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2040年のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成には?/Lancet

 米国・ワシントン大学のJoseph L. Dieleman氏らGlobal Burden of Disease Health Financing Collaborator Networkは、保健医療費、および保健医療費とユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(universal health coverage:UHC)との関連について、将来のシナリオを作成し、すべての国が持続可能な保険財源を持つことが、UHCの達成に重要であることを報告した。UHCの達成には、家計への過度の金銭的負担を強いることなく主要な医療サービスを提供する、保険医療システムが必要とされている。しかし、どのような財源が将来的なUHC達成を可能とするのか、あるいは制限するかについては、明らかになっていなかった。Lancet誌オンライン版2018年4月17日号掲載の報告。188ヵ国の1995~2015年のデータから、2040年までの保健医療費を予測 研究グループは、1995~2015年における188ヵ国の国内総生産(GDP)および保健医療費のデータを抽出し、2015年から2040年までの年間GDP、健康開発支援、および政府財源(一般政府管掌健康保険、社会健康保険)・自己負担支出(サービス提供時点の全費用と自己負担分)・民間前納支出(民間保険と民間公益団体の支出)の保健医療費を推定した基本シナリオを作成した。それぞれの推定値は、主要な人口統計学的および社会経済学的決定要因を変数としたアンサンブルモデルを用いて算出した。 推定値を基に、過去の保健医療費増加率の世界分布に基づいて代替シナリオ(良いシナリオと悪いシナリオ)を作成し、確率フロンティア分析を用いて、保険財源とUHC指標(世界の疾病負担研究[Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study:GBD]2016で開発された各国のUHCサービス範囲の測定尺度)との関連性を検証した後、将来的なUHCの実績と将来の3つのシナリオ下で保障される人数を推定した。1人当たりの保険財源がUHC達成の可否を握る 基本シナリオでは、世界の保健医療費(米ドル)は、2015年の10兆ドル(95%不確実性区間[UI]:10兆~10兆)から、2040年には20兆ドル(95%UI:18兆~22兆)まで増加すると予測された。 1人当たりの保健医療費は、高中所得国で1年当たり4.2%(95%UI:3.4~5.1)と急増し、続いて低中所得国(4.0%、95%UI:3.6~4.5)、低所得国(2.2%、95%UI:1.7~2.8)の順であった。1人当たりの保健医療費は世界的に増加するが、低所得国は2015年40ドル(95%UI:24~65)から2040年は413ドル(95%UI:263~668)に、低中所得国は140ドル(95%UI:90~200)から1,699ドル(95%UI:711~3,423)に増加するという予測であった。 世界的に、保険財源で賄われる保健医療費の割り当ては、ナイジェリアの19.8%(95%UI:10.3~38.6)から、セーシェルの97.9%(95%UI:94.6~98.5)と、ばらつきは大きいままだと考えられた。 過去のUHC指標達成の実績は、1人当たりの保険財源と有意に相関していた。代替シナリオでは、2030年にはUHCは、51億人(95%UI:49億~53億)~56億人(95%UI:53億~58億)に対して達すると推定された。

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アトピー性皮膚炎の重症化にTLR2が影響か?

 アトピー性皮膚炎(AD)患者の皮膚には、疾患を重症化させる黄色ブドウ球菌が存在し、それは高度なコロニー形成によりヒト微生物叢のバランスを崩壊させる。ドイツ・ボン大学の岩本 和真氏らによる検討で、アトピー性皮膚炎患者ではTLR2を介した黄色ブドウ球菌由来シグナルの感知が、ランゲルハンス細胞(LC)で強く障害されていることが示唆された。著者は、「この現象は、アトピー性皮膚炎では免疫デビエイションと黄色ブドウ球菌の除去不足が影響している」とまとめている。Allergy誌オンライン版2018年4月19日号掲載の報告。 研究グループは、ADにおける自然免疫と獲得免疫のつなぎ役としての表皮樹状細胞の役割を明らかにするために、健康な人とAD患者の皮膚から新たに分離した器官モデルでLCと樹状細胞(IDEC)のTLR2の機能解析と表現型の比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・in situ分析において、AD皮膚の新鮮分離LCおよびIDECは、健康な皮膚のLCと比較して、TLR2の発現が減少していた。・AD皮膚のLCは、IDECとは対照的に、in situで活性化の証拠が示されなかった。・健康な皮膚のLCは、TLR2リガンドへの曝露により成熟し、遊走活性が増加した。・AD皮膚のLCおよびIDECは、TLR2リガンドに反応せず、成熟しなかったが、高い自然遊走活性を示した。・健康な皮膚およびAD皮膚のケラチノサイトは共に、TLR2発現が同程度であった。・AD皮膚培養上清中のIL-6とIL-10の産生は、Pam3Cysによって低下した。・IL-18の値は、健康な皮膚と比較しAD培養上清中で有意に高く、TLR2ライゲーションの影響はなかった。

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「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」通知へ:厚労省

 厚生労働省の高齢者医薬品適正使用検討会は 5月7日の会合で、「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」について大筋で了承した。本指針では65歳以上の高齢者、とくに平均的な服薬薬剤数が増加する75歳以上に重点をおいて、処方見直しの基本的な考え方や評価・減薬までの流れ、よく使われる薬剤の高齢者における留意点などをまとめている。 早ければ5月中旬を目途に、関連団体や都道府県宛に通知が発出される見通し。また、同検討会では引き続き、主に急性期での対応をまとめた本指針の追補として、外来・在宅などの療養環境別の特徴を踏まえた「高齢者の医薬品適正使用の指針(詳細編)」の作成を開始し、2018年度中のとりまとめを目指す。 本指針は多剤服用やポリファーマシーといった言葉の概念から、処方見直し時のポイントや進め方のフローチャート、減薬する際の注意点などをまとめた本文と、薬効群ごとの薬剤処方における留意点、慎重な投与を要する薬物リストなどの別表から構成される。別表1「高齢者で汎用される薬剤の基本的な留意点」では、A~Lの12の薬効群ごと(下記参照)に薬剤選択や投与量・使用法に関する注意点、他の薬剤との相互作用に関する注意点が一覧化されている。A.催眠鎮静薬・抗不安薬B.抗うつ薬(スルピリド含む)C.BPSD 治療薬D.高血圧治療薬E.糖尿病治療薬F.脂質異常症治療薬G.抗凝固薬H.消化性潰瘍治療薬 I.消炎鎮痛剤J.抗微生物薬(抗菌薬・抗ウイルス薬)K.緩下薬L.抗コリン系薬剤 なお、詳細編では認知症や骨粗鬆症、COPDなどについても取り上げることが検討されている。■参考厚生労働省「高齢者医薬品適正使用検討会」

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治療前のLDL-コレステロール値でLDL-コレステロール低下治療の効果が変わる?(解説:平山篤志氏)-852

 2010年のCTTによるメタ解析(26試験、17万人)でMore intensiveな治療がLess intensiveな治療よりMACE(全死亡、心血管死、脳梗塞、心筋梗塞、不安定狭心症、および血行再建施行)を減少させたことが報告された。ただ、これらはすべてスタチンを用いた治療でLDL-コレステロール値をターゲットとしたものではないこと、MACEの減少も治療前のLDL-コレステロール値に依存しなかったことから、2013年のACC/AHAのガイドラインに“Fire and Forget”として動脈硬化性血管疾患(ASCVD)にはLDL-コレステロールの値にかかわらず、ストロングスタチン使用が勧められる結果になった。 しかし、CTT解析後にスタチン以外の薬剤、すなわちコレステロール吸収阻害薬であるエゼチミブを用いたIMPROVE-IT、さらにはPCSK9阻害薬を用いたFOURIER試験など、非スタチンによるLDL-コレステロール低下の結果が報告されるようになり、今回新たな34試験27万人の対象でメタ解析の結果が報告された(CTTの解析に用いられた試験がすべて採用されているわけではない)。 その結果、More intensiveな治療がLess intensiveな治療よりアウトカムを改善したことはこれまでの解析と同じであったが、全死亡、心血管死亡において治療前のLDL-コレステロール値が高いほど有意に死亡率低下効果が認められた。心筋梗塞の発症も同様の結果であったが、脳梗塞については治療前の値の差は認められなかった。治療前のLDL-コレステロール値について、CTTによれば値にかかわらず有効であるとされていたが、本メタ解析の結果はLDL-コレステロール値が100mg/dL以上であれば死亡率も低下するということを示している。 近年、IMPROVE-ITもFOURIER試験も心筋梗塞や脳梗塞の発症は有意に低下させるが、死亡率低下効果がないのは、治療前のLDL-コレステロール値が100mg/dLであることが要因であると推論している。 このメタ解析は、LDL-コレステロール値の心血管イベントへ関与を示唆するとともに、“Lower the Better”を示したものである点で納得のいくものである。しかし、4Sが発表された1994年とFOURIERが発表された2017年の20年以上の間に、急性心筋梗塞の死亡率が再灌流療法により減少したこと、心筋梗塞の定義がBiomarkerの導入で死亡には至らない小梗塞まで含まれるようになったことも、LDL-コレステロール減少効果で死亡率に差が出なくなった原因かもしれない。 今後のメタ解析は、アウトカムが同一であるというだけなく、時代による治療の変遷も考慮した解析が必要である。

