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慢性心不全患者への運動療法:総死亡率や心血管疾患死亡率などやや改善の可能性

慢性心不全患者への運動療法は、総死亡率や心血管疾患による死亡率などを、やや改善する可能性があるようだ。これまで、心不全患者に対する運動療法が、臨床的アウトカムを有意に改善することを示した研究はなかったという。本報告は、2,300人超の心不全患者を対象に行った、多施設共同無作為化試験「HF-ACTION」の結果で、米国Duke大学のChristopher M. O’Connor氏らが分析し、JAMA誌2009年4月8日号で発表した。補正前の死亡または入院した割合に有意差なしHF-ACTIONでは、2003~2007年にかけて、米国、カナダ、フランスの医療施設82ヵ所で、合わせて2,331人の安定した外来慢性心不全患者を集めた。被験者の年齢中央値は59歳、左室駆出分画率は35%以下(中央値25%)だった。また、被験者の37%がニューヨーク心臓協会心機能分類でIIIまたはIVに属し、51%が虚血性心不全だった。研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方の群(運動療法群)の1,172人には、通常の治療に加え、エアロビクス運動を36回指導し、その後は家で行うよう指導した。もう一方の群(対照群)の1,159人には通常の治療のみを行った。追跡期間の中央値は、30カ月だった。追跡期間中に死亡または入院したのは、運動療法群65%(759人)、対照群68%(796人)だった(ハザード比:0.93、95%信頼区間:0.84~1.02、p=0.13)。補正後の死亡または入院の発生率は運動療法群で0.89倍に被験者について、試験開始当初の主な予後規定因子で補正後、運動療法群の原因を問わない死亡または入院に関する、対照群に対するハザード比は、0.89(95%信頼区間:0.81~0.99、p=0.03)だった。心血管疾患による死亡や入院に関する同ハザード比は、0.91(0.82~1.01、p=0.09)、心血管疾患による死亡や心不全による入院に関しては、0.85(0.74~0.99、p=0.03)だった。なお補正前の結果では、総死亡率(ハザード比:0.96、95%信頼区間:0.79~1.17、p=0.70)、心血管疾患による死亡や入院(0.92、同:0.83~1.03、p=0.14)、心血管疾患による死亡や心不全による入院(0.87、同:0.75~1.00、p=0.06)のいずれも、両群に有意差は見られなかった。有害事象の発生率については、両群で有意差はなかった。これらから、予後規定因子の補正前では有意な改善は見られなかったものの、補正後の結果では、両死亡率や入院率、心不全による入院率について、運動をしないグループに比べ、優位な改善が見られたと結論している。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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慢性心不全患者への運動療法:短期に健康状態を改善し、長期的に維持

慢性心不全患者の運動療法は、短期で健康状態改善の効果が現れ、その状態が長期的に維持できることが明らかにされた。これまでの研究では、心不全患者への運動療法の是非について、結果が一貫していなかった。本報告は、2,300人超の心不全患者を対象に行った、多施設共同無作為化試験「HF-ACTION」の結果で、米国Duke大学のKathryn E. Flynn氏らが分析し、JAMA誌2009年4月8日号で発表した。運動療法群にはエアロビクス運動を指導HF-ACTIONは、2003~2007年にかけて、合わせて2,331人の状態が安定した外来慢性心不全患者を無作為に2群(運動療法群と対照群)に分け行われた。被験者の左室駆出分画率は、35%以下。運動療法群の1,172人には、通常の治療に加え、エアロビクス運動を36回指導し、その後は家で行うよう指導した。一方の対照群の1,159人には、通常の治療のみを行った。被験者は、Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire(KCCQ)スコアによる健康状態の自己評価を、試験開始時と3、12ヵ月後、その後は年1回行った。追跡期間の中央値は2.5年だった。運動療法群、3ヵ月でKCCQスコアが1.93ポイント増その結果、試験開始後3ヵ月におけるKCCQスコアは、対照群で平均3.28(95%信頼区間:2.48~4.09)だったのに対し、運動療法群では平均5.21(4.42~6.00)だった。運動療法群のKCCQスコアは、対照群に比べ、1.93ポイント(0.84~3.01)有意に増加していた(p

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FDAがC型慢性肝炎患者へのペグインターフェロン併用療法の適用拡大を承認

