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30581.

がん性疼痛の緩和の普及に向けてコンソーシアムを設立

4月2日、塩野義、ヤンセンファーマ、テルモ、帝国製薬の4社は、がんで起きる痛みの緩和治療を普及するため、「がん性疼痛緩和推進コンソーシアム」を設立したと発表した。行政やがんセンター、学会などと協力しながら、患者が医師に痛みを適切に伝えるためのポイントや、医療用麻薬の有効性などを医療機関や消費者に広く伝えていく。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.shionogi.co.jp/ir/news/detail/080402.pdf

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湧永製薬、肥満遺伝子検査キット発売

湧永製薬は肥満に関連する遺伝子検査キットを発売した。遺伝子解析に基づき「りんご型」「洋なし型」「バナナ型」「標準型」の肥満体質タイプを判定し、遺伝子タイプに合った食事や運動のアドバイスを実施する。希望小売価格は8000円、薬局などで扱う。5月12日に開く通信販売サイトでは9500円(送料込み)で提供予定。詳細はプレスリリースへhttp://www.wakunaga.co.jp/news/archives/2008040152.html

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スタチンは慢性腎疾患患者の心血管死を低減する

スタチンは、慢性腎疾患(CKD)患者の心血管死を一般人口と同程度にまで低減することが、無作為化試験のメタ解析の結果から明らかとなった。オーストラリアSydney大学公衆衛生学腎臓臨床研究センターのGiovanni F M Strippoli氏らが、BMJ誌2008年3月22号(オンライン版2008年2月25日版)で報告した。CKD患者は心血管病のリスクが増大している。スタチンは一般人口において心血管死や全原因死亡を低減することがわかっているが、CKD患者におけるスタチンの役割については不明な点が多い。CKDを対象としたスタチンの無作為化/準無作為化対照比較試験を抽出研究グループは、CKD患者(血清クレアチニン上昇、透析、腎移植)に対するスタチンのベネフィットおよび有害作用の評価を目的としたメタ解析を実施した。データベース(Cochrane Central Register of Controlled Trials、Medline、Embase、Renal Health Library)を検索して、CKDを対象にスタチンをプラセボあるいは他のスタチンと比較した無作為化/準無作為化対照比較試験を抽出した。2名の研究者が別個に、個々の試験の症例選択基準や得られたデータを検討し、試験の質を評価した。見解が異なる場合は協議により解決した。治療効果は、変量効果モデル(random effects model)を用いて相対リスクあるいは加重平均差(WMD)で表し、95%信頼区画を算出した。心血管イベントが低下、全原因死亡の改善効果は不明50試験に登録された3万144例が解析の対象となった。プラセボに比べ、スタチンは総コレステロール、LDL-コレステロール、蛋白尿を低下させたが、糸球体濾過値は改善しなかった。致死的および非致死的心血管イベントもスタチンにより低下したが、全原因死亡に対する有意な効果は認めなかった。メタ回帰分析では、CKDのステージによる有意な治療効果の差は確認されなかった。また、スタチンの副作用プロフィールはプラセボと同等であった。解析した試験の多くが小規模で質が高いものではなく、死亡に関するデータの拠出は少数の大規模試験に限られた。Strippoli氏は、「スタチンは、CKD患者の心血管死をステージにかかわりなく一般人口と同程度にまで低減する」と結論し、「腎保護効果が明確にならなかった原因は、相対的なデータ不足およびアウトカム報告バイアスによると考えられる。全原因死亡の改善効果や1次予防効果は現在進行中の無作為化試験(SHARP、AURORA)の結果によりある程度明らかになるだろう」と考察している。(菅野守:医学ライター)

