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高齢者の遅発性うつ病に影響する要因とは:東大

 これまでのうつ病に対する小児期の社会経済的地位(SES)の影響に関する研究は、欧米諸国の中年成人に焦点が当てられてきた。東京大学の谷 友香子氏らは、小児期SESが高齢者のうつ病発症に影響するかを検討した。The American journal of geriatric psychiatry誌2016年9月号の報告。 日本老年評価調査のデータを用いた前向きコホート研究。2010年のベースライン時点でうつ病でない65歳以上1万458人を対象に分析を行った。対象者は、基準に従って15歳時の小児期SESを評価した。ログリンク、既知および2013年までのうつ病発症リスク評価の潜在的なリスク因子による調整により二項ロジスティック回帰分析で評価した。 主な結果は以下のとおり。・全体として、2013年までの新規うつ病発症率は13.9%であった。・年齢、性別で調整した後、低小児期SESは、うつ病発症と正の相関が認められた(ARR:1.44、95%CI:1.23~1.69)。・教育により調整した際、この関連は減少した(ARR:1.33、95%CI:1.13~1.57)。・しかし、成人期SES調整後、現在の疾患状態、健康行動、社会的関係は有意に残存した(ARR:1.27、95%CI:1.08~1.50)。・その関係は、75歳以上の高齢者よりも65~74歳の高齢者でより強かった。 著者らは「日本人高齢者における遅発性うつ病発症には、おそらく第2次世界大戦後の貧困による低小児期SESが関連していると考えられる。うつ病に対する小児期SESの影響は75歳以上では弱く、これは日本人高齢者のサバイバル効果を示唆している」とまとめている。関連医療ニュース うつ病の治療転帰を予測するには、臨床的要因 < 社会経済的要因 抑うつ症状は、がん罹患有無に関係なく高齢者の死亡に関連 なぜ高齢期うつ病は寛解率が低いのか

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CABG既往ACSへのスタチン治療 エゼチミブの上乗せ効果

 IMPROVE-IT試験では、急性冠動脈症候群(ACS)に対するシンバスタチン+エゼチミブ併用療法の有用性を評価し、両剤併用によりシンバスタチン単剤と比較してLDL-C値が約24%改善することが示された。今回、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のAlon Eisen氏らは、IMPROVE-IT試験のサブ解析により、高リスクと考えられる冠動脈バイパス術(CABG)の既往がある患者に対するエゼチミブの上乗せ効果を検討した。European Heart Journal誌オンライン版2016年8月28日号に掲載の報告。IMPROVE-IT試験のサブ解析、CABG既往の有無で比較 CABG既往歴がある患者の急性冠動脈症候群を発症した際のリスクは、CABG既往歴がない患者と比較して高い。研究者らは、CABG既往歴のある患者がACSで入院した後、スタチン製剤にエゼチミブを加えることの有効性と安全性を評価した。 IMPROVE-IT試験では、ACSを発症し、初診時の平均LDL-C値が93.8mg/dLの患者を無作為化によりシンバスタチン+エゼチミブ群またはシンバスタチン+プラセボ群に割り付けた。主要評価項目は心血管関連死、主要な冠動脈イベント、脳卒中とし、平均追跡期間は6年であった。有効性と安全性の評価項目を以前のバイパスの状態によって評価した。 1万8,134人の患者のうち1,684例(9.3%)がCABGを受けていた(平均年齢69歳、82%が男性)。試験期間中、時間加重平均値は、CABG既往歴がある場合、シンバスタチン+エゼチミブ群で55.0mg/dL、シンバスタチン+プラセボ群で69.9mg/dL(p

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帯状疱疹の新規ワクチンの有効性、70歳以上では9割/NEJM

 組換え水痘帯状疱疹ウイルス糖蛋白EとAS01Bアジュバントを組み合わせた帯状疱疹サブユニットワクチン(HZ/su)の70歳以上高齢者に対する予防効果について、帯状疱疹の有効性は約91%、帯状疱疹後神経痛に対する有効性は約89%であることが示された。オーストラリア・シドニー大学のA.L.Cunningham氏らが、約1万4,000例を対象に行った第III相のプラセボ対照無作為化比較試験「ZOE-70」の結果で、NEJM誌2016年9月15日号で発表した。すでに、50歳以上を対象にHZ/suの有効性について検証した「ZOE-50」試験では、帯状疱疹リスクがプラセボに比べ97.2%減少したことが示されていた。ワクチンを2ヵ月間隔で2回投与 研究グループは18ヵ国で集めた70歳以上の成人1万3,900例を無作為に2群に分け、一方にはHZ/suを、もう一方にはプラセボを、2ヵ月間隔で2回、筋肉投与した。 すでに実施済みのZOE-50試験と、今回の試験を合わせて、70歳以上への帯状疱疹と帯状疱疹後神経痛へのワクチンの有効性について検証を行った。ワクチン有効性、帯状疱疹は91.3%、帯状疱疹後神経痛は88.8% ZOE-70被験者の平均年齢は75.6歳だった。 追跡期間中央値3.7年の期間中、帯状疱疹を発症したのは、プラセボ群223例だったのに対し、HZ/su群は23例と大幅に減少した(発症率はそれぞれ、9.2/1,000人年、0.9/1,000人年)。 帯状疱疹に対するワクチンの有効率は89.8%(95%信頼区間:84.2~93.7、p<0.001)で、70~79歳では90.0%、80歳以上では89.1%で、高年齢でも有効性は同等だった。 ZOE-50の70歳以上の被験者とZOE-70の被験者の計1万6,596例についてプール解析をしたところ、帯状疱疹に対するワクチン有効率は91.3%(同:86.8~94.5、p<0.001)、帯状疱疹後神経痛への有効率は88.8%(同:68.7~97.1、p<0.001)だった。 なお、接種後7日以内の自発的ではない注射部位や全身反応の報告は、HZ/su群(79.0%)のほうがプラセボ群(29.5%)よりも高率だった。一方で、重篤有害事象や免疫が介在していると考えられる疾患、死亡については、両群で同等だった。

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新規センサー式血糖測定器、1型糖尿病の低血糖時間を短縮/Lancet

