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開発中の経口レムデシビル、ニルマトレルビル/リトナビルに非劣性/NEJM

 重症化リスクの高い軽症~中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)成人患者において、VV116(重水素化レムデシビル臭化水素酸塩)の経口投与は、経口抗ウイルス薬ニルマトレルビル+リトナビル(商品名:パキロビッドパック)と比較して、持続的な臨床的回復までの期間に関して非劣性であり、安全性は良好であることが、中国・Shanghai Institute of VirologyのZhujun Cao氏らが実施した第III相無作為化観察者盲検比較試験の結果、報告された。VV116は、レムデシビルの経口抗ウイルス薬の1つとして中国で開発が進められている。これまで小規模試験で、陽性確定後5日以内の投与は通常ケアと比較してウイルス排出期間が短縮したことが示されていた。NEJM誌オンライン版2022年12月28日号掲載の報告。VV116の有効性、持続的な臨床的回復までの期間を検証 研究グループは、SARS-CoV-2のB.1.1.529(オミクロン)変異株流行期の2022年4月4日~5月2日に、重症化リスクの高い軽症~中等症の症状を有するCOVID-19成人患者を、VV116群またはニルマトレルビル+リトナビル群に無作為に割り付け、それぞれ5日間経口投与した。 主要エンドポイントは、無作為化から持続的な臨床的回復までの期間(観察期間28日目まで)とし、持続的な臨床的回復とは、COVID-19に関連する全症状が2日間連続して軽減(11項目の症状のスコア[各項目のスコア範囲は0~3でスコアが高いほど重症であることを示す]の合計スコア[11項目の合計スコアの範囲は0~33]が0または1)、と定義した。また、非劣性マージンは、ハザード比(HR)の両側95%信頼区間(CI)の下限を0.8とした(HRが>1の場合、VV116のほうがニルマトレルビル+リトナビルより持続的な臨床的回復までの期間が短いことを示す)。持続的な臨床的回復までの期間、VV116群4日vs.ニルマトレルビル+リトナビル群5日 計822例が無作為化され、771例がVV116(384例)またはニルマトレルビル+リトナビル(387例)の投与を受けた。患者背景は、年齢中央値が53歳、女性が50.2%で、ほとんど(92.1%)が軽症COVID-19であり、ワクチン接種済み(ブースター接種含む)が4分の3を占めていた。主な重症化リスクは、60歳以上(37.7%)、高血圧を含む心血管疾患(35.1%)、肥満(BMI≧25)(32.9%)、喫煙(12.5%)、および糖尿病(10.1%)などであった。 主要解析(データカットオフ日:2022年5月13日)で、持続的な臨床的回復までの期間に関して、ニルマトレルビル+リトナビルに対するVV116の非劣性が検証された(HR:1.17、95%CI:1.01~1.35)。最終解析(データカットオフ日:2022年8月18日)においても同様の結果が得られた(中央値:VV116群4日vs.ニルマトレルビル+リトナビル群5日、HR:1.17、95%CI:1.02~1.36)。 最終解析において、持続的な症状消失までの期間(11項目のCOVID-19関連症状の各スコアが2日連続で0)、および無作為化からSARS-CoV-2検査が初めて陰性になるまでの期間は、両群間で差は認められなかった。28日までに死亡または重症COVID-19に進行した患者は、両群とも報告されなかった。 有害事象の発現率は、VV116群67.4%、ニルマトレルビル+リトナビル群77.3%であり、VV116群が低値であった。Grade3または4の有害事象の発現率も同様であった(2.6% vs.5.7%)。 なお、著者は、二重盲検試験ではなかったこと、オミクロン変異株亜種に感染した中国人が組み込まれていたこと、連続2日間の症状消失後に症状が再燃する可能性があることなどを研究の限界として挙げている。

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オミクロン株XBB.1の細胞侵入効率と免疫回避能

 2022年1月、新型コロナウイルスのオミクロン株XBB系統がインドで初めて検出され、アジアと欧州で増加している。XBB系統は主に5つの亜系統(XBB.1~5)が派生し、ほとんどがXBB.1である。ドイツ・German Primate CenterのPrerna Arora氏らは、XBB.1系統の宿主細胞への侵入と抗体による中和を回避する能力を初めて評価した。その結果、ワクチンを4回接種した人や3回接種後にBA.5に感染した人においてもXBB.1の中和回避能が非常に高いことがわかった。また、この高い中和回避能は、細胞侵入効率の若干の低下と引き換えにもたらされた可能性が示唆された。Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2023年1月5日号に掲載。 著者らはまず、XBB.1の宿主細胞への侵入効率を祖先株のB.1、現在優勢なBA.5と比較した。BA.5の侵入効率はB.1と比べ、Vero細胞(アフリカミドリザル腎細胞)では2.2倍、293T細胞(ヒト腎細胞)で5.3倍高かったが、Calu-3細胞(ヒト肺細胞)では1.9倍低かった。XBB.1の侵入効率は、すべての細胞株でBA.5と比べて1.7~3.9倍低下し、Calu-3細胞ではB.1と比べて3.4倍低下した。一方、293T細胞およびVero細胞ではXBB.1はB.1と同様だった。 次に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防や治療に臨床使用されている(使用中止となったものも含む)もしくは開発中のモノクローナル抗体(14種類)およびモノクローナル抗体カクテル(4種類)について、XBB.1に対する中和能力を調べた。調査したすべてのモノクローナル抗体およびモノクローナル抗体カクテルがB.1を効果的に中和したが、XBB.1についてはソトロビマブとS2H97が中和できたものの、その中和能力はB.1に対する中和能力と比べて10分の1以下だった。 最後に、ワクチン接種またはワクチン接種+感染によって誘導された抗体のXBB.1の中和能力を評価した。ワクチン3回接種者の血清の中和能力は、B.1、BA.5に対しては高かったが、XBB.1にはほとんどなかった。また、ワクチン3回接種後BA.5流行中に感染した人の血清の中和能力は、B.1には高く、BA.5には中程度、XBB.1には低かった。ワクチン3回接種後に1価ワクチン(B.1)または2価ワクチン(B.1とBA.5)のいずれかを接種した人の血清においても同様だった。 これらの結果から、著者らは「ほとんどの抗体がXBB.1を中和しないことからCOVID-19治療には新たな抗体が必要であり、XBB系統の発生率が高い地域では他の治療法を検討すべき」としている。

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第27回 後方支援病院もクラスター、行く当てのない新型コロナ高齢者

診療情報がない高齢者を診るそろそろ新型コロナ第8波もピークアウトかなと感じておりますが、どうでしょうか。場末の勤務医の私なんぞに先見の明はないですし、「ピークアウトや!」と言った翌週が感染大爆発なんてことも当然ありうるわけで、現場感をアテにしてはいけません。それにしても、第8波の新型コロナ入院例は過去最高年齢を記録しております。100歳超えはザラで、基本は90歳前後です。第8波に限ったことではありませんが、結構現場で困っているのが、「入院患者さんの診療情報がない」ということです。新型コロナクラスターが発生した高齢者施設では、たとえば連携医が週1回しか来ない、また陽性者が多数発生したため書類作成が追い付かないなどの理由があって、診療情報をコロナ病棟に提供できる状況にないことがあります。そのため、なぜアスピリンを内服しているのか、なぜ血清クレアチニンが2を超えているのか、なぜ腹部に手術痕があるのか、などがわからないまま治療に入る新型コロナ患者さんが存在します。家族に電話すると、だいたいその理由がわかりますが。キーパーソンが高齢者施設の施設長になっているのに、施設長が新型コロナ陽性で対応できないということもありました。診療情報だけでなくアドバンス・ケア・プランニング(ACP)も最初からやらないといけないということも、なかなか業務負荷が大きいです。90歳を超えているのに、「亡くなるなんて考えたこともありませんでした」と言われるとビックリしますよね。施設に帰れない年末年始は施設クラスターの嵐でした。1月10日時点で入院している患者さんのうち、新型コロナの療養が終わりつつあるものの、ADLが落ちて施設に帰れなくなった高齢者が全体の3分の1くらいを占めます。大阪府の緊急確保病床を伴うフェーズ5ということで、当院は最大稼働病床60床で運用しています。その代わり、非コロナの一般病床の病床数を減らしている状況です。そのため、新型コロナの療養期間が終わって施設に帰れない場合、自院の一般病床に転出させるか、療養型病床に転院するかの2択しかありません。新型コロナの診療のために一般病床をつぶしている状況なので、必然的に後者を選択することになりますが、ここで問題が生じます。アフターコロナとしての受け皿である療養型病院で結構クラスターが発生してしまっていて、転院を断られてしまうのです。これは厳しい。どこにも転院できないとなると、ADLの落ちた高齢者を、コロナ病棟で診続けることになります。となると、次の新型コロナの患者さんが入院できなくなります。完全な目詰まり状態です。波が過ぎるのを待つ以外に方策はないのが現状なので、そろそろピークアウトしてくれないと困るというのが現場の意見です。

