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頸部上皮内治療後のリスク亢進は25年以上にわたる

グレードの高い形成異常症の治療を受けた女性の大半は、その時点での浸潤性子宮頸が予防されるが、治療後も長期にわたって子宮頸や膣のリスク亢進がみられるとの報告がある。イェーテボリ大学(スウェーデン)産婦人科Bjorn Strander氏らは、グレード3の頸部上皮内の治療を受けた患者の、浸潤性子宮頸や膣のリスク亢進はどれぐらいの期間にわたるのか前向きコホート研究にて調査した。BMJ誌オンライン版10月24日付け、本誌11月24日号掲載より。1958年~2002年に診断を受けたスウェーデン女性対象対象としたのは、1958年~2002年の間に重度形成異常症または頸部上皮内(グレード3に相当するもの)の診断を受けたと記録されているスウェーデン女性132,493例、累計2,315,724例。主要評価項目は、スウェーデンの一般女性集団でのリスクに対する標準化発生率、および内部標準を用いた多変量ログ線形回帰モデルによる相対リスク。子宮頸の標準化発生率は2.34、膣6.82グレード3の頸部上皮内を有したことのある女性の侵襲性子宮頸の標準化発生率は2.34(95%信頼区間:2.18~2.50)だった。1970年以後に治療を受けた女性では、リスク亢進は時間とともに減少していたが、四半世紀を過ぎてもまだリスク亢進はみられる。年齢的には50歳以上女性でリスク亢進が目立ち、リスクは1958年以降着実に増大していることも明らかとなった。膣の標準化発生率は6.82(同5.61~8.21)であったが、25年以上経過では2.65まで減少していた。これらの結果を受けStrander氏らは、「グレード3相当の頸部上皮内治療経験者の、侵襲性子宮頸と膣の治療後リスク亢進は25年以上にも及ぶ。未解決な疑問点もあるが、治療経験女性に対して定期的な細胞診を年齢にかかわらず25年以上は実施すべきだ」と提言した。

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先進国の児童福祉改善には経済発展より格差是正を

2007年4月にユニセフが公表した、OECD加盟の経済先進国の子どもや若者を取り巻く状況に関する研究報告書(Report Card 7)で、イギリスの子どもは最も評価が低く、次いでアメリカが低位であることが報告された(日本は一部のデータが不足していたため総合評価には含まれていない)。 子どものウェルビーイング(児童福祉)の状況は、その国の社会経済学的状態と密接に関連しているといわれていることから、ヨーク大学(イギリス)のKate E Pickett氏らのグループは、児童福祉格差の状況を明らかにするため、3つのマクロ経済的尺度との関連について調査を行った。BMJ誌オンライン版11月16日付け、本誌11月24日号より。OECD 23ヵ国間とアメリカ国内間の児童福祉を縦断評価3つの尺度とは、「物質的な生活水準(平均収入)」「社会的地位の格差(収入格差)」「社会的疎外(相対的貧困家庭で生活する小児の割合を評価)」。これらについて、ユニセフに報告されたOECD 23ヵ国間の横断比較を行い、国際的な関連性を確認するためアメリカ国内の州間の解析も行った。主要評価項目は、児童福祉に関するユニセフ報告の指標。アメリカ国内については8つの指標(10代の出産、青少年の殺人、乳児死亡率、低体重出生、教育パフォーマンス、高校の中退、肥満、精神保健上の問題)を用いた。児童福祉は平均収入より収入格差、相対的貧困と負の相関その結果、児童福祉指標は総合的に「収入格差(r=-0.64、P=0.001)」と「相対的貧困(r=-0.67、P=0.001)」との間で負の相関が認められ、「平均収入」との相関は認められなかった(r=0.15、P=0.50)。各指標を見ても大半が、「平均収入」より「収入格差」あるいは「相対的貧困」と関連していた。アメリカ国内では、ワシントンDCと他の各州とですべての指標の格差が有意に大きかった。10代の出産率と高校中退率については、豊かな州ほどより低い傾向がみられた。これらからPickett氏らは、「先進国の児童福祉の改善には、国家のさらなる経済成長よりも国内の経済格差の是正に努めたほうがよい」と結論づけた。

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インフルエンザ、流行シーズンに入る

インフルエンザが流行シーズンに入った。例年よりも1~2ヵ月ほど早く、過去10年ではもっとも早いシーズン入りとなる。11月19~25日の感染症発生動向調査が1.53(全国約4700ヵ所、報告数7162人)となり、流行開始の目安となる定点あたりの報告数が1.00を上回った。既に北海道では警報が出ていたが、神奈川県、兵庫県、東京都など都市部を中心に流行している。

