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小児の上腕骨内側上顆転位骨折、手術的固定術はベネフィット示さず/Lancet

 上腕骨内側上顆転位骨折は、小児の骨折で最も議論の余地のある損傷の1つだが、裏付けとなるエビデンスが乏しいにもかかわらず、手術的固定術を行う傾向が強い状況であるという。英国・リバプール大学のDaniel C. Perry氏らは「SCIENCE試験」において、転位した骨片の位置を回復させる手術的固定術は非手術的治療と比較して、臨床的有益性をもたらさず費用対効果も優れないうえに、これらの小児を回避可能な外科的リスクにさらす可能性があることを示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2026年1月20日号で報告された。3ヵ国の無作為化優越性試験 SCIENCE試験は、3ヵ国(英国、オーストラリア、ニュージーランド)の59施設で実施した実践的な多施設共同無作為化優越性試験(英国国立衛生研究所[NIHR]などの助成を受けた)。2019年6月~2023年9月に参加者を登録した。 年齢7~15歳の転位を伴う内側上顆骨折の患者を対象とした。被験者を、手術的固定術を受ける群または非手術的治療を受ける群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。 手術的固定術は、全身麻酔下に切開、解剖学的整復、骨片の固定を行った。非手術的治療は、ギプス、副木、スリングを用いて肘を約90度の屈曲位に固定した。 主要アウトカムは、12ヵ月の時点での上肢機能の回復とし、ITT集団において小児用PROMIS(Patient Report Outcomes Measurement System)上肢スコア(13.7~57.3点、高点数ほど上肢機能が良好)で評価した。手術的固定術は術中・術後合併症と追加手術が多い 334例(平均年齢11.7[SD 2.3]歳、女児170例[51%])を登録し、手術群に168例、非手術群に166例を割り付けた。194例(58%)はスポーツによる骨折で、体操(55例[16%])とフットボール/サッカー(37例[11%])による損傷が多かった。主要アウトカムのデータは285例(85%)から得られた。 12ヵ月時のPROMIS上肢スコアは、手術群が54.3(SD 5.7)点、非手術群は53.1(SD 7.8)点であり、両群間に有意な差を認めなかった(平均治療群間差:1.57点、95%信頼区間[CI]:-0.01~3.14、p=0.052)。また、この治療効果の推定値は臨床的に意義のある差(4点)を下回っていた。 追加手術(計画手術、合併症関連手術)は、手術群で24例、非手術群で3例に行われた。手術的固定術を受けた150例のうち、13例(9%)に14件の術中合併症が、7例(5%)に術後合併症が発生し、それぞれ手術を要した。さらに、17例(11%)ではスクリューやワイヤの除去手術がルーチンに行われた。 非手術的治療を受けた184例では、4例(2%)に5件の合併症が発生し、このうち3件(2%)で追加手術を要した。費用は手術群で2,435ポンド高額 英国の国民保健サービス(NHS)および福祉サービス(Personal Social Services)の評価法で算出した患者1例当たりの平均費用は、手術群で2,435ポンド(95%CI:1,812~3,057)高く、患者1人当たりの質調整生存年(QALY)の群間差は平均-0.008(95%CI:-0.039~0.024)であった。 また、1QALY当たり2万ポンドまたは3万ポンドの支払い意思額閾値において、手術的固定術で費用対効果が優れる確率は0%だった。 著者は、「非手術的治療では、後日手術が必要となるリスクがごくわずかに残るが、これは手術的固定術における2次的手術の実施率と比較して低い」「これらの知見は、小児の上腕骨内側上顆転位骨折では非手術的治療を標準的な管理戦略へと転換し、手術的固定術は例外的な状況に限定すべきであることを示唆する」「このエビデンスは、今後のガイドラインに反映すべきであり、治療選択肢に関する臨床医と患児、家族との話し合いに有益と考えられる」としている。

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急性筋骨格系損傷の小児、イブプロフェン単独療法vs.併用療法/JAMA

 非観血的急性筋骨格系損傷の小児(6~17歳)において、薬剤投与60分後の疼痛スコアは、イブプロフェン+アセトアミノフェン併用投与またはイブプロフェン+ヒドロモルフォン併用投与を行っても、イブプロフェン単独投与と比較して有意な改善は認められず、副作用の発現割合はヒドロモルフォン併用投与で約4倍高かった。カナダ・アルバータ大学のSamina Ali氏らが、カナダの3次医療施設6施設の小児救急部門で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照試験「Non-Steroidal or Opioid Analgesia Use for Children With Musculoskeletal Injuries:No OUCH試験」の結果を報告した。イブプロフェンは、筋骨格痛に対する第1選択薬であるが、小児の3例に2例がイブプロフェン単独では十分な疼痛緩和が得られず、中等度から重度の筋骨格痛に対する鎮痛薬の追加併用の有効性は不明であった。JAMA誌オンライン版2026年1月8日号掲載の報告。オピオイド併用の3群比較試験と、非オピオイド併用の2群比較の2試験を実施 No OUCH試験は、オピオイド試験と非オピオイド試験の2試験で構成され、保護者および患者がいずれに参加するかを決定できる治療選好を考慮した補完的試験デザインで実施された。 対象は6~17歳の小児で、発症後24時間以内の急性筋骨格系損傷(明らかな変形や神経血管障害を伴わない)を呈し、verbal numerical rating scale(vNRS)による疼痛スコアが10点満点中5点以上の患者とした。 研究グループは、適格患者を、オピオイド試験では(1)イブプロフェン+ヒドロモルフォン群、(2)イブプロフェン+アセトアミノフェン群、(3)イブプロフェン単独群のいずれかに、非オピオイド試験では(1)イブプロフェン+アセトアミノフェン群、または(2)イブプロフェン単独群のいずれかに無作為に割り付け、それぞれ単回経口投与した。 両試験とも、イブプロフェンは10mg/kg(最大600mg)、アセトアミノフェンは15mg/kg(最大1,000mg)、ヒドロモルフォンは0.05mg/kg(最大5mg)を投与した。 有効性の主要アウトカムは、投与後60分時点の自己申告によるvNRS疼痛スコア(スコア範囲:0[無痛]~10[最悪の痛み]、臨床的意義のある最小群間差:1.5[SD 2.7])、安全性の主要アウトカムは、治療関連有害事象の発現割合であった。平均疼痛スコアは3群間で有意差なし 2019年4月~2023年3月に8,098例がスクリーニングされ、適格患者699例が無作為化された(オピオイド試験249例[イブプロフェン+ヒドロモルフォン群110例、イブプロフェン+アセトアミノフェン群70例、イブプロフェン単独群69例]、非オピオイド試験450例[イブプロフェン+アセトアミノフェン群225例、イブプロフェン単独群225例])。2試験の患者の平均(SD)年齢は11.5(3.5)歳、47.4%が女性で、登録時の平均(SD)vNRSスコアは6.4(1.8)であった。 有効性の解析対象集団653例において、投与60分後の平均(SD)vNRSスコアはイブプロフェン+ヒドロモルフォン群4.8(2.6)、イブプロフェン+アセトアミノフェン群4.6(2.4)、イブプロフェン単独群4.6(2.3)であった(p=0.78)。 治療関連有害事象の発現割合は、イブプロフェン+ヒドロモルフォン群で28.2%と、イブプロフェン+アセトアミノフェン群6.1%、イブプロフェン単独群5.8%と比較して高かった。重篤な有害事象は報告されなかった。

