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引き継げると思っていた患者が来ない!?「特殊診療」のワナに注意せよ【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第3回

第3回 引き継げると思っていた患者が来ない!?「特殊診療」のワナに注意せよ漫画・イラスト:かたぎりもとこ買い手側からすると、引き継ぐ診療所の患者数は多ければ多いほどありがたいものです。診療所を引き継いだ当初から黒字経営でき、集患対策などの間接業務に手を取られず、診療に集中できるからです。しかし、ここにも落とし穴が…。都心エリアのように、周囲に診療所(競合)が多いのにもかかわらず、際立って外来患者数の多い診療所は注意が必要です。こうしたケースには大きく分けて2つの要因が考えられます。(1)標榜科目が複数あり、幅広い患者を診ているケース(2)専門性が高く、一般的な診療圏を超えて患者が来院しているケース(1)のケースは、とくに外科出身の院長が運営している診療所でよく見られます。内科の慢性疾患の患者が多いことに加え、小児や皮膚科も診ており、かつ外科として手術などにも対応している、というケースです。このような場合、買い手側は、現在の患者のすべてを引き継げるのか、引き継げない場合はどのくらいの患者が離反してしまうのか、科目別で患者層を確認することが必要です。(2)のケースは、通常は診療所の患者は近隣住民であることがほとんどですが、例外もあります。たとえば「整形外科の中でも手のひらを専門で診ている(とくに専門性が高い)」、「美容外科の分野でよくメディアに出ている(とくに知名度が高い)」などの理由で、「どうしてもこの医師に診てほしい」というニーズが強い場合、一般的な診療圏を超えて、遠方から患者が来院しているのです。一般的な診療圏の定義は科目や都心or地方などで異なりますが、都心部の内科系診療所であれば半径500m~1kmとするのが一般的です。旧院長と面談で会話する際などに、遠方からの外来数の割合を確認し、それらが2割を超える場合は一度専門など、その理由を確認することをお薦めします。

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新たに診断された成人のADHDおよびASDに併存する精神疾患

 成人の注意欠如多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)に併存する精神疾患は、医療費の増大を招き、場合によっては診断遅延の原因となる。ギリシャ・国立カポディストリアコス・アテネ大学のArtemios Pehlivanidis氏らは、新たに診断された成人のADHDおよび/またはASDの有病率と精神疾患の生涯併存率を比較し、それらがもたらす臨床上の課題について検討を行った。BMC Psychiatry誌2020年8月26日号の報告。成人ADHDおよびASD患者では精神疾患の併存率が高かった 対象は、新たなADHDおよび/またはASDの診断のために臨床評価を行った、認知機能が正常な成人336例。最も頻繁に併存する10の精神医学的診断の生涯併存率を調査した。対象患者を、ADHD群(151例)、ASD群(58例)、ADHD+ASD群(28例)、非ADHD+非ASD(NN)群(88例)の4つに分類した。 成人のADHDおよびASDに併存する精神疾患を調査した主な結果は以下のとおり。・各群における精神医学的診断の生涯併存率は以下のとおりであった(p=0.004)。 ●ADHD群:72.8% ●ASD群:50% ●ADHD+ASD群:72.4% ●NN群:76.1%・すべての群において、最も頻繁に併存する精神疾患は、うつ病であった。・ADHD群と非ADHD群(ASD群+NN群)の間における精神疾患の併存パターンは、物質使用障害でのみ統計学的に有意な差が認められた(p=0.001)。・双極性障害の割合は、ASD群と比較し、NN群で有意に高かった(p=0.025)。 著者らは「成人ADHDおよび/またはASD患者では精神疾患の併存率が高かったが、その中でASD患者での併存率は最も低かった。ADHD群と非ADHD群の最も有意な差は物質使用障害で認められた」とし、「ADHDおよび/またはASDの有無にかかわらず、これらの疾患が疑われるすべての患者に対して徹底的な臨床評価を行う必要性が示唆された」としている。

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植物由来VLPワクチン、インフル予防に有効な可能性/Lancet

 開発中の植物由来4価ウイルス様粒子(QVLP)インフルエンザワクチンは、インフルエンザウイルスに起因する呼吸器疾患およびインフルエンザ様疾患を、実質的に予防する可能性があり忍容性も良好であることが、カナダ・MedicagoのBrian J. Ward氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2020年10月13日号に掲載された。季節性インフルエンザは、予防策として孵化鶏卵由来のワクチンなどが使用されているが、依然として公衆衛生上の大きな脅威となっている。植物をベースとするワクチン製造法は、生産性の向上や製造過程の迅速化など、現在のワクチンの限界のいくつかを解決する可能性があるという。18~64歳と、65歳以上が対象の2つの無作為化試験 研究グループは、植物から製造された遺伝子組み換えQVLPインフルエンザワクチンに関して、2017~2018年(18-64試験)と2018~2019年(65-plus試験)のインフルエンザ流行期に、北半球においてこれら2つの多施設共同無作為化臨床試験を行った(Medicagoの助成による)。 18-64試験には、アジア、欧州、北米の73施設が、65-plus試験には同地域の104施設が参加した。18-64試験は、スクリーニング時にBMI<40、年齢18~64歳で、健康状態が良好な集団を、65-plus試験は、スクリーニング時にBMI≦35、年齢65歳以上で、リハビリテーション施設や介護施設に入居しておらず、急性期または進行中の医学的な問題のない集団を対象とした。 18-64試験の参加者は、QVLPワクチン(ウイルス株当たり30μgのヘマグルチニン)またはプラセボを接種する群に、65-plus試験の参加者は、QVLPワクチン(ウイルス株当たり30μgのヘマグルチニン)または4価不活化ワクチン(QIV、ウイルス株当たり15μgのヘマグルチニン)を接種する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、18-64試験では、抗原性でマッチさせたインフルエンザウイルス株に起因する呼吸器疾患(検査で確定)の予防におけるワクチンの絶対効果(absolute vaccine efficacy)とし、達成率70%以上(95%信頼区間[CI]下限値が40%超)を目標とした。65-plus試験の主要アウトカムは、インフルエンザウイルス株に起因するインフルエンザ様疾患(検査で確定)の予防におけるワクチンの相対効果(relative vaccine efficacy)とし、非劣性(95%CI下限値が-20%超)の検証を行った。主解析はper-protocol集団で行い、安全性は治療を受けたすべての参加者で評価した。潜在的な利点がどの程度実現されるかは、承認後の研究で 18-64試験では、2017年8月30日~2018年1月15日の期間に1万160例が、QVLP群(5,077例)またはプラセボ群(5,083例)に割り付けられた。実際に治療を受けた1万136例の平均年齢は44.6(SD 13.7)歳であった。per-protocol集団は、QVLP群が4,814例、プラセボ群は4,812例だった。 抗原性でマッチさせたウイルス株に起因する呼吸器疾患の予防におけるQVLPワクチンの絶対効果は35.1%(95%CI:17.9~48.7)であり、70%以上という目標は達成されなかった。事後解析では、インフルエンザウイルスの感染力は19週間持続したが、QVLPワクチンの有効性は最長180日間持続しており、3つの期間(14~60日、61~120日、121~180日)で効果の差は認められなかった。 重篤な有害事象は、QVLP群が5,064例中55例(1.1%)で、プラセボ群は5,072例中51例(1.0%)で認められた。また、試験治療下で発現した重度の治療関連有害事象は、それぞれ4例(0.1%)および6例(0.1%)でみられた。 一方、65-plus試験では、2018年9月18日~2019年2月22日の期間に1万2,794例が、QVLP群(6,396例)またはQIV群(6,398例)に割り付けられた。実際に治療を受けた1万2,738例の平均年齢は72.2(SD 5.7)歳であった。per-protocol集団は、QVLP群が5,996例、QIV群は6,026例だった。 すべてのウイルス株に起因するインフルエンザ様疾患の予防におけるQVLPワクチンの相対効果は8.8%(95%CI:-16.7~28.7)であり、主要非劣性エンドポイントを満たした。75歳以上では、全体と比較して、相対効果が良好な傾向がみられ、インフルエンザ様疾患で38.3%(-5.2~63.9、p=0.102)、呼吸器疾患は33.4%(-3.3~57.1、p=0.241)であった。 重篤な有害事象は、QVLP群が6,352例中263例(4.1%)で、QIV群は6,366例中266例(4.2%)でみられた。このうち治療関連と判定されたのはそれぞれ1例(<0.1%)および2例(<0.1%)であった。試験治療下で発現した重度の治療関連有害事象は、1例(<0.1%)および3例(<0.1%)であった。 著者は、「これら2つの効果に関する重要な試験のデータは有望であるが、植物由来のウイルス様粒子ワクチンの潜在的な利点がどの程度実現されるかは、ヒトでの使用が承認された後に、何度かの流行期を経て広く使用されて初めて明らかになるだろう」としている。

