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メルビン錠の単独療法が可能に 一部変更承認取得

大日本住友製薬株式会社は20日、経口血糖降下剤「メルビン錠 250mg」(一般名:メトホルミン塩酸塩)において、2 型糖尿病患者に対する単独療法を可能とする「効能・効果」および「用法・用量」の一部変更承認を取得したと発表した。メトホルミン塩酸塩は、1961 年に国内承認を取得したビグアナイド系経口血糖降下剤。現在は2 型糖尿病の治療に用いられているが、1977 年からは、「SU 剤が効果不十分な場合あるいは副作用等により使用不適当な場合に限る」という使用制限が加えられていた。一方、欧米では、メトホルミン塩酸塩の有用性を示す多数の臨床成績が集積され、かつ、日本のような使用制限はなく2 型糖尿病治療の第一選択薬に位置付けられ、幅広く処方されている。今回の一部変更承認は、医療現場からの要望に応えたもので、2 型糖尿病患者に対する薬剤の選択肢が増加することにより、糖尿病治療への効果が期待される。詳細はプレスリリースへhttp://www.ds-pharma.co.jp/news/pdf/ne20090520.pdf

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ホクナリンテープにスピリーバへの追加効果が実証される

マルホ株式会社とアボット ジャパン株式会社は20日、ホクナリンテープ(一般名:ツロブテロール)が慢性閉塞性肺疾患の臨床診断基準を満たす安定期の慢性気管支炎や肺気腫に伴う閉塞性気道障害(以下COPD と略)を対象とした臨床研究で「スピリーバ吸入用カプセル18μg」(一般名:チオトロピウム)への追加効果を持つことが示されたと発表した。ホクナリンテープは、気管支喘息、急性気管支炎、慢性気管支炎および肺気腫にともなう気道閉塞性障害治療のための貼付型の長時間作用性β2刺激薬。アボット ジャパンと日東電工株式会社によって開発され、マルホを含めた3社で共同で販売されている。この臨床研究は、チオトロピウム単独またはホクナリンテープとチオトロピウム併用で、COPD患者に8週間にわたり投与した場合の有効性および安全性を比較したもの。試験は、合計103例の40歳以上のCOPD患者を対象に、無作為にチオトロピウム単独群(チオトロピウム18μg/日)またはチオトロピウムとホクナリンテープの併用群(チオトロピウム18μg/日+ツロブテロール2mg/日)に割り付けて行われた。患者の背景(平均年齢、喫煙比率、他の気管支拡張剤の併用率)は2群間に有意差はなかったという。BAREC(Beta-2 Agonist Research and Evaluation committee in COPD)研究会の和歌山県立医科大学内科学第三講座 教授 一ノ瀬正和氏らによる本試験の結果は、現地時間5月19日、サンディエゴで開催された米国胸部学会議(ATS)において発表された。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.maruho.co.jp/pdf/200905/0905hokunarintape_pr_jpn.pdf

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「高齢」を理由に、脳卒中の2次予防を避けてはならない

高齢の脳卒中患者に対するプライマリ・ケアにおけるルーチンの治療では、年齢による効果の変動に関するエビデンスはないため、「高齢」を理由とする過少治療(under-treatment)は正当化されないことが、イギリスで行われたコホート研究で明らかとなった。公衆衛生学における薬物療法の役割に関する最近の研究は、冠動脈心疾患による死亡率の低減に焦点が当てられ、脳卒中などの定量的な検討はほとんど行われていないのが現状だという。ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ疫学・公衆衛生学のRosalind Raine氏らが、BMJ誌2009年5月9日号(オンライン版2009年4月16日号)で報告した。脳卒中の2次予防の効果をさまざまな因子で評価研究グループは、プライマリ・ケアのルーチン治療において、薬剤を用いた脳卒中の2次予防に対する性別、年齢、社会経済的環境の影響について検討し、1年死亡率に及ぼす2次予防の効果を社会人口学的な方法で定量的に評価するコホート研究を実施した。解析にはhealth improvement network primary care databaseの個々の患者データを用いた。1995~2005年までに113の一般医(GP)の診療施設から登録された50歳以上の脳卒中患者のうち、少なくとも30日間生存した1万2,830例が対象となった。性別や社会経済的環境は影響しないが、高齢者で治療機会が少ない2次予防として薬物療法を受けていたのは、男性がわずか25.6%、女性はさらに低く20.8%にすぎなかった。2次予防のレセプトは社会経済的環境や性別による影響を受けなかったが、高齢者は実質的に治療を受ける機会が少ない傾向が認められた。すなわち、50~59歳に対する80~89歳の患者の治療頻度の補正オッズ比は0.53(95%信頼区間:0.41~0.69)であった。これは、例えば脂質低下薬投与の、50~59歳に対する80~89歳の補正オッズ比が0.44(同:0.33~0.59)であることなどを反映している。2次予防の施行と死亡リスクの50%低減には相関が認められた(補正ハザード比:0.50、95%信頼区間:0.42~0.59)。平均1年死亡率は、2次予防治療を受けた患者が5.7%であったのに対し、受けなかった患者は11.1%であった。社会的階層別の解析では治療効果の差はほとんど見られなかった。これらの知見を踏まえ、著者は「高齢の脳卒中患者は、薬剤による2次予防治療によって少なくとも若年患者と同等のベネフィットを得るため、年齢による効果の変動を理由に高齢者を過少治療とすることは正当化されない」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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下気道感染症への不必要な抗生物質処方が低減、その対策とは?