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侍オンコロジスト奮闘記~Dr.白井 in USA~ 第57回

第57回:チェックポイント阻害薬に対する過剰期待とその対処キーワード肺がんメラノーマ動画書き起こしはこちら音声だけをお聞きになりたい方はこちら //playstopmutemax volumeUpdate RequiredTo play the media you will need to either update your browser to a recent version or update your Flash plugin.腎がんに対する免疫チェックポイント阻害薬について、Practice Changingになり得る(という)報告をしました。僕もかなり興奮してお伝えしたように、Complete Responseが9%にみられるということなんですけども、あくまでまだ9%なんですね。こういうふうに、医療者側は、High Expectation(非常に高い期待値)を持って使う、患者さん側のほうもテレビで、ニボルマブあるいはペムブロリズマブのコマーシャルが、どんどん流れてます(このように、非常に高い期待値を持っています)。もう2年前になると思うのですけれども、カーター元大統領が、ペムブロリズマブを使うことで、メラノーマの脳転移、肝転移の(ある)状況で、現在もがんがコントロールされていると。先週もテレビの記者会見に出ておられたみたいで、みんな「昨日カーター大統領でてたね」と、翌日には話題になっていました。そういうふうにして、医療者側も患者さん家族側も、非常に期待が高い中で、効かなかった時にどうすれば良いか、そういうことについてわれわれは準備ができてないのではないかと、あのJennifer Temel先生から、今回もJCOに警鐘を投げかける論文が出ています。うちのジャーナルクラブでも読みましたし、これ非常に面白かったので、緩和医療の同僚だとか、フェローあるいは看護師さんにも共有して、こういうことに僕らも配慮しなきゃ、という話をしたところです。お時間があればぜひ読んでみてください。自分もかなりHigh Expectationで、CRが9%と報告したしてしまったんですけども、そこら辺は自分をうまくコントロールしないといけないのかなと思います。でも実は先週、2例も非常に効いた症例があって、脳転移、肝転移、両側副腎転移、骨転移もある患者さんが、カルボプラチンとペメトレキセド、ペムブロリズマブの治療で…現在はペメトレキセドとペムブロリズマブのメンテナンスしてるんですけど…10ヵ月たった時点のペットCTで、画像上の病変はどこにも認められませんでした。脳転移のほうも全脳照射後なんですけど、病気の進行が見られないと。今までこういうことはみたことなかったので、放射線診断医のほうから、「ケイスケ、この人にどういう治療をしたんだ」というような、かなり興奮した電話がかかってきました。そういった、ExpectationとReality、このバランスをうまく使えるようになりたいと思います。Temel JS, et al. J Clin Oncol. Keeping Expectations in Check With Immune Checkpoint Inhibitors.2018 Jan 25.[Epub ahead of print]

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第15回 チャットでもOK? 急変の場合は? オンライン診療の具体的な適用【患者コミュニケーション塾】

チャットでもOK? 急変の場合は? オンライン診療の具体的な適用前回に引き続き、2018年3月に公表された「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の内容について、今回はより具体的に、どのような場面が想定されているのか、注意すべき点はどこなのかについてご紹介したいと思います。オンライン診療の具体的な適用として、ガイドラインでは(1)医師-患者関係/患者合意、(2)適用対象、(3)診療計画、(4)本人確認、(5)薬剤処方・管理、(6)診察方法、という各項目について「考え方」「最低限遵守する事項」「推奨される事項」「適切な例」「不適切な例」などが示されています。その中でも、ポイントだと思われる点をいくつか挙げてみます。*初診は原則として直接対面による診察で行うこと。急病急変患者についても、原則直接対面による診察を行うこと。ただし例外的に、患者の状況を踏まえるとすぐに適切な医療を受けられない理由があって、オンライン診療で対応した場合には、その後に速やかに、原則、直接の対面による診療を行うこと。*在宅診療などで複数の医師が交替で診療を行っている場合は、複数の医師が関与することを診療計画で明示していれば、すべての医師があらかじめ直接対面診療をしていなくても差し支えない。*オンライン診療を実施する適切な例は、生活習慣病の定期的な対面診療の一部をオンライン診療に代替したり、定期的な対面診療にオンライン診療を追加したりして、医学管理の継続性などを図る場合。*医薬品を処方する場合は、薬剤師による処方のチェックを経ることを基本とし、かかりつけ薬剤師・薬局のもと、医薬品の一元管理を行うことを求めるのが望ましい。*オンライン診療は文字、写真および録画動画のみのやりとり(たとえば、チャットのみのやりとり)で完結してはならない。これら以外にも、情報通信機器を使用する訳ですから、セキュリティ面の注意や、医師の研修のことにも触れられています。この「オンライン診療」については、そもそも名称自体に賛否両論があり、商業ベースに乗せようとしている一部の業者の後押しをしているだけではないかという批判もあります。さらには、保険診療だけではなく自由診療も対象ですから、勃起不全治療薬や痩せ薬などをオンライン診療でいとも簡単に処方したり、医薬品の転売、不適正使用に使われたりすることは阻止しなければなりません。また、ガイドラインには「患者が希望した場合」に実施されることが強調されているのですが、患者が求めればすべて応じるものでもないと私は思っています。情報通信機器はこれからも発展を遂げていくことを考えると、オンライン診療も時代の流れの中では1つの選択肢であることは否めないと思います。しかし、患者のいのちやからだに深く影響を及ぼすだけに、患者も安易に求めることはせず、オンライン診療を受けるとしても積極的かつ適切、正直に症状や変化を伝えることが大切です。そのうえで、患者・医療者双方がガイドラインをしっかり守って運用することと、こまめなガイドラインの見直しが必須であることを、私としても求め続けていきたいと考えています。

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バッド・キアリ症候群〔BCS:Budd-Chiari Syndrome〕