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がん患者の禁煙、継続カウンセリングと補助薬提供が有効/JAMA

 がんの診断を受けた喫煙者の禁煙治療において、継続的な禁煙カウンセリングと禁煙補助薬の無料提供による強化治療は、4週間の短期カウンセリングと禁煙補助薬に関する助言を行う標準治療と比較して、6ヵ月後の禁煙の達成割合が高いことが、米国・マサチューセッツ総合病院のElyse R. Park氏らが実施した「Smokefree Support研究」で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年10月13日号に掲載された。がん患者では、喫煙の継続が有害なアウトカムを引き起こす可能性があるが、米国の多くのがんセンターは、エビデンスに基づく禁煙治療をルーチンの治療に十分に導入できていないという。米国の2つの包括的がんセンターが参加した無作為化試験 本研究は、米国の国立がん研究所(NCI)によって指定された2つの包括的がんセンター(マサチューセッツ総合病院/ダナファーバー/ハーバードがんセンターと、スローン・ケタリング記念がんセンター)が参加した非盲検無作為化試験であり、2013年11月~2017年7月の期間に患者登録が行われ、2018年2月にフォローアップのデータ収集が終了した(米国NCIとPfizerの助成による)。 対象は、30日以内に1本以上の喫煙をした成人で、英語またはスペイン語を話し、過去4回の受診時または3ヵ月以内に、乳房、消化器、泌尿生殖器、婦人科系、頭頸部、肺のがん、またはリンパ腫、悪性黒色腫と診断された患者であった。 被験者は、強化治療または標準治療を受ける群に無作為に割り付けられた。標準治療群は、電話によるカウンセリングと禁煙補助薬に関する助言を、週1回の割合で4回受けた。強化治療群は、電話によるカウンセリングを、週1回で計4回、2週に1回で計4回(2ヵ月)、さらに月1回で計3回受け、米国食品医薬品局(FDA)の承認を得た禁煙補助薬(バレニクリン、bupropion徐放性製剤、ニコチン置換療法)の無料提供を選択できた。禁煙補助薬を選択した参加者は、初回に4週分が提供され、さらに4週分を2回、合計12週分を受け取る選択ができ、これらの薬剤は使用しなくてもよいとされた。 主要アウトカムは、6ヵ月のフォローアップの時点での生化学的に確認された禁煙(7日間点有病率)であった。副次アウトカムには、3ヵ月後の時点での生化学的に確認された禁煙などが含まれた。6ヵ月時の禁煙率:34.5% vs.21.5%、患者満足度も高い 303例(平均年齢58.3歳、170例[56.1%]が女性)が登録され、221例(78.1%)が試験を完遂した。強化治療群が153例、標準治療群は150例だった。 全体では、181例(59.7%)が喫煙関連腫瘍で、182例(60.1%)は早期病変であり、31例(10.2%)は重篤な精神疾患(うつ病、双極性障害、統合失調症)に罹患していた。1日喫煙本数中央値は10本(IQR 4~20)、喫煙年数中央値は42年(36~49)であり、214例(72.1%)は起床後30分以内に喫煙し、151例(51.0%)は自宅での喫煙が許されていた。 6ヵ月後の時点での生化学的に確認された禁煙率は、強化治療群が34.5%(51/148例)、標準治療群は21.5%(29/135例)であり、13.0%の差が認められ、強化治療群で有意に良好であった(オッズ比[OR]:1.92[95%信頼区間[CI]:1.13~3.27]、p<0.02)。また、3ヵ月後の時点での生化学的に確認された禁煙率は、強化治療群が31.1%(46/148例)、標準治療群は20.7%(28/135例)であり、強化治療群で良好だった(群間差:10.3%[95%CI:0.2~20.5]、OR:1.72[95%CI:1.00~2.96]、p=0.048)。 修了したカウンセリングの回数中央値は、強化治療群が8回(IQR:4~11)、標準治療群は4回(3~4)であった。全体のカウンセリングの平均時間は、初回が44.61(SD 15.47)分で、2回目以降は19.9(8.1)分だった。また、6ヵ月時までに禁煙補助薬を使用した患者の割合は、強化治療群が77.0%(97/126例)と、標準治療群の59.1%(68/115例)に比べ高かった(群間差:17.9%[95%CI:6.3~29.5]、OR:2.31[95%CI:1.32~4.04]、p=0.003)。 多変量解析では、6ヵ月後の時点での生化学的に確認された禁煙と有意な関連が認められた因子として、強化治療(p=0.04)、臨床的に意義のある禁煙意欲の増加(p=0.03)、自己評価による喫煙の誘惑への抵抗力の強さ(p=0.003)、自宅での喫煙ルール確立の進展度の高さ(p=0.03)、不安の減少度の高さ(p=0.04)が挙げられた。また、6ヵ月時に、「このプログラムは、私にとって必要なもののほとんど、またはすべてを満たした」と答えた患者の割合は、強化治療群が85.0%であり、標準治療群の59.3%に比べ満足度が高かった(群間差:25.5%[95%CI:16.0~35.3]、OR:1.66[95%CI:1.24~2.24]、p=0.001)。 最も頻度の高い有害事象は、悪心(強化治療群13例、標準治療群6例)、皮疹(4例、1例)、しゃっくり(4例、1例)、口腔刺激(4例、0例)、睡眠困難(3例、2例)、鮮明な夢(3例、2例)であった。 著者は、「これらの知見の一般化可能性は明確ではなく、さらなる研究を要する」としている。

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SGLT2阻害薬でも糖尿病患者の心血管イベントは抑制されない?(解説:吉岡成人氏)-1304