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ロタウイルス性胃腸炎のワクチン予防効果は87%

毎年、世界で約61万1,000人の子どもがロタウイルスが原因で死亡していると推定されるが、その多くは低所得国である。EUでは5歳未満の子どものロタウイルスによる死亡は200人以上、入院は8万7,000回以上、医療機関の受診は約70万回と推定されている。 T. Vesikari氏(フィンランド、タンペレ大学ワクチン研究センター)らは、EUにおける生後2年までの乳幼児のロタウイルスによる胃腸炎に対するロタウイルスワクチン(RIX4414)の有効性を評価した。11月24日付Lancet誌掲載の報告。ワクチンは2回経口投与、フォローアップは2シーズン6ヵ国から3,994人が登録され、ワクチン群(2,646人)あるいはプラセボ群(1,348人)に無作為に割り付けられた。ワクチン群には定期接種の乳幼児用ワクチンとの併用でRIX4414を2回経口投与し、胃腸炎のフォローアップはウイルス流行の2シーズンにわたって行った。胃腸炎の症状がみられた患児の便を採取し、ELISA法でロタウイルスの検査を行い、RT-PCR法で株型を判別した。胃腸炎の重症度の判定には20ポイントVesikariスケールを用い、症状スコアが11ポイント以上を重症と判定した。予防効果の有効性を確認初回効果フォローアップ期間(平均5.7ヵ月)において、プラセボ群では評価可能な1,302人中94人にロタウイルス性胃腸炎がみられたのに対し、ワクチン群では2,572人中24人であり、ワクチンによるロタウイルス性胃腸炎の予防効果は87.1%であった(p<0.0001)。複合効果フォローアップ期間(平均17ヵ月)における重症ロタウイルス性胃腸炎の予防効果は90.4%(p<0.0001)であり、ロタウイルス性胃腸炎による入院の予防効果は96.0%(p<0.0001)、ロタウイルス関連の医療機関受診の予防効果は83.8%(p<0.0001)であった。有害事象はワクチン群の11%、プラセボ群の13%にみられた。1人がワクチン投与後8日目に腸重積を発症したが、手術により軽快した。Vesikari氏は、「RIX4414の2回投与は、5つの株型(G1、G2、G3、G4、G9)のロタウイルスによるあらゆる重症度のロタウイルス性胃腸炎および重症ロタウイルス性胃腸炎に対し、有意な予防効果を示した」と結論している。(菅野 守:医学ライター)

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静脈血栓症は虚血性イベントのリスク

 静脈血栓症の患者では、深部静脈血栓症、肺塞栓症を問わず、発症直後より心筋梗塞、脳卒中のリスクが増加しているとの症例・対照研究が、Lancet誌11月24日号に掲載された。筆頭著者はAarhus University Hospital(デンマーク)のHenrik Toft Sorensen氏。静脈血栓発症後1年間で脳卒中リスク2倍以上今回の「症例」群は、静脈血栓症患者で心血管系疾患既往のない42,124例、デンマーク全国患者レジストリに登録された救急病院入院患者よりピックアップされた。内訳は「深部静脈血栓症」群(25,199例)と「肺塞栓症」群(16,925例)である。一方「対照」群は住民登録システムから「年齢」、「性別」、「居住区域」をマッチさせた心血管系疾患既往のない163,566名が抽出された。深部静脈血栓症の対照群は97,773例、肺塞栓症の対照群が65,793例だった。これらのコホートで比較したところ、静脈血栓症患者では短期・長期を問わず、心血管系イベントリスクが有意に増加していた。すなわち、深部静脈血栓発症後1年間の心筋梗塞発症相対リスクは1.60(95%信頼区間:1.35~1.91)、脳卒中は2.19(95%信頼区間:1.85~2.60)と、対照群に比べ著明な増加を示した。さらに2年後から20年後までのリスクを比較しても、心筋梗塞リスクは1.18(95%信頼区間:1.11~1.26)、脳卒中も1.31(95%信頼区間:1.23~1.39)と有意な増加が維持されていた。肺塞栓症も同様である。発症後1年間の心筋梗塞リスクは2.60(95%信頼区間:2.14~3.14)、脳卒中は2.93(95%信頼区間:2.34~3.66)と著明かつ有意な増加を認め、発症2年後から20年後のリスクも有意に増加していた。「静脈血栓が心血管系動脈のイベントリスクであることを示す、強力なエビデンスである」と著者らは記している。(宇津貴史:医学レポーター)

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torcetrapibの臨床試験ILLUMINATEの結果

本報告は、コレステロールエステル転送蛋白(CETP)の抑制が血漿リポ蛋白レベルに重要な影響を及ぼすことが示され開発が進められていた、CETP阻害薬torcetrapib(2006年12月開発中止)の臨床試験ILLUMINATEの結果。NEJM誌オンライン版11月5日付け、本誌11月22日号で掲載された。強力なCETP阻害薬torcetrapibが重大な心血管イベントを減少させるかどうかについて調査された本治験は、結果として投与を受けた患者の死亡リスクと心イベントが増加したため早期に中止された。HDL-Cの増加とLDL-Cの減少は有意も血圧上昇を伴うILLUMINATEは、心血管リスクの高い15,067例の患者を対象とする無作為化二重盲検試験。患者はtorcetrapib+アトロバスタチンの併用、またはアトロバスタチン単独のいずれかに割り付けられた。主要評価項目は最初の重大な心血管イベントまでの期間とした。重大な心血管イベントとは、虚血性心疾患による死亡、非致死的心筋梗塞、脳卒中、不安定狭心症による入院と定義された。12ヵ月時点で、torcetrapibを投与された患者はベースラインと比較して、高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)が72.1%上昇、低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)は24.9%低下(P