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非専門医向け喘息ガイドライン改訂-喘息死ゼロへ

 日本全体で約1,000万人の潜在患者がいるとされる喘息。その約70%が何らかの症状を有し、喘息をコントロールできていないという。吸入ステロイド薬(ICS)の普及により、喘息による死亡(喘息死)は年々減少しているものの、2020年においても年間1,158人報告されているのが現状である。そこで、2020年に日本喘息学会が設立され、2021年には非専門医向けの喘息診療実践ガイドラインが発刊、2022年に改訂された。喘息診療実践ガイドライン発刊の経緯やポイントについて、日本喘息学会理事長の東田 有智氏(近畿大学病院 病院長)に話を聞いた。喘息診療実践ガイドラインで2028年までに喘息死を0に 東田氏は、「均質な医療を提供することで、2028年までに喘息死を半減させる。できれば0にしたい」と語った。そのために「喘息の科学的知見に基づく情報提供をしたい」「非専門医の日常診療に役に立つガイドラインを作りたい」との思いから、喘息診療実践ガイドラインを作成したという。喘息診療実践ガイドラインは、新薬の登場などに合わせて、可能な限り毎年改訂を行う予定とのことである。喘息診療実践ガイドライン2022の問診チェックリスト活用を 従来のガイドラインでは、「喘息診断の目安」が記載されているものの、「診断基準」は明記されていない。また、喘息の診断には呼吸機能検査が必要とされているが、日常診療の場では難しい。そこで、喘息診療実践ガイドライン2022では、臨床現場で実際に活用できる診断アルゴリズムを作成している。ここで、重要となるのが「問診」である。東田氏らは、4千人超の喘息患者のデータをレトロスペクティブに解析した結果を基に、喘息患者の特徴を抽出した「問診チェックリスト」を作成し、喘息診療実践ガイドライン2022上に掲載している(p4、表2-1)。チェックリストは、大項目(喘鳴、咳嗽、喀痰などの喘息を疑う症状)と小項目(症状8項目、背景7項目の計15項目)からなり、「大項目+小項目(いずれか1つ)があれば喘息を疑う」とされている。 問診の結果、喘息を疑った場合には、「まず中用量のICSと長時間作用性β2刺激薬(LABA)の配合剤(中用量ICS/LABA)を最低3日以上使ってほしい」という。「中用量ICS/LABAによる治療に反応し、治療開始前から喘鳴がある場合は喘息と診断して良い」とのことである。反応しない場合は、「他疾患も疑う必要があるため、迷わず専門医に紹介してほしい」と語った。喘息診療実践ガイドライン2022には喘息治療のフローを掲載 喘息診療実践ガイドライン2022の喘息治療のフローに基づくと、日常診療では診断もかねて基本的には中用量ICS/LABAで治療を開始し、それでも症状が残ってしまう場合には、症状に応じて次のステップを考える。咳・痰が続く、呼吸困難が残る、喫煙歴がある場合などは、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)を、鼻汁・鼻閉(鼻づまり)がある場合は、ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)を追加する。LAMAを追加する場合は、「1デバイスで3成分を吸入できるICS/LABA/LAMAの3成分配合剤が登場しているため、こちらを使用してほしい」とのことだ。 また、治療効果が不十分の場合には、吸入薬をきちんと吸えていない可能性があるという。そのため、「まず、うまく吸えているかを確認してほしい。吸入指導の動画も用意しているので活用してほしい」と述べた。各種吸入デバイスの吸入指導用動画や「ホー吸入」という薬の通り道を広く保つ吸入法が、日本喘息学会HPに掲載されているので活用されたい。喘息診療実践ガイドライン2022に医療連携の可能な病院リスト 喘息治療においては、専門医との病診連携を積極的に活用してほしいという。たとえば、「中用量ICS/LABAにLAMAまたはLTRAを追加しても効果が得られない場合」「重症喘息に該当する喘息患者に遭遇した場合」「治療のステップダウンを検討しているが、呼吸機能検査ができない場合」などは検査を行う必要があるため、「専門医で治療導入や呼吸機能検査を実施し、その後はかかりつけ医の先生に診療いただくという病診連携も可能だ」と専門医との病診連携の重要性を強調した。専門医への紹介を考慮すべきタイミングについての詳細や専門医紹介時のひな型、医療連携の可能な病院のリストが喘息診療実践ガイドライン2022上に記載されているので活用されたい(p68~p71)。COVID-19流行期こそ喘息コントロールが重要 注目を集める喘息と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の関係については、「喘息をきちんとコントロールできていれば、COVID-19感染リスクが高いわけではないので、必要以上に怖がることはない。ただし、喘息のコントロールが悪いと、気道に炎症が起こり感染しやすくなってしまうので、喘息をコントロールすることが最も重要である」と喘息コントロールの重要性を強調した。『喘息診療実践ガイドライン2022』定価:2,420円(税込)判型:B5判頁数:本文72頁発行:2022年7月作成:一般社団法人日本喘息学会発行:協和企画

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正しいがんの原因への認識、ワクチン拒否・代替医療・陰謀論支持者で低調/BMJ

 がんの原因に対する認識傾向について、スペイン・Catalan Institute of OncologyのSonia Paytubi氏らが、約1,500人を対象に行ったオンライン横断調査の結果、ほぼ半数が「何もかもががんの原因になるように思える」と感じていることが明らかになった。著者は、「大量の情報が、事実に基づく原因と根拠のない原因を見分けることを困難にしていることが浮き彫りになった」と述べている。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン拒否者、代替医療や陰謀論を支持する人々では、それぞれの対照群と比べ、根拠のないがんの原因を支持する傾向が高く、事実に基づくがんの原因を支持する傾向は低かった。著者は、「これらの結果は、誤ったデジタル情報と誤った健康認識が関連していることを示すものであり、予防可能ながん率を示している可能性もある」と述べている。BMJ誌2022年12月21日クリスマス特集号「DON’T BELIEVE THE HYPE(誇大宣伝を信じるな)」掲載の報告。ネット上フォーラムやがん予防ウェブサイトからデータ収集 研究グループは、インターネット上のフォーラム「ForoCoches」(スペイン語)、「Reddit」(英語)、「4Chan」(英語)、「HispaChan」(スペイン語)、およびがん予防に関するスペイン語ウェブサイト(mejorsincancer.org)から、2022年1~3月にかけてデータを収集し、ワクチン懐疑論や陰謀論への公言とがん予防に対する態度について、横断研究を行った。 Cancer Awareness Measure(CAM)とCancer Awareness Measure Mythical Causes Scale(CAM-MYCS)を用いて、がんに対する考え(cancer beliefs)を評価した。事実に基づくがんの原因に関する認識度、CAMスコア中央値63.6% 回答者1,494人のうち、COVID-19ワクチン非接種者は209人、従来医療よりも代替医療を好む人は112人、天動説またはレプティリアン(ヒト型爬虫類の異星人)陰謀説の信者は62人だった。 事実に基づくがんの原因に関する認識度は、根拠のない原因への認識度より高かった(CAMスコア中央値:63.6% vs.41.7%)。最も支持されていた根拠のないがんの原因は、食品添加物や人工甘味料の摂取、ストレス、遺伝子組み替え食品の摂取だった。 ワクチン非接種者、代替医療支持者、陰謀論支持者の3群の、事実に基づくがんの原因の特定率中央値は54.5%だった。一方、3群の対照群では63.6%だった(それぞれ、p=0.13、p=0.04、p=0.003)。根拠のないがんの原因の特定率中央値は、ワクチン非接種者群が25.0%、代替医療支持者群が16.7%、陰謀論支持者群が16.7%だったのに対し、各対照群は中央値41.7%と高率だった(いずれも、補正後p<0.001)。 「何もかもががんの原因になるように思える」に同意した人の割合は、全体では673人(45.0%)だった。同割合は、ワクチン非接種者群は44.0%、陰謀論支持者群は41.9%、代替医療支持者群は35.7%で、各対照群(45.2%、45.7%、45.8%)と有意差はなかった。

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モルヌピラビル、ワクチン接種済み患者の入院・死亡への効果は?/Lancet

 SARS-CoV-2の経口抗ウイルス薬モルヌピラビルは、地域で暮らす高リスクのワクチン接種済み成人集団における、COVID-19関連の入院または死亡の発生を減少しなかった。英国・オックスフォード大学のChristopher C. Butler氏らが、約2万6,000例を対象とした非盲検プラットフォームアダプティブ無作為化対照試験「PANORAMIC試験」の結果を報告した。Lancet誌オンライン版2022年12月22日号掲載の報告。28日以内の原因を問わない入院または死亡を比較 PANORAMIC試験は2021年12月8日~2022年4月27日に、50歳以上、または18歳以上で関連併存疾患のある体調不良で在宅療養5日以内のCOVID-19確定患者を適格対象として行われた。被験者を無作為に2群に分け、一方にはモルヌピラビル(800mg、1日2回、5日間)+通常ケアを、もう一方の群には通常ケアのみを行った。 無作為化はウェブベースシステムを用いて行い、年齢(50歳超、50歳未満)と、SARS-CoV-2ワクチン接種の有無による層別化も行った。 COVID-19アウトカムは、無作為化後28日間、患者自身が記録したオンライン日誌で追跡された。主要アウトカムは、無作為化から28日以内の原因を問わない入院または死亡。解析は、無作為化を受けた適格全被験者を包含したベイズモデルを用いて行われた。入院・死亡率はモルヌピラビル投与群、通常ケアのみ群ともに1% 2万6,411例が無作為化を受けた(モルヌピラビル+通常ケア群1万2,821例、通常ケアのみ群1万2,962例、その他の治療628例)。主要解析には、モルヌピラビル+通常ケア群1万2,529例、通常ケアのみ群1万2,525例が包含された。 被験者の平均年齢は56.6歳(SD 12.6)、SARS-CoV-2ワクチンの3回以上接種者は94%(2万5,708例中2万4,290例)だった。 入院または死亡が記録されたのは、モルヌピラビル+通常ケア群105例(1%)、通常ケアのみ群98例(1%)だった(補正後オッズ比[OR]:1.06、95%ベイズ信用区間[CrI]:0.81~1.41、優越性の確率:0.33)。サブグループ間で治療相互作用のエビデンスはみられなかった。 重篤な有害事象は、モルヌピラビル+通常ケア群で50例(0.4%)、通常ケアのみ群で45例(0.3%)が記録されたが、モルヌピラビルに関連すると判定された有害事象はなかった。