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消化不良にPPIによる胃酸分泌抑制は適切な初期治療

プライマリ・ケアにおける消化不良の初期治療では、ピロリ菌の検査・除菌とプロトンポンプ阻害薬(PPI)による胃酸分泌抑制の費用効果および症状抑制効果は同等であり、PPIは適切な治療戦略であることがMRC-CUBE試験の結果により示された。BMJ誌2008年3月22日号(オンライン版2008年2月29日号)で、英国Birmingham大学プライマリ・ケア科のBrendan C Delaney氏が報告した。英国の消化不良の治療ガイドラインでは、上部消化管の腫瘍が疑われる徴候がない場合は、これら2つの管理法が推奨されている。80ヵ所のGP施設に699例を登録MRC-CUBE試験の研究グループは、プライマリ・ケアにおける消化不良の初期治療としてのピロリ菌の検査・除菌と胃酸分泌抑制の費用効果を評価するための多施設共同無作為化対照比較試験を実施した。英国の80ヵ所のGP施設に、年齢18~65歳で上腹部痛、胸やけ、あるいはその双方が見られ、悪性腫瘍を疑わせる徴候のない699例が登録された。13C尿素呼気試験の陽性例に1週間の除菌治療を行う群あるいはPPI投与のみを行う群に無作為に割り付け、その後の患者管理は各GPの裁量に任された。費用効果はEQ-5Dを用いて生活の質で調整した生存年数(QALY)ごとのコストを算出し、消化不良症状に対する1年後の効果は略式Leeds 消化不良質問票のスコア、医療資源の使用度、患者満足度で評価した。ピロリ菌検査・除菌とPPIの費用効果は同等ピロリ菌検査には343例が割り付けられ、100例が陽性であった。そのうち78%が除菌に成功した。PPI治療には356例が割り付けられ、28日間にわたり治療が行われた。1年後の時点で、両群間にQALY、コスト、消化不良症状に差は認めなかった。初診時のピロリ菌の検査・除菌のコストは、1年後にはコスト抑制効果によって相殺されてPPI治療群と同等となった。Delaney氏は、「消化不良の初期治療におけるピロリ菌検査・除菌とPPI投与の費用効果は同等であった。PPIによる胃酸分泌抑制はプライマリ・ケアの初期治療において適切な治療戦略である」と結論している。また、同氏は「全体として両治療群のコストに差はないので、初診時にピロリ菌の検査を行うか、持続的な症状の評価のみを行うかは、各GPが個々の患者と相談して決めるべき」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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レビトラの高脂血症併発ED患者への効果 

バイエル ヘルスケア社は、第23回欧州泌尿器科学会年会(EAU2008)において、レビトラ(塩酸バルデナフィル)が脂質代謝障害を有するED(勃起不全)患者に対する治療として有効であることが報告されたと発表した。約400名の男性が参加した二重盲検プラセボ比較試験で、高脂血症を伴うED患者へのレビトラの安全性及び効果をプロスペクティブ(前向き介入)に評価したもの。試験参加者全員がスタチン製剤による高脂血症の治療を受けていたが、12週間後、レビトラ錠はプラセボ(偽薬)群に比べて挿入の成功率と勃起の維持を有意に改善した。詳細はプレスリリースへhttp://byl.bayer.co.jp/scripts/pages/jp/press_release/press_detail/?file_path=2008%2Fnews2008-04-03.html

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iPodなどのデジタル音楽プレーヤーは心臓ペースメーカーに影響するのか

iPodをはじめとするデジタル音楽プレーヤーの心臓ペースメーカーへの影響が指摘されていたが、その影響はないとの研究が「Heart Rhythm」4月号に発表された。それによると、ペースメーカーまたは埋め込み型除細動器(ICD)を使用する患者51人を対象に検査を実施、4機種のデジタル音楽プレーヤー(Apple Nano, Apple Video, SanDisk Sansa, Microsoft Zune)をペースメーカーおよびICDの近くで再生した結果、影響は一切認められなかった、という。ただし、医師がペースメーカーを調整時にデジタル音楽プレーヤーを使用していると影響がでるとの指摘。詳細はアブストラクトへDigital music players cause interference with interrogation telemetry for pacemakers and implantable cardioverter-defibrillators without affecting device function

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関節リウマチに対する新たな生物学的製剤トシリズマブの有用性を確認

