乳幼児へのマラリアワクチンRTS,S/AS01、疾患発症および重症化とも予防に効果

提供元:ケアネット

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公開日:2011/11/30

 



世界のマラリア罹患者は年間約2億2,500万人、うち死亡は78万1,000人に上り、ほとんどがアフリカの小児だという。そのような公衆衛生上の脅威であるマラリアに対して開発されたワクチンRTS,S/AS01が、5~17ヵ月児の臨床症状発症を約半分に抑え、重症化を予防し得ることが、RTS,S Clinical Trials Partnershipらにより行われている第3相試験の結果、報告された。試験は、アフリカ7ヵ国・11施設共同で行われており、本報告は同試験初の報告で、NEJM誌2011年11月17日号(オンライン版2011年10月18日号)で発表された。

アフリカ7ヵ国・11施設で1万5,460例を登録し検討




研究グループは、2009年3月~2011年1月に、アフリカ7ヵ国・11施設で、生後6~12週児(6,573例)と生後5~17ヵ月児(8,923例)の2つの年齢カテゴリーの乳児合わせて1万5,460例を登録し、RTS,S/AS01または比較のための非マラリアワクチンを接種した。

主要エンドポイントは、プロトコルに従って3回のワクチン接種をすべて受けた5~17ヵ月児6,000例について解析した、ワクチン接種後12ヵ月間の有効性(マラリアの臨床症状発症に対するワクチン効果)とした。

また、2つの年齢カテゴリーの重症マラリアへのワクチン有効性の評価は、250例の小児が重症マラリアを発症した時点で行われた。

初回接種後14ヵ月時点、ワクチン有効性は3回接種児で55.8%




ワクチンの初回接種後14ヵ月時点で、5~17ヵ月児6,000例の臨床的マラリアエピソードの発生率は、RTS,S/AS01群は0.32件/人・年、対照群は0.55件/人・年で、ワクチン有効性は、intention-to-treat集団(ワクチン接種を最低1回接種児)では50.4%(95%信頼区間:45.8~54.6)、パープロトコル集団(同3回接種児)では55.8%(97.5%信頼区間:50.6~60.4)であった。

重症マラリアに対するワクチンの有効性は、intention-to-treat集団45.1%(95%信頼区間:23.8~60.5)、パープロトコル集団47.3%(同:22.4~64.2)であった。

両年齢カテゴリー群合わせての重症マラリアに対するワクチンの有効性は、平均追跡期間11ヵ月のパープロトコル集団で34.8%(同:16.2~49.2)であった。

重篤な有害事象の発生頻度は、2つの試験群で同程度だった。なお5~17ヵ月児群において、RTS,S/AS01ワクチン接種後の全身性痙攣発作の割合は、1.04件/1,000回接種(95%信頼区間:0.62~1.64)だった。

(武藤まき:医療ライター)