シェリング・プラウ株式会社は16日、米国本社が3月11日に米国食品医薬品局(FDA)より代償性肝疾患を持つ3歳以上のC型慢性肝炎患者の治療としてペグイントロン(ペグインターフェロンα-2b)とレベトール(リバビリン-USP)との併用療法の適用拡大を新たに承認したことを発表した。今回、適用拡大が承認されたことで、ペグイントロンとレベトールは、米国内で承認された唯一の未治療の患者に限定せずに使用できるペグ化インターフェロン併用療法となったという。一連の治療で効果が得られなかった後、再治療の効果が現れにくい患者は、過去の治療で無効であった患者、ペグ化インターフェロンによる治療経験がある患者、高度な線維性架橋形成または肝硬変がある患者、あるいはHCVジェノタイプ1感染の患者。詳細はプレスリリースへhttp://www.schering-plough.co.jp/press/2009/0416_1.html

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患者カルテ情報の研究利用、過度な個人情報保護は結果に重大な影響招く

2003年4月にアメリカで発効されたHIPAA(Health Insurance Portability and Accountability Act;医療保険の携行と責任に関する法律)などによる患者情報の秘匿性への重視から、患者のカルテ情報の研究利用について、かつては必要とされていなかったインフォームドコンセントが義務付けられることが多くなった。しかし、“義務的”にインフォームドコンセントを行った上で集めたデータに基づく研究結果には“バイアス”がかかって有効性に重大な影響を与えているのではないか――。そのような懸念は、すでに1977年頃には言われていたが、最近富みに編集レビュー委員らが強調するようになっていることから、マクマスター大学(カナダ・ハミルトン)臨床疫学・生物統計学部のMichelle E Kho氏らは、実際にインフォームドコンセントが前向き観察研究でバイアスを先導しているのか、システマティックレビューで検証を行った。BMJ誌2008年4月4日号(オンライン版2009年3月12日号)より。患者の研究への同意率は66.9%レビュー対象は、2008年3月までに、Embase、Medline、Cochrane Libraryで発表された、参加者と非参加者の特徴が報告されており、カルテ情報を用いるためにインフォームドコンセントを行っていた前向き観察研究論文が選ばれた。分析されたのは、参加者および非参加者の年齢、性、人種、教育、収入または健康状態。また、各々の研究への同意率、選択および報告への偏りの恐れに対する感受性についても調べられた。レビューされたのは1650論文。そのうち分析可能なデータを含み基準を満たしたのは17の研究論文だった。結果、分析された転帰尺度について、参加者と非参加者間の差が確認された。しかし、インフォームドコンセントによるバイアス、および有効性に与える影響の大きさについて整合性を見いだすことはできなかった。また、カルテ情報利用に関する同意率は、17論文での16万1,604例のうち66.9%だった。Kho氏は、「カルテ情報の利用に関して、個人情報保護法が観察研究に過度なバイアスをもたらすことのないよう、義務的なインフォームドコンセントの必要性に関して、調査倫理委員会等は思慮深く意思決定する必要がある」と結論している。

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2型糖尿病の10年リスク予測スコアの決定版!? QDScore

