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事例012 腫瘍マーカーの査定【斬らレセプト シーズン2】

解説事例では、膵がんの疑いで行った腫瘍マーカーが査定となりました。診療報酬における「D009 腫瘍マーカーの算定」は、診療および他の検査の結果から悪性腫瘍であることが強く疑われる場合に認められるとされています。言い換えると、強く疑ったことがレセプトから判定ができるように根拠を記載しなければならないと表現されていると解しています。事例では、症状などの補記や他の検査もなく、なぜ強く疑ったかの根拠が明確でないことが査定の理由と考えられます。今後の対応としては、「触診にて病名部位に大きな腫瘤を認めた」、「他院の診療情報提供書内容から強く疑った」などを摘要欄に補記することにしました。また、悪性腫瘍が強く疑われる患者に対して検査を行った場合には、「悪性腫瘍の診断確定又は疑いの転帰の決定までの間に1回を限度とする」とも規定されてることから、疑い病名での連月算定や同一腫瘍マーカーの3月以内の算定は査定対象とされているようです。悪性腫瘍の確定している患者に腫瘍マーカーを行い、その結果に基づいて計画的な治療管理を行った場合には、「B001 3 悪性腫瘍特異物質治療管理料」が算定できることも憶えておいてください。

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PD-L1高発現NSCLC1次治療、抗PD-1抗体cemiplimab vs.化学療法(EMPOWER-Lung1)/ESMO2020

 トルコ・Baskent大学のAhmet Sezer氏は、未治療でPD-L1発現率が50%以上の進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する抗PD-1抗体cemiplimabとプラチナダブレット化学療法を比較した無作為化非盲検第III相EMPOWER-Lung1試験の2回目の中間解析の結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で発表。cemiplimabは併用化学療法に比べ、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したと報告した。・対象:PD-L1≧50%で未治療のStage3B/C、4のNSCLC(扁平上皮・非扁平上皮含む、安定している既治療のCNS転移含む)・試験群:cemiplimab 350mg 3週ごとを病勢進行または108週間まで投与(cemiplimab群)・対照群:プラチナダブレット化学療法 4~6サイクル(併用化学療法群)・評価項目:[主要評価項目]OS、PFS[副次評価項目]客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、健康関連QOL、安全性 主な結果は以下のとおり。・PD-L1≧50%のITT解析対象はcemiplimab群283例、併用化学療法群280例であった。・併用化学療法群でPDとなった患者の73.9%がcemiplimabにクロスオーバーした。・OS中央値はcemiplimab群が22.1ヵ月、併用化学療法群が14.3ヵ月で、cemiplimab群で有意な延長を認めた(HR:0.68、95%CI:0.53~0.87、p=0.002)であった。・PD-L1≧50%のOS中央値は、cemiplimab群が未到達、併用化学療法群が14.2ヵ月で、cemiplimabで有意な延長を認めた(HR:0.57、95%CI:0.42~0.77、p=0.0002)。・PFS中央値は、cemiplimab群6.2ヵ月、併用化学療法群が5.6ヵ月で、cemiplimab群で有意な延長を認めた(HR:0.59、95%CI:0.49~0.72、p<0.0001)。・PD-L1≧50%のPFS中央値は、cemiplimab群8.2ヵ月、併用化学療法群が5.7ヵ月で、cemiplimab群で有意な延長を認めた(HR:0.54、95%CI:0.43~0.68、p<0.0001)。・ORRはcemiplimab群36.5%、併用化学療法群20.6%で、cemiplimab群で有意に高率であった(p<0.0001)。・PD-L1≧50%のORRはcemiplimab群39.2%、併用化学療法群20.4%で、cemiplimab群で有意に高率であった(p<0.0001)。・DoR中央値はcemiplimab群21.0ヵ月、併用化学療法群が6.0ヵ月であった。・Grade3以上の有害事象発現率は、cemiplimab群が37.2%、併用化学療法群が48.5%であった。 今回の結果を受けてSezer氏は「私たちが得た結果はPD-L1≧50%の進行期NSCLCにおいて、cemiplimab単剤療法は新たな1次治療の選択肢になりうることを示している」と強調した。

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統合失調症とドパミン過感受性精神病に対する抗精神病薬補助療法~ROADS研究

 ドパミン過感受性精神病(DSP)は、抗精神病薬治療抵抗性統合失調症の発症に影響を及ぼす重要な因子である。千葉大学の新津 富央氏らは、統合失調症とDSPに対するブロナンセリン(BNS)とオランザピン(OLZ)による抗精神病薬補助療法の有効性および安全性について検討を行った。Asian Journal of Psychiatry誌オンライン版2020年8月31日号の報告。 本研究(ROADS研究)は、24週間の多施設ランダム化評価者盲検試験として実施した。統合失調症およびDSP患者を対象に、抗精神病薬治療の補助療法としてBNSとOLZを併用した際の有効性および安全性を検討した。主要アウトカムは、ベースラインから24週目までの陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)合計スコアの変化量とした。副次アウトカムは、PANSSサブスケールスコア、臨床全般印象度(CGI)、錐体外路症状評価尺度(ESRS)の変化量および抗精神病薬の用量の変化とした。対象患者61例は、BNS群(26例)とOLZ群(29例)に割り付けられた。 主な結果は以下のとおり。・PANSS合計スコアは、両群ともに減少し(BNS群:-14.8±24.0、p=0.0042、OLZ群:-10.5±12.9、p=0.0003)、両群間で有意な差は認められなかった(-4.3、95%CI:15.1~6.4、p=0.42)。・BNS群は4週目から有意な減少が認められ、OLZ群は8週目から有意な減少が認められた。・ESRSスコアはBNS群で減少し、他のスコアは両群ともに減少が認められた。・エンドポイント時における抗精神病薬単剤療法の割合は、BNS群で26.3%(6例)、OLZ群で23.8%(5例)であった。・併用した抗精神病薬の用量は両群ともに減少し、忍容性は良好であった。 著者らは「DSP患者に対する抗精神病薬補助療法として、BNSとOLZによる増強療法は選択肢となりうる。とくに、BNSは比較的早く治療反応が得られており、DSP治療に有用である可能性が示唆された」としている。

