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第147回 インフル流行、ウイルス干渉説は間違いだった?

この3年間、一般的には感染症と言えば新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)のことばかりが取り上げられ、切り口によっては世論が分断するかのようなやり取りがあちこちで繰り広げられてきた。そうした中で私が友人などからよく「医療関係者の言うことはオオカミ少年」と何度か指摘されてきたテーマがある。それは「新型コロナ・インフルエンザ同時流行予測」である。確かにこれは新型コロナ・パンデミックが始まった2020年から言われてきたことだが、少なくとも2022年春までは杞憂に終わっている。しかし、国立感染症研究所の発表によれば、季節性インフルエンザの2023年第4週の定点当たり報告数は10.36人と注意報レベルとなり、第5週はさらに12.66人まで上昇している。第5週時点で都道府県レベルでは沖縄県が47.18人、福井県が35.46人とすでに警報レベルに達しており、大阪府も29.91人と警報レベル目前である。一方、新型コロナの第8波はすでにピークを越え、ここ数日の全国の新規陽性者報告数が3万人を切る状況になっている。とはいえ、この数字が第5波のピークよりも多いことを考えれば、現在の状況は「新型コロナ・インフルエンザ同時流行」と言っていいだろう。では、なぜここに来て同時流行状態となったのだろう?以前よく語られていた新型コロナ・パンデミック後のインフルエンザ流行下火の原因は、ある種のウイルスが流行すると他のウイルスが流行しない、いわば宿主の争奪戦で勝ったものが流行する「ウイルス干渉説」である。しかし、現状を見ればこの説が正しかったとは言えない。また、アメリカでは一足先に昨年10月くらいからインフルエンザが流行し始めた。12月上旬には新型コロナの流行も相まって、米・保健福祉省が「全米の病床使用率が80%超となった」と発表。同月下旬には米政府が抗インフルエンザ治療薬オセルタミビル(商品名:タミフル)の国家備蓄分を各地に配布し始めたほどである。このことをどのように考えれば良いのだろうかと思っていたが、先日ある専門家があくまで私見として次のように語ってくれた。「もし事実だとすれば教科書を書き換えなければならない話ともいえるが、実は日本にとってインフルエンザは土着感染症ではなく、輸入感染症だったのかもしれない」この専門家の話を聞いてから、私も改めていろいろと調べてみた。まず参照したのは世界保健機関(WHO)が公表している全世界的インフルエンザ・サーベイランスデータ「Flunet」である。これを見ると、2019~20年秋冬シーズン以降、最近までインフルエンザが定期的に流行している地域があった。インド、ネパール、バングラデシュなどのいわゆる南アジア地域である。これらの国の中でも若干流行の度合いは異なり、バングラデシュはほぼコロナ以前と同様の流行の波があり、インド、ネパールは2020年夏から2021年冬にかけてはほとんど流行が認められなかったが、それ以外の時期はほぼコロナ禍以前と同様の流行が起きている。ちなみにこれらの国はネパールやインド北部などを除くと、気候上は熱帯に属するため、冬という季節がない。このためインフルエンザの流行は雨季で人が屋内で密集しやすい6~10月くらいに起こる。それを踏まえて出入国管理統計を見ると、2019年はこれらの3ヵ国からの日本入国者は約26万人。これが2020年には約5万4,000人、2021年には約2万7,000人程度まで減少している。2022年6月に岸田 文雄首相は、水際対策としてそれまで停止していた外国人観光客の受け入れを段階的に緩和し始め、最新の2022年11月の出入国管理統計月報を見ると、この南アジア3ヵ国からの入国者はこの月だけで2万人を超えている。ちなみに前述のように、これらの国々では6月ごろからインフルエンザ報告数が増加するのが常だが、やはり2022年もこれは同様だった。日本が入国緩和策を取り始めた6月というのも同時期であったことを考えると、確かに状況的には相関があるし、少なくとも「ウイルス干渉説」よりは説得力があると言えそうである。もっともそれでも現状では「インフルエンザ輸入感染症説」は仮説の域を出てはいない。しかし、もしこの仮説が証明されたとしても、私たちは何らかの具体的な防衛策を立てようもないという現実も悩ましい。だからと言って、こうした地域からの入国者に対する検疫の強化や入国制限はとても合理的とは言えないことは、ほぼ衆目の一致することではないだろうか?結局のところ、われわれには、これまで新型コロナ対策を通じて明らかになった、手指消毒、ワクチン接種、状況に応じたマスク着用を淡々とかつ着実に実行するしかないという着地点しか見いだせない。自分を含む浮気な大衆に、これらの地味で時には鬱陶しいと思う努力を日常生活にどれだけ自然に定着させるか、という課題がより難易度を高めるだけかもしれない。そう思うと、この仮説が証明されることはこれまでの日常的な感染対策に飽き飽きしている今の社会にさらなる分断を生み出すだけかもしれないと、やや暗澹たる気持ちにさえなってしまう。

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高齢者・小児のマネジメントを追加、COVID-19診療の手引き9.0版/厚労省

 2月10日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第9.0版」を公開し、全国の自治体や関係機関に通知を行った。 今版の主な改訂点は以下のとおり。■診療の手引き9.0版の主な改訂点【1 病原体・疫学】・病原体/国内発生状況/海外発生状況の内容を更新【2 臨床像】・臨床像/重症化リスク因子/合併症/小児例の特徴/妊婦例の特徴の内容を更新【3 症例定義・診断・届出】・症例定義/血清診断/届出の内容を更新【4 重症度分類とマネジメント】・序文/軽症/中等症/重症/ECMO/血液浄化療法/妊産婦の管理・図の内容を更新・薬物療法のポイントをレイアウト上新設・高齢者の管理/小児の管理を独立して追加【5 薬物療法】・抗ウイルス薬/中和抗体薬/免疫抑制/調節薬/妊婦に対する薬物療法/日本国内で開発中の主な薬剤の内容を更新【6 院内感染対策】・序文/個人防護具/環境整備/廃棄物/死後のケア・職員の健康管理/医療従事者が濃厚接触者となった場合の考え方・感染予防策を実施する期間/妊婦および新生児への対応の内容を更新【7 退院基準・解除基準】・退院基準/宿泊療養等の解除基準の表をわかりやすく修正※これらのほか個々の文献情報なども更新。

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妊娠中のコロナワクチン接種、出生児の感染/入院を予防/BMJ

 妊娠中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン2回接種は、出生児の生後6ヵ月間における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)デルタ株への感染と入院に対し高い有効率を示し、オミクロン株の感染と入院に対しても中等度の予防効果が認められた。また、3回目のワクチン接種によりオミクロン株に対する有効率が上昇したこと、ワクチン2回接種の有効率は、母親の妊娠第3期での接種で最も高く、生後8週を過ぎると低下していた。カナダ・トロント大学のSarah C. J. Jorgensen氏らが、オンタリオ州の地域住民を対象とした検査陰性デザイン研究の結果を報告した。SARS-CoV-2中和抗体は、妊娠中の感染やワクチン接種により臍帯血、母乳、乳児血清に存在することが明らかになっており、妊娠中のCOVID-19ワクチン接種が、乳児のSARS-CoV-2感染および入院リスクを低下する可能性を示唆する新たなエビデンスが示されていた。BMJ誌2023年2月8日号掲載の報告。生後6ヵ月未満児約8,800例について、母親の妊娠中のワクチン接種との関連を解析 研究グループは、ICES(旧名称:Institute for Clinical Evaluative Sciences)のデータベースを用い、カナダで最も人口の多いオンタリオ州において2021年5月7日~2022年3月31日の期間に生まれ、2021年5月7日~2022年9月5日の期間にSARS-CoV-2の検査を受けた生後6ヵ月未満児を特定し解析を行った。COVID-19ワクチン接種データベース(COVaxON)を用いて母親の妊娠中のワクチン接種状況を調べ、デルタ株またはオミクロン株の感染が検査で確認された乳児を症例群、検査が陰性であった乳児を対照群として、乳児のデルタ株またはオミクロン株の感染または入院に対するワクチン有効率を多変量ロジスティック回帰モデルにより解析した。 乳児8,809例が適格基準を満たし、症例群はデルタ株99例、オミクロン株1,501例、対照群はそれぞれ4,365例、4,847例が含まれた。妊娠中の2回接種、乳児のオミクロン株感染/入院に対する有効率は45~53% 母親が妊娠中にワクチンを2回接種した場合の有効率は、乳児のデルタ株感染に対して95%(95%信頼区間[CI]:88~98)、デルタ株感染による入院に対して97%(73~100)であり、オミクロン株感染に対しては45%(37~53)、オミクロン株感染による入院に対しては53%(39~64)であった。 また、妊娠中のワクチン3回接種の有効率は、オミクロン株感染に対して73%(95%CI:61~80)、オミクロン株感染による入院に対して80%(64~89)であった。 乳児のオミクロン株感染に対するワクチン2回接種の有効率は、妊娠第1期(47%、95%CI:31~59)または第2期(37%、24~47)と比較して、妊娠第3期で最も高かった(53%、42~62)。また、出生~生後8週までは57%(44~66)であったが、生後16週以降には40%(21~54)へ低下していた。

