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COVID-19、医師のツイートから行政手続きが効率化

 医療現場は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対応と感染対策に追われているが、そこに拍車を掛けているのが非効率な行政手続きだ。新型コロナウイルス感染症は指定感染症となっており、患者が出た場合には感染症法に基づき保健所への届け出が必要となる。このやり取りに使われる「新型コロナウイルス感染症発生届」は医師が所定の用紙を埋めてFAXで送付し、電話で確認するという形式。PCR検査実施を依頼する際にも同様の電話連絡と紙伝票のやり取りが必要となる。 4月23日、川崎市立川崎病院で呼吸器内科医として診療の最前線に立つ田中 希宇人氏は「手書き・FAX」という届け出の非効率性について、自身のTwitterに嘆く投稿をした。「もう止めようよ‥。手書きの発生届‥。こんなん昭和ですよ‥。もう止めようよ‥(一部抜粋)」。 この投稿が反響を呼び、リツイートが繰り返されるうちに河野太郎防衛大臣の目に留まり、大臣が自身のアカウントで反応。Twitter上で担当する副大臣につながり、投稿の翌日には田中氏が改善点についてメールで意見を伝えることとなった。以降、関連閣僚・官僚がデジタル化による医療現場と保健所の負担軽減を言及するようになり、4月30日には「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(仮称)」が導入されることが正式に発表された。田中氏の投稿からわずか1週間、システム稼働も5月17日の週を目処に開始されるというスピード感ある展開に、現場の医療者からは一様に歓迎の声が上がった。一連の経緯は海外メディアの注目も集め、5月1日付けのニューヨーク・タイムズはロイター発として「FAXを愛する日本がコロナウイルス報告のオンラインシステムを導入」と紹介した。 田中氏は、今回の経緯について自身のnoteに詳しくまとめている。 https://note.com/cutetanaka/n/nbac8c07a1455 大きく行政を動かすことになった田中氏は、「今回はたまたま河野大臣にツイートを拾われる形となった。本当に偶然だが、医療現場での非効率な古い慣習は『発生届』以外にも数多く存在しており、改善を諦めず、声を上げ続けることが大事だと感じた」と語る。田中氏は以前からTwitterをはじめ、肺がんに関するブログでも医療情報を積極的に発信してきた。そうした発信力と影響力の積み重ねが今回の成果につながった面も大きい。田中氏は「今回、SNSはただの発信/連絡のツールではなく、使い方次第で大きな可能性と将来性があるとわかった」とし、今後も積極的な発信を続けていくという。

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capmatinib、METΔexon14変異肺がんのFDA承認取得

 米国食品医薬品局(FDA)は、2020年5月7日、METexon14スキッピング変異が検出された転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者に対しMET阻害薬capmatinibを承認した。 capmatinibは、METexon14スキッピング変異陽性のNSCLC患者97例を対象にしたGEOMETRYmono1試験の結果に基づき、2020年2月から優先審査対象となっていたが、今回の承認も同試験に基づくもの。 GEOMETRYmono1試験は、7つのコホ-トに分けられるが、7コホート中の2コホートの結果が発表されている。コホート4は、1つ以上の前治療を受けた患者(69例)、コホート5では、治療歴のない患者(28例)が対象。 コホート4の盲検独立審査委員会(BIRC)評価による全奏効率は40.6%、コホート5bのORRは67.9%だった。奏効期間(DOR)中央値は、コホート4で9.72ヵ月、5bでは11.14ヵ月であった。無増悪生存期間(PFS)の中央値は、コホート4で5.42ヵ月、コホート5bでは9.69ヵ月であった。頭蓋内病変の中間解析では、54%(13人中7人)に奏効が観察された。 第II相マルチコホート研究に登録されたStage IIIB/IVの患者では、コホート4のBIRC評価のORRは42.0%、病勢制御率(DCR)は78.3%(治験担当医評価76.8%)。コホート5bのBIRC評価のORRは60.7%、DCRは96.4%(治験担当医評価96.4%)であった。評価可能な脳転移症例13例のうち4例の脳病変がCRであった。 Grade3/4の有害事象(AE)の発現は全体で35.6%、重篤な治療関連AEの発現は12.9%であった。最も頻度の多いAEは末梢浮腫で、全Gradeで41.6%、Grade3/4は7.5%の発現率であった。治療関連死亡は認められなかった。

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COVID-19患者の自宅などでの健康観察/厚生労働省

 4月27日、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部は、「新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養・自宅療養における健康観察における留意点について」の事務連絡を全国の関係機関に発出した。 この連絡では、新型コロナウイルス感染症(以下「COVID-19」と略す)の無症状原体保有者と軽症患者(以下「軽症者など」と略す)の宿泊療養および自宅療養で、軽症者などの状態が急変する可能性があることから、軽症者などの本人が自ら経過観察(セルフチェック)を行う際に留意すべき「緊急性の高い症状」と下記の項目に該当したときの対応を整理し、宿泊療養・自宅療養での健康観察の際に活用できるようにしたものである。表情、呼吸状態、意識状態でチェック 具体的な手順として、経過観察(セルフチェック)を行う軽症者などの本人に対し、「緊急性の高い症状」の項目を伝え、併せて注意事項を伝えることが重要となる。【緊急性の高い症状】 *は家族などが以下の項目を確認した場合〔表情・外見〕・顔色が明らかに悪い*・唇が紫色になっている・いつもと違う、様子がおかしい*〔息苦しさなど〕・息が荒くなった(呼吸数が多くなった)・急に息苦しくなった・生活をしていて少し動くと息苦しい・胸の痛みがある・横になれない。座らないと息ができない・肩で息をしている・突然(2時間以内を目安)ゼーゼーしはじめた〔意識障害など〕・ぼんやりしている(反応が弱い)*・もうろうとしている(返事がない)*・脈がとぶ、脈のリズムが乱れる感じがする セルフチェックの回数は原則1日2回だが、軽症者などの症状や状態に応じ、1日3回(朝・昼・夜)または4回(朝・昼・夕・寝る前など)を目安として設定するほか、健康状態の聴取のために連絡する回数を1日2回に増やすなど、より症状の変化に留意して健康観察し、必要に応じてすみやかに医師に相談する。 上記の症状に該当したときには、看護師などからの定期的な連絡を待たず、次の窓口にただちに連絡する。 ・宿泊療養の場合:宿泊施設に配置された看護師などへ ・自宅療養の場合:各都道府県などの連絡・相談窓口へ また、セルフチェックのタイミング以外においても、上記の症状を認識したときは同様に窓口にただちに連絡するよう指示をしている。

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ARBとACE阻害薬、COVID-19への影響みられず/NEJM

 ARBおよびACE阻害薬が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のリスクに影響を及ぼすとのエビデンスは示されなかったことが、イタリア・University of Milano-BicoccaのGiuseppe Mancia氏らが同国ロンバルディア地方で行った、住民ベースの症例対照試験で示された。症例群の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染確認群は対照群と比べて、心血管疾患の有病率が30.1%と高く、ARB(22.2% vs.19.2%)やACE阻害薬(23.9% vs.21.4%)の使用率も高かったが、両薬とCOVID-19にいかなる関連性も認められず、重症化や死亡との関連性もみられなかった。NEJM誌オンライン版2020年5月1日号掲載の報告。イタリア・ロンバルディア地方で住民ベースの症例対照試験 イタリア・ロンバルディア地方で行われた住民ベースの症例対照試験は、2020年2月21日~3月11日の間に、SARS-CoV-2感染患者6,272例と、性別・年齢・居住市町村でマッチングしたRegional Health Service加入者3万759例を対象に行われた。 被験者の選択的薬物の使用情報と臨床プロファイルを、地域の医療サービス利用データベースから入手し、薬物と感染症の関連についてオッズ比(OR)とその95%信頼区間(CI)を、交絡因子を補正し、ロジスティック回帰分析により求めて評価した。性差による違いもなし 被験者の平均年齢は68±13歳、女性は約37%であった。心血管疾患の有病率は、症例群30.1%、対照群21.7%(相対差:28.0%)で症例群が高く、ARB(22.2% vs.19.2%、相対差:13.3%)およびACE阻害薬(23.9% vs.21.4%、10.5%)の使用率も症例群が高かった。 症例群全体において、ARBおよびACE阻害薬の使用とCOVID-19にいかなる関連性も認められなかった(ARBの補正後OR:0.95[95%CI:0.86~1.05]、ACE阻害薬の補正後OR:0.96[0.87~1.07])。重症患者や致死的経過をたどった患者においても同様であった(ARBの補正後OR:0.83[95%CI:0.63~1.10]、ACE阻害薬の補正後OR:0.91[0.69~1.21])。また、これらの変数の関連性について、性差はみられなかった。

