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喘息治療で初のLABA/LAMA/ICS配合吸入薬「エナジア吸入用カプセル中用量/高用量」【下平博士のDIノート】第60回

喘息治療で初のLABA/LAMA/ICS配合吸入薬「エナジア吸入用カプセル中用量/高用量」今回は、喘息治療薬「インダカテロール酢酸塩/グリコピロニウム臭化物/モメタゾンフランカルボン酸エステル(商品名:エナジア吸入用カプセル中用量/高用量、製造販売元:ノバルティス ファーマ)」を紹介します。本剤は1カプセル中にLABA/LAMA/ICSの3成分を配合しており、1日1回1吸入で良好な喘息コントロールが得られることが期待されています。<効能・効果>本剤は、気管支喘息(吸入ステロイド剤[ICS]と長時間作用性吸入β2刺激薬[LABA]、長時間作用性吸入抗コリン薬[LAMA]の併用が必要な場合)の適応で、2020年6月29日に承認され、2020年8月26日より発売されています。<用法・用量>通常、成人には中用量(インダカテロールとして150μg、グリコピロニウムとして50μg、モメタゾンフランカルボン酸エステルとして80μg)を1日1回1カプセル、本剤専用の吸入用器具(ブリーズヘラー)を用いて吸入します。なお、症状に応じて高用量(インダカテロールとして150μg、グリコピロニウムとして50μg、モメタゾンフランカルボン酸エステルとして160μg)を1日1回1カプセル吸入することもできます。<安全性>国際共同QVM149B2302試験および国内B1304試験で本剤が投与された日本人被験者において、主な副作用として発声障害(8.7%)が認められました(承認時)。なお、重大な副作用として、アナフィラキシー、重篤な血清カリウム値の低下、心房細動(いずれも頻度不明)が報告されています。<患者さんへの指導例>1.この薬は、長時間作用する気管支拡張薬を2種類と、ステロイド薬を1種類含んだ吸入薬です。毎日同じ時間帯に規則正しく吸入することで、喘息の症状を改善します。2.専用の吸入用器具にカプセルを1つセットし、両脇の緑色のボタンを押してカプセルに穴を開けてから吸入します。うまく吸入できていたら、カラカラというカプセルの回転音が鳴ります。3.吸入が終わった後は、カプセルや粉末に触れないように気を付けて捨ててください。カプセル内に粉末が残っている場合は、再度吸入を行ってください。4.声枯れや感染症を予防するため、吸入後は必ず上を向いてうがいをして、うがいが困難な場合は口腔内をすすいでください。その際、口に含んだ水を飲み込まないように気を付けてください。5.吸入開始後に、動悸、手足の震え、尿が出にくいなどの症状が現れた場合は、すぐに受診してください。<Shimo's eyes>本剤は、喘息治療吸入薬として世界で初めてのLABA/LAMA/ICS配合製剤です。『喘息予防・管理ガイドライン2018』において、治療ステップ3~4に該当する中用量または高用量ICS/LABAによる治療でも喘息コントロールが不十分な場合は、LAMAを追加することが治療選択肢の1つとして推奨されています。しかし、これまで喘息の適応を有するLABA/LAMA/ICS配合薬は販売されていませんでした。LABA/ICS配合薬の多くが1日2回吸入ですが、本剤は1日1回でLABA/LAMA/ICSの3成分を一度に吸入できるため、服薬アドヒアランスの向上が期待できます。また、複数の製剤を組み合わせて使用するよりも1日薬価が下がり、経済的負担が軽減できるというメリットもあります。専用の吸入器である「ブリーズヘラー」は、喘息治療薬として初めて適用されました。本吸入器は最大吸気流量が低下している患者でも比較的使用しやすいデバイスです。しかし、カプセルをセットする手間がかかり、カプセルの誤飲に注意する必要があります。主な副作用は発声障害なので、使用後のうがいを徹底することも大切です。本剤は、同時に発売された喘息治療配合薬「インダカテロール酢酸塩/モメタゾンフランカルボン酸エステル(商品名:アテキュラ)」にLAMA(グリコピロニウム)を加えたものです。本剤とはモメタゾンの用量が不一致ですが、効果発現が期待できるモメタゾンの粒子量としては同程度です。薬剤師にとっても、多種多様の吸入薬のデバイス操作と指導法を覚えるのは大変なことですが、2020年度の調剤報酬改定で「吸入薬指導加算」が導入されたように、薬剤師の活躍が期待されている分野です。治療方針の決定とデバイス選択は医師が行い、吸入指導は薬剤師が重要な担い手となるという密な病薬連携が吸入指導の成功の鍵になると考えられます。薬局では、処方医に指導・経過のフィードバックを細やかに行い、しっかりと情報共有することで、患者さんのよりよい治療継続を目指しましょう。参考1)PMDA 添付文書 エナジア吸入用カプセル中用量/エナジア吸入用カプセル高用量

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第30回 経口液剤AMX0035でALS患者の生存も改善

世界保健機関(WHO)主催の世界30ヵ国以上での無作為化試験(Solidarity)の査読前報告が先週木曜日15日にmedRxivに掲載され1,2)、残念ながらギリアド社のベクルリー(Remdesivir、レムデシビル)やその他3つの抗ウイルス薬・ヒドロキシクロロキン、カレトラ(lopinavir/ritonavir)、インターフェロン(Interferon-β1a)はどれもCOVID-19入院患者の死亡を減らしませんでした。たとえばレムデシビル投与群の28日間の死亡率は非投与対照群の11.2%(303/2,708人)とほとんど同じ11%(301/2,743人)であり1,3)、その差は有意ではありませんでした(p=0.50)。そんなSolidarity試験とは対照的に、その発表の翌16日、脳や脊髄の運動神経が死ぬことで生じる難病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬候補の良いニュースがありました4-6)。先月9月初めにNEJM誌に掲載されたプラセボ対照第II相試験(CENTAUR)でALS進行を有意に抑制した神経死抑制剤AMX0035がその試験と一続きの非盲検継続(OLE)試験で今度は有意な生存延長をもたらしたのです。米国マサチューセッツ州ケンブリッジ拠点のAmylyx社が開発しているAMX0035は昔からある成分2つが溶けた経口の液剤です。成分の1つはヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬・フェニル酪酸ナトリウム(sodium phenylbutyrate)、もう1つは胆汁酸・タウルソジオール(Taurursodiol)です7)。今回発表されたOLE試験に先立つCENTAUR試験にはALS患者137人が参加し、それらのうち3人に1人はプラセボ、あとの3人に2人はAMX0035を6ヵ月間服用しました。NEJM誌報告によると6ヵ月間のAMX0035服用群の体の不自由さの進行はプラセボに比べてよりゆっくりでした7)。また、AMX0035服用は腕の筋力低下も抑制しました。今回のOLE試験にはCENTAUR試験から継続して90人が参加し、全員がAMX0035を服用し、CENTAUR試験の始まりから数えて最大約3年間(35ヵ月間)追跡されました。その結果、生存期間中央値はAMX0035を最初から服用し続けた患者(56人)では25ヵ月、当初プラセボを服用した患者では18.5ヵ月であり(p=0.023)、最初からのAMX0035服用患者は当初プラセボを服用した患者に比べて有意に半年以上(6.5ヵ月)生存が延長されました8)。細胞内小器官・小胞体(ER)へのストレスや機能障害、それにミトコンドリアの機能や構造の欠損がALSの発病要因と目されており、AMX0035に含まれるフェニル酪酸ナトリウムはERがストレスを受けて誘発する毒性を緩和し、もう1つの成分タウルソジオールはミトコンドリアを助けて細胞を死に難くします7)。米国ワシントン D.C.の隣街アーリントンを本拠とするALS患者の会・ALS Association等はAMX0035をALS患者ができるだけ早く使えるようにする請願活動を先月初めに開始しており、16日のニュースによると5万人近く(4万7,000人以上)が請願に署名しています4)。参考1)Repurposed antiviral drugs for COVID-19; interim WHO SOLIDARITY trial results. medRxiv. October 15, 2020.2)Solidarity Therapeutics Trial produces conclusive evidence on the effectiveness of repurposed drugs for COVID-19 in record time / WHO 3)Remdesivir and interferon fall flat in WHO’s megastudy of COVID-19 treatments / Science4)AMX0035 Survivability Data Adds to Urgency to Make Drug Available / ALS Association5)Amylyx Pharmaceuticals Announces Publication of CENTAUR Survival Data Demonstrating Statistically Significant Survival Benefit of AMX0035 for People with ALS / BUSINESS WIRE6)Investigational ALS drug prolongs patient survival in clinical trial / Eurekalert7)Paganoni S,et al. N Engl J Med. 2020 Sep 3;383:919-930.8)Paganoni S,et al. Muscle & Nerve. 16 October 2020. [Epub ahead of print]

