、彼の人生はいったいどうなっていくのでしょうか。『マンガでわかる Dr.Kの株式投資戦術―忙しい医師でもできるエビデンスに基づく投資―』Dr.K /著出版社名中外医学社定価本体2,400円+税サイズA5判刊行年2020年

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主要な学術集会の開催予定

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、今春開催の多くの学術集会が延期または開催方式の変更を余儀なくされている。COVID-19終息の道筋が見えない状況の中、夏以降に開催が予定されている学術集会も軌道修正が余儀なくされ、会合方式の変更からWEB開催に移行した学術集会もある。CareNet.com編集部では、主要な臨床系医療学会の学術集会をピックアップ。現在の各学術集会の開催概要をまとめた。今後、参加予定の学会などがあれば参考にしてもらいたい(内容は7月3日現在)。主要な学術集会の開催予定第117回 日本内科学会会期 8月7日(金)~9日(日)会場 東京国際フォーラム ホールA第60回 日本呼吸器学会学術講演会会期 9月20日(日)~22日(火)会場 神戸コンベンションセンター第84回 日本循環器学会学術集会会期 7月27日(月)~8月2日(日)(オンライン開催)第50回 日本心臓血管外科学会学術総会会期 8月17日(月)~19日(水)(オンライン開催)第106回 日本消化器病学会総会会期 8月11日(火)~13日(木)(オンライン開催)第63回 日本腎臓学会学術総会会期 8月19日(水)~21日(金)会場 パシフィコ横浜アネックスホール・ノースおよびオンライン開催の併用第63回 日本糖尿病学会年次学術集会会期 10月5日(月)~16日(金)(オンライン開催)第54回 糖尿病学の進歩会期 9月2日(水)~3日(木)(オンライン開催)第93回 日本内分泌学会学術総会会期 7月20日(月)~8月31日(月)(オンライン開催)第82回 日本血液学会学術集会会期 10月9日(金)~11日(日)(オンライン開催)第42回 日本血栓止血学会学術総会会期 6月18日(木)~20日(土)(オンライン開催)第94回 日本感染症学会学術講演会会期 8月19日(水)~21日(金)会場 グランドニッコー東京(台場)ほかオンライン開催と併用第18回 日本臨床腫瘍学会学術集会会期 2021年2月18日(木)~20日(土)会場 国立京都国際会館ほか※2020年は開催予定なし第58回 日本治療学会学術集会会期 10月22日(木)~24日(土)会場 国立京都国際会館・グランドプリンスホテル京都第69回 日本アレルギー学会学術大会会期 9月17日(木)~20日(日)会場 国立京都国際会館第64回 日本リウマチ学会総会・学術集会会期 8月17日(月)~9月15日(火)(オンライン開催)第61回 日本神経学会学術大会会期 8月31日(月)~9月2日(水)岡山コンベンションセンターほかオンライン開催と併用第116回 日本精神神経学会学術総会会期 9月28日(月)~30日(水)会場 仙台国際センターほかオンライン開催と併用第25回 日本心療内科学会総会・学術大会2020年は開催せず、2021年に下記にて開催会期 2021年10月23日(土)・10月24日(日)会場 東北大学大学院医学系研究科星陵オーディトリウム緩和・支持・心のケア合同学術大会2020会期 8月9日(日)・10日(月)(WEB開催のみ)日本脳神経外科学会 第79回学術総会会期会場開催 10月15日(木)~17日(土)Web開催 10月15日(木)~11月末予定会場 岡山コンベンションセンターほかとオンライン開催の併用第120回 日本外科学会定期学術集会会期 8月13日(木)~15日(土)(オンライン開催)第28回 日本乳学会学術総会会期 10月13日(火)~15日(木)会場 Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)第93回 日本整形外科学会学術総会会期 6月11日(木)~8月31日(月)(オンライン開催)第108回 日本泌尿器科学会総会会期 12月22日(火)~25日(金)会場 神戸ポートピアホテルほか第123回 日本小児科学会学術集会会期 8月21日(金)~23日(日)会場 神戸コンベンションセンターほかオンライン開催と併用第121回 日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会会期 10月6日(火)・7日(水)会場 岡山コンベンションセンターほか第67回 日本麻酔科学会年次学術集会会期 7月1日(水)~8月末日(WEB開催、詳細は検討中)第48回 日本救急医学会総会・学術集会会期 11月18日(水)~20日(金)会場 長良川国際会議場ほか第57回 日本リハビリテーション医学会学術集会会期 8月19日(水)~22日(土)会場 国立京都国際会館第11回 日本プライマリ・ケア連合学会学術大会会期 7月23日(木・祝)〜 8月31日(月)オンデマンド配信 7月23日(木・祝)〜8月31日(月)ライブ配信 8月29日(土)・30日(日)第20回 日本抗加齢医学会総会会期 9月25日(金)〜9月27日(日)会場 浜松町コンベンションホールおよびオンライン開催