一般医(GP)がC反応性蛋白(CRP)検査を行い、コミュニケーション技能を鍛錬すれば、下気道感染症への抗生物質の処方が低減することが、オランダMaastricht大学医療センター一般医療科のJochenWL Cals氏らが実施した無作為化試験で明らかにされた。下気道感染症による咳嗽は抗生物質処方の最も一般的な理由の一つだが、プライマリ・ケアではその多くが患者にベネフィットをもたらしていない。不必要な抗生物質処方の最大の要因は、診断の不確実性や患者の期待だという。BMJ誌2009年5月9日号(オンライン版2009年5月5日号)掲載の報告。2つのアプローチに関するファクトリアルデザインのクラスター無作為化試験研究グループは、GPによるCRP検査[疾患(disease)志向型アプローチ]およびコミュニケーション技能の鍛錬[病状(illness)志向型アプローチ]が、下気道感染症への抗生物質処方に及ぼす影響を評価するために、実践に即した2×2ファクトリアルデザインによるクラスター無作為化試験を行った。オランダの20のプライマリ・ケア施設の40名のGPから、下部気道感染症患者431例が登録された。20の施設を5施設ずつ、次の4つのクラスターに無作為化に割り付けた(1施設2名のGP)。CRP検査のみを行う群(110例)、コミュニケーション技能の訓練のみを行う群(84例)、両方を行う群(117例)、通常治療を行う群(120例)。両方のアプローチを実施した群で処方率が最も低いCRP検査を実施したGPが抗生物質を処方した患者の割合が31%であったのに対し、CRP非施行群のGPの抗生物質処方率は53%であり有意差を認めた(p=0.02)。コミュニケーション技能の訓練を実施したGPの抗生物質処方率が27%であったのに比べ、非訓練群のGPは54%と有意に高値を示した(p<0.01)。副次評価項目である28日間のフォローアップ期間中の抗生物質処方については、2つのアプローチはそれぞれ有意な抑制効果を示した。両方のアプローチを実施した群の抗生物質処方率は23%と最も低値であったが、相互作用は有意ではなかった。患者の回復状況および満足度は全群で同等であった。著者は、「GPがCRP検査を行い、コミュニケーション技能の向上を図ることで、患者の回復や満足度に支障を来さずに、プライマリ・ケアにおける下気道感染症への抗生物質の処方が低減した」と結論し、「このプライマリ・ケアの現場で一般的な病態への抗生物質の処方を最大限に低減するには、疾患志向型のアプローチと病状志向型のアプローチの統合が不可欠と考えられる」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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チアジド系降圧利尿剤 フルイトラン錠1mg新発売

塩野義製薬株式会社は15日、チアジド系降圧利尿剤「フルイトラン錠1㎎」(一般名:トリクロルメチアジド)を新発売した。フルイトランは、米国シェリング・プラウ社により開発され、1960年に米国で発売されたチアジド系降圧利尿剤トリクロルメチアジドの経口用製剤で、腎臓の遠位尿細管でナトリウムや水分の再吸収を抑え、体内の余分な水分を排出して尿の量を増やし、高血圧症の方々の心臓への負担を軽減する。現在、日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)において、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)を含むレニン・アンジオテンシン系抑制薬と、少量の降圧利尿薬の併用療法が、降圧効果の相乗作用のみならず、電解質・糖代謝に対する副作用を相殺できる利点があるとして推奨されている。同社は「フルイトラン錠2㎎」を1960年より販売しているが、今回、少量製剤であるフルイトラン錠1mgを発売し、新たに医療現場に提供することで患者の利便性を向上させ、さらにARBである「イルベタン錠」と併用することで降圧効果の増強を図ることが可能になるとしている。詳細はプレスリリースへhttp://www.shionogi.co.jp/ir/news/detail/090515.pdf

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4価HPVワクチンGARDASILのHPV16型に対する長期予防効果が実証される

万有製薬株式会社の発表によると、子宮頸がんを予防する4価HPVワクチン GARDASILが、HPV16型に対して長期予防効果があることがわかったという。この結果は、GARDASILに含まれているHPV16型のワクチンの長期的な有効性に関する臨床試験結果と、GARDASIL接種後の細胞診結果や子宮頸部病変に対する治療に関する臨床試験結果で、スウェーデンにて開催された国際パピローマウイルス学会(International Papillomavirus Conference)で発表された。HPV16型ワクチン接種群では、HPV16型に感染していない女性群において、平均8.5年の間、HPV16型への感染、またHPV16型に起因する前がん病変(子宮頸部上皮内腫瘍、 CIN)の発生は認められず、また、別の試験では14種類のHPVに感染していない女性群において、GARDASILは細胞診の異常を17~45%減少させるという結果が出たという。GARDASILは米国など109ヵ国で承認されており、多くの国で、接種の義務化や接種費用の公費助成が行われている。多くの国での適応は、9~26歳の女性に対するHPV6、11、16、18型に起因する子宮頸がん、外陰がん、腟がん、それらの前がん病変または異形成、HPV16、11型に起因する尖圭コンジローマの予防である。詳細はプレスリリースへhttp://www.banyu.co.jp/content/corporate/newsroom/2009/merck_0515.html