広く認められ日常診療でも使用可能な2型糖尿病のリスク予測スコアのアルゴリズムは、いまだ開発されていない。イギリス、ノッティンガムの一般開業医Julia Hippisley-Coxらは、これまで開発されたアルゴリズムの反省点を踏まえ、人種および社会経済的に多様な集団を対象に、10年間の2型糖尿病診断結果を基にした新たな糖尿病10年リスク予測スコアのアルゴリズム(QDScore)を開発した。BMJ誌2009年4月4日号(オンライン版2009年3月17日号)で発表している。人種および社会経済的に多様な集団を対象に開発開発には、イングランドとウェールズの一般開業医が協力。スコア開発群として355人がデータを提供、一方で、スコア検証群として176人がデータを提供する前向きオープンコホート研究の方法を用いて行われた。最も関心が寄せられた転帰は、カルテに記された2型糖尿病のインシデント情報だった。また、Cox比例ハザードモデルを使い、リスク因子影響の評価と、リスク因子の男女差が調べられた。評価されたQDScoreの予測変数は、人種、年齢、性、BMI、喫煙状態、糖尿病の家族歴、T-スコア、高血圧と心血管疾患の治療歴、コルチコステロイドの現在使用である。開発群コホートに集まったデータは、25~79歳の254万753人(1,643万6,135人・年)。そのうち、7万8,081人が2型糖尿病のインシデントケースと診断された。一方、検証群コホートには、123万2,832人(764万3,037人・年)のデータが集まり、インシデントケースは、3万7,535人だった。WEBにあるので、いつでも誰もが気軽に評価の結果、2型糖尿病のリスクの人種間格差は、4倍から5倍に上ることが明らかになった。白人を基準とすると、バングラディッシュ人・女性は4.07倍(95%信頼区間:3.24~5.11)、同男性は4.53倍(3.67~5.59)、またパキスタン人・女性は2.15倍(1.84~2.52)、同男性は2.54倍(2.20~2.93)に上る。パキスタン人とバングラデシュ人の男性のリスクは、インド人の男性より有意に高率だった。アフリカ系黒人男性と中国人女性のリスクも、対応する白人の基準群と比較して高かった。また検証群のデータを使っての検定の結果、QDScoreの予測変数が、より優れていることが確認された。Hippisley-Cox氏は、「QDScoreは、前向きコホート研究を基礎とし、そして社会的格差や民族性を考慮した初の、2型糖尿病のための10年リスク予測アルゴリズムである。臨床検査を必要とせず、日常診療で使用でき、さらに、WEB(http://www.qdscore.org)上にもあるので、いつでも誰もが利用することができるものだ」とまとめている。

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【医師限定記事】6割の医師が過去1年間に患者・家族からの迷惑行為を経験!

 医師限定コミュニティ「Dr'sVoice」にて行ったアンケート「広がるモンスターペイシェントの被害!」の結果によると、約6割の医師が過去1年間に患者・家族から迷惑行為を受けた経験があることがわかった。アンケートは2009/03/13から2009/04/13まで行われ、1550名の医師が参加。モンスター患者の話題は各メディアでも取り上げられることが増えたが、アンケート結果では「過去1年間に迷惑行為を受けたことがある」60%、「過去1年間に迷惑行為を受けたことがない」38%、「その他」2%だった。 コメントの書き込みでも様々なケースが報告されているが、患者側のモラル低下を指摘する声が多かった。それに加えて、マスコミの姿勢や病院の管理姿勢を問題視する意見も見られた。●「広がるモンスターペイシェントの被害!」の詳細結果はこちらhttp://www.carenet.com/click/voice/result.php?eid=20

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【医師限定記事】7割の医師が自由標榜制の見直しに賛成!

医師限定コミュニティ「Dr'sVoice」にて行ったアンケート「自由標榜制を見直すべきか?」の結果によると、条件付き賛成も含めて約7割の医師が自由標榜制の見直しに賛成していることがわかった。アンケートは2009/03/13から2009/04/13まで行われ、1153名の医師が参加。それによると、「賛成」35%、「条件付き賛成」36%、「反対」24%、「どちらでもない・わからない」5%、だった。賛成としては開業したとたんに自分の専門外の科を標榜する医師がいる点や専門資格を持つ科だけを標榜できるべきといった声があった。一方で専門医資格がなくても臨床能力に優れた医師は多い、専門医=臨床能力とは限らない、といった声が見られた。 ●「自由標榜制を見直すべきか?」の詳細結果はこちらhttp://www.carenet.com/click/voice/result.php?eid=22

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【医師限定記事】訴訟リスクの増大が萎縮医療に!?飛行機や電車内での緊急呼び出しに応える医師は23%にとどまる

今は訴訟リスクの増大から萎縮医療がおきているといわれるが、医師限定コミュニティ「Dr'sVoice」で行ったアンケート「機内・車内で緊急の医師の呼び出し!先生は名乗り出ますか?」の結果によると、「仮に飛行機や新幹線などで救急患者に遭遇したとき、先生は名乗り出ますか」との問いに「名乗り出る」と回答した医師は23%にとどまった。アンケートは2009/03/13から2009/04/13まで行われ、1279名の医師が参加した。それによると、「名乗り出る」23%に対して、「名乗り出ない」が30%、「ケースによって考える」44%と意見が分かれた。この問題の法的側面は「善きサマリア人の法」が関連するが、医師の心情面をよくあらわした結果となっている。コメントでも名乗り出る医師に対する疑問の声がある一方で、名乗り出ない医師が意外と多いという声も聞かれた。実際に遭遇されたときのコメントなども寄せられたが、医師として名乗り出ると言いたいが、リスクへの不安がぬぐえない、そんな医師の微妙な心理が表れている。 ●「機内・車内で緊急の医師の呼び出し!先生は名乗り出ますか?」の詳細結果はこちらhttp://www.carenet.com/click/voice/result.php?eid=19

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【医師限定記事】医師が最もよく飲んでいる花粉症の薬とは?