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小児の熱傷【すぐに使える小児診療のヒント】第10回

小児の熱傷子供の成長は喜ばしいものですが、その一方で成長に伴ってこれまで想像もしていなかった事故が起こり得ます。熱傷は家庭内での日常的な事故として発生することが多く、「一瞬の不注意」が重症化につながることも少なくありません。小児は成人と比較して皮膚が薄く、体表面積当たりの熱吸収量が大きいため、同じ条件でもより深く、より広範囲の熱傷となることがあり、注意が必要です。症例11ヵ月、女児。カップラーメンの熱湯が顔面にかかり、熱傷を負ったため受診した。父が自宅のテーブルの上に作りかけで置いていたカップラーメンを、一瞬目を離した隙に児が触ってこぼしてしまったとのこと。顔面にII度熱傷、肩、腕にもI度熱傷あり。熱傷の評価熱傷の評価に関しては成人と大きくは変わりません。熱傷とは、「高熱(加熱液体・気体・固体、火炎など)、低温(液体・気体・固体など)、化学物質、電流などが皮膚に接触し生じる外傷」であり、温度と接触時間で深達度が規定され、その深達度とその範囲によってどの程度全身に影響を与えるのかが決まります。温度 × 接触時間 = 深達度深達度 × 熱傷面積 = 重症度(1)深達度I度熱傷:表皮のみ。発赤・疼痛あり、水疱なしII度熱傷:真皮に及ぶ。水疱形成、強い疼痛浅達性:自然上皮化が期待できる深達性:瘢痕形成のリスクありIII度熱傷:全層壊死。白色~黒色、疼痛に乏しい※急性期には深達度が過小評価される可能性があり、繰り返し評価が必要画像を拡大する画像を拡大する(2)熱傷面積熱傷面積の算出には、成人では「9の法則」を用いることが多いですが、全身に占める頭部や躯幹の割合が大きい乳幼児においては不正確です。簡易的には、下記に示すように「5の法則」や「手掌法」を用いて算出します。<5の法則>画像を拡大する<手掌法>患者手掌が体表面積の1%熱傷面積を算出する際に小範囲の面積を加算算出するのに用いる(3)重症度判定とアルゴリズム下記アルゴリズムは、小児の熱傷において全身管理と局所治療の優先順位を整理することを目的としています。II度15%未満、III度2%未満は軽症に分類され、局所治療を基本とします。それ以上の場合は中等症/重症に分類され、気道・顔面・手足などの部位の熱傷、電撃傷などでは全身管理を優先し、経過に応じて手術も含めた治療選択を行います。画像を拡大する<熱傷診療ガイドラインを参考に作成>熱傷の初期治療軽症および中等症の熱傷の場合、火傷の直後に冷却すると創傷治癒が向上します。可能であれば20分間冷却することが推奨されます。感染管理としては、水洗浄、受傷状況と汚染の程度によって破傷風トキソイド接種(参考:小児の創傷処置)を考慮します。受傷初期の熱傷に対して、創部感染予防目的に抗菌薬の予防的全身投与を画一的に行うことは勧められていません。明らかな汚染創であったり、易感染宿主状態の患者であったりする場合に考慮します。急性期の熱傷では、I~III度熱傷が混在していることも多く、正確な深達度評価は難しいとされています。まずは洗浄して、油脂性基材軟膏(ワセリン、プロペト、アズノールなど)で湿潤療法を行うことが基本です。虐待の可能性を考える乳幼児の熱傷では、常に虐待の可能性を念頭に置いて診療にあたる必要があります。身体的虐待の約9%に熱傷が含まれるとの報告もあり、決してまれな所見ではありません。虐待による熱傷を見逃さないためには、受傷時の状況を詳細に問診すること、全身をくまなく診察すること、そして受傷部位だけでなく熱傷痕そのものの特徴に注目することが重要です。事故による乳幼児の熱傷では、手掌や前腕などの上半身に受傷していることが多い傾向があります。一方で、虐待による熱傷には、以下のような特徴がみられます。臀部、大腿内側、腋窩、腹部など、通常は露出していない部位に生じている円形で境界が明瞭なタバコ熱傷など、熱源を推定しやすい形状を呈する熱傷の深達度が均一で、健常皮膚との境界がはっきりしている熱源が飛び散ることによる不規則な熱傷(splash burn)を伴わないこうした「事故らしさ」「虐待らしさ」をあらかじめ知っておくことが、違和感に気づき、見逃さない診療につながります。事故予防の観点から熱傷は、実は家庭内での事故のうち多くの割合を占めています。とくに、0~1歳児に多く、発生場所としては居室と台所で約8割を占めるといわれています。その原因で最も多いのが、味噌汁や麺類、シチューなどの調理食品で、次いでストーブ、電気ケトルなどが挙げられます。まさに今回の症例のように「カップラーメンの待ち時間で子供がやけどしてしまった」といったエピソードは、日常診療の中でもよく経験します。問診例テーブルの上に置いていたカップラーメンをひっくり返して被ってしまいました。そうだったのですね。テーブルのどのあたりに置いていましたか?端の方に置いてしまっていました。最近つかまり立ちをするようになったのですが、まだ届かないだろうと気を抜いていました。事故予防は、保護者が気をつけることだけで成り立つものではありません。電気ケトルの転倒による熱傷事故が多く報告されたことを受けて、転倒してもお湯がこぼれにくい設計の商品が開発されるなど、社会全体でもさまざまな工夫が進められています。ぜひ日本小児科学会のホームページに掲載されているInjury Alertも参考にしていただければと思います。保護者との関わり熱傷の正確な評価や適切な処置はもちろん重要ですが、同時に、保護者に対して事故予防について話をすることも欠かせないポイントです。二度と同じ事故を繰り返さないためには、「喉元過ぎて熱さを忘れない」うちに、受診のタイミングで具体的に伝えることが、最も効果的であると感じています。問診例(続き)お父さんの近くやテーブルの中央など、手の届かない場所に置く工夫が必要かもしれませんね。お子さんは日々成長するので、『まだ大丈夫』と思っていても思いもよらなかったような事故が起こることがあります。そうしたことを前提に対策していくことが大切ですね。一緒に考えていきましょう。こども家庭庁のホームページに掲載されている「こどもの事故防止ハンドブック」は、PDFを無料でダウンロードできるため、外来で保護者に紹介する資料としても有用です。また、今回の症例のように顔面に熱傷を負った場合には、外見の変化に対する心のケアも重要になります。たとえ最終的に治癒が見込まれるものであっても、顔面の皮膚がただれ、痛々しい状態になっているわが子の姿を目の前にすると、保護者は少なからずショックを受け、自身や配偶者を責めてしまうことも少なくありません。「お子さんの状態を良くしたい」という気持ちは、保護者も医療者も同じです。その思いを共有し、寄り添う姿勢を言葉にしながら、身体面だけでなく精神面にも配慮して関わることが大切だと考えています。参考資料 1) 日本皮膚科学会:熱傷診療ガイドライン第3版 2) 日本小児科学会:虐待による熱傷の所見 3) 日本小児科学会:I Injury Alert(傷害速報) 4) こども家庭庁:こどもの事故防止ハンドブック

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出産年齢が高いほど子供のアレルギーリスクが低い~日本の全国調査

 高齢出産は遺伝的およびエピジェネティックな変化と関連しているものの、小児アレルギーリスクとの関連は不明である。今回、国立成育医療研究センターの山本 貴和子氏らが3万4,942組の母子を対象としたコホート研究で調査したところ、出産時の年齢が高い母親の子供は、幼児期の食物アレルギー、喘鳴、ハウスダスト感作のオッズが低く、高齢出産が幼児期のアレルギー疾患を防御する可能性があることが示唆された。JAMA Network Open誌2026年1月2日号に掲載。 本研究は、全国における集団ベースの多施設共同前向き出生コホート研究で、「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」のデータを用いた。2011年1月~2014年3月に日本国内の15センターで参加者を登録し、1歳、2歳、4歳時に追跡調査データを収集した。本解析は親の年齢とアレルギーに関するデータを有する単胎出生児を対象とし、2024年7月8日~2025年2月4日に実施した。ハウスダスト感作はサブコホートで評価した。主要評価項目は、1歳、2歳、4歳における医師診断による食物アレルギー、喘鳴、喘息、湿疹、副次評価項目は、2歳および4歳におけるハウスダスト感作であった。調整オッズ比(OR)は欠損値の多重代入後、多変量ロジスティック回帰を用いて算出した。 主な結果は以下のとおり。・3万4,942組の母子が対象となり、登録時の母親の平均年齢は31.0歳(標準偏差:4.7)、1万7,892人の母親(51.2%)にアレルギー歴があった。・1歳時の食物アレルギー有病率は6.6%(95%信頼区間[CI]:6.4~6.9)で、母親の年齢とともに減少した。・出産時の母親の年齢が25~29歳の子供と比較して、35~39歳で出産した子供(OR:0.79、95%CI:0.70~0.90)および40歳以上で出産した子供(OR:0.59、95%CI:0.44~0.79)のほうが食物アレルギーのオッズが低かった。・両親共に35歳以上で生まれた子供は、4歳時に喘鳴を呈するオッズが低かった(OR:0.89、95%CI:0.82~0.95)。・ハウスダスト感作について、2歳児1,991人と4歳児1,840人を評価した結果、出産時の母親の年齢が高いほどオッズが低かった(30~34歳で出産した子供のOR:0.76、95%CI:0.59~0.98、35~39歳で出産した子供のOR:0.68、95%CI:0.50~0.91)。

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小児片頭痛、起立性調節障害を伴わない場合は亜鉛欠乏か?

