LCZ696に腎機能保持の新解析結果

提供元:ケアネット

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公開日:2018/05/08

 

 2018年4月16日、ノバルティス(スイス・バーゼル)は、左室駆出率(LVEF)の低下した心不全(HFrEF)患者に、LCZ696(一般名:サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物)投与が推算糸球体濾過量(eGFR)を指標とする腎機能の保持に役立つという、PARADIGM-HF試験の新たな事後解析結果を発表した1)

 本剤は1日2回投与で、機能不全に陥った心臓の負荷を軽減する薬剤。本剤を投与されたHFrEF患者では、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬エナラプリルを投与された患者と比較し、eGFR低下の抑制が示された1)。また、糖尿病を合併したHFrEF患者のサブグループでは、その効果が2倍高いことが示された。この結果は、The lancet. Diabetes & endocrinology誌に掲載された。

LCZ696は糖尿病合併患者の腎機能保持に役立つ

 PARADIGM-HF試験に参加した糖尿病合併のないHFrEF患者では、一般集団に比べ、腎機能の低下が2倍速いことが示された1)。糖尿病を合併したHFrEF患者では腎機能低下の速さはさらに顕著で、糖尿病のないHFrEF患者に比べて2倍の速さで腎機能低下がみられた1)

 HFrEF患者において、本剤投与は、エナラプリル群と比較し、腎機能低下を有意に抑制した(ベースラインからの変化量:-1.3 vs.-1.8mL/分/1.73m2/年)1)

 糖尿病を合併したHFrEF患者では、LCZ696による治療で、糖尿病のないHFrEF患者に比べ2倍のベネフィットが得られた(ベースラインからの変化量の投与群間差(95%信頼区間):0.6(0.4~0.8)vs.0.3(0.2~0.5)mL/分/1.73m2/年)1)

 これにより本剤による治療は、心血管死および心不全による入院リスクの低下という確立されたベネフィットに加え、とくに糖尿病合併患者の腎機能保持に役立つと期待される。

LCZ696について

 1日2回投与する薬剤で、心臓に対する防御的な神経ホルモン機構(NP系、ナトリウム利尿ペプチド系)を促進すると同時に、過剰に活性化したレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)による有害な影響を抑制することで、機能不全に陥った心臓の負荷を軽減する。

 欧州ではLVEFの低下した成人患者の症候性慢性心不全を適応とし、米国では収縮不全を伴う心不全(NYHAクラスII~IV)患者の治療を適応としている。わが国では、慢性心不全患者を対象とした第III相臨床試験を実施中。

■参考文献
1)Packer M, et al. Lancet Diabetes Endocrinol. 2018 Apr 13. [Epub ahead of print]

■参考
ノバルティス プレスリリース

(ケアネット 稲川 進)