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発熱外来設置の注意点と補助金を整理/日本医師会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と季節性インフルエンザの同時流行に備え、厚生労働省では発熱外来設置の医療機関に対して補助金による支援事業を実施する。しかしその仕組みが非常に複雑であり、日本医師会では10月14日、定例記者会見で発熱外来設置の考え方と厚生労働省の補助金の概要について事例を交えて解説した。発熱外来診療体制確保支援補助金の注意点 厚生労働省は9月15日、インフルエンザ流行期における発熱外来診療体制確保支援補助金の交付について、通知1)を発出した。発熱患者の診療を担う医療機関は、厚生労働省に申請書を提出し、各都道府県から「診療・検査医療機関(仮称)」の指定を受ける2)。 中川 俊男会長は、医療機関側が診療を行うかどうかを検討する際の考え方、厚生労働省の補助金支給と「診療・検査医療機関」指定を受ける際の注意点について、以下のように解説した。 各医療機関においては、まず(1)発熱患者の診療を担うかどうか、(2)インフルエンザの検査、(3)新型コロナウイルスの検査についてどのように対応するか、下記の点を踏まえて検討いただきたい。ただし、(1)(2)(3)すべてが求められるわけではなく、それぞれ可能な内容を選択して協力をお願いしたい:・動線を分離するほか、1日のうちあらかじめ時間を設定し(時間的動線分離)発熱患者の受入れをすることも可能・動線を分離し、発熱患者等専用の診察室を設ける場合は、プレハブ・簡易テント・駐車場等で診療する場合を含む・従来通り臨床診断に基づく抗インフルエンザ薬の処方が可能・感染リスクの低減を図るため、1)インフルエンザ抗原検査の検体として、鼻かみ液が利用可能なキットを選択すること、2)新型コロナ抗原迅速検査の検体として鼻腔(鼻前庭)ぬぐい液の自己採取(発症2日から9日)によることも可能(厚生労働省による採取方法の動画制作中)・発熱したかかりつけ患者のみに対応することの表明も可能・「診療・検査医療機関」に指定されたことの公表は、医療機関から希望のあった場合であって、かつ都道府県と地域医師会との協議と合意の上で行う・公表の有無により後述の補助金支給額に差異は生じない・発熱患者に対応する日にち・時間設定により、診療日・診療時間の変更届の提出は必要ない 検討の結果、発熱患者に対する時間的・空間的動線分離が可能な時間帯を設定することができると判断した場合、自院の検査に対する対応を決めた上で、その内容に沿って「診療・検査医療機関(仮称)」として地域医師会等を通じて手を挙げ、都道府県による指定を受ける形となる。 なお、別の診察室などを設ける方法(空間的分離)がとれず、時間で区切る(時間的分離)場合には、感染防止の観点から、その時間には、原則発熱患者のみ診察する。そのため、かかりつけの患者等に対しては、院内掲示や文書等により、あらかじめ一般外来の時間および発熱外来時間を案内する。発熱外来の開設時間・実際の患者数に応じて、補助金は設定されている 発熱外来診療体制確保支援補助金は、受け入れ体制を整備し厚生労働省の「診療・検査医療機関」指定を受けたにもかかわらず、想定した人数が受診しなかった場合のセーフティーネットとして設定され、受診者が想定を上回れば、その収入は診療報酬でまかなわれるとの考えに基づく:・発熱外来時間帯中の実際の患者数分は、診療報酬を算定できる。・発熱外来時間の長さに応じて、1時間2.9人~7時間20人まで、時間ごとの補助上限患者数(基準発熱患者数)が定められている(参考資料3)6ページ)。・実際の患者数が基準発熱患者数未満だった場合に、「(基準発熱患者数-実際の患者数)×13,447円」が補助される。・1ヵ月間1人も受診者が見られなかった場合には、補助額が1/2に減額される。・通常の診療日・診療時間以外に発熱外来時間を別に設定した場合も、診療日や診療時間の変更届出の必要はない。発熱外来の補助金は時間的分離と空間的分離、医師の数でどう変わる? 釜萢 敏常任理事は「今回の補助金は空床確保の考え方と同じ位置付け」とし、発熱外来診療体制確保支援補助金は複雑な仕組みだが、理解と利用が広まることで、各地域での発熱患者への対応が十分なものとなることに期待感を示した。一般的な内科で考えられるケースとしていくつかのパターンを例示し、補助の仕組みについて解説した。[例1]これまで1日7時間診療していたうち、5時間をこれまで同様に診療する一般外来時間とし、2時間を発熱外来時間とした場合:・2時間の間に実際に発熱患者を2名診療 2時間分の発熱外来収入「発熱患者2人の診療報酬+2時間の基準発熱患者(5.7人)からの差し引き3.7人分の補助金=80,734円(診療報酬は一例として算出。詳細は参考資料3))」+5時間分の一般外来収入・2時間の間に発熱患者は0名(受診なし) 2時間分の発熱外来収入「2時間の基準発熱患者5.7人分の補助金=76,648円」+5時間分の一般外来収入・2時間の間に発熱患者は0名、発熱以外の一般外来患者を2名診療 発熱外来2時間の間にやむを得ずかかりつけの一般外来の患者2人が受診した場合、診察は可能だが、この場合も2時間分の基準発熱患者5.7人から2人を差し引いた3.7人分の補助になる。 2時間分の発熱外来収入「発熱外来で診た一般患者2人の診療報酬+基準発熱患者からの差し引き3.7人分の補助金=59,534円」+5時間分の一般外来収入[例2]医師1人の診療所で、1日7時間、一般外来と発熱外来を別々の診察室にして同一の医師が診療する(空間的分離)場合:・発熱外来の発熱患者10名、別の診察室の一般外来患者10名 7時間分の発熱外来収入「発熱患者10人の診療報酬+7時間の基準発熱患者数(20人)から発熱患者数(10人)+一般外来患者数(10人×1/2=5人)を差し引いた5人分(20-[10+5])の補助金=222,135円」+7時間分の一般外来収入※補助金算出において一般外来患者数は×1/2とする[例3]医師2人の診療所で、1日7時間、1人が診察室Aで発熱外来のみ、もう1人が診察室Bで一般外来のみ診察する場合:・発熱外来の発熱患者0名 7時間分の発熱外来収入「7時間の基準発熱患者20人分の補助金=268,940円」+7時間分の一般外来収入※医師1人に対して独立してカウントされ、診察室Bの一般外来患者数にかかわらず、診察室Aでの患者数に応じて補助金が算出される※なお、発熱患者を担当する診察室Aの医師が、診察室Bの医師不在時に診察室Bで一般外来を行った場合は、例2と同じ取扱いになる

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血漿ACE2濃度上昇が心血管イベントリスク増大と関連/Lancet

 血漿アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)濃度の上昇は主要な心血管イベントのリスク増大と関連することが、カナダ・マックマスター大学のSukrit Narula氏らによる「Prospective Urban Rural Epidemiology(PURE)研究」において示された。ACE2は、レニン-アンジオテンシン系ホルモンカスケードの内因性の拮抗的調節因子であり、循環血中のACE2活性と濃度の上昇は、さまざまな心血管疾患を持つ患者の予後不良マーカーとなる可能性が示唆されていた。Lancet誌2020年10月3日号掲載の報告。5大陸14ヵ国のデータを用いたケースコホート研究 研究グループは、血漿ACE2濃度と、死亡および心血管疾患イベントのリスクとの関連を検証する目的で、PURE研究のデータを用いてケースコホート研究を行った(カナダ保健研究機構[CIHR]などの助成による)。 PURE研究の参加者のうち、5大陸(アフリカ、アジア、欧州、北米、南米)の14ヵ国のデータを用いた。血漿ACE2濃度を測定し、血漿ACE2値の潜在的な決定因子とともに、ACE2と心血管疾患イベントの関連を評価した。 2005年1月~2006年12月の期間にPURE研究に登録された集団のうち、1万753人が解析に含まれた。フォローアップ期間中央値は9.42年(IQR:8.74~10.48)であった。男性、東アジア、高BMIで高値、死亡の最も優れた予測因子の可能性 相対的重要度の最も高い血漿ACE2値の決定因子は性別で、次いで地理的家系、BMI、糖尿病、年齢、収縮期血圧、喫煙、LDLコレステロール値の順であった。男性は女性よりも血漿ACE2値が高く、血漿ACE2濃度は地理的家系によって大きく異なっていた(南アジアが最も低く、東アジアが最も高い)。高BMI、糖尿病、高齢、高血圧、高LDLコレステロール、喫煙は、すべて血漿ACE2値の上昇と関連していた。 臨床的リスク因子と血漿ACE2値の関連の因果関係を検討したところ、遺伝学的に高BMIと2型糖尿病は血漿ACE2の高値と関連したが、高LDLコレステロール、高収縮期血圧、喫煙には関連を認めなかった。 血漿ACE2濃度の上昇は、死亡リスクの増加と関連し(1SD増加ごとのハザード比[HR]:1.35、95%信頼区間[CI]:1.29~1.43)、同様の関連が心血管死(1.40、1.27~1.54)および非心血管死(1.34、1.27~1.43)にも認められた。 また、血漿ACE2濃度は、初発の心不全(1SD増加ごとのHR:1.27、95%CI:1.10~1.46)、心筋梗塞(1.23、1.13~1.33)、脳卒中(1.21、1.10~1.32)、糖尿病(1.44、1.36~1.52)と関連し、これらの結果には年齢、性別、家系、従来の心臓リスク因子とは独立の関係が認められた。脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)を加えて補正しても、新規心不全イベントを除き、ACE2値と臨床的エンドポイント(死亡を含む)との独立の関係には頑健性が保持されていた。 ACE2と臨床的リスク因子(糖尿病、BMI、喫煙、非HDLコレステロール、収縮期血圧)の死亡や心血管疾患への影響を解析(臨床的リスク因子、年齢、性別、家系で補正)したところ、ACE2は全死亡(p<0.0001)、心血管死(p<0.0001)、非心血管死(p<0.0001)の最も優れた予測因子であり、心筋梗塞(p<0.0001)では喫煙、糖尿病に次ぐ3番目(非HDLコレステロールとほぼ同等)、心不全(p=0.0032)および脳卒中(p=0.0010)では収縮期血圧、糖尿病に次ぐ3番目に強固な予測因子であった。 著者は、「このようなレニン-アンジオテンシン系の影響を理解して調節することで、心血管疾患の発生を抑制する新たなアプローチがもたらされる可能性がある」としている。