1 疾患概要バッド・キアリ症候群(Budd-Chiari Syndrome:BCS)とは、肝静脈の主幹あるいは肝部下大静脈の閉塞や狭窄により門脈圧亢進症に至る症候群をいう。わが国では両者を合併している病態が多い。重症度に応じ易出血性食道・胃静脈瘤、異所性静脈瘤、門脈圧亢進症性胃腸症、腹水、肝性脳症、出血傾向、脾腫、貧血、肝機能障害、下腿浮腫、下肢静脈瘤、胸腹壁の上行性皮下静脈怒張などの症候を示す1)。■ 概念・定義肝静脈の主幹あるいは肝部下大静脈の閉塞や狭窄により門脈圧亢進症に至る症候群。■ 疫学2004年の年間受療患者数(有病者数)の推定値は、190~360人である(2005年全国疫学調査)。男女比は約1:0.7とやや男性に多い。確定診断時の年齢は、20~30代にピークを認め、平均は約42歳である2)。2013年の門脈血行異常症に関する定点モニタリング調査では、発症時平均年齢が32.2歳、診断時平均年齢が44.7歳であった3)。■ 病因本症の病因は明らかでない例が多く、わが国では肝部下大静脈膜様閉塞例が多い。肝部下大静脈の膜様閉塞や肝静脈起始部の限局した狭窄や閉塞例は アジア、アフリカ地域で多く、欧米では少ない。発生は、アランチウス静脈管の異常をもとに発症するとする先天的血管形成異常説が考えられてきた。最近では、本症の発症が中高年以降で多いこと、膜様構造や肝静脈起始部の狭窄や閉塞が血栓とその器質化によって、その発生が説明できることから後天的な血栓説も考えられている。これに対して欧米では、肝静脈閉塞の多くは基礎疾患を有することが多い。基礎疾患としては、血液疾患(真性多血症、発作性夜間血色素尿症、骨髄線維症)、経口避妊薬の使用、妊娠出産、腹腔内感染、血管炎(ベーチェット病、全身性エリテマトーデス)、血液凝固異常(アンチトロンビンIII欠損症、protein C欠損症)などが挙げられる。多くは発症時期が不明で慢性の経過(アジアに多い)をたどり、うっ血性肝硬変に至ることもあるが、急性閉塞や狭窄により急性症状を呈する急性期のBCS(欧米に多い)もみられる。アジアでは下大静脈の閉塞が多く、欧米では肝静脈閉塞が多い。分類として、原発性BCSと続発性BCSとがある。原発性BCSの病因はいまだ不明であるが、血栓、血管形成異常、血液凝固異常、骨髄増殖性疾患の関与が疑われている。続発性BCSを来すものとしては肝腫瘍などがある。■ 症状BCSは発症形式により急性型と慢性型に分けられる。急性型は一般に予後不良であり、腹痛、嘔吐、急速な肝腫大および腹水にて発症し、1~4週間で肝不全により死の転帰をたどる重篤な疾患であるが、わが国ではきわめてまれである。一方、慢性型は80%を占め、多くの場合は無症状に発症し、次第に下腿浮腫、腹水、腹壁皮下静脈怒張、食道・胃静脈瘤を認める。重症度に応じ易出血性食道・胃静脈瘤、異所性静脈瘤、門脈圧亢進症性胃腸症、腹水、肝性脳症、出血傾向、脾腫、貧血、肝機能障害、下腿浮腫、下肢静脈瘤、胸腹壁の上行性皮下静脈怒張などの症候を示す3)。■ 分類1)病型杉浦らは本症の病型を以下の4つに分類している(図1)4)。図1 BCSの病型画像を拡大する(文献4より引用改変)I型:横隔膜直下の肝部下大静脈の膜様閉塞例、このうち肝静脈の一部が開存する場合をIa、すべて閉塞している場合をIbII型:下大静脈の1/2から数椎体にわたる完全閉塞例III型:膜様閉塞に肝部下大静脈全長の狭窄を伴う例IV型:肝静脈のみの閉塞例出現頻度は各々34.4%、11.5%、26.0%、7.0%、5.1%と報告がある。2)発症形式発症形式により急性型と慢性型に分けられる。上記の症状でも既述したが、急性型は一般に予後不良であり、腹痛、嘔吐、急速な肝腫大および腹水にて発症し、1~4週間で肝不全により死の転帰をたどる重篤な疾患であるが、わが国ではきわめてまれである。一方、慢性型は80%を占め、多くの場合は無症状に発症し、次第に下腿浮腫、腹水、腹壁皮下静脈怒張、食道・胃静脈瘤を認める。わが国においては慢性型が典型例として考えられている。■ 予後慢性の経過をとる場合、うっ血性肝硬変に至る。また、病状が進行すると肝細胞がんを合併することがある。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 診断基準本症は症候群として認識され、また病期により病態が異なることから一般検査所見、画像検査所見、病理検査所見によって総合的に診断されるべきである。確定診断は、造影CTや肝静脈造影による下大静脈・肝静脈閉塞(狭窄)と、肝臓の病理組織学的所見に裏付けされることが望ましい。1)一般検査所見血液検査:1つ以上の血球成分の減少を示す。肝機能検査:正常から高度異常まで重症になるにしたがい、障害度が変化する。内視鏡検査:しばしば上部消化管の静脈瘤を認める。門脈圧亢進症性胃腸症や十二指腸、胆管周囲、下部消化管などにいわゆる異所性静脈瘤を認めることがある。2)画像検査所見(1)超音波、CT、MRI、腹腔鏡検査肝静脈主幹あるいは肝部下大静脈の閉塞や狭窄が認められる(図2)。超音波ドプラ検査では肝静脈主幹や肝部下大静脈流ないし乱流が見られることがあり、また、肝静脈血流波形は平坦化あるいは欠如することがある。脾臓の腫大を認める。肝臓のうっ血性腫大を認める。とくに尾状葉の腫大が著しい。肝硬変に至れば、肝萎縮となることもある。図2 BCSの腹部造影CT(門脈相)像画像を拡大する2A:水平断、2B:冠状断、2C:矢状断。肝部レベルで下大静脈が高度狭窄している(矢印)。肝静脈の3主幹および分枝も閉塞し、造影されない。肝内は粗雑化し、硬変様に変化し、肝表に腹水も見られる。また、肝内に腫瘍性病変も出現している(矢頭)。(2)下大静脈、肝静脈造影および圧測定肝静脈主幹あるいは肝部下大静脈の閉塞や狭窄を認める(図3)。肝部下大静脈閉塞の形態は膜様閉塞から広範な閉塞まで各種存在する。また、同時に上行腰静脈、奇静脈、半奇静脈などの側副血行路が造影されることが多い。著明な肝静脈枝相互間吻合を認める。肝部下大静脈圧は上昇し、肝静脈圧や閉塞肝静脈圧も上昇する。図3 BCSの下大静脈造影像画像を拡大する右大腿静脈からカテーテルを入れて造影した。肝部下大静脈の一部分が完全に狭窄化し、血流がほとんど途絶している。3)病理診断(1)肝臓の肉眼所見急性期のうっ血性肝腫大、慢性うっ血に伴う肝線維化、さらに進行するとうっ血性肝硬変となる。(2)肝臓の組織所見急性のうっ血では、肝小葉中心帯の類洞の拡張が見られ、うっ血が高度の場合には中心帯に壊死が生じる。うっ血が持続すると、肝小葉の逆転像(門脈域が中央に位置し、肝細胞集団がうっ血帯で囲まれた像)や中心帯領域に線維化が生じ、慢性うっ血性変化が見られる。さらに線維化が進行すると、主に中心帯を連結する架橋性線維化が見られ、線維性隔壁を形成し、肝硬変の所見を呈する。■ 重症度分類表に重症度分類を示す。画像を拡大する● 重症度重症度I:診断可能だが、所見は認めない。重症度II:所見を認めるものの、治療を要しない。重症度III:所見を認め、治療を要する。重症度IV:身体活動が制限され、介護も含めた治療を要する。重症度V:肝不全ないしは消化管出血を認め、集中治療を要する。● 付記1.食道・胃・異所性静脈瘤(+):静脈瘤を認めるが、易出血性ではない。(++):易出血性静脈瘤を認めるが、出血の既往がないもの。易出血性食道・胃静脈瘤とは『食道・胃静脈瘤内視鏡所見記載基準(日本門脈圧亢進症研究会)』『門脈圧亢進症取扱い規約(第3版、2013年)』に基づき、F2以上のもの、またはF因子に関係なく発赤所見を認めるもの。異所性静脈瘤の場合もこれに準じる。(+++):易出血性静脈瘤を認め、出血の既往を有するもの。異所性静脈瘤の場合もこれに準じる。2.門脈圧亢進所見(+):門脈圧亢進症性胃腸症、腹水、出血傾向、脾腫、貧血のうち1つもしくは複数認めるが、治療を必要としない。(++):上記所見のうち、治療を必要とするものを1つもしくは複数認める。3.身体活動制限(+):当該3疾患による身体活動制限はあるが歩行や身の回りのことはでき、日中の50%以上は起居している。(++):当該3疾患による身体活動制限のため介助を必要とし、日中の50%以上就床している。4.消化管出血(+):現在、活動性もしくは治療抵抗性の消化管出血を認める。5.肝不全(+):肝不全の徴候は、血清総ビリルビン値3mg/dL以上で肝性昏睡度(日本肝臓学会昏睡度分類、第12回犬山シンポジウム、1981)II度以上を目安とする。6.異所性静脈瘤門脈領域の中で食道・胃静脈瘤以外の部位、主として上・下腸間膜静脈領域に生じる静脈瘤をいう。すなわち胆管・十二指腸・空腸・回腸・結腸・直腸静脈瘤、および痔などである。7.門脈亢進症性胃腸症組織学的には、粘膜層・粘膜下層の血管の拡張・浮腫が主体であり、門脈圧亢進症性胃症と門脈圧亢進症性腸症に分類できる。門脈圧亢進症性胃症では、門脈圧亢進に伴う胃体上部を中心とした胃粘膜のモザイク様の浮腫性変化、点・斑状発赤、粘膜出血を呈する。門脈圧亢進症性腸症では、門脈圧亢進に伴う腸管粘膜に静脈瘤性病変と粘膜血管性病変を呈する。■ 鑑別診断特発性門脈圧亢進症、肝外門脈閉塞症、肝硬変との鑑別を要する。BCSは進行すれば肝硬変に至り鑑別困難になることが多いが、肝静脈や下大静脈の閉塞・狭窄の有無がポイントとなる。閉塞部(狭窄部)を開存させる治療で症状の著明な改善が望まれる。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)肝静脈主幹あるいは肝部下大静脈の閉塞ないし狭窄に対しては臨床症状、閉塞・狭窄の病態に対応して、カテーテルによる開通術や拡張術、ステント留置あるいは閉塞・狭窄を直接解除する手術、もしくは閉塞・狭窄部上下の大静脈のシャント手術などを選択する。急性症例で、肝静脈末梢まで血栓閉塞している際には、肝切離し、切離面-右心房吻合術も選択肢となる。肝不全例に対しては、肝移植術を考慮する。門脈圧亢進の症候に対する治療法は以下のとおりである。■ 食道静脈瘤に対して1)食道静脈瘤破裂による出血中の症例では、一般的出血ショック対策、バルーンタンポナーデ法などで対症的に管理し、可及的速やかに内視鏡的硬化療法、内視鏡的静脈瘤結紮術などの内視鏡的治療を行う。上記治療によっても止血困難な場合は緊急手術も考慮する。2)一時止血が得られた症例では状態改善後、内視鏡的治療の継続、または待期手術、ないしはその併用療法を考慮する。3)未出血の症例では、食道内視鏡所見を参考にして内視鏡的治療、または予防手術、ないしはその併用療法を考慮する。4)単独手術療法としては、下部食道を離断し、脾摘術、下部食道・胃上部の血行遮断を加えた「直達手術」、または「選択的シャント手術」を考慮する。内視鏡的治療との併用手術療法としては、「脾摘術および下部食道・胃上部の血行遮断術(Hassab手術)」を考慮する。■ 胃静脈瘤に対して1)食道静脈瘤と連続して存在する噴門部の胃静脈瘤に対しては、上記の食道静脈瘤の治療に準じた治療によって対処する。2)孤立性胃静脈瘤破裂による出血中の症例では一般的出血ショック対策、バルーンタンポナーデ法などで対症的に管理し、可及的速やかに内視鏡的治療を行う。上記治療によっても止血困難な場合は、バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(balloon-occluded retrograde transvenous obliteration:B-RTO)などの血管内治療や緊急手術も考慮する。3)一時止血が得られた症例では状態改善後、内視鏡的治療の継続、B-RTOなどの血管内治療、または待期手術(Hassab手術)を考慮する。4)未出血の症例では、胃内視鏡所見を参考にして内視鏡的治療、血管内治療、または予防手術を考慮する。5)手術方法としては「脾摘術および胃上部の血行遮断術(Hassab手術)」を考慮する。■ 異所性静脈瘤に対して1)異所性静脈瘤破裂による出血中の症例では、一般的出血ショック対策などで対症的に管理し、可及的速やかに内視鏡的治療を行う。 上記治療によっても止血困難な場合は、血管内治療や緊急手術を考慮する。2)一時止血が得られた症例では状態改善後、内視鏡的治療の継続、血管内治療、または待期手術を考慮する。3)未出血の症例では、内視鏡所見を参考にして内視鏡的治療、血管内治療、または予防手術を考慮する。■ 脾腫、脾機能亢進症に対して巨脾に合併する症状(疼痛、圧迫)が著しいとき、および脾腫が原因と考えられる高度の血球減少(血小板5×104以下、白血球3,000以下、赤血球300×104以下のいずれか1項目)で出血傾向などの合併症があり、内科的治療が難しい症例では、部分的脾動脈塞栓術(partial splenic embolization:PSE)ないし脾摘術を考慮する。4 今後の展望國吉 幸男氏(琉球大学大学院 医学研究科 胸部心臓血管外科学講座)らが行っている直達手術(senning手術)が根治手術として有名であり、好成績をおさめている5,6)。肝移植も有効なことが多いが、ドナーの問題などから、わが国ではあまり行われていない。しかし、根治的治療として今後の期待がかかった治療法といえる。外科治療に至るまでの間に、カテーテル治療による閉塞部拡張術やステント挿入術(経頸静脈的肝内門脈静脈短絡術)が行われることもあり、良好な効果を得ている。5 主たる診療科消化器内科、消化器外科、血管外科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」(厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業) バッド・キアリ症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)1)Moriyasu F, et al. Hepatol Res. 2017;47:373-386.2)廣田良夫ほか. 2005年全国疫学調査. 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等克服研究事業「門脈血行異常に関する調査研究」平成25年度研究報告書;2013.3)廣田良夫ほか. 門脈血行異常症に関する定点モニタリングシステムの構築. 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等克服研究事業「門脈血行異常に関する調査研究」平成25年度研究報告書;2013.4)Okuda H, et al. J Hepatol. 1995;22:1-9.5)國吉幸男ほか, 日本心臓血管外科学会雑誌. 1991;20:919-921.6)Pasic M, et al. J Thorac Cardiovasc Surg. 1993;106:275-282.公開履歴初回2018年05月08日