関節リウマチ治療における新たな生物学的製剤として、日本で開発されたヒト化抗インターロイキン(IL)-6受容体モノクローナル抗体トシリズマブ(商品名:アクテムラ)の有用性を示唆する第III相試験(OPTION study)の結果が、オーストリアVienna医科大学リウマチ科のJosef S Smolen氏によりLancet誌2008年3月22日号で報告された。IL-6は免疫および炎症反応に広範な作用を及ぼすが、この系を介して関節リウマチの発症にも関与すると考えられている。トシリズマブは、すでに日本およびヨーロッパの第II相試験で関節リウマチに対する有効性が示されていた。メトトレキサートとの併用で、2種類の用量とプラセボを比較トシリズマブはIL-6受容体を阻害することでIL-6を遮断する。Smolen氏らは、関節リウマチに対するトシリズマブの有用性を評価する二重盲検無作為化プラセボ対照パラレルグループ第III相試験を実施した。2005年2月~2006年11月の間に17か国の73施設から中等度~重度の関節リウマチ623例が登録された。これらの症例が、メトトレキサート(10~25mg/週)との併用においてトシリズマブ 8mg/kg(205例)、同4mg/kg(214例)、プラセボ(204例)を4週ごとに静注投与する群に無作為に割り付けられた。治療期間は24週で、16週の時点で腫脹関節数(SJC)および圧痛関節数(TJC)の双方の改善が20%に満たない場合は、トシリズマブ 8mg/kgを用いたレスキュー治療が行われた。主要評価項目は、24週の時点で米国リウマチ学会(ACR)の判定規準による関節リウマチの徴候および症状が20%以上改善した症例の割合(ACR 20%改善率)とした。ACR 20%改善率:8mg/kg群59%、4mg/kg群48%、プラセボ群26%622例がintention-to-treat解析の対象となった。ACR 20%改善率は、8mg/kg群が59%(120/205例)、4mg/kg群が48%(102/214例)、プラセボ群が26%(54/204例)であり、プラセボ群に対する8mg/kg群のオッズ比は4.0(p<0.0001)、4mg/kg群のオッズ比は2.6(p<0.0001)と有意な改善効果が認められた。ほぼ寛解とされるACR 70%改善率は、プラセボ群の2%に対し、8mg/kg群が22%、4mg/kg群が12%であった[プラセボ群に対するオッズ比はそれぞれ14.2(p<0.0001)、7.0(p<0.0001)]。少なくとも1つ以上の有害事象を発現した症例の割合は、プラセボ群の63%(129/204例)に対し、8mg/kg群が69%(143/205例)、4mg/kg群が71%(151/214例)と治療群で多い傾向が見られた。最も高頻度に見られた重篤な有害事象は、重症感染症あるいはインフェステーション(外寄生)であり、8mg/kg群で6例、4mg/kg群で3例、プラセボ群で2例が報告された。Smolen氏は、「トシリズマブは中等度~重度の活動性関節リウマチに対し有効な治療アプローチと考えられる」と結論し、「治療開始後2~4週には明らかな改善効果が認められ、効果は治療期間を通じて維持され、治療終了後も持続した。2種類の用量の比較は本試験の目的ではないが、8mg/kgのほうが強固な治療効果を示した」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

30588.

結腸・直腸の肝転移に対する手術+化学療法は適格例、切除例に有効

結腸・直腸の肝転移に対し、手術と術前・後の化学療法を併用すると適格例および切除例の無増悪生存率(PFS)が改善することが、Bernard Nordlinger 氏らEORTC Intergroupの検討で明らかとなった。毎年、世界で約100万人が結腸・直腸と診断され、その40~50%に肝転移がみつかる。転移巣が切除可能な場合は5年生存率は35%に達するが、切除しても75%が再発するという。そのため、再発リスクを低減させるアプローチの探索が進められている。Lancet誌2008年3月22日号掲載の報告。術前FOLFOX4+手術+術後FOLFOX4群と手術単独群を比較研究グループは、結腸・直腸の切除可能肝転移例(転移巣数≦4)を対象に、手術+術前・後化学療法と手術単独を比較する無作為化対照比較試験を実施した。今回の報告は、プロトコールに規定されていない時点での中間解析によるPFSの最終データについてであり、全生存率は含まれない。2000年10月~2004年7月の間に11か国の78施設から364例が登録され、FOLFOX4(フルオロウラシル/ロイコボリン+オキサリプラチン)を6コース施行後に手術を行い、さらにFOLFOX4を6コース実施する群(182例)と手術単独群(182例)に無作為に割り付けられた。主要評価項目はPFSのハザード比≦0.71とした。intention-to-treat解析のほか、適格例(併用群:171例、単独群:171例)および切除例(併用群:151例、単独群:152例)に限定した解析も行った。ITT解析ではPFSに有意差なし、適格例、切除例で有意に改善術前FOLFOX4施行(中央値6コース)後は151例(83%)が切除可能であり、115例(63%)が術後FOLFOX4(中央値6コース)を受療した。手術単独群では152例(84%)が切除可能であった。3年PFSは、単独群の28.1%に対し併用群は35.4%と7.3%増加したが、ハザード比は0.79であり有意差を認めなかった(p=0.058)。一方、適格例の3年PFSは、単独群28.1%、併用群36.2%と8.1%増加(ハザード比:0.77、p=0.041)し、切除例ではそれぞれ33.2%、42.4%と9.2%増加(ハザード比:0.73、p=0.025)しており、いずれも有意な差が見られた。解析時までに単独群で75例が、併用群では64例が死亡した。回復可能な術後合併症の頻度は、単独群(16%、27/170例)よりも併用群(25%、40/159例)で高かった(p=0.04)。手術関連の死亡例は単独群2例、併用群1例であった。Nordlinger 氏は、「FOLFOX4による化学療法と肝転移巣切除術は併用可能であり、適格例および切除例では再発のリスクを低減する」と結論している。なお、同じ号の本論文に対するコメントで、米国MDアンダーソンセンターのScott Kopetz 氏とJean-Nicolas Vauthey氏は、ITT解析では有意差がないこと、適格例と切除例の解析は事前にプロトコールに規定のない後付け解析である点に着目し、「本試験では、術前・後の化学療法の併用によるPFSに対するポジティブな効果は証明されていない」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

30589.