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五十肩の手術治療、理学療法に対する優越性示せず/Lancet

 凍結肩(frozen shoulder[五十肩]=adhesive capsulitis[癒着性関節包炎])の治療において、麻酔下肩関節授動術(manipulation under anaesthesia:MUA)、鏡視下関節包切離術(arthroscopic capsular release:ACR)および早期構造化理学療法(early structured physiotherapy:ESP)はいずれも、1年後の患者報告による肩の痛みや機能を大きく改善するが、これら3つの治療法に、臨床的に明確な優越性を示す差はないことが、英国・ヨーク大学のAmar Rangan氏らが実施した「UK FROST試験」で明らかとなった。研究の詳細は、Lancet誌2020年10月3日号に掲載された。MUAおよびACRによる外科的介入は、高価で侵襲的な治療であるが、その実臨床における効果は明確でないという。また、ESPは、英国のガイドラインの推奨や肩専門理学療法士によるエビデンスに基づいて、本研究のために開発された関節内ステロイド注射を含む非外科的介入で、外科的介入よりも迅速に施行可能であることからこの名で呼ばれる。3群を比較する実践的無作為化試験 研究グループは、英国のセカンダリケアでの原発性凍結肩の治療において、2つの外科的介入と、非外科的介入としてのステロイド注射を含むESPの有効性を比較する目的で、実践的な無作為化優越性試験を行った(英国国立健康研究所医療技術評価計画の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、患側の肩の他動的外旋が健側肩の50%未満に制限されることで特徴付けられる片側性凍結肩の臨床診断を受けた患者であった。被験者は、MUA、ACR、ESPのいずれかを受ける群に、2対2対1の割合で無作為に割り付けられた。 MUAでは、全身麻酔下に外科医が拘縮した関節包を伸張・切離し、術中に関節内ステロイド注射が行われた。ACRでは、全身麻酔下に外科医が腱板疎部(rotator interval)で、拘縮した前方関節包を分離したのち、麻酔下にマニピュレーションを行って最適な関節包切離を実施し、外科医の裁量で随意的にステロイド注射が施行された。これら2つの外科的介入後には、術後理学療法が行われた。また、ESPでは、理学療法開始前の最も早い時期に、参加施設の通常治療に基づき関節内ステロイド注射(画像ガイドの有無は問わない)が行われ、疼痛管理法、モビライゼーション手技、段階的な自宅での運動プログラムが実施された。ESPの理学療法と術後理学療法は、最長12週間で12回行われた。 主要アウトカムは、割り付けから12ヵ月後のオックスフォード肩スコア(OSS、12項目の患者報告アウトカム、0~48点、点数が高いほど肩の疼痛と機能が良好)とした。2つの外科的治療とESPでOSSの5点の差(臨床的に意義のある最小差)、または2つの外科的治療間の4点の差を目標に検討を行った。有意差はあるが、臨床的に意義のある最小差は達成できず 2015年4月~2017年12月の期間に、英国の35病院で参加者の募集が行われ、503例が登録された。MUA群に201例(年齢中央値54歳[IQR:54~60]、女性64%)、ACR群に203例(54歳[54~59]、62%)、ESP群には99例(53歳[53~60]、65%)が割り付けられた。 12ヵ月の時点で、多くの患者でほぼ完全に肩の機能が改善し、全体のOSS中央値はベースラインの20点から43点に上昇した。 12ヵ月の時点で、OSSのデータはMUA群が189例(94%)、ACR群が191例(94%)、ESP群は93例(94%)で得られた。平均OSS推定値は、MUA群が38.3点(95%信頼区間[CI]:36.9~39.7)、ACR群が40.3点(38.9~41.7)、ESP群は37.2点(35.3~39.2)であった。 ACR群は、MUA群(平均群間差:2.01点、95%CI:0.10~3.91、p=0.039)およびESP群(3.06点、0.71~5.41、p=0.011)と比較して、OSSが有意に高かった。また、MUA群はESP群よりもOSSが高かった(1.05点、-1.28~3.39、p=0.38)。臨床的に意義のある最小差(4~5点)は達成されなかった。 一方、3ヵ月の時点での平均OSS値は、ACR群がMUA群(26.9点vs.30.2点、平均群間差:-3.36点、95%CI:-5.27~-1.45、p=0.0006)およびESP群(26.9点vs.31.6点、-4.72点、-7.06~-2.39、p<0.0001)よりも不良であった。同様のパターンが、上肢障害評価票(Quick DASH)や疼痛評価尺度(Numeric Rating Scale)でも認められ、ACR群は3ヵ月の時点ではMUA群やESP群よりも劣っていたが、12ヵ月後には有意に良好であった。 重篤な有害事象が9例で10件(2%、ACR群8件、MUA群2件)、重篤でない有害事象は31例で33件(ACR群13件、MUA群15件、ESP群5件)報告された。また、1質調整生存年(QALY)当たりの支払い意思額(willingness-to-pay)の閾値を2万ポンドとした場合に、費用対効果が最も優れる確率はMUA群が0.8632と、ESP群の0.1366およびACR群の0.0002に比べて高かった。 著者は、「これらの知見は、臨床医にとって、共同意思決定(shared decision making)において患者と治療選択肢について話し合う際に有用と考えられる。また、外科医には、より安価で侵襲性の低い介入が失敗した場合に、関節包切離術を行うことが推奨される」としている。

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EGFR陽性肺がんに対するamivantamab+lazertinibの成績(CHRYSALIS)/ESMO2020