 コントロール良好な1型糖尿病患者について、新たなセンサー式の速報型血糖モニタリング(flash glucose-monitoring)システム「Freestyle Libre」を用いることによって、使用開始前と比べて1日の低血糖時間が約1.4時間短縮できることが示された。既存のセルフモニタリングシステムと比べて、同時間短縮の差は1.24時間あったという。スウェーデン・カロリンスカ大学病院のJan Bolinder氏らが、多施設共同無作為化対照非盲検試験の結果、明らかにし、Lancet誌オンライン版2016年9月12日号で発表した。6ヵ月後の低血糖時間を比較 研究グループは、2014年9月4日~2015年2月12日にかけて、欧州の23ヵ所の糖尿病センターを通じて、コントロール良好(HbA1c値7.5%[58mmol/mol]以下)の1型糖尿病成人患者328例を対象に試験を行った。 被験者全員に2週間にわたって盲検化センサーを装着してもらい、50%以上読み取りができた被験者(241例)を無作為に2群に分けた。一方の群には、センサー式速報型血糖モニタリングを(介入群、120例)、もう一方の群では、毛細血管ストリップを用いたセルフモニタリングを行った(対照群、121例)。 主要評価項目は、ベースラインから6ヵ月後までの、1日の低血糖症(70mg/dL[3.9mmol/L]未満)を呈した時間の変化だった。低血糖時間、1日3.38時間から2.03時間へ短縮 その結果、1日の低血糖症時間は、対照群ではベースライン3.44時間/日から6ヵ月後は3.27時間/日へと変化し、補正後平均変化時間は-0.14時間/日だった。一方、介入群では、3.38時間/日から2.03時間/日へと変化し、補正後平均変化時間は-1.39時間/日、率にして低血糖症時間は38%減少したことが示された。介入群と対照群の変化時間の差は、-1.24時間/日で有意差が認められた(p<0.0001)。 なお、センサー式血糖測定器に関連する低血糖症や安全面に関連したイベント発生は報告されなかったが、患者10例で13件の有害事象が報告された。センサーに関連したアレルギー4件(重症1例、中等症3例)、かゆみ1件(軽症)、発疹1件(軽症)、装置装着部の症状4件(重症)、紅斑2件(重症1件、軽症1件)、浮腫1件(中等度)。 また重篤有害事象の報告は9例10件(各群5件)が報告されたが、いずれも機器に関連したものではなかった。 結果を踏まえて研究グループは、さらに、コントロール不良な1型糖尿病患者や、若年患者を対象にした試験の実施が必要だとまとめている。

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認知症者に対する抗精神病薬処方は地域差が大きい

 認知症高齢者に対する抗精神病薬使用は、安全規制により最近10年間で減少しているが、依然として使用率は高い。地理的条件差異が、臨床診療の相違や行動症状の管理のためのエビデンスに基づくガイドラインの遵守の欠如に影響している可能性がある。デンマーク・コペンハーゲン大学のJohanne Kobstrup Zakarias氏らは、認知症ケアにおける抗精神病薬使用の地理的条件差異について調査した。Journal of Alzheimer's disease誌オンライン版2016年8月24日号の報告。 2012年のデンマーク全国高齢者(65歳以上)レジストリデータベースの横断的研究。データには、住所、処方箋、退院診断が含まれた。抗精神病薬使用の認知症高齢者3万4,536例と認知症でない高齢者93万1,203例は、年齢と性別を調整した後、デンマークの5地域、98自治体で比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・2012年の抗精神病薬使用の認知症高齢者は20.7%、全体の3.9%であった。・抗精神病薬使用率は、5地域で17.0~23.3%、98自治体で7.5~33.1%の範囲であり、その差は4倍以上であった。 著者らは「地理的条件差異は、地域レベルよりも市町村レベルでより顕著であり、プライマリケアにおける実臨床が、この差異と関連している可能性が示唆された。認知症高齢者に対する薬理学的管理だけでなく非薬理学的介入を実施するためのプロフェッショナルな介護者や医師を育成することが緊急に必要であることを示唆している。」としている。関連医療ニュース 警告後、認知症への抗精神病薬処方は減少したのか 認知症者への抗精神病薬投与の現状は 非薬物的介入の併用で認知症への抗精神病薬使用が減らせるか

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クリゾチニブ ROS1陽性非小細胞肺がんに承認:EU

 ファイザー社は2016年8月31日、欧州委員会がクリゾチニブ(商品名:ザーコリ)をROS1陽性進行非小細胞肺がん(以下、非小細胞肺がんをNSCLC)に対する治療薬として承認したと発表した。 今回の欧州委員会の適応追加承認は、多施設共同単群第I相試験(1001試験)のROS1陽性進行NSCLCに対する成績が評価された結果である。 1001試験の有効性主要評価項目は、RECIST(固形がんの腫瘍縮小効果判定)に基づく奏効率(ORR)、副次的評価項目は、奏効までの期間(TTR)、奏効期間(DOR)および無増悪生存期間(PFS)などであった。試験の結果、ROS1陽性進行NSCLCにおけるクリゾチニブの抗腫瘍効果が示され主要評価項目ORRの基準を満たした。また、クリゾチニブの安全性プロファイルは、ALK陽性進行NSCLCにおいて認められた安全性プロファイルと一貫していた。 疫学データからROS1の再構成は、NSCLCのおよそ1%に生じることが示唆されている。ファイザー社のプレスリリース(英文)はこちら

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ADHD児への乗馬療法の可能性

 乗馬療法が、異なる母集団における感情的ウェルビーイングやメンタルヘルスに対して有効であることが示唆されている。スペイン・エストレマドゥーラ大学のAndres Garcia-Gomez氏らは、ADHD児に対する乗馬療法プログラムの効果を検討した。Research in developmental disabilities誌オンライン版2016年9月7日号の報告。 7~14歳のADHDと診断された生徒14人を対象に、QOLやさまざまな心理社会的変数に対する乗馬プログラムの効果を経験的に測定した。プレ、ポストテストからなる疑似実験デザインは、実験群と対照群により実施された。プログラムは。24隔週セクション、3ヵ月持続で構成された。データの収集には、子供のための行動評価システム(BASC)、アドホックQOLアンケートを用いた。 主な結果は以下のとおり。・教師によるレスポンス結果とBASCによる程度の違いでは、有意な差は示されなかったが、実験群において、QOLアンケートの対人関係に対応する指標の改善が認められた。 著者らは「乗馬療法は、本集団において他の身体活動と同様の利点を持つスポーツ活動として推奨できると考えられる。しかし、治療のための活動として認識されるにはまだ時間を要すると思われる」としている。関連医療ニュース ADHDへの補助療法、有酸素運動が有用 ADHD児に対するスポーツプログラム 日本でのADHDスクリーニング精度の評価:弘前大学

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重症/最重症COPD、3剤配合吸入薬の臨床効果/Lancet

