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4価HPVワクチンは男性にも有効

 ヒトパピローマウイルス(HPV)感染に対するHPVワクチン接種は、男性に対しても有効で、外性器病変の予防に有効であることが示された。米国H. Lee Moffittがんセンター研究所のAnna R. Giuliano氏らが16~26歳の男性を対象に、女性において持続感染や生殖器疾患に有効な4価ワクチンの有効性を検討した試験の結果による。少年および男性の生殖器HPV感染の割合は女性と同等だが、免疫応答に性差があり、自然感染では男性の方が抗体の力価は低い(HPV血清陽性:女性17.9%、男性7.9%)という。NEJM誌2011年2月3日号掲載より。18ヵ国・16~26歳男性4,065例を対象に無作為プラセボ対照二重盲検試験 Giuliano氏らは、少年および男性における、4価ワクチン(HPV 6型、11型、16型、18型に対して活性)の安全性と、外性器病変と肛門性器HPV感染の予防における有効性について、無作為プラセボ対照二重盲検試験を行った。試験には18ヵ国から、16~26歳の健康な4,065例が登録された。 主要有効性評価項目は、4価HPVワクチンが、HPV 6、11、16、18に関連する外性器病変の発生率低下を示すこととされた。有効性解析は、per-protocol集団(ワクチン接種を3回受けており登録時に関連HPVに非感染)と、intention-to-treat集団(ワクチンもしくはプラセボ接種を受けており、登録時のHPV感染状態は不問)を対象に行われた。intention-to-treat解析における外性器病変への有効率は60.2% intention-to-treat集団における外性器病変の発生率は、ワクチン群36例に対し、プラセボ群は89例で、ワクチン有効率は60.2%(95%信頼区間:40.8~73.8)だった。HPV 6、11、16、18に関連する外性器病変に対する有効率は65.5%(同:45.8~78.6)だった。 per-protocol集団においては、HPV 6、11、16、18に関連する外性器病変に対する有効率は90.4%(同:69.2~98.1)だった。 安全性に関しては、注射部位疼痛が、ワクチン接種群の方がプラセボ群に比べて有意に高頻度に認められた(57%対51%、P<0.001)。

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米国の営利ホスピス、低ケアニーズの患者の割合が高く、利用期間はより長期

米国のホスピス利用者について、営利ホスピスと非営利ホスピスとを比較したところ、営利ホスピスでは、ケアニーズのスキルが低い患者の割合が高く、また利用期間がより長期であることが明らかになった。米国ハーバード大学医学部付属ベス・イスラエル・ディーコネス医療センター総合医療・プライマリ・ケア部門のMelissa W. Wachterman氏らが、約4,700人のホスピス利用者について調べ明らかにした。調査は、米国の公的高齢者向け医療保険メディケアが、ホスピスに対して定額日払い制の償還をしており、その“特別手当”が集中的ケアの必要がより少ない患者を選んだり、より長期の利用を生み出している可能性を調べるため、また営利、非営利ホスピスにより“特別手当”に関して違いがみられるかを調べるために行われた。JAMA誌2011年2月2日号で発表された。営利ホスピス145ヵ所、非営利ホスピス524ヵ所の利用終了者を調査研究グループは、2007年の全米のホスピスに関する調査「National Home and Hospice Care Survey」の結果を元に、ホスピスを利用し、そのサービスを終了した4,705人について調査を行った。主要評価項目は、利用者の診断名、営利・非営利種別にみたサービス提供の場所(自宅、ナーシングホーム、病院、ホスピス、その他)、利用期間、ホスピスの看護師などによる1日当たりの訪問回数とした。分析の対象となった営利ホスピスは145ヵ所で利用者数は1,087人、非営利ホスピスは524ヵ所で利用者数は3,618人だった。がん患者の割合は営利が34%、非営利が48%利用者の診断名についてみると、がんの診断を受けていたのは、非営利ホスピスが48.4%(95%信頼区間:45.0~51.8)だったのに対し、営利ホスピスは34.1%(同:29.9~38.6)と低率だった(補正後p

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米国高齢リウマチ患者、DMARDs服用率は63%

米国の公的高齢者向け医療保険メディケアのマネジドケア・プラン加入者で、抗リウマチ薬DMARDsを服用しているのは、リウマチの診断を受けた人の63%であることが明らかにされた。服用率は、性別や人種、社会経済的状況、加入する保険プランによって異なることも明らかにされた。これまでに発表されたDMARDs服用率に関するデータは、社会経済状況が低い層や、単一の保険プラン加入者のみに関するもので、服用率は30~52%程度と報告されていた。米国スタンフォード大学のGabriela Schmajuk氏らは、リウマチ患者全体の実態を把握すべく、2005年に導入され、米国医療保険プランのほとんどが加入し、治療やサービスの質評価の指標として活用する「Healthcare Effectiveness Data and Information Set(HEDIS)」のデータを用いて分析を行い、JAMA誌2011年2月2日号で発表した。DMARDs服用率は年々増加の傾向、85歳以上は65~69歳より30ポイント低い研究グループは、65歳以上のメディケア・マネジドケアプラン加入者で、2005~2008年に関節リウマチの診断を2回以上受けた、9万3,143人について調査を行った。被験者の平均年齢は74歳で、うち75%が女性、82%が白人だった。DMARDs服用率は、2005年の59%から、2008年には67%に増加していた(傾向p<0.001)。全体(2005~2008年)では、DMARDs服用率は63%だった。服用率は年齢により差がみられ、高齢になるほど服用率は減少した。85歳以上では、65~69歳の人に比べ、補正後-30ポイント(95%信頼区間:-29~-32)だった(p<0.001)。男性は3ポイント、低所得者は6ポイント低いまた、男性は女性よりも服用率が-3ポイント(同:-5~-2、p<0.001)、黒人は白人よりも-4ポイント(同:-6~-2、p<0.001)、低所得者は非低所得者よりも-6ポイント(同:-8~-5、p<0.001)、郵便番号を基準にした社会経済状況(5段階に分類)が低層の人は高層の人よりも-4ポイント(同:-6~2、p<0.001)、また加入保険プランが営利の入は非営利の人よりも-4ポイント(同:-7~0、p<0.001)それぞれ低かった。地理的傾向では、太平洋沿岸地域と比べて大西洋中部沿岸地域が-7ポイント(同:-13~-2、p<0.001)、大西洋南部沿岸地域が-11ポイント(同:-20~-3、p<0.001)と低かった。被験者が加入する保険プラン(245プラン)別に分析した結果では、服用率が16~87%と大きなばらつきが認められた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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ビタミンDサプリメントは健常小児の骨密度を改善するか?