 韓国・延世がんセンターのByoung Chul Cho氏は進行期EGFR変異陽性NSCLCに対するEGFRとMETの二重特異性抗体amivantamab(開発コード:JNJ-61186372)と第3世代EGFR-TKIであるlazertinibの併用療法の第I相CHRYSALIS試験の結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で発表。この併用療法は安全性が高く、EGFR-TKIオシメルチニブによる再発した患者にも有効であると報告した。amivantamabとlazertinib併用療法の未治療群でのORRは100% amivantamabはEGFRとMETを標的とする完全ヒト二重特異性抗体で、米FDAからEGFR陽性NSCLCのexon20挿入変異に対するブレークスルーセラピー指定を受けており、lazertinibは第1/2世代EGFR-TKIの獲得耐性であるT790Mへも有効であることが報告されている。CHRYSALIS試験は漸増コホートと拡大コホートの2つから構成されている。・対象:転移を有するEGFR変異陽性NSCLC(exon19delまたはL858R)・介入:[用量漸増コホート]amivantamab(700mg/1,050mgから1,050/1,400mgへ増量)+lazertinib 240mg/日 用量漸増パートの結果から、amivantamabの第II相推奨用量を1,050mg(80kg未満)および1,400mg(80kg以上)、lazertinibは240mgと決定。[拡大コホート]オシメルチニブ耐性・化学療法未治療群(45例)、未治療群(20例)に上記推奨用量を投与 amivantamabとlazertinibの併用療法を検証した主な結果は以下のとおり。・用量制限毒性はなかった。・Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)発現率は11%。どちらかあるいは両剤の治療中止に至ったTRAEは6%であった。・オシメルチニブ耐性・化学療法未治療患者群での客観的奏効率(ORR)は36%、臨床有効率は60%であった。・未治療群でのORRは100%で、全員が部分奏効であった。・未治療群の奏効期間中央値は未達(NE)であった。 Cho氏は「amivantamabとlazertinib併用療法は安全性が高く、進行EGFR陽性NSCLCに対して効果的である」との見解を示した。また、現在オシメルチニブ・化学療法抵抗性のEGFR陽性NSCLCを対象とした第II相試験「CHRYSALIS-2試験」、EGFR陽性NSCLCに対する1次治療としてこのamivantamabとlazertinib併用療法とオシメルチニブ単独療法、lazertinib単独療法の3群比較を行う第III相試験「MARIPOSA試験」がスタートしたことを明らかにした。

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経口DPP-1阻害薬による気管支拡張症の増悪抑制について(解説:小林英夫氏)-1298

 本論文は気管支拡張症への経口DPP-1(dipeptidyl peptidase 1)阻害薬であるbrensocatib投与により、喀痰中好中球エラスターゼ活性のベースライン低下や臨床アウトカム(増悪)改善が得られたとする第II相試験結果である。DPP-4阻害薬なら糖尿病治療薬として市販されており耳なじみもあろうが、DPP-1阻害薬となると情報が少ないのではないだろうか。詳細説明は割愛するが、好中球エラスターゼなどの好中球セリンプロテアーゼ活性に関与する酵素(DPP-1)を阻害することで、喀痰中の酵素量や活性を低下させえるとのことである。いずれにしろ今後の第III相試験結果を待ちたい。 さて、なぜに昔の疾患と思われている気管支拡張症の検討なのであろうか。まず、気管支拡張症とは疾患名としてよりも、気管支が拡張しているという形態診断名であり、1980年代まではいまや消滅した気管支造影検査によって診断されていた。現在は高分解能CTによって気管支径が併走する肺動脈径の100%以上に拡大しているときに診断される。原因としては、先天性、肺疾患罹患後、免疫不全、アレルギー性疾患などと多岐にわたるが、原因不明(特発性)が最多とされる。気管支拡張症が一時期忘れられていた理由の一部として、筆者はびまん性汎細気管支炎(DPB)へのマクロライド療法の関与を想定する。DPBでは中葉・舌区を中心に気管支拡張合併が通常であり、さらに1980年代にはびまん性気管支拡張の大半はDPB由来ではないかとの本邦論文も発表されている。そのDPBは日本発のマクロライド療法により著減し、最近では希少疾患になろうとしていることから、気管支拡張症も追随して減少したのではと思っていた。 ところが近年、軽症例を含めると、想像以上に多数の潜在症例が埋もれているのではないかと欧米から報告され、気管支拡張症の国際的ガイドラインが刊行されている(Polverino E, et al. Eur Respir J. 2007;50:1700629.)。加えてmicrobiome(体内常在細菌叢とその遺伝情報)が多彩な慢性炎症性疾患の成立に関与しているのではないかという世界的関心の中、気管支拡張症も気道に存在するmicrobiomeが要因の1つではないかと推定されている。健康人の気道からは細菌は検出されないと教えられた世代にとって驚きの知見である。加えて、急増する非結核性抗酸菌症や、関節リウマチなどの免疫性炎症性疾患による気管支拡張症も呼吸器領域では注目の病態である。日本での罹患頻度の統計はないが、関節リウマチを母集団とすると30%もの合併があるという報告も見られ、新たな方法論の発展により気管支拡張症が見直されつつある。

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N95マスク内の温度と湿度【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第173回

N95マスク内の温度と湿度pixabayより使用COVID-19の最前線に立っている医療従事者の多くは、N95マスクを装着していると思います。N95マスクの欠点は、とくにアヒル型のマスクの場合、化粧が取れてしまうことです。女性にとっても結構厄介なマスクなのです。外した時にファンデーションがたくさん付いていても、男性は指摘したらダメですよ!そういうのもセクハラになりますからね。そんなN95マスクを、サージカルマスクと比較した珍しい論文があります。Li Y, et al.Effects of wearing N95 and surgical facemasks on heart rate, thermal stress and subjective sensationsInt Arch Occup Environ Health . 2005 Jul;78(6):501-9.この研究は、5人の健康な男性と5人の健康な女性の参加者が、気温25度、相対湿度70%に制御された空調室でマスクを着けてトレッドミルを行うという実験です。マスクは、サージカルマスクとN95マスクの両方を試しました。さぁ、結果はどうだったでしょうか。ええ、予想通りの結果です。N95マスクは通気性が悪く、呼吸抵抗も強いため、サージカルマスクに比べて、心拍数が10%ほど上昇し、マスク内の温度は平均で1℃高く、マスク内湿度も平均10%ほど上昇することがわかりました。とても快適とは言えないマスクですね。街中でサージカルマスクを着けて歩いている人が多いと思いますが、まれに気温40℃の灼熱地獄の中、N95マスクをガチで装着している人がいて、あれはさすがに熱中症リスクが高いんじゃないかと不安になります。厚労省もすでに外で安易にマスクを装着しないよう推奨を出していますが、密でないところでは、マスクが気軽に外せる時代が来てほしいものです。

