未治療AML、アザシチジン+ベネトクラクス併用でOS延長/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2020/08/21

 

 強力な化学療法が適応とならない未治療の急性骨髄性白血病(AML)患者において、アザシチジン+ベネトクラクス併用療法はアザシチジン単独投与と比較して、発熱性好中球減少症の発現率は高かったものの、全生存期間および寛解率の有意な改善を達成したことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのCourtney D. DiNardo氏らによる多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「VIALE-A試験」で明らかとなった。高齢のAML患者は、メチル化阻害剤による治療でも予後不良であり、第Ib相試験においてアザシチジン+ベネトクラクス併用療法の有効性が示唆されていた。NEJM誌2020年8月13日号掲載の報告。

未治療の高齢AML患者約430例で有効性と安全性を単独投与と比較

 研究グループは、併存疾患を有する、または75歳以上のため、標準的な寛解導入療法の適応とならない未治療のAML患者431例を、アザシチジン+ベネトクラクス併用療法(ベネトクラクス群)またはアザシチジン+プラセボ(プラセボ群)に2対1の割合で無作為に割り付けた。アザシチジンは標準的な用法・用量で投与し(28日を1サイクルとし1日目~7日目に75mg/m2を皮下投与または静脈内投与)、ベネトクラクス(目標用量400mg)またはプラセボは1サイクル28日で1日1回経口投与した。

 主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目は複合完全寛解(完全寛解+好中球数または血小板数の回復が不完全な完全寛解)、完全寛解などであった。

ベネトクラクス併用療法はアザシチジン単独投与よりOSを約5ヵ月延長

 2017年2月6日~2019年5月31日の間に、27ヵ国134施設において579例がスクリーニングされ、433例が無作為化された。intention-to-treat集団には、431例が組み込まれた(ベネトクラクス群286例、プラセボ群145例)。両群の年齢中央値は76歳であった(範囲:49~91歳)。

 追跡期間中央値20.5ヵ月において、OS中央値はベネトクラクス群14.7ヵ月(95%信頼区間[CI]:11.9~18.7)、プラセボ群9.6ヵ月(7.4~12.7)で、死亡のハザード比は0.66(95%CI:0.52~0.85、p<0.001)であった。

 完全寛解率は、ベネトクラクス群がプラセボ群より高く(36.7% vs.17.9%、p<0.001)、複合完全寛解も同様の結果であった(66.4% vs.28.3%、p<0.001)。

 主な有害事象は、全グレードの悪心(ベネトクラクス群44%、プラセボ群35%)、ならびにGrade3以上の血小板減少症(それぞれ45%、38%)、好中球減少症(42%、28%)、発熱性好中球減少症(42%、19%)であった。全グレードの感染症は、ベネトクラクス群で85%、プラセボ群で67%に認められた。

 重篤な有害事象の発現率は、それぞれ83%および73%であった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)