PCI後のスタチン投与は、糖尿病例で、高い心血管イベント抑制率を示す

冠動脈インターベンション(PCI)後のスタチン投与が、心血管イベントの発症に与える影響を、糖尿病例と非糖尿病例のそれぞれに対し検討した試験の結果が、日本循環器学会総会・学術集会のLate Breakingにおいて発表された。発表者は、小島淳氏(熊本大学循環器病態学)。これまで、①糖尿病例に対するPCIは、非糖尿病例に比較し予後が悪いこと ②PCI施行後のスタチン投与は、フルバスタチンを用いたLIPSにより心血管イベントを抑制することが報告されていること ③糖尿病例へのスタチン投与は、アトルルバスタチンを用いたCARDSにより、心血管イベントの発症を抑制すること 等がわかっている。そこで、今回小島氏らは、PCI後のスタチン投与が、心血管イベントの発症に与える影響を、糖尿病例と非糖尿病例のそれぞれに対し検討した。試験で用いられたスタチンの用量は我が国の標準用量で、薬剤の内訳は、プラバスタチン約50%、アトルバスタチン約40%であった。試験終了時LDL-Cは100mg/dL未満に低下した。一次エンドポイントであった心血管イベント(MACCE)は、糖尿病例では、スタチン投与により相対リスクが66%減少し(p=0.002)、非糖尿病例では、24%減少したが、有意差は認められなかった。特に糖尿病例へのスタチン投与は、NNTが8となり、高い効果を示した。この試験により、正常なコレステロール値を持つ糖尿病患者に対し、PCI後に、我が国の標準用量のスタチンを処方することは、非糖尿病例に比較し、高い臨床的ベネフィットをもたらすことが示された。そして、小島氏は、糖尿病例と非糖尿病例の心血管イベント発症抑制作用の違いには、スタチンの糖尿病例へのPleiotropic effectがひとつの原因ではないか、と考察した。(ケアネット 鈴木 渉)

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輸血赤血球が「古い」と心臓手術後の合併症・死亡率は有意に増大する

保存赤血球は時間とともに構造および機能が変化する。クリーブランド・クリニック(アメリカ)心臓麻酔部門のColleen Gorman Koch氏らは、心臓手術時に輸血された保存赤血球が古い(2週間超)と、術後の深刻な合併症および死亡率を増大させるとの仮説を立て検証を行った。NEJM誌2008年3月20日号より。保存期間14日以下輸血患者2,872例と14日超3,130例を検証Koch氏らは、1998年6月30日~2006年1月30日の間に、冠状動脈バイパス移植、心臓弁手術あるいは両手術の際に、赤血球輸血を受けた患者のデータを調査した。対象となったのは、保存期間14日以下(中央値11日)の「より新しい血液」8,802Uを受けた患者計2,872例と、14日超(中央値20日)の「より古い血液」10,782Uを受けた患者計3,130例。「古い」ほうが術後合併症のリスク増大、生存率低下と有意に関連結果、「より古い血液」を与えられた患者のほうが、合併症および死亡率は高率で、Koch氏らは「保存期間2週間超の赤血球輸血は、術後合併症のリスク増大、生存率低下と有意な関連がみられた」とまとめている。院内死亡率は2.8%(より新しい血液:1.7%、P=0.004)、72時間超の挿管9.7%(同5.6%、P

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治療選択肢で異なるQOLが治療転帰の満足度に影響:前立腺

前立腺患者の初回治療の転帰に対する満足度は、治療後の健康関連QOLの変化にかかっており、患者だけでなく配偶者やパートナーの治療転帰への満足度にも影響することを、アメリカ・ボストンにあるベス・イスラエル・ディーコネス医療センターの Martin G. Sanda氏らがNEJM誌2008年3月20日号に報告した。術前術後に患者1,201例と配偶者ら625例を調査対象は複数の医療機関から集められた患者1,201例(前立腺に対する根治治療:前立腺切除術、密封小線源療法、外部放射線療法いずれかを受療)と、配偶者・パートナー625例。治療を受ける前と後に報告された転帰を前向きに測定することで、QOL変化に関係する要因を評価し、その要因が治療転帰に対する満足度にどうかかわっているかが判定された。神経温存術で性機能への副作用を緩和密封小線源療法もしくは放射線療法を受けた患者にとって、術後補助ホルモン療法は、複数のQOL領域で、より不良な転帰を伴った。密封小線源療法を受けた患者からは、持続的な排尿刺激と腸機能、性機能症状に加えて、活力やホルモン機能に一時的な障害があると報告。前立腺切除術による性機能への副作用は、神経温存術によって緩和されたこと、前立腺切除術の後で尿失禁が認められたが、前立腺が特に大きい患者では頻尿と尿閉が改善したことも報告されている。処置の関連死は発生しておらず、深刻な有害事象はまれだったが、処置関連の症状が、肥満、前立腺肥大、前立腺特異抗原(PSA)スコア上昇、高齢なほど増悪していた。満足度に関して、黒人患者では全体的な治療転帰の度合に比して低く、患者と配偶者・パートナーの治療転帰に対する満足度は、QOL変化と有意な関係がみられた。Sanda氏らは、「それぞれの前立腺治療は、尿機能や腸機能、性機能、ホルモン機能に関係するQOL領域で異なる変化パターンを伴い、その変化は、患者と配偶者・パートナーの治療転帰に対する満足度に影響を及ぼしている」とまとめた。(武藤まき:医療ライター)