 糖尿病患者における心血管疾患のリスクを低減するためにSGLT2阻害薬が有用であると喧伝されている。米国糖尿病学会(ADA)では心血管疾患、慢性腎臓病(CKD)、心不全の既往のある患者やハイリスク患者では、血糖の管理状況にかかわらずGLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬を第一選択薬であるメトホルミンと併用することが推奨されている。欧州心臓病学会(ESC)と欧州糖尿病学会(EASD)による心血管疾患の診療ガイドラインでは、心血管リスクが高い患者での第一選択薬としてSGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬を用いることも選択肢の一つであるとしている。 日本においても、循環器学会と糖尿病学会が「糖代謝異常者における循環器病の診断・予防・治療に関するコンセンサスステートメント」が公表され、糖尿病患者は心血管疾患のハイリスク群であり、心不全の合併が多いことが記されている。日本人においても欧米同様にSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬を推奨すべきかの結論は得られていないというコメントはあるが、心不全ないしは心不全の高リスク患者ではSGLT2阻害薬の使用が推奨されている。 そのような背景の中、2020年6月にWebで開催されたADAにおいてSGLT2阻害薬であっても心血管イベントの抑制効果が認められない薬剤があることが報告された。日本では未発売のSGLT2阻害薬であるertugliflozinの心血管イベント抑制効果に関する臨床試験(Evaluation of Ertugliflozin Efficacy and Safety Cardiovascular Outcomes Trial:VERTIS-CV)であり、その詳細が、2020年9月23日のNEJM誌に掲載されている。 VERTIS試験の対象は冠動脈、脳血管、末梢動脈の少なくともいずれかにアテローム動脈硬化性疾患を持つ8,246例であり、平均年齢は64歳、88%が白人で糖尿病の罹病期間は平均で13年、ベースラインにおけるHbA1cは8.2%であった。平均で3.5年の追跡期間における1次評価項目(心血管死、心筋梗塞、脳卒中)の発生率は実薬群、プラセボ群ともに11.9%、100人年当たりの発生率は実薬群3.9、プラセボ群4.0であり差がなかった。EMPA-REG試験においても1次評価項目はVERTIS試験とまったく同じであり、100人年当たりの発生率は、実薬群3.74、プラセボ群4.39であった。2次評価項目である心血管死、心不全での入院についても差はなかったものの、心不全での入院のみで比較をするとプラセボ群3.6%(1.1/100人年)、実薬群2.5%(0.7/100人年)であり統計学的に有意な差(ハザード比0.70、信頼区間:0.54~0.90)があった。腎関連の評価項目(腎死、腎代替療法、クレアチニンの倍加)にも有意差は認められなかった。プラセボ群との非劣性を確認するための臨床試験とはいえ、SGLT2阻害薬として従来報告されていた心血管イベントに対する抑制効果が疑問視される結果であった。なぜ、ertugliflozinでほかのSGLT2阻害薬で確認された臨床効果が認められなかったのか、単なる薬剤による違いなのかは判然としない。 ともあれ、欧米の糖尿病患者と日本の糖尿病患者では臨床的な背景も、病態も異なっている。日本人における高齢率は28%であり2型糖尿病の平均年齢は65歳を超え、死因の38%は悪性腫瘍、11%が心疾患である(中村二郎ほか. 糖尿病. 2016;59:667-684.)。一方、米国での高齢化率は14.5%にすぎず、糖尿病患者の死因の第1位は心血管疾患で34%、悪性腫瘍は20%である(Gregg EW, et al. Lancet. 2018;391:2430-2440.)。欧米のガイドラインや臨床試験の結果を日本の臨床の現場に応用する場合には、一定の距離感を保ちつつ十分に吟味する必要があると思われる。

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トリプルネガティブ乳がん術前治療における免疫チェックポイント阻害剤併用(解説:下村昭彦氏)-1305

 2020年9月19日から欧州臨床腫瘍学会(ESMO)がバーチャル開催され、多数の重要演題が発表された。IMpassion031試験もその1つであり、同日Lancet誌に論文掲載となっている。IMpassion031試験はトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の術前化学療法としてアルブミン結合パクリタキセル(nab-PTX)とAC(ドキソルビシン+シクロホスファミド)療法に、抗PD-L1抗体であるアテゾリズマブを上乗せすることにより病理学的完全奏効(pCR)率が向上するかどうかを検証したランダム化比較第III相試験である。アテゾリズマブ群で17%のpCR率改善を認め、アテゾリズマブのpCR率に対する効果が統計学的有意に示された。PD-L1陽性(1%以上)・陰性のいずれでもpCR率の改善傾向を認めたが、サブグループでは統計学的有意差は認めなかった。同様の試験として抗PD-1抗体であるペムブロリズマブを用いたKEYNOTE-522試験(CBDCA+PTX f/b AC療法へのペムブロリズマブの上乗せを検証)があり、こちらも全体集団でペムブロリズマブによるpCR率改善が示されており、その傾向はPD-L1ステータスにより変わらなかった。 一方、転移乳がんを対象とした試験では明暗を分けている。転移TNBC 1次治療を対象として、3つの試験の結果がすでに発表されている。IMpassion130試験はnab-PTXへのアテゾリズマブの上乗せを、無増悪生存期間(PFS)をエンドポイントとして検証した試験である。ITT集団で上乗せ効果があり、PD-L1陽性集団でより強く効果を認めたものの、PD-L1陰性集団ではまったく上乗せ効果が認められなかった。PD-L1陽性集団では全生存期間(OS)においても改善が期待される結果であった。一方、同じセッティングでPTXへの上乗せを検証したIMpassion131試験ではアテゾリズマブのPFSに対する上乗せ効果が認められず、むしろOSにおいてはアテゾリズマブ群で悪い傾向にあった(有意差なし)。この相反する結果に対しては、PTXでは前処置としてステロイドが毎回投与されること、nab-PTXとPTXではパクリタキセルとしての薬剤の量が異なること、実際に試験に参加した患者の背景が異なることなどが原因として議論されている。同様の対象でタキサン(PTX/nab-PTX)もしくはCBDCA+GEMへのペムブロリズマブの上乗せを検証したKEYNOTE-355試験ではPD-L1陽性集団において上乗せ効果が示され、タキサンでより良い傾向を示したことから、アテゾリズマブとペムブロリズマブの薬剤としての違いもディスカッションに挙げられている。 早期TNBCに戻って考えてみると、早期がんではPD-L1ステータス、薬剤の種類にかかわらず免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の上乗せ効果を認めている。早期乳がんと転移乳がんでバイオマーカーが異なる可能性も指摘されているが、大きな違いとしてはAC療法が行われているかどうか、ということである。AC療法によりがん細胞が破壊されることによりがん特異抗原やサイトカインが放出され、免疫のプライミングが惹起されることなどが原因として指摘されている。その傍証の1つが、NeoTRIP試験(nab-PTX+CBDCAへのアテゾリズマブの上乗せを、pCRをエンドポイントとしてみた試験、AC療法は術後に行われた)ではpCRの改善がほとんどみられなかったことである。併用化学療法の影響は大きいと考えるべきであろう。 さらに、免疫チェックポイント阻害剤を術前化学療法に併用した場合に問題となるのが、non-pCRの際の術後化学療法である。TNBCでnon-pCRだった場合には術後にカペシタビンの半年間の投与(国内未承認)が無病生存期間(DFS)ならびにOSを改善することが示されているが、ICIの試験では術後にICIを継続されている。non-pCRの場合にカペシタビンへ変更するのか、それともICI+カペシタビンの治療を行うのか、今後明らかにしていく必要がある。

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第29回 置いてきぼりの男性不妊、菅政権で具体化される?