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多発性骨髄腫へのlenalidomide+デキサメタゾン併用療法は有効性が高い

 サリドマイドの構造的類似体であるlenalidomideは、より強力な生物学的活性をもち、抗剤として開発され欧米では用いられている。アテネ大学医学部のMeletios Dimopoulos氏らの研究グループによる本報告は、再発または難治性の多発性骨髄腫の治療における、lenalidomideとデキサメタゾンの併用療法のプラセボ対照第3相試験の結果。NEJM誌2007年11月22日号に掲載された。2剤併用群とデキサメタゾン単独群を盲検比較 過去に少なくとも1回、多発性骨髄腫治療を受けたことのある351例の患者を、経口lenalidomide 25mg投与群(176例)とプラセボ投与群(175例)にランダムに割り付け、1サイクル28日間の1~21日目に投与した。さらに全例に対して、最初の4サイクルは経口デキサメタゾン40mgを1~4日目、9~12日目、17~20日目に投与し、その後のサイクルでは1~4日目のみ投与した。 本試験は患者に疾患の増悪または容認できない毒性作用が発生するまで続けられた。主要エンドポイントは疾患増悪までの期間。2剤併用群で寛解率、生存期間とも有意に向上 症状進行までの期間は、lenalidomide+デキサメタゾン投与群(lenalidomide群)がプラセボ+デキサメタゾン投与群(プラセボ群)より有意に長かった(中央値11.3ヵ月 vs 4.7ヵ月、P

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病棟の迅速対応チーム(RRT)は小児患者でも有効

迅速対応チーム(rapid response team:RRT、別名メディカル対応チームまたはメディカル緊急チーム)は、ICU以外の入院病棟でのコード(呼吸停止、心肺停止等)による患者死亡を減少させるために導入されたもので、これまで成人患者に関する成果は報告されているが、小児患者については死亡率、コード率の有意な減少を示すデータは公表されていない。そこでスタンフォード大学医学部小児部門のPaul J. Sharek氏らが、小児病院でRRT導入前後の検証を行った。JAMA誌11月21日号掲載より。小児病院でRRT導入前後の死亡率、コード率を検証本研究は、264床を有するスタンフォード大学附属の高度小児医療専門病院で行われた。2001年1月1日から2007年3月31日の間に、同院医療病棟または外来外科手術病棟で少なくとも1日を過ごした小児入院患者計22,037例、102,537 入院日(patient-days)が検討対象で、このうち2005年9月1日以後の入院患者7,257例、34,420入院日分がRRT導入後群。RRTは、小児科ICU訓練を受けたフェローまたは指導医、ICU看護師、ICU呼吸療法士、看護師長から構成。チームは統一基準を用いて活動し、24時間体制で入院患者のアセスメント、治療、トリアージに対応する。主要転帰は、ICUを除く病棟の死亡率、コード率(呼吸停止、心肺停止)とされ、すべての転帰はケースミックス指標値で調整された。死亡率18%減、コード率70%減RRT導入後、平均月間死亡率は18%減少(100退院当たり死亡1.01→0.83)した。平均月間コード率は、1,000入院当たりでは71.7%減少(2.45→0.69)、1,000入院日当たりでみた場合は71.2%(0.52→0.15)減少しており、導入後の推定コード率は、1,000入院当たりでは導入前の0.28倍、1,000入院日当たりでは0.29倍。この結果を受けSharek氏らは、「RRT導入は小児科でも、死亡率、コード率の統計学的な有意な減少が示された」と結論。患者特性、重症度は検討していないものの19ヵ月間で33例の小児が救われたと推定される今回の結果は劇的であると述べる一方、将来的な課題としては、成人患者と混在する病院での検討および、特に費用対効果について検証する必要があるとまとめている。(武藤まき:医療ライター)

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前立腺肥満者の血液希釈とPSA濃度との関係

肥満者の血清前立腺特異抗原(PSA)濃度が非肥満者より低いことが、最近の研究で示唆されている。デューク大学メディカルセンター(アメリカ)のLionel L. Banez氏らのグループは、ボディマス指数(BMI)の高い男性のほうが循環血漿量も多いので、肥満者の低PSAは血液希釈が原因かもしれないと仮定。検証結果をJAMA誌2007年11月21日号に報告した。根治的切除術を受けた患者の後ろ向き研究を実施血液希釈とPSAとの関連を前立腺の肥満者で判定するため、根治的前立腺切除術を受けた男性の後ろ向き研究を行った。3施設[Shared Equal Access Regional Cancer Hospital(n=1,373)、Duke Prostate Center(n=1,974)、Johns Hopkins Hospital(n=10,287)]で1988年から2006年までに手術を受けた患者のデータベースが用いられた。主要評価項目は、平均PSA濃度、平均血漿量、平均PSA質量(全循環PSA蛋白、血漿量と掛け合わせて算出)とBMI値との関係。PSA質量は傾向のP値を決定することで評価された。結果は臨床病理学的な特性を制御した後、検証された。高BMIと低PSAの相関を評価する前向き研究が必要と結論すべてのコホートにおいて、高BMIと高血漿量とは有意に相関しており(傾向のP<0.001)、低PSAとも有意に相関していた(傾向のP≦0.02)。3つのコホートのうち2つにおいて、PSA質量は、BMIの増加に伴う有意な変化はなかったが、残り1つのコホートでは、高BMIとPSA質量増加とに相関がみられた(傾向のP<0.001)。ただしBMI値25以下カテゴリーと他の各カテゴリーとの間だけにみられたものである。Banez氏らは、「高BMIと高血漿量とは相関することが確認された。したがって、前立腺の肥満患者における低PSAの1つの原因として、血液希釈の可能性は十分に考えられる」と結論し、「この相関を評価するためスクリーニング集団での前向き研究を行う必要がある」と最後に提言した。(朝田哲明:医療ライター)

