抗凝固療法のマネジメント、自己測定管理 vs 外来管理

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2010/11/03

 



ワルファリン(商品名:ワーファリンなど)抗凝固療法の効果を臨床で十分に享受するためのマネジメント方法について、有望な戦略と示唆されていた自宅で測定できる携帯型指穿刺装置を使った自己測定管理が、外来で行う質の高い静脈血漿検査による測定管理にまさらなかったことが報告された。全米28の退役軍人病院から約2,900人が参加した、Durham退役軍人病院のDavid B. Matchar氏らによる前向き無作為化非盲検試験「THINRS」からの報告で、NEJM誌2010年10月21日号で掲載された。これまで報告されていたほど、初発の脳卒中・大出血・死亡までの期間について、毎週行う自己測定管理が毎月の外来管理と比べ長くはなかったという。

2,922例を無作為化し、初発重大イベントまでの期間を評価




自己測定管理は、外来管理よりも測定頻度や患者の治療参加を高めることができ、臨床転帰が改善される可能性があるとされる。そこでTHINRS(The Home International Normalized Ratio Study)では、2003年8月~2008年5月に、人工心臓弁置換または心房細動発症のためワルファリン投与を受けており、POCT(Point of Care Testing)のINR測定機器を使う能力があった2,922例を、自宅での自己測定管理群と外来での質の高い測定管理群に無作為化し追跡した。

主要エンドポイントは、初発重大イベント(脳卒中、大出血エピソード、死亡)までの期間。被験者は2.0~4.75年、合計8,730人・年が追跡された。

自己測定管理群、重大イベントリスク低下の優越性なし、ただし……




結果、自己測定管理群の初発重大イベントまでの期間は、外来測定管理群と比べて有意に長くはなかった(ハザード比:0.88、95%信頼区間:0.75~1.04、P=0.14)。

両群の臨床転帰の発生率は、自己測定管理群で軽度の出血エピソードが多かったことを除けば、同程度だった。

ただ自己測定管理群は、追跡期間中のINRの目標値範囲内達成について、わずかだが有意な改善点として示された(両群間の絶対差:3.8ポイント、P<0.001)。

また、追跡2年時点で、自己測定管理群の方が、抗凝固療法に対する患者満足度(P=0.002)およびQOLに対する患者満足度(P<0.001)が、わずかだが有意な改善点として示された。

これら結果を踏まえ研究グループは、「THINRSの結果は、重大イベントリスク低下のうえで、外来測定管理に対する自己測定管理の優越性を確立しなかった」と結論。「しかし目標達成、患者の治療・QOL満足を改善するとのエビデンスは示された。我々としては、どうしても非常に効果的な治療を受けられない場合、身体障害や遠方などの理由で質の高い抗凝固療法を受けることが制限される患者には、自己測定管理を考慮することを勧める」とまとめている。

(武藤まき:医療ライター)