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ベンゾジアゼピン治療と自殺リスク

 不安症および睡眠障害のマネジメントのためのガイドラインでは、抗うつ薬治療と心理療法を第1および/または第2選択治療とし、ベンゾジアゼピン(BZD)は、第3選択治療としている。米国・コロラド大学のJennifer M. Boggs氏らは、自殺による死亡とBZDガイドラインコンコーダンスとの関連について評価を行った。General Hospital Psychiatry誌オンライン版2019年11月17日号の報告。 Mental Health Research Networkより、米国8州のヘルスシステムから不安症および/または睡眠障害を有する患者を対象とした、レトロスペクティブ症例対照研究として実施した。自殺による死亡症例は、年およびヘルスシステムにおいて対照とマッチさせた。適切なBZDの使用は、単独療法でない、長期使用でない、65歳未満であると定義した。ガイドラインコンコーダンスと自殺による死亡との関連は、診断および治療の共変量で調整し、評価した。 主な結果は以下のとおり。・対象は、不安症患者6,960例(BZDR使用患者:2,363例)、睡眠障害患者6,215例(BZDR使用患者:1,237例)。・BZDガイドラインコンコーダンスは、不安障害患者の自殺率低下と関連が認められた(OR:0.611、95%CI:0.392~0.953、p=0.03)。このことには、BZDの使用を短期間にすること、心理療法または抗うつ薬を併用することも影響していた。・BZDガイドラインコンコーダンスと自殺による死亡との関連において、睡眠障害患者では、有意な関連が認められなかった(OR:0.413、95%CI:0.154~1.11、p=0.08)。 著者らは「BZDを短期間使用し、心理療法または抗うつ薬治療を併用した不安症患者では、自殺率が低いことが明らかとなった」としている。

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うつ病や統合失調症リスクに対する喫煙の影響

 統合失調症やうつ病の患者では、一般集団と比較し喫煙率が高い。英国・ブリストル大学のRobyn E. Wootton氏らは、ゲノムワイド関連研究(GWAS)で特定された遺伝子変異を使用して、この因果関係を調べることのできるメンデルランダム化(MR)法を用いて検討を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2019年11月6日号の報告。 統合失調症およびうつ病に対する喫煙の双方向の影響を調査するため、2つのサンプルにおけるMRを実施した。喫煙行動についてはGSCAN(GWAS and Sequencing Consortium of Alcohol and Nicotine use)コンソーシアムから喫煙開始のGWASを使用し、UK Biobankの46万2,690サンプルより生涯の喫煙行動に関する独自のGWASを実施した。肺がんなどのポジティブコントロールアウトカムを用いて検証した。統合失調症とうつ病には、PGC(Psychiatric Genomics Consortium)のGWASを使用した。 主な結果は以下のとおり。・喫煙は、統合失調症(オッズ比[OR]:2.27、95%信頼区間[CI]:1.67~3.08、p<0.001)とうつ病(OR:1.99、95%CI:1.71~2.32、p<0.001)の両方のリスク因子であることが示唆された。・この結果は、生涯の喫煙と喫煙開始の両方で、一貫して認められた。・うつ病に対する遺伝傾向が喫煙を増加させる可能性が示唆されたが(β=0.091、95%CI:0.027~0.155、p=0.005)、統合失調症では明らかではなく(β=0.022、95%CI:0.005~0.038、p=0.009)、喫煙開始に対する影響は非常に弱かった。 著者らは「喫煙と統合失調症やうつ病の関連性は、少なくとも部分的に、喫煙の因果効果であることが示唆された。このことは、メンタルヘルスに対する喫煙の有害な結果をさらに示すものである」としている。

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小児および青年期のうつ病の評価と治療

 米国では、小児や青年におけるうつ病の有病率が増加している。米国・オレゴン健康科学大学のShelley S. Selph氏らは、小児および青年期のうつ病の評価や治療に関するレビューを行った。American Family Physician誌2019年11月15日号の報告。 主な内容は以下のとおり。・2016年には、12歳の約5%、17歳の約17%が過去12ヵ月間でうつ病エピソードを経験していることが報告されている。・12歳以上の青年に対するうつ病のスクリーニングは、10代向けPHQ-9などの検証済みの評価尺度を用いて、毎年実施する必要がある。・診断確定後は、中等度および重度のうつ病では、継続的な治療を開始する必要がある。・軽度のうつ病では、積極的なサポートやモニタリングで十分な可能性がある。・重度のうつ病では、心理療法(認知行動療法など)と抗うつ薬治療を併用することで、いずれかの単独療法よりも治療反応が良好であることを示すエビデンスが報告されている。・小児および青年のうつ病治療に対し米国FDAに承認されている抗うつ薬は、fluoxetineとエスシタロプラムのみである。・fluoxetineは8歳以上、エスシタロプラムは12歳以上での使用が推奨されている。・薬物療法中の小児および青年期うつ病患者では自殺念慮のモニタリングが必要であり、その頻度は、各患者のリスクに基づき決定する必要がある。・治療法の変更(治療薬の併用、増量、変更または心理療法の併用)は、治療開始の約4~8週間後に行う必要がある。・治療にもかかわらず症状が悪化または改善しない場合や、自己または他者に対するリスクとなる場合には、メンタルヘルスのサブスペシャリストへの相談または紹介が必要である。

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不安症状の有無による双極性障害の臨床的特徴と薬理学的治療