医師限定コミュニティ「Dr'sVoice」で行ったアンケート「医師だってつらい花粉症!先生ご自身が飲む薬は何?」の結果によると、花粉症で飲む薬に対する意見は分かれた。アンケートは2009/03/13から2009/04/13まで行われ、480名の医師が参加した。それによると、「アレグラ」23%、「クラリチン」16%、「ジルテック」11%などの順となったが、意見はかなり分かれている。コメントでも点鼻ステロイドが良い、漢方などの意見が寄せられている。 ●「医師だってつらい花粉症!先生ご自身が飲む薬は何?」の詳細結果はこちらhttp://www.carenet.com/click/voice/result.php?eid=17

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冠動脈多枝病変に対するCABGとPCI、長期効果はどちらが優れる?

冠動脈多枝病変に対する冠動脈バイパス移植術(CABG)と経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の長期予後は同等であり、いずれを選択するかは他の予後因子に関する患者の好みを考慮して決めるべきであることが、無作為化試験の共同解析の結果から明らかとなった。冠動脈多枝病変の治療選択肢としてのCABGとPCIについては、これまで手技に関する無作為化試験は実施されてきたが、代表的なサブグループの死亡率に及ぼす治療法別の長期的な効果は明確にされていなかったという。アメリカStanford大学医学部のMark A Hlatky氏が、Lancet誌2009年4月4日号(オンライン版2009年3月20日号)で報告した。10の無作為化試験のプール解析研究グループは、治療が死亡率に及ぼす効果が患者背景によって変化するか否かを検討するために、無作為化試験のデータに関する共同解析を行った。ベースライン時の患者背景に基づいてCABGとPCIの効果を比較した10の無作為化試験のデータについてプール解析を実施した。層別化に基づく変量効果Cox比例ハザードモデルを用いて、無作為に割り付けられた治療法の全死亡に及ぼす影響を評価し、その臨床的な患者背景との相互関連について検討した。6年後の死亡率は、CABG群15%、PCI群16%と同等10試験に登録された7,812例のデータが解析の対象となった。PCIは、6試験ではバルーン血管形成術が、4試験ではベアメタルステント留置術が施行されていた。フォローアップ期間中央値5.9年の時点で、CABG群の3,889例中575例(15%)が死亡したのに対し、PCI群の死亡例は3,923例中628例(16%)であり、両群間に有意な差は認めなかった(ハザード比:0.91、p=0.12)。糖尿病患者(CABG群:615例、PCI群:618例)の死亡率はPCI群よりもCABG群で実質的に低かった(12.3% vs. 20.0%)が、非糖尿病患者では両群間に差はなく(7.6% vs. 8.1%)、糖尿病の有無別には有意な差が見られた(p=0.014)。年齢別の解析では、治療法によって死亡率に変化が見られ、55歳未満ではCABG群5.5%、PCI群5.0%(ハザード比:1.25)、55~64歳ではそれぞれ8.0%、9.4%(同:0.90)、65歳以上では11.0%、14.7%(同:0.82)であり、年齢層間に有意差を認めた(p=0.002)。罹患血管数や他の患者背景による違いは確認されなかった。著者は、「冠動脈多枝病変患者では、CABGあるいはPCI施行後の長期的な死亡率は同等であり、それゆえ治療法の選択の際は他の予後因子に関する患者の好みを考慮して決定すべきである」と結論し、「糖尿病患者と65歳以上の患者では、CABGで死亡率が低かったことから、より優れた治療選択肢となる可能性がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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結核に対するモキシフロキサシン追加の有効性を確認