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高齢者施設での新型コロナ被害を最小限にするために/COVID-19対策アドバイザリーボード

 第112回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが、12月28日に開催された。その中で「高齢者・障がい者施設における被害を最小限にするために」が、舘田 一博氏(東邦大学医学部教授)らのグループより発表された。 このレポートでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染すると死亡などのリスクの高い、高齢者・障害者を念頭に大人数が集まるケア施設内などでのクラスター感染を防ぐための対応や具体的な取り組み法として、健康チェック、ワクチン、早期診断と対応、早期治療、予防投与が可能な薬剤、リスク時の対応、保健所や医療機関との連携などが示されている。医療機関外での感染者対応が課題 はじめに「第8波のリスクと高齢者・障がい者施設を守ることの重要性」と題し、これまでわが国では、高齢者・障害者施設において多数のクラスターを経験、多くの命が失われたこと、現在は第8波の入り口であり、年末年始の諸行事により急激な感染者数の増加が生じるリスクが高まることを指摘する。そして、死亡者数が1日270人(2022年12月15日時点)と増加中であり、その多くが高齢者や基礎疾患を有する人で、とくに集団感染が生じやすい高齢者・障害者施設、慢性期医療機関がリスクの中心であり、その被害をいかに減らすかが重要となる。また、今冬はインフルエンザとの同時流行が懸念され、こうした施設内においても、COVID-19とインフルエンザが同時期に流行し両方の感染者が増大したことを想定した備えが必要になると注意を喚起しているほか、ワクチンなどの普及により軽症例や無症候例もあり、すべてが医療機関への入院ではなく感染者の状態に応じて施設内対応が求められる事例が増加しており、感染者や濃厚接触者への感染対策や治療を施設などでも行っていくことが求められるようになっている。高齢者や障害者の命を守ることができる施設対策へ 高齢者・障害者施設で求められる第8波対策は以下の通り。1)健康チェック入所者・職員の毎日の健康チェックが重要。発熱・咳・咽頭痛(違和感)・全身倦怠感などがみられた場合には感染の可能性を考えて迅速に対応。都道府県が実施している職員対象のPCR検査や抗原定性検査キットによる定期的検査を積極的に活用し、感染の早期発見に努めること。2)ワクチン接種オミクロン対応2価ワクチンが利用でき、それ以外の新型コロナワクチンの最終接種から3ヵ月を経過した時点からは次のワクチン接種が受けられる。施設利用者に対しては集団的接種などによる接種機会の確保を図るとともに、職員にも早めの接種を推奨する。また、インフルエンザワクチンとの同時接種も可能。3)早期診断・早期対応「風邪かな?」と思ったら、コロナやインフルエンザの可能性を考えて検査を実施することが必要。典型例を除き(インフルエンザ流行時の急激な発熱・筋肉痛など)、臨床症状だけで両者を鑑別することは困難。現在では、コロナだけでなく、インフルエンザも同時に診断できる簡易抗原検査キットが利用可能なので、施設ごとに協力医療機関などと連携の上で、検査キットを備えておくことが勧められる。4)コロナと診断された場合の早期治療これまでにコロナに対する治療薬として抗ウイルス経口薬(3種類)と注射薬(1種類)、中和抗体薬(3種類)に加えて、免疫抑制剤(3種類)が承認されている。高齢者や重症化リスクのある人には早期の治療開始が重要。しかし、高齢者・障害者施設においては、医師が常駐していないこともあり、施設特性や得られる医療支援に応じて、無理のない範囲で使用可能な治療薬の検討を行い、感染発生を想定した準備を行うことも重要。5)予防投与が可能な薬剤施設内で感染者が発生し、クラスターのリスクが高まっている場合、あるいは免疫抑制状態が強く重症化リスクが高い入所者において、曝露後に使用できる薬剤としてカシリビマブ/イムデビマブ(商品名:ロナプリーブ)が承認されている。オミクロン株の流行の中で中和活性の低下が報告されているが、中和活性に加えて感染細胞を排除する作用(エフェクター機能)があることも報告されており、他の薬剤が使用できない場合の投与が承認されている。施設内でのクラスター発生時、感染者周囲の曝露者に対して予防投与を早期に行うことにより発症および重症化を抑制できる可能性がある。施設の特性や得られる医療支援を考慮し、無理のない範囲で、予防投与の進め方に関して担当医師と相談しておくことも重要。6)クラスターのリスクが高まっている場面での感染対策の実際施設内で感染者が発生した場合に、施設内で隔離および治療を行わなければいけない場合も増加している。これまでの経験をもとに感染対策を実施し、他の入所者に感染を広げない対策が必要になる。施設内では人材・感染対策資材も限られており、ゼロリスクを求める対策は困難だが、施設で実施することが可能なリスクを減らす対策を組み合わせて対応することが必要になる。〔高齢者・障害者施設におけるエアロゾル感染対策の考え方〕(1)屋内における密集を避ける(2)換気扇を常時稼働させる(3)人数が増えたら窓を開ける(4)扇風機を外に向かって回す(5)パーティションは必要時に設置する(6)空気清浄機を活用する7)保健所・医療機関との連携の重要性クラスターの発生前から保健所や医療機関との連携が取れるように、日常から備えておくことが重要。とくに医師が常駐していない施設では、感染疑いの入所者・職員が出た場合の検査や治療の実施に関して事前に保健所や医療機関と相談をしておく必要がある。感染者が明らかとなった場合には、保健所・医療機関に速やかに連絡し、必要な治療を開始することが重症化抑制、クラスター対策として効果的。第8波を前に保健所・連携医療機関と対応の実際に関してお互いに確認しておくことをお勧めする。〔高齢者・障害者施設における感染対策のポイント〕・最終ワクチン接種後、3ヵ月を経過したら次の接種が可能(コロナとインフルエンザワクチンの同時接種も可能)・早期発見「かぜ」かな?と思ったら検査を実施(適宜、コロナ・インフルエンザ同時抗原検査を利用)・リスクを減らす対策を可能な限り組み合わせて対応・人との接触時(近距離・直接)はマスク着用と効果的な換気が基本(吸引などの場合はN95マスクを使用)・医療機関・保健所との連携の確認(早めの診断と治療、感染の拡大予防が可能になるよう前もって相談)

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第145回 家にいながらにしてのコロナ検査と治療の提供を米国が開始

家にいながらにして新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染の検査からその治療までの一通り全部を済ませるようにする無料の遠隔医療の試験運用を米国国立衛生研究所(NIH)が開始します1,2)。Home Test to Treatと銘打つその取り組みは去年2022年9月に同国政府が初めて表明し3)、検査で陽性だった人に抗ウイルス治療を施して重症化、入院、死亡を防ぐことを目指します。Home Test to Treatは今月中にまずはペンシルバニア州バークス郡の住民最大8千人を募って試験的な運用が始まります。運用指揮者はそれら参加者から集まった情報を使って最適な手順を確立し、より大規模な運用にも堪えうるようにHome Test to Treatの仕様を改善します。米国全域の他の地域もバークス郡に続いてHome Test to Treatに参加していく予定です。参加地域はそういう治療の需要のほど、医療の普及のほど、SARS-CoV-2感染(COVID-19)率予想、社会経済状況に基づいて選定されます。Home Test to Treatは各地の保健担当部門と協力して向こう1年間に米国人10万人ほどの手当てを賄うことを目指します。Home Test to Treatの運用は遠隔医療提供会社eMedが担います。目下のCOVID-19流行下で何百万件もの遠隔医療を取り仕切った経験を持つ同社は使い勝手が良いウェブサイトを準備し、参加者はそのウェブサイトに登録し、症状を報告し、遠隔診療を受け、必要に応じて抗ウイルス治療の配達を申し込み、必要な検査を手配することができます。Home Test to Treatの参加地域から集まった情報は家にいながらの検査や治療の意義、参加者のHome Test to Treatとの関わり方、治療の経過などの解析に使われます。それらの解析はeMedの協力を仰いでマサチューセッツ大学医学部(UMass Chan Medical School)が引き受けます。Home Test to Treatは目下のCOVID-19流行や将来の同様の事態で別け隔てなく救いの手を差し伸べ、人命救出に必要な最良の手順を見つけることを後押しするでしょう。各地域それぞれのチームが改善策を見つけて実行することはそれら地域、州、はては米国全体の求めに応えるよりよい体制作りを可能にします1)。参考1)NIH launches Home Test to Treat, a pilot COVID-19 telehealth program / NIH2)NIH launches pilot COVID telehealth program / Reuters3)Biden Administration Outlines Plan to Get Americans an Updated COVID-19 Vaccine Shot and Manage COVID-19 this Fall / White House