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第32回 マスク緩和論を巡り再び世論分断

世論分断の波が再来3月13日からマスク着用は個人判断に委ねることを基本とする方針が示されました。コロナ禍も後半戦、あるいはもう9回表くらいでしょうか。そのあたりは誰にもわかりませんが、とにもかくにも緩和される方針になりました。ただし、医療機関、高齢者施設、通勤ラッシュ・混雑した場所ではマスク着用が推奨されています。厚生労働省は、上記の考え方を事務連絡「マスク着用の考え方の見直し等について(令和5年3月13日以降の取扱い)」として示しています1)。医学的な弱者に感染させてしまうリスクがあるため、きわめて妥当な推奨なのですが、これで世論がまた分断されているようです。コロナ禍で何度か見た風景がまた始まってしまった。卒業式のマスク問題なぜ再びマスク問題が過熱しているかというと、「卒業式でマスク着用どうする問題」が急浮上したからです。文部科学省は2023年2月10日、卒業式におけるマスクの取扱いについて、各都道府県の教育委員会等に通知を出しています2,3)。これによると、「児童生徒と教職員は式典全体を通じてマスクなし、来賓や保護者等はマスク着用を基本」として示しています。簡単に言えば、感染対策はゼロにしたくないけど、子供の思い出のためのマスク緩和はやむなしということですよね。さらに通知では、児童生徒と教職員は、入退場、式辞・祝辞等、卒業証書授与、送辞・答辞の場面を含めて、式典全体を通じてマスクなしを基本とする、としています。しかし、来賓や保護者等はマスクを着用し、座席間の距離を確保するとされています。またさらに、壇上で式辞や祝辞等を述べる場合に関しては、来賓はマスクなしを許可しています。そして、国歌・校歌等の斉唱や「6年間で楽しかったことー!」などの「呼びかけイベント」についてはマスク着用を求めています。こ、細かい…細かすぎる……!「5類」化なのに厳格化そもそも、マスクを巡ってここまで重箱の隅をつつくような議論が必要なのでしょうか。日本ってこれほどルールが必要でしたっけ。あるいは、コロナ禍がそうさせてしまったのか…。全国知事会は、加藤 勝信厚生労働大臣に対して「全部が個人の判断と言われても困る」と伝えています。この意見もわからなくもないのですが、もう大人ですから、当初提示されたように「個人の判断に委ねる」でいいんじゃないか、と私自身は思っています。各業界団体は、業種別にガイドラインの見直しを行う方針になっています。飲食店で中間管理職をやっている私の友人も、「仕事が増えた」と激オコでした。5月8日から「5類感染症」にするというのに、逆に細かい規定でがんじがらめになってしまう現象って、本末転倒な気もします。具体的な場面を挙げるとなると、新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身 茂会長もおっしゃっていたように、100万の場面があるのでキリがありません。もちろん、具体的な場面例を通達してもよいですが、分断を生む火種になることは目に見えているので、国民に対しては「感染が流行しているので常識的なマスク着用を」程度の啓発で、押し通せばよかったのでは、とも感じます。参考文献・参考サイト1)厚生労働省:マスク着用の考え方の見直し等について(令和5年3月13日以降の取扱い)2)文部科学省:永岡文部科学大臣臨時会見(令和5年2月10日)【動画】3)文部科学省:卒業式におけるマスクの取扱いに関する基本的な考え方について(通知)(令和5年2月10日)

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5~11歳児へのコロナワクチン、MIS-C低減/筑波大

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック初期では、小児が感染しても、成人より軽い症状を呈する傾向があることが研究で示されていた。しかし、パンデミックの進行に伴い、呼吸不全、心筋炎、COVID-19 に続発する小児多系統炎症性症候群(MIS-C)など、重症化や合併症を発症するリスクがあることが新たに示唆されている。5~11歳の小児への新型コロナウイルスmRNAワクチンの有効性と安全性を評価するため、筑波大学附属病院 病院総合内科の渡邊 淳之氏らの研究グループにより、系統的レビューとメタ解析が行われた。本研究の結果、ワクチン接種により新型コロナ感染、入院およびMIS-Cなどのリスク低減が認められ、ワクチン接種による局所的な有害事象の発現率は高かったが、心筋炎を含む重篤な有害事象の発現頻度は低く、ほとんどの有害事象が数日以内に消失したことが明らかとなった。本研究は、JAMA Pediatrics誌オンライン版2023年1月23日号に掲載された。 本研究では、2022年9月29日までの小児におけるコロナワクチンの有効性または安全性を評価するすべての無作為化比較試験(RCT)および観察研究を、PubMedとEmbaseのデータベースから検索し、さらに、特定した論文の参考文献を含む2次資料を追加検索し、関連する論文を包括的に収集した。コロナワクチンについては、ファイザー製またはモデルナ製のmRNAワクチンに限定し、投与量を抽出した。主要評価項目は、症状の有無にかかわらないSARS-CoV-2感染、副次評価項目は、有症状のSARS-CoV-2感染、COVID-19関連疾患による入院、MIS-C、ワクチン接種による有害事象とした。有効性と安全性の評価項目の未調整/調整オッズ比を抽出し、ランダム効果モデルで統合した。有害事象については発現率の詳細を評価した。 主な結果は以下のとおり。・2件のRCT、15件の観察研究(コホート研究12件、ケースコントロール研究3件)の合計17件を解析した。ワクチン接種児1,093万5,541例(平均年齢または中央値:8.0~9.5歳、女性:46.0~55.9%)、ワクチン未接種児263万5,251例(同:7.0~9.5歳、女性:44.3~51.7%)であった。追跡期間の中央値は7~90日。・ワクチン2回接種児は未接種児と比較して、次の評価項目のリスク低下と関連していた。 -症状の有無にかかわらないSARS-CoV-2感染(オッズ比[OR]:0.47、95%信頼区間[CI]:0.35~0.64) -有症状のSARS-CoV-2感染(OR:0.53、95%CI:0.41~0.70) -COVID-19関連疾患による入院(OR:0.32、95%CI:0.15~0.68) -MIS-C(OR:0.05、95%CI:0.02~0.10)・ワクチン接種はプラセボと比較して、あらゆる有害事象のリスク上昇と有意に関連した(OR:1.92、95%CI:1.26~2.91)。日常生活を妨げる有害事象のリスク上昇との関連は非有意だった(OR:1.86、95%CI:0.39~8.94)。・ワクチン接種による有害事象について、ほとんどのワクチン接種児は、1回目の接種(5万5,949例中3万2,494例[86.3%、95%CI:74.1~93.3%])と2回目の接種(4万6,447例中2万8,135例[86.3%、95%CI:73.8~93.4%])で少なくとも1つの局所有害事象を経験した。接種児の約半数が全身性有害事象を発現した。・日常生活に支障を来す有害事象は、1回目の接種で4.9%(95%CI:3.1~7.7%)、2回目の接種で8.8%(95%CI:5.4~14.2%)確認された。・心筋炎は、1回目の接種で100万分の1.3(929万1,923例中12例)、2回目の接種で100万分の1.8(731万6,924例中13例)の確率で認められた。

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北京では22年11月以降、新たな変異株は認められず/Lancet

 中国・北京市で2022年11月14日以降に流行している新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、その大部分がBA.5.2とBF.7で、新たな変異株出現のエビデンスはないことを、中国・Beijing Center for Disease Prevention and Control(北京市疾病予防管理センター)のYang Pan氏らが報告した。約3,000件のSARS-CoV-2について完全ゲノムシークエンスを行い明らかにした。著者は、「今回のデータは北京市のみのものだが、人流の頻度および伝染力が強い系統が循環していたことから、結果は“中国の現状”とみなすことができる」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年2月8日号掲載の報告。2022年採取のSARS-CoV-2をゲノム解析、系統発生学的・人口動態的分析を実施 研究グループは、本検討の背景について次のように述べている。「中国でのダイナミックな国家的ゼロCOVID戦略によって、2022年12月以前の北京市では、SARS-CoV-2の持続的局地的感染は起きていなかった。しかし、外来ケースは過去3年にわたり、たびたび検出されてきた。最近、中国ではCOVID-19症例が急増しており、SARS-CoV-2の新たな変異株出現が懸念されているが、北京市では3年の間、ウイルスゲノムの監視をルーチンに行ってきている。なお続くCOVID-19パンデミックへの世界的対応には、世界的に収集された最新のウイルスゲノムシークエンスをローカルデータのそれと比較した時空間解析が重要である」。 本検討では過去3年間にルーチンに採取が行われた、北京市で発生したSARS-CoV-2(国内症例・外来症例の両者をカバー)の呼吸器検体の中から、2022年1月~12月の収集サンプルを用い、その中から無作為に抽出して分析を行った。 次世代シークエンシングによりSARS-CoV-2をゲノム解析し、さらに質の高い完全シークエンスを用いて、系統発生学的・人口動態的分析を行った。11月14日以降の国内症例、90%がBA.5.2またはBF.7 2,994件の完全SARS-CoV-2ゲノムシークエンスが得られ、そのうち2,881件について質の高い完全シークエンスとさらなる分析を行った。加えて2022年11月14日~12月20日にかけて、413件の新たな検体(国内症例350、外来症例63)のシークエンシングを行った。 シークエンシングを行ったSARS-CoV-2ゲノムは、すべて123 PANGO系統に属しており、それ以外の持続的優勢株や新系統は見つからなかった。北京市では、現在SARS-CoV-2のBA.5.2とBF.7が主流で、11月14日以降の国内症例の90%(350例中315例)を占めており、11月14日以降に、BA.5.2とBF.7の株保有者数が増加していた。