 片頭痛は学童期の子供の約10%にみられ、起立性調節障害を併存していることが多い。成人では血清亜鉛レベルの低下と片頭痛の関連が報告されているが、小児におけるエビデンスはこれまで限られていた。兵庫医科大学の徳永 沙知氏らの研究によると、小児片頭痛患者のうち、起立性調節障害を併存していない群では併存群に比べて血清亜鉛レベルが有意に低く、両者の病態生理が異なる可能性が示唆された。Nutrients誌2025年11月28日号に掲載。 本研究では、2017年12月~2022年3月に片頭痛と診断された小児患者57例を対象に、初診時の血清亜鉛、鉄、銅、フェリチン濃度および起立性調節障害併存の有無を後ろ向きに調査した。亜鉛欠乏は血清濃度80μg/dL未満と定義し、起立性調節障害の診断は日本の診断基準に基づき、立ちくらみ、悪心、動悸や呼吸困難、朝起きるのが困難などの主要症状のうち2つ以上ある場合とした。 主な結果は以下のとおり。・解析対象の57例(男児26例、女児31例、年齢中央値13歳[範囲:7~19])において、血清亜鉛濃度の中央値は80.7μg/dL(範囲:57.8~113.3)であり、全体の40%に亜鉛欠乏が認められた。・起立性調節障害を併存していないのは31例(54.4%)、併存しているのは26例(45.6%)であった。・起立性調節障害を併存していない群の血清亜鉛濃度中央値は77.5μg/dL(範囲:57.8~102.9)であり、併存群の86μg/dL(74.4~113.3)と比較して有意に低かった(p<0.001)。・亜鉛欠乏の割合は、起立性調節障害の非併存群で67.7%(21/31例)であったのに対し、併存群では7.7%(2/26例)であった(p<0.001)。・線形混合モデル(LMM)解析の結果、年齢、性別、BMI、鉄、銅、フェリチンなどの要因を調整した後も、起立性調節障害の併存の有無のみが血清亜鉛濃度と有意に関連する因子であった(p=0.019)。・鉄、銅、フェリチンの各レベルについては、起立性調節障害併存の有無による有意な差は認められなかった。 本研究により、片頭痛と診断される小児患者であっても、起立性調節障害の併存の有無によって亜鉛の栄養状態が大きく異なることが示された。著者らは、起立性調節障害を伴わない片頭痛患者では亜鉛欠乏が病態に関与している可能性を指摘しており、血清亜鉛レベルを考慮することが、これら2つの病態を鑑別するための有用な指標になる可能性があるとし、今後の課題として、健康対照群を用いた大規模な前向き研究が必要だとまとめている。

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英語で「百日咳」ってどう言う?【患者と医療者で!使い分け★英単語】第47回

医学用語紹介:百日咳 pertussis日本でもたびたび流行のニュースが聞かれる「百日咳」。海外からの旅行客の診察で、疑わなければならないシーンもあるかもしれません。専門用語ではpertussisといいますが、患者さんにはまず通じないでしょう。患者さんにこの百日咳を説明する際に、どのような一般用語で言い換えればよいでしょうか?講師紹介

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小児眼科領域における診断と治療 最近の進歩

発達段階に応じた診療の決定版「眼科」67巻10号(2025年10月臨時増刊号)雑誌『眼科』本年の臨時増刊号のテーマは「小児眼科領域における診断と治療 最近の進歩」です。迅速で正確な診断と個々の発達段階に応じた治療選択がきわめて重要である小児に対する眼科診療について、前眼部から後眼部までの基本事項はもちろん、近視、斜視、弱視、病診連携やロービジョンケアといった分野まで、忙しい日常臨床の場で役に立つ基礎知識と最新の知見を第一線で活躍されている専門家の先生方にご執筆いただきました。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する小児眼科領域における診断と治療 最近の進歩定価9,350円(税込)判型B5判頁数272頁発行2025年10月編集後藤 浩/飯田 知弘/雑賀司 珠也/門之園 一明/石川 均/根岸 一乃/福地 健郎ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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妊娠中のアセトアミノフェン、神経発達症と関連なし

 アセトアミノフェンは、妊娠中の解熱・鎮痛の第1選択薬であり、非ステロイド性抗炎症薬やオピオイドより安全性が高いとされる一方で、近年自閉スペクトラム症(ASD)などの神経発達症への影響が議論され、注目を集めた。そこで、イタリア・University of ChietiのFrancesco D'Antonio氏らは、妊娠中のアセトアミノフェン使用と児のASD、注意欠如・多動症(ADHD)、知的障害(ID)リスクの関連を検討するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、妊婦のアセトアミノフェン使用とこれらの神経発達症のリスクとの間に関連はみられなかった。本研究結果は、The Lancet Obstetrics, Gynaecology, & Women's Health誌オンライン版2026年1月16日号に掲載された。 研究グループは、MEDLINE、Embase、ClinicalTrials.gov、Cochrane Libraryを用いて、2025年9月30日までに発表されたコホート研究を検索した。対象の研究は、妊娠中のアセトアミノフェン使用と小児アウトカム(ASD/ADHD/ID)を評価し、調整済み推定値が示されているものとした。本研究の主要解析では、きょうだい比較を用いた研究に限定して、妊娠中のアセトアミノフェン使用とASD、ADHD、IDの関連を評価した。また、バイアスリスクが低い研究や追跡期間が5年以上の研究についても解析した。 主な結果は以下のとおり。・システマティックレビューには43件の文献が抽出され、そのうち17件がメタ解析の対象となった。・きょうだい間比較を用いた研究において、妊娠中のアセトアミノフェン使用は、児のASD、ADHD、IDのいずれとも関連がみられなかった。オッズ比(OR)、95%信頼区間(CI)、p値、I2値は以下のとおり。 ASD:0.98、0.93~1.03、p=0.45、I2=0% ADHD:0.95、0.86~1.05、p=0.31、I2=18% ID:0.93、0.69~1.24、p=0.63、I2=48%・バイアスリスクが低い研究のみに限定した解析でも、児のASD、ADHD、IDのいずれとも関連はみられなかった。OR、95%CI、p値、I2値は以下のとおり。 ASD:1.03、0.86~1.23、p=0.78、I2=75% ADHD:0.97、0.89~1.05、p=0.49、I2=10% ID:1.11、0.92~1.34、p=0.28、I2=57%・調整済み推定値を報告したすべての研究を含めた解析や、5年以上の追跡期間を有する研究に限定した解析においても、一貫して関連はみられなかった。 本研究結果について、著者らは「現在のエビデンスでは、用法・用量どおりにアセトアミノフェンを使用した妊婦の児において、ASD、ADHD、IDが臨床的に重要な程度で増加することは示されなかった。これらの知見は、妊娠中のアセトアミノフェンの安全な使用に関する現在の推奨を支持するものである」とまとめている。

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片頭痛へのフレマネズマブ、小児・思春期児にも有益/NEJM