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メタボに朗報! お酢の継続摂取が内臓脂肪を減らす

ミツカングループは14日、お酢を継続的に摂取することで、内臓脂肪が有意に低下することを臨床試験で実証したと発表した。同時に、血中中性脂肪、体重、BMIおよび腹囲を有意に下げる作用があることも確認したという。試験対象者は、BMIが25~30kg/m2、血中中性脂肪が100~250mg/dL、年齢が25~60歳の男女175名(男性111名、女性64名)。対象者を、1日あたり食酢を15mL摂取する群、食酢を30mL摂取する群、プラセボ(擬似食品)を摂取する群の3群に分け、二重盲検試験として行われた。各量の食酢は500mLの飲料に含まれており、朝・夕食後に250mLずつ摂取した。試験期間は摂取前の症状観察期間(3週間)、摂取期間(12週間)、摂取後の症状観察期間(4週間)の計19週間。その結果、 内臓脂肪と総脂肪(内臓脂肪+皮下脂肪)は、1日あたり食酢15mLの継続摂取によりプラセボ摂取に対して有意な減少量が認められたという。試験の結果は、5月21日に長崎市で開催される「第63回日本栄養・食糧学会大会」で発表予定で、日本農芸化学会の英文誌「Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry」(2009 Vol.73 No.未定)にも掲載される予定だという。詳細はこちらhttp://www.mizkan.co.jp/company/newsrelease/2009news/090514.html

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喫煙と眼の病気の関係性、知っているのはわずか2割未満

ノバルティス ファーマ株式会社が4月に行った「喫煙と疾患に関するインターネット意識調査」によると、肺がんなどの疾患については喫煙が危険因子とわかっているが、眼の疾患についてはあまり感じていないことがわかった。この調査は、5月31日の世界禁煙デーを前に、2009年4月に国内の40才以上の喫煙者の男女600名に対し行われたもの。調査結果では、喫煙が危険因子とされている疾患への認知率は、肺がんが97.2%、心臓病(心筋梗塞)、肺気腫・COPD、妊婦の早産や胎児の発育障害はそれぞれ90.8%、脳卒中が87.0%であるのに対し、眼疾患については、加齢黄斑変性症が19.6%、糖尿病網膜症が18.2%、白内障が13.5%と、それぞれ2割未満であった。一方で、喫煙との因果関係が確認されている疾患や症状への「恐怖度」については、肺がんやCOPD(慢性閉塞性肺疾患)をはじめとする呼吸器疾患の症状とされる「呼吸困難感・息切れ」(74.1%)よりも、「視力の急激な低下・失明」に恐怖を感じると回答した喫煙者が約8割(78.7%)と多く、脳卒中(89.5%)や心筋梗塞(89.2%)と同程度に恐怖を感じていることもわかったという。詳細はプレスリリースへhttp://www.novartis.co.jp/news/2009/pr20090518_02.html

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蘇生処置を受けた新生児はIQ低下のリスクが増大

蘇生処置を受けた新生児は、その後の小児期を健康に過ごした場合でも、知能指数(IQ)低下のリスクが増大していることが、イギリスBristol大学のDavid E Odd氏らが実施したコホート研究で明らかとなった。低酸素状態など出生時の軽度の脳損傷によって、小児が成長してからようやく検出し得るような、わずかな認知機能障害の可能性が高まるという。Lancet誌2009年5月9日号(オンライン版2009年4月21日号)掲載の報告。ALSPACコホートの3つの群を比較研究グループは、出生時に蘇生処置を受けたが脳症の症状は見られなかった新生児において、小児期のIQスコアの低下ついて評価した。1991年4月1日~1992年12月31日の間にBristol市で生まれた小児が80%以上を占めるAvon Longitudinal Study of Parents and Children(ALSPAC)のコホートから、以下の3つの群に属する小児を選択した。出生時に蘇生処置を受けたが脳症の症状はなく、それ以上の治療は受けなかった群(815例)、蘇生処置を受け脳症の症状が見られたため新生児治療を受けた群(58例)、蘇生治療を受けず脳症の症状もないため新生児治療は受けなかったレファランス群(1万609例)。認知機能の評価は平均年齢8.6(SD 0.33)歳時に行い、IQのスコアが80未満の場合を「低IQ」と定義した。5,953人の小児で、WISC-III(Weschler intelligence scale for children)によるIQスコアが得られた。IQの全検定を完遂できたのは5,887人であった。蘇生処置を受けた新生児は、無症状、有症状とも8歳時の低IQリスクが増大8歳時の解析(5,887例)では、蘇生処置を受け脳症の症状のない小児(オッズ比:1.65、95%信頼区間:1.13~2.43)および症状が見られたため新生児治療を受けた小児(同6.22、同1.57~24.65)の双方において、低IQのリスクが増大していた。一方、無症状小児は有症状小児よりも人数が多かったことから、低IQのリスク増大が、出生時に蘇生処置を要する原因となった病態に起因すると考えられる小児は、無症状群が3.4%(96%信頼区間:0.5~6.3)、有症状群は1.2%(同0.2~2.2)であった。著者は、「蘇生処置を受けた新生児は、その後の小児期を健康に過ごした場合でも、IQ低下のリスクが増大していた」と結論し、「蘇生処置時に無症状の新生児は、脳症の神経症状を呈した新生児に比べ、成人期に低IQをきたす確率が高い可能性がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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家庭での子どもの抗マラリア薬治療は過剰治療となり、効果も低い

