新型インフル発症者、香港型と比べ低年齢だったが入院リスクなどは同等だった

提供元:ケアネット

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公開日:2010/09/21

 



2009年パンデミックA(H1N1)型インフルエンザ(新型インフル)を発症した人は、H3N2型インフルエンザ(香港型)を発症した人に比べ、年齢は低いが、入院リスクなどは同等だったことが報告された。米国疾病予防管理センター(CDC)のEdward A. Belongia氏らが、A型インフルエンザを発症した約7,000人について、タイプ別に(新型インフル、季節性H1N1、H3N2型)調べ明らかにしたもので、JAMA誌2010年9月8日号で発表した。新型インフルについて、他のA型インフルエンザの症状と直接比較した報告はこれが初めてという。

発症者の年齢中央値、新型インフルは10歳、H3N2型は25歳




研究グループは、2007~2008年と2008~2009年の各インフルエンザ・シーズンと、2009年5~11月にかけて、米国ウィスコンシン州内14地域(郵便番号で選定)の医療機関で、被験者を30日間追跡する調査を行った。発熱、寒気、咳などの症状が8日未満続いた患者に対し、外来・入院の際に同意を得たうえでA型インフルエンザの検査が行われた。試験に同意した患者は6,874人だった。

感染が同定されたのは、新型インフル患者は545人、季節性H1N1患者は221人、H3N2患者は632人だった。それぞれの群の年齢中央値は、新型インフル群が10歳、季節性H1N1群が11歳だったのに対し、H3N2群は25歳と有意に高かった(p<0.001)。

大人の肺炎発症率、新型インフル群4.0%に対し、H3N2群は1.1%と有意差みられる




17歳までの小児患者の30日以内の入院率についてみると、新型インフル群395人中6人(1.5%)、季節性H1N1群135人中5人(3.7%)、H3N2群255人中8人(3.1%)と、有意差はみられなかった。大人の入院率も、同様に有意差はなかった。

肺炎発症率については、大人の患者で、新型インフル群が150人中6人(4.0%)、季節性H1N1群が86人中2人(2.3%)、H3N2群が377人中4人(1.1%)と、新型インフル群とH3N2群で有意差がみられた(p<0.05)。しかし子供の肺炎発症率については、各群で有意差はみられなかった。その他、集中治療室(ICU)への入室率や、肺炎と入院を合わせた発生率についても、それぞれ各群で有意差はなかった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)