 反復性片頭痛を有する6~17歳の小児・思春期児において、フレマネズマブはプラセボと比較して、片頭痛および頭痛の日数を減少させたことが、米国・シンシナティ小児病院医療センターのAndrew D. Hershey氏らが行った3ヵ月間の海外第III相多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果で示された。フレマネズマブ群で最も多くみられた有害事象は、注射部位紅斑であった。フレマネズマブは、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に選択的に結合するヒト化モノクローナル抗体で、成人の片頭痛予防について承認されている。小児・思春期児について、無作為化試験のエビデンスが求められていた。結果を踏まえて著者は、「小児・思春期児におけるフレマネズマブの有効性と安全性をさらに調べるため、長期の追跡調査を行う必要がある」とまとめている。NEJM誌2026年1月15日号掲載の報告。プラセボと比較、3ヵ月投与の有効性と安全性を評価 試験は2020年8月20日~2024年3月13日に、9ヵ国89施設で被験者を募り行われた(74施設で少なくとも被験者1例が登録された)。 研究グループは、反復性片頭痛(片頭痛が6ヵ月以上持続かつ月当たりの頭痛日数が14日以下と定義)と診断された6~17歳の患児を、フレマネズマブ(体重45kg未満は120mg、45kg以上は225mgを月1回)皮下投与群または適合プラセボ投与群に無作為に割り付けて3ヵ月投与し、有効性と安全性を評価した。被験者は、急性頭痛の治療に、片頭痛に特異的な治療薬を用いることが許容された。 主要エンドポイントは、月当たりの平均片頭痛日数のベースラインからの変化量。重要な副次エンドポイントは、月当たりの中等度以上の頭痛日数の変化量、月当たりの片頭痛日数の50%以上低減などであった。月当たりの平均片頭痛日数減少、-2.5日vs.-1.4日で有意差 237例が無作為化され、234例が全解析集団に包含された。フレマネズマブ群が123例(120mg群36例、225mg群87例)、プラセボ群が111例であった。3ヵ月の二重盲検試験期間を完了したのは、フレマネズマブ群96.7%、プラセボ群94.6%であった。ベースラインの人口統計学的および臨床的特性は両群で類似しており、月当たり平均片頭痛日数(±SD)はフレマネズマブ群7.8±3.1日、プラセボ群7.5±2.8日であった。 主要エンドポイントについて、月当たりの平均片頭痛日数は、フレマネズマブ群(-2.5日、95%信頼区間[CI]:-3.2~-1.7)がプラセボ群(-1.4日、95%CI:-2.2~-0.7)と比べて有意に減少した(群間差:1.1日、p=0.02)。 月当たりの中等度以上の頭痛日数は、フレマネズマブ群(-2.6日)がプラセボ群(-1.5日)と比べて有意に減少した(群間差:1.1日、p=0.02)。また、月当たりの片頭痛日数が50%以上低減した被験者は、フレマネズマブ群47.2%、プラセボ群27.0%であった(群間差:20.1%、p=0.002)。 安全性について、少なくとも1つの有害事象を有したのはフレマネズマブ群68/123例(55.3%)、プラセボ群55/112例(49.1%)であったが、ほとんどが重篤ではなく、軽度~中程度の有害事象であった。 フレマネズマブ群で最も多く見られた有害事象は、注射部位紅斑(9.8%)であった(プラセボ群5.4%)。

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1歳6ヵ月時点の母乳育児がむし歯発症と関連、口腔衛生指導の重要性を示す縦断研究

 乳幼児のう蝕(むし歯)は生活習慣や食事習慣など複数の要因が絡み、授乳との関係はこれまで議論が続いてきた。今回、日本の子ども約6,700人を1歳6ヵ月~3歳6ヵ月まで追跡した縦断研究で、1歳6ヵ月時点で母乳育児を続けていた子どもで、その後のむし歯発症との関連が示された。一方で、母乳育児を継続していても多くの子どもはむし歯を経験しておらず、母乳育児そのものではなく、食事習慣や口腔衛生習慣などのケアが重要である可能性が示唆された。研究は大阪大学大学院歯学研究科小児歯科学講座の三笠祐介氏、大継將寿氏、仲野和彦氏、同大学口腔生理学講座の加藤隆史氏らによるもので、11月27日付で「Scientific Reports」に掲載された。 乳歯のむし歯は世界で5億人以上の子どもに影響する公衆衛生上の重要な健康課題であり、日本では全体として減少傾向にあるものの、依然として高リスク層への偏在がみられる。むし歯の原因は多因子的だが、母乳栄養とむし歯の関係については研究間で一致した結論が得られていない。1歳以降の授乳をむし歯リスクとする報告がある一方で、1歳6ヵ月までの授乳はむし歯リスクの低下と関連するとの報告や、砂糖摂取こそが主要因であるとする研究もあり、見解は分かれている。また、早期に歯が萌える(はえる)こともむし歯リスクに関与するとされるが、縦断的な検討は限られている。そこで本研究では、日本の中核都市の子どもを対象に、1歳6ヵ月〜3歳6ヵ月のむし歯発症と、1歳6ヵ月時点の授乳状況および萌えている歯の数との関連を縦断的に検討した。 本研究では、大阪府豊中市、豊中市歯科医師会と連携のもと、市の乳幼児健康診査の受診者を対象に調査を行った。2018年4月から2020年3月までの間に、豊中市の3つの保健センターで歯科健診を受けた3歳6ヵ月の子どもを対象とした。1歳6ヵ月時および3歳6ヵ月時に身体計測と歯科健診を行い、萌えている歯の本数やむし歯の有無(dmft指数)を評価した。1歳6ヵ月時には、口腔内細菌の状態を評価するむし歯リスク検査と、授乳状況や食事習慣、就寝時刻などに関する保護者向けアンケートを実施し、3歳6ヵ月時点でのむし歯発症との関連をロジスティック回帰分析で検討した。 5,161名の子どものうち、3歳6ヵ月時点でむし歯を経験していた子どもは738人(14.3%)であった。内訳は、1歳6ヵ月時点ですでにむし歯を有していた子どもが50人(1.0%)、1歳6ヵ月~3歳6ヵ月の間に新たにむし歯を発症した子どもが688人(13.3%)であった。1歳6ヵ月時点ですでにむし歯を有していた50人を除外し、5,111人を対象として、1歳6ヵ月~3歳6ヵ月におけるむし歯発症に関する追加のリスク解析を行った。 出生順位、歯の本数、むし歯リスクの検査結果、食事習慣、授乳・哺乳状況などの潜在的な交絡因子を調整した多変量解析の結果、3歳6ヵ月時点でのむし歯発症は、1歳6ヵ月時に萌えている歯が12本以下であること(オッズ比〔OR〕0.78、95%信頼区間〔CI〕0.63~0.97、P<0.05)と負の関連を示した。一方、17本以上であること(OR 2.06、95%CI 1.12~3.79、P<0.05)、母乳のみで授乳していたこと(OR 2.03、95%CI 1.68~2.46、P<0.001)、および母乳と哺乳瓶の併用(OR 2.45、95%CI 1.36~4.44、P<0.01)は、むし歯発症と有意な正の関連を示した。 著者らは、「本研究は、1歳6ヵ月時点の歯の萌え方や授乳状況が、その後のむし歯発症と関連することを示した。得られた知見から、乳歯が萌え始める早期の段階から歯科受診や適切な口腔ケア、食事習慣に関する指導を行うことで、母乳育児の利点を活かしつつ、将来的なむし歯リスクを低減できる可能性が示唆される」と述べている。 なお、本研究では、歯の本数のみを評価し歯種や萌える順番を評価していない点や、保護者向けアンケートにて夜間授乳や授乳頻度について評価していない点を限界として挙げている。

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小児診療ガイドラインのダイジェスト解説&プログレス2025

ガイドライン50点、6,449ページ分の要点がわかる「小児科」66巻12号(2025年12月臨時増刊号)小児診療にかかわる重要なガイドラインについて、作成委員の先生方が、一般小児科医が知っておくべき部分をダイジェスト形式で解説。さらに使用上の注意やガイドライン発表後に得られた知見も併せて紹介します。この1冊で、各領域における最新版のガイドライン情報をアップデート!画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。※ご使用のブラウザによりPDFが読み込めない場合がございます。PDFはAdobe Readerでの閲覧をお願いいたします。目次を見るPDFで拡大する目次を見るPDFで拡大する小児診療ガイドラインのダイジェスト解説&プログレス2025定価9,350円(税込)判型B5判頁数316頁発行2025年12月編集「小児科」編集委員会ご購入(電子版)はこちらご購入(電子版)はこちら紙の書籍の購入はこちら医書.jpでの電子版の購入方法はこちら紙の書籍の購入はこちら