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悪性新生物の死亡確率、男性3割・女性2割/厚生労働省

 厚生労働省は12月23日、「令和2年都道府県別生命表」を発表した1)。都道府県別生命表は、国勢調査による日本人人口(確定数)と人口動態統計(確定数)による日本における日本人の死亡数、出生数を基に、1965年から5年ごとに作成され、今回が12回目となる。本結果によると、2020年の全国の平均寿命(0歳の平均余命)は、男性が81.49年、女性が87.60年で、2015年よりも男性では0.72年、女性では0.60年延びていた。また、死因別死亡確率では、男女ともに最も多かった死因は、悪性新生物(腫瘍)であり、男性で28.13%、女性で20.05%を占めていた。平均寿命、男女ともに全都道府県で延びる 2020年の全国の平均寿命は、男性が81.49年、女性が87.60年であった。平均寿命を都道府県別にみると、男性では、滋賀が82.73年で最も長く、次いで長野の82.68年、奈良の82.40年の順となっている。女性では、岡山が88.29年で最も長く、次いで滋賀の88.26年、京都の88.25年の順となっている。また、男女ともに青森が最も短くなっており、男性が79.27年、女性が86.33年であった。平均寿命の最も長い都道府県と最も短い都道府県との差は、男性3.46年、女性1.96年となっている。 平均寿命を2015年と2020年で比較すると、男性では0.72年、女性では0.60年延びていた。男女ともに全都道府県で平均寿命が延びていた。大きな延びを示した都道府県は、男性では、鳥取(1.17年)、富山(1.13年)、和歌山(1.09年)の順となっており、女性では、京都(0.89年)、和歌山(0.88年)、兵庫(0.84年)の順となった。 ただし、2022年7月に発表された「令和3年簡易生命表」によると、2021年の日本人の平均寿命は、新型コロナウイルス感染症の影響で男女ともに前年度よりそれぞれ0.09歳、0.14歳短くなり、男性81.47歳、女性87.57歳となり、10年ぶりに前年度を下回っている2)。死因別死亡確率、悪性新生物が男性3割、女性2割 全国の死因別死亡確率では、男性では、悪性新生物(腫瘍)(28.13%)、心疾患(高血圧性を除く)(14.33%)、肺炎(7.21%)、脳血管疾患(7.03%)、老衰(6.92%)、不慮の事故(3.06%)の順に多く、女性では、悪性新生物(腫瘍)(20.05%)、老衰(17.69%)、心疾患(高血圧性を除く)(16.45%)、脳血管疾患(7.78%)、肺炎(5.50%)、不慮の事故(2.31%)の順となった。死因における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、男性で0.53%、女性で0.39%であった。 都道府県別で悪性新生物による死亡確率が高かったのは、男性では、北海道(30.82%)、福岡(29.91%)、鳥取(29.75%)の順となった。女性では、北海道(22.72%)、福岡(21.83%)、青森(21.26%)の順に高かった。 男性において、都道府県別で心疾患による死亡確率が最も高いのは愛媛(16.92%)、肺炎が最も高いのは埼玉(8.89%)だった。女性では、老衰の死亡確率が最も高いのは静岡(23.39%)、心疾患が最も高いのは愛媛(18.85%)だった。

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第141回 神対応の大規模接種会場!モデルナBA.4-5対応ワクチン求め行ってきた

無事2023年に入ったが、世はいまだ新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の第8波の真っ最中である。そうした中で一つの重要な対策であるオミクロン株対応ワクチンの国内接種率は1月4日現在、35.8%。65歳以上の高齢者に限定すると60.2%。全人口で見ると、やや心もとない接種率に見えなくもない。もっとも接種対象者のうち第7波、第8波で感染した人たちが接種保留状態にあることを考えると、まずまずの数字なのではないかと個人的には考えている。そのような中で年の瀬の12月27日、私はようやく新型コロナ・オミクロン株対応ワクチンによる4回目接種を完了した。「ワクチンマニア」を自認する人間としては遅過ぎるとのご批判も受けそうだが、その理由は何よりもオミクロン株BA.4-5対応のモデルナ製ワクチンの承認を待ったためである。従来の研究からファイザー製ワクチン接種者より、モデルナ製ワクチン接種者のほうが抗体価は高めであるとの研究報告は多いからだ。年明けから受験を控える子供を持つ親にとっては、こうしたちょっとした差も気になってしまうのだ。ご存じのようにモデルナ製のBA.4-5対応ワクチンは、ファイザー製から約1ヵ月遅れて承認され、現場での流通は11月下旬から始まった。それ以降、私はいつ自分の居住区で使用されるかと逐次情報をチェックしていたが、12月中旬になってからもその兆しは皆無だった。各方面に問い合わせると、どうやら東京都に関しては、当面、モデルナ製BA.4-5対応ワクチンは、ほぼ都の大規模接種会場での使用一択と判明した。ならば大規模接種会場ですぐに受ければ良いと思われそうだが、自分の場合、接種した場所で、保有する世界保健機関(WHO)版と米国疾患予防管理センター(CDC)版のイエローカード(国際予防接種証明書)への記録記載もお願いしたいため、個別医療機関での接種のほうが何かと都合が良い。しかし、当面居住区の個別医療機関に回ってこないとなると、もはや大規模接種会場で接種するしかなかった。しかし、問題は大規模接種会場で“イエローカード記入”という手間を取ってもらえるか否かである。やむなく12月の第4週に東京都庁に電話し、イエローカードへの記載を行ってもらえるかを問い合わせた。最初に対応してくれた福祉保健局感染症対策部防疫・情報管理課の担当者からは「イエローカード? はあ、そういうのがあるんですね」と言われ、大規模接種会場担当者に電話を回された。こちらでもほぼ同様の反応だったが、希望する接種会場に問い合わせて折り返しするとのこと。最終的に会場から記入対応可能との回答をいただいた。大規模接種会場の担当者からは「イエローカードへの記入要望があることをあらかじめ会場側に伝えたいので、予約が完了したら予約日時と予約番号を教えて欲しい」と言われた。そこで、接種予約を入れてその日時を担当者に再度電話。また、同時接種可能なインフルエンザワクチンも打ちたかったので、同じ日に馴染みのK先生のところでの接種を予約した。当日の午前11時、都内のK先生のクリニックでインフルエンザワクチンの接種を完了。同時に新型コロナのスパイクタンパク抗体検査用の採血もしてもらった。そこから新宿に移動。昼食を終えてから都庁近くのカフェで仕事をして午後3時の接種時間を待つ。接種予定時間10分前に都庁に行き、1F受付で接種予約確認後、検温。接種の予診票には、接種予約をしたワクチンの種類が大書されたカードが張り付けられた。アナログとはいえ、ワクチン選択ミスを防ぐ手段としてはそこそこ以上に有効だろう。会場となる北展望室接種センターがある45階へエレベーターで昇った。ちなみに会場は撮影禁止である。エレベーターを降りると、目の前の空間はファイザー(BA.1、BA.4-5)、モデルナ(BA.1、BA.4-5)、ノババックスと接種ワクチンの種類ごとにラインがパーテーションポールで仕切られていた。迷わずモデルナのラインに入り、それに従って進むと、そのまま予診室BOXへ案内された。一通り予診票を確認した予診担当医師から「体調が悪いとかはありませんか?」と尋ねられたので、「とくにありません」と答えると、そのまま医師の背後を通過して予診室入口と反対側に通り抜けするよう指示され、その先にある接種室BOXへ。今度は、接種担当医師による再度の予診票確認後、「どちらの腕にします?」と聞かれたので、インフルエンザワクチンを打ったのと反対側の左腕への接種を依頼した。指示通り手をだらんとぶら下げて、「チクッとしますね」と言われるやいなや「はい、終了です」。今までで一番短時間だった気がする。医師にアレルギー体質なのでアナフィラキシーチェックは30分でお願いしたいと伝えたところ、予診票をじっと見つめて「じゃあ、ここ修正してもらえます」と指で示された。ああ、確かに「アレルギーなし」に丸をしていた。実はここで気付いたのだが、これまでの個別医療機関での接種時はアレルギーの有無で無に印をつけていた。何となく文面が直接的な薬物や食物へのアレルギーを尋ねているようにしか読めなかったからだが、こういう場合、気になるところは念のため書いておくべきだったと反省。ということで修正した。私が修正を提出すると、接種担当医師が予診BOXのほうに予診票を持って行き、予診担当医師と二言三言。こうやってきちんと細かに情報共有や確認を行うのだと、改めて感服した。接種BOXを出て、順路に沿って進むと、パイプ椅子が並ぶアナフィラキシーチェック待機場へと到着する。その中でやはりパーテーションポールで区切られた30分待機者用区画に案内された。職員の指示で「こちらの席にどうぞ」と言われて座るも西日がきつい。職員もそれに気づいて、椅子を動かし、「こちらでどうでしょう?」と日陰に誘導してくれた。着席直後、看護師から「ちょっとでも具合が悪いと思ったら遠慮なく仰ってください」と伝えられる。愛知県愛西市の接種会場での死亡事例もあって、この辺は厳格化したのかもしれないが、行き届いた対応である。とりあえずスマホで仕事の資料をチェックしていると、あっという間に30分が経過。職員の誘導に従って最終コーナーの接種済み証交付窓口に。ここで例のイエローカードの記入を申し出る。WHO版、米・CDC版の2種類のイエローカードを提出したのだが、どうやらロット番号シールが1枚で済むと思っていたらしく、職員があたふたし始めた。もともと一覧性に優れている米・CDC版を使い始めたのだが、反米国家に行く頻度が多く、イエローカード内の「U.S」が時に厄介なことになりかねないので2種類を運用している。職員2人で「うん、こっち(WHO)は見たことがあるけど、こっち(CDC)は初めて見た。どこの?」とゴニョゴニョ。私が「それは米・CDC版です」と伝えると、「ほー」と言いながら2人とも穴が開くかと思うほど凝視している。記入を待っている間、出口に山積みされた『免疫』のキャッチフレーズが付いたドリンクを勧められる。接種者は1人1本いただけるらしい。まあ、本音で言うと「免疫」を名乗る商品は胡散臭いとしか思わないが、さすがに害はないだろうと思い、ありがたく1本いただき、粗野な私はその場で一気飲みする。最終的に2枚のカードにロット番号シールが貼られ、無事終了。ついにCDC版イエローカードは3枚目となった。今回、初めて経験した大規模接種会場だが、驚くほどシステマティックかつ行き届いた運営がなされていた。これも約2年に及ぶワクチン接種事業の賜物なのだろう。さて、この翌日にはK医師のところで受けた新型コロナのスパイクタンパク抗体の検査(試薬はロシュ・ダイアグノスティックス)結果が届いた。3回目接種から10カ月を経過した時点の私の抗体価は4,521 U/mL。以前、2回目接種から4ヵ月後に測定した際にK医師から「僕の10倍はある」と言われた時と、数値はほぼ同じ。3回目接種から10ヵ月も経っているのにもかかわらずだ。思うに1~2回目はファイザーで、3回目をモデルナという抗体価が上がりやすい交差接種にして、その直後に抗体価が爆上がりしたのだろうか。ちなみに同時に新型コロナウイルスへの感染履歴がわかるヌクレオカプシド(N)タンパク質抗体の検査も行っており、その結果ではここ最近、無症候も含む感染歴はないことも判明し、ややほっとした。が、それもつかの間。その後、やや怒涛とも思える事態に遭遇することになるが、それは機会があれば次回以降で。また、本年も宜しくお願い致します。