菅政権が発足して1ヵ月。総裁選の際に抽象的過ぎてよく分からなかったその政策の中でかなり具体性を持って突き進んでいるのが不妊治療の保険適用だ。この問題を耳にしてふと今から十数年前の記憶が蘇ってきた。新宿・歌舞伎町の路地裏にある、とあるカウンターのみのバーでの出来事だ。子供に恵まれたことが当たり前と思っていた30代このバーは歌舞伎町のど真ん中に位置する。映画界の一部の人には良く知られ、なおかつある著名な小説のモデルにもなっている。もっともそれだけ由緒ある店でありながら、生真面目な人からすると、治安が悪そうな近寄りがたい路地の奥にあるため、現在で言うところの「インスタ映え」を狙うようなミーハーな客はほとんど来ない。最近はすっかりご無沙汰になってしまったが、知り合いの編集者に連れて行ってもらったのをきっかけに一時は週2~3回も通っていた。私よりやや若い店のマスターの人柄と彼がハードなシェイクで作るカクテルが気に入っていた。たまたま、彼は息子、私は娘を持ち、しかも同い年でまだ2歳にも満たないかわいい盛りということもあり、マスターと子育て談義や愚痴で盛り上がることも少なくなかった。とくに客が私だけの時は決まって子供の話で盛り上がり、ほかの客が来店してからも、マスターは振り子のように先方とこちらの接客のために行き来しながらも子育て話が続くことが多かった。ある日、いつものように彼と子供の話をしていると、私も見かけたことだけはある常連客が来店した。互いに軽く会釈をし、私はカクテルを口にしながら、また合間合間にマスターに子供話を振っていた。ところがこの時だけはマスターが異常なまでに無愛想にこちらの話を流し続けた。私は異変に気付くものの、なぜかはわからない。そのまま話を続けていると、マスターが「チェイサー出しますね」と言い、水の入ったグラスを出す前にコースターだけをぐっとカウンターに接している私の胸元近くまで押し込んできたのでぎょっとした。マスターを見ると軽く目配せをしているように見えた。そして差し出されたコースターを手に取ると、その裏にはペンで「×」が記されていた。よく意味は分からないが、とにかく話題は変えようと思った。それから小一時間でその常連客が店を後にすると、マスターが口火を切った。「あんまりお客さんのプライバシーは話すべきではないんでしょうけど、僕たち、運が良いだけなんですよ」マスターによると件の常連客は既婚で現在子供はおらず、子供を持つことを望み夫婦で医療機関も受診しているとのこと。ほかの客がいない時はその大変さを愚痴ることもあるとのことだった。正直、30歳代前半で子供ができたばかりの新米父親の私は、当時は一部の未婚者が漠然と思うのと同じく、「結婚すると子供ができるのが自然」という極めて浅はかな考えだったのだ。不妊治療がついに保険適用かさて今回、菅政権が保険適用を目指すのは、不妊治療の中でも、運動能力の高い精子のみを選択して人工的に子宮に注入する「人工授精」、体外で人工受精させた卵子を子宮に戻す「体外受精」や「顕微授精」。いずれも現在は自由診療で行われ、人工授精は1回数万円、体外受精や顕微授精に至っては1回50万円超もザラ。治療が1回で成功することはまれで、繰り返しこうした治療を行うカップルには重い経済負担がのしかかる。保険適用は経済的負担を軽減する点が一番大きいものの、同時に保険適用で治療がより日常化することで、不妊治療への理解が深まることへの期待も寄せられているという。そうしたさまざまな期待がより良い方向に向かうことに私はまったく異論はないが、この種のニュースを見るたびに、やや違和感を覚えることもある。過去に世界保健機関(WHO)が不妊症の7,273組を対象に行った原因調査では、原因が男性のみにあるケースが24% 女性のみにあるケースが41% 男女ともにあるケースが24% 原因不明が11%と報告されている。単純計算すれば、男性に何らかの原因があるケースは48%となる。この件はよく「不妊の原因は男性にもありながら、なぜか女性のせいにばかりされている」という文脈で使われることが多い。ところが今この不妊治療の保険適用問題の段になると、匿名、実名を問わずメディアに登場して不妊治療の大変さを語るのは女性のみ。原因の半数と言われる男性の視点を目にすることは極めて少ない。「男性不妊」に対する情報の乏しさ件の歌舞伎町のバーでの出来事から3年後のこと。仕事でも付き合いがある友人の一人から相談したいことがあるとのメールが届いた。私が在住する最寄り駅近くの居酒屋に入店し、店員から「テーブル席にしますか?それともお座敷にしますか?」と聞かれると、彼は「静かなほうで」と真っ先に口にした。通されたのは4畳ほどの個室の座敷。そこで一献傾け始めながら、相談事を尋ねると、「評判の良い泌尿器科を教えて欲しい」とのこと。この仕事をしていると、親族が病気になったなどでどこの病院を受診すべきかなどの相談を受けることは多い。多くはがんだったりする。正直、それはそれでいつも対応には苦慮するが、それまで泌尿器科に関する相談を受けたことはなかった。そこで彼から打ち明けられたのが、医療機関を受診した結果、精子の数が少ない男性不妊だと診断されたということだった。彼曰く「主治医は対策として規則正しい生活を送ることを指導するだけ。正直、ヤブ医者なんじゃないかと思う」とのこと。これには私も困ってしまった。そもそも泌尿器科の取材経験は膀胱がんや前立腺がんのみで、生殖医療にはまったく明るくなかったため、何のアドバイスもしようがない。私がそのことをありのまま伝えると、彼は大きなため息をついた。いつもなら2人で飲み始めると、あっという間に4、5時間は経過しているのだが、この日は彼のため息を境にたわいもない会話に終始し2時間足らずで解散となった。後に彼はある大学病院を受診し、そこでも同じような生活指導を受けたのを機に観念したようにその指導を実践し、無事奥さんとの間に子供を授かった。父親になった後にふと彼が漏らした言葉が印象的だった。「男性不妊ではそのことを周囲に打ち明けても同情すらされず、老若男女問わず味方はゼロだった」男性不妊の解決にプライドが邪魔をする後に私も男性不妊に関して取材をする機会に恵まれた。そこで分かったのが女性不妊症はホルモンや生理周期、卵管の通過状況など検査項目が多いのに対し、男性不妊症は精液検査で精子の数や運動能力を調べれば、そこである程度診断がつく。そして男性不妊症の80%以上が無精子症や精子の数や運動能力が不十分な造精機能障害、残る10%強が勃起不全(ED)や射精障害に大別される。ところが診断は比較的簡単ながらも、いざ治療となると難題だという。この時取材した医師が語ったのは次のようなものだ。「造精機能障害の半数以上は特発性で、精子の数や運動能力が不十分である原因が分からない。あえて言えば一番の原因は加齢ですかね。この場合、現時点で科学的根拠があるとされている対処法は、十分な睡眠や運動、適正体重の維持、禁煙、バランスの良い食生活、さらにはストレスの少ない生活を送るというある意味馬鹿馬鹿しすぎると思われるほど当たり前のことぐらいしかないんですよ」少なくとも友人がその主治医から聞いた話は決して間違いではなかったのである。かくいう私もお恥ずかしながら、この時までまったく知らなかったのである。日本に限らず海外でもかつて不妊症は女性が原因と思われていた時代があり、日本では子供を産めない女性を「石女」と書いて「うまずめ」と読む、極めつけの差別的な用語も存在した。その反動もあってか、まだ十分ではないとはいえ、女性の不妊症にかかわる問題は少しずつ理解が進んでいる。しかし、一方で「男のプライド問題」と揶揄的にも表現された男性不妊症についての議論は反動も何もなく、もっと言えばその「プライド」の罰則(?)として、そのまま社会的理解は低空飛行状態に置かれているように思えてしまうのだ。