 双極性障害(BD)患者の半数以上において、不安症状の併存が報告されている。一部では、不安症状は気分エピソード前の最も初期に発現する精神症状だといわれている。イタリア・ミラノ大学のCesare Galimberti氏らは、BD外来患者における最初の精神症状としての不安症状の有病率、未治療期間との関連、治療について検討を行った。Early Intervention in Psychiatry誌オンライン版2019年11月15日号の報告。 対象は、ミラノのうつ病治療センターに紹介され、DSM-IVで双極性I型障害(BD-I)、双極性II型障害(BD-II)、特定不能な双極性障害(BD-NOS)、気分循環性障害と診断された患者。レトロスペクティブチャートレビュー、直接的な患者インタビューにより、いくつかの臨床的特徴を評価した。BD発症時の不安症状の有無に基づき層別化を行い、両群間およびBDサブタイプ間で臨床的特徴の比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・分析対象患者数は260例(BD-I:77例、BD-II:122例、BD-NOS:45例、気分循環性障害:16例)であった。・最初の精神症状として不安症状が認められた患者は、69例(26.5%)であった。・BD-IIおよびBD-NOSでは、BD発症時に不安症状がより頻繁に認められた。最も一般的な不安症状はパニック症であった。・不安症状が認められた患者は、BD発症年齢が若く、未治療期間がより長かった。また、BD発症時に、気分安定薬、抗精神病薬の使用頻度が少なかった。 著者らは「BDの縦断的な経過を考慮すると、BD発症時に不安症状を有する患者の4分の1以上は、適切な治療を受けるのが遅く、BD発症時に気分エピソードを有する患者と比較し、その後の長期にわたる未治療期間が長く、予後が不良であった」としている。

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日本人うつ病患者に対するボルチオキセチンの有効性、安全性

 日本において、うつ病は大きな影響を及ぼす疾患である。東京医科大学の井上 猛氏らは、日本人うつ病患者に対する抗うつ薬ボルチオキセチンの有効性および安全性を評価するため、検討を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2019年11月14日号の報告。 本研究は、再発性うつ病およびMontgomery-Asberg Depression Rating Scale(MADRS)スコア26以上の日本人うつ病患者(20~75歳)を対象とした、8週間の二重盲検プラセボ対照ランダム化第III相試験である。対象患者は、ボルチオキセチン10、20mg群またはプラセボ群にランダムに割り付けられた。主要エンドポイントは、ベースラインからのMADRS合計スコアの変化とした。副次的エンドポイントは、MADRSの治療反応と寛解率、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D17)、臨床全般重症度(CGI-S)、臨床全般印象度(CGI-I)、シーハン障害尺度(SDS)の変化とした。認知機能は、Digit Symbol Substitution Test(DSST)スコア、Perceived Deficits Questionnaire-5 item(PDQ-5)スコアを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・MADRS合計スコアは、プラセボ群(161例)と比較し、ボルチオキセチン10mg群(165例)で2.66、ボルチオキセチン20mg群(163例)で3.07の減少が認められた(各々p<0.01)。・MADRSの治療反応と寛解率は、プラセボ群と比較し、ボルチオキセチン10、20mg群で有意な改善が認められた(各々p<0.05)。・ボルチオキセチン10、20mg群では、8週間後のHAM-D17スコア、CGI-Iスコア、SDS合計スコアの有意な改善が認められた。・ボルチオキセチン群では、PDQ-5スコアの有意な改善が認められたが、DSSTスコアでは有意な差は認められなかった。・ボルチオキセチン群の忍容性は、良好であった。 著者らは「日本人うつ病患者に対し、ボルチオキセチン10mg/日および20mg/日による治療は、抗うつ効果が期待でき、8週間にわたる忍容性も良好であった」としている。

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第17回 本当に過換気症候群?【救急診療の基礎知識】