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オミクロン株の新系統に対するワクチンの有効性/東京大学・国立国際医療研究センター

 第8波の主体となっている新型コロナウイルス・オミクロン株。現在では、欧米諸国でBA.5系統から派生したBQ.1.1系統が、インドやシンガポールなどのアジア諸国ではBA.2系統から派生したXBB系統の感染例が急激に増加している。これら現在流行中の系統に対する新型コロナワクチンの有効性は、どの程度あるのだろうか。 東京大学医科学研究所ウイルス感染部門の河岡 義裕氏らの研究グループは国立国際医療研究センターと共同で、オミクロン株BQ.1.1系統とXBB系統に対するmRNAワクチン(パンデミック初期株をもとに作られたワクチン)の有効性を検証するため、患者から分離したBQ.1.1系統とXBB系統に対するmRNAワクチン被接種者血漿*の中和活性を調べた。その結果、BQ.1.1系統とXBB系統に対する中和活性は、従来株、BA.2系統、あるいはBA.5系統に対する活性よりも顕著に低かったことが判明した。Lancet Infectious Diseases誌2023年1月号に公表された。*3回目接種から半年経過または、4回目接種から1~2ヵ月経過したもの。ワクチン4回接種でも中和活性は低い 本研究の目的として、2022年12月現在、わが国を含む多くの国々では、BA.5系統に属する株が主流となっている。しかし、米国をはじめとする欧米諸国では、BA.5系統から派生したBQ.1.1系統が主流となりつつあり、インドやシンガポールなどのアジア諸国では、BA.2系統から派生したXBB系統の感染例が急激に増加している。さらには、BQ.1.1系統とXBB系統が、国内を含む多くの国々で検出されている。こうした環境下で、国民のおよそ65%あるいは40%がmRNAワクチンの3回目あるいは4回目接種を終えているなか、現在流行中の系統に対するワクチンの有効性に関する情報が求められている。そのため、河岡氏らの研究グループは、オミクロン株BQ.1.1系統とXBB系統に対するmRNAワクチン(パンデミック初期株をもとに作られたワクチン)の有効性を検証するため、患者から分離したBQ.1.1系統とXBB系統に対するmRNAワクチン被接種者血漿の中和活性を調べた。 mRNAワクチン被接種者から採取された血漿のBQ.1.1株とXBB株に対する感染阻害効果(中和活性)を調べた結果、mRNAワクチン3回目の被接種者の血漿(3回目接種から半年経過したもの)または4回目の被接種者血漿(4回目接種から1~2ヵ月経過したもの)の、BQ.1.1系統とXBB系統に対する中和活性は、いずれも、従来株、BA.2系統、あるいはBA.5系統に対する活性より著しく低く、多くの検体で中和活性が検出限界以下だった。 続いてmRNAワクチンを3回目接種後にBA.2系統に感染した患者(BA.2系統ブレークスルー感染者)の血漿を用いて、BQ.1.1株とXBB株に対する中和活性を調べたところ、これらの血漿のBQ.1.1系統とXBB系統に対する中和活性は、従来株、BA.2系統、あるいはBA.5系統に対する活性よりも顕著に低いことがわかった。一方で、ほとんどの血漿は低いながらも中和活性を有していることが判明した。 同グループは、本研究を通して得られた成果は、「医療現場における適切なCOVID-19治療薬の選択に役立つだけでなく、オミクロン株各系統のリスク評価など、行政機関が今後の新型コロナウイルス感染症対策計画を策定・実施する上で、重要な情報となる」と期待を寄せている。

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新型コロナ感染症対策の情報提供サイト」開設/モデルナ

 モデルナは2022年12月22日、一人ひとりにあった感染予防対策や最新情報の提供を目指した、新型コロナウイルス感染症情報サイト『コロナ対策ステーション』(以下、当サイト)を開設した。当サイトは4つのメニューから構成されており、各コンテンツを通して新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する正しい知識を得られる場となることが期待される。『コロナ対策ステーション』について SARS-CoV-2感染によるCOVID-19は、日本の公衆衛生にとっていまだ脅威であり、今後さらなる感染再拡大も懸念されている。当サイトは、「一人ひとりの年齢やこれまでのワクチン接種状況などに応じて、感染対策情報の提供と新型コロナウイルス感染症に関する疑問を解決する」というコンセプトのもと、「あなたのための新型コロナウイルス対策(FAQ)」「知っておきたいコロナ対策(動画5本掲載)」「コロナウイルス流行株インフォ」「ワクチン接種会場を調べる」の4つのメニューで構成され、「一人ひとりにあった感染予防対策や最新情報」を提供している。 当サイトのナビゲーターを務めるのは俳優の椎名 桔平氏である。椎名氏は、一般生活者の代表としてサイト内の随所に登場する。また、矢野 晴美氏(国際医療福祉大学医学部 医学教育統括センター 副センター長/感染症学教授)が監修する「知っておきたいコロナ対策」では、新型コロナウイルス対策やワクチンについて、矢野氏による丁寧な解説を動画で視聴することができる。 当サイトの開設について、モデルナ・ジャパン代表取締役社長の鈴木 蘭美氏は、「新型コロナウイルスは、日本の公衆衛生にとって引き続き脅威となっております。モデルナはワクチン提供にとどまらず、当サイトを通してCOVID-19に関する正しい情報を提供することで、皆さんのお役に立てることを願っています」と述べている。【コロナ対策ステーションのコンテンツ内容】・あなたのための新型コロナウイルス対策(FAQ) 年齢、性別、ワクチン接種回数、家庭内の小さな子どもの有無、健康状態を選択すると、その条件にあった内容の情報が抽出され閲覧できる。・知っておきたいコロナ対策(動画5本掲載、1本当たり4~5分) 矢野氏監修のコンテンツ。椎名氏が聞き手として5本の動画内に登場し、COVID-19対策の各テーマについて矢野氏による解説を聞く内容となっている。1. 接種対象者案内「接種対象者はどんな人?」2. 追加接種の意義「追加接種は必要?」3. コロナワクチンの種類「新型コロナウイルスのワクチンにはどんな種類があるの?」4. 変異株とは「ウイルスの変異って何?」5. 副反応対策「追加接種の副反応、大丈夫?対策は?」・コロナウイルス流行株インフォ国立感染症研究所の変異株情報をわかりやすく解説している。・ワクチン接種会場を調べる厚生労働省のコロナワクチンナビ「接種会場を探す」へリンクし全国の接種会場を調べることができる。

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第26回 「5類」にして本当に皆さん診ますか?

