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チルゼパチドが中等症以上のOSASに適応拡大

 厚生労働省薬事審議会・医薬品第一部会は4月24日、日本イーライリリーの肥満症治療薬チルゼパチド(商品名:ゼップバウンド皮下注)について、中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)に対する適応拡大および肥満症に関する効能又は効果の一部変更の承認を了承。5月18日の承認に伴い、チルゼパチドの添付文書が改訂された。本剤の使用に当たっては、最適使用推進ガイドラインを参照されたい。チルゼパチド、肥満症についての一部変更点とOSASへの適応拡大 主な改訂点は以下のとおり。[効能又は効果](下線部分を改訂)◯肥満症ただし、高血圧、脂質異常症又は耐糖能障害(2型糖尿病、耐糖能異常等)のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。・BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する・BMIが35kg/m2以上◯中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群ただし、BMIが27kg/m2以上に該当する場合に限る。※各効能又は効果に関連する注意は添付文書を参照[用法及び用量]◯肥満症通常、成人には、チルゼパチドとして週1回2.5mgから開始し、4週間の間隔で2.5mgずつ増量し、週1回10mgを皮下注射する。なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、週1回5mgまで減量、又は4週間以上の間隔で2.5mgずつ週1回15mgまで増量できる。◯中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群通常、成人には、チルゼパチドとして週1回2.5mgから開始し、4週間の間隔で2.5mgずつ増量し、週1回15mgを皮下注射する。なお、忍容性が認められない場合には、週1回10~15mgの範囲で投与量を調整することができる。

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介助犬は介護者並みのケアを提供する

 介助犬は私たちが考えている以上に、障害や病気を抱える人の「積極的なケア提供者」として行動しているようだ。人間と介助犬との協働的な相互作用を調査した新たな研究で、介助犬は、飼い主の健康状態を予測したり、移動を補助したり、人間やロボットでは代替できない方法で精神的な支えを提供したりするなど、目に見えないケア活動を行っていることが明らかになった。アールト大学(フィンランド)経営学部のAstrid Huopalainen氏とトゥルク大学(フィンランド)経済学部のSuvi Satama氏によるこの研究の詳細は、「Human Relations」に3月20日掲載された。 この研究では、盲導犬や医療アラート犬などの介助犬13匹とその飼い主との日常生活の様子を、インタビュー、エスノグラフィー(民族誌)に基づく観察(集団や社会の行動様式を直接観察により理解する方法)、写真を通じて分析した。 その結果、人と犬は言葉を使わず、しぐさや動き、反応を通じて互いを読み取り合っていることが示された。例えば、研究参加者の1人は、自宅で履くお気に入りのウールの靴下についてのエピソードを次のように語っている。「昨日帰宅したとき、靴下をどこに置いたのか分からなくて家の中を探しまわっていた。そのあとソファに座ると、犬が隣に来て、靴下を私の手に落とした。まるで、『ほら、これを探してたんでしょ』と言っているかのようだった。私が靴下のことを口にしたわけでもないのに、『これ、もうすぐ必要になるよね』と思ったようだった」。 また、介助犬はケアの担い手としての役割を果たし、人間は自分の判断よりも犬の判断に頼らざるを得ない場合があることも明らかになった。「例えば、糖尿病の人は、犬が血糖値の変化を検知した際、その知らせに頼ることになる。犬の合図に従って血糖値を確認したり、必要な薬を適切なタイミングで使用したりすれば、深刻な事態を回避できる」とSatama氏は述べている。 研究グループは、このような関係性によって、人と犬の従来の関係が、人間が犬の世話をするという一方向的なものではなくなり、その境界が曖昧なものになると指摘する。Satama氏は、「介助犬は人間を支え、人間もまた精一杯、介助犬の世話をする。このようにして、弱さが関係性となり、双方がケアを与え、そして受け取ることになる」と話す。 Satama氏によると、研究中には、介助犬が「勤務時間外」であることを認識し、時には飼い主にいたずらをしたり、自分の判断で物事を進めたりする様子が見られたという。同氏は、「視覚障害のある人とその介助犬の集まりを観察していたときのことだ。犬たちは、飼い主のそばで床に伏せているよう指示されていた。突然、1匹の犬が、別の犬やにおいのする方へこっそり移動し始めたが、その犬の飼い主は、視覚障害のため気付かなかったが、その犬が自分の意思で行動していると感じた」と振り返った。 研究グループは、この研究が、さまざまな組織における動物の多様な役割と、職場での動物の福祉についての議論を巻き起こすことを期待している。また、犬が単に、指示されたことを行うだけではなく、自分で状況を判断し、行動する能力を持ち合わせていると理解することが、より良いケアの実現につながる可能性があるとの見方を示している。 その上で研究グループは、「本研究結果は、犬が主体的に判断し、行動するケアのあり方に光を当てることで議論を広げるものだ。同時に、人と動物の間のケア関係は、『彼らにとっての利益とは何か』『どのように相互の利益を実現できるのか』という観点から、動物の立場を真剣に考える倫理的責任を私たちに問いかけている」と結論付けている。

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認知症スクリーニングは家族の心理的負担を増やさない

 認知症のスクリーニングを受けることは、高齢者本人や家族が将来の疾患の進行に備えて計画や準備をするための「事前の警告」となり得る。一方で、陽性と判定された場合、家族が介護者としての役割に不安を抱いたり、高齢者本人が自立を失うことを心配したりするなど、ストレスとなる可能性もある。 しかし、こうしたストレスを理由に認知症のスクリーニングを先延ばしにする必要はないようだ。大規模臨床試験において、かかりつけ医の診察時に実施されたアルツハイマー病および関連認知症(ADRD)のスクリーニングの結果は、高齢者の家族に心理的苦痛を引き起こさないことが示された。米インディアナ大学医学部のNicole Fowler氏らによるこの研究結果は、「JAMA Internal Medicine」に4月20日掲載された。 論文の筆頭著者であるFowler氏はニュースリリースで、「この研究は、ADRDのスクリーニングが家族の生活の質(QOL)や抑うつ、不安を2年間にわたって悪化させなかったことを示す安心材料となる」と述べている。 この研究では、2018年10月から2023年9月の間に米インディアナ州の29のプライマリケアクリニックを受診した65歳以上の患者とその家族1,808組(患者の平均年齢73.7歳、女性53%)を対象に、ADRDのスクリーニング実施が家族にもたらすベネフィットとリスクが評価された。患者の家族の半数以上(64.8%)は配偶者であり、平均年齢は64.2歳で女性が67.7%を占めていた。対象ペアは、ADRDのスクリーニングのみを受ける群(601組)、スクリーニング+追加検査への紹介を受ける群(603組)、およびスクリーニングを受けない対照群(604組)にランダムに割り付けられた。 主要評価項目は、24カ月時点における家族の健康関連QOLであり、SF-36(Short Form Health Survey)の身体的健康スコアと精神的健康スコアのサマリースコアを用いて評価された。また、副次評価項目として、家族の抑うつ・不安の症状、介護準備度および介護者の自己効力感に加え、患者本人のQOLや精神状態も評価された。 全体で61人(5.1%)の患者がスクリーニングで陽性の判定を受けた。陽性者のうち、スクリーニング+追加検査紹介群では、35.7%(28人中10人)が診断のための追加検査を受けなかった。解析の結果、スクリーニング実施群(スクリーニング群とスクリーニング+追加検査紹介群)と対照群との間で、SF-36による身体的および精神的健康のサマリースコアに有意な差は認められなかった。さらに、24カ月時点における患者のQOLや精神状態についても、両群間で有意な差は認められなかった。 Fowler氏は、「本研究結果は、ADRDのスクリーニングを実施することと、早期診断を行い患者や家族を適切なケアにつなげることは別であるという重要な点を示している。早期診断は、診断評価や治療、継続的支援に結び付いて初めて、家族や介護者にとって有益となる可能性がある」と指摘している。 そのうえでFowler氏は、「これらの結果は、ADRDのスクリーニングを実施する際には、患者が適切な診断やケアを受けられるような体制整備が必要であることを示している」と述べている。例えば、アルツハイマー病の早期診断に役立つ新しい血液検査法が開発されつつあり、これにより有望な新規治療や臨床試験へ患者をつなぐことができるという。 Fowler氏は、「ADRDの診断の遅れは、介護者のストレスや負担、孤立感の増大と関連している。一方、早期発見は、教育や早期介入、支援を通じて家族を助ける可能性がある。また、プライマリケアと連携する協働型の認知症ケアプログラムは、患者と介護者双方の転帰を改善することが知られている。さらに、近年の疾患修飾薬は、アルツハイマー病の早期段階でのみ、使用が承認されている」と述べている。