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コクランレビューが導き出したマスク着用効果

 2020年の新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)流行以前にも新型インフルエンザ(H1N1)や重症急性呼吸器症候群(SARS)の感染拡大が問題視され、その度にコクランレビューがなされてきた。今回、新型コロナ流行に関する研究を盛り込み更新されたシステマティックレビューがThe Cochrane Database of Systematic Reviews誌2023年1月30日号に掲載された。コクランレビューではマスクの効果について不確実性 オックスフォード大学のTom Jefferson氏らは急性呼吸器感染症に影響するウイルスの拡散阻止または軽減のための身体的介入の有効性を評価することを目的に論文データベース(CENTRAL、PubMed、Embaseほか)および2022年10月に登録された2試験から、後方引用と前方引用によるシステマティックレビューを行った。論文の選択基準として、呼吸器系のウイルス感染を防ぐための物理的介入(入国時スクリーニング、隔離/検疫、物理的距離、個人保護具、手指衛生、マスク、眼鏡、うがい)を調査したランダム化比較試験(RCT)およびクラスターに関するRCTを検討した。 急性呼吸器感染症に影響するウイルスの拡散阻止または軽減のための身体的介入の有効性を評価したコクランレビューの主な結果は以下のとおり。・今回のコクランレビューには、既存の67件に最新のRCTとクラスターに関するRCT(登録者61万872例)11件を加え、78件を検討した。新たな試験のうち、6件は新型コロナ流行時に実施されたものだった。・多くの研究は、インフルエンザが流行していない時期に実施され、いくつかの研究は2009年の新型インフルエンザ流行時に実施されていた。また、そのほかの研究は2016年までのインフルエンザの流行期に実施されていたため、多くの研究は新型コロナ流行時と比較して、下気道のウイルス感染が拡大している時期に実施されていた。・分析した研究の置かれた環境はさまざま(郊外の学校、高所得国の病棟、低所得国の都心部など)で、多くの研究では介入群のアドヒアランスが低く、RCTとクラスターに関するRCTのバイアスのリスクは非常に高いか不明確であった。・医療用/サージカルマスクとマスクなしを比較した12件(うち10件はクラスターRCT、医療従事者による2件と地域での10件)によると、マスクを着用していない場合と比較し、地域社会でのマスク着用はインフルエンザ様疾患(ILI)/新型コロナ様疾患の転帰にほとんどあるいはまったく差がなく、試験9件(27万6,917例)のリスク比[RR]は0.95(95%信頼区間[CI]:0.84~1.09、証拠の確実性:中程度)だった。また、試験6件(1万3,919例)のRRは1.01(95%CI:0.72〜1.42、証拠の確実性:中程度)だった。・手指衛生に関する試験19件(うち9件の5万2,105例)によると、手指衛生の介入はコントロール(介入なし)と比較し、急性呼吸器感染症の患者数が相対的に14%減少した(RR:0.86、95%CI:0.81~0.90、証拠の確実性:中程度)。・ガウンと手袋、フェイスシールド、入国時スクリーニングに関するRCTは見つからなかった。 ただし、研究者らは「試験における偏りのリスクが高く、結果の測定値にばらつきがあり、研究時の介入群でのアドヒアランスが比較的低いため、確固たる結論を導き出すことはできなかった。そのため、マスクの効果については不確実性が残っている。エビデンスの確実性が低~中程度であることは、効果の推定値に対する信頼性が限られていること、および実際の効果が観察された効果の推定値と異なる可能性があるため、複数の設定や集団におけるこれらの介入の多くの有効性、それに対するアドヒアランスの影響に対処する、適切に設計された大規模なRCTが必要」と記している。

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第150回 ChatGPTの医師資格試験の成績は?/コロナ感染を食い止める受容体

人工知能ChatGPTの米国医師資格試験の正解率がほぼ合格水準単語の関連性予想に基づいて人が書くような文章の返事をする人工知能(AI)ソフトウェア「ChatGPT」が米国医師資格試験(USMLE)を受けたところ合格水準ぐらいの成績をおさめました1,2)。USMLEのウェブサイトで公開されているStep1、Step2 Clinical Knowledge(CK)、Step3の3段階の例題376問のうち画像、写真、グラフなどの視覚情報込みの問題を省いた350問がChatGPTに入力されました。判定不可能な回答(indeterminate response)を除いた正解率は52.4~75.0%で、合格に必要な例年の正解率である約60%あたりの成績でした。ChatGPTのかなり優秀なUSMLE試験成績に触発され、本研究の著者が所属する肺疾患のバーチャルクリニック「AnsibleHealth」ではChatGPTが試験的に業務に取り入れられています。同クリニックの医師は漏洩の心配がない匿名化情報をChatGPTに入力することで、専門用語満載の画像報告などを患者にわかりやすく説明する資料や保険関連の書面などの難儀な文章作成を助ける回答を得られるようになっています。また、掴みどころがなくて診断が困難な症例の理解の手がかりを掴むことや議論をすることにもChatGPTが使われています。コロナ感染を食い止める受容体を同定新型コロナウイルス(SARS-CoV-2、以下「コロナウイルス」)を捕らえて感染が広まらないようにする、いわば盾のような役割を担うヒト細胞タンパク質が見つかりました3,4)。コロナウイルスがヒト細胞侵入の足がかりとする受容体といえばACE2(アンジオテンシン変換酵素2)が有名ですが、シドニー大学のチームの研究で新たに同定されたコロナウイルス受容体「LRRC15」はACE2と同様にコロナウイルスのスパイクタンパク質に結合するもののその細胞侵入を助けるのではなく阻止します。LRRC15はウイルスに張り付いて身動きがとれないようにして細胞へのコロナウイルス感染を阻止します。LRRC15の発現は肺、舌、皮膚、胎盤、リンパ節などの多くの組織で認められています。肺ではコロナウイルスが感染しない種類の細胞・線維芽細胞や神経細胞群で主に発現しています。肺のLRRC15は普段は身を潜めており、いざウイルスが侵入すると駆り出されるらしく、コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の肺胞表面にはあってCOVID-19ではない人の肺には認められませんでした。すなわちLRRC15はどうやらCOVID-19で広く発現して気道表面を覆い、感染を阻止する防御壁を築きます。そうしてコロナウイルスのスパイクタンパク質に結合してコロナウイルスを差し押さえる働きを担うようです。また、LRRC15は線維芽細胞の遺伝子発現を線維化から抗ウイルス反応へと切り替えることも示され、コロナウイルス感染に伴う線維化を抑制して抗ウイルス反応を向上させる働きも担うようです。COVID-19にLRRC15がどう関わるかはこれから調べる必要がありますが、重症化の指標を少なくとも担うことがImperial College Londonのチームによる最近の研究報告で示されています5)。COVID-19患者のLRRC15レベルを追ったところ、軽~中等症の経過を辿った患者の血漿では一定でしたが、重症化例では日を追うごとに低下しました。どうやらLRRC15は少ないと重症化する恐れがあり、多ければ軽症で済むようです。シドニー大学のチームはさらに先を見据え、LRRC15を利用してCOVID-19を阻止する2つの手段の開発に取り掛かっています4)。その1つは鼻からのコロナウイルス感染を予防するもので、もう1つは肺に至ってしまったコロナウイルス感染の重症化を阻止するものです。以上、シドニー大学のチームの研究成果を主に取り上げましたが、他の2つのチームもLRRC15がコロナウイルスの受容体であることを突き止めています。1つは米国のブラウン大学とエール大学のチーム6)、もう1つは英国のサンガー研究所(Wellcome Sanger Institute)の研究者などによるもの7)です。LRRC15が阻止するウイルスは実は他にもあり、15年ほども前の先立つ研究でアデノウイルス感染抑制効果がすでに示されています8)。線維芽細胞で発現するLRRC15はパターン認識受容体として種々のウイルスを差し押さえる働きがあるかもしれず、今後のさらなる研究でコロナウイルスの枠だけにとどまらない裾野の広い発見があるでしょう。参考1)Kung TH, et al. PLoS One. 2023;2:e0000198.2)ChatGPT can (almost) pass the US Medical Licensing Exam / Eurekalert3)Loo L, et al. PLoS Biol. 2023;21:e3001967.4)Scientists discover receptor that blocks COVID-19 infection / Eurekalert5)Gisby JS, et al. Nat Commun. 2022;13:7775.6)Song J, et al. bioRxiv. 2021 Nov 24.7)Shilts J, et al. PLoS Biol. 2023;21:e3001959.8)O'Prey J, et al. J Virol. 2008;82:5933-5939.