高まる「5類」論何人か救急隊員の知り合いがいて、年末年始が大変だったという話で盛り上がっていたのですが、皆さん「5類」については懐疑的でした。「どこの医療機関でも診療可能」というのが「5類感染症」に変更するための主要な理由の1つになっていますが、病院にお勤めの皆さん、「5類だからどんどん診ます」と思うようになるでしょうか?そもそも総合病院クラスの医療機関は、ほとんどがすでに新型コロナを診療しています。院内クラスターが出ても、自院で診ています。ですから、大々的に「5類感染症」に変更したところで、入院を請け負う医療機関のキャパシティが増えるわけではないという懸念があります。過去のインフルエンザシーズンで、これほど高齢者施設クラスターが出ていたわけではありません。ワンフロアで何人かインフルエンザにかかったということはよくありましたが、施設全体で壊滅的な状況に陥る高齢者施設を見るのは、それだけ感染性が高いからだと理解しています。この感染症を、「5類になったことだし、じゃあどんどん入院させましょう」となると、診療する側としてはかなり躊躇してしまうのではないでしょうか。じゃんじゃん受け入れていたら、あっという間に院内クラスターが広まりそうです。非コロナで入院している人からすれば、勘弁してほしいところですよね。勘違いされている「応召義務」医師には応召義務があるので、新型コロナの診療を断れないという言説がありますが、誤りです。「正当な事由なく」という前提がある話であって、「新型コロナ疑い患者を隔離できる個室がない」というのは正当な事由に該当します。そのため、インフルエンザシーズンにおいても、大部屋しか空いていないときには発熱患者の搬送を断らざるを得ないこともありました。重症化率と致死率の誤謬そもそも重症化率や致死率の算出方法が異なるので、インフルエンザと新型コロナの比較が単純化できないことは、過去の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードでも述べられていることです。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けに関して、アドバイザリーボードにおいて出された意見では以下のような見解もありました。「今の検査体制では、コロナは軽症者や無症状者も検査に誘導しているため、分母にごく軽症者が乗っているという問題もある。インフルは発熱し、かつ医療機関にアクセスしてきた患者数が分母となるため、無症状や軽症の人は受診せず、本来はコロナの分母とは乖離するはず。今回数字が寄ったのは偶然だろう。この数字を前提として話すこと自体が問題になるのではないか1)。」これは至極同感です。重症化率と致死率だけではなくて、医療リソースや社会的なインパクトも考慮しなければいけません。「5類感染症」になったとしても、私たちはそれを「5類」として診るのではなく、もはや「新型コロナ」として診ます。そのため、国民のマインドみたいなものが多少変わるかもしれませんが、医療機関として講じるべき対策はそう変わらないと思っていますし、キャパが何倍にも増えるというイメージは持っていません。「5類感染症」になることで、外来医療全体のキャパシティ底上げにはつながるかもしれませんが、入院を要する患者さんの数は、ほぼ感染者数で決まりますので、救急医療が逼迫している大きな病院にとっては、たいした影響はないように思われます。参考文献・参考サイト1)第112回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年12月28日). 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけに関してアドバイザリーボードにおいて出された意見

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コロナ死亡例、脳を含む広範囲に長期ウイルスが存在/Nature

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡者の体内には、呼吸器をはじめ非呼吸器、脳に至るまで広く長期に渡ってSARS-CoV-2が存在していることが、新たな研究で判明した。米国国立衛生研究所(NIH)のSydney R. Stein氏らによる本研究結果は、Nature誌オンライン版2022年12月14日号に掲載された。 COVID-19は、重症の感染時に多臓器不全を引き起こすことが知られており、一部の患者には罹患後症状と呼ばれる症状が長く続く。しかし、呼吸器以外の感染負荷やウイルスが消失するまでの時間、とくに脳においては十分に解明されていない。 研究者らは、COVID-19の感染後に死亡した44例の患者の完全剖検を行い、うち11例の患者の中枢神経系を広範囲に採取し、感染から症状発現後7ヵ月以上までの、脳を含む人体全体のSARS-CoV-2の分布、複製、細胞型特異性のマッピングと定量分析を行った。組織および症例間のSARS-CoV-2 RNAレベルを定量的、統計的に比較するために、呼吸器系および非呼吸器系組織の観点から結果を分析した。 死亡時の病日により剖検例を早期(14日以内:n=17)、中期(15~30日:n=13)、後期(31日以上:n=14)に分類し、後期の症例においてSARS-CoV-2 RNAが存在する場合を持続と定義した。 主な結果は以下のとおり。・2020年4月26日~2021年3月2日に44例の剖検を行った。検体はすべてCOVID-19に感染して死亡したワクチン未接種者のものだった。女性が30%、年齢中央値は62.5歳(四分位範囲[IQR]:47.3~71.0)、61.4%が3つ以上の併存疾患を有していた。PCR陽性は42例で死前、2例で死後に確認された。11例で脳のサンプリングが行われた。・発症から最終的な入院、その後の死亡までの中央値はそれぞれ6日(IQR:3~10)、18.5日(IQR:11.25~37.5)であった。死亡から剖検までの中央値は22.2時間(IQR:18.2~33.9)であった。・SARS-CoV-2 RNAは84の異なる解剖学的部位と体液で検出され、早期~後期のいずれも非呼吸器組織と比較して呼吸器組織で有意(p<0.0001)に高い値が検出された。 ・脳のサンプリングを受けた全症例において、中枢神経系組織からSARS-CoV-2 RNAが検出された(10/11例、検出不能を除く)。ここには、230日目の死亡例を含んだ後期症例のすべてが含まれ(5/6例、検出不能を除く)、脳におけるウイルスの持続性が確認された。高いウイルス負荷にもかかわらず、脳における病理組織学的変化はほとんど認められなかった。・SARS-CoV-2 RNAの持続性は、血漿では検出されなかったものの、すべての後期症例で複数の組織にわたって確認された。 研究者らは以下のように結果の要点をまとめている。・SARS-CoV-2は、重症のCOVID-19で死亡した患者を中心に体内に広く分布しており、感染初期には脳を含む複数の呼吸器・非呼吸器組織でウイルス複製が存在することが明らかになった。・SARS-CoV-2 RNAが全身に広く分布しているにもかかわらず、気道以外では炎症や直接的なウイルスの細胞病理はほとんど観察されなかった。・SARS-CoV-2は、一部の患者では感染初期に播種し、非呼吸器組織よりも呼吸器組織で有意に高いウイルス量を示した。他の研究により、心臓、リンパ節、小腸および副腎内のSARS-CoV-2 RNAの存在が報告されており、SARS-CoV-2がこれらの組織や脳を含む他の多くの組織に感染し複製する能力があることを決定的に証明するものである。・SARS-CoV-2 RNAが残存する場所としては呼吸器が最も一般的であったが、後期症例の50%以上は、心筋、頭頸部および胸部のリンパ節、坐骨神経、眼組織、そして硬膜を除く中枢神経系組織のすべての採取部位にもRNAが残存していた。注目すべきは、早期症例では呼吸器系組織と非呼吸器系組織でSARS-CoV-2 RNA量が100倍以上高かったにもかかわらず、後期症例ではこの差が非常に小さくなっていることである。非呼吸器組織におけるウイルス排除の効率悪化は、SARS-CoV-2によるウイルス性mRNAの細胞検出を変化させる能力、インターフェロンシグナルの妨害、ウイルスの抗原提示の妨害における組織特異的な差異に関係していると思われる。SARS-CoV-2が免疫を回避するメカニズムを理解することは、ウイルス排除を促進する将来の治療アプローチの指針に不可欠である。 さらに、本研究の限界として、対象が重度のCOVID-19で死亡した既往症を持つ中高年のワクチン未接種者であること、実施時期から現在および将来の変異株に一般化できない可能性があること、研究デザインが臨床所見をウイルスの持続性に帰するためのものではないことを挙げている。

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生後6ヵ月以上へのBA.4/5対応ワクチン承認/FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は12月8日、モデルナおよびファイザーのオミクロン株BA.4/5対応の新型コロナウイルス2価ワクチンについて、緊急使用許可(EUA)を修正し、生後6ヵ月以上の小児への使用を追加したことを発表した。 今回のEUA修正により、モデルナのBA.4/5対応2価ワクチン(mRNA-1273.222)は、生後6ヵ月~5歳の小児に対して、1価ワクチンの初回シリーズ(2回)を接種して2ヵ月後に、追加免疫として1回(10μg)の接種を行うことができる。 本ワクチンの承認は、同社の試験用2価ワクチン(起源株およびBA.1対応)の成人における追加接種に関する臨床試験から評価した免疫反応データに基づいている。また、17ヵ月~5歳で、1価ワクチンの初回シリーズ完了から6ヵ月以降に追加接種を行った56例と、18~25歳で、1価ワクチンの初回シリーズを受けた約300例を比較した試験では、ほぼ同程度の免疫反応が認められた。 安全性データは、同社の2価ワクチン(起源株およびBA.1対応)追加接種を評価した臨床試験、1価ワクチンの初回シリーズと追加接種を評価した臨床試験、および両ワクチンの市販後の安全性データに依拠している。1価のモデルナワクチン初回シリーズ接種から6ヵ月以降に1価ワクチンの追加接種を受けた生後6ヵ月~5歳の145例の臨床試験では、最も多く報告された副反応は、注射部位の痛み、発赤、腫脹、注射した腕や大腿部のリンパ節の腫脹/圧痛、発熱などであった。そのほかに報告された副反応は、生後17~36ヵ月では、神経過敏/泣く、眠気、食欲不振、生後37ヵ月~5歳では、疲労、頭痛、筋肉痛、関節痛、悪寒、悪心/嘔吐などであった。 一方、ファイザーのBA.4/5対応2価ワクチンは、生後6ヵ月~4歳の小児に対して、1価ワクチンの初回シリーズ(3回)をまだ開始していない、あるいは初回シリーズの3回目をまだ受けていない場合に限り、1価ワクチンを2回接種後、初回シリーズの3回目として3μg接種することができる。なお、1価ワクチンの初回シリーズを3回完了した生後6ヵ月~4歳の小児は、現時点ではBA.4/5対応2価ワクチンの接種対象とはならない。 また、今回のEUA修正に伴い、ファイザーの1価ワクチンは、生後6ヵ月~4歳の小児における、初回シリーズの3回目接種としての使用が認められなくなった。同社の1価ワクチンは、生後6ヵ月~4歳の小児における初回シリーズ(3回)の最初の2回分、5歳以上の初回シリーズとして2回分、および免疫不全のある5歳以上の初回シリーズとして3回分の投与は引き続き認められている。 本ワクチンの承認は、同社の生後6ヵ月~4歳、および16歳以上の1価ワクチンによる初回シリーズ、また、55歳以上の1価ワクチン初回シリーズと1回目の追加接種、2価ワクチン(起源株およびBA.1対応)の2回目の追加接種の有効性および安全性に関するこれまでの分析に基づいている。 なお、これらの小児に対する2価ワクチン接種の根拠となるデータは、追って1月に発表される予定。

