糖尿病対策で外来指導強化など中間とりまとめ公表/厚労省

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2023/02/21

 

 「厚生労働省の腎疾患対策及び糖尿病対策の推進に関する検討会」は、2月13日に「糖尿病対策に係る中間とりまとめ」を発表した。
 中間とりまとめによると、診療提供について「外来療養指導や外来栄養食事指導の強化」が謳われ、高齢者の糖尿病患者の低血糖予防や在宅看護など地域ケアの取り組みが追記された。また、糖尿病対策に係る指標の見直しでは、「糖尿病の予防」「糖尿病の治療・重症化予防」「糖尿病合併症の発症予防・治療・重症化予防」の3項目を軸とすることが記述された。

 主な中間とりまとめの概要は下記の通り。
【1 糖尿病対策に係る他計画との連携等を含めた診療提供体制について】
1)見直しの方向性
(1)健康日本21や医療費適正化計画の見直しにかかる検討状況、重症化予防や治療と仕事の両立支援に係る取組状況などを踏まえる。
(2)厚生労働科学研究の内容などを踏まえる。
2)具体的な内容
(1)引き続いての推進事項として
・地域の保健師・管理栄養士などと連携した糖尿病発症予防の取組や、保健師・管理栄養士などと医療機関の連携、健診後の受診勧奨・医療機関受診状況などに係るフォローアップなど予防と医療の連携。
・研究班や関係学会で整理された、かかりつけ医から糖尿病専門医への紹介基準、その他関係する専門領域への紹介基準なども踏まえ、合併症の発症予防・重症化予防に係る医療機関間連携や関連機関などとの連携。
・糖尿病対策推進会議や糖尿病性腎症重症化予防プログラムなど、保険者と医療機関などの連携。
・「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」に基づく治療と仕事の両立支援を含め、産業医などと連携した職域における糖尿病対策。
・周術期や感染症入院中の血糖コントロールなど、糖尿病を併存している他疾患を主たる病名として治療中の患者の血糖管理体制。
・患者およびその家族などに対する教育や、国民に対する正しい知識の普及啓発。
・糖尿病の動向や治療実態を把握するための取組や、取組評価の適切な指標の検討。
(2)追記事項として
・治療などに係る記載について、更新された糖尿病に係るガイドラインにおける記載内容や調査・研究の結果などを踏まえ、内容を更新する。また、外来療養指導、外来栄養食事指導の強化、運動指導の重要性について。
・高齢者糖尿病に関しては、高齢者糖尿病におけるコントロール目標などが設定されたことにも留意し、低血糖予防、フレイル対策、併存症としての心不全に関する実態把握、在宅医療・在宅訪問看護や介護・地域包括ケアとの連携などの要素も含め、糖尿病の治療や合併症の発症予防・重症化予防につながる取組について。

【2 新型コロナウイルス感染症拡大時の経験を踏まえた今後の糖尿病医療体制について】
1)見直しの方向性
(1)今回の新型コロナウイルス感染症拡大時の経験も踏まえ、地域の実情に応じ、多施設・多職種による重症化予防を含む予防的介入、治療中断対策などを含む、より継続的な疾病管理に向けた診療提供体制の整備などを進める観点から必要な見直しを行う。
2)具体的な内容
(1)感染症流行下などの非常時においても、切れ目なく糖尿病患者が適切な医療を受けられるような体制整備を進める。
(2)ICTの活用やPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)の利活用、在宅医療との連携を含めた継続的・効果的な疾病管理に係る検討を進めるとともに、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」にそって、オンライン診療による対応が可能な糖尿病患者の病態像についても整理を進める。

【3 糖尿病対策に係る指標の見直しについて】
1)見直しの方向性
(1)第8次医療計画における糖尿病対策に係る指標については見直しを行う。
(2)具体的な方向性は、以下の通りとする。
・「糖尿病の予防」「糖尿病の治療・重症化予防」「糖尿病合併症の発症予防・治療・重症化予防」の3項目を軸として整理。
・「専門家数」または「専門医療機関数」のいずれも用いうる指標については、医療提供体制の整備という観点から「専門医療機関数」を採用。

【4 今後検討が必要な事項について】
(1)高齢者の糖尿病の実態把握や、ICTなどを活用した糖尿病対策のあり方。
(2)糖尿病対策の取組の評価に係る適切な指標。

(ケアネット 稲川 進)