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若者の精神疾患の世界的負担、30年間の変化と今後の予測

 精神疾患は、世界の非致死性疾患負担の主な原因の1つであり、小児、青年、若者の間で有病率が上昇している。中国・Northwest Women's and Children's HospitalのWei Liu氏らは、GBD 2021データを用いて、9つの精神疾患について、1990~2021年の地域、年齢、性別による推定値を分析し、2050年までの負担を予測した。Frontiers in Public Health誌2025年9月16日号の報告。 年齢調整有病率(ASPR)および障害調整生存年数率(ASDR)の平均年変化率(AAPC)および年変化率(APC)を算出した。分解分析、不平等分析、フロンティア分析、比較リスク分析、ベイズ統計を用いた年齢・時代・コホート分析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・1990年と比較し、2021年の世界の負担は若年層で有意に増加した。【ASPR】AAPC:0.15、95%信頼区間(CI):0.14~0.16【ASDR】AAPC:0.40、95%CI:0.29~0.51・若年層における世界的負担は、2019年以降に急増した。【ASPR】APC:4.74、95%CI:4.55~4.93【ASDR】APC:6.64、95%CI:4.88~8.42・男性は女性よりも負担が大きく、年齢層によって性別特有のパターンに、ばらつきが見られた。・負担は、社会人口統計指数(SDI)により大きく異なり、SDIの高い地域では最も高かった(ASPR:1万2,913.13、95%不確実性区間[UI]:1万1,135.82~1万4,874.98、ASDR:1,750.41、95%UI:1,253.46~2,328.87)。・9つの精神疾患の負担の変化は、世界レベル、地域レベル、国レベルで異なっていた。・分解分析では、有病率と障害調整生存年数(DALY)の変化は、主に人口増加(各々、84.86%、57.92%)に起因しており、SDIの高い地域で最も顕著な改善が見られた。・フロンティア分析では、高所得国・地域では負担軽減の可能性があることが示唆された。・世界的に、不安症、うつ病、特発性発達性知的障害の主なリスク因子として、小児期の性的虐待、いじめ、親密なパートナーによる暴力、鉛曝露が特定された。・2050年までに精神疾患の負担は減少すると予測された(人口10万人当たりASPR:6,120.71、95%CI:3,973.57~8,267.85、人口10万人当たりASDR:844.71、95%CI:529.48~1,159.94)。 著者らは「2050年までに精神疾患の負担は減少すると予測されているものの、世界の精神疾患の負担は増加しており、人口間で大きな格差が認められた。近年の急増傾向により、世界的な予防の強化と公平な医療の拡充が求められている」とまとめている。

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ムコ多糖症II型、新たな酵素補充療法が有望な可能性/NEJM

 ムコ多糖症II型(MPS II、ハンター症候群)は、イズロン酸-2-スルファターゼ活性の欠損によって発生する進行性のX染色体連鎖型のライソゾーム病で、神経系を含む臓器機能障害や早期死亡をもたらす。tividenofusp alfaは、イズロン酸-2-スルファターゼと改変トランスフェリン受容体(TfR)結合Fcドメインから成る、血液脳関門の通過が可能な融合タンパク質で、MPS IIの神経学的および末梢症状の治療を目的に開発が進められている新たな酵素補充療法(ERT)である。米国・University of North Carolina School of MedicineのJoseph Muenzer氏らは、小児男性患者を対象に行った、本薬のヒト初回投与の臨床試験の結果を報告した。NEJM誌2026年1月1日号掲載の報告。国際的な非盲検第I/II相試験 研究グループは、tividenofusp alfaの安全性および中枢神経系、末梢症状に対する効果の評価を目的に、国際的な非盲検第I/II相試験を実施した(Denali Therapeuticsの助成を受けた)。年齢18歳までのMPS IIの男性患者を対象とした。 tividenofusp alfa(週1回、静脈内投与)を24週間投与した後、80週間の安全性に関する延長試験と157週間の非盲検延長試験を行った(全261週)。 47例(用量設定コホート20例、15mg/kg投与コホート27例)を登録した。年齢中央値は5歳(四分位範囲:0.3~13)だった。44例(94%)が神経症状を伴うMPS IIで、3例(6%)は神経症状を伴わないMPS IIであり、15例(32%)がERTを受けた経験があった。注入反応の頻度が高いが管理可能 47例の全例で、3段階の試験期間中に少なくとも1件の有害事象を認め、最も高い重症度は、中等度が68%、重度が28%であった。死亡例の報告はなかった。治療関連の重篤な有害事象は3例(注入反応[infusion-related reaction]2例、貧血1例)に認めたが、これらの患者はすべて治療を継続した。 41例(87%)で、試験期間中に少なくとも1件の注入反応が発現し、最も頻度の高い有害事象であった。中等度が55%、重度が6%だった。注入反応の症状では、発熱、蕁麻疹、嘔吐の頻度が高く、ルーチンに前投薬を行ったにもかかわらず40%以上の参加者に発現した。 注入反応は全般に、担当医の判断による前投薬、注入速度の減速、減量によって管理可能であった。注入反応の発生は時間の経過とともに減少し、グルココルチコイドを含む前投薬も試験の進行に伴い減少した。ヘパラン硫酸値が低下、適応行動、肝臓容積も改善 その他の一般的な有害事象として、上気道感染症(60%)、発熱(55%)、咳嗽(47%)、嘔吐(43%)、下痢(40%)、発疹(40%)、貧血(38%)、新型コロナウイルス感染症(38%)、鼻漏(38%)を認めた。ベースライン時に19%(47例中9例)で貧血がみられたが、貧血を理由に試験を中止した参加者はいなかった。また、尿中総グリコサミノグリカン(GAG)値が悪化することはなく、改善の傾向を示した。 バイオマーカーについては、ベースラインと比較した24週時の脳脊髄液(CSF)中および尿中のヘパラン硫酸が、それぞれ91%および88%減少した。ヘパラン硫酸濃度の低下は153週目まで持続し、適応行動は安定化または改善した。ベースライン時に、24%(21例中5例)で肝臓容積に異常を認めたが、24週時には、これらを含む全例(18例中18例)で正常化または正常を維持していた。 著者は、「MPS II小児男性患者に対する週1回15mg/kgの静脈内投与によるtividenofusp alfa治療では、ERTの既知のリスクである注入反応を含む有害事象が高頻度に発現した」「中央値で2年間の治療により、基質の蓄積および神経細胞損傷の、中枢神経系および末梢のバイオマーカーが減少傾向を示し、臨床エンドポイント改善の可能性が示唆された」としている。

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第278回 26年度改定「病院に手厚く配分へ」初・再診料と入院基本料を引き上げへ/厚労省