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遺伝子LRP5異型が骨密度減少と骨折リスク増大に関連

 低密度リポ蛋白質受容体である遺伝子LRP5の突然変異は、骨密度(BMD)の変化に基づく希有な症候群を引き起こすことが知られている。オランダ・エラスムス大学医療センターのJoyce B. J. van Meurs氏らGENOMOS Studyグループは大規模な研究を行い、LRP5異型が骨密度減少と骨折リスク増大に関わることで、骨粗鬆症に関与していることを見いだしたと報告。JAMA誌 2008年3月19日号より。欧米の37,534例について腰椎、大腿骨頸部骨密度と骨折を検証研究は、LRP5遺伝子のうち一般的な異型であるMet 667とVal1330の2種と、類似するLRP6の異型Ile1062Valが、骨密度と骨折リスクに関係するのか、大規模なエビデンスを得るために、ヨーロッパと北アメリカの18研究機関が協力し合計37,534人分のデータを提供する、前向きの多施設共同研究として行われた。データは2004年9月~2007年1月にかけて収集され、2007年2月~5月にかけて分析された。骨密度は二重エネルギーX線吸光光度定量法で評価され、骨折はアンケート、診療記録またはX線撮影の書証で確認された。骨折データは別に利用するため、脊椎骨折のための放射線検査を含む通常の調査方法で確認された。主要評価項目は、腰椎と大腿骨頸部の骨密度およびすべての骨折と脊椎骨折の有病率とした。LRP5の一般的な異型2種とも独立してBMDに影響腰椎BMD減少との関連が認められたのは、Met667群(n=25,052、Met667当たりBMD 20-mg/cm2減少;P=3.3×10の-8乗)、Val1330群(n=24,812、Val1330当たりBMD 14-mg/cm2減少;P=2.6×10の-9乗)。大腿骨頸部BMDについても同様に関連がみられ、Met667(n=25,193、同11mg/cm2減少;P=3.8×10の-5乗)、Val1330(n=25,193、同8mg/cm2減少;P=5.0×10の-6乗)だった。脊椎骨折が認められたのは、Met667群では20,488例中2,001例(オッズ比:1.26、95%信頼区間:1.08~1.47)、Val1330では20,096例中1,988例(同1.12、1.01~1.24)だった。すべての骨折リスクは、Met667群、Val1330群とも増大していた。前者は31,435例中7,876例骨折(同1.14、対立遺伝子当たり95%信頼区間:1.05~1.24)、後者は31,199例中7,802例骨折(同1.06、1.01~1.12)。ハプロタイプ分析によって、Met667とVal1330異型が両方とも独立してBMDに影響を及ぼすことが確認された。年齢、体重、身長、閉経期状態およびホルモン療法の有無で補正しても変わりはない。他方、LRP6異型のIle1062Valは、どのような骨粗鬆症の現象とも関係していなかった。Meurs氏らは「LRP5は、骨粗鬆症に関わる現象について、初めて遺伝子レベルの有意性を示したケースかもしれない。まだ一個の遺伝標識が、あるリスク現象の一部を説明したにすぎないが、骨粗鬆症のリスク変化をいくつか確認できれば、臨床予測を改善し、新薬開発に寄与する可能性もある」と強調している。(朝田哲明:医療ライター)

30593.