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日本の若年性認知症の年間発症率とそのサブタイプ

 若年性認知症の発症率を調査することは、困難であるといわれている。東京都健康長寿医療センター研究所の枝広 あや子氏らは、認知症疾患医療センターの年次報告データを用いて、日本における若年性認知症の発症率について調査を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2020年9月28日号の報告。 認知症疾患医療センターは、日本の全国的な保健プログラムの一環として設立された認知症専門医療サービスで、2018年時点で全国に440施設存在する。これらの施設の年次報告データを用いて、2018年4月1日~2019年3月31日に新たに若年性認知症または遅発性認知症と診断された患者数、精神障害の診断と統計マニュアル第5版(DSM-5)による診断構成比を算出した。若年性認知症の年間発症率は、分子を患者数、分母を18~64歳の人口とし推定した。 主な結果は以下のとおり。・若年性認知症と診断された患者は1,733例であった。・若年性認知症のサブタイプの内訳は以下のとおりであった。 ●アルツハイマー型認知症:52.1% ●前頭側頭型認知症:8.9% ●血管性認知症:8.8% ●物質・薬物誘発性の神経認知障害:7.1% ●レビー小体型認知症:6.5% ●別の疾患による神経認知障害:3.9%・若年性認知症の年間発症率は、2.47/10万人年と推定された。 著者らは「本研究により、日本における若年性認知症の推定発症率が明らかとなった。全国の若年性認知症の疫学的モニタリングのためには、認知症疾患医療センターが重要な存在であることが示唆された」としている。

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COVID-19抗体陽性率、1,603例を独自調査/神奈川県内科医学会

 神奈川県内科医学会が独自にCOVID-19の抗体陽性率を調査し、不顕性感染の実態を明らかにした研究結果がJournal of Infection and Chemotherapy誌オンライン版9月6日号に掲載された。 調査は神奈川県内65の医療機関を受診した患者と神奈川県医師会に所属する医療機関で働く医師や看護師を対象とし、2020年5月18日~6月24日にアンケートで同意を得た1,603例が登録された。不顕性感染の実態を明らかにするため、以下は除外された。1)COVID-19検査で陽性となった2)21日以内に発熱などの風邪症状があった3)2020年になって4日以上37.5度以上の発熱があった4)2020年になって強い倦怠感や呼吸困難を経験した 参加者は抗体検査を受け、検査には横浜市立大学と関東化学が共同開発したイムノクロマトグラフテスト(シカイムノテスト SARS-CoV-2 IgG)が使われた。キットの感度は発症後9〜12日の9検体で89%(8/9)、発症後13日以降の8検体で100%(8/8)、特異度は20検体で100%(20/20)だった。再現性は、全陽性対照と陰性対照(各3回測定)で確認された。抗体検査が陽性の場合は、必要に応じてPCR検査を実施した。 主要評価項目は、SARS-CoV-2抗体(IgG)陽性の被験者の割合だった。全例のうち、非医師・非看護師と、基礎疾患がない人を対照群として分類し、対照群、患者群(基礎疾患あり)、および医師/看護師群の抗体保有率を計算した。 主な結果は以下のとおり。・1,603例の内訳は、患者群988例、医師/看護師群504例、対照群111例(基礎疾患なし)だった。・抗体検査で陽性となったのは、全群で39例(2.4%)、患者群で29例(2.9%)、医師/看護師群で10例(2.0%)、対照群で0例だった。群間・年齢・性別、および対照群の抗体有病率を調整後、抗体有病率は患者群で2.7%、医師/看護師群で2.1%だった。・抗体検査で陽性となった39例のうち、医師の判断により7例がPCR検査を受けたが、結果はいずれも陰性だった。・年齢、性別、医療者/非医療者、BCG ワクチン接種の有無、基礎疾患の有無、直近の海外渡航経験など、すべての調査項目と抗体検査結果のあいだに有意差のある関連は見出だせなかった。 今回の調査を主導した神奈川県内科医学会学術部会長の松葉 育郎氏は「国内の抗体陽性率は0.33~3.3%と調査によって幅があるが、今回の調査の結果からは6月に政府が発表した東京0.10%、大阪0.17%よりも高い可能性が見える。無症状の不顕性感染が相当数いることを踏まえ、PCR検査を受ける要件を再検討する必要がある」と提言している。

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がん患者・家族、食と体重の悩み5割が「相談できていない」/日本対がん協会

 公益財団法人日本対がん協会 サバイバークラブは、2020年9月30日、全がん種を対象にした、がん患者・家族がかかえる食と体重減少の悩みに関する全国インターネット調査の結果を発表。多くのがん患者・家族が食や体重減少に関する悩みを抱えており、また、相談できていない現状が明らかになった。 調査対象は、がん患者とその家族。調査期間は2019年10月1日~2019年11月18日、回答数は1,382名(がん患者1,168名、家族214名)であった。食の悩み6割 「食事について気になることや悩みを感じたことがある」と回答した割合は、患者本人は58%、家族は77%が、全体では61%であった。具体的な食の悩みには「食欲がない」が48%、「味が変わって感じる」40%、「吐き気・嘔吐」37%、「体重減少」36%などで、さまざまな悩みが混在していることがわかった。体重減少5割  体重の変化については、「減った(かなり体重+少し減った)」と回答した割合は、患者本人42%、家族65%、全体では46%であった。体重の変化による悩みを見ると「疲れやすく、日中の活動が制限される」との回答がもっとも多く、44%にのぼった。食に対する情報収集は6割  全体の55%が食事に対する情報収集を行っており、とくに胃がんではその割合は66%と、もっとも高かった。相談していない5割  食事と体重減少の悩みに関する相談経験の有無については、「相談していない」と回答した割合が47%であった。「相談して満足」と回答した割合は40%、「相談に不満」とした回答者の相談結果への思いは「自分で解決しなくてはいけないと思った」、「参考になる情報が得られなかった」が上位を占めた。

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生物学的DMARD抵抗性RA、ウパダシチニブvs.アバタセプト/NEJM

 生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARD)に抵抗性の関節リウマチ患者において、ウパダシチニブはアバタセプトと比較し、12週時の疾患活動性スコア(DAS28-CRP)のベースラインからの変化量および臨床的寛解率に関して優越性が認められた。ただし、重篤な有害事象の発現率は高かった。スイス・Cantonal Clinic St. GallenのAndrea Rubbert-Roth氏らが、24週間の多施設共同無作為化二重盲検実薬対照第III相試験「SELECT-CHOICE試験」の結果を報告した。ウパダシチニブは経口選択的ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬で、関節リウマチの治療薬として用いられているが、bDMARD抵抗性の関節リウマチ患者において、T細胞選択的共刺激調節薬のアバタセプトと直接比較したウパダシチニブの有効性および安全性は不明であった。NEJM誌2020年10月15日号掲載の報告。ウパダシチニブの有効性と安全性をアバタセプトと直接比較 研究グループは、2017年5月~2019年9月の期間に、bDMARDで効果不十分または不耐容の中等度~重度の活動性関節リウマチ患者を、ウパダシチニブ(1日1回15mg経口投与)群、またはアバタセプト(静脈内投与)群に1対1の割合で無作為に割り付け、いずれも従来型合成疾患修飾性抗リウマチ薬(csDMARD)と併用投与した。 主要評価項目は、12週時の28関節とC-反応性蛋白(CRP)を用いて評価する疾患活動性スコア(DAS28-CRP:0~9.4、スコアが高いほど活動性が高いことを示す)のベースラインからの変化量の非劣性である。また、重要な副次評価項目は、12週時のDAS28-CRPのベースラインからの変化量、ならびに12週時の臨床的寛解率(DAS28-CRPが2.6未満を達成した患者の割合)の、アバタセプトに対するウパダシチニブの優越性とした。ウパダシチニブ、主要評価項目および重要な副次評価項目を達成 合計ウパダシチニブ群303例、アバタセプト群309例において、ベースラインのDAS28-CRPはそれぞれ5.70、5.88であった。 12週時のDAS28-CRPのベースラインからの平均変化量は、ウパダシチニブ群-2.52、アバタセプト群-2.00であり、アバタセプト群に対するウパダシチニブ群の非劣性および優越性が検証された(群間差:-0.52点、95%信頼区間[CI]:-0.69~-0.35、非劣性のp<0.001、優越性のp<0.001)。また、12週時の臨床的寛解率は、ウパダシチニブ群30.0%、アバタセプト群13.3%であった(群間差:16.8ポイント、95%CI:10.4~23.2、優越性のp<0.001)。 24週間の投与期間中にウパダシチニブ群で死亡1例、非致死的脳卒中1例、静脈血栓塞栓症2例が報告された。肝機能異常(アミノトランスフェラーゼ値上昇)を認めた患者は、ウパダシチニブ群がアバタセプト群より多かった。 結果を踏まえて著者は、「関節リウマチ患者におけるウパダシチニブの有効性および安全性を検証するため、より長期で大規模な臨床試験が必要である」とまとめている。