●今回のPoint1)過換気症候群の満たすべき条件を知ろう!2)過換気症候群と誤診しやすい疾患を知ろう!3)過換気症候群の対応を知ろう!【症例】24歳女性。仕事中に息が吸えないような感覚に陥り、その後両手の痺れを自覚した。苦しそうにしていたため同僚が心配し、救急要請。病着時にはだいぶ落ち着き症状は改善傾向にあった。担当した研修医は、過換気症候群だったのだろうと判断し、とくに精査せずに帰宅可能と考えたが…。●搬送時のバイタルサイン意識清明血圧122/76mmHg脈拍100回/分(整)呼吸22回/分SpO299%(RA)体温36.0℃瞳孔2.5/2.5mm+/+既往歴虫垂炎(18歳時に手術)内服薬定期内服薬なし過換気症候群の定義と診断基準臨床現場で過換気症候群を疑うことは難しくありません。呼吸回数が非常に多く、それに伴い手足の痺れ、助産師の手などを認めれば、誰もが疑うことでしょう。しかし、過換気だろうと思ったら実は…という経験がある方も少なくないはず。過換気になるには何かしらの理由があるのですから。過換気症候群とは、「代謝的な要求を超える不適切な分時換気量がもたらす呼吸性アルカローシスが、明らかな臓器障害を伴わずに、さまざまな症候をもたらす病態」とされます1)。「明らかな臓器障害を伴わない」ここが大切です。以下、過換気症候群は原発性のものとして話を進めます。確立された診断基準は存在しませんが、臨床症状による診断基準として表を頭に入れておくとよいでしょう。「(2)自然に、または何らかの処置による症状の急速な改善」、「(3)過換気を生じる器質的疾患の除外」の2点からもわかるように、救急外来など初療の際に、比較的速やかに症状が改善すること、その原因が過換気症候群以外に存在しないことを確認する必要があるのです2)。表 過換気症候群の診断画像を拡大する過換気症候群の疫学どのような患者さんが過換気症候群になるのでしょうか。これは、みなさんが現場で感じていることだと思いますが、女性に多く、年齢は20歳代が最多、平均36.5歳といわれ、高齢者初発はまれです3)。約50%に精神疾患があり、パニック障害の方が最多です。3人に1人には過換気症候群の既往があります3)。過換気症候群の症状とバイタルサイン主訴では不安、恐怖が最多、その他、痺れなどの感覚異常やめまいを訴えます。胸痛を訴えることもありますが、それのみで来院することはまれです。バイタルサインは、呼吸数の増加以外に頻脈や意識障害を認めることもありますが、速やかに改善します。改善しない場合や、意識消失を認める場合には、二次性を考え精査するようにしましょう。呼吸を促し、止めることができれば過換気症候群の可能性が高いとされます。二次性ではない、原発性の過換気症候群であれば、通常SpO2は95%を切ることはありません。成人であればほぼ100%です。過換気症候群の検査来院時に症状が治まっていれば、検査不要なことも多いですが、症状が残存している場合には、血液ガスがもっともらしさを評価できるでしょう。過換気症候群の患者244例の解析では、pH7.47、pCO228.91mmHg、pO297.41mmHgが平均値でした。当たり前ですが通常酸素化は落ちません。もし、酸素化が低下している場合には、何らかの疾患が原因で呼吸が苦しくなり、過換気様になっていると考えましょう。低酸素血症であれば、呼吸性アルカローシスになりえますから。過換気症候群と誤診されやすい疾患正確なデータはありませんが、代表的な疾患は肺血栓塞栓症です。以前に連載で取り上げましたね(第12回 意外に多い呼吸困難の原因とは?)。見逃さないためのポイントは、高齢者では過換気らしくても、背景に精神疾患や既往がなければ通常起こり得ないと心得ておくこと(ただしゼロではありません)、そして、普段と同様のADLで症状の再燃がないかを確認することです。ストレッチャーや車椅子で安静にしている状態では、呼吸数や酸素化は改善し、酸素は不要であっても、通常どおり歩行してみると、労作時呼吸困難や頻呼吸が再燃する場合には、過換気ではありません。その他、くも膜下出血、妊娠(異所性妊娠)、薬物乱用、急性冠症候群、髄膜炎など多岐にわたりますが、過換気症候群であれば、症状は速やかに改善するはずですから、その後にどうしてそのようになったのか、病歴をきちんと確認すれば見逃しは防げるでしょう。さいごに過換気症候群の患者を診療する際、医療者は陰性感情をぐっとこらえ、きちんと会話をしながら対応しましょう。会話をしながら病歴やバイタルサイン、身体所見を評価していれば、呼吸を何度もする暇を与えず、症状はだんだん落ち着きます。「ゆっくり呼吸しましょう」、「そんなにハァハァしたらつらくなってしまいますよ」と声をかけても、患者さんは「(わかっているよ! でも、できないんだ)」と思っていることでしょう。過換気症候群の予後は良好ですが、時に過換気後無呼吸(post-hyperventilation apnea)といって、呼吸が止まり低酸素になることがあります4)。過換気と判断しても、きちんと症状が改善するまでは経過を確認し、場を離れる場合にはモニタリングなどを怠らないようにしましょう。低酸素を回避すれば基本的に予後は良好です。1)Lewis RA, et al. Bull Eur Physiopathol Respir. 1986;22:201.2)廣川豊ほか. 日胸疾患会誌. 1995;33:940-946.3)Pfortmueller CA, et al. PLoS One. 2015;10:e0129562.4)Munemoto T, et al. BioPsychoSocial Medicine. 2013;7:9.