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一般医への1日集中トレーニングで患者の服薬コンプライアンス改善

一般医を対象に高血圧治療に関する集中トレーニングを1日行うだけで、患者の服薬コンプライアンスが有意に改善することが初めて、地域住民を対象とした無作為化試験により確認された。Aga Khan University(パキスタン)のNudrat Noor Qureshi氏らによる報告として、BMJ誌オンライン版11月8日付け早期公開、本誌11月17日号で掲載された。治療アルゴリズムと診療態度を指導本研究では、一般医にて高血圧治療を受けているカラチ住民178例を、受診しているクリニックを基準にクラスター無作為化により、医師「トレーニング」群(81例)と「対照」群(97例)に割り付けた。両群の患者背景に有意差はない。「トレーニング」群に割り付けられた医師たちは1日かけて集中講義を受け、各国高血圧ガイドラインに沿った治療アルゴリズムと、患者に対する十分かつ適切な態度と説明方法を解説された(外務省の情報によると、パキスタンではまだ「『患者を診てやる!』という姿勢が主流」とのこと)。また降圧治療のマニュアル並びにポスターが配布された。一方、対照群の医師は何ら特別な講習は受けていない。降圧薬服薬率はトレーニング群48%、対照群32.4%その結果、受診6週間後の降圧薬服用率は、「トレーニング」群の医師を受診した患者では48%(95%信頼区間:35.8~60.4%)で、32.4%(95%信頼区間:22.6~42.3%)の「対照」群に比べ有意に高かった(p=0.048)。両群で処方された薬剤の詳細は不明だが、降圧薬にかかるコストに有意差はなかった。「指示通りの服薬」に影響を与える有意な因子を多変量解析で探ったところ、医師側の要因としては「服薬の目的を患者に説明」という項目が残った。確かに「トレーニング」群では服薬目的を患者に説明する医師が「対照」群に比べ有意に多かったが、それでも37%のみだった(p=0.01、vs 「対照」群:17%)。著者はこれらより、医師からの患者へのコミュニケーションの重要さを訴え、特に人的資源が限られている発展途上国ではこのようなアプローチが必要だろうと結論している。なお社会経済的にパキスタンの対極に位置する米国では,薬剤師による指導が服薬コンプライアンスを改善するという無作為化試験が報告されている (FAME Study. JAMA 2006; 296: 2563)。 (宇津貴史:医学レポーター)

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潰瘍性大腸炎、クローン病に対する待機的結腸切除術の症例選定基準は高すぎる

イングランドでは、炎症性腸疾患[潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)]対し年間約2,000件の結腸切除術が実施されている。結腸切除術や緊急結腸切除術を要する重篤な炎症性腸疾患患者には、手術によって重大なリスクがもたらされる。これに対し、待機的結腸切除術後の死亡率は短期的には低いことが示されているが、長期的なフォローアップデータはない。 Stephen E. Roberts氏(イギリス、スウォンジ大学医学部)らは、現行の待機的結腸切除術の症例選定基準の適否について評価するために、広範な地域集団において炎症性腸疾患入院患者の手術施行状況別の3年後の死亡率を比較した。BMJ誌10月30日付オンライン版、11月17日付本誌掲載の報告。炎症性腸疾患で3日以上入院した2万3,464例の記録を照合本研究は、1968~1999年のオックスフォード地区および1998~2003年のイングランドにおける記録照合試験(record linkage study)である。炎症性腸疾患で3日以上入院した2万3,464例の記録を照合し、解析を行った。結腸切除術は5,480例に施行されていた。待機的結腸切除術群、結腸切除術非施行群、緊急結腸切除術群の3年後の死亡率を調査した。イングランドでは、3年後の死亡率は待機的手術が有意に優れるオックスフォード地区では、炎症性腸疾患の3年後の死亡率は待機的手術が非手術および緊急手術よりも低かったが、有意差は認めなかった。イングランドでは、UCおよびCDに対する待機的手術施行後3年の死亡率(UC:3.7%、CD:3.3%)は、非手術(UC:13.6%、p<0.001、CD:10.1%、p<0.001)および緊急手術(UC:13.2%、p<0.001、CD:9.9%、p<0.01)よりも有意に低かった。非手術と緊急手術の3年後の死亡リスクは同等であった。また、3年以上が経過すると、待機的手術の死亡率は一般集団と同等になった。併存疾患で補正しても、これらの知見に影響はみられなかった。待機的手術の症例選定基準および至適施行時期の確立をRoberts氏は、「これらの知見は、イングランドでは待機的結腸切除術の症例選定基準が高すぎることを強く示唆する」と結論している。また、同氏は「コントロールが不良な炎症性腸疾患に対する待機的結腸切除術の症例選定基準および至適な施行時期を確立するにはさらなる研究を要する」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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フェノフィブラート長期投与で糖尿病性網膜症の進行が遅延:FIELD試験サブ解析