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新型コロナ、米0~19歳の感染症による死因1位

 新型コロナウイルス感染症による死亡は、昨年7月までの1年間において米国の0~19歳の全死因の8位、感染症または呼吸器疾患による死亡では1位だったことがわかった。英国オックスフォード大学のSeth Flaxman氏らによる本研究の結果は、JAMA Network Open誌2023年1月30日号に掲載された。 研究者らは、米国疾病対策予防センター(CDC)のWide-Ranging Online Data for Epidemiologic Research(WONDER)データベースを使い、2020年4月1日~2022年8月31日まで、12ヵ月の期間ごとにCOVID-19の死亡率を算出。0~19歳および年齢区分(1歳未満、1~4歳、5~9歳、10~14歳、15~19歳)別に、死亡総数、人口10万当たりの粗死亡率、全死因に対する死因順位を算出し、2019年、2020年、2021年の主要なCOVID-19以外の死因による死亡数と比較した。オミクロン株が流行の中心で、ワクチンを利用することができ、非薬物による介入が限られている時期を代表させるため、データのある直近の2021年8月1日~2022年7月31日を抽出した。 この期間に、米国全体におけるCOVID-19による死亡者数は36万例を超えた(人口10万人当たり109例)。このうち0歳~19歳の小児および若年者は821例だった(人口10万人当たり1.0例)。この年少および若年層におけるCOVID-19による死亡リスクはほかの年齢層よりも大幅に低いが、この年代はそもそも死亡自体がまれであり(0~19歳では10万人当たり49.4例、1~19歳では10万人当たり25.0例:2019年)、COVID-19の死亡負担をCOVID-19以前における他の重要な原因と比較することで検討した。 主な結果は以下のとおり。・0~19歳のCOVID-19による死亡は821例であり、粗死亡率は全体で人口10万人当たり1.0、年齢層ごとにU字型カーブを描いており、1歳未満は4.3、1~4歳は0.6、5~9歳は0.4、10~14歳は0.5、15~19歳は1.8だった。・2021年8月1日~2022年7月31日におけるCOVID-19の死亡率は、米国における0~19歳の10大死因のうち、全死因の8位、疾患関連死因(不慮の事故、暴行、自殺を除く)の5位、感染症または呼吸器疾患による死亡の1位だった。COVID-19による死亡はこの年齢層の全死因の2%を占めた。 研究者らは「本研究の結果は、COVID-19が小児および若年層の主要な死因であったことを示唆している。さらに、過少報告や他疾患による死亡原因の一因としてのCOVID-19の役割を考慮しないなど、さまざまな要因があるため、これらの推定値はCOVID-19の真の死亡負担を控えめにしている可能性がある。将来、SARS-CoV-2が持続的に流行すると考えられる状況においては、適切な医薬品および非医薬品の介入(ワクチン、換気、空気清浄)が、ウイルスの伝播を制限し、小児・若年患者の重症化を軽減する上で引き続き重要な役割を果たすと思われる」としている。

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第134回 全世代型社会保障制度関連法案を閣議決定、75歳以上の健康保険料引き上げへ/内閣府

<先週の動き>1.全世代型社会保障制度関連法案を閣議決定、75歳以上の健康保険料引き上げへ/内閣府2.かかりつけ医機能を制度化へ、かかりつけ医機能報告制度創設/厚労省3.新型コロナワクチン、無料接種は4月以降も継続、次回は今年の秋から/厚労省4.健康保険証廃止で「マイナ保険証」ない人には資格確認書を提供/政府5.臓器移植を無許可あっせんでNPO法人理事を逮捕、法外な料金も問題に/警視庁6.未承認薬の緊急避妊薬やイベルメクチンのアフィリエイト広告で逮捕/兵庫県警1.全世代型社会保障制度関連法案を閣議決定、75歳以上の健康保険料引き上げへ/内閣府政府は、2月10日に一定の収入(年収153万円以上)を超えるの75歳以上の高齢者の健康保険料の引き上げを含む、「全世代社会保障法案」(全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案)を閣議決定した。少子高齢化で財政が厳しい中、子ども・子育て支援の拡充、高齢者医療を全世代で公平に支えあうための高齢者医療制度の見直し、医療保険制度の基盤強化、医療・介護の連携機能および提供体制などの基盤強化を柱としている。具体的には「出産育児一時金」が今年の4月から50万円に引き上げられる財源について、75歳以上の高齢者にも財源の一部を負担してもらうほか、一定の年収を超える75歳以上の高齢者の保険料を現在の66万円を2024年度に73万円、2025年度に80万円と段階的に引き上げる。さらに74歳までの前期高齢者の医療費を現役世代が支援する仕組みでも、大企業の健康保険組合の負担を増やす一方で、中小企業の従業員が加入する「協会けんぽ」の負担を軽くする。この他、都道府県に対して、医療費適正化計画の立案の段階から、保険者と協議を行うことで、医療費適正化に向けた都道府県の役割、責務を明確化する。現在開会中の通常国会に提出し、成立を目指す。施行期日は、一部を除いて2024年4月1日となる。(参考)全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案(厚労省)75歳以上医療保険料引き上げ、法案閣議決定 年収153万円超から(毎日新聞)75歳以上の医療保険料、引き上げへ 政府 全世代型法案を閣議決定(JOINT)2.「かかりつけ医機能報告」を創設、かかりつけ医機能が制度化へ/厚労省政府は2月10日、かかりつけ医機能の制度整備などを盛り込んだ「全世代社会保障法案」(全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案)を閣議決定した。現行の医療機能情報提供制度を変更して、新たに「かかりつけ医機能報告制度」が創設される。厚生労働省によれば、慢性疾患を有する高齢者や継続的に医療を必要とする患者を地域で支えるために定められた機能([1]日常的な診療の総合的、継続的実施、[2]時間外診療、[3]急変時や入院時に患者を支援、[4]在宅医療の提供、[5]介護サービスなどとの連携など)について、医療機関から都道府県に報告を求める。都道府県知事はそのデータを確認し、地域の関係者との協議の場に報告するとともに公表する。厚生労働省は、かかりつけ医機能の報告が医療機関を縛るものではないとしており、必ずしもかかりつけ医制度を義務化するものではないとの立場。厚生労働省は医療法を改正して、2025年4月1日の施行を目指す。(参考)かかりつけ医機能が発揮される制度整備について(厚労省)「かかりつけ医機能」発揮へ制度整備、法案閣議決定 厚労相「地域で機能提供できる体制構築」(CB news)自民党厚労部会 全世代社会保障法案を部会長一任で了承 かかりつけ医機能の「確認」は行政行為にあらず(ミクスオンライン)「かかりつけ医」制度化、何が論点? 武藤正樹医師に聞く(上) 政府は患者登録制は見送り(東京新聞)「かかりつけ医」制度化、何が論点? 武藤正樹医師に聞く(下) 総合診療医の育成支援を(同)3. 新型コロナワクチン、無料接種は4月以降も継続、追加接種は今年の秋に実施/厚労省厚生労働省は2月8日に厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会を開催し、今年3月末に無料接種の期限を迎える新型コロナウイルスワクチン接種について、4月以降もすべての接種対象者の無料接種を継続する方針を固め、さらに2023年度の追加接種の方針について、以下の通りとりまとめた。追加接種の対象者は高齢者などの重症化リスクがある人を優先するが、重症化リスクが高くない人であっても重症化が発生するため、引き続き無料接種を継続する。接種時期は、前回から1年が経過する今年秋から冬に実施予定だが、重症化リスクのある人については秋を前に接種を行う。また、子ども(5~11歳)や乳幼児(6ヵ月~4歳)は、接種開始から時間が短いため、接種期間を延長する。(参考)2023年度以降の新型コロナワクチンの接種の方針についての議論のとりまとめについて(厚労省)2023年度以降の新型コロナワクチンの接種の方針について(同)新型コロナワクチン、4月以降も無料接種継続へ 次回は今秋冬に(毎日新聞)新型コロナワクチン 秋から冬に次の接種 基本方針まとまる(NHK)コロナワクチン接種スケジュール「毎年秋冬が妥当」厚労省が厚科審部会に方針案提示(CB news)4.健康保険証廃止で「マイナ保険証」ない人には資格確認書を提供/政府政府は、2024年秋に行う健康保険証の廃止と、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」への切り替えを前に、「マイナ保険証」の普及に向けて、取得を呼びかける広報を行っているが、2月5日時点マイナンバーカードの保有率は68.1%だが、健康保険証としての利用登録率は59.3%とまだ低い(2023年2月5日時点)。このため政府は、2024年の健康保険証の廃止後もマイナンバーカードを紛失した人や未取得の人が保険診療を受けられるように、保険証の情報を記載した「資格確認書」を提供する方向で検討を開始した。また、新生児についても、出生届の提出時に申請を受け付け、1歳未満の乳児には顔写真がないカードを交付する方針。政府は、具体化に向けてさらに検討を行い、法案を今国会に提出する見込み。(参考)“マイナ保険証”ない人には「資格確認書」提供で調整 政府(NHK)健康保険証廃止後の保険診療で具体案取りまとめ 政府(同)マイナ保険証未取得者に資格確認書 24年保険証廃止で政府調整(毎日新聞)マイナンバーカード交付状況について(総務省)政策データダッシュボード(ベータ版)(デジタル庁)5.臓器移植を無許可あっせんでNPO法人理事を逮捕、法外な料金も問題に/警視庁ベラルーシの病院での臓器移植を無許可であっせんしたとして、警視庁生活環境課は2月9日までに、NPO法人「難病患者支援の会」(横浜市)の理事を臓器移植法違反の疑いで逮捕した。同法人も同じ容疑で書類送検となる見込み。報道によると逮捕された菊池仁達容疑者らは、厚生労働省の許可を得ずに、臓器移植を希望する患者に対して海外渡航での臓器移植を斡旋し、手術後に合併症などで死亡するなど被害が出ているほか、費用を払い込んだにもかかわらず移植が行われず、死亡した患者の遺族へ返金がなされていないなど被害が発生していた。加藤厚労大臣は、記者会見でこの事件について「事実だとすれば大変遺憾」だとして、国内でも他に同様の事案が無いか、調査していく考えを示した。さらに「同様の事案が生じないよう、臓器提供に関する正確な情報を発信していく」と強調した。日本臓器移植ネットワークによれば、日本国内のドナー数は100万人当たり0.62とアメリカの41.88やドイツの11.22など世界各国に比べて、提供件数が低いままであり、今回のように待機患者が海外を目指すケースが後を絶たない。2008年の国際移植学会で「移植が必要な患者の命は自国で救う努力をすること」という主旨のイスタンブール宣言が出されたことで、わが国でも2009年に改正臓器移植法が成立し、2010年7月に全面施行となっている。(参考)臓器あっせん、患者は徹底捜査求める「移植費用の行方解明して」(読売新聞)臓器あっせん、別の日本人患者も死亡…ベラルーシで肝臓・腎臓を同時移植(同)相場の2倍要求か 臓器移植、無許可あっせん容疑の理事(日経新聞)「不透明」な海外移植あっせん 増えぬドナー、減らぬ希望者が背景に(朝日新聞)6.未承認薬の緊急避妊薬やイベルメクチンのアフィリエイト広告で逮捕/兵庫県警兵庫県警生活経済課は2月9日、緊急避妊薬やうつ病の治療薬など未承認の医薬品のアフィリエイト広告をインターネット上に掲載したとして、医薬品医療機器法(未承認医薬品の広告禁止)違反の疑いで、群馬県高崎市の男性(39)を逮捕した。調べによると、男性は副業でアフィリエイト(ネット広告)用のウェブサイトを複数開設し、アフィリエイト仲介業者を通して、毎月10万円前後の報酬を得ていた。Webサイトには、未承認の緊急避妊薬、抗うつ薬に加え、新型コロナウイルス感染症治療薬として未承認の「イベルメクチン」も掲載されていた。厚生労働省は2021年8月に医薬品医療機器等法を改正しており、医薬品等の誇大広告の規制の強化を打ち出している。第66条の条文には「何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない」とされている。規制対象は、広告主だけではなく、広告代理店・アフィリエイターなどの個人も対象となる。また、健康食品・サプリメント、健康・美容器具であっても、医療品のような効果を訴求して、薬機法に抵触する表現をすると医薬品であるとみなされ、課徴金の対象となる可能性があり、課徴金として「売上額」の4.5%を支払う必要がある。(参考)未承認の緊急避妊薬などをネット広告に 県警が群馬の男逮捕「本当に悪いのは輸入代行者」(神戸新聞)医薬品等の広告規制について(厚労省)アフィリエイト広告のしくみと法規制(国民生活センター)薬機法改正のポイントを分かりやすく解説!企業は何を対策すべき?(Letro)