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慢性疼痛の“記憶された痛み”をうまく取り除くには?

 国が主導となって研究チームを発足するくらい、日本人は慢性的な痛みに日々悩まされている。おまけに、なかなか症状改善しない患者がドクターショッピングに陥ることで、国の医療費はますます圧迫されてしまう。そんな負の連鎖を断ち切り、臨床現場での正確な病態把握を求めるべく、昨年、厚生労働省「慢性の痛み対策」研究班と痛み関連の7学会が連携して『慢性疼痛治療ガイドライン』を発刊した。 このガイドライン作成にも携わり、上記研究班で中心的な役割を担っている牛田 享宏氏(愛知医科大学医学部学際的痛みセンター 教授)と伊達 久氏(仙台ペインクリニック院長)が、2019年10月31日に開催されたボストン・サイエンティフィック・ジャパン株式会社主催のメディアセミナー「『難治性慢性疼痛』による経済的・社会的影響と日本の『難治性慢性疼痛』治療の最新動向~病診連携モデルと臨床データの構築~」に登壇し、慢性疼痛対策の現状を語った。運動器慢性疼痛における日本の現状 日本での慢性疼痛疫学調査1,2)によると、痛みの訴え部位は腰痛が大半(58.6%)を占め、次いで肩:38.7%、下肢部:37.9%と続き、筋骨格系=運動器に引き起こされることが多い。驚いたことに、その年齢分布を見ると高齢者よりも30~50代の訴えが多い。自己負担の治療費は年間4,000億円以上、患者の15%以上が仕事への影響を抱えていた。牛田氏は「調査結果を見ると、患者の治療満足度は非常に低く、慢性疼痛を訴えた患者の1/3しか満足していない。結果、患者の半数が治療機関を変更している」と、実態を説明した。 また、このような慢性疼痛に悩む患者を精神科医が見た場合、線維筋痛症の有無を問わず約半数に身体表現性障害があり、患者の約95%には何かしらの精神疾患名(気分変調障害、大うつ病など)が付くことが明らかになった3)。慢性疼痛では“痛みは記憶される”ことを理解する このように慢性疼痛患者が精神疾患を抱える理由について、同氏は「痛みは頭で経験しているため」とコメントした。頭では痛み自体を感じる感覚体験と、辛さや苦しさを感じる情動体験が同時に生じているため、国際疼痛学会では痛みを“不快な情動体験”と定義している。これを踏まえて同氏は「なかなか治らない痛みの原因は情動の要素が大きい」と、話した。 治りにくい痛みの代表例として神経性障害疼痛がある。これは体性感覚神経系の損傷や疾患により引き起こされる痛みであり、罹患者数は日本人人口の1~3%に上る。脳梗塞患者の痛みもこれに該当し、患者にはうつや睡眠障害の併発、医療機関受診件数が3件以上になるケースが多くなるなどの特徴がある4)。 このほかにも、通常では痛みを伴わないような微小刺激が疼痛として認識される感覚異常をきたすアロデニアという病態の研究報告5)から、同氏は痛みが記憶されていることを説明。痛みが感覚だけではなく情動によっても悪化することに対し理解を求めた。さらに、「慢性疼痛患者は整形外科と精神科のどちらに行くべきか、診療における境界線によって悩まされている」とし、患者をチームで診るために厚生労働省による集学的痛みセンターが構築されたことを説明した。 集学的痛みセンターとは、医科だけではなく歯科も含めたシステム構築、地域医・在宅医療の連携モデル構築、を目指した厚生労働省政策研究班による事業である。系統的に改善しない患者を分析することで、治療方針やゴールの方向性を検討し、自宅でのコントロールを目的としているが、「慢性疼痛の診断法の確立のために主観的な痛みを客観的に見える化して評価する方法の構築が必要」と、同氏は今後の課題を語った。慢性疼痛患者が患者が痛みを強く感じているのは30分だけ 続いてペインクリニックの視点から、伊達氏が慢性疼痛治療ガイドラインでの推奨内容について解説した。本ガイドラインでは、推奨度を「1:する(しない)ことを強く推奨する」「2:する(しない)ことを弱く推奨する(提案する)」の2通りで提示し、エビデンスレベルを「A(強):効果の推定値に強く確信がある」「B(中):効果の推定値に中程度の確信がある」「C(弱):効果の推定値に対する確信は限定的である」「D(とても弱い):効果の推定値がほとんど確信できない」と規定している。 たとえば、運動療法の有効性はエビデンスレベル・推奨度が慢性腰痛:1A、変形性膝関節炎:1A、慢性頸部痛:1Bであり、身体を直接動かすことは慢性疼痛に効果的と示されている。同氏はこれらの根拠となる海外文献6,7)を紹介し、「運動療法は筋トレではなく血流改善を促すストレッチが中心なので、痛みがある時こそ有用。ストレッチはドパミン遊離にも影響を及ぼすため、痛みの蔓延化につながる心理社会的要因(不安、抑うつ、破局化思考)も解消される。また、慢性疼痛患者の突発痛は30分すると軽減することが多いため、痛い時にストレッチを行えば薬の依存から脱却できるかもしれない」とコメント。「心理社会的要因からくる痛みには認知行動療法が有効とされ、マインドフルネスなどの導入もガイドラインでは推奨(1A)している。しかし、現時点で保険適用外のため、診療報酬に対する要望を複数の学会が行っている」と、補足した。 最後に、痛みを直接除去する視点からインターベンショナル治療について説明。ガイドラインではパルス高周波神経根ブロック、末梢神経パルス高周波などが推奨度1A、脊髄刺激療法や肩甲上神経パルス高周波などが推奨度1Bに設定されている。なかでも脊髄刺激療法システムはほかの治療法と比較して、中枢感作、痛みのいずれにおいても効果が得られたことから、同氏は「運動療法や認知行動療法に加え、脊髄刺激療法も慢性疼痛治療の1つになり得る」と締めくくった。■参考1)服部政治.ペインクリニック. 2004;25:1541-1551.2)Nakamura M, et al. J Orthop Sci. 2011;16:424-32.3)Miki K, et al. Neuropsychopharmacol Rep. 2018;38:167-174.4)Inoue S, et al. Eur J Pain. 2017;21:727-737.5)Ushida T, et al. Brain Topogr. 2005;18:27-35.6)Goh SL et al, Ann Phys Rehabil Med. 2019 May 21.[Epub ahead of print]7)Gavi MB et al, PLoS One. 2014 mar 20. [Epub ahead of print]

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治療抵抗性統合失調症患者の特徴や薬物療法

 統合失調症患者では、抗精神病薬治療に対する反応が弱いまたは無反応で、陽性症状が持続するケースが見受けられる。米国・Zucker Hillside HospitalのChristoph U. Correll氏らは、米国における治療抵抗性統合失調症(TRS)患者の人口統計、症状、治療歴、治療選択肢に影響を及ぼす要因について検討を行った。BMC Psychiatry誌2019年11月14日号の報告。 精神科医204人を対象にオンライン調査を行った。医師は、TRS患者2例および非TRS患者1例を自己選択し、患者情報を記入した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者のうち、TRSの割合は29.5%と回答された。・TRS患者408例は、非TRS患者204例と比較し、以下の特徴が認められた。 ●失業率が高い(74.5% vs.45.1%、p<0.001) ●1回以上の入院歴(93.4% vs.74.0%、p<0.001) ●肥満を含む身体的併存疾患を有する(40.2% vs.23.5%、p<0.001) ●うつ病併存(38.7% vs.25.0%、p=0.001)・TRS患者は精神症状がより頻繁かつ重度であり、社会的および機能的な影響が認められた。・長期予後を改善させるために最も重要な要因は、陽性症状のうち幻覚、妄想を改善させることであった。・TRSに対するクロザピン単独療法は15.9%であったが、これはTRSを治療する10種類の選択肢のうち、5番目であった。・通常、クロザピン開始または抗精神病薬切り替え前に、現治療薬の増量または他の抗精神病薬の併用が行われていた。・抗精神病薬の切り替え理由は、現治療薬の有効性不十分(71.4% vs.54.3%、p<0.001)および忍容性不十分(34.4% vs.38.4%、p=0.22)であった。・TRSの治療切り替えにつながる症状は、幻覚行動の持続であった(63.9% vs.37.1%、p<0.001)。 著者らは「TRS患者は、一般的に抗精神病薬の増量や併用により対処されることが多く、唯一の承認薬であるクロザピン使用の優先順位は、5番目であった。抗精神病薬に治療反応が認められないTRS患者に対する新たな治療法が求められる」としている。