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半月板部分切除術、長期的改善は認められず

 世界的に広く実施されている膝の手術の一つである半月板部分切除術は、患者の症状改善に寄与しないばかりか、症状悪化につながる可能性がある----そんな研究結果を、ヘルシンキ大学(フィンランド)外科分野教授のTeppo Jarvinen氏らが報告した。半月板損傷は、膝関節内にある半月板が損傷することで、痛みや腫れ、関節可動域の制限などを引き起こす疾患で、半月板部分切除術は、その損傷部分を切除する手術だ。Jarvinen氏らの研究では、この手術は長期的には膝の痛みや機能を改善せず、むしろ関節炎の進行を促進する可能性が示された。詳細は、「The New England Journal of Medicine(NEJM)」に4月29日掲載された。Jarvinen氏は、「今回の結果は、広く行われている治療法に効果がないばかりか、有害でさえあることが判明する“医療の逆転”の一例である可能性がある」とニュースリリースで述べている。 この研究では、フィンランドで半月板損傷患者146人を対象に実施されたランダム化比較試験の10年間の追跡結果が解析された。患者の約半数(70人)には半月板部分切除術が実施され、残り半数(76人)にはシャム(偽)手術が行われていた。研究グループは、10年間にわたり、X線検査による変形性膝関節症の進行評価に加え、再手術の有無や追加の膝治療などを追跡した。また、3種類の患者報告アウトカム尺度を用いて、半月板損傷に伴う症状、膝機能、運動後の膝痛などについても繰り返し評価した。 患者のうち、いずれの群も91%(半月板部分切除術群64人、シャム手術群69人)が10年間の追跡調査を完了した。解析の結果、半月板部分切除術は、患者の症状改善にほとんど役立たなかったことが示された。具体的には、半月板損傷に伴う症状や日常生活機能障害を評価するウエスタンオンタリオ半月板評価ツール(WOMET)スコアの両群間の平均差は−9.4点で、半月板部分切除術群の結果の方が不良であった。また、膝機能を評価するLysholmスコアも−5.1点と、半月板部分切除術群で機能低下傾向が認められた。さらに、運動後の膝痛スコアは0.86点高く、半月板部分切除術群の方が痛みが強い傾向が示された。 加えて、X線画像で変形性膝関節症の進行が確認された割合は、半月板部分切除術群で81%、シャム手術群で70%であり、人工膝関節置換術または高位脛骨骨切り術を受けた患者の割合はそれぞれ12%、4%であり、いずれも半月板部分切除術群の方が高かった。 共著者の1人であるPihlajalinna Kelloportti Hospital(フィンランド)のRaine Sihvonen氏は、「この手術は、膝の内側の痛みが内側の半月板損傷によって引き起こされており、そうした損傷部位を外科的に治療できるという前提に基づいている。このような生物学的妥当性に基づく推論は、いまだ医学界で広く見られる。しかし今回の場合、その前提は厳密な検証によって支持されなかった」とニュースリリースで述べている。 論文の筆頭著者であるヘルシンキ大学整形外科・外傷学分野のRoope Kalske氏によれば、今回の結果は、半月板部分切除術の有効性が乏しいことを示した過去のランダム化比較試験の結果とも一致しているという。 Jarvinen氏は、「過去10年近くにわたり、多くの整形外科領域以外の独立した診療ガイドライン作成団体が、この手術の中止を推奨してきた。それにもかかわらず、米国整形外科学会(AAOS)や英国膝関節外科学会(BASK)などは、依然としてこの手術を推奨し続けている。これは、効果の乏しい治療法をやめることがいかに難しいかを如実に示している」と述べている。 なお、米ハーバード大学医学大学院は、半月板損傷に対する非外科的治療として、理学療法、膝を休ませること、膝の冷却および挙上、膝装具(ブレース)の使用、市販の鎮痛薬の服用などを推奨している。

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1回の大腸内視鏡検査により大腸がんの死亡率は減少するか?(解説:上村直実氏)

世界と日本の大腸がん検診の動向について 世界で毎年200万件の新規症例が発生する大腸がんは3番目に多いがんであり、世界中で早期発見のための検診が盛んに行われている。日本における2024年の大腸がん死亡者数は、男性約2万8,800例、女性約2万5,600例、合計約5万4,400例で、全がん死亡者数の約14%を占めているが、重要なのは検診および大腸内視鏡検査(CS)による早期発見で予防可能な疾患という点である。 検診方法は、主に直接CSを行う米国に対して、日本・欧州・オーストラリアなどでは最初に免疫学的便潜血検査(FIT)を用いる検診が主流である。いずれの方法においても、大腸がん死亡率の減少には検診の受診率が最も重要であることが明らかとなっている。ちなみに、最近大腸がん死亡者数の低下を認めている米国の受診率は70%で、日本の40%を大きく上回っている。大腸内視鏡検査の有用性を示す報告について 大腸がん検診におけるCSの有用性を示した有名な臨床研究は、1993年NEJM誌に報告された米国発の「National Polyp Study」である。この研究は、内視鏡的に発見された腺腫を切除した後の長期追跡調査により大腸がんの発症率および死亡率が著明に低下し、大腸がん予防に対するCSの有用性を示したのみならず、大腸がんのadenoma-carcinoma sequence説を実際に証明したものとされている。日本で2006年から経過観察された日本版の「Japan Polyp Study」では、「腺腫切除による大腸がん予防」および「CSの適切な間隔は3年間が妥当」との結論が2020年のGUT誌と2024年のCGH誌に報告されており、大腸がん予防にCSによるポリープ切除が確立したものとなっている。その他、観察研究によりCSを用いる検診法の有効性が数多く報告されているものの、検診におけるCS勧奨の有用性を検証するための直接的な大規模無作為化比較試験(RCT)はなかった。 一般住民を対象としたCS勧奨群と通常診療群による世界初の大規模RCTは、ノルウェー、ポーランド、スウェーデンで行われたNordICC試験である。このNordICC試験の10年経過観察の結果は2022年にすでにNEJM誌に報告されている(CLEAR!ジャーナル四天王「大腸内視鏡検診が大腸がんおよび関連死亡のリスクに及ぼす影響」筆者解説)。今回は、さらに3年後の追跡調査の結果が2026年5月のLancet誌に報告された。その結果は前回の報告と同様、「1回のCSは大腸がん発生率を減少させたが、死亡率に対する影響は有意なものではなくCSを受けなかった人とほぼ同じ」であり、研究グループには少し期待外れのものだった。大腸がん死亡率に有意な影響を与えない結果となった最大の要因は、「CS勧奨群のうち実際にCSを受けた者が42%と低率であった」と考察されており、ここでも受診率を上げる工夫が課題となっている。日本の実臨床における対処 日本の臨床現場においてCSは有症状者やFIT陽性者に対して施行されているが、筆者の個人的経験では、CSを行った患者が大腸がんで死亡したという話に遭遇したことはほとんどなく、大腸がん死亡の予防には何らかの機会に一度だけでもCSを受けることが最善の方法だと考えている。最善の検診法と思われるCSにはコストやマンパワーの課題があるため、現在考慮すべきはFIT検診の陽性者に対する精密検査であるCS受診率を100%とするための種々の努力であろう。ちなみに企業検診の受診率は70%と高率になっていることから、住民検診のほうも受診率を上げるための制度設計を考慮すべき時代になっていると思われる。一方、臨床現場においては、消化器領域のみではなく循環器や糖尿病などの診療医師にも、血便や貧血などの症状から可能であればFITの実施を習慣とすることも重要である。

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心房細動患者における左心耳閉鎖術の効果は薬物治療と同等ではない(解説:高月誠司氏)

 CLOSURE-AF試験は、平均年齢77.9歳、CHA2DS2-VAScスコア5.2点で脳卒中および出血リスクが高い心房細動患者を対象に、左心耳閉鎖術(LAAC)と医師主導の最適内科治療(主にDOAC)を比較した多施設無作為化試験である。888例を対象とし、脳卒中、全身性塞栓症、大出血、心血管死または原因不明死の複合エンドポイントを主要評価項目とした。 追跡期間中央値3年で、主要イベント発生率はLAAC群16.8/100患者年、内科治療群13.3/100患者年であり、LAACは内科治療に対する非劣性を示さなかった。脳卒中発生率自体は両群でほぼ同等(2.6 vs.2.7/100患者年)であった一方、大出血の減少は認められず、周術期合併症や術後の二重抗血小板療法(DAPT)が利益を相殺した可能性が考えられた。また、高齢・高リスク患者では死亡が競合リスクとしてイベント評価に影響した可能性もあり、今後は手技安全性の向上や術後抗血栓療法の最適化が課題と考えられる。

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高血圧管理・治療ガイドライン2025(9):禁煙指導【一目でわかる診療ビフォーアフター】Q167

高血圧管理・治療ガイドライン2025(9):禁煙指導Q167禁煙指導の有効手段として「5Aアプローチ」が知られており、『高血圧管理・治療ガイドライン2025』でも取り上げられた1)。5Aとは何か?

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全身性エリテマトーデスの自己注射可能な皮下注薬「サフネロー皮下注120mgオートインジェクター」【最新!DI情報】第63回