結核の初期治療として、標準治療へのモキシフロキサシン(国内商品名:アベロックス)の追加投与はエタンブトール(同:エブトール、エサンブトール)の併用に比べ有効性が高く、治療期間の短縮も期待できることが、ブラジルRio de Janeiro連邦大学のMarcus B Conde氏らが実施した第II相試験で確認された。結核の治癒を目指す治療薬の開発では、治療期間の短縮と薬剤耐性菌に対する有効性が求められている。フルオロキノロン系抗菌薬であるモキシフロキサシンは、既存の抗結核薬との併用で相加効果を示すとして有望視されていたという。Lancet誌2009年4月4日号掲載の報告。単一施設における二重盲検ダブルダミー無作為化対照比較第II相試験研究グループは、Rio de Janeiro市の単一施設において、喀痰塗抹陽性の結核患者に対する初期治療としてのモキシフロキサシンの有効性と安全性を評価するための二重盲検ダブルダミー無作為化対照比較第II相試験を実施した。標準用量の標準治療〔イソニアジド(同:イスコチン、アイナーなど)、リファンピシン(同:リマクタン、リファジンなど)、ピラジナミド(ピラマイドなど)〕を受けた170例が、モキシフロキサシン400mg+プラセボを追加投与する群(85例)あるいはエタンブトール15~20mg+プラセボ投与群(85例)に無作為に割り付けられ、5日/週の治療を8週間にわたって施行された。主要評価項目は8週間以内に喀痰培養が陰性化した症例の割合とし、解析はintention-to-treat変法にて行った。ベースライン時に喀痰培養陰性の例、培養に失敗した例、薬剤耐性結核菌が検出された例は解析から除外した。8週間の治療結果が得られない場合は治療不成功とした。喀痰培養陰性化率は、モキシフロキサシン群80%、エタンブトール群63%モキシフロキサシン群の74例、エタンブトール群の72例が解析の対象となった。8週間の治療データは125例(モキシフロキサシン群:64例、エタンブトール群:61例)で得られた。データが得られなかったおもな理由は培養の失敗であった。治療8週の時点で、喀痰培養が陰性化した症例はエタンブトール群が72例中45例(63%)であったのに対し、モキシフロキサシン群は74 例中59例(80%)と有意に優れていた(群間差:17.2%、p=0.03)。薬剤関連の有害事象は、エタンブトール群でgrade 3の皮膚反応が1例に見られたのみであった。著者は、「モキシフロキサシンは結核の初期治療として喀痰塗抹培養の結核菌陰性化効果を改善する」と結論したうえで、「今回の知見は、モキシフロキサシン併用による治療期間短縮の可能性を評価するための臨床試験の実施を正当化するもの」としている。(菅野守:医学ライター)

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資源に乏しい発展途上国での子宮頸がん検診は、HPV検査が有効

日本では今年から、子宮頸がんへの関心を高めようと4月9日を「子宮の日」と称し、子宮の健康を考える日とされた(命名はNPO法人子宮頸がんを考える市民の会:理事長・笹川寿之 金沢大学医学部助教授)。さて本論だが、子宮頸がん検診の普及を推進するWHOの付属機関、国際がん研究機関(IARC;International Agency for Research on Cancer、フランス・リヨン)のRengaswamy Sankaranarayanan氏らが、「検診が普及していない発展途上国」で、3つの検診法(細胞診、HPV検査、VIA検査)のいずれが有用かを、標準的ケア群(対照群)と比較検証した試験結果。「資源に乏しい発展途上国で1回検診を行うとすれば、HPV検査が有効」とする報告を寄せている。NEJM誌2009年4月2日号掲載より。30~59歳の健康な女性13万1,746例を4群に無作為割り付けし8年間追跡過去30年において、発展途上国での子宮頸がんの発生率は減っていないが、対照的に先進国では、細胞診の大規模検診の普及とともに死亡率が大きく低下した。しかし発展途上国での細胞診普及には限界があり、HPV検査、VIA検査実施への期待が高い。Sankaranarayanan氏らはインド中西部、マハラシュトラ州の南部にあるウスマーナーバードで1999年10月に、3つの検査と検査未実施群の4集団を比較検討するクラスター無作為化比較試験を開始。本論では追跡期間8年間の結果を報告している。試験は、52村(30~59歳の健康な女性13万1,746例を含む)を無作為に13村ずつ4群に分け、3つの検査群と対照群に無作為に割り付け行われた。対照群と比べHPV検査群が、最も早期発見に優れ、がん死亡半減対照群との比較で、子宮頸がんのうちステージ2以上の進行がん発生数および死亡発生数について有意差(減少)が見られたのは、HPV検査群(34,126例)だけで、細胞診群(32,058例)とVIA群(34,074例)で有意な減少は見られなかった。HPV検査群の子宮頸がん例は127例に対し、対照群は118例。このうちステージ2以上の進行がんについてはそれぞれ39例と82例で、HPV検査群の進行がん発見のハザード比は0.47(95%信頼区間:0.32~0.69)だった。細胞診群は同0.75、VIA群は同1.04にとどまった。また、がんによる死亡については、HPV検査群34例に対し、対照群は64例で、ハザード比は0.52(0.33~0.83)。細胞診群は同0.89、VIA群は同0.86だった。(武藤まき:医療ライター)