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第2回 “緊急事態宣言”賛否、基本再生産数がものを言う

日本での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延は、ついに4月7日、政府が7都府県に対し、新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)に基づく「緊急事態宣言」を発令するに至った。報道を見ていると、今回の緊急事態宣言は東京都を中心とする感染者急増に対し、医療崩壊を懸念する日本医師会や日本看護協会などの危機意識表明に背中を押されたようにも見える。実際、この緊急事態宣言に至った舞台裏を報じた朝日新聞の「『経済ガタガタに…』揺れた政権、緊急事態宣言に動く訳」でも、政権がこうした医師会などの姿勢に根負けしたことが赤裸々につづられている。歴代内閣総理大臣の中で最長在職日数記録(第1~4次内閣)を達成し、かつての佐藤 栄作氏の最長連続在職日数記録に迫りつつある安倍 晋三氏の看板政策が、大胆な金融政策に代表される経済政策「アベノミクス」。その成果については賛否両論があるものの、安倍氏就任以降、一貫してこの中で成功していたのが株価である。2018年1月には日経平均株価が約26年ぶりの2万4,000円台を回復し、2019年末から2020年1月にかけても2万4,000円台に2度達成するなど一番目に見えた成果が、今回のCOVID-19騒動で一時は1万6,000円台まで急落した。緊急事態宣言で最も全国民に影響する外出自粛要請により、それに伴う企業活動・消費の低下は必至で、日経平均株価の1万6,000円割れも視野に入る。安倍政権の焦りは分からないわけではない。もっとも、公開データを基に感染症病床の病床使用率の参考値を公表しているサイト「新型コロナウイルス対策ダッシュボード」の最新データ(4月6日時点)を見ると、既に感染者数が特定感染症病床、一種感染症病床、二種感染症病床の合計数を超える自治体が東京都をはじめとして5都県、病床使用率70%以上100%未満が7県あるという状況では、経済重視が行き過ぎればまさに全国的な医療崩壊が現実のものになってしまう。しかし、今回の外出自粛要請がどの程度感染拡大スピードの抑止につながるか未知数なのは、誰もが承知していることだろう。ちょうど本稿執筆時点の4月8日、今回のCOVID-19の震源地となった中国湖北省・武漢市は1月23日から2ヵ月半続いた都市封鎖が解除された。解除の理由は3月の第4週に新規感染者発生がほぼゼロになったことを受けたものだが、この都市封鎖は厳しい移動制限や商業施設の閉鎖など強制力を伴うもの。また、中国ほどではないものの3月10日から全土封鎖と罰則を伴う外出禁止令を出していたイタリアでも、ようやく4月に入り感染者報告が減少し始めている。日本はこれよりも緩い措置であるため「感染抑止効果が薄いのでは?」との指摘もあるが、そもそも感染症の感染力を示す「基本再生産数」は、単純なウイルスの感染力だけでなく、流行地域の人口密度、各国の医療レベルや国民の行動様式、個人の感染防御対応などにも左右される。その意味で今回の日本での外出自粛の効果を占うなら、最短時期は東京都の小池百合子知事が初めて外出自粛を訴えた3月最終週の週末に今回のウイルスの最大潜伏期間14日間を足した4月13日以降の都内での感染者報告となるだろう。

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血漿TMBはペムブロリズマブの肺がん治療の効果予測因子となるか/Clin Cancer Res