ビタミンDサプリメントは、ビタミンDが正常レベルの小児、青少年の骨密度にベネフィットをもたらさないが、欠乏している場合は一定の改善効果が得られることが、オーストラリア・タスマニア大学のTania Winzenberg氏らが行ったメタ解析で明らかとなった。ビタミンDの欠乏はごく一般的にみられる状態だが、小児における潜在的なビタミンD欠乏は骨に悪影響を及ぼす可能性があるという。これまでの小児や青少年を対象としたビタミンDサプリメントの無作為化対照比較試験では、相反する結果が報告されている。BMJ誌2011年1月29日号(オンライン版2011年1月25日号)掲載の報告。ビタミンDサプリメントのプラセボ対照無作為化試験のメタ解析研究グループは、小児、青少年の骨密度に及ぼすビタミンDサプリメントの効果を検討し、用量などの因子による効果の変動について評価する系統的レビューとメタ解析を行った。Cochrane Central Register of Controlled Trials、Medline、Embase などのデータベース(最終アップデート2009年8月)や主要専門誌に掲載された学会抄録を検索し、生後1ヵ月から20歳未満までの健常小児、青少年を対象に、ビタミンDサプリメントを3ヵ月以上投与して骨密度のアウトカムを評価したプラセボ対照無作為化試験を抽出した。2名の研究者が別個に試験の質やデータの評価を行った。両群の前腕、股関節、腰椎の骨密度および全身骨塩量のベースラインからの変化率の標準化平均差を算出し、性別、思春期ステージ、ビタミンDの用量、ベースラインの血清ビタミンD濃度に関するサブグループ解析を行った。コンプライアンスや割り付けの隠蔵も、異質性の原因となる可能性がある因子として考慮された。ビタミンD欠乏者には一定の効果抽出された1,653試験の中から選択基準を満たした6試験がメタ解析の対象となった(プラセボ群343例、ビタミンD群541例)。全身骨塩量、股関節・前腕の骨密度に対するビタミンDの有意な効果はみられなかった。腰椎の骨密度に対しては、わずかに有効な傾向が認められた(標準化平均差:0.15、95%信頼区間:−0.01~0.31、p=0.07)。血清ビタミンD濃度別の比較では、高値例と低値例で効果は同等であったが、全身骨塩量については低値例で効果が大きい傾向がみられた(差の検定:p=0.09)。血清ビタミンD濃度低値例では、全身骨塩量と腰椎骨密度に対するビタミンDの有意でおおよそ同等な効果を認めた(ビタミンD群におけるベースラインからの変化率:全身骨塩量2.6%、腰椎骨密度1.7%)。著者は、「ビタミンDサプリメントは、ビタミンDが正常レベルの小児、青少年の骨密度にベネフィットをもたらす傾向は認めなかった」と結論し、「事前に計画されたベースラインの血清ビタミンD濃度によるサブグループ解析では、ビタミンDが欠乏した小児、青少年において、サプリメントは特に腰椎骨密度と全身骨塩量に対する臨床的な改善効果を示したが、これについてはさらなる検証が求められる」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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脂質モニタリングによる服薬不履行の検出

コレステロール値のモニタリングは、プラバスタチン(商品名:メバロチンなど)治療における完全服薬不履行(complete non-adherence)の検出にある程度は有効だが、部分的服薬不履行(partial non-adherence)の検出能は劣ることが、オーストラリア・シドニー大学のKaty J L Bell氏らの検討で示された。脂質低下薬の服薬遵守(adherence)には患者間にばらつきがみられる。ガイドラインでは、コレステロール値をモニターすることで服薬不履行を評価するよう勧告しているが、脂質モニタリングによる服薬不履行の検出能は不明だという。BMJ誌2011年1月29日号(オンライン版2011年1月21日号)掲載の報告。LIPID試験のデータを用いた解析研究グループは、脂質低下薬治療の服薬不履行の検出におけるコレステロール値モニタリングの正確度(accuracy)を評価するために、服薬不履行に関する三つの評価項目(治療中止、プラセボ群への割り付け、処方薬の服薬率80%未満)を用いて、LIPID(long term intervention with pravastatin in ischaemic disease)試験のコレステロール値に関する2回目の解析を行った。オーストラリアとニュージーランドで実施されたLIPID試験は、冠動脈心疾患の既往歴を有し、総コレステロール値が4.0~7.0mmol/L(≒154.8~270.9mg/dL)の9,014人を対象にプラバスタチン40mg/日とプラセボの有用性を比較する無作為化試験。今回の解析の主要評価項目は、コレステロール値のモニタリングによる服薬不履行検出の感度、特異度、受信者動作特性(ROC)曲線下面積(AUC)、検査後確率であった。あくまで補助データとして考慮すべきコレステロール値のモニタリングにより、完全服薬不履行がある程度は検出可能であった。治療開始1年の時点で、完全服薬不履行者の50%(1,957/3,937人)、服薬遵守者の6%(253/3,944人)においてLDLコレステロール値が上昇しており、中等度の正確度が得られた(AUC:0.89)。一方、部分的服薬不履行の検出能は低かった。治療1年後にLDLコレステロール値の上昇がみられたのは、部分的服薬不履行者の16%(34/213人)、服薬遵守者では4%(155/3,585人)にすぎず、正確度は劣っていた(AUC:0.65)。服薬不履行の典型的な検査前確率が低(25%)~高(75%)の範囲であったのに対し、脂質測定後の検査後確率については不確定性が持続することが示された。すなわち、LDLコレステロール値に変化がみられない場合、完全服薬不履行者の検査後確率は67~95%で、部分的服薬不履行者では48~89%であった。LDLコレステロール値が1.0mmol/L(≒38.7mg/dL)低下した場合は、完全服薬不履行者の検査後確率は7~40%、部分的服薬不履行者では21~71%であった。著者は、「LDLコレステロール値(あるいは総コレステロール値)のモニタリングは、プラバスタチン治療における完全服薬不履行あるいは服薬中止の検出に中等度の有効性を示したが、部分的服薬不履行の検出能は劣っていた」と結論し、「モニタリングの結果は、患者の服薬遵守状況を慎重に検討する際の補助データとしてのみ考慮すべきであろう」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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ダイエットは自己啓発化の兆し?ダイエットに成功した減量値は、-4.8kg!?