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最適な血行再建術を選択する新SYNTAXスコアを開発・検証/Lancet

 10年死亡ならびに5年主要心血管イベントを予測するSYNTAXスコアII 2020は、冠動脈バイパス術(CABG)または経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の恩恵を得られる個人の特定に役立ち、心臓チーム、患者およびその家族が最適な血行再建術を選択するのを支援可能であることが示された。オランダ・アムステルダム大学のKuniaki Takahashi氏らが「SYNTAXES試験」の副次解析結果を報告した。無作為化比較試験は新たな治療法の有効性を検証するゴールドスタンダードで、一般的には平均的な治療効果を示すものであるが、治療効果は患者によって異なる可能性があり、個々の患者の治療を平均的な治療効果に基づいて決定することは最適ではない可能性がある。そこで著者らは、複雑な冠動脈疾患患者において最適な血行再建術を選択する個別意思決定ツールとしてSYNTAXスコアII 2020を開発し検証した。Lancet誌オンライン版2020年10月8日号掲載の報告。10年死亡と5年主要心血管イベントを予測するSYNTAXスコアII 2020を開発 SYNTAXES試験は、2005年3月~2007年4月に北米および欧州の18ヵ国85施設で実施された医師主導型多施設共同無作為化比較試験(SYNTAX試験)の10年追跡試験である。新規の3枝または左主幹部病変を有する患者を、PCI群またはCABG群に1対1の割合で無作為に割り付け追跡評価した。主要評価項目は10年全死因死亡であった。 研究グループは、SYNTAXES試験のデータからCox回帰法を用いて10年全死因死亡を予測する臨床予後指標を開発した後、治療の割り付け(PCI/CABG)と、これまでのエビデンスに基づいて選択された事前に規定した2つの効果修飾因子(病変の種類[3枝病変か左主幹部病変]、解剖学的SYNTAXスコア)も組み合わせたCoxモデルを開発。また、同様の方法を用いて、PCI/CABGを受けた患者の主要心血管イベント(全死因死亡、非致死的脳卒中、非致死的心筋梗塞の複合)の5年リスク予測モデルを開発した。 次に、両モデルについて、SYNTAX試験で交差検証(1,800例)を行うとともに、FREEDOM試験、BEST試験およびPRECOMBAT試験の併合集団(3,380例)で外部検証を行い、両モデルの予測能とその差(2つの治療群の絶対リスク差を算出し、CABGとPCIの推定利益を比較)の検討を行った。C統計量を用いて識別能を、較正プロットを用いて予測と観察の一致度を評価した。SYNTAXスコアII 2020は5年主要心血管イベントの予測に関して有用な識別能 交差検証において、新たに開発されたSYNTAXスコアII 2020は、10年全死因死亡と5年主要心血管イベントの予測に関して2つの治療群で有用な識別能を示した。10年全死因死亡のC統計量は、PCIで0.73(95%信頼区間[CI]:0.69~0.76)、CABGで0.73(0.69~0.76)、5年主要心血管イベントのC統計量は、それぞれ0.65(0.61~0.69)、0.71(0.67~0.75)であった。 外部検証においても、SYNTAXスコアII 2020は5年主要心血管イベントの予測に関して、有用な識別能(PCIのC統計量は0.67[95%CI:0.63~0.70]、CABGは0.62[0.58~0.66])と良好な較正を示した。 PCIを上回ると推定されたCABGの治療有益性は試験集団の患者間で大きく異なっており、有益性の予測は良好に調整されていた。

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新型コロナウイルス、マスクによる拡散・吸い込み抑制効果を実証―東京大

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、飛沫やエアロゾルが感染経路であり、感染拡大を防ぐためのマスク着用は、もはや日常生活に必須となっている(ただし乳児などを除く)。しかし、浮遊するウイルスに対するマスクの防御効果は不明である。今回、東京大学の河岡 義裕氏ら研究グループが実際にSARS-CoV-2を用いてマネキンに装着したマスクを通過するウイルス量を調べたところ、SARS-CoV-2の空間中への拡散および吸い込みの双方を抑える効果が確認された。一方、医療従事者が頻用するN95マスクについては、高い防御性能を示したものの、マスク単体ではウイルスの吸い込みを完全には防げないこともわかった。本研究についての論文は、mSphere誌オンライン版2020年10月21日号に掲載された。サージカルマスクの効果でウイルスの吸い込み量が約50%まで抑えられた 本研究では、空中に浮遊するSARS-CoV-2に対してマスクの防御効果を検証するため、感染性のSARS-CoV-2を用いてウイルスの空気伝播をシミュレーションできる特殊チャンバーを開発。2体のマネキン頭部を向かい合わせに設置し、一方のマネキンにはネブライザーが繋がれ、SARS-CoV-2を飛沫やエアロゾルとしてヒトの咳と同等の速度で口元から放出し、チャンバー内に拡散する。もう一方のマネキンには人工呼吸器が繋がれており、吸い込んだウイルス粒子がウイルス回収装置に捕集される仕組みだ。 ウイルスを吸い込む側のマネキンに各種マスク(布、サージカル、N95)を装着し、ウイルスの吸い込み量を調べたところ、布マスクでは、マスクなしと比べウイルスの吸い込み量が60~80%に抑えられ、サージカルマスクでは約50%、N95マスクでは10~20%まで抑えられることがわかった。ただし、N95マスクは十分にフィッティングをしなければ防御効果は低下し、隙間を完全に塞いでもなお一定量のSARS-CoV-2がマスクを透過することがわかった。さらに、ウイルスを吐き出す側のマネキンに布マスクまたはサージカルマスクを装着させ、吸い込む側のマネキンにも各種のマスクを装着させると、相乗効果でウイルスの吸い込み量が20~30%程度まで減少することがわかった。 一方で、ウイルスの遺伝子はいずれのマスク着用時においても検出されたという。著者らは、「実際の感染者から吐き出されたウイルスがマスクを通過して感染を引き起こすのか否かについては今後の更なる解析が必要だが、マスクのみでは浮遊するSARS-CoV-2の吸い込みを完全には防げないことを示唆している」と述べ、適切なマスクの着用法を徹底すると共に、マスクの防御効果を信頼し過ぎず、ほかの感染拡大防止措置との併用を考慮すべきとしている。

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オシメルチニブのEGFR変異肺がん術後補助療法、FDAの優先審査対象に/アストラゼネカ