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第28回 医薬分業批判で問われる薬剤師の反論姿勢

先週はドラマ化された漫画「アンサング・シンデレラ」をフックに薬剤師について触れたが、奇しくも記事公開日に私は久しぶりに飛行機に乗り、第53回日本薬剤師会学術大会の取材のため札幌に出張した。コロナ禍の最中ということもあり、リアルの会場とweb配信のハイブリッド方式。同大会は毎年厚生労働省(厚労省)の複数の幹部が講演することが慣例だ。今回はそのうちの一人として薬系技官の頂点にいる山本史・厚労省大臣官房審議官(医薬担当)が「薬機法改正における薬局への期待」と題して講演した。その中で山本氏は現在の保険調剤薬局の在り方について「点数を付けたことしかやらない」とかなり辛辣な一言を放った。実は医薬分業とその最前線にいる保険調剤薬局についてかなり厳しい指摘をする俗称「分業バッシング」は主に2つの方面から聞こえてくる。ちなみに念のため言葉の定義を明らかにしておくと、バッシングとは特定の個人や組織・集団に対する過剰あるいは根拠のない批判を指す。おおむね「分業バッシング」は過剰な批判と捉えていいだろう。その2つの方面だが、1つは日本医師会(日医)である。昨今の出来事で言えば、2014年に日医会長に当選した横倉 義武氏(前会長)が就任早々、「医薬分業が国民のためになったのか、よく考えないといけない」と発言。その後、2017年に厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会でスタートした薬機法改正議論では、日医・横倉執行部で当時副会長の地位にあり、今年6月から会長に就任した中川 俊男氏が激しい分業批判を展開した。端的に言えば、病院薬剤部と院外の保険調剤薬局で技術的な差は少ないにもかかわらず、分業の中心を担う保険調剤薬局に対する調剤報酬が高すぎるという指摘である。そしてもう1つの方面は冒頭で紹介した山本審議官のような厚労省の中の人、よりスペシフィックに言えば薬局薬剤師にとって「身内」とも言える薬系技官である。たとえば、前述の厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会で中川氏が分業批判を展開した際は、薬機法改正で薬剤師が患者の服薬期間中、つまり薬を渡した後の薬学的管理を法律上で明文化しようという議論が進んでいた。中川氏はこれに疑問を呈した。要は明文化するまでもなくやるべき業務であり、法律条文に書き込むのは違和感があるという主張だ。これに対し、同部会で薬系技官でもある厚労省監視指導・麻薬対策課長(現・日本薬剤師会専務理事)の磯部 総一郎氏は「本来、これは先生がおっしゃるように、薬剤師の意識でこういうものは当然やっていくものだと私は思います。ただ、なかなかうまく改革がいかないということで…」と薬剤師に批判的な視座を示している。また、2014年以降の日医方面からのバッシングが始まってからは、薬剤師が中心となる学会で講演する薬系技官は人が変われど「分業を支持するエビデンスの構築を」と繰り返し訴えている。これは激励にも受け止められるが、裏を返せば「十分にやれていない」という批判とも解釈できる。実際、私もある薬系技官から「今の状況では医薬分業に反対する人たちを説得できるに十分なデータがない」とぼやきを聞かされたことがある。ちなみにこれに加えて、私などもそのクラスターに入る医療系専門メディアも、バッシングする側の見解を頻繁に報じるという観点から、同じ穴のムジナ的に薬剤師の方々からは捉えられることがある。その意味では3方面からのバッシングであるという見方もある。医薬分業批判その1:薬剤師の本気が見えないとはいえ、医療専門メディアも含めた3方面が同じ視座で「分業バッシング」を行っているかと言えば、そうではない。やや雑駁に言えば日医の立脚点は社会保障費の中で医科診療報酬と調剤報酬をどう配分するかの陣取り合戦、下世話に言えば「俺の財布により多く」である。これに対し、そもそも医薬分業を調剤報酬で誘導してきた側の核にいる厚労省の薬系技官は「可愛さ余って憎さ百倍」あるいは「近親憎悪」ともいうべきもの。医薬分業を推進したい、あるいは薬剤師の地位向上を目指したいと思っているのに薬剤師業界全体としてはその期待値に応えていないという類のものだ。そして医療専門メディアの視座もこの厚労省薬系技官とほぼ同様と言っていいだろう。実際、私個人に関してもそうした思いはある。ちなみに中川氏が分業批判を展開した制度部会では、中川氏並に辛辣な意見を展開した委員がいる。患者団体・認定NPO法人 ささえあい医療人権センターCOML(コムル)・理事長の山口 育子氏である。中川氏が分業批判を展開する中で、日本薬剤師会(日薬)から参加していた委員である同会副会長(当時)の乾 英夫氏が、一元的な薬剤管理といったかかりつけ機能としての薬局・薬剤師のメリットを強調した際、山口氏は次のような意見を表明した。「乾委員がおっしゃったことは、かかりつけ薬剤師・薬局の機能がうまくいった場合には効果があると思いますが、その一方で、機能を果たせていない薬局が多いことが問題であり、医薬分業はかなり瀬戸際に来ているのではないかと感じています」こうした山口氏の意見もおおむね薬系技官や医療専門メディアが薬剤師業界を見る目と似ている。もっと平たく言えば、これらの人たちは薬剤師が本気になればここまでこんなことができるはずという構想・理想がある中で、現状の業界平均値はそこからあまりにも乖離が大きすぎるという苛立ちを表現したものだともいえる。医薬分業批判その2:批判を無視する薬剤師会のスタンスこういった周囲の見方には、薬剤師の世界の中でも様さまざまな意見はあるだろう。そうした意見は、いくつか類型に集約することができるように感じているが、その個々に対して細かくどうこう言うつもりはない。ただ、昨今この界隈を見ていて思うことがある。それはいわゆる分業バッシングを「単なる医師会のポジショントークだから無視しておけばいい」との考えが薬剤師業界の中にそこそこに見受けられることへの懸念である。一見するとこのスタンスは「大人の対応」とも言えるし、まったく的外れな見方ではない。もっといえば薬剤師業界の総本部ともいえる日薬がこのスタンスである。しかし、この姿勢は一歩間違えれば取り返しのつかない事態を招く危険がある。そもそも前述の厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会では中川氏、山口氏といった分業批判の「急先鋒」だった委員以外にも有識者、患者団体、メディアから参加した委員が、医薬分業にとくにメリットを感じていないという「漠然とした不満感」が相次いで表明された。この状態は例えて言うと、4階建ての建物の1階でガス管からシューシューガスが漏れ(中川氏・山口氏による批判)、2~4階(有識者、患者団体、メディアから参加した委員)に徐々にガスが広がり始めている状態である。このまま時間が経過し、誰かが火種を近づければ一気に大爆発してしまう。実はこれは本格的なバッシングが起こる前夜の状況である。情報流通の側にいる自分はバッシングが起こる状況は人並み以上に理解しているつもりである。大概は多くの人が明快な言葉にしきれない漠然とした不満を抱いている状況に、それを表現する明快な言葉・エビデンスを投じた時がバッシングの起こる時である。では、そうした火種は薬剤師を巡る世界にあるのだろうか?私はそこそこにあると思っている。医薬分業批判その3:ヒヤリ・ハットすら点数ノルマ化薬剤師の方々は、日本医療機能評価機構が2009年からスタートさせた「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業」はご存じだろう。全国の薬局から事例を収集・分析して、広く薬局医療安全対策に有用な情報を共有するとともに、国民に対して情報を提供することを通じて、医療安全対策の一層の推進を図ることを目的とした事業だ。日薬を中心に各薬局に参加を呼び掛けたこの事業は、初年度の2009年の参加薬局は1774軒、報告されたヒヤリ・ハットは1460件。スタートから9年目の2017年の参加薬局は1万1400軒、報告されたヒヤリ・ハットは6084件だった。参加薬局は9年で6倍となったが、そもそも日本国内にある薬局軒数が約6万軒弱であることを考えればやや寂しい数字だ。ところが2018年には参加薬局数は一気に3倍近い3万3083軒、 2019年には3万8677 軒、ヒヤリ・ハットの報告数はそれぞれ7万9973件、14万4848件に増加した。何があったのか?単純で2018年4月の調剤報酬改定の際に地域医療に貢献する体制が有る薬局で算定できる「地域支援体制加算」の算定要件にこのヒヤリ・ハット報告が含まれるようになったからである。冒頭の山本氏の言葉を借りれば、「点数がつくからやった」のである。2019年実績から考えれば参加薬局1軒あたり年間4件弱のヒヤリ・ハット事例の報告があることになる。この数が多いかどうかはここでは評価するつもりはない。むしろ医療安全にとって極めて重要なヒヤリ・ハット情報を年4件弱報告することはお金をもらわねばやれないほど大変なことなのだろうか?ちなみに2018年からこの事業に参加した薬局・薬剤師の皆さんには敢えて次の一文を読んでもらいたい。「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする」言わずと知れた薬剤師法第一条である。2018年から参加した薬局・薬剤師は、私から言わせれば、夏休み終了数日前から慌てて白紙の宿題をやり始める学生のようなもの。そこに「公衆衛生の向上及び増進に寄与し」という姿勢はみじんも感じない。薬剤師は正しくも“勝つ”戦略を考えてほしいと、ここまでかなり厳しく書いた。では、もし日医による分業バッシングが一般にも静かに浸透していった時に、今書いたような実態を一般向けに柔らかくして報じたらどうなるだろう。それは幅広いバッシングにつながり、さらにそのバッシングの核になる主張に多少の間違い・誤解があっても、まるで事実のように広がって定着する「インフォデミック」が起きてしまう危険性が十分ある。こういう動きは一旦始まったら周囲ではほぼ止めようがなくなるのが最も怖いことなのである。ところがこうした懸念を伝えてもピンとこない薬剤師は意外に少なくない。私個人の印象では薬剤師は医師などと比べおとなし目の人が多い。しかし、現在言われている分業バッシング・批判が的外れな場合は、薬剤師も個人・組織の双方から即時に反論していく姿勢が必要だと考える。嫌な言い方だが、世では常に「相手の弱いところを見つけて攻撃する」慣習は消えない。これは私がもう一つの取材領域にしている国際紛争でもよく目にする。多くの場合、開戦に踏み切る側は相手の反撃能力が低いことを見越して攻撃に映る。残念ながら弱いと思われたら攻撃を受けるのである。それでもそれにじっと耐えきれば何らかの利益が得られるならば、それも良いかもしれない。しかし、現在のように将来的な社会保障費のひっ迫が見え、各当事者が財布の奪い合いをしている中では、もし前述のような大規模なバッシングにつながるようなことが起これば、弱いところが割を食うことになり、その面でおとなし目の薬剤師業界は長期的にはかなりの浸食を受ける恐れもある。それでも「目の前の患者さんに誠心誠意接していれば…」という人もいるかもしれない。それはそうだが、これまた嫌な言い方だが、世の中は「正しいことを行う者が常に勝つ」ともならないのが現実である。よりベストは「正しいことを行う者が正しい戦略で進めば勝つ」だが、実際には「ちょっと正当性に疑問符が付くが、正しい戦略で進んだ結果勝った」というケースはごまんとある。日本の戦国時代の歴史として語られる織田信長→豊臣秀吉→徳川家康という政権変遷も、ズバリ言ってしまえば血統・系統の正当性ではなく、戦略の正当性の結果である。その意味で繰り返しになるが、今の分業を巡る議論を俯瞰すると私は嫌な空気しか感じない。私が考える最悪の想定が外れることを願いたいが、こと薬剤師の皆さんにはこうした見方もあるのだということをちょっとは心に留めておいて欲しいと思う今日この頃である。