サッポロ飲料株式会社は1月31日、20歳~49歳の男女1030名(男性:412名、女性:618名)を対象に実施した「ダイエットに関するアンケート」の結果を発表した。その結果、女性の7割が、ふくよかな人に対して言う「ぽっちゃり」という言葉を悪口であると認識していることがわかった。「ぽっちゃり」は、もともと「ふっくらとしていて愛らしいさま」(出典:デジタル大辞泉)を表現したほめ言葉だが、現代の女性は、「ぽっちゃり」であることに否定的なイメージを持っているようだという。また、女性・男性ともに、ダイエットできないと他のことも成功できないと考えていることがわかり、ダイエットの実践には、“自己啓発”的な側面がみられた。ダイエットの成功要因として、食事・間食の制限や継続した運動など自己を管理することで重要であると多くの人が認識しており、ダイエットが成功できないのは自己管理能力の欠如であると考えているようだという。つまり、自己管理できないのであれば、他のことに挑戦したとしても成功できないと考えているようだ。これらの結果から現代女性の多くが、やせて・細く見られたいという思いが大きいことがわかるとともに、ダイエットという一つの行動が、自身の能力を計る上で、とても重要なことであると考えていることがわかったという。さらに、女性でダイエットに成功(減量に成功した後も、リバウンドせず体重をキープ)した人の減量値は、平均で4.8kgだということもわかったとのこと。詳細はこちらへhttp://www.sapporo-inryo.jp/news_release/0000020032/index.html

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動脈硬化と心筋梗塞を促進する新たな遺伝子座を同定

冠動脈硬化発生の促進因子としてADAMTS7遺伝子座が、また冠動脈硬化存在下における心筋梗塞発症の促進因子としてABO遺伝子座が新たに同定された。アメリカ・ペンシルベニア大学循環器研究所のMuredach P Reilly氏らの検討による。冠動脈疾患(CAD)や心筋梗塞の遺伝子的構造が解明されれば、リスク予測の改善や治療法の開発によって大きなベネフィットが得られる可能性がある。最近のゲノムワイド関連解析(GWAS)では、これらの疾患に関連する新たな遺伝子座が同定されているが、遺伝的素因に関連するものは少ないという。Lancet誌2011年1月29日号(オンライン版2011年1月15日号)掲載の報告。二つのゲノムワイド関連解析で評価研究グループは、遺伝的因子と冠動脈硬化の発生、および冠動脈硬化の存在下における心筋梗塞の発症との関連を評価する二つのGWASを実施した。PennCathおよびMedStarに登録されたヨーロッパ系人種の患者を対象に、冠動脈造影上のCAD患者を同定した。遺伝子情報は、ヒトゲノムの遺伝子マーカー検査で遺伝子型が判明している患者から収集した。遺伝子マーカーと遺伝子型の関連を検出し、感受性遺伝子マップを作成した。CADの発症と関連する遺伝子座を同定するために、CAD患者1万2,393例と非CADの対照群7,383例について比較した。心筋梗塞を促進する遺伝子座の同定には、CADで心筋梗塞を発症した患者5,783例とCADで非心筋梗塞の患者3,644例を比較した。リスク評価の個別化や治療法の開発に役立つ可能性もCAD患者と非CAD患者の比較では、CADと有意な関連を示す新たな遺伝子座としてADAMTS7遺伝子が同定された。心筋梗塞を併発したCAD患者と非心筋梗塞CAD患者の比較では、ABO遺伝子座が心筋梗塞関連遺伝子として新たに同定された。ABO遺伝子と心筋梗塞の関連は、ABO式血液型O型の遺伝子型をコードするglycotransferase-deficient enzymeに起因していたが、この酵素は以前、心筋梗塞に対し保護的に作用することが示唆されていた。著者は、「特定の遺伝的素因が、冠動脈硬化の発生や、冠動脈硬化からの心筋梗塞の発症を促進していることが示唆された」と結論し、「これらの新規遺伝子座は、CADのリスク評価の個別化や新たな治療法の開発に役立つ可能性がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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トロンボポエチン受容体作動薬eltrombopag、特発性血小板減少性紫斑病に有用

eltrombopagは、慢性免疫性血小板減少(特発性血小板減少性紫斑病:ITP)の管理に有用であり、特に脾臓摘出などの治療に反応しなかった患者にベネフィットをもたらす可能性があることが、中国・香港中文大学のGregory Cheng氏らによる検討で明らかとなった。ITPでは、抗血小板抗体によって血小板の破壊が増進されるとともに巨核球からの血小板の放出が抑制されるため、軽度~重度の出血をきたす。eltrombopagは経口投与が可能な小分子の非ペプチド性トロンボポエチン受容体作動薬で、ITPのほかC型肝炎やがんの化学療法に伴う血小板減少の治療に使用されている。Lancet誌2011年1月29日号(オンライン版2010年8月24日号)掲載の報告。6ヵ月治療のプラセボ対照無作為化第III相試験研究グループは、ITPに対するeltrombopagとプラセボの効果、安全性を評価する二重盲検無作為化第III相試験を実施した。対象は、6ヵ月間以上の治療を受け、ベースラインの血小板数が<30,000/μLの成人ITP患者。これらの患者が、各国の標準治療+eltrombopag 50mg/日を投与する群あるいは標準治療+プラセボを投与する群に無作為に割り付けられ、6ヵ月間の治療が行われた。患者、医師、データの評価者には治療割り付け情報は知らされなかった。用量は治療への反応としての血小板数の変動に基づいて調節した。治療への反応(血小板数:5万~40万/μLと定義)は、最初の6週間は毎週1回、その後は少なくとも4週に1回評価した。主要評価項目は、上記の定義による治療への反応とし、intention-to-treat解析を行った。血小板数が増加、レスキュー治療や重度出血は減少2006年11月22日~2007年7月31日までに23ヵ国75施設から197例が登録され、eltrombopag群に135例が、プラセボ群には62例が割り付けられた。治療期間中に1回以上の治療への反応が確認された患者は、eltrombopag群が79%(106例)、プラセボ群は28%(17例)であり、オッズ比は8.2(95%信頼区間:3.59~18.73)と有意な差が認められた(p<0.0001)。併用された標準治療の減量が可能となったのは、eltrombopag群の59%(37例)に対しプラセボ群は32%(10例)であり、有意差がみられた(p=0.016)。治療期間中にレスキュー治療(用量の増量、新たな治療の追加、血小板輸血、脾臓摘出)を要した患者は、eltrombopag群が18%(24例)と、プラセボ群の40%(25例)に比べ有意に良好であった(p=0.001)。血栓塞栓イベントは、eltrombopag群の2%(3例)にみられたが、プラセボ群では認められなかった。ALT値の軽度上昇がeltrombopag群の7%(9例)、プラセボ群の3%(2例)に、総ビリルビン値の上昇がeltrombopag群の4%(5例)に認められた(プラセボ群は0%)。重度出血イベントは、eltrombopag群が<1%(1例)であったのに対し、プラセボ群は7%(4例)で発生した。著者は、「eltrombopagはITPの管理に有用であり、特に脾臓摘出などの治療に反応しなかった患者にベネフィットをもたらす可能性がある」と結論した上で、「これらのベネフィットを選択する場合は、eltrombopag治療に伴う潜在的なリスクとのバランスを十分に考慮して決めるべきである」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