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日本人高齢者の歩数と死亡率

 これまでの研究では、高齢者の日常的な歩行活動の評価はアンケートに基づいている。今回、愛媛大学の山本 直史氏らは、客観的に歩行活動を評価する手段として歩数計を用いて、歩数と全死因死亡率の関連を検討した。その結果、1日平均歩数が多いと全死因死亡率が低いことが示唆された。BMC public health誌2018年4月23日号に掲載。 本コホート研究には、身体的に自立している地域在住の71歳の日本人419人(男性228人、女性191人)が参加した。1日の歩数は、ベースライン時に連続7日間、腰に装着した歩数計で測定した。1日平均歩数によって参加者を四分位に分け(第1四分位:4,503歩/日未満、第2四分位:4,503~6,110歩/日、第3四分位:6,111~7,971歩/日、第4四分位:7,972歩/日以上)、平均9.8年間(1999~2010年)追跡した。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中に76人(18.1%)が死亡した。・1日平均歩数の各四分位における死亡のハザード比(性別、BMI、喫煙、飲酒、薬剤服用を調整)は、最低四分位から順に1.00(基準)、0.81(95%CI:0.43~1.54)、1.26(同:0.70~2.26)、0.46(95%CI:0.22~0.96)であった(傾向のp=0.149)。・最高四分位の参加者は、最低四分位の参加者と比較して死亡リスクが有意に低かった。