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ストレスに対するSNS利用の影響~日本理学療法士協会の学生調査

 藍野大学の本田 寛人氏らは、理学療法を学んでいる日本の大学生におけるインターネット依存と心理的ストレスに対するスマートフォンを用いたソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の影響を調査した。Journal of Physical Therapy Science誌2020年9月号の報告。 2~4年生の理学療法を学ぶ学生247人(19~22歳)を対象に、単一大学横断的研究を実施した。毎日のスマートフォン利用時間、スマートフォンを用いたSNS利用時間、授業以外での自己学習時間に関する情報を、自己記入式アンケートにより収集した。インターネット依存と心理的ストレスの評価には、インターネット依存度テスト(IAT)と心理的ストレス反応尺度(SRS-18)を用いた。12人を除外した235人のデータを分析した。 主な結果は以下のとおり。・重回帰分析では、IATスコアと性別(男性)および毎日のスマートフォン利用時間との関連が示唆された。・SNS利用目的の一つである「目的のないネットサーフィン」およびIATスコアとSRS-18スコアとの関連が認められた。・その他の変数とIATスコアまたはSRS-18スコアとの関連は認められなかった。 著者らは「大学生のインターネット依存または心理的ストレスに対し、男性、毎日のスマートフォン利用時間または受動的なSNS利用が関連している可能性が示唆された」としている。

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COVID-19、集団免疫への依存は「科学的根拠のない危険な誤り」/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を巡っては、いまだ世界規模で収束へのめどが立たないなか、Lancet誌オンライン版2020年10月14日号において欧米の専門家80人が連名でCORRESPONDENCEを発表。重症化しにくい若年者などの感染・伝播による集団免疫を期待する考えは「科学的根拠のない危険な誤り」であるとし、現段階ではCOVID-19の感染制御こそが社会や経済を守る最善策であると訴えている。集団免疫支持者の考えは科学的根拠による裏付けがないWHOの報告によると、SARS-CoV-2は世界中でこれまでに3,500万人以上が感染し、100万人超の死亡が確認されている。国や地域によっては、第2波の感染拡大を受けて再び非常事態宣言を出すなど、差し迫った事態に直面している。今回発表された書簡では、こうした状況下において、集団免疫への新たな関心が生まれていると指摘。集団免疫支持者は、若年者など低リスク集団における感染獲得によって集団免疫の発達につながり、最終的には基礎疾患を有する人や高齢者などを保護することになると示唆しているという。 しかし、専門家らは集団免疫支持者の考えは「科学的根拠による裏付けのない危険な誤り」であり、「COVID-19への自然感染による免疫に依存するパンデミック管理戦略には欠陥がある」と断じている。その理由として、若年者らへの感染拡大により、全人口に対する罹患・死亡リスクが生じること、労働力全体への影響、急性期およびかかりつけ医療機関をひっ迫させることなどを挙げている。さらに、現段階ではSARS-CoV-2自然感染後の抗体の持続期間は不明である点も指摘している。 一方で、日本をはじめ、ベトナムやニュージーランドを例に挙げ、「強力な公衆衛生対応により感染が制御され、生活をほぼ正常に戻すことができることを示している」とし、「安全で効果的なワクチンと治療法に今後数ヵ月以内に到達するまでは、COVID-19の感染制御が社会と経済を保護するための最良の方法である」と述べ、科学的根拠に基づいた行動を求めている。

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潰瘍性大腸炎、治療の最適解を導くために必要なこと

 国の指定難病・潰瘍性大腸炎は、安倍元首相の辞任理由として注目を集めたことが記憶に新しい。さまざまな憶測が飛び交い、疾患に対する誤った認識も見られるが、これは正しい理解を広めるチャンスでもある。 先日、ヤンセンファーマが開催した潰瘍性大腸炎セミナーでは、鈴木 康夫氏(東邦大学医療センター佐倉病院 IBDセンター センター長)が、潰瘍性大腸炎の患者が直面する実態と最新治療について講演を行った。症状の個人差が大きく理解が得られにくい現状 わが国における潰瘍性大腸炎の患者数は、2016年度の全国疫学調査研究で22万人と推計され、数ある指定難病の中で最も多い。現在も増え続けており、将来的に30万人を超えるのではと危惧されている。 潰瘍性大腸炎の重症度について、2007年に厚労省が調査したデータ(n=4万6,223)によると、日常生活に影響が少ない軽症患者が63%を占める一方で、中等症が28%、重症が3%、劇症が0.3%(不明6%)という内訳だ。重症例では入院治療が必要で、中にはやむを得ず大腸全摘に至る例も存在する。個人差の幅が大きいことが、疾患に対する理解の得にくさにつながっているのかもしれない。ステロイド依存・抵抗性などの難治例、発がんリスクなどが問題に 治療は、5-ASA(メサラジン)製剤とステロイド製剤を基本として、症状を抑え正常状態に近付ける寛解導入療法と、再発を予防する寛解維持療法を組み合わせて継続する。鈴木氏は、「大事なのは、再発時早期に十分な治療をして、病状の悪化・進展を防ぐこと。多くの症例を診ている専門医は、早い段階で再発の徴候をキャッチできる。たとえずっと同じ薬が出ているとしても、主治医には定期的に顔を見せて、病状を伝えてほしい」と、通院の重要性を強調した。 とくにステロイドは中等症以上に著効し、初回治療では84%の寛解導入率が得られたという報告もある。しかし、全身的な副作用などの懸念があり、さらには2年以上経過してもステロイド治療から離脱できない依存例や、効きにくくなる抵抗例が半数近くも存在するなどの問題がある。このような例や頻回に再燃を繰り返す例などは“難治性”と定義付けられ、専門医により適切な治療法が日々検討されている。 また、もう1つの問題として炎症性発がんについて触れた。「一番危険なのは、炎症が治まり切らないまま再燃を繰り返す症例。落ち着いている時期は正常に近付いたように見えるが、トイレが近かったり、食べたいものが食べれなかったり、患者のQOLは著しく低下している。このような症例は、健康な人に比べて大腸がんリスクが8倍以上になる」と注意を呼び掛けた。患者の症状を踏まえ、生活スタイルやニーズに合わせた治療法を 潰瘍性大腸炎に対しては、平成~令和にかけて、新しい治療薬が次々と登場している。今年3月には、クローン病治療薬のヒト型抗ヒトIL-12/23p40モノクローナル抗体製剤「ウステキヌマブ(商品名:ステラーラ)」が、潰瘍性大腸炎の追加適応を取得した。 鈴木氏は、「同じ潰瘍性大腸炎でも、患者ごとに病態は異なる。個々の患者が持つ背景因子と病歴から将来を予測し、各治療法の特性を理解した上で、治療を選択することが大事。また、もう1つ大事なのは、患者さんの生活スタイルやニーズを考えること。治療薬によって、通院頻度や投与法などさまざまなので、患者さんの気持ちを汲み取りながら、治療を進めることも重要」とアドバイスを送った。 潰瘍性大腸炎の患者が少なかった時代は、専門医中心の診療でも成り立ったが、個々の患者はいろんな問題を抱えており、患者数が増え続けている現状に対応しきるのは難しい。同氏は、「これからは、各領域の専門職がチームとして協力し、トータルケアを目指して行くことがまさに大事だろう。また、患者をできるだけ良い状態にして、地元の医療機関に通えるよう支援(逆紹介)できる体制整備も必要だ」と講演をまとめた。