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患者に伝えたいアナフィラキシー症状

患者さん、その症状はアナフィラキシー ですよ!アナフィラキシーとは「アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性アレルギー症状が引き起こされ、生命に危険を与え得る過敏反応」のこと。以下のような症状を伴います。□紅潮□そう痒感□蕁麻疹□立毛□結膜の充血□流涙□口腔内腫脹□気道狭窄感□息切れ□嗄声(声がれ)□激しい咳・喘鳴□鼻閉・鼻汁・くしゃみ□腹痛□下痢□血圧低下□拍動性頭痛□浮動性めまい□嘔気・嘔吐□意識障害 □動悸・頻脈□嚥下障害◆こんな場合も要注意!• 蕁麻疹が出なくても、急に息切れや腹痛、血圧低下が起こればアナフィラキシーと診断されます。• 薬剤や食べ物で起こりますが、約半数の患者さんでは原因が特定できないことも。• 薬物投与などの数時間後に症状が起こる場合もあるので、治療によっては院内でしばらく待機する必要があります。出典:日本アレルギー学会. アナフィラキシーガイドライン監修:福島県立医科大学 会津医療センター 総合内科 山中 克郎氏Copyright © 2021 CareNet,Inc. All rights reserved.

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第142回 帚木蓬生氏の新作『花散る里の病棟』を読んで医師という仕事について考える

九州で四代百年続く「医家」の物語こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。2023年が始まりました。年始年末は愛知の実家に帰っていたのですが、帰省する直前の年末、セ・リーグのY軍本社で働く(選手ではありません)知人と、パ・リーグのS軍本社で働く知人(同)を呼んで、その他野球好きを交えての野球飲みを行いました。いろいろ興味深い話ばかりだった中、特に話題となったのは、日本ハムからソフトバンクに移籍した近藤 健介選手の年俸(1年あたりだと村上 宗隆選手の方が安い)の妥当性と、オリックスからMLBのレッドソックスに移籍した吉田 正尚選手は活躍できるか、そしてマスコットキャラクターたちの年俸についてでした。ちなみに、一部のマスコットキャラクターは、この年末も各地のディナーショーに引っ張りだこだったようです。最後に、来年の各リーグの優勝チームを予想して飲み会を終えたのですが、Y軍、S軍両者とも自軍を優勝候補にせず、最後に「まじか」と思った次第です。さて、今回は年末に読んだある本を紹介します。それは、帚木 蓬生(ははきぎ ほうせい)氏の『花散る里の病棟』(新潮社、2022年刊)です。九州で四代百年続く「医家」のそれぞれの世代の医師の医療に携わる姿を短編で描きながら、全体を通して読むと日本の医療の歴史が浮かび上がってくるという、とても凝ったつくりの短編集です。4代目がパンデミックに遭遇し至る結論とはご存知の方も多いと思いますが、帚木氏は福岡で精神科のクリニックも営む医師兼作家です。本の帯には「この小説では、時代と人の営みを凝縮しようと試みました。こうした小説は1、2年では書けず、やはり10年かかったという重みを感じます」という著者の言葉があります。本書は短編集で、小説新潮に2012〜2021年まで連載した短編10作品が収められています。登場する医師は、1代目公立病院副院長を経て野北医院を開業、蛔虫治療で評判を取り「虫医者」と呼ばれる2代目軍医としてルソン島の兵站病院で従事、戦後は町立病院や山あいの診療所に勤務3代目市立病院勤務を経て内科医院を開業、老健施設も開設し高齢者医療に注力4代目米国で糖尿病治療の最先端を学び、帰国して市立病院で肥満症外科手術を手掛ける――の4人です。それぞれの時代の医師が、その時代、その時代の医療問題に真摯に取り組む姿が描かれています。最後の短編、「パンデミック」は開業医である3代目と、勤務医の4代目が新型コロナウイルス感染症の感染拡大の中、それぞれの現場で奮闘する姿が描かれています。最後の場面で4代目はある”結論”に至ります。その“結論”は、現役の医師である帚木氏だからこそ書けることであり、一連の連作で読者(そして日本の医師たち)に伝えたかったことではないかと思いました。さまざまな立場・診療科の医師が登場する「風花病棟」もお薦め帚木氏の作品で本書と同類とも言える短編集に『風花病棟』(新潮社、2009年刊)があります。こちらには、さまざまな立場・診療科の医師が登場します。イソミタール・インタビュー(短時間麻酔薬で半眠状態に置き、被験者の本音を聞き出す手法)を行った精神科医と被検者、乳がんを患い抗がん剤治療を受ける女性医師、田舎の父親の診療所を継がず都会で働く眼科医、治療費を払えない婦人科患者に遭遇する後期研修中の女性医師、古希を迎えクリニックを閉院する医師など、そこに描かれている等身大の医師の姿は、とかくヒーローとして描きがちな医療ドラマに辟易している医師(や一般の人)の共感を呼ぶのではないでしょうか。限りなくノンフィクションに近く、事件の記録的な側面も強い作品ところで、帚木氏の作品で私が個人的に好きなのは、『悲素』(新潮社、2015年刊)、『沙林 偽りの王国』(新潮社、2021年刊)などの実際の事件を題材にした小説です。この2作はそれぞれ、和歌山毒物カレー事件、松本サリン事件・地下鉄サリン事件の実像について、限りなくノンフィクションに近い手法で、医学的観点から全体像をわかりやすく解き明かした小説です。どちらも主人公は化学物質中毒症研究の第一人者である九州大学医学部衛生学教室の沢井 直尚教授(架空の人物です)。「報告書」ではなく、あえて「小説」というスタイルを取っているため、沢井教授の考えや主観がダイレクトに伝わってきます。ちなみに、沢井教授のモデルとなったのは神経内科医で中毒学が専門の井上 尚英・九州大名誉教授です。井上名誉教授は、和歌山毒物カレー事件、松本サリン事件・地下鉄サリン事件などで被害者の症状分析などを行い、捜査や裁判に関わった人物です。帚木氏は、井上名誉教授への取材や論文、裁判記録などに基づいて、この2作を完成させています。小説ではありますが、事実に基づいた記述は説得力もあり、事件の記録的な側面も強い貴重な作品だと言えるでしょう。以上、冬休みも終わってしまいましたが、今後の休暇の読書の助けになるよう、帚木氏のいくつかの作品を紹介しました。

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コロナ重症例への治療、長期アウトカムは?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)重篤例への6つの治療(免疫調整薬治療、回復者血漿療法、抗血小板療法、抗凝固療法、抗ウイルス薬治療、コルチコステロイド治療)の検証が行われている「REMAP-CAP試験」から、事前規定の長期(180日)アウトカムの解析結果が、オーストラリア・メルボルン大学のAlisa M. Higgins氏ら同研究グループによって報告された。同試験の既報の主要アウトカム(短期21日)の報告では、IL-6阻害薬(免疫調整薬)にベネフィットがある一方、抗ウイルス薬、anakinra(免疫調整薬)、回復者血漿(免疫グロブリン)、抗凝固療法、抗血小板療法にはベネフィットがないことが示されていた。JAMA誌オンライン版2022年12月16日号掲載の報告。6つの治療について、180日目までの生存を解析 REMAP-CAP試験は、パンデミック/非パンデミックでの重度の肺炎患者に対する複数の治療を評価する国際多施設共同無作為化プラットフォーム試験で現在も進行中である。本論で報告されたCOVID-19重篤例への6つの治療の、事前に規定された2次解析には、14ヵ国197地点で2020年3月9日~2021年6月22日に4,869例のCOVID-19重篤成人患者が登録された。最終180日フォローアップは、2022年3月2日に完了した。 被験者は、6つの治療のうちの1つ以上の介入に無作為に割り付けられた(免疫調整薬治療群2,274例、回復者血漿療法群2,011例、抗血小板療法群1,557例、抗凝固療法群1,033例、抗ウイルス薬治療726例、コルチコステロイド治療401例)。 2次解析の主なアウトカムは、180日目までの生存で、ベイズ区分指数モデルを用いて解析した。ハザード比(HR)が1未満は生存の改善(優越性)を示し、1超は生存の悪化(有害)を示すものとした。無益性は、アウトカムでの相対的な改善が20%未満で、HRが0.83超で示される場合とした。6ヵ月生存改善の確率、IL-6阻害薬99.9%超、抗血小板療法95% 無作為化を受けた4,869例(平均年齢59.3歳、女性1,537例[32.1%])において、4,107例(84.3%)がバイタル情報を有し、2,590例(63.1%)が180日時点で生存していた。 IL-6阻害薬は、対照と比較した6ヵ月生存改善の確率が99.9%超であった(補正後HR:0.74、95%信用区間[CrI]:0.61~0.90)。抗血小板療法は、同95%であった(0.85、0.71~1.03)。 一方、試験定義の統計的な無益性(HR>0.83)の確率が高かったのは、抗凝固療法(確率99.9%、補正後HR:1.13[95%CrI:0.93~1.42])、回復者血漿療法(99.2%、0.99[0.86~1.14])、ロピナビル・リトナビル配合剤(抗ウイルス薬)(96.6%、1.06[0.82~1.38])で、有害である確率が高かったのはヒドロキシクロロキン(免疫調整薬)(96.9、1.51[0.98~2.29])、ロピナビル・リトナビル配合剤+ヒドロキシクロロキン(96.8、1.61[0.97~2.67])。コルチコステロイドは、早期に試験中止となり規定の統計解析要件を満たさなかったが、さまざまな投与戦略が用いられたヒドロコルチゾンの6ヵ月生存改善の確率は57.1~61.6%であった。 著者は、「全体的に、既報の短期の結果を踏まえて、当初の院内治療の効果は、ほとんどの治療で6ヵ月間変わらなかったことが示された」とまとめている。

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コロナウイルスの生存率が高い食品は…野菜or肉or魚?