 重症/最重症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療において、吸入コルチコステロイド(ICS)+長時間作用型β2受容体刺激薬(LABA)+長時間作用型ムスカリン受容体拮抗薬(LAMA)の配合薬の吸入療法は、ICS+LABAよりも良好な臨床ベネフィットをもたらすことが、英国・マンチェスター大学のDave Singh氏らが実施したTRILOGY試験で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌2016年9月3日号(オンライン版2016年9月1日号)に掲載された。GOLDガイドラインは、COPDの増悪歴のある患者には、LAMAまたはICS+LABAを推奨しているが、これらを行っても多くの患者が増悪を来すため、実臨床ではICS+LABA+LAMAの3剤併用療法へと治療が強化されることが多い。このレジメンを簡便化した、プロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)+フマル酸フォルモテロール(FF)+グリコピロニウム臭化物(GB)の配合薬の開発が進められている。3剤配合薬の有用性を無作為化試験で評価 TRILOGYは、重症/最重症COPD患者において、BDP/FF/GBとBDP/FFの安全性と有効性を比較する二重盲検実薬対照無作為化試験(Chiesi Farmaceutici SpA社の助成による)。 対象は、年齢40歳以上、気管支拡張薬投与後の1秒量(FEV1)<50%、%FEV1<0.7で、過去1年以内に中等症~重症のCOPD増悪を1回以上発症し、COPDアセスメントテスト(CAT)スコア≧10点、ベースライン呼吸困難指数(BDI)スコア≦10点であり、スクリーニングの前に、ICS+LABA、ICS+LAMA、LABA+LAMA、LAMAによる2ヵ月以上の治療歴がある症候性COPD患者であった。 被験者は、全例が2週間の導入期間にBDP/FFの投与を受けたのち、BDP/FF/GBにステップアップする群またはBDP/FFを維持する群(加圧定量噴霧式吸入器[pMDI]を用いて1日2回吸入)に無作為に割り付けられ、52週の治療が行われた。 主要評価項目は、26週時の投与前(朝)FEV1および投与後2時間のFEV1のベースラインからの変化、呼吸困難変化指数(TDI)スコアの3つとした。副次評価項目は、52週時の中等症~重症のCOPD増悪の割合などであった。 2014年3月21日~2016年1月14日までに、14ヵ国159施設(1次医療機関:18、2次医療機関:99、3次医療機関:28、専門研究機関:14)に、1,368例が登録された。BDP/FF/GB群に687例、BDP/FF群には681例が割り付けられた。呼吸困難の改善効果には差がない 平均年齢は、BDP/FF/GB群が63.3歳、BDP/FF群は63.8歳で、男性がそれぞれ74%、77%を占めた。現在喫煙者は両群とも47%、COPD初回診断後の経過期間は両群とも7.7年であった。 26週時の投与前FEV1は、BDP/FF/GB群がBDP/FF群よりも0.081L改善し(95%信頼区間[CI]:0.052~0.109、p<0.001)、投与後2時間FEV1はBDP/FF/GB群が0.0117L改善した(95%CI:0.086~0.147、p<0.001)。これらのBDP/FF/GB群の優位性は、52週時も維持されていた(いずれも、p<0.001)。 26週時の平均TDIスコアは、BDP/FF/GB群が1.71、BDP/FF群は1.50であり、両群に有意な差は認めなかった(群間差:0.21、95%CI:-0.08~0.51、p=0.160)。 QOL評価では、26週時のSt George’s Respiratory Questionnaire(SGRQ)スコアの臨床的に重要な改善(ベースラインからの4単位以上の低下)の達成率は、BDP/FF/GB群が47%と、BDP/FF群の36%に比べ有意に良好であった(オッズ比[OR]:1.52、95%CI:1.21~1.91、p<0.001)。このBDP/FF/GB群の優位性は、52週時も維持されていた(43 vs.36%、OR:1.33、95%CI:1.06~1.66、p=0.014)。 中等症~重症増悪の補正年間発生頻度は、BDP/FF/GB群が0.41と、BDP/FF群の0.53に比べ有意に23%少なかった(率比:0.77、95%CI:0.65~0.92、p=0.005)。 治療関連有害事象の発現率は、BDP/FF/GB群が54%、BDP/FF群は56%であった。BDP/FF/GB群で、1例に重篤な治療関連有害事象(心房細動)が認められた。 著者は、「BDP/FF/GBは、良好な気管支拡張作用を発揮し、呼吸困難の改善効果は有意ではなかったものの、健康関連QOLおよび中等症~重症の増悪の予防効果は有意に優れた」とまとめ、「本試験は、単一の吸入器を用いた、ICS+LABAからICS+LABA+LAMAの3剤併用療法へのステップアップ治療の、臨床ベネフィットのエビデンスをもたらした初めての研究である」としている。

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中枢性睡眠時無呼吸、経静脈的神経刺激デバイスが有用/Lancet

 経静脈的神経刺激デバイスは、中枢性睡眠時無呼吸の重症度を軽減し、忍容性も良好であることが、米国・Advocate Heart InstituteのMaria Rosa Costanzo氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌2016年9月3日号(オンライン版2016年9月1日号)に掲載された。中枢性睡眠時無呼吸は、呼吸調節中枢からの神経細胞アウトプットの一時的な遮断によって発症し、呼吸刺激の喪失や気流停止を来す。心血管や脳血管疾患など広範な疾患にみられ、酸化ストレスを増強して基礎疾患の進展を促し、不良な転帰をもたらす可能性が示唆されている。remedeシステムと呼ばれる神経刺激療法は、横隔膜を収縮させる神経を経静脈的に刺激して正常呼吸に近づける埋め込み型デバイスである。デバイスの安全性と有効性を無作為化対照比較試験で評価 研究グループは、種々の原因による中枢性睡眠時無呼吸における埋め込み型経静脈的神経刺激デバイスの安全性と有効性を評価する無作為化対照比較試験を行った(Respicardia Inc社の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、医学的に安定した状態にあり、ガイドラインが推奨する適切な治療を受け、デバイスの埋め込み術が忍容可能であり、試験要件に応じる意思と能力がある患者で、終夜睡眠ポリソムノグラフ検査で測定した無呼吸低呼吸指数(AHI)が≧20イベント/時の者とした。 被験者は、治療群または対照群に無作為に割り付けられ、すべての患者にデバイスが埋め込まれた。神経刺激装置は、左または右胸部に埋め込まれ、刺激用リードは左心膜横隔静脈または右腕頭静脈に留置された。 治療群は、埋め込み後1ヵ月の受診時にデバイスを作動させ、その6ヵ月後に有効性の主要エンドポイントの評価が行われた。対照群は、この評価が終了するまで、6ヵ月間デバイスを作動させず、評価終了後に作動させた。 有効性の主要エンドポイントは、治療群における6ヵ月時のAHIのベースラインから≧50%の低下とした。安全性の主要エンドポイントは、12ヵ月時の手技・デバイス・治療関連の重篤な有害事象であった。 2013年4月17日~2015年5月28日までに、ドイツの6施設、ポーランドの1施設、米国の24施設に151例が登録された。治療群に73例、対照群には78例が割り付けられ、有効性の主要エンドポイントの評価はそれぞれ68例、73例(ITT集団)で行われた。覚醒反応指数やREM睡眠、QOL、眠気も改善 全体の平均年齢は65(SD 13)歳、男性が89%、白人が95%で、BMIは31.1(SD 6.0)、心拍数は74.1(SD 13.3)拍/分、血圧は124.5(SD 17.9)/74.9(SD 11.0)mmHg、呼吸数は17.4(SD 2.7)回/分であり、AHIは46.2(SD 18.2)イベント/時であった。64例(42%)に、心デバイスが埋め込まれていた。 デバイスの埋め込みは147例(97%)で成功し、解剖学的問題により4例(両群2例ずつ)では埋め込みができなかった。埋め込み術の平均所要時間は2.7(SD 0.8)時間だった。 6ヵ月時に、AHIのベースラインから≧50%の低下を達成した患者の割合は、治療群が51%(35/68例)と、対照群の11%(8/73例)に比べ有意に良好であった(群間差:41%、95%信頼区間[CI]:25~54、p<0.0001)。 PP集団における有効性の副次エンドポイント(中枢性無呼吸指数[CAI]、AHI、覚醒反応指数、睡眠に占めるREM睡眠の割合、患者全般評価[PGA]の健康関連QOLの著明/中等度改善の患者割合、≧4%酸素飽和度低下指数[ODI4]、エプワース眠気尺度[ESS]スコア)のベースラインからの平均変化はすべて、治療群が対照群よりも有意に優れた。 12ヵ月時に、全体の91%(138/151例)では重篤な手技・デバイス・治療関連有害事象を認めなかった。重篤な関連有害事象の発現率は、治療群が8%(6/73例)、対照群は9%(7/78例)であった。 7例が死亡したが、いずれも手技・デバイス・治療とは関連がなかった。このうち4例(両群2例ずつ)は、デバイスが治療群でのみ作動し、対照群では作動していない初回受診から6ヵ月の間に死亡し、3例は全患者が神経刺激療法を受けている6~12ヵ月の間に死亡した。 治療群の27例(37%)が、重篤ではない治療関連有害事象を報告し、このうち26例(36%)はシステムプログラムの簡単な再調整で解決したが、1例(1%)は解決しなかった。 著者は、「このデバイスは、夜間に自動的に作動するため、患者のアドヒアランスの影響を受けず、中枢性睡眠時無呼吸の新たな治療アプローチとなる可能性がある」としている。