全身性エリテマトーデスの自己注射可能な皮下注薬「サフネロー皮下注120mgオートインジェクター」今回は、ヒト抗I型インターフェロン受容体1モノクローナル抗体「アニフロルマブ(遺伝子組換え)(商品名:サフネロー皮下注120mgオートインジェクター、製造販売元:アストラゼネカ)」を紹介します。これまでの点滴静注製剤に加えて皮下注製剤が登場したことで、全身性エリテマトーデス患者の生活状況や治療ニーズに応じた柔軟な治療が可能になると期待されています。<効能・効果>既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデスの適応で、2026年2月19日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>通常、成人にはアニフロルマブ(遺伝子組換え)として、1回120mgを1週間ごとに皮下注射します。なお、アニフロルマブ(遺伝子組換え)点滴静注製剤から本剤に切り替える場合、点滴静注の最終投与から約2週間後に本剤の投与を開始します。<安全性>重大な副作用として、アナフィラキシー(頻度不明)、重篤な感染症(2.3%)があります。その他の副作用として、注射部位反応(10%以上)、気管支炎(気管支炎、ウイルス性気管支炎、気管気管支炎)、上気道感染(上気道感染、上咽頭炎、咽頭炎)、帯状疱疹、過敏症(いずれも1~10%未満)、気道感染(気道感染、ウイルス性気道感染、細菌性気道感染)(いずれも1%未満)、関節痛(頻度不明)があります。なお、症状を悪化させる恐れがあるため、重篤な感染症の患者および活動性結核の患者には投与できません。<患者さんへの指導例> 1.この薬は、ヒト抗I型インターフェロン受容体1モノクローナル抗体製剤であり、既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデスに用いられる皮下注射薬です。 2.今までに、ステロイド、ヒドロキシクロロキン、免疫抑制薬などによる全身性エリテマトーデスに対する適切な治療を行っても効果不十分な場合に上乗せして使用されます。 3.医療機関において、適切な在宅自己注射教育を受けた患者さんや家族が自己注射できます。自己判断で中止や減量をしないでください。 4.妊娠または妊娠している可能性がある女性は、使用する前に医師または薬剤師に告げてください。 <ここがポイント!>全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus:SLE)は、免疫系の異常により全身の多臓器に炎症を引き起こす慢性の自己免疫疾患で、厚生労働省の指定難病49に該当します。初期症状として全身倦怠感や発熱が多くみられ、その後、皮膚・粘膜症状、関節症状、腎病変、中枢神経症状などさまざまな症状が現れるため、患者ごとに症状の組み合わせや重症度が大きく異なります。治療の主軸は副腎皮質ステロイドによる免疫抑制および抗炎症であり、重症例ではステロイドパルス療法が選択されます。しかし、ステロイドは長期使用に伴う多くの副作用があり、ヒドロキシクロロキンや免疫抑制薬、生物学的製剤などを併用し、ステロイドの減量を目指す治療が行われます。SLE患者の多くは、I型インターフェロン(IFN)シグナル伝達が持続的に亢進し、IFN誘導性遺伝子の過剰発現が認められます。アニフロルマブは、I型IFNα受容体サブユニット1に結合するヒト免疫グロブリンG1κ(IgG1κ)モノクローナル抗体であり、I型IFN受容体を介したシグナル伝達を遮断することで自己抗体産生を抑制し、SLEの症状緩和および進行抑制に寄与すると考えられています。同成分は2021年11月に点滴静注製剤が発売されていますが、4週間ごとに通院し、30分以上かけて点滴投与を行う必要があります。今回承認された皮下注製剤は、週1回の自己注射薬であり、従来の点滴静注製剤に加わる新たな選択肢として、患者の生活状況や治療ニーズに応じた柔軟な治療を可能にします。また、通院負担の軽減や治療継続率の向上も期待されます。なお、アニフロルマブ点滴静注製剤から皮下注製剤に切り替える場合、点滴静注製剤の最終投与から約2週間後に皮下注製剤の投与を開始する必要があります。標準治療を実施中の中等症~重症の疾患活動性を有する自己抗体陽性のSLE患者を対象とした第III相国際共同試験(TULIP SC試験)において、主要評価項目である投与52週時のBICLA達成例(複合的な疾患活動性低下指標)の割合は、本剤120mg皮下投与群で59.4%、プラセボ皮下投与群で43.9%、割合の群間差は15.5%(96.46%信頼区間:1.4~29.6%)であり、プラセボ投与群に対する本剤投与群の優越性が検証されました(p=0.0211、層別Cochran Mantel Haenszel法)。

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虫垂炎診療を3分で整理―重症化を示唆するサインとは?【おなかが痛い!そのときどうする?】第4回

虫垂炎診療を3分で整理―重症化を示唆するサインとは?※この連載は動画・スライド制作等にAIを使っています。理解度確認テスト(動画を見終わったらトライしてください)

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第320回 次世代“3G”薬retatrutideが肥満手術に匹敵するほど体重を減らした

Lillyのいわば「一挙三得」の3重アゴニストのretatrutide皮下注射が、第III相試験で肥満手術に匹敵するほどの30%近い体重低下をもたらしました1,2)。昨今の肥満薬の先駆けのNovo Nordiskのウゴービ(セマグルチド)は、糖に応じたインスリン放出を促すホルモンの一種のグルカゴン様ペプチド1(glucagon-like peptide-1:GLP-1)の受容体を活性化します。糖に応じたインスリン放出を助けるホルモンはGLP-1をはじめとしてインクレチンと総称されます。直接対決試験3)でウゴービを上回る体重減少作用を示したLillyの肥満薬ゼップバウンド(チルゼパチド)は、GLP-1受容体に加えてグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(glucose-dependent insulinotropic polypeptide:GIP)というもう1つのインクレチン受容体も活性化するいわば両取り効果があります。Lillyの次なる肥満薬のretatrutideはそれら2つのインクレチン受容体に加えてさらにグルカゴン(glucagon:GCG)という一味違うホルモンの受容体も活性化します。マウスでの検討結果によると、retatrutideのGCG受容体活性化はエネルギー消費を亢進させることでさらなる体重低下を引き出すようです4)。それら3つのホルモンの英語表記の頭文字がどれもGであることからretatrutideはちまたでは3G薬(triple-G)と呼ばれたりします2)。当のLillyはというと、retatrutideを先に記したとおり3重アゴニスト(triple agonist)と称しています。TRIUMPH-1と銘打つ第III相試験には、BMIが30以上の肥満か、BMIが27以上で体重に関連する疾患がある過体重の成人2,339例が参加しました5)。糖尿病患者は参加していません。retatrutide投与群の体重は用量が多いほど減りました。被験者全員が試験の決まりどおりに治療されたとみなす解析(efficacy estimand)での低用量(4mg)、中用量(9mg)、高用量(12mg)群の80週時点の体重は、ベースラインに比べてそれぞれ19.0%、25.9%、28.3%低くて済んでいました。プラセボ群の体重はほぼ変化なしで、ほんの2.2%減ったのみです。別の解析手段(treatment-regimen estimand)でのretatrutide低用量、中用量、高用量群の体重低下率は若干低めで、それぞれ17.6%、23.7%、25.0%の低下を示しました(プラセボ群は3.9%低下)。ベースラインのBMIが35以上の患者に対する24週間のretatrutide継続投与で体重は一層減り、およそ2年の104週時点で多ければ30%ほどの体重減少に至っています。retatrutideの有害事象はインクレチンのように働く薬の試験で認められるものとおおむね一致しており、胃腸系の悪心、下痢、便秘、嘔吐が多く認められました。先立つ試験で認められた神経有害事象の感覚異常(dysesthesia)は、retatrutide低用量、中用量、高用量群でそれぞれ5.1%、12.3%、12.5%に生じました。プラセボ群ではほとんど生じていません(0.9%)。感覚異常はおおむね軽~中等度で、多くは試験中に解消し、retatrutide投与はたいてい継続しました。80週時点の体重がプラセボ効果差し引きで26%ほども減れば試験名のTRIUMPH-1にふさわしく上出来なようですが、今や肥満薬への期待はどうやら天井知らずで、そうでもないとする向きもあるようです。たとえばBMO Capital Marketsのアナリスト達はretatrutide投与群のプラセボ効果差し引き体重減少を実際の26%ほどより多い27~28.5%と見込んでいました2)。当のアナリスト達は、このまま進めば今年中にretatrutideは米国で承認申請されるとみています。TRIUMPH-1試験のさらなる結果は、来月に米国のニューオーリンズで開催される米国糖尿病協会年次総会で発表されます1,6)。 参考 1) Lilly's triple agonist, retatrutide, delivered powerful weight loss in pivotal Phase 3 obesity trial / PRNewswire 2) Lilly’s triple-G drug helps patients lose roughly a quarter of weight, showcasing competitive profile / FierceBiotech 3) Aronne LJ, et al. N Engl J Med. 2025;393:26-36. 4) Coskun T, et al. Cell Metab. 2022;34:1234-1247. 5) ClinicalTrials.gov(TRIUMPH-1試験) 6) What to know about retatrutide: An investigational triple hormone receptor agonist / Eli Lilly

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医師のランチ事情、ベテランは「時短」、若手は「節約」を優先/医師1,000人アンケート