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LCZ696に腎機能保持の新解析結果

 2018年4月16日、ノバルティス(スイス・バーゼル)は、左室駆出率(LVEF)の低下した心不全(HFrEF)患者に、LCZ696(一般名:サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物)投与が推算糸球体濾過量(eGFR)を指標とする腎機能の保持に役立つという、PARADIGM-HF試験の新たな事後解析結果を発表した1)。 本剤は1日2回投与で、機能不全に陥った心臓の負荷を軽減する薬剤。本剤を投与されたHFrEF患者では、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬エナラプリルを投与された患者と比較し、eGFR低下の抑制が示された1)。また、糖尿病を合併したHFrEF患者のサブグループでは、その効果が2倍高いことが示された。この結果は、The lancet. Diabetes & endocrinology誌に掲載された。LCZ696は糖尿病合併患者の腎機能保持に役立つ PARADIGM-HF試験に参加した糖尿病合併のないHFrEF患者では、一般集団に比べ、腎機能の低下が2倍速いことが示された1)。糖尿病を合併したHFrEF患者では腎機能低下の速さはさらに顕著で、糖尿病のないHFrEF患者に比べて2倍の速さで腎機能低下がみられた1)。 HFrEF患者において、本剤投与は、エナラプリル群と比較し、腎機能低下を有意に抑制した(ベースラインからの変化量:-1.3 vs.-1.8mL/分/1.73m2/年)1)。 糖尿病を合併したHFrEF患者では、LCZ696による治療で、糖尿病のないHFrEF患者に比べ2倍のベネフィットが得られた(ベースラインからの変化量の投与群間差(95%信頼区間):0.6(0.4~0.8)vs.0.3(0.2~0.5)mL/分/1.73m2/年)1)。 これにより本剤による治療は、心血管死および心不全による入院リスクの低下という確立されたベネフィットに加え、とくに糖尿病合併患者の腎機能保持に役立つと期待される。LCZ696について 1日2回投与する薬剤で、心臓に対する防御的な神経ホルモン機構(NP系、ナトリウム利尿ペプチド系)を促進すると同時に、過剰に活性化したレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)による有害な影響を抑制することで、機能不全に陥った心臓の負荷を軽減する。 欧州ではLVEFの低下した成人患者の症候性慢性心不全を適応とし、米国では収縮不全を伴う心不全(NYHAクラスII~IV)患者の治療を適応としている。わが国では、慢性心不全患者を対象とした第III相臨床試験を実施中。■参考文献1)Packer M, et al. Lancet Diabetes Endocrinol. 2018 Apr 13. [Epub ahead of print]■参考ノバルティス プレスリリース

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米国の生殖可能年齢の女性におけるうつ病有病率

 妊娠可能年齢の非妊娠女性における抗うつ薬の使用および大うつ病性障害、小うつ病性障害の予測因子について、米国・スタンフォード大学のNan Guo氏らが検討を行った。Obstetrics and gynecology誌オンライン版2018年4月号の報告。 妊娠可能年齢の非妊娠女性3,705例を対象に、2007~14年の米国国民健康栄養調査のデータを用いて、横断研究を行った。主要アウトカムは、大うつ病性障害の有病率とし、副次的アウトカムは、小うつ病性障害の有病率、抗うつ薬の使用率、大うつ病性障害および小うつ病性障害の予測因子とした。大うつ病性障害と小うつ病性障害は、こころとからだの質問票(PHQ-9)を用いて分類した。大うつ病性障害と小うつ病性障害の単変量および多変量の関連性は、多項ロジスティック回帰を用いて推定した。 主な結果は以下のとおり。・大うつ病性障害の有病率は4.8%(95%CI:4.0~5.7%)、小うつ病性障害の有病率は4.3%(95%CI:3.5~5.2%)であった。・抗うつ薬使用率は、大うつ病性障害女性で32.4%(95%CI:25.3~40.4%)、小うつ病性障害女性で20.0%(95%CI:12.9~29.7%)であった。・大うつ病性障害と最も関連する要因は、米国国営保険(調整相対リスク比[RR]:2.49、95%CI:1.56~3.96)、高血圧(調整RR:2.09、95%CI:1.25~3.50)であった。小うつ病性障害と最も関連する要因は、高校未満の教育(調整RR:4.34、95%CI:2.09~9.01)、高等教育(調整RR:2.92、95%CI:1.35~6.31)であった。 著者らは「本分析では、妊娠可能年齢の非妊娠女性において、20人に1人は大うつ病性障害を経験していた。抗うつ薬の使用は、大うつ病性障害患者の1/3、小うつ病性障害患者の1/5であった」としている。■関連記事妊娠中の抗うつ薬治療、注意すべきはうつ病、男女間で異なる特徴とは妊娠初期のうつ・不安へどう対処する

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高リスク悪性黒色腫の術後補助療法でのペムブロリズマブ:第III相試験/NEJM

 再発リスクが高いStageIIIの悪性黒色腫に対する術後補助療法において、ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと、最長1年間)はプラセボと比較して無再発生存期間(RFS)を有意に延長し、新たな毒性はないことが認められた。フランス・サクレー大学のAlexander M. M. Eggermont氏らが、術後補助療法としてペムブロリズマブの有効性および安全性を評価した無作為化二重盲検第III相試験「EORTC 1325/KEYNOTE-054試験」の結果を報告した。ペムブロリズマブは、進行悪性黒色腫患者の無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を延長することが、これまでの研究で確認されていた。NEJM誌オンライン版2018年4月15日号掲載の報告。ハイリスク悪性黒色腫患者約1,000例、RFSの比較で有効性と安全性を評価 研究グループは2015年8月~2016年11月に、23ヵ国の123施設において、高リスクのStageIII悪性黒色腫完全切除患者1,019例を、ペムブロリズマブ200mg群(514例)またはプラセボ群(505例)に無作為に割り付けた(Stageおよび地域で層別化)。いずれも3週ごとに18回(約1年)、あるいは再発/許容できない毒性が生じるまで投与した。 主要評価項目は、全患者(intention-to-treat集団)およびPD-L1陽性腫瘍患者におけるRFSで、安全性についても評価した。統計解析には、層別化log-rank検定、Cox比例ハザードモデルを用いた。再発/死亡リスクが有意に低下、全患者43%、PD-L1陽性腫瘍患者46% 追跡期間中央値15ヵ月において、ペムブロリズマブ群はプラセボ群と比較し、全患者におけるRFS(1年無再発生存率:75.4%[95%信頼区間[CI]:71.3~78.9]vs.61.0%[同:56.5~65.1]、再発/死亡ハザード比:0.57[98.4%CI:0.43~0.74]、p<0.001)、ならびにPD-L1陽性腫瘍患者におけるRFS(同:77.1%[95%CI:72.7~80.9]vs.62.6%[同:57.7~67.0]、ハザード比:0.54[95%CI:0.42~0.69]、p<0.001)が、いずれも有意に延長した。 試験薬に関連したGrade3~5の有害事象の発現率は、ペムブロリズマブ群14.7%、プラセボ群3.4%であった。ペムブロリズマブ群では、筋炎による治療関連死が1例報告された。

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“2008年rosiglitazoneの呪い”は、いつまで続くのか?(解説:石上友章氏)-851

 2008年12月18日に、米国食品医薬品局(FDA)が出した通達によって、以後抗糖尿病薬については、心血管イベントをアウトカムにしたランダム化臨床試験(CVOT: cardiovascular outcome trial)を行うことが、義務付けられた。以来、これまでに抗糖尿病薬については、複数のCVOTが行われて発表されている。従来薬のCVOTの結果が非劣性にとどまることが多かったのに対して、SGLT2阻害薬を対象にした、EMPA-REG OUTCOME試験では、試験薬であるempagliflozin群に、心血管複合エンドポイント(心血管死、心筋梗塞、脳卒中)を有意に抑制する効果が証明された(エンパグリフロジン、心血管死リスクを有意に低下/NEJM)。心血管死については、約40%もの抑制が認められ、一躍脚光を浴びた。PPARγアゴニストの1つである、rosiglitazoneのもたらした教訓1)が、すべての抗糖尿病薬についてのCVOTを義務化させた。 Whiteらの手による、Cardiovascular Safety of Febuxostat and Allopurinol in Patients with Gout and Cardiovascular Morbidities (CARES)試験は、こうした背景の下、CVOTの適応を抗高尿酸血症薬にまで拡大した結果、行われた臨床試験である。新薬であるfebuxostatにおける、従来薬であるallopurinolに対する非劣性、すなわち安全性が証明された。CVOTについては、EMPA-REG OUTCOME試験のように、予期せぬ幸運のような、想定外の結果が得られる場合もあるが、例外的である。大規模ランダム化試験のコストは、薬価に反映されるのは間違いないので、CVOTの義務化にも功罪がある2,3)。市販後調査(観察研究)を効率化し、草の根のようなシステムを構築することで、より迅速に、より的確に、安全性・有効性についての情報を収集することで代用できるのではないか?