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感覚トリックで患者の半数の眼周囲ジストニア症状が緩和

 良性本態性眼瞼痙攣患者や片側顔面痙攣患者の中には、感覚トリックを利用して症状を緩和させている患者もいることが知られている。感覚トリックの利用と重症度およびボツリヌス毒素療法との関連はわかっていなかったが、英国・St Mary's HospitalのCaroline L. S. Kilduff氏らによる前向き横断観察研究の結果、患者の半数は感覚トリックを利用しており、それは重症度と関連していたがボツリヌス毒素療法とは関連していないことが明らかとなったと報告した。今回の研究について著者は、「今後、たとえば感覚トリックの使用についてアドバイスしたり装置を作ったり、治療方針を考えるうえで役に立つかもしれない」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2016年9月8日号の掲載の報告。 対象は、2014年1月~6月に、Moorfields Eye Hospitalの附属クリニックで登録された良性本態性眼瞼痙攣患者連続74例および顔半側痙攣患者連続56例。アンケート調査および臨床評価を行い、2015年12月に解析を行った。 主要評価項目は、眼瞼痙攣および片側顔面痙攣の症状を緩和させるために感覚トリックを利用している患者の割合と種類、ジストニアの重症度およびボツリヌス毒素療法の用量や頻度であった。 主な結果は以下のとおり。・感覚トリックの使用率は、眼瞼痙攣患者74例中39例52.7%(平均±標準偏差[SD]70.4±9.1歳)、片側顔面痙攣患者56例中25例44.6%(66.5±12.7歳)であった。・最もよく使用されていた方法は「顔をさわる」(54.7%、35/64例)、次いで「眼を覆う」(9.4%、6/64例)、「歌をうたう」(7.8%、5/64例)、「口を大きく開ける」(7.8%、5/64例)であった。・眼瞼痙攣患者において、感覚トリック使用患者は非使用患者より、Jankovic評価スケールのスコアが高く(スコア中央値:5 vs.4、群間差のホッジス-レーマン推定値中央値:1[95%CI:0~2]、p=0.01)、眼瞼痙攣障害指数重症度スコアも高かった(同:11 vs.4、4[95%CI:1~7]、p=0.01)。・片側顔面痙攣患者において、感覚トリック使用患者は非使用患者より、7項目片側顔面痙攣QOL評価スケールのスコアが高く(スコア中央値:7 vs.3、群間差のホッジス-レーマン推定値中央値:4[95%CI:1~7]、p=0.01)、SMC重症度評価スケールのスコアも高かった(同:2 vs.2、0[95%CI:0~1]、p=0.03)。・ジストニアの重症度は、眼瞼痙攣患者および片側顔面痙攣患者ともに、ボツリヌス毒素療法と相関した(それぞれr=0.23、p=0.049、およびr=0.45、p=0.001)。・感覚トリック使用患者と非使用患者との間で、眼瞼痙攣患者(150 vs.125単位、群間差のホッジス-レーマン推定値中央値:20[95%CI:-10~70]、p=0.15)、および片側顔面痙攣患者(58 vs.60単位、同:0[95%CI:-15~20]、p=0.83)のいずれも、ボツリヌス毒素療法に差はみられなかった。

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NORSTENT試験:人は冠動脈のみにて生くるものにあらず(解説:中川 義久 氏)-594

 「人はパンのみにて生くるものにあらず」という言葉を皆さんは耳にしたことがあると思います。聖書の「マタイによる福音書」の有名な一節です。人は物質的な満足だけを目的として生きるものではなく、精神的なよりどころが必要であるといった意味合いでしょうか。医学界における位置付けは聖書にも近いともされるNEJM誌から、「人は冠動脈のみにて生くるものにあらず」というありがたい教えがもたらされました。 PCIで用いる留置ステントの長期有効性について、冠動脈疾患患者9,013例を対象に、薬剤溶出ステント(DES)とベアメタルステント(BMS)で比較検討しています(NORSTENT試験)。2008年から2011年に、ノルウェーでPCIを受けた全患者が試験対象です。追跡6年時点の主要複合エンドポイント(全死亡、非致死的自然発症心筋梗塞)の発生には有意差はなかったというのが本研究の結論です(DES群16.6%、BMS群17.1%、ハザード比[HR]0.98、95%信頼区間[CI]:0.88~1.09、p=0.66)。項目別にみた場合も有意差はなく、全死亡はそれぞれ7.5% vs.7.4%(HR:1.11、95%CI:0.94~1.32、p=0.21)、非致死的自然発症心筋梗塞も9.8% vs.10.5%(HR:0.89、95%CI:0.77~1.02、p=0.10)でした。冠動脈の狭窄病変を拡張する際に使用するステントがDESかBMSかという小さな差異によって、全死亡という崇高なイベントに影響が及ぶかどうかを検討すること自体に無理があると感じます。生命とはもっと泰然自若としたものなのでしょう。 小生は、PCIの質を少しでも高めようと努力することを否定しているわけではありません。本研究でも、再血行再建術についてはDES群16.5% vs.BMS群19.8%(HR:0.76、95%CI:0.69~0.85、p<0.001)で、ステント血栓症は0.8% vs.1.2%(HR:0.64、95%CI:0.41~1.00、p=0.0498)とDES群で有意に優れていました。このBMSからDESへの進歩は称賛に値するものです。この研究の結果が教えるところは、PCI施行医が患者の生命のカギを握るかのようなおごりを持つことなく、冠動脈だけでなく全人的な視点をもって患者に接することの重要性も示しているように感じるのです。 この一見地味に見える内容がNEJM誌に掲載されるに至った理由を推察してみたいと思います。従来は、DESは有効性(efficacy)に優れるが、安全性(safety)ではBMSのほうが優っているという判断が一般的でした。本研究によって、DESの安全性がBMSに対して劣っていないことが証明されたと考えて良いものと思います。その面では、NEJM誌編集部の判断には、DES使用がBMSに比して生命予後改善効果があることを求めているわけではなく、少なくとも生命予後を毀損していないことが重要であったのでしょう。