<先週の動き> 1.26年度改定「病院に手厚く配分へ」初・再診料と入院基本料を引き上げへ/厚労省 2.医療機関の倒産、2年連続で最多を更新/帝国データバンク 3.睡眠医療へのアクセス向上へ、標榜診療科に「睡眠障害」追加/厚労省 4.医師偏在対策で管理者要件厳格化、4月施行の療担規則改正/厚労省 5.人材不足で救命救急センター指定辞退へ、体制維持困難/近大奈良病院 6.地域枠「縛り」見直しへ 短時間勤務や県外転出も容認/山梨県 1.26年度改定「病院に手厚く配分へ」初・再診料と入院基本料を引き上げへ/厚労省厚生労働省は2026年度診療報酬改定に向け、中央社会保険医療協議会(中医協)で「これまでの議論の整理(案)」を示し、物価高と賃上げ、人手不足への対応を改定の最優先課題に据えた。改定率は診療報酬本体で+3.09%(2026・27年度平均)とされ、内訳は賃上げ分+1.70%、物価対応分+0.76%、食費・光熱水費分+0.09%などとされる。医療機関の資金繰り悪化で必要な医療サービスが継続できない事態は避けるべきとの認識の下、確実な賃上げと物価高騰の影響吸収を両輪で進める方針だ。具体策として、物件費負担の増加を踏まえ、初・再診料および入院基本料の「必要な見直し(引き上げ)」を行う。加えて、2026・27年度における物件費の更なる高騰に備え、医療機能も踏まえた「物価高騰に対応した新たな評価(特別な項目)」を設定し、配分は病院に手厚い設計とする。食費・光熱水費では、入院時の食費基準額を40円/食、光熱水費基準額を60円/日引き上げる(患者負担は原則同額で、低所得者や指定難病などには配慮)。嚥下調整食の新評価など、入院食の質向上も併せて検討する。賃上げの面では、医療現場の生産性向上の取組と一体で、医療関係職種の賃上げの実効性を高める仕組みを再設計する。看護職員の夜勤負担軽減計画の要件明確化、ICT・AIなどの活用を前提とした業務効率化や基準の柔軟化、医療DX関連加算(診療録管理体制加算、医療情報取得加算、医療DX推進体制整備加算など)の評価見直しも論点に入る。厚労省は、1月14~20日まで意見募集を行い、1月21日の公聴会などを経て、個別項目(短冊)の詰めに入り、2月の答申を目指す。 参考 1) 「令和8年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理」に関するご意見の募集について(厚労省) 2) 令和8年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(同) 3) 令和8年度診療報酬改定の基本方針(同) 4) 初診料・再診料・入院基本料を引き上げへ、診療報酬改定の骨子案了承…医療機関の経営安定化図る(読売新聞) 5) 2026年度診療報酬改定を諮問、厚労相 物価・賃金上昇や人手不足に対応(CB news) 6) 若手勤務医や事務職の賃上げ原資拡大 26年度報酬改定、病院に手厚く(日経新聞) 7) 2026年度診療報酬改定、議論の整理案を提示(日経メディカル) 2.医療機関の倒産、2年連続で最多を更新/帝国データバンク帝国データバンクの集計によると、2025年の医療機関(病院・診療所・歯科医院)の倒産件数は67件となり、前年を上回って2年連続で過去最多を更新した。負債総額は248億円に達し、件数・金額ともに高止まりしている。背景には、院長の高齢化と後継者難により事業承継が行き詰まった診療所の廃業・倒産が目立つことに加え、病院経営の構造的悪化がある。医療機関の倒産件数が2023年41件、2024年63件、2025年67件と急増している一方、負債総額は年や月による振れが大きく、単発の大型倒産が全体額を押し上げる構図が読み取れる。とくに2025年は2月など一部の期間に負債額が突出しており、資金繰りが限界に達した病院の破綻が顕在化している。経営環境の悪化は財務指標にも表れている。2024年度の病院経営では約6割が営業赤字、約14%が債務超過に陥り、営業利益率の平均は2年連続でマイナスとなった。診療報酬のプラス改定があったにもかかわらず、コロナ関連補助金の終了、人件費・光熱費・医療資材費の上昇がそれを上回り、「増収減益」に陥る病院が続出した。医師の働き方改革に伴う人員増や賃上げ圧力も、固定費を押し上げている。その一方で、訪問介護など老人福祉事業の倒産も2025年は139件と高水準で推移しており、医療・介護をまたぐ提供体制全体が経営危機に直面している。地域医療を担う病院ほど採算性の低い政策医療を抱え、設備更新の先送りや投資凍結に追い込まれるケースも少なくない。倒産件数の増加は、個々の経営努力だけでは吸収しきれない構造問題を示しており、医療提供体制をどう維持するかが改めて問われている。 参考 1) 25年の医療機関倒産は67件 帝国データバンク集計(MEDIFAX) 2) 医療機関の倒産、2年連続で最多更新 25年は66件 帝国データバンク調べ(CB news) 3) 2025年12月 倒産動向データ(帝国データバンク) 3.睡眠医療へのアクセス向上へ、標榜診療科に「睡眠障害」追加/厚労省厚生労働省は、1月15日に医道審議会・診療科名標榜部会を開き、医療機関が標榜できる診療科名に「睡眠障害」を追加することを了承した。今後、内科や精神科、小児科など既存の診療科名と組み合わせた形での標榜が可能となる見通しで、3月に議論を取りまとめ、法令改正手続きに入る。背景には、睡眠障害に悩む患者の増加と、受診先がわかりにくいという課題がある。日本睡眠学会は2025年4月、睡眠医療へのアクセス向上を目的に「睡眠障害」を標榜可能な用語に追加するよう要望していた。現状では、不眠症患者の多くが内科や精神科を受診し、睡眠時無呼吸症候群の患者は内科や耳鼻咽喉科に分散して受診しているが、症状と診療科の結び付きが国民にわかりにくいとの指摘があった。標榜診療科名の追加にあたっては、独立した診療分野を形成していること、国民ニーズが高いこと、わかりやすく適切な受診につながること、診療に必要な知識・技術が医師に広く定着していること、という4つの基準を総合的に判断する。部会では、睡眠障害はいずれの要件も満たすとの認識が共有され、異論は出なかった。部会ではとくに「睡眠障害小児科」への期待も示された。小児の睡眠時無呼吸や不眠が見過ごされやすい現状があり、早期介入により発達障害様症状が軽減するとの報告もある。睡眠障害を標榜可能とすることで、潜在的な患者の掘り起こしや早期診断につながるとの見方が示された。日本睡眠学会は今後、精神科、内科、耳鼻咽喉科など関連学会と連携し、講習会やeラーニングを通じた診療体制の底上げを進める方針だ。睡眠障害の標榜化は、診療の「旗」を明確に掲げることで医療アクセスを改善し、地域間格差の是正にも寄与すると期待されている。 参考 1) 睡眠障害の標榜について(厚労省) 2) 標榜可能な診療科名に「睡眠障害」追加可能へ 医道審議会部会(MC Plus) 3) 標榜診療科名に「睡眠障害」追加を了承 3月に取りまとめへ 医道審・部会(CB news) 4.医師偏在対策で管理者要件厳格化、4月施行の療担規則改正/厚労省厚生労働省は1月16日に開かれた中央社会保険医療協議会(中医協)で、昨年12月の医療法改正などを踏まえ、「保険医療機関及び保険医療養担当規則(療担規則)」の見直しについて厚生労働大臣に答申を行った。改正規則は2026年4月1日から施行され、保険医療機関の管理者に関する要件と責務が新たに明記される。改正の柱は、管理者要件として「臨床研修修了後、保険医として病院で3年以上診療に従事した経験」を求める点。医師偏在対策の一環として位置付けられており、診療所ではなく「病院での従事経験」に限定した点が特徴となる。その一方で、経過措置として、すでに管理者を務めている医師には同一機関で管理者を継続する限り適用しない。また、自治医科大学卒業者の義務年限中の医師や、医師少数区域でキャリア形成プログラムに基づき従事する医師、矯正医官・自衛官などとして5年以上勤務した医師、管理者の急逝など止むを得ない事情で医療機関を承継する場合などは、要件を満たすとみなされる。具体的な該当例は今後、通知などで示される予定。あわせて、管理者の責務として、診療報酬請求を含め療担規則を順守するよう従事者を監督することが明文化される。管理者の役割を法令上明確化することで、保険診療の適正化を図る狙いがある。さらに、医療法改正に伴い新設される「オンライン診療受診施設」についても規制が整備される。原則として、保険薬局との一体的な構造・経営や利益供与を禁止し、医療資源が乏しい無医地区などに限って例外的に認める。薬局と医療機関の独立性を確保し、健康保険制度の健全運営を担保するためだ。管理者要件の厳格化とあわせ、医療提供体制の質と公正性が改めて問われることになりそうだ。 参考 1) 医療法等改正を踏まえた対応について(その2)(厚労省) 2) 療担規則の見直しを答申、「管理者の責務・要件」明記(MEDIFAX) 3) 保険医療機関の管理者要件、従事経験規定へ「病院で3年以上」 療担規則に(CB news) 5.人材不足で救命救急センター指定辞退へ、体制維持困難/近大奈良病院近畿大学奈良病院(奈良県生駒市)は、人材確保が困難な状況が続いているとして、救命救急センターの指定を2026年3月31日で辞退する。本年1月14日付で奈良県に指定辞退届出書を提出した。2003年に救命救急センターの指定を受け、県内の高度救急医療を担ってきたが、全国的な救命救急医不足の影響を受け、体制の安定的維持が困難と判断した。同センターでは2025年度も12月末までに約3,300人の入院患者を受け入れてきた。近畿大学病院(大阪府堺市)からの医師派遣に依存してきた側面もあるが、大学病院側でも人員に余裕がなく、継続的な派遣が難しくなっていた。私立大学病院などに公募を行うなど人材確保に努めたものの、十分な救命救急医を確保するには至らなかったという。指定辞退後の4月以降は、ICU(集中治療室)8床を休床する一方、救命救急センターとして運用してきた24床を、継続的な高度管理を要する重症患者向けのハイケアユニット(HCU)に転換し、重症患者の受け入れ自体は継続する方針。病院として救急医療から全面的に撤退するわけではないが、24時間体制で最重症患者を受け入れる高度救命救急機能は縮小される。奈良県によると、同病院の指定辞退により、2026年4月以降、県内の救命救急センターは奈良市の県総合医療センターと橿原市の県立医科大学附属病院の2施設体制となる。生駒市の小紫 雅史市長は「指定辞退は非常に重大」としつつ、医師の働き方改革が進む中で高度救急体制の維持が難しい現実にも理解を示し、市立病院との連携などで市民への影響を最小限に抑える考えを示した。今回の事例は、救急医不足と働き方改革が地域の高度救急医療体制に直接的な影響を及ぼし始めている現実を浮き彫りにしている。 参考 1) 近畿大学奈良病院における救命救急センターのハイケアユニット(HCU)への転換について(近畿大学) 2) 救命救急センターの指定辞退へ 近大奈良病院 人材確保難で(CB news) 3) 近大奈良病院 医師不足で救命救急センターの指定辞退へ(NHK) 4) 近畿大学奈良病院、救急救命センターの指定を辞退 人材確保が困難 重症受け入れは継続(産経新聞) 6.地域枠「縛り」見直しへ 短時間勤務や県外転出も容認/山梨県山梨県は1月16日に副知事が臨時記者会見を開き、医学部地域枠医師に課している就業義務と違約金制度を見直す方針を明らかにした。地域枠は、医師免許取得後15年間のうち9年間を県内で勤務すれば修学資金の返還を免除する制度だが、県は多様な働き方やキャリア形成に十分配慮できていなかったとして、制度の柔軟化に踏み切る。具体的には、これまで就業義務としていた週31時間以上の勤務に加え、育児や介護など家庭の事情に対応するため、週31時間未満の短時間勤務や非常勤勤務も義務履行として認める。また、県内勤務の中断理由についても、従来の「災害、疾病、産休・育休」に限定していた要件を拡大し、新たに介護、留学、大学院進学、研究従事を追加する。本人に将来的な県内勤務の意思が確認できる場合、結婚や介護などで一時的に県外へ転出しても、違約金の対象外とする。背景には、地域枠医師に最大約842万円の違約金を科す条項を巡り、消費者団体から提訴され、この1月20日に判決が予定されている問題がある。山梨県は5年前、地域枠からの離脱者が出たことを受け、修学資金返還に加えて違約金を課す制度を全国で初めて導入したが、「人権侵害ではないか」「人生の変化が大きい時期に過度な拘束を課している」との批判が医学生や医療関係者から相次いでいた。全国的に地域枠は医師不足対策として拡大し、定員は医学部全体の約2割を占める。その一方で、入学時に将来の勤務を約束させる制度設計や、後出し的な義務強化に疑問の声も根強い。今回の見直しは、ペナルティー中心の運用から、医師のキャリアや生活に配慮した制度への転換を模索する動きとして注目される。 参考 1) 山梨県副知事臨時記者会見(YouTube) 2) 山梨県地域枠等医師キャリア形成プログラムの違約金条項に対する差止請求訴訟の状況について(消費者機構日本) 3) 山梨県、「地域枠」医師の就業義務見直し 多様な働き方に対応(日経新聞) 4) 山梨県 医学部の地域枠制度 違約金の支払い要件見直しへ(NHK) 5) 医学部地域枠、学生へムチ「違約金」最大842万円 人権侵害の声も(朝日新聞) 6) 山梨県の医学部学費貸与、「違約金840万円は違法」 NPOが提訴(同)