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オミクロン株XBB.1.5、感染力・免疫逃避能ともに増強/東大

 米国疾病予防管理センター(CDC)が発表したデータによると、米国では2022年12月より新型コロナウイルスのオミクロン株XBB.1.5の感染が急激に増加し、2023年2月4日時点で全体の66.4%を占めている。XBB.1から派生したXBB.1.5は、日本でも感染例が確認されており、今後の感染拡大が懸念されている。東京大学医科学研究所の佐藤 佳氏らの研究グループは、オミクロン株XBB.1.5のウイルス学的特徴を、流行動態、感染性、免疫抵抗性などの観点から解析し、XBB.1.5はXBB.1と比べて、実効再生産数(Re)が1.2倍高いことや感染力が高まっていること、さらに血清中の中和抗体に対してBA.2やBA.5よりもきわめて高い免疫逃避能を持つことを明らかにした。本結果は、Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2023年1月31日号のCORRESPONDENCEに掲載された。新型コロナ・オミクロン株XBB.1.5はXBB.1と比べて3倍高い感染力 新型コロナウイルスのオミクロン株XBB.1.5のウイルス学的特徴を、流行動態、感染性、免疫抵抗性などの観点から解析した主な結果は以下のとおり。・米国内のウイルスゲノム取得情報を基に、ヒト集団内におけるオミクロン株BQ.1.1、BQ.1、XBB.1、XBB.1.5のそれぞれについて実効再生産数を推定したところ、XBB.1を基準とすると、BQ.1.1、BQ.1は同等かわずかにそれ以下であったのに対し、XBB.1.5はXBB.1の1.2倍高かった。・スパイクタンパク質と感染受容体ACE2(アンジオテンシン変換酵素2)との結合を検証したところ、XBB.1.5のスパイクタンパク質のACE2への結合力が、BA.2の6倍、XBB.1の4倍高かった。・ウイルスの感染性について、XBB.1.5はXBB.1と比べて3倍高い感染力を示した。・XBB.1.5の免疫逃避能について、ワクチン接種後にBA.2にブレークスルー感染した人の血清においてBA.2の20倍、BA.5にブレークスルー感染した人の血清においてBA.5の9.5倍、血清中の中和抗体に対して強い抵抗性を示した。XBB.1.5とXBB.1の抵抗性の強さは同程度だった。 著者は本結果について、新型コロナウイルスのオミクロン株XBB.1.5は、XBB.1と同様の高い免疫逃避能を保持しつつ、スパイクタンパク質に新たにS486P変異を獲得したことで、XBB.1よりも強くACE2と結合できるようになり、その感染力を高めたと考えられるという。今後、XBB.1.5の流行は全世界に拡大していくことが予想され、第9波の主体になる可能性も懸念されており、これを回避するために有効な感染対策を講じることが肝要だとしている。

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第146回 5類移行もマスク着用緩和も、政府の忖度は医療者よりSNS民?

しかし、何と間の悪い時期にわかりにくいことをするのだろう。政府が来月上旬に実施予定と報じられているマスク着用推奨の変更である。「間が悪い」と言ったのは、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の感染症法上の分類を5類に移行する時期にこの「政策」を実行することである。ちなみにあえてカギカッコをつけたのは、マスク着用は以前から法的拘束力がなく、政府の呼びかけに過ぎないからである。新型コロナの5類移行は、あくまで現在の主流株であるオミクロン株亜系統の性質とワクチン接種の進展に応じた行政的取り扱いの変更が主軸である。これに対し、マスク着用のうんぬんは医学的見地からの感染リスク低減策であり、本質的に医学的な問題である。にもかかわらず、政府側が明らかに5類移行に絡めていることは「間が悪すぎる」のである。新型コロナによる重症化・死亡リスクが当初と比べかなり低下しているとは言え、感染経路が変わったわけでもなく、むしろ感染力は強まっている。そして基礎疾患を有する者や高齢者にとっては未だに命の危険にさらされる感染症である。この状況で行政上の取り扱いと医学的感染リスク低減策の緩和を同時に行えば、シンプルに「新型コロナ、もはや一切恐るるに足らず」と曲解されかねない。すでにその兆候はSNS上では見え始めている。たとえば、ちょうどこの時期にコクランがウイルス性呼吸器感染症に対する、マスクを含む各種物理的介入に関するシステマティック・レビューの結果を報告している。簡単に結果だけを見れば、サージカルマスクの着用と非着用で比較してインフルエンザや新型コロナの感染リスクはほとんど変わらないというものになる。もっともこの論文の結論の冒頭で著者が言っているのは「試験のバイアスリスクの高さ、評価項目のばらつき、物理的介入のアドヒアランスの低さなどから確たる結論を導き出せない」ということである。にもかかわらず、SNS上では「コクランがマスクは無効と認めた」とのツイートが飛び交っている。また、新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが先ごろ入学式・卒業式でのマスク着用に対して示した考え方は、「一定の感染リスクはあるが、一生に一度の式典であるため、リスクに対する合意形成や可能な限りの対策が実施されればマスク非着用は選択肢の1つ」というものだ。医学的知見と社会的状況の両面を考えた苦心が見える着地点である。しかし、これには感染が広がるのではないかというごく当たり前の懸念と同時に、まるでマスク非着用の全面的解禁の視点になっているものもある。さらには元東京都知事で現参議院議員の猪瀬 直樹氏のように「感染症専門家たちのエラそうな言い方」との揶揄もある(私には猪瀬氏本人の言い様のほうが何十倍もエラそうに読めてしまうのは気のせいか)。この5類移行とマスク着用の緩和がほぼ同時期に実行されると、どのような事態になるだろうか? おそらく社会全体では新型コロナに対する警戒が緩み、それに伴う感染拡大は十分に想定されるシナリオだろう。だが、それ以上に医学的見地は棚上げでとにかく結論ありきでマスクを外したい人と、いまだリスクにおびえてマスクが手放せない人との間で社会的分断が一層進んでしまうことのほうがより深刻な問題となってくるだろう。政府は一応、感染リスクが高くマスク着用が望ましいシーンなどを示すとしている。しかし、そもそもこれまでもその周知が徹底していたとは言い難い。たとえば、私にしては珍しく国・お役所のやることを評価したのが、以前本連載でも取り上げた屋外でのマスク着用に関する広報CMだが、このようなものを5類移行前に十分に発信しながら、その後の状況を見て政府として緩和の方向性を考えるほうがはるかに無難だと思うのだが。しかし、現在の報道だとわずか1ヵ月後にはマスク着用の推奨基準が緩和される。ここで一気に感染対策が緩んで感染が拡大し、感染者報告がピークになり始めた時に5類移行となったらどうなるだろう? そして、すでに多くの医療従事者が指摘しているように5類移行後に新型コロナに対する医療提供体制が一気に拡大する可能性はそれほど高くない。まるで医療崩壊を意図的に起こそうとしているかのようなタイムスケジュールにも思えてしまう。そして社会各所では「うちではマスクの着用をお願いしております」vs.「政府が不要と言っただろう」のバトルが展開される。そしてより困ったケースだと、「政府はマスク不要と言っただろう」と言うのと同じ口が「政府がワクチンについて言うことは信用できない」と口にする御仁たちがわんさか湧いてくることだ。まあ、現実になってほしくないシナリオなのだが、私自身は正直かなり強い懸念を抱いている。

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加熱式タバコ、コロナ感染・重症化リスクを上昇/大阪公立大ほか