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亜急性硬化性全脳炎〔SSPE : subacute sclerosing panencephalitis〕

1 疾患概要■ 概念・定義亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis: SSPE)は、1934年Dawsonにより急速進行する脳炎として初めて報告された。この疾患は、麻疹に感染してから数年の潜伏期間を経て発症する。発病後は数ヵ月から数年の経過(亜急性)で神経症状が進行し、病巣の性状はグリオーシス(硬化)であり、全脳を侵すことにより、亜急性硬化性全脳炎と呼ばれる。このように潜伏期間が長く、緩徐に進行するウイルス感染を遅発性ウイルス感染と呼び、ほかにはJCウイルスによる進行性多巣性白質脳症(progressive multifocal leukoencephalopathy: PML)が知られている。根本的治療法は確立されておらず、現在でも予後不良の疾患である。■ 疫学わが国での発症者は、麻疹ワクチンが普及する以前は年間10~15人程度であったが、麻疹ワクチン普及後は減少し、現在は年間5~10人程度となっている。男女比は2 : 1でやや男性に多く、潜伏期間、症状の発症とも女性と比較すると長く、遅くなっている。SSPEの発症年齢は平均12歳で、20代をピークに10~30歳代で96%を占める。麻疹ワクチンによるSSPEの発症は認められておらず、SSPE発症には直接的な麻疹ウイルス(MV)感染が必要であるため、発症予防には麻疹への感染予防が重要であるが、わが国では他の先進国に比べて麻疹ワクチンの接種率が低く、接種率向上が必要である。■ 病因SSPEの発症のメカニズムは現在まで十分には判明していないが、発症に関与する要因として、ウイルス側のものと宿主側のものが考えられている。1)ウイルス側の要因MVの変異株(SSPEウイルスと呼ぶ)が、中枢神経に持続感染することで起こる。SSPEウイルスは野生のMVと比較すると、M遺伝子やF遺伝子の変異が生じている。M遺伝子は、ウイルス粒子形成とカプシドからの粒子の遊離に重要なMタンパク質をコードし、Mタンパク質機能不全のため、SSPEウイルスは、感染性ウイルス粒子を産生できない。そのため隣接する細胞同士を融合させながら、感染を拡大していく。F遺伝子は、エンベロープ融合に関与するFタンパク質をコードし、一般にはSSPEウイルスはFタンパク質の膜融合が亢進しており、神経親和性が高くなっている。2)宿主側の要因幼少期にMV初感染を受けると免疫系や中枢神経系が十分に発達していないため、MVの脳内での持続感染が起こりやすく、SSPE発症リスクが上がる。ほかにSSPE発症に関わる遺伝的要因として、これまでにIL-4遺伝子多型とMxA遺伝子多型が報告されている。IL-4は、ヘルパーT細胞のTh1/Th2バランスをTh2(抗体産生)側に傾けるサイトカインで、SSPE患者ではIL-4産生が多いタイプの遺伝子多型を持つことが多いために、IL-4産生が亢進してTh2側に傾き、細胞傷害性T細胞の活性が抑えられて、MVの持続感染が起こりやすくなっていると考えられている。また、SSPE患者はインターフェロンによって誘導され、細胞内でのウイルス増殖を抑える機能を持つ、MxAの産生が多くなる遺伝子多型を持つことも知られている。MxA産生が多いと、中枢神経系のMV増殖が抑制され、MVに感染した神経細胞が免疫系から認識されにくくなり、中枢神経系での持続感染が起こりやすくなると考えられている。■ 症状と特徴初発症状として、学校の成績低下、記憶力低下、行動の異常、性格の変化があり、その後、歩行障害、ミオクローヌス、痙攣、自律神経症状、筋固縮を来し、最終的には無言・無動となり、死に至ることが多い。これらの症状の分類には、Jabbourが提唱した臨床病期分類が一般的に用いられる。■ Jabbourの分類第1期精神神経症状性格変化(無関心、反抗的)、学力低下、行動異常など第2期痙攣および運動徴候痙攣のタイプは全身強直発作、失神発作、複雑部分発作など運動徴候として運動機能低下、不随意運動(SSPEに特徴的な四肢の屈曲や進展を反復するミオクローヌス)第3期昏睡に至る意識障害の進行、筋緊張の亢進、球症状の出現による経口摂取困難、自律神経症状など第4期無言無動、ミオクローヌス消失全経過は通常数年だが、数ヵ月以内に死に至る急性型(約10%)、数年以上の経過を示す慢性型(約10%)がある。■ 予後SSPE症例は、無治療の場合は約80%が亜急性の経過をたどり、約1~3年の経過で第1期から第4期の順に進行し死亡する。約10%は発症後急速に進行し、3ヵ月以内に死亡する。また、残り約10%の進行は緩徐で、約4年以上生存する。無治療で寛解する症例や、寛解と増悪を繰り返す症例も報告されている。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)診断は、臨床症状を軸に血液、髄液、脳波、画像検査を統合して行う。■ 特徴的な検査所見1)麻疹抗体価血清および髄液の麻疹抗体価が上昇する。髄液麻疹抗体価の上昇はSSPEに特異的であり、検出されれば診断的意義が高い。SSPE患者の抗体価は異常高値が特徴とされたが、最近では、軽度上昇にとどまる症例も多く、注意が必要である。また、抗体価の推移と臨床経過は必ずしも一致しない。2)髄液検査多くの場合は細胞数・糖・蛋白とも正常だが、細胞数・蛋白が軽度上昇することもある。また、髄液IgGおよびIgG indexの上昇も認める。3)脳波検査Jabbour2期から3期にかけて、左右同期性または非同期性で3~20秒間隔で出現する周期性同期性高振幅徐波をほとんどの症例で認めるが、Jabbour4期になると消失する(図)。画像を拡大する4)画像検査MRIは、疾患の推移を評価するのに有用である。画像変化は臨床病期とは一致せず、主に罹患期間に依存する。病初期のMRI所見では、正常または後頭葉の皮質・皮質下に非対称なT2強調画像での高信号の病変を認める。病期の進行とともに脳萎縮が進行し、側脳室周囲に対称性の白質病変が出現・拡大する。5)病理病理所見の特徴は、灰白質と白質の両方が障害される全脳炎であることと、線維性グリオーシスにより硬化性変化を示すことである。組織学的には、軟膜と血管周囲の炎症細胞浸潤、グリア細胞の増生、ニューロンの脱落および神経原線維変化の形成、脱髄などの所見がみられる。炎症所見は、発症からの経過が長いほど乏しくなる。麻疹ウイルス感染に関連した所見として、核内および細胞質の封入体を認める。■ 鑑別診断SSPEは急速に進行する認知症、ミオクローヌス、痙攣などを来す疾患の一部であり、ADEM(acute disseminated encephalomyelitis)、亜急性および慢性脳炎、脳腫瘍、多発性硬化症、代謝性白質脳症、進行性ミオクローヌスてんかんなどが鑑別に挙がる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ イノシンプラノベクスイノシンプラノベクス(商品名: イソプリノシン)は、抗ウイルス作用と免疫賦活作用を併せ持つ薬剤で、保険適用薬として認可されている。通常50~100mg/kg/日を3~4回に分割し、経口的に投与する。これにより生存期間の延長が得られるとされている。副作用として、血中および尿中の尿酸値の上昇(18.8%)があり、注意を要する。■ インターフェロン(IFN)インターフェロンは、ウイルス増殖阻害作用を持つ薬剤であり、IFNα、IFNγともに保険適用薬として認可されている。イノシンプラノベクスとの併用により有効であったとの報告例を多数認める。通常100~300万単位を週1~3回、脳室内に直接投与する。副作用として一過性の発熱をほぼ全例で認める。頻度は低いが、アレルギー反応を来す症例も認める。イノシンプラノベクス経口投与とIFN髄腔内または脳室内投与を併用するのが一般的で、有効性は言われているものの進行を阻止した例はまれであり、治療効果として不十分と考えられている。■ リバビリン近年、研究的治療(保険適用外)として、リバビリンの髄腔内または脳室内投与療法が試みられている。リバビリンは、広い抗ウイルススペクトラムを有する薬剤であり、麻疹(SSPE)ウイルスに対しても優れた抗ウイルス効果を示す。直接脳室内に投与することで、髄液中のリバビリン濃度はウイルス増殖を完全に抑制する濃度に維持され、重篤な副作用を認めず、少数例ではあるが臨床的有効性が報告されている。しかし、病初期(Jabbour2期)に投与した症例においては、臨床症状に明らかな改善を認めたとする報告が多く、病期の進行した症例(Jabbour3期)では改善効果に乏しかったとする報告が多い。以上のことから、リバビリン療法は、リバビリンがウイルスの増殖を抑制して病期の進行を抑制する治療法であり、進行した神経障害を改善させるものではないと考えられている。■ 対症療法上記の治療のほかには対症療法として、ミオクローヌスのコントロールや呼吸管理、血圧コントロールなどの対症療法を行っていく必要がある。4 今後の展望SSPEの重症度の評価として、新たにトリプトファン代謝の主要経路であるキヌレニン経路の代謝産物の髄液中濃度について検討されている。SSPE群では対象例と比較し、髄液中のキノリン酸濃度が有意に高値であり、病期の進行とともに増加が認められている。代謝産物であるキノリン酸の増加はキヌレニン経路の活性化が示唆され、その活性化はSSPEにおける変異型麻疹ウイルスの持続感染に関与している可能性がある。さらにキノリン酸は NMDA型グルタミン酸受容体アゴニストとして興奮性神経毒性を持つため、SSPEにおける神経症状との関係が示唆されている。また、前述したが、研究的治療としてリバビリン髄腔内または脳室内投与が有望である可能性が考えられている。具体的な投与方法として、リバビリン1mg/kg/回、1日2回、5日間投与から開始し、1回量、投与回数を調整し、髄液リバビリン濃度を目標濃度(50~200μg/mL)にする。投与量が決定したら、5日間投与・9日間休薬を12クール(6ヵ月)継続するものとなっている。効果としては、国内で詳細に調査された9例において、治療前後の臨床スコアの平均は前が52.9、後が51.0であり、治療前後で有意差は認めなかった。しかし、イノシンプラノベクスとIFNの併用療法を施行された48症例では治療前後の臨床スコアは前が54.3、後が61.1と悪化を認めており、リバビリン脳室内投与群のほうが優る結果となっている。しかしSSPEは、症例により異なる経過をたどり、その経過も長いため、多数例の調査を行ったうえでの慎重な判断が必要である。5 主たる診療科神経内科および小児科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報難病情報センター 亜急性硬化性全脳炎(一般利用者向けと医療従事者むけのまとまった情報)プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班プリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査研究班(医療従事者向けの情報)患者会情報SSPE青空の会(SSPE患者とその家族の会)1)厚生労働省難治性疾患克服研究事業 プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班. 亜急性硬化性全脳炎(SSPE)診療ガイドライン(案)2)平成27年度(2015年度)プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班 総括研究報告書3)Gutierrez J, et al. Dev Med Child Neurol.2010;52:901-907.公開履歴初回2014年05月19日更新2016年09月20日