 日々の外来や手術、急患対応などに追われる医師の勤務環境において、「昼食(ランチ)」は貴重な休息とエネルギー補給の時間である。しかし、急な呼び出しや処置の延長など、業務の都合に左右されやすい。今回、CareNet.comでは「医師のランチ事情」と題したアンケートを実施し、勤務日の昼食時間や内容、仕事による中断の頻度、ランチ選びの優先事項などを聞いた。対象はケアネット会員医師1,012人で、20代以上の各年代層から回答を得た。上の世代ほど短時間ランチ、外科系はさらにタイト Q1では「勤務日の昼食休憩(純粋に食事に充てられる時間)」を聞いた。全体では「15分〜30分未満」が36%で最多、次いで「5分〜15分未満」が30%、「30分~1時間未満」が20%と続く。「5分未満」と回答した医師は6%を占めていた。全体の約3分の1の医師が15分以内で昼食を取っていることがわかった。 興味深いのは、年代が上がるにつれて昼食時間がさらに短縮化する傾向が見られる点だ。15分未満(「5分未満」と「5〜15分未満」の合計)で昼食を済ませる割合は、20代で27%にとどまるのに対し、30代では35%、40代では38%、50代では36%、70代以上では38%へと上昇する。20代の若手医師においては「15分〜30分未満」が49%と約半数を占めており、上の世代に比べれば、一定の食事時間を確保できている。 また、診療科系統別では、外科系医師において「5分〜15分未満」が33%、「5分未満」が8%となり、内科系(それぞれ29%、5%)を上回った。診療科の特性が、休憩時間の逼迫、あるいは「早食い」の習慣化につながっている可能性が推察される。過半数の医師が定期的にランチを「中断」、30代は7割 Q2では「昼食中、仕事(呼び出しや相談)で『中断』される頻度」を聞いた。全体では「ほとんどない」が41%である一方、「ほぼ毎日」が7%、「週に2~3回程度」が21%、「週に1回程度」が28%となり、全体の56%と過半数の医師がランチを定期的に中断されていることがわかった。 この中断頻度は、年代や病床数によって差が見られる。「ほぼ毎日」「週に2~3回程度」「週に1回程度」の合計で見ると、年代別では、20代・30代・40代では6割を超える。とくに30代では70%に達した。また、50代では「ほぼ毎日」中断される人が10%であった。病床数別で見ると、20~99床の病院では「ほぼ毎日」「週に2~3回程度」「週に1回程度」の合計が66%、200床以上の大規模病院では65%と高くなっている。定番は「お弁当」と「院内食堂」、過半数が予算500円未満 Q3で「最も頻度が高い昼食内容」を尋ねたところ、最も多かったのは「自作・家族作の弁当」で33%、次いで「院内食堂」が26%、「コンビニ・スーパー・売店で購入」が23%と続いた。年代別では、20代と50代でお弁当の持参率が高く(それぞれ43%、41%)、院内食堂の利用率が低めであった(それぞれ16%、18%)。 予算(Q5)に関しては、「500〜1,000円未満」が37%で最多、次いで「500円未満」が32%、「0円(弁当持参、病院支給・検食など)」が24%となり、1,000円未満で収めている医師が9割を超えた。過半数が昼食の予算を500円未満に抑えていた。若手は「コスト」、ベテラン層は「栄養バランス」を最優先 Q4で「昼食を選ぶ際、最も優先していること」を聞いた。全体では「栄養バランス」が34%で最多、次いで「スピード」が27%、「コスト」が21%となった。 これを年代別で比較すると、明確な意識のグラデーションが見られる。20代では「コスト」を最優先する割合が46%と半数近くに達しているのに対し、年齢が上がるにつれてその割合は低下する。20代の昼食代の予算は0円が32%に上るなど、若手層の強い節約志向がお弁当持参という行動に直結していることが読み取れる。 対照的に、同じくお弁当持参率の高い50代では、昼食代を0円に抑えている割合が29%を占めるものの、優先事項で「コスト」を挙げる人は17%にとどまる。40代以上のベテラン層では「栄養バランス」を重視する割合は上昇し、70代以上では43%と全世代で最も高くなる。ベテラン層におけるお弁当の持参や低予算は、節約志向というよりも、健康への配慮や、自由回答にもみられた「お弁当を作ってくれるパートナーへの感謝」といった要因が背景にあると考えられる。若手のコスト重視と、ベテラン層の健康志向へのシフトが対照的に表れる結果となった。ランチに関する医師たちの本音 Q6の自由回答では、限られた時間の中で食事をやりくりする医師たちの切実な日常やこだわりが語られた。以下に主なコメントを抜粋する。【時間や業務による制約】・食事中呼ばれたときに中断できるもの、後から食べられるものを選んで食べております(50代、呼吸器内科)・研修医時代、15分で食べろと言われて驚いた(50代、精神科)・30代前半はとくに忙しかったので、ポケットに入れておいたカロリーメイトでしたね(60代、耳鼻咽喉科)・たまにカップ麺に湯を注いだ後に呼ばれることがあり、これは本当につらい(40代、臨床研修医)・夕方時間外になってからの昼食も多く、生活リズムが安定しません(50代、整形外科)・患者に指導する資格はないような、ジャンクで偏った食事しか取っていません(60代、内科)・食べようとすると、インスタント・コンビニに限定されるので、食べていない(60代、小児科)【調達手段やコスト、工夫など】・今の病院に勤務するようになり、職員食堂の素晴らしさに感動しています。安くて美味しくて今のところまったく文句ありません(40代、麻酔科)・病院で出してくれて、以前の弁当を買っていた時より体調がいい(30代、精神科)・院内食堂の値段、メニューなどがどんどん改悪されている(60代、内科)・物価高で食費がかさむ(40代、膠原病・リウマチ科)・院内にコンビニが入っているのですが、昨今の昼食が高い。ワンコインでは済まない1,000円弱になってしまった。おにぎりが高い(50代、心療内科)・妻がお弁当を作ってくれるようになって、健康と感じることが多くなった。感謝です(30代、内科)・毎週末、冷凍弁当を作っています(30代、リハビリテーション科)・見栄えが気にならないスープジャーなので、冷ご飯でも残り物でもなんでも入れられます(40代、小児科)・コンビニやデリバリーで無駄なお金を払いたくないので、普段からオートミールなどを医局に置いて支出を減らしている(30代、糖尿病・代謝・内分泌内科)アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。医師のランチ事情/医師1,000人アンケート

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胃がん診療、周術期を中心とした個別化治療の時代へ/AZ

 アストラゼネカは5月13日、「胃がん疾患啓発セミナー」を開催した。セミナーでは木下 敬弘氏( 国立がん研究センター東病院 胃外科科長)が「胃がん治療の現在地と今後の課題」と題した講演を行った。 ――日本における胃がんの疫学では、がん種別にみた罹患数では全体3位、死亡数では4位を占め、依然として主要ながん種である。世界的にも東アジアで発生頻度が高く、日本、中国、韓国が罹患の多い地域に含まれる。近年の治療の発達に伴い、胃がんの5年相対生存率は約65~67%まで伸びており、「不治の病」ではなくなりつつある。しかし、StageIVの5年相対生存率は6.6%にとどまり、早期発見・早期治療の重要性が裏付けられている。  胃がんの大きなリスク要因がヘリコバクター・ピロリ菌感染だが、ここ10年ほどでピロリ菌感染検査、除菌治療が普及し、感染率は急速に低下している。一方、除菌後も胃がんリスクは残り、定期的な内視鏡フォローが必要であることはさらに周知すべきだろう。また、ピロリ菌感染は胃酸分泌低下を引き起こす場合があるが、感染率低下に伴い、胃酸過多となり胃食道逆流症(GERD)を発症するケースがある。GERDがリスク因子の1つとされる食道胃接合部がんの罹患数も増加しており、こうした除菌普及に伴う新たな問題に対応することも必要だ。 日本の胃がん治療は、これまでD2郭清を伴う高精度手術と、術後補助化学療法を組み合わせた治療戦略が中心だった。切除できたように見えても、再発リスクを下げるためには薬物療法を組み合わせる必要があり、術後化学療法は目に見えない微小残存病変を制御するために役立つ。  一方で、画像上切除可能であっても、診断時点ですでに微小転移を伴っている症例も少なくない。とくにスキルス胃がんや高度リンパ節転移症例など、再発高リスク群では手術先行のみでは限界があるケースも多い。こうした場合は、術前に化学療法を行い、腫瘍縮小後に手術を行う術前化学療法が欧米を中心に発展してきた。術前化学療法は、腫瘍縮小によるR0切除率向上、微小転移の早期制御、さらには機能温存の可能性向上などが利点だ。さらに症例によっては術後にも化学療法を行い、周術期全体で再発を抑え込む方向へと、治療戦略は進化を続けている。 さらに、切除不能のStageIV症例に対しても、免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬の進歩によって、薬物療法後にコンバージョン手術へ到達する症例が増加している。一方で、実際に切除まで到達できるのは10~20%程度であり、依然として進行胃がん克服には課題が残る。ここでは新たな薬剤や治療戦略の開発に期待したい。 私が専門とする外科領域では、低侵襲化と機能温存の流れが加速している。国内では腹腔鏡手術やロボット支援手術が急速に普及し、精緻な郭清や再建が可能となり、機能温存との両立が進んでいる。ロボット手術にAI機能を搭載する技術も急速に発達し、手術ガイドなどが実臨床で使われるようになっている。日本の外科手術の手技レベルは非常に高く、日本人外科医の手術手技をAIに学習させ、術中ナビゲーションとして活用する研究も進んでいる。ただし、手術の低侵襲化が進んでも、胃全摘後には15~20%程度の体重減少がみられ、ダンピング症状や逆流症状など術後QOLへの影響は依然として大きい。根治性を担保しながらいかに術後生活を維持するかが重要となる。この方面では、私の施設では胃切除後の患者向けのメニューを開発して施設内レストランで提供するなど、多職種が協力してサポートにあたっている。 ほかのがんで進むゲノム検査やバイオマーカーを使った個別化医療は、胃がんにおいてもすでに日常診療になっており、今後は予防、早期発見とあわせ、患者ごとの腫瘍特性に応じた治療法、術式選択、薬剤選択がますます重要になってくる。

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未治療の肺MAC症への吸入アミカシン上乗せ、呼吸器症状と培養陰性化を改善(ENCORE)/ATS2026

 肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)のうち、Mycobacterium avium complex(MAC)を原因菌とする肺MAC症では、初回治療において呼吸器症状の改善と培養陰性化を達成する有効な治療選択肢に関するエビデンスは十分でない。肺MAC症に対する新規治療薬としてアミカシンリポソーム吸入懸濁液(ALIS、商品名:アリケイス)が使用されているが、本邦での適応は「多剤併用療法による前治療において効果不十分な患者」である。そこで、新規に肺MAC症と診断された患者を対象に、アジスロマイシン+エタンブトールへのALIS併用の有用性を検討することを目的として、国際共同第IIIb相無作為化二重盲検比較試験「ENCORE試験」が実施されている。その結果、ALIS併用群では対照群と比較して、13ヵ月時点の呼吸器症状スコアの改善が有意に大きく、培養陰性化率も高かった。米国胸部学会国際会議(ATS2026 International Conference)において、Charles L. Daley氏(米国・National Jewish Health/コロラド大学医学部)が本結果を発表した。試験デザイン:国際共同無作為化二重盲検第IIIb相試験対象:新規に肺MAC症と診断され、現在のエピソードに対する抗菌薬治療を開始していない非空洞性肺MAC症成人患者425例試験群(ALIS群):アジスロマイシン(250mg/日)+エタンブトール(15mg/kg/日)+ALIS(590mg/日)を12ヵ月 213例対照群:アジスロマイシン(250mg/日)+エタンブトール(15mg/kg/日)+吸入プラセボを12ヵ月 212例評価項目:[主要評価項目]13ヵ月時点のRespiratory Symptom Score(RSS)のベースラインからの変化量[副次評価項目]13ヵ月時点の培養陰性化率(すべての喀痰培養が2回連続で陰性)、15ヵ月時点の培養陰性持続率(11、12、13、15ヵ月時点ですべて陰性)、15ヵ月時点のRSSのベースラインからの変化量、安全性など 主な結果は以下のとおり。・試験完遂率はALIS群90.6%、対照群93.4%であり、治療完遂率はそれぞれ81.7%、88.2%であった。・患者背景は両群でおおむね均衡していた。年齢中央値はALIS群68.0歳、対照群69.0歳で、女性の割合はそれぞれ80.3%、78.3%であった。日本からの登録はALIS群43例(20.2%)、対照群41例(19.3%)であった。・主要評価項目である13ヵ月時点(治療終了1ヵ月後)のRSSのベースラインからの変化量(最小二乗平均値)は、ALIS群17.77点、対照群14.66点であった。群間差は3.11(95%信頼区間[CI]:0.30~5.92、p=0.0299)であり、ALIS群で有意に改善した。・15ヵ月時点(治療終了3ヵ月後)でも、RSSの改善はALIS群で大きかった。ベースラインからの変化量(最小二乗平均値)は、ALIS群16.63点、対照群11.83点(群間差:4.80点[95%CI:1.83~7.76]、名目上のp=0.0015)であった。・6ヵ月、12ヵ月、13ヵ月時点の培養陰性化率は、いずれもALIS群が高かった。また、15ヵ月時点の培養陰性持続率もALIS群で高かった。詳細は以下のとおり(ALIS群vs.対照群、p値を示す)。 6ヵ月時点:87.8%vs.57.0%、p<0.001 12ヵ月時点:84.7%vs.61.3%、p<0.001 13ヵ月時点:82.4%vs.55.6%、p<0.001 15ヵ月時点(陰性持続率):76.2%vs.47.6%、p<0.001・試験治療下における有害事象(TEAE)は、ALIS群98.1%、対照群97.2%に認められた。重篤なTEAEはそれぞれ14.1%、11.3%、投与中止に至ったTEAEはそれぞれ14.6%、8.5%に認められた。死亡に至ったTEAEは各群1例に発現したが、いずれも試験治療との関連はないと判断された。・ALIS群で10%以上に認められ、対照群よりも多かったTEAEは、発声障害(ALIS群58.7%、対照群8.5%)、咳嗽(32.9%、14.6%)、疲労(17.4%、11.3%)、呼吸困難(16.4%、5.7%)、悪心(15.5%、12.7%)、頭痛(12.7%、11.8%)であった。・とくに注目すべきTEAEについて、気管支攣縮はALIS群23.0%、対照群11.8%に認められた。また、過敏性肺炎は対照群では認められなかったのに対し、ALIS群では2.3%に認められた。 本結果について、Daley氏は「新規に肺MAC症と診断された患者において、検証済みの患者報告アウトカム指標による呼吸器症状の改善が認められた。ENCORE試験は、臨床的に意義のあるベネフィットを検証した初の試験である」とまとめた。

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中等度~重度機能障害の中血管閉塞脳卒中、血管内治療は有効か/NEJM

 中血管閉塞に起因する急性虚血性脳卒中で中等度~重度の機能障害を有する患者では、血管内血栓除去術は薬物療法単独と比較し機能的アウトカムを改善することが示された。一方で、症候性頭蓋内出血リスクを高めることも明らかになった。中国科学技術大学のWei Hu氏らが同国48施設で実施した無作為化非盲検評価者盲検比較試験「ORIENTAL-MeVO試験」の結果を報告した。中血管閉塞による急性虚血性脳卒中に対する血管内血栓除去術は、試験によって結果にばらつきがみられ、中等度~重度の機能障害を有する患者において血管内血栓除去術が機能的アウトカムを改善するかどうかは不明であった。NEJM誌2026年5月14・21日合併号掲載の報告。最終健常確認後24時間以内の中血管閉塞を伴う脳梗塞患者を対象 ORIENTAL-MeVO試験の対象は、脳卒中発症前に修正Rankinスケール(mRS)スコア(範囲:0[症状なし]~6[死亡])が0~2で、最終健常確認時から24時間以内のNIHSSスコア(範囲:0~42、高スコアほど神経学的機能障害が重度)が6以上を呈し、中大脳動脈M2、M3部、前大脳動脈A1、A2、A3部、後大脳動脈P1、P2、P3部の閉塞を有する18歳以上の中等度~重度脳卒中患者であった。 研究グループは、適格患者を血栓除去術+薬物療法(血栓除去群)または薬物療法単独(対照群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、90日時点のmRSスコアで評価した機能障害であった。当初計画された主要アウトカムはmRSスコアの分布の変化であったが、比例オッズの仮定が満たされない場合、mRSスコア(0、1または2)を主要アウトカムとすることが事前に規定されていた。また、安全性アウトカムは症候性頭蓋内出血および90日死亡とした。90日時点のmRSスコア0~2達成患者割合、血栓除去群58.6%vs.対照群46.6% 2023年12月~2025年4月に564例が無作為化され、同意撤回を除く563例(血栓除去群280例、対照群283例)が主要解析の対象集団となった。患者背景は、年齢中央値71歳、NIHSSスコア中央値は10(範囲:3~36)、女性が42.8%、静脈内血栓溶解療法が36.6%に施行された。 90日時点の良好な機能アウトカム(mRSスコア0~2)は、血栓除去群で58.6%、対照群で46.6%に認められた(補正後率比:1.24、95%信頼区間:1.07~1.44、p=0.004)。 24~72時間における症候性頭蓋内出血は、血栓除去群で4.7%、対照群で2.2%に発生し、90日死亡率はそれぞれ11.1%および10.2%であった。

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ヨーグルトや低脂肪チーズ、高齢期のうつ病や認知症予防に有効?

 ヨーグルトやチーズなどの発酵乳製品には、非乳製品とは異なる生理活性成分が含まれているが、高齢期のうつ病や認知症リスクとの関連性については依然として不明であった。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のMuniratul Idrus氏らは、発酵乳製品摂取と高齢期のうつ病および認知症リスクとの関連を調査した。Nutrients誌2026年3月24日号の報告。 年齢70~90歳で地域在住の高齢者を対象としたコホート研究であるSydney Memory and Ageing Studyのデータを用いて、乳製品摂取と抑うつ症状(15項目の老年期うつ病評価尺度:GDS15)、心理的苦痛(Kessler-10[K10尺度])、うつ病(医師による診断または抗うつ薬の使用)と認知症(DSM-IV基準)との関連性を検討した。ヨーグルト、チーズ、非発酵乳製品の摂取量は、ベースライン時に検証済みの食物摂取頻度調査票を用いて評価した。縦断的関連性は、死亡を考慮したFine-Gray競合リスクモデルを用いて検討した。また、横断的関連性も評価した。 主な結果は以下のとおり。・参加者966例(平均年齢:78.3歳、女性の割合:55.5%)において、ヨーグルトの摂取量が多い群(標準1食分)では、非摂取群と比較し、抑うつ症状スコアが有意に低かった(調整β:第3~4四分位群で-0.37および-0.39、平均:88.5~164g/日)。低脂肪チーズの摂取量が多い群でも同様の結果が得られた(調整β:-0.35、平均:13.2g/日)。・平均3.3年のフォローアップ期間中に、うつ病の新規発症が120例、死亡が68例に発生した。・ヨーグルトの摂取量が多い群と低脂肪チーズの摂取量が多い群では、非摂取群と比較し、うつ病リスクが低かった(各々、調整サブ分布ハザード比:0.41[95%信頼区間[CI]:0.19~0.88]および0.40[95%CI:0.21~0.78])。・心理的苦痛、認知機能、認知症発症(平均フォローアップ期間:5.2年、発症100例、死亡153例)については、有意な関連は認められなかった。・また、チーズや牛乳の定期的な摂取についても関連は認められなかった。 著者らは「発酵乳製品、とくにヨーグルトと低脂肪チーズの摂取は、非発酵乳製品とは異なり、高齢期のメンタルヘルスに潜在的な役割を果たす可能性が示唆された」としている。

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症候性リウマチ性心疾患、ジゴキシン追加は有用か/JAMA