 燃焼式タバコの使用は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化リスク因子と考えられ、「新型コロナウイルス感染症診療の手引き 第8.1版」でも「喫煙」が「重症化のリスク因子」の項目に記載されている。COVID-19流行下において、各国でタバコ使用行動の変化がみられているが、加熱式タバコの使用は、増加しているともいわれる。しかし、加熱式タバコと新型コロナウイルス感染症の関係については、これまでほとんど検討がなされていなかった。そこで、浅井 一久氏(大阪公立大学大学院医学研究科 呼吸器内科学)らの研究グループは、加熱式タバコの使用と新型コロナウイルス感染症の関係に着目し、調査を実施した。その結果、タバコ非使用者に比べ、加熱式タバコ使用者は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染率が高く、全タバコ使用者の中でも加熱式タバコと燃焼式タバコの併用者は、感染時の症状悪化リスクが最も高かった。本研究結果は、Scientific Reports誌2023年2月2日号に掲載された。加熱式タバコが新型コロナウイルス感染時の症状悪化に関連 インターネット調査会社に登録中の日本の一般住民から、日本の人口分布に沿って無作為に選定された16~81歳の参加者3万130人を対象として、2022年2月にオンライン調査を実施した(JASTIS 2022研究)。加熱式タバコを含むタバコの使用状況と、2020年と2021年の新型コロナウイルス感染および感染時の症状悪化(入院、酸素投与)の有無、感染および悪化と関連しうる項目を抽出し、その関係性について多変量ロジスティック回帰分析を用いて解析した。 加熱式タバコと新型コロナウイルス感染症の関係を調査した主な結果は以下のとおり。・対象者のうち、24.3%が現在タバコを使用し、使用者のうち21.2%が加熱式タバコを単独で、30.1%が燃焼式タバコとの併用で使用していた。・タバコ非使用者と比較した新型コロナウイルス感染のオッズ比は、加熱式タバコ単独使用者(調整オッズ比[aOR]:1.65、95%信頼区間[CI]:1.26~2.15、p<0.001)および加熱式タバコと燃焼式タバコの併用者(aOR:4.66、95%CI:3.89~5.58、p<0.001)で有意に高かったが、過去喫煙者と燃焼式タバコ単独使用者では有意差が認められなかった。・新型コロナウイルス感染者で2020年と2021年の2年とも感染した20例を除いた1,097例の解析において、タバコ非使用者と比較した入院のオッズ比は、加熱式タバコと燃焼式タバコの併用者のみで有意に高く(aOR:3.17、95%CI:2.11~4.77、p<0.001)、過去喫煙者、燃焼式タバコ単独使用者、加熱式タバコ単独使用者では有意差が認められなかった。・酸素投与に関して、タバコ非使用者と比較したオッズ比は、過去喫煙者(aOR:1.88、95%CI:1.11~3.19、p=0.019)、燃焼式タバコ単独使用者(aOR:3.17、95%CI:1.77~5.67、p<0.001)、加熱式タバコ単独使用者(aOR:1.90、95%CI:1.01~3.59、p=0.048)、加熱式タバコと燃焼式タバコの併用者(aOR:4.15、95%CI:2.70~6.36、p<0.001)のいずれにおいても有意に高かった。 研究グループは、本研究結果について「燃焼式タバコの新型コロナウイルス感染時の症状悪化に関するリスクが再確認され、新たに加熱式タバコの使用(とくに燃焼式タバコとの併用)が新型コロナウイルス感染時の症状悪化に関連することが示唆された」とまとめ、加熱式タバコが拡大している日本の現状を踏まえ、新型コロナウイルス感染症流行下におけるタバコ使用行動の安全性を考えるきっかけとなるだろうと述べている。

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抗原検査の感度、オミクロン株感染直後は低いのか/阪大

 新型コロナウイルス感染症のオミクロン株流行下において、感染直後における抗原定性検査の感度が低下する可能性が指摘されていた。大阪大学感染症総合教育研究拠点の村上 道夫氏らの多施設共同研究グループは、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)のクラブの選手やスタッフを対象に、同一日かつ同一個人に行われたPCR検査と抗原定性検査の結果を比較評価した。本研究の結果、PCR検査と比べた抗原定性検査の感度は63%(95%信頼区間[CI]:53~73%)、特異度は99.8%(95%CI:99.5~100.0%)であり、症状の有無や感染してからの日数は、PCR検査と比べた抗原定性検査の感度に影響しないことが明らかになった。BMJ Open誌2023年1月30日号に掲載の報告。 抗原定性検査はPCR検査より安価なため、頻度高く検査を行うことが可能だが、オミクロン株に対して感染直後の感度が低下する可能性が指摘されていた。本研究では、抗原定性検査とPCR検査を比較するため、2022年1月12日~3月2日の期間に、同日に採取した検体を用いて両検査656件を行い、結果を比較した。迅速抗原検査キットはアボットのPanbio COVID-19 Antigenラピッドテスト、または、ロシュ・ダイアグノスティックスのSARS-CoV-2ラピッド抗原テストを使用し、鼻腔スワブ検体を用いた。PCR検査で使用されたサンプルの種類は、唾液または鼻腔スワブであった。 主な結果は以下のとおり。・656例のうち、抗原定性検査とPCR検査の両方が陽性だったのは65例、抗原定性検査が陰性でPCR検査が陽性だったのは38例、抗原定性検査が陽性でPCR検査が陰性だったのは1例、両方が陰性だったのは552例だった。・PCR検査と比較した抗原定性検査の感度は0.63(95%CI:0.53~0.73)、特異度は0.998(95%CI:0.995~1.000)であった。・PCR検査が陽性であった103例のうち、74例(71.8%)は有症状であった。・感度と発症から検査までの期間との間に有意な関連は認められなかった(Cramer's V=0.146、p=0.837)。・感度はワクチン接種の有無と有意な関連は認められなかった(Cramer's V=0.220、p=0.073)。・ワクチン接種者(70例)を対象とした層別解析では、感度と発症から検査までの期間との間に有意な関連は認められなかった(Cramer's V=0.084、p=0.955)。同様に、アボットの迅速抗原検査キットを使用した人(45例)を対象とした層別解析(Cramer's V=0.181、p=0.688)や、PCR検査のサンプルが唾液だった人(80例)の層別解析(Cramer's V=0.087、p=0.895)でも、感度と発症から検査までの期間との間に有意な関連は認められなかった。 著者らは、抗原定性検査の特異度は、両検査で陰性であった症例数の報告が実際の数よりも少なかった可能性があり、過小評価であった可能性があるとしているが、本結果によってPCR検査の結果と比較した抗原定性検査の感度は、感染から検査までの期間や症状発現の有無とは無関係であることが示唆された。プロスポーツチームのような集団における感染リスクの低減には、抗原定性検査のコストはPCR検査の約10分の1であるためより頻繁に実施することができ、高い感染制御効果が期待できるという。

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インフル家庭内感染率、コロナ流行前の2.31倍に/JAMA

 米国5州のコホート試験で、2021-2022インフルエンザシーズン中のインフルエンザA(H3N2)ウイルス家庭内感染率は50.0%と、2017~20年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック前のシーズン(2017-2018、2018-2019)の同感染率20.1%に比べ、家庭内感染リスクは有意に上昇(2.31倍)していたことが報告された。米国疾病予防管理センター(CDC)のMelissa A. Rolfes氏らによる検討で、著者は「さらなる検討を行い、関連性の要因を明らかにする必要がある」と述べている。JAMA誌オンライン版2023年1月26日号掲載の報告。感染者の同居家族、インフルエンザ検査を5~10日間実施 研究グループは、2021-2022インフルエンザシーズン中の家庭内インフルエンザ感染リスクと、COVID-19パンデミック前のインフルエンザシーズン中の同リスクを比較する前向きコホート試験を行った。 COVID-19パンデミック前シーズンの米国内2州(テネシー、ウィスコンシン)と、2021-2022シーズン中の4州(テネシー、アリゾナ、ニューヨーク、ノースカロライナ)を対象とした。 家庭内で最初に検査で確定されたインフルエンザA(H3N2)ウイルス感染者を1次症例とし、同居する家族には試験登録後5~10日間にわたり、毎日の自己採取による鼻腔ぬぐい液でインフルエンザウイルス遺伝子検査を実施するとともに、症状に関する日誌を記録してもらった。 主要アウトカムは、COVID-19パンデミック前シーズンと比較した2021-2022シーズン中の家庭内での検査確定インフルエンザA(H3N2)ウイルス感染の相対リスクだった。リスクは、年齢、ワクチン接種状況、1次症例との接触頻度、家庭内密度により補正し推算した。また、年齢、ワクチン接種状況、1次症例との接触頻度別のサブグループ解析も行った。家庭内感染率、COVID-19パンデミック前は20.1%、パンデミック後は50.0% 解析には、COVID-19パンデミック前シーズン中の1次症例152例(年齢中央値13歳、女性52.0%、黒人3.9%)と同居家族353例(33歳、54.1%、2.8%)、2021-2022シーズン中の1次症例84例(10歳、52.4%、13.1%)と同居家族186例(28.5歳、63.4%、14.0%)が含まれた。 COVID-19パンデミック前シーズン中に、1次症例からインフルエンザA(H3N2)に感染した同居家族は20.1%(71/353例)だったのに対し、2021-2022シーズン中は50.0%(93/186例)だった。 2021-2022シーズンのCOVID-19パンデミック前シーズンに対する、インフルエンザA(H3N2)ウイルス家庭内感染の補正後相対リスクは2.31(95%信頼区間[CI]:1.86~2.86)だった。

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乳がん患者のリアルワールドでのコロナワクチン効果/JCO