深部静脈血栓症発症に関与するSNPを同定

 深部静脈血栓症(DVT)の遺伝的素因を突き止めようと、ライデン大学医療センター(オランダ)臨床疫学部門Irene D. Bezemer氏らは、DVTと関連する一塩基多型(SNP)の同定を試みた。SNPは、DNAの4種類の塩基の並び方が人により部分的に異なっているもので、遺伝子の個人差を示すものとして疾病発症との関わり等の研究に応用されている。JAMA誌2008年3月19日号にて掲載。19,682人分の遺伝子からDVTに強く関連する3つのSNPを同定 Bezemer氏らはSNP同定のため3つの患者対照試験、すなわちLETS(1988~1992年:Leiden Thrombophilia Study)とMEGA-1、MEGA-2(MEGAスタディを分割:1999~2004年:Multiple Environmental and Genetic Assessment of Risk Factors for Venous Thrombosis)を用いた。 まず計19,682人が参加したLETSを検討し、DVTと関連する1,206のSNPを同定。それら1,206のSNPをMEGA-1で検討(患者群1,398例と対照群1,757例)し、LETSとMEGA-1に共通する危険対立遺伝子として18のSNPを同定した。さらにそれらをMEGA-2で検討(患者群1,314例と対照群2,877例)し、9つのSNPを同定。そのうち3つのSNPにDVTとの強い関連が見いだされた[P

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クレーマーに仮処分、患者の妨害行為を禁じる

埼玉県春日部市立病院に入院中の患者家族が医師や看護師などに対して威嚇行為や誹謗中傷を繰り返したとして、同市が医療妨害禁止を求めていた仮処分申請に対して、さいたま地裁越谷支部がこの申請を認めたことがわかった。同市によると、仮処分を受けたのは90歳代の入院患者の息子夫婦。大声で医療スタッフを威嚇したり、「虐待だ」など虚偽の誹謗中傷を繰り返して医療行為を妨害していたという。こうした医療行為に対する妨害に禁止の仮処分が出たのは珍しい。

30595.

アトルバスタチンとピタバスタチンに、日本人のACS例におけるプラーク退縮作用が確認される(日本循環器学会)

3月28日、注目を集めていたJAPAN-ACSの結果が、木村剛氏(京都大学循環器内科学)により日本循環器学会総会・学術集会Late Breakingにおいて、発表された。JAPAN-ACSは、急性冠症候群(ACS)307例を対象にアトルバスタチン20mg(154例)、または、ピタバスタチン4mg群(153例)に無作為割付し、8~12ヵ月間の投与後、プラーク容積の変化を比較検討した試験である。これまでにも、ストロングスタチンによる積極的な脂質低下療法が、冠動脈疾患既往例の心血管イベントを抑制することや、プラークを退縮させることは発表されていた。そして、アトルバスタチンでは、ESTABLISH試験により、日本人のACS例におけるプラーク退縮作用も既に確認されている。しかし、その規模が少人数を対象とした試験で、一施設のデータであったことなどから、医師主導の大規模な多施設試験が行われた。JAPAN-ACSでは、8~12ヵ月の投与後いずれの脂質プロファイルにおいても、ピタバスタチン群とアトルバスタチン群で有意な差は認められなかった。一次エンドポイントであるプラーク容積は、ピタバスタチン群で、-16.9(±13.9)、アトルバスタチン群で、-18.1(±14.2)と、両群ともに、プラーク退縮が認められた。また、ピタバスタチンのアトルバスタチンに対する非劣性が認められた。さらに、安全性の面でも、両群間に有意差が認められなかった。JAPAN-ACSで、新たに興味深いデータとなったのは、LDL-Cの減少率と、プラーク退縮の間に相関関係が認められなかった点である。この点に注目し、多変量解析した結果、糖尿病の有無、ベースラインのプラーク容積、ベースラインのRLP-C(レムナント様タンパク)値に相関が認められた。特に、糖尿病例では、非糖尿病例に比べプラーク退縮率が約65%と低かった。今後、JAPAN-ACSの詳細なデータ解析が実施され、様々な報告が行われる予定である。(ケアネット 鈴木 渉)

30596.

ネクサバール、レバチオ、リコモジュリン、新引き上げルール適用

3月26日、中医協の総会は、14成分21品目の薬価収載(4月18日予定)を決定した。08年度改定に伴う新算定ルールの初の対象となる。革新性などを評価するためのルール見直しにより、原価計算方式で算定された8成分のうち、薬剤に革新性がある場合に原価に含まれる営業利益率に上乗せする新ルールが、汎発性血管内血液凝固症(DIC)治療薬「リコモジュリン」、肺動脈性肺高血圧症用薬「レバチオ」、腎細胞がん治療薬「ネクサバール」の3成分に適用された。

30597.

高インスリン血性低血糖症治療薬「アログリセムカプセル」や「アクテムラ」関節リウマチの効能追加などを承認

3月25日、薬事・食品衛生審議会薬事分科会は高インスリン血性低血糖症治療薬「アログリセムカプセル」などの新薬11成分を承認した。高インスリン血性低血糖症治療薬「アログリセムカプセル」のほか、2番目の腎細胞の複数分子標的薬となる「スーテントカプセル」、世界で初めて関節リウマチを効能追加した抗体医薬「アクテムラ」、ムコ多糖症VI型治療薬「ナグラザイム」などがある。4月中に承認。なお、「ナグラザイム」は4月中にも緊急薬価収載される。

30598.