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レムデシビル、COVID-19入院患者の回復期間を5日以上短縮/NEJM

 米国・国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のJohn H. Beigel氏らは、「ACTT-1試験」において、レムデシビルはプラセボに比べ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者の回復までの期間を有意に短縮することを示し、NEJM誌オンライン版2020年10月8日号で報告した(10月9日に更新)。COVID-19の治療では、いくつかの既存の薬剤の評価が行われているが、有効性が確認された抗ウイルス薬はないという。10ヵ国1,062例のプラセボ対照無作為化試験 研究グループは、COVID-19入院患者の治療におけるレムデシビルの臨床的な安全性と有効性を評価する目的で、日本を含む10ヵ国が参加した二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験を行った(米国NIAIDなどの助成による)。 2020年2月21~4月19日の期間に、COVID-19感染が確定され、下気道感染症の証拠がある成人の入院患者1,062例が登録され、レムデシビル(541例)またはプラセボ(521例)を投与する群に無作為に割り付けられた。レムデシビルは、1日目に負荷投与量200mgを静脈内投与され、2日目から10日目または退院か死亡まで維持投与量として100mgを1日1回投与された。 主要アウトカムは、登録から28日以内における回復までの期間とした。回復は、退院または入院の理由が感染管理のみ、あるいはその他の非医学的事由の場合と定義された。回復までの期間中央値:10日vs.15日 全体の患者の平均年齢は58.9±15.0歳で、64.4%が男性であった。79.8%が北米、15.3%が欧州、4.9%がアジアの患者であった。登録時に、ほとんどの患者が1つ(25.9%)または2つ以上(54.5%)の併存疾患を有しており、高血圧が50.2%と最も多く、肥満が44.8%、2型糖尿病が30.3%であった。症状発現から無作為割り付けまでの期間中央値は9日(IQR:6~12)で、957例(90.1%)が重症COVID-19感染患者だった。 回復までの期間中央値は、レムデシビル群が10日(95%信頼区間[CI]:9~11)、プラセボ群は15日(13~18)であり、レムデシビル群で有意に短かった(回復の率比:1.29、1.12~1.49、log-rank検定のp<0.001)。重症例における回復までの期間中央値は、レムデシビル群が11日、プラセボ群は18日であった(1.31、1.12~1.52)。また、ベースライン時に機械的換気または体外式膜型人工肺(ECMO)を導入されていた患者の回復の率比は0.98(0.70~1.36)だった。 8つのカテゴリーから成る順序尺度による比例オッズモデルを用いた解析では、15日の時点で臨床的改善が達成される確率は、レムデシビル群がプラセボ群よりも高かった(実際の疾患重症度で補正後のオッズ比[OR]:1.5、95%CI:1.2~1.9)。 Kaplan-Meier法による推定死亡率は、15日時がレムデシビル群6.7%、プラセボ群11.9%(ハザード比[HR]:0.55、95%CI:0.36~0.83)、29日時はそれぞれ11.4%および15.2%(0.73、0.52~1.03)であった。 重篤な有害事象は、レムデシビル群が532例中131例(24.6%)、プラセボ群は516例中163例(31.6%)で報告された。治療関連死は認められなかった。全体で頻度の高い非重篤な有害事象として、糸球体濾過量低下、ヘモグロビン低下、リンパ球数低下、呼吸不全、貧血などがみられ、発生率は両群でほぼ同等であった。 著者は、「米国食品医薬品局(FDA)は、レムデシビルの初期結果を考慮して、2020年5月1日、COVID-19感染が疑われる、または確定した成人および小児の入院患者において、レムデシビルの緊急時使用許可(EUA)を発出(8月28日に修正)したが、レムデシビルを使用しても死亡率は高いことから、抗ウイルス薬単独では十分な効果は得られないと考えられる」と指摘し、「患者アウトカムを改善するには、さまざまな薬剤との併用療法が必要であり、現在、レムデシビルと免疫調節薬(例:JAK阻害薬バリシチニブ[ACTT-2試験]、インターフェロンβ-1a[ACTT-3試験])との併用が検討されている」としている。

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食道がん患者1次治療、ペムブロリズマブ+化学療法に期待(KEYNOTE-590)/ESMO2020

 国立がん研究センター中央病院の加藤 健氏は 、切除不能な局所進行・転移性食道がん・食道胃接合部がん患者に対する1次治療としてプラチナ化学療法と、化学療法とペムブロリズマブの併用療法を比較する無作為化二重盲検第III相KEYNOTE-590試験の結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で発表。化学療法単独と比較してペムブロリズマブ併用が無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を統計学的に有意に改善したと報告した。・対象:未治療の転移を有する食道腺がん・扁平上皮がん、食道胃接合部Siewert Type1腺がん患者(PS 0~1)・試験群:ペムブロリズマブ+化学療法(シスプラチン+5-FU)3週ごと最大35サイクル(ペムブロリズマブ併用療法群、373例)・対照群:化学療法(同上)(化学療法単独群、376例)・評価項目:[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)[副次評価項目]客観的奏効率(ORR) 主な結果は以下のとおり。・CPS≧10の食道扁平上皮がんのOS中央値はペムブロリズマブ併用療法群が13.9ヵ月、化学療法群が8.8ヵ月で、ペムブロリズマブ併用療法群で有意な延長を認めた(HR:0.57、95%CI:0.43~0.75、p<0.0001)。・食道扁平上皮がん全体のOS中央値は、ペムブロリズマブ併用療法群が12.6ヵ月、化学療法群が9.8ヵ月で、ペムブロリズマブ併用療法群で有意な延長を認めた(HR:0.72、95%CI:0.60~0.88、p=0.0006)。・CPS≧10のOS中央値は、ペムブロリズマブ併用療法群が13.5ヵ月、化学療法群が9.4 ヵ月で、ペムブロリズマブ併用療法群で有意な延長を認めた(HR:0.62、95%CI:0.49~0.78、p<0.0001)。・全症例のOS中央値はペムブロリズマブ併用療法群が12.4ヵ月、化学療法群が9.8ヵ月で、ペムブロリズマブ併用療法群で有意な延長を認めた(HR:0.73、95%CI:0.62~0.86、p<0.0001)。・CPS≧10のPFS中央値は、ペムブロリズマブ併用療法群が7.5ヵ月、化学療法群が5.5 ヵ月で、ペムブロリズマブ併用療法群で有意な延長を認めた(HR:0.51、95%CI:0.41~0.65、p<0.0001)。・全症例のPFS中央値はペムブロリズマブ併用療法群が6.3ヵ月、化学療法群が5.8ヵ月で、ペムブロリズマブ併用療法群で有意な延長を認めた(HR:0.65、95%CI:0.55~0.76、p<0.0001)。・ORRはペムブロリズマブ併用療法群が45.0%、化学療法群が29.3%であった(p<0.0001)。・Grade3以上の治療関連有害事象(AE)発現率はペムブロリズマブ併用療法群が71.9%、化学療法群が67.6%、Grade3以上の免疫関連AE発現率はペムブロリズマブ併用療法群が7.0%、化学療法群が2.2%あった。 今回の結果を受けて加藤氏は「ペムブロリズマブと化学療法の併用療法は、切除不能な局所進行および転移を有する食道がん患者に対する1次治療での新たな標準治療とすべきである」と強調した。

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乳がん術前/術後化学療法時の頭皮冷却が毛髪回復を早める/日本乳学会