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「つい食べてしまう」という患者さん【Dr. 坂根の糖尿病外来NGワード】第2回

■外来NGワード「その『つい』を止めなさい!」「食べなきゃ痩せる。もっと意志を強く持たないと…」「その一口が豚になる。残す勇気を持ちなさい!」■解説 「つい食べてしまう」という患者さんの心理として「健康のために、食べ過ぎることはよくない」という認識はあるのですが、目の前に自分の好きな物や残り物があると「味見をしておかないと」「捨てるのがもったいないから」などの意識が働いて、「つい食べてしまう」という行動に移ってしまうようです。太っていない人が空腹になると食べる物を探して食べはじめ、満腹になると食べ終わります。ところが、太っている人は、空腹ではないのに眼の前においしそうな外的刺激があると食べはじめることが知られています。これを「外発的摂食」といいます。そして、ある程度、お腹がいっぱいになっても食べ終わりません。お皿の中の食べる物がなくなるまで、食べる傾向があります。機能的MRIなどを用いた脳科学で、肥満者は目の前に自分の好物があると、視覚野で食品を認識した後、前頭前野に信号を伝えているそうです。もしかすると、「早く食べなさい」というシグナルを伝え、その結果、反射的に「つい手が出てしまう」という行動になっているのかもしれません。そういった患者さんには「意志を強く持て!」ではなく、その外的刺激を減らす作戦を立てていくほうがよいのかもしれません。これを「刺激統制法」と呼びます。これらの肥満者の心理を知ったところで、「つい食べてしまう」という患者さんには次のように話してみてはいかがでしょうか? ■患者さんとの会話でロールプレイ医師食事のほうはいかがですか?患者目の前においしそうなものがあると、つい食べちゃうんです。医師ハハハ。確かに、つい食べちゃいますよね。どんなものが多いですか?患者もらい物のお菓子が多いです。健康のためには、食べないほうがいいのはよくわかっているんですけど…。医師なるほど。もし、目の前に食べ物がなければ食べませんか?患者はい。わざわざ、自分では買いにいきません。医師それなら、いい方法がありますよ。患者それは何ですか?(興味津々)医師食べたくなる刺激を減らすことです。目の前にあると気になって食べたくなりますからね。そのお菓子、どうしましょうか?患者いつもテーブルの上に置いてありますので、戸棚に隠しておこうかなぁ。医師それはいいですね。けど、隠した場所は自分が知っているので、すぐに探せるかもわかりませんよ。患者確かに。隠し方も考えないといけませんね(うれしそうな顔)。■医師へのお勧めの言葉「もし、目の前になければ食べませんか?」1)Schlögl H, et al. Lancet Diabetes Endocrinol. 2016;4:695-705.2)Kanoski SE. Physiol Behav. 2012;106:337-344.3)Hare ME, et al. Contemp Clin Trials. 2012;33:534-549.