マラリアの治療法として、発熱の見られる子どもに家庭でアルテメテル-ルメファントリン(artemether-lumefantrine)を投薬する方法は、治療の迅速化をうながすものの臨床効果はほとんどないことが、ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院(LSHTM)のSarah G Staedke氏らがウガンダの都市部で実施した無作為化試験で判明した。マラリアの迅速で効果的な治療法を確立するために、発熱がある子どもに対する家庭での抗マラリア薬による推定治療が提唱されている。Lancet誌2009年5月9日号(オンライン版2009年4月14日号)掲載の報告。マラリア感染率が低い都市部で実施された無作為化対照比較試験研究グループは、マラリア感染率がきわめて低いウガンダの都市部において、アルテメテル-ルメファントリンの家庭での投薬が抗マラリア治療の施行頻度や臨床転帰に及ぼす影響を評価した。ウガンダの首都カンパラにおいて、325世帯から1~6歳の子ども437例が登録され、発熱性疾患に対する推定治療として家庭でアルテメテル-ルメファントリンの投薬を受ける群(225例)あるいは現在の標準治療を受ける群(212例)に無作為に割り付けられた。無作為割り付けは1ヵ月のパイロット期間ののちに行われた。患児はさらに12ヵ月間のフォローアップを受け、月1回の質問票や世話をする者が記述する日誌から患児の健康状態や治療に関する情報を得た。主要評価項目は治療頻度(/人年)とし、intention-to-treat変法による解析を行った。実質的に過剰治療、臨床効果は標準治療と同等データ収集以前に標準治療群の4例、家庭治療群の8例が除外され、解析の対象となったのはそれぞれ208例、217例であった。抗マラリア治療の施行頻度は、標準治療群の2.53/人年に比し家庭治療群は4.66/人年と約2倍(施行率比:1.72、p<0.0001)であったが、顕微鏡下に確認されたマラリア原虫の検出頻度は標準治療群の1.03/人年に対し家庭治療群は4.66/人年と約5倍に達した(検出率比:5.19、p<0.0001)。試験終了時に解析可能な臨床データが得られたのは、標準治療群176例、家庭治療群189例であり、おもな除外理由は試験地域からの転出あるいはフォローアップの不備であった。最終評価時に血中に原虫が確認された患児は、標準治療群の10%(17例)に対し家庭治療群は2%(4例)と有意に少なかった(p=0.006)が、貧血などの標準的なマラリア侵淫度指数に差はなかった。重篤な有害事象についてレトロスペクティブに調査したところ、両群に1例ずつ死亡例が見られた(標準治療群:呼吸不全と推定される、家庭治療群:重篤な肺炎、おそらく敗血症によると考えられる)。著者は、「家庭におけるマラリア治療は、発熱に対する治療の迅速化をうながすものの臨床効果はほとんどない」と結論し、「実質的に過剰治療となっていたことから、家庭でのアルテメテル-ルメファントリンの投薬は大都市部やマラリア感染率がきわめて低い地域における治療法としては適切でないことが示唆される」と考察している。(菅野守:医学ライター)

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アリムタが非小細胞肺がんの適応取得

日本イーライリリー株式会社は20日、同社が効能追加申請を行っていた「アリムタ注射用500mg」(一般名:ペメトレキセドナトリウム水和物)に、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」の効能・効果が追加承認を受けたと発表した。また、同日開催された中央社会保険医療協議会総会において、アリムタ注射用500mgを「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」に対して使用した場合は、DPC包括評価の対象から外し、次回診療報酬改定までの間は出来高算定とすることが了承された。さらに同日、アリムタ注射用100mgについても「悪性胸膜中皮腫」および「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」の効能・効果で承認を受けた。同製剤は、薬価収載後に発売予定とのこと。アリムタは、2004年2月に米国で悪性胸膜中皮腫に対して初めて承認された。非小細胞肺がんに対しては、2004年8月に米国で承認されて以来、世界94ヵ国で承認されている。日本においては、2007年1月に悪性胸膜中皮腫の効能・効果で承認を受けている。今回、アリムタが承認されたことにより、非小細胞肺がんの化学療法は「組織型」の違いによって、より効果的な薬剤の選択が可能となった。 詳細はプレスリリースへhttp://www.lilly.co.jp/CACHE/news_2009_12.cfm