 乳がんの術前/術後化学療法時に脱毛抑制のためにPaxman Scalp Coolingシステムで頭皮冷却した後の毛髪回復状況を長期間、前向きに調査した結果から、化学療法時の頭皮冷却は脱毛を軽減するだけでなく、毛髪の回復を早め、さらに永久脱毛をほとんどなくす可能性が示唆された。国立病院機構四国がんセンターの大住 省三氏が第28回日本乳学会学術総会で発表した。 本研究の対象は、Paxman Scalp Coolingシステムによる術前/術後化学療法時の脱毛研究に参加し、頭皮冷却を1回以上受け、予定していた化学療法を完遂し、脱毛状況の評価が可能だった乳がん患者122例。最後の化学療法後1、4、7、10、13ヵ月時の頭髪状況について、客観的評価(5方向からの撮影写真を医師と看護師2名で評価)でのGrade(0:まったく脱毛なし、1:1~25%脱毛、2:26~50%脱毛、3:>50%脱毛)および主観的評価(患者にかつらまたは帽子の使用を質問)でのGrade(0:まったく使っていない、1:時々使用、2:ほとんど常に使用)で分類した。全例での評価のほか、頭皮冷却を全サイクルで完遂した患者79例(A群)と、途中で頭皮冷却を中止した43例(ほとんどは1サイクルで中止)(B群)の結果を比較した。 主な結果は以下のとおり。・122例での客観的評価における各時点でのGradeは10ヵ月時までは改善がみられたが、その後は改善がみられなかった。13ヵ月時に回復していない症例(永久脱毛と定義)は9例(7.8%)であった。・122例での主観的評価における各時点でのGradeは、客観的評価と異なり10ヵ月時と13ヵ月時の間でも改善がみられた。しかし、13ヵ月時でも19例(16.5%)はかつらあるいは帽子を使用していた。・A群とB群を客観的評価で比較すると、観察期間中、終始A群の脱毛の程度が有意に軽く、また回復も早かった。13ヵ月時に永久脱毛がみられた症例はA群で2例(2.6%)に対し、B群では7例(18.4%)と有意差が認められた。・主観的評価の比較でも、A群のほうが終始、かつらあるいは帽子を使用していた症例の割合が低く、頻度も低かった(4ヵ月時と7ヵ月時で有意差あり)。・1ヵ月時点で客観的評価がGrade3だった症例のみに限定しても、A群はB群より回復が速い傾向にあり(4ヵ月時と10ヵ月時で有意差あり)、化学療法中に脱毛が起こっても頭皮冷却を続ける意義は大きいと考えられる。一方、同じ症例(1ヵ月時点で客観的評価がGrade3)で主観的評価の経時的な結果を比較した場合、両群間で差はみられなかった。

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第27回 オンライン診療恒久化へ、かかりつけ医を軸に安全性・信頼性を担保

<先週の動き>1.オンライン診療恒久化へ、かかりつけ医を軸に安全性・信頼性を担保2.社会保障給付費、総額121兆円超で過去最高を更新3.2021年度介護報酬改定、軽症利用者の長期ショートステイに疑問の声4.介護施設の面会制限緩和へ/厚労省1.オンライン診療恒久化へ、かかりつけ医を軸に安全性・信頼性を担保新型コロナウイルス感染の拡大に伴い、電話やタブレット端末を用いた初診のオンライン診療について、今年の4月から特例措置として実施可能となっているが、先月の菅内閣発足後、恒久化に向けての検討が本格化している。菅首相は、就任直後に田村厚生労働大臣にオンライン診療の恒久化について検討を指示しており、7日の規制改革推進会議では「デジタル時代に合致した制度として恒久化を行う」として取り上げられた。田村厚労相は、その翌日に河野規制改革担当大臣、平井デジタル改革担当大臣と会談し、新型コロナ収束後も映像によるやり取りに限って、原則として恒久化することで合意している。政府の動きに対して、日本医師会は全面解禁に慎重な姿勢をとっており、中川 俊男会長は14日、オンライン診療では触診などが不可能であり、安全性・信頼性を担保するために、かかりつけ医機能を基軸にすべきだと声明を発表している。今後、具体的な運用方法やガイドラインを決定することで、診療現場のデジタル化はさらに進むと見られる。(参考)総論(オンライン診療に関する大臣合意を受けて等)(日医オンライン)初診を含めてオンライン診療は原則解禁へ 河野規制改革・平井デジタル改革・田村厚労3大臣が合意(ミクスオンライン)2.社会保障給付費、総額121兆円超で過去最高を更新16日、国立社会保障・人口問題研究所は、「社会保障費用統計」を公表した。2018年度の社会保障給付費の総額は121兆5,408億円と対前年度増加額は1兆3,391億円、伸び率は1.1%、対GDP比は22.16%であり、対前年比で0.21ポイント増加、1人当たりの社会保障給付費は96万1,200円となっている。「社会保障費用統計」は、年金や医療保険、介護保険、雇用保険、生活保護など、社会保障制度に関する1年間の支出を集計したもの。今後も、後期高齢者の増加で医療費、介護費の増加が見込まれており、社会保障制度を持続可能とするために、今後検討を重ねていく必要がある。(参考)平成 30(2018)年度「社会保障費用統計」の概況取りまとめを公表します~社会保障給付費、過去最高を更新~(国立社会保障・人口問題研究所)3.2021年度介護報酬改定、要支援のショートステイ長期利用に疑問の声2021年度の介護保険報酬の議論で、個別サービスについて具体的な検討に入っている。15日に行われた会議では、要支援1・2の介護予防短期入所生活介護(ショートステイ)で30日を超える利用について議論となり、現状について疑問の声が上がった。要支援1・2を対象とする介護予防ショートステイで、連続30日を超える長期利用は、1日の自費利用を挟めば事実上行うことが可能だが、要介護1以上の利用とは異なり、長期利用減算の適用がない。30日以上の利用が想定されていなかったため、このような事態が発生しているが、要支援者のショートステイ利用の実態について調査を求める声が上がった。来春の改定では、介護施設、診療現場に影響が出る可能性があると考えられる。(参考)短期入所生活介護の報酬・基準について(検討の方向性)(厚労省)4.介護施設の面会制限緩和へ/厚労省厚労省は、第10回 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードを13日に開催し、高齢者施設などにおける面会、外出などについて検討を行った。高齢者向けの介護施設などにおける面会については、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」において、「医療機関及び高齢者施設等において、面会者からの感染を防ぐため、面会は緊急の場合を除き一時中止すべきこと」とされている。4月以降はこの基本的対処方針に従って、全国一律に緊急の場合を除いて一時中止していたが、面会規制が長期化することで、入所者の認知症の悪化を懸念する声が高まったため、今後、面会に当たって具体的な感染防止策を検討した上で、面会規制を緩和する方針を定めた。(参考)第10回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 高齢者施設等における面会、外出等(厚労省)

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進行または転移のある尿路上皮がんに対するアベルマブ維持療法(解説:宮嶋哲氏)-1299