FIELD試験は、2型糖尿病に対するフェノフィブラートを用いた長期的な脂質低下療法の、大血管障害および細小血管障害に対する抑制効果を検討する国際的な大規模無作為化臨床試験である。2005年にLancet誌に掲載された観察期間5年の報告では、レーザー治療を要する糖尿病性網膜症の発症率が有意に低下していた。レーザー治療は視野狭窄などの副作用を伴うことが知られている。 そこで、A. C. Keech氏(オーストラリア、シドニー大学NHMRC臨床試験センター)らFIELD試験の研究グループは、フェノフィブラートの糖尿病性網膜症に対する進行遅延効果およびそのメカニズムを検討するサブ解析を実施。今回その結果がLancet誌上(11月7日付オンライン版、11月17日付本誌)で報告された。網膜写真で糖尿病性網膜症の重症度を判定FIELD試験には50~75歳の2型糖尿病患者9,795例が登録され、フェノフィブラート群(4,895例)とプラセボ群(4,900例)に無作為に割り付けられた。患者の来院時に、糖尿病性網膜症のレーザー治療に関する情報が収集され、治療群への割り付けを伏せられた眼科医が、黄斑浮腫、増殖性網膜症、その他の眼疾患に対するレーザー治療の適用を判定した。1,012例を対象としたサブ解析[フェノフィブラート群512例(網膜症24例、非網膜症488例)、プラセボ群500例(網膜症22例、非網膜症478例)]では、標準化された網膜写真を撮影し、Early Treatment Diabetic Retinopathy Study (ETDRS)の基準を用いて重症度を判定、糖尿病性網膜症の累積発症率とその構成病変が確定された。初回レーザー治療患者が、フェノフィブラート群で31%低下レーザー治療を要する患者は、血糖および血圧のコントロールが良好な症例よりも不良な症例で多く、臨床的な細小血管障害が重度な症例で多かったが、血漿脂質濃度との関連は認めなかった。 初回レーザー治療を要する患者は、フェノフィブラート群がプラセボ群に比し有意に低下した(3.4 vs. 4.9%、ハザード比:0.69、p=0.0002、絶対リスク低下率:1.5%)。眼科領域のサブ解析では、主要エンドポイントである網膜症重症度の2段階進行について両群間に有意な差は認めなかった(9.6 vs. 12.3%、p=0.19)。また、試験開始時に網膜症がみられなかった症例に限っても有意差はなかった(11.4 vs. 11.7%、p=0.87)。試験開始時に網膜症がみられた症例では、フェノフィブラート群がプラセボ群に比し網膜症重症度の2段階進行が有意に少なかった(3.1 vs. 14.6%、p=0.004)。探索的な複合エンドポイント(網膜症重症度の2段階進行、黄斑浮腫、レーザー治療)は、フェノフィブラート群がプラセボ群に比し有意に改善した(ハザード比:0.66、p=0.022)。糖尿病性網膜症の改善効果のメカニズムは不明Keech氏は、「フェノフィブラート治療を受けた2型糖尿病患者では、レーザー治療を要する糖尿病性網膜症の発生頻度が低下した」と結論している。また、「フェノフィブラートによる糖尿病性網膜症の改善効果のメカニズムは不明だが、血漿脂質濃度とは関連がない」とし、「この実質的な有効性は、厳格な血糖および血圧のコントロールから得られるベネフィットを前提とし、これに付加的にもたらされる可能性がある」と推察している。(菅野 守:医学ライター)

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抗肥満薬rimonabantによりうつ症状が増加の可能性

