腹壁破裂児の1年アウトカム予測のベンチマーク

提供元:ケアネット

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公開日:2011/12/02

 



出生時に腹壁破裂を伴った新生児について、患児を単純群(腸が無傷、無損傷、連続している)と複雑群(腸に穿孔・壊死または閉塞が起きている)に階層化することで、1年アウトカムを確実に予測できることが明らかにされた。Bradnock氏英国・グラスゴー王立小児病院のTimothy J Bradnock氏らが、英国およびアイルランドで行った全国住民ベースのコホート研究からの報告による。Bradnock氏は、同方法が、各治療施設のアウトカムやパフォーマンスを評価するベンチマークになり得、次なるステップとして、同法を用いて、懸念されている腹壁破裂児の初期治療戦略や治療アルゴリズム開発のための無作為化試験を行うことも提言した。BMJ誌2011年11月19日号(オンライン版2011年11月15日号)掲載報告より。

英国とアイルランドの28施設301例を対象に調査




Bradnock氏らは、2006年10月~2008年3月までに、英国およびアイルランドで腹壁破裂を伴い出生した新生児の1年アウトカムを評価する人口ベースコホート研究を行った。

被験児は、英国およびアイルランド国内28の小児外科センターで登録された393例で、そのうち301例(77%)が解析対象となった。

主要評価項目は、非経口栄養摂取期間、入院期間、経腸栄養摂取が完全となったまでの期間、腸管障害率、腸管障害関連の肝疾患率、非計画的再手術率、致命率であった。評価は、事前特定したサブグループ(単純性腹壁破裂群、複雑性腹壁破裂群)で行われた。

単純群と複雑群に階層化することで1年アウトカムを確実に予測できる




結果、単純性腹壁破裂群の患児と比べて、複雑性腹壁破裂群の患児のほうが、完全経腸栄養摂取までの時間が長くかかり(平均差:21日、95%信頼区間:9~39)、非経口栄養摂取の期間が長く(同:25日、9~46)、入院期間も長かった(同:57日、29~95)。

また、腸管障害率も高く(81%対41%、相対比:1.96、95%信頼区間:1.56~2.46)、腸管障害関連の肝疾患(23%対4%、同:5.13、2.15~12.3)、非計画的再手術(42%対10%、同:4.39、2.50~7.70)の割合も高かった。

一方で初回手術で腹壁閉鎖した患児と比べて、サイロ作製術で腹壁閉鎖をした患児は、完全経腸栄養摂取までの時間が長くかかり(平均差:5日、95%信頼区間:1~9)、腸管障害のリスクが高かった(52%対32%、相対比:1.61、95%信頼区間:1.17~2.24)。その他のイベント発生率は低く、両群間で有意差はなかった。死亡は12例(4%)だった。

これらを踏まえてBradnock氏は、「腹壁破裂児を単純群もしくは複雑群に階層化することは1年アウトカムを確実に予測する。それは、懸念されている初期管理戦略について、プライマリ腹壁閉鎖かサイロ作製腹壁閉鎖かを比較する多施設共同無作為化試験を行うのに十分な臨床的均衡を有している。すなわち、どちらの治療が初期管理戦略として至適であるかを判定するため、あるいは治療アルゴリズムを定めるのにも十分な臨床的均衡を有している」と結論している。