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血液透析後のヘパリンロック、3回のうち1回はrt-PAを

血液透析患者の透析終了後に行われるいわゆるヘパリンロックについて、週3回のうち1回は、遺伝子組み換え組織プラスミノーゲン活性化因子(rt-PA)に代えて行う方が、ブラッドアクセスとして使用する中心静脈カテーテルの故障(機能不全)や菌血症のリスクを有意に減少することが明らかになった。カナダ・カルガリー大学のBrenda R. Hemmelgarn氏ら「PreCLOT」研究グループが、多施設共同無作為化盲検比較試験を行い明らかにしたもので、NEJM誌2011年1月27日号で発表された。これまで、ヘパリンロックなど各種カテーテルロック療法の効果については明らかにされていなかった。ヘパリンロックのみ群と、3回のうち1回はrt-PAロックを行う群に割り付け追跡PreCLOT(Prevention of Dialysis Catheter Lumen Occlusion with rt-PA versus Heparin)研究グループは、カナダの11ヵ所から、長期にわたって週3回の血液透析を受けている被験者225例を、被験者がブラッドアクセスを新規のものとした際に、週3回ともヘパリンロック(5000 U/mL)を行う群(ヘパリン群115例)と、週3回のうち2回目はrt-PAロック(各カテーテル内腔に 1 mg)を行う(1、3回目はヘパリン)群(rt-PA群110例)とに、無作為に割り付け追跡した。主要アウトカムはカテーテルの機能不全発生、副次アウトカムはカテーテル関連の菌血症発生とした。治療追跡期間は6ヵ月間。治療割り付けの情報については、患者、試験、試験スタッフともに知らされなかった。ヘパリンのみだと、カテーテル機能不全発生はほぼ2倍、菌血症発生はほぼ3倍高い結果、カテーテルの故障発生は、ヘパリン群は34.8%(40/115例)であったのに対し、rt-PA群は20.0%(22/110例)であり、rt-PAを週1回用いた場合に比べてヘパリンのみだった場合のリスクはほぼ2倍高かった(ハザード比:1.91、95%信頼区間:1.13~3.22、P=0.02)。カテーテル関連の菌血症発生は、ヘパリン群は13.0%(15/115例)であったのに対し、rt-PA群は4.5%(5/110例)であった。これは、それぞれ1.37例/1,000患者・日、0.40例/1,000患者・日の発生に相当する(P=0.02)。全原因菌血症発生リスクは、ヘパリン群の方がrt-PA群に比べほぼ3倍高かった(ハザード比:3.30、95%信頼区間:1.18~9.22、P=0.02)。出血を含む有害事象リスクは、両群で同等だった。(武藤まき:医療ライター)

32150.

AEDの付加価値は設置場所と関連している

米国で院外心停止後最初に記録される心室細動や無脈性心室頻拍が、30年前は約70%であったが現在は23%と劇的に減少しているという。ジョンズ・ホプキンス大学のMyron L. Weisfeldt氏らは、「無作為化試験により、公共の場へのAED普及が院外停止後生存を向上させているという結果、一方で家庭へのAED設置はメリットが立証されないことを鑑みると、心室細動や無脈性心室頻拍が院外停止後最初の心拍である可能性が示唆される。このことは公衆衛生施策において非常に重要なことで、AEDのような蘇生術戦略の付加価値は、設置場所と関連している可能性を示唆する」として、心停止発生場所、不整脈のタイプと、生存割合との関連について評価を行った。NEJM誌2011年1月27日号掲載より。自宅または公共の場での、院外心停止発生例を評価Weisfeldt氏らは2005~2007年にかけて、米国7地域とカナダ3地域で院外心停止の前向きコホート試験を行った。評価は、自宅での心停止発生と公共の場での心停止発生における、心室細動または無脈性心室頻拍の頻度、生存退院率について比較検討して行われた。評価された院外心停止は1万2,930例であった。うち公共の場での発生例が2,042例、自宅発生例が9,564例であった。生存退院率、同じ「素人・AED利用目撃例」でも「自宅」に比べて「公共の場」は2.49倍高い自宅発生例の心室細動または無脈性心室頻拍の発生率は、救急医療サービス(EMS)隊員の目撃例は25%、通りすがりの素人の目撃例は35%、AEDを利用した素人の目撃例は36%だった。公共の場での発生例についての同率は、それぞれ、38%、60%、79%であった。EMS隊員、素人、AED利用の素人それぞれが、公共の場で、心停止後最初の心室細動または無脈性心室頻拍を目撃した割合は自宅での目撃に比べて、EMS隊員は1.63倍(95%信頼区間:1.13~2.35、P=0.009)、素人は2.28倍(同:1.96~2.66、P<0.001)、AED利用の素人は4.48倍(同:2.23~8.97、P<0.001)であった(すべて補正後オッズ比)。生存退院率は、いずれの目撃例でも自宅よりも公共の場での発生例で高かった。最も高かったのは、公共の場・AED利用の素人による目撃例で34%であった。一方、同じAED利用の素人による目撃例でも自宅発生例では12%だった(補正後オッズ比:2.49、95%信頼区間:1.03~5.99、P=0.04)。Weisfeldt氏は、「EMS隊員あるいは素人が院外心停止を目撃していたかどうかにかかわらず、また素人がAEDを利用したかどうかにかかわらず、心停止後最初の心室細動または無脈性心室頻拍の発生は、自宅よりも公共の場の方が非常に高かった」と述べ、「簡単で効果的なAEDのような蘇生術戦略の価値は、場所によってより高めることができる」とまとめている。(武藤まき:医療ライター)

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急性虚血性脳卒中の死亡率、脳卒中治療センターの方が一般病院より低率