禁煙成功率が2倍以上に、喫煙者に対する「肺年齢」の告知

喫煙者にスパイロメトリー検査に基づく「肺年齢」を伝えると、禁煙率が有意に改善されることが、英国Limes Surgery(ハートフォードシャー州ホデスドン)の一般医(GP)Gary Parkes氏らが実施した無作為化試験で明らかとなった。喫煙者の1/4が罹患するとされる慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、世界的な死因の第4位を占める。英国には150万人のCOPD患者がいると推計されるが、その半数は診断されておらず、発症から診断までの期間は平均20年に及ぶという。BMJ誌2008年3月15日号(オンライン版2008年3月6日号)掲載の報告。肺年齢を告知する群とFEV1の数値を伝える群を比較研究グループは、禁煙の動機付けとして患者にスパイロメトリー検査で推計された肺年齢を告知し、その有効性を評価するための無作為化対照比較試験を行った。肺年齢とは、被験者のスパイロメトリー検査による1秒量(FEV1)と同等の肺機能を示す標準的な健常者の年齢である。ハートフォードシャー州の5つのGP診療所に、35歳以上の喫煙者561名が登録された。すべての参加者に対しスパイロメトリーによる肺機能の評価が行われた。介入群(280例)には肺年齢が告知され、対照群(281例)にはFEV1の数値がそのまま伝えられた。両群に禁煙のアドバイスを行い、国民保険サービス(NHS)の地域禁煙サービスを受けるよう提案した。主要評価項目は12ヵ月後の唾液コチニン検査で確認された禁煙、副次評価項目は1日喫煙本数の変化および新規に診断されたCOPDとした。禁煙成功率:13.6% vs. 6.4%89%が12ヵ月間のフォローアップが可能であった。禁煙成功率は対照群の6.4%に対し、介入群は13.6%と有意な改善効果が認められた(p=0.005)。1名の禁煙成功者を得るのに要する介入人数(NNT)は14名であった。両群とも、肺年齢が低い参加者のほうが正常な者に比べ禁煙率が優れるという傾向は認めなかった。禁煙に要する費用は1人当たり280ポンド(366ユーロ、556ドル)と推計された。COPDの新規診断率は介入群が17%、対照群が14%であり、全体では16%(89/561人)であった。Parkes氏は、「喫煙者に対する肺年齢の告知は禁煙率の改善に有効であるが、そのメカニズムは不明」と結論し、「35歳以上の喫煙者のスクリーニングにより、喫煙率を低下させ、COPDの早期診断率を改善する可能性がある。喫煙の重い健康負担と医療費負担を考慮すれば、この簡便な介入法の経済効果を評価する研究を優先的に進めるべき」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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無作為割り付け、二重盲検化いずれかを欠く試験では「客観的」評価項目が肝要