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンの臨床試験には、積極的ながん治療を受けている乳がん患者が含まれていない。今回、イタリア・ジェノバ大学のMarco Tagliamento氏らが、リアルワールドの乳がん患者におけるワクチン接種の効果を調査したところ、乳がん患者においてもワクチン接種がCOVID-19罹患率および死亡率を改善することが示された。また、欧州におけるオミクロン株流行期の間、乳がん患者におけるCOVID-19重症度は低いままだった。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2023年1月31日号に掲載。 本研究では、OnCovidレジストリ参加者を対象に、プレワクチン期(2020年2月27日~11月30日)、アルファ-デルタ期(2020年12月1日~2021年12月14日)、オミクロン期(2021年12月15日~2022年1月31日)における乳がん患者のCOVID-19の病態と死亡率を比較した。28日致死率(CFR28)およびCOVID-19重症度を、出身国、年齢、併存疾患の数、Stage、COVID-19診断後1ヵ月以内の抗がん剤治療で調整し、ワクチン未接種患者とワクチン接種(2回接種または追加接種)患者を比較した。 主な結果は以下のとおり。・2022年2月4日までに613例が登録された。・ホルモン受容体陽性が60.1%、HER2陽性が25.2%、トリプルネガティブが14.6%で、61%が限局/局所進行であった。年齢中央値は62歳(四分位範囲:51~74歳)、31.5%が2つ以上の併存症あり、69%が喫煙歴なしだった。診断時期は、63.9%がプレワクチン期、26.8%がアルファ-デルタ期、9.3%がオミクロン期だった。・CFR28の解析では、3つの流行期で死亡率は同等だった(順に13.9%、12.2%、5.3%、p=0.182)が、COVID-19重症度は3つの流行期にわたって有意な改善がみられた。アルファ-デルタ期およびオミクロン期のワクチン未接種患者は、プレワクチン期の患者(ワクチン未接種)とアウトカムが同等だった。・ワクチン接種による解析対象患者566例のうち、ワクチン接種患者は72例(12.7%)、未接種患者は494例(87.3%)だった。・ワクチン接種患者は未接種患者に比べて、CFR28(オッズ比[OR]:0.19、95%信頼区間[CI]:0.09~0.40)、入院(OR:0.28、95%CI:0.11~0.69)、COVID-19合併症(OR:0.16、95%CI:0.06~0.45)、COVID-19に対する治療の必要度(OR:0.24、95%CI:0.09~0.63)、酸素療法の必要度(OR:0.24、95%CI:0.09~0.67)において改善していた。

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コロナワクチン接種者と未接種者、情報源の違いは?/筑波大

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のワクチンを接種するかどうかを決定しておらず「様子見」していた人のうち、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する情報を「職場/学校」「LINE」から得ている人はその後のワクチン接種率が高く、「インターネットニュース」「動画共有サイト(YouTubeなど)」から得ている人は接種率が低かったことを、筑波大学の堀 大介氏らが明らかにした。Environmental health and preventive medicine誌オンライン版2023年2月2日掲載の報告。 過去の研究によって、COVID-19に関する情報をテレビのニュース番組や新聞から得ている人はワクチン接種意向が高いなど、情報源の種類と接種意向との関連が報告されていた。しかし、ワクチンが接種可能になった後に実際にワクチンを接種したかどうかは不明のため、ワクチン接種の意思決定プロセスにおける情報源の種類の影響は明らかではなかった。そこで研究グループは、ワクチンを接種するかどうかまだ決めていない人において、使用しているCOVID-19に関する情報源とその後のワクチン接種の有無との関連を明らかにするため調査を実施した。 研究グループは、「日本におけるCOVID-19問題による社会・健康格差評価研究(JACSIS)」で得られたデータを解析した。対象は、医療者ではなく、健康な、18~64歳のインターネット調査会社の登録モニターであった。 本研究は2段階で行われ、まずワクチンの集団接種開始前の2021年2月8日~25日に「様子見してから接種したい」と回答した2万6,000人が組み込まれた。除外基準(年齢、基礎疾患、すでにワクチンの接種意向を決めていた、など)を満たしている人を除外した後、集団接種開始後の2021年9月27日~10月29日にCOVID-19に関する情報の入手源や接種状況などを5,139人(年齢中央値42.8歳[±12.2歳]、女性55.7%)に聴取した。情報入手源は、家族、友人、職場/学校、医療者、著名人、専門家、官公庁のホームページ、学術機関のホームページ、動画共有サイト、LINE、Twitter、Facebook、Instagram、インターネットニュース、新聞、雑誌、書籍、テレビのニュース番組、テレビのワイドショー、ラジオの20種類であった。 主な結果は以下のとおり。・解析対象となった5,139人中、実際にワクチンを接種した人(予約済み、接種意向あり含む)は85.7%であった。・COVID-19に関する情報の入手源は、テレビのニュース番組(78.8%)、インターネットニュース(69.1%)の順で多かった。最も少なかったのは、Facebook(4.0%)であった。・多変量ロジスティック回帰分析の結果、職場/学校から情報を得ている人のワクチン接種の調整オッズ比[aOR]が1.49(95%信頼区間[CI]:1.18~1.89)、LINEのaORが1.81(同:1.33~2.47)と高く、インターネットニュースのaORが0.69(同:0.55~0.86)、動画共有サイトのaORが0.62(同:0.48~0.82)と低かった。・若年、失業、低学歴、低収入、インフルエンザワクチン未接種、COVID-19ワクチンへの不安の強さが、COVID-19ワクチン未接種と関連していた。 これらの結果から、研究グループは「COVID-19ワクチンの接種を様子見していた人の意思決定において、情報源の種類が重要な役割を果たしていた。ワクチン接種を促すにあたって、情報源の特性を理解し、適切に活用することが重要である」とまとめた。

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第149回 コロナ感染に特有の罹患後症状は7つのみ

2020年に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)の世界的流行が始まって以降、その通常の感染期間後にもかかわらず長く続く症状を訴える患者が増えています。それらCOVID-19罹患後症状(コロナ罹患後症状)のうち疲労、脳のもやもや(brain fog)、息切れは広く検討されていますが、他は調べが足りません。感染症発症後の長患いはCOVID-19に限るものではありません。インフルエンザなどの他の呼吸器ウイルスも長期の影響を及ぼしうることが示されています。COVID-19ではあって他の一般的な呼吸器ウイルス感染では認められないCOVID-19に特有の罹患後症状を同定することはCOVID-19の健康への長期影響の理解に不可欠です。そこで米国・ミズーリ大学の研究チームはソフトウェア会社Oracleが提供するCerner Real-World Dataを使ってCOVID-19に特有の罹患後症状の同定を試みました。米国の122の医療団体の薬局、診療、臨床検査値、入院、請求情報から集めた5万例超(5万2,461例)のCerner Real-World Data収載情報が検討され、47の症状が以下の3群に分けて比較されました。COVID-19と診断され、他の一般的な呼吸器ウイルスには感染していない患者(COVID-19患者)COVID-19以外の一般的な呼吸器ウイルス(風邪、インフルエンザ、ウイルス性肺炎)に感染した患者(呼吸器ウイルス感染者)COVID-19にも一般的な呼吸器ウイルスにも感染していない患者(非感染者)SARS-CoV-2感染から30日以降1年後までの47の症状の生じやすさを比較したところ、呼吸器ウイルス感染者と非感染者に比べてCOVID-19患者により生じやすい罹患後症状は思いの外少なく、動悸・脱毛・疲労・胸痛・息切れ・関節痛・肥満の7つのみでした1,2)。無嗅覚(嗅覚障害)などの神経病態がSARS-CoV-2感染から回復した後も長く続きうると先立つ研究で示唆されていますが、今回の研究では一般的な呼吸器ウイルス感染に比べて有意に多くはありませんでした。無嗅覚は非感染者と比べるとCOVID-19患者に確かにより多く生じていましたが、COVID-19以外の呼吸器ウイルス感染者にもまた非感染者に比べて有意に多く発生していました。つまり無嗅覚はCOVID-19を含む呼吸器ウイルス感染症全般で生じやすくなるのかもしれません。一方、先立つ研究でCOVID-19罹患後症状として示唆されている末梢神経障害や耳鳴りは呼吸器ウイルス感染者と非感染者のどちらとの比較でも多くはありませんでした。全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)、1型糖尿病(T1D)などの免疫病態もSARS-CoV-2感染で生じやすくなると先立つ研究で示唆されていますが、今回の研究では神経症状と同様にCOVID-19に限って有意に多い症状はありませんでした。ただし、1型糖尿病との関連は注意が必要です。COVID-19患者の1型糖尿病は呼吸器ウイルス感染者と比べると有意に多く発生していたものの、非感染者との比較では有意差がありませんでした。呼吸器ウイルス感染者の1型糖尿病はCOVID-19患者とは逆に非感染者に比べて有意に少なく済んでいました。心血管や骨格筋の病態でも1型糖尿病のような関連がいくつか認められており、COVID-19患者の頻拍・貧血・心不全・高血圧症・高脂血症・筋力低下は呼吸器ウイルス感染者と比べるとより有意に多く、非感染者との比較ではそうではありませんでした。今回の研究でCOVID-19に特有の罹患後症状とされた脱毛はSARS-CoV-2感染から100日後くらいに最も生じやすく、250日を過ぎて元の状態に回復するようです。疲労や関節痛は今回の試験期間である感染後1年以内には元の状態に落ち着くようです。COVID-19患者により多く認められた肥満はダラダラ続くCOVID-19流行が原因の運動不足に端を発するのかもしれません。ただし今回の研究ではそうだとは断言できず、さらなる研究が必要です。参考1)Baskett WI, et al. Open Forum Infect Dis. 1011;10: ofac683.2)Study unexpectedly finds only 7 health symptoms directly related to ‘long COVID’ / Eurekalert