急性虚血性脳卒中患者の死亡率は、脳卒中治療センターの指定を受けた病院の方が、一般病院よりわずかではあるが低率であること、また、センターの方が血栓溶解療法の施行頻度が高いことが米国で行われた調査の結果、明らかになった。米国Duke Clinical Research InstituteのYing Xian氏らが、ニューヨーク州で急性虚血性脳卒中の治療を受けた3万人超について調べ、明らかにしたもので、JAMA誌2011年1月26日号で発表した。米国では、2000年にBrain Attack Coalition(BAC)が脳卒中治療センターの設置を勧告し、現在ではその数は全米約5,000ヵ所の急性期病院のうち約700ヵ所に上るという。しかし、これまでに脳卒中治療センターの脳卒中患者のアウトカムへの影響についてはほとんど調査がされていなかった。急性虚血性脳卒中3万人超の30日死亡率を比較Xian氏らは2005~2006年にかけて、急性虚血性脳卒中を発症し、脳卒中治療センター指定を受けた病院またはそれ以外の病院で治療を受けた、合わせて3万947人について、2007年まで1年間追跡し、その死亡率を比較した。主要アウトカムは、30日死亡率だった。また同氏らは、消化管出血や急性心筋梗塞で入院した患者、それぞれ3万9,409人と4万24人についても、脳卒中治療センターとそれ以外の病院でのアウトカムを比較した。患者の医療機関への選択バイアスや交絡因子については、自宅から脳卒中治療センターへの距離といずれかの病院への距離の差を操作変数として用いて補正を行った。脳卒中治療センターの30日死亡率、一般病院より2.5%ポイント低率被験者のうち、脳卒中治療センターで治療を受けた人は、49.4%にあたる1万5,297人だった。脳卒中治療センターで治療を受けた患者の30日・全死因死亡率は10.1%と、それ以外の病院で治療を受けた患者の同死亡率12.5%より、有意に低率だった(補正後格差:-2.5%、95%信頼区間:-3.6~-1.4、p<0.001)。1日、7日、1年死亡率についても、いずれも脳卒中治療センターで有意に低率だった。また血栓溶解療法の実施率は、脳卒中治療センターが4.8%と、一般病院の1.7%に比べ有意に高率だった(補正後格差:2.2、同:1.6~2.8、p<0.001)。両群での死亡率の格差(30日・全死因死亡率)は、消化管出血や急性心筋梗塞では認められなかった。消化管出血についての死亡率はセンター5.0%、一般病院5.8%、補正後格差0.3(95%信頼区間:-0.5~1.0、p=0.50)、急性心筋梗塞は、10.5%対12.7%、補正後格差0.1(同:-0.9~1.1、p=0.83)だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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CABG合併症としての脳卒中発症、30年間で年率約4.7%の減少傾向に

米国クリーブランド・クリニックにおける、冠状動脈バイパス術(CABG)の合併症としての脳卒中発症率は、過去30年間で、年率約4.7%の減少傾向にあることが報告された。また患者のリスクプロフィールが厳しくなっているにもかかわらず、そうした脳卒中の発症は術中よりも術後の方が半数以上を占め(58%がCABG後)ていたことも明らかにされた。同クリニックのKhaldoun G. Tarakji氏らが、過去30年間に同クリニックでCABGを受けた4万5,000人超について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2011年1月26日号で発表した。患者の共存症は増加したものの、脳卒中発症率は減少研究グループは、CABG後の脳卒中の経時的傾向、脳卒中のリスク因子の特定および長期アウトカムとの関連を目的に、1982~2009年に、クリーブランド・クリニックでCABGを受けた4万5,432人(平均年齢63歳、SD:10)について前向きに追跡し、術中・術後の脳卒中発症率とそのタイミング、アウトカムなどについて解析した。脳卒中後の合併症と生存については、傾向スコア適合群との比較で検討がされた。なお検討されたCABGは、4つの異なる術式(off-pump:体外循環非使用、on-pump with beating heart:体外循環使用心拍動下、on-pump with arrested heart:体外循環使用心停止下、on-pump with hypothermic circulatory arrest:体外循環使用超低体温循環停止下)を含んだ。その結果、CABGの術中・術後に脳卒中を発症したのは、全体の1.6%(95%信頼区間:1.4~1.7)にあたる705人だった。CABGを受ける患者は脳卒中歴があったり、高血圧症、糖尿病といった共存症が増えているにもかかわらず、CABG術中・術後の脳卒中発症率は、1988年の2.6%(95%信頼区間:1.9~3.4)を最高に、年率4.69%(同:4.68~4.70、p=0.04)の割合で減少傾向にあった。術後40時間が術後脳卒中発症のピークCABG術中に脳卒中を発症したのは279人(40%)、術後は409人(58%)だった。術後の脳卒中発症は、術後40時間が最も多く、6日後までは0.055%/日の割合で低下した。術中・術後の脳卒中発症に関するリスク因子は、加齢と動脈硬化症だった。CABGの種類別で見てみると、術中脳卒中発症率が最も低かったのは、体外循環非使用CABG(0.14%)と体外循環使用心拍動下CABG(0%)で、続いて体外循環使用心停止下CABG(0.50%)、最も高率だったのは体外循環使用超低体温循環停止下CABG(5.3%)だった。脳卒中を発症した人の、術後追跡期間中(平均11年、SD:8.6)の死亡率や集中治療室入室時間、術後入院日数といったアウトカムは、そうでない人に比べ悪かった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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頭痛は、脳病変や認知機能障害と関連するか?

重度頭痛と大脳白質病変の大きさには関連があるが、脳梗塞との相関は前兆を伴う片頭痛に限られることが、フランス国立衛生医学研究所(INSERM)神経疫学のTobias Kurth氏らの検討で明らかとなった。これまでに、片頭痛は大脳白質病変の総容積と関連することが症例対照研究や地域住民ベースの調査で示されている。さらに、前兆を伴う片頭痛は臨床的または潜在的な脳梗塞と相関するとの知見もあるという。BMJ誌2011年1月22日号(オンライン版2011年1月18日号)掲載の報告。780人を対象とした地域住民ベースの横断的研究研究グループは、フランス西部のナント市で実施された地域住民ベースの横断的研究である「Epidemiology of Vascular Ageing study」において、頭痛一般あるいは特定の頭痛と大脳白質病変、脳梗塞、認知機能との関連について評価を行った。対象は、頭痛に関する詳細なデータが得られた780人(平均年齢69歳、58.5%が女性)。頭痛の評価は、「International Classification of Headache Disorders」改訂第2版に基づいて行った。MRIで大脳白質病変の大きさおよび梗塞の種類を決定し、認知機能はミニメンタルステート検査(MMSE)など複数の試験で評価した。認知機能障害との関連は認めず163人(20.9%)が重度頭痛(片頭痛116人、非片頭痛47人)の既往歴を報告した。片頭痛のうち前兆症状を伴うと答えたのは17人(14.7%)であった。大脳白質病変総容積を三分位数に分けて解析したところ、総容積が下位3分の1で重度頭痛歴のない集団に比べ、上位3分の1の集団では重度頭痛歴の補正オッズ比が2.0(95%信頼区間:1.3~3.1、傾向検定:p=0.002)であった。前兆を伴う片頭痛のみが、大脳深部白質病変の大きさ(総容積下位3分の1に対する上位3分の1の集団のオッズ比:12.4、95%信頼区間:1.6~99.4、傾向検定:p=0.005)および脳梗塞(同:3.4、1.2~9.3)と強い相関を示した。梗塞の大部分は小脳や脳幹以外の部位に認められた。認知機能が、頭痛や脳病変の有無と関連することを示すエビデンスは確認できなかった。著者は、「重度頭痛歴と大脳白質病変の大きさには相関関係がみられたが、脳梗塞との関連は前兆を伴う片頭痛に限られた。頭痛単独あるいは頭痛と大脳白質病変の併存が認知機能障害と関連することを示唆するエビデンスは得られなかった」とまとめている。(菅野守:医学ライター)