米国食品医薬品局(FDA)に対し、同局の諮問委員会委員13名の全員一致で「非承認」を採択・答申した食欲抑制剤rimonabantの安全性に関し、Lancet誌11月17日号にメタ解析が掲載された。rimonabant服用例では抑うつ・不安による服薬中止がプラセボ群よりも有意に多いため「慎重な観察が必要である」と著者であるFrederiksberg Hospital(デンマーク)のRobin Christensen氏らは結論している。約4,000例を対象にメタ解析今回のメタ解析の対象としたのは、肥満例を対象にrimonabantと他剤・プラセボの体重減少作用を比較した無作為化二重盲検試験。結果としてRIO-Europe、RIO-Lipids,RIO-North America、RIO-Diabetes,の4試験が対象になった。それらの試験から、プラセボ群とrimonabant 20mg/日群の試験開始1年後のデータを抽出し、メタ解析を行った。rimonabant群2,503例、プラセボ群1,602例での比較となった。体重は有意に減少したが……その結果rimonabant群では1年間で体重が5.1kg、プラセボ群に比べ有意に低下した(95%信頼区間:3.57~7.31kg)。その一方、rimonabant群では「重篤な抑うつ」の増加が見られた。「全ての抑うつ」で比較すると発現リスクはプラセボ群と同等だが、「服薬中止を必要とする抑うつ」の発現はrimonabant群で有意にリスクが高かった(26例/2,503例 vs 5例/1,602例、オッズ比:3.03、95%信頼区間:1.09~8.42)。 一方「不安」は、服薬中止必要性の有無を問わず、rimonabant群で有意にリスクが増加していた。なお「抑うつ」・「不安」の評価に用いられていたのは 病院不安・抑うつ尺度(HADS:Hospital anxiety and depression scales)である。また「抑うつ」発現リスクと背景因子を検討したところ、「血中トリグリセライド(TG)値」と「年齢」がrimonabantによる「抑うつ」発現リスクと相関しており、高TG血症と高齢者が高リスクと考えられた。大規模試験CRESCENDOの今後の結果次第では盛り返しも「考察」において著者らも触れているとおり、冒頭のFDAの諮問委員会では開発社から提供されたデータを用い、同様のメタ解析を行っている。それによると肥満例を対象とした試験に限ればrimonabant 20mg/日による自殺傾向惹起リスクはプラセボと有意差はなく(オッズ比:1.8,95%信頼区間:0.8~3.8)、rimonabant群6,802例例中、自殺者はなく、自殺未遂が4例だった。ただしrimonabantは禁煙補助剤でもあるため、禁煙試験を含めて解析すると、自殺傾向の惹起リスクは1.9と有意に高かった(95%信頼区間:1.1~3.1)。なお、冠動脈イベント高リスク患者に対するrimonabantの1次予防作用をプラセボと比較する大規模試験CRESCENDOが現在進行中であり、結果によっては再び、rimonabantの「リスク・ベネフィット」が話題になるだろう。(宇津貴史:医学レポーター)

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急性冠症候群患者における新規抗血小板剤prasugrelのフェイズ3報告

本論文は11月4日の米国心臓協会・学術集会での発表と同時にNEJM誌オンライン版にて掲載されたもので、イーライリリー社と第一三共とが共同開発している新しいチエノピリジン系の抗血小板剤prasugrelとクロピドグレルとを比較する、国際的な二重盲検試験のフェイズ3であるTRITON TIMI-38からの報告。本誌では11月15日号に掲載された。急性冠症候群患者を両治療群に無作為割り付け両剤を比較するため、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を予定している中~高リスク群の急性冠症候群患者13,608例を、prasugrel投与群(初期投与量60mg、維持量10mg/日)またはクロピドグレル投与群(初期投与量300mg/日、維持量75mg/日)にランダムに割り付け、それぞれアスピリンとの2剤併用抗血小板療法が6~15ヵ月間にわたって行われた。有効性に関する主要エンドポイントは、心血管系起因の死亡、または非致死的心筋梗塞あるいは非致死的脳卒中による死亡とし、安全性に関する主要エンドポイントは大出血とした。心筋梗塞、血栓症発生率は低下するも致死的出血の増加をみる有効性の主要エンドポイントは、クロピドグレル群12.1%に対しprasugrel群では9.9%で出現した(ハザード比0.81、95%信頼区間:0.73~0.90、P

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ヒト喘息でも認められたキチナーゼ様蛋白質YKL-40との関連性

自然界に大量に存在するキチン質を分解する作用能力を持つキチナーゼに関して、エール大学医学部のGeoffrey L. Chupp氏らは2004年に、動物モデル研究で、喘息と真のキチナーゼ(哺乳類酸性キチナーゼ)との関連性を報告した。同研究ではまた、血清中で容易に測定が可能な、YKL-40と呼ばれる酵素活性を有さないキチナーゼ様蛋白質[ヒト軟骨糖蛋白39(HCgp-39)、chitinase 3-like 1とも呼ばれる]に関しても関連を報告している。Chupp氏らは今回、このYKL-40レベルとヒト喘息における関連性について検討した。NEJM誌11月15日号掲載より。3地点でYKL-40レベルを測定、臨床的特徴も評価Chupp氏らがYKL-40に着目したのは、これまでYKL-40がヒトの疾患での炎症と組織リモデリングにおいて重要な役割を果たしていることが多数の研究で報告されてきたことがある。ただしヒト喘息に関する検討は行われていなかった。検討のための血清YKL-40測定は、3つの喘息患者群(エール大学、パリ大学、ウィスコンシン大学それぞれを基点に集められた患者群、対照群は各周辺コミュニティから)で行われた。パリ大学患者群については、肺濃度が測定されている。喘息疾患とYKL-40との関連は、YKL-40の血清濃度および肺濃度、また各濃度が高い患者の臨床的特徴についても評価を行い検討された。喘息重症度とは正相関、1秒量とは逆相関血清YKL-40レベルは、対照群と比較して喘息患者群では有意な上昇が確認された。パリ大学患者群においては肺濃度が高く、循環血中YKL-40レベル(r=0.55、P

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インフルエンザ、早くも北海道で警報

インフルエンザ流行レベルマップによると、北海道が早くも「警報レベル」に達したことがわかった。全国の医療機関の平均患者報告数は0.94人、都道府県別では、北海道(8.1)、沖縄県(3.1)、神奈川県(1.8)、和歌山県(1.7)、千葉県(1.5)、兵庫県(1.4)、岡山県(1.1)、東京都(1.0)、山梨県(1.0)の順となっている。今シーズンの流行は例年より早く、次週には全国的な流行開始の指標となる1.0人を突破する可能性も高い。  インフルエンザ流行レベルマップhttp://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/inf-keiho/index.html

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イラク帰還兵の精神保健問題の評価は適切か?