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第2回 医業は書く仕事【宮本研のメディア×ドクターの視座】

第2回 医業は書く仕事医師は、相手に何かを伝える職業です。医学知識を駆使して言葉を発し、必要な文章を書き、身体表現を含めて周囲へ伝えながら、臨床や研究に従事しています。とくに臨床医の場合、診療中は患者や家族へ伝える作業がひたすら続きます。病状を聞き取り、治療経過を思考回路に載せながら伝え直す。日々の猛烈な作業量のうち、相手に医療を理解してもらうために伝達のウェイトが高くなります。ともに働く看護師や薬剤師などに対しても、適切な判断や行うべき処置を伝え続けなければいけません。口数が少ない医師でも、責任をもって指示した事実がないと、周囲のスタッフが動き出せない事態が多くあるのではないでしょうか。人に何かを伝えようとした時、聞き手や読み手が何をもって理解するかを、十分に想定しておく必要があります。とくに口頭では、同じ用語やシチュエーションだとしても、伝えるニュアンスや状況が異なれば、違う意味に解釈される可能性が高くなります。けれども、カルテや検査伝票に文字として記す行為は、相手への伝わりやすさを文字によって証明でき、治療経過を通じて、誰からもわかりやすい要素です。書く努力を地道に続けていけば、個性を活かしながら自分の揺るぎないスキルとして磨き上げることができます。私は研修医のとき、受け持ち患者の紙カルテを、A4用紙で毎日1ページほど手書きしていました。細かい文字であらゆる事を順番に書きこみ、SOAPがどんどん膨らんでいきました。今日の事実をちゃんと書き残したいという想いが強かったのです。ところが、私のカルテを読んだ指導医は一言、「これは書き過ぎ・・・」と素っ気ない。入院サマリーでは字数を大きく削るわけですから、日々の経過をただ書きとめているだけでは、病状の重要点がわからないというわけです。「カルテは日記みたいに書くな」というシンプルな指摘は、時間が経ってみると納得できる重要な教訓でした。その後も主治医や当直医として、数え切れないカルテを書きました。余計なことを書かず、でも大切なことは書き漏らさない。記載が簡潔で、治療方針もまとまっている上司のカルテを空き時間に読んでは、そのエッセンスをこっそり学んできました。伝えるという意味で、手書きの場合は、とにかく誰からも判読できる字で書くことも重要です。「読めないカルテは、書いていないのと同じ」という指摘は、1学年上の研修医から教えてもらいました。臨床現場にいると、忙しさを理由に手を抜きたくなりがちですが、きちんとした文字で書くことは判断の正しさを証明する理由にもなります。「あの先生の指示書、字が汚くて読めない」という場合、解読するスタッフや部下のモチベーションも下がります。カルテの翻訳担当者が必要という場合、何も書いていないのと同じです。もちろん喋る場合でも色々な注意が必要ですが、口頭で聞いた内容は部分的な記憶になりがちで、雰囲気や意図は残りにくい。口頭では脳内で要点だけが記憶に収納され、完全には再現されません。若手時代のカルテを読み直すと、自分自身の変化を実感するだけでなく、当時の喋り方や職場の雰囲気も思い出すでしょう。医師は医業を行うために相手へ情報を伝えていく中で、「過去の自分自身に対しても何かを伝えようとしている」と、私は考えています。こうしてケアネットに加わり、メディア側の仕事をしていると、医師として独自に培った知見が役立つ場合が多い。臨床医としての雑多な経験が、ビジネスでもおおいに役立っています。苦労してきた過去の自分にも、先輩として言い聞かせているような感覚があるのです。昔の自分が書き残した文章が残っているのであれば、再読してみることをお勧めします。気が付かなかった“何か”を、今の自分であれば理解することができるはずです。迷いや不安を乗り越えた経験を思い出し、現在までのキャリアに至った道を再認識できることでしょう。若手医師であれば、これからの仕事において、書き残すことの重要性をとくに意識しましょう。電子カルテが普及してコピペが容易な労働環境になりましたが、本質的に伝える仕事であるのを軽視しないようにしてほしいと思います。コピペを多用して自らの意見で書き残さないことを繰り返していると、後になって院内での個人的評判に影響することも考えられます。短い時間内で一気に情報をアウトプットできるのは、厳しい鍛錬を経た医師の素晴らしい特性です。そして自然と身に付くより、努力して獲得するほうが後日の成長に繋がるはず。こうしてメディアの世界から医業を振り返ると、書くことを含めた医師の総合スキルは、ビジネスの世界と比較しても高度です。皆で見直すことで、自分の確かな足跡を納得できる良いきっかけになるのではないでしょうか。今日のカルテ、どのように記載しましたか?

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高齢ドライバーの認知症診断と自動車運転事故リスク

 米国では、高齢者のドライバーが増加している。米国・ワシントン大学のLaura A. Fraade-Blanar氏らは、認知症と診断された高齢ドライバーの自動車運転事故リスクを、認知症でない高齢者と比較し、検討を行った。Accident誌2018年4月号の報告。 ワシントン州の医療保険機関であるGroup Health(GH)のデータを用い、レトロスペクティブコホート研究を実施した。対象者は、1999~2009年にワシントン州に居住していた65~79歳のGH加入者。対象者の健康記録は、警察より報告された事故と免許証記録と関連付けた。認知症と診断された高齢ドライバーの事故リスクを、認知症でない高齢ドライバーと比較するため、再発事故を考慮し、ロバスト標準誤差を有するCox比例ハザードモデルを用いて検討を行った。多変量モデルは、年齢、性別、アルコール乱用歴、うつ病歴、併存疾患、薬物療法について調整を行った。 主な結果は以下のとおり。・免許証を有し、運転を行っていた高齢ドライバーは、2万9,730例であった。・試験開始前または試験期間中に、認知症と診断されたのは約6%であった。・警察の報告によると、事故率は、千人年当たり14.7件であった。・認知症と診断された高齢ドライバーにおける事故の調整ハザード比は、認知症でない高齢ドライバーと比較し、0.56(95%CI:0.33~0.95)であった。・オンロードおよびシミュレータを用いた調査では、認知症の高齢者は、ドライビング技術と能力が低下していることが論証された。 著者らは「認知症と診断された高齢者の自動車運転を制限する保護的な措置を行うことにより、自動車運転事故リスクを低下させる可能性がある。今後の研究では、認知症診断時での運転リスク低減の戦略推進と、事故リスク低減へのそれらの影響について検討すべきである」としている。■関連記事認知症ドライバーの運転停止を促すためには認知症ドライバーの運転能力、どう判断すべきか認知症者の自動車運転を停止するためのワークショップ

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日本未承認の抗がん剤は65剤、月1千万円超の薬剤も:国立がん研究センター

 国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜 斉)先進医療・費用対効果評価室(室長:藤原 康弘)は2018年4月23日、2015年4月から公開している「国内で薬事法上未承認・適応外となる医薬品・適応のリスト」の最新集計結果(2018年4月4日現在)を公開した。 同リストは、米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)が承認した医薬品のうち、がん領域において日本では未承認あるいは適応外の医薬品と、その1ヵ月当たりの薬剤費を試算したもの。これまで四半期ごとに更新している。【集計結果のポイント】 ・2018年4月時点で、FDA / EMA既承認、日本未承認の抗がん剤はのべ65剤(55薬剤、65適応症)。うち、FDAのブレークスルー・セラピーに指定されている抗がん剤は18剤であった。・適応症の内訳は、血液がん30剤、泌尿器がん(前立腺がんなど)11剤、乳がん5剤、皮膚がん(悪性黒色腫など)4剤、骨軟部腫瘍(肉腫)3剤、肺がん(非小細胞肺がん)3剤、卵巣がん2剤、小児がん2剤が主なものであった。5大がん(胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、肝がんあるいは子宮がん)のうち、上記の乳がん、肺がん以外のがんでは未承認薬はなかった。・血液がんに対する未承認薬では、新投与経路医薬品や新剤形医薬品などの、同一の有効成分がすでに国内で承認されている抗がん剤が7剤あった。これらを除く新有効成分含有医薬品は、23剤だった。FDA既承認の新有効成分含有医薬品20剤中、2015年以降に承認された抗がん剤は12剤あり、うち8剤は国内での開発が進められている。・泌尿器がんに対する未承認薬では、FDA既承認の8剤中2015年以降に承認された5剤は、いずれも国内での開発が進められている。・日本未承認の65剤の抗がん剤のうち、薬剤費が判明している58剤中45剤において1ヵ月当たりの薬剤費が100万円以上であった。また、1ヵ月当たりの薬剤費が1千万円を超える抗がん剤は3剤で、血液領域のCAR-T細胞療法が2剤、骨軟部腫瘍(肉腫)の免疫賦活薬が1剤だった。■参考国立がん研究センタープレスリリース