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胎児トリソミー21の出生前診断に有用な非侵襲的診断検査法

胎児トリソミー21(21番染色体トリソミー症、ダウン症候群)の非侵襲的な出生前診断法として2-plexプロトコールによる超並列DNA塩基配列決定法が有用なことが、香港中文大学循環胎児核酸研究センターのRossa W K Chiu氏らによる大規模な臨床研究で明らかとなった。すでに、胎児トリソミー21は母体血漿DNAを超並列DNA塩基配列決定法で解析することで出生前に非侵襲的に検出可能なことが示されているが、その臨床における診断能や実行性を検証した大規模試験はないという。BMJ誌2011年1月22日号(オンライン版2011年1月11日号)掲載の報告。高リスク妊婦で非侵襲的検査法による診断の正確度を評価研究グループは、胎児トリソミー21のリスクが高く、臨床的に侵襲度の高い診断検査(羊水穿刺、絨毛生検)を要すると考えられる妊婦に対する非侵襲的なスクリーニング法として、母体血漿DNAを用いた超並列DNA塩基配列決定法の臨床効果および実行性を検証する大規模な試験を実施した。香港、イギリス、オランダの出生前診断施設においてプロスペクティブに収集された母体血漿サンプルを用い、侵襲的に得られたサンプルの染色体核型分析との比較において、超並列DNA塩基配列決定法による診断の正確度を評価した。対象は、胎児トリソミー21のリスクが高い妊婦753人で、染色体核型分析では86人の胎児がトリソミー21と確定診断された。これらの妊婦について、二つのプロトコール(2-plex、8-plex)に基づく多重超並列DNA塩基配列決定法による検査を行った。主要評価項目はトリソミー21由来のDNA分子の比率とし、Zスコアが>3の場合に胎児はトリソミー21と診断した。トリソミー21の検出に関する感度、特異度、陽性予測値、陰性予測値を算出した。高侵襲的診断検査の98%を回避できる8-plex DNA配列決定法の結果は753人から、2-plex DNA配列決定法の結果は314人から得られた。検出能は2-plexプロトコールの方が優れていた。すなわち、2-plex DNA配列決定法の感度は100%、特異度は97.9%であり、陽性予測値は96.6%、陰性予測値は100%であった。これに対し、8-plex DNA配列決定法の感度は79.1%、特異度は98.9%、陽性予測値は91.9%、陰性予測値は96.9%であった。著者は、「母体血漿DNA配列決定法は高リスク妊婦における胎児トリソミー21の除外診断に使用可能であり、羊水穿刺、絨毛生検という高侵襲的診断検査の98%を回避できると考えられる」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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院外心停止に対するACD-CPR、標準的CPRよりも有効

院外心停止例に対する能動的圧迫-減圧心肺蘇生法(ACD-CPR)は、標準的CPRよりも神経機能温存退院率および1年生存率が優れることが、アメリカ・ウィスコンシン医科大学救急医療部のTom P Aufderheide氏らが行った無作為化試験で示された。ACD-CPRは、1)胸部に吸着させる吸引カップ、2)胸部の押し下げ/引き上げ用のハンドル、3)80拍/分にセットされた可聴式メトロノーム、4)操作中に圧迫、減圧の程度を表示するゲージからなる携帯式医療機器で、インピーダンス閾値弁装置(より効果的に心臓に陰圧をかけるための装置)を併用するとより高い効果が得られるとされる。胸骨圧迫が解除された拡張期圧に胸腔内圧の陰圧が増強された状態でACD-CPRを施行すると、標準的なCPRに比べ良好な血行動態が得られる可能性があるという。Lancet誌2011年1月22日号(オンライン版2011年1月19日号)掲載の報告。退院時の良好な神経機能温存率を評価する無作為化試験研究グループは、院外心停止に対するACD-CPRが、良好な神経機能を温存した生存に及ぼす効果および安全性を評価する多施設共同無作為化試験を実施した。アメリカの都市部、都市周辺部、地方部の46の救急医療施設(地域住人:230万人)において、院外心停止患者のアウトカムをUtsteinガイドラインに準拠して評価した。対象患者は、標準的CPRあるいはインピーダンス閾値弁装置で胸腔内圧の陰圧を増強させた状態でACD-CPRを施行する群に無作為に、暫定的に割り付けられた。心臓が原因と推定される非外傷性の心停止で、初期的および最終的な選択基準を満たした成人患者(18歳以上、確認できない場合は推定年齢)が、割り付けられたCPRを受け、最終解析の対象とされた。主要評価項目は、退院時の良好な神経機能温存率(modified Rankin scaleスコア≦3)とし、初期救助者以外の全研究者には治療割り付け情報は知らされなかった。神経機能温存退院率:6% vs. 9%、1年生存率:6% vs. 9%仮登録された2,470例が無作為に各CPRに割り付けられ、標準的CPR群(対照群)1,201例のうち813例(68%)が、ACD-CPR群1,269例のうち840例(66%)が実際に治療を受け、最終解析の対象となった。対照群では6%(47/813例)が良好な神経機能を温存した状態で退院したのに対し、ACD-CPR群は9%(75/840例)であり、有意な差が認められた(オッズ比:1.58、95%信頼区間:1.07~2.36、p=0.019)。1年生存率も対照群が6%(48/813例)、ACD-CPR群は9%(74/840例)と有意差を認め(p=0.03)、この間の認知能力、身体障害度、情緒的/心理的状態は両群で同等に保持されていた。全般に重篤な有害事象の発現率は両群間に差はなかったが、肺水腫は対照群[7%(62/813例)]よりもACD-CPR群[11%(94/840例)]で多くみられた(p=0.015)。著者は、「ACD-CPRは標準的CPRに比べ高い有効性と一般化可能性(generalizability)を有することが示された」と結論し、「この知見に基づくと、心停止後の長期生存を改善するには、標準的CPRの代替治療として胸腔内圧の陰圧増強下におけるACD-CPRの施行を考慮すべきと考えられる」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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早期乳がんに対する術後エキセメスタン、継続投与と逐次投与のいずれが有効か?