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血管内血栓摘出術前のrt-PA静注、有益かリスクか/NEJM

 大血管閉塞による急性虚血性脳卒中を呈した中国人の患者において、血管内血栓摘出術の単独施行は、症状の発症4.5時間以内にアルテプラーゼ静脈内投与を行ったうえでの血管内血栓摘出術施行と比べて、機能的アウトカムに関して非劣性であることが示された。中国・Naval Medical University Changhai HospitalのPengfei Yang氏らが、同国内41の大学関連医療施設で行った無作為化試験の結果を報告した。急性虚血性脳卒中において、血管内血栓摘出術の前にアルテプラーゼ静脈内投与を行うベネフィットとリスクについては、不確実性があると指摘されている。NEJM誌オンライン版2020年5月6日号掲載の報告。中国41施設で、摘出術単独群vs.併用群、90日時点の修正Rankinスコアを評価 研究グループは、中国国内41の大学関連3次医療施設において、急性虚血性脳卒中患者における血管内血栓摘出術について、アルテプラーゼ静脈内投与の有無を評価する無作為化試験を行った。前方循環系大血管閉塞を来した急性虚血性脳卒中患者を1対1の割合で無作為に2群に割り付け、一方には血管内血栓摘出術のみを(血管内血栓摘出術単独群)、もう一方には血管内血栓摘出術に先行してアルテプラーゼ0.9mg/kg体重を、症状発症から4.5時間以内に静脈内投与した(併用群)。 主要アウトカムは、無作為化後90日時点で評価した修正Rankinスケールスコア(範囲:0[症状なし]~6[死亡])で、血管内血栓摘出術単独群と併用群の差を評価し非劣性について解析した。非劣性の基準は、補正後共通オッズ比の95%信頼区間(CI)の下限値が0.8%以上とした。 また、死亡や虚血部再灌流などさまざまな副次アウトカムの評価も行った。単独群の非劣性を確認、死亡率は17.7% vs.18.8% 2018年2月23日~2019年7月2日に1,586例がスクリーニングを受け、656例が無作為化を受けた(327例が血管内血栓摘出術単独群、329例が併用群)。被験者の年齢中央値は69歳(四分位範囲:61~76)、男性は370例(56.4%)であった。症状発症から無作為化までの時間中央値は単独群167分(四分位範囲:125~206)、併用群177分(126~215)、無作為化から血栓摘出までの時間中央値はそれぞれ31分、36分であった。 主要アウトカムの修正Rankinスケールスコアに関する補正後共通オッズ比は、1.07(95%CI:0.81~1.40、p=0.04)で、単独群の併用群に対する非劣性が認められた。 しかし、血栓摘出術前の再灌流成功率(2.4% vs.7.0%)、全体的な再灌流成功率(79.4% vs.84.5%)は単独群で低かった。90日時点の死亡率は、単独群17.7%、併用群18.8%であった。 結果を踏まえて著者は、「その他の集団で大規模な検討を行う必要がある」と述べている。

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後期研修医向け医療小説【Dr.倉原の“俺の本棚”】第30回

【第30回】後期研修医向け医療小説世の中に後期研修医が主人公になった小説なんて、あっただろうか? いや思いつかない。初期研修医の頃も現場で葛藤し悩みますが、ちょっと成長した後期研修医ならではの悩みを小説にしてしまったのがこの本。ただし、前作『泣くな研修医』を読んでから、これに目を通すようにしてください。さすがに登場人物の事前情報があったほうが絶対に面白いですから。『逃げるな新人外科医 泣くな研修医2』中山 祐次郎/著. 幻冬舎文庫. 2020年著者の中山 祐次郎先生は、過去に一度対談したことがあって(第18回 特別編 ジェラシー全開で中山 祐次郎氏と話してみた!)、酔っぱらって鍋をつつきながら私に向かって放った、印象に残っている言葉があります。「祐次郎と裕次郎をよく間違えられるんですが、どっちでもいいですよ」という一言。漢字を間違えられても構わないとか、どんだけ器大きいんやこの人は。たぶんね、森羅万象を吸収しようとする人は、そうなっちゃうんでしょう。彼は自分でも言っていますが、作家としてはまだ新人です。しかし、おそらくこれから、何作も小説を出すに違いありません。さらなるページターナーになっている2作目、成長を感じさせます。小説を書く技術も、死ぬほど勉強されたんでしょう。読んでいて、周囲の風景が前よりも際立って“見える”ようになったもの。後期研修医の悩みは、初期研修医のそれとは少し異なります。初期研修医のときは、医療ってこんなんでいいのか、生死ってなんだ、みたいなフワっとした哲学的なものが多いですが、後期研修医はもっと具体的。あのときどういう言葉で説明すればよかったのか、指導医にいいところを見せたくて無理してしまった、とか。恋愛テイストもちょっと強めの第2作。「え、もうちょっと続きが読みたいんですけど!」というところで物語は終わります。中山先生、これは次回作に期待してもいいんでしょうね。雨野先生が、院長になるまで続けてもらいましょうか。医療界の「島耕作」みたいになっていったりして……。『逃げるな新人外科医 泣くな研修医2』中山 祐次郎 /著出版社名幻冬舎定価本体675円+税サイズA6判刊行年2020年

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コロナ危機が医師の収入を直撃!生活防衛策あれこれ【医師のためのお金の話】第32回

こんにちは。自由気ままな整形外科医です。新型コロナウイルス感染症に端を発した経済危機は、未曽有のものになる可能性が高まってきました。今回の経済危機とよく比較されるのは2008年のリーマンショックです。リーマンショックは百年に一度の経済危機、といわれましたが、当時、多くの医師は経済危機を実感することなく日常生活を過ごしていたと思います。私自身は株式投資を通じて人生を賭けた戦いをしていたので、経済が壊れていく状況を、悲壮感をもって体験していました。しかし、そんな私でも1997年のアジア通貨危機はまったく記憶にありません。それほど一般的な医師は経済危機とは無縁の存在ですが、今回のコロナ危機は今までとは様相が異なるようです。新型コロナの影で進行する経営不振感染症指定医療機関は人員を総動員して新型コロナウイルス感染症に対応していますが、周知のように開業医や一般医療機関は患者さんの受診抑制の影響で患者数が激減しています。感染を恐れた患者さんが受診しないために外来は閑古鳥が鳴いており、医療機関側も院内の感染リスクを恐れて受診抑制を推進しています。また、感染症指定医療機関や公的基幹病院の多くは、新型コロナに対応するために、それ以外の医療を縮小しています。私は整形外科医ですが、外傷や腫瘍以外の予定手術を延期する医療機関が増加したため、整形外科医としての本来の業務量は劇的に減少しています。医師になってから20年以上経ちますが、医療業界全体がこれほど大きな負の影響を受けたことは一度もなかったでしょう。医師の収入が劇的に減少医療業界がこのような状況なので、必然的に医師の収入も大きな影響を受けます。最も脆弱なのは大学関係者です。高度医療に携わっているにもかかわらず、外勤禁止や出張先の外来閉鎖などで収入は減る一方です。今回のような急激な変化は予想することさえできませんでした。一方、開業医も受診抑制の影響をもろに受けて悪戦苦闘しています。経営難に追い込まれるところも多く、医業収入の減少を避けることは難しいでしょう。このようにほぼすべての医師が収入面でも大きな負の影響を受けることも、かつてなかった状況です。生活防衛策として「固定費」削減をこのような状況下では、経済的に安定しているといわれる医師でも、生活防衛を真剣に考える必要があります。現状では収入を増やすことは難しいので、いかにして支出を減らすのかが重要なポイントです。支出を減らすためには家計の把握が必要です。医師は忙しいので、家計がどうなっているのかを詳細に知らない人が多いのではないでしょうか。しかし、支出を減らすためには家計の把握は必須。この際、まず見るべきポイントは「固定費」です。固定費とは「毎月継続的に支出する費用」のことで、具体的には下記が主なものとなります。住居費(住宅ローン、家賃)生命保険車関連費(自動車ローン、駐車場代)教育費(学費、習い事の月謝)定期購入しているもの定期支払いしているもの(スポーツジムの月会費など)通信費(携帯電話、インターネットなど)固定費は毎月支出するものなので、一度削減するとその効果は永続します。そして数ある固定費の中でも影響が大きいのは「大きな固定費」です。具体的には、住居費、生命保険、車関連費、教育費です。固定費削減の知恵あれこれ住居費は住宅ローンの借り換えで月々の返済金額を減らすことができるかもしれません。各社からいろいろな借り換えプランが出ているので検討してみましょう。一方で、生命保険は掛け過ぎになりがちです。生命保険が最も必要となるのは第1子が誕生した瞬間です。独身や夫婦だけの世帯に高額な生命保険は必要ありません。そして、これだけ低金利の環境では、貯蓄型ではなく掛け捨て型を選択するほうが望ましいでしょう。ちなみに私の生命保険は共済の掛け捨て型です。掛け捨て型は保険料が安いので、終身保険や養老保険と比較して大幅な固定費削減効果を見込めます。車関連費は都市部になるほどコスパが悪くなりがちです。公共交通機関が発達しているのであれば、思い切って車を手放すのもありでしょう。最近は「ちょい乗り」できるレンタカーサービスも増えました。また、配車アプリが普及してタクシーを利用しやすい環境も整いつつあります。決断するのにエネルギーが必要ですが、思い切って自動車を手放せば洗車の手間も省けて気持ちがラクになるかもしれません。教育費は削りづらいものですが、多くの教室や塾が閉鎖されている今の時期に「その習い事は本当に必要なのか?」を親子で考えてみましょう。新型コロナは大きな災難ですが、固定費削減を考えるきっかけにすることができれば、「禍を転じて福と為す」かもしれません。