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初発統合失調症患者における自殺関連問題

 初回エピソード統合失調症(FES)患者における自殺念慮や自殺企図が神経認知機能と関連しているかについて、中国・Peking University HuiLongGuan Clinical Medical SchoolのYi Yin氏らが、検討を行った。Suicide & Life-Threatening Behavior誌オンライン版2020年9月19日号の報告。 本研究は、最低限の治療を行った中国人FES入院患者159例(年齢:27.1歳、女性の割合:52.2%)を対象とした横断研究である。対象患者の自殺歴は、問診とカルテより収集した。神経認知機能、精神病理学的症状、抑うつ症状の評価には、それぞれMATRICS認知機能評価バッテリー、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、カルガリー統合失調症用うつ病尺度を用いた。 主な結果は以下のとおり。・FES入院患者において、自殺企図の発生は約10%、自殺念慮の生涯発生は25%以上で認められた。・自殺企図または自殺念慮を有する患者は、過去に自殺関連問題のない入院患者と比較し、7つの神経認知領域全体でスコアが有意に悪かった。・線形回帰分析では、教育レベルで調整後、自殺企図は、主に作業記憶と処理速度のスコア低下と関連していることが示唆された。・精神病理学的症状および抑うつ症状でさらに制御した場合でも、関連性は強いままであった。 著者らは「自殺企図を有するFES患者では、特定の神経認知領域におけるより深刻な障害が認められた。自殺リスク評価後には、基本的な神経認知機能を評価、検出、治療する必要がある」としている。

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アバター活用など、がんチーム医療教育に新たな取り組み/J-TOP

 一般社団法人オンコロジー教育推進プロジェクトによるジャパンチームオンコロジープログラム(J-TOP) は、The 4th Team Science Oncology Workshopとして、従来3日間で行ってきたオンサイト・ワークショップを、オンラインに変更し、Part 1からPart 3までの3つの期間に分けて実施する。 がん医療で、専門分野に加え必要なスキル、リーダーとして求められる資質、患者満足度の高い医療を提供するためのチームの有機的な動きなどを学ぶ。日時および内容・Part 1:2020年11月21日(土)、22日(日)(AM 8:00〜)4時間程度ICE breaking skill、MBTI、コアバリューなどチーム医療において必要なスキルセットの知識習得。 加えて、項目ごとの小グループワーク。・Part 2:2021年1月23日(土)(AM 8:00〜)4時間程度チームが出来上がる過程、どの段階で何をしなければならないのかを”Tuckman model” の理論に基づいて学習。・Part 3:2021年3月27日(土)(東京にて開催)Avatarを使用したオンライン・オンサイト融合ワークショップAvatarin社の協力で同社が開発した「avatar MICE」を活用し、オンラインとオンサイトの融合したハイブリットなワークショップ。

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非小細胞肺がん、デュルバルマブ術前補助療法の成績/ESMO2020

 早期非小細胞肺がん(NSCLC)における免疫チェックポイント阻害薬の術前補助療法は、すでに幾つかの試験で検討され、有望な結果が得られている。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、デュルバルマブの術前補助療法を評価する第II相多施設共同試験(IFCT-1601 IONESCO)の中間解析の結果を、フランス・Cochin病院のMarie Wislez氏が発表した。・対象:Stage1B(4cm以上)、2、3A(N2除く)の切除可能NSCLC・介入:デュルバルマブ750mg 2週ごと3サイクル投与後2〜14日目に手術・評価項目:[主要評価項目]完全(R0)切除の割合[副次評価項目]術後90日死亡率、安全性、全生存期間(OS)、無病生存期間(DFS)、奏効率、MPR(Major Pathologic Response、生存腫瘍細胞10%以下)、初回投与から手術までの期間 主な結果は以下のとおり。・2017年4月〜2019年8月に50例が登録され、46例がデュルバルマブ投与対象となった。・患者の年齢中央値61.0歳、 男性70%、喫煙者は94%であった。・R0切除割合は89.1%(46例中41例)と、仮説割合の85%を超え、主要評価項目を達成した。・46例中4例はPR、36例がSD、6例がPDで、MPRは43例中8例の18.6%であった。・術後90日の死亡率は9%(4例)。そのため、登録は中止となった。死亡した4例中3例は、心血管系などの併存疾患を有しており、デュルバルマブとの直接の関連はみられなかった。・全Gradeの有害事象(AE)は33.3%、すべてGrade2以下であった。 ・追跡期間23ヵ月におけるOSとDFSの中央値は未達、 1年OS率は89.7%、12ヵ月DFS率は78.2.%であった。

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コロナ禍の医療者への不当な扱い、励ましの実態とは/医師500人の回答結果