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第7回みんなで学ぼうチームオンコロジー:開催ご案内

Japan TeamOncology Program (J-TOP)様よりセミナーの案内をいただきました。日本型がんチーム医療(チームオンコロジー)を推進するセミナー「第7回みんなで学ぼうチームオンコロジー」を2009年7月25日(土)~26日(日)聖路加看護大学アリスC.セントジョンメモリアルホール他にて開催いたします。今回は、全国から応募選考させて頂きます。お申し込みは、チーム(医師、看護師、薬剤師が一組)または、チーム代表者でお願いします。お申し込みに際し、以下の課題を簡潔に記載し送付ください。1) あなたの理想とするチーム医療(100字程度) 2)あなたの理想とするチーム医療を実践するために何が必要か(箇条書き) 3)今回のワークショップに期待すること申し込みあて先は、準備委員会事務局 mingaku@teamoncology.com締め切り2009年5月29日(金)課題の症例は、「乳がん」および「大腸がん」を予定しております。プログラム他詳細は下記をご覧ください。皆様からのお申し込みをお待ちしております。┼──────────────────────────────────────    ◇◆ 第7回みんなで学ぼうチームオンコロジー:開催概要 ◆◇──────────────────────────────────────┼ ■ゴール:オンコロジースペシャリストとして必要な集学的治療(チーム医療:チームオンコロジー)の理解と実践 ■第7回開催コンセプト: ワークショップを通じ以下の3点を習得する。1)医師、看護師、薬剤師が、それぞれの専門性を発揮できるチーム作り2)EBMの手法を用いた化学療法の決定とサポーティブケアの選択3)患者中心のチーム医療に必要な職種間のコミュニケーションとリーダーシップの要件 ■開催概要:本セミナーは、“より良い日本型がんチーム医療(チームオンコロジー)とは何か”、“どのように実践していけは良いのか”を命題に、講演、ワークショップそして課題のプレゼンテーションを通じ、実習し体得していただくプログラムです。患者さん中心のチームオンコロジーのあり方を、M.D.アンダーソン留学経験者(チームオンコロジーチューター)と参加者が一緒に考え、学ぶ実践的セミナーです。 ■日程:2009年7月25日(土)~26日(日)(2日間) ■第7回みんなで学ぼうチームオンコロジー準備委員会代表世話人:津川浩一郎(聖路加国際病院)準備委員:医 師:齊藤光江(順天堂大学医学部附属順天堂医院)、    高島淳生(国立がんセンターがん対策情報センター)、杉山 直子(北里大学病院)看護師:佐保 邦枝(聖路加国際病院)、佐藤 仁美(青森県立保健大学)薬剤師:奥山 裕美(聖路加国際病院)、信濃 裕美(聖路加国際病院))、    大里 洋一(東京医科大学病院)、橋本 浩伸(国立がんセンター中央病院) ■場所:聖路加看護大学アリスC.セントジョンメモリアルホールおよび聖路加国際病院1号館5階研修室A〒104-0044 東京都中央区明石町10番1号http://www.slcn.ac.jp/access/index.html ■プログラム概要(予定):(1)イントロダクション:「M.D.アンダーソンのチーム医療」、「チームオンコロジーのミッション&ビジョン」(2)レクチャー(案):   1.アイスブレイク「ファシリテーションとチームビルディング」    2.「チームBの役割」   3.「EBMを用いた治療方針の決定」(3)ワークショップ:EBMの実践、課題症例検討(4)グループ発表(5)「チーム医療の中での役割 - 医師、看護師、薬剤師のリーダーシップ」(6)総合ディスカッション ■参加費:5,000円※尚、懇親会費用が含まれております。※但し、交通・宿泊費は参加者ご負担となりますことを、あらかじめご了承ください。※現在チームオンコロジー.Com会員でない方は、会員登録をされてからお申し込みください。 ■募集要項:より良いチーム医療を実践したいという意思のある12組(医師、看護師、薬剤師のチーム)合計36名なお、個人の参加も可能ですが、施設のチームとしてのお申し込みが優先となります。 ■申し込み受付:第1回申し込み受付:2009年5月7日(木)~5月29日(金)締め切り:2009年5月29日(金)※5月29日(金)までに、準備委員会事務局メールアドレス(mingaku@teamoncology.com)にお申し込みください。※今回は全国から応募選考させて頂きます。施設でお申し込みの場合は、代表の方お一人がまずはお申し込みいただくことで結構です。なお、29日までに規定の人数のお申込みがなかった場合には、チームオンコロジー.Com会員以外の方へのご案内を開始いたしますこと、ご了承ください。また、参加者の方には、6月1日以降に正式なお申し込み用紙をwebにてダウンロードいただき、送付していただくことになります。 ■課題の送付:お申し込みの際に、以下の課題をご記載し、送付してください。1) あなたの理想とするチーム医療を描いてください(100字程度) 2)あなたの理想とするチーム医療を実践するために何が必要かを考えてください(箇条書き) 3)今回のワークショップに期待すること ■代表世話人から会員のみなさんへ:  この度「みんなで学ぼうチームオンコロジー」、第7回目のセミナーを聖路加国際病院で開催させて頂くことになりました。このセミナーは米国M.D.アンダーソンがんセンターの留学者を中心に企画・運営されています。M.D.アンダーソンがんセンターのがん診療システムから学んだことをもとに、わが国に最も適した日本型のチーム医療を模索し、それを核にした質の高い患者中心のがん診療の実現を目指しています。第1回目は2006年1月に行われ、回を重ねてまいりました。 チーム医療を実現するために大切なキーワードは、「EBM:Evidence Based Medicine」、「Leadership」、「Communication」の3つと考えています。各医療専門職が良好なCommunicationのもと、それぞれが主体性を持って、適したEvidenceに基づいた議論を行い、診療計画を立案、実践していくことがチーム医療の根幹といえます。本セミナーのレクチャー、ワークショップ、ディスカッションを通じてこれらのキーワードに関し理解を深めていただければと思います。また、今回は特にサポーティブ・ケアにおけるEBMに関しても注目し、医師以外の専門職にも治療方針決定により深く関わっていただきたいと考えています。一人でも多くの方がご自身の施設に持ち帰ることのできるsomethingをこのセミナーで体験していただけるよう、鋭意努力させていただきたいと思います。 忙しい臨床の日々をお過ごしとは思いますが、是非ともご参加いただき、有意義な時間を共有できればと思っております。(第7回みんなで学ぼうチームオンコロジー代表世話人 津川浩一郎) 主催:財団法人聖ルカ・ライフサイエンス研究所監修:テキサス大学M.D.アンダーソンがんセンター後援:中外製薬株式会社、ノバルティス ファーマ株式会社 会場(聖路加看護大学)アクセス http://www.slcn.ac.jp/access/index.html申し込み受付:準備委員会事務局:mingaku@teamoncology.comチームオンコロジー.com http://www.teamoncology.com/ 詳細はこちら(PDF)http://www.teamoncology.com/0_news/images/teamoncology-7th.pdf