 リウマチ性心疾患(RHD)は、低・中所得国(LMIC)の若年層における罹患および死亡の重要な原因で、駆出率が保たれた心不全の25%を占め、死亡の大部分は心不全に関連するとされる。RHD患者の心不全症状は、主にさまざまな程度の僧帽弁狭窄によって発生し、とくに心房細動の発症に伴い悪化する。インド・All India Institute of Medical Sciences(AIIMS)のGanesan Karthikeyan氏らDig-RHD Investigatorsは「Dig-RHD試験」において、症候性RHD患者では経口ジゴキシンの連日投与により、全死因死亡または心不全の新規発症・悪化の複合アウトカムのリスクが軽減し、毒性の発現は少ないことを示した。ジゴキシンは、その陽性変力作用が逆流性病変や心室機能障害を有する患者にも有用である可能性が示唆されていた。JAMA誌オンライン版2026年5月10日号掲載の報告。インドの研究者主導型無作為化プラセボ対照比較試験 Dig-RHD試験は、インドの12施設で実施した研究者主導型の二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験(Indian Council of Medical Researchの助成を受けた)。2022年2月~2024年8月に、年齢18歳以上、心エコー図検査でRHDと確定され、すでにジゴキシンの投与を受けているか、心不全、心房細動または心房粗動を有する患者1,769例を登録した。 被験者を、通常治療に加え、ジゴキシン(0.125~0.25mg)を1日1回、経口投与する群(885例)またはプラセボ群(884例)に無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、36ヵ月以内または試験終了までに発生した全死因死亡または心不全の新規発症・悪化の複合であった。全死因死亡には差がない 主解析には試験薬の投与を1回以上受けた1,759例(ジゴキシン群880例、プラセボ群879例)が含まれた。ベースラインの全体の平均年齢は46歳、72%が女性で、70%が心房細動または心房粗動を有し、90%がNYHA心機能分類クラスII~IV、85%が中等度~重度の僧帽弁狭窄症を有していた。平均左室駆出率は58%で、34%がすでにジゴキシンの投与を受けていた。 主要複合アウトカムのイベントは、プラセボ群の312例(35.5%)で発生したのに対し、ジゴキシン群は276例(31.4%)と有意に少なかった(ハザード比[HR]:0.82、95%信頼区間[CI]:0.70~0.97、p=0.02)。 主要複合アウトカムの構成要素のうち、心不全の新規発症・悪化の発生率はジゴキシン群で有意に低かった(227例[25.8%]vs.257例[29.2%]、HR:0.82、95%CI:0.69~0.98、p=0.03)。心不全の悪化のほとんどは、入院を要することなく、利尿薬(経口または静脈内投与)の増量で治療された。 一方、全死因死亡の発生には両群間に有意な差を認めなかった(88例[10%]vs.91例[10.4%]、HR:0.94、95%CI:0.70~1.26、p=0.69)。死亡のほとんどが心不全によるものだった。安全で安価な治療法となる可能性 副次アウトカムのうち、心不全関連死または心不全の新規発症・悪化の複合はジゴキシン群で有意に良好であった(249例[28.3%]vs.284例[32.3%]、HR:0.82、95%CI:0.69~0.97、p=0.02)。 心不全関連死または心不全による入院の複合(ジゴキシン群80例[9.1%]vs.プラセボ群86例[9.8%]、p=0.49)、心不全関連死(41例[4.7%]vs.53例[6%]、p=0.16)、突然死(20例[2.3%]vs.16例[1.8%]、p=0.56)には両群間に差はなかった。 24例で、ジゴキシンが原因と疑われる毒性が発現した(ジゴキシン群17例、プラセボ群7例)。このうち11例(10例[1.1%]、1例)で、試験薬の投与が恒久的に中止された。 著者は、「通常治療として、β遮断薬とカルシウム拮抗薬を使用した基礎治療を受けている症候性RHD患者において、ジゴキシンの追加は全死因死亡または心不全の新規発症・悪化の複合アウトカムのリスクを低減した。この良好な結果は、心不全の新規発症・悪化の減少によってもたらされた」「ジゴキシンは、死亡リスクを増加させずに、心不全の悪化を軽減する安全で安価な方法と考えられる」としている。 また、「サブグループ解析では、ベースライン時にジゴキシンを服用していた患者(HR:0.61、95%CI:0.46~0.81)や心房細動を呈していた患者(HR:0.75、95%CI:0.62~0.90)で、ジゴキシンの有益性が大きかったが、この効果の差が生じた理由は不明である」「ジゴキシンが原因と疑われる毒性の発現が少なかったが、これは患者が比較的若く、併存疾患が少なく、腎機能も良好であったことで説明可能と考えられる」と指摘している。

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経鼻インフルエンザワクチン、鼻腔内に免疫反応を形成

 経鼻弱毒生インフルエンザワクチンのフルミスト(FluMist)は、従来の注射型ワクチンとは異なる仕組みで作用することが、新たな研究で示された。フルミストは、ウイルスが侵入してくる鼻腔内で直接的に免疫反応を引き起こし、ウイルスと闘うための「戦場」を形成することが明らかになったという。米ラホヤ免疫研究所のチーフサイエンティフィックオフィサーであるShane Crotty氏らによるこの研究の詳細は、「Science Translational Medicine」に4月29日掲載された。 研究グループは、こうした免疫反応は上気道にとどまり、血液検査では検出できないため、これまで成人に対する経鼻ワクチンの潜在的な有益性が見過ごされてきたと指摘する。「これまで、フルミストは大多数の成人にはほとんど効果がないと考えられていた。しかし、意外なことに、実際には大多数の人々が鼻腔組織内でワクチンに反応を示すことが明らかになった」とCrotty氏はニュースリリースで説明している。 フルミストは小児で有効性が示され、成人に対する使用も承認されている。しかし、この経鼻ワクチンを接種した成人の血液を調べたところ、インフルエンザと闘う免疫細胞の存在が確認できなかったという。このことから、専門家の間で、インフルエンザに対するこのワクチンの予防効果を疑問視する声が上がっていた。 研究グループは今回の研究で、成人25人の鼻腔からフルミストの接種前後で検体を採取し、鼻腔内の免疫細胞を詳しく調べた。人間の体はさまざまな免疫細胞を有しているが、本研究では、鼻や気道の組織に定着し、ウイルスに対する抗体を産生するB細胞に焦点を当てた。 その結果、フルミストを接種した人では、接種後に上気道にインフルエンザウイルスに対抗するメモリーB細胞の大幅な増加が認められ、この増加は6カ月後も維持されていた。ただし、これらの細胞が確認されたのは鼻腔内のみであり、血液中には循環していなかった。 論文の筆頭著者でラホヤ免疫研究所の博士研究員であるHannah Stacey氏は、「この結果は、経鼻ワクチンあるいは粘膜ワクチンの接種後に血液のみを調べると、極めて興味深い免疫学的現象を見逃してしまう可能性があるということだ」とニュースリリースで述べている。 研究グループが、この結果を通常の注射型インフルエンザワクチンを接種した成人25人の結果と比較したところ、その免疫反応は完全に異なることが判明した。注射型ワクチン接種者では、血流中のインフルエンザ抗体は増加していたが、上気道では防御に関わる免疫細胞は誘導されていないことが示された。 研究グループは今回の結果について、フルミストの有効性が通常の注射型ワクチンと同等であることを意味するものではないと強調している。なお、研究グループは現在、鼻腔内の免疫細胞の反応が、インフルエンザに対して持続的な防御作用をもたらすのに十分な強さであるかどうかを検証中であるという。

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性的・ジェンダー少数者の健康格差、心理的・身体的暴力被害が背景か

 性的・ジェンダー少数者(SGM)では、非SGMに比べて高血圧や精神疾患などの健康問題のリスクが高い可能性がある。今回、日本のミレニアル世代を対象とした研究で、SGMの高血圧リスクは非SGMの約3倍と推定され、こうした健康格差の背景に暴力被害が関与している可能性が示された。研究は筑波大学人文社会系の松島みどり氏らによるもので、詳細は「Public Health」に3月27日掲載された。 SGMは非SGMに比べて身体的・精神的健康状態が不良であることが報告されており、その背景には差別や心理的・身体的暴力など、少数者であることによって受ける「マイノリティストレス」があると考えられている。しかし、暴力被害がSGMと非SGMの健康格差をどの程度説明するのかは十分に検討されておらず、研究の多くは欧米に集中している。そこで研究グループは、LGBTQをめぐる議論が広がった時代に成長した日本のミレニアル世代(1980年代前半から1990年代半ばに生まれた人たち)に着目し、SGMと非SGMの健康格差とその要因を分析した。 本研究は、日本の大規模インターネット調査「JACSIS study」第3波(2022年9月12日~10月19日)のデータを用いた横断研究である。楽天インサイトのパネルを対象としたオンライン調査から、ミレニアル世代の男性5,868人(SGM 986人、非SGM 4,882人)、女性6,253人(SGM 907人、非SGM 5,346人)を解析対象とした。出生時の性別と性自認、性的指向に関する質問からSGMを定義した。健康問題については、若年層で比較的多い高血圧、精神疾患、口腔疾患、慢性疼痛、アレルギーの5つを対象とし、現在診断されているかを自己申告で評価した。ロジスティック回帰でSGMと非SGMの健康格差を推定し、Fairlie分解法を用いて社会経済状況、医療アクセス、健康行動、心理的・身体的暴力被害が格差にどの程度寄与するかを解析した。 対象者のうちSGMは男性16.8%、女性14.6%だった。SGMは非SGMに比べ、検討したすべての健康問題と関連していた。高血圧のオッズ比は男性で3.02、女性で3.83、精神疾患は男性で2.87、女性で1.87だった。 各疾患の有病割合の差(SGMと非SGMの実際の有病率の差)は、男性で11~19%、女性で4~13%で、いずれもSGMで高く、特に精神疾患で大きかった。実際の有病率をみると、男性では高血圧がSGM25.1%、非SGM7.6%、精神疾患がSGM25.7%、非SGM7.1%など、いずれの疾患もSGMで高値であった。女性でも同様にSGMで有病割合は高いものの、その差は男性より小さかった。 また、SGMは心理的・身体的暴力を経験した割合も高く、男性では心理的暴力がSGM42.3%、非SGM20.8%、身体的暴力がSGM39.8%、非SGM17.4%だった。女性でも同様にSGMで暴力経験割合は高かった。 これらの健康格差の要因を分解すると、心理的・身体的暴力被害の寄与が最も大きく、観察された格差の約3分の1~4分の3を説明していた。一方、社会経済状況、医療アクセス、健康行動の寄与は小さかった。著者らは、社会経済状況や医療アクセスだけでは健康格差を十分に説明できず、より広い社会的要因が関与している可能性があると指摘する。これらの結果から、暴力被害が健康格差の主要な説明要因であり、心理的・身体的暴力の双方が関連していたことが示された。 日本はLGBTの法的保護や包摂の面で、OECD諸国の中でも低い評価(2019年時点)とされ、過去20年間で大きな進展はみられていないと指摘されている。2023年に成立した「LGBT理解増進法」は理解の促進を目的としたもので、差別を直接禁止する罰則規定はなく、同性婚も法的に認められていない。著者らは、こうした制度的背景や異性愛を前提とした社会構造がスティグマにつながっている可能性があり、健康格差の是正には政策的対応が重要だと指摘している。 なお、本研究の限界点として、オンライン調査による自己申告データを用いているため疾患の有病率が過小評価されている可能性がある点や、臨床データを含めていない点が挙げられる。