 ケアネットと病院経営支援システムを開発・提供するメディカル・データ・ビジョン株式会社(以下、MDV)は、医師・病院関係者が新型コロナウイルス感染症に対応する中で、どのような体験をしたかを調べる共同調査を実施した。その結果、医師・病院関係者の子どもが登園・登校を控えるよう要請されるなど誤解や過剰反応からの体験があった半面、地域住民や企業からの応援メッセージが届き、励まされるなどの体験が倍以上あったことが明らかとなった。励ましが差別や不当な扱いを大幅に上回る この調査はWEBを通じて実施し、ケアネットは会員医師511人(アンケート期間:9月30日のみ)、MDVは110病院(同:9月30日~10月7日)から回答を得た。  「コロナ禍の下でどのような体験をされましたか」という質問について、ケアネット会員医師は、「差別や不当な扱いと感じる体験をした」が7.4%(38人)、「周囲から励まされるなどの体験をした」が27.6%(141人)、「とくになし」が66.3%(339人)だった。差別や不当な扱いと感じる体験をした方の内訳は、本人が6.7%(34人)、家族が2.2%(11人)で、本人・家族いずれもと回答したのは6人(1.1%)だった。また、自由記述で聞いた体験内容は以下のとおり。・実際には(PCR検査)陰性だったが、あたかもコロナに感染したかのような扱いを受けた・医療関係者かどうかを尋ねられた・アルバイト先から出勤を断られかけた・発熱外来をやるといったら、秘書が近寄らなくなった。1週間放置された・近所、子供の学校の先生に疎んじられた・国内での流行期前に海外渡航していたために職場で不当な差別をされた 「周囲から励まされるなどの体験をした」と回答した方は、本人が24%(123人)、家族が2.9%(15人)で、本人・家族いずれもと回答したのは2.3%(12人)だった。自由記述で聞いた体験内容は以下のとおり。・タクシー運転手に励まされた・医療に携わり、この時期大変ですねぇと励まされました・往診中にご苦労様と見知らぬ方より挨拶あり・外来の患者さんから声をかけられ、差し入れをもらうようになりました・患者から体調を気遣われた・患者さんからの感謝状・企業からの飲料水や消毒用具等の提供があった・地域の小学校、会社などから救急医療へのエールが届いた病院関係者向け調査では半数以上が励ましを受けていた MDVが行った病院関係者(本人、家族、同僚含む)向けアンケートでも同様の質問を行ったところ、「差別や不当な扱いと感じる体験をした」が24.5%(27施設)、「周囲から励まされるなどの体験をした」が51.8%(57施設)、「とくになし」が38.2%(42施設)、その他が9.1%(10施設)だった。また、差別や不当な扱いと感じる体験を自由記述で聞いたところ、「看護師の子どもさんが保育園から預かりを拒否された」「親が医療関係者なので飲食関係のアルバイトのシフトから外された」「配偶者が出勤停止となった」「病院の職員でなくてよかったなどの言葉が聞こえてきた」といった声があった。 また、「周囲から励まされるなどの体験をした」の自由記述の回答では、地域住民や企業からの激励のメッセージや寄付などが相次いでいることも明らかになった。

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医療のイノベーション、ヘルスケアベンチャー大賞で体感しよう!

 昨年盛況に終わり、今年2回目を迎える『ヘルスケアベンチャー大賞』(主催:日本抗加齢協会、共催:日本抗加齢医学会)。この最終審査が10月26日(月)に開催される。 ヘルスケアベンチャー大賞は、アンチエイジング領域においてさまざまなシーズをもとに新しい可能性を拓き、社会課題の解決につなげていく試みとして、日本抗加齢医学会のイノベーション委員会発足後、坪田 一男氏(日本抗加齢医学会イノベーション委員会委員長)らが2019年に立ち上げた。ベンチャー企業や個人のアイデアによるビジネスプランを書類審査、1次審査、最終審査の3段階で評価し表彰する。 今年は新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、これまでの日常は非日常となりニューノーマルを余儀なくされている。そんな状況下、ヘルスケア分野でイノベーションを起こそうと多くの起業家や学生が応募した。今回はその中から選出されたファイナリスト8組のユニークなビジネスモデルのプレゼンテーションを聴講できるまたとない機会である。気になる方は参加登録をしてみてはいかがだろうか。第2回ヘルスケアベンチャー大賞 ファイナリスト決定 最終審査【日時】2020年10月26日(月)15~17時【参加方法】WEB開催 (最終審査会参加登録はこちら)【ファイナリスト】<企業5社>合同会社アントラクト:StA2BLEによる転倒リスク評価と機能回復訓練事業株式会社OUI:Smart Eye Cameraを使用した白内障診断AIの開発株式会社Surfs Med:変形性膝関節症に対する次世代インプラントの開発歯っぴー株式会社:テクノロジーで普及を拡張させる口腔ケア事業株式会社レストアビジョン:視覚再生遺伝子治療薬開発<個人3名>佐藤 拓己氏(東京工科大学):寿司を食べながらケトン体を高く保つ方法松本 成史氏(旭川医科大学):メンズヘルス指標に有効な新規「勃起力」計測装置の開発松本 佳津氏(愛知淑徳大学):長寿高齢社会を前提とした真に豊かな住空間をインテリアから考え、活用できる具体的な指標を作成する

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ロピナビル・リトナビルはCOVID-19死亡リスクを下げない/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院した患者において、ロピナビル・リトナビルによる治療は28日死亡率、在院日数、侵襲的人工呼吸器または死亡のリスクを低下しないことが、無作為化非盲検プラットフォーム試験「RECOVERY試験」の結果、明らかとなった。英国・オックスフォード大学のPeter W. Horby氏ら「RECOVERY試験」共同研究グループが報告した。ロピナビル・リトナビルは、in vitro活性、前臨床試験および観察研究に基づいてCOVID-19の治療として確立されていたが、今回の結果を受けて著者は、「COVID-19入院患者の治療として、ロピナビル・リトナビルの使用は支持されない」とまとめている。Lancet誌オンライン版2020年10月5日号掲載の報告。通常治療単独群とロピナビル・リトナビル併用群で28日死亡率などを比較 RECOVERY試験は、COVID-19入院患者を対象にさまざまな治療と通常治療を比較する試験で、英国の176施設にて進行中である。同意が得られた適格患者を、通常の標準治療群、通常治療+ロピナビル(400mg)・リトナビル(100mg)または他の治療(ヒドロキシクロロキン、デキサメタゾンまたはアジスロマイシン)群のいずれかに、ウェブシステムを用いて無作為に割り付け(非層別)、10日間または退院まで経口投与した。割り付けは、通常治療群対実薬群を2対1(実薬群が2群の場合は、2対1対1)の割合とした。 主要評価項目は28日全死亡率で、無作為に割り付けられた全患者を対象とするintention-to-treat解析を実施した。両群で28日死亡率、生存退院までの期間、28日以内の生存退院率に有意差なし 2020年3月19日~6月29日の期間で、ロピナビル・リトナビル群に1,616例、通常治療群に3,424例が割り付けられた。 28日以内にロピナビル・リトナビル群で374例(23%)、通常治療群で767例(22%)が死亡した(率比:1.03、95%信頼区間[CI]:0.91~1.17、p=0.60)。事前に規定されたサブグループ解析でも、すべてのグループで同様の結果であった。 生存退院までの期間(両群とも中央値は11日間、四分位範囲:5~>28)、および28日以内の生存退院率(率比:0.98、95%CI:0.91~1.05、p=0.53)も、両群で有意差はなかった。入院時に侵襲的人工呼吸器を使用していない患者における、侵襲的人工呼吸器装着または死亡した患者の割合も、両群間に有意差は認められなかった(リスク比:1.09、95%CI:0.99~1.02、p=0.092)。 なお、著者は、非重篤の有害事象や治療中止の理由に関する詳細な情報は収集されていないこと、経口投与が困難な挿管患者がわずかながら登録されていたことなどを研究の限界として挙げている。

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限局性前立腺がん、積極的初回治療がQOL低下の引き金に/BMJ