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薬剤溶出ステントvs. ベアメタルステント長期の安全性と有効性の軍配

薬剤溶出ステント(DES)の有効性については、前向き無作為化試験とメタ解析の結果、標的病変部血行再建術(TLR)の施行率はベアメタルステント(BMS)と比べて有意に低いものの、死亡率と心筋梗塞の率は同程度とされている。一方、術後長期におよぶ患者の死亡率はDESが高いなど、長期にわたる安全性と有効性は疑問視されてきた。その点に関するスウェーデンで行われたSCAAR試験の報告が、NEJM誌2009年5月7日号にて発表されている。主要エンドポイントで有意差は認められず2003年から2006年にかけて冠動脈ステント留置術を受けSCAARに登録され、かつ1~5年間(平均2.7年)の完全な追跡調査データが利用できた患者4万7,967例について評価が行われた。主要解析において、DESを1個留置した患者1万294例と、BMSを1個留置した患者1万8,659例について、患者の臨床特性と血管および病変特性の差を調整した後、両者を比較。アウトカム解析は2,380例の死亡と3,198例の心筋梗塞を基に行われた。結果、全体として、DES群とBMS群との差は、死亡または心筋梗塞の複合エンドポイント(薬剤溶出ステントの相対リスク:0.96、95%信頼区間:0.89~1.03)、死亡(0.94、0.85~1.05)、心筋梗塞(0.97、0.88~1.06)の個々のエンドポイントにおいて有意差は認められなかった。また、ステント埋め込みの適応別サブグループ間でもアウトカムに有意差は見られなかった。ハイリスク例では再狭窄率が有意に低下一方、最も早い2003年にDESを留置した患者は、同じ年にBMSを留置した患者より遅発性イベントが有意に高率だった。しかし、それ以降の年に治療された患者ではアウトカムのわずかな差も観察されなかった。留置後1年以内の平均再狭窄率は、100人年当たりDESが3.0に対し、BMSは4.7(補正相対リスク:0.43、95%CI 0.36~0.52)だった。これは、DES留置を39例行って再狭窄が1例予防できるという計算になる。なお、ハイリスク患者の場合は、DESの補正後再狭窄リスクはBMSより74%低く、再狭窄1例を予防するための必要治療数はわずか10例となる。これらから研究グループは、DESはBMSと比較して、長期の死亡または心筋梗塞の出現率は同程度としながらも、ハイリスク患者においては再狭窄率の臨床上有意な低下をもたらすと結論づけた。(朝田哲明:医療ライター)

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ST上昇型心筋梗塞患者へのパクリタキセル溶出ステント留置の有効性と安全性

薬剤溶出ステント(DES)について、ベアメタルステント(BMS)と比較して、初回の経皮的冠動脈形成術(PCI)を受けたST上昇型急性心筋梗塞患者に対する安全性と有効性に関してはコンセンサスが得られていない。3,006例のST上昇型心筋梗塞患者を、パクリタキセル溶出ステント留置群(2,257例)とBMS留置群(749例)にランダムに割り付け行われた国際的な多施設共同試験HORIZONS AMIの結果が、NEJM誌2009年5月7日号に掲載された。TLR施行率と複合安全性評価で判定本研究の主要エンドポイントは2つあり、第1にステント留置後12ヵ月までの虚血による標的病変部血行再建術(TLR)の施行率(優位性解析)、第2に死亡・再梗塞・脳卒中・ステント血栓症の複合安全性評価(3.0%マージンでの非劣性解析)だった。また、主な副次エンドポイントは、13カ月時点の血管造影による再狭窄の所見とされた。留置1年後の安全性に懸念は見られずパクリタキセル溶出ステントを留置した患者は、BMS留置患者と比較して、12ヵ月時点の虚血駆動によるTLR実施率(4.5%対7.5%、ハザード比:0.59、95%信頼区間:0.43~0.83、P=0.002)、標的血管血行再建術の実施率(5.8%対8.7%、0.65、0.48~0.89、P=0.006)とも有意に低かった。一方、複合安全性に関しては非劣性となった(8.1%対8.0%、1.02、0.76~1.36、絶対差:0.1パーセンテージ・ポイント、95%信頼区間:2.4対2.1、非劣性P=0.01、優位性P=0.92)。パクリタキセル溶出ステントを留置した患者とベアメタルステント留置患者は、12ヵ月時点の死亡率(3.5%対3.5%、いずれもP=0.98)、ステント血栓症(3.2%対3.4%、いずれもP=0.77)とも同程度だった。13ヵ月時点の、50%以上の再狭窄を表すバイナリ再狭窄率は、パクリタキセル溶出ステント群のほうが、ベアメタルステント群より有意に低かった(10.0%対22.9%、ハザード比:0.44、95%信頼区間:0.33~0.57、P

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慢性疾患を持つホームレスへの住居提供で、再入院やER利用が2割以上減少