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レビー小体型認知症の診断基準~最新情報と今後の方向性

 金沢大学の山田 正仁氏らは、2017年に改訂されたレビー小体型認知症(DLB)の臨床診断に関するコンセンサス基準より、診断基準の今後の方向性について解説を行った。Journal of Movement Disorders誌オンライン版2019年11月8日号の報告。 主な内容は以下のとおり。・DLBの臨床診断基準は、1996年に最初のコンセンサスレポートが公表され、2005年に第3改訂が行われた。・そして、2015年の国際DLB会議(米国・フロリダ州)で議論が行われた後、2017年に第4改訂が発表された。・2017年に改訂された基準では、臨床的特徴と診断バイオマーカーを明確に区分している。・これまでの研究より重要な最新情報を組み込み、レム睡眠行動障害(RBD)、MIBGシンチグラフィーに対する診断の重み付けが増している。・今後の方向性として、以下が挙げられている。 ●早期診断基準の開発(前駆期DLB) ●病理を直接示す新規バイオマーカーの確立(α-シヌクレインのイメージングおよび沈着を実証するための末梢組織[皮膚など]の生検、生化学的マーカー[脳脊髄液や血液]) ●第4改訂版の診断基準の感度および特異性の病理学的評価

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統合失調症患者のインスリン抵抗性有病率とその特徴

 いくつかの研究において、統合失調症患者は、インスリン抵抗性リスクが高いことが示唆されている。中国・北京大学のChen Lin氏らは、中国人統合失調症入院患者におけるインスリン抵抗性の有病率および臨床的相関について調査を行った。Comprehensive Psychiatry誌オンライン版2019年11月7日号の報告。 対象は、統合失調症患者193例(男性:113例、女性:80例)。血漿グルコースおよび脂質レベルに関するデータを含む人口統計および臨床データを収集した。認知機能の評価には、Repeatable Battery for the Assessment of Neuropsychological Status(RBANS)、精神症状の評価には、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)を用いた。インスリン抵抗性を評価するHOMA-IRのカットオフ値は、1.7に設定した。 主な結果は以下のとおり。・インスリン抵抗性の有病率は、37.82%(73例)であった。・インスリン抵抗性患者は、そうでない患者と比較し、ウエスト/ヒップ比、BMI、空腹時血糖、トリグリセリド(TG)、LDLレベルが有意に高かった(各々p<0.05)。・バイナリロジスティック回帰分析では、喫煙、BMI、TG、LDLレベルが、インスリン抵抗性の有意な予測因子であった。・相関分析では、ウエスト/ヒップ比、BMI、LDLレベルが、インスリン抵抗性と有意に相関していることが示唆された(Bonferroni補正:p<0.05)。・多変量線形回帰分析では、BMIと空腹時血糖が、インスリン抵抗性と関連していることが示唆された。・異なる抗精神病薬を使用している患者間で、インスリン抵抗性に有意な差は認められなかった。 著者らは「中国人統合失調症患者では、インスリン抵抗性およびそのリスク因子を有する割合が高かった。統合失調症患者のインスリン抵抗性発生を防ぐためにも、BMIやウエスト周囲を減らし、タバコの本数を減らすための積極的な体重管理が不可欠である」としている。

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プライマリケアにおけるベンゾジアゼピン減量戦略

 ベンゾジアゼピンは一般的な医療用医薬品であり、成人の約10%において、過去1年間で使用されている。これらの薬剤は依存性があり、多くの患者に対し長期間使用され、長期的な副作用も認められている。英国・NHS Greater Glasgow & ClydeのStephen Davidson氏らは、ジアゼパムを繰り返し使用している患者の処方を見直し、必要に応じて減量および中止が可能か、また、それらの変化が24ヵ月継続するかについて調査を行った。Korean Journal of Family Medicine誌オンライン版2019年11月6日号の報告。 本研究では、半農村地域の一般診療において、ジアゼパム使用を減量するための最低限の介入戦略を用いた。最近ジアゼパムを使用している患者に、一般開業医への来院を依頼した。患者ごとに減量グリッドを作成し、1mg/週の減量を行った。精神医学的併存疾患を有する患者も含まれていた。中断データは毎月のデータに含めた。アウトカムは、12ヵ月および24ヵ月に評価した。 主な結果は以下のとおり。・ジアゼパムを繰り返し使用していた患者は92例、そのうち87例(94.6%)がレビューに参加した。・精神医学的治療を受けていた患者27例(29.3%)には、精神科医のサポートの下、漸減法を実施した。・24ヵ月後、77例中63例(81.8%)が、ジアゼパムの定期的な使用を中止、もしくは中止する過程であった。・総月間ジアゼパム使用は、統計学的に有意な減少が認められた(1,000患者当たりの1日用量2.2→0.7 DDD)。 著者らは「この最小限の介入戦略は、プライマリケアとセカンダリケアの連携により、一般診療におけるジアゼパムの継続的な使用削減効果をもたらした」としている。

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てんかん重積、レベチラセタムvs.ホスフェニトインvs.バルプロ酸/NEJM

 ベンゾジアゼピン系薬治療抵抗性の痙攣性てんかん重積状態の患者に対し、静注用抗痙攣薬レベチラセタム、ホスフェニトイン、バルプロ酸は、いずれも効果は同等で、約半数で1時間以内に発作停止と意識レベル改善が認められることが明らかにされた。有害事象の発現頻度も3剤間で同程度だった。米国・バージニア大学のJaideep Kapur氏らが、384例を対象に行った適応的デザイン・無作為化二重盲検試験の結果で、NEJM誌2019年11月28日号で発表した。これまで、同患者への薬剤選択について十分な研究は行われていなかった。60分後までの発作停止と意識レベル改善を比較 研究グループは、ベンゾジアゼピン系薬治療抵抗性の痙攣性てんかん重積状態の小児および成人を対象に、適応的デザイン・無作為化二重盲検試験を行った。 被験者を無作為に3群に分け、静注用抗痙攣薬のレベチラセタム、ホスフェニトイン、バルプロ酸をそれぞれ投与し、有効性と安全性を比較した。 主要アウトカムは、抗痙攣薬を追加せず、薬剤の注入開始から60分後までの臨床的に明らかな発作停止と、意識レベルの改善とした。各薬剤の有効性が最も高い/最も低い事後確率を算出して評価した。 安全性アウトカムは、生命を脅かす血圧低下または不整脈、気管内挿管、発作の再発、死亡などだった。3剤の発作停止・意識レベル改善率、45~47%と同等 試験には2015年11月3日~2017年10月31日に400例が登録された。そのうち16例は再発により2回登録された患者で、2度目の登録データは除外し、384例をintention-to-treat(ITT)の解析対象とした(レベチラセタム群145例、ホスフェニトイン群118例、バルプロ酸群121例)。なお本試験は、計画されていた中間解析で事前規定の無益性基準(1つの薬剤の優劣を見いだすことが無益である)を満たしたため、2017年11月に登録が中止となった。 ITT集団のベースラインにおける患者特性は3群間で類似していた。全被験者の55%が男性で、小児および思春期(最年長は17歳)が39%、18~65歳が48%、65歳超が13%だった。また、10%で心因性発作があったことが確認された。 主要アウトカムの60分後までの発作停止と意識レベルの改善は、レベチラセタム群は68例(47%、95%信用区間[Crl]:39~55)、ホスフェニトイン群は53例(45%、同:36~54)、バルプロ酸群は56例(46%、38~55)で認められた。各薬剤の有効性が最も高い事後確率は、それぞれ0.41、0.24、0.35だった。 安全性については、数値的には血圧低下と気管内挿管はホスフェニトイン群で他の2群に比べて多く、また死亡はレベチラセタム群で他の2群に比べて多かったが、いずれも有意差はなかった。