 アベルマブはヒトPD-L1に対する抗体であり、2017年にFDAはプラチナ製剤を含む化学療法施行中または施行後に病勢進行を認めた局所進行または転移のある尿路上皮がんの治療薬としてアベルマブの適応を承認している。わが国では、根治切除不能または転移のある腎細胞がんを適応症として分子標的薬であるアキシチニブと併用で適応が承認されている。 プラチナ製剤主体の抗がん化学療法は進行尿路上皮がんの標準的1次療法であるが、無増悪生存期間と全生存期間はがん細胞の化学療法耐性獲得によって、その効果は限定的である。本研究はJAVELIN Bladder 100試験の第III相試験で、切除不能な局所進行または転移のある尿路上皮がんを有し、1次化学療法(ゲムシタビンとシスプラチンまたはカルボプラチンの併用を4~6サイクル)で病勢進行を認めなかった患者を、best supportive care(BSC)に加えてアベルマブによる維持療法を行う群と行わないBSCのみのコントロール群に無作為に割り付けたものである。主要評価項目は全生存率(OS)とし無作為化された全患者(集団全体)とPD-L1陽性腫瘍を有する患者群で評価を行い、副次的評価項目は無増悪生存期間(PFS)と安全性である。 無作為化された全症例700例では、アベルマブ維持療法群はコントロール群と比較してOSは有意に延長した。1年OSはアベルマブ群で71.3%、対照群で58.4%であった(OS中央値21.4ヵ月vs.14.3ヵ月、HR:0.69、P=0.001)。PD-L1陽性群においてもアベルマブによりOSは有意に延長し、1年OSはアベルマブ群で79.1%、コントロール群で60.4%であった(HR:0.56、P<0.001)。PFS中央値は全体ではアベルマブ群3.7ヵ月、コントロール群2.0ヵ月であり(病勢進行または死亡のHR:0.62)、PD-L1陽性集団ではそれぞれ5.7ヵ月と2.1ヵ月であった(HR:0.56)。有害事象の発現率はアベルマブ群98.0%、コントロール群77.7%であり、Grade3以上の有害事象の発現率はそれぞれ47.4%と25.2%であった。以上、1次化学療法で病勢進行を認めなかった尿路上皮がん患者において、アベルマブによる維持療法はBSCのみのコントロール群と比較してOSは有意に延長した。  アベルマブはわが国において尿路上皮がんで適応承認は受けていないが、今後プラチナ製剤を含む化学療法で病勢進行を認めた尿路上皮がんへの2次治療薬としての適応承認は近いと考えている。本薬剤は2020年6月に局所進行または転移を有する尿路上皮に対する1次療法の維持療法薬として、適応承認を米国FDAから獲得した。 我が国における今後の動向が注目される。

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コルヒチンの冠動脈疾患2次予防効果に結論を出した論文(解説:野間重孝氏)-1300

 評者は今回の論文に関連した他論文の論文評を昨年12月にこの欄に掲載しているため(「今、心血管系疾患2次予防に一石が投じられた」)、解説部分が前回と一部重複することを、まずご容赦いただきたい。また、先回の論文評の中で今回の論文のスタディデザイン報告をした論文(Nidorf SM, et al. Am Heart J. 2019;218:46-56.)に言及し、評者の早とちりから彼らがすでに結論を出してしまったような誤解を与える記述をしてしまいました。この点につき、この場をお借りして陳謝させていただきます。 動脈硬化が炎症と深い関係があるとする動脈硬化炎症説は、1976年にRossらが「障害に対する反応」仮説を提出したことに始まる(Ross R, et al. N Engl J Med. 1976;295:369-377.、420-425.、二部構成)。以後さまざまな仮説が提出され、議論が繰り返されたが、結局確定的なメカニズムの解明には至っていない。 コルヒチンはイヌサフラン科のイヌサフラン(Colchicum autumnale)の種子や球根に含まれるアルカロイドで、長く痛風の薬として使用されてきた。主な作用として、細胞内微小管(microtubule)の形成阻害、細胞分裂の阻害のほかに、好中球の活動を強力に阻害することによる抗炎症作用が挙げられる。ところが皮肉なことに、ここにコルヒチンが動脈硬化の進展予防に何らかの作用を持つと考えられなかった理由がある。というのは、動脈硬化炎症説を考える人たちは単球やマクロファージ、免疫系細胞には注目するが、好中球には関心を示さなかったからだ。ちなみに好中球、多核球に対してこれだけ強力な抑制作用を持つ薬剤は、現在コルヒチン以外に知られていない。結局、今世紀に至るまでコルヒチンが動脈硬化性疾患の進展予防に何らかの効果を持つとは誰も考えなかったのである。 しかし突破口は意外な方面から開かれた。ニューヨーク大学のリウマチ研究室の研究者たちが奇妙な事実に気付き報告したのだ。痛風患者に対してコルヒチンを使用していると心筋梗塞の有病率が低いというのである(Crittenden DB, et al. J Rheumatol. 2012;39:1458-1464.)。 この結果にいち早く注目したのが本論文の著者であるHeart Care Western AustraliaのNidorf SMらのグループだった。彼らは通常の治療に加え、コルヒチン錠を1日当たり0.5mg投与する治療群(282例、66歳、男性率89%)とコントロール群(250例、67歳、男性率89%)の計532例を中央値で3年間フォローアップした結果(主要アウトカムは、急性冠症候群、院外心停止、非心臓塞栓性虚血性脳卒中)、ハザード比(HR)は0.33(95%信頼区間[CI]:0.18~0.60)、NNT 11で2次予防が可能であるという驚くべき結果を得た(LoDoCo試験、Nidorf SM, et al. J Am Coll Cardiol. 2013;61:404-410.)。この試験は登録数が少ないこと、open labelで検討されていることからあくまでpilot studyだったのだが、一部の関係者の注目を集めるには十分だった。 いち早くLoDoCo pilot studyに注目したのがカナダ・モントリオール心臓研究所のグループであり、前回評者が論文評を担当した論文がこれだった(Tardif JC, et al. N Engl J Med. 2019;381:2497-2505.)。彼らは、登録日前30日以内に心筋梗塞を発症し、経皮的血行再建術を受けた症例4,745例を2群に分け、両群にいわゆる内科的至適療法(OMT)を行うとともに、一方の群にコルヒチン0.5mg/日を、もう一方にplaceboを追加投与する二重盲検試験を行った。エンドポイントを心血管死、心停止後の蘇生、心筋梗塞、脳卒中、血行再建とし、コルヒチン群で有意に発生率が低いことを証明した。この研究は注目すべきものではあったが、問題点もあった。複合エンドポイントのうち、差が出たのは脳卒中と血行再建だけで、脳卒中ではっきり差が出ていなければかなりきわどい結果になっていた可能性があったからだ。また心筋梗塞後30日以内の患者という対象設定にも問題があった。 一方、先回のpilot studyから確信を得たNidorfらのグループは、LoDoCo2試験を立ち上げた。コルヒチンが安全に投与できることが確かめられた安定狭心症5,522例を対象としてコルヒチン0.5mg/日とplaceboによる二重盲検試験を行った。この試験のデザインは前述したように、昨年別途報告された(Nidorf SM, et al. Am Heart J. 2019;218:46-56.)。そのLoDoCo試験の最終報告となるのが本論文である。この試験にも複合エンドポイントに脳卒中が含まれていたが、31%の発生減を報告できたことには十分な説得力がある(ハザード比[HR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.57~0.83、p<0.001)。また、サブ解析でも明らかな心事故発生の減少が報告された。この試験の意味深い点は、臨床的にとくに問題のない安定狭心症を対象として2次予防の成績を提出したことにある。評者が題名に「結論」という文言を使用したゆえんである。 今回の試験で著者らは対象患者の性別に偏りがあったこと、血圧や脂質など他の危険因子のデータ収集が不完全であったことを挙げているが、評者にはこれらが大きな限界とは考えられない。冠動脈疾患は典型的な多因子的疾患であり、2次予防効果をみるためには一つひとつの因子をつぶしていく必要がある。すべての因子を包括した研究が事実上不可能である以上、どれか確定的な因子(もしくは治療法)が証明できればそれは充分な前進であると評価されなければならないと考えるからである。 評者が不満に思うことを挙げるとすれば、前述のカナダのグループにおいても同様なのだが、冠動脈疾患の2次予防の検定になぜ脳卒中を複合エンドポイントに入れなければならないのか、という点である。冠動脈疾患は何度も述べているように典型的な多因子疾患である。一方、脳血管障害は、確かに危険因子は多数指摘できるが、その中において血圧の重要性が圧倒的に高く、同じ多因子疾患といっても冠動脈疾患とはその性格を大きく異にし、その進展過程・機序にも差があるからである。今回の試験においても、前回のカナダのグループの試験においても、コルヒチンは明らかに脳卒中の発生率を低下させている。だから確かに効果があることに異論はないのだが、その機序については別の議論が必要であろう。 このところコルヒチンを用いた研究が各方面で活発化していることは、J-CLEARの論文紹介に目を通していらっしゃる方々はよくご承知ではないかと思う。しかし評者の知る限り、わが国ではあまり関心が持たれていない印象がある。わが国でもこの新しい発見を有効に利用しようという動き(もしくは検証しようという動き)が早く出ることを願うものである。