米国で、慢性疾患を持つ成人のホームレスの入院患者に対し、退院後に住居を提供することで、その後の再入院やER利用がそれぞれ2割以上減少することがわかった。米国Stroger Hospital of Cook CountyのLaura S. Sadowski氏らの調べで明らかになったもので、JAMA誌2009年5月6日号で発表されている。慢性疾患を持つ成人のホームレスは、病院のERなど、高額医療サービスの利用頻度が高いことは、過去の調査で判明していた。18歳以上のホームレス405人を調査同氏らは、2003~2007年にかけて、18歳以上の慢性疾患を持つホームレス、合わせて405人を対象に調査を行った。被験者の78%が男性、また78%がアフリカ系米国人で、住居がない状態の期間の中央値は30ヵ月だった。被験者は2群に分けられ、一方には退院時に仮住まいを、その後長期的に住むことができる住居を提供した。もう一方の対照群には、退院時に従来のソーシャルワーカーによる退院後プランが提供されただけだった。入院率と入院日数は29%、ER利用は24%削減試験開始後18ヵ月で、被験者の73%に、1回以上の入院またはERの利用があった。両群を比較すると、補正前では、住居提供群が対照群に比べ、年間入院率は0.5/人(95%信頼区間:-1.2~0.2)、入院日数は平均2.7日(-5.6~0.2)、ERの利用は1.2/人(-2.4~0.03)、それぞれ減少していた。補正後には、住居提供群が対照群に比べ、入院率は29%(10~44)、入院日数は29%(8~45)、ER利用は24%(3~40)、それぞれ減少した。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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PCI実施のSTEMI患者、VT/VFの発症で90日死亡率は3.6倍に

ST上昇型心筋梗塞(STEMI)で経皮的冠動脈形成術(PCI)を実施した人のうち、心室頻拍または心室細動(VT/VF)が認められた人は、そうでない人に比べ、術後90日の死亡率が約3.6倍に増加することが確認された。これまでの研究でも同様な結果が出ているものの、試験開始が1999年以前で、当時は糖タンパクIIb/IIIa受容体拮抗薬があまり普及していなかったなどの欠点があった。JAMA誌2009年5月6日号掲載より。これは、米国Duke大学のRajendra H. Mehta氏らが、別の目的で実施した試験データを解析し、明らかにしたもの。術後VT/VFの発症で90日死亡率は5.59倍に同氏らは、2004~2006年にかけて、17ヵ国、296の医療機関で試験を行った。PCIを初めて実施したSTEMI患者は、合わせて5,745人だった。被験者のうち、PCI終了の前後にVT/VFが認められたのは、5.7%にあたる329人だった。そのうち90%が、STEMI症状が現れてから48時間以内に発症していた。またカテーテル法終了前に発症したのは、205人だった。VT/VFが認められた人の90日死亡率は23.2%と、認められなかった人に比べ3.63倍(95%信頼区間:2.59~5.09)に上った。なかでも、術後にVT/VFを発症した群は同死亡率が33.3%、5.59倍(3.71~8.43)にも上った。一方、カテーテル法終了前にVT/VFを発症した群の同死亡率は17.2%、2.34倍(1.44~3.80)だった。なお、VT/VFが認められなかった群の同死亡率は、3.6%だった。術後VT/VFには、収縮期血圧やβ遮断薬投与などが関与多変量解析の結果、PCI実施後のVT/VFの発症に関連する因子としては、収縮期血圧(10単位上昇ごとにハザード比:0.83、95%信頼区間:0.76~0.91)、ST上昇の回復が70%未満(同:3.17、同:1.60~6.28)、通常の心拍数が70/min超(同:1.20、同:1.08~1.33)、通常のST偏差20mm未満(同:1.43、同:1.14~1.79)、PCI後のTIMI血流グレード3未満(同:2.09、同:1.24~3.52)、PCI前のTIMI血流グレード0未満(同:2.12、同:1.20~3.75)、STEMI発症後24時間以内のβ遮断薬投与(同:0.52、同:0.32~0.85)だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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アクトスとメトホルミン徐放製剤の合剤 ACTOplus met XR、米国において販売許可取得

武田薬品工業は14日、同社の子会社である武田グローバル研究開発センター(米国イリノイ州)が、米国時間の5月12日に米国食品医薬品局(FDA)より、2型糖尿病治療剤アクトス(一般名:ピオグリタゾン塩酸塩)とメトホルミン徐放製剤の合剤(製品名:ACTOplus met XR)について販売許可を取得したと発表した。ACTOplus met XRはメトホルミン徐放製剤を使用した、1日1回投与の2型糖尿病治療薬の合剤。ACTOplus met XRに含有されるメトホルミン徐放製剤は、Watson Pharmaceuticalsの子会社であるWatson Laboratoriesが開発したものであり、同社とは同剤に関するライセンス契約を締結しているという。詳細はプレスリリースへhttp://www.takeda.co.jp/press/article_32740.html