3133.

うつ症状に対するポリフェノールの影響~システマティックレビュー

 うつ病は、世界中で3億5,000万人が罹患している気分障害である。最近の研究では、うつ病に対して食事が保護的な役割を果たすことが示唆されている。いくつかのシステマティックレビューでは、うつ症状の軽減に地中海スタイルの食事パターンが有望であることが報告されている。これは、食事の中に一般的に含まれるポリフェノールの含有量が多いことが要因であると推測されている。オーストラリア・シドニー工科大学のJessica Bayes氏らは、うつ症状に対する地中海スタイルの食事に含まれるポリフェノールの影響について評価を行った。Advances in Nutrition誌オンライン版2019年11月5日号の報告。 うつ症状に対するポリフェノールの役割を評価するため、システマティックレビューを実施した。2019年2月18日までの研究を、PROQUEST、SCOPUS(Elsevier)、MEDLINE(EBSCO)、CINAHL、Embaseより検索した。包括基準は、18~80歳の成人に対するポリフェノール摂取とうつ病スコアを評価した観察研究および実験研究とした。 主な結果は以下のとおり。・1万2,084件中37件(観察研究:20件、実験研究:17件)が包括基準を満たした。・茶、コーヒー、柑橘類、ナッツ、大豆、ブドウ、マメ科植物、スパイスを含むいくつかの異なるポリフェノールについて評価を行った。・29件で、うつ病に対するポリフェノールの統計学的に有意な効果が認められた。 著者らは「ポリフェノール摂取とうつ病リスクとの関連および、うつ症状に対するポリフェノールの効果が認められた。本レビューでは、若年成人および男性の抑うつ症状に対するポリフェノールの役割に関する文献においてギャップが認められた」としている。

3134.

降圧薬と認知症リスク~メタ解析

 認知症は、予防や治療戦略が難しい健康問題である。認知症を予防するうえで、特定の降圧薬使用が、認知症リスクを低下させるともいわれている。米国・国立衛生研究所のJie Ding氏らは、特定の降圧薬による血圧低下が認知症リスクに及ぼす影響について検討を行った。The Lancet. Neurology誌オンライン版2019年11月6日号の報告。高血圧患者に対する降圧薬使用は認知症リスクを低下させる 1980年1月1日~2019年1月1日までに公表された適格な観察研究より参加者データを収集し、メタ解析を実施した。適格基準は、コミュニティーの成人を対象としたプロスペクティブコホート研究、参加者2,000人超、5年以上の認知症イベントデータの収集、血圧測定および降圧薬の使用、認知症イベントに関する追加データを収集するための対面試験、死亡率のフォローアップを含む研究とした。ベースライン時の高血圧(SBP140mmHg以上またはDBP90mmHg以上)および正常血圧において、5つの降圧薬クラスを用いて、認知症やアルツハイマー病との関連を評価した。降圧薬服用確率に関連する交絡因子を制御するため、傾向スコアを用いた。研究固有の効果推定値は、変量効果のメタ解析を用いてプールした。 降圧薬と認知症との関連を評価した主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間7~22年間(中央値)のコミュニティーベースプロスペクティブコホート研究6件より得られた、55歳超の非認知症成人3万1,090人を解析対象とした。・認知症診断は3,728件、アルツハイマー病診断は1,741件であった。・高血圧群(1万5,537人)では、降圧薬を使用している患者は、使用していない患者と比較し、認知症発症リスク(ハザード比[HR]:0.88、95%CI:0.79~0.98、p=0.019)およびアルツハイマー病発症リスク(HR:0.84、95%CI:0.73~0.97、p=0.021)の低下が認められた。・認知症リスクに対して、降圧薬のクラス間で有意な差は認められなかった。・正常血圧群(1万5,553人)では、降圧薬使用と認知症またはアルツハイマー病との間に関連は認められなかった。 著者らは「高血圧患者に対する降圧薬使用は、認知症リスクを低下させる。しかし長期の観察では、特定の降圧薬が、他の降圧薬と比較し、認知症リスク低下に効果的であることは示唆されなかった。このことから、今後の高血圧臨床ガイドラインでは、認知症リスクに対する降圧薬の有益な効果を考慮すべきである」としている。

3135.

