アミオダロンの心房細動発症ごと投与では死亡率、入院率とも上昇

提供元:ケアネット

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公開日:2008/10/28

 



不整脈治療剤アミオダロンは、効果的に心房細動を抑制するが、有害事象が多いため使用禁忌もまた多い。そこで、心房細動を予防するために除細動後にアミオダロンを連続的に投与した患者と、発症ごとに投与した場合の主要イベントを比較していたオランダ・フローニンゲン大学のSheba Ahmed氏らは「発症ごとの投与では、心房細動再発や死亡率、心血管関連の入院率が有意に高まる」と報告した。JAMA誌2008年10月15日号より。

オランダ国内の患者209例を対象に連続投与と比較




心房細動を繰り返す外来患者209例を対象とした無作為試験は、オランダ国内の7医療センターで、2002年12月~2007年3月に実施された。

患者は、電気的除細動を行った後に、アミオダロン投与を発症ごとまたは連続的に治療を受ける群に無作為に割り付けられた。発症ごと投与群は、洞調律が1ヵ月継続後は投与をやめ、心房細動が再発すれば再開した。連続的投与群では、試験期間中アミオダロン投与が継続された。

主要エンドポイントは、アミオダロンと基礎疾患である心臓病関連の主要イベントの複合との関連とした。副次的エンドポイントは、全死因死亡率と心血管関連の入院とした。

心臓有害事象の複合転帰には両群間に違いなし




中央値2.1年(範囲:0.4~2.5年)の追跡後、洞調律を維持していたのは、発症ごと投与群51例(48%)に対して連続的投与群64例(62%)だった(P=0.05)。心房細動再発は、発症ごと投与群85例(80%)に対して連続的投与群は56例(54%)だった(P<0.001)。

両群間の主要複合エンドポイント発生率に有意差はなかった。発症ごと投与群37例(35%) vs. 連続的投与群34例(33%)、発症率の差:0.2(95%信頼区間:-10.2~10.6)。

しかし、アミオダロンと関連する主要イベント発生率[発症ごと投与群20例(19%) vs. 連続的投与群25例(24%)、発症率の差:-2.0(95%信頼区間:-8.7~4.6)]、および基礎疾患の心臓病関連の主要イベント発生率[17例(16%) vs. 9例(9%)、発症率の差:3.6(95%信頼区間:-1.6~8.7)]には、非統計学的だが有意な違いがあった。

全死因死亡率と心血管関連の入院率は、発症ごと投与群のほうが高かった[56例(53%) vs. 35例(34%)、P=0.02]。

Ahmed氏は「発症ごとにアミオダロン投与を受けた患者は、心房細動再発の増加率が有意に高まり、全死因死亡率と心血管関連の入院率も有意に上昇した」と結論している。

(朝田哲明:医療ライター)