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第6回 新型コロナ感染症、今後の主戦場は高齢者施設か

高齢者施設550人余り感染、約1割の60人死亡こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件について、あれやこれや書いていきたいと思います。ゴールデンウィーク、皆さんはどう過ごされたでしょうか。結局私は、恒例の友人との春山山行は諦め、車で実家の父親(88歳・1人暮らし)に会いに行こうと考えたのですが、その父親から電話で「こんな時に来んでええ!」と叱られ、ずっと”巣ごもり”をしていました。と書いているうちに連休も終わり、東京の街は少しずつ活気が戻ってきています。ラーメン屋や焼鳥店、定食屋などがポツリポツリと営業を再開しているのです。営業自粛が飲食店経営に与える影響は大きなものがありますが、北海道や韓国のように東京も感染流行がぶり返しはしないか、とても心配です。そんな中、気になったのは5月8日にNHKが報じた「新型コロナで“介護崩壊”の危機? 高齢者施設でいま何が」のニュースでした。新型コロナウイルスの感染が深刻化した欧米で高齢者施設の入所者の死亡者数が多かったことから、NHKは全国の自治体に対し、4月末時点での高齢者施設での感染状況を取材し、その結果を詳細に報道したのです。それによれば、特別養護老人ホームや老人保健施設、それに有料老人ホームやグループホームなどの入所系高齢者施設では少なくとも利用者約380名、職員約170名、あわせて約550名が感染、このうち1割強にあたる60人が死亡していた、とのことです。高齢者施設における感染でとくに大きく報道されたのは、富山県富山市の老人保健施設のクラスター感染です。4月17日に入所者の感染が初めて確認されてから、5月8日までに入所者と職員計58名が感染し、このうち入所者8名が死亡しています。富山県は人口10万人当たりの感染者が全国で3番目に多い県となっていますが、累計221名(5月9日現在)の感染者の4分の1以上がこの施設の感染によるものでした。「3密」が瞬時に出来上がる環境高齢者施設で死亡者が出やすいのは、元々超高齢で虚弱、かつ持病を持つ方が多く入所している点に加え、あとから述べるように「クラスターが発生しやすい施設環境」が理由として考えられます。病院内の感染対策は国・自治体を含め多くの施策がとられていますが、介護系の施設はどうしても二の次となり、具体的な支援策も十分ではありません。医療スタッフも、老健施設には医師(医療機関をリタイアした医師が多い)がいますが、ほかの高齢者施設では現場の医療担当は看護師です。加えて、感染対策を専門に学んだ看護師は少ないでしょうから、国や自治体からの通達された感染防止策をどこまで徹底できるかも疑問です。さらに介護現場はどこも人手不足で、スタッフの入れ替わりが激しい施設が大半です。入職したばかりのスタッフに感染防止策を徹底させることは、とても難しいでしょう。施設のつくりや環境も問題です。病院とは異なり、多くの高齢者施設では食堂で入居者が一緒に食事をとります。高級有料老人ホームは別として風呂も基本的に共用です。さらに多人数の居室が多く、ベッドとベッドの間はカーテンだけで仕切られている施設がほとんどです。入居者の家族が複数人面会に訪れただけで、密閉・密集・密接の「3密」が瞬時に出来上がる環境なのです。やっかいなのは、新型コロナウイルスの他人への感染性は発症の数日前から始まり、「発症直前がピーク」と言われている点です。他人への感染の約4割は無症状期間に生じている、とのデータもあります。発症直前のスタッフ・家族が自覚もないまま高齢者施設でウイルスを撒き散らすと、死亡リスクの高い要介護状態の高齢者はひとたまりもありません。今後、各都道府県の感染者数が減っていき、緊急事態宣言が解除されていったとしても、高齢者施設のクラスター発生はポツリポツリと発生し続け、その度ごとに一定数の死亡者が出てしまうでしょう。半年~1年後には、新型コロナ感染症の主戦場は高齢者施設になっているのではないでしょうか。その頃には、大不況を背景に介護現場に多少なりとも働き手が戻り、十分な対策がとれるだけの介護報酬が手当てされていればいいのですが…。

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第20回 対人業務が三方良しの理由【噂の狭研ラヂオ】

動画解説ミスが怖いから、まだ早いからという言い訳で対人業務から逃げるのはもう終わり!商売は「売り手」「買い手」「世間」の3つにとって良くあるべきという近江商人の心得である三方良し。薬剤師が対物業務を離れて対人業務にシフトすることで、患者も、医療社会も、あなたも、三方良しとなる理由とは?

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双極性障害とアルコール使用障害

 これまでの研究において、双極性障害(BD)患者のアルコール使用障害(AUD)の合併が報告されているが、BD患者のアルコール使用パターンはよくわかっていない。英国・ウスター大学のKatherine Gordon-Smith氏らは、大規模英国サンプルを用いて、生涯で最も大きい平均週間アルコール消費量の調査を行った。Bipolar Disorders誌オンライン版2020年4月2日号の報告。 定期的な飲酒経験のある双極I型障害の女性1,203例および男性673例を対象に、半構造化インタビューを実施した。 主な結果は以下のとおり。・現在の英国推奨アルコール摂取ガイドラインの2倍以上定期的に飲酒していた患者は、女性で52.3%、男性で73.6%であった。・男女ともに、生涯アルコール消費量の増加と有意な関連が認められたのは以下の項目であった。 ●自殺企図:女性(OR:1.82、p<0.001)、男性(OR:1.48、p=0.005) ●ラピッドサイクリング:女性(OR:1.89、p<0.001)、男性(OR:1.88、p<0.001)・女性のみで、アルコール消費量の増加と有意な関連が認められたのは以下の項目であった。 ●うつ病エピソード(OR:1.35、p<0.001) ●躁病エピソード(OR:1.30、p<0.004) ●最も悪い躁病エピソード中の機能障害の少なさ(OR:1.02、p<0.001) ●精神科入院の減少(OR:0.51、p<0.001) ●パニック症の合併(OR:2.16、p<0.001) ●摂食障害の合併(OR:2.37、p<0.001) 著者らは「実臨床において、BD患者のアルコール消費量に関する詳細な情報を収集する意義は大きいと考えられる。アルコール消費量が多いからといって、必ずしもAUDの基準に達しているわけではないが、BDの疾患経過、とくに女性の摂食障害の合併を予測するうえで役立つであろう」としている。

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DS-8201をHER2陽性胃がんに国内申請/第一三共

 第一三共株式会社は、2020年5月7日、トラスツズマブ デルクステカン(開発コード:DS-8201、商品名:エンハーツ)について、HER2陽性の胃がんに係る効能又は効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請を国内において行った。 この申請は、トラスツズマブを含む2つ以上の前治療を受けたHER2陽性の進行・再発胃がん患者または胃食道接合部腺がん患者を対象とした第2相臨床試験(DESTINY-Gastric01)および日米共同第I相臨床試験の結果に基づくもの。 同剤は、厚生労働省よりがん化学療法後に増悪したHER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対する治療として、先駆け審査指定を受けている。

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COVID-19、抗HIV薬と脱毛症薬併用に可能性/東京理科大など