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コロナの重症肺炎、他の肺炎と転帰は異なるか

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重大な合併症の1つとして急性低酸素性呼吸不全(AHRF)がある。COVID-19による肺炎が引き起こすAHRFは、他の原因によるAHRFとは異なる表現型を有し、より高い死亡率を示すと考えられていた。そこで、米国・ジョンズ・ホプキンス大学のEric P. Nolley氏らは、COVID-19により人工呼吸器が必要な重症肺炎を発症した患者について、他の原因によって重症肺炎を発症した患者と転帰を比較した。その結果、COVID-19による重症肺炎患者は、他の原因による重症肺炎患者と比べて死亡率の上昇は認められなかったものの、人工呼吸器を外すまでの期間が長かったことを明らかにした。JAMA Network Open誌2023年1月10日掲載の報告。 入院後2週間において、人工呼吸器が必要な重症肺炎を発症した18歳以上の成人患者を対象とした。後ろ向きに追跡し、入院から退院または死亡までのデータを抽出した。主要評価項目は、入院中の90日死亡率とした。副次評価項目は、人工呼吸器を外すまでの期間、入院期間、呼吸器コンプライアンス、換気比などとした。 主な結果は以下のとおり。・COVID-19による重症肺炎患者719例(平均年齢61.8歳、男性61.5%)および他の原因による重症肺炎患者1,127例(平均年齢60.9歳、男性52.0%)が対象となった。・未調整解析では、COVID-19による重症患者は他の原因による重症肺炎患者と比べて入院中の90日死亡率が高く(オッズ比[OR]:1.21、95%信頼区間[CI]:1.04~1.41)、人工呼吸器を外すまでの期間も長く(部分分布ハザード比[SHR]:0.72、95%CI:0.63~0.81)、呼吸器コンプライアンスが低かった(p<0.001)。・傾向スコアマッチングを行うと、COVID-19による重症肺炎患者と他の原因による重症肺炎患者において、入院中の90日死亡率に有意差は認められず(OR:1.04、95%CI:0.81~1.35)、呼吸器コンプライアンス(群間差:1.82mL/cm H2O、95%CI:-1.53~5.17mL/cm H2O)、換気比(群間差:-0.05、95%CI:-0.22~0.11)についても、有意差は認められなかった。・一方、傾向スコアマッチング後においても、COVID-19による重症肺炎患者は他の原因による重症肺炎患者と比べて、人工呼吸器を外すまでの期間が有意に長かった(SHR:0.81、95%CI:0.65~1.00)。入院から90日後における生存退院率については、有意差は認められなかったが、COVID-19による重症肺炎患者は他の原因による重症肺炎患者と比べて低い(入院期間が長い)傾向にあった(SHR:0.83、95%CI:0.68~1.01)。

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第133回 医療計画に「新興感染症」の追加を検討/厚労省

<先週の動き>1.医療計画に「新興感染症」の追加を検討/厚労省2.「5類」見直しで大規模接種会場の縮小・閉鎖へ/政府3.新型コロナウイルス感染拡大、介護施設の経営を直撃/厚労省4.介護施設は面会制限の緩和、「対面での面会」の再開を/厚労省5.外国人患者の受け入れマニュアルを更新/厚労省6.宿日直許可、去年は1,369件と急増/厚労省1.医療計画に「新興感染症」の追加を検討/厚労省厚生労働省は2月2日に「第8次医療計画に関する検討会」を開催し、従来は5事業の医療計画に「新興感染症対応」を6事業目に加えることを検討した。今回の議論にあたって、新興感染症発生・まん延時における医療提供体制確保に関する数値目標の設定にあたっては、新型コロナウイルス感染症対応の実績を参考として、感染症の流行初期の入院対応医療機関を500施設、外来対応医療機関を1,500施設程度整備する方針を示した。厚生労働省は令和6年4月に施行される改正感染症法および医療法のため、令和5年度中に各都道府県で予防計画および医療計画を策定する必要があるため、できる限り早く議論のまとめを行う方針。(参考)6事業目(新興感染症対応)について(厚労省)次なる新興感染症に対応するため、流行初期の入院対応医療機関500施設、外来対応医療機関を1,500施設程度整備-第8次医療計画検討会(Gem Med)2.「5類」見直しで大規模接種会場の縮小・閉鎖へ/政府政府の新型コロナウイルスの「5類」への引き下げを受けて、防衛省は大規模接種会場の縮小・閉鎖の検討を開始した。今月中旬にも方向性を決め、3月から順次縮小、閉鎖を検討するとみられる。また、大阪府も1月31日に新型コロナウイルス対策本部会議を開き、ワクチンの大規模接種会場「心斎橋接種センター」を3月末に廃止する方針を決めた。合わせて重症者向けの臨時施設も閉鎖する方針。(参考)ワクチン大規模接種会場の縮小・閉鎖を検討 防衛省、来月にも(朝日新聞)大阪府、大規模接種会場を閉鎖へ コロナ重症センターも(日経新聞)3.新型コロナウイルス感染拡大、介護施設の経営を直撃/厚労省厚生労働省は、1日、介護施設・事業所の経営状況を把握する調査(介護事業経営概況調査)の最新の結果を公表した。コロナ禍や人件費増が影響を受けて、通所系サービスの収支の悪化が目立つ内容となっている。利益率をみると、通常規模以上の通所介護は昨年度の利益率1.0%と、前年度に比べてマイナス2.8ポイント低下していた、これは新型コロナウイルスの感染拡大で利用者の利用控えによるものと考えられる。また、人手不足を背景に人件費高騰や感染対策の費用も影響を受け、介護報酬引き上げがあったものの、経費増がそれを上回った形となった。(参考)第36回社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会(厚労省)通所介護の収支が悪化 コロナ禍や人件費増が影響 利益率が低下=厚労省調査(ケアマネドットコム)2021年度介護報酬の後、人件費増により介護事業所・施設の経営状況は悪化傾向―介護事業経営調査委員会(Gem Med)赤字の老健が3分の1に、21年度 赤字割合、2年間で12ポイント増(CB news)4.介護施設は面会制限の緩和、「対面での面会」の再開を/厚労省厚生労働省は、新型コロナウイルス感染拡大で、家族との面会制限を行っている高齢者施設に対して、面会の機会の減少により心身の健康への影響が懸念されるとして、高齢者施設などでの面会の再開・推進を図るために職員向けに、面会を積極的に実施する施設の事例や実施方法などを情報発信する動画およびリーフレットを作成した。厚生労働省は、実際に面会を行っている施設での工夫や取組事例、面会を行う際に気を付けたいポイントをまとめ、活用して、対面での面会の再開を求めている。(参考)高齢者施設入所者の心身の健康を確保するため、十分な感染対策の下「対面での面会」の再開・推進を-厚労省(Gem Med)高齢者施設等における面会の再開・推進にかかる高齢者施設等の職員向け動画及びリーフレットについて(厚労省)高齢者施設における面会の実施に関する取組について(同)5.外国人患者の受け入れマニュアルを更新/厚労省厚生労働省は、新型コロナウイルスの感染の拡大が沈静化するとともに、訪日外国人旅行者が今後、増えるとして「外国人患者の受入れのための医療機関向けマニュアル」を更新して公表した。マニュアルの改定には「厚生労働省訪日外国人旅行者等に対する医療の提供に関する検討会」の議論を踏まえ、医療機関における外国人患者の受け入れの環境整備に役立てるよう取りまとめられた。自見はなこ参議院議員によれば「訪日外国人観光客の約4%が日本滞在中に医療機関を受診するが、全体の約3割が民間医療保険非加入であり、外国人患者を受け入れた病院の約2割が未払いを経験という厚労省の調査結果もある」と言う。現在では、健康保険法の改正が行われ、訪日外国人の未払いの医療費がある場合に再入国させないようにする措置や、在留している外国人労働者が健康保険料の未払いがあった場合は在留資格の更新は許可しないようになっている。東京都は厚生労働省委託事業で「訪日外国人受診者医療費未払情報の報告に関する説明会」を2月17日に全国の保険医療機関を対象にオンラインで開催し、訪日外国人受診者による医療費不払い防止のための、「不払い情報報告システム」について情報提供を行う予定。(参考)「外国人患者の受入れのための医療機関向けマニュアル」(厚労省)外国人への適切な医療提供と保険制度維持へ 打った手と残った課題―自見はなこ氏が講演(Medical Note)「訪日外国人受診者医療費未払情報の報告に関する説明会(第6回)」について(東京都)自見はなこ参議院議員ツイッターアカウント6.宿日直許可、去年は1,369件と急増/厚労省厚生労働省によると、2022年の医師の宿日直許可が1,369件と増加していることが明らかになった。2024年4月から勤務医の時間外労働の上限が原則、年960時間となるため、救急医療を担う急性期病院だけではなく、外部から当直医の派遣を受けている医療機関も派遣元となる大学病院での労働時間と合わせて上限規制の対象となるため、受け入れている医療機関は対応を迫られている形だ。厚生労働省は、宿日直許可申請をサポートするため、各都道府県に医療勤務環境改善支援センターを設置しており、早期の申請を働きかけている。(参考)医療機関における宿日直許可 ~申請の前に~(厚労省)医師の宿日直許可取得、昨年は1,369件へ大幅増 厚労省(MEDIFAX)「医師の働き方改革」で手術や救急に支障が及ぶ訳(東洋経済オンライン)

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