 限局性前立腺がんに対して、積極的な初回治療を受けた患者は前立腺がんの診断を受けていない男性に比べ、概して自己申告QOLが長期にわたり低下しており、根治的前立腺摘出術を受けた男性はとくに性機能のアウトカムが不良であった。オーストラリア・Cancer Council New South WalesのCarolyn G. Mazariego氏らが、同国で最も人口の多いニューサウスウェールズ州で実施された大規模前向きコホート研究「New South Wales Prostate Cancer Care and Outcomes Study:PCOS」の解析結果を報告した。限局性前立腺がんは、過去20年にわたって診断後の生存率が増加してきているが、治療に関連した長期的なQOLアウトカムに関する研究はほとんどなかった。著者は、「医師および患者は、治療法を決定する際にこれら長期的なQOLのアウトカムを考慮する必要がある」とまとめている。BMJ誌2020年10月7日号掲載の報告。大規模ケースコントロール研究で限局性前立腺がん患者の長期QOLを評価 PCOSは、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州のがん登録に登録された70歳未満の限局性前立腺がん患者(ケース)と、同州の選挙人名簿から無作為に抽出された、年齢や居住地区がケースと一致する対照集団を追跡調査した研究である。研究グループは、PCOSに登録された患者群1,642例および対照群786例について、前立腺がんの診断後15年間の治療に関連したQOLの変化について解析した。 主要評価項目は、全体的な健康および疾患特異的なQOLである。SF-12、前立腺がん疾患特異的QOL(UCLA-PCI)、および限局性前立腺がん患者の特異的QOL尺度であるEPIC-26を用い、15年間で7回(ベースライン、診断後1、2、3、5、10、15年時)の調査を行った。各QOLスコアの対照群に対する患者群の補正後平均差を算出。同差の臨床的意義は、ベースラインのスコアから標準偏差(SD)で3分の1を最小重要差と定義して評価した。治療法によって長期的な機能障害(失禁、腸機能、性機能)に差がある 診断後15年時点で、すべての治療において、対照群と比較し患者群で勃起障害を報告した患者の割合が高かった。対照群42.7%(44/103例)に対して、PSA監視療法62.3%(33/53例)、神経温存前立腺全摘除術(NSRP)75.0%(144/192例)、非NSRP 83.0%(117/141例)、外部照射/高線量率小線源療法(EBRT/HDR)79.1%(34/43例)、アンドロゲン遮断療法(ADT)75.6%(34/45例)、低線量率小線源療法(LDR)72.0%(18/25例)であった。 1次治療でEBRT/HDRまたはADTを受けた患者は、腸機能の低下がみられた。尿失禁は手術を受けた患者でとくに多く継続していた。排尿障害は、ADT群で10年後(補正後平均差:-5.3、95%信頼区間[CI]:-10.8~0.2)から15年後(-15.9、-25.1~-6.7)にかけて増大していた。

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HER2+進行乳がんへのT-DXd、第I相/第II相試験の併合解析と日本人解析/日本乳学会

 抗体薬物複合体であるトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd、DS-8201)のFirst-in-human第I相試験であるJ101試験および非盲検国際多施設共同第II相試験であるDESTINY-Breast01試験において、承認用量で投与されたHER2陽性乳がん患者での併合解析と日本人集団におけるサブセット解析を行った結果、奏効率(ORR)は全体で58.3%、日本人集団で64.7%と日本人で高い一方、血液毒性の頻度が日本人で高い傾向であったことが示された。島根大学医学部附属病院 先端がん治療センターの田村 研治氏が第28回日本乳学会学術総会で発表した。 第I相J101試験でのORRは59.5%(95%CI:49.7~68.7)、第II相DESTINY-Breast01試験では60.9%(同:53.4~68.0)と高い値が報告されている。今回、これらの試験において、HER2陽性進行乳がん(T-DM1に抵抗性あるいは耐容不可)で承認用量(5.4 mg/kg、3週ごと)を投与された患者の併合解析を行い、さらに日本人集団におけるサブセット解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・併合解析の対象患者は235例(第I相:51例、第II相:184例)、年齢中央値は56.0(範囲:28~96)歳、人種はアジア人と白人がほぼ半数ずつであった。・前治療レジメン数の中央値は6コース(範囲:2~27)で、そのうち69.8%にペルツズマブの前治療歴があった。データカットオフ(第I相:2019年2月1日、第II相:2019年3月21日)時点で120例(51.3%)が治療継続中で、投与期間中央値は7.4ヵ月(範囲:0.7~30.4)であった。・中央判定によるORRは、全体で58.3%(95% CI:51.7~64.7)であり、DOR中央値は16.9ヵ月(同:9.5~NE)、CRは4.3%、無増悪生存期間中央値は13.9ヵ月(同:10.9~NE)であった。・日本人(51例)のサブセット解析では、ORRは64.7%(95% CI:50.1~77.6)、CRは5.9%であった。・治療下で発現した有害事象(TEAE)は日本人で100%、全体で99.6%にみられた。日本人では薬剤関連の中止・中断例が多く、肺炎が4例、間質性肺疾患(ILD)が3例にみられた。・主な有害事象を日本人と全体で比較すると、日本人で好中球減少症(全Grade:60.8%)、貧血(同:58.8%)が高い傾向がみられたが、多くはGrade2以下でマネジメント可能であった。・ILDは、全体では9.4%(22例)に発症し、2.1%(5例)が死亡した。日本人では発症が19.6%(10例)と頻度は高かったが、Grade3以上はいなかった。 田村氏は、「T-DXdはHER2陽性乳がんにおいて高い治療効果がある一方で、ILDなどの有害事象については重要なリスクと理解し、注意深いモニタリングと適切な治療が必要」と述べた。

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非転移性去勢抵抗性前立腺がんでダロルタミドは転移無再発期間を延長(解説:宮嶋哲氏)-1297

 ダロルタミドは独自の化学構造を持つアンドロゲン受容体阻害薬であり、非転移性去勢抵抗性前立腺がんの治療薬として承認されている。 本報告は、二重盲検プラセボ対照試験で1,509例をアンドロゲン除去療法を継続しながらダロルタミドを投与する群(955例)とプラセボ投与群(554例)に2:1の割合で無作為に割り付けるARAMIS試験の主要解析に注目している。第III相試験で計画されていた主要解析では転移無再発期間中央値がダロルタミド群で40.4ヵ月とプラセボ群(18.4ヵ月)よりも有意に延長していた。主要評価項目の結果が肯定的であることが判明した後、治療割り付けの盲検を解除し、プラセボ群からダロルタミドの非盲検投与へのクロスオーバーを許可している。最終解析は約240例が死亡した後に行うこととし、その時点で全生存期間とその他の副次評価項目を評価した。 追跡期間中央値は29.0ヵ月であり、データの盲検を解除した時点でプラセボの投与を継続していた170例全例がダロルタミド投与にクロスオーバーし、盲検解除前にプラセボを中止していた患者のうち137例がダロルタミド以外の延命治療を1種類以上受けていた。3年全生存率はダロルタミド群で83%、プラセボ群で77%であり、死亡リスクは、ダロルタミド群のほうがプラセボ群よりも有意に31%低かった(HR:0.69、p=0.003)。ダロルタミドは症候性の骨関連事象発現までの期間(HR:0.65、p<0.001)や細胞傷害性化学療法開始までの期間(HR:0.58、p<0.001)など、その他すべての副次評価項目で有意に良好な成績を示していた。投与開始後の有害事象発現率は両群で同程度であった。 非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者において、投与開始して3年の時点での生存率は、ダロルタミドの投与を受けた患者のほうがプラセボの投与を受けた患者よりも有意に高かったことと、副作用の発現頻度がプラセボと同等であったことは注目に値する。 現在、アンドロゲン受容体阻害薬としてわが国でも数種類使用されているが、副作用を含めた患者QOLの面を考慮すると、薬剤の選択は慎重にならざるを得ない。本薬剤の効果を考慮すると、mHSPCを対象とした試験結果が待たれるところである。

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