退役軍人の精神保健問題を早期に発見するため米国国防総省は、大規模集団を対象に、前線配備から戻った直後と3~6ヵ月後の2回にわたるスクリーニングを推進している。W・リード軍事研究所のCharles S. Milliken氏らは、そのうち戻った直後のスクリーニングだけに焦点をあてた過去の論文は、「精神保健上の負荷を過小評価しているのではないか」と提言。あらためてイラク帰還兵の精神保健の必要性、そしてスクリーニングと精神保健サービス利用との関連を評価した。JAMA誌11月14日号掲載報告より。帰国直後より数ヵ月後に精神的問題が増加この研究は、前線から帰還した直後の1回目の健康評価(PDHA)と数ヵ月後に行う健康再評価(PDHRA)の2回(評価の間隔は中央値6ヵ月)ともに完了した、イラク帰還兵8万8,235例という大規模コホートを対象とした縦断的記述研究。主要評価項目は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、大うつ病、アルコール濫用、その他の精神的疾患それぞれにおいて、スクリーニング陽性で、精神保健サービス治療の必要ありとされた者あるいは利用した者。帰還兵はアンケートやインタビューで精神面の健康不安を訴え、治療の必要があると認められた割合は再評価時のほうが初回評価時より有意に高かった。2回のスクリーニングの結果から、20.3%の現役兵と42.4%の予備役兵について精神科治療の必要性が確認され、対人葛藤の疑いのある兵士の数は2回目には1回目の4倍に増えていた。また、アルコール依存への懸念も頻回に報告された。ただし治療はごく少数にしか勧められていない。精神保健サービスを利用した兵士の大半はスクリーニング後30日以内にケアを利用してはいたが、そのほとんどは治療の必要があるとの勧告は受けてはおらず、自らの判断で受診していた。兵士のPTSD症状は、初回評価時より再評価時で多かった(49%対59%)が、これは初回評価時で確認された症状が再評価時を受ける頃までに進行したためであり、治療の勧告、あるいは治療と症状進行との間に直接的な関係は認められなかった。集団スクリーニングの有効性を確認するに至らずMilliken氏らは、「帰国後数ヵ月で再スクリーニングを受けた兵士の中に、最初のスクリーニングで見落とされた大規模な集団のあることが確認された。退役軍人省の医療施設を訪れた退役兵において、帰還後数ヵ月以内に大きな臨床的負荷が現れることが最近報告され、この期間中に精神面のケアを強化する必要性が浮かび上がってきた」と報告。さらに、「家族関係の問題も増していたことも明らかとなり、家族へのサービスの不足も浮上した。一般人に戻った予備役兵が再評価時でより高率に、継続中の保険適用範囲について照会していたことも判明したが、これらは彼らの不安を映し出したものと言える。また、機密性が守られなければ、兵士はアルコール問題で治療を受けるのを躊躇するかもしれない」と述べ、受診を妨げるこうしたシステムのもとでは、集団精神保健スクリーニングの有効性を確認することは難しいと結んでいる。(朝田哲明:医療ライター)

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ワクチン接種は疾患発現減少に功を奏したか?

アメリカにおける全国的なワクチン接種プログラムの勧告は、対象疾患発現の減少、排除または根絶を目標に行われている。その目標は果たされているのか。CDC(疾病予防管理センター)のSandra W. Roush氏らワクチン予防接種専門調査委員会(Vaccine-Preventable Disease Table Working Group)は、2005年までに行われてきた13疾患対象の予防的なワクチン接種について、勧告・実行前後の罹患率および死亡率の比較を行った。JAMA誌11月14日号掲載の報告から。ワクチン対象13疾患の死亡率、罹患率を過去と現在で比較検証された13ワクチン対象疾患は、ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ、はしか、耳下腺炎、風疹(先天性風疹症候群を含む)、侵襲性のインフルエンザ桿菌b型(Hib)、急性B型肝炎、A型肝炎、水痘、肺炎球菌性肺炎と天然痘。ワクチン勧告前の基線データは、主要なデータソースからの代表的・歴史的に有名なデータとし、それらと直近の罹患率(2006年)、死亡率(2004年)とを比較した。主要評価項目は、疾患発現の症例数、死亡数と疾患による入院数。症例数は最低を記録するに至っているジフテリア、耳下腺炎、百日咳、破傷風は、1980年以前の状況よりも、ワクチン接種の勧告・実行によって、症例数は92%以上減少、死亡数は99%以上減少していた。地域流行性のポリオウイルス、はしか、風疹の伝染は、米国内では排除された。天然痘は、世界的に根絶に至っている。A型肝炎、急性B型肝炎、インフルエンザ桿菌b型、水痘を含む1980年以降にターゲットとされてきた大半のワクチン接種対象疾患については、症例数、死因数とも80%以上減少していた。侵襲性の肺炎球菌性肺炎は症例数は34%、死因数は25%減少していた。委員会は、「大部分のワクチン接種で予防可能とされる疾患の症例数は、最低を記録するに至っている。入院および死亡についても、減少は著しい」と述べ、ワクチンはバイオメディカルおよび公衆衛生の最も偉大な業績の1つであり、今後もワクチン開発・資金調達・調査・評価・配布に努力していくべきと結論づけている。(武藤まき:医療ライター)