 抗HIV治療薬ネルフィナビルと白血球減少症や脱毛症、まむし咬傷などの治療薬セファランチンという2つの既存薬の併用が、新型コロナウイルス増殖を効果的に排除する可能性が示唆された。東京理科大学/国立感染症研究所の渡士 幸一氏らの研究グループによるもので、4月22日に発表された。 研究者らは、国立感染症研究所で分離された新型コロナウイルスと、これを実験室で感染増殖できる培養系技術を利用し、すでに何らかの疾患に対して臨床で使用認可されている約300のFDA/EMA/PMDA承認薬のウイルス増殖への効果を検証。調べた承認薬の中で5剤がウイルス増殖による細胞傷害を抑えることを見出し、この中からとくにネルフィナビル、セファランチンに着目した。 両剤はそれぞれ感染細胞から放出されるウイルスRNAを1日で最大0.01%以下にまで強く減少させ、現在治療薬候補となっているロピナビルやクロロキン、ファビピラビルよりも強い活性を持っていた。またネルフィナビルとセファランチンの併用により、1日で感染細胞からのウイルスを検出限界以下に排除することができた。作用機序としては、薬剤ドッキングシミュレーションによって、ネルフィナビルは新型コロナウイルス複製に必須のメインプロテアーゼ、セファランチンはウイルスと細胞の吸着に必要なウイルススパイクタンパク質にそれぞれ結合する可能性が示されている。 併用によって強い抗ウイルス活性が示されたことを受け、実際に臨床で使用される投与量でどの程度ウイルス排除に有効かを数理解析で予測。その結果、ネルフィナビル(経口投与)単独治療で累積ウイルス量が約9%に減少し、ウイルス排除までの期間が約4日短縮された。またネルフィナビル(経口投与)とセファランチン(点滴投与)の併用治療ではさらに効果が増強し、累積ウイルス量が約7%に、ウイルス排除までの短縮期間が約5.5日となった。 本研究結果をまとめた論文は、現在preprintとしてBioRxivサーバへ登録、公開されている。

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COVID-19、ICU入室患者の臨床的特徴/JAMA

 集中治療を要する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染患者の臨床的特徴の情報は限られている。イタリア・Fondazione IRCCS Ca' Granda Ospedale Maggiore PoliclinicoのGiacomo Grasselli氏らCOVID-19 Lombardy ICU Networkの研究グループは、同国ロンバルディア州の集中治療室(ICU)に入室した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の調査を行った。その結果、ICU入室患者の多くは高齢男性で、機械的換気を要する患者が9割近くに及び、呼気終末陽圧(PEEP)値が高く、ICU内死亡率は26%に達したことがわかった。研究の詳細は、JAMA誌2020年4月28日号で報告された。ICUベッドの利用や集中治療の提供の状況は国によって異なるが、ICU治療を要する重篤なCOVID-19患者のベースラインの特徴やアウトカムに関する情報は、地域の集団発生に対処するための取り組みの計画に従事する保健当局や政府関係者にとってきわめて重要である。確定例の9%が入室、年齢中央値63歳、82%が男性 本研究は、2020年2月20日~3月18日の期間に、ロンバルディア州の72のICUに入室したCOVID-19確定例を後ろ向きに評価した症例集積研究である(イタリアFondazione IRCCS Ca’ Granda Ospedale Maggiore Policlinicoの助成による)。最終フォローアップ日は2020年3月25日であった。 この期間に、鼻咽頭拭い液を検体とし、リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(RT-PCR)で確定されたSARS-CoV-2感染患者は1万7,713例で、1,593例(9%)がICUに入室した。データが得られなかった2例を除く1,591例が解析に含まれ、人口統計学データと臨床データが収集された。 1,591例の年齢中央値は63歳(四分位範囲[IQR]:56~70、範囲:14~91)で、1,304例(82%)が男性であった。また、363例(23%)が71歳以上、203例(13%)は51歳未満だった。高血圧が多くCOPDは少ない、88%で機械的換気 データが得られた1,043例中、709例(68%)で1つ以上の併存疾患が認められた。最も多かったのは高血圧で、509例(49%)にみられ、次いで心血管疾患が223例(21%)、脂質異常症が188例(18%)、2型糖尿病が180例(17%)の順であり、慢性閉塞性肺疾患(COPD)は42例(4%)と少なかった。80歳以上は全例が、60歳以上は76%が、何らかの併存疾患を有していた。 呼吸補助のデータが得られた1,300例中、1,287例(99%)がICUで呼吸補助を必要とし、このうち1,150例(88%)は気管内挿管と機械的換気を、137例(11%)は非侵襲的換気を要した。また、データが得られた1,017例のPEEP中央値は14cmH2O(IQR:12~16)で、999例中887例(89%)で吸入気酸素濃度(FIO2)が50%以上であった。781例の動脈血酸素分圧(PaO2)/FIO2比中央値は160(IQR:114~220)だった。 年齢中央値(63歳)で2群に分けると、PEEP中央値は63歳以下(503例)が14cmH2O(IQR:12~15)、64歳以上(514例)も14cmH2O(12~16)であり、両群間に差は認められなかった(群間差:0、95%信頼区間[CI]:0~0)。また、FIO2中央値は63歳以下が60%(IQR:50~80)、64歳以上は70%(50~80)(群間差:-10%、95%CI:-14~-6)で、PaO2/FIO2比中央値は63歳以下が163.5(IQR:120~230)、64歳以上は156(110~205)であった(7、-8~22)。入室時27%で腹臥位換気、1%でECMO、高血圧患者は高齢 入室時に、875例中240例(27%)が腹臥位換気による治療を受け、498例中5例(1%、51~60歳が2例、61~70歳が3例)が体外式膜型人工肺(ECMO)による治療を要した。 高血圧患者(509例)は、非高血圧患者(526例)に比べ高齢であった(年齢中央値[IQR]:66歳[60~72]vs.62歳[54~68]、群間差:4、95%CI:2~6、p<0.001)。また、高血圧患者は、PaO2/FIO2比が低かった(中央値[IQR]:146[105~214]vs.173[120~222]、中央値の群間差:-27、95%CI:-42~-12、p=0.005)。64歳以上のICU内死亡率は36%、全体の入室期間中央値は9日 2020年3月25日の時点で、データが得られた1,581例のうち920例(58%)がICU入室中で、256例(16%)がICUから退室しており、405例(26%)はICU内で死亡した。また、ICU内死亡率は高齢患者で高かった(21~40歳:4/56例[7%]、41~50歳:16/142例[11%]、51~60歳:63/423例[15%]、61~70歳:174/596例[29%]、71~80歳:136/340例[40%]、81~90歳:11/21例[52%]、91~100歳:1/1例[100%])。高齢患者(64歳以上、786例)は、若年患者(63歳以下、795例)に比べICU内死亡率が高かった(36% vs.15%、群間差:21%、95%CI:17~26、p<0.001)。ICU退室患者の割合は、若年患者のほうが高かった(11% vs.21%、-9%、-13~-6、p<0.001)。 2020年3月25日の時点で、ICU入室期間中央値は9日(IQR:6~13)であった(1,591例)。内訳は、ICU入室中の患者(920例)が10日(8~14)、退室患者(256例)が8日(5~12)、ICU内死亡例(405例)は7日(5~11)だった。また、高血圧の有病率は、ICU内死亡患者が退室患者よりも高かった(63% vs.40%、群間差:23%、95%CI:15~32、p<0.001)。 著者は、「患者の多くは、呼吸補助を要する急性低酸素性呼吸不全のためICUへ入室となった。機械的換気の割合(88%)は、最近の中国や米国からの報告(30~71%)よりも高かった」としている。

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早期乳がん術後放射線療法、26Gy/5回/1週が有用か/Lancet