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対するペムブロリズマブの標準1次治療としての効果の予測に、血漿中の腫瘍遺伝子変異量(pTMB)が有用である可能性が示された。米国・ペンシルベニア大学のCharu Aggarwal氏らによる、転移のあるNSCLC患者を対象としたパイロット試験の結果、pTMB値≧16mut/Mbと無増悪生存(PFS)期間改善の関連が示されたという。また、そのような高pTMB患者のうち、持続的臨床効果(DCB)が期待できない患者の特定に、STK11、KEAP1、PTENおよびERBB2変異の情報が役立つ可能性も示された。著者は「今回の結果は、大規模な前向き研究で検証する必要がある」とまとめている。Clinical Cancer Research誌オンライン版2020年2月26日号掲載の報告。 研究グループは、ペムブロリズマブ単剤または化学療法併用による1次治療を開始する進行NSCLC患者66例を対象に、500遺伝子次世代シークエンシング(NGS)パネルを用いてpTMB値を測定するとともに、RECIST 1.1により有効性を評価し、患者背景、6ヵ月DCB、PFSおよび全生存(OS)との関連を解析した。 主な結果は以下のとおり。・66例中、pTMB値を評価できた患者は52例(78.8%)であった。・pTMB値中央値は、16.8mut/Mb(範囲:1.9~52.5)であった。・DCBが得られた患者群のpTMB値中央値は、DCBが得られなかった患者群よりも有意に高かった(21.3mut/Mb vs.12.4mut/Mb、p=0.003)。・PFS中央値は、pTMB値≧16mut/Mbの患者群で14.1ヵ月、pTMB値<16mut/Mbの患者群で4.7ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.30、95%信頼区間[CI]:0.16~0.60、p<0.001)。・OSは、pTMB値≧16mut/Mbの患者群では中央値未到達、pTMB値<16mut/Mbの患者群では中央値8.8ヵ月であった(HR:0.48、95%CI:0.22~1.03、p=0.061)。・ERBB2exon 20、STK11、KEAP1またはPTENの変異は、DCBが得られなかった患者に多く認められた。 ・pTMB値≧16mut/Mbおよび負の予測因子となる遺伝子変異がないことが、PFS(HR:0.24、95%CI:0.11~0.49、p<0.001)およびOS(HR:0.31、95%CI:0.13~0.74、p=0.009)と関連していた。

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妊娠・出産に対するベンゾジアゼピンの影響~メタ解析

 妊婦に対するベンゾジアゼピン(BZD)の使用は頻繁に行われているにもかかわらず、母体や胎児への影響はよくわかっていない。カナダ・トロント大学のSophie Grigoriadis氏らは、出産前のBZD曝露が出産アウトカムに及ぼす影響について定量化を行った。Canadian Journal of Psychiatry誌オンライン版2020年3月9日号の報告。 2018年6月までの研究を、Medline、PsycINFO、CINAHL、Embase、Cochrane Libraryより検索した。研究の選択基準は、出産アウトカムについてBZD曝露群と非曝露群を比較した英語のコホート研究とした。2万3,909研究をスクリーニングし、56研究を評価、14研究をメタ解析に含めた。2人の独立したレビュアーがエビデンスの質を評価し、データを抽出した。ランダム効果メタ解析を用いて、推定値をプールした。サブ解析では、曝露のタイミングを含むいくつかの潜在的なモデレーターを調査した。 主な結果は以下のとおり。・メタ解析により、十分なデータを有する9つのアウトカムが認められた。・出産前のBZD曝露は、以下の6つのアウトカムのリスク増加と有意な関連が認められた。 ●自然流産:プールされたオッズ比(OR)=1.86(95%信頼区間[CI]:1.43~2.42) ●早産:OR=1.96(95%CI:1.25~3.08) ●低出生体重:OR=2.24(95%CI:1.41~3.88) ●低アプガー指数:OR=2.19(95%CI:1.94~2.47) ●新生児集中治療室(NICU)への入院:OR=2.61(95%CI:1.64~4.14) ●中絶:OR=2.04(95%CI:1.23~3.40)・一貫したモデレーターは認められず、ほとんどのアウトカムは、研究間で有意な不均一性が認められた。・出生時体重(平均差[MD]:-151.35g、95%CI:-329.73~27.03)、在胎月齢(MD:-0.49週、95%CI:-1.18~0.19)、在胎不当過小(small for gestational age[SGA]、MD:1.42、95%CI:1.00~2.01)では、有意な関連性は認められなかったが、出版バイアスで調整後、在胎月齢とSGAでは有意な差が認められた。 著者らは「出産前のBZD曝露は、周産期におけるいくつかの有害なアウトカムのリスク増加と有意な関連が認められた。交絡を排除することはできないものの、NICU入院は臨床的に関連があり、抗うつ薬の文献での結果と一致している」としている。