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血液透析患者に対するロスバスタチン、心血管イベントの発症抑制効果なし

透析患者にロスバスタチン(商品名:クレストール)を投与しても心血管イベント発症の抑制効果はないことが、AURORA試験から報告された。LDL-Cは低下するも、主要複合エンドポイント(心血管系の原因による死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)に有意な効果は認められなかったという。NEJM誌2009年4月2日号で発表されている。主要複合エンドポイント、全死亡への効果も認められずAURORA試験は、血液透析治療を開始し3ヵ月以上が経っている50~80歳の患者2,776例が、25ヵ国280施設から参加し行われた大規模な多国間多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験。患者は、ロスバスタチン10mg/日投与群とプラセボ群とに無作為に割り付けられ、中央値3.8年追跡された。LDL-Cは、3ヵ月で、ベースライン時平均100mg/dL(2.6mmol/L)から平均43%低下した。追跡期間中の主要複合エンドポイントは、ロスバスタチン群396人(9.2イベント/100患者・年)、プラセボ群408人(9.5イベント/100患者・年)で、ハザード比は0.96(P=0.59)でロスバスタチンによる効果は認められなかった。主要エンドポイントの各項目別に見ても、心血管系の原因による死亡(1.00)、非致死的心筋梗塞(0.84)、非致死的脳卒中(1.17)と効果は認められなかった。また、副次エンドポイントとした全死因による死亡についても、ロスバスタチン群636人(13.5イベント/100患者・年)、プラセボ群660人(14.0イベント/100患者・年)で、ハザード比は0.96(P=0.51)と有意な効果は認められなかった。(武藤まき:医療ライター)

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がんの早期発見のために

大鵬薬品工業株式会社は10日、がんをより早期に発見するための情報コンテンツ『見のがすな!がんのサイン(http://www.taiho.co.jp/sign/index.html)』を、同社のウェブサイト内に公開した。コンテンツ内容は、胃がん、大腸がん、膵がん、肺がん、乳がん、子宮頸がん、前立腺がん、膀胱がんの早期発見のために、自己検診やがん検診を啓発することを目的としており、それぞれのがん診療の医師の指導のもとで制作されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.taiho.co.jp/corporation/news/2009/20090410.html

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救急救命士による、エピペン注射液の投与解禁

マイラン製薬株式会社は13日、救急救命士がアナフィラキシーショックの状態にある重度疾病者に対し自己注射が可能なエピネフリン製剤(エピペン注射液)によるエピネフリン投与を行うことが解禁になった旨の通知が、厚生労働省よりなされたと発表した。なお、処置の対象となる重度疾病者があらかじめエピペンを交付されていることが前提となっており、留意事項として下記2点が示されている。1.自己注射が可能なエピネフリン製剤によるエピネフリンの投与を行う救急救命士においては、当該製剤の添付文書等に記載された使用上の注意、使用方法等を十分に理解するとともに練習用器具により使用方法等を習熟しておくこと2.重度傷病者で自己注射が可能なエピネフリン製剤を現況携帯している場合は、当該重度傷病者はあらかじめ医師から自己注射が可能なエピネフリン製剤を交付されているものとして取り扱って差し支えないエピペンはマイラン・グループである米国デイ社で製造されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.mylan.co.jp/press_j/index.php