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死亡リスクが低い飲酒量、ロング缶で週5本まで?/Lancet

 アルコール摂取の低リスク推奨量は、各国のガイドラインで大きな差があるという。英国・ケンブリッジ大学のAngela M. Wood氏らは、約60万人のアルコール摂取状況を解析し、死亡リスクが最も低い閾値は約100g*/週であることを示した。研究の成果は、Lancet誌2018年4月14日号に掲載された。国ごとで低リスク推奨量にばらつきがあるのは、最も死亡リスクが低い飲酒量の閾値の曖昧さや、心血管疾患のサブタイプに関連する、アルコール摂取に特異的な帰結の不確実性を反映している可能性があるためとされる。*アルコール量の目安:ビール(5%)500mLで20g19の高所得国の前向き研究83件のデータを解析 研究グループは、全死因死亡および心血管疾患のリスクが最も低いアルコール摂取量の閾値を明らかにするために、心血管疾患の既往歴のないアルコール摂取者59万9,912例のデータを解析した(英国医学研究審議会などの助成による)。 19の高所得国の3つの大規模なデータソース(Emerging Risk Factors Collaboration、EPIC-CVD、UK Biobank)から、個々の参加者のデータを収集し、統合解析を行った。83件の前向き研究を施設、年齢、性別、喫煙、糖尿病などで補正して、用量反応関係の特性を明らかにし、アルコール摂取量の100g/週ごとのハザード比(HR)を算出した。 ベースラインのアルコール摂取量を、週当たりの摂取量(g)で8つの群に分類し、アルコール摂取量と、全死因死亡、心血管疾患全体、心血管疾患のサブタイプとの関連を評価した。HRは、アルコール摂取量の長期的なばらつきの推定値で修正した。適量は、グラスワイン、1パイントのビールで、週に5~6杯 登録のベースライン年は1964~2010年で、平均年齢は57±9歳、44%が女性だった。喫煙者は21%で、アルコール摂取量100g/週以上が約50%を占め、350g/週以上は8.4%であった。 540万人年のフォローアップ期間に、4万310例(血管系:1万1,762例、新生物:1万5,150例を含む)が死亡し、3万9,018例(脳卒中:1万2,090例、心筋梗塞:1万4,539例、心筋梗塞を除く冠動脈疾患:7,990例、心不全:2,711例、他の心血管疾患による死亡:1,121例を含む)が心血管疾患イベントを発症した。 全死因死亡のHRは、アルコール摂取量が増加するに従って曲線を描いて上昇し、最も死亡リスクの低い摂取量は約100g/週未満であった。これは週に、英国の標準的なグラスワインまたは1パイントのビールで、およそ5~6杯に相当する。 アルコール摂取量の増加とリスクの上昇に、ほぼ直線的な関連が認められた心血管疾患のサブタイプとして、脳卒中(摂取量の100g/週増加のHR:1.14、95%信頼区間[CI]:1.10~1.17)、心筋梗塞を除く冠動脈疾患(1.06、1.00~1.11)、心不全(1.09、1.03~1.15)、致死的高血圧性疾患(1.24、1.15~1.33)、致死的大動脈瘤(1.15、1.03~1.28)が挙げられた。 これに対し、アルコール摂取量の増加とともに、心筋梗塞のリスクは低下し、対数線形的な関連がみられた(HR:0.94、95%CI:0.91~0.97)。 40歳時の平均余命は男女とも、アルコール摂取量が>0~≦100g/週の集団と比較して、>100~≦200g/週の集団は約6ヵ月短く、>200~≦350g/週の集団は約1~2年、>350g/週の集団は約4~5年短縮した。 著者は、「これらのデータは、現行の多くのガイドラインで推奨されているアルコール摂取量制限値を、さらに低くすることを支持するものである」としている。

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早期NSCLC、ニボルマブによる術前免疫療法が有望/NEJM

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)の治療法には、過去10年間、ほとんど進展がないという。米国ジョンズ・ホプキンス大学のPatrick M. Forde氏らは、ニボルマブによる術前補助療法は副作用が少なく、計画された手術を遅延させず、切除腫瘍の45%に病理学的奏効をもたらしたとの研究結果を、NEJM誌オンライン版2018年4月16日号で報告した。早期肺がん患者では、PD-1経路の遮断により、宿主免疫の適合能が増大し、腫瘍のクローン不均一性が減弱するため、抗腫瘍効果が増強する可能性がある。また、原発巣は、腫瘍特異的T細胞の増殖と活性化、および微小環境の全身的な監視の抗原源として活用される可能性があるため、術前免疫療法は興味深いアプローチとされる。安全性と実行可能性を検証するパイロット試験 研究グループは、早期NSCLCにおけるニボルマブによる術前補助療法の安全性と実行可能性を評価するパイロット試験を実施した(Cancer Research Institute-Stand Up 2 Cancerなどの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、全身状態(ECOG PS)が0/1で、未治療の外科的切除が可能な早期NSCLC(StageI、II、IIIA)の患者であった。ニボルマブ(3mg/kg)は2週ごとに2回投与し、初回投与から約4週後に手術が計画された。 主要エンドポイントは安全性と実行可能性とした。また、原発巣の病理学的奏効、PD-L1の発現、遺伝子変異負荷、遺伝子変異関連のネオアンチゲン特異的T細胞応答の評価も行った。なお、ネオアンチゲンは、がん細胞の遺伝子変異に由来する、細胞傷害性Tリンパ球の標的となる抗原である。 2015年8月~2016年10月の期間に、米国の2施設に22例が登録された。PD-L1発現の有無にかかわらず奏効 全体の平均年齢は66.9±8.3歳、女性が11例(52%)であった。腺がんが62%、StageII/IIIAが81%、喫煙者/元喫煙者が86%を占めた。小細胞肺がん(SCLC)が見つかった1例は治療を中止した。 術前ニボルマブ療法による未知の毒性作用は認められなかった。治療関連有害事象は23%(5/22例、95%信頼区間[CI]:7.8~45.4)にみられたが、Grade3以上は1件のみだった。22例中20例が、計画された2回の投与を完遂した。 治療関連の手術の遅延は認めなかった。2回目の投与から手術までの期間中央値は18日(範囲:11~29)であり、21例中20例(95%)で腫瘍の完全切除が達成された。 切除された20個の腫瘍のうち9個(45%)で病理学的奏効(残存する活動性腫瘍の割合が10%以内)が得られた。3例では、病理学的完全奏効(活動性腫瘍なし)が達成された(1例は肺門リンパ節に腫瘍が残存)。原発巣の病理学的退縮率中央値は-65%であった。また、病理学的奏効例のうち、PD-L1陽性は3例、陰性は2例で、不明が4例だった。 治療前の遺伝子変異負荷の平均値は、病理学的奏効例が非奏効例に比べ有意に高く(p=0.01)、変異負荷はPD-1遮断による病理学的奏効の深さの重要な決定因子と考えられた。 評価が可能であった9例中8例で、腫瘍および末梢血の双方のT細胞クローン数が、ニボルマブ投与後に増加していた。また、病理学的完全奏効が得られた原発巣における遺伝子変異関連のネオアンチゲン特異的T細胞クローンは、治療後2~4週に末梢血で急速に増殖しており、これらのクローンには、ニボルマブ投与前の末梢血では検出されなかったものも含まれた。 著者は、「術前免疫チェックポイント遮断療法は、現在、乳がんやNSCLCの第III相試験など、さまざまながん種で検討が進められており、早期がんの再発抑制や治癒における術前PD-1遮断療法の役割を明らかにするには、これらの試験の長期的なフォローアップが必要である」としている。