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RSVのワクチン接種を受けていた妊婦は約11%/国立成育医療研究センター

 呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染は、乳児の下気道感染症の主要な原因であり、多大な罹患、入院、医療費の増大を引き起こす。RSV母子免疫ワクチンは近年いくつかの国では公費で提供されているが、わが国では任意接種で高額な自己負担費用がかかるため、実際の接種率や社会経済的背景による差は依然として不明確である。そこで、国立成育医療研究センター社会医学研究部 臨床疫学・ヘルスサービス研究室の大久保 祐輔氏らの研究グループは、妊婦のRSVワクチンの接種率とその決定要因について全国調査を行った。その結果、ワクチン接種を受けていた妊婦は約11%に過ぎないことが判明した。この結果は、Journal of Infection and Chemotherapy誌2026年1月号に掲載された。妊婦のRSVワクチン接種、約9割が費用が高いと回答 研究グループは、2024年7月~2025年8月に出産した女性を対象に全国調査を実施した。質問票では、妊婦のRSVワクチンの接種状況、費用の負担感、ワクチン接種への躊躇に関する5Cモデルを含む関連意識、および人口統計学的特性を評価した。接種率を推定し、多変量修正ポアソン回帰分析を用いて接種に関連する要因を分析した。 主な結果は以下のとおり。・回答者1,279人のうち11.6%が妊婦用RSVワクチンの接種を受けていた。・世帯年収や教育歴が高いほどワクチン接種率が高い傾向が認められた。・関東圏外の地域および経産婦では接種率は低く、不妊治療歴のある妊婦、妊娠中のインフルエンザまたはジフテリア・百日咳・破傷風ワクチン接種歴のある妊婦では高かった。・5C領域では、「自信」と「集団的責任感」が高い接種率と関連し、「計算」は低い接種率と関連していた。・接種者の87.2%が費用を「高い」と評価し、未接種者が接種しなかった理由は「予防効果を知らなかった」(28.9%)と「ワクチンの存在を知らなかった」(27.3%)であり、77.5%が「無料であれば接種をする」と回答した。 研究グループは、「わが国の妊婦向けRSVワクチン接種率は低く、接種率は社会経済的・地域的格差が認められた。主な障壁は認知度の低さと高額な自己負担費用であった。自己負担費用の軽減と医療提供者による推奨の標準化により、接種率向上と不平等緩和が期待される」と結論付けている。

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乳児のRSV関連入院予防、ニルセビマブvs.RSVワクチン/JAMA

 呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染は、乳児の急性下気道感染症(LRTI)による入院の主因とされる。フランス・EPI-PHAREのMarie-Joelle Jabagi氏らは、ニルセビマブ(長期間作用型抗RSVヒトモノクローナル抗体)による受動的乳児免疫は、RSV融合前Fタンパク質(RSVpreF)ワクチン母体接種後の胎盤を介した抗体移行による乳児免疫と比較して、RSV関連入院を抑制し、重度のアウトカムのリスク低下をもたらすことを示した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年12月22日号に掲載された。フランスのコホート研究 研究グループは、乳児のRSV関連入院の予防におけるニルセビマブによる受動免疫の有効性の評価を目的に、住民ベースのコホート研究を行った(EPI-PHAREなどの助成を受けた)。解析には、フランスのほぼ全住民の個別データを含むフランス全国保健データシステム(SNDS)のデータを使用した。 RSVpreFワクチンの母体接種は、RSV流行期である2024年9月1日~12月31日にフランス本土で出生した乳児を対象に、妊娠32~36週に実施した。ニルセビマブによる乳児への受動免疫は、退院の前に単回の筋肉内投与で行った。これら2群(RSVpreFワクチン群、ニルセビマブ群)の乳児を、産科病棟退院日、性別、在胎週数、居住地域により、1対1の比率でマッチさせ追跡評価した。 主要アウトカムは、RSV関連のLRTIによる入院とした。 合計4万2,560人の乳児(平均日齢3.7[SD 1.4]日、男児51.7%)を登録した(各群2万1,280人)。母親の出産時年齢中央値は、ニルセビマブ群でわずかに若かった(31歳vs.32歳)。追跡期間中央値は84日(四分位範囲:70~99)だった。ほとんどが細気管支炎で入院 RSV関連のLRTIによる入院(主要アウトカム)は481例で発生した。RSVpreFワクチン群が269例(55.9%)であったのに対し、ニルセビマブ群は212例(44.1%)と有意に少なかった(群間差:-11.8%、95%信頼区間[CI]:-18.1~-5.5、p<0.001、補正後ハザード比[HR]:0.74、95%CI:0.61~0.88)。 全体の入院時の平均日齢は38.9(SD 22.2)日であった。入院の原因となったRSV関連LRTIのほとんどが細気管支炎(464例、96.5%)で、気管支炎(13例)や肺臓炎(4例)はわずかだった。入院期間中央値は両群とも5日であった。 また、RSVpreFワクチン群に比べ、ニルセビマブ群は重度のアウトカムのリスクが低かった(小児集中治療室[PICU]入室:25.9%vs.37.5%、p=0.007、補正後HR:0.58[95%CI:0.42~0.80]、酸素療法:18.4%vs.28.3%、p=0.01、0.56[0.38~0.81]、人工呼吸器:24.1%vs.33.1%、p=0.03、0.57[0.40~0.81])。これは、ニルセビマブにより入院後の疾患進行が抑制されたことを示唆する。ECMO、NO吸入の使用はない 非侵襲的換気(ニルセビマブ群24.1%vs.RSVpreFワクチン群32.0%、p=0.06)や侵襲的換気(0.9%vs.1.5%、p=0.59)の頻度は、両群間に差はなかった。また、体外式膜型人工肺(ECMO)や一酸化窒素吸入療法は使用されなかった。院内死亡の報告はなかった。 サブグループ解析や感度分析は、これら主解析の結果と一貫性を示した。なお、本研究では、安全性の評価は行っていない。 著者は、「追跡期間中にニルセビマブ群で観察されたリスク低減は、RSVpreFワクチン群における母体由来抗体の減衰、あるいは初期の抗体値の不足を反映している可能性がある」「これらの結果は、RSVpreFワクチンの有効性を否定するエビデンスと解釈すべきではない。接種の条件や環境によっては、ワクチンがより現実的な場合があり得る」「本試験の知見は、フランス本土において、これらの免疫戦略を用いた最初のRSV流行期の状況を反映しており、今後の研究では、この戦略の再評価を行う必要がある」としている。