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授乳中の抗精神病薬使用、適切な安全性評価が必要

 授乳中の抗精神病薬使用に関する授乳論文の品質を確認するため、オランダ・フローニンゲン大学のHazel Hummels氏らは、米国FDAやInternational Lactation Consultant Association(ILCA)ドラフトガイドラインに従って検討を行った。European journal of clinical pharmacology誌オンライン版2016年8月24日号の報告。 授乳中の抗精神病薬使用を含む論文の品質を確認するため、FDAドラフト、ILCAガイドランを用いた。PubMed、Lactmedより文献検索を行った。さらなる研究は、相互参照により検索を行った。 主な結果は以下のとおり。・51件の研究が抽出された。オランザピン1件、クエチアピン1件のみが、ミルク血漿比(M:P比)、絶対幼児投与量(AID)、相対幼児投与量(RID)を正しく計算していた。・その他の研究については、3つのエンドポイントのうち1つ以上が適切に決定されていなかった。・クロルプロマジン、chlorprothixene、クロザピン、ハロペリドール、スルピリド、trifluoperazine、ziprasidone、ゾニサミド、zuclopenthixolについては、正しいエンドポイントが計算されていなかった。・本レビューでは、母乳の採取方法に関する情報の欠如があった。・また、3つのエンドポイントの計算に必要な濃度は、単回投与中に5回以上の測定ではなく、主に単一測定に基づいていた。・多くの研究において、RIDは事実上、正しく計算されていなかった(母体中で正規化されていないまたは平均母体中70kgを標準的に使用)。 著者らは「2つの研究を除き、ほとんどの研究は、授乳中の抗精神病薬使用の安全性に関して、FDAドラフト、ILCAガイドライン基準を満たしていなかった。授乳しながら抗精神病薬を投与した際の安全性を評価するさらなる研究が必要である」としている。関連医療ニュース 抗精神病薬服用中の授乳、安全性は 統合失調症女性の妊娠・出産、気をつけるべきポイントは 授乳中の気分安定薬は中止すべきか

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歯科従事者の手湿疹有病率36.2%、そのリスク因子とは?

 歯科医療従事職は、手湿疹のリスクが高い職業の1つである。熊本大学大学院 公衆衛生学分野の皆本 景子氏らは、歯科医療従事者における職業性手湿疹の有病率とそのリスク因子を明らかにする目的でアンケート調査を行った。その結果、実際に歯科医療従事者の手湿疹有病率は高いことが明らかになり、著者は、「予防のための教育とより頻繁なパッチテストが必要」と述べている。Contact Dermatitis誌2016年10月号の掲載の報告。 研究グループは、熊本市内の全歯科医院に自己記入式アンケートを郵送するとともに、歯科医療に関連する24種のアレルゲンに対するパッチテストの希望者を募り、パッチテストを行った。 主な結果は以下のとおり。・97医院(全送付先の31.4%)の歯科医療従事者、計528人(全従事者の46.4%)から回答が得られた。・手湿疹の年間有病率は、36.2%であった。・ロジスティック回帰分析の結果、年間有病率の最も重要なリスク因子は、アトピー性皮膚炎(オッズ比[OR]:4.7、95%信頼区間[CI]:2.2~8.8)、喘息・アレルギー性鼻炎(OR:2.0、95%CI:1.3~3.0)、皮膚乾燥(OR:1.7、95%CI:1.1~2.7)、歯科医療従事期間が短いこと(10年以内の20年超に対するOR:2.0、95%CI:1.2~3.5)、手洗浄回数が>10回/日(OR:1.6、95%CI:1.0~2.5)であった。・54人がパッチテストを受けた。職業に関連した接触アレルゲンは、ゴム関連化学物質およびアクリルであった。

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生体吸収性スキャフォールド2年の結果:ABSORB Japan試験

 生体吸収性スキャフォールド(以下、BVS:Bioregradable Vascular Scaffold)Absorb BVSの日本人試験であるABSORB Japan研究の2年の結果が発表された。Euro Intervention誌オンライン版2016年7月6日号の掲載報告。筆頭著者は、エラスムス大学Thoraxcenterの小沼 芳信氏。 BVSには遠隔期の血管内腔拡大、プラーク減少といった長期的な利益が期待され、近年の4つのRCT試験(ABSORB II、III、Japan、China)でBVSはコバルトクロム製エベロリムス溶出ステント(以下、CoCr-EES)に対し、1年間の非劣性を示している。長期イベントについては1年を超えるエビデンスはほとんどないものの、ケースレポートなどで超遅発性ステント・スキャフォールド血栓(以下、VLST)が報告されている。 ABSORB Japan研究は、BVSとCoCr-EESを比較した日本での多施設無作為化単盲検比較非劣性試験。今回、筆者らは2年のBVSとCoCr-EESの臨床効果を比較するとともに、OCTとIVUSのイメージングサブスタディ(125例を無作為に割り付け)を実施し、VLSTのメカニズムなどを分析した。主要評価項目は、標的病変不全(以下、TLF:Target Lesion Failure)。 主な結果は以下のとおり。・被験者はBVS群266例とCoCr-EES群134例に2:1で無作為に割り付けられた。・2年間の追跡調査の対象はBVS群261例、CoCr-EES群130例であった。・TLF発生率はBVS群7.3%、CoCr-EES群3.8%とCoCr-EES群で低かったが、統計学的な有意には至らなかった(p=0.18)。・2年間のST発生率はBVS群3.1%、CoCr-EES群1.5%とCoCr-EES群で低かったが、統計学的な有意には至らなかった(p=0.51)。・1年後以降のVLST発現率はBVS群1.6%(4例)、CoCr-EES群ではみられなかった。・BVS群のVLST4例のうち1例は抗血小板治療が行われていなかった。残りの3例のOCT所見ではストラット断絶(discontinuity)、ステント不完全圧着(malapposition)、非被覆ストラット(uncovered strut)が観察された。4例ともに比較的大きな参照血管直径の部位で発生していた。・ストラットが被覆されステント不完全圧着が最小限な症例では2年後の血管治癒はBVS、CoCr-EESともにほぼ完全であった。 BVSの金属ステントとの比較、VLSTのメカニズムについてはさらなる研究が必要であると筆者らは述べている。【訂正のお知らせ】本文内の表記を一部訂正いたしました(2016年9月20日)。(ケアネット 細田 雅之)原著論文はこちらOnuma Y, et al. EuroIntervention. 2016;12:1090-1101.関連医療ニュース 生体吸収性スキャフォールド(BRS)の現状と今後の期待 生体吸収性スキャフォールド、中長期の臨床成績 スキャフォールド血栓症の傾向と対策 生体吸収性スキャフォールド留置5年の追跡結果 生体吸収性スキャフォールドの1年転帰:4つのABSORBメタ解析/Lancet 生体吸収性スキャフォールド、ABSORB IIIの結果/NEJM 新たな生体吸収性ステントは金属ステントと同等/Lancet