無作為割り付けが適切になされていない、あるいは二重盲検ではない介入試験では、主観的評価項目に対する介入の効果が強調されていることが明らかになった。University of Bristol(英国)のLesley Wood氏らによる報告がBMJ誌HPで早期公開(2008年3月3日付、本誌3月15日号に収載)された。メタ解析の対象となった試験で検討検討の対象となったのは、予後に対する介入の影響を検討した1,346試験を対象としたメタ解析146件。「適切な無作為割り付けの有無」、「二重盲検化の有無」で試験を分け、介入に対する評価が異なるかを検討した。「適切な無作為割り付け」とは参加者や登録者が事前に割り付け群が分からぬよう行なわれる割り付け、「二重盲検化」とは完全な患者、治療者だけでなく、イベント判定者も治療内容を知り得ない状況とされた。 非無作為、非盲検化で増強するのは「主観的」評価項目への作用「無作為割り付けの適切さ」は804件の試験で検討された。その結果、無作為割り付けが「適切」だった272試験(34%)に比べ「不適切」な試験では介入の効果が相対的に17%、有意に大きかった(評価項目オッズ比:0.83、95%信頼区間:0.74~0.93)。しかし、評価項目を「主観的」、「客観的」に分けると、不適切な無作為割り付け」により介入の効果が有意に増大していたのは「主観的」評価項目だけだった(オッズ比:0.69、95%信頼区間:0.59~0.82。客観的評価項目オッズ比:0.91、95%信頼区間:0.80~1.03)。「二重盲検の有無」を評価できたのは746試験だった。二重盲検化されていた432試験(58%)に比べ、非二重盲検試験では介入の効果が相対的に7%増強されていたが、有意ではなかった。しかし「主観的」評価項目に限れば、非二重盲検試験では介入により有意にリスクは減少していた(オッズ比:0.75、95%信頼区間:0.61~0.93)。最後に、「適切な無作為割り付けの有無」「二重盲検化の有無」を変数として同じ回帰分析に入れてみた。その結果、総死亡、「客観的」評価項目に対してはいずれも有意な因子ではなかったが、「主観的」評価項目のリスクは「適切ではない無作為割り付け試験」(オッズ比:0.75、95%信頼区間:0.63~0.88)、「非二重盲検化試験」(同0.77、0.65~0.91)のいずれにおいても介入により有意に低下していた。 「客観的」評価項目の採用が重要二重盲検試験でも有害事象により患者の割り付け群が分かる場合は珍しくない。Wood氏らはそれを踏まえ、臨床試験では客観的な評価項目を必ず設ける必要があるとしている。最近増えている複合評価項目では、どれほど客観的な項目が含まれているか確認する必要があるということだろう。オープン試験でイベント判定だけを盲検化するPROBE法を用いた大規模臨床試験ではなおさらである。Wood氏らまた、メタ解析を行う場合、このようなバイアスにも留意して解析対象の試験を選択するよう呼びかけている。たとえば高血圧領域なら、1日3回服用のACE阻害薬の1日服用量を1回で服用させたCAPPP試験、また、長時間Ca拮抗薬の有用性を確認したとされるSyst-EUR研究(プラセボ群は追加薬のACE阻害薬、利尿薬もプラセボ)あたりは、特に薬剤間の比較を行うメタ解析からは除外を検討する余地はあるのではないだろうか。(宇津貴史:医学レポーター)

30600.

副鼻腔炎に抗生物質の使用を正当化する臨床徴候、症状はない

副鼻腔炎はウイルス感染と細菌感染の鑑別が困難なため、プライマリ・ケア医は急性副鼻腔炎に対し抗生物質を過剰に処方しがちだという。スイスBasel大学病院臨床疫学研究所のJim Young氏らは、副鼻腔炎には、抗生物質が有効な症例を同定しうる一般的な徴候や症状はないことを確認、Lancet誌2008年3月15日号で報告した。米国では、受診理由の第3位が上部気道感染症で、その約1/3を急性副鼻腔炎が占め、さらにその80%が抗生物質を処方されている。ヨーロッパでもプライマリ・ケアにおける抗生物質処方の72~92%が急性副鼻腔炎とされる。無作為化試験に登録された症例の個々のデータを再解析研究グループは、抗生物質が有効な副鼻腔炎の一般的な徴候、症状を評価するために、個々の症例のデータに基づいて無作為化試験のメタ解析を実施した。Cochrane Central Register of Controlled Trials、Medline、Embaseを検索し、当該試験を記述した報告のリストを参照することで、副鼻腔炎様の病状を呈する成人患者を対象に抗生物質あるいはプラセボによる治療に無作為に割り付けた試験を同定した。9つの試験に登録された2,547例の個々のデータを確認し、再解析を行った。抗生物質の全体的な治療効果を評価し、1例の治癒を得るのに要する抗生物質治療の回数(NNT)を算出することで一般的な徴候、症状の予測値の検討を行った。ベネフィットはほとんどない、可能なのはwatchful waiting、症状の緩和のみ新たに1例の治癒を得るためには、副鼻腔炎様病状を呈する15例を抗生物質で治療する必要があった。咽頭に膿性分泌物を認める症例では、この徴候のない症例よりも治癒に長い時間を要した。新たに1例の治癒を得るには、咽頭の膿性分泌物を認める8例を抗生物質で治療する必要があった。より高齢の症例、より長期間にわたり症状を訴える症例、より重篤な症状を呈する症例は治癒に長い時間を要したが、これらの症例が他の症例に比べ抗生物質が有効な傾向は認めなかった。Young氏は、これらの知見に基づき「抗生物質治療が明確に正当化される副鼻腔炎患者を同定しうるような一般的な臨床徴候および症状は認めなかった」と結論している。また、同氏は「プライマリ・ケアでは、急性副鼻腔炎様病状の患者に対する抗生物質治療のベネフィットはほとんどない。患者が7~10日以上の長期間にわたって症状を訴える場合でも抗生物質治療は正当化されない。正当化されるのは重篤な合併症を示唆する徴候が見られる場合のみである。小児や免疫抑制状態の患者はこの限りではないが、急性副鼻腔炎様病状の成人患者に保障できるのは、ほとんどの場合watchful waitingあるいは症状の緩和のみである」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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