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第46回 祝2周年!心電図クイズで腕試し(前編)【Dr.ヒロのドキドキ心電図マスター】

第46回:祝2周年!心電図クイズで腕試し(前編)この“Dr.ヒロのドキドキ心電図”の開始は2018年8月末。ということは…2020年9月で連載丸2年を迎えました! パチパチパチ(笑)。“サスティナブル”は昨今よく用いられるキーワードですが、環境保全も経済も「持続する・させる」は容易ではありません。ボクにとっての連載もまさにそうでありました。さまざまな障壁や困難に直面し、もうダメだと諦めそうになったことが一度ならずありました。それでも続けてこれたのは、ひとえに、読者の皆さま、そしてやはり心電図や不整脈の持つ尽きせぬ魅力のおかげかと思っています。話のネタはまだまだありますが、ひとまず2年の“区切り”としてクイズを出そうかと思います。では、どうぞ!症例提示150歳、男性。健診にて来院。交通事故による骨折以外には特別な既往もなし。内服薬もなし。草野球チームに所属している。以下に心電図を示す(図1)*。*:クイズの性格上、自動診断結果の一部を非表示にしている。(図1)健康診断の心電図画像を拡大する【問題1】 心拍数に関して、最も近いものを選べ。1)32/分2)42/分3)52/分4)62/分5)72/分解答はこちら2)解説はこちら1問目はジャブで始めましょう。“ドキ心”読者なら、どんな心電図を見ても心拍数を自分で計算できるはず。単純にQRS個数をカウントする“検脈法”、あるいは「QRS-T」を一塊で認識し、欠如した部分があるときは「0.5個」とする“新・検脈法”のいずれでもOKです。Dr.ヒロの系統的判読法の最初は『レーサーが…』ですが、この“レーサー(R3)”部分、「R-R間隔:整」「心拍数:50~100/分」「洞調律(イチニエフの法則)」のいずれか1つでも満たさない場合は、10秒間でQRS波をカウントすると良いでしょう。かなりの徐脈が予想されますから、端から端まで数えて、“検脈法”ならシンプルに7×6/分です。“新・検脈法”の場合は肢誘導の最後と胸部誘導の最初が「0.5個」ですから、結局、(肢3.5+胸3.5)×6/分となり、どちらの方法で求めても「42/分」と求まりますね。こうした徐脈の時には“新・検脈法”が有利と述べましたが、今回は“同点引き分け”でしたね(笑)参考レクチャー:第3回、第29回【問題2】基本調律に関して正しいものをすべて選べ。1)異所性心房調律2)洞徐脈3)洞不整脈4)徐脈性心房細動5)ペースメーカ調律解答はこちら2)、3)解説はこちら2問目は“レーサー・チェック”からの出題です。心拍数は約40/分で、QRS波の手前にはコンスタントにP波があって、I/II/aVF/V4~V6で陽性(上向き)、aVRで陰性(下向き)ですから、立派な“洞調律”と考えれば、めでたく「洞徐脈」の診断ができるでしょう。でも、油断してそれで終わるのはいけません。R-R間隔はどうでしょうか? 整ですか?…「No」ですよね。肢誘導の最後などは、ずいぶんとR-R間隔が空いているように見えます。これでは単純な「洞徐脈」で説明がつきませんよ。全体を見渡し、R-R間隔が一番短いところと一番長いところとを比べて、3目盛り(ミリ[mm])以上*1違ったら、その時は「洞不整脈」と診断できます。ですから、2)だけでなく、忘れずに3)も選んでくださいね。「洞調律」は徐脈になるほどR-R間隔に“ゆらぎ”、すなわち洞不整が起こりやすい傾向にあるようです。「洞不整脈」には、小児や若年者で多く見られる「呼吸性洞不整脈」と、そのほか高齢者や薬物の影響などで認められる「非呼吸性~」もあります。呼吸サイクルとの関連性を見るのであれば、10秒と言わずにもう少し長く観察する必要があるでしょうか。*1:3目盛り(mm)は0.12秒(120ミリ秒[ms])に相当する。0.16秒(160ミリ秒[ms])以上とする基準もある。参考レクチャー:第2回【問題3】この心電図所見は「左室肥大」と言えるか?解答はこちら言えない解説はこちら『左室肥大』に関しては、第38回、第39回のレクチャーで扱いました。そこで強調したことの一つは、側壁誘導を中心に、ただ単にQRS波の増高(increased QRS voltage)を「左室肥大」と言うなかれということ。よく“ハイ・ボル”(high voltage)と言ってしまうアレです。これは、正式には「(左室)高電位」と表現すべき所見でした。「高電位」の基準に関しては、「そこのライオン」でも「こなれた男女3L」でも「浪費エステ」いずれでもかまいません。あるいは、ボクがとくにお薦めする“ブイシゴロ密集法”でもいいんです。ただ、「左室肥大」かどうかは、プラスαが大事で、典型的な「ストレイン・パターン」(ventricular strain)の有無と、加えて“補助所見”として「左房拡大」、「左軸偏位」や、やや謎の表現「intrinsicoid deflection」の遅れなどをいくつ満たすかで、どれくらい疑わしいか付記すれば良いのでした。基本、「左室肥大」かどうかは、“合わせ技”と言える所見の個数で決まるというわけです。 あ、項目自体は『浪費エステはポイント制 高いスタート 前半はジックリ』(図2)でしたね(笑)。Dr.ヒロ独自のモノですが、第39回でご紹介したフローチャート(図2)もまあまあの出来ではありますので、もう一度見直してみてください。■Romhilt-Estesポイントスコア“覚え書き”■(1):Romhilt-Estes(2):左室高電位(3):ST-T変化(4):QRS波の前半成分“もたつき”[+幅](5):軸偏位[左軸](6):心房負荷[左房拡大]心電図(図1)では、側壁誘導などに有意なST-T変化も見られず、電気軸も正常(推定値:+60~+70°)、V1にやや深いP波はあっても、IIのほうで幅が狭く(むしろ「右房拡大」的な様相)、QRS前半成分の“もたつき”もありませんから、単なる「左室高電位(差)」と言えるでしょう。若い人だとこの判断に微妙な時もありますが、これくらいの年齢の男性なら胸を張って波高異常を指摘して良いです。(図2)左室肥大の心電図診断フローチャート[再掲]画像を拡大する参考レクチャー:第38回、第39回症例提示275歳、男性。約3年前に急性冠症候群に対して冠動脈インターベンション(PCI)が施行され、3ヵ月前に発作性心房細動に対するカテーテルアブレーションを受けた。脳梗塞既往(右不全麻痺)あり、高血圧症、糖尿病などで投薬中。血圧112/74mmHg、脈拍119/分・不整。定期診察で来院した際の心電図を示す(図3)。患者コメント:「自転車で20分かけて来ました。ちょっと食欲がないくらいかな。ほかはあまり変わりませんね」(図3)定期外来時の心電図画像を拡大する【問題4】基本調律に関して正しいものを選べ。1)異所性心房調律(心房頻拍)2)洞頻脈3)洞不整脈4)心房細動5)心房粗動解答はこちら 2)解説はこちら正常な基本調律は何かと言えば「洞調律」なので、心電図を見たら、 “レギュラー度”の高い部分を見つけることから始めます。ときどき認めるいびつなQRS波は「期外収縮」なので、それ以外の部分に着目しましょう。この心電図(図2)では、“P-QRS”のセットは互いの距離感も含めて一定のようです。あとは…そう、“イチニエフの法則”ですね。これもバッチリ満たします。「洞調律」とわかったら、次の4つのどれかを考えましょう。■おさらい~4つの「洞調律」■(1)洞徐脈 (2)洞頻脈 (3)(いわゆる)洞調律 (4)洞不整脈鑑別ポイントは、もちろん「R-R間隔」と「心拍数」で、いずれも“レーサー・チェック”で確認するものです。期外収縮以外のR-R間隔はおおむね整、かつ3マス(太枠)未満なので、「洞頻脈」と診断できます。ちなみに、具体的な心拍数は、Dr.ヒロ流“はさみうち等分足し引き法”なら、胸部誘導2~4拍の“2拍”で見れば「108/分」くらいとなります。参考レクチャー:第3回【問題5】このような周期的な心収縮様式の表現として、最も適切なものはどれか選べ。1)心房二段脈2)心房三段脈3)心室二段脈4)心室三段脈5)心室四段脈解答はこちら 5)解説はこちらこれはオマケ問題です。この「~段脈」という表現は、絶対に必要な心電図診断ではありません。ボクなりの表現を使えば心臓の“従順さ”を示す特徴的な振舞いの一つです。 “しゃっくり”が起きると、定期的に起きてなかなか止まらないですよね。同様に、いったん期外収縮が生じると心臓はなるべくそのサイクルを維持しようと振る舞うことが多いんです。先頭の「心房」か「心室」かは、心房期外収縮(PAC)か心室期外収縮(PVC)かで決めれば良く、『線香とカタチと法被(はっぴ)が大事よね』を思い出してください。“お祭りガール”のイラストでしたね(図4)。これを踏まえると、今回はPVCでいいですよね。(図4)期外収縮のポイント[再掲]画像を拡大する残りの「~段脈」の部分に関しては、「~拍ごと」とほぼ同義でした。より本質的には、(洞収縮も含めて)全部で~個の心拍たちが“チーム”(セット)を形成するという意味でした。今回は「四段脈」で、英語表記は“quadrigeminy”となります。文献的な裏付けがあるわけではないのですが、「心房細動」を有していて、とくに本症例のようにカテーテルアブレーションを受けた一部の例でPVCが目立ってくる方が多い印象があります(皆さんの感覚ではいかがですか?)。参考レクチャー:第16回、第21回【問題6】そのほかの心電図所見として正しいものをすべて選べ。1)QRS電気軸:+60°2)ST上昇3)異常Q波4)左房拡大5)反時計回転解答はこちら1)解説はこちらこの心電図(図3)は波形異常に関しても賑やかです。QRS電気軸に関しては、肢誘導に着目し、とくにaVL誘導がほぼ“(上下)トントン”ですから、I誘導QRS波の向きと合わせて「+60°」と数値で言える能力は大事です(トントン法)。2)の「ST上昇」は有意なものはなく、むしろII、III、aVF、V4~V6で「ST低下」が目立ちます。今アクティブかは別として、病歴的にも虚血性心疾患の存在を念頭に置くべき心電図ではあります(問診をしっかりとる必要があります!)。3)「異常Q波」については、はじめにV1~V3、続いてaVRを除く「それ以外」の誘導順に見ていきますが、今回は1つもありません。「心房拡大」は右房と左房の2つ。主にII(III、aVF)とV1誘導でP波形に着目するのでした。注目は「左房拡大」のほうではなく、下壁誘導でP波がホッソリ尖鋭化―そう、「右房拡大」ですが、あいにく基準(2.5mm以上)には足りないので、これもNOです。最後に「回転」については、胸部誘導のR波に関してです。V4~V6誘導あたりでS波が深く、「時計回転」風に見えるのはPVC波形です。洞収縮のQRS波形では、R波の増高は調子良く、R/S比の逆転もV3~V4誘導の間で起きており、これも正常です。もちろん、5)「反時計回転」ではありません。参考レクチャー:第9回、第29回さて、今回の2症例はどうだったでしょうか。レクチャーで扱った事項がちょくちょく登場したはずです。できなかった箇所については、参考レクチャーで振り返りをしてみてくださいね。では、また次回!【古都のこと~無鄰菴~】さて、今回は素敵なカフェ「無鄰菴」(むりんあん)をご紹介しましょう。「鄰」という字は「隣」と“左右逆”ですが、同じ意味です。ですから、「隣の無い庵(いおり)」という意味で、“名付け親”は山縣 有朋(やまがた ありとも)*1です。無鄰菴は山縣の別荘で、場所的には南禅寺、平安神宮のすぐ近くです。先日、在任期間が歴代最長と報道された安倍 晋三氏は2006~07年、2012~20年の計2回総理大臣を務めましたが、山縣も時を隔てて2度の内閣総理大臣を経験しています。いわば、明治日本の方向性が決められた*2この無鄰菴ですから、もちろんただのカフェ*3ではないんです。山縣が七代目小川 治兵衛に作庭を命じた“近代日本庭園の傑作”と評されるステキなお庭があるんです(名勝指定:1951年[昭和26年])。どこが素晴らしいか、素人のボクが“付け焼き刃”的に述べる必要はないでしょう。是非、直接ご覧あれ。東山をバックに母屋から眺める庭園には、近代日本の歩んだ“歴史”が染み込んでいます。もちろん、抹茶や茶菓子もアルコールもいただけますから、相当にオシャレな休憩場所と言えるでしょう。*1:山縣有朋には東京にも素敵な庭のあるお屋敷を有していた。それは、現在はフォーシーズンズホテルとなっている「椿山荘」である。*2:1903年(明治36年)、日露開戦へ向けて、山縣、伊藤 博文、小村 寿太郎、桂 太郎ら四者が協議した。現在も残る明治風の洋館2階でイス四脚とテーブルが見学可能。*3:1941年(昭和16年)、京都市が山縣家より譲り受け、現在は植彌加藤造園が委託管理しており、業務の一環としてカフェ運営が行われている。