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新型コロナの嗅覚・味覚障害、主症状前に出現か

 嗅覚障害および味覚障害がウイルス感染と関連するのは周知の事実である。2020年3月、米国で新型コロナウイルス感染症における味覚・嗅覚障害の報告がなされた。その後、この症状を訴える患者が日本でも確認され、症状出現に敏感になっている患者も多いのではないだろうか。新型コロナウイルス感染症入院患者の20.3%は入院前に味覚障害または嗅覚障害の症状 今回、伊・ミラノの保健所ASST-FBF-SaccoのAndrea Giacomelli氏らが伊・L.Sacco病院で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)と診断された患者の一部に、嗅覚および味覚障害(OTDs:olfactory and taste disorders)が出現したことを明らかにした。また、研究者らは「OTDsはSARS-CoV-2感染患者で頻繁に見られ、本格的な臨床症状(発熱、咳嗽など)の発症に先行する可能性がある。非特異的ではあるが、パンデミックの状況では病院に入院していない感染患者の臨床的スクリーニングツールになる」としている。Clinical Infectious Diseases誌オンライン版3月26日号掲載の報告。 研究者らはSARS-CoV-2感染症患者のOTDsの有病率を調べるため、2020年3月19日、SARS-CoV-2陽性で入院していたすべての患者に対しOTDsの有無や欠如についての質問を含む簡単なアンケートを実施。発症した症状のタイプなどのインタビューを行った。 新型コロナウイルス感染症患者の味覚障害および嗅覚障害の有病率を調べた主な結果は以下のとおり。・入院患者88例中、59例から回答を得た(非回答の29例の内訳は、認知症:4例、言語バリア:2例、非侵襲的換気実施:23例)。・20例(33.9%)は1つ以上の味覚障害または嗅覚障害を、そのうち11例(18.6%)は味覚障害と嗅覚障害の両方の症状を訴えた。・12例(20.3%)は入院前に味覚障害または嗅覚障害の症状を示したのに対し、8例(13.5%)は入院中に症状が出現した。・女性(10/19例[52.6%])のほうが男性(10/40例[25%])よりも嗅覚および味覚障害を強く訴えた(p=0.036)。・1つ以上味覚障害および嗅覚障害を訴えた患者(中央値56歳、四分位範囲[IQR]:47~60)は、訴えなかった患者(同:66歳、IQR:52~77)よりも若かった(P = 0.035)。・すべての患者が味覚障害および嗅覚障害の持続性を報告した。

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COVID-19重症患者へ、ルキソリチニブによる臨床試験開始/ノバルティス

 2020年4月2日、ノバルティスファーマ株式会社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)重症患者のサイトカインストーム治療におけるルキソリチニブ(商品名:ジャカビ)投与の評価を目的とし、インサイト社と共同で行う第III相臨床試験計画について発表した。 この試験では、 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染によって重篤なCOVID-19肺炎を発症した患者において、 標準治療(SoC:Standard of Care)とルキソリチニブ+SoC併用療法を比較、評価する予定。 サイトカインストームは重篤な免疫過剰反応の一種であり、COVID-19患者の呼吸障害の一因になりうる可能性がある。現在、非臨床エビデンスや予備的臨床エビデンスにおいて、 ルキソリチニブ投与によって集中治療や人工呼吸器を必要とする患者数を低減させる可能性が示唆されている。 ルキソリチニブはJAK1およびJAK2を阻害する経口薬であり、日本では血液内科領域の疾患(骨髄線維症、真性多血症[既存治療が効果不十分又は不適当な場合に限る])治療薬として承認されている。

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ISCHEMIA試験、狭心症関連の健康状態の比較/NEJM

 中等度〜重度の虚血を認める安定虚血性心疾患を有する進行性慢性腎臓病(CKD)患者において、初期の侵襲的治療戦略(血管造影+血行再建術+ガイドラインに基づく薬物療法)は、保存的治療戦略(ガイドラインに基づく薬物療法)と比較し、狭心症関連の健康状態に対して実質的または持続的な有益性を示さなかった。米国・ミズーリ大学カンザスシティー校のJohn A. Spertus氏らが、「ISCHEMIA-CKD試験」の副次目的である狭心症関連の健康状態の評価に関する解析結果を報告した。ISCHEMIA-CKD試験の主要目的である予後(死亡または心筋梗塞)への影響についても、侵襲的治療戦略は保存的治療戦略と比較して、イベントの有意なリスク低下は確認されていなかった。NEJM誌オンライン版2020年3月30日号掲載の報告。約700例で狭心症関連の健康状態を評価 研究グループは、中等度〜重度の虚血を認める安定虚血性心疾患を有し、推定糸球体濾過率<30mL/分/1.73m3または透析中の進行性CKD患者を、侵襲的治療戦略群または保存的治療戦略群に無作為に割り付け、無作為化前、1.5ヵ月、3ヵ月、6ヵ月時、その後は6ヵ月ごとにシアトル狭心症質問票(Seattle Angina Questionnaire:SAQ)を用いて健康状態を評価した。 本副次解析の主要評価項目は、SAQサマリースコア(スコア範囲:0~100、高得点ほど狭心症の頻度が低く機能とQOLが良好)であった。侵襲的治療戦略の効果の推定には、ベイズ理論の混合効果累積確率モデルを使用し、intention-to-treat解析を行った。保存的治療戦略と侵襲的治療戦略で健康状態の予後に有意差なし ISCHEMIA-CKD試験では777例が無作為化を受け、そのうち705例について健康状態の評価が行われた。 被験者の約半数(49%)は、無作為化前に狭心症を発症していなかった。 3ヵ月時における、侵襲的治療戦略群と保存的治療戦略群との間のSAQサマリースコア推定平均差は2.1ポイント(95%確信区間[CrI]:-0.4~4.6)で、侵襲的治療戦略群のほうが好ましいことが示された。同推定平均差は、ベースラインにおける狭心症の頻度が毎日または毎週の患者で最大(10.1ポイント、95%CrI:0.0~19.9)、同頻度が毎月の患者で最小であり(2.2ポイント、95%CrI:-2.0~6.2)、狭心症がない患者ではほとんど差はなかった(0.6ポイント、95%CrI:-1.9~3.3)。 6ヵ月時では、全例における両群の差は減少していた(0.5ポイント、95%CrI:-2.2~3.4)。 なお、著者は研究の限界として、血管造影前に無作為化されたものの侵襲的治療戦略が必要と予測される患者は除外されていた可能性があること、左冠動脈主幹部病変や心不全を有する患者などは除外されていることなどを挙げている。