 早期乳がんの初回手術後の局所放射線療法では、5年後の局所コントロールおよび正常組織への影響に関する安全性について、総線量26Gyの5分割1週間照射は、標準的な40Gyの15分割3週間照射に対し非劣性であることが、英国・ノースミッドランズ大学病院のAdrian Murray Brunt氏らの「FAST-Forward試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2020年4月28日号に掲載された。早期乳がんの術後放射線療法は、従来、1.8~2.0Gy/日を週5日間、5週間以上照射する方法が標準であったが、カナダや英国、次いで中国とデンマークの無作為化第III相試験により、2.7Gy/日の15または16分割照射の安全性と有効性が示されている。さらに、最近では、5分割の1週間照射の長期アウトカムが報告され、早期乳がんにおける根治的放射線療法のいっそうの簡便化の可能性が示唆されている。再発率を比較する英国の無作為化非劣性試験 本研究は、英国の97施設(放射線センター47施設、紹介先病院50施設)が参加した非盲検無作為化第III相非劣性試験であり、2011年11月~2014年6月の期間に患者登録が行われた(英国国立衛生研究所[NIHR]医療技術評価プログラムの助成による)。 対象は、年齢18歳以上の男女で、浸潤性乳がん(pT1~3、pN0~1、M0)に対して、乳房温存術または乳房切除術(乳房再建術も可)を受けた患者であった。 被験者は、次の3群に1対1対1の割合で無作為に割り付けられ、全乳房と胸壁への照射が行われた。1)総線量40Gy/15分割(1回2.67Gy)/3週間、2)総線量27Gy/5分割(1回5.4Gy)/1週間、3)総線量26Gy/5分割(1回5.2Gy)/1週間。 主要エンドポイントは同側乳房の腫瘍再発とし、同側乳腺、皮膚、切除後の胸壁に発生した浸潤性乳がんまたは非浸潤性乳管がん(DCIS)と定義された。40Gy照射で主要エンドポイントが5年間で2%に発生すると推定し、5分割スケジュールの5年発生率の増加が1.6%を超えない場合に非劣性と判定することとした。また、正常組織への影響を、医師と患者が評価し、写真を用いた評価も行った。5年再発率:2.1% vs.1.7% vs.1.4% 4,096例が登録され、40Gy群に1,361例(年齢中央値60歳[IQR:53~66、範囲:29~89]、男性6例[0.4%])、27Gy群に1,367例(61歳[53~67、25~90]、2例[0.1%])、26Gy群に1,368例(61歳[52~66、25~89]、4例[0.3%])が割り付けられた。 フォローアップ期間中央値71.5ヵ月(IQR:71.3~71.7)の時点で、同側乳がん再発は79例(40Gy群31例、27Gy群27例、26Gy群21例)に認められた。40Gy群との比較におけるハザード比(HR)は、27Gy群が0.86(95%信頼区間[CI]:0.51~1.44)、26Gy群は0.67(0.38~1.16)であった。 40Gy群の5年同側乳がん再発率は2.1%(95%CI:1.4~3.1)であり(予測された再発率は2%)、27Gy群は1.7%(1.2~2.6)、26Gy群は1.4%(0.9~2.2)であった。40Gy群と27Gy群との推定絶対差は-0.3%(-1.0~0.9)(非劣性:p=0.0022)、26Gy群との推定絶対差は-0.7%(-1.3~0.3)(非劣性:p=0.00019)であった。これらの上限信頼限界は、27Gy群と26Gy群は40Gy群と比較して、同側乳がんの再発率が1.6%を超えて増加しないことを示しており、2つの5分割スケジュールの40Gy/15分割に対する非劣性が確かめられた。 局所領域再発、遠隔再発、無病生存、全生存は、3群で類似しており、有意な差は認められなかった。 5年後の時点で、医師評価による乳房と胸壁の正常組織への中等度~著明な影響は、40Gy群が986例中98例(9.9%)、27Gy群は1,005例中155例(15.4%)、26Gy群は1,020例中121例(11.9%)で報告された。40Gy群と27Gy群の間には有意差がみられた(p=0.0003)が、40Gy群と26Gy群には有意な差はなかった(p=0.17)。 1~5年の期間における、医師評価による乳房と胸壁の正常組織への中等度~著明な晩発性の影響(萎縮、硬化、毛細血管拡張症、浮腫)のリスクに関して、40Gy群と比較したオッズ比(OR)は、27Gy群が1.55(95%CI:1.32~1.83、p<0.0001)と有意に増加したが、26Gy群は1.12(0.94~1.34、p=0.20)であり、有意な差はみられなかった。また、患者および写真による正常組織への晩発性の影響の評価では、40Gy群に比べ27Gy群はリスクが高かったが、26Gy群は高くなかった。 著者は、「本試験と以前の寡分割照射の試験の一貫した結果は、部分または全乳房への術後放射線療法を要する切除可能な乳がん女性の新たな標準治療として、総線量26Gyの5日間分割照射の選択を支持する」としている。

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ダパグリフロジン、FDAがHFrEFに承認/AstraZeneca

 米国食品医薬品局(FDA)は2020年5月5日、SGLT2阻害薬のダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)について、2型糖尿病合併の有無にかかわらず、左室駆出率が低下(NYHA心機能分類:II~IV)した心不全(HFrEF)の成人患者の心血管死および心不全入院のリスク低下に対する適応を承認した。英国・AstraZeneca社が発表した。HFrEFに対してFDAが承認した初のSGLT2阻害薬となる。 本承認は、第III相DAPA-HF試験の良好な結果に基づいている。本試験では、ダパグリフロジンを標準治療への追加治療として用い、HFrEF患者において、主要複合評価項目である心血管死または心不全悪化の発現率をプラセボと比較し26%低下させた(絶対リスク減少率[ARR]=5%[100患者・年当たりのイベント率換算で、それぞれ11.6例vs.15.6例]、p<0.0001)。試験期間中、ダパグリフロジン投与群では、21患者当たり1件の心血管死または心不全による入院/緊急受診を回避した。 なお、わが国における適応症は「2型糖尿病」および「1型糖尿病」であり、心血管死および心不全による入院リスク低下に対する適応は取得していない。

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第7回 COVID-19に立ち向かう医療従事者をBCGワクチンで守れるか? 国際試験が進行中

新生児の結核予防にほぼ100年も前から使われてきたワクチンがほかの感染症も防ぐという裏付けに触発され、フランスの微生物学者の名にちなんで名付けられたそのワクチン・カルメットゲラン桿菌(BCG)で、目下の新型コロナウイルス感染(COVID-19)流行を防ぐことができるのか、研究者が調べ始めています。BCGワクチンの成分は結核を引き起こす細菌の類縁菌・Mycobacterium bovisを弱毒化したものです。これまでに40億人以上に接種されており、世界で最も広く投与されているワクチンの一つとなっています1)。BCGは結核に対する特異的な効果のみならず、幅広く、多くの感染症に対し非特異的に防御する効果を免疫系に備わせる働きがあります2)。たとえば、新生児の死亡率が高いギニアビサウでの3試験のメタ解析の結果、低体重出生児へのBCG-Denmark(BCGワクチンの1つ)接種は生後28日間の死亡率の38%低下と関連し、その効果は主に肺炎や敗血症による死亡の減少によってもたらされました3)。12~17歳の若者が参加した南アフリカでの無作為化試験ではBCG-Denmark接種で上気道感染症発現率がプラセボ群に比べて73%(2.1% vs 7.9%)低下しました2,4)。オランダのMihai Netea氏等による試験では、ウイルスへの効果も示唆されています。健康な成人にBCG-Denmarkを接種してしばらくしてからあえて弱毒化黄熱病ウイルスを投与したところ、血中ウイルス量がプラセボ投与に比べて有意に減少しました5)。そのような試験や研究成果を背景にして、COVID-19への効果の緒を掴むべく、BCG接種義務国とそうでない国を比較した結果が報告されるようになっています。たとえば査読前報告掲載サイトmedRxivに今月初めに掲載された報告によると、BCG接種が義務であることは流行最初の30日間のCOVID-19症例数や死亡数の増加がより緩やかであることと関連しました6)。3月末にmedRxivに掲載された別の報告ではイタリア、米国、オランダ等のBCGワクチンが広まっていない国はワクチンが広く接種されている国に比べて流行の被害がより大きいことが示されています7)。ただしそれらの報告は因果関係を示すものではありません。また、個々のヒト単位の比較ではなく国と国の比較には結果を偏らせる多くの要因が存在し、それらをすべて差し引いて解析することは不可能です。BCGワクチンをかれこれ20年調べているデンマークの疫学者Christine Stabell Benn氏は、COVID-19に関するそれらの最近のBCGワクチンの検討データは裏付けの重みとしては最底辺の類のものだが、長年に渡って蓄積された裏付けによると、BCGワクチンのCOVID-19予防効果にかけてみるのは悪くないと科学ニュースThe Scientistに話しています。Benn氏はすでに動きだしており、COVID-19のリスクが最も高い人々、すなわちその対処にあたる医療従事者1,500人を募る試験を始めています。BCGで欠勤が減るかどうかやCOVID-19発現が減るかどうか等が調べられます。デンマークでは1980年代までBCGワクチンが使われており、学校でかつてBCGワクチン接種経験がある医療従事者も試験には混じるでしょう。Benn氏は過去にBCG接種経験がある人への更なる接種は接種経験がない人より有効だろうと想定しています。Benn氏と協力関係にある上述のNetea氏はオランダで同様の試験を開始しています。また、オーストラリア出身のメディア王マードック氏の母親Dame Elisabeth Murdoch(エリザベス マードック)氏の支援を受けて30年前の1986年に設立された同国の小児健康研究所Murdock Children’s Research Institute(MCRI)は、Netea氏も協力する国際試験BRACEを3月27日に始めています。医療従事者を対象としたそれらの試験結果は待ち遠しいですが、無作為化試験以外で先走ってCOVID-19予防にBCGを接種してはいけないと世界保健機関(WHO)は釘を刺しています。あまり当てにならない最近の査読前報告を高品質な裏付けと勘違いしてBCGに群がると、すでに不足気味となっているBCGワクチンがそれを必要としている乳幼児に行き渡らなくなる恐れがあります。実際、アフリカの一部では小児向けのワクチンが医療従事者に横流しされていると上述のBRACE試験を率いるNigel Curtis氏は聞いており、「軽はずみにワクチンを使い始めると幼い子にツケが回る。いまあるワクチンは赤ちゃんの結核を予防するものだ」とThe Scientistに話しています。試験外での不適切な使用を注意しつつCurtis氏が進めているBRACE試験を支援する動きは広がっており、最近になってその被験者数はゲイツ財団(Bill & Melinda Gates Foundation)からの1,000万ドル支援を受けて4,000人から1万人へと大幅に増えています。5月5日の発表によると、試験にはすでに医療従事者2,500人が組み入れられています8)。感染症に広く効きうるBCGワクチン等が病因狙い撃ちワクチン完成までの橋渡しの役割を担うことは、目下のCOVID-19流行や将来の感染流行への対処に大いに貢献するだろうとCurtis氏等はLancet誌に記しています2)。参考1)An Old TB Vaccine Finds New Life in Coronavirus Trials / TheScientist2)Curtis N,et al. Lancet. 2020 Apr 30.3)Biering-Sørensen S,et al. Clin Infect Dis. 2017 Oct 1;65:1183-1190. 4)Nemes E,et al. N Engl J Med. 2018 Jul 12;379:138-149.5)Arts RJW,et al. Cell Host Microbe. 2018 Jan 10;23:89-100.6)Mandated Bacillus Calmette-Guerin (BCG) vaccination predicts flattened curves for the spread of COVID-19. medRxiv. May 04, 20207)Correlation between universal BCG vaccination policy and reduced morbidity and mortality for COVID-19: an epidemiological study. medRxiv. March 28, 20208)10M grant enables MCRI’s BCG vaccine trial to expand internationally, enrol 10,000 healthcare workers / Murdoch Children’s Research Institute’s (MCRI)