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第18回 痛み診療のコツ・治療編(2)神経ブロック・その1【エキスパートが教える痛み診療のコツ】

第18回 痛み診療のコツ・治療編(2)神経ブロック・その1前回までは治療編(1)として、薬物療法について解説しました。今回は、神経ブロックに焦点を当てて説明していきたいと思います。神経ブロックとは神経ブロックとは、脳脊髄神経および神経節や神経叢、交感神経および神経節や神経叢に神経ブロック針を刺入して、神経に直接またはその近傍に局所麻酔薬や神経破壊薬を注入し、その薬物効果で神経の伝導機能を一時的あるいは永久的に遮断する方法です。また、神経を特殊な針を用いて高周波熱凝固し、同様に神経の伝導を遮断する方法も神経ブロックに含まれます。痛み治療における神経ブロックでは、外来患者さんの場合では運動機能を残し、痛覚のみをブロックする方法を選択します。手術時の神経麻酔(ブロック)と、この点において大いに異なります。神経ブロックの意義(1)診断的ブロック神経ブロックにより、痛みに関与する神経を診断することができます。この診断的ブロックそのものによっても痛み治療になります。(2)痛み伝導路の遮断当然のことながら、痛み伝導路の遮断によって痛みの緩和が得られます。局所麻酔薬による神経ブロックでは、効果は一時的なものと考えますが、繰り返し神経ブロックを施行することで、痛みのない時間を作ることが大切です。これにより、最初に述べた痛みの悪循環が断ち切られ、痛みから解放されます。(3)交感神経の遮断知覚神経のみならず、交感神経の遮断が生じると、当然ことながら、交感神経の過剰反応が緩和され、末梢血管が拡張し、末梢循環不全が解消されることで痛みが抑制されます。神経ブロックの種類通常よく用いられるのは、以下の種類です。脳神経ブロック:三叉神経末梢枝神経ブロック知覚神経ブロック:腕神経叢ブロック、肩甲上神経ブロック交感神経ブロック:星状神経節ブロック交感・知覚・運動神経ブロック:頸部・胸部・腰部・仙骨硬膜外ブロック などこのほか、比較的一般に施行されているのが、トリガーポイントブロックです。安全性が高く、それなりの鎮痛効果が得られます。神経ブロックの適応(1)有痛性疾患三叉神経痛や肋間神経痛などのいわゆる神経痛、末梢神経障害性疼痛、末梢循環障害性疼痛、がん性疼痛などが含まれます。(2)無痛性疾患本態性顔面神経麻痺、顔面けいれん、眼瞼けいれん、手掌多汗症、突発性難聴などが含まれます。神経ブロックに使用される薬物(1)局所麻酔薬リドカイン、メピバカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、ボプスカイン、ジブカインなどがあります。効果持続時間が薬物によって異なりますので、ブロックの目的に合わせて使います。(2)神経破壊薬エタノール(99.5%)、フェノールグリセリン、フェノール水(7%)などを用います。(3)ステロイド神経の炎症や絞扼症状が強い場合には、水溶性ステロイド薬を局所麻酔薬に適量添加します。神経ブロックの合併症局所麻酔薬中毒、アナフイラキシーショック、神経損傷、血管内注入、などが見られることがあるので、ブロック後十分な観察が必要です。患者さんに対し、あらかじめ十分な説明をしておくと共に、万一、合併症が生じた場合の緊急蘇生器具などの準備が大切です。以上、神経ブロックを取り上げ、その意義、種類、適応、使用される薬物、合併症などについて述べました。痛みを有する患者さんに接しておられる読者の皆様に、少しでもお役に立てれば幸いです。次回は神経ブロックの実際についてさらに具体的に解説します。1)花岡一雄ほか監修. 痛みマネジメントupdate 日本医師会雑誌. 2014;143:S180-S181