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無過失補償制度は医療萎縮を止めるか

 2018年3月25日、第8回 医療法学シンポジウム(第2回 稲門医師会・稲門法曹会合同シンポジウム)が、都内において開催された。シンポジウムでは「無過失救済補償制度はどうあるべきか~産科医療だけでなく~」をテーマに、前半では現状における無過失補償制度の問題点や課題、今後の制度設計について、後半では医療者、法曹関係者が全体討論として議論を交わした。金銭補償だけでは語れない医療事故後のフォロー はじめに杉原 正子氏(東京医療センター精神科)が、今回のテーマを選定した理由を説明。産科医療補償制度を例に挙げ、現状では経済的な補償がなされた後、患者や家族が置き去りにされていると指摘。支給に関しては、「疑わしきは支給する」というスタンスで穏やかな支給が望まれると同時に、患者や家族に必要とされるものは、経済的な補償に加え、診療やケアができる医療施設の情報や最新の医療情報だと語った。そして、日本の医療事故への提言も含め、実現すべき救済とは何かを学際的に対話していきたいと期待を寄せた。 次にサリドマイド薬害事件の当事者(サリドマイド児)として、患者の視点から増山 ゆかり氏が「患者にとって救済とは何か?」をテーマに、事件後の患者が置かれている立場やその思いを語った。1958年に発生したサリドマイド薬害事件から60年が経過し、当時障害を持って生まれた胎児も平均で55歳を超え、当時は予見できなかった影響に悩まされている。具体的には、身体的欠損からくるさまざまな社会的制限や差別のほか、健康な人と比較すると、解剖的にも循環器系や腎臓系に問題を抱え、加齢も10年程度早いという。今でも治療を断られることもあり、患者は金銭補償だけでは、自立的生活を成り立たせることは困難だと訴えた。そして、日本の医療の長所を認めつつも、「患者の意見を医療者が聞き、こうした薬害の被害に向き合うことが大切ではないか」と提言を行った。 次に大磯 義一郎氏(浜松医科大学医療法学 教授)が「無過失補償制度の意義と目的」をテーマに、現在の医療事故発生とその後の医療裁判の問題点を挙げ、医療事故の加害者の処分だけでは、事故の真相究明、再発防止、被害者(患者とその家族)の救済にならないことを指摘。再び医療萎縮が起きないように、裁判のような紛争手続きではない制度設計の必要性を述べた。とくに金銭賠償では解決できない被害者の癒しや加害医療者の救済、科学的な事故の再発防止などは個別に考えていく問題であり、その中で個々の無過失補償制度の有無も決めていくことが重要だと語った。諸外国の補償制度と医療事故への対応 次に坂根 みち子氏(坂根Mクリニック 院長)が「日本とスウェーデンの医療事故調査制度と無過失補償」について説明。スウェーデンでは医療事故が発生した場合、患者やその家族は、医療裁判ではなく「地方の苦情委員会」「医療福祉監査局」など7つルートで、医療事故への対応や補償を訴えることができると説明した。基本的に事故の再発防止を目的に、加害医療者の責任追及ではなく双方が対話できる場を整え、そのような場の内容が臨床現場にフィードバックされ、さらなる事故防止に役立てられているという。翻ってわが国の制度では、臨床現場に医療事故情報をフィードバックする機会も機能も十分ではないため、現状では医療安全に寄与していないと指摘し、「医療事故調査制度の制度1本化」「現場へのフィードバック機能」「早急な無過失補償制度の構築」など7つの提言を行った。 次に岩田 太氏(上智大学法学部 教授)が「医療事故と制裁をめぐる国際比較」をテーマに、ニュージーランド、スウェーデン、フランス、英国とわが国の医療事故後の対応を解説した。ヒューマンエラーは必ず起こることを前提に、医療過誤処罰は、刑事ではなく別の形で行うべきという立場で、諸外国の事例を説明した。ニュージーランドでは、広範な医療事故補償制度があり、訴権放棄や刑事訴追がほぼないため医師の協力は得やすいが、金銭賠償で解決できない課題もあるという。フランスでは、補償認定には一定の労働能力の喪失という認定基準があり、その幅も狭いために私訴も多い。英国では、民事裁判で賠償の有無などが判断されており、医療安全はNational Health Service (NHS)が集中管理しているが、近年裁判数は急増していると、各国の状況が紹介された。同氏は、今後のわが国での問題事例への対処として、行政処分の拡充や医療事故調査制度の充実を例に提案を行った。 次に大滝 恭弘氏(帝京大学医療共通教育研究センター 准教授)が、「無過失補償制度へ向けて」をテーマに制度設計に向けた論点整理を行った。わが国の無過失補償制度を概観し、補償範囲、費用負担、過失認定、事故調査制度との関連などが、複雑に絡んでいることを指摘。たとえば、予防接種健康被害救済制度は、有過失関係なく救済されるほか、費用は国が負担している。しかし、こうした全面補償の制度は悪用もされやすく、制度の設計の難しさを示唆した。今後、無過失補償制度を作るに当たっては、前述の設計要件だけでなく、(かなり難しいが)患者の訴訟対応をどう盛り込むかが超えるべき壁と説明した。今も不足している医療者からの情報提供 後半の全体討論では、はじめにわが国の医療の問題点として、医療者側からの情報提供が不足していることが挙げられ、これらが医療不信の一因になっていると指摘された。たとえば、医師からの医療事故レポートなどは、日本医療機能評価機構へ上がっていかず、ほとんどが医師以外の医療者であること、また、問題の薬剤に関しても医薬品医療機器総合機構の資料からわかるはずだが、活用されていないのが現状で、事故の減少につながらないなど情報流通の問題も論じられた。補償制度を作るのであれば、患者の安全とリンクした制度が必要と提案が行われたほか、行政の問題として、わが国は医療の安全対策や予防に対して予算がつかないという点があり、問題のある薬剤が判明した場合、その回収が遅いという指摘もあった。そのほか、サリドマイドを例にすると、わが国では障害者が自立的生活を送ることが難しく、金銭補償とは別にフォローする制度を海外のように構築してほしいとの声もあった。日本の医療について、小手先だけの対応ではなく全体のシステムを変えないと、医療事故防止や医師不足の解決にはならないなど、深い議論が交わされた。

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Dr.長尾の胸部X線クイズ 初級編

第1回 場所が言えなきゃ始まらない 第2回 その影は、大きいか?小さいか? 第3回 比べまくると、見えてくる 第4回 この所見、この疾患。 第5回 選択肢は多いほうがいい 第6回 大切なものは目を凝らさないと見えない 症例写真クイズで読影腕試し!異常所見を見つけ、鑑別診断を挙げる-実臨床に近い問いに答えて読影スキルをブラッシュアップしていきましょう!初級編は、基本的な読影テクニックで見つけられる症例を厳選。中には見逃したら訴えられるほど重要な所見も…。1問5分のクイズそれぞれに、すぐに役立つ読影ノウハウを詰め込みました。第1回 場所が言えなきゃ始まらない異常所見を見つけたら、それが「ドコ」にあるのかを、正確に表現することは読影の基本。第1回は肺野の区分や病変部位の特定につながる、重要な読影スキルをパパっと押さえましょう。第2回 その影は、大きいか?小さいか? 異常影の大きさは疾患の予測に重要な情報。ですが、「大きい」か「小さい」かはどう定義するのでしょうか?今回は胸部X線写真の2大メジャー所見の見つけ方をレクチャー。鑑別診断をパパっと解説します。第3回 比べまくると、見えてくる 腫瘤影などのように目立つ所見でなく、シルエットサインも使えない異常所見もたくさんあります。それらを発見するには、「比較する」しかありません。何と比較するのか?クイズを解きながら考えてみましょう!第4回 この所見、この疾患。 3回まででメジャーな異常所見は一通り読めるようになったはず。 X線写真にも疾患ごとに特徴的な所見がいくつかあります。知っていると知らないでは大違い。さて、今回のクイズからぱっと鑑別診断を挙げられますか?第5回 選択肢は多いほうがいい 異常所見も、鑑別診断も、ぱっと決められないときに多くの選択肢を挙げられると次の道が拓けます。そこからどう絞り込むかは次のステップ。今回はできるだけ多く鑑別疾患を出す訓練をしていきましょう!第6回 大切なものは目を凝らさないと見えない 今回の症例を読み解くアドバイスは「よーく見ること」。慣れれば簡単に見つかる異常も、初めは目を凝らして探さないと見えてきません。小さな異変に気付けると、読影は一段ランクアップします。

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