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医療安全指標SPSと院内死亡率

米国の病院の、医療安全基準指標の一つにSafe Practices Score(SPS)がある。これは、病院の未然に防ぐことが可能な医療ミス削減などを目的にした非営利団体「Leapfrog Group」が、医療の安全性を向上するために実行している対策事項について、病院自らの報告を元にスコア化したもの。これまで、同スコアと死亡率といったアウトカム間との関連は明らかになっていなかったが、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のLeslie P. Kernisan氏らによる調査結果では、院内患者死亡率との相関関係は見られなかったと報告された。JAMA誌2009年4月1日号掲載より。院内死亡率と四分位毎のSPSスコアに相関なし同研究グループは、2006年にSafe Practices Surveyを行った1,075病院のうち、院内死亡率などのデータベースNationwide Inpatient Sample(NIS)で情報の得られた155ヵ所の病院について、分析した。補正前の全体の院内死亡率は、2.09%だった。病院の退院件数や教育病院か否かなどの補正を行った後、SPSスコアの四分位毎の院内死亡率について見てみると、同スコアが最も低い第1四分位の院内死亡率平均は1.97%(95%信頼区間:1.78~2.18%)、第2四分位は同2.04%(1.84~2.25%)、第3四分位は同1.96%(同:1.77~2.16%)、第4四分位は同2.00%(同:1.80~2.22%)だった。院内死亡率と四分位毎のSPSスコアには、有意な相関関係はなかった。65歳以上患者などのサブグループ分析でも相関なしさらに、サブグループ分析として、65歳以上の患者と、期待死亡率が5%以上の入院患者についてそれぞれ見てみたが、同様に院内死亡率と四分位毎のSPSスコアには、有意な相関関係は見られなかった。Kernisan氏は、「しかし今回の結果は、安全対策が重要でないとか、SPSでは有益で妥当な評価は難しいということではない。評価が可能な、妥当な方法を見つけなくてはならないということだ」と結論している。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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ホームレスへの住居提供で、医療費など公的サービス費用が半減

 慢性的ホームレスの人(Chronically Homeless Persons)は、様々な問題を抱えており、医療サービス提供や刑務所への収容といったことに、多くの公的費用が費やされている。しかし、ホームレスに無料で住居を提供することで、そうした費用をおよそ半分に減らすことができるとする、研究結果が報告された。ワシントン大学のMary E. Larimer氏らの研究で明らかになったもので、JAMA誌2009年4月1日号で発表した。入居前ホームレスの公的サービス費用は月額1人4,066ドル同氏らは、ワシントン州シアトルで2005年11月から2007年3月の間、慢性的ホームレスで住居を提供された95人と、住居の空きを待つ待機者39人について、調査を行った。いずれのグループに対しても、アルコール摂取を許可した。住居群の、試験開始前の公的コストについて見てみると、刑務所等収容施設の費用、病院の医療費、救急医療費、アルコールや薬物解毒の治療などにかかった費用は、年間総額817万5,922ドルだった。1人当たりの月額中央値は、4,066(四分位範囲:2,067~8,264)ドルだった。住居提供6ヵ月で公的サービス費用は53%減少住居を提供されてから6ヵ月後、住居群に支払われた同コストは、月額中央値1,492(337~5,709)ドルに減少。さらに12ヵ月後には月額中央値958(98~3,200)ドルに減少した。一般化推定方程式ポアソン回帰モデルで分析し、傾向スコア補正を行った結果、住居群は待機群に比べ、入居後6ヵ月で同コストが53%減少していた(率比:0.47、95%信頼区間:0.25~0.88)。住居提供に要した費用である月額1人1,120ドルを差し引くと、住居群は待機群に比べ、月額1人平均2,449ドルの公的費用削減につながった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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着衣のままで聴診可能な衣類を開発 

NI帝人商事株式会社の子会社である株式会社帝健は、着衣のままで聴診可能な聴診衣(特許出願済み)を近畿大学医学部堺病院呼吸器内科部長 長坂教授と共同で開発したと発表した。特に思春期の女性への検診等において、聴診の際に上半身の脱衣をどこまで行うか躊躇する例が多い。しかし、一般に市販されている肌着シャツでは、聴診器とシャツ、素肌との接触により生じる摩擦音で、正常呼吸音や心音を聴取することが難しい。今回の「聴診衣」は超極細繊維「ミクロスター」を使用し、高密度で編みたてられたしやかな生地で作製。そのために、聴診時に皮膚や聴診器の膜面との摩擦雑音が極めて発生しにくく、伝音性も良いのが特徴という。 詳細はプレスリリースへhttp://www.teijin.co.jp/news/2009/jbd090325.html

