糖尿病網膜症の白内障手術後、ネパフェナクが有用

提供元:ケアネット

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公開日:2017/03/30

 

 糖尿病網膜症を有する患者における白内障手術後のネパフェナク0.3%点眼投与は、予期せぬ安全性に関わるイベントの発生を伴うことなく、術後黄斑浮腫のリスクを低下し、視力改善にも寄与することが示された。米国・クリーブランドクリニックのRishi P Singh氏らが、2件の第III相無作為化臨床試験の結果を分析し報告した。「試験の結果は、同患者の白内障手術後のネパフェナク0.3%点眼投与について、臨床的ベネフィットがあることを示すものであった」と報告している。Ophthalmology誌オンライン版2017年3月4日号掲載の報告。

 糖尿病患者の白内障手術後の臨床的アウトカムについて、1日1回のネパフェナク0.3%点眼投与の有効性と安全性を溶媒と比較する検討が、2件の前向き無作為化多施設共同二重盲検溶媒対照試験にて行われた。試験1には615例が、試験2には605例が参加。被験者は、1日1回のネパフェナク0.3%投与または溶媒投与群に1対1の割合で割り付けられ、手術前日から90日間にわたって投与を受けた。

 有効性の主要評価項目は、白内障手術後90日以内の、黄斑浮腫(ME:中心領域網膜厚が術前ベースラインから30%以上増加)発症患者の割合(%)と、最高矯正視力(BCVA:術前ベースラインから14日間で15 letter以上改善し、90日間改善が継続)を達成した患者の割合(%)とした。副次評価項目は、術前ベースラインから90日間および60日間での15 letter以上の改善や3ヵ月間の安全性の確認などとした。

 主な結果は以下のとおり。

・ネパフェナク0.3%投与群は溶媒投与群と比べて、術後90日間のME発症率が有意に低かった。試験1(2.3% vs.17.3%、p<0.001)、試験2(5.9% vs.14.3%、p=0.001)、プール解析(4.1% vs.15.9%、p<0.001)。
・ネパフェナク0.3%投与群は溶媒投与群と比べて、ベースラインから14日間で15 letter以上改善し90日間継続したBCVA達成患者の割合も有意に高かった。試験1では61.7% vs.43.0%(p<0.001)、試験2は48.8% vs.50.5%(p=0.671)、プール解析では55.4% vs.46.7%(p=0.003)であった。
・90日間で15 letter以上改善のBCVA達成患者の割合は、試験1ではネパフェナク0.3%投与群が有意に高かった(77.2% vs.67.7%、p=0.009)が、試験2では同程度であった(65.4% vs.65.9%、p=0.888)。60日間で同改善の患者の割合も、同様の傾向が示された(試験1:76.2% vs.64.7%[p=0.002]、試験2:68.9% vs.62.1%[p=0.092])。
・予期せぬ有害イベントは観察されなかった。

(ケアネット)