第3世代アロマターゼ阻害薬(AI)エキセメスタン(商品名:アロマシン)の5年継続投与と、タモキシフェン(商品名:ノルバデックスなど)→エキセメスタン逐次投与は、いずれも早期乳がんの術後補助療法として有用な治療選択肢となる可能性があることが、オランダLeiden大学医療センターのCornelis J H van de Velde氏らが行ったTEAM(Tamoxifen Exemestane Adjuvant Multinational)試験で示唆された。同じく第3世代のAIであるアナストロゾール(同:アリミデックス)およびレトロゾール(同:フェマーラ)は、継続投与、逐次投与ともにタモキシフェン継続投与に比べ無病生存率(DFS)を上昇させるが、全生存率(OS)は改善しないことが示されている。TEAM試験は当初、エキセメスタンとタモキシフェンの単剤の比較試験として開始されたが、もう一つのランドマーク試験であるIES試験の結果(逐次投与群のエストロゲン受容体陽性/不明例でDFS、OSが有意に改善)を受けてプロトコールが変更されたという。Lancet誌2011年1月22日号(オンライン版2011年1月18日号)掲載の報告。日本の30施設が参加した継続投与と逐次投与の国際的第III相試験TEAM試験の研究グループは、エキセメスタン継続投与とタモキシフェン→エキセメスタン逐次投与の長期的有用性を比較する多施設共同無作為化第III相試験を実施した。9ヵ国566施設(ヨーロッパ357施設、アメリカ179施設、日本30施設)から、閉経後ホルモン受容体陽性早期乳がん女性(年齢中央値64歳、範囲:35~96歳)が登録され、エキセメスタン25mg/日(経口)を5年間投与する群(継続投与群)あるいはタモキシフェン20mg/日(経口)を2.5~3年間投与後エキセメスタン25mg/日に切り替えて合計5年間投与する群(逐次投与群)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、治療5年の時点におけるDFSとし、intention-to-treat(ITT)解析を行った。DFSは同等、有害事象プロフィールは異なる9,779例が登録され、逐次投与群に4,875例が、継続投与群には4,904例が割り付けられた。このうち、逐次投与群の4,868例および継続投与群の4,898例がITT解析の対象となった。治療5年の時点で逐次投与群の4,154例、継続投与群の4,186例が無病生存しており、DFSはそれぞれ85%(4,154/4,868例)、86%(4,186/4,898例)、ハザード比は0.97(95%信頼区間:0.88~1.08)と両群で同等であった(p=0.60)。婦人科的症状は、逐次投与群が20%(942/4,814例)と、継続投与群の11%(523/4,852例)に比べ高頻度であった。静脈血栓症[2%(99例) vs. 1%(47例)、p<0.0001]や子宮内膜の異常[4%(191例) vs. 1%(19例)、p<0.0001]も、逐次投与群で多くみられた。継続投与群で多い有害事象としては、筋骨格系障害[44%(2,133/4,814例) vs. 50%(2,448/4,852例)]、高血圧[5%(219例) vs. 6%(303例)、p=0.0003]、脂質異常症[3%(136例) vs. 5%(230例)、p<0.0001]などが認められた。これらの知見に基づき、著者は「エキセメスタン単独の5年継続投与およびタモキシフェン2.5~3年→エキセメスタン2~2.5年の逐次投与は、いずれも閉経後ホルモン受容体陽性早期乳がんに対する適切な治療選択肢となる可能性がある」と結論し、「ニつの治療アプローチは有害事象プロフィールが異なるため、治療法を決める際はこの点を十分に考慮することが重要であろう。今後、TEAM試験と他のアロマターゼ阻害薬の臨床試験の成果に関するトランスレーショナル・リサーチにより、特定の治療戦略のベネフィットが最も大きい患者を同定することが可能になるだろう」と考察している。(菅野守:医学ライター)

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増税でもやっぱりタバコはやめられない?!

楽天リサーチ株式会社は24日、たばこ税増税に関する継続調査の結果を発表した。2010年10月にたばこ税増税が実施され、たばこの価格は大幅な値上げとなった。増税から3ヵ月が経過したが、喫煙者に変化はみられるのかどうか、同社では、2010年9月末時点での喫煙者に対し、増税後1ヵ月ごとに喫煙状況を調査した。たばこ税増税後の喫煙状況を比較してみたところ、9月末時点での喫煙者については3ヵ月後も大きな変化はみられなかった。9月末時点では喫煙していたが「増税をきっかけに禁煙を検討」した人のうち、実際に禁煙している人は約13%で推移している。しかしながら、9月末時点ですでに「増税をきっかけに喫煙を中止した」人については、3ヵ月後には18.9%の人が喫煙をしており、16.3ポイントも増加した。また、9月末の時点で増税をきっかけに「たばこをやめる」との意向があった人でも、喫煙率は徐々に上昇しているという。各調査時点での喫煙者に対し、たばこ税増税前後で比較して喫煙本数が減ったかどうかを聞いたところ、9月末時点から継続して喫煙している人では、一貫して約40%が本数を減らしていることがわかった。やめるつもりはないが増税は負担であり、節約しながら喫煙を継続している様子がうかがえる。一方、増税を機に禁煙を検討、もしくはその意向があった人については、喫煙本数が「減った」と回答した人は徐々に増加の傾向にある。禁煙しようと試みたものの禁煙できず、本数を減らして喫煙を復活していることが考えられるとのこと。各調査時点での喫煙者に今後の喫煙意向を聞いたところ、増税後3ヵ月間でたばこを「やめる」ことをあきらめている傾向にあるようだという。特に、9月末時点ですでに禁煙していた人、禁煙を検討していた人ではいずれも16.3ポイントも減少している。ただし、9月末時点での喫煙者全体をみてみると、各調査時点で「今後やめる」「やめた」を選択した人は、増税後3ヵ月間で「今まで通りの本数を吸う」と、元に戻っているのに対し、9月末時点で「たばこを吸うのをやめる」と回答した禁煙意向者は、禁煙を継続できなかった後ろめたさからか、喫煙しつつも、今まで通りの本数は吸わずに「吸う本数を減らす」ことに転換していることがうかがえるという。詳細はこちらへhttp://research.rakuten.co.jp/report/20110124/

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転移性トリプルネガティブ乳がんに対する化学療法とiniparibの併用の有効性と安全性