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遺伝子組換えヒト卵胞刺激ホルモン注射用製剤「ゴナールエフ皮下注ペン」発売

メルクセローノ株式会社は8日、低ゴナドトロピン性男子性腺機能低下症(MHH)を対象とする遺伝子組換えヒト卵胞刺激ホルモン注射用製剤「ゴナールエフ皮下注ペン450/900」(一般名:ホリトロピン アルファ〔遺伝子組換え〕)を発売した。ゴナールエフ皮下注ペンは、ペン形注入器に遺伝子組換えヒト卵胞刺激ホルモン薬液のプレフィルドカートリッジを装着した製剤。ゴナールエフは、MHHによる精子形成障害の治療薬として、2006年5月より日本で溶解液付き凍結乾燥製剤「ゴナールエフ 皮下注用75/150」の販売が開始され、2008年10月に今回発売するゴナールエフ皮下注ペンの剤型追加が承認された。ゴナールエフ皮下注ペンは、これまでに世界80ヵ国で承認されている。ゴナールエフ皮下注ペンは、プレフィルドカートリッジの採用により投与時の溶解操作を必要とせず、投与量をダイアルで設定できるようになっているのが特徴。これにより、患者は自己注射を容易に行えるという。また、これまでより細い注射針が使用できるほか、従来の製剤よりも注入量が少なくなる。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.merckserono.co.jp/ja_JP/images/Gonelef%20Pen%20Launch_090408_tcm258-15204.pdf

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患者と医師で分かれるうつ病重症度判定表に対する評価:イギリス

イギリスのNHS(国民健康保険制度)では1998年以降、QOF(医療の質とアウトカムの枠組み)が導入され、プライマリ・ケアを担うかかりつけ医の業績を、数値化した指標で評価している。この枠組みの中で2006年4月以降、初診時全患者について、公認された判定表を用いてうつ病重症度を評価するようインセンティブが与えられるようになった。目的は、中等度~重度うつ病患者の過少治療(特に抗うつ薬投与)を改善することにある。しかし、実際には臨床的な判断を優先し、必ずしも判定表の結果に即した治療は行われていない実態が指摘されている。この問題について、リバプール大学プライマリ・ケア部門のChristopher Dowrick氏らが、医師と患者を対象に調査を行った。BMJ誌2009年3月28日号(オンライン版2009年3月19日号)掲載より。かかりつけ医34人、患者24人を面接調査調査は、うつ病重症度判定表の標準尺度をルーチンに採用することに関して、医師および患者がそれぞれどのように考えているのかを明らかにするため実施された。面接調査への協力が得られたのは、イングランドの3つの地域(サウサンプトン、リバプール、ノーフォーク)の38ヵ所のかかりつけ診療所から、34人の医師と24人の患者。かかりつけ医は懐疑的、患者はエビデンスに期待結果、医師は評価表の尺度の有効性と有用性については慎重であるべきだと懐疑的だったが、患者は概してうつ病重症度の評価について好意的だった。両者の意見が一致していたのは、「重症度の評価は全人的ケアの一側面とみなすべき」であるということ。一方で、医師は、自分たちの経験知や臨床的な判断のほう(“phronesis”)が客観的評価より重要と考えており、客観的評価が診療の人間的な要素を減弱させることを危惧していた。対して患者は、判定表を医学的判断にとって有効な補助材料として肯定的に受け止めており、アセスメントが十分行われ、医師が病状を真剣に受け止めるエビデンスになると考えていた。また、医師も患者も「指標操作の可能性」については気づいていた。医師はコスト面から、患者はうつ病の徴候をごまかしたり望ましい転帰を得るために、それぞれ操作する可能性があることを了解していた。こうした分析を踏まえDowrick氏は、評価ツールに対する医師側の疑念があるにもかかわらず、「これらツールの活用は、プライマリ・ケアにおけるうつ病対策に恩恵をもたらすだろう」と述べている。その理由について「患者は、かかりつけ医の診断は正しく、また、精神保健上の問題を評価・管理するために系統的に努力を払ってくれていると受け止めており、患者からの信頼度は高まっているからだ」と結論。最後に、プライマリ・ケアに携わる医療者へのさらなる教育によって、うつ病重症度判定表の正しい活用は普及するだろうとの期待を述べ報告をまとめている。

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