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DAPA-HF試験、非2型DMのHFrEFにもダパグリフロジンが有効/JAMA

 糖尿病(DM)の有無にかかわらず左室駆出率(LVEF)が低下した心不全(HFrEF)患者において、推奨治療へのダパグリフロジンの追加はプラセボと比較し、糖尿病の状態とは関係なく心不全増悪または心血管死のリスクを有意に低下させることが認められた。英国・グラスゴー大学のMark C. Petrie氏らが、20ヵ国410施設で実施した無作為化二重盲検第III相試験「DAPA-HF試験」の探索的解析結果を報告した。HFrEFに対する新たな治療が必要とされている中、選択的ナトリウム・グルコース共役輸送体2(SGLT2)阻害薬は、非DM患者であってもHFrEFに対する治療薬として有効である可能性が示唆されていた。JAMA誌オンライン版2020年3月27日号掲載の報告。ダパグリフロジンの有効性を、2型DMの状態別にサブグループ解析 研究グループは2017年2月15日~2018年8月17日の期間で、LVEF≦40%、NT-pro-BNP≧600pg/mL、NYHA心機能分類II~IVのHFrEF患者を登録し、ダパグリフロジン(10mg 1日1回)群またはプラセボ群に無作為化に割り付け、それぞれ推奨された治療に追加投与した。 主要評価項目は、心不全の悪化(入院または静脈投与による治療を要する救急受診)または心血管死の複合エンドポイントとして、ベースラインで2型DMの有無別に評価し、非2型DM患者においてはHbA1c値5.7%未満と5.7%以上に分けて評価した。2型DMの有無を問わずダパグリフロジンで心不全増悪/心血管死リスク低下 HFrEF患者4,744例(平均年齢66歳、女性1,109例[23%]、非2型DM患者2,605例[55%])が無作為化され、このうち4,742例が試験を完遂した。 主要評価項目である心不全の悪化/心血管死は、非2型DM患者ではダパグリフロジン群で13.2%(171/1,298例)、プラセボ群で17.7%(231/1,307例)に認められ(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.60~0.88)、2型DM患者ではそれぞれ20.0%(215/1,075例)および25.5%(271/1,064例)に認められた(HR:0.75、95%CI:0.63~0.90)(交互作用のp=0.80)。 また、非2型DM患者において主要評価項目のイベント発現率は、HbA1c値5.7%未満の患者では、ダパグリフロジン群12.1%(53/438例)、プラセボ群16.9%(71/419例)(HR:0.67、95%CI:0.47~0.96)であった。同5.7%以上の患者ではそれぞれ13.7%(118/860例)、18.0%(160/888例)(HR:0.74、95%CI:0.59~0.94)であった(交互作用のp=0.72)。 体液量減少の有害事象が、非2型DM患者ではダパグリフロジン群7.3%、プラセボ群6.1%で、2型DM患者では両群とも7.8%で報告された。また、腎臓の有害事象の発現率は、非2型DM患者でダパグリフロジン群4.8%、プラセボ群6.0%であり、2型DM患者でそれぞれ8.5%、8.7%であった。

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診療情報とポケットカルテ(R)連携でオンライン診療推進へ