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食道がん、新たな初回治療の誕生【消化器がんインタビュー】第6回

第6回 食道がん、新たな初回治療の誕生出演:国立がん研究センター中央病院 頭頚部内科 科長/消化管内科 医長 加藤 健氏進展がみられなかった食道がんの初回治療に新たな選択肢が誕生した。ESMO Virtual Congress 2020で発表されたペムブロリズマブの第III相試験KEYNOTE-590試験について、発表者の国立がん研究センター中央病院 加藤 健氏が紹介する。

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事例012 腫瘍マーカーの査定【斬らレセプト シーズン2】

解説事例では、膵がんの疑いで行った腫瘍マーカーが査定となりました。診療報酬における「D009 腫瘍マーカーの算定」は、診療および他の検査の結果から悪性腫瘍であることが強く疑われる場合に認められるとされています。言い換えると、強く疑ったことがレセプトから判定ができるように根拠を記載しなければならないと表現されていると解しています。事例では、症状などの補記や他の検査もなく、なぜ強く疑ったかの根拠が明確でないことが査定の理由と考えられます。今後の対応としては、「触診にて病名部位に大きな腫瘤を認めた」、「他院の診療情報提供書内容から強く疑った」などを摘要欄に補記することにしました。また、悪性腫瘍が強く疑われる患者に対して検査を行った場合には、「悪性腫瘍の診断確定又は疑いの転帰の決定までの間に1回を限度とする」とも規定されてることから、疑い病名での連月算定や同一腫瘍マーカーの3月以内の算定は査定対象とされているようです。悪性腫瘍の確定している患者に腫瘍マーカーを行い、その結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合には、「B001 3 悪性腫瘍特異物質治療管理料」が算定できることも憶えておいてください。

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PD-L1高発現NSCLC1次治療、抗PD-1抗体cemiplimab vs.化学療法(EMPOWER-Lung1)/ESMO2020

 トルコ・Baskent大学のAhmet Sezer氏は、未治療でPD-L1発現率が50%以上の進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する抗PD-1抗体cemiplimabとプラチナダブレット化学療法を比較した無作為化非盲検第III相EMPOWER-Lung1試験の2回目の中間解析の結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で発表。cemiplimabは併用化学療法に比べ、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したと報告した。・対象:PD-L1≧50%で未治療のStage3B/C、4のNSCLC(扁平上皮・非扁平上皮含む、安定している既治療のCNS転移含む)・試験群:cemiplimab 350mg 3週ごとを病勢進行または108週間まで投与(cemiplimab群)・対照群:プラチナダブレット化学療法 4~6サイクル(併用化学療法群)・評価項目:[主要評価項目]OS、PFS[副次評価項目]客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、健康関連QOL、安全性 主な結果は以下のとおり。・PD-L1≧50%のITT解析対象はcemiplimab群283例、併用化学療法群280例であった。・併用化学療法群でPDとなった患者の73.9%がcemiplimabにクロスオーバーした。・OS中央値はcemiplimab群が22.1ヵ月、併用化学療法群が14.3ヵ月で、cemiplimab群で有意な延長を認めた(HR:0.68、95%CI:0.53~0.87、p=0.002)であった。・PD-L1≧50%のOS中央値は、cemiplimab群が未到達、併用化学療法群が14.2ヵ月で、cemiplimabで有意な延長を認めた(HR:0.57、95%CI:0.42~0.77、p=0.0002)。・PFS中央値は、cemiplimab群6.2ヵ月、併用化学療法群が5.6ヵ月で、cemiplimab群で有意な延長を認めた(HR:0.59、95%CI:0.49~0.72、p<0.0001)。・PD-L1≧50%のPFS中央値は、cemiplimab群8.2ヵ月、併用化学療法群が5.7ヵ月で、cemiplimab群で有意な延長を認めた(HR:0.54、95%CI:0.43~0.68、p<0.0001)。・ORRはcemiplimab群36.5%、併用化学療法群20.6%で、cemiplimab群で有意に高率であった(p<0.0001)。・PD-L1≧50%のORRはcemiplimab群39.2%、併用化学療法群20.4%で、cemiplimab群で有意に高率であった(p<0.0001)。・DoR中央値はcemiplimab群21.0ヵ月、併用化学療法群が6.0ヵ月であった。・Grade3以上の有害事象発現率は、cemiplimab群が37.2%、併用化学療法群が48.5%であった。 今回の結果を受けてSezer氏は「私たちが得た結果はPD-L1≧50%の進行期NSCLCにおいて、cemiplimab単剤療法は新たな1次治療の選択肢になりうることを示している」と強調した。

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統合失調症とドパミン過感受性精神病に対する抗精神病薬補助療法~ROADS研究

 ドパミン過感受性精神病(DSP)は、抗精神病薬治療抵抗性統合失調症の発症に影響を及ぼす重要な因子である。千葉大学の新津 富央氏らは、統合失調症とDSPに対するブロナンセリン(BNS)とオランザピン(OLZ)による抗精神病薬補助療法の有効性および安全性について検討を行った。Asian Journal of Psychiatry誌オンライン版2020年8月31日号の報告。 本研究(ROADS研究)は、24週間の多施設ランダム化評価者盲検試験として実施した。統合失調症およびDSP患者を対象に、抗精神病薬治療の補助療法としてBNSとOLZを併用した際の有効性および安全性を検討した。主要アウトカムは、ベースラインから24週目までの陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)合計スコアの変化量とした。副次アウトカムは、PANSSサブスケールスコア、臨床全般印象度(CGI)、錐体外路症状評価尺度(ESRS)の変化量および抗精神病薬の用量の変化とした。対象患者61例は、BNS群(26例)とOLZ群(29例)に割り付けられた。 主な結果は以下のとおり。・PANSS合計スコアは、両群ともに減少し(BNS群:-14.8±24.0、p=0.0042、OLZ群:-10.5±12.9、p=0.0003)、両群間で有意な差は認められなかった(-4.3、95%CI:15.1~6.4、p=0.42)。・BNS群は4週目から有意な減少が認められ、OLZ群は8週目から有意な減少が認められた。・ESRSスコアはBNS群で減少し、他のスコアは両群ともに減少が認められた。・エンドポイント時における抗精神病薬単剤療法の割合は、BNS群で26.3%(6例)、OLZ群で23.8%(5例)であった。・併用した抗精神病薬の用量は両群ともに減少し、忍容性は良好であった。 著者らは「DSP患者に対する抗精神病薬補助療法として、BNSとOLZによる増強療法は選択肢となりうる。とくに、BNSは比較的早く治療反応が得られており、DSP治療に有用である可能性が示唆された」としている。

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