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親のうつ病の特定の症状は子どもの報酬処理に影響か

 親にうつ病があると、その子どももうつ病を発症しやすいことが知られているが、こうしたリスクは、うつ病のある特定の症状に関連している可能性のあることが、新たな研究で示唆された。物事を楽しめない、あるいは物事に興味を持てないといったタイプの親の症状は、周囲で起きていることに対する子どもの反応の仕方に影響を与え得ることが示されたという。米ニューヨーク州立大学ビンガムトン校(SUNY-BU)気分障害研究所のBrandon Gibb氏とElana Israel氏によるこの研究の詳細は、「Journal of Experimental Child Psychology」2026年2月号に掲載された。 Gibb氏らによると、子どもの脳が肯定あるいは否定的なフィードバックにどのように反応するかには、親のうつ病が影響を及ぼすことがすでに明らかにされている。その原因に、物事に対する興味や喜びが失われる状態である「アンヘドニア(無快感症)」と呼ばれるうつ病の症状が関わっている可能性があるとGibb氏らは言う。 Gibb氏らは今回の研究で、7〜11歳の子どもとその親217組を対象に実験を行った。この実験は、親のアンヘドニアの症状が、子どもの報酬系における肯定的あるいは否定的なフィードバック処理にどのような影響を与えるのかを明らかにする目的で計画された。 Israel氏は、「この研究は、物事への興味や関心が薄れ、喜びを感じにくくなるというリスク要因がある場合、それが環境からのフィードバックに対する脳の反応の仕方に反映される可能性があるという考え方に基づいている」と説明している。また同氏は、「親に強いアンヘドニアを伴ううつ病があると、その子どもでは反応が弱くなると予想され、その一方で他のうつ病の症状は、理論的にはこの特定の脳反応にはそれほど強く関連しないはずだ」とニュースリリースの中で述べている。 実験では、子どもに2枚の扉を見せ、向こう側に賞金がある扉を当てるよう指示した。正解の扉を選ぶと賞金が得られ、間違えると失う仕組みだった。その結果、親のアンヘドニアの症状のレベルが高いほど、子どもは賞金を獲得した場合でも、逃した場合でも、その反応は鈍くなる傾向が認められた。一方、アンヘドニアを伴わないうつ病の症状レベルが高い親の場合では、子どもの反応が鈍化する傾向は見られなかった。 Israel氏は、「この結果から言えるのは、親のアンヘドニアに特有の何かが子どもの神経反応に影響を与える可能性があるということだ。さらに、うつ病の中核的特徴である興味や喜びの喪失、関心の低下に陥るリスクが高い子どもの特定につながる研究結果でもある」と述べている。 研究チームは、今後の研究課題として、アンヘドニアの症状がある親が治療を受けたり、状態が改善し始めたりした場合に、家族の相互作用がどのように変化するのかを調べることを挙げている。また、同級生からの社会的フィードバックなど他の種類のフィードバックに対する子どもの反応にも親のうつ病による影響があるのかどうかについて検討することが重要であると述べている。 Israel氏は、「前向きな気分や関心、良好な親子関係の強化を目的とした介入について検討している研究者もいる。今回の知見を活かして、そのような介入による効果が得られる可能性が最も高い家族を特定できるかどうかを検証することが重要だ」と述べている。

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抗インフルエンザ薬のスイッチOTC化には反対/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、1月7日に定例の記者会見を開催した。会見では、松本氏の年頭あいさつのほか、抗インフルエンザ薬のスイッチOTC化に関するパブリックコメントへの意見、赤ひげ大賞の受賞者発表などが行われた。 松本氏は年頭のあいさつとして干支の「午」に触れ、自身が年男であることから「地域医療を守るという強い決意のもと、情熱的でかつエネルギッシュな1年としたい」と語った。また、箱根駅伝の青山学院大学の連覇を例に「選手への指導体制や人材育成、サポートなどが連覇に大切であり、これは医療にもつながる」と述べた。 2025年について参議院選挙や年末の補正予算編成、そして、令和8年度の診療報酬改定について振り返るとともに「OTC類似薬や高額療養費など、未解決の課題についても医療現場の意見が表明できる場に参加していきたい」と語った。 そして、2026年の抱負については、高市 早苗総理大臣が先ごろ表明した「国民会議」の立ち上げについて、さまざまな手段で医師会の意見を主張していくこと、現在最多の会員数17万8,593人を本年さらに更新できるよう、「引き続き努力し、会員数だけではなく、会員全体の力もしっかりと伸ばしていきたい」と抱負を述べた。個人にリスクを負わせるスイッチOTC化には反対 「抗インフルエンザ薬のスイッチOTC化に関するパブリックコメント」について、常任理事の今村 英仁氏(公益財団法人慈愛会 理事長)が、医師会の考えを説明した。「抗インフルエンザ薬のスイッチOTC化」について、医師会は反対の意を表明すると述べた。 その理由として以下の6つの項目を挙げた。・インフルエンザは、発熱やせきなどの軽症例にとどまらず、肺炎や脳症などの重篤な合併症を引き起こしうる感染症である。そのために抗インフルエンザ薬は、発症時期や症状の経過、基礎疾患の有無、年齢などを総合的に評価した上で、医師の管理下で適正に使用されるべき医薬品である。・スイッチOTC化により、医師の診断を伴わない患者の自己判断使用が拡大すると、「インフルエンザ以外の疾患に対する誤用」「投与開始時期を誤ることによる効果低下」「受診遅れによる重症化リスクの増大」などのさまざまな事態が懸念される。・抗インフルエンザ薬の不適切使用は、耐性ウイルス出現のリスクを高め、社会全体の感染症対策を脅かす公衆衛生上の課題になる。・高齢者や小児、妊婦、基礎疾患を有する方など、重症化リスクの高い人々に対しては、抗ウイルス薬の使用可否や投与方法を慎重に判断する必要があるが、こうしたリスク評価を個人の自己判断に委ねることで、重症例の増加や救急医療などの医療資源のひっ迫を招きかねない。・インフルエンザ流行期における受診動向や急性呼吸器感染症の感染状況の把握は、医療機関を通じて行われてきたことを踏まえ、スイッチOTC化により医療機関を介さない中途半端な治療が広がれば、流行状況の把握や適切な対策立案が困難となり、わが国全体の感染症対応力を低下させる恐れがある。・医薬品供給問題について、医療用製造ラインの一部をスイッチOTC製造ラインに変更することになれば、医療用抗インフルエンザ薬が必要なときに医療現場に届かないことが懸念される。 おわりに今村氏は、「社会保険料の削減を目的としたOTC類似薬やスイッチOTC化の推進は、必要なときに適切な医療を受けられない国民が増えることが危惧される。日本医師会としては、医師の診断と治療の下で国民の健康と安全を守り、国民皆保険制度を堅持する姿勢で今後も対応する」と述べた。 最後に常任理事の黒瀬 巌氏(医療法人社団慶洋会 理事長)が、第14回「日本医師会 赤ひげ大賞」として、大賞受賞者5人と功労賞受賞者20人の決定を報告し、会見を終えた。

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