 2020年4月8日、医療情報のネットワーク化を推進するメディカル・データ・ビジョン株式会社(東京都千代田区、代表 取締役社長 岩崎博之氏、以下「MDV」)と「ポケットカルテ」を運営する特定非営利法人日本サスティナブル・コミュニティ・センター(京都市、代表理事 新川達郎氏、以下「SCCJ」)は、一生涯の健康・医療情報を自ら管理するPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)を活用して、新型コロナウイルス感染拡大に伴い時限的に規制緩和されるオンライン診療を推進するため、ポケットカルテ®とカルテコが連携するサービスを開発・提供し、連携強化を図ることを発表した。 今後、両社はオンライン診療に携わる医療者に対して、PHRがエビデンスに基づいた患者情報を入手する最適なツールであることを周知するとともに、患者がオンライン診療をより容易に受けられるよう、さらなる機能強化を図っていく。 MDVが開発した「カルテコ」は、医用画像や健診結果のほか、自分で計測した血圧などのバイタルデータの保管・閲覧が可能。現在、全国7病院でサービスが稼働し、利用者は約2万2,000人(2019年12月末時点)。 「ポケットカルテ®」は、北岡 有喜氏(京都医療センター医療情報部長)が考案・開発した個人向け健康情報管理サービス基盤で、2008年6月にサービスを開始。現在の利用者は約6万1,500人(2020年1月末時点)。

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岡田正人のアレルギーLIVE

第1回 食物アレルギー第2回 臨床免疫第3回 アナフィラキシーショック第4回 鼻炎第5回 薬物アレルギー第6回 アトピー性皮膚炎第7回 蕁麻疹第8回 好酸球増加 岡田正人が帰ってきた!2007年にリリースされた名作『Dr.岡田のアレルギー疾患大原則』を最新の知見を踏まえて全面刷新。白熱教室さながらの熱いレクチャーをご体感ください。外来でよく遭遇するが悩ましい食物アレルギーや即座の対応を必要とするアナフィラキシーはもちろん、花粉症、蕁麻疹、喘息、薬剤アレルギーなど、アレルギー疾患の基本を世界標準の診療を知り尽くしたDr.岡田が圧倒的なわかりやすさでお届けします。第1回 食物アレルギーどの科の医師でも必ず知っておくべきアレルギー診療。その基本をわかりやすくレクチャーします。初回は外来で出会うことも多い食物アレルギーについて。症例ベースに詳しく解説します。第2回 臨床免疫自然免疫と獲得免疫、免疫系のそれぞれの細胞の働き、またそれに伴う疾患、薬剤についてなど‥。免疫についてこんなにわかりやすく解説した番組はこれまでになかったといっても過言ではありません!第3回 アナフィラキシーショックアナフィラキシーショックは、時間との勝負!わずかなためらいや判断の遅れが患者の命にかかわります。即座に判断、対応するための知識をわかりやすく解説します。なぜ、アナフィラキシーが起こるのか、なぜその対応が必要なのかまで、しっかりとカバー。アナフィラキシーに関する疑問や悩みを解決します。第4回 鼻炎今回はアレルギー性鼻炎についてです。アレルギー性鼻炎は、鼻漏、鼻閉、かゆみ、結膜炎などさまざまな症状があります。実は、出る症状(とくに鼻漏と鼻閉)によって、処方する薬が異なってきます。患者の症状に合わせた治療薬と処方方法についてそれぞれの薬の特徴も踏まえ、詳しくわかりやすく解説します。また、効果のある飲み方とその理由など、患者に説明することによって、より効果を高めることができます。次回の花粉症シーズン前に知識を整理してみませんか。第5回 薬物アレルギー今回は薬物アレルギーについて解説します。薬物アレルギーは、100%防ぐことは不可能です。発症したときにできるだけ早く、そして重症化しないように対処しなければなりません。医原性である薬物アレルギーの対処法は、すべての医療者にとって必要なことです。しっかりと理解しておきましょう。一方で、近年、抗菌薬アレルギーに対するオーバーダイアグノーシス(過剰診断)が問題となっています。それにより、本来使うべき薬剤を使用できず、薬剤の効果や耐性菌など、実際の治療への影響を及ぼしています。ならば、どうすればよいのか。岡田正人がわかりやすくお教えします。第6回 アトピー性皮膚炎「アトピー性皮膚炎」当然のように使われるこの言葉ですが、本来の意味だと、実はちょっとおかしいのでは?そう、アトピーで皮膚炎が起こるのではありません。なぜ皮膚炎が起こるのか、起こさないためにはどうすべきか、起こったときの治療方法は、そしてなぜその方法なのか。そのことを患者が理解することが、治療への近道となります。ステロイド・保湿剤の選択、患者への説明の仕方、ステロイドが嫌だという患者への対応など、実際の臨床で行われているDr.岡田のシンプルかつ詳細な治療方法をわかりやすくお教えします。第7回 蕁麻疹今回のテーマは蕁麻疹。蕁麻疹には、抗ヒスタミン薬。それだけ処方すればいいと思っていませんか?確かに抗ヒスタミン薬は有効ですが、それが効かない患者さんもいます。なぜ効かないのかを知っておくと、その後の対応がぐっと楽になります。問診や検査はどうするか、かゆみの鑑別診断は?そして薬剤の処方のしかたや患者さんの納得する説明など、蕁麻疹の診療のノウハウを岡田正人がわかりやすくお教えします。第8回 好酸球増加好酸球が増加する原因はアレルギー、薬剤、寄生虫感染症、膠原病、HES、悪性腫瘍など多岐にわたります。現在では、好酸球の遺伝子異常の検査もできますが、医療経済的なことを考えると、最初から行うものではありません。診察、問診によって、まずは明らかな原因がないかどうかを確認し、そのうえで必要な検査を行うようにしましょう。好酸球の働きや特性を知っておけば、その症状を引き起こす原因と理由がはっきりと理解できるようになります。