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非専門家による母親への直接介入で、子どもの発達が改善

社会経済的に劣悪な状態にある母子に対して、訓練を受けた非専門的な一般人が家庭において介入することで、母親としての対応や子どもの情緒的発達にベネフィットがもたらされることが、イギリスReading大学心理学科のPeter J Cooper氏らが南アフリカで実施した無作為化試験で明らかとなった。母-幼児関係は、社会経済的条件の悪化や母親のうつ病によって有害な影響を受け、その結果として子どもの発育に心理的、社会的、身体的な悪影響を及ぼす。欧米では、母子関係への直接的な介入によって関係そのものばかりでなく子どもの成長が改善されるとのエビデンスが示されているという。BMJ誌2009年4月25日号(オンライン版2009年4月14日号)掲載の報告。ケープタウン市郊外の貧困地区の妊婦を対象とした無作為化対照比較試験研究グループは、南アフリカの社会経済的環境が極めて劣悪な状態にある都市周辺部地域において、母-幼児関係および子どもの母親に対する愛着心の保持が改善されるようデザインされた介入法の有効性を評価するために、無作為化対照比較試験を行った。対象は、ケープタウン市近郊のカエリチャ(Khayelitsha)地区に居住する449人の妊婦であった。介入は妊娠後期から産後6ヵ月まで行われた。初めて訓練を受けた非専門的な地域行政職員が妊婦の家庭を訪問し、親としての役割について支援、指導した。介入は、繊細で思いやり豊かな親としての機能を促進すること、および子どもの母親に対する愛着心の保持を目的とするものであった。対照群の妊婦は研究チームによる治療的な情報の提供は受けなかった。主要評価項目は、産後6ヵ月、12ヵ月における母子関係の質および18ヵ月における子どもの愛着心の保持とした。副次評価項目は、産後6ヵ月、12ヵ月における母親のうつ病の発症とした。母子関係の質、子どもの母親への愛着心の保持ともに改善介入によって母子関係が有意に改善された。産後6ヵ月、12ヵ月のいずれにおいても、母親が子どもと接する際、対照群に比べ介入群において繊細な対応が有意に多く(6ヵ月:p<0.05、12ヵ月:p<0.05)、押しつけ的な対応は有意に少なかった(6ヵ月:p<0.05、12ヵ月:p<0.05)。産後18ヵ月における子どもの母親への愛着心の保持率も、対照群の63%に対し介入群は74%に達しており、介入による有意な改善効果が認められた(オッズ比:1.70、p<0.05)。母親のうつ病の発症率には介入による有意な低減効果はみられなかったが、産後6ヵ月における抑うつ気分についてはベネフィットを認めた(p=0.04、Edinburgh産後うつ病スケールによる)。著者は、「地域の非専門家女性による家庭での介入は、子どもの良好な成長の予測因子として知られる『母子関係の質』および『子どもの母親への愛着心の保持』について有意な改善効果をもたらした」と結論し、「このアプローチは低コストであるため、開発途上国における現行の一般人口レベルの保健システムに、母親と子どもへの介入を統合することも可能であろう」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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大転子痛症候群、蛍光透視法ガイド下注射は高価で転帰も改善しない

大転子痛症候群に対し蛍光透視法ガイド下にコルチコステロイド注射を行う治療法は、コストが6倍以上に高騰するうえに必ずしも転帰は改善しないことが、Johns Hopkins医科大学麻酔・救急医療科のSteven P Cohen氏らが実施した多施設共同試験で判明した。臨床的に滑液包炎が見られる患者に対する転子滑液包へのコルチコステロイド注射は、疼痛および身体的な障害を低減することが示されている。滑液包への標準的な注射法は確立されていないが、蛍光透視法を用いないで注射する方法では薬剤が滑液包に到達する患者はごくわずかだという。BMJ誌2009年4月25日号(オンライン版2009年4月14日号)掲載の報告。蛍光透視法ガイド下注射と非ガイド下注射を比較する無作為化試験研究グループは、大転子痛症候群を対象に蛍光透視法ガイド下注射法の予後改善効果を評価するために、多施設共同二重盲検無作為化対照比較試験を行った。対象は、アメリカとドイツの3つの医療施設で臨床的に大転子痛症候群と診断された患者65例であった。患者は、コルチコステロイド薬と局部麻酔薬を転子滑液包へ注射する際に、蛍光透視法をガイドとする群(32例)あるいは蛍光透視法を用いない群(いわゆるブラインド注射、33例)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、1ヵ月後の安静時および活動時の数値化スケール(0~10)による疼痛スコア[安静時あるいは活動時の疼痛が50%以上低減し、全体的な回復感(global perceived effect; GPE)が得られた場合に予後改善効果ありと定義]であった。副次評価項目は、Oswestry障害スコア、SF-36によるQOL評価、薬剤使用量の低減、患者満足度とした。いずれの評価項目も両群でほぼ同等全体の予後改善率は注射後1ヵ月の時点で61%、改善効果が3ヵ月まで持続した患者は44%であった。両群間に転帰の差は認めなかった。 注射後1ヵ月の時点における平均疼痛スコアは、安静時が蛍光透視法群2.7、ブラインド注射群2.2、活動時はそれぞれ5.0、4.0で有意な差はなかった。注射後3か月の時点において、予後改善効果が持続していた患者は蛍光透視法群が13例(41%)、ブラインド注射群は15例(47%)と同等であった。Oswestry障害スコア、SF-36によるQOL評価、薬剤使用量の低減、患者満足度も両群で同等であった。平均コストはブラインド注射群が188ドルであったのに対し、蛍光透視法群は1,216ドルと6倍以上も高価であった。著者は、「大転子痛症候群に対する蛍光透視法を用いた注射は治療コストが劇的に高騰する一方で、転帰は必ずしも改善しない」と結論し、「本試験は症例数が少ないため、転子滑液包への注射の有効性を確立し、蛍光透視法を使用した方法が有効な患者と使用しない治療法が有効な患者を同定するには、さらなる検討を要する」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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