 アストラゼネカは、2020年10月21日、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)の医薬品承認事項変更申請(sNDA)が受理され、治癒目的の腫瘍完全切除後の早期(Stage1B、2、3A)EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法として、米国で優先審査品目に指定されたことを発表した。 今回のsNDAは、オシメルチニブが、主要評価項目であるStage2および3AのEGFR変異NSCLCにおけるDFS、ならびに副次評価項目の1つである全症例(Stage1B~3A)におけるDFSの統計学的に有意で臨床的に意義のある延長を示した第III相ADAURA試験のデータに基づいている。 2020年4月、独立データモニタリング委員会は、オシメルチニブが顕著な有効性を示したとして、ADAURA試験の非盲検化を予定より2年早めることを勧告した。なお、被験者は試験を継続中であり、現在も盲検は維持されている。ADAURA試験のデータは、2020年5月の米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)のプレナリーセッションで発表され、The New England Journal of Medicine誌に掲載された。

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第40回 降圧薬は就寝時服用でより心血管イベントリスクを低減の報告【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 痒みなどのアレルギー症状や喘息発作、片頭痛発作など、特定の時間に症状が出やすい疾患では、日内リズムや薬物の時間薬理学的特徴に応じて薬剤の服用タイミングが設定されることがあります。血圧にも日内変動がありますが、こうした時間治療(chronotherapy)は高血圧に対しても有用なのでしょうか。今回は、降圧薬の服用タイミングと心血管イベントについて検討したHygia Chronotherapy Trial1)を紹介します。対象は、スペイン在住の18歳以上の白人で、普段は日中に活動して夜間は就寝し、1剤以上の降圧薬を服用している高血圧患者1万9,084例(男性1万614例、女性約8,470例、平均年齢60.5歳)です。夜勤のある人やほかの人種では結果が変わるかもしれない点には注意が必要です。降圧薬を就寝時に服用する群9,552例、起床時に服用する群9,532例に分け、中央値6.3年追跡しています。ランダム化の方法は厳密には本文からは読み取れませんが、結果的に振り分けられたベースラインでの群間の特徴は似通っているため、おおむね平等な比較とみてよいかと思います。試験期間を通して定期的な血圧測定を行い、さらに年に1回は2日間にわたり携帯型の自動血圧計を装着して、自由行動下の24時間血圧も測定しています。服用薬の内訳は、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、ACE阻害薬、Ca拮抗薬、β遮断薬、利尿薬で、評価者のみを盲検化するPROBE(Prospective Randomised Open Blinded-Endpoint)法を用いて評価しています。アウトカムは、主要なCVDイベント(CVDによる死亡、心筋梗塞、冠動脈再建術、心不全、脳卒中)の発生でした。医師と患者のいずれも治療内容を知っているためバイアスは避けられませんが、実臨床に近いセッティングともいえるでしょう。判断に揺らぎが出やすいアウトカムだと評価者の判断が影響を受けかねませんが、心筋梗塞や死亡など明確な場合は問題になりづらいと思われます。結果としては、追跡調査期間中に、1,752例で主要なCVDイベントがあり、就寝時服薬群の起床時服薬群と比較してのハザード比は次のとおりでした。 心血管イベントの複合エンドポイント 0.55(95%信頼区間[CI]: 0.50-0.61) 心血管死亡 0.44(95%CI:0.34~0.56) 心筋梗塞 0.66(95%CI:0.52~0.84) 冠動脈再建術 0.60(95%CI:0.47~0.75) 心不全 0.58(95%CI:0.49~0.70) 脳卒中 0.51(95%CI:0.41~0.63)降圧薬を起床時に服用した群と比べて、就寝時に服用した群では、心血管死亡リスクは56%、心筋梗塞リスクは34%、血行再建術の施行リスクは40%、心不全リスクは42%、脳卒中リスクは49%、これらのイベントを併せた複合アウトカムの発症リスクは45%と、それぞれ有意に低いという結果でした。これらの結果は、性別や年齢、糖尿病や腎臓病といったリスク因子の有無にかかわらず一貫しています。就寝時服薬群は24時間血圧で夜間の血圧が低下本文では著者らは相対ハザード比のみを報告し、絶対リスク減少率(ARR)や必要治療数(NNT)を報告していませんでしたが、批判を受けたためコメント欄に補足する形で各アウトカムのARRとNNTを追記しています。それによると、全CVDイベントは起床時服用群で1,566、就寝時服用群で888、ARRは 7.08(95%CI:6.13~8.02)、NNTは14.13(95%CI:12.46~16.30)でした。24時間血圧の測定値からも、就寝時服用群では睡眠中の血圧値が有意に低いこともわかっており、心筋梗塞や脳卒中のリスク因子である夜間高血圧の改善が結果に寄与したのではないかと仮説が述べられています。現時点では高血圧症診療ガイドラインに服用タイミングについて明確な言及はありませんが、就寝時の処方が増えてもおかしくない結果ではないでしょうか。もちろん、夜間の血圧が昼間に比べ20%以上低くなるようなextreme-dipper型などでは注意が必要です。利尿薬を夜に服用することを避けたいという患者さんもいれば、一部のCa拮抗薬は朝食後服用となっているものもあります。そうした個別の事情を踏まえつつ、用法提案の1つの選択肢として覚えておいて損はないかと思います。1)Hermida RC, et al. Eur Heart J. 2019; ehz754.

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「新・徒然草」が脳外科学会にデビュー!【Dr. 中島の 新・徒然草】(346)

三百四十六の段 「新・徒然草」が脳外科学会にデビュー!金木犀の香る日本晴れかと思えば、また冷たい雨に戻ったり。まことに目まぐるしく変わる秋の空であります。さて、先日は日本脳神経外科学会第79回学術総会で「二刀流」について発表してきました。ケアネットの連載がアピールしたのか、「二刀流の時代を生きる」という特別企画の演者に指定いただいたからです。名誉なことではありますが、私にとっては青天の霹靂!人生なにがあるやらわかりません。ということで、「脳外科医として、モノ書きとして」という演題で準備しました。おそらくは「モノ書きとして」という部分が学会出席者の聴きたいところだと思います。そこで、自らのレジデントノート(羊土社)やケアネットの連載、紙出版、電子出版について、その経験を余すところなく述べました。モノ書きとしての収入も含めて、です。一応、バックアップとしてあらかじめ音声を吹き込んだスライドを学会に送っていました。でも、現地で出席者の反応を見ながらしゃべるほうが、やはり調子がでます。「こんな事まで言っていいのかな?」と思いつつ、つい笑いをとりにいくのが大阪人の性。しゃべりにしゃべった17分間の後、なんと会長先生から思わぬ質問が。「中島先生はいつも最後に川柳を入れておられますが、それはいつ頃からでしょうか。また、何処かで習ったのでしょうか?」そっちですか!「いやあ、結構、最初のほうから『最後に1句』とやっていたような」「とくに習ったというわけでもなく、まあ適当ですね」「あの源氏物語もですね、中の和歌はありきたりというか何というか」と、わけのわからない回答になってしまいました。ということで、振り返ってみました。川柳と私の関係について、です。1990年代前半、アメリカ留学中だった私は日本に飢えていました。週1回だけ放送されていた日本語の連続ドラマを夢中で観ていたものです。その名も「課長サンの厄年」。萩原健一演ずる課長さんをめぐるドタバタ劇です。そして、毎回、最後にサラリーマン川柳が引用されていました。その週のドラマをきれいな五七五で締めくくっていたのです。「うまいやり方だなあ」と感心した覚えがあります。時は過ぎ、縁あって2001年から研修医向けの月刊誌「レジデントノート」に連載を始めました。これは原稿用紙7枚ほどのエッセイで、「寝転んで読めて1つ賢くなる」というのが売りです。調べてみると、今に至る230回の連載のうちの第20回目(2003年)に最初の川柳をいれていました。クロージングステートメントの代わりに川柳を置くとおさまりが良かったのです。最初は不定期でしたが、第24回目からは毎回、三十一文字の川柳をひねるようになりました。続いてケアネットのほうでは2005年から医師向けブログを開始しました。途中の中断を挟んで500回以上になります。こちらは2015年1月15日から川柳を入れ始めました。レジデントノートが三十一文字であるのに対し、ケアネットは五七五の十七文字です。短くなった分、制約がきつくなったわけですが、これはこれで面白いものでした。で、レジデントノートにしてもケアネットにしても、本文を書いた時点で疲労困憊。さらに川柳を考えるとなると大変です。ところがここに関係してくるのが源氏物語。遠い昔、私が高校生だった時のことです。古文の授業をしていた国語教師が心底困った表情で、「いやあ、源氏物語は素晴らしい文学作品なのですが、挿入されている和歌がなんとも凡庸なんですよね」と嘆いておられました。実際に、源氏物語の挿入句が凡庸なのかは、私ごときが語れるはずもありません。しか~し、「あの紫式部ですら、和歌のほうは大したことなかったんだ!」というメッセージがしっかり私の頭の中に残ってしまいました。なので、私のつくる最後の1句は力を入れているとは言い難いものです。どうもすみません。最近、ケアネットのほうでは川柳ではなく俳句を意識するようになりました。わずか十七文字に季語をねじ込む努力をしているわけです。これはさすがにきつい。でも、季語を入れるとなんだか全体が引き立つ気がする!まるで言葉を使った記念撮影みたいです。こういうのもいいですね。というわけで、ついに「新・徒然草」が脳外科学会にデビューした、というお話でした。最後に1句秋雨の 備前で語る 二刀流