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ホモシスチン尿症〔homocystinuria〕

1 疾患概要■ 概念・定義ホモシスチン尿症は先天性アミノ酸代謝異常症の一種であり、メチオニンの代謝産物であるホモシステインが血中に蓄積することにより発症する1)。図にメチオニンの代謝経路を示す。メチオニンは、メチオニンアデノシルトランスフェラーゼによりS-アデノシルメチオニン(SAM)に変換、さらに脱メチル化することでS-アデノシルホモシステイン(SAH)が生成される。SAHが加水分解されるとホモシステインが生成される。ホモシステインはシスタチオニンβ合成酵素(CBS)によりシスタチオニン合成されるだけでなく、メチオニン合成酵素(MS)、もしくはベタインホモシステインによる再メチル化経路をたどり、メチオニンに変換される。CBSの異常は、ホモシスチン尿症I型もしくは古典的ホモシスチン尿症と称され、血中ホモシステイン値、メチオニン値が高値となる。II型はMSの補酵素である細胞内コバラミン(ビタミンB12、Cb1)の代謝異常、III型はN5、N10-メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)の障害による葉酸代謝異常であり、II型、III型ともに再メチル化によるメチオニン合成が障害されるため、メチオニン値が低下し、ホモシステイン増加する。ホモシスチン尿症I型は頻度が最も多いとされており、新生児マススクリーニングではメチオニン増加を指標としてスクリーニングが行われている。図 メチオニン代謝経路画像を拡大する■ 疫学CBS欠損症は常染色体劣性遺伝を呈する疾患であり、発症頻度は1,800~90万人に1人と推測されているが、わが国での患者発見頻度は、約80万人に1人である1,2)。■ 病因CBSの活性低下によりホモシステインが蓄積すると、ホモシステインは酸化されて二量体であるホモシスチンが尿中に排泄される。また、蓄積したホモシステインはメチオニンへと再メチル化が促され、血中メチオニンが上昇し、シスタチオニンとシステインが欠乏する。ホモシステインはチオール基を介して生体内の種々のタンパクとも結合する。その過程で生成されるスーパーオキサイドなどにより、血管内皮細胞障害を来すと考えられている。また、ホモシステインがフィブリリンの機能を障害するため、マルファン症候群様の、眼症状や骨格異常を発現すると考えられている1)。■ 症状古典的ホモシスチン尿症の臨床症状は骨格系の異常、眼症状、中枢神経症状、血管系の障が認められる1)。1)中枢神経系異常知的障害、てんかん、精神症状(パーソナリティ障害、不安、抑うつなど)2)骨格異常骨粗鬆症、高身長、くも状指、側弯症、鳩胸、凹足、外反膝(マルファン症候群様体型)3)眼症状水晶体亜脱臼に伴う近視(無治療では10歳までに80%以上の症例で水晶体亜脱臼を呈する)、緑内障4)血管系障害冠動脈血栓症、肺塞栓、脳血栓塞栓症、大動脈解離血栓症■ 分類CBSはビタミンB6(ピリドキシン)を補酵素とする。CBS欠損症には大量のビタミンB6投与により血中メチオニン、ホモシステインが低下するビタミンB6反応型と、低下しないビタミンB6不応型がある。欧米白人ではビタミンB6反応型が約半数を占めるが、日本人ではまれである1)。■ 予後早期に治療導入され、適切にコントロールが行われた症例では、全般的に予後良好とされているが、長期的予後は明らかにされていない。ビタミンB6不応型において無治療の場合には、生命予後は著明に悪化する。ビタミンB6反応型の生命予後は明らかになってない3)。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)一般血液検査・尿検査では特徴的な所見は認めない。以下の診断の根拠となる特殊検査のうち、血中メチオニン高値(1.2mg/dL〔80μmol/L〕)以上、かつ総ホモシステイン基準値(60μmol/L)以上を満たせば、CBS欠損症の確定診断とする1)。■ 診断の根拠となる特殊検査1)血中メチオニン高値:1.2mg/dL(80μmol/L)以上〔基準値:0.3~0.6mg/dL(20~40μmol/L)〕2)高ホモシステイン血症:60μmol/L以上(基準値:15μmol/L以下)3)尿中ホモシスチン排泄:基準値が検出されない。4)線維芽細胞、あるいはリンパ芽球でのCBS活性低下5)遺伝子解析:CBS遺伝子の両アレルに病因として病原性変異を認める。■ 鑑別診断臨床症状からはマルファン症候群や血栓性疾患との鑑別が必要である3)。生化学的検査所見からの診断を以下に示す、メチオニン高値、またはホモシステイン高値を来す疾患が鑑別に挙がる1)。1)高メチオニン血症を来す疾患(1)メチオニンアデノシルトランスフェラーゼ欠損症(2)シトリン欠損症(3)新生児肝炎などの肝機能異常2)高ホモシステイン血症(広義の「ホモシスチン尿症」)を来す疾患(1)メチオニン合成酵素欠損症(2)MTHFR欠損症(ホモシスチン尿症II型)(3)ホモシスチン尿症を伴うメチルマロン酸血症(コバラミン代謝異常症C型など)3 治療 (治験中・研究中のものも含む)ホモシスチン尿症の治療目標は、臨床症状の緩和や発症リスクを減らすために、血中ホモシステイン値を正常範囲でコントロールすることである。■ 食事療法メチオニンの摂取制限を実施し、血中メチオニン濃度を1mg/dL(67μmol/L)以下に保つようにする。ヨーロッパのガイドラインにおいては、ビタミンB6反応性ホモシスチン尿症では、総ホモシステイン<50μmol/Lを目標とすることが推奨されている3)。新生児・乳児期には許容量かつ必要量のメチオニンを母乳、一般粉乳、離乳食などから摂取し、不足分のカロリー、必須アミノ酸などは治療乳メチオニン除去粉乳(商品名:雪印S-26)から補給する1)。幼年期以降の献立は、食事療法ガイドブック(特殊ミルク事務局のホームページより入手可能)を参考にする1)。血中ホモシステイン値のコントロールが不良(100μmol/L以上)の場合には、血栓塞栓症のリスクが高まるため、厳格な食事療法を継続する必要性がある。■ L-シスチン補充ホモシステインの下流にあるL-シスチンを補充する。メチオニン除去乳(同:雪印S-26)にはL-シスチンが添加されている。市販されているL-シスチンのサプリメントを併用することもある1)。■ ビタミンB6大量投与ビタミンB6反応型か否かの確認は、ホモシスチン尿症の確定診断後、まず低メチオニン・高シスチン食事療法を行い、生後6ヵ月時に検査を行う。入院のうえ、食事を普通食にした後に、ピリドキシン40mg/kg/日を10日間経口投与する。血中メチオニン、ホモシスチン値の低下が認められた場合には投与量を漸減し、有効最小必要量を定め継続投与する。反応がなければ食事療法を再開し、体重が12.5kgに達する2~3歳時に再度ピリドキシン500mg/日の経口投与を10日間試みる1)。ビタミンB6反応型では、CBS活性を上昇させるためにピリドキシンの大量投与(30~40mg/kg/日)を併用する。ビタミンB6を併用することで食事療法の緩和が可能であることが多い。■ ベタインベタイン(同:サイスタダン)は再メチル化の代替経路を促進し、過剰なホモシステインをメチオニンへと変換し、血中ホモシステイン値を低下させることができる。ベタインの投与量は11歳以上には1回3g、11歳未満では50mg/kg/日を1日2回経口投与する。ただしベタイン単独でホモシステイン値を50μmol/L以下にコントロールすることは困難であり、食事療法との併用が必要である。ベタイン投与により血中メチオニン上昇を伴う脳浮腫が報告されており、メチオニン値が15mg/dL(1,000μmol/L)を超える場合には、ベタインや自然蛋白摂取量を減量する1)。■ 葉酸、ビタミンB12CBS欠損症では、血中葉酸、ビタミンB12が低下する場合があり、適宜補充する。4 今後の展望CBS欠損症の新規治療法として、ケミカルシャペロン療法の検討がなされている4)。また酵素補充療法の治験が欧米で進行中であり、結果が待たれる。5 主たる診療科小児科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報先天代謝異常学会(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)特殊ミルク事務局(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)日本先天代謝異常学会 編集. 新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン2019.2019.p.35-42.2)Jean-Marie Saudubray, et al. Inborn Metabolic Diseases Diagnosis and Treatment 6th Ed.Springer-verlag.;2016.p.314-316.3)Morris AA, et al. J Inherit Metab Dis. 2017;40:49-74.4)Melenovska P, et al. J Inherit Metab Dis. 2015;38:287-294.公開履歴初回2020年05月12日