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第35回 CKDは水分摂取量を増やすほど腎機能低下が抑制されるわけではない【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 水分管理は、慢性腎臓病(CKD)患者の重要な治療の1つです。腎臓が血中の老廃物をろ過し、尿として排泄するためには水分が必要ですので、水分をしっかり摂取するように、と説明する機会は多いと思います。脱水は腎障害の原因となるため避けなければなりませんが、それ以上の水分摂取はCKD患者の腎機能維持にどの程度寄与しているのでしょうか。まず、CKD患者の飲水励行が腎機能に与える影響については、米国国立健康統計センターのNHANESデータの分析調査があります1)。NHANESは、National Health and Nutrition Examination Survey(米国国民健康栄養調査)の略で、米国疾病予防管理センター(CDC)下の国立健康統計センターにより継続的に実施されていて、その知見はCDCのホームページに掲載されています2)。今回紹介するのは、2005~06年のデータでの横断分析で、利尿薬を服用していないeGFR≧30mL/min/1.73m2の成人を対象として、食品および飲料からの総水分摂取量を、少量(<2.0L/日)、中量(2.0~4.3L/日)、多量(>4.3L/日)に分類し、総水分摂取量とCKD(eGFR 30~60mL/min/1.73m2)、自己申告による心血管疾患(CVD)の関連を調べたものです。その結果、3,427例(平均年齢46歳、平均eGFR 95mL/min/1.73m2)のうち、13%がCKDで、18%がCVDでした。CKDの割合は総水分摂取量が少ない群では、多い群よりも高く(調整オッズ比:2.52、95%信頼区間[CI]:0.91~6.96)、通常の飲料水とその他の飲料の摂取量で層別化すると、CKDは水道水やミネラルウォーターなどの飲料水の少量摂取と相関していました(調整オッズ比:2.36、95%CI:1.10~5.06)。一方で、ほかの飲料では調整済みオッズ比0.87(95%CI:0.30~2.50)と相関なしです。また、水分の少量摂取とCVDについても、調整オッズ比0.76(95%CI:0.37~1.59)と相関なしです。論文中の表からは、CKDの有病率は水分摂取量が少ない群で最も高く、摂取量の増加に伴って減少する傾向が読み取れます。まとめると、利尿薬を服用していないeGFR≧30mL/min/1.73m2のCKD患者では、水道水やミネラルウォーターなどの飲水量が多いほど腎保護効果がありそうですが、CVDでは関係が見いだされないという結果でした。横断調査のため、因果関係を判断しづらい面もありますが、日常的な疑問に対して重要な示唆が得られる内容です。通常より水分摂取を増やしても1年後の腎機能低下に寄与なしランダム化比較試験ではどうかというと、CKD患者により多くの水を飲むように勧めることにより、腎機能の低下を1年間にわたって抑制できるか検証した研究があります3)。対象はカナダのオンタリオ州の9施設で、2013年4月~2017年5月25日の間にフォローされたCKDステージ3かつ尿量が3L/日未満の患者631例という大規模な研究です。患者の平均年齢は65歳、平均eGFRは43mL/min/1.73m2、平均尿中アルブミンは123mg/日でした。イメージとしては、おおむね正常な腎臓の1/3~2/3程度の機能で、むくみや尿量変化、疲れやすさなど症状が軽度であっても存在し、カリウム制限も始めているくらいだと思います。介入群316例には通常の飲水量に加え、性別や体重に応じて1~1.5L/日以上の増量を勧め、対照群315例には通常の飲水量を維持するように説明がなされました。両群の患者像のベースラインは似通っており、おおむね平等な比較だと思います。主要評価項目は12ヵ月後までのeGFRの変化で、二次評価項目として12ヵ月後の血清コペプチン濃度の変化などがみられています。その結果、24時間尿量は、介入群で0.6L(95%CI:0.5~0.7)有意に増え、eGFRの変化は介入群-2.2mL/min/1.73m2、対照群-1.9mL/min/1.73m2で、CKDステージ3の患者が水分摂取量を増やしても1年後の腎機能低下の度合いを遅らせることはできないという結果でした。血清コペプチンが有意に減っているため、抗利尿ホルモンの放出は有意に抑制されたとみることができます。CKDステージ3クラスなら、おおむね1~1.5L/日の水分摂取ができていれば、それ以上の水分摂取増量を勧めるよりも、ほかのオプションを患者さんと相談できるとよいのかなと思います。1)Sontrop JM, et al. Am J Nephrol. 2013;37:434-442. 2)CDC National Health and Nutrition Examination Survey 3)Clark WF, et al. JAMA. 2018;319:1870-1879.