 2019年冬、中国・武漢で新型コロナウイルス感染症が初めて発生し、その起源も生きた哺乳類が売られていた「海鮮市場」と研究報告もまとめられている1)。以来、新型コロナウイルス(以下、SARS-CoV-2)と食品との関連性については懸念が続いているが、SARS-CoV-2の食品での生存率と除去に関する研究はほとんど存在していない。そこで、韓国・中央大学校のSoontag Jung氏らがSARS-CoV-2の生存に最適な保管温度や素材を調査するために、レタス、チキン、サーモンにSARS-CoV-2を付着させ、温度や湿度を変化させて検証した。その結果、SARS-CoV-2の生存率は、保管温度と食品に依存しており、室温ではレタスとチキン上での生存率が低いことが明らかになった。Food Microbiology誌オンライン版2022年10月27日号掲載の報告。 本研究では、SARS-CoV-2 (L型/S型)をレタス、チキン、サーモンに付着させ、保管温度(20℃、4℃、-40℃)での生存率を食品マトリックスで評価した。さらに、食品マトリックスを不活性化させる消毒薬(エタノール、二酸化塩素[ClO2]、過酢酸[PAA])の有効性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・SARS-CoV-2は温度が20℃の場合では食品マトリックス上で3日以上は生存せず、SARS-CoV-2 L型と SARS-CoV-2 S型それぞれの半減期の推定中央値は、レタスでは3.47時間と2.60時間、チキンでは4.80時間と3.08時間で、レタスよりチキンでわずかに長かった。一方、ウイルスが最大2日間検出されたサーモン表面での半減期の推定中央値は、7.46時間と4.65時間で最も長かった。・続いて、4℃での半減期の推定中央値を見ると、10日間にまで延長し、チキンでは生存率の差がL型とS型で違いが見られた。サーモンではSARS-CoV-2両型共に汚染後14日間、感染が維持された。・-40℃ではL型/S型共に3つの素材上で4週間も生存し、とくにSARS-CoV-2 L型ではウイルス感染価(50% Tissue culture infectious dose [TCID50]/mL)2 log TCID50 /mLを超える感染を維持し、レタスが4.80×102、チキンが3.16×102、サーモンが5.54×102だった。・次に消毒薬の有効性について、OECDガイドライン基準によると、保因者検査の標準効果は3 log以上の減少と定義されているが、本研究では検出限界のため、70%エタノールによってチキンとサーモンで3 logを超える減少は観察されなかった。・ClO2では、SARS-CoV-2で汚染された食品に対してすべての暴露時間条件下でどの食品マトリックスに対しても標準的な効果を達成しなかった。・PAAは、すべての食品においてSARS-CoV-2を不活化させることができたが、SARS-CoV-2汚染レタスに対し、40ppmと80ppmのPAAでそれぞれ2.04 logと2.46 logとの殺ウイルス効果を得ることができた(p<0.05)ものの、標準的な効果には達しなかった。 研究者らは「SARS-CoV-2に汚染された食品サンプルは相対湿度40%で保管されていたが、食品は時間の経過とともに徐々に乾燥していった。SARS-CoV-2の生存率は、乾燥が食品マトリックスに影響している可能性もある」と記している。

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第144回 コロナ合併症MIS-C関連変異同定/クリスマス前の人情報告~開発段階の薬が人助け

小児のコロナ合併症MIS-Cに寄与する遺伝子欠陥を同定新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)小児の稀だけれども下手したら命を奪いかねない多臓器炎症症候群(MIS-C)に寄与しうる遺伝子変異が見つかりました1,2)。MIS-CはCOVID-19発症からたいてい4週間後ぐらいに生じ、発熱、嘔吐、心筋の炎症などを引き起こして入院治療を強います。MIS-Cの発生率はSARS-CoV-2感染小児1万例当たりおよそ1例と稀ですが、米国での今夏8月末までのMIS-C小児数は約9千例(8,826例)に上り3)、悲しくも命を落とすこともあって71例は死亡しています。MIS-Cで上昇する生理指標によると複数の臓器での炎症が示唆され、単球の活性化持続がMIS-Cの主な免疫特徴として一貫して報告されています。さらには、単球活性化作用だけにとどまらない2型インターフェロン(IFN-γ)伝達絡みの指標がMIS-Cの初期にしばしば上昇します。そのような背景を受け、米国のロックフェラー大学が率いるチームはSARS-CoV-2への免疫反応を不得手にする生まれながらの遺伝子欠陥がMIS-Cの下地になっているかもしれないと考え、世界のMIS-C患者558例のエクソームやゲノム配列を調べ上げました。実に総勢およそ百人の研究者が携わったその途方もない取り組みは類縁関係のないMIS-C患者5例へとやがて収束します。インターフェロンによって発生してウイルスなどの二本鎖RNA(dsRNA)を感知するタンパク質OASやOASによって活性化される酵素RNase Lの欠陥をもたらす変異をそれらMIS-C患者5例から発見したのです。RNase Lはいわばハサミのようなもので、タンパク質へと翻訳されるmRNAを切断します。見つかったOAS変異はRNase Lを働けなくし、RNase L変異はまともなRNase Lを作れなくします。OASやRNase Lいずれかを欠損した免疫細胞(単核球細胞や骨髄細胞)のdsRNAやSARS-CoV-2への反応を調べたところ果たしてMIS-Cで生じるのに似た炎症性サイトカイン過剰生成が認められました。研究チームはRNase L欠乏細胞でのサイトカイン生成に寄与する経路も突き止めており、OASやRNase Lの欠乏はSARS-CoV-2感染に伴う無節操な炎症性サイトカイン生成をもたらしてMIS-Cを醸成したと結論しています。今回の研究で判明したMIS-C関連変異やそれら変異の免疫への影響の仕組みは川崎病などのMIS-Cに似た他の慢性炎症疾患の研究にも役立つでしょう2)。クリスマス前に心温まった報告~開発段階の薬が妊婦とその胎児を救った血液凝固の制御に携わる血中タンパク質ADAMTS13の重度欠乏による親譲りの血栓性血小板減少性紫斑病(先天性TTP)が妊娠中に判明した女性が武田薬品の開発段階の人工ADAMTS13(recombinant ADAMTS13、TAK-755)投与のおかげで無事に赤ちゃん(男児)を出産することができました4)。先天性TTP患者へのADAMTS13の目下の供給源は血漿ですがその女性のTTPに血漿交換(therapeutic plasma exchange)は歯が立たず、胎児はすぐにでも命を落としかねない状況となりました。女性の担当医師等は早い段階から先を見越して人工ADAMTS13のメーカー(武田薬品)に急遽の斟酌使用(emergency compassionate use)の要望を伝え、必要な手続きを経た上で人工ADAMTS13を入手しました。同剤使用に当たって担当医師は要所要所すべてで女性本人とその夫を交えて方針を決定しました。そのような一刻を争ったであろう状況の中、武田薬品から提供された人工ADAMTS13の投与の甲斐あって女性の血小板数は幸いにも正常化し、胎児の発育も安定化します。そして妊娠は37週過ぎまで持ちこたえてついには帝王切開による赤ちゃん(男児)の出産に漕ぎ着けることができました。クリスマス前の22日にNEJMに掲載されたその報告で著者はスイスと米国の武田薬品の従業員を含む関係者一同に謝意を示しています。論文執筆の時点で女性も男児も健やかに過ごせており、女性は2週間に1回の人工ADAMTS13投与を続けています。人工ADAMTS13は現在第III相試験(NCT04683003)が進行中です。結果がわかるのはしばらく先のようで、試験完了予定は2026年8月末です5)。参考1)Lee D, et al. Science. 2022 Dec 20;eabo3627. [Epub ahead of print]2)Research identifies potential genetic cause for MIS-C complication following COVID-19 infection / Eurekalert3)Melgar M, et al. MMWR Recomm Rep. 2022;71:1-14.4)Asmis LM, et al. N Engl J Med. 2022;387:2356-23615)A Study of TAK-755 in Participants With Congenital Thrombotic Thrombocytopenic Purpura(Clinical Trials.gov)

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