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特例承認された新型コロナ治療薬「ベクルリー点滴静注用100mg」【下平博士のDIノート】第49回

特例承認された新型コロナ治療薬「ベクルリー点滴静注用100mg」今回は、抗ウイルス薬「レムデシビル注射用凍結乾燥製剤(商品名:ベクルリー点滴静注用100mg、製造販売元:ギリアド・サイエンシズ)」を紹介します。本剤は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として、時限的かつ特例的に承認されました。<効能・効果>本剤は、SARS-CoV-2による感染症の適応で、2020年5月7日に特例承認されました。なお、臨床試験などにおける主な投与経験を踏まえ、SARS-CoV-2による肺炎を有する患者を対象に投与を行うこと。<用法・用量>本剤は、生理食塩液に添加し、30~120分かけて点滴静注します。通常、レムデシビルとして、成人および体重40kg以上の小児には投与初日に200mg、2日目以降は100mgを、体重3.5kg以上40kg未満の小児には投与初日に5mg/kg、投与2日目以降は2.5mg/kgを1日1回点滴静注します。なお、総投与期間の目安は5日までとし、症状の改善が認められない場合は10日目まで投与します。<安全性>SARS-CoV-2による感染症患者1,313例を対象とした国際共同第III相試験において、因果関係ありと判断された有害事象は175例(13.3%)報告されました。主な副作用としては、悪心34例(26%)、ALT増加33例(2.5%)、AST増加32例(2.4%)、トランスアミナーゼ上昇15例(1.1%)など。重大な副作用として、肝機能障害、過敏症(Infusion Reaction、アナフィラキシーを含む)が現れることがあります。<重要な基本的注意>1.肝機能障害が現れることがあるので、投与前および投与中は定期的に腎機能検査、肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察する必要があります。2.低血圧や嘔吐、発汗、振戦などのインフュージョン・リアクション(急性輸注反応)が現れることがあるので、異常が認められた場合はただちに投与を中止し、適切な処置が必要です。これらの発現を回避できる可能性があるため、本剤の緩徐な投与を考慮してください。3.添加剤スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンナトリウムにより腎機能障害が現れる恐れがあるので、投与前および投与中は定期的に腎機能検査を行い、患者の状態を十分に観察する必要があります。<Shimo's eyes>今回、COVID-19に対する初めての治療薬が承認されました。SARS-CoV-2は「一本鎖プラス鎖RNAウイルス」で、同類としてはエンテロウイルス、C型肝炎ウイルス、ノロウイルスなどが知られています。本剤は、RNA依存性RNAポリメラーゼを選択的に阻害することでウイルスの増殖を抑制する作用を持ち、新型インフルエンザ治療薬ファビピラビル(商品名:アビガン)と同じ機序となります。本剤は、もともとエボラ出血熱などの新興感染症の治療薬として開発されていた抗ウイルス薬で、米国では5月1日から緊急的に重症患者への使用が認められました。これを受け、わが国でも特例承認制度が適用され、申請からわずか3日という異例の速さで承認されました。なお、承認薬となったのはわが国が世界初です。本剤は、重症患者の症状改善や回復までの期間短縮が期待されています。米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)が主導するプラセボ対照第III相試験(ACTT試験:COVID-19による中等度から重度の症状を呈する患者[きわめて重症の患者を含む]を対象としたレムデシビルのランダム化比較試験)において、レムデシビル群の回復までの日数中央値は11日で、プラセボ群の15日より4日短いことが示されました。一方で、死亡率については、統計学的に有意な差は得られませんでした(8.0% vs.11.6%、p=0.059)。重大な副作用として、肝機能障害、インフュージョン・リアクションなどが報告されています。なお、SARS-CoV-2による感染症患者を対象とした臨床試験(NIAID ACTT-1)では、プロトロンビン時間延長または国際標準化比(INR)増加の発現割合はプラセボ群と比較して本剤投与群で高かったことが報告されています。両投与群間で出血イベントの発現に差は認められていません。なお、本剤は2021年8月から保険適用となりました。※2021年8月、一部内容の修正を行いました。参考1)PMDA 添付文書 ベクルリー点滴静注用100mg

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ワクチンと新型コロナウイルスと検疫【今、知っておきたいワクチンの話】総論 第5回