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ラツーダ:2つの精神疾患に適応を有する新たな非定型抗精神病薬

2020年3月25日、ラツーダ錠(一般名:ルラシドン塩酸塩)が「統合失調症」および「双極性障害におけるうつ症状の改善」を効能・効果として承認された。3月時点で、ラツーダ錠は統合失調症に関わる効能・効果では欧米を含む47の国または地域、そして双極I型障害うつに関わる効能・効果では米国を含む7つの国または地域で承認されている。「統合失調症」や「双極性障害におけるうつ症状」に対する有用な治療選択肢は日本では、近年、精神疾患のために医療機関を受診する患者が大幅に増加しており、その数は400万人を超えた。このうち、約80万人の患者が統合失調症と推計されている。統合失調症の主な症状は、陽性症状、陰性症状および認知障害であるが、これら症状の組み合わせは患者によって異なるため、病態は多岐にわたる。一方、双極性障害は数十万人の患者が存在すると考えられている。双極性障害は躁状態とうつ状態とを繰り返すが、うつ状態を呈する期間が長い傾向にある。さらに、精神疾患の中でも自殺企図率が高いため、日常生活に重大な影響を及ぼしやすい。このような背景を持つ両疾患では、非定型抗精神病薬による薬物治療が主流であった。しかし、体重増加や耐糖能異常など特徴的な副作用が懸念されることから、既存の非定型抗精神病薬の有する有効性に加え、その特徴的な副作用を軽減した新たな薬剤が求められている。有効性と非定型抗精神病薬に特徴的な副作用の軽減との両立を期待ルラシドンはドパミンD2、セロトニン5-HT2Aおよびセロトニン5-HT7受容体のアンタゴニスト、そしてセロトニン5-HT1A受容体のパーシャルアゴニストとして作用することで、陽性症状、陰性症状および認知障害を改善すると考えられている。その一方で、ヒスタミンH1やムスカリンM1受容体に対する親和性は低いため、体重増加などの非定型抗精神病薬の懸念点を軽減することが期待される。プラセボ対照試験で両疾患の症状改善を確認ルラシドンの承認は、統合失調症患者を対象とした国際共同第III相試験(PASTEL、JEWEL)および継続長期試験(JEWEL継続)、双極I型障害うつ患者を対象としたELEVATE試験の試験結果に基づいている。JEWEL試験では、DSM-IV-TR基準により統合失調症と診断された患者を、ルラシドン40mg/日群とプラセボ群に無作為に割り付け、有効性と安全性を検討した。主要評価項目である「投与6週間後におけるPANSS合計スコアのベースラインからの変化量」は、プラセボ群-12.7に対してルラシドン40mg/日群-19.3(p<0.001)であり、有意な改善を示した。また、ELEVATE試験では、DSM-IV-TR基準により双極I型障害うつと診断された患者を、ルラシドン80~120mg/日群および20~60mg/日群、プラセボ群の3群に無作為に割り付け、有効性と安全性を検討した。主要評価項目である「投与6週間後におけるMADRS合計スコアのベースラインからの変化量」は、プラセボ群-10.6に対してルラシドン80~120mg/日群-12.6(調整済p値:0.057)、ルラシドン20~60mg/日群-13.6(調整済p値:0.007)であり、20~60mg/日群において有意な改善を示した。JEWEL試験、ELEVATE試験の両試験において、ルラシドンの忍容性に関して大きな問題は認められなかった。新たな治療選択肢への期待ルラシドンは、上記以外にいくつもの試験が実施されており、統合失調症(維持期)患者に対する長期投与による再発リスクの低下や、既存の抗精神病薬で効果不十分な統合失調症患者におけるPANSS合計スコアの低下および体重増加の抑制などが示唆されている。従来の非定型抗精神病薬の懸念点を軽減したルラシドンの登場は、長期間の治療が必要となる両疾患の患者にとって、有用な治療選択肢になるのではないだろうか。今後、長期の使用経験が積まれ、その有用性が検証されることが期待される。

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