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第29回 看護師・薬剤師の視点から考える「医師のタスクシフティング」

看護師や薬剤師の視点から、医師業務のタスクシフティング(業務移管)についての意見を聞いた。医療法務研究協会が10月3日に「医師の働き方―タスクシフティングの在り方」をテーマに都内で開いたセミナーで、診療看護師(NP)資格の法制化や薬剤師の業務領域の拡大などが提言された。一方、弁護士からは、改革をしようとすると軋轢も起きるとの指摘もあった。最初に、日本NP教育大学院協議会の草間 朋子会長が「診療看護師(NP)に対する理解と認知を」をテーマに登壇。草間氏はNPについて「プライマリケア(初期医療)を自律的(自らの判断と責任で)に実践できる看護職」と定義し、医師の指示を受けて「診療の補助」行為を行う特定看護師とは違う点を説明した。その上で、医師は患者の疾病をコントロールするのに対し、NPは患者の症状をコントロールするという役割の違いに言及した。また草間氏は、NPを採用している医療機関がNPを評価している点として、▽医師が手術などにより不在の場合、診療を滞りなく進めることができ、医師の時間外労働が短縮した ▽NPが代行入力や文書作成などを行うことで、医師が医師でなければできない業務に専念することが可能になった ▽救命救急センターではNPが2次救急に対応することにより、医師は3次救急に専念できるようになった―などの声を紹介した。最後に草間氏は、NPの身分や業務を明確化するため、保健師助産師看護師法(保助看法)の改正などによるNP資格の法制化を訴えた。次に登壇した日本薬剤師会理事で丸昌薬局薬剤師の堀越 博一氏は「医薬品医療機器等法改正とこれからの薬局薬剤師業務」をテーマに話した。2019年の薬機法改正により継続的な服薬指導が必要になるなど、薬剤師の業務が「対物」から「対人」に移行している状況などを紹介した。その後開かれたシンポジウムで堀越氏は、医療機関で薬剤師外来が増えてきており、医薬品の投与量や代替医薬品の選択・提案、副作用のモニタリングなど、薬が関係するところに薬剤師が関わっていくことで、医師の診療業務量を軽減できるとの考えを示した。また、新型コロナウイルスの感染防止に関連して、ワクチン開発に対しても創薬時から薬剤師が関与したり、アメリカのように薬局でPCR検査を実施できるようになったりすれば、医師の業務軽減に貢献できる裾野が広がるのではと述べた。会場の参加者からは「薬剤師には処方箋情報しかない。診療情報も共有できなければ、チーム医療の一員として対応できないのでは」との指摘があった。これに対して堀越氏は、メーカーごとにフォーマットが異なる電子カルテの標準化や、マイナポータルなどにより患者が自らの病気に関する情報を持つことにより、医療従事者間での患者情報の共有は可能との考えを示した。最後に司会を務めた井上 清成弁護士が「医師の働き方改革は徐々に進んでいる。ただ、改革しようとすると、必ず軋轢が起きる。実際、裁判沙汰になったり、深刻なトラブルになったりしている」と指摘。具体的には、働き方改革による時間外労働時間の減少で給与がダウンし、労使間でトラブルになったり、中堅以上の医師の中にはチーム医療に難色を示したりする人もいるという。はからずも今年、世界規模で新型コロナウイルスが蔓延し、医療現場をひっ迫させる事態に直面した。長年にわたり、議論の機運が高まっては尻すぼみを繰り返してきたNPの本格導入だが、この機会にこそ、改めてタスクシフティングおよび持続可能な医療体制の在り方を検討する一環として考えてみてもいいのかもしれない。

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統合失調症と気分障害の入院患者における代謝障害の相違点

 生活習慣病と密接に関連している心血管疾患は、精神疾患患者の主な死因の1つである。統合失調症と気分障害では、症状や治療薬が異なり、代謝障害にも違いがあると考えられる。国立国際医療研究センター 国府台病院の鵜重 順康氏らは、日本における統合失調症患者と気分障害患者の生活習慣病の違いについて調査を行った。Annals of General Psychiatry誌2020年9月22日号の報告。統合失調症と気分障害の入院患者は症候性脳梗塞や脳梗塞の割合が増加 本研究は、2015~17年に実施した横断的研究である。対象は、国立国際医療研究センター 国府台病院 精神科の日本人入院患者189例(統合失調症群:144例、気分障害群:45例)。対象患者の身体疾患、グルコースと脂質の代謝状態、推算糸球体濾過量(eGFR)、脳MRIを調査した。統合失調症群と気分障害群のデータを比較するため、共分散分析またはロジスティック回帰分析を用いた。対象患者と標準対照者の数値を比較するため、厚生労働省「国民健康・栄養調査報告2015」のデータを基準値として使用した。 統合失調症と気分障害の入院患者の身体疾患などを調査した主な結果は以下のとおり。・年齢で調整した後、気分障害群のeGFRと喫煙率は、統合失調症群よりも有意に低かった。・統合失調症群と気分障害群は、標準対照者と比較し、無症候性脳梗塞と脳梗塞の割合が有意に高かった。・統合失調症の入院患者は、標準対照者の基準値と比較し、糖尿病、低HDLコレステロール血症、メタボリックシンドロームの有病率および喫煙率が有意に高かった。・気分障害群は、標準対照者と比較し、低HDLコレステロール血症の有病率が有意に高かった。・統合失調症群と女性の気分障害群は、標準対照者と比較し、空腹時血糖とHbA1cが有意に高かった。・女性の気分障害群は、標準対照者と比較し、eGFR(60mL/分未満)の有意な低下が認められた。 著者らは「統合失調症患者および気分障害患者では、グルコースや脂質の異常を伴い、無症候性脳梗塞や脳梗塞の割合が増加していた。気分障害患者では、統合失調症患者よりも、eGFRと喫煙率が有意に低かった」としている。

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