筆者は家庭医として長年予防接種および渡航医学に従事してきたが、2017年からは検疫官に転じて空港検疫所で勤務している。本稿は本来、2020年夏に開催予定であった東京オリンピック・パラリンピックに向けて、輸入感染症対策と検疫について執筆する予定であった。しかしご承知のとおり、新型コロナウイルス感染症(以下「COVID-19」)の拡大に伴って同競技会は延期が決定し、本稿執筆時点の5月上旬には新型インフルエンザ等特別措置法に基づく緊急事態宣言が5月31日まで延長されることとなった。市中医療機関と同じく、空港検疫所もCOVID-19対応に忙殺されている。筆者は現在成田空港検疫所に派遣され、大量の鼻咽頭検体採取を行っている。本稿は業務の合間を縫って書いている。COVID-19と検疫検疫業務の目的は「日本に常在しない病原体が国内に侵入することを防ぐこと」である(検疫法第1条)。わが国に常在しない病原体は世界中に無数にあるが、現地での発生頻度、重症度、船舶・航空機を介した侵入リスクなどを勘案して、15種の感染症(病原体でカウントすればさらに増える)が「検疫感染症」として検疫法第2条に指定されている。2019年12月31日に初めて世界に報告されたCOVID-19は、2020年2月1日には感染症法における指定感染症と同時に「検疫感染症」として定められた。さらに2月14日には「検疫法第34条の感染症」へと再指定され、陽性患者の隔離(強制入院)などの強い措置の権限が付与された。しかし、COVID-19は後者の再指定に遡ること1ヵ月前の1月16日には、国内で最初の患者が発見されていた。その後も輸入例や国内感染例が続発し、再指定直前の2月13日には東京での屋形船や和歌山での院内感染などのクラスター発生がすでに報告されていた。わが国に常在しない病原体の国内侵入の防止が検疫の目的であるにもかかわらず、検疫所に措置の権限が付与された時点では新型コロナウイルスはすでに「日本に常在する病原体」と化していたのである。厚生労働省発表によると、5月6日時点で国内のCOVID-19患者は累計15,192人が報告されているが(ダイヤモンドプリンセス号および武漢からのチャーター便での報告を除く)、空港検疫での発見数は147人と国内報告の100分の1に満たない。新型コロナウイルスが完全に日本に定着した状況でCOVID-19に対する検疫にどの程度人的・物的リソースを投じるかは、国内の発生状況や自治体、市中医療機関、検査機関への負荷などとのバランスを考慮しつつ、政府が臨機応変に見直していく必要がある。Withコロナの予防接種COVID-19の特異な臨床経過や感染様式、緊急事態宣言などに伴う外出自粛要請の影響により、市中医療機関のリアル外来受診数は大幅に減少している。それに伴い予防接種実施数も大きく減少する傾向にある。院内感染や来院前後の往来での感染を避けたいという心理は当然了解できる。しかし、COVID-19蔓延期、すなわち“withコロナ”で“stay home”が強く推奨される状況においても、予防接種のための受診は決して不要不急の外出には当たらず、むしろ必要火急とすら言える。[Withコロナで予防接種が必要火急であるのはなぜか?]1)ワクチン予防可能疾患(VPD:vaccine-preventable disease)は、必ずしも「家の外」だけで感染する疾患ばかりではない。肺炎球菌やヒブはヒトの気道常在菌であり、年長小児や成人の気道から免疫不十分な乳幼児へと感染し、致命的な侵襲性感染症を引き起こす。Stay homeにより家族間接触がより濃厚になる今だからこそ、それら感染症のリスクはむしろ高いと言える。あるいはstay homeで庭いじりや日曜大工に精を出す人も増えていよう。そうした作業で汚染外傷を生じれば破傷風リスクがある。Stay homeだからこそ、それらVPDに対する予防接種は必要火急なのだ。2)医療従事者をはじめ、通勤・出勤せねば業務が成り立たない職種も少なくない。通勤や勤務においてVPDに感染するリスクは常にあり、また、家で待つ家族にVPDを持ち帰るリスクも続いている。特に重大な麻疹1)と風疹2)は、4月7日の緊急事態宣言による全国的な外出自粛要請にもかかわらず発生の連鎖は止まっていない。それらVPDに対する予防接種も必要火急である。3)5月上旬時点で国内のCOVID-19発生は減少傾向にある。いずれ外出自粛が緩和され、各地の学校も再開される日が来る。そのとき、stay homeで勢いをひそめていたVPDが再び火を吹き始める。VPDの多くは発熱を伴うため、COVID-19との鑑別が困難であることから受診に至るまでに種々の手間とタイムラグが発生し得る。そうした近い将来のリスクを避けるためにも、今こそ予防接種は必要火急なのである。上記理由により、withコロナの現在だからこそ積極的に予防接種を進めていただきたい。それでも現実には予防接種実績は低迷する恐れが強い。ならば、リアル受診が回復し始めると同時に、接種遅れに対するキャッチアップ接種を積極的に行っていただきたいと強く切望する。さらに、一時的にCOVID-19発生が抑制できても、今冬には再び増加することが懸念されている3)。前記3)以上に、季節性インフルエンザとCOVID-19の初期の鑑別は困難である。インフルエンザの発生数自体を少なくすることが医療機関の負担軽減に直結する。インフルエンザワクチンは例年10月はじめには供給開始される。供給開始と同時に1人でも多くインフルエンザ予防接種を行っていただきたい。インフルエンザ患者が1人減れば医療機関の負担も1人分減るのだ。COVID-19のワクチンの可能性COVID-19のワクチンは武漢での発生当初から世界各国で盛んに研究開発が進んでいる。4月28日現在で90以上のワクチン候補が誕生し、うちすでに6ワクチンはヒトに対する第I相試験に進んでいる4)。古典的な弱毒化または不活化の手法は当然試されている。しかし、一般論として、安全かつ免疫原性の強い弱毒株は、ウイルス培養を繰り返す過程で生ずる変異株が偶然の産物として登場するのを待つしかなく、いつ実現するかは予測困難である。また、不活化ワクチンは少なくとも既知のコロナウイルスでは充分な効果のあるものが登場していない。新興病原体に対するワクチン開発で近年主流になっているのが、ヒトへの病原性がない他のウイルスに目的ウイルスの遺伝子を組み込むことで特異抗原を産生させ、そのまま“生”として、または不活化してワクチンとする遺伝子組み換え手法である。2018年から続いているコンゴ民主共和国でのエボラ出血熱アウトブレイクで濃厚接触者へのring vaccinationとして行われているワクチンも遺伝子組み換え“生”ワクチン(rVSV-ΔZEBOVワクチン)である。2012年に登場したMERSコロナウイルスにはこの手法でワクチン開発が進められ、動物実験までは行われている。COVID-19ワクチンの開発手法もこれを採用しているチームが多い。そのほか、核酸ワクチンという手法もある。ウイルス粒子ではなく、ヒトの免疫系が反応しうるウイルス抗原部分をコードしたウイルスゲノム(RNAのまま、またはDNAに変換)をワクチンとして接種し、ヒト細胞に取り込ませることで抗原を産生させ、それに対する免疫応答を惹起するのが目的である。コロナウイルスの持つタンパクのうち特にヒト免疫が反応しやすいもの(サブユニットと呼ぶ)だけを抽出してワクチン成分とするサブユニットワクチンもある。2003年に登場したSARSコロナウイルスに対してはすでにサブユニットワクチンが開発済みであるが、SARSが完全に封じ込められた影響もあり、サルでの動物実験に留まりヒトでの治験実績はない。これら以外にもワクチン開発技術には大小の異同があり、それぞれのチームが研究開発のしのぎを削っている。わずか4ヵ月あまり前に世界に登場した病原体に対して、すでに90以上のチームがワクチン開発に着手していることには希望が持てるが、しかし安全かつ効果のあるワクチンの開発は決して容易なことではない。COVID-19ワクチンへ希望は持ちつつも過剰な期待はせず、感染拡大防止の努力を徹底した上で、既存ワクチンの接種を遅れることなく推し進めることこそが医療職の使命と言える。読者諸氏には、必要なワクチンを1人でも多く接種いただきたく、深くお願い申し上げる。※上記はすべて筆者個人の見解であり、所属組織を代表するものではありません。1)国立感染症研究所.麻疹.Accessed May 6,2020.2)国立感染症研究所.風疹.Accessed May 6,2020.3)Sun Lena H. The Washington Post, April 22, 2020.4)Callaway E. Nature. 2020;580:576-577.講師紹介

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統合失調症に対するドパミンD2/D3受容体パーシャルアゴニストの忍容性の比較

 アリピプラゾール、ブレクスピプラゾール、cariprazineは、ほかの第2世代抗精神病薬と異なり、ドパミンD2/D3受容体に対するパーシャルアゴニスト作用を有している。オーストラリア・モナッシュ大学のNicholas Keks氏らは、3剤のドパミンD2/D3受容体パーシャルアゴニストについて比較を行った。CNS Drugs誌オンライン版2020年4月3日号の報告。 主な結果は以下のとおり。・アリピプラゾールとは対照的に、ブレクスピプラゾールは、ドパミンD2活性が低く、セロトニン5-HT1Aおよび5-HT2A受容体親和性が高い。一方、cariprazineは、ドパミンD3受容体親和性が最も高く、半減期も最も長い。・ドパミン受容体パーシャルアゴニスト(DRPA)の主な副作用は、軽度~中等度のアカシジアであり、多くは治療開始数週間のうちにごく一部の患者で認められる。・DRPA間の違いについて、決定的な結論に至るには直接比較研究が必要ではあるが、入手可能なエビデンスによる比較では、アカシジアはブレクスピプラゾールが最も発生率が低く、cariprazineが最も高いと考えられる。・体重増加リスクは、アリピプラゾールとcariprazineは低く、ブレクスピプラゾールは中程度である。・DRPAは、過鎮静、不眠症、悪心のリスクが低かった。・DRPAは、高プロラクチン血症リスクが低く、おそらく性機能障害リスクも低いと考えられる。・一部の患者では、プロラクチン濃度の低下が認められ、とくにDRPA治療開始前にプロラクチンレベルが上昇している患者で認められた。・DRPAは、有害事象による治療中止率は低く、忍容性は良好であった。・アリピプラゾールは、おそらくDRPA活性による病的賭博やほかの衝動制御行動と関連している可能性がある(ブレクスピプラゾールおよびcariprazineでの報告は認められなかった)。・DRPAによる糖尿病および遅発性ジスキネジアリスクは明らかではなかったが、低リスクであると考えられる。 著者らは「DRPAの忍容性は良好であることから、とくに統合失調症の治療初期における第1選択治療として検討すべきである」としている。

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