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心血管系リスクは「妊娠中毒症」のリスク

Pre-eclampsia(妊娠高血圧症候群:PIH、旧「妊娠中毒症」)患者における心血管系リスク増悪はこれまでも報告されてきたが、このたび、妊娠前・妊娠時の心血管系リスクがPIHのリスクであるとの報告がなされた。Norwegian University of Science and Technology(ノルウェー)のElisabeth Balstad Magnussen氏らが明らかにしたもので、11月1日付けBMJホームページにて早期公開、同誌11月10日号に掲載された。地域住民女性3,500名で検討検討対象となったのは住民研究Nord Tr〓ndelangヘルス・スタディ(〓:Oの中に/、以下同じ)に参加し、出生届が確認された3,494名。Nord Tr〓ndelangヘルス・スタディには、1995~1997年に20歳以上だった全地域女性に登録を呼びかけていた。出生は22週以降の分娩とし、新生児の体重500g以上で9ヵ月以上生存した場合を検討対象とした。母体の健康状態は、Nord Tr〓ndelangヘルス・スタディにおける問診と出生届記載の情報を参照した。PIH例では代償機転が必要以上に大きく作用?3,494名中、133例(3.8%)がPIHだった。PIH群では背景因子中に心血管系リスクが多く認められた。すなわち、出産時母体年齢、妊娠期間、PIH既往と喫煙で補正後、PIHオッズ比は、収縮期血圧、拡張期血圧、総コレステロール値、LDLコレステロール値、非HDLコレステロール値──が上昇するに従い有意に増加していた。また、BMI、腹囲径の上昇もPIHオッズ比を増加させる有意な傾向が認められた。また両親いずれかの既往症との関係では、高血圧と糖尿病がPIHリスクを有意に増加させていたが、虚血性心疾患、また(これまで相関が報告されている)脳卒中とは有意な相関がなかった。Magnussen氏らは「妊娠前・妊娠時の心血管系リスクはPIH発症リスクと相関している」と結論すると同時に、正常な妊婦でもインスリン抵抗性の軽度上昇や軽度の脂質代謝異常は認められるため、PIH例ではこれらの妊娠に対する代償機転が必要以上に大きく作用しているのではないかと考察している。(宇津貴史:医学レポーター)

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上気道感染症、咽頭炎、中耳炎に対する抗生物質投与は正当か

プライマリケア医は、一般的な気道感染症に対して、それに続発する重篤な合併症への配慮から予防的に抗生物質を処方しがちだ。イギリスのガイドラインでは、耐性菌の発現を考慮して上気道感染症、咽頭炎、中耳炎には抗生物質をルーチンに使用すべきでないとされる。また、肺感染症は急性気管支炎に分類され抗生物質は推奨されないが、肺炎には推奨されている。 I. Petersen氏(ロンドン大学ユニバーシティーカレッジ感染症疫学センター)らは、抗生物質の使用により一般的な気道感染症に続発する重篤な合併症のリスクをどの程度低下させられるかについて検討した。BMJ誌10月18日付オンライン版、11月11日付本誌掲載の報告。重篤な合併症発症リスクを抗生物質投与群と非投与群で比較本試験は、1991年7月~2001年6月までにUK General Practice Research Databaseに登録されたデータをレトロスペクティブに解析したコホート研究である。336万件の気道感染症のデータを用い、診断後に重篤な合併症を発症するリスクを抗生物質投与群と非投与群において比較した。主要評価項目は、中耳炎に続発する乳様突起炎、咽頭炎後の化膿性扁桃腺炎、上気道感染症後の肺炎のリスク、および個々の合併症の予防に要する抗生物質による治療コース数とした。重篤な合併症の続発はまれ、高齢者の肺炎リスクは高い中耳炎、咽頭炎、上気道感染症に重篤な合併症が続発することはまれであり、個々の合併症を予防するには4,064~4,407コースもの抗生物質治療が必要であった。肺感染症後の肺炎のリスクは特に高齢患者で高く、肺炎の予防に要する抗生物質治療コース数は、65歳未満の96~119コースに対し65歳以上では39コースと高齢者で実質的な予防効果が認められた。肺炎の予防を除き、気道感染症への抗生物質の使用は正当化されないPetersen氏は、「中耳炎、咽頭炎、上気道感染症後の重篤な合併症のリスク軽減を目的に抗生物質を使用することは正当化されない」と結論している。また、「市中肺炎は重篤な病態で死亡率も高い。イギリスのプライマリケア医はすでに肺感染症患者に抗生物質の投与を行っており、今回のわれわれの検討は特に高齢患者におけるその正当性を明らかにした」と指摘している。(菅野 守:医学ライター)

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