DNA修復機能に固有の障害を有する転移性トリプルネガティブ乳がん治療で、カルボプラチン(商品名:パラプラチンなど)+ゲムシタビン(同:ジェムザールなど)化学療法へのiniparibの追加併用は、臨床的ベネフィットおよび生存期間を改善することがオープンラベル第2相試験により示された。iniparibはポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害活性を持つ抗がん薬として開発された。in vitroおよび臨床試験で、カルボプラチン+ゲムシタビンの抗腫瘍・細胞毒性作用を増強することが証明されたのを受け、米国Baylor Charles A. SammonsがんセンターのJoyce O’Shaughnessy氏らにより有効性と安全性を検討する第2相試験が行われた。NEJM誌2011年1月20日号(オンライン版2011年1月5日号)掲載より。123例の被験者を対象にオープンラベル無作為化試験試験は、転移性トリプルネガティブ乳がんにおいて、カルボプラチン+ゲムシタビン療法にiniparibを追加した場合としなかった場合との、有効性と安全性を比較検討することを目的に行われた。123例の被験者は、1、8日目にゲムシタビン(1,000mg/m2体表面積)+カルボプラチン(血中濃度曲線下面積2線量当量で)を投与し、1、4、8、11日目にiniparib(5.6mg/kg体重量で)を投与する群としない群(いずれも21日サイクル)に無作為に割り付けられた。主要エンドポイントは、臨床的ベネフィット[客観的奏効(完全あるいは部分寛解)+6ヵ月以上の病状安定を認める患者の割合]の割合と安全性とした。追加エンドポイントには、客観的奏功率、無増悪生存期間、全生存期間も含まれた。臨床的ベネフィットは34%から56%に改善、有害事象の有意差は認められず結果、iniparib追加群では、臨床的ベネフィットの割合が34%から56%へと改善が認められた(P=0.01)。また全奏功率も32%から52%に改善された(P=0.02)。平均無増悪生存期間も3.6ヵ月から5.9ヵ月に延長した(増悪に対するハザード比:0.59、P=0.01)、平均全生存期間は7.7ヵ月から12.3ヵ月に延長していた(死亡に対するハザード比:0.57、P=0.01)。両群で発生したグレード3、4の有害事象で発生が高頻度であったのは、好中球減少症、血小板減少症、貧血、疲労、無力症、白血球減少症、アラニンアミノトランスフェラーゼ値上昇などであった。しかしグレード3、4の有害事象の発生率は両群で有意差は認められなかった。本結果に基づき、全生存期間と無増悪生存期間の評価に十分な検出力を有する第3相試験が実施中だという。(武藤まき:医療ライター)

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心血管イベント再発と責任・非責任病変関連のリスク因子

 急性冠症候群の原因となるアテローム硬化性プラークは、血管造影では軽度な冠動脈の狭窄部位で起こることが多いが、そのようなイベントの病変関連のリスク因子については十分に解明されていない。そうした中で米国コロンビア大学医療センターのGregg W. Stone氏らが、冠動脈アテローム性硬化の自然経過に関する前向き研究(PROSPECT研究)を行い見出した特徴などを報告した。NEJM誌2011年1月20日号掲載より。急性冠症候群でPCIを受けた患者に冠動脈造影と血管内超音波検査を行い前向きに追跡 Stone氏らは、急性冠症候群を来し経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた697例に対し、3枝についての冠動脈造影とグレイスケール・高周波血管内超音波検査を行った。その後に発生した主要有害心血管イベントについて、最初に治療した(責任)病変と未治療(非責任)病変のいずれと関連しているかを判定した。 平均追跡期間は3.4年、主要有害心血管イベントの3年累積発生率は20.4%だった。非責任病変に血管内超音波検査に基づく特徴が 責任病変との関連が認められたイベントは12.9%、非責任病変との関連が認められたのは11.6%だった。追跡期間中のイベントで非責任病変との関連が認められたもの大半は、基線の冠動脈造影では軽度[平均狭窄度(±SD):32.3±20.6%]であった。 しかし多変量解析の結果、イベント再発に関連した非責任病変は、関連していなかった非責任病変と比べて、プラーク面積≧70%(ハザード比:5.03、95%信頼区間:2.51~10.11、P<0.001)、最小内腔面積<4.0mm2(同:3.21、1.61~6.42、P=0.001)、高周波血管内超音波検査で薄膜線維性アテローム(TCFA)に分類される(同:3.35、1.77~6.36、P<0.001)という特徴が認められた。 Stone氏は「急性冠症候群を来しPCIを受けた患者において、追跡期間中に発生した主要有害心血管イベントは、責任病変と非責任病変では同程度であった。予期しないイベントの原因となった非責任病変は冠動脈造影では狭窄は軽度であったが、グレイスケール・高周波血管内超音波検査により、大半はTCFAで、プラーク面積率が大きく、内腔面積は小さいという特徴が、単独もしくは複合して有していることが認められた」と報告をまとめている。

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βアミロイド42/40濃度が低いと、認知機能低下が促進

血漿中のβアミロイド42/40濃度が低い人は、高い人に比べ、認知機能の低下が促進することが明らかにされた。その傾向は、認知的予備力の低い人ほど強いことも示された。米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校精神科部門のKristine Yaffe氏らが、地域在住の高齢者997人について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2011年1月19日号で発表した。βアミロイド42/40濃度と認知症発症との関連は知られているが、否定的な報告もあり、また認知症ではない高齢者における検討はほとんどされていなかった。βアミロイドβアミロイド42、42/40濃度と3MSスコアとの関連を検討Yaffe氏らは、1997~1998年に地域在住の高齢者997人について試験を開始し、2006~2007年まで10年間前向きに追跡した。被験者はメンフィス、テネシー、ピッツバーク(ペンシルベニア州)に住む70~79歳の黒人および白人の高齢者で「Health ABC Study」の登録者だった。試験開始時点の被験者の平均年齢は74.0歳、うち女性は550人(55.2%)だった。試験開始後、初回の追跡調査時点(中央値:53.4週後)で採血し保存していたサンプルを用い、血漿中のβアミロイド42とβアミロイド42/40を測定した。試験開始後1年、3年、5年、8年、10年の時点で、改定ミニメンタルステート検査(3MS)を行い認知能力の低下について分析した。βアミロイド42/40濃度の最低三分位範囲で、3MSスコア低下幅が有意に増大結果、βアミロイド42/40濃度が最も高い三分位範囲の群では、9年間の3MSスコアの低下幅は-3.60ポイント(95%信頼区間:-2.27~-4.73)だったのに対し、同濃度の最も低い三分位範囲の群では、同低下幅は-6.59ポイント(同:-5.21~-7.67)、中間の三分位範囲の群では-6.16ポイント(同:-4.92~-7.32)と、有意な関連が認められた(p<0.001)。この関連は、年齢や人種、教育程度、糖尿病、喫煙、アポリポ蛋白Ee4の有無で補正し、認知症の認められた72人を除いた後も、変わらなかった。しかし関連は、高校卒業者、6年制卒以上の教養がある、アポリポ蛋白Ee4対立遺伝子がない、といった認知的予備力の高い群では弱まった。たとえば、高校を卒業していない人の同スコア低下幅は、βアミロイド42/40の最も高い三分位範囲群が-4.45ポイントに対し、最も低い三分位範囲群は-8.94ポイントだったが、一方で高校卒業以上の学歴のある人の同スコア低下幅は、βアミロイド42/40の最も高い三分位範囲群が-2.88ポイントに対し、最も低い三分位範囲群は-4.60ポイントで格差はより小さかった(相互作用p=0.004)。教養の有無(p=0.005)、アポリポ蛋白Ee4対立遺伝子の有無(p=0.02)でも同様の関連が認められた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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