「感染症対策は一医療者、一大学病院だけで解決する問題ではない」 帝京大学への警察捜査に懸念 全国医学部長病院長会議 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2010/09/22 全国医学部長病院長会議(会長:横浜市立大学医学部長 黒岩義之氏)は9月17日記者会見を開き、帝京大学医学部附属病院で発生した院内感染問題に関して、警視庁が関係者へ任意での事情聴取を始めたことに対して懸念を抱いていることを発表した([写真右]会長:横浜市立大学医学部長 黒岩義之氏 [写真左]副会長:東京慈恵会医科大学病院長 森山寛氏)。会見では、9月14日に文部科学省高等教育局、厚生労働省医政局、東京都福祉保健局に提出した声明文を読み上げ、医療現場における刑事捜査はその対象を明らかな犯罪や悪意による行為に限るべきであり、現在行われている警視庁による刑事責任の追及を目的とした捜査は医療現場を萎縮させる。司法警察当局には医療現場における謙抑的姿勢を貫かれるよう強く要望すると主張した。また、今回の帝京大学での感染症問題は外部から持ち込まれた菌によるもの。重症例やがん終末期のような免疫力低下症例が多い大学病院では、このようなリスクに脅かされる機会はどの施設でも高いため、今回の事例を教訓として早急に対策を講じなければならない。そのためには、各大学間で新規感染症の治療に関する迅速かつ有効な情報共有体制の構築が必要である。全国医学部長病院長会議としては、国立大学や公立大学、私立大学に協力を呼び掛けていくと表明した。会見の中では「とある大学病院での例」として感染症対策費の試算が発表され、現在の診療報酬制度では感染症対策費を賄いきれない、不足分は各大学病院の持ち出しで補っているという現場の苦しい状況が示された。感染症の専門家の養成についても、従来AIDSや結核、熱帯病などが感染対策の対象だったため、感染制御部を設置している大学病院は少なかった。ここに来て、耐性菌、緑膿菌、レジオネラなど対象が増えたため感染制御部が整備されるようになってきたが、認定看護師(感染管理)も含めて、まだまだ専門家の養成には時間と財源が必要である。これらの観点からも、感染症対策は一医療者、一大学病院だけで解決する問題ではない。予算や専門家の養成も含めて、国家的な規模で対策を講じる必要があると訴えた。《関連リンク》 全国医学部長病院長会議http://www.ajmc.umin.jp/ 「帝京大学医学部附属病院で発生した多剤耐性アシネトバクターによる院内感染問題について」声明文(PDF)http://www.ajmc.umin.jp/22.9.14seimei.pdf(ケアネット 戸田 敏治) 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 コロナ5類移行後の院内感染対策の現状は?/医師1,000人アンケート 医療一般 (2023/06/19) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] GLP-1受容体作動薬、物質使用障害の予防や治療に有効か/BMJ(2026/03/13) 最新の人工股関節、30年後も92%が再置換術不要/Lancet(2026/03/13) nalbuphine:IPFに伴う慢性咳嗽に対する新しいアプローチ(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)(2026/03/13) 末梢動脈疾患(PAD)の症状改善にメトホルミンは無効(解説:小川大輔氏)(2026/03/13) PHSは過去のもの?それとも現役?/医師1,000人アンケート(2026/03/13) 胃がん術後の早期経口摂取、ガイドライン記載も実施は2割/日本胃癌学会(2026/03/13) 日本における妊娠および授乳中のブレクスピプラゾール投与、その安全性を評価(2026/03/13) 脳外傷後の迅速な神経リハがアルツハイマー病のリスクを抑制する(2026/03/13) エクソーム解析で家族性高コレステロール血症の遺伝子変異保有者を特定可能(2026/03/13) 身体活動習慣を維持することが中年期の累積ストレスの少なさと関連(2026/03/13)