青年期うつ病の治療中および治療後の軌跡

 英国・ケンブリッジ大学のSian Emma Davies氏らは、UK IMPACT試験に参加した青年期うつ病患者を症状変化の軌跡によって分類し、その予測因子および治療反応の定義との比較を行った。Journal of Child Psychology and Psychiatry誌オンライン版2019年10月24日号の報告。 本研究は、成長混合モデリング(GMM)を用いた2次データ分析である。欠損データは補完された。対象患者465例について、86週間の6つの時点におけるスコアを用いて、自己報告された抑うつ症状の軌跡を作図した。 主な結果は以下のとおり。・患者は、最初は類似した症状軌跡をたどり、その後2種類の軌跡を示した。・この2種類のグループでは、最初の18週目までに抑うつ症状の有意な改善が認められた。・両グループの内訳は、研究期間中に症状改善が認められる「継続改善」が391例(84.1%)、ベースライン時の抑うつ症状スコアが高く、初期は早期改善が認められるものの、18週以降に改善が認められない「改善停止」が74例(15.9%)であった。・ベースライン時で併存疾患を有していた患者では、「改善停止」の増加が認められた(OR:1.40、CI:1.00~1.96)。・研究終了時までの誤分類は、臨床的寛解カットオフスコア(27以下)で15%、治療反応を示す症状改善スコア(50%以上)で31%に認められた。 著者らは「治療初期の抑うつ症状改善は、必ずしも良好な予後を示すものではない。治療開始18週以降に、改善の停止が認められる。治療反応に対する差異は、縦断的モデリングにより精度が向上する可能性がある。これまで考えられていたよりも、抑うつ症状の改善は、年単位でかかる場合がある」としている。

3136.

プライマリケアにおけるセルトラリンの臨床的有効性~PANDA研究

 うつ病のケアは、プライマリケアで行われることが多い。しかし、ほとんどの抗うつ薬の試験では、うつ症状の診断と重症度に基づいた適格基準を有する2次医療圏の精神保健サービスの患者を対象としている。抗うつ薬は、これまでの臨床試験の対象患者よりもはるかに幅広い患者に用いられている。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのGemma Lewis氏らは、軽度~重度のうつ症状を伴うプライマリケア患者を対象に、セルトラリンの臨床効果を調査し、治療反応に対する重症度と期間との関連について検討を行った。The Lancet. Psychiatry誌2019年11月号の報告。 本研究(PANDA研究)は、英国4都市(ブリストル、リバプール、ロンドン、ヨーク)のプライマリケア医179人の患者を対象に、実臨床多施設二重盲検プラセボ対照ランダム化試験として実施された。過去2年間に抗うつ薬のベネフィットについて臨床的不確実性が認められた18~74歳の抑うつ症状患者を対象とし、セルトラリン群(最初の1週間は1日1カプセル[セルトラリン50mg]、その後2カプセルとし最大11週間投与)またはプラセボ群にランダムに割り付け、重症度、期間などで層別化した。主要アウトカムは、こころとからだの質問票(PHQ-9)スコアにより測定された6週間後の抑うつ症状とした。副次アウトカムは、2、6、12週目の抑うつ症状および寛解(PHQ-9、Beck Depression Inventory-II[BDI-II])、全般性不安症状(Generalised Anxiety Disorder Assessment 7-item version[GAD-7])、心の健康および身体的健康(12-item Short-Form Health Survey[SF-12])、自己報告による改善度とした。すべての分析は、intention-to-treat分析で行った。 主な結果は以下のとおり。・2015年1月~2017年8月までに655例を、セルトラリン群326例、プラセボ群329例に割り付けた。・セルトラリン群の2例は、ベースライン評価が完了しなかったため除外した。・主要アウトカムの分析対象患者数は、550例(セルトラリン群:266例、プラセボ群:284例)であった。85%のフォローアップ率で、両群間に差は認められなかった。・6週間後、セルトラリン群において、臨床的に意味のある抑うつ症状の軽減は認められなかった。・6週間後の平均PHQ-9スコアは、セルトラリン群で7.98±5.63、プラセボ群で8.76±5.86であった(調整比例差:0.95、95%CI:0.85~1.07、p=0.41)。・副次アウトカムでは、セルトラリン群において、不安症状、メンタルヘルス関連QOL(身体的QOLは除く)、メンタルヘルスに関する自己報告の改善が認められた。・12週間後、セルトラリン群において、抑うつ症状の軽減が認められた(弱エビデンス)。・有害事象は、セルトラリン群で4件、プラセボ群で3件が認められたが、両群間に差は認められなかった。・重篤な有害事象は、セルトラリン群で2件(うち1件は薬物療法に関連と分類)、プラセボ群で1件と分類された。 著者らは「セルトラリンは、プライマリケアにおいて、6週間以内に抑うつ症状を改善させる可能性は低いものの、臨床的に重要であると考えられる不安、QOL、メンタルヘルスに関する自己評価の改善が認められた。本調査結果は、うつ病または全般性不安症の診断基準を満たさない軽度~中等度の症状を有する患者を含む、これまで考えられていたよりも幅広い患者に対するSSRI抗うつ薬の使用を裏付けている」としている。

3137.

統合失調症の残存症状による再発予測~PROACTIVE研究の再解析

 経口または長時間作用型持効性注射剤(LAI)の抗精神病薬で治療されている統合失調症患者の再発を予測するうえで、残存症状の影響はこれまであまり注目されていなかった。慶應義塾大学の齋藤 雄太氏らは、PROACTIVE(Preventing Relapse: Oral Antipsychotics Compared To Injectables: Evaluating Efficacy)研究のデータを用いて、統合失調症の残存症状による再発の予測について検討を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2019年10月28日号の報告。 統合失調症外来患者305例を対象に、隔週のリスペリドンLAI(LAI-R)群または毎日の経口第2世代抗精神病薬(SGA)群のいずれかにランダムに割り付け、最大30ヵ月間の評価を行った。その後の再発を予測できるベースライン時の症状を特定するために、Cox比例ハザードモデルを用いた。また、研究中に再発を経験した73例について、線形混合モデルを用いて、再発の2~8週前における隔週評価とベースライン評価との症状の比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時の誇大妄想のスコアの高さは、その後の再発と有意な関連が認められた(調整ハザード比[aHR]:1.24、p=0.006)。・両群をそれぞれ分析したところ、経口SGA群では、ベースライン時の重度の誇大妄想(aHR:1.43、p=0.003)および軽度の幻覚行動(aHR:0.70、p=0.013)が、再発と有意に関連していたが、LAI-R群では認められなかった。・感情的引きこもりは、ベースライン時と比較し、再発の8週前(p=0.032)および2週前(p=0.043)に有意な悪化が認められた。 著者らは「重度の誇大妄想および軽度の幻覚は、経口抗精神病薬で治療されている統合失調症患者の再発を予測する可能性がある。また、再発前に悪化が認められる感情的引きこもりは、再発を回避するための有用なマーカーとなりうる可能性がある」としている。

3138.