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医療ビッグデータの活用と漢方薬による医療費削減

 2016年9月6日、都内で第135回漢方医学フォーラム(後援:株式会社ツムラ)が開催され、東京大学大学院医学系研究科 公共健康医学専攻 臨床疫学・経済学教授の康永 秀生氏による講演「医療ビッグデータを用いた臨床疫学研究の最前線~漢方薬による医療費削減~」が行われた。 現存する医療ビッグデータの中でも、その研究利用を期待されているのがDPC(Diagnosis Procedure Combination)データである。DPCデータは、全国のDPC病院(大学病院を含む大・中規模の病院)で収集可能な入院診療データであり、記録される情報は主傷病名、手術術式から身長・体重、意識レベルといった臨床データまで多岐にわたる。その情報量の多さから、DPCデータは医療内容や医療機関の評価にも利用可能であり、医療の可視化や透明性の確保に応用されている。 では、今回のテーマである漢方薬とDPCデータの間にはどのような関係性があるのだろうか。 本講演では、漢方薬の一種である五苓散についてのDPCデータを用いた研究結果が紹介された。五苓散は、慢性硬膜下血腫に対する穿頭血腫洗浄術後、再発防止を目的として投与されるが、有効性に関するエビデンスは十分なものではなかった。 DPCデータ解析の結果、五苓散使用群で再手術率の有意な低下が認められた(五苓散非使用群:6.2%、五苓散使用群:4.8%、リスク差:−1.4%[95%信頼区間:−2.4%〜−0.38%])。また、平均総入院医療費に関しては、五苓散の薬価を含めた上でも五苓散使用群で有意に低い結果となった(五苓散非使用群:67.1万円/人、五苓散使用群:64.3万円/人、p=0.030)。康永氏は、「医療は少しでも治る確率の高いものを選択していくことの連続である」と、先の結果に対する見解を述べた。 このように、DPCデータを用いることにより、漢方薬の効果および医療費への影響を客観的に評価することが可能となる。漢方薬のように既に普及している薬剤にとって、医療の再検証を可能にする医療ビッグデータ解析はまさに適した研究手法といえよう。漢方薬全体としては、五苓散のようにエビデンスが存在する例はまだ限定的である。今後、より効率性と質の高い医療の実現に向けて、医療ビッグデータを活用したさらなるエビデンスの集積を心待ちにしたい。

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コントロール不良の重症喘息にbenralizumabは有用/Lancet

 好酸球増多を伴うコントロール不良な重症喘息の治療において、benralizumabは患者アウトカムを改善する可能性があることが、米国・ウェイクフォレスト大学のEugene R Bleecker氏らが実施したSIROCCO試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2016年9月2日号に掲載された。重症喘息の増悪は生命を脅かし、QOLを低下させる。好酸球増多は、喘息の重症度の悪化や肺機能の低下をもたらし、喘息増悪の頻度を上昇させる。benralizumabは、インターロイキン(IL)-5受容体αに対するモノクローナル抗体であり、抗体依存性細胞介在性細胞傷害作用(ADCC)によって好酸球を抑制するという。増悪を繰り返す重症例が対象のプラセボ対照無作為化試験 SIROCCO試験は、好酸球増多を伴うコントロール不良な重症喘息の治療におけるbenralizumabの有用性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験(AstraZeneca社、Kyowa Hakko Kirin社の助成による)。 対象は、年齢12~75歳、体重40kg以上で、登録の1年以上前に、医師によって中/高用量の吸入コルチコステロイド(ICS)+長時間作用型β2刺激薬(LABA)を要する喘息と診断され、登録前の1年以内に、コルチコステロイドの全身療法または維持量の経口コルチコステロイドの一時的な増量を要する増悪を2回以上発症した患者であった。 被験者は、標準治療に加え、benralizumab 30mgを4週ごとに投与する群、同8週ごとに投与する群(最初の3回は4週ごとに投与)、プラセボを4週ごとに投与する群に無作為に割り付けられ、48週の治療が行われた。 主要評価項目は、血中好酸球数が300個/μL以上の患者における、プラセボ群と比較した増悪の年間発症率の率比とし、主な副次評価項目は、48週時の気管支拡張薬投与前の1秒量(FEV1)および喘息症状スコアとした。 2013年9月19日~2015年3月16日までに、17ヵ国374施設に1,204例が登録され、benralizumab 4週ごと投与群に399例、同8週ごと投与群に398例、プラセボ群には407例が割り付けられた。2つの投与法とも年間喘息増悪率が改善 ベースラインの平均年齢は、benralizumab 4週ごと投与群が50.1歳、同8週ごと投与群が47.6歳、プラセボ群は48.7歳で、女性がそれぞれ69%、63%、66%を占めた。血中好酸球数が300個/μL以上の患者は、275例、267例、267例であり、これらの患者が主要評価項目の解析の対象となった。 48週時の年間喘息増悪率は、プラセボ群に比べ4週ごと投与群(率比[RR]:0.55、95%信頼区間[CI]:0.42~0.71、p<0.0001)および8週ごと投与群(RR:0.49、0.37~0.64、p<0.0001)とも有意に低下した。 benralizumabの2つの投与レジメンは、いずれもプラセボ群に比し、48週時の気管支拡張薬投与前FEV1が有意に改善された(ベースラインからの最小二乗平均の差=4週ごと投与群:0.106L、95%CI:0.016~0.196、8週ごと投与群:0.159L、0.068~0.249)。 喘息症状は、プラセボ群に比べ8週ごと投与群(ベースラインからの最小二乗平均の差:-0.25、95%CI:-0.45~-0.06)は有意に改善したが、4週ごと投与群(同:-0.08、-0.27~0.12)では有意な差を認めなかった。 最も頻度の高い有害事象は、喘息増悪(benralizumab治療群:13%[105/797例] vs. プラセボ群:19%[78/407例])および鼻咽頭炎(12%[93/797例] vs. 12%[47/407例])であった。 著者は、「これらの知見は、benralizumabが、好酸球増多を伴うコントロール不良な重症喘息の新たな治療選択肢となることを支持するもの」と指摘している。

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