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持続性心房細動に対してもカテーテルアブレーションが第一選択治療となるか?(解説:高月誠司氏)

 これまで持続性心房細動に対しては、SPHERE Per-AF試験でlattice-tipタイプのパルスフィールドアブレーションが従来の熱エネルギーのアブレーションと比較して、非劣性を証明していた。またMANIFEST-REDO studyでは心房細動に対する初回パルスフィールドアブレーション後に、心房細動が再発して再アブレーションを行った患者のデータだが、持続性心房細動は発作性心房細動よりも再発率が高いことが示された。 AVANT GUARD trialは持続期間1年以内の持続性心房細動に対する初期治療として、パルスフィールドアブレーションと抗不整脈薬治療を比較したランダム化試験である。結果的にアブレーション群の洞調律維持率が高かった。今後、持続性心房細動に対する第一選択としてパルスフィールドアブレーションが推奨される可能性がある。

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第296回 ナフサ不足で医療資材逼迫、医療用手袋5,000万枚を放出/政府

<先週の動き> 1.ナフサ不足で医療資材逼迫、医療用手袋5,000万枚を放出/政府 2.血管炎薬アバコパンで死亡20例、添付文書に「警告」新設/厚労省・キッセイ薬品 3.AIを悪用したサイバー攻撃に備え、医師会や病院団体と対策を協議/厚労省 4.マイナカード「任意」から義務化検討へ、全員保有を提言/自民党 5.禁忌の抗菌薬処方でSJS発症か、患者死亡で遺族に補償へ/三重県 6.東大医学系研究科の贈収賄事件、元特任准教授に有罪判決/東京地裁 1.ナフサ不足で医療資材逼迫、医療用手袋5,000万枚を放出/政府中東情勢の悪化を背景に、石油由来原料を使う医療資材の供給不安が医療現場に広がっている。政府は5月23日、感染症などの流行に備え国が備蓄していた医療用手袋のうち、まず5,000万枚の放出を開始した。都内の歯科診療所には同日、第1弾が到着。受け取った院長は「診療所は在庫を抱えられない。購入できて安心した」と語った。放出対象は、病院、診療所、訪問看護事業所、薬局、助産所など。在庫量が「今後1週間の想定消費量から購入見込み量を差し引いた数」の4週間分を下回る場合、医療機関等情報支援システム(G-MIS)を通じて申請できる。販売は1,000枚単位で、価格は1セット5,980円、1枚当たり約6円。購入可能数は想定消費量の2週間分を基準に決まり、条件を満たせば複数回の申請も可能とされる。21日時点で2,000を超える医療機関が対象となっており、茨城県でも第1弾として63医療機関から27万1,000枚の購入申し込みがあった。ただ、逼迫しているのは手袋だけではない。ナフサ価格の上昇を受け、廃液回収容器、投薬瓶、軟こう容器、点眼瓶、松葉杖、透析回路、医薬品包装用フィルムなどでも値上げや納期遅延、受注制限が相次いでいる。調剤薬局では小児用シロップ容器が不足し、粉薬での処方を依頼する例も出ている。医療資材卸では4月以降、平均2~3割の値上げが行われ、製品によっては1.5~2倍の値上げ要請もあるという。診療報酬や薬価は公定価格であり、医療機関や製薬企業は一般産業のようにコスト上昇分を価格転嫁しにくい。物価高、人件費高、光熱費高に加え、資材不足が中小医療機関の経営をさらに圧迫している。政府は追加放出も検討するとしているが、手袋の使用量は月9,000万枚規模ともされ、備蓄放出だけで不安を払拭するのは難しい。医療提供体制を維持するには、資材供給の安定化に加え、物価変動を診療報酬や薬価に反映する仕組みの検討が求められる。 参考 1) 医療用手袋の政府備蓄品が到着 厚労省、都内歯科で公開(日経新聞) 2) 国が備蓄している医療用手袋 購入要請があった医療機関にきょうから配送開始 中東情勢の影響を受けて放出(TBS NEWS) 3) ナフサ不足で医療資材逼迫 軟こう容器・松葉杖・手袋…中小医院資材逼迫で苦境(日経新聞) 4) 中東情勢悪化に伴う医療用グローブの国家備蓄放出、「医療機関在庫が不足する」場合に購入可能-厚労省(Gem Med) 2.血管炎薬アバコパンで死亡20例、添付文書に「警告」新設/厚労省・キッセイ薬品厚生労働省は5月21日、選択的C5a受容体拮抗薬アバコパン(商品名:タブネオスカプセル10mg)について、製造販売元のキッセイ薬品に対し、添付文書に「警告」欄を新設し、医療関係者へ安全性速報(ブルーレター)を発出するよう指示した。同薬の服用後、肝臓の胆管がなくなる「胆管消失症候群」を含む重篤な肝機能障害が報告され、国内で20例の死亡があったことを受けた措置。ブルーレターの発出は5年ぶりで、迅速な安全対策が必要と判断された。アバコパンは、顕微鏡的多発血管炎と多発血管炎性肉芽腫症を対象とする飲み薬で、いずれも国の指定難病。ステロイド使用量を減らせる薬として期待され、国内では2022年6月に発売され、直近1年間で推定約8,500例に使用された。死亡した20例は60~90代で、19例は投与開始から3ヵ月以内に肝機能障害を発症。胆管消失症候群は22例報告され、このうち13例が死亡しており、とくに深刻な副作用とみられている。改訂後の添付文書では、投与開始前と投与中の定期的な肝機能検査を求める。投与開始後3ヵ月間は少なくとも2週間に1回、その後3ヵ月間は少なくとも4週間に1回、6ヵ月以降も定期的に検査する。ALTまたはASTが基準値上限の3倍を超えた場合は投与を中断し、8倍超、5倍超が2週間以上続く場合、総ビリルビンやALPの上昇、黄疸やかゆみなどがあれば中止する。胆管消失症候群が疑われる場合も速やかに中止することを求めている。キッセイ薬品は、新規患者への投与を控えるよう注意喚起していたが、その後は頻回の検査を前提に新規投与も可能とされた。すでに服用中の患者には、自己判断で中止せず、体調変化があれば医師や薬剤師に相談するよう呼びかけている。その一方で、米国食品医薬品局(FDA)は有効性や承認申請資料を巡る疑義から米国での承認撤回を提案しており、厚労省も海外当局と連携し、有効性や安全性の確認を進める。 参考 1) タブネオスの安全性確保のための注意喚起について(キッセイ薬品) 2) タブネオスにブルーレター発出、添付文書の「警告」欄を新設(日経ドラッグインフォメーション) 3) 血管炎治療剤タブネオス 安全性速報を発出-添付文書に「警告」新設 キッセイ薬品(CB news) 4) キッセイ薬品工業が「ブルーレター」発出 タブネオス服用後の死亡患者20人報告で(中日新聞) 5) 投与患者20人死亡の血管炎治療薬、添付文書に「警告」欄を新設・頻繁な肝機能検査を要請…厚労省(読売新聞) 6) キッセイ薬品の血管炎薬、添付文書に「警告」欄 有効性に疑義も(朝日新聞) 7) キッセイ薬品、血管炎治療薬で安全性速報 死亡報告で厚労省指示(日経新聞) 3.AIを悪用したサイバー攻撃に備え、医師会や病院団体と対策を協議/厚労省厚生労働省は5月22日に、AIを悪用したサイバー攻撃への懸念が高まっているとして、医療機関や病院団体とサイバーセキュリティ対策に関する意見交換会を開いた。背景にあるのは、米アンソロピックが4月に発表した高性能AI“Claude Mythos”(クロード・ミュトス)で、ソフトウエアの脆弱性を自律的に検出し、攻撃プログラムの生成にもつながり得るとされる。国家サイバー統括室は18日、AIの急速な進展により攻撃の規模が拡大する恐れがあるとして、医療や金融など重要インフラ15分野に注意を呼びかけていた。意見交換には上野 賢一郎厚労相、厚労省や国家サイバー統括室の担当者、全国自治体病院協議会、全日本病院協会、日本病院会、日本医療法人協会などの関係者が出席した。上野厚労相は、医療現場では日々の診療や運営に追われ、サイバー対策が後回しになりがちだと指摘し、「現場任せではなく経営層の主体的な関与が不可欠」と強調。「サイバー攻撃の脅威はさらに増大する。必要な対応を速やかに進める」と述べた。医療機関ではこれまでも電子カルテが使えなくなり、診療を一時中断する被害が発生している。出席した医療機関側からは、「対策に充てる財源が乏しい」や「専門人材を確保できないこと」への不安が示され、国による財政的・技術的支援を求める声が上がった。厚労省は、医療情報システムの安全管理ガイドラインに基づく基本対策の徹底、攻撃を受けた場合の事業継続計画作り、補助金や経営層向け研修の活用を呼びかけた。