不眠症状と心血管疾患リスク~50万人の10年間コホート研究

 中国・北京大学健康科学センターのBang Zheng氏らは、不眠症状と心・脳血管疾患(CVD)発症リスクとの関連を調査し、リスク軽減が可能な因子を特定するため検討を行った。Neurology誌オンライン版2019年11月6日号の報告。 中国全土の10地域から参加者を募集したプロスペクティブコホート研究であるChina Kadoorie Biobankとして実施した。ベースライン時に脳卒中、冠動脈精神疾患、がんのいずれもない30~79歳の成人48万7,200人を対象にデータ分析を行った。ベースライン時の3つの不眠症状(入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒)および3日/週以上の日中の機能障害を自己報告により評価した。CVD発症は、2016年までの疾病レジストリおよび健康保険データベースよりフォローした。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中(中央値:9.6年)に、CVDが認められた成人は13万32人であった。・Cox回帰分析では、3つの不眠症状は、総CVDリスクの増加と関連が認められた。 ●入眠困難 ハザード比[HR]:1.09(95%信頼区間[CI]:1.07~1.11) ●中途覚醒 HR:1.07(95%CI:1.05~1.09) ●早朝覚醒 HR:1.13(95%CI:1.09~1.18)・不眠症状を有する成人は、虚血性心疾患(HR:1.13、95%CI:1.09~1.17)および虚血性脳卒中のリスクが高かったが、出血性脳卒中は無関係であった。・3つの不眠症状を有する成人では、不眠症状のない人と比較し、以下のリスクが高かった。 ●CVD 18%上昇 ●虚血性心疾患 22%上昇 ●虚血性脳卒中 10%上昇・3つの不眠症状とCVD発症率との関連は、若年またはベースライン時に高血圧ではない成人おいて、一貫して強かった(p for interaction<0.05)。 著者らは「不眠症状は、CVD発症に対する独立したリスク因子であり、とくに若年または高血圧を発症していない成人では注意が必要である」としている。

3139.

サッカー選手は認知症になりやすい?(解説:岡村毅氏)-1142

 サッカー選手はアルツハイマー型認知症になりやすいという論文だ。ああクリスマスか、と思ったがちょっと待て、まだ11月である。BMJのクリスマス号(英国ジョークのひねりの効いた論文が掲載される特別号)ではなく、真面目な論文であった。 元プロサッカー選手と一般人口を比較すると、元サッカー選手は当然ながら健康なので死亡は少ないし、虚血性心疾患も少ない。しかし神経変性疾患は多く、アルツハイマー型認知症についてはおよそ5倍である。 またこの論文ではフィールド・プレーヤーとゴールキーパーを比較している。両者は認知症リスクは変わらなかったが抗認知症薬の処方はゴールキーパーでは少なかったらしい。 どういうことであろうか? 実はコンタクトスポーツでは遅発性の脳損傷が多いことはよく知られている。最も危険とされるのはアメリカンフットボールであり、認知症やうつ病がきわめて多いことは周知の事実であろう。選手を脳損傷から守ることは世界的なトレンドであり、ラグビーワールドカップでもHIA(Head Injury Assessment)が行われていたのをご覧になった方も多いだろう。 なぜかこの論文でははっきり書いていないようだが…サッカーで脳損傷が起きる原因は、はっきり言おう、ヘディングである。 ゴールキーパーとしつこく比較しているのも、ヘディングの有無を見たいからに違いない。 英国サッカーといえば、今でこそやれゲーゲンプレスやらティキ・タカやらおしゃれな戦術サッカーが隆盛であるが、かつてはサイドからのセンタリングを押し込むだけであった。考えただけでも脳損傷を起こしそうだが。 野球の球数制限はようやく実現したが、ヘディングが禁止される日もいつか来るのかもしれない。いろいろ思うところはあるが、時代の流れであることは確かだ。

3140.

血中トランス脂肪酸と認知症リスク~久山町研究

 トランス脂肪酸と認知症との関連はよくわかっていない。九州大学の本田 貴紀氏らは、トランス脂肪酸の客観的バイオマーカーである血清エライジン酸(trans 18:1 n-9)レベルと認知症やそのサブタイプとの関連をプロスペクティブに調査した。Neurology誌オンライン版2019年10月23日号の報告。 対象は、2002~03年にスクリーニング検査を受け、2012年11月までフォローアップ(期間中央値:10.3年、四分位範囲:7.2~10.4)を行った、認知症でない60歳以上の日本人高齢者1,628人。血清エライジン酸レベルは、ガスクロマトグラフィー質量分析法を用いて測定し、四分位に分類した。血清エライジン酸レベルとすべての原因による認知症、アルツハイマー病(AD)、血管性認知症のハザード比を推定するために、Cox比例ハザードモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・フォローアップ期間中に、いずれかの認知症を発症した高齢者は377人(AD:247人、血管性認知症:102人)であった。・従来のリスク因子で調整後、高血清エライジン酸レベルは、すべての原因による認知症(p for trend=0.003)およびAD(p for trend=0.02)の発症リスク増加と関連が認められた。・総エネルギー、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸の摂取を含む食事の因子で調整後も、これらの関連性は、有意なままであった(各々p for trend<0.05)。・血清エライジン酸レベルと血管性認知症との間に、有意な関連性は認められなかった。 著者らは「高血清エライジン酸レベルは、高齢者のすべての原因による認知症およびADの発症に対する潜在的なリスク因子であることが示唆された。トランス脂肪酸を減らすための公衆衛生政策は、認知症の1次予防に有用な可能性がある」としている。

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