政府は重要インフラ15分野ごとに安全基準を整備する方針で、厚労省も医療分野の実情に応じた対策を具体化する。今後、関係機関に事務連絡を出し、医療機関の機能停止が国民生活に重大な影響を及ぼさないよう、医療現場と連携して実効性ある体制作りを進める。診療継続を支える経営課題として、各病院の備えが問われる。 参考 1) ミュトス対応 医療機関と意見交換、厚労省 セキュリティー対策具体化へ(CB news) 2) 医療機関にサイバー攻撃対策を要請 厚労省、AI「ミュトス」念頭(日経新聞) 3) 新型AI「ミュトス」 厚生労働省と医療機関が意見交換 上野大臣「必要な対応を速やかに進める」 サイバー攻撃で診療一時中断も 「財源ない」「専門人材いない」の声も(TBS NEWS) 4) 「医療機関等におけるサイバーセキュリティ対策に関する厚生労働省との意見交換」を開催します(厚労省) 4.マイナカード「任意」から義務化検討へ、全員保有を提言/自民党自由民主党は5月19日、マイナンバーカードの取得義務化の検討を政府に求める政策提言「デジタル・ニッポン2026」を公表した。国民全員がカードを保有することを前提に、行政サービスの拡充や民間利用を進める狙いで、早ければ来年の通常国会で関連法改正を目指す。現在、マイナンバーカードの取得は任意で、4月末時点の保有率は82.7%。提言では、取得を法的に義務付ける必要性や実効性を検討すべきとするが、罰則は設けない方針。背景には、中低所得の現役世代支援として検討される「給付付き税額控除」や迅速な現金給付への活用がある。提言では、給付に必要な公金受取口座の登録義務化の検討も盛り込み、マイナカードを「デジタル社会のパスポート」と位置付けている。党デジタル社会推進本部長の平井 卓也衆院議員は、交付開始当初に比べ肯定的に受け止める人が増えたとして、「持っていることを前提に政策を組み上げる」と説明した。その一方で、個人情報の漏えいや目的外利用、プライバシー侵害への懸念はいまだに根強い。マイナ保険証の原則化を巡っては、医療機関の受付負担や高齢者の利用困難、資格確認書の併存などから「事実上の義務化」との批判もある。会計検査院の調査では、2025年7月末までに本人希望で廃止されたカードが累計93万枚に上り、トラブルへの不安や利便性を実感できないことが背景にあるとの見方も出ている。コンビニ交付や本人確認で「期待通りの使い勝手になっていない」との指摘もあり、普及策の妥当性が問われている。松本 尚デジタル相は22日の会見で、義務化について「法的に縛り付けることは議論が必要だ」と述べ、必要性への明言を避けた。カードを持ちたくない人が納得できる根拠や、どの政策と一体で進めるのかを検討する必要があるとの認識を示した。利便性向上と行政効率化を掲げる政府・与党に対し、制度への信頼回復と不安払拭が課題となる。 参考 1) デジタル・ニッポン2026ー責任あるアジャイル・ガバナンスー(自民党) 2) マイナカード、取得義務化を提言 自民「来年国会で法改正めざす」(朝日新聞) 3) マイナカード義務化「必要性もう少し議論」 松本デジタル相(日経新聞) 4) 任意だったのに…「マイナカード義務化」自民が提言へ 給付付き税額控除の議論が「絶好のラストチャンス」(東京新聞) 5) 「93万枚」が廃止されていたマイナンバーカード このままでは“第2の住基カード”に? 「多くの人が“便利さ”を感じていない」(デイリー新潮) 5.禁忌の抗菌薬処方でSJS発症か、患者死亡で遺族に補償へ/三重県三重県桑名市の地方独立行政法人 桑名市総合医療センターは5月21日、気管支喘息で入院した60代男性に禁忌薬を誤って処方し、男性が重い薬剤アレルギーとみられる症状を発症後、3月23日に死亡したと発表した。病院側は薬剤投与ミスを認め、遺族に謝罪するとともに補償する方針を示している。男性は2月中旬、喘息発作で同センターに入院し、ステロイド治療に伴う感染症予防のため、担当医が抗菌薬トリメトプリム スルファメトキサゾール(商品名:バクトラミン)を処方した。男性は退院後に服用したが、高熱や全身の発疹、皮膚や口腔内のただれなどを起こし、愛知県内の病院に搬送された。その後、スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)を発症したとみられ、より重篤な中毒性表皮壊死症(TEN)の可能性も指摘されている。最終的には腸閉塞を伴う敗血症性ショックなどで死亡した。バクトラミンは、スルファメトキサゾール・トリメトプリムを成分とするST合剤で、男性は過去に同じ成分を含む別の商品名の抗菌薬でアレルギー症状を起こしていた。電子カルテには投与禁忌の記載があったが、担当医は商品名の違いから同一成分だと認識せず、成分確認を十分に行わなかったという。一部報道では、医師がアレルギー歴を別系統の薬剤と誤認していたともされる。病院は、誤投薬とアレルギー反応との関連性は極めて高いと説明する一方で、死亡との直接の因果関係については病理解剖の結果や外部専門家を含む調査で検証する方針。県医師会には医療事故として報告しており、院内事故調査委員会や第三者委員会で原因究明と再発防止策を検討する。山田 典一病院長は記者会見で「痛切に責任を感じている」と謝罪し、「全職員がリスクを感じたら拾い上げる体制に変えなければならない」と述べた。 参考 1) 桑名市総合医療センターで男性に禁忌薬処方、難病発症 別の病院に転院後死亡(中日新聞) 2) 禁忌薬誤投与後に患者男性が死亡 三重の医療センター 因果関係調査(産経新聞) 3) 抗菌薬誤投与で難病発症、患者死亡 医師が成分確認せず-三重・桑名市総合医療センター(時事通信) 4) 桑名市総合医療センターの患者死亡 薬剤の投与ミス認める(NHK) 6.東大医学系研究科の贈収賄事件、元特任准教授に有罪判決/東京地裁東京大学大学院医学系研究科の共同研究を巡る贈収賄事件で、収賄罪に問われた元特任准教授の吉崎 歩被告(46)に対し、東京地裁は5月22日、懲役1年、執行猶予2年、追徴金約196万円の有罪判決を言い渡した。求刑は懲役1年2ヵ月、追徴金約196万円で、吉崎被告は公判で起訴内容を認めていた。判決によると、吉崎被告は2023年3月から2024年8月にかけて、東京大学大学院医学系研究科皮膚科学分野の元教授、佐藤 伸一被告(62)とともに、一般社団法人日本化粧品協会の代表理事だった引地 功一被告(52)から、都内の高級クラブや性風俗店などで30回にわたり、計約196万円相当の接待を受けた。接待は、皮膚疾患に対する大麻草由来成分カンナビジオール(CBD)の有効性などを調べる「臨床カンナビノイド学社会連携講座」の設置や共同研究の推進で便宜を図る見返りだったとされた。吉崎被告は同講座の講座長として、佐藤被告と日本化粧品協会との間に入り、研究実務や接待の段取りを調整していた。弁護側は、吉崎被告が佐藤被告を師と仰ぎ、強い影響下にあったため異を唱えることは難しかったと主張。判決も、上司である佐藤被告の意向に反することが困難だった点は認めた。その一方で、吉崎被告が接待の調整役を担い、単独で接待を受けたこともあり、自ら積極的に接待を受けたい意向があったとして、「刑事責任は軽視できない」と指摘した。遊興接待の内容についても、職務の廉潔性を害したことは明らかだとした。判決はさらに、東大の社会連携講座についても言及。大学の看板を営利目的で利用しようとする企業に悪用されかねない側面があり、公益的な研究として適切に運用されるかどうかが、講座を統括する担当教授のモラルに大きく依存していたと指摘した。産学連携を進める上で、研究費の受け入れや企業との距離感を個人の倫理観に委ねる危うさが改めて浮き彫りになった形。しかしながら、吉崎被告が事件後に東大を退職し、犯行を認めて反省していること、再び公職に就く可能性が低く再犯の可能性も低いことなどから、執行猶予付き判決が相当と判断された。事件では、佐藤被告も収賄罪で起訴されているほか、贈賄罪に問われた引地被告の判決は5月26日に予定されている。東大では別件でも医療機器選定を巡る収賄事件が起きており、大学病院における企業連携と利益相反管理のあり方が厳しく問われている。 参考 1) 東大病院汚職、元特任准教授に有罪判決 風俗店やクラブで接待受ける(朝日新聞) 2) 東大院汚職で元特任准教授に有罪判決 東京地裁(日経新聞) 3) 懲役1年執行猶予2年、性接待などを受け 東大病院の収賄事件、「教授の強い影響下にあった」元特任准教授に有罪判決(日経メディカル)

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